説明

外用剤

【課題】フェルビナク外用剤の経皮吸収性を大幅に向上させ、かつ皮膚刺激性にも優れ、温感の立ち上がり実感の良好な外用剤を提供する。
【解決手段】(A)フェルビナク、(B)アルニカ抽出物、及び(C)温感刺激成分を含有することを特徴とする外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイド系抗炎症剤フェルビナクを含有する外用剤に関する。詳しくは、フェルビナクの経皮吸収性が高く、皮膚刺激性が少なく、温感の立ち上がり実感の良好な外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フェルビナク等の非ステロイド系抗炎症剤を含有する外用剤が提案されている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、フェルビナクはその溶解性の低さから経皮吸収性が低く、さらには有効性を向上させるため配合量を増加させると、皮膚刺激性が発現する等の使用性に問題が生じるおそれがあった。また、フェルビナクと温感刺激成分を配合した外用剤も多く提案されているが(特許文献2,3参照)、温感の立ち上がり効果において十分な効果を有していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−298066号公報
【特許文献2】特開平11−199515号公報
【特許文献3】特開2008−179564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フェルビナクの経皮吸収性が高く、皮膚刺激性が少なく、温感の立ち上がり実感が良好な外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、フェルビナクに加え、特定の生薬成分及び温感刺激成分を配合することにより、フェルビナクの経皮吸収性が大幅に向上すると共に、皮膚刺激性を軽減させ、温感の立ち上がり実感が良好になることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
従って本発明は、下記外用剤を提供する。
[1].(A)フェルビナク、(B)アルニカ抽出物及び(C)温感刺激成分を含有することを特徴とする外用剤。
[2].(C)成分が、トウガラシエキスである[1]記載の外用剤。
[3].(B)成分の配合量が、外用剤中0.1〜5.0質量%である[1]又は[2]記載の外用剤。
[4].(C)成分の配合量が、外用剤中0.001〜3.0質量%である[1]、[2]又は[3]記載の外用剤。
[5].液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤又は貼付剤である[1]〜[4]のいずれかに記載の外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フェルビナクの経皮吸収性を大幅に向上させ、皮膚刺激性が少なく、温感の立ち上がり実感の良好な外用剤が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の外用剤は、(A)フェルビナク、(B)アルニカ抽出物及び(C)温感刺激成分を含有するものである。
【0009】
(A)フェルビナク
本発明で使用されるフェルビナクは、フェニル酢酸誘導体の一種で、4−ビフェニル酢酸構造を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬である。フェルビナクは、強い消炎鎮痛効果を示す薬物であり、皮膚透過性を有するため、例えば、パップ剤、プラスター剤等の貼付剤、ゲル剤、ローション剤等の経皮吸収型製剤として用いられている。
【0010】
フェルビナクの外用剤への配合量は、フェルビナクの経皮吸収性(8時間後の累積フェルビナク皮膚透過量)の点から0.1〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.5質量%である。0.1質量%未満では、フェルビナクの皮膚吸収(透過)性が低下し、十分な消炎鎮痛効果が得られない場合があり、5.0質量%を超えると皮膚刺激性が生じる場合がある。
【0011】
(B)アルニカ抽出物
本発明で使用されるアルニカ抽出物は血流促進による抗炎症作用を有するものであり、温感の立ち上がり実感に優れる。入手方法としては、市販品を用いることができる。また、抗炎症作用を有する、セイヨウトチノキ抽出物、サンシシ抽出物、サンショウ抽出物、オウバク抽出物、ヨウバイヒ抽出物及びベラドンナ抽出物から選ばれる1種又は2種以上を併用してもよい。
【0012】
抽出物は公知の方法に基づき得られた抽出物を用いることができる。ここで抽出物とは、適当な浸出剤を加えて浸出した液、又は浸出液を濃縮したもの、さらにはこれらを乾燥したものを挙げることができる。具体的には、エキス、チンキ、乾燥エキス等を挙げることができる。浸出剤としては、メタノール、エタノール等の低級一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の低級多価アルコール、ジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン等のケトン類、酢酸エチルエステル等のエステル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲノアルカン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、水等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、加温してもよい。抽出方法は、日本薬局方記載の方法等公知の方法を用いればよい。
【0013】
(B)成分の外用剤への配合量は、温感の立ち上がり実感の点から0.1〜5.0質量%が好ましく、フェルビナクの経皮吸収性、皮膚刺激性、温感の立ち上がり実感を総合的に判断すると、0.1〜3.0質量%がより好ましく、0.5〜1.0質量%がさらに好ましい。0.1質量%未満では、十分な温感の立ち上がり実感を得られない場合があり、5.0質量%を超えると皮膚刺激性が生じる場合がある。
【0014】
(C)温感刺激成分
本発明で使用される温感刺激成分としては、皮膚に適用した時に温感を感じさせる物質であればよく、このような物質として、例えば、カプサイシン、ジヒドロキシカプサイシン等のカプサイシン類似体、トウガラシエキス等の温感刺激成分、ニコチン酸ベンジル、ノニル酸ワニルアミド、バニリルブチルエーテル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これら中でも、トウガラシエキスは良好な血流促進作用を有し、温感の立ち上がり実感に優れる点から、好適である。
【0015】
(C)成分の外用剤への配合量は本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができるが、温感の立ち上がり実感の点から、0.001〜3.0質量%が好ましく、フェルビナクの経皮吸収性、皮膚刺激性、温感の立ち上がり実感を総合的に判断すると、0.01〜1.0質量%がより好ましく、0.01〜0.1質量%がさらに好ましい。0.001質量%未満では、十分な温感の立ち上がり実感を得られない場合があり、3質量%を超えると皮膚刺激性が生じる場合がある。
【0016】
本発明の外用剤は、外用剤として公知の剤型であればいずれの剤型であってもよいが、液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、プラスター剤及びパップ剤等の貼付剤、ゲル剤、パップ剤やプラスター剤等の貼付剤、乳液剤、エアゾール剤等が挙げられ、中でも、液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、プラスター剤及びパップ剤等の貼付剤が特に好ましい。
【0017】
本発明の外用剤は、上記剤型に応じ、(A)フェルビナク、(B)アルニカ抽出物及び(C)温感刺激成分と、例えば、各種の基剤成分や任意成分を、製剤学的に慣用されている製剤技術を駆使して混合、均一化することにより製造することができる。
【0018】
本発明の外用剤の製造において用いられる基剤成分としては、例えば水溶性高分子化合物、多価アルコール、アミン、脂肪酸エステル、無機粉体、架橋剤、活性剤、硬化調整剤、非水系粘着剤等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせ、適量を用いることができる。
【0019】
<水溶性高分子化合物>
本発明で使用される水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、その塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビヤガム、トラガントガム、カラヤガム、無水マレイン酸共重合体、ヒアルロン酸、カラギーナン、グアーガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。本発明においては、ポリアクリル酸、その塩、カルボキシメチルセルロース、その塩が好ましい。なお、本発明における水溶性とは、1質量%以上の濃度で水に溶解することをいう。本発明におけるポリアクリル酸が一部架橋したカルボキシビニルポリマーは水溶性高分子化合物に含まれる。
【0020】
<多価アルコール>
本発明で使用される多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
【0021】
<アミン>
本発明で使用されるアミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリラウリルアミン等の脂肪族アミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン及びエチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、N−メチルピペリジン等の環状アミン、アルカノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0022】
<脂肪酸エステル>
本発明で使用される脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オクタン酸セチル、オレイン酸イソプロピル、グリセリンモノオレイン酸エステル、ジオレイン酸エステル、オレイン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オクタン酸セチル、アジピン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸ヘキシル等が挙げられる。
【0023】
<無機粉体>
本発明で使用される無機粉体としては、例えば、タルク、カオリン、ベントナイト及びケイ酸アルミニウムマグネシウム等の層状ケイ酸塩鉱物、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0024】
<架橋剤>
本発明で使用される架橋剤としては、その種類は特に制限されず、通常の貼付剤に使用されているものを使用することができる。例えば、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、含ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等が挙げられ、これらは1種以上を使用することができる。
【0025】
<活性剤>
本発明で使用される活性剤としては、その種類は特に制限されず、通常の外用剤に使用されているものを使用することができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリプロピレンアルキルエーテル等のエーテル系化合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル等のエステル系化合物、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン重合体、ラウリルジメチルベタイン等のアルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン、イミダゾリン等、飽和高級脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、塩化トリメチルアルキルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、ジメチルアルキルアミン塩酸塩等のアルキルアミン塩等が挙げられる。
【0026】
<硬化調整剤>
本発明で使用される硬化調整剤としては、その種類は特に制限されず、従来より、パップ剤に使用されているものを使用することができ、このような硬化調整剤として、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、エデト酸二ナトリウム(EDTA−2Na)等が挙げられる。硬化調整剤の配合量は、適宜選定することができるが、通常、パップ剤全量に対して0.001〜5質量%が好適である。配合量が少なすぎると、配合による効果が十分に得られないおそれがあり、多すぎると硬化速度を調整することが困難となるおそれがある。
【0027】
<非水系粘着剤>
本発明で使用される非水系粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤を用いることができる。
【0028】
<ゴム系粘着剤>
ゴム系粘着剤は、ゴム系高分子化合物、可塑剤及び粘着付与樹脂等から構成される粘着剤である。
ゴム系高分子化合物としては、ゴムスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレンゴム−ポリイソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム共重合体、ポリシロキサン等が挙げられる。
可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油等)、シリコンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム等)等が挙げられる。
粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、テルペン樹脂、マレイン酸レジン等が挙げられる。
【0029】
<アクリル系粘着剤>
アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸や2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート等に代表される(メタ)アクリル酸誘導体を少なくとも1種含有させて共重合した共重合体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方を示す。
【0030】
上記共重合体において、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体の少なくとも1種と共重合するエチレン性不飽和コモノマーとしては、ビニルアルコール、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸のようなカルボキシル基含有単量体;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピルアクリレート等のスルホキシル基含有単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン等のアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等のヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル等のアルキルアミノアルキル基含有アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル等のアルコキシ基(又は側鎖にエーテル結合)含有単量体;(メタ)アクリル酸グリコシルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ガラクトシルオキシエチル等の糖鎖含有単量体;N−(メタ)アクリロイルアミノ酸等のビニル系単量体;アクリル酸のウレタンエステル、尿素エステル、及びイソシアネートエステル等のアクリル系単量体;並びに(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルクロライド、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピラジン、ビニルピペラジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルモルホリン、スチレン、α−メチルスチレン及び、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)マレエート等のビニル系単量体等が挙げられる。
【0031】
また、医薬品添加物事典2000(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されているアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、DURO−TAKアクリル粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等も使用出来る。
【0032】
<シリコン系粘着剤>
シリコン系粘着剤は、ポリシロキサンの誘導体(例えば、ポリジメチルシロキサン、アミン抵抗性ポリジメチルシロキサン等のシリコンポリマー等)等が挙げられる。
【0033】
本発明の外用剤には、(A)成分、(B)成分、(C)成分以外の薬効成分、上記成分以外に、通常の外用剤に用いられる保湿剤、防腐剤、清涼化剤、香料、色素等を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、通常量を配合することができる。
【0034】
薬効成分としては、例えば、l−メントール、dl−カンフル、セイヨウトチノキ(種子)エキス、サンシシ末、サンショウ末、ヨウバイヒ末、オオバクチンキ、アロエエキス、ベラドンナエキス、チモール、サリチル酸エチル、サリチル酸グリコール、クロタミトン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、ジブカイン、プロカイン、リドカイン、トコフェロール酢酸エステル、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。
【0035】
保湿剤としては、例えば、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリグリセリン、マルチトール、キシリトール等の多価アルコール等が挙げられる。
【0036】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラベン類、ブチルヒドロキシトルエン、チモール等を挙げることができる。
【0037】
清涼化剤としては、例えば、ウイキョウ油、カンフル、ケイヒ油、ゲラニオール、ハッカ油、ベルガモット油、ボルネオール、メントール、チモール、N−エチル−p−メンタン−カルボキシアミド、p−メンタン−3,8−ジオール、l−イソプレゴール、スピラントール、サリチル酸メチル、メントン、メンタン、l−メンチルグリセリルエーテル等のメントール誘導体等が挙げられる。
【0038】
香料としては、その種類は特に限定されず、従来より、外用剤の香料として使用されているものを使用することができ、このような香料として、例えば、アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアアックウッド、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジュニパー、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレビン、トウヒ、乳香、バイオレット、ハッカ、マジョラム、ウイキョウ、クラリセージ、パイン、パセリ、バーチ、パチュリー、バラ、ヒソップ、フェンネル、ペパーミント、ブラックペッパー、ボダイジュ花、没薬、ヤロウ、レモン、レモングラス、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、モモ、ヤグルマギク、ユーカリ、ユズ、ラベンダー、オレンジ等のハーブ系精油類又はエキス類、その他、低級アルコール類、アルデヒド類等が挙げられる。
【0039】
本発明の外用剤がパップ剤の場合は、その使用態様等が特に制限されるものではないが、例えば、上記必須成分、任意成分及び水を混合して組成物を調製し、これを、例えば、紙、織布、不織布、編布、プラスチックフィルム等のパッキングに均一に展延して膏体層とし、プラスチックフィルム(フェイシング)で該膏体層の表面を覆い、適当な大きさに裁断して、パップ剤として使用することができる。より具体的には、フェルビナク、及び任意の成分を例えばグリセリン等の多価アルコール、メチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物及び水(例、精製水、蒸留水等)等と混和し、メントール等の清涼化剤を加え均質にした後、支持体の織布又は不織布層側に、塗布又は含浸させ、更にポリプロピレンフィルム等のライナーを添着した後、裁断することにより製造できる。
【0040】
本発明の外用剤が、液剤、ローション剤の場合は、基剤成分として、例えば、水(例、精製水、蒸留水等)、エタノール等の低級アルコール、グリセリン等の多価アルコール、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油等の界面活性剤等を基剤として用い、これら基剤にフェルビナク、及び任意の成分を溶解させることにより製造することができる。
【0041】
また、本発明の外用剤がゲル剤の場合は、基剤成分として、例えば水(例、精製水、蒸留水等)、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、カルボキシビニルポリマー(例、カーボポール941;Noveon,Inc.製等)等のゲル化剤、トリエタノールアミン等のpH調整剤、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油等の界面活性剤等を用い、これら基剤と共にフェルビナク、及び任意の成分を、例えば、加熱溶解し、撹拌しながら冷却することによりゲル剤を製造することができる。
【0042】
また、本発明の外用剤がクリーム剤の場合は、基剤成分として、例えば流動パラフィンや白色ワセリン等の油性成分、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油等の界面活性剤、トリエタノールアミン等のpH調整剤、カルボキシビニルポリマー等の高分子化合物、高級脂肪酸、多価アルコール又は水(精製水)等を用い、これら基剤とフェルビナク、及び任意の成分を例えば加熱しながら乳化後、さらに撹拌しながら冷却することによりクリーム剤を製造することができる。
【0043】
また、本発明の外用剤が軟膏剤の場合は、基剤成分として、ミツロウ等のロウ類、ワセリン(白色ワセリン、黄色ワセリン)、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、ポリエチレン末等の油性成分、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油等の界面活性剤などを用い、これら基剤とフェルビナク、及び任意の成分を、例えば、練合する等して製造することができる。
【0044】
本発明の外用剤の剤型は特に限定されず、水性の液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、パップ剤やプラスター剤等の貼付剤、乳液剤、エアゾール剤等であるが、剤型によって、チューブ、ボトル、缶、ジャー等、各々適切な容器に収納される。容器の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン:HDPE、低密度ポリエチレン:LDPE)、ガラス、ポリスチレン、エバール、アルミニウム等の金属類等が好ましい。これらの容器は、紫外線防止剤等の、内容物の劣化を抑制するための安定化剤が含有されることが好ましい。さらに、容器の内壁はポリアミドイミド樹脂等の表面処理が施されていることが好ましい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%である。
【0046】
[実施例1〜74、比較例1〜6]
パップ剤、ゲル剤、ローション剤を、以下に記載の製造方法により調製した。得られた各製剤について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0047】
<パップ剤>
[実施例1]
精製水にエデト酸ナトリウム(キレスト2BST、中部キレスト(株))、及びカオリン(勝光山カオリン、(株)勝光山鉱業所)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、TO−10MV、日光ケミカルズ(株))、N−メチルピロリドン(Pharmasolve、アイエスピー・ジャパン(株))、プロピレングリコール(プロピレングリコール、アヅマ(株))、フェルビナク(フェルビナク、Hanseo Chemical Co.Ltd.)、アルニカチンキ(アルニカチンキ、日本粉末薬品(株))、及びトウガラシエキス(トウガラシエキス−20日本粉末薬品(株))を溶解した(予備溶解物2)。グリセリン(日本薬局方グリセリン、阪本薬品工業(株))に粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC1380、ダイセル化学工業(株))を添加して、撹拌(ハンドミキサー、2000〜3000rpm・5分)し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。別途、グリセリンに粉体状のポリアクリル酸ナトリウム(アロンビスS、東亜合成(株))、及び合成ヒドロタルサイト(アルカマックSH、協和化学工業(株))を添加して、撹拌(ハンドミキサー、2000〜3000rpm・5分)し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物2)。予備溶解物1に、予備溶解物2を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。練合物1に、予備分散物1及び予備分散物2をヘンシェルミキサーへ撹拌投入し、練合した。撹拌は300rpmで2分程度行った(練合物2)。練合物2にポリアクリル酸(ジュリマーSH−8、東亜合成(株))を添加して、ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分程度撹拌し、含水粘着剤を得た。
以下、実施例1に準じて、表1〜8に記載のパップ剤を作製した。
【0048】
<ゲル剤>
[実施例44]
精製水にPOE(60)硬化ひまし油(エマノーンCH−60、花王(株))、エデト酸ナトリウム(キレスト2BST、中部キレスト(株))、パラオキシ安息香酸メチル(メッキンス−M、上野製薬(株))、カルボキシビニルポリマー(ジュンロンPW−111、東亜合成(株))、トリエタノールアミン(トリエタノールアミン、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブチレングリコール、ダイセル化学工業(株))を加温溶解した(予備溶解物1)。POE(5)ベヘニルエーテル(EMALEX BHA−5、日本エマルジョン(株))、N−メチルピロリドン(Pharmasolve、アイエスピー・ジャパン(株))、アジピン酸ジイソプロピル(NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))、フェルビナク(フェルビナク、Hanseo Chemical Co.Ltd.)、アルニカチンキ(アルニカチンキ、日本粉末薬品(株))、及びトウガラシエキス(トウガラシエキス−20日本粉末薬品(株))を加温溶解した(予備溶解物2)。予備溶解物1に予備溶解物2を添加し、加温しながらホモジナイザーで分散した。その後、室温まで冷却し、ゲル剤を得た。
以下、実施例44に準じて、表9〜11に記載のゲル剤を作製した。
【0049】
<ローション剤>
[実施例60]
精製水にキサンタンガム(エコーガム、大日本住友製薬(株))を溶解した(予備溶解物1)。フェルビナク(フェルビナク、Hanseo Chemical Co.Ltd.)、エタノール(エタノール、コニシ(株))、マクロゴール400(マクロゴール400、三洋化成工業(株))を加温溶解した(予備溶解物2)。予備溶解物1に予備溶解物2を添加し、加温しながら撹拌した。その後、室温まで冷却し、アルニカチンキ(アルニカチンキ、日本粉末薬品(株))、トウガラシエキス(トウガラシエキス−20日本粉末薬品(株))を添加して分散し、トリエタノールアミン(トリエタノールアミン、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)、水酸化カリウム(日本薬局方水酸化カリウム、小堺製薬(株))を適量加えてpH調整を行い、ローション剤を得た。
以下、実施例60に準じて、表12〜14に記載のローション剤を作製した。
【0050】
〔経皮吸収性試験:フェルビナク皮膚透過量〕
へアレスマウスの背部皮膚から、4cm×3cmの皮膚試料を採取した。得られた皮膚試料を、垂直型拡散セル(フランツセル)に固定し、経皮吸収量(フェルビナク皮膚透過量)を測定した。すなわち、垂直型拡散セルのドナーとレセプターの間に表皮側が上になる様に皮膚試料を挟み固定し、レセプター側を生理食塩水で満たした後、ドナー側の皮膚上に検体を貼付(パップ剤)、又は1mL添加し皮膚試料の全面に塗布(ゲル剤、ローション剤)した。添加8時間後にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーにより、有効成分の皮膚透過量を測定した。結果をフェルビナク透過量により、下記評価基準に基づいて表中に示す。△以上で本発明の効果を確認できたと判断した。
<評価基準>
○:フェルビナク透過量80μg/cm2以上
△:フェルビナク透過量50μg/cm2以上80μg/cm2未満
×:フェルビナク透過量50μg/cm2未満
【0051】
〔皮膚刺激性試験〕
健常人20名(パネラー)の上腕部に1.5×1.5cmに裁断した検体を貼付(パップ剤)、又は1mL塗布し(ゲル剤、ローション剤)、24時間のクローズドパッチテストにより、皮膚刺激性を下記の評点に基づいて官能評価した。各パネラーの評価点の平均点から、下記評価基準に基づいて、検体の皮膚刺激性の結果を表中に示す。評価が△以上で本発明の効果を確認できたと判断した。
<評点>
5:皮膚刺激性を全く感じない。
4:皮膚刺激性をほとんど感じない。
3:皮膚刺激性をあまり感じない。
2:皮膚刺激性をやや感じる。
1:皮膚刺激性を感じる。
<評価基準>
○:皮膚刺激性4点以上〜5点以下
△:皮膚刺激性3点以上〜4点未満
×:皮膚刺激性3点未満
【0052】
〔温感の立ち上がり実感〕
パップ剤、ゲル剤及びローション剤の温感の立ち上がり実感は、以下の方法で評価した。
[パップ剤]
健常成人10人の肩に10×7cmの検体を貼付し、15分経過した際の温感実感を下記の評価基準により官能評価し、各パネラーの評価点を平均して温感の立ち上がり実感の指標とした。平均点3.5点以上で本発明の効果を確認できたと判断した。結果を表中に記載した。
[ゲル剤及びローション剤]
健常成人10人の肩に1mL塗布し、3分経過した際の温感実感を下記の評価基準により官能評価し、各パネラーの評価点を平均して温感の立ち上がり実感の指標とした。平均点3.5点以上で本発明の効果を確認できたと判断した。結果を表中に示す。
<評価基準>
5点:非常に温感を感じた。
4点:かなり温感を感じた。
3点:温感を感じた。
2点:やや温感を感じた。
1点:温感を感じなかった。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

実施例38〜43のパップ剤は、フェルビナクの皮膚透過性が高く、皮膚刺激がなく、温感の立ち上がり実感の高いものであった。
【0061】
【表9】

【0062】
【表10】

【0063】
【表11】

実施例54〜59のゲル剤は、フェルビナクの皮膚透過性が高く、皮膚刺激がなく、温感の立ち上がり実感の高いものであった。
【0064】
【表12】

【0065】
【表13】

【0066】
【表14】

実施例69〜74のローション剤は、フェルビナクの皮膚透過性が高く、皮膚刺激がなく、温感の立ち上がり実感の高いものであった。
【0067】
使用した原料は下記の通りである。
フェルビナク:日局、Hanseo Chemical Co.Ltd.
アルニカチンキ:日本粉末薬品(株)
セイヨウトチノキエキス:日本粉末薬品(株)
サンシシエキス:日本粉末薬品(株)
サンショウ軟エキス:アルプス薬品工業(株)
オオバク軟エキス:日本粉末薬品(株)
ヨウバイヒ末:日本粉末薬品(株)
ベラドンナエキス:日本粉末薬品(株)
トウガラシエキス:日本粉末薬品(株)
ノニル酸ワニリルアミド:キョーリン リメディオ(株)
バニリルブチルエーテル:高砂香料(株)
カプサイシン:アルプス薬品工業(株)
ジヒドロカプサイシン:アルプス薬品工業(株)
ニコチン酸ベンジル:Merck Co.Ltd

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェルビナク、(B)アルニカ抽出物及び(C)温感刺激成分を含有することを特徴とする外用剤。
【請求項2】
(C)成分が、トウガラシエキスである請求項1記載の外用剤。
【請求項3】
(B)成分の配合量が、外用剤中0.1〜5.0質量%である請求項1又は2記載の外用剤。
【請求項4】
(C)成分の配合量が、外用剤中0.001〜3.0質量%である請求項1、2又は3記載の外用剤。
【請求項5】
液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤又は貼付剤である請求項1〜4のいずれか1項記載の外用剤。

【公開番号】特開2011−153137(P2011−153137A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289973(P2010−289973)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】