説明

外用剤キット

【課題】ゲルシートの離水性及び伸び率、及び水溶性シートの溶解性に優れた外用剤キットを提供する。
【解決手段】本発明に係る外用剤キットは、(I)(a)カラギーナン10〜80質量%と、ローカストビーンガム5〜50質量%と、キサンタンガム5〜50質量%と、マンナン5〜50質量%と、からなる組成物1〜6質量%と、(b)水と、を含むゲルシート、及び、(II)セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、コラーゲン、デンプン、ゼラチン、寒天、糖からなる群より選択される1種又は2種以上の成分を含む水溶性シート、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲルシート及び水溶性シートからなる外用剤キット、特にゲルシートの離水性及び強度、及び水溶性シートの溶解性の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌に潤いなどのの美容効果をもたらす、あるいは患部を冷却ないし消炎するなどといった目的で、皮膚に貼付して使用するシート状外用剤が用いられてきた。
このような外用剤として、特に化粧品分野においては、不織布などに有効成分の水溶液を含侵させたシートパックが一般的であるが、このタイプのものは有効成分を含む水分の保持や使用感触の点に問題があった。
そのため、近年、より効果的なシート状外用剤として、次の2タイプのものが注目されている。
第一には、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、マンナンなどの多糖類により有効成分をゲル状のシートに保持させた外用剤である。
このようなシート状外用剤として、例えば、特許文献1には、グルコマンナンとローカストビーンガム又はカラギーナンを含有することで、人の肌などの弱酸性領域において型崩れが生じ難く安定な含水性ゲル基材が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、カラギーナン及び/またはマンナン、並びに単独で融点が80℃以上のゲルを形成し得る増粘多糖類(例えば、ジェランガム、寒天、アガロース等)を含有し、使用感・外観に優れ、保存安定性の高い外用ゲル組成物が開示されている。
さらに特許文献3は、カラギーナン、ローカストビーンガムの合計配合量が2.0重量%以下のパック用水溶性ゲルが、保形性及び柔軟性に優れ、密着状に容易に貼着できることを開示している。
そして、第二には、有効成分にセルロース誘導体、デンプン、糖などの水溶性の物質を配合した乾燥フィルム状のシートであり、肌貼付後に水を添加し、フィルムを溶解させて有効成分を肌へ供給するタイプの外用剤である。
【0003】
上記ゲルシートは、ゲルがシート状に保形されているため安定で扱い易く、また、ゲルに水分が保持されているため肌への密着性もよいという利点がある。一方で、保形性の高いゲルゆえに、ゲル中の有効成分を意図通りに肌へ溶出させることが難しかった。
また、乾燥フィルム状のシートの場合、フィルムを溶解すれば含まれる有効成分を全て肌へ供給することができるが、フィルムの肌への密着性が悪い上、水を与えると容易に溶解してしまうため、取り扱いが難しく、意図通りに肌へ適用する操作性の難しさがあった。
【0004】
このような問題に対しては、異なる2つ以上のシートを重ねて肌へ適用する外用剤キットが提案されている。
例えば、特許文献4には、先の乾燥フィルム(水溶性フィルム)タイプのシートを顔の集中ケアしたい部分に貼付した上で、顔全体を不織布などの水不溶性基材で覆い、不織布に含まれた水分でフィルムを溶解させるトリートメント物品が開示されている。
また、特許文献5には、美容成分を含有し乾燥させた可溶性フィルムと、該フィルムに積層されるゲルシートが設けられ、ゲルシートの液体が移動して可溶性フィルムが溶解し、美容成分が溶出するパック用シートが開示されている。
さらに、特許文献6には、シート状に成型された水溶性薬物含有水親和性基剤上に、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子と水からなる含水ゲルを重ねて皮膚に貼着・積層する複合貼付製剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−290051号公報
【特許文献2】特開2002−87993号公報
【特許文献3】特開2009−67765号公報
【特許文献4】特表2009−541301号公報
【特許文献5】特開2006−56804号公報
【特許文献6】特開昭63−297320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、水溶性フィルムに不織布などの水不溶性基剤を重ねる特許文献4の技術では、水溶性シートの溶解程度が外部から分からない上、乾き易い従来の不織布などでは、水溶性フィルムに対する水分調整が困難であった。
また、可溶性フィルムにゲルシートを重ねる特許文献5、6の場合、可溶性フィルムとゲルシートを同じ形状・サイズとしているため、フィルムの肌への密着性やゲルシートによるフィルムの溶解性に問題があった。また、フィルムの溶解に十分な水を供給するという点では、ゲルシートの離水性についても改良の余地があり、さらに、様々な形状の部位へのゲルシートの適用や、使用中のゲルシート適用部位中の運動に対応できるよう、ゲルシートは適度な伸び率をもつものであることが要求される。しかし、離水性と伸び率ともに優れたゲルシートは未だ得られていない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、離水性及び伸び率に優れたゲルシート、及び、溶解性に優れた水溶性シートを備えた外用剤キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討した結果、特定のゲル化成分からなる組成物により成形されたゲルシートが優れた離水性及び伸び率を示し、これで水溶性シートを覆うことで、水溶性シートの溶解性が著しく向上し、その含有成分を効率よく肌へ供給できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る外用剤キットは、
(I)(a)カラギーナン10〜80質量%と、ローカストビーンガム5〜50質量%、キサンタンガム5〜50質量%と、マンナン5〜50質量%からなる組成物1〜6質量%と、(b)水と、からなるゲルシート、及び、
(II)セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、コラーゲン、デンプン、ゼラチン、寒天、糖からなる群より選択される1種又は2種以上の成分を含む水溶性シート、を含むことを特徴とする。
また、前記外用剤キットにおいて、前記(a)の組成物において、カラギーナンが25〜35質量%、ローカストビーンガムが20〜30質量%、キサンタンガムが20〜30質量%、マンナンが15〜25質量%であることが好適である。
また、前記外用剤キットにおいて、前記(a)の組成物の配合量が、1〜2.5質量%であることが好適である。
【0008】
また、前記外用剤キットは、前記組成物において、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの重量比が2:1〜1:2であることが好適である。
また、(II)水溶性シートが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことが好適である。
また、前記外用剤キットにおいて、(I)ゲルシートの、(II)水溶性シートと接触する側の面の面積が、前記水溶性シートの、前記ゲルシートと接触する側の面の面積よりも大きいことが好適である。
さらに、本発明に係る前記外用剤キットの使用方法は、(I)ゲルシートが(II)水溶性シートの片全面を完全に覆うよう、(I)ゲルシートを(II)水溶性シート上に重ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、離水性及び伸び率に優れたゲルシートにより、水溶性シートを溶解し、その含有成分を効果的に肌へ供給することができる。また、溶解した水溶性シートは、前記ゲルシートと肌の間に密着された状態で保持されるため、パックとしての高い効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の外用剤キットを皮膚に適用した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る外用剤キットは、(I)ゲルシート及び(II)水溶性シートを含み、前記水溶性シート上に、前記ゲルシートを載せて使用するものである。
まず、各シートを構成する成分について説明する。
(I)ゲルシート
本発明におけるゲルシートは、ゲル状構造に水が保持されたシートであり、(a)カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、マンナンからなる組成物と、(b)水とから構成される。
前記(a)成分の組成物は、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、マンナンからなる4種の増粘性多糖類を、組成物に対してそれぞれ10〜80質量%、5〜50質量%、5〜50質量%、5〜50質量%、好ましくはそれぞれ25〜35質量%、20〜30質量%、20〜30質量%、15〜25質量%の割合で含み、(b)水(水溶性成分の水溶液)に対するゲル化剤として作用する。
【0012】
また、(I)ゲルシートは、前記(a)成分の組成物を1〜6質量%、好ましくは1〜2.5質量%含有する。したがって、前記(a)成分の組成物をゲルシートに1〜6質量%の範囲で配合する場合、カラギーナンのゲルシートにおける含有量は、0.1〜4.8質量%、好ましくは0.25〜2.1質量%である。同様に、ローカストビーンガムのゲルシートにおける配合量は、0.05〜3質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%である。キサンタンガムのゲルシートにおける含有量は、0.05〜3質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%である。マンナンのゲルシートにおける配合量は、0.05〜3質量%、好ましくは0.15〜1.5質量%である。
また、前記(a)成分の組成物をゲルシートに1〜2.5質量%の範囲で配合する場合は、カラギーナンのゲルシートにおける含有量は、0.1〜2質量%、好ましくは0.25〜1.5質量%である。同様に、ローカストビーンガムのゲルシートにおける配合量は、0.05〜1.25質量%、好ましくは0.2〜1.0質量%である。キサンタンガムのゲルシートにおける含有量は、0.05〜1.25質量%、好ましくは0.2〜1.0質量%である。マンナンのゲルシートにおける配合量は、0.05〜1.25質量%、好ましくは0.15〜1.0質量%である。
【0013】
本発明においては、上記4種の増粘性多糖類を上記量範囲で用いることで、離水性が極めて高く、適度な伸び率をもったゲルシートを得ることができる。高い離水性と伸び率の実現には4種全ての配合が関係していると考えられるが、特にカラギーナンの含有量がゲルシートに対して4.8質量%を超えると、ゲルシートの離水性が大きく低下する傾向がある。
また、特にマンナンの含有量がゲルシートに対して0.05質量%に満たないと、ゲルシートの保形が困難となり、3質量%を超えるとシートが硬くなりすぎて肌に貼付し難くなる傾向がある。
【0014】
また、本発明におけるゲルシートは、(a)成分の組成物におけるローカストビーンガムに対するキサンタンガムの質量比によってゲルシートの伸び率を変えることができる。ゲルシートの伸び率は、(ローカストビーンガム:キサンタンガム)が質量比で1:1となるときに最も高くなる。一方、前記質量比が1:1から遠ざかるほどゲルシートの伸び率は低下するが、両成分の含有量が前記範囲を満たす限りは、使用に十分な伸び率である200%以上が保たれる。そのため、前記含有量範囲内において、ローカストビーンガムとキサンタンガムの質量比を調整すれば、目的に応じたで離水性の高いゲルシートを得ることができる。本発明においては、特にローカストビーンガムとキサンタンガムを2:1〜1:2で用い、優れた伸び率を備えたゲルシートとすることが好ましい。
【0015】
本発明の外用剤キットは、上記増粘性多糖類により増粘・ゲル化されたゲルシート中に保持され、使用時に該ゲルシートから滲出する水分により水溶性シートを溶解させる形態を有する。また、水分を保持したゲルシートの肌への密着性を利用し、肌とゲルシートの間に水溶性シートを保持・密着させることが可能となる。そのため、ゲルシートには、ゲルシートが肌に密着し、且つゲルシートからの離水分によって水溶性シートを溶解させるに十分な量の(b)水を配合することが好ましい。(b)成分は、ゲルシートにおいて、(a)成分を除いた残りの部分であり、その含有量は(a)成分の配合量に依存する。ゲルシートの水分によって水溶性シートを溶解させることを考慮すれば、ゲルシートには、水溶性シートの体積の1〜10倍程度の水が含有されていることが好ましいが、本発明においては、(a)成分の配合量を後述の特定範囲とする限り、(b)成分は水溶性シートの溶解に十分な含有量とすることができる。
【0016】
なお、前記(b)成分には、通常化粧品、医薬品、医薬部外品に使用される水溶性成分を本発明の効果を損ねない範囲で含有させることができる。
前記水溶性成分としては、例えば、低級アルコール、多価アルコール類、酸及び塩類等が挙げられる。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0017】
多価アルコール類としては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ヘキサントリオール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);多価アルコールのアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);多価アルコールのアルキルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、キシリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトール、デンプン分解等還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール、POP−ブチルエーテル;POP・POE−ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル;ポリグリセリン等が挙げられる。
【0018】
酸及び塩類としては、有機酸及び有機塩類(アミノ酸、アミノ酸塩、オキシ酸塩)や無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸水素ナトリウムなど)等が挙げられる。
本発明においては、特に、ゲルシートへ保湿性を付与し、使用後の肌へしっとり感を与える点、また、後述の(II)水溶性シートとの相性の点から、多価アルコール類を配合することが好ましく、より好ましくは2価アルコール及び/又はグリセリン、さらに好ましくはグリセリンである。その配合量としては、例えば、2価アルコール(例えば、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール)の場合、ゲルシートに対しそれぞれ1〜15質量%程度、グリセリンの場合、ゲルシートに対し1〜10質量%程度とすることが好ましい。
また、(b)成分には、上記水溶性成分の他、界面活性剤を用いて乳化・可溶化することによって、香料等の油溶性成分を配合することもできる。
なお、上記各成分は単独又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0019】
本発明において、前記ゲルシートは、必要に応じて上記水溶性成分等を(b)水に溶解させた水溶液に、(a)カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、マンナンからなる組成物を1〜6質量%、好ましくは1〜2.5質量%の濃度となるように添加・混合して得たゲル状組成物を、シート状に成形することによって製造することができる。なお、前記製造においては、必要に応じて組成物の加熱・冷却を行ってもよい。
シート状への成形は、得られたゲル状組成物を圧延冷却したり、冷却前に目的の形状を有する容器に充填して冷却したり、ブロック状に固化させた後、シート状に切断するなど、様々な方法を利用することができる。
【0020】
成形したゲルシートの厚さは特に限定されないが、皮膚上に密着した状態で保持することができ、且つ水溶性シートを溶解させるのに必要な水分を供給できる程度の厚さに調整することが好ましい。通常、0.1〜3.0mmの厚さとすれば、本発明におけるゲルシートとしての効果は十分に発揮される。
また、ゲルシートの大きさは、後述の(II)水溶性シートを完全に覆うことができる程度、すなわちゲルシートの、水溶性シートと接触する側の面の面積が、水溶性シートの、ゲルシートと接触する側の面の面積よりも大きくなるように成形することが好ましい。さらに、水溶性シートをゲルシートで覆った際に水溶性シートの溶解状態を経時で確認できるように、ゲルシートを半透明〜透明にすることが好ましい。なお、ゲルシートの形状には特に制限はなく、本発明の外用剤キットの適用箇所や使用目的に応じて選択することができる。
【0021】
(II)水溶性シート
本発明における水溶性シートは、常温で水に溶解するフィルム状のシートであり、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、コラーゲン、デンプン、ゼラチン、寒天、糖から選択されるフィルム形成成分を含む。
セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のヒドロキシアルキル化セルロース等の水溶性セルロースエーテルが挙げられる。
【0022】
デンプンとしては、天然デンプンの他、エーテル化(例えば、ヒドロキシプロピル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシメチル化、ヒドロキシプロピルメチル化等のヒドロキシアルキル化など)、エステル化(例えば、アセチル化など)、有機エステル化を施したものや、それらの架橋、酸化、酵素転換、酸加水分解物等の加工デンプンが挙げられる。
【0023】
糖としては、例えば、プルラン、エルシナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、タマリンドガム、キサンタンガム、グアガム、タラガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクタン、アラビアガム、キトサン、アミロース、アミロペクチン、デキストラン、マンナン、グリコシルトレハロース等の水溶性多糖類が挙げられる。
【0024】
前記フィルム形成成分は、1種又は2種以上を組み合わせて配合することができ、本発明においては、水溶性セルロースエーテル、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
前記フィルム形成成分の水溶性シートに対する配合量は、使用するフィルム形成成分によって適宜決定することができるが、好ましくは水溶性シートに対して40〜70質量%、より好ましくは50〜70質量%である。
【0025】
本発明における水溶性シートは、上記成分の水溶液を基材上に塗布・乾燥させ、平板のシート状に成形して製造することができる。乾燥後の水溶性シートの厚さは、好ましくは10〜60μm、より好ましくは20〜40μmである。水溶性シートの厚さが60μmを超えると、使用時にシートが十分溶解されないことがあり、10μmに満たないと配合成分による肌への効果が不十分なことがある。
水溶性シートの大きさは、前記(I)のゲルシートで完全に覆うことができる程度、すなわち水溶性シートの、ゲルシートと接触する側の面の面積が、ゲルシートの、水溶性シートと接触する側の面の面積よりも小さくなるように成形することが好ましい。水溶性シートがゲルシートによって完全に覆われないと、使用時にゲルシートから滲出する水分が水溶性シートへ十分に行き渡らず、水溶性シートの溶解及び含有成分による効果が不完全となることがある。また、水溶性シートがゲルシートによって保持されないため、シートの肌への密着性が不十分となる。
【0026】
本発明における水溶性シートには、上記必須成分の他に、通常化粧品、医薬品、医薬部外品に使用される成分を本発明の効果を損ねない範囲で配合することができる。
前記成分としては、例えば、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D−マンニット、グリコシルトレハロース、ヒアルロン酸等の保湿剤;エタノール、プロパノール等の低級アルコール;パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラミル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤;エデト酸ナトリウム塩、メタリン酸ナトリウム、リン酸等の金属イオン封鎖剤;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の金属イオン封鎖剤;水酸化カリウム、クエン酸塩、酢酸塩等のpH調整剤;キレート剤;パラベン、フェノキシエタノール、グルコン酸クロルヘキシジン等の防腐剤;香料;色素;アミノ酸及びアミノ酸塩;ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等の無機塩類;タルク、シリカゲル、酸化亜鉛、酸化チタン等の粉体などが挙げられる。
【0027】
また、ワセリン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油;ホホバ油、ゲイロウ、カルナウバワックス等のエステル油;オリーブ油、牛脂等のトリグリセライド;セタノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン油などの油分や、その他の油溶性成分を界面活性剤等で乳化・可溶化して添加してもよい。
界面活性剤としては、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸エステル等のアニオン性界面活性剤;4級アルキルアミン塩等のカチオン性界面活性剤;アルキルベタイン等の両性界面活性剤;アルキル変性カルボキシビニルポリマー等の高分子界面活性剤などが挙げられる。
【0028】
さらに、前記水溶性シートには、目的に応じて各種薬剤を配合し、薬効を付与することができる。
薬剤としては、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸2−グルコシド、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、2−Lアスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン、塩酸ピリドキシン、CoQ10等のビタミン類;トラネキサム酸、アラントイン、グリチルリチン酸塩、アズレン、塩化リゾチーム等の坑炎症剤;アルブチン、コウジ酸等の美白剤;酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;イオウ;α−リポ酸;メントール:γ−オリザノール、朝鮮人参エキス、ステロール配糖体等の滋養剤;浸透圧調整剤;抗ヒスタミン剤;ステロイドホルモン;殺菌剤;抗真菌剤;血管保護剤;酸化防止剤;色素脱失剤;減感剤;免疫調節剤;抗加齢剤;抗シワ剤;皮脂吸収剤;抗生物質;脱臭剤;柔軟剤などが挙げられる。
なお、上記薬剤は遊離の状態で使用されるほか、造塩可能なものは酸または塩基の塩の型で、またカルボン酸基を有するものはそのエステルの形で使用することができる。
本発明においては、使用後の肌にしっとり感を与える点から、保湿剤、特に、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのいずれか1種以上を配合することが好ましい。配合量としては、前記保湿剤の合計を、水溶性シートに対し0.1〜30質量%とすることが好ましい。
【0029】
本発明に係る外用剤キットは、(I)ゲルシートが(II)水溶性シートの片面を完全に覆うよう、(I)ゲルシートを(II)水溶性シート上に重ねて使用することができる。
図1は本発明の外用剤キットの実施形態を示しており、外用剤キット10は、ゲルシート12及び水溶性シート14からなり、水溶性シート14を皮膚16上に載せた時、それをゲルシート12が上から完全に覆うことができるように構成されている。
なお、本発明におけるゲルシート12は、通常、透明性を有しているため、キット10を使用したままの状態で、ゲルシート12の下にある水溶性シート14の溶解状態を確認することができる。さらに、水溶性シート14はゲルシート12よりも小さいので、使用前の乾燥した水溶性シート14が皮膚16に密着し難い状態であっても、ゲルシート12を重ねることによって水溶性シート14を皮膚16の表面に密着した状態で保持することができる。
なお、この際、ゲルシート12の、水溶性シート14と接触している側の面は、皮膚16に接触していてよい。
【0030】
図2は、前記外用剤キットを皮膚に適用した状態を断面で示したものであり、(A)が使用直後、(B)が水溶性シート溶解後の状態を表している。
図2(A)に示すように、水溶性シート14には、該シートを覆うゲルシート12から離水した水分が供給される。使用前に乾燥状態であった水溶性シート14は、前記水分へ徐々に溶解し、終には完全に液状(又はジェル状)となる。水溶性シート成分は、図2(B)に示すように、液状となってもゲルシート12と皮膚16の間に保持されたままであり、乾燥がほとんど進まない。したがって、ゲルシート下の皮膚に対し、水溶性シート成分による効率的且つ効果的なパックが可能となる。
【0031】
本発明に係る外用剤キットの用途は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されないが、特に、化粧用及び医療用として好適に使用できる。
化粧用及び医療用としての本発明の製品形態としては、ゲルシート及び水溶性シートに配合する成分に応じ、例えば、保湿シート、肌荒れ改善シート、しわ伸ばしシート、角質除去シート、毛穴ケア用シート、ボディー用保湿シート、ボディー用美白剤、日焼けトリートメント剤、創傷・やけど保護シート、熱さまし用シート、かゆみ止めシート、化膿防止薬、ニキビ防止・治療薬などが挙げられる。
また、上記のような皮膚表面及びその周辺へ直接作用させる形態以外に、適用部位から離れた部位をターゲットとして薬剤等を経皮投与することを目的とした形態も挙げられる。
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で表す。
【実施例】
【0033】
下記試験例1−1〜3に示す組成のゲル状組成物を成形し、直径70mmの円形のゲルシートとした(厚さ1.0mm)。また、下記製造処方から製造した乾燥状態の水溶性シートを直径30mmの円形に成形した(厚さ30μm)。透明の板に、前記水溶性シートを置き、その上から前記ゲルシートを置いて、5、10、15、20、25、30分後における水溶性シートの溶解状態を下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0034】
試験例1−1
(成分) (質量%)
ポリアクリル酸ナトリウム 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 5.0
ポリアクリル酸 1.0
ヒマシ油 0.4
酒石酸 0.4
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 0.2
ジプロピレングリコール 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
防腐剤 適 量
水 残 余
【0035】
試験例1−2
(成分) (質量%)
寒天 4.0
キサンタンガム 0.5
ローカストビーンガム 0.5
ジプロピレングリコール 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
防腐剤 適 量
水 残 余
【0036】
試験例1−3
(成分) (質量%)
カラギーナン 1.0
マンナン 0.5
キサンタンガム 0.5
ローカストビーンガム 0.5
ジプロピレングリコール 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
防腐剤 適 量
水 残 余
【0037】
水溶性シート製造処方
(成分) (質量%)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 60.0
1,3−ブチレングリコール 15.0
ジプロピレングリコール 5.0
PEG−60水添ヒマシ油 1.5
防腐剤 適 量
水 残 余
(製造方法)
水にその他の成分を加えて撹拌混合し、得られた水溶液を基材に塗布して乾燥させ、乾燥フィルム状の水溶性シートを得た。
【0038】
<評価基準>
水溶性シートの溶解性
ゲルシート越しに水溶性シートの溶解状態を目視で観察し、次の基準で溶解性を評価した。
○:水溶性シートが、形もなく完全に溶けている。
△:水溶性シートは溶けているが、形状が維持されている。
×:水溶性シートが溶けていない、又はほとんど溶けていない。
【0039】
(表1)
水溶性シートの溶解性
5分後 10分後 15分後 20分後 25分後 30分後
試験例1−1
× × × × × ×
試験例1−2
× △ △ △ △ △
試験例1−3
△ ○ ○ ○ ○ ○
【0040】
表1に示す通り、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、マンナンを配合した試験例1−3のゲルシートは離水性が高く、水溶性シートが速やかに溶解した。
一方、ゲル化剤としてポリアクリル酸やカルボキシビニルポリマーを用いた試験例1−1、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガムを用いた試験例1−2では、ゲルシートにほとんど離水が生じず、水溶性シートを30分以内に完全溶解させることはできなかった。
【0041】
さらに、下記表2に示す組成の試験例2−1〜2−7のゲルシート(厚さ0.8mm)について、以下の試験をそれぞれ行い、離水性(ブリード量)、伸び率(ゲル伸び率)、透明度を評価した。結果を表2に示す。
離水性(ブリード量)評価試験
(1)直径100mmのシャーレ中に直径95mmの硬質ろ紙(保留粒子1μm)を5枚入れる。
(2)(1)のセットを32℃に設定した恒温槽に入れ、温度を一定にする。
(3)恒温槽からシャーレセットを取り出し、重量を測定する(重量(A)とする)。
(4)重量測定後、温度を均一にするため再び恒温槽に15分入れる。
(5)恒温槽からシャーレを取り出し、直径65mmの円形に成形したゲルシートをシャーレの中にいれ、重量を測定(重量(B)とする)後、恒温槽へ入れる。
(6)15分後、恒温槽からシャーレセットを取り出し、シャーレからゲルを取り除いて重量を測定する(重量(C)とする)。
(7){(重量(A)−重量(C))/重量(B)}×100(%)として、ブリード量を算出する。
(8)各試験例の検体数を10として、それぞれ算出されたブリード量の平均値を次の基準で評価した。
○:ブリード量の平均が18%以上
△:ブリード量の平均が12%以上18%未満
×:ブリード量の平均が12%未満
【0042】
伸び率(ゲル伸び率)評価試験
(1)ゲルシートを幅40mmにカットする。
(2)カットしたゲル板をオートグラフ装置(島津製作所製AGS−N−100N)を用い、チャック間距離150mm、引張速度300mm/minの条件で引張試験を行いゲル伸び率の測定を行う。
(3)各試験例の検体数を10として、それぞれ測定された伸び率の平均値を次の基準で評価した。
○:伸び率の平均が200%以上
△:伸び率の平均が150%以上200%未満
×:伸び率の平均が150%未満
【0043】
透明度試験
上記製造処方の水溶性シートに重ねた時のゲルシートの透明さを次の基準で目視確認した。
○:ゲルシートは透明で、ゲルシート越しに水溶性シートが確認できる
△:ゲルシートは若干不透明で、ゲルシート越しに水溶性シートを確認し難い
×:ゲルシートは不透明で、ゲルシート越しに水溶性シートは確認できない
【0044】
【表2】

【0045】
試験例2−1及び2−2に示すように、ローカストビーンガム、キサンタンガム、マンナン、カラギーナンの4種を用いてゲルシートとすることで、離水性、伸び率、透明度の全てが向上した。しかしながら、試験例2−3〜2−7に示すように、ローカストビーンガムを欠くと、他の3種の配合量を調整し、多価アルコールを配合しても離水性、伸び率、透明度の全てが優れたゲルシートを得ることはできなかった。
したがって、本発明においては、ゲルシートがカラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、マンナンを含むことが好適である。
【0046】
下記表3に示す組成の試験例3−1〜3−7のゲルシート(厚さ0.8mm)について、上記離水性(ブリード量)及び伸び率(ゲル伸び率)を評価した。結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

*1:カラギーナン30質量%、ローカストビーンガム25質量%、キサンタンガム25質量%、マンナン20質量%からなる組成物
【0048】
表3に示すとおり、カラギーナン30質量%、ローカストビーンガム25質量%、キサンタンガム25質量%、マンナン20質量%からなる増粘性多糖類組成物を1〜6質量%の範囲で配合した試験例3−3及び3−6は、優れた離水性(ブリード量)及び伸び率(ゲル伸び率)であった。中でも、増粘性多糖類組成物を1.0〜2.5質量%配合した試験例3−3、3−4では、離水性、伸び率とも特に良好であった。
一方、前記組成物を配合しなかった試験例3−1はゲル状のシートを形成することができなかった。また、前記組成物の配合量が1質量%に満たない試験例3−2では特に伸び率に劣り、配合量が6質量%を超える試験例3−7では特に離水性に劣る結果となった。
したがって、本発明においては、ゲルシートが、カラギーナン25〜35質量%、ローカストビーンガム20〜30質量%、キサンタンガム20〜30質量%、マンナン15〜25質量%からなる組成物を1〜6質量%含むことが好適であり、特に好ましくは1〜2.5質量%である。
【0049】
下記表4に示す組成の試験例4−1〜4−4の水溶性シート(直径300mm円形、厚さ0.8mm)について、透明の板に、前記水溶性シートを置き、その上から上記試験例1−4のゲルシートを置いて、5分後における水溶性シートの溶解状態を上記した水溶性シートの溶解性の基準に従って評価した。
また、前記各試験例の水溶性シートと、試験例1−4のゲルシートとの外用剤キットの実使用試験(パネル10名)を行い、キット使用後の肌のしっとり感を下記基準で評価した。
【0050】
しっとり感
○:パネル8人以上が、使用後の肌にしっとり感があると回答
△:パネル4人以上8人未満が、使用後の肌にしっとり感があると回答
×:パネル4人未満が、使用後の肌にしっとり感があると回答
【0051】
【表4】

(製造方法)
水にその他の成分を加えて撹拌混合し、得られた水溶液を基材に塗布して乾燥させ、乾燥フィルム状の水溶性シートを得た。
【0052】
表4に示す通り、水溶性シートに多価アルコールの保湿成分(1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン)を配合すると、水溶性シートの溶解により、肌にしっとり感を与えることができた。
【符号の説明】
【0053】
10 外用剤キット
12 ゲルシート
14 水溶性シート
16 皮膚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)(a)カラギーナン10〜80質量%と、ローカストビーンガム5〜50質量%と、キサンタンガム5〜50質量%と、マンナン5〜50質量%と、からなる組成物1〜6質量%と、
(b)水と、
を含むゲルシート、及び、
(II)セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、コラーゲン、デンプン、ゼラチン、寒天、糖からなる群より選択される1種又は2種以上の成分を含む水溶性シート、
を含むことを特徴とする外用剤キット。
【請求項2】
前記(a)の組成物において、カラギーナンが25〜35質量%、ローカストビーンガムが20〜30質量%、キサンタンガムが20〜30質量%、マンナンが15〜25質量%であることを特徴とする請求項1に記載の外用剤キット。
【請求項3】
前記(a)の組成物の配合量が、1〜2.5質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の外用剤キット。
【請求項4】
前記組成物において、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの重量比が2:1〜1:2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の外用剤キット。
【請求項5】
(II)水溶性シートが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の外用剤キット。
【請求項6】
(I)ゲルシートの、(II)水溶性シートと接触する側の面の面積が、前記水溶性シートの、前記ゲルシートと接触する側の面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の外用剤キット。
【請求項7】
(I)ゲルシートが(II)水溶性シートの片全面を完全に覆うよう、(I)ゲルシートを(II)水溶性シート上に重ねることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の外用剤キットの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−214454(P2012−214454A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−71135(P2012−71135)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【特許番号】特許第5054847号(P5054847)
【特許公報発行日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【出願人】(302060568)株式会社カナエテクノス (11)
【Fターム(参考)】