説明

外用剤組成物

【課題】優れた耐光性を示し、長時間の使用でも効果が持続し、長期保存において長波紫外線遮蔽効果が維持される皮膚又は毛髪用の外用剤組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を含有する皮膚又は毛髪用の外用剤組成物。


[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間や動物の皮膚、毛髪に適用して紫外線の影響を低減するための皮膚又は毛髪用の外用剤組成物に関し、詳細には、UV−A領域、UV−B領域のいずれの紫外線をも効果的に吸収しうる皮膚又は毛髪用の外用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
280nmから400nmの波長を有する紫外線の照射によりヒトの表皮は褐色になり、特にUV−B線として知られている280nmから320nmの範囲の波長を有する光線により、所望の自然な日焼け状態よりも皮膚に損傷を与え、有害な皮膚火傷となったり紅斑の原因となったりすることが知られている。健康上、美容上の理由により、有害な紫外線によるダメージを抑制し、皮膚や毛髪における日焼けを防止する、あるいは、日焼けによる損傷を抑制しつつ、皮膚の色調を健康な日焼け状態にコントロールするための手段が必要とされている。このため、このUV−B線は遮蔽することが望ましい。
他方、320nmから400nmの範囲の波長を有し、皮膚を褐色にする原因となるUV−A線も、前記皮膚に機能障害を誘発するおそれがあることが知られており、敏感肌や絶えず太陽光線にさらされている皮膚の場合は特にその影響が懸念される。
UV−A線は、特に、皮膚の弾性を喪失させ、シワを出現せしめ、皮膚を時期尚早の老化に導く原因となる。UV−A線は紅斑の発生の原因となり、さらに、体質によっては、この反応を増幅させ、光毒性又は光アレルギー反応の原因になる場合もある。従って、このような健康上の理由、或いは、例えば皮膚本来の弾力性を維持するというような美容的理由から、皮膚へのUV−A線の影響をコントロールすることが望まれており、前記UV−B線のみならずUV−A線を効果的に遮蔽することが望ましい。
【0003】
紫外線に対する皮膚及び毛髪におけるケラチン物質の保護を確実にする目的で、UV−Aの波長範囲及びUV−Bの波長範囲の紫外線を吸収、或いは遮断するため、紫外線吸収剤として無機系紫外線吸収剤や有機系紫外線吸収剤を用いる場合がある。無機系紫外線吸収剤(例えば、特許文献1〜2を参照。)では、耐光性に優れている反面、吸収波長が化合物のバンドギャップによって決定されるため選択の自由度が少なく、400nm付近の長波紫外線(UV−A)領域まで吸収できるものはなく、長波紫外線を吸収するものは可視域まで吸収を有するために着色を伴ってしまう。
これに対して、有機系紫外線吸収剤は、吸収剤の構造設計の自由度が高いために、吸収剤の構造を工夫することによって様々な吸収波長のものを得ることができる。
【0004】
これまでにも様々な有機系紫外線吸収剤を用いた系が検討されており、特許文献3にはトリアゾール系の紫外線吸収剤が開示されている。しかし、極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものは耐光性が悪く、紫外線遮蔽効果が時間とともに減少していってしまう。そのため、皮膚や毛髪用の医薬部外品、化粧品等の外用剤に用いた場合、容器内での保存中にその効果がなくなってしまう恐れがある。また、皮膚や毛髪に塗布した後に屋外で強い紫外線に晒された場合、紫外線遮蔽効果が短時間で失われ、紫外線遮蔽用の外用剤としての機能を果たさなく恐れもある。そのため、UV−A領域まで遮蔽効果を示し、かつこれまで以上の耐光性に優れた紫外線吸収剤として使用し得る化合物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−011927号公報
【特許文献2】特表2004−522751号公報
【特許文献3】特表2002−524452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点を考慮した本発明の目的は、UV−A領域及びUV−B領域のいずれにも高い吸光度の吸収をもち、優れた耐光性を示し、長時間の使用でも効果が持続し、長期保存において長波紫外線遮蔽効果が維持される皮膚又は毛髪用の外用剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について詳細に検討した結果、UV−A領域まで遮蔽効果を示し、これまでにない耐光性を有する新規トリアジン系化合物を見出し、これを皮膚又は毛髪用の外用剤に含有させることで本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
【0008】
〔1〕
下記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を含有することを特徴とする皮膚又は毛髪用の外用剤組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
〔2〕
(A)波長320nm〜400nmの領域に吸収をもつ、上記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を0.01〜20質量%と、(B)波長280nm〜320nmの領域に吸収をもつ、前記紫外線吸収性化合物(A)とは構造の異なる紫外線吸収性化合物を0.01〜20質量%とを含む〔1〕に記載の外用剤組成物。
〔3〕
前記(B)波長280nm〜320nmの領域に吸収をもつ、前記紫外線吸収性化合物(A)とは構造の異なる紫外線吸収性化合物が、下記(Ba)〜(Bn)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である〔1〕又は〔2〕に記載の外用剤組成物。
【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
[一般式(XIV)中、R20は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。]
(Bh)一般式(III)で表されるジアリールブタジエン:
【0014】
【化4】

【0015】
[一般式(III)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す。]
(Bi)下記一般式(II)で表されるヒドロキシベンゾフェノン:
【0016】
【化5】

【0017】
[一般式(II)中、R及びRは、水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表し、RとRが互いに結合して5員環又は6員環を形成していてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す。]
(Bj)下記一般式(XI)で表される化合物:
【0018】
【化6】

【0019】
[一般式(XI)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム又はトリエタノールアンモニウムを表す。]
(Bk)下記一般式(XII)で表される化合物:
【0020】
【化7】

【0021】
[一般式(XII)中、R15は水素原子又はヒドロキシル基を表し、R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は炭素原子で結合するヘテロアリール基を表す。]
(Bl)下記一般式(XIII)で表されるケイ皮酸誘導体:
【0022】
【化8】

【0023】
[一般式(XIII)中、R〜R14はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は炭素原子で結合するヘテロアリール基を表す。]
(Bm)下記一般式(VIIIa)で表される化合物:
【0024】
【化9】

【0025】
[一般式(VIIIa)中、Vは、メチル基又メトキシ基を表し、Vはメチル基又は、以下に示す基(VIIIa1)を表す。tは1から100までの整数を表す。]
【0026】
【化10】

【0027】
(Bn)金属酸化物粒子。
〔4〕
前記1価の置換基が、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基であり、前記1価の置換基が置換基を有する場合の置換基がハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、スルファモイル基、チオシアネート基又はアルキルスルホニル基であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の外用剤組成物。
〔5〕
前記R1b、R1c及びR1dの少なくとも一つがハメット則のσp値が正である置換基であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の外用剤組成物。
〔6〕
前記ハメット則のσp値が正である置換基が、COOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO及びSOMより選択される基であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の外用剤組成物[R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。]。
〔7〕
前記ハメット則のσp値が正である置換基がCOOR又はCNであることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の外用剤組成物[Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。]。
〔8〕
前記R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが、水素原子であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の外用剤組成物。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、UV−A領域及びUV−B領域のいずれにも高い吸光度の吸収をもち、優れた耐光性を示し、長時間の使用でも効果が持続し、長期保存において長波紫外線遮蔽効果が維持される皮膚又は毛髪用の外用剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明において、置換基Zを下記のように定義する。
(置換基Z)
炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、フェニル基、炭素数5〜10の芳香族ヘテロ環基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェノキシ基、フルオロ基、シリル基、アミノ基、シアノ基又はこれらを組み合わせて成る基を表す。複数の置換基Zは互いに連結して芳香族炭化水素環を形成しても良い。
【0030】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の皮膚(粘膜も含む)又は毛髪用の外用剤組成物は、下記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を含有する。一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、長波長領域においても紫外線遮蔽効果を示し、耐光性を有する。従って、紫外線吸収剤として外用剤組成物に使用した場合、長波紫外線吸収能を長期間維持し、容器内での長期保存においても長波紫外線遮蔽効果が維持される。
まず、下記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物について説明する。
【0031】
【化11】

【0032】
[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
【0033】
1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。
1a、R1b、R1c、R1d、R1eが表す置換基のうち1〜3個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことが好ましく、1〜2個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
【0034】
前記一般式(1)における1価の置換基(以下Aとする)としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、置換スルホアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換又は無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、チオシアネート基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、炭素数6〜20のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。
また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。その際、置換基の例としては、上述の1価の置換基Aを挙げることができる。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
【0035】
置換基同士で結合して形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。
【0036】
前記一般式(1)における1価の置換基としては、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基が好ましく、OR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、アルキル基、アミド基がより好ましく、OR、アルキル基が更に好ましい。
は、水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基を表すことが好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
【0037】
本発明における好ましい第一の態様として、R1b、R1c、R1dのうち少なくとも1つが、ハメット則のσp値が正である置換基を表す態様を挙げることができる。R1cがハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
1cがハメット則のσp値が正である置換基であり、R1a、R1b、R1d、R1eは水素原子を表すことが更に好ましい。
1cがハメット則のσp値が正である置換基を表す場合、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、耐光性が向上するため好ましい。
【0038】
また、好ましい第ニの態様として、R1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である態様を挙げることができる。これにより、一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、特に油溶性に優れるため、ワセリンなどを含む油溶性外用剤に使用した場合、長期間保存しても成分の分離を起こさないという効果を有する。
油溶性とは、25℃のオクタノール30mlに、少なくとも1g溶解することを言う。
【0039】
<好ましい第一の態様>
第一の態様においては、前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、好ましくは、σ値が0.1〜1.2の電子求引性基である。σ値が0.1以上の電子求引性基の具体例としては、COOR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表し、水素原子、アルキル基が挙げられ、好ましくは水素原子である。)、CONR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、CN、ハロゲン原子、NO、SOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、アシル基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルボキシ基(又はその塩)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基(例えばCF)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σ値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基などが挙げられる。ハメットのσp値については、Hansch,C.;Leo,A.;Taft,R.W.Chem.Rev.1991,91,165−195に詳しく記載されている。
【0040】
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、SOMである[R、Rは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す]。この中でもCOOR又はCNがより好ましく、COOR、であることが更に好ましい。優れた耐光性と溶解性を有するためである。
【0041】
、Rとしては水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
【0042】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物において、R1cがCOOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、SOMのいずれかであることが好ましく、COOR又はCNよりが好ましく、CNが更に好ましい。
【0043】
また、本発明において、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが1価の置換基を表す場合は、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましく、R1g、R1i及びR1jのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことがより好ましい。R1cが前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を有するためである。
本発明において、R1h又はR1nがそれぞれ独立に水素原子、COOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、SOMのいずれかであることが好ましく、R1h又はR1nが水素原子であることがより好ましく、R1h及びR1nが水素原子であることが更に好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0044】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物において、R1cがハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基であって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子を表すことが好ましく、R1cがCOOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、SOMのいずれかであって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子であることがより好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0045】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物はpKaが−5.0〜−7.0の範囲であることが好ましい。更に−5.2〜−6.5の範囲であることがより好ましく、−5.4〜−6.0の範囲であることが特に好ましい。
【0046】
<好ましい第ニの態様>
好ましい第ニの態様として、R1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である態様を挙げることができる。
1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である第ニの態様においては、前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、又はSOMである[R、Rは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す]。R、Rの1価の置換基としては、前述のように前記置換基Aを挙げることができる。
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COOR又はシアノ基であり、COORであることがさらに好ましい。ハメット則のσp値が正である置換基がシアノ基である場合、優れた耐光性を示すためである。又はメット則のσp値が正である置換基がCOORである場合、優れた溶解性を示すためである。
は水素原子又はアルキル基を表すことが好ましく、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキル基が更に好ましい。
【0047】
は、油溶性の観点からは、炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基がより好ましい。
分岐鎖アルキル基は2級炭素原子又は3級炭素原子を有し、2級炭素原子又は3級炭素原子を1〜5個含むことが好ましく、1〜3個含むことが好ましく、1又は2個含むことが好ましく、2級炭素原子及び3級炭素原子を1又は2個含むことがより好ましい。また、不斉炭素を1〜3個含むことが好ましい。
は、油溶性の観点からは、2級炭素原子及び3級炭素原子を1又は2個含み、不斉炭素を1又は2個含む炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基であることが特に好ましい。
これは、化合物構造の対称性がくずれ、溶解性が向上するためである。
【0048】
一方、紫外線吸収能の観点からは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。
炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
【0049】
また、本発明において、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが1価の置換基を表す場合は、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましく、R1g、R1i及びR1jのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことがより好ましい。R1b又はR1dが前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を有するためである。
本発明において、R1h又はR1nがそれぞれ独立に水素原子、COOR、CONR、シアノ基、CF、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMのいずれかであることが好ましく、R1h又はR1nが水素原子であることがより好ましく、R1h及びR1nが水素原子であることがさらに好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0050】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物において、R1b又はR1d、がハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基であって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子を表すことが好ましく、R1b又はR1d、がCOOR、CONR、シアノ基、CF、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMのいずれかであって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子であることがより好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0051】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物はpKaが−5.0〜−7.0の範囲であることが好ましい。更に−5.2〜−6.5の範囲であることがより好ましく、−5.4〜−6.0の範囲であることが特に好ましい。
【0052】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
なお、下記の具体例中Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、−C13はn−ヘキシルを表す。
【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
【化16】

【0058】
【化17】

【0059】
【化18】

【0060】
【化19】

【0061】
【化20】

【0062】
【化21】

【0063】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本発明においては代表的な形の一つで記述しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
【0064】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、同位元素(例えば、H、H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
【0065】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、任意の方法で合成することができる。
例えば、公知の特許文献や非特許文献、例えば、特開平7−188190号公報、特開平11−315072、特開2001−220385号公報、「染料と薬品」第40巻12号(1995)の325〜339ページなどを参考にして合成できる。具体的には、例示化合物(16)はサリチルアミドと3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル クロリドと2−ヒドロキシベンズアミジン塩酸塩とを反応させることにより合成できる。また、サリチルアミドとサリチル酸と3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミジン塩酸塩とを反応させることによっても合成できる。
【0066】
本発明にかかる一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、油溶性に優れるという特徴を有する。また、特定の位置にハメット則のσp値が正である置換基を有するため、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、優れた耐光性を有するという特徴を有する。紫外線吸収剤として用いた際にも、既知のトリアジン系化合物では、高い濃度で使用した場合、析出が生じたり、分解して黄変したりするなど悪影響を及ぼすが、それに対して、本発明にかかる一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は優れた溶解性と耐光性を有するため高い濃度で使用した場合でも析出が生じず、長時間使用した場合でも分解せず黄変することがないという効果が得られる。
【0067】
本発明の外用剤組成物において、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、一種のみ用いてもよく、異なる構造を有する二種以上を併用することもできる。
本発明における前記化合物は、有機材料を光・酸素又は熱による損傷に対して安定化させるのに特に適している。中でも前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、光安定剤、とりわけ紫外線吸収剤として好適に用いることができる。
【0068】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は特定の位置にハメット則のσp値が正である置換基を有するため、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、優れた耐光性を有するという特徴を有する。紫外線吸収剤として用いた際にも、既知のトリアジン系化合物を用いた場合は、長時間使用した場合は分解して黄変するなど悪影響を及ぼす。
それに対して、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は優れた耐光性を有するため長時間使用した場合でも分解せず黄変することがないという効果が得られる。
【0069】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物の極大吸収波長は、特に限定されないが、好ましくは250〜400nmであり、より好ましくは280〜380nmである。半値幅は好ましくは20〜100nmであり、より好ましくは40〜80nmである。
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物の分子量は1,000以下であることが好ましい。
【0070】
本発明において規定される極大吸収波長及び半値幅は、当業者が容易に測定することができる。測定方法に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座7分光II」(丸善,1992年)180〜186ページなどに記載されている。具体的には、適当な溶媒に試料を溶解し、石英製又はガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。用いる溶媒は、試料の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと、溶質分子との相互作用が小さいこと、揮発性があまり著しくないこと等が要求される。上記条件を満たす溶媒であれば、任意のものを選択することができる。本発明においては、酢酸エチル(EtOAc)を溶媒に用いて測定を行うこととする。
【0071】
本発明において、化合物の極大吸収波長及び半値幅は、酢酸エチルを溶媒として、濃度約5×10−5mol・dm−3の溶液を調製し、光路長10mmの石英セルを使用して測定した値を使用する。
【0072】
スペクトルの半値幅に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座3 基本操作III」(丸善、1991年)154ページなどに記載がある。なお、上記成書では波数目盛りで横軸を取った例で半値幅の説明がなされているが、本発明における半値幅は波長目盛りで軸を取った場合の値を用いることとし、半値幅の単位はnmである。具体的には、極大吸収波長における吸光度の1/2の吸収帯の幅を表し、吸収スペクトルの形を表す値として用いられる。半値幅が小さいスペクトルはシャープなスペクトルであり、半値幅が大きいスペクトルはブロードなスペクトルである。ブロードなスペクトルを与える紫外線吸収化合物は、極大吸収波長から長波側の幅広い領域にも吸収を有するので、黄色味着色がなく長波紫外線領域を効果的に遮蔽するためには、半値幅が小さいスペクトルを有する紫外線吸収化合物の方が好ましい。
【0073】
時田澄男著「化学セミナー9 カラーケミストリー」(丸善、1982年)154〜155ページに記載されているように、光の吸収の強さすなわち振動子強度はモル吸光係数の積分に比例し、吸収スペクトルの対称性がよいときは、振動子強度は極大吸収波長における吸光度と半値幅の積に比例する(但しこの場合の半値幅は波長目盛りで軸を取った値である)。このことは遷移モーメントの値が同じとした場合、半値幅が小さいスペクトルを有する化合物は極大吸収波長における吸光度が大きくなることを意味している。このような紫外線吸収化合物は少量使用するだけで極大吸収波長周辺の領域を効果的に遮蔽できるメリットがあるが、波長が極大吸収波長から少し離れると急激に吸光度が減少するために、幅広い領域を遮蔽することができない。
【0074】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、極大吸収波長におけるモル吸光係数が20000以上であることが好ましく、30000以上であることがより好ましく、50000以上であることが特に好ましい。20000以上であれば、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物の質量当たりの吸収効率が十分得られるため、紫外線領域を完全に吸収するための前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物の使用量を低減できる。これは皮膚刺激性や生体内への蓄積を防ぐ観点、及び析出が生じにくい点から好ましい。なお、モル吸光係数については、例えば日本化学会編「新版実験化学講座9 分析化学[II]」(丸善、1977年)244ページなどに記載されている定義を用いたものであり、上述した極大吸収波長及び半値幅を求める際に合わせて求めることができる。
【0075】
本発明の外用剤組成物は、皮膚化粧品、毛髪化粧品及び医薬製剤などに適用することができるものであり、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を、所望の性能を付与するために必要な任意の量で含有させることができる。これらは用いる化合物や外用剤によって異なるが、適宜含有量を決定することができる。一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物の含有量としては外用剤組成物中0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜15.0質量%であることがより好ましく、1.0〜4.0質量%であることが更に好ましい。含有量が上記の範囲であればより紫外線遮蔽効果が得られ、析出をより効果的に抑制できるため好ましい。
【0076】
一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、上に説明したように長波長領域を有するので、波長320nm〜400nmのUV−A吸収能を有するものを紫外線吸収性化合物(A)とした場合、該紫外線吸収性化合物(A)と、短波長領域である波長280nm〜320nmのUV−A、UV−B又はその両方に吸収を有する紫外線吸収性化合物(B)とを組み合わせて使用すると広範囲の波長領域にわたって紫外線遮断効果が得られるため、より効果的である。
【0077】
ここで、紫外線吸収性化合物(A)とは、上述のように一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物であって、波長320nm〜400nmの領域(UV−A領域)に吸収を有するものである。
紫外線吸収性化合物(B)とは、該紫外線吸収性化合物(A)とは異なる構造を有する紫外線吸収性化合物あって、波長280nm〜320nmの領域(UV−A領域、UV−B領域又はその両方の領域)に吸収を有するものである。従って、紫外線吸収性化合物(B)の構造については、紫外線吸収性化合物(A)と異なっていれば、一般式(1)で表される構造であってもよいし、それ以外の構造であってもよい。紫外線吸収性化合物(B)としては、一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物のほか、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、メロシアニン系化合物、トリアジン系化合物、無機系紫外線吸収剤等、公知の紫外線吸収剤を挙げることができるが、これには限定されない。
紫外線吸収性化合物(B)として一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物以外のもの使用した場合であっても、紫外線吸収性化合物(A)の有する高耐光性により、紫外線吸収性化合物(B)の光劣化が抑制されるという付随的効果が認められる。
また紫外線吸収性化合物(B)としては、安定性や安全性の観点から、下記(Ba)〜(Bn)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0078】
以下に、化合物(Ba)〜(Bn)について説明する。
化合物(Ba)〜(Bn)において、式中のアルキル基は分岐していても直鎖でもよく、置換又は無置換のアルキル基であり、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができる。
【0079】
(Ba)〜(Bn)におけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Zを挙げることができる。(Ba)〜(Bn)におけるシクロアルキル基として、好ましくは環員数4〜7のシクロアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0080】
(Ba)〜(Bn)におけるアリール基は、縮環していてもよく、置換基を有していてもよい。置換基を有する場合の置換基としては、前述の置換基Zが挙げられ、置換基Zとしては、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。(Ba)〜(Bn)におけるアリール基は、好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基である。炭素数6〜18のアリール基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基である。例えば、フェニル基、ジメチルフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジt−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、t−ブチルナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、クリセニル基等が挙げられ、これらのうちフェニル基、ジメチルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、t−ブチルナフチル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
【0081】
(Ba)〜(Bn)におけるヘテロアリール基は、縮環していてもよく、置換基を有していてもよい。置換基を有する場合の置換基としては、前述の置換基Zが挙げられ、置換基Zとしては、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。(Ba)〜(Bn)におけるヘテロアリール基は、好ましくは、炭素数5〜8のヘテロアリール基であり、より好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ピロリル基、インドリル基、カルバゾール基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリニル基、スルホラニル基などが挙げられ、好ましくはピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピロリル基、インドリル基、カルバゾリル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基であり、より好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピロリル基、インドリル基、カルバゾール基、イミダゾリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基であり、最も好ましくはピリジル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基である。
【0082】
〔化合物(Ba)〕
化合物(Ba)は、下記式(V)で表される化合物である。CAS番号187393−00−6として公知の化合物であり、商品名Tinosorb(登録商標) S(Ciba社)で販売されている。
【0083】
【化22】

【0084】
〔化合物(Bb)〕
化合物(Bb)は、下記式(IV)で表される化合物である。CAS番号88122−99−0として公知の化合物であり、商品名Uvinul(登録商標)T150(BASF)で販売されている。
【0085】
【化23】

【0086】
〔化合物(Bc)〕
化合物(Bc)は、下記式(VI)で表される化合物である。CAS番号103597-45-1として公知の化合物であり、商品名Tinuvin(登録商標)360(Ciba社)で販売されている。
【0087】
【化24】

【0088】
〔化合物(Bd)〕
化合物(Bd)は、下記式(VII)で表される化合物である。CAS番号155633−54−8として公知の化合物であり、商品名Mexoryl(登録商標)XL(CHIMEX)で販売されている。
【0089】
【化25】

【0090】
〔化合物(Be)〕
化合物(Be)は、下記式(IX)で表される化合物である。CAS番号154702-15-5として公知の化合物であり、商品名Uvasorb(登録商標)HEB(BV Sigma)で販売されている。
【0091】
【化26】

【0092】
〔化合物(Bf)〕
化合物(Bf)は、下記式(X)で表される化合物である。CAS番号6197-30-4として公知の化合物であり、商品名 Uvinul(登録商標)N−539(BASF)で販売されている。
【0093】
【化27】

【0094】
〔化合物(Bg)〕
化合物(Bg)は、下記一般式(XIV)で表される化合物である。
【0095】
【化28】

【0096】
[一般式(XIV)中、R20は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。]
【0097】
20が表すアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基でありメチル基がより好ましい。
20が表す、シクロアルキル基としては、好ましくはシクロヘキシル基、シクロプロピル基でありシクロヘキシル基がより好ましい。
20がメチル基の場合は、化合物は、CAS番号70356−09−1として公知の化合物であり、商品名Parsol(登録商標)1789(Roche Vitamins)で販売されている。]
【0098】
〔化合物(Bh)〕
化合物(Bh)は、一般式(III)で表されるジアリールブタジエン化合物である。
【0099】
【化29】

【0100】
[一般式(III)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す。]
【0101】
及びRが表すアルキル基としては、それぞれ独立に、好ましくは2−エチルヘキシル基、ネオペンチル基でありネオペンチル基がより好ましい。
及びRが表す、シクロアルキル基としては、それぞれ独立に、好ましくはシクロヘキシル基、シクロプロピル基でありシクロヘキシル基がより好ましい。
【0102】
〔化合物(Bi)〕
化合物(Bi)は、下記一般式(II)で表されるヒドロキシベンゾフェノンである。
【0103】
【化30】

【0104】
[一般式(II)中、R及びRは、水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表し、RとRが互いに結合して5員環又は6員環を形成していてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す。]
及びRが表すアルキル基としては、それぞれ独立に、好ましくはメチル基、エチル基でありエチル基がより好ましい。
及びRが表す、シクロアルキル基としては、それぞれ独立に、好ましくはシクロヘキシル基、シクロプロピル基でありシクロヘキシル基がより好ましい。
とRが互いに結合して形成する5員環又は6員環としては、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ピラゾール環であり、特に好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環である。
が表すアルキル基としては、好ましくはヘキシル基、2−エチルヘキシル基でありヘキシル基がより好ましい。
が表す、シクロアルキル基としては、好ましくはシクロヘキシル基、シクロプロピル基でありシクロヘキシル基がより好ましい。
【0105】
〔化合物(Bj)〕
化合物(Bj)は、下記一般式(XI)で表される化合物である。
【0106】
【化31】

【0107】
[一般式(XI)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム又はトリエタノールアンモニウムを表す。]
Xがナトリウム原子の場合は、化合物は、CAS番号180898−37−7として公知の化合物であり、商品名Neo Heliopan(登録商標)AP(Haarmann & Reimer)で販売されている。]
【0108】
〔化合物(Bk)〕
化合物(Bk)は、下記一般式(XII)で表される化合物である。
【0109】
【化32】

【0110】
[一般式(XII)中、R15は水素原子又はヒドロキシル基を表し、R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、スルホ酸基又はその塩を表す。]
【0111】
15は好ましくは水素原子またはヒドロキシル基である。
16、R17、R18、R19が表すアルキル基としては、好ましくはt−ブチル基、ネオペンチル基であり、ネオペンチル基がより好ましい。
16、R17、R18、R19が表すアルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基であり、メトキシ基がより好ましい。
16、R17、R18、R19が表すアリール基としては、好ましくはフェニル基、パラメトキシフェニル基であり、パラメトキシフェニル基がより好ましい。
【0112】
〔化合物(Bl)〕
化合物(Bl)は、下記一般式(XIII)で表されるケイ皮酸誘導体である。
【0113】
【化33】

【0114】
[一般式(XIII)中、R〜R14はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は炭素原子で結合するヘテロアリール基を表す。]
【0115】
が表すアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基、CHCHOCHCH基であり、2−エチルヘキシル基がより好ましい。
が表すアリール基としては、好ましくはフェニル基、パラメトキシフェニル基であり、パラメトキシフェニル基がより好ましい。
が表すヘテロアリール基としては、好ましくはチエニル基、ピリジル基であり、チエニル基がより好ましい。
10〜R14が表すアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基であり、イソプロピル基がより好ましい。
10〜R14が表すアルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基であり、メトキシ基がより好ましい。
10〜R14が表すアリール基としては、好ましくはフェニル基、パラメトキシフェニル基であり、パラメトキシフェニル基がより好ましい。
10〜R14が表すヘテロアリール基としては、好ましくはチエニル基、ピリジル基であり、チエニル基がより好ましい
【0116】
〔化合物(Bm)〕
化合物(Bm)は、下記一般式(VIIIa)で表される化合物である。
【0117】
【化34】

【0118】
[一般式(VIIIa)中、Vは、メチル基又メトキシ基を表し、Vはメチル基又は、以下に示す基(VIIIa1)を表す。tは1から100までの整数を表す。]
【0119】
【化35】

【0120】
また、tは1から100までの整数を表し、好ましくは20〜80であり、より好ましくは30〜70であり、更に好ましくは40〜60である。
またVはメチル基と基(VIIIa1)との比率が98〜85:1〜10:5〜20が好ましく、より好ましくは95〜90:1〜5:7〜15である。
【0121】
〔化合物(Bn)〕
化合物(Bn)は、金属酸化物粒子であり、好ましくは酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子、酸化セリウム粒子である。
【0122】
本発明において使用される紫外線吸収性化合物(B)としては、化合物(Ba)〜(Bn)それぞれを単独で用いてもよく、化合物(Ba)〜(Bn)のうち複数を組み合わせて用いることも可能である。また、一般式(1)に属する複数の異なる化合物を組み合わせることも可能である。紫外線吸収性化合物(B)を外用剤組成物に適用するに際しては、用いる化合物の物性に応じて配合すればよい。
化合物(Ba)〜(Bn)の中でも、本願化合物と併用した際の紫外線吸収域の観点で(Ba)、(Bc)、(Bd)、(Bf)、(Bg)、(Bi)、(Bl)が好ましく、より好ましくは(Bg)、(Bi)、(Bl)である。
【0123】
紫外線吸収性化合物(B)の含有量としては外用剤組成物中0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜15.0質量%であることがより好ましく、1.0〜4.0質量%であることが更に好ましい。
本発明の外用剤組成物の好ましい態様においては、(A)波長320nm〜400nmの領域に吸収をもつ、上記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜15.0質量%と、(A)波長320nm〜400nmの領域に吸収をもつ、上記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を0.01〜20質量%と、(B)波長280nm〜320nmの領域に吸収をもつ、前記紫外線吸収性化合物(A)とは構造の異なる紫外線吸収性化合物を0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜15.0質量%とを含む。
紫外線吸収性化合物(B)と紫外線吸収性化合物(A)の使用比率(紫外線吸収性化合物(A):紫外線吸収性化合物(B))としては、好ましくは1:0.1〜1:10であり、より好ましくは1:0.5〜1:5である。
【0124】
<その他の成分>
本発明の外用剤組成物には、紫外線吸収性化合物(A)として一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物や紫外線吸収性化合物(B)に加え、外用剤組成物を構成するための種々の化合物であって、外用剤的に許容可能な種々の材料を用いることができる。本発明において外用剤組成物とは、ヒト或いは動物の皮膚、毛髪などを紫外線から防御するための種々の製剤を包含するものであり、例えば、皮膚化粧料組成物、毛髪化粧料組成物、皮膚或いは毛髪に使用する医療用外用剤などを含む。
【0125】
本発明の外用剤組成物は、少なくとも一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を含有するものであって、皮膚や毛髪に適用しうる使用性、安全性に優れた処方であれば、他の構成成分には、特に制限はなく、当業者によく知られている技術に従って、目的に応じて調製することができる。
外用剤組成物に用いうる他の成分としては、外用剤組成物の基材となりうる油脂類やロウ類、炭化水素油、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、シリコーン類、粉体など、外用剤組成物の有効成分となりうる、糖類、動植物性抽出物、アミノ酸類、ビタミン類、基材の物性を調整したり、外観を向上させたり、感触を改良するために用いうる界面活性剤、色材などを目的応じて選択して使用しうる。
【0126】
また、一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物や紫外線吸収性化合物(B)には含まれない、有機又は無機の紫外線吸収性化合物や、外用剤組成物に含むことができる、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、香料、着色剤、その他化粧品に含まれる有効成分としての添加剤等も用いることができる。
【0127】
本発明を適用することで、油性、水性、固形、粉末状などの種々の剤形の外用剤組成物に対して優れた紫外線吸収性を与えることができ、これを皮膚や毛髪に使用することで、有害な紫外線の影響を防ぐことができる。当業者であれば、本発明の外用剤組成物における効果を損なわないように考慮して、これら配合成分について、その種類や添加量を適宜、選択することができる。
以下に、本発明の外用剤組成物に用いうる各種成分について順次説明する。
【0128】
(油脂類)
油脂としては、化粧油の基剤、クリームの油相成分やエモリエント剤、メークアップ化粧品の粉体の結合剤、シャンプー・リンスの加脂剤・感触改良剤として利用されている。
本発明に用いうる油脂類としては、トリグリセリドすなわち脂肪酸とグリセリンとのトリエステルを主成分とするものが挙げられ、通常、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルであるロウ類とは区別されている。
油脂類は、天然の動植物界に広く存在しており、食用をはじめとして。種々の工業に利用されている。常温での性状により、液体のものを脂肪油、固体のものを脂肪と称する。
【0129】
(油)
油としては、鉱物性油(液状パラフィン);植物性油(例えば、スイートアルモンド油、マカダミア油、クロフサスグリの種油、ホホバ油、オリーブ油、ひまし油、ヒマワリ油など);合成油(例えばペルヒドロスクアレン)、脂肪アルコール、脂肪酸又は脂肪エステル(例えばウィトコ社(Witco)から「ウィトコノール(Witconol)TN」又は「フィンソルブTN」の商品名で販売されている安息香酸C12−C15アルキル、パルミチン酸オクチル、ラノリン酸イソプロピル、カプリン酸/カプリル酸のものを含むトリグリセリド類、又はコグニス社(Cognis)から「セチオール(Cetiol)CC」の名称で販売されている炭酸ジカプリリル、又はオキシエチレン化又はオキシプロピレン化脂肪エステル及びエーテル;シリコーン油(シクロメチコーン、ポリジメチルシロキサン又はPDMS);フッ化油;又はポリアルキレン類を挙げることができる。
【0130】
(ロウ類)
ロウ類としては、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル(ロウエステル)を主成分とするものであり、例えば、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油などが挙げられる。構成成分によらず、慣用的に、あるいは物理的状態によりロウとよばれる物質もあるが、化粧品に使われるロウ類は天然ロウエステルが主である。
また、ロウ状化合物としては、水添ヒマシ油、ポリエチレンロウ、及びポリメチレンロウ、例えばサソール社(Sasol)からCirebelle303の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0131】
炭化水素類としては、炭素と水素よりなる化合物の総称で、炭素原子の配列により、鎖状炭化水素と環式炭化水素に大別される。化粧品原料としては鎖状炭化水素が多く使用される。石油系、天然に産出する鉱物系、合成系、動物系、植物系などがある。
【0132】
炭化水素油としては鉱物油(軽油又は重油)、ペトロラタム(黄色又は白色)、微晶性ワックス、パラフィン性化合物及びイソパラフィン性化合物、水素化イソパラフィン性分子、例えば、ポリデセン及びポリブテン、水素化ポリイソブテン、スクアラン、イソヘキサデカン、イソドデカン、並びに植物界及び動物界由来の他のものなどが挙げられる。
【0133】
脂肪酸としては、天然脂肪酸と合成脂肪酸に大別され、天然の脂肪酸は動植物油脂を原料として製造される。合成脂肪酸は主として液状であり、分岐脂肪酸が化粧品に利用されることが多い。
具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリル酸などが挙げられる。
【0134】
アルコール類とは、一般式R−OHで表される化合物である。水酸基の数が1個、2個、3個などのアルコールを1価アルコール、2価アルコール(グリコール)価アルコールなどという。また芳香族炭化水素の側鎖に水酸基が置換したものは芳香族アルコールと称する。化粧品基剤や界面活性剤原料、油性成分には炭素数8〜24程度の高級アルコール用いられることが多い。
化粧品に用いうるアルコール類としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノールなどが挙げられ、炭素原子を6〜18個、好ましくは8〜10個有する脂肪族アルコールに基づくGuerbetアルコール、炭素数12〜15のアルコールのベンゾエート、アセチル化ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0135】
エステル類とは、脂肪酸とアルコールとの脱水反応によって得られる化合物である。
エステル油の例は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、オクタン酸セテアリル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、酢酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、ジカプリル酸/カプリン酸プロピレングリコール、ヘプタン酸ステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル等である。
【0136】
シリコーン油とフッ素油;シリコーン油は有機基のついたケイ素と酸素が化学結合により交互に連なった合成高分子であり、安定であるために、化粧品に使用される。
シリコーン(ジメチルポリシロキサン類)、有機置換ポリシロキサンなどを用いることができ、具体的には例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーンが挙げられ、さらに、アミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フッ素−、グリコシド−及び/又はアルキル−修飾されたシリコーン化合物なども適宜使用できる。これらは室温で液体であってもよく、樹脂状形態をとるものであってもよく、剤形に応じて使用すればよい。
汎用のシリコーン類としては、直鎖ポリシロキサン、ジメチコーン(例えば、Dow Corning 社製の200オイル等)、環状シリコーンオイル、シクロペンタシロキサン揮発物(例えば、Dow Corning社製 345オイル)、フェニルトリメチコーン(例えば、Dow Corning社製、556オイル)が挙げられ、また、200〜300個のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコーンと水素化シリケートとの混合物である、シメチコーンがなども用いることができる。
【0137】
フッ素油又は過フッ素油の例としては、ペルフルオロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロペンタン、ポリペルフルオロメチルイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0138】
また、外用剤組成物には、粘度調整、或いは、保湿性向上のため、多価アルコールを用いることができる。多価アルコールは、分子内に2個以上の水酸基を持つ化合物で、水酸基の数で2価、3価アルコールなどと呼ばれる。化粧品における多価アルコールの利用は、スキンケア化粧品をはじめ、シャンプー、リンスなどへ保湿剤としても用いられる。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0139】
糖類は、生理活性・薬理活性のある糖やその誘導体が、医薬品として開発・利用されている。化粧品への利用はスキンケア化粧品、ヘアケア化粧品に保湿剤や皮膚の柔軟剤として用いられることが多い。
糖類の例としては、ソルビトール、D−ソルビット、グルシトール、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、マルト−ス、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。
【0140】
外用剤組成物には、基材として、或いは、粘度調整として、各種の高分子化合物を用いることができる。高分子化合物は、組成物中での機能により増粘剤・乳化剤・保湿剤・皮膜形成剤などと呼ばれる。
例えば、親水性増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー〔例えばカルボポール(カルボマー(carbomers))及びペミュレン(Pemulen)(アクリレートと、炭素数10〜30のアルキルアクリル酸エステルとのコポリマー);ポリアクリルアミド類〔例えばセピック社(Seppic)からセピゲル(Sepigel)305(CTFA名:ポリアクリルアミド/炭素数13〜14のイソパラフィン/ラウレス(Laureth)7)、シマルゲル(Simulgel)600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名称で販売されている架橋コポリマー〕;架橋或いは、中和されていてもよい2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のポリマー及びコポリマー〔例えばヘキスト社(Hoechst)から「ホスタセリン(Hostacerin)AMPS」の商品名で販売されているポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム)、セピック社から販売されているシマルゲル800(CFTA名:ポリアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/ポリソルベート80/オレイン酸ソルビタン)〕、;アクリル酸ヒドロキシエチルと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマー〔例えば、セピック社から販売されているシマルゲルNS及びセピノブ(Sepinov)EMT10等〕;セルロース誘導体〔例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメルセルロース〕;多糖類〔特にガム類、例えばキサンタンガム〕;及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0141】
例えば、親油性増粘剤としては、合成ポリマー、例えばランデック社(Landec)から「インテリマー(Intelimer)IPA13−1」及び「インテリマーIPA13−6」の名称で販売されているポリ(アクリル酸アルキルエステル(炭素数10〜30のアルキル))、例えばベントーンの名で販売されている製品等の、変性クレー類、例えばヘクトライト及びその誘導体を挙げることができる。
【0142】
乳化系の外用剤組成物を用いる場合になどには、界面活性剤が有用である。
用途から乳化剤、可溶化剤、分散剤、展着剤などと称されることがある。
外用剤組成物に用いうる界面活性剤の例としては、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート、モノ−及び/又はジ−アルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α−オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン及び/又はタンパク質脂肪酸縮合生成物が挙げられる。
【0143】
粉体及び色材;化粧品に使用される粉体は体質粉体、有機色材、無機色材、パール顔料、表面処理粉体、複合粉体に大別される。
体質粉体としては、マイカ、タルクに代表される粘土鉱物の粉砕品、合成無機粉体、有機粉体、金属セッケン、合成高分子粉体などがある。
また、有機色材としては、タール色素、天然色素などがあり、無機色材には、酸化鉄類、グンジョウ、カーボンブラックなどが挙げられる。パール顔料としては雲母チタンが挙げられる。
【0144】
また、有効成分として動植物抽出物を用いることもできる。これらは何らかの抽出方法により、動植物から抽出した化合物或いは組成物である。
機能としては保湿作用、柔軟・エモリエント作用、細胞賦活作用、チロシナーゼ活性阻害作用などが主に挙げられ、それによって呼び方が変わる場合もある。
動植物抽出物の例としては、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、キチン、キトサン、コラーゲン、エラスチン、ペプチド、レシチン、プラセンタエキス、ヘマチン、ウシ脾臓抽出液、プラセンタエキスなどが挙げられる。
【0145】
アミノ酸類は、アミノ基をもつカルボン酸をアミノ酸であるが、プロリン、ヒドロキシプロリンのようなイミノ酸もその中に含める。例としてはグリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、アルギニン、水溶性コラーゲン、カゼインなどが挙げられる。
【0146】
ビタミン類は、たんぱく質、脂質、糖質、無機塩類のほかに微量で動植物の栄養を支配し、繁殖、代謝などの生理機能を円滑に行わせる為に触媒的に作用する有機化合物の一群を総称したものである。例としてはビタミンA、B1、B2、B5、B6、B12、C、D2、D3、E、K1、K2、K3、ビオチン、ニコチン酸、葉酸などが挙げられる。
【0147】
また、本発明の外用剤組成物には、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物と前記前記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物とは構造が異なる紫外線吸収性化合物に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更なる添加剤としてのこれらの化合物に包含されない第3の紫外線吸収性化合物を含んでいてもよい。
【0148】
(殺菌・防腐剤)
外用剤組成物における微生物汚染を防止し、製品の品質維持や安全性のために殺菌・防腐剤を用いることができる。殺菌剤は皮膚上で増殖する菌を死滅又は減少させるために用いられる化粧品に配合することもできる。
殺菌・防腐剤の例としては、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、2,4,4−トリクロロ−2−ヒドロキシフェノールなどが挙げられる。また、ふけ発生の一因と考えられる頭皮細菌類の抑制に用いられる殺菌・防腐剤として、トリクロロカルバニリド、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、フェノールなどが挙げられる。
【0149】
(酸化防止剤)
化粧品には油脂・ロウ類、脂肪酸、エステル類、界面活性剤、香料、各種活性成分が含まれているが、これら原料は、空気中の酸素を吸収して徐々に自動酸化を起こして変質し、いわゆる酸敗の現象を呈する。酸敗は不快なにおい、変色の原因となり、製品の安定性を損なうのみならず、酸敗により生ずる過酸化物は代表的皮膚刺激性物質であり、人体に悪影響を及ぼす。添加することにより酸化を防ぐ、あるいは酸化の開始を遅らせる物質のことを酸化防止剤又は抗酸化剤とよぶ。
【0150】
酸化防止剤の例としては、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、ペプチド例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシン、及びこれらの誘導体(例えば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えば、β−カロテン、リコペン)及びその誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル、及びその他のチオール(例えば、チオロドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびにこれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルならびにラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリル、及びグリセリルエステル)ならびにこれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、及び塩)ならびに極少耐量(例えば、ピコモル〜マイクロモル/kg)のスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−チオニンフルホキシミン)などが挙げられる。
【0151】
さらには(金属)キレート剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA及びその誘導体、不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、ユビキノン及びユビキノールならびにこれらの誘導体、ビタミンC及びその誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及び誘導体(例えば、酢酸ビタミンE、トコトリエノール)、ビタミンA及び誘導体(ビタミンAパルミテート)ならびにベンゾインレジンのコニフェリルベンゾエート、ルチン酸及びその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤクレジン酸、ノルジヒドログアヤレチック酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレニウム及びその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)などが挙げられる。
【0152】
また、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルエチル]イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス−[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]や、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイトや、ジラウリル チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−ヘキシルチオプロピオネート)や、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)セバケート、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−ジ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとテトラメチロールアセチレン二尿素との縮合生成物などを用いることができる。
【0153】
(金属イオン封鎖剤)
金属イオンは化粧品原料の酸化を促進し、変臭、変色の原因になったり、透明系の化粧品に濁りや沈殿を生じさせたりするなど、化粧品の品質劣化の原因となることがある。また、薬剤の作用を阻害したり、薬剤と化合物を作り発色したりすることがある。これらを防止する目的で金属イオン封鎖剤が用いられてもよい。
金属イオン封鎖剤の例としては、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸、酒石酸などが挙げられ、造塩能をもつ酸性基又は、配位能をもつ原子団を含む。
【0154】
(香料)
外用剤組成物に香りを付与するための香料(香料油)としては、天然及び/又は合成芳香族物質の香料油混合物として挙げることができる。天然芳香族物質は、例えば、花からの抽出物(ユリ、ラベンダー、ローズ、ジャスミン、ネロール、イランイラン)、茎及び葉からの抽出物(ゼラニウム、パチョュリ、プチグレン)、果実からの抽出物(アニシード、コリアンダー、キャラウェイ、ビャクシン)、果実の皮からの抽出物(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根からの抽出物(メース、アンゲリカ、セロリ、カルダモン、コスタス(costus)、アイリス(iris)、カルマス(calmus))、木からの抽出物(パインウッド、サンダルウッド、グアヤクウッド、シダーウッド、ローズウッド)、ハーブ及び草からの抽出物(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針葉及び枝からの抽出物(ツガ、マツ、スコットマツ、ヤママツ(mountain pine))、樹脂及びバルサムからの抽出物(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポパナックス(opoponax))である。動物原材料の香料も用いることができ、例えば、ジャコウネコ及びビーバー由来の香料が挙げられる。
【0155】
香料油としては、合成香料を用いることができ、典型的な合成芳香族物質は、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール又は炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香族物質化合物は、例えば、酢酸ベンジル、フェノキシエチルイソブチレート、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、酢酸リナリル、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチルアリルプロピオネート及びサリチル酸ベンジルである。
エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルであり;アルデヒドとしては、例えば、8〜18個の炭化水素原子を有する直鎖アルカノール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びブーゲオナール(bourgeonal)が挙げられ;ケトンとしては、例えば、イオノン、イソメチルイオノン及びメチルセドリルケトンが挙げられ;アルコールとしては、例えば、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピノールが挙げられ;炭化水素としては、主にテルペン及びバルサムが挙げられる。
【0156】
香料は、魅力的な香りを創造したり、また、付香の効果を持続させたりする目的で、通常は、複数種の芳香族物質の混合物を使用する。
アロマ成分として主に使用される比較的低揮発性のエーテル性油はまた、香料油としても好適であり、例えば、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、シナモン葉油、ライムブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバヌム油、ラボラナム(labolanum)油及びラバンジン油である。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ブワアンバーフォルト(boisambrene forte)、アンブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデライス(sandelice)、レモン油、タンジェリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロバータル(cyclovertal)、ラバンジン油、ムスカテール(muscatel)サージ油、ダマスコン、バーボンゼラニウム油、サリチル酸シクロヘキシル、ヴェルトフィックスクール(vertofix coeur)、イソ−E−スーパー、Fixolide NP、エバーニル(evernyl)、イラルダインガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラート(romillat)、イロチル(irotyl)及びフローラマット(floramat)などが挙げられる。
【0157】
(着色剤)
着色剤は、例えば、「Kosmetische Faerbemittel」、Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft、Verlag Chemie、Weinheim、1984、pp81〜106の刊行物中に記載されている。
【0158】
他の添加剤としては、消泡剤、例えば、シリコーン、構造化剤(structurant)、例えば、マレイン酸、可溶化剤、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン又はジエチレングリコール、乳白剤、例えば、ラテックス、スチレン/PVP又はスチレン/アクリルアミドコポリマー、錯化剤、例えば、EDTA、NTA、アラニンニ酢酸又はホスホン酸、噴射剤、例えば、プロパン/ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、CO、N又は空気、酸化染料前駆体としてのいわゆるカップリング剤及び顕色成分、還元剤、例えば、チオグリコール酸及びそれらの誘導体、チオール酢酸、システアミン、チオリンゴ酸又はメルカプトエタンスルホン酸、又は酸化剤、例えば、過酸化水素、カリウム臭素酸塩又はナトリウム臭素酸塩を、化粧品調製物に含有することがさらに可能である。
【0159】
また、外用剤組成物を皮膚化粧品に用いる場合には、有効成分として、肌荒れ防止剤、老化防止剤、美白剤、育毛剤などがさらに含まれていてもよい。
【0160】
(抗ふけ剤)
抗ふけ剤として、上記殺菌剤の項で挙げた、クリンバゾール(climbazole)、オクトピロックス(octopirox)及びジンクピリチオンなどを使用することができる。
(フィルム形成剤)
本発明に使用しうるフィルム形成剤としては、例えば、キトサン、微晶性キトサン、四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸、コラーゲン、ヒアルロン酸及びそれらの塩を高い比率で含有する四級セルロース誘導体のポリマー、及び同様の化合物が挙げられる。
【0161】
(屈水剤)
流動挙動を向上させるために、屈水剤を使用することも可能であり、例えば、少ない数の炭素原子を有するエトキシル化又は非エトキシル化モノ−アルコール、ジオール又はポリオール又はそれらのエーテル(例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2−ジプロパンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び類似の製品)である。
この目的のために使用されるポリオールは、好ましくは、炭素数2〜15であり少なくとも2つのヒドロキシ基を有する化合物であることが好ましい。
ポリオールはまた、さらなる官能基、特にアミノ基を含有してもよく、及び/又は窒素で修飾されていてもよい。典型的な例は以下に挙げられる:グリセロール、アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、さらにまた、100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコール;1.5〜10の固有縮合度を有する工業的なオリゴグリセロール混合物、例えば、40〜50質量%のジグリセロール含量を有する工業用ジグリセロール混合物;メチロール化合物、例えば、特に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール;低級アルキル−グルコシド、特に、1〜8個の炭素原子をアルキル基中に有するもの、例えばメチル及びブチルグルコシド;5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトール又はマンニトール;5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコース又はショ糖;アミノ糖、例えばグルカミン;ジアルコールアミン、例えば、ジエタノールアミン又は2−アミノ−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0162】
本発明の外用剤組成物は、その用途に応じて、前記した化合物を適宜配合して使用することができる。以下に、典型的な剤形を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0163】
〔水性組成物〕
化粧品における化粧水のごとき水性組成物は、主成分としてイオン交換水、精製水などを用い、所望により、水溶性のアルコール類などを併用する低粘度の外用剤組成物であり、水相に、水溶性、水分散性の保湿剤や緩衝剤を添加し、アルコール相に保湿剤や香料などを添加したのち、水相をアルコール層とを混合することで得ることができる。
一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物は、アルコール層に添加することが好ましく、紫外線吸収性化合物(B)は、その種類に応じて水相或いは、アルコール相に適宜添加される。
【0164】
〔乳化組成物〕
乳化組成物は、比較的低粘度の乳液状(ローション状)組成物と高粘度のクリーム状組成物の形態をとることができる。乳化状態は、オイルインウォーター(O/W)型でも、ウォーターインオイル(W/O)型でもよい。
乳化組成物は、水及び保湿成分などを含む水相と油分や油溶性の有効成分を含む油相を予め調製し、通常は油相に含まれる界面活性剤の機能により、加温しつつ剪断力を付与することで得られる。
薬効成分や紫外線吸収性化合物は、通常、油相に配合される。
乳液状(ローション)組成物の場合には、油相の比率が3〜30質量%程度のものや10〜50質量%のものなどが挙げられ、クリーム状の場合には、30〜50質量%のものや50〜85質量%のものが挙げられる。
【0165】
〔ジェル状組成物〕
また、水相成分、油相成分のいずれかを主成分とするゲル状の組成物の態様ととることができる。水性のジェルは、水溶性高分子のゲル化能を利用して形成され、小量であれば、油分を含むこともできる。また、油相のみを油性ゲル化剤で硬化させたオイルゲル状の組成物、界面活性剤や液晶構造を利用して油分を多く含む乳化物をゲル化させて形成することもできる。
【0166】
〔固形状組成物〕
顔料などの粉体を油脂類やゲルなどをバインダーとして成形した固体状組成物もまた、本発明の外用剤組成物の態様として用いることができる。この剤形では、顔料などの粉末80〜95質量%と油分5〜20質量%とを含む所謂パウダリータイプ、粉末35〜60質量%と油分40〜65質量%とを含む油性スティックタイプ、などの形態をとることができる。
【0167】
本発明の外用剤組成物は、前記様々な剤形の態様をとることができる。また、各種の有効成分を含む医療用の外用剤、化粧品などに適用することで、それらの組成物が本来有する有効な作用に、さらに、紫外線防御性を付与することができる。
本発明の外用剤組成物を皮膚や毛髪に適用することにより、一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物の有する作用や、一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物と紫外線吸収性化合物(B)との複合的な作用により、皮膚や毛髪に有害な紫外線の影響を効果的に防ぐことができ、その用途は広い。
【実施例】
【0168】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0169】
〔合成例〕
合成例1(例示化合物(2)の調製)
【0170】
【化36】

【0171】
(X−2の合成)
3つ口フラスコに、アセトキシム39.5g(1.1モル当量)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)600mL、カリウム-t-ブトキシド60.6g(1.1モル当量)を入れて室温で30分攪拌した。その後、内温を0℃とし、そこへ化合物(X−1)60g(1.0モル当量)をゆっくり滴下した。滴下後、内温を25℃まで昇温し、その温度で1時間攪拌した。
反応混合物を塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルで抽出・分液操作を行い、得られた有機相に飽和食塩水を加えて洗浄し分液した。こうして得られた有機相を、ロータリーエバポレータで濃縮して得られた残留物を化合物(X−2)の粗生成物として得た。
【0172】
(X−3の合成)
3つ口フラスコに、上記で得られた化合物(X−2)の組成生物を全量入れ、エタノール700mLと1Mの塩酸水500mLを加えて、反応混合物を内温80℃まで昇温しその温度で3時間攪拌した。
反応混合物を内温25℃まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルで抽出・分液操作を行い、得られた有機相に飽和食塩水を加えて洗浄し分液した。こうして得られた有機相を、ロータリーエバポレータで濃縮して得られた残留物を化合物(X−3)の粗生成物として得た。
【0173】
(X−4の合成)
3つ口フラスコに、フラスコ内を窒素ガスで満たした後に10%Pd−C(和光純薬工業社製)を6.5g添加し、エタノールを2,000mL、上記で得られた化合物(X−3)の組成生物を全量加えて加熱・還流した。そこへギ酸55mL(3モル当量)をゆっくり滴下し、この温度で5時間攪拌した。その後反応混合物を内温25℃まで冷却し、セライトろ過を行い炉別した母液に1,5−ナフタレンジスルホン酸を105g加えて、内温を70℃まで昇温し、30分攪拌した。その後、徐々に室温まで冷却して結晶を濾別し化合物(X−4)を100g得た。収率は化合物(X−1)を出発物質として72%であった。得られた結晶は、淡茶色であった。
H NMR(重DMSO):δ6.95−6.98(1H)、δ7.02−7.04(1H)、δ7.40−7.51(3H)、δ7.90−7.95(1H)、δ8.75(1H)、δ8.85−8.88(2H)、δ9.03(2H)、δ10.89(1H)
【0174】
サリチルアミド160.0gにアセトニトリル600mLとDBU355.2gを添加し溶解させた。この溶液に4−シアノベンゾイル クロリド193.2gを添加し、室温で24時間攪拌した。この反応液に水1200mLと塩酸150mLを添加し、得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Cを292.8g得た(収率94%)。
【0175】
【化37】

【0176】
合成中間体C200.0gにアセトニトリル1200mLと硫酸110.5gを添加し、90℃で4時間攪拌した。この反応液にトリエチルアミン600mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Dを177.2g得た(収率95%)。
【0177】
【化38】

【0178】
化合物(X−4)6.2gにメタノール50mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液4.3gを添加した。この溶液に合成中間体D5.0gを添加し、60℃で3時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却した後、塩酸を0.2mL添加した。得られた固体を濾過、水とメタノールで洗浄して例示化合物(2)を7.1g得た(収率96%)。例示化合物(2)の極大吸収波長(λmax)は280.0/354.5nm(EtOAc)であり、長波長領域に紫外線吸収能を有することがわかった。MS:m/z 367(M+)H NMR(CDCl):δ7.01−7.13(4H),δ7.56−7.59(2H),δ7.91−7.93(2H),δ8.52−8.54(2H),δ8.58−8.60(2H),δ12.77(2H)λmax=355nm(EtOAc)
【0179】
合成例2
(例示化合物(m−2)の調製)
サリチルアミド160.0gにアセトニトリル600mLとDBU355.2gを添加し溶解させた。この溶液に3-シアノベンゾイル クロリド193.2gを添加し、室温で24時間攪拌した。この反応液に水1200mLと塩酸150mLを添加し、得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Mを296.0g得た(収率95%)。
【0180】
【化39】

【0181】
合成中間体M200.0gにアセトニトリル1200mLと硫酸110.5gを添加し、90℃で4時間攪拌した。この反応液にトリエチルアミン600mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Nを177.3g得た(収率95%)。
【0182】
【化40】

【0183】
化合物(X−4)6.2gにメタノール50mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液4.3gを添加した。この溶液に合成中間体N5.0gを添加し、60℃で3時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却した後、塩酸を0.2mL添加した。得られた固体を濾過、水とメタノールで洗浄して例示化合物(m−2)を6.9g得た(収率93%)。例示化合物(m−2)の極大吸収波長(λmax)は275.5/354nm(EtOAc)であり、長波長領域に紫外線吸収能を有することがわかった。MS:m/z 367(M+)
【0184】
上記と同様の方法を用いて、実施例で使用した化合物を作製した。
【0185】
<pKaの測定法>
例示化合物(1)を吸光度が1となるようにアセトニトリルに溶解させ、この溶液に70%過塩素酸(酢酸溶媒)を滴下し、pHを変化させていった。その際の溶液吸収スペクトルを測定し、λmaxにおける吸光度から各pHにおけるトリアジンフリー体とプロトン付加体の比率を計算した。その値が等しくなる点よりpKaの値を求めた。ここで、トリアジンフリー体とは、例示化合物(1)そのものを表し、プロトン付加体とは、例示化合物(1)のトリアジン環の窒素原子にプロトンが付加したものを表す。同様にして例示化合物(2)、(3)、(4)、(21)、(24)、(104)、(m−1)、(m−2)、(m−31)並びに比較化合物である(例A1)、及び(例A2)についてpKaの値を求めた。吸収スペクトルは、島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いて測定した。pHは、東亜電波工業製pHメーター計HM60G(商品名)を用いて測定した。なお、吸光度はそれぞれの化合物の極大吸収波長で測定した値である。結果を下記に示す。
【0186】
【表1】

【0187】
以下の実施例により、本発明の外用剤組成物についてより詳細に説明する。
本発明に記載の製剤調製方法は下記調製方法に限定されるものではなく、一般的に用いられるエマルジョンの調製方法も勿論用いることができる。例えば日光ケミカルズ株式会社ホームページ記載の処方等が参考にできる。
【0188】
また、実施例に使用した成分(B)を下表2にまとめたが実施できる範囲はこれに限らない。
【0189】
【表2】

【0190】
【化41】

【0191】
上記化合物は市販で入手可能なものであり、例A1はCiba社製 Tinuvin1577FF、例A2はCYTEC社製 CYASORB UV-1164である。
【0192】
〔実施例1〕
サンスクリーンクリームの調製
下記表1に示す処方に従い、(I)相、(II)相を、それぞれ70〜80℃に加温し、均一に溶解する。その後、(I)相を(II)相中に添加し、80℃に保ちながらホモミキサーにより、5,000rpm、7分間攪拌する。さらに、パドル攪拌しながら冷却し、35〜30℃で攪拌を止め、放置することで、サンスクリーンクリームを得た。
なお、下記表3に記載のNIKKOLニコムルス41は日光ケミカルズ社製の乳化剤である。
【0193】
≪評価−1≫
皮革材料として豚革を選択し、実施例・比較例で得られた製剤を塗布した。これを太陽光下で色の変化を確認した。評価は以下のように判断し、表3に示した。
・色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例よりも小さく、色の変化が殆どみとめられないものを◎
・色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例よりも小さく、色の変化が少ないものを○
・色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例と同等であれば△
・色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例よりも大きいものを×
【0194】
≪評価−2≫
実施例及び比較例で得られた製剤を石英ガラス容器に入れ、メタルハライドランプ(約350nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気製)で照度90mW/cm、温度63℃、湿度50%の条件で24時間光照射した。その後、この製剤を評価−1同様、豚革に塗布し色の変化を比較した。評価は以下のように判断し、表3に示した。
・光照射前の製剤を塗布した場合と照射後の製剤を塗布した場合で、色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例よりも小さく、色の変化が殆どみとめられないものを◎
・光照射前の製剤を塗布した場合と照射後の製剤を塗布した場合で、色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例よりも小さく、色の変化が少ないものを○
・光照射前の製剤を塗布した場合と照射後の製剤を塗布した場合で、色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例と同等であるものを△
・光照射前の製剤を塗布した場合と照射後の製剤を塗布した場合で、色の変化が比較化合物(A1)を使用した比較例よりも大きいものを×
【0195】
【表3】

【0196】
【表4】

【0197】
【表5】

【0198】
〔実施例2〕
サンスクリーンクリームの調製
下記表4に示す処方に従い、(I)相を予め80℃に加温しながらホモミキサーにより6,000rpm、10分間攪拌し、混合物を調製する。また、(II)相、(III)相はそれぞれ80℃に加温する。まず、加温した(II)相成分を(I)相に添加して攪拌し、均一とした後、そこに(III)相成分を攪拌しながら徐々に加え、乳化し、80℃を維持しながらホモミキサーにより5,000rpm、7分間攪拌する。その後、パドル攪拌しながら冷却し、35〜30℃で攪拌を止め、静置することでサンスクリーンクリームを得た。
【0199】
≪評価≫
〔実施例1〕と同様に評価を行った。その結果を併せて下記表6に示した。
【0200】
【表6】

【0201】
〔実施例3〕
ハンドクリームの調製
下記表5に示す処方に従い、(I)相、(II)相をそれぞれ80℃に加温し各成分を均一に溶解した後、(II)相を(I)相に、ホモミキサー攪拌しながら徐々に加え、5,000rpmで5分間攪拌する。その後、パドル攪拌しながら冷却し、50℃で(III)相を加え、35〜30℃で攪拌を止め、放置することで、ハンドクリームを得た。
【0202】
≪評価≫
実施例1と同様に評価を行った。その結果を併せて下記表7に示した。
【0203】
【表7】

【0204】
〔実施例4〕
サンスクリーンゲルクリームの調製
下記表6に示す処方に従い、(I)相、(II)相ともに室温で均一に溶解させる。(III)相は70〜80℃まで加温して均一に溶解後、室温まで冷却する。室温で(I)相を撹拌しながら、(III)相を加え、均一になったら、(II)相を加えて乳化し、均一化後撹拌を止め、放置してサンスクリーンゲルクリームを得た。
なお、下記表6に記載のPEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2は日光ケミカルズ社製の乳化剤である。
【0205】
≪評価≫
実施例1と同様に評価を行った。その結果を併せて下記表8に示した。
【0206】
【表8】

【0207】
〔実施例5〕
ヘアワックスの調製
下記表7に示す処方に従い、(I)相を85℃で加温溶解し、(II)相は80℃で加温溶解する。(I)相をパドルで攪拌しながら(II)相を加えて乳化する。その後、パドルで攪拌しながら40℃まで冷却し、ヘアワックスを得た。
【0208】
≪評価≫
実施例1と同様に評価を行った。その結果を併せて下記表9に示した。
【0209】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を含有することを特徴とする皮膚又は毛髪用の外用剤組成物。
【化1】

[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
【請求項2】
(A)波長320nm〜400nmの領域に吸収をもつ、上記一般式(1)で表される紫外線吸収性化合物を0.01〜20質量%と、(B)波長280nm〜320nmの領域に吸収をもつ、前記紫外線吸収性化合物(A)とは構造の異なる紫外線吸収性化合物を0.01〜20質量%とを含む請求項1に記載の外用剤組成物。
【請求項3】
前記(B)波長280nm〜320nmの領域に吸収をもつ、前記紫外線吸収性化合物(A)とは構造の異なる紫外線吸収性化合物が、下記(Ba)〜(Bn)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1又は2に記載の外用剤組成物。
【化2】

【化3】

[一般式(XIV)中、R20は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。]
(Bh)一般式(III)で表されるジアリールブタジエン:
【化4】

[一般式(III)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す。]
(Bi)下記一般式(II)で表されるヒドロキシベンゾフェノン:
【化5】

[一般式(II)中、R及びRは、水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表し、RとRが互いに結合して5員環又は6員環を形成していてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す。]
(Bj)下記一般式(XI)で表される化合物:
【化6】

[一般式(XI)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム又はトリエタノールアンモニウムを表す。]
(Bk)下記一般式(XII)で表される化合物:
【化7】

[一般式(XII)中、R15は水素原子又はヒドロキシル基を表し、R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は炭素原子で結合するヘテロアリール基を表す。]
(Bl)下記一般式(XIII)で表されるケイ皮酸誘導体:
【化8】

[一般式(XIII)中、R〜R14はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は炭素原子で結合するヘテロアリール基を表す。]
(Bm)下記一般式(VIIIa)で表される化合物:
【化9】

[一般式(VIIIa)中、Vは、メチル基又メトキシ基を表し、Vはメチル基又は、以下に示す基(VIIIa1)を表す。tは1から100までの整数を表す。]
【化10】

(Bn)金属酸化物粒子。
【請求項4】
前記1価の置換基が、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基であり、前記1価の置換基が置換基を有する場合の置換基がハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、スルファモイル基、チオシアネート基又はアルキルスルホニル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の外用剤組成物。
【請求項5】
前記R1b、R1c及びR1dの少なくとも一つがハメット則のσp値が正である置換基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の外用剤組成物。
【請求項6】
前記ハメット則のσp値が正である置換基が、COOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO及びSOMより選択される基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の外用剤組成物[R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。]。
【請求項7】
前記ハメット則のσp値が正である置換基がCOOR又はCNであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の外用剤組成物[Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。]。
【請求項8】
前記R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが、水素原子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の外用剤組成物。

【公開番号】特開2011−207804(P2011−207804A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76451(P2010−76451)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】