説明

外来性アミノ酸の挿入を含むPCV2ORF2ウイルス様粒子

本発明は、アミノ酸配列の生成および使用に関する方法および組成物を含む。特に、PCV2 ORF2は、PCV2 ORF2をコードするDNAが発現系に挿入されたとき、その免疫原性または抗原性を保持するアミノ酸配列を生成するウイルス様粒子として有用であることが示される。PCV2にとって外来性であるDNA配列をORF2 DNAと“インフレーム”で結合させ、その配列全体(PCV2にとって外来性であるDNAを含む)を発現させる。そのような配列はその抗原性、したがって免疫原性組成物としてのその潜在的有用性を保持することが示された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は仮特許出願61/017,863号(2007年12月31日出願、前記出願の教示および内容は参照により本明細書に含まれる)の優先権を主張する。
配列表
本出願はコンピュータ読み出し可能様式の配列表を含み、その教示および内容は参照により本明細書に含まれる。
本出願は、所望のアミノ酸配列を発現させるベクターとして2型ブタサーコウイルス(PCV2)ウイルス様粒子を使用することに関する。より具体的には、本出願は、病原体の免疫原性アミノ酸配列を発現させるためにそのようなベクターを使用すること、およびそのようにして発現させた免疫原性アミノ酸配列を続いて免疫原性組成物で使用することに関する。さらに具体的には、本出願は、所望のアミノ酸配列を発現させるベクターとしてPCV2のオープンリーディングフレーム2(ORF2)を使用することに関する。さらに具体的には、本出願は、PCV2 ORF2に外来性アミノ酸配列を挿入すること、および続いて前記ORF2配列および前記外来性アミノ酸配列を発現系で発現することに関する。さらに具体的には、本出願は、そのようにして発現させた配列を免疫原性組成物で使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ブタサーコウイルス2(PCV2)のオープンリーディングORF2遺伝子は昆虫細胞培養で発現させることができる。PCV2 ORF2タンパク質は同様にアッセンブリングしてウイルス様粒子(VLP)を形成することが示されている。これらのVLPは本質的には空のPCV2キャプシドであり、高度に免疫原性である。関連のペプチド領域を融合させてウイルス様粒子を形成することに関するまさに最初の記載は1986年であったろう(Delpeyroux et al. 1986. A poliovirus neutralization epitope expressed on hybrid hepatitis B surface antigen particles. Science. Jul 25;233(4762):472-5(その教示および内容は参照により本明細書に含まれる))。
CSL 30-量体(30mer)に対して作製されたモノクローナル抗体(3E2)が、受動免疫療法によりクリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)の感染に対してある程度の有効性を提供することが示された。スポロゾイト周囲リガンド(CSL)は30アミノ酸(30mer)の免疫原性タンパク質配列である。モノクローナル抗体3E2はCSLからN-末端の30アミノ酸内のエピトープを認識することが決定された。この30merのタンパク質配列はAINGGGATLPQKLYLTPNVLTAGFAPYIGV(配列番号:1)である。このCSL 30merのためのペプチドを化学合成により生成し、続いてワクチン調製物で用いてワクチン接種動物で抗体応答を誘導することができる。アジュバントと一体化した化学合成CSLペプチドを用いて免疫することによって抗CSL 30mer免疫応答を惹起させることができる。しかしながら、化学合成CSLペプチドを市販ワクチンで使用するために要する経費は法外である。
【0003】
インフルエンザウイルスは3つのタイプ、A、BおよびCに分類される。インフルエンザA型およびB型は、ほぼ毎冬発生ししばしば高率の入院措置および死亡を伴う呼吸器症状の流行を招く。インフルエンザA型ウイルスは、ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)と称される2つのウイルスタンパク質における相違を基準にして亜型に分類される。インフルエンザウイルスマトリックス1(また別にはM1として知られている)は、アッセンブリおよび出芽に必要な重要なタンパク質である。HAおよびNAはインフルエンザウイルスM1と相互作用する。HAはその細胞質テールおよびトランスメンブレンドメインを介してM1と結合する。M2タンパク質はインフルエンザウイルスの複製周期で重要であり、さらに高度に選択性、pH被調節性、プロトン伝導性であるチャネルを形成するその能力のためにウイルスエンベロープの必須の成分でもある。M2チャネルは、プロトンがウイルス内部に進入することを可能にし、酸性化はM1タンパク質とリボ核酸コアとの相互作用を弱める。
【0004】
インフルエンザM2-タンパク質は、ウイルス感染細胞上に豊富に存在するテトラマーのIII型トランスメンブレンタンパク質である。M2eはインフルエンザAのM2タンパク質の外部ドメインである。ヒトインフルエンザA M2e配列は長さがわずかに23から24アミノ酸であり、多数の流行および2つの主要な流行の発生を通してほとんど変化していない。重要なことには、近年多くのブタインフルエンザA株が出現しているが、ブタインフルエンザAウイルスのM2e領域もまた比較的無変化のままである。インフルエンザAウイルス株のM2e領域標的配列のこの保存性のために、M2eはインフルエンザワクチンのための“普遍的”抗原であると考えられる。24merのM2e領域標的配列のある好ましいアミノ酸配列は、MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSD(配列番号:6)(本明細書ではM2ae1とも称する)である。このインフルエンザA M2e領域の24merのためのペプチドは化学合成により生成し、続いてワクチン調製物で用いてワクチン接種動物で抗体応答を誘導することができる。アジュバントと一体化させた化学合成M2eペプチドを用いて免疫することによって抗インフルエンザA M2e 24mer免疫応答を惹起させることができる。しかしながら、化学合成M2eペプチドを市販ワクチンで使用するために要するコストは法外である。
アミノ酸配列またはタンパク質、PCV2 ORF2とは無関係または外来性であるはるかに小さなアミノ酸配列またはタンパク質を発現させるための系または機構として、PCV2 ORF2のウイルス様粒子特性を利用することはこれまで提案されたことはなかった。したがって、免疫学的に無関係のペプチド(30merCSLペプチドまたは24merインフルエンザA M2eペプチドの代表的な例を含む)を生成し、続いてそのようなペプチドを免疫原性組成物またはワクチンで使用するためのベクターとして、PCV2 ORF2のウイルス様粒子特性を利用することもまたこれまで提案されたことはなかった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、天然のPCV2 ORF2にとっては外来性であるが、なおその免疫原性または抗原性を保持するセグンメントをPCV2 ORF2の中に包含するかまたはPCV2 ORF2に結合させたウイルス様粒子としてPCV2 ORF2を用いることができることを示す。特に、そのような使用を提示する例が本明細書で提供される。好ましい形態では、PCV2 ORF2にとって外来性である核酸配列セグメントをORF2配列に結合させるかまたは組み入れ、発現系で発現させることができる。有利には、発現させたアミノ酸セグメントはそれらの免疫原性特性または抗原性を保持する。好ましい形態では、PCV2 ORF2および外来アミノ酸配列の両方がそれらの免疫原性特性を保持する。外来性配列は、そのアミノもしくはカルボキシル末端(または終末点)、またはそれらの間の任意の位置でPCV2 ORF2配列に結合させるかまたは組み入れることができる。発現させる外来性アミノ酸配列は、好ましくは長さが少なくとも8、より好ましくは8から200アミノ酸であり、したがって挿入される外来性核酸セグメントは、長さが少なくとも24ヌクレオチド、より好ましくは24から600ヌクレオチドである。任意の個々の核酸またはアミノ酸セグメントのための好ましい長さは当業者によって決定されようが、好ましくは前記アミノ酸セグメントがその投与後に動物で誘導する免疫学的応答に応じて選択されるであろう。好ましい外来性アミノ酸セグメントは、前記セグメントが免疫応答を誘導する病原体の感染による臨床的および/または病理学的もしくは組織病理学的徴候の発生率を低下させるか、またはその重症度を緩和させるであろう。好ましくは、セグメントは、動物で免疫学的応答を誘導することが知られているアミノ酸セグメントと少なくとも80%、より好ましくは85%、さらに好ましくは90%、さらに好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もっとも好ましくは少なくとも99%の配列相同性を有するであろう。さらに好ましくは、セグメントは、動物で免疫学的応答を誘導することが知られているアミノ酸セグメントと少なくとも80%、より好ましくは85%、さらに好ましくは90%、さらに好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もっとも好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するであろう。好ましくは、アミノ酸セグメントは、その必要がある動物に前記アミノ酸セグメントを投与したとき、前記アミノ酸セグメントが由来した病原体の感染による臨床的、病理学的もしくは組織病理学的徴候の発生率を低下させるか、またはその重症度を緩和させるであろう。したがって、本発明のある特徴は、個々の病原体の感染による臨床的、病理学的および/または組織病理学的徴候の発生率を低下させるか、またはその重症度を緩和させるアミノ酸セグメントまたはアミノ酸セグメントを発現する核酸配列の実体を識別する。これらのアミノ酸セグメントはまた、前記アミノ酸セグメントを発現する核酸配列の推定に用いることができる。前記核酸配列を続いてベクター(好ましくはPCV2 ORF2)に挿入し、発現系(好ましくはバキュロウイルス発現系)で発現させて回収し、最後にその必要がある動物に投与する。いくつかの好ましい形態では、発現生成物は無傷のままであり、外来性アミノ酸セグメントは発現配列から分離されない。他の好ましい形態では、外来性アミノ酸セグメントは発現配列から取り出されるかまたは削除される。したがって、下記で述べるCSL配列の事例では、外来性CSL配列はその発現後にORF2配列の部分として残され、キメラ配列としてその必要がある動物に投与されるか、または外来性CSL配列はORF2配列から切り出され、その必要がある動物に別々にまたは同時に投与される。
【0006】
ある好ましい実施態様では、本発明は、例としてCSL 30merを用いる具体的応用例を提供する。前記CSL 30merは、担体タンパク質(PCV2 ORF2)とCSL 30merとを融合させることによって、コスト効率のよい免疫学的に適切な態様で本明細書において提供される。前記は、その発現によってPCV2 ORF2配列のカルボキシル末端またはアミノ末端の“テール”としてインフレームで結合したCSL 30merが生成されるか、またはCSL 30merがPCV2 ORF2配列内にインフレームで組み入れられたPCV2 ORF2 CSLバキュロウイルスを作製することによって実施される。本明細書の例では、CSL 30merテールはPCV2 ORF2タンパク質のカルボキシル末端に結合されるが、ブタインフルエンザアミノ酸セグメントの例によってさらに実証されるように、前記の位置は所望にしたがって調節できることは当業者には理解されよう(ブタインフルエンザセグメントはORF2配列内と同様にPCV2 ORF2の両アミノ末端に結合された)。したがって、昆虫細胞をPCV2 ORF2 CSLバキュロウイルスに感染させたとき、“テール”としてCSL 30merも含むキメラPCV2 ORF2 VLPが生成されるであろう。このPCV2 ORF2はCSL 30merのための担体として機能することができる。
本発明はまた、CSL 30merとPCV2 ORF2の融合は免疫学的に対応することを示し、実施できることを示した。昆虫細胞におけるキメラPCV2 ORF2 CSL発現の免疫学的対応性は、PCV2 ORF2タンパク質に対する抗体およびCSL 30merに対する抗体によって検出した。
【0007】
以前の実験によって、PCV2 ORF2タンパク質は、最小限の下流のプロセッシングで非常に高レベルで昆虫細胞培養において発現させ得ることが示された。本出願は、CSL30merはPCV2 ORF2タンパク質のカルボキシル末端にインフレーム“テール”として融合させることができ、そうすることによってPCV2 ORF2キャプシドはCSL 30merのための担体として機能することを示す。さらにまたキメラPCV2 ORF2 CSLタンパク質を極めてわずかの下流のプロセッシングにより非常に高レベルで昆虫細胞培養において発現させることができ、続いて前記タンパク質を抗原としてコスト効率のよいワクチン調製物で用いることができる。CSL30merに対して作製されたモノクローナル抗体3E2が受動免疫療法によりクリプトスポリジウム属の感染に対してある程度の有効性を提供することが示されたが、有利には、CSL30merに対して生じたポリクローナル抗体応答はクリプトスポリジウム感染に対してより強力で効果的な応答を誘導できそうである。
【0008】
キメラPCV2 ORF2 CSL抗原のいくつかの潜在的使用には個別ワクチン免疫、受動免疫および血清療法が含まれる。個別ワクチン免疫の場合、クリプトスポリジウム感染に対する防御液性および/または細胞媒介性応答の誘導のために個々の動物をワクチン免疫するために、その必要がある動物にPCV2 ORF2 CSL抗原が投与される。受動免疫のためには、授乳中の仔に受動的に伝達され得るCSL30merに対する強力な液性および/または細胞媒介性応答の誘導のために、キメラPCV2 ORF2 CSL抗原が投与される。この受動的な移行免疫は続いて仔のクリプトスポリジウム感染を低下または予防するであろう。血清療法の場合、血清療法で用いることができるCSL30merに対する強力な液性応答を誘導するために、キメラPCV2 ORF2 CSL抗原が投与される。大型動物(すなわちウマ)をキメラPCV2 ORF2 CSLで過剰免疫し、抗CSL30mer抗血清を生成することができる。臨床症状を示す動物に前記抗血清を経口投与し、クリプトスポリジウム感染によって引き起こされる臨床症状を緩和することができる。
本発明にしたがえば、アミノ酸セグメント(例えばCSL30merおよびブタインフルエンザ24mer)を別のウイルス様粒子(すなわちPCV1、パルボウイルス、エンテロウイルスおよびキャプシド構造を有する他のウイルス)と融合させることができることは、当業者にはまた理解されよう。さらにまた、PCV2 ORF2 VLPは外来性DNA(すなわち対応する抗原をコードするDNAワクチンまたは遺伝子療法で使用されるDNAワクチン)のパッケージおよび担体として用いることができよう。
【0009】
本発明のさらに別の特徴は、本発明の方法を用いて発現させたアミノ酸の抗原性または免疫原性組成物もしくはワクチンにおける使用である。そのような組成物またはワクチンは、さらにアジュバント、医薬的に許容できる担体、保護剤および/または安定化剤と一体化することができよう。
本明細書で用いられる“アジュバント”には、水酸化アルミニウムおよび燐酸アルミニウム、サポニン、例えばQuil A、QS-21(Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI-0100(Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、油中水エマルジョン、水中油中水エマルジョンが含まれ得る。前記エマルジョンは特に以下を基剤とすることができる:軽油パラフィン油(European Pharmacopea型);イソプレノイド油、例えばスクワランまたはスクワレン油(アルケン、特にイソブテンまたはデセンのオリゴマー化により生じる);直鎖アルキル基を含む酸またはアルコールのエステル、より具体的には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコール(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ-(カプリレート/カプレート)またはプロピレングリコールジオレエート;分枝脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステル。前記油は乳化剤と一緒に用いてエマルジョンを生成することができる。エマルジョンは、好ましくは非イオン性界面活性剤、特に、ソルビタン、マンニド(無水マンニトールオレエート)、グリコール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸またはヒドロキシステアリン酸のエステル(前記は場合によってエトキシル化される)、並びにポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック(Pluronic)製品(特にL121)である(例えば以下を参照されたい:Hunter et al. The Theory and Practical Application of Adjubants (Ed. Stewart-Tull, D.E.S.). John Wiley and Sons, NY, pp51-94 (1995)およびTodd et al. Vaccine, 1997, 15:564-570)。
例えば、以下の文献(Vaccin Design, Ed. M. Powell and M. Newman, ed., Plenum Press, 1995)の147ページに記載されているSPTエマルジョン、および同書の183ページに記載されているMF59エマルジョンを用いることができる。
【0010】
アジュバントのさらに別の例は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマー並びに無水マレイン酸およびアルケニル誘導体のコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーである(前記は、特に糖または多価アルコールのポリアルケニルエーテルで架橋される)。前記の化合物はカルボマーという名称で知られている(Phameuropa Vol 8, No 2, June 1996)。当業者はまた米国特許第2,909,462号を参照することができるが。前記特許は、少なくとも3つの(好ましくは8つを超えない)ヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル化化合物で架橋された前記のようなアクリル酸ポリマーを記載している。前記少なくとも3つのヒドロキシル基の水素原子は少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルによって置換される。好ましいラジカルは2つから4つの炭素原子を含むもの、例えばビニル、アリルおよび他のエチレン系不飽和基である。前記不飽和ラジカルは、それ自体他の置換基、例えばメチルを含むことができる。カルボポル(Carbopol, BF Goodrich, Ohio, USA)という名称で販売されている製品が、そのようなアジュバントを含む組成物として特に適切である。それらはアリルシュクロースまたはアリルペンタエリトルトールで架橋される。これらのポリマーの水への溶解により、免疫原性、免疫学的またはワクチン組成物それ自体がその中に取り込まれるアジュバント溶液を生成するために、好ましくは生理学的pHに中和される酸溶液が得られる。
さらに適切なアジュバントには、RIBIアジュバント系(RIBI Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx, Atlanta GA)、SAF-M(Chiron, Emeryville CA)、モノホスフォリル脂質A、アヴリジン(Avridine)脂質-アミンアジュバント、大腸菌の易熱性エンテロトキシン(組み換えまたは他のタイプ)、コレラトキシン、IMS 1314またはとりわけムラミルジペプチドが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0011】
さらにまた、前記組成物は1つ以上の医薬的に許容できる担体を含むことができる。本明細書で用いられる “医薬的に許容できる担体”には任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、安定化剤、希釈剤、保存料、抗菌および抗カビ剤、等張剤、吸着遅延剤などが含まれる。
本明細書で用いられる“保護剤”は抗微生物学的に活性な薬剤、例えばゲンタマイシン、マーチオレートなどが該当する。特に、マルチ用量組成物の調製には保護剤を添加するのがもっとも好ましい。そのような抗微生物学的活性を有する薬剤は、任意の微生物学的汚染から対象の組成物を防御するために、または対象の組成物内での微生物学的増殖を抑制するために有効な濃度で添加される。
さらにまた、本方法は、任意の安定化剤、例えば糖類、トレハロース、マンニトール、サッカロースなどの添加工程を含み、生成物の保存期間を延長および/または維持することができる。
本明細書で用いられ、さらに本明細書で提供されるプロセスにおいてもまた用いられるPCV2 ORF2 DNAは、PCV2単離株内で高度に保存されているドメインであり、したがっていずれのPCV2 ORF2もPCV ORF2 DNAの供給源として有効であろう。好ましいORF2配列は、本明細書では配列番号:7として提供される。
【0012】
本発明の方法を用いて生成されるアミノ酸配列は、好ましくは本来の配列または“天然に存在する”配列と同一である。“天然に存在する”配列はそれらの天然の状態で見出される配列である。例えば、天然に存在するPCV2 ORF2 DNAは、ブタのPCV2から単離または同定された完全長PCV2 ORF2配列をシークェンシングしたときに見出されるDNA配列であろう。しかしながら、そのような配列は、天然の配列と比較したとき配列相同性において20%ほどの修飾または変動を有し得ること、およびそれでもなお免疫原性組成物としてそれらを有用あらしめる抗原性特性を保持することは当業者には理解されよう。もちろんのこと、変動は、天然の配列と比較して15%未満、より好ましくは6−10%、さらに好ましくは5%未満、さらに好ましくは4%未満、さらに好ましくは3%未満、さらに好ましくは2%未満、もっとも好ましくは1%未満であることが好ましい。免疫原性組成物の抗原性特性は、当分野で公知の通常的な方法によって判断することができる。さらにまた、改変された抗原がその本来のまたは天然に存在する形態の抗原と比較して少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の防御免疫を付与するとき、改変された抗原の抗原特性はなお保持されてある。したがって、防御免疫は、一般的に病原体の感染による臨床的、病理学的および/または組織病理学的徴候の発生率または重症度の低下または緩和をもたらすであろう。“臨床的、病理学的および/または組織病理学的徴候の発生率または重症度の低下”または“緩和”は、発現させたアミノ酸配列の投与を受けた動物の臨床徴候が発生率および重症度において“コントロール群”と比較して低下することを意味するであろう(この場合、両方の群が、前記発現アミノ酸配列が由来した病原体に感染させられ、さらにコントロール群は前記発現配列の投与を受けていない)。この文脈では、“低下”または“緩和”という用語は、上記に規定したコントロール群と比較して少なくとも10%、好ましくは25%、より好ましくは50%、もっとも好ましくは100%を超える低下を意味する。本明細書で用いられる“免疫原性組成物”は、アミノ酸配列またはタンパク質配列であって、そのようなタンパク質またはアミノ酸に対する細胞性および/または抗体媒介性免疫応答による“免疫学的応答”を宿主で誘引するものを意味する。好ましくは、この免疫原性組成物は、選択された病原体の感染および前記に関連する臨床徴候に対する防御免疫を付与することができる。いくつかの形態では、天然のアミノ酸配列またはタンパク質の免疫原性部分がそのような組成物の抗原性成分として用いられる。本明細書で用いられる“免疫原性部分”は、天然のタンパク質および/またはポリヌクレオチドのそれぞれ切端および/または置換形またはフラグメントに該当する。好ましくは、そのような切端および/または置換形またはフラグメントは完全長ポリペプチドの連続する少なくとも8アミノ酸を含むであろう。より好ましくは、前記切端もしくは置換形またはフラグメントは完全長の天然に存在するポリペプチドの少なくとも10の、より好ましくは少なくとも15の、さらに好ましくは少なくとも19の連続する8アミノ酸を有するであろう。さらに、そのような配列はより大きなフラグメントまたは切端形の部分でもよいことは理解されよう。
【0013】
当分野で知られている“配列同一性”は、2つ以上のポリペプチドまたは2つ以上のポリヌクレオチド、すなわち参照配列と参照配列と比較されるべきある配列との間の関係を言う。配列同一性は、ある配列と参照配列を最高度の配列相同性を生じるように最適にアラインメントした後で、それら配列を比較することによって決定される(そのような配列の鎖間の一致によって決定される)。そのようなアラインメントに際して、配列同一性は1つずつ確認される。例えば、個別のある位置でヌクレオチドまたはアミノ酸残基が同一であるならば、前記配列は当該位置で“同一”である。そのような位置同一性を示す総数を参照配列内のヌクレオチドまたは残基総数で割って%配列同一性が得られる。配列同一性は公知の方法によって容易に算出することができる。前記方法には以下の文献に記載された方法が含まれる(ただしこれらに限定されない):Computational Molecular Biology, A.N. Lesk ed., Oxford University Press, New York (1988);Biocomputing: Informatics and Genome Projects, D.W. Smith ed., Academic Press, New York (1993);Computer Analysis of Sequence Data, Part I, A.M. Griffin, and H.G. Griffin eds., Humana Press, New Jersey (1994);Sequence Analysis Primer, M. Gribskov and J. Devereux eds., M. Stockton Press, New York (1991);およびH. Carillo and D. Lipman, SIAM J Applied Math., 48:1073(1988);前記文献の教示は参照により本明細書に含まれる)。配列同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致が得られるように設計される。配列同一性を決定する方法は、与えられた配列間の配列同一性を決定する公開のコンピュータプログラムとして集大成されている。そのようなプログラムの例には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):GCGプログラムパッケージ(J. Devereux et al., Nucleic Acids Research, 1984, 12(1):387)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(S.F. Altschul et al., J Molec Biol, 1990, 215:403-410)。BLASTXプログラムはNCBIおよび他の供給源から公開されている(BLAST Manual, S. Altschul et al., NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894;S.F. Altschul et al., J Molec Biol, 1990, 215:403-410;前記文献の教示は参照により本明細書に含まれる)。これらのプログラムは、ある配列と参照配列との間で最高レベルの配列同一性を得るために、規定値ギャップ重を用いて配列を最適にアラインメントする。参照ヌクレオチド配列に対して例えば少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の“配列同一性”を有するポリヌクレオチドによって説明すれば、与えられたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は参照配列と同一であるが、ただし参照ヌクレオチド配列のそれぞれ100ヌクレオチドに付き15点変異まで、好ましくは10点変異まで、より好ましくは5点変異までを含むことができることを意味する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドでは、参照配列中の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までヌクレオチドが欠失するかまたは別のヌクレオチドで置換され得る。または参照配列中の全ヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの数のヌクレオチドが参照配列中に挿入される。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5'または3'末端の位置で生じてもよいが、またこれら末端位置の間の任意の場所に、参照配列中のヌクレオチド中に個別にもしくは参照配列内の1つ以上の連続する群として分散してもよい。同様に、参照アミノ酸配列に対して例えば85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列同一性を有するあるアミノ酸配列を有するポリペプチドの場合、前記ポリペプチドのあるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列のそれぞれ100アミノ酸に付き15アミノ酸まで、好ましくは10アミノ酸まで、より好ましくは5アミノ酸までの変異を含み得ることを除いて前記参照配列と同一であることを意味する。換言すれば、参照アミノ酸配列と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列同一性を有するあるポリペプチド配列を得るために、参照配列中のアミノ酸残基の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までを欠失させるかまたは別のアミノ酸で置換することができる。または参照配列中のアミノ酸残基総数の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの数のアミノ酸が参照配列に挿入される。参照配列のこれらの変異は、参照アミノ酸配列のアミノ末端またはカルボキシル末端の位置で生じてもよいが、またはこれら末端位置の間の任意の場所に、参照配列中の残基中に個別にもしくは参照配列内の1つ以上の連続する群として分散してもよい。好ましくは、同一でない残基位置は保存的アミノ酸置換による相違である。しかしながら、保存的置換は、配列同一性を決定するときには一致に含まれない。
【0014】
本明細書で用いられる“配列相同性”は、2つの配列の関係性を決定する方法に関連する。配列相同性を決定するために、2つ以上の配列は最適にアラインメントされ、必要な場合にはギャップが導入される。しかしながら、“配列同一性”とは対照的に、保存的アミノ酸置換は配列相同性を決定するときには一致として数えられる。換言すれば、参照配列と95%の配列相同性を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドの85%、好ましくは90%、より好ましくは95%が一致するかまたは別のアミノ酸もしくはヌクレオチドによる保存置換を含まなければならない。または、参照配列中の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの数のアミノ酸もしくはヌクレオチド(保存的置換を含まない)を参照配列中に挿入することができる。好ましくは、相同配列は、一続きの少なくとも50、より好ましくは100、さらに好ましくは250、さらに好ましくは500ヌクレオチドを含む。
“保存的置換”は、全体的機能性が顕著には変化しないような、あるアミノ酸残基またはヌクレオチドの同様な性状もしくは特性(サイズ、疎水性などを含む)を有するアミノ酸残基またはヌクレオチドによる置換を言う。
“単離される”とは、その天然の状態から“人為的に”変化させることを意味する。すなわち、それが天然に存在する場合、その本来の環境から変化されてあるか、または取り出されているか、またはその両方である。例えば、生物中に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは“単離”されていないが、その天然の状態で共存する物質から分離されている前記と同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本用語が本明細書で用いられるように“単離”されている。
【0015】
本明細書に記載した組成物は、公知の注射可能な生理学的に許容できる無菌的溶液を含むことができることは当業者には理解されよう。非経口的注射または輸液用の即席溶液を調製するために、等張な水溶液、例えば食塩水または対応する血漿タンパク質溶液を容易に利用することができる。さらにまた、本発明の免疫原性組成物またはワクチン組成物は、希釈剤、等張剤、安定化剤またはアジュバントを含むことができる。希釈剤は水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含むことができる。等張剤には取り分け塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含むことができる。安定化剤には取り分けアルブミンおよびエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が含まれる。適切なアジュバントは上記に記載したようなものである。
免疫原性組成物はさらに、1つ以上の免疫調節剤、例えばインターロイキン、インターフェロンまたは他のサイトカインを含むことができる。免疫原性組成物はまたゲンタマイシンおよびマーチオレートを含むことができる。
【0016】
さらに別の特徴は、本明細書で提供するタンパク質で構成される免疫原性組成物の少なくとも1用量を含む容器に関する。前記容器は1から250用量の免疫原性組成物を含むことができる。好ましくは、前記容器は、所望のタンパク質またはアミノ酸配列の免疫原性組成物の1、10、25、50、100、150、200または250用量を含む。
さらに別の特徴は上記に記載の任意の容器および指示マニュアルを含むキットに関し、前記マニュアルは、少なくとも1用量の免疫原性タンパク質組成物をその必要がある動物に投与するための情報を含む。さらにまた、別の特徴にしたがえば、前記指示マニュアルは、少なくとも1用量の免疫原性アミノ酸またはタンパク質組成物の第二のまたは更なる投与に関する情報を含む。好ましくは、前記指示マニュアルはまた免疫刺激剤の投与のための情報を含む。本明細書で用いられる“免疫刺激剤”は、好ましくは特異的免疫応答(例えば特定の病原体に対する免疫応答)を開始または増強することなく、一般的な免疫応答の引金となり得る任意の薬剤または組成物を意味する。好ましいキットでは、適切な用量の免疫刺激剤の投与がさらに指示される。さらにまた、キットは少なくとも1用量の免疫刺激剤を含む容器もまた含むことができる。
【0017】
しかしながら、本発明の方法を用いて生成される抗原とは、その必要がある動物に投与されたとき、前記抗原に関連する感染に対する免疫応答を誘導、刺激または強化する少なくとも1つの抗原を含む物質の任意の組成物を言うことは本明細書で理解されよう。本明細書で用いられる“免疫原性タンパク質”、“免疫原性ポリペプチド”または“免疫原性アミノ酸配列”は、病原体に対して宿主で免疫または免疫学的応答を誘引する、前記免疫原性タンパク質、免疫原性ポリペプチドまたは免疫原性アミノ酸配列を含む、任意のアミノ酸配列を指す。本明細書で用いられる“免疫原性タンパク質”、“免疫原性ポリペプチド”または“免疫原性アミノ酸配列”には、任意のタンパク質の完全長配列、その類似体またはその免疫原性フラグメントが含まれる。“免疫原性フラグメント”とは、1つ以上のエピトープを含み、したがって対応する病原体に対して免疫学的応答を誘引するタンパク質フラグメントを指す。本発明のある好ましい実施態様では、タンパク質系抗原の免疫原性フラグメントはORF2配列に結合される。これらのタンパク質系抗原は、好ましくは長さが少なくとも8アミノ酸、より好ましくは長さが8から200アミノ酸である。そのようなフラグメントは、当分野で周知の多数のエピトープマッピング技術を用いて実体が検証される。(例えば以下を参照されたい:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol.66 (Glenn E. Morris, Ed., 1996) Humana Press, Totowa, New Jersey)。例えば、直鎖状エピトープは、例えば多数のペプチド(当該タンパク質分子の部分に対応する)を同時に固相上で合成し、前記ペプチドを固相に結合させたまま抗体と前記ペプチドを反応させることによって決定することができる。そのような技術は当分野では公知であり、例えば以下に記載されている:米国特許4,708,871号;Geysen et al. 1984, Proc Natl Acad Sci, USA 81:3998-4002;Geysen et al. 1986, Molec Immunol 23:709-715。同様に、形状性エピトープは、アミノ酸の立体的形状を、例えばX-線結晶学および二次元核磁気共鳴によって決定することによって容易に検証される(例えば上掲書(Epitope Mapping Protocols)を参照されたい)。合成抗原、例えばポリエピトープ、フランキングエピトープ、および他の組み換えまたは合成誘導抗原もまた本定義に含まれる。例えば以下を参照されたい:Bergmann et al. 1993, Eur J Immunol 23:2777-2781;Bergmann et al. 1996, J Immunol 157:3242-3249;A. Suhrbier 1997, Immunol and Cell Biol 75:402-408;Gardner et al. 1998, 12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, June 28-July 3, 1998。
【0018】
組成物またはワクチンに対する“免疫学的または免疫応答”は、対象の組成物またはワクチンに対する宿主の細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の進展である。通常では、“免疫応答”には1つ以上の以下の作用が含まれる(ただしこれらに限定されない):抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞および/または細胞傷害性T細胞および/またはyd T細胞の生成または活性化(前記は対象の組成物またはワクチンに含まれる1つまたは複数の抗原に特異的に誘導される)。好ましくは、宿主は、新規な感染に対する耐性が強化されるよう、および/または疾患の臨床的重症度が緩和されるように、治療的または防御的免疫学的応答を示すであろう。そのような防御は、上記に記載した宿主の感染に関連する症状(臨床的、病理学的および組織病理学的)の発生率または重症度の緩和(前記完全な欠如を含む)によって示されよう。
本明細書で用いられる“免疫学的に活性な成分”は、前記成分が投与される動物で免疫応答を誘導または刺激する成分を指す。好ましい実施態様にしたがえば、前記免疫応答は、前記成分または前記成分を含む微生物に対して誘導される。さらに好ましい実施態様にしたがえば、免疫学的に活性な成分は、弱毒化微生物(改変生ウイルス(MLV)を含む)、殺処理微生物または微生物の免疫学的に活性な部分である。
本明細書で用いられる“微生物の免疫学的に活性な部分”は微生物のタンパク質-、糖-および/または糖タンパク質含有部分であって、前記は前記成分が投与された動物で免疫応答を誘導または刺激する少なくとも1つの抗原を含む。好ましい実施態様にしたがえば、前記免疫応答は、微生物の前記免疫学的に活性な部分または前記免疫学的に活性な部分を含む微生物に対して誘導される。
さらにまた、本発明の免疫原性およびワクチン組成物は獣医が許容できる1つ以上の担体を含むことができる。本明細書で用いられる“獣医が許容できる担体”には、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存料、抗菌および抗カビ剤、等張剤、吸着遅延剤などが含まれる。
【0019】
本発明の組成物は皮内、気管内または膣内に適用することができる。本組成物は好ましくは筋肉内または鼻内に適用することができる。動物体では、前記は静脈内注射により、または標的組織への直接注射によって上記に記載の医薬組成物を適用することが有利であることを実証することができる。全身的適用の場合、静脈内、血管内、筋肉内、鼻内、動脈内、腹腔内、経口、または脊椎内ルートが好ましい。より局所的な適用は、皮下、皮内、皮膚内、心臓内、肺葉内、骨髄内、肺臓内で実施するか、または治療されるべき(結合組織、骨、筋肉、神経、上皮)組織内もしくは組織近くで直接実施することができる。所望の治療期間および効果に応じて、本発明の組成物は1回または数回、間歇的に(例えば日にちベースで数日間、数週間、数ヶ月間)および種々の投与量で投与することができる。
“外来性”アミノ酸セグメントまたは“外来性”DNAセグメントは、異なる種に由来するセグメントを指す。例えば、CSL30merはPVC2 ORF2にとって“外来性”であり、さらにバキュロウイルスにとって外来性である。
“アミノ末端”または“カルボキシル末端”はそれぞれアミノ端またはカルボキシル端を意味する。アミノ酸の環境では、アミノまたはカルボキシル端に結合したいずれの外来性アミノ酸セグメントも、非外来性配列の最初のアミノ酸または最後のアミノ酸の前に存在するであろう。例えば、M2ae1セグメントがPCV2 ORF2のアミノ端に結合している場合、添付の図面に示すようにM2ae1セグメントはPCV2 ORF2の最初のアミノ酸の前に存在するであろう。
【0020】
あるセグメントが既知の病原体から“誘導され”、または既知の病原体に“関連する”と言うとき、これはセグメントの起源に言及している。例えば、CSL30merは、クリプトスポリジウム・パルヴム(C. parvum)から“誘導され”または前記と“関連し”、さらにM2ae1は、ブタインフルエンザから“誘導され”または前記と“関連する”。
“誘導”または“誘引”とは引き起こすことを意味する。例えば、CSL30merの投与は、そのような投与を受けた動物で免疫応答を“誘導”または“誘引”する。
“臨床”徴候は、生きている動物で直接観察することができる、病原体の感染による徴候(例えば症状)を言う。代表的な例は選択された病原体に左右されるが、例えば鼻汁排出、嗜眠、咳、体温上昇、体重増加または減少、下痢、浮腫などが含まれる。
“病理学的”徴候は、生化学的検査を通して、または裸眼による剖検で、顕微鏡レベルまたは分子レベルで観察することができる感染の徴候を言う。
“組織病理学的”徴候は感染から生じる組織の徴候を言う。
したがって、本発明のある特徴は、PCV2のアミノ酸セグメントおよびPCV2アミノ酸セグメントと結合した外来性アミノ酸セグメントを含む免疫原性組成物を提供し、前記外来性アミノ酸セグメントはPCV2以外の生物に由来する。ある好ましいPCV2アミノ酸セグメントはオープンリーディングフレーム2またはその免疫原性部分を含む。好ましい形態では、PCV2アミノ酸セグメントは配列番号:7と少なくとも80%の配列相同性を有する。好ましくは、外来性アミノ酸セグメントは、動物への投与後に臨床的、病理学的および/または組織病理学的徴候をもたらす病原体から誘導される。より好ましくは、外来性アミノ酸配列は既知の病原体に関連するか、または既知の病原体に由来する抗原である。有利には、外来性アミノ酸セグメントは、前記PCV2アミノ酸セグメントとは別個に検出することができ、このことは、検出系、アッセイ、モノクローナル抗体、イムノブロットなどによって、PCV2アミノ酸セグメントと外来性アミノ酸セグメントとを区別または弁別するとともに、PCV2アミノ酸セグメントの存在下で外来性アミノ酸セグメントの存在を検証できることを意味する。好ましくは、外来性アミノ酸セグメントは、外来性アミノ酸セグメントに特異的なアッセイまたは検査によって検出することができる。ある好ましいアッセイまたは検査は外来性アミノ酸セグメントに特異的なモノクローナル抗体を含む。好ましくは、外来性アミノ酸セグメントは、PCV2アミノ酸セグメントに結合していない同じアミノ酸セグメントと比較してその免疫学的特性の少なくとも80%を保持している。本組成物は、その投与を受けた動物で免疫学的応答を誘導することができるという特徴を有する。この免疫学的応答は、外来性アミノ酸セグメントに対し、またはPCV2アミノ酸セグメントに対し、またはその両方に対して特異的であり得る。好ましくは、前記免疫学的応答は、感染による臨床的、病理学的および/または組織病理学的徴候の発生率を低下させるか。またはその重症度を緩和するために十分である。本明細書によって実証されるように、外来性アミノ酸配列のPCV2配列への結合は、PCV2アミノ酸セグメントのアミノ末端またはカルボキシル末端に、またはPCV2アミノ酸セグメントのアミノとカルボキシル末端との間の任意の点に存在することができる。好ましい外来性アミノ酸セグメントは、クリプトスポリジウム・パルヴム、ブタインフルエンザおよび前記の組み合わせから成る群から選択される生物に由来する。好ましい形態では、外来性アミノ酸セグメントは天然の配列の抗原性特徴を保持し、さらに配列番号:1および6から成る群から選択される配列と少なくとも80%の配列相同性を有する。そのような組成物は、外来性アミノ酸セグメントが誘導されまたは前記に関連する生物による感染の発生率または重症度を緩和するであろう。例えば配列番号:1および6の場合、これらの外来性アミノ酸セグメントは、それぞれクリプトスポリジウム・パルヴムおよびブタインフルエンザから誘導されまたは前記に関連し、どちらの配列番号が動物に投与されたかに応じて、クリプトスポリジウム・パルヴムまたはブタインフルエンザの発生率を低下させ、またはその重症度を緩和させるであろう。有利には、外来性アミノ酸セグメントおよびPCV2アミノ酸セグメントを含む組成物が無傷のままである場合、または外来性セグメントがPCV2セグメントから切り出された後で同時投与される場合には、PCV2の発生率または重症度もまた低下するであろう。いくつかの好ましい形態では、組成物はさらに、アジュバント、医薬的に許容できる担体、保護剤、安定化剤および前記の組み合わせから成る群から選択される成分を含むであろう。
【0021】
本発明の別の特徴では、発現ベクターは、ベクターDNAおよびに第一の生物種に由来するDNAおよび第二の生物種に由来するDNAを含み、この場合、第一および第二の生物種は互いに異なり、さらにベクターDNAが由来する生物種からも異なる。いくつかの好ましい形態では、発現ベクターはバキュロウイルス由来である。本発明のある実施態様は第一の生物種としてPCV2を含む。PCV2が第一の生物種であるとき、ある好ましい前記由来のDNAセグメントはPCV2 ORF2である。好ましい形態では、PCV2 ORF2 DNAは配列番号:7と少なくとも80%の配列相同性を有する。本発明別の実施態様では、第二の生物種のDNAは、その投与を受けた動物で免疫学的応答を誘導するアミノ酸セグメントをコードする。動物に対して病原性を有する任意の生物を本発明の目的に用いることができる。好ましくは、前記生物は、その必要がある動物に投与したとき免疫学的応答を誘導するアミノ酸セグメントを有するであろう。さらに好ましくは、発現されるアミノ酸配列は、既知の病原体に関連する抗原である。好ましい形態では、前記免疫学的応答は、第一の生物種、第二の生物種の感染とともに両方の種の感染による臨床的、病理学的または組織病理学的徴候の発生率または重症度の緩和に有効であろう。本発明のある実施態様では、第二の種のDNAは、クリプトスポリジウム・パルヴム、大腸菌および前記の組み合わせから成る群から選択される。第二の種のDNAセグメントの特に代表的な例は、配列番号:1および6から成る群から選択される天然の配列と少なくとも80%の配列相同性を有し、さらにその抗原性特徴を保持するアミノ酸セグメントをコードする。
【0022】
本発明の別の特徴は抗原を製造する方法を提供する。好ましくは、前記方法は、抗原をコードするDNAをPCV2 DNAと結合させて一体化DNA挿入物を生成する工程および前記一体化DNA挿入物を発現系で発現させる工程を含む。好ましい形態では、抗原は約8−200アミノ酸の長さを有する。好ましくは、PCV2 DNAと結合される抗原コードDNAは、PCV2とは異なる生物種に由来する。任意の生物種を用いることができるが、好ましくは発現されるアミノ酸配列は既知の病原体に関連する抗原である。代表的な例には、クリプトスポリジウム・パルヴム、ブタインフルエンザおよび前記の組み合わせから成る群から選択される生物種が含まれる。クリプトスポリジウム・パルヴムおよびブタインフルエンザが生物種として用いられるときは、好ましいアミノ酸セグメントは、その天然の配列の抗原性特徴を保持し、さらに配列番号:1および6から成る群から選択される配列と少なくとも80%の配列相同性を有するであろう。好ましいPCV2配列はORF2(特に配列番号:7)を含み、さらに配列はその天然の配列の抗原性特徴を保持し、配列番号:7と少なくとも80%の配列相同性を有するであろう。ある好ましい発現系はバキュロウイルス発現系を含む。
本発明の別の特徴は、上記に記載した方法によって発現された抗原のワクチンまたは免疫原性組成物における使用を提供する。好ましくは、前記抗原は既知の病原体に関連する。そのような免疫原性組成物またはワクチンはさらに、アジュバント、医薬的に許容できる担体、保護剤、安定化剤および前記の組み合わせから成る群から選択される成分を含むであろう。
本発明のさらに別の特徴は、ウイルス様粒子としてPCV2 ORF2の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1aは、ウサギ抗CSL血清で染色したORF2-CSLバキュロウイルス感染SF細胞の写真である。図1bは、ブタ抗PCV2血清で染色したORF2-CSLバキュロウイルス感染SF細胞の写真である。図1cは、ヤギ抗ウサギ-FITCで染色したORF2-CSLバキュロウイルス感染SF細胞の写真である。
【図2】バキュロウイルス感染細胞のORF2-CSLの発現を検証するSDSPAGE分析である。
【図3】抗PCV2ウサギ免疫前0日目血清およびウサギ免疫後84日目血清を用いたORF2、CSLペプチドおよびORF2-CSLのスポットブロットの結果である。
【図4】図4aは、ORF2-CSLタンパク質を示すウェスタンブロットの写真である。図4bは、ORF2およびORF2-CSLタンパク質を示すクーマシー染色ブロットである。
【図5】内部AscI制限部位をもつPCV2 ORF2配列と前記制限部位を有しないPCV2 ORF2配列の比較を示す。
【図6】内部M2ae1アミノ酸配列をもつPCV2 ORF2配列と前記配列を含まないPCV2 ORF2配列の比較を示す。
【図7】アミノM2ae1アミノ酸配列をもつPCV2 ORF2配列と前記配列を含まないPCV2 ORF2配列の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい実施態様の詳細な説明
以下の実施例は本発明の好ましい材料および手順を説明する。しかしながら、これらの実施例は単に実例として提供され、実施例中のいずれも本発明の全体的な範囲についての制限とみなされるべきではないことは理解されよう。
【実施例1】
【0025】
材料と方法:
CSL30merの逆翻訳
CSL30merペプチドのアミノ酸配列はAINGGGATLPQKLYLTPNVLTAGFAPYIGV(配列番号:1)である。この30merアミノ酸配列をドロソフィラ(Drosophila)の最適コドン使用頻度を用いてヌクレオチド配列に逆翻訳した。ORF2遺伝子の3'端+CSL30merのヌクレオチド配列に適合する相補性プライマー配列を合成した。
プライマーの設計
PCV2-5HAプライマー(配列番号:2)
5'-TGGATCCGCCATGACGYATCC-3'(PCV2 ORF2のATG開始部位には下線が付されている)。
L-PCV2CSLプライマー(配列番号:3)
5'-AGATCTACACGCCGATGTAGGGGGCGAAGCCGGCGGTCAGCACGTTGGGGGTCAGGTACAGCTTCTGGGGCAGGGTGGCGCCGCCGCCGTTGATGGCGGGTTCAAGTGGGGGGTCTTTAA-3'
C-末端CSLテールを有するPCV2 ORF2のPCR
以前にpGEM-T Easyプラスミド(Promega)にクローニングしたPCV2 ORF2遺伝子はPCR反応のための鋳型として有用で、Amplitaq Gold(Applied Biosystems)並びにPCV2-5HAおよびL-PCV2CSLプライマーと混合した。PCR反応物は94℃10分間加熱した。続いて94℃で30秒、40℃で30秒、および72℃で1分の40サイクルにてPCR反応を進行させた。このPCRサイクルは72℃で10分の最終サイクルで終了した。PCV2 ORF2 CSL PCR生成物をアガロースゲル電気泳動によって可視化した。前記PCR生成物をゲルから精製し、pGEM-T Easyクローニングベクターに連結し、DH5α大腸菌コンピテント細胞を形質転換し、アンピシリン耐性についてスクリーニングした。形質転換コロニーを用いて3mLのアンピシリン含有LBブロスに接種し、37℃で一晩増殖させた。前記一晩培養の1.5mLアリコットを遠心により採集し、Qiagen Mini-PrepプラスミドキットによってプラスミドDNAを抽出した。続いて前記精製プラスミドDNAをジデオキシヌクレオチドシークェンシングによって検証した。
PCV2 ORF2 CSL遺伝子を制限酵素BamHIおよびNotIで消化することによってpGEM-T Easyプラスミドから切り出し、バキュロウイルストランスファーベクター、pVL1393に連結した。
その後のトランスフェクションで使用するために、生成されたPCV2 ORF2 CDL/pVL1393プラスミドを続いてQiagen Mini-Prepプラスミドキットを用いて精製した。
【0026】
PCV2 ORF2 CSL遺伝子を含む組み換えバキュロウイルスの生成
PCV2 ORF2 CDL/pVL1393プラスミドおよびDiamondBac(商標)直鎖化バキュロウイルスDNA(Sigma)を、ESCORTトランスフェクション試薬(Sigma)を用いてSf9昆虫細胞に27℃で5時間同時トランスフェクションした。トランスフェクションを取り除き、続いてトランスフェクト細胞を穏やかに洗浄し、培養液を継ぎ足し、27℃でインキュベーションした。5日後に、生成された組み換えバキュロウイルスを含む細胞上清を採集し、4℃で保存した。残りのトランスフェクトSf9細胞をアセトン:メタノールで固定し、ブタ抗PCV2抗血清による免疫蛍光アッセイ(IFA)に用いてトランスフェクト細胞でのPCV2 ORF2の発現を検証した。
採集したPCV2 ORF2 CSL組み換えバキュロウイルス上清は、ウイルスストックを作製する前にプラーク精製を実施した。
【0027】
キメラPCV2 ORF2 CSL(C-末端テールとしてCSLと融合したPCV2 ORF2遺伝子)の可視化および免疫学的検出
PCV2 ORF2、H5HAまたはH7HA抗原の検出のためにIFAをトランスフェクションしたSf9細胞で実施した。材料は以下を含んでいた:固定した6ウェルプレート、ブタ抗PCV2、ニワトリ抗H5およびH7、ヤギ-ニワトリFITC、ヤギα-ニワトリFITC、ウサギα-ブタFITC、1xPBS、およびグリセロール(50:50)。Sf9細胞を6ウェルプレートにて固定し1xPBSで洗浄した。2mLのPBSを各プレートに残した。非トランスフェクトSf9細胞ウェル、PCV2 ORF2-HAトランスフェクトウェルおよびPCV2 ORF2 CSLトランスフェクトウェルに20μLのブタ抗PCV2を添加した。アルファPCV2血清は1:100の希釈であった。プレートをぐるぐる回して混ぜ合わせた。ニワトリα-H5およびα-H7の1:100希釈を非トランスフェクトSf9細胞ウェル、H7HAトランスフェクトウェル、H7HAトランスフェクトウェルおよびH5HAトランスフェクトウェルに上記のように添加した。再びプレートをぐるぐる回して混ぜ合わせた。このプレートを37℃で1時間インキュベーションした。一次抗体溶液を取り除いた。次に、ウェルをPBSで3回洗浄し、最後の洗浄液を取り除いた。2mLのPBSを各ウェルに添加した。次に、20mLのウサギα-ブタを一次PCV2抗血清とともにウェルに添加し、一緒に混ぜ合わせた。次に、20mLのヤギα-ニワトリFITCをウェルに添加し、さらに一次ニワトリ血清で処理し混ぜ合わせた。これらを37℃で1時間インキュベーションした。FITC溶液を取り除き、PBSで3回洗浄した。最後の洗浄液を取り除いた。次に、1mLのグリセロールを各ウェルに添加し、一振りして過剰液を取り除いた。続いて各ウェルを固有の蛍光について観察した。結果は、PCV2 ORF2-HAおよびCSL組み換え体が存在したのでH5HA組み換えバキュロウイルスが生成されたことを示している。
【実施例2】
【0028】
バキュロウイルス感染SF+細胞(サンプル070)のORF2-CSLの発現分析
材料および方法:
バキュロウイルス感染SF+細胞のサンプル(ペレットおよび上清)を、これらのバキュロウイルス感染SF+細胞から96、120および144時間でORF2-CSLの分析のために収集した。各サンプルに以下の手順を適用した:SF+細胞サンプルを融解し上清を除去した。ペレットを200μLのNaHCO3(100mM、pH8.3)に再懸濁し、ピペットで上下させて混ぜ合わせた。続いてサンプルを室温(約25−30℃)に30分静置した。続いてサンプルを20,000xにて2分間4℃で遠心した。上清および重炭酸塩溶解ペレットを分離し、全サンプルを氷上(約4℃)で保存した。
重炭酸塩溶解ペレットおよび上清サンプルを続いて、MOPS緩衝液での10%Bis-TrisゲルにてSDSポリアクリルアミドセル電気泳動(SDS-PAGE)分析に付した。15μLの各重炭酸塩溶解ペレットおよび20μLの各上清サンプルをそれぞれに割り当てたレーンにロードした。レーン1は10kDaマーカーを含み、レーン2は96時間サンプルのNaHCO3溶解ペレットを含み、レーン3は120時間サンプルのNaHCO3溶解ペレットを含み、レーン4は144時間サンプルのNaHCO3溶解ペレットを含み、レーン5は96時間サンプルの上清を含み、レーン6は120時間サンプルの上清を含み、レーン7は144時間サンプルの上清を含み、さらに8はコントロールとして機能する非改変ORF2の20μLを含んでいた。ゲルの結果は図2に示されている。
結果
レーン2、3および4(それぞれ96、120および144時間サンプルの重炭酸塩溶解ペレットを含んでいた)はORF2-CSLの発現を示した。前記結果は、ORF2-CSLは新しいバキュロウイルス構築物から実際に発現されることを示している。ORF2-CSLはORF2よりも約3kDa大きいと概算され、実際に観察された分子量はこの概算と一致する。さらにまた、ORF2-CSLはレーン6および7にも存在することが認められ、その存在は144時間サンプルではるかに強かった(レーン6および7は120時間および144時間サンプルの上清を含んでいた)。ORF-CSLは上清サンプルで長時間にわたって出現するのが観察されるという事実は、ORF2のウイルス様粒子(VLP)構造は大半がなお無傷であることを示している。
【実施例3】
【0029】
材料および方法:
本実施例は、免疫前および免疫後ウサギ血清並びにブタ抗PCV2血清によるORF2、ORF2-CSLおよびCSLペプチドのスポットブロット分析を示す。以下の3つのタンパク質サンプルを本実施例で用いた:標準ORF2タンパク質、CSLペプチドおよびバキュロウイルス感染SF+細胞の感染144時間後のORF2-CSL重炭酸塩溶解ペレット。各タンパク質サンプルの5μLをニトロセルロース片に一列にスポットし、各スポットに標識を付した。この操作過程を3回繰り返し、同じようにスポットした3つのニトロセルロース片を作成した(ニトロセルロース片は各タンパク質サンプルから1つのスポットを含む(合計3スポット))。各スポットブロットを乾燥させ、続いて約50mLのTBS+2%ドライミルク(w/v)中で少なくとも1時間インキュベーションした。続いてこのメンブレンを一次抗体とインキュベーションした。第一のニトロセルロース片をブタ抗PCV2血清(TBS+2%ドライミルク中で1:100に希釈)とともに1時間インキュベート(ブロット)した。第二のニトロセルロース片はウサギ免疫前血清(TBS+2%ドライミルク中で1:200に希釈)とともに1時間インキュベート(ブロット)した。第三のニトロセルロース片はウサギ免疫後血清(TBS+2%ドライミルク中で1:200に希釈)とともに1時間インキュベート(ブロット)した。
各ブロットをTTBS(1xのTBS+0.05% Tween20、新しく調製)を用いて2分間3回洗浄した。TBS洗浄液は、200mLのTris(1mM、pH8)を292.2gのNaClに添加し、HClでpHを7.4に調節し、さらに水(適量)を加えて前記溶液を総体積1Lにすることによって処方し、ろ液を滅菌した。洗浄後、続いて前記メンブレンを二次抗体とともにインキュベーションした。第一のニトロセルロース片はヤギ抗ブタ-HRP(TBS+2%ドライミルク中で1:1000に希釈)とともに1時間インキュベーションした。第二のニトロセルロース片はヤギ抗ウサギ-HRP(TBS+2%ドライミルク中で1:1000に希釈)とともに1時間インキュベーションした。第三のニトロセルロース片はヤギ抗ウサギ-HRP(TBS+2%ドライミルク中で1:1000に希釈)とともに1時間インキュベーションした。続いて各ブロットをTTBSで2分間2回洗浄し、続いてPBS(10xのPBS1L)で2分間1回洗浄した。PBS洗浄液は、0.96gのNaH2PO4(一塩基)無水物を13.1gのNaH2PO4(二塩基)無水物および87.7gのNaClに添加し、混合物を水に溶解し、pHをHClで7.4に調節して溶液を1Lにし、ろ液を滅菌して調製した。
10mLのOpt-2CN基質を続いて各ブロットに添加し、約5分未満反応させた。ブロットをそれぞれ水で洗浄して反応を停止させた。スポットブロットの分析結果は図3で見ることができる。
結果:
第一のニトロセルロース片でORF2およびORF2-CSLの両方がブタ抗PCV2血清と反応し、ORF2-CSLのORF2部分は構造的に完全であることを示した。第二のニトロセルロース片の結果は、ORF2-CSLもまたウサギ免疫前血清と反応することを示している。第三のニトロセルロース片の結果もまたORF2-CSLのCSL部分は予想通り(構造的に完全)であることを示唆している。なぜならば前記はウサギ免疫後血清と反応するからである。CSLペプチドはウサギ免疫後血清と反応し、免疫前血清または抗PCV2血清とは反応しないことによってもまた、免疫後血清でのCSLの反応性の特異性が確認される。総合すれば、これらの結果は、CSLペプチドはORF2との融合ペプチドとして発現されていることを強く示している。
【実施例4】
【0030】
ウェスタンブロット
材料と方法:
本実施例は、ORF2並びにバキュロウイルス感染SF+細胞の感染後144時間のORF2-CSLペレットおよび上清のウサギ免疫後血清によるウェスタンブロット分析を示す。タンパク質サンプルをMOPS緩衝液中の10%Bis-TrisゲルによるSDS-PAGEに付した。2つのレプリケートサンプルセットを同じゲルで泳動させた。レーン1は10kDaマーカーを含み、レーン2は染色済みマーカーを含み、レーン3は感染後144時間のバキュロウイルス感染SF+細胞のORF2-CSL重炭酸塩溶解ペレットを含み、レーン4は同じサンプルのORF2-CSL上清を含み、レーン5は標準ORF2タンパク質サンプルを含んでいた。SDS-PAGE後に、Novex Blot Module(Novex; San Diego, CA)でタンパク質を電気泳動により(約1時間を越え30V定常電圧)ゲルからポリビニリデンジフルオリド(PVDF)メンブレンに移した。ブロットを移動させた後、サンプルレーンを少なくとも1時間、約50mLの(TTBS+2%ドライミルク)中でインキュベーションした。続いてブロットを2つのレプリケートブロットに切り分けた。一方を一次抗体、ウサギ免疫後血清(TTBS+2%ドライミルクで1:200に希釈)とともに1時間インキュベート/ブロットし、他方は乾燥させて全タンパク質プロフィルを示すために染色した。第二のブロットの結果は図4Bで見ることができる。
続いて第一のブロットをTTBS(1xのTBS+0.05% Tween20、新しく調製)を用いて2分間3回洗浄した。続いてブロットを二次抗体、ヤギ抗ウサギ-HRP(TBS+2%ドライミルクで1:1000に希釈)とともに1時間インキュベーションした。インキュベーション後に、ブロットをTTBS(1xのTBS+0.05% Tween20、新しく調製)で2分間2回、PBS(10xのPBS1L)で2分間1回洗浄した。続いてブロットを10mLのOpti-4CN基質を用いて可視化し、ブロットを約5分未満反応させた。ブロットを水ですすいで反応を停止させ、分析した。このブロットについての結果は図4Aで見ることができる。
【実施例5】
【0031】
本実施例では、インフルエンザM2ae領域の24アミノ酸のインフレーム挿入によりPCV2 ORF2 VLPが作製される。
材料と方法:
AscIを含むM2ae1 24mer
M2ae1 24merのアミノ酸配列はMSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSD(配列番号:6)である。このM2ae1 24アミノ酸配列を、ドロソフィラの最適コドン使用頻度でそのヌクレオチド配列に逆翻訳した。PCRを実施して、フランキングするAscI制限酵素部位をM2ae1コード領域に付加した。
AscI制限部位のPCV2 ORF2コード領域への導入
部位特異的変異導入を用い、AscI制限酵素部位をPCV2 ORF2(配列番号:7)(図5参照)のコード領域に導入した。図5に示すように、AscI部位の導入によって、PCV2 ORF2コード領域に2つのアミノ酸変化、Y36W(36位でチロシンからトリプトファンへ変異、中性極性アミノ酸の別の中性極性アミノ酸による置換)およびW38A(38位でトリプトファンからアラニンへ変異、中性極性アミノ酸の別の中性非極性アミノ酸による置換)が導入された(配列番号:8)。
M2ae1のPCV2 ORF2への導入
M2ae1領域のPCV2 ORF2への挿入の説明のために図6を参照されたい(配列番号:9)。略記すれば、標準的な分子生物学的方法を用い、M2ae1-AscI領域を、バキュロウイルストランスファーベクター、pVL1393のPCV2 ORF2遺伝子のAscI部位にクローニングした。生成されたPCV2 ORF2内部M2ae1/pVL1393(A-34と称する)プラスミドを、続いてQiagen Mini-Prepプラスミドキットを用いてその後のトランスフェクションでの使用のために精製した。
【0032】
内部M2ae1をもつPCV2 ORF2を含む組み換えバキュロウイルスの作製
ESCORTトランスフェクション試薬(Sigma)を用い、A-34 PCV2 ORF2内部M2ae1/pVL1393プラスミドおよびDiamondBac(商標)直鎖化バキュロウイルスDNA(Sigma)をSf9昆虫細胞に28℃で5時間同時トランスフェクションした。5日後に、生成された組み換えバキュロウイルスを含む細胞上清を採集し4℃で保存した。トランスフェクションした残りのSf9細胞をアセトン:メタノールで固定し、抗インフルエンザA M2モノクローナル抗体、14C2による免疫蛍光アッセイで用いてM2ae1領域トランスフェクトSf9細胞の発現を確認した。PCV2 ORF2およびM2ae1セグメントを含む発現されたキメラタンパク質の配列は本明細書では配列番号:11として提供される。
ウイルスストック材料を作製する前に、採集したA-34 M2ae1 ORF2 PCV2バキュロウイルスDB上清を続いてSf9細胞での限界希釈によって精製した。
内部M2ae1をもつPCV2 ORF2の免疫学的検出
A-34 M2ae1 ORF2 PCV2バキュロウイルスDB感染Sf9細胞におけるM2ae1の発現の検証は以前にIFAによって確認された。しかしながら、PCV2 ORF2と一緒にM2ae1が発現されていることをさらに確認するための手段として、バキュロウイルス感染昆虫細胞培養の採集上清でPCV2 ORF2内部M2ae1のイムノブロットを実施した。
略記すれば、バキュロウイルス感染昆虫細胞培養の採集上清をPVDFメンブレンにブロットし、PCV2 ORF2および/またはM2ae1抗原の存在をイムノブロットで試験した。PCV2 ORF2のイムノブロット検出に用いた一次抗体は、抗PCV2 ORF2モノクローナル抗体6C4-2-4A3-5D10および精製ブタ抗PCV2 ORF2 IgGであった。M2ae1のイムノブロット検出に用いた一次抗体は抗M2モノクローナル抗体14C2(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)およびブタ抗M2aeC5血清であった。イムノブロットに用いたそれぞれの二次抗体は、HRP標識ヤギ抗マウスコンジュゲートおよびヤギ抗ブタコンジュゲートであった。Opti-4CN基質(BioRad)をイムノブロットの比色検出に用いた。イムノブロットは、PCV2 ORF2およびM2ae1抗原の存在を示した。
本実施例に用いた材料と方法は以下でさらに詳細に説明される。
【0033】
材料と方法:
プラスミドの精製のために、QIAprep Spin MiniPrep(QIAGEN, Gaithersburg, MD)を用い、製造業者のプロトコルにしたがった。略記すれば、1.5mLの培養を14,000rpmで1分間ペレットにした。上清を廃棄した後、このペレット形成工程を繰り返し、再度上清を廃棄した。このペレットを250μLの緩衝液P1で再構成し、250μLの緩衝液P2に添加し、これを逆さまにすることによって混ぜ合わせた。次に、350μLの緩衝液N3を添加し、逆さまにすることによって混ぜ合わせた後、14,000rpmで10分間回転させた。この上清を収集管中のQIAprepスピンカラムに移し、14,000rpmで60秒回転させ、フロースルーを廃棄し、カラムを再度組み立てた。次に750μLの緩衝液PEを添加し、14,000rpmで60秒回転させ、フロースルーを廃棄し、カラムを再度組み立てた。このカラムを乾燥させるために14,000rpmで1分間回転させ、続いてこのカラムを新しい1.5mL管に移した。最後に、50μLのH2Oを添加し室温で1分インキュベーションし、続いて14,000rpmで1分間回転させた後カラムを廃棄した。
M2ae1フラグメントを切断し精製しさらに連結するために、New England Biolabs(Ipswich, MA)の製品および手順を用いて制限消化を実施した。略記すれば、6μLのNew England Biolabs緩衝液、49μLのDNAおよび5μLのAscIを600μLの遠心管で一緒に混ぜ合わせた。この遠心管を37℃で1時間インキュベーションし、その後で各管に3μLの6Xローディング色素を添加し、よく混ぜ合わせた。続いてこの反応物を1.5%アガロースゲルにロードし、約100ボルトで60分間泳動させた後でゲルを写真撮影するかまたはスキャンした。所望のバンドをゲルから切り出し1.5mLの遠心管に入れた後、10mgのゲルスライスにつき10μLのメンブレン結合溶液を添加した。これをヴォルテックスミキサーで攪拌し、ゲルが完全に溶解するまで50−65℃でインキュベーションした。ミニカラムを収集管に挿入し、さらに調製したDNAをこのカラムアッセンブリに移した。前記を室温で1分間インキュベーションし、14,000rpmで1分間遠心した後、フロースルーを廃棄した。洗浄工程は以下から成っていた:700μLのメンブレン洗浄溶液を添加、14,000rpmで1分間遠心、フロースルーを廃棄、500μLのメンブレン洗浄溶液を添加、14,000rpmで5分間遠心、フロースルーを廃棄、続いて蓋を開けたまま14,000rpmで1分再度遠心してメンブレンを乾燥させた。溶出工程は以下から成っていた:ミニカラムを1.5mLの遠心管に移す、ヌクレアーゼを含まないH2Oを50μL添加する、室温で1分間インキュベートする、14,000rpmで1分間遠心する、カラムを廃棄する、将来の使用のために-20℃で保存する。
【0034】
連結反応(1)は、1μLのORF2-AscI PVL1393ベクター、7μLのM2ae1挿入物、1μLの10X連結緩衝液および1μLのT-4 DNAリガーゼを0.5mLのマイクロヒュージ管で混合することによって実施した。前記を週末の間ずっと4℃でインキュベーションした。
M2ae1/AscI-Orf2-PVL1393による形質転換(形質転換1)およびM2ae1セグメントの再連結は通常のプロトコルを用いて実施した。略記すれば、Max EffcコンピテントDHSx細胞を氷上で融解し、1反応あたり50μLを17x100mm ppのファルコン(Falcon)チューブに移した。余分の細胞をEtOH/ドライアイス浴で再度凍結させた。次に、2μLの連結反応1を細胞に添加し、氷上で30分インキュベーションした後、厳密に42℃で厳密に45秒間細胞に熱ショックを与えた。前記チューブを氷に2分間戻した後、950μLのSOCを添加し、さらに37℃で1時間約225rpmで震盪させながらインキュベーションした。続いて50および200μLアリコットをLBおよびCIX上に広げ、前記を逆さまにして一晩37℃でインキュベーションした。
【0035】
M2ae1を再連結するための連結反応(2)は、1μLのPVL1393ベクター、7μLの濃縮M2ae1挿入物、1μLの10X連結緩衝液および1μLのT-4 DNAリガーゼを0.5mLのマイクロヒュージ管で混合することによって実施した。前記を4℃で一晩インキュベーションした。
濃縮M2ae1/AscI-ORF2-PVL1393で細胞を形質転換させるために、形質転換反応(2)を通常の方法を用いて実施した。略記すれば、Max EffcコンピテントDHSx細胞を氷上で融解し、1反応あたり50μLを17x100mm ppのファルコンチューブに移した。余分の細胞をEtOH/ドライアイス浴で再度凍結させた。次に、2μLの連結反応2を細胞に添加し、氷上で30分インキュベーションした後、厳密に42℃で厳密に45秒間細胞に熱ショックを与えた。前記チューブを氷に2分間戻した後、950μLのSOCを添加し、さらに37℃で1時間約225rpmで震盪させながらインキュベーションした。続いて50および200μLアリコットをLBおよびCIX上に広げ、前記を逆さまにして一晩37℃でインキュベーションした。
これらコロニーを所望のコロニーについてチェックするために、以下のパラメータおよび試薬を用いてPCR反応を設定した:95℃で5分の1サイクル、95℃で15秒の35サイクル、50℃で15秒の35サイクル、72℃で60秒の35サイクル、72℃で5分の1サイクル、および4℃で無限大の1サイクル;12.5μLのAmplitaq Gold Mastermix、Rnase/Dnaseを含まない11.5μLの水、0.5μLのプライマーpvl-U、0.5μLのプライマーgel-scrnL、および選別したコロニー。48ウェルの2%アガロースE-ゲルカセット(Invitrogen)から櫛を取り除いた。各ウェルに厳密に10μLのDEPC H2O EMDをロードし、さらに10μLのDNAマーカーおよび6Xのローディング色素を含むサンプル10μLを所望のウェルに添加した。ディスプレーが“EG”を表示するまで電源ボタンを押した。E-Gelマザーベース上を滑らせ(正確に挿入されたときは赤色光の定常点灯が見られる)、さらに電源ボタンを再度押す(光が緑色に変わりゲルの泳動を表示する)。ゲルを約20分泳動させた。続いて、選別コロニーの1白金耳を3mLのLBブロスおよび6μLのCARストックに接種することによって選別コロニーをMiniPrep用に増殖させた。続いて前記を225rpmで震盪しながら37℃で一晩インキュベーションした。
続いてQIAprep Spin MiniPrepキットを製造業者の指示に従い、さらに上記に記載したように用いてプラスミドを精製した。
【0036】
プラスミドの精製および配列分析のために、M2ae1/pGemT-easy選別コロニーの一晩培養を開始するために、選別コロニーの1白金耳を続いて3mLのLBブロスおよび6μLのCARストックに接種することによって選別コロニーをMiniPrep用に増殖させた。続いて前記を225rpmで震盪しながら37℃で一晩インキュベーションした。これらを上記のようにQIAprep Spin MiniPrep用に精製した。
M2ae1フラグメントを切り出すために、制限消化はNew England Biolabsの通常の手順にしたがって実施した。略記すれば、5μLのNew England Biolabs緩衝液、25μLのDNA、5μLのAscIおよび15μLのH2Oを600μLの遠心管で一緒に混ぜ合わせた。この遠心管を37℃で1時間インキュベーションし、その後で各管に3μLの6Xローディング色素を添加し、さらによく混ぜ合わせた。続いてこの反応物を1.5%アガロースゲルにロードし、約100ボルトで60分間泳動させた後でゲルを写真撮影するかまたはスキャンした。
次に、M2ae1フラグメントをQIAEX IIアガロースゲル抽出プロトコル(QIAGEN, QIAEX II Handbook 02/99)にしたがってゲル精製し、さらに連結反応(3)によってPVL1393に連結した。略記すれば、M2ae1 をPVL1393に連結するために、2μLのPVL1393ベクター、6μLのAscI濃縮M2ae1挿入物、1μLの10X連結緩衝液および1μLのT-4 DNAリガーゼを0.5mLのマイクロヒュージ管で一緒に混合し、4℃で一晩インキュベーションした。
【0037】
AscI-M2ae1/PVL1393でDHSx細胞を形質転換させるために、Max EffcコンピテントDHSx細胞を氷上で融解し、1反応あたり50μLを17x100mm ppのファルコンチューブに移した。余分の細胞をEtOH/ドライアイス浴で再度凍結させた。次に、2μLの連結反応2を細胞に添加し、氷上で30分インキュベーションした後、厳密に42℃で厳密に45秒間細胞に熱ショックを与えた。前記チューブを氷に2分間戻した後、950μLのSOCを添加し、さらに37℃で1時間約225rpmで震盪させながらインキュベーションした。続いて50および200μLアリコットをLBおよびCIX上に広げ、前記を逆さまにして一晩37℃でインキュベーションした。
ORF2-AscI-PVL1393をAscIで制限切断するために、2μLのNew England Biolabs緩衝液4、25μLのDNA、2μLのAscIおよび12.5μLのH2Oを600μLの遠心管で一緒に混ぜ合わせた。この遠心管を37℃で1時間インキュベーションし、その後で各管に3μLの6Xローディング色素を添加し、さらによく混ぜ合わせた。続いてこの反応物を1.5%アガロースゲルにロードし、約100ボルトで60分間泳動させた後でゲルを写真撮影するかまたはスキャンした。
次にゲルを精製し、さらに脱リン酸化反応およびもう一度連結反応を実施した。ゲル精製はWIZARD SV Gel Clean-upの工程にしたがった。略記すれば、ミニカラムを収集管に挿入し、さらに調製したDNAをこのカラムアッセンブリに移した。前記を室温で1分間インキュベーションし、14,000rpmで1分間遠心した後、フロースルーを廃棄した。洗浄工程は以下から成っていた:700μLのメンブレン洗浄溶液を添加、14,000rpmで1分間遠心、フロースルーを廃棄、500μLのメンブレン洗浄溶液を添加、14,000rpmで5分間遠心、フロースルーを廃棄、続いて蓋を開けたまま14,000rpmで1分再度遠心してメンブレンを乾燥させた。溶出工程は以下から成っていた:ミニカラムを1.5mLの遠心管に移す、ヌクレアーゼを含まないH2Oを50μL添加する、室温で1分間インキュベートする、14,000rpmで1分間遠心する、カラムを廃棄する、将来の使用のために-20℃で保存する。脱リン酸化工程は以下を含む:2μLの10X SAP緩衝液を16μLのゲル精製プラスミドに添加し、続いてSAPを添加した後で37℃にて15分インキュベーションし、続いてSAPを65℃で15分不活化する。続いて連結反応を、4μLのAscI-ORF2-PVL1393ベクター、12μLのAscI切断M2ae1挿入物、2μLの10X連結緩衝液および2μLのT-4 DNAリガーゼを0.5mLのマイクロヒュージ管で一緒に混合することによって実施し、前記を4℃で一晩インキュベーションした。
【0038】
増殖および将来のスクリーニングのために、連結ベクターでコンピテントDHSxを形質転換し前記ベクターを前記コンピテント細胞に挿入するために、Max EffcコンピテントDHSx細胞を氷上で融解し、1反応あたり50μLを17x100mm ppのファルコンチューブに移した。余分の細胞をEtOH/ドライアイス浴で再度凍結させた。次に、2μLの連結反応2を細胞に添加し、氷上で30分インキュベーションした後、厳密に42℃で厳密に45秒間細胞に熱ショックを与えた。前記チューブを氷に2分間戻した後、950μLのSOCを添加し、さらに37℃で1時間約225rpmで震盪させながらインキュベーションした。続いて50および200μLアリコットをLBおよびCIX上に広げ、前記を逆さまにして一晩37℃でインキュベーションした。
所望の挿入物の存在について形質転換体をスクリーニングするために、以下のパラメータおよび試薬を用いてAmplitaq Gold PCR反応を実施した:95℃で5分の1サイクル、95℃で20秒の35サイクル、50℃で20秒の35サイクル、72℃で20秒の35サイクル、72℃で5分の1サイクル、および4℃で無限大の1サイクル;12.5μLの2XのAmplitaq Gold Mastermix、Rnase/Dnaseを含まない11.5μLの水、0.5μLのプライマーpvl-U、0.5μLのプライマーae1 scrnL、および選別したコロニー。48ウェルの2%アガロースE-ゲルカセット(Invitrogen)から櫛を取り除いた。各ウェルに厳密に7.5μLのDEPC H2O EMDをロードし、さらに10μLのDNAマーカーおよび6Xのローディング色素を含むサンプル10μLを所望のウェルに添加した。ディスプレーが“EG”を表示するまで電源ボタンを押した。E-Gelマザーベース上を滑らせ(正確に挿入されたときは赤色光の定常点灯が見られる)、さらに電源ボタンを再度押す(光が緑色に変わりゲルの泳動を表示する)。ゲルを約20分泳動させた。続いて、M2ae1-AscI/PVL1393による形質転換から得た選別コロニーの1白金耳を3mLのLBブロスおよび6μLのCARストックに接種することによって選別コロニーをMiniPrep用に増殖させた。続いて前記を225rpmで震盪しながら37℃で一晩インキュベーションした。配列分析用プラスミドの精製のために、QIAprep Spin MiniPrepを製造業者の指示にしたがって用いた。略記すれば、1.5mLの培養を14,000rpmで1分間ペレットにした。上清を廃棄した後で、このペレット形成工程を繰り返し、再度上清を廃棄した。このペレットを250μLの緩衝液P1で再構成し、250μLの緩衝液P2に添加し、これを逆さまにすることによって混ぜ合わせた。次に、350μLの緩衝液N3を添加し、逆さまにすることによって混ぜ合わせた後、14,000rpmで10分間回転させた。この上清を収集管中のQIAprepスピンカラムに移し、14,000rpmで60秒回転させ、フロースルーを廃棄し、カラムを再度組み立てた。次に750μLの緩衝液PEを添加し、14,000rpmで60秒回転させ、フロースルーを廃棄し、カラムを再度組み立てた。このカラム乾燥させるために14,000rpmで1分間回転させ、続いてこのカラムを新しい1.5mL管に移した。最後に、50μLのH2Oを添加し室温で1分インキュベーションし、続いて14,000rpmで1分間回転させた後カラムを廃棄した。
【0039】
バキュロウイルスDNAをsf9昆虫細胞にトランスフェクトするために、96.4μLのExcelメジウム、1μLのDiamondBac CurウイルスDNA(1μg/μL)およびpVL1393(1μg)中の組み換えトランスファープラスミド(3.6μL)を無菌的な6mLのポリスチレンチューブでアッセンブリングした。ESCORTおよびExcel(1:20)のマスターミックス の100μLを各ポリスチレンチューブに添加した後、室温で15分間インキュベーションしてトランスフェクション混合物(475μLのExcell、25μLのESCORT)を作成した。6ウェルプレートのSf9細胞単層を2mL体積のExcellで2回洗浄し、2回目の洗浄後に細胞上に前記メジウムを残留させた。洗浄メジウムを吸引した後、0.8mLのExcellを6ウェルプレートの各ウェルに添加した後、0.2mLのトランスフェクション混合物を6ウェルプレートのウェルに添加した。前記を28℃で5時間インキュベーションし、続いてトランスフェクション混合物を吸引した。細胞を1回洗浄し、続いて2mLのTNM-FHを添加し、28℃で120−144時間インキュベーションした。
トランスフェクションした細胞を採集し、IFAのために細胞を固定するために、生物安全基準フード内でトランスフェクションしたSf9細胞の上清を吸引により採集し、2.0mLの凍結用バイアルに移した後、ウェル内の残りのSf9細胞に1mLの冷アセトン:メタノール(50:50)を加えた。この細胞を室温で10分インキュベーションし、固定液を除去し、プレートを排気フード内で風乾させた後、前記プレートを4℃以下で最終的IFAのために保存した。
【0040】
Sf9トランスフェクト細胞でのM2ae1の発現について試験するために、間接免疫蛍光アッセイ(IFA)を実施した。プレートをPBSで簡単に洗浄して固定細胞を再水和させ、その後PBSを除去した。次に、500μLの一次抗体、αM2ae1をウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。前記一次抗体を除去し、ウェルをPBSで3回洗浄し、最後の洗浄液を除去した。次に、500μLの二次抗体、αウサギFITC(PBSにて1:500)をウェルに添加し37℃で1時間インキュベーションした後、二次抗体を除去してウェルをPBSで3回洗浄し、最後の洗浄液を除去した。次に、ウェルを約0.5mLのグリセロール:水(50:50)で被覆し、過剰のグリセロール:水を除去して倒立UV光顕微鏡で細胞層を観察できるようにした。
バキュロウイルス感染Sf9細胞クローンを見つけるために、Sf9細胞の継代50でバキュロウイルス限界希釈を実施した。略記すれば、10倍希釈のバキュロウイルス材料のTNM-FHへの接種を実施した。希釈を実施する直前に、バキュロウイルス材料を簡単にヴォルテックスミキサーで攪拌して、ウイルス材料が完全に混合されていることを担保した。最初の10-1希釈は、バキュロウイルスの0.1mLを0.9mLのTNM-FHにピペットで加え簡単にヴォルテックスミキサーで攪拌して混合することによって実施した。10-2希釈は、10-1希釈のバキュロウイルスの0.1mLを0.9mLのTNM-FHにピペットで加え簡単にヴォルテックス攪拌して混合することによって実施した。10-3希釈は、10-2希釈のバキュロウイルスの1mLを9mLのTNM-FHにピペットで加え簡単にヴォルテックス攪拌して混合することによって実施した。10-4およびその後に続く各希釈(10-7まで)は、10-3希釈のバキュロウイルスの1mLを9mLのTNM-FHに連続的にピペットで加え、簡単にヴォルテックス攪拌して混合することによって実施した。前記希釈バキュロウイルス材料を96ウェルプレートのできるだけ多くのウェルに添加した。プレートを積み重ね、大型のジッパー付きバッグに入れ、暗所にて28℃でインキュベーションした。続いて4−7日後にウェルから上清を採集する。
UV光下での可視化のために細胞を固定してM2ae1 ORF2プレートを染色するために、マルチチャンネルピペッターおよび滅菌フィルターチップを生物安全基準フード内で使用して、上清を吸引により新しい96ウェルプレートに移した。この上清を含むプレートは、短時間保存では4℃で長期間保存では-70℃で保存することができる。ウェルに残る細胞に冷アセトン:メタノール(50:50)を添加し、これを室温で10分インキュベーションした。固定液を除去し、プレートを排気フード内で風乾させた後、前記プレートをPBSで簡単に洗浄して固定細胞を再水和させた。続いてPBSを除去し、100μLのインフルエンザA M2(14C2)(Santa Cruz Biotech)をウェルに添加し37℃で1時間インキュベーションした。続いて前記一次抗体を除去し、ウェルをPBSで3回洗浄し、最後の洗浄液を除去した。次に、100μLの二次抗体、ヤギ+マウスFITCをウェルに添加し37℃で1時間インキュベーションした。続いて二次抗体を除去してウェルをPBSで3回洗浄し、最後の洗浄液を除去した。ウェルを約0.5mLのグリセロール:水(50:50)で被覆した後、過剰のグリセロール:水を除去して倒立UV顕微鏡で細胞層を観察した。
【0041】
単一M2ae1 ORF2 PCV2バキュロウイルスを、96ウェルSf9プレート上で継代1の限界希釈、継代52によって単離した。略記すれば、10倍希釈のバキュロウイルス材料のTNM-FHへの接種を実施した。希釈を実施する直前に、バキュロウイルス材料を簡単にヴォルテックス(撹拌)して、ウイルス材料が完全に混合されていることを担保した。最初の10-1希釈は、バキュロウイルスの0.1mLを0.9mLのTNM-FHにピペットで加え簡単にヴォルテックス(撹拌)して混合することによって実施した。10-2希釈は、10-1希釈のバキュロウイルスの0.1mLを0.9mLのTNM-FHにピペットで加え簡単にヴォルテックス(攪拌)して混合することによって実施した。10-3希釈は、10-2希釈のバキュロウイルスの0.1mLを9mLのTNM-FHにピペットで加え簡単にヴォルテックス(攪拌)して混合することによって実施した。10-4およびその後に続く各希釈(10-6まで)は、先行する希釈(例えば10-4希釈については10-3)のバキュロウイルスの0.1mLを0.9mLのTNM-FHに連続的にピペットで加え、簡単にヴォルテックス攪拌して混合することによって実施した。10-7希釈は、10-6希釈のバキュロウイルスの1mLを9mLのTNM-FHにピペットで加え、簡単にヴォルテックス(攪拌)して混合することによって実施した。10-8希釈は、10-7希釈のバキュロウイルスの1mLを9mLのTNM-FHにピペットで加え、簡単にヴォルテックス(攪拌)して混合することによって実施した。次に、10-7および10-8希釈のバキュロウイルス材料の0.1mLを96ウェルプレートのできるだけ多くのウェルに添加した。プレートを積み重ね、大型のジッパー付きバッグに入れ、暗所にて28℃でインキュベーションした。続いて4−7日後にウェルから上清を採集する。
10-7および10-8の限界希釈でIFAを実施するために、Sf9細胞を固定し染色してM2ae1 ORF2 PCV2トランスフェクト細胞の存在を検出した。略記すれば、マルチチャンネルピペッターおよび滅菌フィルターチップを生物安全基準フード内で使用して、上清を吸引により新しい96ウェルプレートに移した。この上清を含むプレートは、短時間保存では4℃で長期間保存では-70℃で保存することができる。ウェルに残る細胞に200μLの冷アセトン:メタノール(50:50)を添加し、これを室温で10分インキュベーションした。固定液を除去し、プレートを排気フード内で風乾させた後、前記プレートをPBSで簡単に洗浄して固定細胞を再水和させた。続いてPBSを除去し、100μLの一次抗体、インフルエンザA M2(14C2)(Santa Cruz Biotech)をウェルに添加し37℃で1時間インキュベーションした。続いて前記一次抗体を除去し、ウェルをPBSで3回洗浄し、最後の洗浄液を除去した。次に、100μLの二次抗体、ヤギ+マウスFITCをウェルに添加し37℃で1時間インキュベーションした。続いて二次抗体を除去してウェルをPBSで3回洗浄し、最後の洗浄液を除去した。ウェルを約0.5mLのグリセロール:水(50:50)で被覆した後、過剰のグリセロール:水を除去して倒立UV顕微鏡で細胞層を観察した。結果は陽性であった。
上記限界希釈からM2ae1 ORF2 PCV2を増幅させるために上清を用いた。略記すれば、この方法では、Sf9細胞を含む6ウェルプレートの1つのウェルに対応するウイルスの100μLを加えた後、このプレートを28℃の暗所に置いた。4−7日後に上清を採集し、細胞層を固定した。
続いて選別したM2ae1内部PCV2 ORF2バキュロウイルスを限界希釈、増幅物の採集およびSf9細胞の固定に付した。略記すれば、生物安全基準フード内でトランスフェクトSf9細胞の上清を吸引により採集し2.0mLの凍結バイアルに移した後、ウェル内の残りのSf9細胞に1mLの冷アセトン:メタノール(50:50)を加えた。この細胞を室温で10分インキュベーションし、固定液を除去し、プレートを排気フード内で風乾させた後、前記プレートを4℃以下で最終的IFAのために保存した。
結果
M2ae1フラグメントの存在が確認され、その免疫原性または抗原性は上記で言及した方法を用いて検出できた。
【実施例6】
【0042】
本実施例は、インフルエンザA M2ae1領域はアミノテールとしてPCV2 ORF2 VLPに挿入できることを示す。
3'-KpnIを有するM2ae1 24mer
M2ae1 24merのアミノ酸配列は、MSLLTEVETPIRNEWGCRCNDSSD(配列番号:6)である。M2ae1 24merのアミノ酸配列をドロソフィラのための最適コドン使用頻度でヌクレオチド配列に逆翻訳した。特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを実施し、3'-KpnI制限酵素部位をM2ae1コード領域に付加した。
KpnI制限部位のPCV2 ORF2コード領域の5'-端への導入
特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを実施し、KpnI制限酵素部位をPCV2 ORF2遺伝子の5'端に付加した(図7を参照されたい)。
アミノM2ae1のPCV2 ORF2の5'端への結合
標準的な分子生物学的方法を用いて、M2ae1-KpnI領域をPCV2 ORF2遺伝子の5'端KpnI部位にクローニングした(配列番号:12)。続いてアミノM2ae1 PCV2 ORF2領域をバキュロウイルストランスファーベクター、pVL1393にクローニングした。その後のトランスフェクションで使用するために、得られたアミノM2ae1 PCV2 ORF2/pVL1393プラスミドを続いてQiagen Mini-Prepプラスミドキットを用いて精製した。
M2ae1テールを有するPCV2 ORF2を含む組み換えバキュロウイルスの作製
アミノM2ae1 PCV2 ORF2/pVL1393プラスミドおよびDiamondBac(商標)直鎖化バキュロウイルスDNA(Sigma)を、ESCORTトランスンフェクション試薬(Sigma)を用いてSf9昆虫細胞に28℃で5時間同時トランスフェクションした。トランスフェクション培地を除去し、続いてトランスフェクションした細胞を穏やかに洗浄し、培養液を補充し27℃でインキュベーションした。5日後、生成された組み換えバキュロウイルスを含む細胞上清を採集し4℃で保存した。トランスフェクションした残りのSf9細胞をアセトン:メタノールで固定し、抗インフルエンザA M2モノクローナル抗体14C2による免疫蛍光アッセイ(IFA)で用いて、M2ae1領域をトランスフェクションしたSf9細胞での発現を検証した。
採集したPCV2 ORF2アミノM2ae1バキュロウイルスDB上清をウイルスストック材料の作製に用いた。
【0043】
PCV2 ORF2アミノM2ae1の免疫学的検出
PCV2 ORF2アミノM2ae1バキュロウイルスDB感染Sf9細胞におけるM2ae1の発現は以前にIFAによって検証された。しかしながら、PCV2 ORF2と一緒にM2ae1が発現されることをさらに確認するための手段として、バキュロウイルス感染昆虫細胞培養から採集したPCV2 ORF2アミノM2ae1上清でイムノブロットを実施した。
略記すれば、バキュロウイルス感染昆虫細胞培養から採集した上清をPVDFメンブレン上にブロットし、PCV2 ORF2および/またはM2ae1抗原の存在をイムノブロットにて試験した。PCV2 ORF2のイムノブロット検出に用いた一次抗体は、抗PCV2 ORF2モノクローナル抗体6C4-2-4A3-5D10および精製ブタ抗PCV2 ORF2 IgGであった。M2ae1のイムノブロット検出に用いた一次抗体は、抗M2モノクローナル抗体14C2(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)およびブタ抗M2aeC5血清であった。イムノブロットに用いたそれぞれの二次抗体はHRP標識ヤギ抗マウスコンジュゲートおよびヤギ抗ブタコンジュゲートであった。Opti-4CN基質(BioRad)をイムノブロットでの比色検出に用いた。このイムノブロットによりORF2およびM2ae1の存在が明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCV2由来アミノ酸セグメントおよび前記PCV2アミノ酸セグメントに結合した外来性アミノ酸セグメントを含む免疫原性組成物であって、前記外来性アミノ酸セグメントがPCV2以外の生物に由来する、前記免疫原性組成物。
【請求項2】
PCV2アミノ酸セグメントがオープンリーディングフレーム2を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
PCV2アミノ酸セグメントが配列番号:10と少なくとも80%の配列相同性を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
外来性アミノ酸セグメントが、動物への投与後に感染の臨床的、病理学的および/または組織病理学的徴候を生じる病原体に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
外来性アミノ酸セグメントがPCV2アミノ酸セグメントとは別個に検出できる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
外来性アミノ酸セグメントが前記外来性アミノ酸セグメントに特異的なアッセイによって検出できる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
アッセイがモノクローナル抗体を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
外来性アミノ酸セグメントが、PCV2に結合されていない同じアミノ酸セグメントと比較してその免疫学的特性の少なくとも80%を保持する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物がその投与を受けた動物で免疫学的応答を誘導する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
免疫学的応答が外来性アミノ酸セグメントに特異的である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
免疫学的応答が、感染による臨床的、病理学的および/または組織病理学的徴候の発生率を低下させるか、またはその重症度を緩和させるために十分である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
結合がPCV2アミノ酸セグメントのアミノ末端またはカルボキシル末端における結合である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
結合がPCV2アミノ酸セグメントのアミノ末端とカルボキシル末端との間に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
外来性アミノ酸セグメントが、クリプトスポリジウム・パルヴム(Cryptosporidium parvum)、ブタインフルエンザおよびそれらの組み合わせから成る群から選択される生物に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
外来性アミノ酸セグメントが、配列番号:1および6から成る群から選択される配列と少なくとも80%の配列相同性を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、クリプトスポリジウム・パルヴム、ブタインフルエンザおよびそれらの組み合わせによる感染の発生率または重症度を低下させる、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
外来性アミノ酸セグメントが約8から約200アミノ酸の長さを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
アジュバント、医薬的に許容できる担体、保護剤、安定化剤および前記の組み合わせから成る群から選択される成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
ベクターDNAおよび第一の生物種に由来するDNAおよび第二の生物種に由来するDNAを含む発現ベクターであって、前記第一および第二の種が互いに異なり、さらにベクターDNAが由来する生物種とも異なる、前記発現ベクター。
【請求項20】
ベクターDNAがバキュロウイルス由来である、請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項21】
第一の生物種がPCV2である、請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項22】
第一の生物種に由来するDNAがPCV2 ORF2由来である、請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項23】
PCV2 ORF2 DNAが配列番号:7と少なくとも80%の配列相同性を有する、請求項20に記載の発現ベクター。
【請求項24】
第二の生物種に由来するDNAが、その投与を受けた動物で免疫学的応答を誘導するアミノ酸セグメントをコードする、請求項21に記載の発現ベクター。
【請求項25】
免疫学的応答が、第一の生物種、第二の生物種および前記の組み合わせの感染による臨床的、病理学的もしくは組織病理学的徴候の発生率または重症度を低下させる、請求項24に記載の発現ベクター。
【請求項26】
第二の種に由来するDNAが、クリプトスポリジウム・パルヴム、大腸菌(E. coli)およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項27】
第二の種に由来するDNAが、配列番号:1および配列番号:6から成る群から選択されるアミノ酸セグメントをコードする、請求項26に記載の発現ベクター。
【請求項28】
抗原を製造する方法であって、前記抗原をコードするDNAをPCV2 DNAに合体させ一体化DNA挿入物を作製する工程および前記一体化DNA挿入物を発現系で発現させる工程を含む、前記抗原を製造する方法。
【請求項29】
抗原が約8−200アミノ酸の長さを有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
抗原が、PCV2とは異なる生物種に由来する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
生物種が、クリプトスポリジウム・パルヴム、ブタインフルエンザおよびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
抗原が、配列番号:1および2から成る群から選択される配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
PCV2 DNAがORF2である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
ORF2 DNAが配列番号:7と少なくとも80%の配列相同性を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
発現系がバキュロウイルス発現系を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
請求項28に記載の方法によって発現される抗原のワクチンまたは免疫原性組成物における使用。
【請求項37】
PCV2 ORF2のウイルス様粒子としての使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−508595(P2011−508595A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540954(P2010−540954)
【出願日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/088678
【国際公開番号】WO2009/088950
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(503345374)ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】