説明

外容器と肩カバーが一体成形された内容器とからなる複合容器

【課題】 延伸ブロー成形により肩カバーと内容器を一体成形し、該内容器と外容器との二つのパーツで構成できるようにした複合容器を提供すること。
【解決手段】 外容器と、肩カバーが一体形成された内容器とからなる複合容器であって、外容器は、上端に取付筒を設けた胴周壁を具備しており、内容器は、口筒部と、口筒部に連設された肩カバーとを具備しており、肩カバーは、口筒部下端に突設されたフランジと、該フランジの周縁から垂設された係合筒とから構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外容器と内容器とからなる複合容器、とくに内容器に肩カバーが一体成形された複合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容物を収納する内容器を外容器内に収納し、外容器に肩カバーを被嵌した複合容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載の容器は、容器本体(2)と、該容器本体(2)内部に着脱自在に収納されるリフィール容器(3)、該容器本体(2)の開口部(2a)に装着され、リフィール容器(3)の容器本体(2)内から抜出を阻止するプロテクター(1)との三つのパーツから構成されている。
【特許文献1】特開平7−303517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の容器は、外容器(容器本体)と内容器(リフィール容器)、および肩カバー(プロテクター)との三つのパーツで構成されているため、金型数、成形、組立ての面で生産コストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、延伸ブロー成形により肩カバーと内容器を一体成形し、該内容器と外容器との二つのパーツで構成できるようにした複合容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、複合容器として、外容器と、肩カバーが一体形成された内容器とからなる複合容器であって、外容器は、上端に取付筒を設けた胴周壁を具備しており、内容器は、口筒部と、口筒部に連設された肩カバーとを具備しており、肩カバーは、口筒部下端に突設されたフランジと、該フランジの周縁から垂設された係合筒とから構成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
複合容器の別実施例として、内容器が、口筒部とともに、肩部を具備しており、口筒部には、しごき中栓が挿入され、肩部下面にしごき中栓の係止部が係止されるようにしたことを特徴とする構成を採用し、また、内容器が、薄肉の胴部と、底部を具備していることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
内容器の口筒部に肩カバーを連設し、肩カバーの係合筒を外容器の取付筒に取着するようにしたから、内容器の肩部を保護することができるようになった。
そのことによって、肩カバーと内容器を一体成形することができ、三つのパーツを二つのパーツに減らすことによって、生産コストを低減することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の複合容器の実施形態について、実施例をあげて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1において、Aは外容器、Bは内容器、Cはキャップであり、合成樹脂を素材として成形されている。
【0011】
外容器Aは、射出成形により成形されており、胴周壁1と底部2とからなっている。
胴周壁1の上方には、外周に段部3が設けられ、縮径された取付筒4が形成されており、取付筒4の外周には、係合突条5が設けられている。
【0012】
内容器Bは、延伸ブロー成形により成形されており、口筒部10と、口筒部10に連設された肩カバー11、肩部12と胴部13および底部14とから構成されている。
口筒部10の外周には、キャップCを螺着するねじ15が設けられている。
【0013】
肩カバー11は、口筒部10下端から連設されるフランジ16と、フランジ16外周縁から垂設され、内周が外容器Aの取付筒4外周に係合する係合筒17とからなっており、係合筒17の内周には、取付筒4の係合突条5と係合する係合凹部18が、設けられている。
【0014】
キャップCは、頂壁20と、頂壁20の周縁から垂設され、内容器Bの口筒部10のねじ15と螺合するねじ21が設けられた側周壁22とからなり、内容器Bの口筒部10に螺着するようになっている。
【0015】
次に、本実施例の複合容器の使用態様と作用効果について説明する。
複合容器の組立てにあたっては、内容物を充填し、閉蓋した内容器Bを、外容器A内に挿入し、外容器Aの取付筒4に内容器Bの肩カバー11の係合筒17を取着する。
その際、外容器Aの取付筒4の係合突条5と、内容器Bの肩カバー11の係合凹部18が係合して、外容器Aと内容器Bとが結合される。
【0016】
内容物を使用する際には、キャップCを開蓋して、外容器Aを持って傾けることによって内容物を注出することができる。
注出を終わって、容器をしまうときには、キャップCを閉蓋しておく。
【0017】
キャップCの開閉にあたって、肩カバー11の係合筒17が、外容器Aの取付筒4に接合しているので、肩カバー11を外容器Aに押圧してキャップCを廻動させることができ、開閉が容易にできるようになった。
【0018】
内容器B内の内容物を使い切った際には、外容器Aの取付筒4と内容器Bの肩カバー11との係合を外して内容器Bを取り外し、内容物を充填した新しい内容器Bを外容器Aに取着することにより、内容器Bを詰め替え容器として詰め替えて使用することができる。
【0019】
また、内容器Bの胴部13が薄肉の場合には、始めに、内容器Bを外容器Aに装着し、内容物を充填した後にキャップCを閉蓋する。
キャッピングにあたっては、治具で肩カバー11を外容器Aに押圧把持することによって、高いトルクをかけることができるので、薄肉容器であってもキャッピングが容易にできる。
【0020】
また、内容器Bの口筒部10に、ポンプディスペンサーを装着し、ディスペンサー容器としても使用することもでき、内容器B胴部13を可撓性を持つ薄肉にしたときには、内容物の減少に伴い内容器Bの胴部13だけを縮小させ、容器内の内容物を最後まで注出することができるようになる。
【0021】
本実施例の複合容器は、外容器内に内容器を装着できればよいので、容器自体の形状は、円形のほか、楕円形や、角形などの容器としても成形できる。
容器の形状、容器としての使用態様は、上記実施例に示したものに限定されない。
【実施例2】
【0022】
次に、前記実施例の容器を、例えばマスカラ容器などに使用するために、内容器の口筒部にしごき中栓を取着した実施例について説明する。
図2において、Aaは外容器、Baは内容器、Dはしごき中栓であり、外容器Aaと内容器Baは、合成樹脂を素材として成形され、しごき中栓Dは、エラストマー等の軟材質を素材として成形されている。
内容物を付着させるブラシを備えたキャップが、内容器Baの口筒部10aに取着される(図示しない)。
【0023】
外容器Aaの構成は、実施例1と同様であるので、詳しい説明は省略する。
内容器Baは、延伸ブロー成形により成形されており、口筒部10aと肩カバー11a、肩部12aと胴部13aおよび底部14aとから構成されている。
口筒部10aの外周には、ブラシを備えたキャップを螺着するねじ15aが設けられている。
【0024】
肩カバー11aは、口筒部10a下端から連設されるフランジ16aと、フランジ16a外周縁から垂設され、内周が外容器Aaの取付筒4a外周に係合する係止凹部18aを設けた係合筒17aとからなっている。
【0025】
しごき中栓Dは、内容器Baの口筒部10aの上端と係合するフランジ30と、口筒部10aの内周に係合する筒体31とを具えている。
筒体31は、その中間部から内方に突出したワイパー部32が設けられており、筒体31の外周下方には、内容器Baの肩部12aの下面に係合し、しごき中栓Dの上昇を阻止する係止部33が突設されている。
【0026】
次に、上記構成による作用効果について説明する。
内容物の使用形態は、従来のマスカラ容器の使用態様と同様であり、キャップに備えたブラシを内容器Baから抜き出すとき、しごき中栓Dのワイパー部32によってブラシへのマスカラの付着量が調整される。
その際、しごき中栓Dの係止部33が、内容器Baの肩部12a下面に係合し、しごき中栓Dが、内容器Baの口筒部10aより抜け出ることを阻止している。
【0027】
上記実施例では、マスカラ容器としたが、マスカラの塗布具ばかりではなく、ブラシ等を使用する毛染剤や、薬液などの塗布具としても適用できる。
【0028】
次に、前記各実施例の変形実施例について説明する。
前記各実施例は、内容器とキャップにねじを設けて螺着したが、キャップが内容器に取着できればよいので、係止突条と係合突条、或いは、係止突条と凹溝との係合でもよく、また、キャップと内容器の形状は、上記各実施例に限定されない。
【0029】
また、各実施例とも、外容器の取付筒に設けた係合突条と、内容器の肩カバーの係合筒に設けた係合凹部とが係合することで、外容器と内容器を着脱可能として結合し、内容器を詰め替えができる詰め替え用容器としたが、使い切り容器として使用する場合は、外容器の取付筒と内容器の係合筒とを、または、外容器の底部上面と内容器の底部とを接着剤や、超音波溶着などで接着すれば、外容器と内容器とを一体化できる。
【0030】
また、外容器と内容器が合成樹脂を素材として成形されているので、ゴミとして分別して廃棄しなくてもよい。
【0031】
各実施例とも、外容器を透明の合成樹脂で製造し、内容器を不透明の合成樹脂で製造して、内容器の胴部外周に加飾を加えることで、外容器と内容器とを一体化したときに、外容器の外側から内容器の加飾を見ることができる複合容器を製造することができる。
また、詰め替え容器として、内容器の胴部に商品表示などの表示部を設けることにより、外部から内容器内の内容物を視認することができる。
さらに、外容器と内容器の間にノベルティーや、プレミアムのシールなどを封入することにより、さらなる販売促進を期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
外容器に、肩カバーを一体成形した内容器を挿入し、外容器の取付筒に肩カバーの係合筒を取着することによって、外容器内に内容器を収納し、装着することができた。
そして、肩カバーをなくし、二つのパーツから構成するようにしたから、生産コストを抑えることができ、また、いろいろの形状の容器に対応でき、適用範囲が広がった。
【0033】
本発明の複合容器は、化粧品、薬品、食品、日用品、その他の容器として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例の複合容器の断面立面図である。
【図2】第2実施例の複合容器の断面立面図である。
【符号の説明】
【0035】
A、Aa 外容器
B、Ba 内容器
C キャップ
D しごき中栓
1 胴周壁
2 底部
3 段部
4、4a 取付筒
5 係合突条
10、10a 口筒部
11、11a 肩カバー
12、12a 肩部
13、13a 胴部
14、14a 底部
15、15a、21 ねじ
16、16a、30 フランジ
17、17a 係合筒
18、18a 係合凹部
20 頂壁
22 側周壁
31 筒体
32 ワイパー部
33 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器と、肩カバーが一体形成された内容器とからなる複合容器であって、
外容器は、上端に取付筒を設けた胴周壁を具備しており、
内容器は、口筒部と、口筒部に連設された肩カバーとを具備しており、
肩カバーは、口筒部下端に突設されたフランジと、該フランジの周縁から垂設された係合筒とから構成されていることを特徴とする複合容器。
【請求項2】
内容器が、口筒部とともに、肩部を具備しており、
口筒部には、しごき中栓が挿入され、肩部下面にしごき中栓の係止部が係止されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の複合容器。
【請求項3】
内容器が、薄肉の胴部と、底部を具備していることを特徴とする請求項1記載の複合容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−182442(P2006−182442A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380991(P2004−380991)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】