説明

外用組成物

【課題】ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩、及びEDTA又は生理的に許容されるその塩を含み、優れたエラスターゼ活性阻害作用を有する外用組成物を提供する。
【解決手段】(a) ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩、(b) EDTA又は生理的に許容されるその塩、及び(c) 炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を含み、水酸基含有化合物(c)の含有量が、ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩(a)の1重量部に対して5重量部以上である外用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロロキノリンキノン(以下、「PQQ」と略称することがある)又は生理的に許容されるその塩、及びEDTA又は生理的に許容されるその塩を含み、化粧品、医薬部外品、又は医薬品として使用される外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エラスチンは、生体内において、靭帯、血管壁、肺、皮膚の真皮、及び関節など、伸縮性が必要な器官に広く分布している。エラスチンは、これらの器官の組織に弾力性を与える役割を担っており、皮膚では、弾力又はハリなどを保つのに大きな働きをしている。
エラスチンは、加齢、紫外線、活性酸素、又はストレスなどにより徐々にその量が減少することが知られている。皮膚では、エラスチン減少によって皮膚の弾力性が徐々に失われ、シワ又はたるみが生じ、老化の大きな一因となることが明らかになっている。
エラスチンを分解して減少させるエラスターゼのうち、皮膚の真皮マトリックスに存在するエラスチンの分解に関与するエラスターゼとしては、好中球由来のエラスターゼと線維芽細胞由来のエラスターゼが知られており、その中でも、線維芽細胞由来のエラスターゼは、皮膚の弾力性維持にかかわる弾性繊維を構成するエラスチンを分解することが知られている。従って、その活性を阻害することにより高い抗シワ効果が得られることが予測される。
【0003】
ここで、化粧品、医薬品、又は食品などの組成物に金属が混入していると、金属の種類によっては有害であるだけでなく、例えばカルボキシビニルポリマー等を利用して調製するローション状、乳液状、又はゲル状の組成物の性状を保つことができない。このため、これらの組成物には、キレート化剤であるEDTAがしばしば配合される。
また、EDTAは、エラスターゼ活性に対する阻害作用を有することが知られており(特許文献1)、抗老化の活性成分として、これらの組成物に添加される場合がある。
【0004】
また、PQQは、動物、植物、及び微生物など広く生物界に存在し、エネルギー獲得に必須である酸化還元の補酵素として機能している。
PQQには、多くの生理活性があることが知られており、医薬品、化粧品、又は食品の有効成分としての使用が期待されている。このような生理活性として、活性酸素及びラジカルの除去作用、細胞増殖促進作用、紫外線吸収作用、神経成長因子産生促進作用、脳機能改善作用、育毛作用、顔色改善作用、メラニン産生抑制及び美白作用、ミトコンドリア賦活作用、並びに抗疲労作用などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−298812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩(以下、「その塩」と略称することがある)、及びEDTA又はその塩を含み、優れたエラスターゼ活性阻害作用を有する外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) PQQ又はその塩は、エラスターゼ活性阻害作用を有する。
(ii) EDTA又はその塩を含む組成物に、PQQ又はその塩を配合すると、各成分が有するエラスターゼ活性阻害作用から予測されるほどのエラスターゼ活性阻害作用は得られない。むしろ、EDTA又はその塩のエラスターゼ活性阻害作用が減衰する。
(iii) EDTA又はその塩、及びPQQ又はその塩を含む組成物に、さらに、炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を配合し、当該水酸基含有化合物の含有量を、PQQ又はその塩の1重量部に対して5重量部以上にすることにより、EDTA又はその塩、及びPQQ又はその塩のそれぞれが有するエラスターゼ活性阻害作用が効果的に発揮される。
【0008】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の外用組成物を提供する。
項1. (a) ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩、(b) EDTA又は生理的に許容されるその塩、並びに(c) 炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を含み、水酸基含有化合物(c)の含有量が、ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩(a)の1重量部に対して5重量部以上である外用組成物。
項2. ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩(a)の1重量部に対して、EDTA又は生理的に許容されるその塩(b)を、0.00001〜500重量部含む項1に記載の外用組成物。
項3. ピロロキノリンキノン又は生理的に許容されるその塩(a)を、組成物の全量に対して、0.00001〜10重量%含む項1又は2に記載の外用組成物。
項4. EDTA又は生理的に許容されるその塩(b)を、組成物の全量に対して、0.0001〜3重量%含む項1〜3の何れかに記載の外用組成物。
項5. 上記水酸基含有化合物(c)が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、ジグリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜4の何れかに記載の外用組成物。
項6. 上記水酸基含有化合物(c)を、組成物の全量に対して、0.01〜97重量%含む項1〜5の何れかに記載の外用組成物。
【0009】
項7. (a)ピロロキノリンキノン又は生理的に許容されるその塩、及び(b)EDTA又は生理的に許容されるその塩を含む組成物に、(c)炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を添加することにより、(a)成分と(b)成分とを混合することによる(a)成分のエラスターゼ活性阻害作用の低下、又は(a)成分と(b)成分とを混合することによる(b)成分のエラスターゼ活性阻害作用の低下を抑制する方法。
項8. (c)炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を添加した後の上記組成物が、ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩(a)の1重量部に対して、EDTA又は生理的に許容されるその塩(b)を、0.00001〜500重量部含む項7に記載の方法。
項9. (c)炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を添加した後の上記組成物が、ピロロキノリンキノン又は生理的に許容されるその塩(a)を、組成物の全量に対して、0.00001〜10重量%含む項7又は8に記載の方法。
項10. (c)炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を添加した後の上記組成物が、EDTA又は生理的に許容されるその塩(b)を、組成物の全量に対して、0.0001〜3重量%含む項7〜9の何れかに記載の方法。
項11. 上記水酸基含有化合物(c)が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、ジグリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項7〜10の何れかに記載の方法。
項12. 上記水酸基含有化合物(c)を、(c)炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を添加した後の上記組成物の全量に対する濃度が0.01〜97重量%になるように、上記組成物に添加する項7〜11の何れかに記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
PQQ又はその塩は、種々の薬理活性を有するため、化粧品、医薬品、又は医薬部外品の活性成分として使用が期待されている。また、本発明者は、PQQ又はその塩が、エラスターゼ活性阻害作用を有し、エラスチンの減少によるシワ、又はタルミなどの予防、又は改善に有用な成分であることを見出した。
一方、EDTA又はその塩は、化粧品、医薬品、又は医薬部外品に、キレート化剤として配合したい場合がある。また、エラスターゼ活性阻害作用を有することが知られており、シワ、又はタルミなどの予防、又は改善のために添加される場合もある。
従って、PQQ又はその塩と、EDTA又はその塩とを、共にこれらの外用組成物に配合したい場合もあり、その場合、両者のエラスターゼ活性阻害作用を合わせた優れた効果が期待される。しかし、本発明者は、PQQ又はその塩と、EDTA又はその塩とを配合した組成物では、各成分のエラスターゼ活性阻害作用から予測される相加効果が得られないことを見出した。また、EDTA又はその塩の単独の場合に比べて、エラスターゼ活性阻害作用が、却って弱くなることを見出した。
【0011】
本発明の組成物は、PQQ又はその塩、及びEDTA又はその塩に加えて、炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を含み、当該水酸基含有化合物の含有量が、PQQ又はその塩の1重量部に対して5重量部以上であることにより、PQQ又はその塩、及びEDTA又はその塩のそれぞれが有するエラスターゼ活性阻害作用が効果的に発揮される。中でも、繊維芽細胞由来のエラスターゼ活性阻害作用が効果的に発揮される。
これにより、効果的に、皮膚の弾力を向上させ、肌にハリ又はツヤを与え、肌のタルミ、シワ、肌荒れ、又はくすみを予防し、又は改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】PQQ又はその塩とEDTA又はその塩との併用により、エラスターゼ活性阻害作用が低減することを示す図である。
【図2】グリコールエーテル添加によりエラスターゼ活性阻害作用が回復することを示す図である。
【図3】多価アルコール又はグリコールエーテル添加によりエラスターゼ活性阻害作用が回復することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の外用組成物は、(a)PQQ又はその塩、(b)EDTA又はその塩、及び(c) 炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を含み、水酸基含有化合物(c)の含有量が、PQQ又はその塩(a)の1重量部に対して5重量部以上である組成物である。
【0014】
PQQ又はその塩
PQQは動物、植物、及び微生物など多様な生物体内に存在するので、種々の生物から抽出できる。また、PQQは、市販品を購入できる。
PQQの塩としては、ナトリウム塩、及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、及びマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩などが挙げられる。塩の中では、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩が好ましい。
【0015】
組成物中のPQQ又はその塩の含有量は、組成物の全量に対して、0.00001重量%以上が好ましく、0.0001重量%以上がより好ましく、0.001重量%以上がさらにより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、化粧品、医薬部外品、又は医薬外用剤の通常使用量でPQQ又はその塩の生理活性が十分に得られる。また、上記範囲であれば、製剤中での溶解性が良好で、また外用組成物の製剤としても優れたものとなる。
また、組成物中のPQQ又はその塩の含有量は、組成物の全量に対して、例えば、0.00001〜10重量%が好ましく、0.0001〜5重量%がより好ましく、0.001〜1重量%がさらにより好ましい。
【0016】
EDTA又はその塩
EDTAの塩としては、EDTAのNa塩(2Na塩、3Na塩、及び4Na塩)、K塩(2K塩、3K塩、及び4K塩)、並びにCa・Na塩(Ca・2Na塩)などが挙げられる。これらは、水和物であってもよい。中でも、キレート化作用が高いことから、EDTAの塩が好ましく、EDTAのNa塩、及びK塩がより好ましい。
EDTA又はその塩は、1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。
【0017】
本発明の外用組成物中のEDTA又はその塩の含有量は、組成物の全量に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がより好ましく、0.01重量%以上がさらにより好ましい。また、3重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらにより好ましい。
本発明の外用組成物中のEDTA又はその塩の含有量は、組成物の全量に対して、例えば、0.0001〜3重量%が好ましく、0.001〜1重量%がより好ましく、0.01〜0.5重量%がさらにより好ましい。
EDTA又はその塩の含有量が上記範囲であれば、エラスターゼ活性阻害作用、キレート化作用が十分に得られると共に、皮膚への刺激が発生し難い組成物となる。
【0018】
また、PQQ又はその塩の含有量に対するEDTA又はその塩の含有量の比率は、PQQ又はその塩の1重量部に対して、0.00001重量部以上が好ましく、0.0001重量部以上がより好ましく、0.001重量部以上がさらにより好ましい。また、500重量部以下が好ましく、100重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらにより好ましい。
PQQ又はその塩の含有量に対するEDTA又はその塩の含有量の比率は、PQQ又はその塩の1重量部に対して、例えば、0.00001〜500重量部が好ましく、0.0001〜100重量部がより好ましく、0.001〜10重量部がさらにより好ましい。
PQQ又はその塩の含有量に対するEDTA又はその塩の含有量の比率が上記範囲であれば、エラスターゼ活性阻害作用、及びキレート化作用が十分に得られると共に、皮膚への刺激が発生し難い組成物となる。
【0019】
多価アルコール
本発明の組成物が水酸基含有化合物として多価アルコールを含む場合は、炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコールを用いる。
具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール(ペンタメチレングリコール)、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール(イソペンチルジオール)、ヘキシレングリコール、及びジプロピレングリコールなどの2価アルコール;グリセリン、及びトリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ジグリセリン、ペンタエリスリトール、及び1,2,6−ヘキサントリオールなどの4価アルコール等が挙げられる。
中でも、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、及びジグリセリンが好ましく、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、及びジグリセリンがより好ましい。
【0020】
グリコールエーテル
本発明の組成物が水酸基含有化合物としてグリコールエーテルを含む場合、グリコールエーテルとして、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びエチレングリコールモノプロピルエーテルのようなエチレングリコール系のグリコールエーテル;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノプロピルエーテルのようなジエチレングリコール系のグリコールエーテル;
プロピレングリコールモノエチルエーテル、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなプロピレングリコール系のグリコールエーテル;並びに
ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなジプロピレングリコール系のグリコールエーテルなどが挙げられる。
中でも、エチレングリコール系、及びジエチレングリコール系のグリコールエーテルが好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルがより好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。
【0021】
炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる水酸基含有化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。
【0022】
多価アルコール・グリコールエーテルの含有量
炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物の組成物中の含有量は、組成物の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上がさらにより好ましい。上記範囲であれば、PQQ又はその塩、及びEDTA又はその塩の有するエラスターゼ活性阻害作用が効果的に発揮される。
また、組成物中の上記水酸基含有化合物の含有量は、組成物の全量に対して、97重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、良好な使用感の組成物になる。
また、組成物中の上記水酸基含有化合物の含有量は、組成物の全量に対して、例えば、0.01〜97重量%が好ましく、0.1〜50重量%がより好ましく、0.5〜30重量%がさらにより好ましい。
【0023】
PQQ又はその塩に対する多価アルコール・グリコールエーテルの比率
炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物の合計量は、PQQ又はその塩の1重量部に対して、5重量部以上とすればよい。また、10重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましい。上記範囲であれば、PQQ又はその塩、及びEDTA又はその塩の有するエラスターゼ活性阻害作用が効果的に発揮される。
また、上記水酸基含有化合物の合計量は、特に制限されないが、PQQ又はその塩の1重量部に対して、800重量部以下が好ましく、500重量部以下がより好ましく、300重量部以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、PQQ又はその塩、及びEDTA又はその塩の有するエラスターゼ活性阻害作用が効果的に発揮され、また良好な使用感が得られる。
炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物の合計量は、PQQ又はその塩の1重量部に対して、例えば、5重量部以上で好ましくは800重量部以下、より好ましくは10〜500重量部、さらにより好ましくは20〜300重量部とすることができる。
【0024】
製剤形態
本発明の外用組成物は、PQQ又はその塩、EDTA又はその塩、並びに上記多価アルコール及び/又はグルコールエーテルを、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤と共に混合して、医薬品、医薬部外品、又は化粧品用の皮膚外用組成物とすることができる。
【0025】
医薬品用の皮膚外用組成物の形態は特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、及びエアゾール剤などが挙げられる。これらの製剤は、第15改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。中でも、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、及びエアゾール剤が好ましく、クリーム剤、乳剤、及びゲル剤がより好ましい。
医薬部外品又は化粧品用の皮膚外用組成物とする場合も、上記の医薬品と同様の形態にすることができる。また、それ以外にも、スティック剤、及び不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。中でも、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、及びシート剤が好ましく、クリーム剤、乳剤、及びゲル剤がより好ましい。
クリーム剤、及び乳剤のように、油性基剤と水性基剤とを含む場合は、W/O型でもよく、O/W型でもよいが、O/W型が好ましい。
水を含まない基剤の場合は、軟膏剤、並びに上記説明した多価アルコール、及び/又はグリコールエーテルを基剤として含む液剤が好ましい。
【0026】
医薬部外品又は化粧品用の皮膚外用組成物とする場合の用途としては具体的には、例えば、化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、及びボディークリームのような基礎化粧料;洗顔料、メイク落とし、ひげそり剤、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、及びトリートメントのような洗浄用化粧料;リップクリーム、及び口紅などの口唇用化粧料、ファンデーション、並びにマスカラなどのメイクアップ化粧料;除毛剤;並びに浴用剤などが挙げられる。
【0027】
基剤又は担体
基剤又は担体としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α−オレフィンオリゴマー、及び軽質流動パラフィンのような炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールのような高級アルコール;コレステロール、フィトステロール、及びヒドロキシステアリン酸フィトステリルのようなステロール類;ホホバ油、メドフォーム油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、椿油、スクワラン、シアバター、及びコメ胚芽油のような植物油;ラノリン、オレンジラフィー油、スクワラン、及び馬油のような動物油;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化グアガム、及びアセチル化ヒアルロン酸のような天然高分子誘導体;ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体のような合成高分子;カラギーナン、アルギン酸、セルロース、グアーガム、クインスシード、デキストラン、ジェランガム、及びヒアルロン酸のような天然高分子;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ホホバ油、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなエステル類;デキストリン、及びマルトデキストリンのような多糖類;エタノール、及びイソプロパノールのような低級アルコール;上記説明した炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール;上記説明したグリコールエーテル;コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、及びクエン酸などの有機酸;並びに水などの水系基剤などが挙げられる。
【0028】
中でも、多価アルコール、高級アルコール、炭化水素、エステル類、シリコーン油、及び有機酸が好ましく、多価アルコールがより好ましい。
本発明の組成物の好ましい例として、基剤として上記説明した多価アルコールを含む液剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、及び乳剤が挙げられる。
基剤又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0029】
添加剤
本発明の外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、香料、及びパール光沢付与剤等を添加することができる。
【0030】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、及びL−システイン塩酸塩などが挙げられる。
【0031】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、及びテトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60)、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、及びイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、及びオレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及びPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤;リン脂質、サーファクチン、及びサポニンなどの天然界面活性剤;ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、及びステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミドなどの脂肪酸アミドアミン;トリラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、及びジ-2-エチルヘキシルアミンなどのアルキルアミン;ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、及びラウリルヒドロキシスルホベタインなどのベタイン系両性界面活性剤などが挙げられる。
【0032】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロースのようなセルロース系増粘剤などが挙げられる。
【0033】
防腐剤、又は保存剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸およびその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、及びグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0034】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、及び硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、及びコハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムなど)、並びに有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びトリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。
【0035】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、及びブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
刺激低減剤としては、例えば、甘草エキス、及びアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0036】
添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0037】
その他の有効成分
本発明の外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例としては、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分、及び紫外線防御成分などが挙げられる。
【0038】
保湿成分としては、例えば、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリセリントレハロースのような多価アルコール;ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、及びキトサンのような高分子化合物;グリシン、アスパラギン酸、及びアルギニンのようなアミノ酸;乳酸ナトリウム、尿素、及びピロリドンカルボン酸ナトリウムのような天然保湿因子;セラミド、コレステロール、及びリン脂質のような脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、及びシソエキスのような植物抽出エキスなどが挙げられる。
【0039】
抗炎症成分としては、例えば、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分、アラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、及びε-アミノカプロン酸などが挙げられる。
【0040】
抗菌又は殺菌成分としては、例えば、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、イオウ、レゾルシン、エタノール、塩化ベンゼトニウム、アダパレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシン、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、アルカンジオール、グリセリン脂肪酸エステル、アゼライン酸、塩酸アルキルジアミノグリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、及びパラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0041】
ビタミン類としては、例えば、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、及びβ−トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、及びコハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、及びリボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、及びニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、及びジパルミチン酸L−アスコルビルなどのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、及びコレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、及びファルノキノン等のビタミンK類;ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、及びチアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、及び塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、及びデオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、及びプテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、及びニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、及びパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、及びビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;並びにγ−オリザノール、カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、及びオロット酸等のビタミン様作用因子などが挙げられる。
【0042】
ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、並びにアシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、及びパルミトイルテトラペプチド等)などが挙げられる。
【0043】
アミノ酸又はその誘導体としては、例えば、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、及びクレアチン等が挙げられる。
【0044】
細胞賦活化成分としては、例えば、γ-アミノ酪酸、及びε-アミノプロン酸などのアミノ酸類;レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、及びパントテン酸類などのビタミン類;グリコール酸、及び乳酸などのα-ヒドロキシ酸類;タンニン;フラボノイド;サポニン;アラントイン;並びに感光素301号などが挙げられる。
老化防止成分としては、例えば、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、及びメバロノラクトン等が挙げられる。
【0045】
血行促進作用成分としては、例えば、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、又はトウモロコシ)に由来する成分;及びグルコシルヘスペリジンなどが挙げられる。
【0046】
角質軟化成分としては、例えば、尿素、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、及びイオウなどが挙げられる。
美白成分としては、例えば、アスコルビン酸とその誘導体、アルブチン、トコフェロール、及びトラネキサム酸などが挙げられる。
収斂成分としては、例えば、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、及びエタノールなどが挙げられる。
紫外線防御成分としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピロン酸エチルヘキシル、エトルヘキシルトリアゾリン、パラアミノ安息香酸およびその誘導体、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サチリル酸エチレングリコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタン、及び酸化亜鉛などが挙げられる。
【0047】
その他の有効成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0048】
使用方法
本発明の外用組成物は、使用対象の皮膚の状態、年齢、又は性別などによって異なるが、例えば以下の方法とすればよい。即ち、1日数回(例えば、1〜5回、好ましくは1〜3回)、適量(例えば、0.05〜5g)を皮膚に塗布すればよい。また、PQQ又はその塩の1日使用量が、例えば0.0005〜0.05g、好ましくは0.001〜0.02g、より好ましくは0.002〜0.01gとなるように組成物を塗布すればよい。
また、塗布期間は、例えば1〜6ヶ月間、好ましくは3〜6ヶ月間とすればよい。
本発明の外用組成物は、肌のタルミ、シワ、肌荒れ、又はくすみを有する人に好適に使用できる。また、PQQ又はその塩の生理活性を期待して、種々の皮膚疾患、又は皮膚トラブルを有する人に好適に使用できる。また、皮膚トラブルの予防のため、正常な肌を有する人も好適な使用対象となる。
【0049】
その他
本発明は、(a)PQQ又はその塩、及び(b)EDTA又はその塩を含む組成物に、(c)炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を添加することにより、(a)成分と(b)成分とを混合することによる(a)成分のエラスターゼ活性阻害作用の低下、又は(a)成分と(b)成分とを混合することによる(b)成分のエラスターゼ活性阻害作用の低下を抑制する方法を包含する。
この方法における、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分の具体例、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分の好ましいもの、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分の使用量、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分の使用比率、組成物に含まれていてよい基剤又は担体、組成物に含まれていてよい添加剤、組成物に含まれていてよいその他の有効成分、及び組成物の製剤形態などは、本発明の外用組成物について説明した通りである。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)エラスターゼ活性阻害効果の試験方法
以下のようにして、ヒト線維芽細胞由来のエラスターゼ活性阻害率を試験した。
正常ヒト成人由来皮膚繊維芽細胞(NHDF;クラボウ社)を、牛胎児血清を10%含有するダルベッコ最小培地(DMEM)を用いて、細胞培養用の96穴マイクロプレート(Corning)に2×104cells/wellの密度で播種し、37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間培養した。培養上清を除去した後、50μlの0.5%Triton X-100水溶液を添加し、30分間室温で静置したものを粗酵素液として用いた。
各ウェル内の粗酵素液(50μl)に、EDTA-2Na(和光純薬工業)、PQQ-2Naなどの1又は2以上の成分を溶解した0.1M トリス塩酸緩衝液(pH8.0)溶液50μlを添加した。さらに、1.5mMのPMSF、及び5mMのエラスターゼ合成基質スクシニル−アラニル−アラニル−アラニル−p−ニトロアニリド(ペプチド研究所製)を含む0.1M トリス塩酸緩衝液(pH8.0)溶液を各ウェルに100μl添加し、ウェル内を全量で200μlとした後に、37℃、2時間暗所にて静置した。
繊維芽細胞由来エラスターゼによる加水分解で生成したp−ニトロアニリンの405nmの吸光度を吸光光度計を用いて測定した。
【0051】
エラスターゼ阻害率は、被験薬剤無添加(緩衝液のみ)時の吸光度の値をC’、 被験薬剤添加時の吸光度の値をS’として、次式から算出した。

繊維芽細胞由来エラスターゼ阻害率(%)=(1−(S’/C’))×100
【0052】
(2)PQQ又はその塩とEDTA又はその塩との併用によるエラスターゼ活性阻害作用の低減
下記表1に組成を示す試験液を調製し、(1)に記載したようにしてエラスターゼ活性阻害率を算出した。参考例1のEDTA−2Naのエラスターゼ活性阻害率を100としたときの相対値を、表1及び図1(A)(B)に示す。
【表1】

【0053】
表1及び図1から明らかなように、参考例1、2、3間の比較、及び参考例1、4、5間の比較から、EDTA−2Na及びPQQにはそれぞれエラスターゼ活性阻害作用があるが、両者を併用しても期待される相加効果が得られないことが分かる。
そればかりか、参考例1、3の比較、及び参考例1、5の比較から、PQQを併用することにより、EDTA−2Naの有するエラスターゼ活性阻害作用が低下することが分かる。
【0054】
(3)グリコールエーテル添加の効果
下記表2に組成を示す試験液を調製し、(1)に記載したようにしてエラスターゼ活性阻害率を算出した。エラスターゼ活性阻害率を表2、及び図2に示す。
【表2】

表2及び図2から明らかなように、EDTA−2NaにPQQ−2Naを併用することによりエラスターゼ活性阻害率が低下したが、さらにグリコールエーテルであるエトキシジグリコール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)を配合することにより、エラスターゼ活性阻害率が向上し、EDTA−2Na及びPQQそれぞれのエラスターゼ活性阻害効果が十分に発揮された。
【0055】
(4)多価アルコール、グリコールエーテル添加の効果
下記表3に組成を示す試験液を調製し、(1)に記載したようにしてエラスターゼ活性阻害率を算出した。エラスターゼ活性阻害率を、表3及び図3に示す。
【表3】

表3及び図3から明らかなように、EDTA−2Na及びPQQ−2Naさらに多価アルコールであるジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、又はグリコールエーテルであるエトキシジグリコールを配合することにより、エラスターゼ活性阻害率が向上したことが分かる。
【0056】
(5)水酸基含有化合物のPQQに対する比率の影響
下記表4及び表5に組成を示す試験液を調製し、(1)に記載したようにしてエラスターゼ活性阻害率を算出した。EDTA−2Na及びPQQのみの場合のエラスターゼ活性阻害率を100としたときの相対値を、表4及び表5に示す。
【表4】

【0057】
【表5】

PQQに対する多価アルコールの配合比率が2を超える範囲で、水酸基含有化合物配合によるエラスターゼ活性阻害効果の向上効果が得られることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の外用組成物は、PQQ又はその塩、及びEDTA又はその塩を含み、優れたエラスターゼ活性阻害作用があるので、化粧品、医薬部外品、又は医薬外用剤などとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩、(b) EDTA又は生理的に許容されるその塩、並びに(c) 炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸基含有化合物を含み、水酸基含有化合物(c)の含有量が、ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩(a)の1重量部に対して5重量部以上である外用組成物。
【請求項2】
ピロロキノリンキノン、又は生理的に許容されるその塩(a)の1重量部に対して、EDTA又は生理的に許容されるその塩(b)を、0.00001〜500重量部含む請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
ピロロキノリンキノン又は生理的に許容されるその塩(a)を、組成物の全量に対して、0.00001〜10重量%含む請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
EDTA又は生理的に許容されるその塩(b)を、組成物の全量に対して、0.0001〜3重量%含む請求項1〜3の何れかに記載の外用組成物。
【請求項5】
上記水酸基含有化合物(c)が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、ジグリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4の何れかに記載の外用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−211129(P2012−211129A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−64661(P2012−64661)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】