外気温調排気脱臭システム
【課題】潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段、水・エア熱交換機を適宜組み合わせ、かつ給排気ラインの流路の切替えを可能として、冷・暖房期を通してエネルギー効率が良いとともに水の節約にもなり、ランニングコストが廉価な外気温調排気脱臭システムを提供する。
【解決手段】空調エリアに通ずる給気ライン及び排気ラインの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段を設け、かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段を設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、上記排気ラインLeには単一の潜熱交換手段LHを設け、かつ排気空気が潜熱交換の後にエア・エア顕熱交換手段AAを通る流路と、排気空気がエア・エア顕熱交換手段AAで熱交換した後に潜熱交換手段LHを通る流路との間の切り替えを可能とした。
【解決手段】空調エリアに通ずる給気ライン及び排気ラインの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段を設け、かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段を設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、上記排気ラインLeには単一の潜熱交換手段LHを設け、かつ排気空気が潜熱交換の後にエア・エア顕熱交換手段AAを通る流路と、排気空気がエア・エア顕熱交換手段AAで熱交換した後に潜熱交換手段LHを通る流路との間の切り替えを可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気温調排気脱臭システム、即ち、導入した外気の温度を調整する機能を有する空調システムに関するものであり、特に動物実験施設などへの応用に適した外気温調排気脱臭システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷房期用の外気温調システムとして、空調エリアに通ずる給・排気ラインの各一部の間に、エア・エア顕熱交換手段を、又この顕熱交換機よりも上流(即ち空調エリア寄り)の排気ライン部分に脱臭装置と潜熱交換手段を兼ねたエアワッシャーをそれぞれ設置し、潜熱交換によって排気空気が得た冷気を、顕熱交換機により導入外気側へ回収するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、外気温調システムではないが、年間を通じて水温がほぼ一定(14〜15℃)である井水を利用した冷温水コイル(以下本明細書において井水コイルという)を栽培ハウスの外壁などに布設することが知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−142591号
【特許文献2】特開2004−242658号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、冷房期のためのものであり、仮にこのシステムを暖房期に適用すると、空調エリアから排気した高温空気がエア・エア顕熱交換手段に到達する前にエアワッシャーで冷却されることになり、エネルギー効率が悪い。
【0005】
これに対して、エア・エア顕熱交換手段からエアワッシャーへの順序で構成した暖房期用の排気ラインを別個に設け、季節に応じて冷房期用・暖房期用の2つのラインを使い分けることも可能であるが、そうすると、エア・エア顕熱交換手段とエアワッシャーとが2台づつ必要となり、イニシャルコストが嵩むとともに、メンテナンスも大変である。従って、夏冬ともにエネルギー効率の良いシステムが望まれている。
【0006】
エア・エア顕熱交換手段では、最も効率が良い場合でも、外気と排気空気との温度差が零となるに過ぎないから、熱交換後の外気を更に室内温度に近づけるために、空調エネルギーを加える必要がある。この空調エネルギーを低減するために給気ラインに水・エア顕熱交換手段として特許文献2の井水コイルを用いると、コイルを通過した水をエアワッシャーに再利用することができて水の節約になると同時に、年間を通じて単に井戸から汲み上げた井水を冷熱源として利用することができて好都合である。しかしながら、年間の外気温の変化が5〜30℃とすると、送水時の熱損失がないものとしても井水との温度差は冬季に10℃、夏季に15℃程度である。このように温度差の小さい媒体同士の間で熱をとるためには、冬と夏とでどのような順序で各種の熱交換機を配列するかが重要となる。
【0007】
本発明は、潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段、水・エア顕熱交換手段を適宜組み合わせ、これらを通過する給排気ラインの流路を切り替えることが可能に設けて、比較的簡易な構成で、冷・暖房期を通してエネルギー効率が良いとともに水の節約にもなり、ランニングコストが廉価な外気温調排気脱臭システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段は、空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeには単一の潜熱交換手段LHを設け、
かつ排気空気が潜熱交換の後にエア・エア顕熱交換手段AAを通る流路と、排気空気がエア・エア顕熱交換手段AAで熱交換した後に潜熱交換手段LHを通る流路との間で切り替えることが可能に上記排気ラインLe或いは給気ラインLvを構成している。
【0009】
本手段では、只一つの潜熱交換手段を用いて、潜熱交換手段からエア・エア顕熱交換手段へ、或いはエア・エア顕熱交換手段から潜熱交換手段へ流路を切り替えることができるように排気ライン又は給気ラインを構成している。このシステムは、単独の、或いは2つのエア・エア顕熱交換手段を用いて構築することができる。単独のエア・エア顕熱交換手段を用いる場合には、排気ラインを、図4に示す如く、上流側から潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段を順次設置した主ラインLmと、各熱交換手段を迂回する2つのバイパスB1、B2と、エア・エア顕熱交換手段の下流から潜熱交換手段の上流へ至る補助バイパスB3とで構成すれば良い。尚、本明細書では、排気ラインの主ライン上で空調エリアに近い方(或いは給気ラインの主ライン上で外界に近い方)を上流側とする。また、2つのエア・エア顕熱交換手段を用いる場合には、図9に示す如く、一本の排気ラインの上流側から、エア・エア顕熱交換手段、潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段を順次配列するとともに、給気ラインの一部が二股に分岐して、これら各分岐線がそれぞれ一個のエア・エア顕熱交換手段を通過するようにしても良い。これらの構成に関しては後述する。
【0010】
「潜熱交換手段」は潜熱交換と脱臭の機能を兼備している。ここで潜熱交換手段とは、広く気液の接触により潜熱を交換できるものをいい、水スプレー式装置の他、散水式、或いは流水式のものを含む。脱臭手段としては、従来公知の各種スクラバーの構成を採用することができる。
【0011】
「エア・エア顕熱交換手段」とは、広く空気相互間で顕熱を交換する装置をいう。もっとも排気系ラインの臭気物質や異物が排気系ラインへ混入しないような構造とすることが望ましい。好ましい装置の例は、静止型空気−空気顕熱交換器である。
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
水と空気との間で顕熱を交換する水・エア顕熱交換手段WAを上記給気ラインLvに設けるとともに、
外気がエア・エア顕熱交換手段AAと水・エア顕熱交換手段WAとを通過する順序を入れ替えることが可能に給気ラインLvを形成し、
更に排気ライン側で潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAへの順序で送風しているときには、給気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから水・エア顕熱交換手段WAへ、
また排気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHへの順序で送風しているときには、給気ライン側で水・エア顕熱交換手段WAからエア・エア顕熱交換手段AAへ、
それぞれ送風するように、給気ラインLvと排気ラインLeとを制御することが可能に設けている。
本手段では、潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段、水・エア顕熱交換手段の三種の熱交換機を組み合わせてエネルギー効率の高いシステムを提案しようとしている。潜熱交換手段と顕熱交換手段とを比較すると、後者の方が熱効率が低いので、顕熱の熱交換量を大きくすることがポイントであり、そのために次の表1のように流路を切り替えることができるように構成している。
【0012】
【表1】
図2及び図3は、図1のシステムの作用説明図であり、外気温が33℃(夏季)又は5℃(冬季)、排気温度が23℃、井水温度が15℃である場合の排気空気及び導入空気の温度変化を表している。
冷房期(夏季)には、潜熱交換手段により例えば23℃の排気空気が17℃程度にまで冷却され、33℃の外気との温度差は16℃にもなる。この温度差を利用するため、エア・エア顕熱交換手段→水・エア顕熱交換手段の順序を採用する。顕熱交換手段は顕熱差の半分を交換するため、エア・エア顕熱交換手段を透過した導入空気の温度は25℃となる。図6(A)、(B)は、空気線図に正逆の順序(エア・エア顕熱交換手段⇔水・エア顕熱交換手段)での夏季の導入空気の温度変化をそれぞれ書き込んだものである。逆の順序の場合(図6(B))には、顕熱交換できる熱量が少なくなってしまう。
暖房期(冬季)には、外気の温度が5℃であるのに対して、井水の温度が15℃、排気空気の温度が23℃である。仮に排気空気との顕熱交換を先に行うと、交換後の温度は14℃となり、井水の温度より低くなってしまうから、水・エア顕熱交換ができなくなってしまう。そこで水・エア顕熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序を採用する。図7(A)、(B)は、空気線図に正逆の順序での冬季の導入空気の温度変化をそれぞれ書き込んだものである。この場合にも逆の順序(図7(B))では顕熱交換量が低下する。これらの点については後に更に詳しく述べる。
「水・エア顕熱交換手段」とは、冷温水コイルなど水とエアとの間の顕熱を交換する装置をいう。
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記水・エア顕熱交換手段WAを、冷温水コイルの熱源として井水を用いた井水コイルとしている。
本手段では、年間を通して温度がほぼ一定である井水を熱源とし、外気との温度差が10〜18℃と比較的小さい井水の潜熱及び顕熱を取り出すことで、エネルギー効率の良いシステムを構築することができる。
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ
井水を水・エア顕熱交換手段WAへ供給するとともに、
この水・エア顕熱交換手段から回収した水を更に潜熱交換手段LHに供給している。
本手段は、井水を2段階に利用すること(カスケード利用)を提案している。即ち給気ラインで顕熱を、また排気ラインで潜熱をそれぞれ交換し、更に最初に交換した顕熱量をエア・エア顕熱交換手段によって給気ライン側へ回収するように構成している。単に給気ラインに全熱交換機を設置しても、顕熱及び潜熱の交換をすることができるが、本願の構成によれば水溶性の臭気物質が空気に混入することを防止できる。
【0013】
第5の手段は、
空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeは、
空調エリアから順次潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通る主ラインLmと、
潜熱交換手段LHの上流から分かれて潜熱交換手段及びエア・エア顕熱交換手段の間に合流する潜熱交換手段迂回バイパスB1と、
潜熱交換手段LH及びエア・エア顕熱交換手段AAの間から分かれてこの顕熱交換手段の下流に合流するエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2と、
潜熱交換手段LHの上流とエア・エア顕熱交換手段AAの下流とを結ぶ補助バイパスB3とを有し、
これら主ラインLm及びバイパスB1、B2、B3を、排気空気が潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通過する順序を入れ替えることができ、かつこれら両交換手段のうち一方のみを通過することができるように構築している。
【0014】
本手段では、次の四つの流路モードを随時選択することができるように排気ラインを構成している。そのためには、図4に示すように、少なくとも、イの流路モードに対応した主ラインと、ハ、ニの流路モードに対応して、潜熱交換手段乃至エア・エア顕熱交換手段を迂回するバイパスと、排気空気が潜熱交換手段を迂回してエア・エア顕熱交換手段を通過した後に、潜熱交換手段の上流側に戻すための補助バイパスとが必要である。これらバイパスの具体的な配列に関しては更に後述する。
イ.潜熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序で通る流路モード
ロ.エア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段の順序で通る流路モード
ハ.潜熱交換手段のみを通る流路モード
ニ.エア・エア顕熱交換手段のみを通る流路モード
尚、本明細書で、主ライン及びバイパスという言葉は、仮に潜熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序を標準的な流路モードと定めて、このモードの流路を主ラインとし、その他のモードに切り替えるときの流路をバイパスとして区別したに過ぎない。他の順序を標準的な流路モードと定めれば用語の使い方も変わってくるが、名称が変わるだけで構成が異なる訳ではない。
【0015】
第6の手段は、第5の手段を有し、かつ
上記主ラインLm上において、
この主ラインへの潜熱交換手段迂回バイパスB1の合流点dを、主ラインLmからのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の分岐点cよりも、下流に位置させるとともに、
上記補助バイパスB3の両端点b、eのうち少なくとも一方を、主ラインLmからの潜熱交換手段迂回バイパスB1の分岐点aと主ラインLmへのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の合流点fとの間に設けている。
【0016】
本手段では、一本の主ラインと3本の単管バイパスB1、B2、B3を用いて潜熱交換手段(LH)及びエア・エア顕熱交換手段(AA)を含むサブシステムを構築するための条件を提案している。図4のシステムの場合には、前述のイ〜ニの各流路モードに関して具体的に次の経路を取れば良い。
【0017】
【表2】
これらの流路を実現するためには、図4の主ライン上でa〜bの区間、c〜dの区間、及びe〜fの区間を排気空気が2度通過することがないように構築すれば良い。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段に係る発明によれば次の効果を奏する。
【0019】
○暖房期には、エア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHの順序で排気空気を送風するので、低温の外気に対して排気空気の温度差を最大限に利用することができ、また冷房期には、潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAの順序で排気空気を送風するので、元々の外気と排気温度との温度差に加えて、潜熱交換手段LHによる温度下降分も利用することができるので、エア・エア顕熱交換手段AAの熱交換率が高まる。
○更に暖房期には、排気温度がエア・エア顕熱交換手段AAを通過することで気温低下するから、潜熱交換手段LHにおける脱臭効率も高まる。
第2の手段に係る発明によれば、冷房期には、外気が水・エア顕熱交換手段WAよりも先にエア・エア顕熱交換手段AAを通過するから、順序を逆にした場合と比較して、空気相互の熱交換の際の外気と排気空気との温度差が大きくなり、熱交換率を高めることができる。
【0020】
第3の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○低コスト資源である井水を利用してランニングコストを低下することができる。
○外気との温度差が比較的小さい井水の潜熱及び顕熱を取り出すことで、エネルギー効率の良いシステムを構築することができる。
【0021】
第4の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○顕熱交換に使用した井水を更に潜熱交換に利用することで、水量を節約することができる。
○更に井水をカスケード利用することで、供給空気の質を維持しながら、熱交換の効率を高めることができる。
【0022】
第5の手段に係る発明によれば、潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAへの順序の流路と、エア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHへの順序の流路と、潜熱交換手段LHのみの流路と、エア・エア顕熱交換手段AAのみの流路との切替えを、1つの潜熱交換手段と1つのエア・エア顕熱交換手段とで容易に実現することができる。
【0023】
第6の手段に係る発明によれば、最小限のバイパス数でシステムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1から図8は、本発明の第1の実施形態に係る外気温調排気脱臭システムを示している。
【0025】
このシステムは、図1に示す如く排気・給気・給水の各サブシステムで構成されている。
【0026】
排気系サブシステムSeは、排気ラインLeと潜熱交換手段LHとを具備し、更に給気ラインとの間でエア・エア顕熱交換手段AAを共有している。
【0027】
排気ラインLeは、図5(A)において太線で描いた、点a→b→c→d→e→fの経路を辿る主ラインLmと、点a〜dの間の潜熱交換手段迂回バイパスB1と、点c〜fの間のエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2と、点b〜eで示す補助バイパスB3とで形成されている。図4は、図1の排気ラインと等価の流路網であり、主ラインLmを直線的に描いて各種バイパスB1〜B3との関係を分かり易く表現したものである。即ち、潜熱交換手段のみを通気させるときにはバイパスB2を介してエア・エア顕熱交換手段を迂回させれば良く、エア・エア顕熱交換手段のみを通気させるときには、バイパスB1を介して潜熱交換手段を迂回させれば良い。エア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段の順をとるときには、バイパスB1を介して潜熱交換手段LHを迂回させた後にエア・エア顕熱交換手段AAを通過した空気を、潜熱交換手段の上流側に戻し、潜熱交換手段を通過した空気を、バイパスB2を介してエア・エア顕熱交換手段を迂回させれば良い。
【0028】
この際にバイパスB2の分岐点cがバイパスB1の合流点dよりも上流側になっていることが必要であり、この位置関係が逆であると、排気空気が潜熱交換手段を迂回した後と潜熱交換手段を通過した後とで区間c〜dを二度通過することとなり、流路網として実現することができない。また、補助バイパスB3の両端b、eのうち少なくとも一方が点aとLHとの区間、又はAAと点fとの区間にあることを要する。そうしないとエア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段という順序をとるときに、区間a〜b又は区間e〜fを二度通過することとなり、やはり流路網として成立しない。
【0029】
これら主ラインLmと、各バイパスB1〜B3の適所とには、開閉弁2を付設し、図示しない制御装置により潜熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序の流路、エア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段の順序の流路、潜熱交換手段のみを通る流路、エア・エア顕熱交換手段のみを通る流路を適宜選択することができるように設ける。
【0030】
潜熱交換手段LHは、脱臭機を兼ねる水スプレー装置である。具体的には、従来加湿器に使用されている微細水スプレーを使用し、給気を吸収させた水をエリミネーターで回収、排水するように構成している。水スプレーにより、室内からの排気温湿度が23℃55%である場合、理論上は17℃程度まで冷やすことが可能である。
【0031】
エア・エア顕熱交換手段AAは、排気空気と外部から導入された空気とが混じり合わないように顕熱のみを交換できるように形成されている。
【0032】
給気系サブシステムSvは、給気ラインLvと水・エア顕熱交換手段WAとを具備し、更にエア・エア顕熱交換手段AAを有する。
【0033】
給気ラインLvは、主ラインLm’と、水・エア顕熱交換手段迂回バイパスB4と、エア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2’と、補助バイパスB3’とを有している。給気ラインは排気ラインと基本的に同じ構成で良く、以下排気ラインの構造の説明を以て給気ラインの説明に代えるものとする。
【0034】
水・エア顕熱交換手段WAは、前述の井水コイルとして形成することができる。
【0035】
給水用サブシステムSwは、井戸4から高架式蓄水槽6を介して、水・エア顕熱交換手段WA、潜熱交換手段LHの順に井水を供給している。
【0036】
上記構成において、冷房期に脱臭・冷房運転を行うときには、排気系サブシステムの各バイパスB1〜B3及び給気系サブシステムのバイパスB2’・B3’・B4の弁2を閉鎖すればよい。そうすると図5(A)の如く排気系で点a→b→c→d→e→f→(排気口)という流路が、給気系で点a’→d’→e’→b’→c’→f’→(空調エリア)という流路がそれぞれ構築される。
【0037】
図2は、この状態で給・排気ラインの送風機及び井水供給管のポンプ(図示せず)を起動させたときの空気及び水の流れを示している。即ち、空調エリアから排出された空気は、潜熱交換手段LHである水スクラバーにて、臭気成分を除去するとともに潜熱を放出することで冷やされる。この冷却空気がエア・エア顕熱交換手段AAを介して給気ラインSv側へ冷熱を放出する。その結果、給気ラインを流れる空気は、エア・エア顕熱交換手段AA及び水・エア顕熱交換手段WAで順次冷却される。これらの過程において、井戸から供給された井水は、給気ラインLvで顕熱を、また排気ラインLeで潜熱を段階的に放出し、これにより、実質的に井水の全熱を外気の温調のために活用することができる。
【0038】
次に暖房期に脱臭・暖房運転を行うときには、排気ラインでは、主ラインの区間a〜b、c〜d、及びe〜fの各弁を閉じるとともに、バイパスB1、B2、B3の各弁を開き、また給気ラインでは、区間a’〜d’、e’〜b’、c’〜f’の各弁を閉じるとともに、バイパスB4、B2’、B3’の各弁を開けば良い。そうすると、図1において、排気系で点a→d→e→b→c→fという流路が、また給気系で点a’→b’→c’→d’→e’→f’という流路がそれぞれ構築される。
【0039】
図3は、この状態での空気及び水の流れを示している。即ち排気空気はエア・エア顕熱交換機AAで顕熱を放出した後に潜熱交換機LHで潜熱を放出するとともに脱臭される。この際に脱臭過程に先立って顕熱を放出しているので、空気の温度が低下し、脱臭効率が高まる。また外界から導入された空気は、水・エア顕熱交換機WA及びエア・エア顕熱交換機AAで順次加熱される。
【0040】
春季や秋季において換気及び脱臭のみを行うときには、図5(C)の如く排気系では点a→b→c→(B2)→fの流路を除く全区間の弁を閉鎖し、給気系では点a’→d’→c’→f’の流路を除く全区間の弁を閉鎖すれば良い。
【0041】
更にこの状態から井水の潜熱又は顕熱の何れか一方のみを利用して軽い温度調節を行うこともできる。井水の潜熱のみを利用する場合には、図5(D)の如く排気系では点a→b→c→d→e→fという流路を残して全区間の弁を閉じ、給気系では点a’→d’→ e’→f’の流路を除く全区間の弁を閉じれば良い。また井水の顕熱のみを利用する場合には、図5(E)の如く排気系では点a→d→c→(B2)→fという流路を残して全区間の弁を閉じ、給気系では点a’→b’→ c’→f’の流路を除く全区間の弁を閉じれば良い。
【0042】
図6は、冷房期におけるエア−エア間の顕熱交換過程Paaと水−エア間の顕熱交換過程Pwaとの順番を代えた場合の導入空気の温湿度の変化を書き込んだ空気線図、図7は、暖房期における同様に作図した線図である。図6(A)、図7(B)はPaa→Pwaの順序、また図6(B)、図7(A)はPwa→Paaの順序に対応している。これら各図において、点Xは第1の過程の始点、点Yは第1の過程の終点、点Zは第2の過程の終点に関してそれぞれ導入空気の状態を示している。Plhは潜熱交換過程を示す線であり、点Rはこの潜熱交換過程の始点について排気空気の状態を示している。Twは井水の水温である。Eaaはエア−エア間の顕熱交換による省エネルギー量、Ewaはエア−水間の顕熱交換による省エネルギー量、である。Etotalは2つの省エネルギー量の和である。
【0043】
説明の簡単のため、暖房期、即ち冬季の方から説明すると、この時期には空気の湿度が飽和曲線よりも低いため、導入空気の状態は図7(A)、(B)上で点X→Y→Zで示されるように同一湿度のままで直線的に変化する。Pwa→Paaの順序では、例えば外気温度が5℃、井水の温度が15℃であるとすると導入空気の流量に対する水流量にもよるが、水−エア顕熱交換後の空気の温度が15℃以上に達するようにすることができる。その空気温度を15℃とし、23℃の排気空気との間で顕熱交換すると、給排気の流量が同じという条件では、エア−エア間顕熱交換後の導入空気の温度は18℃程度に達する(図7(A)参照)。エア・エア間顕熱交換機は顕熱差の約半分を交換するからである。他方、Paa→Pwaの順序では、5℃の導入空気は、23℃の排気空気との間で顕熱交換した後には温度が14℃となる。そうなると15℃の井水との間で殆ど熱交換をすることができなくなる(図7(B)参照)。従って暖房期にはPaa→Pwaの順序よりもPwa→Paaの順序の方が熱交換率が高くなることが判る。
【0044】
他方、冷房期、即ち夏季には、 図6(A)、(B)に示す如く当初は同一の湿度のままで、次には飽和曲線に沿って温度が下降していくことになる。また室内からの排気空気は、室内の状態を表す点Rから潜熱交換過程Plhにより温度が下降すると同時に湿度が上昇することとなる。この場合においては、図6(A)と図6(B)とを比較すると判る通り、水−エア間の顕熱交換Pwaを先に行うとエア−エア間の顕熱交換効率が低下してしまう。従ってPaa→Pwaの順序の方が効率が良い。
【0045】
図8は、第1実施形態の変形例であり、図4に示す構成において点a及び点bを入れ替えたものである。この例ではLH→AAの順序ではb→B3→e→AA→d→B1→a→LH→c→B2→fという経路を取れば良い。その他の変形例として、図示はしないが、図4に示す構成において点e及び点fを入れ替えることもできる。
【0046】
以下本発明の他の実施形態及び実施例を説明する。これらにおいて、第1の実施形態と同じ構成に関しては同一の符号を付することで説明を省略する。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態を示している。この実施形態では、排気ラインLeに、一つの水・エア顕熱交換手段WAと、その上流側及び下流側の一対のエア・エア顕熱交換手段AA1、AA2とを設けている。給気ラインLvは、一旦二叉に分岐し、この各分岐流路が各顕熱交換手段AAを通過した後に下流で合流するようにしている。10は外調機、12はポンプ、16は送風機である。本手段では、エア−エア間の顕熱交換後に潜熱交換をするときには、排気ラインの上流側のエア・エア顕熱交換手段AA1に、また潜熱交換後にエア−エア間の顕熱交換をするときには、排気ラインの下流側のエア・エア顕熱交換手段AA2に導入空気を通すように弁を切り替えれば良い。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
図10から図12は、第1の実施例を示している。本例は、本発明の図1の構成のうち、給気系サブシステムのバイパスB2’・B3’・B4を省略するとともに、排気系サブシステムの主ラインLmのうち区間c〜dとバイパスB3との間に共通流路部分14を設けたものである。本実施例において冷房期には図11の如く、また暖房期には図12の如く流路をとれば良い。
[実施例2]
図13から図15は、第2の実施例を示している。本例は、給気系サブシステムに、排気系サブシステムと対称の流路切り替え機構を設けたものである。
[実施例3]
図16及び図17は、第3の実施例であり、図2及び図3の構成のうち水・エア潜熱交換手段を省略したものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に外気温調排気脱臭システムの概念図である。
【図2】図1のシステムの冷房期の作用説明図である。
【図3】図1のシステムの暖房期の作用説明図である。
【図4】図1のシステムのサブシステムの原理説明図である。
【図5】図1のシステムの動作説明図である。
【図6】図1のシステムの冷房期の作用を説明するための空気線図である。
【図7】図1のシステムの暖房期の作用を説明するための空気線図である。
【図8】図4に示す構成の変形例である。
【図9】本発明の第2の実施形態に外気温調排気脱臭システムの概念図である。
【図10】本発明の第1の実施例の構成図である。
【図11】図10の実施例の冷房期の作用説明図である。
【図12】図10の実施例の暖房期の作用説明図である。
【図13】本発明の第2の実施例の構成図である。
【図14】図13の実施例の冷房期の作用説明図である。
【図15】図13の実施例の暖房期の作用説明図である。
【図16】本発明の第3の実施例の一の構成を示す図である。
【図17】本発明の第3の実施例の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
2…開閉弁 4…井戸 6…高架式蓄水槽 10…外調機 12…ポンプ
14…共通流路部分 16…送風機
AA…エア・エア顕熱交換手段 CA…空調エリア
B1…潜熱交換手段迂回バイパス B2…エア・エア顕熱交換手段迂回バイパス
B3…補助バイパス B4…水・エア顕熱交換手段迂回バイパス
Le…排気ライン LH…潜熱交換手段 Lv…給気ライン
Paa…エアエア間顕熱交換過程 Pwa…水エア間顕熱交換過程
Plh…潜熱交換過程
Se…排気系サブシステム Sv…給気系サブシステム
WA…水・エア顕熱交換手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気温調排気脱臭システム、即ち、導入した外気の温度を調整する機能を有する空調システムに関するものであり、特に動物実験施設などへの応用に適した外気温調排気脱臭システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷房期用の外気温調システムとして、空調エリアに通ずる給・排気ラインの各一部の間に、エア・エア顕熱交換手段を、又この顕熱交換機よりも上流(即ち空調エリア寄り)の排気ライン部分に脱臭装置と潜熱交換手段を兼ねたエアワッシャーをそれぞれ設置し、潜熱交換によって排気空気が得た冷気を、顕熱交換機により導入外気側へ回収するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、外気温調システムではないが、年間を通じて水温がほぼ一定(14〜15℃)である井水を利用した冷温水コイル(以下本明細書において井水コイルという)を栽培ハウスの外壁などに布設することが知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−142591号
【特許文献2】特開2004−242658号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、冷房期のためのものであり、仮にこのシステムを暖房期に適用すると、空調エリアから排気した高温空気がエア・エア顕熱交換手段に到達する前にエアワッシャーで冷却されることになり、エネルギー効率が悪い。
【0005】
これに対して、エア・エア顕熱交換手段からエアワッシャーへの順序で構成した暖房期用の排気ラインを別個に設け、季節に応じて冷房期用・暖房期用の2つのラインを使い分けることも可能であるが、そうすると、エア・エア顕熱交換手段とエアワッシャーとが2台づつ必要となり、イニシャルコストが嵩むとともに、メンテナンスも大変である。従って、夏冬ともにエネルギー効率の良いシステムが望まれている。
【0006】
エア・エア顕熱交換手段では、最も効率が良い場合でも、外気と排気空気との温度差が零となるに過ぎないから、熱交換後の外気を更に室内温度に近づけるために、空調エネルギーを加える必要がある。この空調エネルギーを低減するために給気ラインに水・エア顕熱交換手段として特許文献2の井水コイルを用いると、コイルを通過した水をエアワッシャーに再利用することができて水の節約になると同時に、年間を通じて単に井戸から汲み上げた井水を冷熱源として利用することができて好都合である。しかしながら、年間の外気温の変化が5〜30℃とすると、送水時の熱損失がないものとしても井水との温度差は冬季に10℃、夏季に15℃程度である。このように温度差の小さい媒体同士の間で熱をとるためには、冬と夏とでどのような順序で各種の熱交換機を配列するかが重要となる。
【0007】
本発明は、潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段、水・エア顕熱交換手段を適宜組み合わせ、これらを通過する給排気ラインの流路を切り替えることが可能に設けて、比較的簡易な構成で、冷・暖房期を通してエネルギー効率が良いとともに水の節約にもなり、ランニングコストが廉価な外気温調排気脱臭システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段は、空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeには単一の潜熱交換手段LHを設け、
かつ排気空気が潜熱交換の後にエア・エア顕熱交換手段AAを通る流路と、排気空気がエア・エア顕熱交換手段AAで熱交換した後に潜熱交換手段LHを通る流路との間で切り替えることが可能に上記排気ラインLe或いは給気ラインLvを構成している。
【0009】
本手段では、只一つの潜熱交換手段を用いて、潜熱交換手段からエア・エア顕熱交換手段へ、或いはエア・エア顕熱交換手段から潜熱交換手段へ流路を切り替えることができるように排気ライン又は給気ラインを構成している。このシステムは、単独の、或いは2つのエア・エア顕熱交換手段を用いて構築することができる。単独のエア・エア顕熱交換手段を用いる場合には、排気ラインを、図4に示す如く、上流側から潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段を順次設置した主ラインLmと、各熱交換手段を迂回する2つのバイパスB1、B2と、エア・エア顕熱交換手段の下流から潜熱交換手段の上流へ至る補助バイパスB3とで構成すれば良い。尚、本明細書では、排気ラインの主ライン上で空調エリアに近い方(或いは給気ラインの主ライン上で外界に近い方)を上流側とする。また、2つのエア・エア顕熱交換手段を用いる場合には、図9に示す如く、一本の排気ラインの上流側から、エア・エア顕熱交換手段、潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段を順次配列するとともに、給気ラインの一部が二股に分岐して、これら各分岐線がそれぞれ一個のエア・エア顕熱交換手段を通過するようにしても良い。これらの構成に関しては後述する。
【0010】
「潜熱交換手段」は潜熱交換と脱臭の機能を兼備している。ここで潜熱交換手段とは、広く気液の接触により潜熱を交換できるものをいい、水スプレー式装置の他、散水式、或いは流水式のものを含む。脱臭手段としては、従来公知の各種スクラバーの構成を採用することができる。
【0011】
「エア・エア顕熱交換手段」とは、広く空気相互間で顕熱を交換する装置をいう。もっとも排気系ラインの臭気物質や異物が排気系ラインへ混入しないような構造とすることが望ましい。好ましい装置の例は、静止型空気−空気顕熱交換器である。
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
水と空気との間で顕熱を交換する水・エア顕熱交換手段WAを上記給気ラインLvに設けるとともに、
外気がエア・エア顕熱交換手段AAと水・エア顕熱交換手段WAとを通過する順序を入れ替えることが可能に給気ラインLvを形成し、
更に排気ライン側で潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAへの順序で送風しているときには、給気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから水・エア顕熱交換手段WAへ、
また排気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHへの順序で送風しているときには、給気ライン側で水・エア顕熱交換手段WAからエア・エア顕熱交換手段AAへ、
それぞれ送風するように、給気ラインLvと排気ラインLeとを制御することが可能に設けている。
本手段では、潜熱交換手段、エア・エア顕熱交換手段、水・エア顕熱交換手段の三種の熱交換機を組み合わせてエネルギー効率の高いシステムを提案しようとしている。潜熱交換手段と顕熱交換手段とを比較すると、後者の方が熱効率が低いので、顕熱の熱交換量を大きくすることがポイントであり、そのために次の表1のように流路を切り替えることができるように構成している。
【0012】
【表1】
図2及び図3は、図1のシステムの作用説明図であり、外気温が33℃(夏季)又は5℃(冬季)、排気温度が23℃、井水温度が15℃である場合の排気空気及び導入空気の温度変化を表している。
冷房期(夏季)には、潜熱交換手段により例えば23℃の排気空気が17℃程度にまで冷却され、33℃の外気との温度差は16℃にもなる。この温度差を利用するため、エア・エア顕熱交換手段→水・エア顕熱交換手段の順序を採用する。顕熱交換手段は顕熱差の半分を交換するため、エア・エア顕熱交換手段を透過した導入空気の温度は25℃となる。図6(A)、(B)は、空気線図に正逆の順序(エア・エア顕熱交換手段⇔水・エア顕熱交換手段)での夏季の導入空気の温度変化をそれぞれ書き込んだものである。逆の順序の場合(図6(B))には、顕熱交換できる熱量が少なくなってしまう。
暖房期(冬季)には、外気の温度が5℃であるのに対して、井水の温度が15℃、排気空気の温度が23℃である。仮に排気空気との顕熱交換を先に行うと、交換後の温度は14℃となり、井水の温度より低くなってしまうから、水・エア顕熱交換ができなくなってしまう。そこで水・エア顕熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序を採用する。図7(A)、(B)は、空気線図に正逆の順序での冬季の導入空気の温度変化をそれぞれ書き込んだものである。この場合にも逆の順序(図7(B))では顕熱交換量が低下する。これらの点については後に更に詳しく述べる。
「水・エア顕熱交換手段」とは、冷温水コイルなど水とエアとの間の顕熱を交換する装置をいう。
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記水・エア顕熱交換手段WAを、冷温水コイルの熱源として井水を用いた井水コイルとしている。
本手段では、年間を通して温度がほぼ一定である井水を熱源とし、外気との温度差が10〜18℃と比較的小さい井水の潜熱及び顕熱を取り出すことで、エネルギー効率の良いシステムを構築することができる。
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ
井水を水・エア顕熱交換手段WAへ供給するとともに、
この水・エア顕熱交換手段から回収した水を更に潜熱交換手段LHに供給している。
本手段は、井水を2段階に利用すること(カスケード利用)を提案している。即ち給気ラインで顕熱を、また排気ラインで潜熱をそれぞれ交換し、更に最初に交換した顕熱量をエア・エア顕熱交換手段によって給気ライン側へ回収するように構成している。単に給気ラインに全熱交換機を設置しても、顕熱及び潜熱の交換をすることができるが、本願の構成によれば水溶性の臭気物質が空気に混入することを防止できる。
【0013】
第5の手段は、
空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeは、
空調エリアから順次潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通る主ラインLmと、
潜熱交換手段LHの上流から分かれて潜熱交換手段及びエア・エア顕熱交換手段の間に合流する潜熱交換手段迂回バイパスB1と、
潜熱交換手段LH及びエア・エア顕熱交換手段AAの間から分かれてこの顕熱交換手段の下流に合流するエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2と、
潜熱交換手段LHの上流とエア・エア顕熱交換手段AAの下流とを結ぶ補助バイパスB3とを有し、
これら主ラインLm及びバイパスB1、B2、B3を、排気空気が潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通過する順序を入れ替えることができ、かつこれら両交換手段のうち一方のみを通過することができるように構築している。
【0014】
本手段では、次の四つの流路モードを随時選択することができるように排気ラインを構成している。そのためには、図4に示すように、少なくとも、イの流路モードに対応した主ラインと、ハ、ニの流路モードに対応して、潜熱交換手段乃至エア・エア顕熱交換手段を迂回するバイパスと、排気空気が潜熱交換手段を迂回してエア・エア顕熱交換手段を通過した後に、潜熱交換手段の上流側に戻すための補助バイパスとが必要である。これらバイパスの具体的な配列に関しては更に後述する。
イ.潜熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序で通る流路モード
ロ.エア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段の順序で通る流路モード
ハ.潜熱交換手段のみを通る流路モード
ニ.エア・エア顕熱交換手段のみを通る流路モード
尚、本明細書で、主ライン及びバイパスという言葉は、仮に潜熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序を標準的な流路モードと定めて、このモードの流路を主ラインとし、その他のモードに切り替えるときの流路をバイパスとして区別したに過ぎない。他の順序を標準的な流路モードと定めれば用語の使い方も変わってくるが、名称が変わるだけで構成が異なる訳ではない。
【0015】
第6の手段は、第5の手段を有し、かつ
上記主ラインLm上において、
この主ラインへの潜熱交換手段迂回バイパスB1の合流点dを、主ラインLmからのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の分岐点cよりも、下流に位置させるとともに、
上記補助バイパスB3の両端点b、eのうち少なくとも一方を、主ラインLmからの潜熱交換手段迂回バイパスB1の分岐点aと主ラインLmへのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の合流点fとの間に設けている。
【0016】
本手段では、一本の主ラインと3本の単管バイパスB1、B2、B3を用いて潜熱交換手段(LH)及びエア・エア顕熱交換手段(AA)を含むサブシステムを構築するための条件を提案している。図4のシステムの場合には、前述のイ〜ニの各流路モードに関して具体的に次の経路を取れば良い。
【0017】
【表2】
これらの流路を実現するためには、図4の主ライン上でa〜bの区間、c〜dの区間、及びe〜fの区間を排気空気が2度通過することがないように構築すれば良い。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段に係る発明によれば次の効果を奏する。
【0019】
○暖房期には、エア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHの順序で排気空気を送風するので、低温の外気に対して排気空気の温度差を最大限に利用することができ、また冷房期には、潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAの順序で排気空気を送風するので、元々の外気と排気温度との温度差に加えて、潜熱交換手段LHによる温度下降分も利用することができるので、エア・エア顕熱交換手段AAの熱交換率が高まる。
○更に暖房期には、排気温度がエア・エア顕熱交換手段AAを通過することで気温低下するから、潜熱交換手段LHにおける脱臭効率も高まる。
第2の手段に係る発明によれば、冷房期には、外気が水・エア顕熱交換手段WAよりも先にエア・エア顕熱交換手段AAを通過するから、順序を逆にした場合と比較して、空気相互の熱交換の際の外気と排気空気との温度差が大きくなり、熱交換率を高めることができる。
【0020】
第3の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○低コスト資源である井水を利用してランニングコストを低下することができる。
○外気との温度差が比較的小さい井水の潜熱及び顕熱を取り出すことで、エネルギー効率の良いシステムを構築することができる。
【0021】
第4の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○顕熱交換に使用した井水を更に潜熱交換に利用することで、水量を節約することができる。
○更に井水をカスケード利用することで、供給空気の質を維持しながら、熱交換の効率を高めることができる。
【0022】
第5の手段に係る発明によれば、潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAへの順序の流路と、エア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHへの順序の流路と、潜熱交換手段LHのみの流路と、エア・エア顕熱交換手段AAのみの流路との切替えを、1つの潜熱交換手段と1つのエア・エア顕熱交換手段とで容易に実現することができる。
【0023】
第6の手段に係る発明によれば、最小限のバイパス数でシステムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1から図8は、本発明の第1の実施形態に係る外気温調排気脱臭システムを示している。
【0025】
このシステムは、図1に示す如く排気・給気・給水の各サブシステムで構成されている。
【0026】
排気系サブシステムSeは、排気ラインLeと潜熱交換手段LHとを具備し、更に給気ラインとの間でエア・エア顕熱交換手段AAを共有している。
【0027】
排気ラインLeは、図5(A)において太線で描いた、点a→b→c→d→e→fの経路を辿る主ラインLmと、点a〜dの間の潜熱交換手段迂回バイパスB1と、点c〜fの間のエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2と、点b〜eで示す補助バイパスB3とで形成されている。図4は、図1の排気ラインと等価の流路網であり、主ラインLmを直線的に描いて各種バイパスB1〜B3との関係を分かり易く表現したものである。即ち、潜熱交換手段のみを通気させるときにはバイパスB2を介してエア・エア顕熱交換手段を迂回させれば良く、エア・エア顕熱交換手段のみを通気させるときには、バイパスB1を介して潜熱交換手段を迂回させれば良い。エア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段の順をとるときには、バイパスB1を介して潜熱交換手段LHを迂回させた後にエア・エア顕熱交換手段AAを通過した空気を、潜熱交換手段の上流側に戻し、潜熱交換手段を通過した空気を、バイパスB2を介してエア・エア顕熱交換手段を迂回させれば良い。
【0028】
この際にバイパスB2の分岐点cがバイパスB1の合流点dよりも上流側になっていることが必要であり、この位置関係が逆であると、排気空気が潜熱交換手段を迂回した後と潜熱交換手段を通過した後とで区間c〜dを二度通過することとなり、流路網として実現することができない。また、補助バイパスB3の両端b、eのうち少なくとも一方が点aとLHとの区間、又はAAと点fとの区間にあることを要する。そうしないとエア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段という順序をとるときに、区間a〜b又は区間e〜fを二度通過することとなり、やはり流路網として成立しない。
【0029】
これら主ラインLmと、各バイパスB1〜B3の適所とには、開閉弁2を付設し、図示しない制御装置により潜熱交換手段→エア・エア顕熱交換手段の順序の流路、エア・エア顕熱交換手段→潜熱交換手段の順序の流路、潜熱交換手段のみを通る流路、エア・エア顕熱交換手段のみを通る流路を適宜選択することができるように設ける。
【0030】
潜熱交換手段LHは、脱臭機を兼ねる水スプレー装置である。具体的には、従来加湿器に使用されている微細水スプレーを使用し、給気を吸収させた水をエリミネーターで回収、排水するように構成している。水スプレーにより、室内からの排気温湿度が23℃55%である場合、理論上は17℃程度まで冷やすことが可能である。
【0031】
エア・エア顕熱交換手段AAは、排気空気と外部から導入された空気とが混じり合わないように顕熱のみを交換できるように形成されている。
【0032】
給気系サブシステムSvは、給気ラインLvと水・エア顕熱交換手段WAとを具備し、更にエア・エア顕熱交換手段AAを有する。
【0033】
給気ラインLvは、主ラインLm’と、水・エア顕熱交換手段迂回バイパスB4と、エア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2’と、補助バイパスB3’とを有している。給気ラインは排気ラインと基本的に同じ構成で良く、以下排気ラインの構造の説明を以て給気ラインの説明に代えるものとする。
【0034】
水・エア顕熱交換手段WAは、前述の井水コイルとして形成することができる。
【0035】
給水用サブシステムSwは、井戸4から高架式蓄水槽6を介して、水・エア顕熱交換手段WA、潜熱交換手段LHの順に井水を供給している。
【0036】
上記構成において、冷房期に脱臭・冷房運転を行うときには、排気系サブシステムの各バイパスB1〜B3及び給気系サブシステムのバイパスB2’・B3’・B4の弁2を閉鎖すればよい。そうすると図5(A)の如く排気系で点a→b→c→d→e→f→(排気口)という流路が、給気系で点a’→d’→e’→b’→c’→f’→(空調エリア)という流路がそれぞれ構築される。
【0037】
図2は、この状態で給・排気ラインの送風機及び井水供給管のポンプ(図示せず)を起動させたときの空気及び水の流れを示している。即ち、空調エリアから排出された空気は、潜熱交換手段LHである水スクラバーにて、臭気成分を除去するとともに潜熱を放出することで冷やされる。この冷却空気がエア・エア顕熱交換手段AAを介して給気ラインSv側へ冷熱を放出する。その結果、給気ラインを流れる空気は、エア・エア顕熱交換手段AA及び水・エア顕熱交換手段WAで順次冷却される。これらの過程において、井戸から供給された井水は、給気ラインLvで顕熱を、また排気ラインLeで潜熱を段階的に放出し、これにより、実質的に井水の全熱を外気の温調のために活用することができる。
【0038】
次に暖房期に脱臭・暖房運転を行うときには、排気ラインでは、主ラインの区間a〜b、c〜d、及びe〜fの各弁を閉じるとともに、バイパスB1、B2、B3の各弁を開き、また給気ラインでは、区間a’〜d’、e’〜b’、c’〜f’の各弁を閉じるとともに、バイパスB4、B2’、B3’の各弁を開けば良い。そうすると、図1において、排気系で点a→d→e→b→c→fという流路が、また給気系で点a’→b’→c’→d’→e’→f’という流路がそれぞれ構築される。
【0039】
図3は、この状態での空気及び水の流れを示している。即ち排気空気はエア・エア顕熱交換機AAで顕熱を放出した後に潜熱交換機LHで潜熱を放出するとともに脱臭される。この際に脱臭過程に先立って顕熱を放出しているので、空気の温度が低下し、脱臭効率が高まる。また外界から導入された空気は、水・エア顕熱交換機WA及びエア・エア顕熱交換機AAで順次加熱される。
【0040】
春季や秋季において換気及び脱臭のみを行うときには、図5(C)の如く排気系では点a→b→c→(B2)→fの流路を除く全区間の弁を閉鎖し、給気系では点a’→d’→c’→f’の流路を除く全区間の弁を閉鎖すれば良い。
【0041】
更にこの状態から井水の潜熱又は顕熱の何れか一方のみを利用して軽い温度調節を行うこともできる。井水の潜熱のみを利用する場合には、図5(D)の如く排気系では点a→b→c→d→e→fという流路を残して全区間の弁を閉じ、給気系では点a’→d’→ e’→f’の流路を除く全区間の弁を閉じれば良い。また井水の顕熱のみを利用する場合には、図5(E)の如く排気系では点a→d→c→(B2)→fという流路を残して全区間の弁を閉じ、給気系では点a’→b’→ c’→f’の流路を除く全区間の弁を閉じれば良い。
【0042】
図6は、冷房期におけるエア−エア間の顕熱交換過程Paaと水−エア間の顕熱交換過程Pwaとの順番を代えた場合の導入空気の温湿度の変化を書き込んだ空気線図、図7は、暖房期における同様に作図した線図である。図6(A)、図7(B)はPaa→Pwaの順序、また図6(B)、図7(A)はPwa→Paaの順序に対応している。これら各図において、点Xは第1の過程の始点、点Yは第1の過程の終点、点Zは第2の過程の終点に関してそれぞれ導入空気の状態を示している。Plhは潜熱交換過程を示す線であり、点Rはこの潜熱交換過程の始点について排気空気の状態を示している。Twは井水の水温である。Eaaはエア−エア間の顕熱交換による省エネルギー量、Ewaはエア−水間の顕熱交換による省エネルギー量、である。Etotalは2つの省エネルギー量の和である。
【0043】
説明の簡単のため、暖房期、即ち冬季の方から説明すると、この時期には空気の湿度が飽和曲線よりも低いため、導入空気の状態は図7(A)、(B)上で点X→Y→Zで示されるように同一湿度のままで直線的に変化する。Pwa→Paaの順序では、例えば外気温度が5℃、井水の温度が15℃であるとすると導入空気の流量に対する水流量にもよるが、水−エア顕熱交換後の空気の温度が15℃以上に達するようにすることができる。その空気温度を15℃とし、23℃の排気空気との間で顕熱交換すると、給排気の流量が同じという条件では、エア−エア間顕熱交換後の導入空気の温度は18℃程度に達する(図7(A)参照)。エア・エア間顕熱交換機は顕熱差の約半分を交換するからである。他方、Paa→Pwaの順序では、5℃の導入空気は、23℃の排気空気との間で顕熱交換した後には温度が14℃となる。そうなると15℃の井水との間で殆ど熱交換をすることができなくなる(図7(B)参照)。従って暖房期にはPaa→Pwaの順序よりもPwa→Paaの順序の方が熱交換率が高くなることが判る。
【0044】
他方、冷房期、即ち夏季には、 図6(A)、(B)に示す如く当初は同一の湿度のままで、次には飽和曲線に沿って温度が下降していくことになる。また室内からの排気空気は、室内の状態を表す点Rから潜熱交換過程Plhにより温度が下降すると同時に湿度が上昇することとなる。この場合においては、図6(A)と図6(B)とを比較すると判る通り、水−エア間の顕熱交換Pwaを先に行うとエア−エア間の顕熱交換効率が低下してしまう。従ってPaa→Pwaの順序の方が効率が良い。
【0045】
図8は、第1実施形態の変形例であり、図4に示す構成において点a及び点bを入れ替えたものである。この例ではLH→AAの順序ではb→B3→e→AA→d→B1→a→LH→c→B2→fという経路を取れば良い。その他の変形例として、図示はしないが、図4に示す構成において点e及び点fを入れ替えることもできる。
【0046】
以下本発明の他の実施形態及び実施例を説明する。これらにおいて、第1の実施形態と同じ構成に関しては同一の符号を付することで説明を省略する。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態を示している。この実施形態では、排気ラインLeに、一つの水・エア顕熱交換手段WAと、その上流側及び下流側の一対のエア・エア顕熱交換手段AA1、AA2とを設けている。給気ラインLvは、一旦二叉に分岐し、この各分岐流路が各顕熱交換手段AAを通過した後に下流で合流するようにしている。10は外調機、12はポンプ、16は送風機である。本手段では、エア−エア間の顕熱交換後に潜熱交換をするときには、排気ラインの上流側のエア・エア顕熱交換手段AA1に、また潜熱交換後にエア−エア間の顕熱交換をするときには、排気ラインの下流側のエア・エア顕熱交換手段AA2に導入空気を通すように弁を切り替えれば良い。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
図10から図12は、第1の実施例を示している。本例は、本発明の図1の構成のうち、給気系サブシステムのバイパスB2’・B3’・B4を省略するとともに、排気系サブシステムの主ラインLmのうち区間c〜dとバイパスB3との間に共通流路部分14を設けたものである。本実施例において冷房期には図11の如く、また暖房期には図12の如く流路をとれば良い。
[実施例2]
図13から図15は、第2の実施例を示している。本例は、給気系サブシステムに、排気系サブシステムと対称の流路切り替え機構を設けたものである。
[実施例3]
図16及び図17は、第3の実施例であり、図2及び図3の構成のうち水・エア潜熱交換手段を省略したものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に外気温調排気脱臭システムの概念図である。
【図2】図1のシステムの冷房期の作用説明図である。
【図3】図1のシステムの暖房期の作用説明図である。
【図4】図1のシステムのサブシステムの原理説明図である。
【図5】図1のシステムの動作説明図である。
【図6】図1のシステムの冷房期の作用を説明するための空気線図である。
【図7】図1のシステムの暖房期の作用を説明するための空気線図である。
【図8】図4に示す構成の変形例である。
【図9】本発明の第2の実施形態に外気温調排気脱臭システムの概念図である。
【図10】本発明の第1の実施例の構成図である。
【図11】図10の実施例の冷房期の作用説明図である。
【図12】図10の実施例の暖房期の作用説明図である。
【図13】本発明の第2の実施例の構成図である。
【図14】図13の実施例の冷房期の作用説明図である。
【図15】図13の実施例の暖房期の作用説明図である。
【図16】本発明の第3の実施例の一の構成を示す図である。
【図17】本発明の第3の実施例の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
2…開閉弁 4…井戸 6…高架式蓄水槽 10…外調機 12…ポンプ
14…共通流路部分 16…送風機
AA…エア・エア顕熱交換手段 CA…空調エリア
B1…潜熱交換手段迂回バイパス B2…エア・エア顕熱交換手段迂回バイパス
B3…補助バイパス B4…水・エア顕熱交換手段迂回バイパス
Le…排気ライン LH…潜熱交換手段 Lv…給気ライン
Paa…エアエア間顕熱交換過程 Pwa…水エア間顕熱交換過程
Plh…潜熱交換過程
Se…排気系サブシステム Sv…給気系サブシステム
WA…水・エア顕熱交換手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeには単一の潜熱交換手段LHを設け、
かつ排気空気が潜熱交換の後にエア・エア顕熱交換手段AAを通る流路と、排気空気がエア・エア顕熱交換手段AAで熱交換した後に潜熱交換手段LHを通る流路との間で切り替えることが可能に上記排気ラインLe或いは給気ラインLvを構成したことを特徴とする、外気温調排気脱臭システム。
【請求項2】
水と空気との間で顕熱を交換する水・エア顕熱交換手段WAを上記給気ラインLvに設けるとともに、
外気がエア・エア顕熱交換手段AAと水・エア顕熱交換手段WAとを通過する順序を入れ替えることが可能に給気ラインLvを形成し、
更に排気ライン側で潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAへの順序で送風しているときには、給気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから水・エア顕熱交換手段WAへ、
また排気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHへの順序で送風しているときには、給気ライン側で水・エア顕熱交換手段WAからエア・エア顕熱交換手段AAへ、
それぞれ送風するように、給気ラインLvと排気ラインLeとを制御することが可能に設けたことを特徴とする、請求項1記載の外気温調排気脱臭システム。
【請求項3】
上記水・エア顕熱交換手段WAを、冷温水コイルの熱源として井水を用いた井水コイルとしたことを特徴とする、請求項2記載の外気温調排気脱臭システム。
【請求項4】
井水を水・エア顕熱交換手段WAへ供給するとともに、
この水・エア顕熱交換手段から回収した水を更に潜熱交換手段LHに供給したことを特徴とする、請求項3記載の外気温調排気脱臭システム。
【請求項5】
空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeは、
空調エリアから順次潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通る主ラインLmと、
潜熱交換手段LHの上流から分かれて潜熱交換手段及びエア・エア顕熱交換手段の間に合流する潜熱交換手段迂回バイパスB1と、
潜熱交換手段LH及びエア・エア顕熱交換手段AAの間から分かれてこの顕熱交換手段の下流に合流するエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2と、
潜熱交換手段LHの上流とエア・エア顕熱交換手段AAの下流とを結ぶ補助バイパスB3とを有し、
これら主ラインLm及びバイパスB1、B2、B3を、排気空気が潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通過する順序を入れ替えることができ、かつこれら両交換手段のうち一方のみを通過することができるように構築したことを特徴とする、外気温調排気脱臭システム。
【請求項6】
上記主ラインLm上において、
この主ラインへの潜熱交換手段迂回バイパスB1の合流点dを、主ラインLmからのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の分岐点cよりも、下流に位置させるとともに、
上記補助バイパスB3の両端点b、eのうち少なくとも一方を、主ラインLmからの潜熱交換手段迂回バイパスB1の分岐点aと主ラインLmへのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の合流点fとの間に設けた、ことを特徴とする、請求項5記載の外気温調排気脱臭システム。
【請求項1】
空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeには単一の潜熱交換手段LHを設け、
かつ排気空気が潜熱交換の後にエア・エア顕熱交換手段AAを通る流路と、排気空気がエア・エア顕熱交換手段AAで熱交換した後に潜熱交換手段LHを通る流路との間で切り替えることが可能に上記排気ラインLe或いは給気ラインLvを構成したことを特徴とする、外気温調排気脱臭システム。
【請求項2】
水と空気との間で顕熱を交換する水・エア顕熱交換手段WAを上記給気ラインLvに設けるとともに、
外気がエア・エア顕熱交換手段AAと水・エア顕熱交換手段WAとを通過する順序を入れ替えることが可能に給気ラインLvを形成し、
更に排気ライン側で潜熱交換手段LHからエア・エア顕熱交換手段AAへの順序で送風しているときには、給気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから水・エア顕熱交換手段WAへ、
また排気ライン側でエア・エア顕熱交換手段AAから潜熱交換手段LHへの順序で送風しているときには、給気ライン側で水・エア顕熱交換手段WAからエア・エア顕熱交換手段AAへ、
それぞれ送風するように、給気ラインLvと排気ラインLeとを制御することが可能に設けたことを特徴とする、請求項1記載の外気温調排気脱臭システム。
【請求項3】
上記水・エア顕熱交換手段WAを、冷温水コイルの熱源として井水を用いた井水コイルとしたことを特徴とする、請求項2記載の外気温調排気脱臭システム。
【請求項4】
井水を水・エア顕熱交換手段WAへ供給するとともに、
この水・エア顕熱交換手段から回収した水を更に潜熱交換手段LHに供給したことを特徴とする、請求項3記載の外気温調排気脱臭システム。
【請求項5】
空調エリアCAに通ずる給気ラインLv及び排気ラインLeの各一部の間に、空気同士の間で顕熱を交換するエア・エア顕熱交換手段AAを設け、
かつこのエア・エア顕熱交換手段よりも上流の排気ライン部分に、水の潜熱を利用した、脱臭装置兼用の潜熱交換手段LHを設置してなる外気温調排気脱臭システムにおいて、
上記排気ラインLeは、
空調エリアから順次潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通る主ラインLmと、
潜熱交換手段LHの上流から分かれて潜熱交換手段及びエア・エア顕熱交換手段の間に合流する潜熱交換手段迂回バイパスB1と、
潜熱交換手段LH及びエア・エア顕熱交換手段AAの間から分かれてこの顕熱交換手段の下流に合流するエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2と、
潜熱交換手段LHの上流とエア・エア顕熱交換手段AAの下流とを結ぶ補助バイパスB3とを有し、
これら主ラインLm及びバイパスB1、B2、B3を、排気空気が潜熱交換手段LHとエア・エア顕熱交換手段AAとを通過する順序を入れ替えることができ、かつこれら両交換手段のうち一方のみを通過することができるように構築したことを特徴とする、外気温調排気脱臭システム。
【請求項6】
上記主ラインLm上において、
この主ラインへの潜熱交換手段迂回バイパスB1の合流点dを、主ラインLmからのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の分岐点cよりも、下流に位置させるとともに、
上記補助バイパスB3の両端点b、eのうち少なくとも一方を、主ラインLmからの潜熱交換手段迂回バイパスB1の分岐点aと主ラインLmへのエア・エア顕熱交換手段迂回バイパスB2の合流点fとの間に設けた、ことを特徴とする、請求項5記載の外気温調排気脱臭システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−2769(P2008−2769A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174316(P2006−174316)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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