説明

外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプ

【課題】複数本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプにおいて、一の発光管が破裂しても外球が損傷されない外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプを提供すること
【解決手段】このセラミックメタルハライドランプ(10A)は、選択的に1本の発光管が点灯する複数本の発光管(4-1,4-2)と、前記発光管を取り巻くように配置された内管(18A-1,18A-2)と螺旋状部材(24-1,24-2)とを有する外球保護構造と、発光管及び外球保護構造を収納する外球(2)とを備えている。外球保護構造は、発光管を夫々取り巻く内管(18A-1,18A-2)の内周壁面に沿って、螺旋形状に整形された螺旋状部材が配置されており、この螺旋状部材は、金属製又はファイバ製である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプに関する。更に具体的には、有効な外球保護構造を備えた、複数本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ及びセラミックメタルハライドランプのような高輝度放電ランプ(HIDランプ:High Intensity Discharge Lamp)は、電極間の放電を利用して発光する。このため、白熱電球と比べて、光束が大きく大規模な空間の照明に適し、エネルギー効率が良いといった種々の特徴を備えている。
【0003】
従って、道路、店舗、工場、ホール、スポーツ施設等の照明、テレビや映画のロケーション照明、自動車や鉄道車両の前照灯として、一般に広く使用されている。
【0004】
HIDランプにおいて、発光物質として金属ハロゲン化物を採用したメタルハライドランプは、青白い光線を放つ水銀ランプに比較して白色光(自然光)に近く優れた演色性と、また高い発光効率といった長所を有している。
【0005】
メタルハライドランプの発光管として、従来は石英製発光管が使用されていた。最近では、透光性セラミックス製発光管(この材質は透光性の多結晶アルミナ PCA)が使用されている。透光性セラミックス製発光管は、石英製発光管に比較して、格段に長寿命化が図れ、例えば、1本で約2万4000時間の寿命が確保できる(長寿命)。更に、石英は、発光管内に封入した金属ハロゲン化物と反応し易いが、セラミックスはこれと反応せず、且つ耐熱性が良好である、といった長所を有している。このため、発光管内の封入物として、種々の金属ハロゲン化物を使用できる利点がある。
【0006】
メタルハライドランプにおいて、透光性セラミックス製発光管を使用している場合は、特に、「セラミックメタルハライドランプ」と呼ばれ、水銀ランプだけで無く石英製発光管のメタルハライドランプと比較しても高効率で、例えば120 lm/W(ルーメン/ワット)以上の明るさを達成できるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-100089「セラミックメタルハライドランプ」(公開日:2006年04月13日) 特許文献1では、透光性外管内3に、複数のセラミックス製発光管1,2を収納し、外管3の軸に対して発光管1,2の軸を傾けて配置し、また発光管1,2の口金4からの距離がお互いに異なるように配置している(要約参照)。
【0008】
しかし、特許文献1には、本願で説明するような、内管及び螺旋形部材を利用した外球保護手段に関する記載はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、ランプに対しては、更なる長寿命化の要請がある。例えば、最近広く使用され始めたLEDランプの寿命は、公称4万時間と言われている。
【0010】
本発明者等は、LEDランプに対し発光効率は勝っているものの寿命が劣っているセラミックメタルハライドランプに関して、LEDランプの寿命に対抗できるように、複数本の発光管を用いて長寿命化を達成する研究・開発を行っている。セラミックメタルハライドランプにおいて、例えば、2本の発光管を使用して点灯し易い方が選択的に点灯するランプにすると、1本の発光管の寿命を2万4,000時間として、理論上、2本の発光管では4万8,000時間の長寿命化が期待できる。3本以上の発光管の場合も、同様に比例的に長寿命化が期待できる。
【0011】
複数本の発光管を用いてランプの長寿命化を実現するためには、点灯中の一の発光管の寿命終了時点において、他の発光管が、(例えば、2〜3分後に)正常に点灯することが必要となる。
【0012】
しかし、セラミックメタルハライドランプは、元々、発光管の寿命末期に発光管の内部ガスがリークしたり、更には、発光管が破裂したりする、という固有の不良モードを有している。即ち、セラミックメタルハライドランプでは、演色性向上のため発光管内を従来のHIDランプよりも高温にしており、点灯時の発光管内の圧力がより高く、水銀ランプや高圧ナトリウムランプなど他の一般照明用HIDランプに比較して、発光管の破裂のおそれが高くなる傾向にある。
【0013】
本発明者等は、複数本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプによる長寿命化の研究・開発を通じて、一の発光管の寿命末期から他の発光管の点灯に移る際に、これら固有の不良モードに起因して、新たな問題が引き起こされることを見出した。即ち、一の発光管が破裂した場合、破裂の威力が高いため内管を損傷し、更には稀にではあるが、他の発光管や外球をも損傷するおそれが有ることが判明した。他の発光管が損傷した場合そのランプは使用できないのは当然ながら、外球が損傷したランプは、例え、他の発光管が正常に点灯しても、製品として使用を継続することは出来ない。
【0014】
なお、従来の1本の発光管のセラミックメタルハライドランプでは、発光管の破裂により外球が損傷しても、その時点でランプ自体の寿命が終了しているので、問題とならなかった。従って、この問題は、複数本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプにおいて、新たに発生した問題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明は、複数本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプにおいて、一の発光管が破裂しても他の発光管及び外球が損傷されない外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプを提供することを目的とする。
【0016】
上記目的に鑑みて、本発明に係る外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプは、選択的に1本の発光管が点灯する複数本の発光管と、前記発光管を取り巻くように配置された内管と螺旋状部材とを有する外球保護構造と、前記発光管及び前記外球保護構造を収納する外球とを備えている。
【0017】
更に、上記セラミックメタルハライドランプでは、前記内管は、両端密封型内管、2ピンタイプの片端封止の密封型内管、片端封止の開放型内管及び両端開放型内管から選択された任意の内管であってよい。
【0018】
更に、上記セラミックメタルハライドランプでは、前記外球保護構造は、前記発光管を夫々取り巻く前記内管の内周壁面に沿って、螺旋形状に整形された前記螺旋状部材が配置されていてもよい。
【0019】
更に、上記セラミックメタルハライドランプでは、前記外球保護構造は、前記発光管を夫々取り巻く各々の前記内管の外周壁面に沿って、螺旋形状に整形された前記螺旋状部材が配置されていてもよい。
【0020】
更に、上記セラミックメタルハライドランプでは、前記外球保護構造は、1個の螺旋形状に整形された前記螺旋状部材が、複数個の前記内管全体を取り巻くように配置されていいてもよい。
【0021】
更に、上記セラミックメタルハライドランプでは、前記螺旋状部材は、金属製又はファイバ製であってよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプにおいて、一の発光管が破裂しても他の発光管及び外球が損傷されない外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、従来のセラミックメタルハライドランプの構造を説明する図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの構造を説明する図であり、(A)〜(C)の相違は、内管と螺旋状部材との組み合わせにある。
【図3】図3は、種々のタイプの内管を説明する図であり、(A)は両端密封型内管を示し、(B)は片端密封型内管(2ピンタイプ)を示し、(C−1)及び(C−2)は片端封止の開放型内管を示し、(D)は両端開放型内管を示している。
【図4】図4は、第2実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの構造を説明する図であり、(A)〜(C)の相違は、内管と螺旋状部材との組み合わせにある。
【図5】図5は、メタルハライドランプの回路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプの実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0025】
ここで、本実施形態の理解を容易にするため、先ず、従来の1本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプの構造について説明する。
【0026】
次に、第1及び2実施形態に係るセラミックメタルハライドランプについて、従来のセラミックメタルハライドランプとの相違を明らかにしながら、夫々詳細に説明する。なお、本発明は、複数本の発光管を有するセラミックメタルハライドランプに関するものであるが、ランプの構成を簡単にして分かり易くするため、2本の発光管の場合を代表例として説明する。
【0027】
点灯時には、2本の発光管の内のその時点で点灯し易い状態の1本の発光管が点灯する。消灯後、次に点灯する時も、2本の発光管の内のその時点で点灯し易い状態の1本の発光管が点灯する。以後、これを繰り返す。本出願書類では、このような状態を、「選択的に点灯する2本の発光管」と説明する。更に、点灯中であり且つ寿命末期に至ったランプを「一方のランプ」と呼び、一方のランプの寿命終了後に点灯するランプを「他方のランプ」と呼ぶこととする。
【0028】
なお、3本以上の発光管の場合は、2本の発光管の場合と同様の技術的手段により、本発明を実現できることを承知されたい。
【0029】
最後に、これら実施形態に係るセラミックメタルハライドランプを点灯させる回路及び複数個の発光管を選択的に点灯させる構造について、簡単に説明する。
【0030】
図1は、従来のセラミックメタルハライドランプ100の構造を説明する図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。図に示すように、ランプ100は、外球(「外管」,「管球」又は「外管バルブ」とも言う。)2の内部に、発光部となる1個の発光管4を内封した二重構造となっている。外球2の端部には、E形(ねじ込み形)の口金6が接合されている。発光管4は、金属の線材や板を組み合わせた構造物に内管を取り付けたマウント8により、所定の位置に支持され、給電される。
【0031】
これらの各要素について説明する。
【0032】
発光部となる発光管4は、中央の太管部4a及び両端の細管部4b,4cの形状をもつ透光性セラミックス製の容器である。1対のリード線5,7が、これら細管部4b,4cを夫々通して太管部4aの領域まで延びて、1対のタングステン(W)製の主電極(図示せず。)を形成している。
【0033】
発光管4の容器内には、発光及び放電媒体として、所定量の水銀と、金属ハロゲン化物と、希ガスとして所定圧力のアルゴン(Ar)ガスが封入されている。希ガスとして、アルゴン(Ar)ガス以外に、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の他の希ガスや、それらの混合ガスでもよい。金属ハロゲン化物としては、よう素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)等のハロゲンと、ナトリウム(Na)、ツリウム(Tm)、セシウム(Cs)、ディスプロシウム(Dy)等の少なくとも一種の発光金属とが封入され、発光効率、演色性や色温度等の特性の向上が図られている。
【0034】
マウント8は、一対の導入線が気密封着されたステム管14と、一方の導入線に接続された、モリブデン(Mo),ステンレス(SUS),ニッケルメッキ鉄線等の線材や略長四角形状の枠状に成形した丸棒体から成る支柱16と、発光管4の周囲を囲むように配設された透明石英ガラス管からなる内管18とを主要部品として構成されている。
【0035】
外球2は、例えば、ホウケイ酸ガラス等の透光性の硬質ガラスからなる。透明型と拡散型(不透明)がある。外球2は、最大口径の中央部2a、図で見て下部側の閉塞されたトップ部2b、及び上部側のネック部2cを有するBT形をなしている。
【0036】
ネック部2cには、ステム管14のフレア部が封止された封止部が有る(図示せず。)。封止後、ステム管14に設けられた排気管(図示せず。)を通じて外球2内は排気され、アルゴン(Ar)等の不活性ガスや窒素(N2 )ガス等が封入され、或いは真空にした気密雰囲気となっている。
【0037】
この封止部を覆ってねじ込み形口金6が耐熱性の接着剤を用いて接合され、或いはモールドにより形成された螺旋状のねじ溝に口金6が螺合されて、取付けられる。
【0038】
図1に示すセラミックメタルハライドランプ100は、口金6をソケット(図示せず。)に装着して、電源から所定の点灯回路装置(図示せず。)を介して通電され、主電極間の放電により安定した点灯が持続する。
【0039】
次に、本発明の第1及び2実施形態について説明する。これらの実施形態に係るセラミックメタルハライドランプは、特に、内管と螺旋状部材との組み合わせによる外球保護構造を採用している。各実施形態の特徴を簡単に表すと、表1に示す通りになる。
【0040】
【表1】

[第1実施形態]
図2は、第1実施形態に係るセラミックメタルハライドランプ10A〜10Cの構造を説明する図である。なお、図2(A)〜(C)の相違は、内管18と螺旋状部材24との組み合わせにある。
【0041】
図1の従来のセラミックメタルハライドランプ100と比較すると、図2に示すセラミックメタルハライドランプ10A〜10Cは、(1)発光管が2本有る点、(2)発光管を取り囲む各内管に、更に螺旋状部材が組み合わされている点、で相違する。
【0042】
先ず、図2(A)に示すように、2本の発光管4−1,4−2が、密封型内管18A−1,18A−2に夫々収納されて、マウント8(図1参照)により支持されている。この2本の発光管4−1,4−2は、始動・駆動回路に対して電気的に並列に接続されている。更に、各密封型内管18A−1,18A−2は、その内周壁面に沿って螺旋状部材24−1,24−2が配置されている。
【0043】
先ず、発光管が2本有ることにより、セラミックメタルハライドランプ10Aの長寿命化が実現できる。例えば、1本の発光管の寿命を2万4,000時間として、理論上、2本の発光管では4万8,000時間の長寿命化が期待できる。
【0044】
次に、発光管4−1,4−2を取り囲む密封型内管18A−1,18A−2の内部に、更に螺旋状部材24−1,24−2を組み込んで、密封型内管18A−1,18A−2の強化を図っている。従って、万一、一方の発光管4−1が破裂しても、強化された密封型内管18A−1により破裂のエネルギーは大きく減衰され、他方の発光管4−2,密封型内管18A−2又は外球2が損傷されることはない。
【0045】
(螺旋状部材)
この螺旋状部材24−1,24−2は、金属線ワイヤ又はファイバから成る。金属線ワイヤの場合、好ましくは、モリブデン(Mo)やニッケル(Ni)から成る。ファイバの場合、好ましくは、石英ファイバから成る。
【0046】
発光管4−1,4−2を夫々取り巻く螺旋状部材24−1,24−2の軸線方向長さは、発光管4の太管部4aを取り巻く長さでもよく、発光管4全体(即ち、太管部4a及び細管部4b,4c)を取り巻く長さでもよく、更に長くてもよい。螺旋状部材24−1,24−2の軸線方向長さは、任意所望の長さであってよい。
【0047】
(内管と螺旋状部材の組み合わせの相違)
図2(B)のセラミックメタルハライドランプ10Bは、図2(A)のセラミックメタルハライドランプ10Aと比較して、各密封型内管18A−1,18A−2の外周壁面に沿って螺旋状部材24−3,24−4が配置されている点で相違する。図2(A)のランプ10Aと同様に、図2(B)のランプ10Bも、長寿命化が実現でき、且つ外球2の保護が強化されている。
【0048】
図2(C)のセラミックメタルハライドランプ10Cは、図2(A)のセラミックメタルハライドランプ10Aと比較して、複数本の密封型内管18A−1,18A−2全体を取り巻くように1個の螺旋状部材24−5が配置されている点で相違する。図2(A)のランプ10Aと同様に、図2(C)のランプ10Cも、長寿命化が実現でき、且つ外球2の保護が強化されている。
【0049】
(内管の相違)
図3は、種々のタイプの内管を説明する図である。内管には、大別して、開放型内管と密封型内管があり、更に、夫々が2つのタイプに分かれる。図3(A)に示す内管は、両端からリード線5,7が出て、その部分が夫々封止構造18sとなっている両端封止の密封型内管18Aであり、図3(B)に示す内管は、片端から2本のリード線5,7が出る片端封止構造18sの密封型内管(「2ピンタイプ」とも言う。)18Bである。図3(C−1)及び(C−2)に示す内管は、両端からリード線5,7が出るものの、一方を封止構造18sにし他方を開放構造18oにした片端封止の開放型内管18C−1,18C−2であり、両者の相違は、内管18C−1の開放端18oでは円形断面全面が開放されているのに対して、内管18C−2の開放端18oはリード線7の出る箇所のみ穴が形成された開放状態となっている点にある。図3(D)に示す内管は、封止構造部分がない円筒形状の両端開放型内管(「スリーブタイプ」ともいう。)22である。なお、封止構造部分がある内管18A〜18Cに関しては、発光管4のリード線5,7の出入りの様子を示すため、内部に発光管4も表示している点に注意されたい。
【0050】
(変形例)
再び図2(A)〜(C)を参照すると、密封型内管18A−1,18A−2は、図3(A)に示す両端密封型内管18Aである。
【0051】
図2(A)〜(C)に示すセラミックメタルハライドランプ10A〜10Cにおいて、この密封型内管18A−1,18A−2を、図3(B)に示す2ピンタイプの密封型内管18Bに置き換えた構造であってもよい。
【0052】
或いは、この密封型内管18A−1,18A−2を、図3(C−1)又は(C−2)に示す片端封止の開放型内管18C−1又は18C−2に置き換えた構造であってもよい。
【0053】
或いは、この密封型内管18A−1,18A−2を、内管18A,18B,18Cを混在させてもよい。
【0054】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係るセラミックメタルハライドランプ20A〜20Cの構造を説明する図である。なお、図4(A)〜(C)の相違は、内管18と螺旋状部材24との組み合わせにある。
【0055】
図1の従来のセラミックメタルハライドランプ100と比較すると、図4に示すセラミックメタルハライドランプ20A〜20Cは、(1)発光管が2本有る点、(2)発光管を取り囲む各内管に、更に螺旋状部材が組み合わされている点、で相違する。
【0056】
先ず、図4(A)に示すように、2本の発光管4−1,4−2が、両端開放型内管22−1,22−2に夫々収納されて、マウント8により支持されている。更に、各両端開放型内管22−1,22−2は、その内周壁面に沿って螺旋状の螺旋状部材24−7,24−8が配置されている。
【0057】
発光管4−1,4−2を夫々取り巻く螺旋状部材24−1,24−2の軸線方向長さは、発光管4の太管部4aを取り巻く長さでもよく、発光管4全体(即ち、太管部4a及び細管部4b,4c)を取り巻く長さでもよく、更に長くてもよい。
【0058】
螺旋状部材24−7,24−8の軸線方向長さは、任意所望の長さであってよい。同様に、発光管4−1,4−2を夫々取り巻く両端開放型内管22−1,22−2の軸線方向長さは、発光管4の太管部4aを取り巻く長さでもよく、発光管4全体(即ち、太管部4a及び細管部4b,4c)を取り巻く長さでもよく、更に長くてもよい。両端開放型内管22−1,22−2の軸線方向長さは、任意所望の長さであってよい。
【0059】
先ず、発光管が2本有ることにより、長寿命化が期待できる。
【0060】
次に、発光管4−1,4−2を取り囲む両端開放型内管22−1,22−2の内部に、更に螺旋状の螺旋状部材24−7,24−8を組み合わせて、両端開放型内管22−1,22−2の強化を図っている。従って、万一、一方の発光管4−1が破裂しても、強化された両端開放型内管22−1により破裂のエネルギーは大きく減衰され、他方の発光管4−2、両端開放型内管22−2又は外球2が損傷されることはない。
【0061】
(内管と螺旋状部材の組み合わせの相違)
図4(B)のセラミックメタルハライドランプ20Bは、図4(A)のセラミックメタルハライドランプ10Aと比較して、各両端開放型内管22−1,22−2の管外周の壁面に沿って螺旋状部材24−9,24−10が夫々配置されている点で相違する。
【0062】
図4(C)のセラミックメタルハライドランプ40Cは、図4(A)のセラミックメタルハライドランプ20Aと比較して、各両端開放型内管22−1,22−2全体を取り巻くように1本の螺旋状部材24−11が配置されている点で相違する。図4(C)に示す実施形態では、螺旋状部材24−11が1個で済むといったコスト面で利点がある。
【0063】
[ランプの回路構成]
第1〜2の実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの回路は、従来使用されていたセラミックメタルハライドランプの回路と同じである。
【0064】
図5は、メタルハライドランプの回路を説明する図である。商用交流電源(100/200 V, 50/60Hz)24に接続された安定器26からセラミックメタルハライドランプ10,20に対して給電される。安定器26は、チョークコイル27及びイグナイター(始動回路)28を有している。ランプ内の発光管4−1,4−2は、電源側に対して電気的に並列に接続されている。
【0065】
図に示すように、セラミックメタルハライドランプは、ランプ自体に始動回路は無く、安定器26からのパルスにより、点灯し易い状態の1個の発光管が点灯する。即ち、従来のセラミックメタルハライドランプの回路のソケットに対して、本実施形態のセラミックメタルハライドランプを取り付けることが出来る。従って、本実施形態のセラミックメタルハライドランプは、器具、安定器の組合せによっては既存設備を変更することなく、使用することが出来る。
【0066】
[まとめ]
以上、本実施形態に係る外球保護構造を備えたセラミックメタルハライドランプについて説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0067】
2:外球,外管,外管バルブ、 4,4−1,4−2:発光管、 4a:太管部、 4b,4c:細管部、 5,7:リード線、 6:口金、 8:マウント、 10,10A,10B,10C,20,20A,20B,20C:セラミックメタルハライドランプ、 14:ステム管、 16:支柱、 18,18A,18A−1,18A−2:両端封止の密封型内管、 18B:片端封止の密封型内管、 18C,18C−1,18C−2:片端封止の開放型内管、 18s:封止構造,ピンチシール、 18o:開放構造、 22,22−1:両端開放型内管、 24:商用交流電源、 26:安定器、 27:チョークコイル、 28:イグナイター,始動回路、 100:従来のセラミックメタルハライドランプ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックメタルハライドランプにおいて、
選択的に1本の発光管が点灯する複数本の発光管と、
前記発光管を取り巻くように配置された内管と螺旋状部材とを有する外球保護構造と、
前記発光管及び前記外球保護構造を収納する外球とを備えた、セラミックメタルハライドランプ。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記内管は、両端密封型内管、2ピンタイプの片端封止の密封型内管、片端封止の開放型内管及び両端開放型内管から選択された任意の内管である、セラミックメタルハライドランプ。
【請求項3】
請求項1に記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記外球保護構造は、前記発光管を夫々取り巻く前記内管の内周壁面に沿って、螺旋形状に整形された前記螺旋状部材が配置されている、セラミックメタルハライドランプ。
【請求項4】
請求項1に記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記外球保護構造は、前記発光管を夫々取り巻く各々の前記内管の外周壁面に沿って、螺旋形状に整形された前記螺旋状部材が配置されている、セラミックメタルハライドランプ。
【請求項5】
請求項1に記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記外球保護構造は、1個の螺旋形状に整形された前記螺旋状部材が、複数個の前記内管全体を取り巻くように配置されている、セラミックメタルハライドランプ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記螺旋状部材は、金属製又はファイバ製である、セラミックメタルハライドランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−38478(P2012−38478A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175753(P2010−175753)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】