説明

外用胸部装着具

【課題】乳がん等の原因により乳房の全部または一部を手術により除去した人の乳房形状を形成あるいは補正して乳房手術部位を保護するとともに、外出時、室内でのリラックス時、就寝時等の状況に応じて胸部の重量を調節することができる外用胸部装着具を提供すること。
【解決手段】外用胸部装着具1は、乳房手術部位にあてがって装着される装着具であって、前記装着具は、胸部重量調整のための装着具本体と、前記装着具本体を被覆する被覆体とからなり、前記被覆体は、前記装着具本体を交換自在に収納してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳がん等の原因により乳房の全部または一部を手術により切除した人が、乳房手術部位にあてがって用いる胸部保護および胸部形状形成用の外用胸部装着具である。
【背景技術】
【0002】
乳がん等の原因により乳房の全部を手術により切除した人(多くの場合女性)が、乳房手術部位にあてがって用いる胸部形成用の外用胸部装着具としては、シリコン樹脂で形成される人工乳房が知られている(特許文献1、特許文献2等)。このシリコン樹脂製の人工乳房は、シリコン樹脂を人間の乳房の形状に成形し、シリコン樹脂の粘着力を利用してこれを外胸部の皮膚面に貼着して装着する。しかしながら、シリコン樹脂製の人工乳房は、密着性がよい反面、通気性は悪く、装着した皮膚面の汗によるべたつきやかぶれを起こすこともある。したがって、外出時等の日中はシリコン樹脂製の人工乳房を利用する人も、室内でのリラックス時や就寝時には取り外すことが多い。しかしながら、乳房手術部位に何もあてがわない状態の場合においては、不意の衝撃を受けた場合ときに手術縫合個所や乳房手術部位内の内臓器官に衝撃が直に伝わり危険であった。また、乳房手術部位に何もあてがわない状態の場合、乳房手術部位側の胸部の重量と、乳房手術部位と反対側の胸部の重量に不均衡が生じることが原因で骨格の歪みや筋肉量の不均衡等が生じ、結果として様々な体調不良を生じることが散見される。さらには、乳房の全部を手術により切除した人は、乳房手術側の外胸部にも、ブラジャーや肌着にフィットし、着衣したときに自己の乳房と同じように見える自然な膨らみを形成したいと考えている。
【0003】
一方で、終日人工乳房を装着する人にあっても、就寝時に人工乳房を装着したとき、自身の乳房は重力に従って身体の脇側に流れるのに対し、人工乳房は胸部上で乳房形状を保持したままであるから立位時に比べて人工乳房の重さを強く感じるという問題があることから一日の生活スタイルに合わせて乳房にあてがう物の重量を調節したいという要請がある。同様に、手術直後は体への負担を軽減したいため軽い物をあてがうことがよいが、手術から時間が経過した後は生活スタイルにあった重量の物をあてがうことがよく、この場合も胸部にあてがう物の重量を調節したいという要請がある。また、肌に直接触れる素材はできるだけ肌触りがよいことが望ましい。このように、乳房手術後の胸部にあてがう物の素材の選択、形状の調整、重量の調節は細かくなされる必要がある。
【0004】
尚、乳房の一部を手術により切除する乳房温存手術を受けた人の場合には、乳房手術部位に何もあてがわないことも多いが、手術後間もない場合には不意の衝撃などから術縫合個所を保護する必要があり、また左右の胸部の重量に不均衡が生じるという問題や、乳房手術側の外胸部にも、自己の乳房のような自然な膨らみを維持したいという思いは、上述した乳房の全部を手術により切除した人と同様に生じている。
【特許文献1】特開2004−310号公報
【特許文献2】特開平9−276306号公報
【特許文献3】特開2009−12177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、乳がん等の原因により乳房の全部または一部を手術により除去した人の乳房手術部位に自己の乳房と同じような膨らみを形成して乳房手術部位を保護・補正するとともに、手術直後・手術から時間が経過した後、あるいは、外出時・室内でのリラックス時・就寝時等、術後の状況や生活スタイルに応じて胸部の重量を調節することができる外用胸部装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の外用胸部装着具は、乳房手術部位にあてがって装着される装着具であって、前記装着具は、胸部重量調整のための装着具本体と、前記装着具本体を被覆する被覆体とからなり、前記被覆体は、前記装着具本体を挿入・取り出し自在に収納してなることを特徴とする。
【0007】
被覆体は、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする。
【0008】
装着具本体は、人間の女性の乳房の全体形状を形成するように略三角形型、略水滴型、あるいは略楕円型の平面形状を成す収納体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成し、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする。
【0009】
装着具本体は、人間の女性の乳房の外縁形状の一部を形成するように略三日月型、略山型、あるいは略扇型の平面形状を成す収納体に胸部重量調整用の装着具本体を内包するとともに、被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成し、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする。
【0010】
装着具本体は、人間の女性の乳房の形状の一部を形成するように略楕円形型、略円形型、あるいは略四角型の平面形状を成す収納体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成し、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする。
【0011】
収納体に所定重量の収納物を収納してなる装着具本体を形成し、被覆体に一個または複数個の前記装着具本体を収納することにより外用胸部装着具の重量を調整自在としてなることを特徴とする。
【0012】
被覆体に収納される装着具本体の重量は、反対側の乳房と同等〜1/3程度の重量としたことを特徴とする。
【0013】
装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部は、被覆体片面の略中央位置に打ち合わせ形状に形成されてなることを特徴とする。
【0014】
胸部重量調整用の収納物は、粒状のビーズまたはペレットであることを特徴とする。
【0015】
胸部重量調整用の収納物は、ワタ材、低反発ウレタンスポンジ材あるいは高分子ポリマー等の弾性材であることを特徴とする。
【0016】
被覆体および/または収納体は、メッシュ布で形成してなることを特徴とする
【0017】
被覆体および/または収納体は、保温性布、冷却性布または速乾性布で形成してなることを特徴とする。
【0018】
被覆体または収納体に、シリコン樹脂からなるパッドを収納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の外用胸部装着具は、乳房手術部位にあてがって装着される装着具であって、前記装着具は、胸部重量調整のための装着具本体と、前記装着具本体を被覆する被覆体とからなり、前記被覆体は、前記装着具本体を挿入・取り出し自在に収納してなることにより、乳がん等の原因により胸部の全部または一部を切除した人の乳房手術部位に乳房形状を形成して手術部位を保護するとともに、たとえば手術直後と手術から時間が経過した後、あるいは、外出時と室内でのリラックス時、就寝時等、外用胸部装着具の装着者の生活スタイルに合わせて、装着具本体を取り替えることにより胸部の重量を調節することができる外用胸部装着具を提供することができる。さらには、着衣したときに自己の乳房と同じように見える自然な胸の膨らみを乳房手術部位の外胸部に形成し、自然な胸のラインを演出することができる。また、肌に直接触れる被覆体の洗濯と乾燥を容易にすることができる。
【0020】
前記装着具本体は、人間の女性の乳房の形状を形成するように女性の乳房の形状を成す収納体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、前記被覆体は、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることにより装着具本体の交換を容易にすることができる。
【0021】
また、前記装着具本体は、人間の女性の乳房の全体形状を形成するように略三角形型、略水滴型、あるいは略楕円型の平面形状を成す袋体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、前記被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成するとともに前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることにより、人間の女性の乳房と同様の形状の外用胸部装着具を形成することができ、主として乳房の全部を切除した人や乳房の一部を切除した人のうち乳房全体を保護したい人に適した外用胸部装着具を提供することができる。
【0022】
前記装着具本体は、人間の女性の乳房の外縁形状の一部を形成するように略三日月型、略山型、あるいは略扇型の平面形状を成す収納体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、前記被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成するとともに前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることにより、人の女性の乳房の縁部と同様の形状の外用胸部装着具を形成することができ、主として乳房の縁部の一部を切除した人に適した外用胸部装着具を提供することができる。
【0023】
前記装着具本体は、人間の女性の乳房形状の一部を形成するように略楕円形型、略円形型、あるいは略四角型の平面形状を成す袋体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、前記被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成するとともに前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることにより、人の女性の乳房の一部と同様の形状の外用胸部装着具を形成することができ、主として乳房の比較的面積の小さな部位を切除した人に適した外用胸部装着具を提供することができる。
【0024】
収納体に所定重量の収納物を収納してなる装着具本体を形成し、被覆体に一個または複数個の前記装着具本体を収納することにより外用胸部装着具の重量を調整自在としてなることにより、装着者が容易に自己の体型、手術経過、生活スタイルに合わせた所望の重量の外用胸部装着具を形成することができる。例えば、日中などの立位時には被覆体に反対側の胸と同重量〜幾分軽量な重さの外用胸部装着具を装着すべく被覆体に複数個の装着具本体を入れる一方、リラックス時には一つまたは幾つかの装着具本体を取り出して装着具の重量を軽量にする等、生活スタイルや手術後の経過に合わせて簡単に装着具の重量を調整することができる。
【0025】
被覆体に収納される装着具本体の重量は、反対側の乳房と同等〜1/3程度の重量としたにより装着具本体を形成することにより、1個または複数の装着具本体で以て容易に左右の胸部の重量バランスをとることができる。
【0026】
装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部は、被覆体片面の略中央位置に打ち合わせ形状に形成されてなることにより、開口部に他の部品を装着することなく装着具本体が出し入れ容易であって、被覆体から装着具本体が脱落することがない外用胸部装着具を提供することができる。
【0027】
胸部重量調整用の収納物は、粒状のビーズまたはペレットであることにより、乳房手術部位を衝撃から保護することができ、その個数を調整することで装着具本体の微妙な重量調整を容易にすることができる。
【0028】
胸部重量調整用の収納物は、ワタ材、低反発ウレタンスポンジ材あるいは高分子ポリマー等の弾性材であることにより、乳房手術部位を衝撃から確実に保護することができ、軽量な装着具を形成することもできる。
【0029】
被覆体および/または収納体は、メッシュ布で形成してなることにより、洗濯後の乾きがよく、装着時の暑さを軽減させる外用胸部装着具を提供することができる。
【0030】
被覆体および/または収納体は、保温性布で形成してなることにより保温効果を得ることができ、冷却性布で形成してなることにより冷却効果を得ることができ、気温や体温に応じた快適な外用胸部装着具を提供することができる。また、被覆体および/または収納体を速乾性布で形成すれば、洗濯後も直ぐに乾き、また汗をかいた後も快適である。
【0031】
被覆体または収納体に、シリコン樹脂からなるパッドを収納することにより、人の乳房に近い形状や触感を作ることができる。例えば被覆体または収納体のブラジャー側に位置する個所にシリコン樹脂からなるパッドを収納すれば、乳房に近い形状の胸の膨らみと触感を同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具を胸部に装着した状態を示す人間の胴体部の斜視図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具の斜視図である。
【図3】本願発明の外用胸部装着具に用いられる装着具本体の一部切り欠き平面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具に用いられる装着具本体の一部切り欠き平面図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具に用いられる装着具本体の一部切り欠き平面図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具に用いられる装着具本体の一部切り欠き平面図である。
【図7】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具の変形例を示す分解斜視図である。
【図8】図7に示す外用胸部装着具を胸部に装着した状態を示す人間の胴体部の斜視図である。
【図9】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具の変形例を示す分解斜視図である。
【図10】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具に用いられる被覆体の変形例を示す斜視図である。
【図11】本願発明の第1の実施の形態の外用胸部装着具に用いられる被覆体の変形例を示す斜視図である。
【図12】本願発明の第2の実施の形態の外用胸部装着具の斜視図である。
【図13】本願発明の第2の実施の形態の外用胸部装着具の変形例を示す斜視図である。
【図14】図12に示す外用胸部装着具を胸部に装着した状態を示す人間の胴体部の斜視図である。
【図15】本願発明の第3の実施の形態を示す外用胸部装着具の斜視図である。
【図16】本願発明の第4の実施の形態を示す外用胸部装着具の平面図である。
【図17】図16に示す外用胸部装着具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本願発明の外用胸部装着具の実施例について図面を用いて説明する。本願発明の外用胸部装着具は、乳がん等の原因により乳房の全部または一部を手術により除去した人(主として女性)の乳房手術部位にあてがって用いられ自然な乳房形状を成形し、乳房手術部位を保護するとともに、外出時、室内でのリラックス時、就寝時等の状況に応じて外用胸部装着具の重量を調節することができる装着具である。
【0034】
(実施例1)
本願発明の第1の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。外用胸部装着具1は、図1に示すように、主として乳房の全部を手術により切除した人や乳房の一部を切除した人のうち乳房全体を保護したい人が胸部10の乳房手術部位101にあてがって用いるための物である。図1に示すように多くの場合、外用胸部装着具1はブラジャー20のカップ部201内方に装着されて乳房手術部位101にあてがわれる。
【0035】
外用胸部装着具1は、図2に示すように、被覆体11と、被覆体11に被覆される装着具本体2とで形成される。外用胸部装着具1は、人間の乳房の全体外縁形状を形成するように形成され、切除した側の胸部の乳房手術部位101にあてがわれる。本願発明の実施の形態では、右胸用の外用胸部装着具1を例に説明する。
【0036】
図2は、外用胸部装着具1を乳房手術部位101にあてがわれるのと反対側の面18(ブラジャー当接面)から見た斜視図である。被覆体11は、様々な布地で形成され得る袋体である。被覆体11を形成する布地は、乳房手術部位101の皮膚面にあてがったときに肌あたりがよく、肌にやさしい布が選択される。例えば、織り地、ニット地、起毛地等の天然繊維あるいは合成繊維からなる布地が選択される。また布地の機能で分ければ、例えば汗などの水分を熱に変換し体温を保持する素材等の保温性布、あるいは汗などの水分を気化熱に変換して体温を逃がす素材等の冷却性布、あるいは速乾性に優れた速乾性布が選択される。これらは装着者の好みや、装着する季節により適宜選択される。
【0037】
被覆体11は、装着者自身の乳房の全体外縁形状を形成するように頂部12から延びる略同一長さの二等辺部14、15と円弧形状の底部13を有する水滴型の平面形状を有する袋状に形成され、後述する所望の装着具本体2〜5と相似形状に形成され、装着具本体2〜5を被覆し得る程度の公差を有するように形成されている。そして被覆体11の側縁には、装着具本体2〜5を挿入・取り出し自在とする開口部14aが形成されている。そして、開口部14aを封止するための部材として、被覆体11の乳房手術部位101にあてがわれるのと反対側の面18(ブラジャー当接面)の開口部14a寄りの個所18a、18bには、一対のリボン部材16a、16bが取り付けられており、開口部14aの内側19a、19bにはリボン部材16a、16bとそれぞれ結ばれるリボン部材17a、17bが取り付けられて、リボン部材16a、16bおよび17a、17bが取り付けられて、リボン部材が乳房手術部位101に当接しないようにされており、このリボン部材16a、16bおよび17a、17bを結ぶことにより開口部14aを封止し、被覆体11に挿入被覆された装着具本体2〜5が脱落しないようになっている。
【0038】
次に図3〜6を用いて被覆体11に入れて用いる種々の装着具本体について説明する。図2に示す装着具本体2は、主として外出時等の立位時に用いるための物であり、乳房手術部位101と反対側の乳房とほぼ同様の形状、厚みに形成される。またその重量は、反対側の乳房と同等から1/3程度の重量の物が選択される。これは、装着具である外用胸部装着具は実際の乳房より重さを感じやすいことから乳房より軽い物を装着する人も多いことを原因とするものである。装着具本体2は通気性のよい布材やメッシュ材で形成される収納体21とこれに内包される胸部重量調整用の収納物としてのプラスチックビーズ27とからなる。収納体21は、被覆体11と相似形状に形成されてなり頂部22から延びる同一長さの二等辺部24,25と円弧形状の底部23を有する水滴型に形成される。胸部重量調整用の収納物としてのプラスチックビーズ27は、細かな略球状のプラスチックビーズ部材であり、収納体21内において装着具本体2が乳房手術部位101を衝撃から保護する程度の厚み(装着具本体2を平置きの状態で2〜3センチメートル程度の厚み)を形成し、乳房手術部位101と反対側の乳房と同重量分から幾分軽い重さとなるように適量の合成樹脂ビーズ27が収納体21内に内包されている。
【0039】
ここで、反対側の乳房と同等〜1/3の重量の外用胸部装着具の重量の一例について示す。例えば、アンダーバストが70〜75センチメートルの人で比較すると、乳房のサイズが小さめ(日本のブラジャーサイズA〜Bカップ)の人の実際の乳房の重量は、115〜145グラム程度であり、例えば、外用胸部装着の重量は30グラム〜100グラム程度が所望される。乳房のサイズが大きめ(日本のブラジャーサイズC〜Dカップ)の人が所望する外用胸部装着具の重さは100グラム〜160グラム程度、乳房のサイズがさらに大きめ(日本のブラジャーサイズE〜Fカップ)の人で160グラム〜250グラム程度である。尚、収納物はプラスチックビーズのみならずマグネットビーズ、ストーンビーズ、ウッドビーズであってもよいし、扁平形状に形成したペレットであってもよく、またその大きさも微細な物から直径数ミリメートルの物まで所望の物が選択される。また、プラスチックビーズ27とワタ材や乾燥ハーブ等を一緒に入れてもよい。
【0040】
被覆体11に被覆される他の例の装着具本体3を図4に示す。この装着具本体3は主として室内でのリラックス時や就寝時に用いるための物であり、乳房手術部位101と反対側の乳房とほぼ同様の形状、厚みでありながら軽量の外胸部を形成する物である。装着具本体2は通気性のよい布材やメッシュ材で形成される収納体31とこれに内包される胸部重量調整用の収納物としてのワタ材37とからなる。収納体31は、被覆体11と相似形の水滴型に形成してなり、前述の被覆体11に被覆される大きさに形成される。胸部重量調整用の収納物としてのワタ材37は、弾性を有する木綿ワタ、羊毛ワタあるいは合成繊維ワタであり装着具本体3が乳房手術部位101を衝撃から保護する程度の厚み(装着具本体2を平置きの状態で2〜3センチメートル程度の厚み)を形成し、袋体中央部36が高く、袋体中央部36から周部になだらかな傾斜を描くように収納体31内に内包されている。収納物はワタ材のみならず、柔らかい布片、低反発ウレタンスポンジ等であってもよい。尚、低反発ウレタンスポンジのようにそのもの自身が外形を保持できる物は必ずしも収納体31に収納する必要はなく、直接被覆体11で被覆しても良い。
【0041】
被覆体11に被覆される他の例の装着具本体4を図5に示す。この装着具本体4は主として室内でのリラックス時や就寝時に用いるための物であり、乳房手術部位101と反対側の乳房とほぼ同様の形状、厚みでありながら軽量の外胸部を形成するとともに、装着者にリラックス効果を発揮させる芳香を発する物である。装着具本体4は通気性のよい布材やメッシュ材で形成される収納体41とこれに内包される胸部重量調整用の収納物としての乾燥ハーブ47とからなる。収納体41は、被覆体11と相似形状の水滴型に形成してなり、前述の被覆体11に被覆される大きさに形成される。胸部重量調整用の収納物としての乾燥ハーブ47は、乾燥ラベンダー、乾燥バラ、乾燥レモングラス等の芳香性の高い乾燥植物であり装着具本体4が乳房手術部位101を衝撃から保護する程度の厚み(装着具本体2を平置きの状態で2〜3センチメートル程度の厚み)を形成し、袋体中央部46が高く、袋体中央部46から周部になだらかな傾斜を描くように収納体41内に内包されている。尚、収納物は乾燥ハーブのみならず、芳香性の高いヒノキやスギの木くずや、サクラやスギ等のチップ材等であってもよい。
【0042】
被覆体11に被覆される他の例の装着具本体5を図6に示す。この装着具本体5は主として手術直後や放射線治療後に火照った手術部位の冷却用として用いられる物であり、乳房手術部位101と反対側の乳房とほぼ同様の形状、厚みでありながら所望の重量の胸部を形成する物である。装着具本体5は、合成樹脂シート等で形成される収納体51とこれに内包される胸部重量調整かつ手術部位冷却用の収納物としての冷却ジェル、衝撃吸収ジェル等の高分子ゲルあるいは高分子ポリマー57とからなる。収納体51は、被覆体11と相似形状の水滴型に形成してなり、前述の被覆体11に被覆される大きさに形成される。高分子ポリマー57は、装着具本体5が乳房手術部位101を衝撃から保護する程度の厚み(装着具本体2を平置きの状態で2〜3センチメートル程度の厚み)を形成し、袋体中央部56が高く、袋体中央部56から周部になだらかな傾斜を描くように形成され収納体51内に内包されている、冷蔵庫等で冷やすことによりある程度の時間冷却状態を保持することができるようになっている。
【0043】
尚、第1の実施の形態において被覆体11と装着具本体2〜5は水滴型を例に説明したが、人間の女性の乳房の全体外縁形状を形成するような形状であればよく、例えばリンパ節まで切除した人が装着する物は脇部まで覆うような略三角形型に形成され、形状や各辺の長さも手術部位により異なる。また、乳房の中央部を切除した人が装着する物は略楕円形型に形成され、その形状も手術部位により異なる。また、被覆体11と装着具本体2〜5の大きさや円弧のカーブは自己の乳房に合わせて形成されることが望ましい。
【0044】
次に、外用胸部装着具1の使用の仕方について説明する、外出時等の立位時には、左右の胸部の重量はできるだけ同重量であることが望ましいため、装着者は、図2に示す如く、被覆体11の開口部14aより、プラスチックビーズ27が内包されている装着具本体2を挿入し、リボン部材16aと17a、リボン部材16bと17bを結び封止して、これを図1に示す如く、ブラジャー20のカップ201内に装着する。このとき、外用胸部装着具1における被覆体11の頂部12がカップ201外側の脇部方向に向き、円弧状の底部13がブラジャー20の中央からカップ201底部に向くようにセットすることで、装着具本体2内のプラスチックビーズが重力に従って移動し、自然な胸の膨らみを形成する。
【0045】
一方、室内でリラックスしたいときや就寝時には、外用胸部装着具1の重量はできるだけ軽量であることが望ましいため、装着者は、被覆体11の開口部14aより、ワタ材37が内包されている装着具本体3を挿入し、リボン部材18aと19a、リボン部材18bと19bを結び、これを図1に示すのと同様に、ブラジャー20のカップ201内に装着する。同様に、装着具本体4および装着具本体5を被覆体11に挿入して装着することもできる。尚、外用胸部装着具1が装着される物はブラジャー20としたが、キャミソール、タンクトップ、シュミーズ等肌に直接接する肌着であればよい。
【0046】
(実施例1の変形例)
実施例1の変形例を図7に示す。図7に示す実施例1の変形例は、外用胸部装着具1の被覆体61にブラジャー20に外用胸部装着具を固定するためのスナップ62a、62b、62cを取り付けたものである。スナップ62a、62b、62c以外の構成は、被覆体11と同様であるため省略する。スナップ62a、62b、62cは、テープスナップボタンと呼ばれるテープの表面に固定用のスナップボタンが固定されている固定部材で、被覆体61の乳房手術部位101にあてがわれるのと反対側の面に雄側(または雌側)のスナップが固定される。一方、図8に示すように外用胸部装着具1を装着するブラジャー20のカップ201内面の外用胸部装着具1に対応する位置には、雌側(または雄側)のスナップが固定される。装着者は、外用胸部装着具1をカップ201に装着する際にずれ防止または脱落防止として雄雌のスナップを止めるようになっている。尚、この例においてはスナップを3個所に固定したが、固定個所の数や位置はこれに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1の変形例)
実施例1の他の変形例を図9に示す。図9に示す実施例1の変形例は、外用胸部装着具1の被覆体63にブラジャー20に外用胸部装着具を固定するためのループ部材64a、64b、64cを取り付けたものである。ループ部材64a、64b、64c以外の構成は、被覆体11と同様であるため省略する。ループ部材64a、64b、64cは、ボタンを固定するループ部材で、被覆体63の縁部に形成される。一方、外用胸部装着具1を装着するブラジャーのカップ周部の外用胸部装着具1に対応する位置には、不図示のボタンが固定される。装着者は、外用胸部装着具1をカップ201に装着する際にずれ防止または脱落防止としてボタンをループ止めるようになっている。尚、この例においてはループ部材を3個所に固定したが、固定個所の数や位置はこれに限定されるものではない。
【0048】
(実施例1の変形例)
実施例1の他の変形例を図10に示す。図9に示す実施例1の変形例は、外用胸部装着具の被覆体7の開口部74の封止部材として面ファスナーを用いた物である。雄(又は雌)面ファスナー76aと雌(または雄)面ファスナー77a、および雄(又は雌)面ファスナー76bと雌(または雄)面ファスナー77b、がそれぞれ開口部74の内側の対向する位置に取り付けられており、着脱自在となっている。また、図11に示すように被覆体7には、ブラジャーに外用胸部装着具を固定するためのゴムやシリコン樹脂等の滑り止め効果の高い材質からなる滑り止め突起部を形成してもよい。この滑り止め突起部がブラジャーのカップ内部やキャミソールに装着した際に滑り止めとして機能し、外用胸部装着具のズレや脱落を防ぐようになっている。
【0049】
(実施例2)
本願発明の第2の実施の形態について、図12乃至図14を参照して説明する。外用胸部装着具8は、図14に示すように、乳房温存手術と呼ばれる主として乳房の一縁部を手術により切除した人が胸部10の乳房手術部位101にあてがって用いる物である。図14に示すように多くの場合外用胸部装着具8はブラジャー20のカップ部201内方に装着されて乳房手術部位101にあてがわれる。
【0050】
外用胸部装着具8は、図12に示すように、被覆体81と、被覆体81に被覆される不図示の装着具本体とで形成される。外用胸部装着具8は、自身の乳房の切除した箇所、すなわち乳房の下縁部、上縁部あるいは側縁部と同程度のカーブに形成され、切除した側の胸部の乳房手術部位101にあてがわれる。本願発明の実施の形態では、右胸用の外用胸部装着具8を例に説明する。
【0051】
図12は、外用胸部装着具8を装着時に被覆体81の乳房手術部位101にあてがわれるのと反対側の面88(ブラジャー当接面)から見た斜視図である。被覆体81は、乳房手術部位101の皮膚面にあてがったときに肌あたりのよい、織り地、ニット地、起毛地等の布地で形成される収納体である。被覆体81は、人間の女性の乳房の外縁形状の一部を形成するように二つの頂部84、85から延びる円弧形状の辺部82、83を有する三日月型に形成してなる袋状に形成され、装着具本体と相似形状に形成され、装着具本体を被覆できるようになっている。円弧形状の辺部82から乳房手術部位101にあてがわれるのと反対側の面88に変芯した位置には装着具本体を挿入・取り出し自在とする開口部86が形成されている。開口部86内方には開口部86を封止する部材としてコンシールファスナーまたは面ファスナー等が取り付けられている。不図示の装着具本体としては、外用胸部装着具1と同様に、被覆体81と相似形状の収納体にプラスチックビーズ、ワタ材、乾燥ハーブ、低反発ウレタンスポンジ等を入れた立体形状の物をそれぞれ用意し、これらの装着具本体から所望の物を選んで被覆体81に挿入して装着することができる。尚、図13、図14に示すように外用胸部装着具8の被覆体81には、ブラジャー20に固定するための固定部材としてスナップ87a、87b、87cを取り付けてもよい。
【0052】
尚、第2の実施の形態において被覆体81と装着具本体は三日月型を例に説明したが、人間の女性の乳房の一部外縁形状を形成するような形状であればよく切除個所に合わせて形成される。例えば、乳房の中央部寄りの部分も切除した人が装着する物は平置き形状で、山型、扇型あるいは三日月型よりも頂部に丸みを帯びたバナナ型、まが玉や豆型など側部に凹みを有する形に形成される。また、被覆体81と装着具本体の大きさや円弧のカーブは自己の乳房に合わせて形成されることが望ましい。
【0053】
(実施例3)
本願発明の第3の実施の形態について、図15を参照して説明する。外用胸部装着具9は、図15に示すように、乳房温存手術と呼ばれる主として乳房の一部の小さい面積の部位を手術により切除した人が乳房手術部位にあてがって用いる物であり、多くの場合外用胸部装着具9はブラジャーのカップ部内方に装着されて乳房手術部位にあてがわれる。
【0054】
外用胸部装着具9は、図15に示すように、被覆体91と、被覆体91に被覆される不図示の装着具本体とで形成される。外用胸部装着具9は、自身の乳房の切除部と同程度の略楕円形状に形成され、切除した側の胸部の乳房手術部位にあてがわれる。本願発明の実施の形態では、右胸用の外用胸部装着具9を例に説明する。
【0055】
図15は、外用胸部装着具9を装着時に被覆体91の乳房手術部位101にあてがわれるのと反対側の面97(ブラジャー当接面)から見た斜視図である。被覆体91は、乳房手術部位101の皮膚面にあてがったときに肌あたりのよい、織り地、ニット地、起毛地等の布地で切除部と同程度の大きさの平置きで略楕円型、略円形型、丸みを帯びた四角型など切除部位に対応する形状に形成してなる袋状の被覆体であって、所望の装着具本体と相似形状に形成され、略俵型、略球型、略玉子型、略立方体型、略直方体等の形状の装着具本体を被覆し、装着具本体を被覆したときには、外用胸部装着具9全体として略俵型、略球型、略玉子型、略立方体型、略直方体等の立体形状を成すようになっている。円弧形状の辺部92から乳房手術部位101にあてがわれるのと反対側の面97に変芯した位置には縁部94から反対縁部95に亘って装着具本体を挿入・取り出し自在とする開口部96が形成されている。開口部96内方には開口部96を封止する材としてコンシールファスナーまたは面ファスナーが取り付けられている。
【0056】
不図示の装着具本体としては、外用胸部装着具1と同様に、被覆体91と相似形状の収納体にプラスチックビーズ、ワタ材、乾燥ハーブ、低反発ウレタンスポンジ等を入れた物をそれぞれ用意し、これらの装着具本体から所望の物を選んで被覆体91に挿入して装着することができる。
【0057】
(実施例4)
本願発明の第4の実施の形態について図16および図17を参照して説明する。図16、図17に示す外用胸部装着具301は、被覆体302と、被覆体302に被覆される装着具本体401、402とで形成される。外用胸部装着具302は、人間の乳房の全体外縁形状を形成するように形成され、切除した側の胸部の乳房手術部位にあてがわれる。
【0058】
図16に示す外用胸部装着具301は、右胸用のものであり外用胸部装着具302を乳房手術部位にあてがわれるのと反対側の面(ブラジャー当接面)から見た状態である。被覆体302は、乳房手術部位の皮膚面にあてがったときに肌あたりがよいメッシュ布で形成される袋体である。このメッシュ布は、細かな孔部303を多数有することから洗濯後や汗をかいたときの速乾性に優れ、装着時にも装着者の体温を外部へ逃がすことができる。また、肌への当接面積が少ないことからベタつきを感じにくいという利点もある。さらには、伸縮性にも優れている。被覆体302は、装着者自身の乳房の全体外縁形状を形成するように頂部305から延び、胸の内側に位置する側に若干の丸みを帯びた略同一長さの二等辺部315、316と円弧形状の底部を有する水滴型の平面形状を有する袋状に形成され、後述する所望の装着具本体401、402と相似形状に形成され、複数個の装着具本体を被覆できる大きさに形成されている。
【0059】
そして被覆体302の片面すなわち乳房手術部位にあてがわれるのと反対側の面(ブラジャー当接面)の略中央位置には頂部305から底部にかけて装着具本体を出し入れするための開口部308が形成されている。この開口部308は、被覆体302片面の左右を成す布地306、307の端部312、313が被覆体302の略中央部で交差し、打ち合わせ部305を形成するように開口されていて、図17に示すように装着具本体401、402を交換するときには打ち合わせ305を広げて開口部308を開口した状態で、被覆体の内部309へ装着具本体401、402を出し入れし、装着時には打ち合わせ305を合わせるように開口部308閉じ、装着具本体401、402の脱落を防止するようになっている。この打ち合わせ部305は布地を二重に折り返して形成し、打ち合わせ部の強度を高めている。
【0060】
また、被覆体302の装着時において胸の内側に位置する側の布地307にはダーツ311を設け、装着具本体401、402を収納したときに、胸の内側に位置する部分に厚みが出るように形成してもよい。尚、このダーツは必ずしも胸の内側に位置する側に設ける必要はなく、所望する乳房の形状に合わせて胸の下方や胸の外側に位置する側に設けられることもある。さらに、被覆体302の内側にカップ形状の布地や芯地を貼着して乳房の形状を保持するようにしてもよい。また、被覆体302のブラジャー当接側の内方にシリコン樹脂でできた薄いカップ形状のパッドを収納し、外用胸部装着具301の形状を乳房に近い形に補正してもよい。シリコン樹脂からなるパッドは適度な弾性を有することから、乳房に近い触感をも形成することができる。
【0061】
次に図17を用いて被覆体302に収納して用いる装着具本体401、402について説明する。この実施例において装着具本体は複数個(図17の場合は2個)用意され、装着者が自己の乳房の重量や生活スタイルに応じて一個又は複数個の装着具本体を被覆体302に収納して外用胸部装着具301を形成し、外用胸部装着具301の重さを自在に調節するようになっている。装着具本体401、402は、メッシュ布で形成される収納体403とこれに内包される胸部重量調整用の収納物としてのプラスチックビーズ(不図示)とからなる。収納体403は、被覆体302と相似形状に形成されてなり頂部405と頂部405から延び、胸の内側に位置する側に若干の丸みを帯びた同一長さの二等辺部406、407と円弧形状の底部を有する水滴型に形成され、頂部405が被覆体の頂部305、二等辺部406、407が被覆体の二等辺部315、316とぴったり合うように収納されるようになっている。また、収納体403内部でビーズが偏らないように、収納体403内部を幾つかの部屋(不図示)に仕切り、それぞれの部屋にビーズを収納してもよい。また、装着具本体401、402の内方にシリコン樹脂からなるパッドを収納してもよい。
【0062】
外用胸部装着具の重量の一例についての説明は実施例1に記載した通りであるが、外用胸部装着具301における装着具本体401、402の選択の一例を示せば、アンダーバスト75センチメートルの人で日本のカップサイズでDカップの人の実際の乳房の重量は320グラム程度であるので、自己の乳房の重量の320グラム程度〜1/3程度の重量の100グラム程度の外用胸部装着具301を利用する。よく所望されるのは、自己の乳房の重量の1/2程度の重さ、すなわち160グラムの外用胸部装着具であるが、この場合100グラムの装着具本体401と、60グラムの装着具本体402を選択して、被覆体302に2個の装着具本体を収納し、手術部位と反対側の乳房の1/2の重量の外用胸部装着具301を形成する。一方、リラックス時用や睡眠時用には1個の装着具本体401を取りだし、装着具本体402のみ被覆体302に収納して60グラムの外用胸部装着具本体を形成する。また、例えばアンダーバスト75センチメートルの人で日本のカップサイズFカップの人によく所望されるのも、自己の乳房の重量の1/2程度の重さ、すなわち250グラムの外用胸部装着具であるが、この場合120グラムの重量の装着具本体と130グラムの重量の装着具本体を被覆体に収納して250グラムの外用胸部装着具を形成する。このように外用胸部装着具を形成することで手術部位と反対側の乳房とバランスがとれ、且つ、外用胸部装着具を過度に重く感じることのない外用胸部装着具を形成することができる。尚、ここでは、自己の乳房の1/2程度の重量の外用胸部装着具を例に装着具本体の選択のパターンを示したが、もともとの乳房のサイズが比較的小さい場合や、反対側の乳房と同じ重量にバランスをとりたい場合に装着する外用胸部装着具は、自己の乳房と同じ重量に形成される。また、術部や身体への負担を軽くするべく術後直ぐに装着する外用胸部装着具は、自己の乳房の重量の1/3より軽く形成される場合もある。重量が軽い外用胸部装着具を形成する場合には、例えば、プラスッチックビーズが収納されてなる40グラムの装着具本体と、ワタが収納されてなる装着具本体を選択し、ワタが収納されてなる装着具本体を胸の側にして被覆体に収納する。このように、装着具本体を数十グラム単位で用意しておけば、乳房の大きさや重量、術後経過、そして個々の生活スタイルに応じて装着具本体の重量と個数を選択し、所望の重量の外用胸部装着具を形成することができる。
【0063】
尚、これまで述べた実施例において、幾つかの乳房の切除部位の大きさや形状に応じた外用胸部装着具の大きさや形状を示したが、乳房の切除部位の大きさや形状は、手術方法により区々であり、乳房の極一部を切除する場合もあれば、リンパ節周部まで切除する場合もある。したがって、外用胸部装着具の大きさや形状は、装着者の乳房の大きさと乳房の切除部位に応じて決定されるものであり、上述した例に示す形状や大きさに限られるものではない。また、装着者が必要とする外用胸部装着具の重量も、手術直後と手術後時間が経過した後では異なり、個々の生活スタイルで異なり、さらには一人の人であっても一日の生活時間帯でも異なる。したがって、装着具本体の重量や、被覆体に収納する装着具本体の個数も上述した重量や個数に限られるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 外用胸部装着具
10 胸部
11 被覆体
12 被覆体頂部
13 被覆体底部
14 被覆体辺部
14a開口部
15 被覆体辺部
16 リボン部材
17 リボン部材
18 ブラジャー当接面
2 装着具本体
21 収納体
22 装着具本体頂部
23 装着具本体底部
24 装着部本体辺部
25 装着部本体辺部
26 装着具本体中央部
27 プラスチックビーズ
3 装着具本体
31 収納体
32 装着具本体頂部
33 装着具本体底部
34 装着部本体辺部
35 装着部本体辺部
36 装着具本体中央部
37 ワタ材
4 装着具本体
41 収納体
42 装着具本体頂部
43 装着具本体底部
44 装着部本体辺部
45 装着部本体辺部
46 装着具本体中央部
47 乾燥ハーブ
5 装着具本体
51 収納体
52 装着具本体頂部
53 装着具本体底部
54 装着部本体辺部
55 装着部本体辺部
56 装着具本体中央部
57 高分子ポリマー
61 被覆体
62 テープスナップ
63 被覆体
64 ループ部材
7 被覆体
74 開口部
76 面ファスナー
77 面ファスナー
78 被覆体
79 滑り止め部材
8 外用胸部装着具
81 被覆体
82 被覆体円弧部
83 被覆体円弧部
84 被覆体頂部
85 被覆体頂部
86 開口部
87 テープスナップ
88 ブラジャー当接面
9 外用胸部装着具
91 被覆体
92 被覆体円弧状辺部
93 被覆体円弧状辺部
94 被覆体縁部
95 被覆体縁部
96 開口部
97 ブラジャー当接面
101 乳房手術部位
20 ブラジャー
201 カップ
301 外用胸部装着具
302 被覆体
303 孔部
305 頂部
306、307 被覆体左右布地
308 開口部
309 被覆体内部
401、402 装着具本体
403 収納体
405 頂部
406、407二等辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房手術部位にあてがって装着される装着具であって、前記装着具は、胸部重量調整のための装着具本体と、前記装着具本体を被覆する被覆体とからなり、前記被覆体は、前記装着具本体を挿入・取り出し自在に収納してなることを特徴とする外用胸部装着具。
【請求項2】
被覆体は、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする請求項1記載の外用胸部装着具。
【請求項3】
装着具本体は、人間の女性の乳房の全体形状を形成するように略三角形型、略水滴型、あるいは略楕円型の平面形状を成す収納体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成し、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外用胸部装着具。
【請求項4】
装着具本体は、人間の女性の乳房の外縁形状の一部を形成するように略三日月型、略山型、あるいは略扇型の平面形状を成す収納体に胸部重量調整用の装着具本体を内包するとともに、被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成し、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外用胸部装着具。
【請求項5】
装着具本体は、人間の女性の乳房の形状の一部を形成するように略楕円形型、略円形型、あるいは略四角型の平面形状を成す収納体に胸部重量調整用の収納物を内包するとともに、被覆体は、前記被覆体に被覆される前記装着具本体と相似形状に形成し、前記装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部を形成した袋体に形成してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外用胸部装着具。
【請求項6】
収納体に所定重量の収納物を収納してなる装着具本体を形成し、被覆体に一個または複数個の前記装着具本体を収納することにより外用胸部装着具の重量を調整自在としてなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の外用胸部装着具。
【請求項7】
被覆体に収納される装着具本体の重量は、反対側の乳房と同等〜1/3程度の重量としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の外用胸部装着具。
【請求項8】
装着具本体を挿入・取り出し自在の開口部は、被覆体片面の略中央位置に打ち合わせ形状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の外用胸部装着具。
【請求項9】
胸部重量調整用の収納物は、粒状のビーズまたはペレットであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の外用胸部装着具。
【請求項10】
胸部重量調整用の収納物は、ワタ材、低反発ウレタンスポンジ材あるいは高分子ポリマー等の弾性材であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の外用胸部装着具。
【請求項11】
被覆体および/または収納体は、メッシュ布で形成してなることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の外用胸部装着具。
【請求項12】
被覆体および/または収納体は、保温性布、冷却性布または速乾性布で形成してなることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の外用胸部装着具。
【請求項13】
被覆体または収納体に、シリコン樹脂からなるパッドを収納したことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の外用胸部装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−115642(P2012−115642A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230959(P2011−230959)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(510299433)
【Fターム(参考)】