説明

外用剤

【課題】肌の保湿性を向上させる成分としてコラーゲンのみを配合した外用剤と比較して、更に、肌の保湿性を向上させることができる外用剤を提供すること。
【解決手段】本発明の外用剤は、松樹皮抽出物、コラーゲンおよび成長因子(特に、EGFまたはEGF様成分)を配合しているので、肌の保湿性を向上させる成分としてコラーゲンのみを配合した外用剤と比較して、肌の保湿性をより向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シワの防止、肌のハリやツヤの改善に効果を発揮し、保湿性を向上させることを目的とした種々の外用剤が開発されている。これら外用剤には、肌の保湿性を向上させるために、様々な成分が配合されている。近年においては、肌の保湿性を向上させることを目的として、コラーゲンを配合した外用剤(例えば、化粧品)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−20263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、外用剤の多種多様化の中、コラーゲンを配合した外用剤よりも、更に、肌の保湿性を向上させることができる外用剤の提供が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の要望に応えたものであり、肌の保湿性を向上させる成分としてコラーゲンのみを配合した外用剤と比較して、更に、肌の保湿性を向上させることができる外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の外用剤は、松樹皮抽出物、コラーゲンおよび成長因子を配合するものである。本発明において、成長因子とは、増殖因子とも呼び、EGF(Epidermal Growth Factor:上皮細胞増殖因子・表皮成長因子)、FGF(Fibroblast Growth Factor:線維芽細胞増殖因子)、TGF(Transforming Growth Factor:トランスフォーミング増殖因子)、IGF(Insulin−like Growth Factor:インスリン様増殖因子)、HGF(Hepatocyte Growth Factor:肝細胞増殖因子)、EGF様成分(EGF様成分とは、体内においてEGFと同様の作用を奏する成分)を含む概念である。また、本発明において、コラーゲンとは、コラーゲンタンパク質のみに限定されず、コラーゲンタンパク質を加水分解して得られるコラーゲンペプチドや、コラーゲン分子をプロテアーゼで処理し、テロペプチド部分を取り除いたアテロコラーゲンも含む概念である。
【0007】
請求項2記載の外用剤は、請求項1記載の外用剤において、前記成長因子は、EGF(Epidermal Growth Factor)成分である。
【0008】
請求項3記載の外用剤は、請求項1記載の外用剤において、前記成長因子は、ツバメの巣に含有されるEGF(Epidermal Growth Factor)様成分である。なお、EGF様成分とは、体内においてEGFと同様の作用を奏する成分を示している。
【0009】
請求項4記載の外用剤は、請求項1から3に記載の外用剤において、前記成長因子を、前記外用剤総重量に対し、0.0001〜0.5重量%配合している。
【0010】
請求項5記載の外用剤は、請求項1から4のいずれかに記載の外用剤において、前記松樹皮抽出物を、前記成長因子1重量部に対し、0.01〜100重量部配合している。
【0011】
請求項6記載の外用剤は、請求項1から5のいずれかに記載の外用剤において、前記松樹皮抽出物を、前記外用剤総重量に対し、0.0001〜1重量%配合している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の外用剤は、松樹皮抽出物、コラーゲンおよび成長因子(特に、EGFまたはEGF様成分)を配合しているので、肌の保湿性を向上させる成分としてコラーゲンのみを配合した外用剤と比較して、肌の保湿性をより向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述する実施形態の記載により限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0014】
本発明の外用剤は、松樹皮抽出物、コラーゲンおよび成長因子を配合することを特徴とする。また、本発明の外用剤に配合される成長因子は、EGF(Epidermal Growth Factor)成分またはツバメの巣に含有されるEGF様成分であることを特徴とする。また、本発明の外用剤は、成長因子を、外用剤総重量に対し、0.0001〜0.5重量%配合していることを特徴とする。また、本発明の外用剤は、松樹皮抽出物を、成長因子1重量部に対し、0.01〜100重量部配合していることを特徴とする。更に、本発明の外用剤は、松樹皮抽出物を、外用剤総重量に対し、0.0001〜1重量%配合していることを特徴とする。
【0015】
(松樹皮抽出物について)
松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダ等の樹皮抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松の樹皮抽出物が好ましく用いられる。
【0016】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、フラボノイド類であるプロアントシアニジン(proanthocyanidin)を主要成分として含有する他に、有機酸及びその他の生理活性成分等を含有している。この主要成分であるプロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
【0017】
松樹皮抽出物は、上述の松の樹皮を水及び/又は有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には温水、または熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン等の食品または薬剤の製造に許容され得る有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコール等が好ましく用いられる。
【0018】
松樹皮抽出物を松樹皮から抽出する方法については特に制限はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0019】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0020】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0021】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2〜20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC(oligomeric proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)、カテキン類などの目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0022】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0023】
また、松樹皮からの抽出は、上述の抽出法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等により行ってもよい。
【0024】
松樹皮からの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0025】
上述した抽出により得られた松樹皮抽出物は、限外濾過、あるいは吸着性担体(ダイヤイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチンなど)を用いたカラム法またはバッチ法により精製を行うことが安全性の面から好ましい。
【0026】
本発明の外用剤に配合される松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法により調製されるが、これは例示であり、この方法に限定されない。
【0027】
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和水溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mLで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液を合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
【0028】
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回繰り返す。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を、元の5分の1の量になるまで減圧濃縮する。そして、濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過して回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して洗浄するため沈殿させる工程を2回繰り返す。この方法により、例えば、重合度が2〜4のプロアントシアニジンを20重量%以上含有し、かつカテキン類を5重量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。ここで、抽出物中の特定成分の含有量は、抽出物の乾燥質量を基準とした値であり、以下においても同様である。
【0029】
松樹皮抽出物は、主な有効成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。プロアントシアニジンは、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果実の皮および種に集中的に含まれている。このプロアントシアニジンは、ヒトの体内では生成することができない物質である。
【0030】
このプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物を摂取した場合は、優れた脂質代謝改善効果が得られる。松樹皮抽出物には、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有され、さらにカテキンなどが含有される。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましく用いられる。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)のプロアントシアニジンは、特に体内に吸収されやすい。本明細書では、上記の重合度が2〜4の重合体を、オリゴメリック・プロアントシアニジン(oligomeric proanthocyanidin、以下「OPC」という)という。
【0031】
松樹皮抽出物は、2〜4量体のプロアントシアニジン(即ち、OPC)を、松樹皮抽出物の乾燥質量基準で、15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上含有する抽出物であることがより好ましい。
【0032】
また、松樹皮抽出物は、5量体以上のプロアントシアニジンを、松樹皮抽出物の乾燥質量基準で、10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有する抽出物であることが好ましい。
【0033】
松樹皮抽出物には、さらにカテキン(catechin)類が含有され得る。松樹皮抽出物におけるカテキン類の含有量は、松樹皮抽出物の乾燥質量基準で、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上である。
【0034】
カテキン類は、上述した抽出方法によって、プロアントシアニジン(例えば、OPC)と共に抽出され得る。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンと呼ばれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、アフゼレキンなどが知られている。
【0035】
松樹皮抽出物からは、上述の(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、および抗酸化作用などがあることが知られている。また、カテキン類には、血糖の上昇を抑制する抗糖尿病効果があることが知られている。カテキン類は、単独では水溶性が乏しく、その生理活性が低いが、OPCの存在下では、水溶性が増すと同時に活性化する性質がある。従って、カテキン類はOPCと共に存在することで効果的に作用する。
【0036】
カテキン類は、松樹皮抽出物に、5重量%以上含有されていることが好ましい。また、OPCを20重量%以上、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10重量%以上含有する松樹皮抽出物に、カテキン類が5重量%以上含有されていることがより好ましい。例えば、松樹皮抽出物のカテキン類含有量が5重量%未満の場合、含有量が5重量%以上となるようにカテキン類を添加してもよい。すなわち、カテキン類を5重量%以上含有し、OPCを20重量%以上含有し、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10重量%以上含有する松樹皮抽出物を用いることがさらに好ましい。
【0037】
(コラーゲンについて)
本発明の外用剤に配合されるコラーゲンは、動物の生体を構成する繊維状の硬質蛋白の総称及び、これを加水分解して得られる可溶性蛋白(コラーゲンペプチド)や、コラーゲン分子をプロテアーゼで処理し、テロペプチド部分を取り除いたアテロコラーゲンを含む概念であり、基源となる動物は陸上動物、水棲動物を問わない。具体的な基源となる動物としては、牛、豚、羊などの陸上動物、魚類などの水棲動物などが好ましい。これらの動物の骨格蛋白を水性担体で抽出したり、プロテアーゼなどで加水分解した後、可溶性部分を抽出したもの等が好ましく例示できる。特に好ましいものは、魚類を基源とし、それを加水分解し、可溶性にしたものである。又、好ましい分子量は、平均分子量が3000〜100000である。このような平均分子量のコラーゲンを得るためには、コラーゲンを加水分解することによって分子サイズを小さくし、所望により限外濾過などにより、分子量分布を調整することが好ましい。なお、この様なコラーゲンは、既に外用剤(例えば、化粧品)として利用可能な市販品が存在するため、それを使用してもよい。
【0038】
(成長因子について)
本発明の外用剤に配合される成長因子とは、体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称である。本発明の外用剤に配合される成長因子としては、前述の通り、EGF、FGF、TGF、IGF、HGF、EGF様成分を例示することができる。
【0039】
なお、上述したEGF様成分としては、ツバメの巣に含有されるEGF様成分を例示することができる。このEGF様成分については、外用剤として利用可能なツバメの巣が既に存在するため、このツバメの巣から予めEGF様成分を抽出した後、これを外用剤に配合してもよい。なお、EGF様成分のみを抽出する以外にも、ツバメの巣からエキスを抽出し、そのツバメの巣エキスを外用剤に配合してもよい。
【0040】
(本発明の外用剤について)
本発明の外用剤は、松樹皮抽出物、コラーゲンおよび成長因子を配合している。
【0041】
また、本発明の外用剤に配合する成長因子の量は特に制限はないが、外用剤総重量に対し、0.0001〜0.5重量%配合していることが好ましい。
【0042】
また、本発明の外用剤に配合する松樹皮抽出物の量は特に制限はないが、成長因子1重量部に対し、0.01〜100重量部配合していることが好ましく、更には、外用剤総重量に対し、0.001〜1重量%配合していることが好ましい。
【0043】
本発明の外用剤には、松樹皮抽出物、コラーゲン、成長因子の他に、外観、使用感および保存安定性をより向上させるために、必要に応じて、当業者が外用剤に通常用いる基剤および添加剤を含有しても良い。更に、本発明の外用剤の有する機能をより増強したり、補填したりする目的で、様々な助剤を添加することも可能である。
【0044】
なお、上述の基剤としては、グリセロール、エタノール、パラベン、またはブチレングリコールなどが挙げられる。また、上述の添加剤としては、賦形剤(シリコン系ポリマー)、香料、色素、保存剤(パラベンなど)、増粘剤(シリコン系ポリマー、アクリル系ポリマー、カルボキシビニル系ポリマーなど)、キレート剤(EDTAなど)、甘味料(スクラロースなど)、清涼剤(メントールなど)、防腐防黴剤(フェノキシエタノールなど)等が挙げられる。
【0045】
また、上述の助剤としては、例えば、他の薬効成分や他の油剤(リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、DHA、EPAなどの不飽和脂肪酸およびその誘導体や亜麻仁油、ヤシ油、ホホバ油、オリーブ油、スクワラン、スクワレン、馬油、コメヌカ油、ヒマシ油などの動植物より抽出された油およびその誘導体など)、保湿剤(コラーゲンまたはその分解物、カロットエキスなどの含まれるコラーゲン類似ペプチド、大豆ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類、コンドロイチンなどのアミノ酸、トレハロースなどの糖類、海藻類、アルギン酸、グルコマンナン、ペクチンなどの水溶性食物繊維、リン脂質など)、界面活性剤(レシチンや脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体など)、紫外線吸収剤(酸化亜鉛や酸化チタンなど)、吸収促進剤等が挙げられる。
【0046】
上述の助剤の1つである薬効成分としては、ポリフェノール化合物、ビタミン剤(ビタミン類、ビタミン様作用因子、これらの塩または誘導体など)、抗炎症剤、細胞賦活剤、ホルモン剤などやこれらの効能を有する動植物由来の抽出物が挙げられる。
【0047】
ポリフェノール化合物としては、例えば、カテコール、ガロカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、タンニン酸(ガロイル没食子酸)、ハマメリタンニン(1,5−ジガロイルハマメロース)、カフェー酸誘導体、および没食子酸が挙げられる。ポリフェノール化合物には、種々のピロガロールタンニン、カテコールタンニンなども含まれる。
【0048】
ビタミン剤としては、ビタミンA類(レチノール、レチナール、レチノイン酸、3−デヒドロレチノール、3−デヒドロレチナール、3−デヒドロレチノイン酸など);プロビタミンA類(α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、クリプトキサンチンなど);ビタミンB群(チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(以上、ビタミンB6)、コバラミン(ビタミンB12)、ニコチン酸、ニコチンアミド、パントテン酸、ビオチン(ビタミンH)、葉酸(ビタミンM)など);アスコルビン酸(ビタミンC);ビタミンD類(エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェノール(ビタミンD3)など)、プロビタミンD類(7−デヒドロコレステロール、エルゴステロールなど);ビタミンE類(α−トコフェノール、β−トコフェノール、γ−トコフェノール、δ−トコフェノール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールなど);ビタミンK類(フィロキノン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)など)等が挙げられる。立体異性体や光学異性体を有するものについては、いずれの異性体も用いることができ、cis体およびtrans体混合物やセラミ体を用いることもできる。
【0049】
ビタミン様作用因子としては、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの必須脂肪酸(ビタミンF類);オロト酸(ビタミンB13)、カルチニン(ビタミンBT)、myo−イノシトール、コリン、ルチン、ヘスペリジン、エリオシトルリンなどのビタミンP類;メチオニンメチルスルホニウム(ビタミンU);パントテニルアルコール等が挙げられる。立体異性体や光学異性体を有するものについては、いずれの異性体も用いることができ、cis体およびtrans体混合物やセラミ体を用いることもできる。
【0050】
上述のビタミン類またはビタミン様作用因子の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;塩酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩などの無機塩;乳酸塩、酢酸塩、トリエタノールアミン塩などの有機塩が挙げられる。上述のビタミン類またはビタミン様作用因子の誘導体としては、アルキルエステル、アルケニルエステル、アリールエステル、燐酸エステル、硫酸エステル、ホスファチジルエステル、グルコシド、ガラクトシド、マルトシド、ラクトシドなどの配糖体等が挙げられる。
【0051】
本発明においては、上述のビタミン類、ビタミン様作用因子、またはこれらの塩もしくは誘導体として動植物や藻類および微生物などより抽出、精製して得られた天然由来のものや、化学的もしくは酵素反応を利用して合成したものを用いることができる。
【0052】
細胞賦活剤としては、酵母抽出物および酵母培養上清、アスパラガス(Asparagus)属植物、アボカド(Pcrsca amcricana Mill.)、アロエ(Aloc)属植物、アンズ(Prunus armeniaca L. var. ansu Maxim.)、イチョウ(Ginkgo biloba L.)、イヌブナ(Fagus japonica Maxim.)、オオニンニク(Allium sativum L.f. pekinense Makino)、オタネニンジン(Panax ginseng C.A.Meyer)、カミツレ(Matricaria chamomilla L.)、キハダ(Phellodendron amurense Rupr.)およびその同属植物、キュウリ(Cucumis sativus L.)、キンセンカ(Calendula arvensis L.)、シイタケ(Lentinus edodes Sing.)、シナサルナシ(キウイ)(Actinidia chinensis Planch.)、スギナ(Equisetum arvense L.)、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum L.)、セイヨウニンニク(Allium sativum L.)、センブリ(Swertia japonica Makino)、タマサキツヅラフジ(Stephania cepharantha Hayata)、チシャ(レタス)(Lactuca sativa L.)、トウガラシ(Capsicum annuum L.)、トウキンセンカ(Calendula officinalis L.)、トチノキ(Aesculus turbinata Blume)、ニンジン(Daucus carota L.)、ブクリョウ(マツホド)(Poria cocos Wolf)、ブドウ(Vitis vinifera L.)、ブナ(Fagus crenata Blume)、ヘチマ(Luffa cylindrica M.Roemen)、ベニバナ(Carthamus tinctorius L.)、マンネンロウ(Rosmarinus officinalis L.)、ミカン(Citrus)属植物、ムクロジ(Sapindus mukurossi Gaertn.)、ムラサキ(Lithospermum officinale L. var. erythrorhizon Maxim.)、ユーカリノキ(Eucalyptus)属植物、ユリ(Lilium)属植物の各抽出物、ヒドロキシ脂肪酸およびその誘導体ならびにそれらの塩、核酸およびその関連物質、卵殻膜より抽出されたタンパク質および異性化糖の混合物などが挙げられる。細胞賦活剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0053】
リン脂質もまた細胞賦活剤として用いることができる。リン脂質は、保湿効果もあるため有用である。リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)、ホスファチジン酸などのグリセロリン脂質、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸などのリゾグリセロリン脂質、スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。リン脂質は、例えば、大豆、卵黄など動植物から抽出、分離したり、あるいは化学的もしくは酵素的方法により合成することによって得ることができる。
【0054】
抗炎症剤としては、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ベクロメタゾン、これらの塩(リン酸塩、プロピオン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩など)などのステロイド性抗炎症剤;サリチル酸、サリチル酸誘導体(アスピリン、サリチルアミド、エテンザミド、サリチル酸メチルなど)、インドール酢酸誘導体(インドメタシン、スリンダクなど)、ピラゾリジンジオン誘導体(フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾンなど)、アントラニル酸誘導体(メフェナム酸、フルフェナム酸など)、プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンなど)、フェニル酢酸誘導体(ジクロフェナック、フェンブフェン、ブフェキサマクなど)、ベンゾチアジン誘導体(ピロキシカムなど)などの非ステロイド性抗炎症剤;グリチルリチン酸またはその塩もしくは誘導体(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなど);グリチルレチン酸またはその塩もしくは誘導体(グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリチルレチニル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウムなど);アズレン誘導体(グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、カマズレンなど);アラントイン;アロイン;アロエエモジン;シコニンまたはその誘導体(イソブチルシコニン、アセチルシコニン、イソバレリルシコニンなど);ギンセノシド(ギンセノシドRa1、ギンセノシドRa2、ギンセノシドRb1など);ギンセノシド誘導体(20−グルコギンセノシドRfなど);ペオニフロリン;ペオノールおよびその誘導体(ペオノシド、ペオノリド)等が挙げられる。
【0055】
また、抗炎症剤としては、植物抽出物も利用することができる。利用可能なものとしては、例えば、オウゴン(Scutellariae Radix)、カンゾウ(Glycyrrhizae Radix)、クジン(Sophorae Radix)、サイコ(Bupleuri Radix)、シャクヤク(Paeoniae Radix)、ショウマ(Cimicifugae Rhizoma)、タイソウ(Zizyphi Fructus)、チモ(Anemarrhenae Rhizoma)、ボタンピ(Moutan Cortex)、リュウタン(Gentianae Scabrae Radix)、レンギョウ(Forsythiae Fructus)等の抽出物が挙げられる。
【0056】
ホルモン剤としては、エストラジオールまたはその誘導体、植物性のホルモン様物質(例えば、ゲネスチンやダイゼンなどのイソフラボン類)が挙げられる。
【0057】
本発明の外用剤を口腔の粘膜などに適用する場合、必要に応じて、以下に列挙する成分が含有され得る。このような成分としては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛など)、セレン、キチン、キトサン、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、タンパク質またはペプチド(大豆タンパク、コラーゲン、エラスチン、シルク、これらの分解物など)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、これらの誘導体など)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、アミノ酸(プロリン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸など)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖など)、リン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリンなど)、スフィンゴ脂質およびその誘導体(スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、リグナン類(セサミンなど)、真珠粉末、ゴレンシ抽出物、ザクロ種子抽出物、およびこれらを含有する動植物抽出物、根菜類(ショウガなど)などが挙げられる。特に、ムコ多糖類、アミノ糖、カロテノイド、タンパク質またはペプチド(特にコラーゲン、エラスチン、ラミニンおよびこれらの分解物)、アミノ酸、リン脂質、スフィンゴ脂質が好ましく含有され得る。
【0058】
本発明の外用剤は、経皮投与および経粘膜投与のために、皮膚または粘膜(口腔内粘膜を含む)に適用可能である任意の形態をとり得る。本発明の外用剤の剤形は、例えば、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤などにすることができる。本発明の外用剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品、トイレタリー用品、口腔用製剤などとして使用できる。これらは、必要に応じて当業者が通常用いる成分を含有し、当業者が通常用いる方法に従って調製され得る。
【0059】
化粧品の場合、例えば、洗浄用化粧料、基礎化粧料、仕上げ化粧料、頭髪用化粧料として利用することもできる。極性水と有効成分とを予め混合した後、当業者が通常用いる成分を添加することによって、有効成分の効果を高めた化粧料を得ることができる。洗浄用化粧料としては、洗顔剤、石鹸、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプーなどが挙げられる。基礎化粧料としては、化粧水、化粧クリーム、乳液、パックなどが挙げられる。仕上げ用化粧料としては、ファンデーション、白粉、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドーなどが挙げられる。医薬品としては、育毛剤、水性軟膏、油性軟膏、目薬、アイウォッシュ、シップ、ゲルなどが挙げられる。口腔へ適用する口腔用製剤としては、歯磨き剤、マウスウォッシュ、スプレー、トローチなどが挙げられる。
【0060】
本発明の外用剤は、経皮投与および経粘膜投与のために、皮膚または粘膜(口腔内粘膜を含む)に適用可能である。本発明の外用剤は、上述したような形態とされ、その形態での投与または適用に通常用いられる手順(例えば、塗布、口腔内での溶解など)に従って、個体に投与または適用され得る。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、実施例に限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0062】
(外用剤を使用した肌水分量測定試験)
松樹皮抽出物、コラーゲンおよびEGFを配合した外用剤(本実施例においては、以後、「試験外用剤」と称す)について、比較例と共に、肌の水分量を測定する試験(肌水分量測定試験)を実施し、この試験外用剤の優位性について評価を行った。
【0063】
肌水分量測定試験を実施する前に、まず、表1に示す試験外用剤および比較例1〜4の計5種類の溶液を調製した。具体的には、試験外用剤として、松樹皮抽出物の粉末(商品名:フラバンジェノール、東洋新薬製(「フラバンジェノール」は株式会社東洋新薬の登録商標))、加水分解したコラーゲンの粉末、EGFの粉末および純水を混合した。このとき、試験外用剤全体に対して、フラバンジェノール(登録商標)を0.01重量%配合し、コラーゲンを0.1重量%配合し、EGFを0.0001重量%配合すると共に、残部を純水とした溶液を調製した。
【0064】
また、比較例1として、フラバンジェノール(登録商標)の粉末、加水分解したコラーゲンの粉末および純水を混合した。このとき、混合溶液全体に対して、フラバンジェノール(登録商標)を0.01重量%配合し、コラーゲンを0.1重量%配合すると共に、残部を純水とした溶液を調製した。また、比較例2として、フラバンジェノール(登録商標)の粉末、EGFの粉末および純水を混合した。このとき、混合溶液全体に対して、フラバンジェノール(登録商標)を0.01重量%配合し、EGFを0.0001重量%配合すると共に、残部を純水とした溶液を調製した。更に、比較例3として、加水分解したコラーゲンの粉末、EGFの粉末および純水を混合した。このとき、混合溶液全体に対して、コラーゲンを0.1重量%配合し、EGFを0.0001重量%配合すると共に、残部を純水とした溶液を調製した。なお、比較例4としては、純水のみを用いた。
【0065】
(表1)

【0066】
肌水分量測定試験は次の順序で実施した。まず、被験者2名の両腕の前腕部分を石鹸で洗浄し、タオルドライを行った。その後、被験者を安静な状態にした上で、室内にて15分間の馴化を行った。馴化中に、4cm×4cmの枠を合計5つ、両前腕部分に黒マジックで記載した。15分間の馴化終了後、枠内の水分量を測定装置を用いて測定した。
【0067】
次に、試験外用剤および比較例1〜4の計5つの各溶液60μLを、それぞれ別々の枠内に滴下し、各溶液が枠内で均一に拡がるよう指にて塗り広げた。そして、被験者を室内にて安静な状態にした上で、塗布5分後と塗布30分後に、各枠内の水分量を測定装置を用いて測定した。なお、枠内の水分量の測定には、アイ・ビイ・エス株式会社製の表皮角層水分量測定装置:SKICON−200EXを用いた。また、室内環境は、温度26〜28℃、湿度40〜50%とした。
【0068】
各枠内の水分量の測定後、塗布5分後における水分量の変化度および塗布30分後における水分量の変化度を、次の式1を用いて算出した。
【0069】
(式1)
水分量の変化度=溶液塗布後における水分量の測定値/溶液塗布前における水分量の測定値
【0070】
なお、式1から分かるように、水分量の変化度が、1未満であれば、塗布後の水分量は塗布前の水分量未満であることを示し、1以上であれば、塗布後の水分量は塗布前の水分量以上であることを示している。特に、塗布後の水分量が塗布前の水分量よりも多いほど、即ち、溶液の保湿性が高いほど、式1では、水分量の変化度が1より大きくなる結果を示す。
【0071】
溶液塗布5分後および溶液塗布30分後における水分量の変化度(各被験者の平均値)を表2に示す。
【0072】
(表2)

【0073】
表2に示す通り、溶液塗布5分後の水分量の変化度(平均値)については、比較例1〜4の値が、1.33〜1.44に留まるのに対し、試験外用剤の値は、1.81となっており、比較例1〜4と比べて、高い保湿性を示していることが分かる。
【0074】
また、溶液塗布30分後の水分量の変化度(平均値)についても、表2に示す通り、比較例1〜4の値が、1.08〜1.15に留まるのに対し、試験外用剤の値は、1.29となっており、比較例1〜4と比べて、高い保湿性を持続できることが分かる。
【0075】
このように、松樹皮抽出物、コラーゲンおよびEGFを配合した外用剤(試験外用剤)は、比較例1,3と比べて、具体的には、松樹皮抽出物およびコラーゲンを配合した溶液や、コラーゲンおよびEGFを配合した溶液と比べて、高い保湿性を持続することができる。この結果から、松樹皮抽出物、コラーゲンおよびEGFを配合した外用剤(試験外用剤)は、肌の保湿性を向上させる成分としてコラーゲンのみを配合した外用剤と比べて、肌の保湿性をより向上させることができる。
【0076】
(実施例2:クリーム剤の製造)
以下の成分を配合して、クリームを調製した。
〈クリームの成分〉 配合量(重量%)
流動パラフィン 8.00
ジメチコン 5.00
ベヘニルアルコール 4.50
オクチルドデカノール 1.00
スクワラン 2.00
リンゴ酸ジイソステアリル 3.00
パルチミン酸イソプロピル 2.00
ステアリン酸グリセリル 4.00
加水分解コラーゲン(分子量:100000) 0.01
松樹皮抽出物 0.001
ツバメの巣エキス 0.10
グリセリン 5.00
1,3ブチレングリコール 4.00
キサンタンガム 0.30
メチルパラベン 0.30
純水 残部
【0077】
上述の実施例2により、松樹皮抽出物、コラーゲンおよびツバメの巣エキス(EGF様成分)を配合したクリームの製造が可能であることが分かる。
【0078】
(実施例3:化粧水の製造)
以下の成分を配合して、化粧水を調製した。
〈化粧水の成分〉 配合量(重量%)
PEG−60水添ヒマシ油 1.50
スクワラン 0.10
エタノール 8.00
加水分解コラーゲン(分子量:7000) 0.10
松樹皮抽出物 0.0001
FGF 0.0001
メチルパラベン 0.10
1,3ブチレングリコール 8.00
PEG−30 3.00
グリセリン 5.00
純水 残部
なお、FGFとは、Fibroblast Growth Factor、即ち、線維芽細胞成長(増殖)因子を示している。
【0079】
上述の実施例3より、松樹皮抽出物、コラーゲンおよびFGFを配合した化粧水の製造が可能であることが分かる。
【0080】
(実施例4:ボディローションの製造)
以下の成分を配合して、ボディローションを調製した。
〈ボディローションの成分〉 配合量(重量%)
PEG−60水添ヒマシ油 0.20
ホホバ油 0.05
エタノール 10.00
加水分解コラーゲン(分子量:3000) 0.10
松樹皮抽出物 0.03
TGF 0.001
メチルパラベン 0.10
1,3ブチレングリコール 3.00
PEG−30 1.00
グリセリン 1.00
純水 残部
なお、TGFとは、Transforming Growth Factor、即ち、トランスフォーミング成長因子を示している。
【0081】
上述の実施例4より、松樹皮抽出物、コラーゲンおよびTGFを配合したボディローションの製造が可能であることが分かる。
【0082】
(実施例5:洗顔パウダーの製造)
以下の成分を配合して、洗顔パウダーを調製した。
〈洗顔パウダーの成分〉 配合量(重量%)
ラウロイルグルタミン酸Na 25.00
ココイルグルタミン酸Na 13.00
シリカ 15.00
マルチトール 20.00
アルギン酸Na 2.00
加水分解コラーゲン(分子量:10000) 0.50
松樹皮抽出物 0.10
IGF 0.10
コーンスターチ 24.10
メチルパラベン 0.20
なお、IGFとは、Insulin−like Growth Factor、即ち、インスリン様成長因子を示している。
【0083】
上述の実施例5により、松樹皮抽出物、コラーゲンおよびIGFを配合した洗顔パウダーの製造が可能であることが分かる。
【0084】
(実施例6:ファンデーションの製造)
以下の成分を配合して、ファンデーションを調製した。
〈ファンデーションの成分〉 配合量(重量%)
ラウロイルリジン 2.85
(タルク・ケイフッ化K)焼成物 45.00
タルク 12.00
酸化チタン 5.00
ポリメタクリル酸メチル 11.00
カオリン 5.00
シリカ 2.00
酸化亜鉛 10.00
黄酸化鉄 0.30
ベンガラ 0.20
黒酸化鉄 0.05
加水分解コラーゲン(分子量:3000) 1.00
松樹皮抽出物 1.00
HGF 0.50
メチルパラベン 0.10
ジメチコン 4.00
なお、HGFとは、Hepatocyte Growth Factor、即ち、肝細胞成長(増殖)因子を示している。
【0085】
上述の実施例6により、松樹皮抽出物、コラーゲンおよびHGFを配合したファンデーションの製造が可能であることが分かる。
【0086】
(実施例7:石鹸の製造)
以下の成分を配合して、石鹸を調製した。
〈石鹸の成分〉 配合量(重量%)
カリ石鹸素地 75.00
ミリスチン酸 1.50
パルミチン酸 1.00
ラウリン酸 1.00
塩化Na 0.50
グリセリン 2.00
加水分解コラーゲン(分子量:30000) 0.50
松樹皮抽出物 0.50
EGF 0.001
FGF 0.001
IGF 0.001
TGF 0.001
HGF 0.001
エチドロン酸4Na 0.05
純水 残部
【0087】
上述の実施例7により、松樹皮抽出物、コラーゲン、EGF、FGF、IGF、TGFおよびHGFを配合した石鹸の製造が可能であることが分かる。
【0088】
このように、実施例1〜7によれば、成長因子については、外用剤総重量に対し、0.0001〜0.5重量%配合していることが分かる。また、松樹皮抽出物については、成長因子1重量部に対し、0.01〜100重量部を配合していることが分かる。加えて、松樹皮抽出物については、外用剤総重量に対し、0.001〜1重量%配合していることが分かる。
【0089】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0090】
上述した肌水分量測定試験(実施例1)においては、試験外用剤に配合される成長因子としてEGFを用いたが、成長因子として、実施例2に示すように、ツバメの巣に含有されるEGF様成分を用いた場合においても、実施例1における試験外用剤と同様の結果となることは容易に推察できる。これは、ツバメの巣に含有されるEGF様成分が、体内においてEGFと同様の作用を奏することによる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の外用剤は、松樹皮抽出物、コラーゲンおよび成長因子(特に、EGFまたはEGF様成分)を配合しているので、肌の保湿性を向上させる成分としてコラーゲンのみを配合した外用剤と比較して、肌の保湿性をより向上させることができる。よって、肌の保湿性をより向上させることが必要な産業分野での利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮抽出物、コラーゲンおよび成長因子を配合することを特徴とする外用剤。
【請求項2】
前記成長因子は、EGF(Epidermal Growth Factor)成分であることを特徴とする請求項1記載の外用剤。
【請求項3】
前記成長因子は、ツバメの巣に含有されるEGF(Epidermal Growth Factor)様成分であることを特徴とする請求項1記載の外用剤。
【請求項4】
前記成長因子を、前記外用剤総重量に対し、0.0001〜0.5重量%配合していることを特徴とする請求項1から3に記載の外用剤。
【請求項5】
前記松樹皮抽出物を、前記成長因子1重量部に対し、0.01〜100重量部配合していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の外用剤。
【請求項6】
前記松樹皮抽出物を、前記外用剤総重量に対し、0.0001〜1重量%配合していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の外用剤。

【公開番号】特開2012−201670(P2012−201670A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70456(P2011−70456)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】