外構用杭及びそれを用いた外構構造物の基礎構造
【課題】基礎部の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構用杭と、それを用いた外構構造物の基礎構造を提供する。
【解決手段】外構用杭1は、鋼管よりなる杭本体部13と、該杭本体部13の外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面が上記杭本体部13の中心軸線に平行となるように設けられた板状の側圧抵抗板12とを備える。上記杭本体部13は、掘削されていない未掘削土壌4に対して打ち込まれる埋設部10と、上記未掘削土壌4上に突出し、上記外構構造物3の土台となる基礎部5に固定される突出部11とを有する。上記側圧抵抗板12は、上記埋設部10の外周面に設けられ上記未掘削土壌4に打ち込まれるよう構成されている。
【解決手段】外構用杭1は、鋼管よりなる杭本体部13と、該杭本体部13の外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面が上記杭本体部13の中心軸線に平行となるように設けられた板状の側圧抵抗板12とを備える。上記杭本体部13は、掘削されていない未掘削土壌4に対して打ち込まれる埋設部10と、上記未掘削土壌4上に突出し、上記外構構造物3の土台となる基礎部5に固定される突出部11とを有する。上記側圧抵抗板12は、上記埋設部10の外周面に設けられ上記未掘削土壌4に打ち込まれるよう構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構構造物に加わる水平力に対して高い安定性を有する外構用杭と、それを用いた外構構造物の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、擁壁や塀等の外構構造物を支持するための基礎構造として、例えば図12に示すごとく、土壌90を所定深さ掘削し、未掘削土壌上にコンクリート製の基礎部91を形成し、土壌92を埋め戻して基礎部91の上面911を覆ったものが知られている。この基礎部91に、外構構造物93が構築される。
この基礎構造95は、基礎部91と埋め戻し土壌92とが有する重量により、外構構造物93に土圧、地震力、風圧等の水平力Fが加わった場合の安定性を確保する構造になっている。
【0003】
また、図13に示すごとく、基礎部91aの下の土壌90に鋼管杭94を打ち込むことにより、外構構造物93を安定化する基礎構造95aが知られている(下記非特許文献1参照)。この基礎構造95aは、水平力Fに対する抵抗力が鋼管杭94に生じるため、図12と比較して基礎部91aを小さくすることができる。
【0004】
【非特許文献1】日本建築学会編集 「壁式構造関係設計基準・同解説(メーソンリー編)」の、「コンクリートブロック塀設計基準・同解説」第7条「基礎」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外構構造物93は、上記水平力Fに対して十分に安定な構造にすることが法令により義務付けられている。そのため、図12の基礎構造95を採用した場合、基礎部91の重量を重くする必要があり、その結果、基礎部91のサイズを大きくする必要がある。また、埋め戻し土壌92の重量を増やすため、基礎部91の面積を広くする必要があり、その結果、多くの土壌90を掘削しなくてはならない問題や、狭い場所に基礎部91を構築できない問題が生じている。
【0006】
一方、図13の基礎構造95aは、埋め戻し土壌92が締め固められて十分な側圧抵抗fを生じることを前提として設計されている。つまり、外構構造体93に水平力Fが加わっても十分な側圧抵抗fが生じるため、大きく変位しないと仮定して設計されている。そのため、水平力Fが加わった場合の回転軸Aは、鋼管杭94の上端部96付近にあると予想されている。
【0007】
しかし、実際にこの基礎構造95aを作製してみると、埋め戻し土壌92を十分に締め固めることが難しく、比較的柔らかいため、側圧抵抗fが低く、鋼管杭94の下端部97付近を回転軸Aとして回転することが多い。そのため、外構構造体93に強い水平力Fが加わった時に、予想外の変位量が発生し、場合によっては転倒する恐れがあった。側圧抵抗fを高くするためには、埋め戻し土壌92を十分に締め固めればよいが、実際の施工では困難である。
【0008】
図13の支持構造95aは、図12と比較して基礎部91aのサイズを小さくできるものの、上述の理由により殆ど採用されず、現実には図12の基礎構造95が主に使われている。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、基礎部の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構用杭と、それを用いた外構構造物の基礎構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、外構構造物を支持するために地中に打ち込まれる外構用杭であって、
鋼管よりなる杭本体部と、
該杭本体部の外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面が上記杭本体部の中心軸線に平行となるように設けられた板状の側圧抵抗板とを備え、
上記杭本体部は、掘削されていない未掘削土壌に対して打ち込まれる埋設部と、上記未掘削土壌上に突出し、上記外構構造物の土台となる基礎部に固定される突出部とを有し、
上記側圧抵抗板は、上記埋設部の外周面に設けられ上記未掘削土壌に打ち込まれるよう構成されていることを特徴とする外構用杭にある(請求項1)。
【0011】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明の外構用杭は、上記側圧抵抗板を備えている。そのため、外構構造物に水平力が加わった場合に、側圧抵抗板を有さない従来の外構用杭(図13参照)と比較して大きな側圧抵抗が生じることとなる。これにより、外構構造物を安定して支持することが可能となる。すなわち、外構構造物に水平力が加わった場合、外構構造物が外構用杭と共に回転しようとするが、上記側圧抵抗板に大きな側圧抵抗が生じるため、回転中心である回転軸は、外構用杭の比較的高い場所に位置することになる。これにより、水平力が加わった場合の外構構造物の変位量を少なくすることができ、外構構造物を安定して支持することが可能となる。
また、本発明の外構用杭は、側圧抵抗板が未掘削土壌に打ち込まれる上記埋設部に設けられている。そのため、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく、側圧抵抗板に大きな側圧抵抗を生じさせることができる。
【0012】
一方、本発明では、基礎部の下に杭本体部を打ち込んでいるため、図12のように杭を使わない従来方法と比較して、基礎部の大きさを小さくすることができる。これにより、掘削土量を削減でき、狭い場所でも基礎構造を構築することが可能となる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、基礎部の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構用杭を提供することができる。
【0014】
また、第2の発明は、外構構造物の基礎構造であって、
上記外構用杭を用い、
上記側圧抵抗板の主表面と、上記外構構造物の主表面とが互いに平行になるように、上記外構用杭が上記未掘削土壌に打ち込まれていることを特徴とする外構構造物の基礎構造にある(請求項10)。
【0015】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明では、側圧抵抗板に生じる側圧抵抗を最も大きくすることができる。これにより、上記外構用杭の効果を最大限に発揮でき、基礎構造の安定性を高くすることができる。
すなわち、仮に側圧抵抗板の主表面と外構構造物の主表面とが直交していたとすると、外構構造物に加わった水平力に対し、十分な側圧抵抗を生じさせることができない。これに対して、本発明のごとく、側圧抵抗板の主表面と外構構造物の主表面とが平行とされている場合には、側圧抵抗板に最も大きな側圧抵抗を発生させることができる。
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、基礎部の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構構造物の基礎構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明の外構用杭は、塀、フェンス、門柱、擁壁、門、垣根など、建物の外に存在するあらゆる種類の構造物に使用できるが、特に擁壁と塀に用いることが好ましい。擁壁は水平方向に大きな土圧が加わるため、本発明を用いた場合の効果が特に大きい。また、塀は垣根などと比較して面積が大きいため、風圧等により大きな水平力が加わりやすく、本発明による効果が大きい。
【0018】
また、本発明の外構用杭は、その表面が亜鉛めっき層または粉体塗料層にて被覆されていることが好ましい。この場合には、杭本体部の腐食を防止できるため、外構用杭を長期間にわたって使用することが可能となる。
【0019】
また、第1の発明において、上記埋設部の軸線方向における上端部と下端部との中間位置から、上記上端部までの間に上記側圧抵抗板が取付けられていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、杭本体部の埋設部における、比較的高い位置に側圧抵抗板が取付けられているため、外構構造物に水平力が加わった場合に、埋設部の高い位置が回転軸となる。これにより、外構構造物の変位量を少なくでき、より安定化することができる。
【0020】
また、上記杭本体部には第1の上記側圧抵抗板と第2の上記側圧抵抗板とが、上記杭本体部の中心軸線に関して互いに線対称となるように取付けられていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、外構用杭を未掘削土壌に打ち込む際のバランスが良くなる。すなわち、仮に上記第2の側圧抵抗板が存在せず、第1の側圧抵抗板のみが取付けられていたとすると、外構用杭を未掘削土壌に打ち込もうとしてもバランスが悪くなり、垂直に打ち込むことが困難となる。しかし、上述のように2枚の側圧抵抗板を、上記中心軸線に関して互いに線対称となるように取付けることにより、未掘削土壌に打ち込む際のバランスが良くなり、容易に垂直に打ち込むことが可能となる。
【0021】
また、上記第1の側圧抵抗板と、上記第2の側圧抵抗板との、合計の面積は300〜1000cm2であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、外構用杭の重量を軽くできるとともに、十分な側圧抵抗を生じさせることができる。すなわち、上記2枚の側圧抵抗板の合計面積が300cm2未満の場合は、十分な側圧抵抗を得られない。また、1000cm2を超える場合は、大きな側圧抵抗を得られるものの、外構用杭の重量が重くなりすぎる。
【0022】
次に、上記杭本体部は、外径が45〜65mmであることが好ましい(請求項5)。
この場合には、外構用杭の座屈強度を高くすることができるとともに、未掘削土壌に対して容易に打ち込むことが可能となる。すなわち、外径が45mm未満の場合は、外構用杭の座屈強度が低いため、未掘削土壌に打ち込む際に曲がる場合がある。また、外径が65mmを超えると、打ち込み時の抵抗が大きくなるため、未掘削土壌に打ち込みにくくなる。なお、杭本体部の外径は、鋼管の規格品として流通している48.6mmまたは60.5mmが最も好ましい。
【0023】
また、上記側圧抵抗板は、上記杭本体部に溶接されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、杭本体部と側圧抵抗板との接合強度が高いので、外構用杭を未掘削土壌に打ち込む際に側圧抵抗板が杭本体部から脱離する等の不具合が生じにくい。
【0024】
次に、上記側圧抵抗板は、その板厚が4〜9mmであることが好ましい(請求項7)。
この場合には、側圧抵抗板の強度を高くすることが可能であるとともに、打ち込み時におけるバランスを良好にすることができる。すなわち、板厚が4mm未満の場合は、側圧抵抗板の強度が低いため、未掘削土壌に打ち込んだ時に曲がってしまう場合がある。また、板厚が9mmを超えると、打ち込み時のバランスが悪くなり、外構用杭を垂直に打ち込むことが困難となる。
【0025】
また、上記杭本体部は、軸線方向長さが1〜5mであることが好ましい(請求項8)。
この場合には、外構構造物の安定性を十分に確保できるとともに、未掘削土壌に容易に打ち込める外構用杭とすることができる。すなわち、杭本体部の軸線方向長さが1m未満の場合は、外構構造物を十分に安定できず、強い水平力が加わった場合に転倒したり滑動したりすることがある。また、軸線方向長さが5mを超えると、未掘削土壌に打ち込みにくくなる。
【0026】
次に、上記側圧抵抗板は、四辺形板状に形成されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、大きな板金を切断することにより側圧抵抗板を製造した場合に、側圧抵抗板を半円形状や台形にした場合と比較して、余分な切れ端が無くなるため、板金を効率よく利用することができる。
【0027】
なお、側圧抵抗板は、杭本体部の上方に向かうほど幅広になる台形状または三角形状にしてもよい。この場合には、外構用杭を未掘削土壌に打ち込む時の抵抗が小さくなるため、打ち込みやすくなるというメリットがある。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる外構用杭および外構構造物の基礎構造につき、図1〜図4を用いて説明する。
本例の外構用杭1は、図1に示すごとく、地中に打ち込まれ、外構構造物3を支持している。この外構用杭1は、鋼管よりなる杭本体部13を備える。杭本体部13には、外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面121が杭本体部13の中心軸線131に平行となるように、板状の側圧抵抗板12が設けられている。
また、杭本体部13は、掘削されていない未掘削土壌4に対して打ち込まれる埋設部10と、未掘削土壌4上に突出し、外構構造物3の土台となる基礎部5に固定される突出部11とを有する。
そして、側圧抵抗板12は、埋設部10の外周面に設けられ未掘削土壌4に打ち込まれるよう構成されている。
【0029】
また、図2に示すごとく、埋設部10の軸線方向における上端部132と下端部133との中間位置134から、上端部132までの間に側圧抵抗板12が取付けられている。
つまり、埋設部10の軸線方向長さをLとした場合、上端部132から、下端部133側へL/2離隔した中間位置134までの間に、側圧抵抗板12が取付けられている。
より詳しくは、本例では、上端部132から、下端部133側へL/3離隔した位置135までの間に、側圧抵抗板12が取付けられている。
【0030】
次に、図2に示すごとく、杭本体部13には第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとが、杭本体部13の中心軸線131に関して互いに線対称となるように取付けられている。
【0031】
また、図3および図4の詳細図に示すごとく、本例にかかる外構構造物3の基礎構造2は、上述の外構用杭1を用いて外構構造物3を安定化している。そして、側圧抵抗板12の主表面121と、外構構造物3の主表面30とが互いに平行になるように、外構用杭1が未掘削土壌4に打ち込まれている。
【0032】
上記基礎部5は、所謂I型基礎である。図3に示すごとく、埋設部10の上端部132から所定の厚さに、砕石層51と捨てコンクリート層52とが敷設される。そして、この捨てコンクリート層52の上に基礎部5が形成される。
また、捨てコンクリート層52の上に、突出部11を挟むようにブロック53a,53bが配置されている。ブロック53a,53bは、地面6から所定高さ突出するまで積み重ねられる。
また、ブロック53a,53bの間に金属製の縦筋55および横筋56が挿入され、無収縮モルタル54が流し込まれる。図4に示すごとく、外構構造物3の長手方向に複数本の縦筋55が挿入されており、そのうち外構用杭1の真上に位置する縦筋55は、その下端部551が外構用杭1の上端部100に挿入されている。また、上述の無収縮モルタル54は、上端部100から外構用杭1の内側に流入し、固化している。
【0033】
さらに、図3に示すごとく、基礎部5と未掘削土壌4との間は、埋め戻し土壌40にて埋め戻されている。また、基礎部5に塀や擁壁等の外構構造物3が構築される。
【0034】
実施例1の作用効果につき説明する。
本例の外構用杭1は、図1に示すごとく、側圧抵抗板12を備えている。そのため、外構構造物3に水平力Fが加わった場合に、側圧抵抗板12を有さない従来の外構用杭1(図13参照)と比較して大きな側圧抵抗fが生じることとなる。これにより、外構構造物3を安定して支持することが可能となる。すなわち、外構構造物3に水平力が加わった場合、外構構造物3が外構用杭1と共に回転しようとするが、上記側圧抵抗板12に大きな側圧抵抗fが生じるため、回転中心である回転軸Aは、外構用杭1の比較的高い場所に位置することになる。これにより、水平力が加わった場合の外構構造物の変位量を少なくすることができ、外構構造物を安定して支持することが可能となる。
また、本発明の外構用杭1は、側圧抵抗板12が未掘削土壌4に打ち込まれている。そのため、埋め戻し土壌40の締め固め品質に影響されることなく、側圧抵抗板12に大きな側圧抵抗fを生じさせることができる。
【0035】
一方、本例では、基礎部5の下に杭本体部13を打ち込んでいるため、図12のように杭を使わない方法と比較して、基礎部5の大きさを小さくすることができる。これにより、掘削土量を削減でき、狭い場所でも基礎構造2を構築することが可能となる。
【0036】
また、図2に示すごとく、埋設部10の軸線方向における上端部132と下端部133との中間位置134から、上端部132までの間に側圧抵抗板12が取付けられている。
この場合には、杭本体部13の埋設部10における、比較的高い位置に側圧抵抗板12が取付けられているため、外構構造物3に水平力が加わった場合に、埋設部10の高い位置が回転軸Aとなる。これにより、外構構造物3の変位量を少なくでき、より安定化することができる。
【0037】
なお、図2に示すごとく、上端部132から、下端部133側へL/3離隔した位置135までの間に、側圧抵抗板12を取付けることが好ましい。側圧抵抗板12を高い位置に設けるほど、安定性が増す。
【0038】
次に、図2に示すごとく、杭本体部13には第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとが、杭本体部13の中心軸線131に関して互いに線対称となるように取付けられている。
この場合には、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込む際のバランスが良くなる。すなわち、仮に第2の側圧抵抗板12bが存在せず、第1の側圧抵抗板12aのみが取付けられていたとすると、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込もうとしてもバランスが悪くなり、垂直に打ち込むことが困難となる。しかし、上述のように2枚の側圧抵抗板12a,12bを、中心軸線131に関して互いに線対称となるように取付けることにより、未掘削土壌4に打ち込む際のバランスが良くなり、容易に垂直に打ち込むことが可能となる。
【0039】
また、側圧抵抗板12は、杭本体部13に溶接されている。
この場合には、杭本体部13と側圧抵抗板12との接合強度が高いので、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込む際に側圧抵抗板12が杭本体部13から脱離する等の不具合が生じにくい。
【0040】
また、図2に示すごとく、側圧抵抗板12は、四辺形板状に形成されている。
この場合には、大きな板金を切断することにより側圧抵抗板12を製造した場合に、側圧抵抗板12を半円形状や台形にした場合と比較して、余分な切れ端が無くなるため、板金を効率よく利用することができる。
【0041】
次に、杭本体部13は、その表面が亜鉛めっき層にて被覆されている。
この場合には、杭本体部13の腐食を防止できるため、外構用杭1を長期間にわたって使用することが可能となる。なお、亜鉛めっき層の他、外構用杭1を粉体塗料層で被覆しても同様の効果を奏する。
【0042】
また、図1(A)、図3に示すごとく、本例の基礎構造2は、側圧抵抗板12の主表面121と、外構構造物3の主表面30とが互いに平行になるように、外構用杭1が未掘削土壌4に打ち込まれている。
【0043】
この場合には、側圧抵抗を最も大きくすることができる。これにより、外構用杭1の効果を最大限に発揮でき、基礎構造2の安定性を高くすることができる。
すなわち、仮に側圧抵抗板12の主表面121と外構構造物3の主表面30とが直交していたとすると、外構構造物3に加わった水平力に対し、十分な側圧抵抗を生じさせることができない。これに対して、本例のごとく、側圧抵抗板12の主表面121と外構構造物3の主表面30とが平行とされている場合には、側圧抵抗板12に最も大きな側圧抵抗を発生させることができる。
【0044】
また、図3、図4に示すごとく、縦筋55の下端部551が杭本体部13の上端部100に差し込まれている。
これにより、基礎部5と外構用杭1との固定強度を高めることが可能となる。
【0045】
さらに、図3、図4に示すごとく、杭本体部13の内側に無収縮モルタル54が入り、固化している。
これにより、杭本体部13の剛性を高めることができ、同時に杭本体部13内部の防錆をすることができる。
【0046】
以上のごとく、本例によれば、基礎部5の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌40の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構用杭1と、それを用いた外構構造物3の基礎構造2を提供することができる。
【0047】
(実験例)
本例は、実施例1の外構用杭1および基礎構造2の効果を確認した例である。
図5(A)に示すごとく、本発明に係る外構用杭1および基礎構造2のサンプルを作成した。まず、土壌を地面6から300mmの深さD1まで掘削し、未掘削土壌4に2本の外構用杭1を800mmの間隔D2をおいて打ち込んだ。外構用杭1の埋設部10の長さD3は1300mmである。外構用杭1には2枚の側圧抵抗板12a,12bが取付けられており、この側圧抵抗板12a,12bの合計の面積は450cm2である。
次に、2本の外構用杭1の上に基礎部5を形成した。この基礎部5の構造は、図3、図4に示すものと同一である。また、基礎部5の上に外構構造物3としての塀を形成した。より詳しくは、2本の鉄骨支柱31を800mmの間隔D4をおいて基礎部5に固定し、その間に横架材32を取付けた。また、鉄骨支柱31の間にコンクリート製の壁部33を形成した。鉄骨支柱31の高さD5は地面6から2000mmであり、横架材32の高さD6は、地面6から1000mmである。横架材32から鉄骨支柱31の先端までの長さD7は1000mmである。
なお、本例では、杭本体部13の外径は48.6mmである。また、第1の側圧抵抗板n12aと第2の側圧抵抗板12bとは、その板厚が6mmである。さらに、杭本体部13の軸線方向長さは、1.5mである。
以上のようにして、本発明に係る基礎構造2のサンプルAとした。
【0048】
次に、図5(B)に示すごとく、重量部材としてバックホー70を配置し、横架材32とバックホー70を、チェーンブロック71およびテンションメータ72を介してワイヤ73で繋いだ。そして、チェーンブロック71を用いて横架材32に荷重をかけ、外構構造物3の変位を、地面6から300mmの高さ位置と、1000mmの高さ位置とで測定した。
【0049】
一方、外構用杭1の代わりに、側圧抵抗板12を有さない鋼管杭を用い、その他の構成を図5(A)と同じにした比較例としてのサンプルBを作成した。また、外構用杭1を有さず、その他の構成を図5(A)と同じにした比較例としてのサンプルCを作成した。
【0050】
その結果を図6に示す。図示するごとく、外構用杭1を有さないサンプルCは、180kg重の荷重で大きく変位してしまい、それ以上荷重を加えて計測することはできなかった。
また、サンプルAとサンプルBとを比較すると、例えば320kg重程度の比較的軽い荷重を加えた場合でも、サンプルBの方が大きく変位することが分かる。そして、600kg重程度の比較的重い荷重を加えた場合、サンプルAは13mmの変位が生じるのに対し、サンプルBは20mmの変位が生じていることが分かる。つまり、サンプルAはサンプルBと比較して、30%以上も変位量が少なく、安定している。
なお、地面から1000mmの高さ位置にて変位を測定した際のグラフを、図7に示す。このように図7からも、サンプルB、サンプルCよりもサンプルAの方が安定性が高いことがわかる。
【0051】
なお、本例では第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとの、合計の面積を450cm2としたが、この面積は300〜1000cm2の範囲で変更できる。この範囲であれば、外構用杭1の重量を軽くできるとともに、十分な側圧抵抗を生じさせることができる。すなわち、2枚の側圧抵抗板12の合計面積が300cm2未満の場合は、十分な側圧抵抗を得られない。また、1000cm2を超える場合は、大きな側圧抵抗を得られるものの、外構用杭1の重量が重くなりすぎる。
【0052】
また、本例では杭本体部13の外径を48.6mmとしたが、この値は45〜65mmの範囲で変更できる。この範囲であれば、外構用杭1の座屈強度を高くすることができるとともに、未掘削土壌4に対して容易に打ち込むことが可能となる。すなわち、外径が45mm未満の場合は、外構用杭1の座屈強度が低いため、未掘削土壌4に打ち込む際に曲がる場合がある。また、外径が65mmを超えると、打ち込み時の抵抗が大きくなるため、未掘削土壌4に打ち込みにくくなる。
【0053】
さらに、本例では第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとの板厚を6mmとしたが、この値は4〜9mmの範囲で変更できる。この範囲であれば、側圧抵抗板12の強度を高くすることが可能であるとともに、打ち込み時におけるバランスを良好にすることができる。すなわち、板厚が4mm未満の場合は、側圧抵抗板12の強度が低いため、未掘削土壌4に打ち込んだ時に曲がってしまう場合がある。また、板厚が9mmを超えると、打ち込み時のバランスが悪くなり、外構用杭1を垂直に打ち込むことが困難となる。
【0054】
また、本例では杭本体部13の軸線方向長さを1.5mとしたが、この値は1〜5mの範囲で変更できる。この範囲であれば、外構構造物3の安定性を十分に確保できるとともに、未掘削土壌4に容易に打ち込める。すなわち、杭本体部13の軸線方向長さが1m未満の場合は、外構構造物3を十分に安定できず、強い水平力が加わった場合に転倒したり滑動したりすることがある。また、軸線方向長さが5mを超えると、未掘削土壌4に打ち込みにくくなる。
【0055】
(実施例2)
本例は、図8に示すごとく、側圧抵抗板12の形状を変えた例である。図8に示す外構用杭1は、側圧抵抗板12cを台形にしている。より詳しくは、側圧抵抗板12cは、その側端面122と、杭本体部13の中心軸線131との距離Dが、杭本体部13の軸線方向下端側gに向かうほど漸次減少する台形にされている。
また、図9に示す外構用杭1は、側圧抵抗板12dを三角形状にしている。より詳しくは、側圧抵抗板12dは、その側端面123と、杭本体部13の中心軸線131との距離Dが、杭本体部13の軸線方向下端側gに向かうほど漸次減少する三角形状にされている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0056】
このようにすると、外構用杭1を地面に打ち込んだ時の抵抗が小さくなるため、打ち込みやすいというメリットがある。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0057】
(実施例3)
本例は、図10に示すごとく、側圧抵抗板12の枚数を変えた例である。図10に示す外構用杭1は、4枚の側圧抵抗板12が互いに直交するように取付けられている。
また、本例では、杭本体部13の下端部(開口端)133に、円錐形状の閉塞部71が取付けられている。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0058】
このように、側圧抵抗板12を4枚取り付けることにより、外構構造物3が例えば道路標識等のように柱状である場合でも、安定にすることが可能となる。
また、下端部(開口端)133に閉塞部71を取付けることにより、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込んだ時に、杭本体部13の中に土壌が入ることを防止できる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0059】
(実施例4)
本例は、図11に示すごとく、側圧抵抗板12の取付方法を変えた例である。図11の側圧抵抗板12は、本体部12eと、取付部12fと、これらを締結する締結部材(ボルト)7とから構成される。本体部12eおよび取付部12fには、各々湾曲部124,125が形成されている。これら湾曲部124,125の内側に杭本体部13を挿通するとともに、締結部材7により本体部12eと取付部12fとを締結する。これにより、杭本体部13に側圧抵抗板12を固定する。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0060】
この場合には、側圧抵抗板12(本体部12e、取付部12f、締結部材7)と、杭本体部13とを分離して保管することができる。そして、施工現場に応じて、側圧抵抗板12が必要な場合にのみ側圧抵抗板12を杭本体部13に取付ける。これにより、杭本体部13を、側圧抵抗板2が必要な施工現場と、必要ない施工現場との、双方に使用することが可能となる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1における、(A)外構用杭を用いた基礎構造および外構構造物の簡略図であって、図1(B)のb−b矢視断面図(B)外構用杭を用いた基礎構造および外構構造物の簡略図であって、図1(A)のa−a矢視断面図。
【図2】実施例1における、外構用杭の(A)側面図(B)正面図(C)図2(B)のc−c矢視断面図。
【図3】実施例1における、外構用杭を用いた基礎構造の詳細図であって、図4のe−e矢視断面図。
【図4】実施例1における、外構用杭を用いた基礎構造の詳細図であって、図3のd−d矢視断面図。
【図5】実験例1における、(A)実験サンプルの正面図(B)実験サンプルの側面図。
【図6】実験例1における、加えた荷重と、地面から300mmの高さ位置における変位量との関係を表すグラフ。
【図7】実験例2における、加えた荷重と、地面から1000mmの高さ位置における変位量との関係を表すグラフ。
【図8】実施例2における、側圧抵抗板を台形にした例
【図9】実施例2における、側圧抵抗板を三角形状にした例。
【図10】実施例3における、(A)側圧抵抗板を4枚にした外構用杭の正面図(B)図10(A)のh−h矢視断面図。
【図11】実施例4における、杭本体部に着脱可能にした側圧抵抗板の例であって、(A)杭本体部および側圧抵抗板の正面図(B)図11(A)のi−i矢視断面図。
【図12】従来例における、鋼管杭を用いない外構構造物の基礎構造。
【図13】従来例における、鋼管杭を用いた外構構造物の基礎構造。
【符号の説明】
【0062】
1 外構用杭
10 埋設部
11 突出部
12 側圧抵抗板
13 杭本体部
2 基礎構造
3 外構構造物
4 未掘削土壌
40 埋め戻し土壌
5 基礎部
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構構造物に加わる水平力に対して高い安定性を有する外構用杭と、それを用いた外構構造物の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、擁壁や塀等の外構構造物を支持するための基礎構造として、例えば図12に示すごとく、土壌90を所定深さ掘削し、未掘削土壌上にコンクリート製の基礎部91を形成し、土壌92を埋め戻して基礎部91の上面911を覆ったものが知られている。この基礎部91に、外構構造物93が構築される。
この基礎構造95は、基礎部91と埋め戻し土壌92とが有する重量により、外構構造物93に土圧、地震力、風圧等の水平力Fが加わった場合の安定性を確保する構造になっている。
【0003】
また、図13に示すごとく、基礎部91aの下の土壌90に鋼管杭94を打ち込むことにより、外構構造物93を安定化する基礎構造95aが知られている(下記非特許文献1参照)。この基礎構造95aは、水平力Fに対する抵抗力が鋼管杭94に生じるため、図12と比較して基礎部91aを小さくすることができる。
【0004】
【非特許文献1】日本建築学会編集 「壁式構造関係設計基準・同解説(メーソンリー編)」の、「コンクリートブロック塀設計基準・同解説」第7条「基礎」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外構構造物93は、上記水平力Fに対して十分に安定な構造にすることが法令により義務付けられている。そのため、図12の基礎構造95を採用した場合、基礎部91の重量を重くする必要があり、その結果、基礎部91のサイズを大きくする必要がある。また、埋め戻し土壌92の重量を増やすため、基礎部91の面積を広くする必要があり、その結果、多くの土壌90を掘削しなくてはならない問題や、狭い場所に基礎部91を構築できない問題が生じている。
【0006】
一方、図13の基礎構造95aは、埋め戻し土壌92が締め固められて十分な側圧抵抗fを生じることを前提として設計されている。つまり、外構構造体93に水平力Fが加わっても十分な側圧抵抗fが生じるため、大きく変位しないと仮定して設計されている。そのため、水平力Fが加わった場合の回転軸Aは、鋼管杭94の上端部96付近にあると予想されている。
【0007】
しかし、実際にこの基礎構造95aを作製してみると、埋め戻し土壌92を十分に締め固めることが難しく、比較的柔らかいため、側圧抵抗fが低く、鋼管杭94の下端部97付近を回転軸Aとして回転することが多い。そのため、外構構造体93に強い水平力Fが加わった時に、予想外の変位量が発生し、場合によっては転倒する恐れがあった。側圧抵抗fを高くするためには、埋め戻し土壌92を十分に締め固めればよいが、実際の施工では困難である。
【0008】
図13の支持構造95aは、図12と比較して基礎部91aのサイズを小さくできるものの、上述の理由により殆ど採用されず、現実には図12の基礎構造95が主に使われている。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、基礎部の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構用杭と、それを用いた外構構造物の基礎構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、外構構造物を支持するために地中に打ち込まれる外構用杭であって、
鋼管よりなる杭本体部と、
該杭本体部の外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面が上記杭本体部の中心軸線に平行となるように設けられた板状の側圧抵抗板とを備え、
上記杭本体部は、掘削されていない未掘削土壌に対して打ち込まれる埋設部と、上記未掘削土壌上に突出し、上記外構構造物の土台となる基礎部に固定される突出部とを有し、
上記側圧抵抗板は、上記埋設部の外周面に設けられ上記未掘削土壌に打ち込まれるよう構成されていることを特徴とする外構用杭にある(請求項1)。
【0011】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明の外構用杭は、上記側圧抵抗板を備えている。そのため、外構構造物に水平力が加わった場合に、側圧抵抗板を有さない従来の外構用杭(図13参照)と比較して大きな側圧抵抗が生じることとなる。これにより、外構構造物を安定して支持することが可能となる。すなわち、外構構造物に水平力が加わった場合、外構構造物が外構用杭と共に回転しようとするが、上記側圧抵抗板に大きな側圧抵抗が生じるため、回転中心である回転軸は、外構用杭の比較的高い場所に位置することになる。これにより、水平力が加わった場合の外構構造物の変位量を少なくすることができ、外構構造物を安定して支持することが可能となる。
また、本発明の外構用杭は、側圧抵抗板が未掘削土壌に打ち込まれる上記埋設部に設けられている。そのため、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく、側圧抵抗板に大きな側圧抵抗を生じさせることができる。
【0012】
一方、本発明では、基礎部の下に杭本体部を打ち込んでいるため、図12のように杭を使わない従来方法と比較して、基礎部の大きさを小さくすることができる。これにより、掘削土量を削減でき、狭い場所でも基礎構造を構築することが可能となる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、基礎部の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構用杭を提供することができる。
【0014】
また、第2の発明は、外構構造物の基礎構造であって、
上記外構用杭を用い、
上記側圧抵抗板の主表面と、上記外構構造物の主表面とが互いに平行になるように、上記外構用杭が上記未掘削土壌に打ち込まれていることを特徴とする外構構造物の基礎構造にある(請求項10)。
【0015】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明では、側圧抵抗板に生じる側圧抵抗を最も大きくすることができる。これにより、上記外構用杭の効果を最大限に発揮でき、基礎構造の安定性を高くすることができる。
すなわち、仮に側圧抵抗板の主表面と外構構造物の主表面とが直交していたとすると、外構構造物に加わった水平力に対し、十分な側圧抵抗を生じさせることができない。これに対して、本発明のごとく、側圧抵抗板の主表面と外構構造物の主表面とが平行とされている場合には、側圧抵抗板に最も大きな側圧抵抗を発生させることができる。
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、基礎部の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構構造物の基礎構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明の外構用杭は、塀、フェンス、門柱、擁壁、門、垣根など、建物の外に存在するあらゆる種類の構造物に使用できるが、特に擁壁と塀に用いることが好ましい。擁壁は水平方向に大きな土圧が加わるため、本発明を用いた場合の効果が特に大きい。また、塀は垣根などと比較して面積が大きいため、風圧等により大きな水平力が加わりやすく、本発明による効果が大きい。
【0018】
また、本発明の外構用杭は、その表面が亜鉛めっき層または粉体塗料層にて被覆されていることが好ましい。この場合には、杭本体部の腐食を防止できるため、外構用杭を長期間にわたって使用することが可能となる。
【0019】
また、第1の発明において、上記埋設部の軸線方向における上端部と下端部との中間位置から、上記上端部までの間に上記側圧抵抗板が取付けられていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、杭本体部の埋設部における、比較的高い位置に側圧抵抗板が取付けられているため、外構構造物に水平力が加わった場合に、埋設部の高い位置が回転軸となる。これにより、外構構造物の変位量を少なくでき、より安定化することができる。
【0020】
また、上記杭本体部には第1の上記側圧抵抗板と第2の上記側圧抵抗板とが、上記杭本体部の中心軸線に関して互いに線対称となるように取付けられていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、外構用杭を未掘削土壌に打ち込む際のバランスが良くなる。すなわち、仮に上記第2の側圧抵抗板が存在せず、第1の側圧抵抗板のみが取付けられていたとすると、外構用杭を未掘削土壌に打ち込もうとしてもバランスが悪くなり、垂直に打ち込むことが困難となる。しかし、上述のように2枚の側圧抵抗板を、上記中心軸線に関して互いに線対称となるように取付けることにより、未掘削土壌に打ち込む際のバランスが良くなり、容易に垂直に打ち込むことが可能となる。
【0021】
また、上記第1の側圧抵抗板と、上記第2の側圧抵抗板との、合計の面積は300〜1000cm2であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、外構用杭の重量を軽くできるとともに、十分な側圧抵抗を生じさせることができる。すなわち、上記2枚の側圧抵抗板の合計面積が300cm2未満の場合は、十分な側圧抵抗を得られない。また、1000cm2を超える場合は、大きな側圧抵抗を得られるものの、外構用杭の重量が重くなりすぎる。
【0022】
次に、上記杭本体部は、外径が45〜65mmであることが好ましい(請求項5)。
この場合には、外構用杭の座屈強度を高くすることができるとともに、未掘削土壌に対して容易に打ち込むことが可能となる。すなわち、外径が45mm未満の場合は、外構用杭の座屈強度が低いため、未掘削土壌に打ち込む際に曲がる場合がある。また、外径が65mmを超えると、打ち込み時の抵抗が大きくなるため、未掘削土壌に打ち込みにくくなる。なお、杭本体部の外径は、鋼管の規格品として流通している48.6mmまたは60.5mmが最も好ましい。
【0023】
また、上記側圧抵抗板は、上記杭本体部に溶接されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、杭本体部と側圧抵抗板との接合強度が高いので、外構用杭を未掘削土壌に打ち込む際に側圧抵抗板が杭本体部から脱離する等の不具合が生じにくい。
【0024】
次に、上記側圧抵抗板は、その板厚が4〜9mmであることが好ましい(請求項7)。
この場合には、側圧抵抗板の強度を高くすることが可能であるとともに、打ち込み時におけるバランスを良好にすることができる。すなわち、板厚が4mm未満の場合は、側圧抵抗板の強度が低いため、未掘削土壌に打ち込んだ時に曲がってしまう場合がある。また、板厚が9mmを超えると、打ち込み時のバランスが悪くなり、外構用杭を垂直に打ち込むことが困難となる。
【0025】
また、上記杭本体部は、軸線方向長さが1〜5mであることが好ましい(請求項8)。
この場合には、外構構造物の安定性を十分に確保できるとともに、未掘削土壌に容易に打ち込める外構用杭とすることができる。すなわち、杭本体部の軸線方向長さが1m未満の場合は、外構構造物を十分に安定できず、強い水平力が加わった場合に転倒したり滑動したりすることがある。また、軸線方向長さが5mを超えると、未掘削土壌に打ち込みにくくなる。
【0026】
次に、上記側圧抵抗板は、四辺形板状に形成されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、大きな板金を切断することにより側圧抵抗板を製造した場合に、側圧抵抗板を半円形状や台形にした場合と比較して、余分な切れ端が無くなるため、板金を効率よく利用することができる。
【0027】
なお、側圧抵抗板は、杭本体部の上方に向かうほど幅広になる台形状または三角形状にしてもよい。この場合には、外構用杭を未掘削土壌に打ち込む時の抵抗が小さくなるため、打ち込みやすくなるというメリットがある。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる外構用杭および外構構造物の基礎構造につき、図1〜図4を用いて説明する。
本例の外構用杭1は、図1に示すごとく、地中に打ち込まれ、外構構造物3を支持している。この外構用杭1は、鋼管よりなる杭本体部13を備える。杭本体部13には、外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面121が杭本体部13の中心軸線131に平行となるように、板状の側圧抵抗板12が設けられている。
また、杭本体部13は、掘削されていない未掘削土壌4に対して打ち込まれる埋設部10と、未掘削土壌4上に突出し、外構構造物3の土台となる基礎部5に固定される突出部11とを有する。
そして、側圧抵抗板12は、埋設部10の外周面に設けられ未掘削土壌4に打ち込まれるよう構成されている。
【0029】
また、図2に示すごとく、埋設部10の軸線方向における上端部132と下端部133との中間位置134から、上端部132までの間に側圧抵抗板12が取付けられている。
つまり、埋設部10の軸線方向長さをLとした場合、上端部132から、下端部133側へL/2離隔した中間位置134までの間に、側圧抵抗板12が取付けられている。
より詳しくは、本例では、上端部132から、下端部133側へL/3離隔した位置135までの間に、側圧抵抗板12が取付けられている。
【0030】
次に、図2に示すごとく、杭本体部13には第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとが、杭本体部13の中心軸線131に関して互いに線対称となるように取付けられている。
【0031】
また、図3および図4の詳細図に示すごとく、本例にかかる外構構造物3の基礎構造2は、上述の外構用杭1を用いて外構構造物3を安定化している。そして、側圧抵抗板12の主表面121と、外構構造物3の主表面30とが互いに平行になるように、外構用杭1が未掘削土壌4に打ち込まれている。
【0032】
上記基礎部5は、所謂I型基礎である。図3に示すごとく、埋設部10の上端部132から所定の厚さに、砕石層51と捨てコンクリート層52とが敷設される。そして、この捨てコンクリート層52の上に基礎部5が形成される。
また、捨てコンクリート層52の上に、突出部11を挟むようにブロック53a,53bが配置されている。ブロック53a,53bは、地面6から所定高さ突出するまで積み重ねられる。
また、ブロック53a,53bの間に金属製の縦筋55および横筋56が挿入され、無収縮モルタル54が流し込まれる。図4に示すごとく、外構構造物3の長手方向に複数本の縦筋55が挿入されており、そのうち外構用杭1の真上に位置する縦筋55は、その下端部551が外構用杭1の上端部100に挿入されている。また、上述の無収縮モルタル54は、上端部100から外構用杭1の内側に流入し、固化している。
【0033】
さらに、図3に示すごとく、基礎部5と未掘削土壌4との間は、埋め戻し土壌40にて埋め戻されている。また、基礎部5に塀や擁壁等の外構構造物3が構築される。
【0034】
実施例1の作用効果につき説明する。
本例の外構用杭1は、図1に示すごとく、側圧抵抗板12を備えている。そのため、外構構造物3に水平力Fが加わった場合に、側圧抵抗板12を有さない従来の外構用杭1(図13参照)と比較して大きな側圧抵抗fが生じることとなる。これにより、外構構造物3を安定して支持することが可能となる。すなわち、外構構造物3に水平力が加わった場合、外構構造物3が外構用杭1と共に回転しようとするが、上記側圧抵抗板12に大きな側圧抵抗fが生じるため、回転中心である回転軸Aは、外構用杭1の比較的高い場所に位置することになる。これにより、水平力が加わった場合の外構構造物の変位量を少なくすることができ、外構構造物を安定して支持することが可能となる。
また、本発明の外構用杭1は、側圧抵抗板12が未掘削土壌4に打ち込まれている。そのため、埋め戻し土壌40の締め固め品質に影響されることなく、側圧抵抗板12に大きな側圧抵抗fを生じさせることができる。
【0035】
一方、本例では、基礎部5の下に杭本体部13を打ち込んでいるため、図12のように杭を使わない方法と比較して、基礎部5の大きさを小さくすることができる。これにより、掘削土量を削減でき、狭い場所でも基礎構造2を構築することが可能となる。
【0036】
また、図2に示すごとく、埋設部10の軸線方向における上端部132と下端部133との中間位置134から、上端部132までの間に側圧抵抗板12が取付けられている。
この場合には、杭本体部13の埋設部10における、比較的高い位置に側圧抵抗板12が取付けられているため、外構構造物3に水平力が加わった場合に、埋設部10の高い位置が回転軸Aとなる。これにより、外構構造物3の変位量を少なくでき、より安定化することができる。
【0037】
なお、図2に示すごとく、上端部132から、下端部133側へL/3離隔した位置135までの間に、側圧抵抗板12を取付けることが好ましい。側圧抵抗板12を高い位置に設けるほど、安定性が増す。
【0038】
次に、図2に示すごとく、杭本体部13には第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとが、杭本体部13の中心軸線131に関して互いに線対称となるように取付けられている。
この場合には、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込む際のバランスが良くなる。すなわち、仮に第2の側圧抵抗板12bが存在せず、第1の側圧抵抗板12aのみが取付けられていたとすると、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込もうとしてもバランスが悪くなり、垂直に打ち込むことが困難となる。しかし、上述のように2枚の側圧抵抗板12a,12bを、中心軸線131に関して互いに線対称となるように取付けることにより、未掘削土壌4に打ち込む際のバランスが良くなり、容易に垂直に打ち込むことが可能となる。
【0039】
また、側圧抵抗板12は、杭本体部13に溶接されている。
この場合には、杭本体部13と側圧抵抗板12との接合強度が高いので、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込む際に側圧抵抗板12が杭本体部13から脱離する等の不具合が生じにくい。
【0040】
また、図2に示すごとく、側圧抵抗板12は、四辺形板状に形成されている。
この場合には、大きな板金を切断することにより側圧抵抗板12を製造した場合に、側圧抵抗板12を半円形状や台形にした場合と比較して、余分な切れ端が無くなるため、板金を効率よく利用することができる。
【0041】
次に、杭本体部13は、その表面が亜鉛めっき層にて被覆されている。
この場合には、杭本体部13の腐食を防止できるため、外構用杭1を長期間にわたって使用することが可能となる。なお、亜鉛めっき層の他、外構用杭1を粉体塗料層で被覆しても同様の効果を奏する。
【0042】
また、図1(A)、図3に示すごとく、本例の基礎構造2は、側圧抵抗板12の主表面121と、外構構造物3の主表面30とが互いに平行になるように、外構用杭1が未掘削土壌4に打ち込まれている。
【0043】
この場合には、側圧抵抗を最も大きくすることができる。これにより、外構用杭1の効果を最大限に発揮でき、基礎構造2の安定性を高くすることができる。
すなわち、仮に側圧抵抗板12の主表面121と外構構造物3の主表面30とが直交していたとすると、外構構造物3に加わった水平力に対し、十分な側圧抵抗を生じさせることができない。これに対して、本例のごとく、側圧抵抗板12の主表面121と外構構造物3の主表面30とが平行とされている場合には、側圧抵抗板12に最も大きな側圧抵抗を発生させることができる。
【0044】
また、図3、図4に示すごとく、縦筋55の下端部551が杭本体部13の上端部100に差し込まれている。
これにより、基礎部5と外構用杭1との固定強度を高めることが可能となる。
【0045】
さらに、図3、図4に示すごとく、杭本体部13の内側に無収縮モルタル54が入り、固化している。
これにより、杭本体部13の剛性を高めることができ、同時に杭本体部13内部の防錆をすることができる。
【0046】
以上のごとく、本例によれば、基礎部5の大きさや掘削土量を削減でき、埋め戻し土壌40の締め固め品質に影響されることなく高い安定性を確保できる外構用杭1と、それを用いた外構構造物3の基礎構造2を提供することができる。
【0047】
(実験例)
本例は、実施例1の外構用杭1および基礎構造2の効果を確認した例である。
図5(A)に示すごとく、本発明に係る外構用杭1および基礎構造2のサンプルを作成した。まず、土壌を地面6から300mmの深さD1まで掘削し、未掘削土壌4に2本の外構用杭1を800mmの間隔D2をおいて打ち込んだ。外構用杭1の埋設部10の長さD3は1300mmである。外構用杭1には2枚の側圧抵抗板12a,12bが取付けられており、この側圧抵抗板12a,12bの合計の面積は450cm2である。
次に、2本の外構用杭1の上に基礎部5を形成した。この基礎部5の構造は、図3、図4に示すものと同一である。また、基礎部5の上に外構構造物3としての塀を形成した。より詳しくは、2本の鉄骨支柱31を800mmの間隔D4をおいて基礎部5に固定し、その間に横架材32を取付けた。また、鉄骨支柱31の間にコンクリート製の壁部33を形成した。鉄骨支柱31の高さD5は地面6から2000mmであり、横架材32の高さD6は、地面6から1000mmである。横架材32から鉄骨支柱31の先端までの長さD7は1000mmである。
なお、本例では、杭本体部13の外径は48.6mmである。また、第1の側圧抵抗板n12aと第2の側圧抵抗板12bとは、その板厚が6mmである。さらに、杭本体部13の軸線方向長さは、1.5mである。
以上のようにして、本発明に係る基礎構造2のサンプルAとした。
【0048】
次に、図5(B)に示すごとく、重量部材としてバックホー70を配置し、横架材32とバックホー70を、チェーンブロック71およびテンションメータ72を介してワイヤ73で繋いだ。そして、チェーンブロック71を用いて横架材32に荷重をかけ、外構構造物3の変位を、地面6から300mmの高さ位置と、1000mmの高さ位置とで測定した。
【0049】
一方、外構用杭1の代わりに、側圧抵抗板12を有さない鋼管杭を用い、その他の構成を図5(A)と同じにした比較例としてのサンプルBを作成した。また、外構用杭1を有さず、その他の構成を図5(A)と同じにした比較例としてのサンプルCを作成した。
【0050】
その結果を図6に示す。図示するごとく、外構用杭1を有さないサンプルCは、180kg重の荷重で大きく変位してしまい、それ以上荷重を加えて計測することはできなかった。
また、サンプルAとサンプルBとを比較すると、例えば320kg重程度の比較的軽い荷重を加えた場合でも、サンプルBの方が大きく変位することが分かる。そして、600kg重程度の比較的重い荷重を加えた場合、サンプルAは13mmの変位が生じるのに対し、サンプルBは20mmの変位が生じていることが分かる。つまり、サンプルAはサンプルBと比較して、30%以上も変位量が少なく、安定している。
なお、地面から1000mmの高さ位置にて変位を測定した際のグラフを、図7に示す。このように図7からも、サンプルB、サンプルCよりもサンプルAの方が安定性が高いことがわかる。
【0051】
なお、本例では第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとの、合計の面積を450cm2としたが、この面積は300〜1000cm2の範囲で変更できる。この範囲であれば、外構用杭1の重量を軽くできるとともに、十分な側圧抵抗を生じさせることができる。すなわち、2枚の側圧抵抗板12の合計面積が300cm2未満の場合は、十分な側圧抵抗を得られない。また、1000cm2を超える場合は、大きな側圧抵抗を得られるものの、外構用杭1の重量が重くなりすぎる。
【0052】
また、本例では杭本体部13の外径を48.6mmとしたが、この値は45〜65mmの範囲で変更できる。この範囲であれば、外構用杭1の座屈強度を高くすることができるとともに、未掘削土壌4に対して容易に打ち込むことが可能となる。すなわち、外径が45mm未満の場合は、外構用杭1の座屈強度が低いため、未掘削土壌4に打ち込む際に曲がる場合がある。また、外径が65mmを超えると、打ち込み時の抵抗が大きくなるため、未掘削土壌4に打ち込みにくくなる。
【0053】
さらに、本例では第1の側圧抵抗板12aと第2の側圧抵抗板12bとの板厚を6mmとしたが、この値は4〜9mmの範囲で変更できる。この範囲であれば、側圧抵抗板12の強度を高くすることが可能であるとともに、打ち込み時におけるバランスを良好にすることができる。すなわち、板厚が4mm未満の場合は、側圧抵抗板12の強度が低いため、未掘削土壌4に打ち込んだ時に曲がってしまう場合がある。また、板厚が9mmを超えると、打ち込み時のバランスが悪くなり、外構用杭1を垂直に打ち込むことが困難となる。
【0054】
また、本例では杭本体部13の軸線方向長さを1.5mとしたが、この値は1〜5mの範囲で変更できる。この範囲であれば、外構構造物3の安定性を十分に確保できるとともに、未掘削土壌4に容易に打ち込める。すなわち、杭本体部13の軸線方向長さが1m未満の場合は、外構構造物3を十分に安定できず、強い水平力が加わった場合に転倒したり滑動したりすることがある。また、軸線方向長さが5mを超えると、未掘削土壌4に打ち込みにくくなる。
【0055】
(実施例2)
本例は、図8に示すごとく、側圧抵抗板12の形状を変えた例である。図8に示す外構用杭1は、側圧抵抗板12cを台形にしている。より詳しくは、側圧抵抗板12cは、その側端面122と、杭本体部13の中心軸線131との距離Dが、杭本体部13の軸線方向下端側gに向かうほど漸次減少する台形にされている。
また、図9に示す外構用杭1は、側圧抵抗板12dを三角形状にしている。より詳しくは、側圧抵抗板12dは、その側端面123と、杭本体部13の中心軸線131との距離Dが、杭本体部13の軸線方向下端側gに向かうほど漸次減少する三角形状にされている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0056】
このようにすると、外構用杭1を地面に打ち込んだ時の抵抗が小さくなるため、打ち込みやすいというメリットがある。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0057】
(実施例3)
本例は、図10に示すごとく、側圧抵抗板12の枚数を変えた例である。図10に示す外構用杭1は、4枚の側圧抵抗板12が互いに直交するように取付けられている。
また、本例では、杭本体部13の下端部(開口端)133に、円錐形状の閉塞部71が取付けられている。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0058】
このように、側圧抵抗板12を4枚取り付けることにより、外構構造物3が例えば道路標識等のように柱状である場合でも、安定にすることが可能となる。
また、下端部(開口端)133に閉塞部71を取付けることにより、外構用杭1を未掘削土壌4に打ち込んだ時に、杭本体部13の中に土壌が入ることを防止できる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0059】
(実施例4)
本例は、図11に示すごとく、側圧抵抗板12の取付方法を変えた例である。図11の側圧抵抗板12は、本体部12eと、取付部12fと、これらを締結する締結部材(ボルト)7とから構成される。本体部12eおよび取付部12fには、各々湾曲部124,125が形成されている。これら湾曲部124,125の内側に杭本体部13を挿通するとともに、締結部材7により本体部12eと取付部12fとを締結する。これにより、杭本体部13に側圧抵抗板12を固定する。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0060】
この場合には、側圧抵抗板12(本体部12e、取付部12f、締結部材7)と、杭本体部13とを分離して保管することができる。そして、施工現場に応じて、側圧抵抗板12が必要な場合にのみ側圧抵抗板12を杭本体部13に取付ける。これにより、杭本体部13を、側圧抵抗板2が必要な施工現場と、必要ない施工現場との、双方に使用することが可能となる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1における、(A)外構用杭を用いた基礎構造および外構構造物の簡略図であって、図1(B)のb−b矢視断面図(B)外構用杭を用いた基礎構造および外構構造物の簡略図であって、図1(A)のa−a矢視断面図。
【図2】実施例1における、外構用杭の(A)側面図(B)正面図(C)図2(B)のc−c矢視断面図。
【図3】実施例1における、外構用杭を用いた基礎構造の詳細図であって、図4のe−e矢視断面図。
【図4】実施例1における、外構用杭を用いた基礎構造の詳細図であって、図3のd−d矢視断面図。
【図5】実験例1における、(A)実験サンプルの正面図(B)実験サンプルの側面図。
【図6】実験例1における、加えた荷重と、地面から300mmの高さ位置における変位量との関係を表すグラフ。
【図7】実験例2における、加えた荷重と、地面から1000mmの高さ位置における変位量との関係を表すグラフ。
【図8】実施例2における、側圧抵抗板を台形にした例
【図9】実施例2における、側圧抵抗板を三角形状にした例。
【図10】実施例3における、(A)側圧抵抗板を4枚にした外構用杭の正面図(B)図10(A)のh−h矢視断面図。
【図11】実施例4における、杭本体部に着脱可能にした側圧抵抗板の例であって、(A)杭本体部および側圧抵抗板の正面図(B)図11(A)のi−i矢視断面図。
【図12】従来例における、鋼管杭を用いない外構構造物の基礎構造。
【図13】従来例における、鋼管杭を用いた外構構造物の基礎構造。
【符号の説明】
【0062】
1 外構用杭
10 埋設部
11 突出部
12 側圧抵抗板
13 杭本体部
2 基礎構造
3 外構構造物
4 未掘削土壌
40 埋め戻し土壌
5 基礎部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外構構造物を支持するために地中に打ち込まれる外構用杭であって、
鋼管よりなる杭本体部と、
該杭本体部の外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面が上記杭本体部の中心軸線に平行となるように設けられた板状の側圧抵抗板とを備え、
上記杭本体部は、掘削されていない未掘削土壌に対して打ち込まれる埋設部と、上記未掘削土壌上に突出し、上記外構構造物の土台となる基礎部に固定される突出部とを有し、
上記側圧抵抗板は、上記埋設部の外周面に設けられ上記未掘削土壌に打ち込まれるよう構成されていることを特徴とする外構用杭。
【請求項2】
請求項1において、上記埋設部の軸線方向における上端部と下端部との中間位置から、上記上端部までの間に上記側圧抵抗板が取付けられていることを特徴とする外構用杭。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、上記杭本体部には第1の上記側圧抵抗板と第2の上記側圧抵抗板とが、上記杭本体部の中心軸線に関して互いに線対称となるように取付けられていることを特徴とする外構用杭。
【請求項4】
請求項3において、上記第1の側圧抵抗板と、上記第2の側圧抵抗板との、合計の面積は300〜1000cm2であることを特徴とする外構用杭。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、上記杭本体部は、外径が45〜65mmであることを特徴とする外構用杭。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項において、上記側圧抵抗板は、上記杭本体部に溶接されていることを特徴とする外構用杭。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項において、上記側圧抵抗板は、その板厚が4〜9mmであることを特徴とする外構用杭。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項において、上記杭本体部は、軸線方向長さが1〜5mであることを特徴とする外構用杭。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項において、上記側圧抵抗板は、四辺形板状に形成されていることを特徴とする外構用杭。
【請求項10】
外構構造物の基礎構造であって、
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の外構用杭を用い、
上記側圧抵抗板の主表面と、上記外構構造物の主表面とが互いに平行になるように、上記外構用杭が上記未掘削土壌に打ち込まれていることを特徴とする外構構造物の基礎構造。
【請求項1】
外構構造物を支持するために地中に打ち込まれる外構用杭であって、
鋼管よりなる杭本体部と、
該杭本体部の外周面から半径方向外方に突出すると共に、その主表面が上記杭本体部の中心軸線に平行となるように設けられた板状の側圧抵抗板とを備え、
上記杭本体部は、掘削されていない未掘削土壌に対して打ち込まれる埋設部と、上記未掘削土壌上に突出し、上記外構構造物の土台となる基礎部に固定される突出部とを有し、
上記側圧抵抗板は、上記埋設部の外周面に設けられ上記未掘削土壌に打ち込まれるよう構成されていることを特徴とする外構用杭。
【請求項2】
請求項1において、上記埋設部の軸線方向における上端部と下端部との中間位置から、上記上端部までの間に上記側圧抵抗板が取付けられていることを特徴とする外構用杭。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、上記杭本体部には第1の上記側圧抵抗板と第2の上記側圧抵抗板とが、上記杭本体部の中心軸線に関して互いに線対称となるように取付けられていることを特徴とする外構用杭。
【請求項4】
請求項3において、上記第1の側圧抵抗板と、上記第2の側圧抵抗板との、合計の面積は300〜1000cm2であることを特徴とする外構用杭。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、上記杭本体部は、外径が45〜65mmであることを特徴とする外構用杭。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項において、上記側圧抵抗板は、上記杭本体部に溶接されていることを特徴とする外構用杭。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項において、上記側圧抵抗板は、その板厚が4〜9mmであることを特徴とする外構用杭。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項において、上記杭本体部は、軸線方向長さが1〜5mであることを特徴とする外構用杭。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項において、上記側圧抵抗板は、四辺形板状に形成されていることを特徴とする外構用杭。
【請求項10】
外構構造物の基礎構造であって、
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の外構用杭を用い、
上記側圧抵抗板の主表面と、上記外構構造物の主表面とが互いに平行になるように、上記外構用杭が上記未掘削土壌に打ち込まれていることを特徴とする外構構造物の基礎構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−1599(P2010−1599A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158642(P2008−158642)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(591196751)旭中部資材株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(591196751)旭中部資材株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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