説明

外科手術用ガスケット

【課題】分離した組織を一緒に結合して、治癒プロセスを補助し、そして組織の強度を増大すること。
【解決手段】外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケット100であって、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含む、ガスケット。一つの実施形態において、このジイソシアネートが、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネートからなる群より選択される。別の実施形態において、このポリ(エーテルエステル)は、少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つのポリ酸をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、Reinprechtらにより2009年1月9日に出願された米国特許出願12/351,492号の一部継続出願であり、この米国特許出願は、Habdaらにより2005年5月5日に出願された米国特許出願第11/123,690号の一部継続出願である。各々の米国特許出願の開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、漏出、出血および/または狭窄の発生を減少させるための、外科手術用固定デバイスと一緒に使用するためのガスケットに関する。
【背景技術】
【0003】
種々の身体構造(例えば、腸または気管支)を連結または吻合する場合に、縫合糸の代わりにステープルが従来使用されている。これらのステープルを適用するために使用される外科手術用ステープル留めデバイスは、一般に、患者における組織の伸ばされたセグメントを切断すると同時にシールし、それにより、このような手順の時間および危険性を非常に減少させるように設計されている。
【0004】
直線状または環状の外科手術用ステープル留めデバイスは、身体組織のセグメントを一緒に連結し、そして/または吻合を作製する目的で、1列以上の外科手術用ファスナー(例えば、ステープルまたは2部品ファスナー)の直線の列を連続的にかまたは同時に、身体組織に適用するために、外科医により使用される。直線外科手術用ステープル留めデバイスは、一般に、1対の顎またはフィンガー様構造体を備え、これらの構造体の間に、連結されるべき身体組織が配置される。外科手術用ステープル留めデバイスが起動および/または「発射」されると、発射機構が長手軸方向に移動し、そしてこれらの顎のうちの一方のステープル駆動部材を起動させ、そして外科手術用ステープルが身体組織を通し、そして対向する顎のアンビル内に/押し付けて押され、これによって、ステープルをクリンプして閉じる。ステープルの列/線の間を切断するために、ナイフ刃が提供され得る。
【0005】
環状または円形の外科手術用ステープル留めデバイス(例えば、端端吻合ステープラー)は、一般に、ステープルの複数(代表的に、2つ)の環状列を備える環状ステープルカートリッジアセンブリ、この環状カートリッジアセンブリと作動可能に関連するアンビルアセンブリ、およびステープルの列の内側に配置された環状刃を備える。このような環状外科手術用ステープルデバイスの例は、Violaらに対する特許文献1およびMillimanらに対する特許文献2に記載されており、これらの全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0006】
ほとんどの手順について、ステープルが患者の組織と直接接触するような、ステープル単独での使用が、一般的に認容可能である。組織の一体性は、通常、ステープルが組織を引き離すこと、および治癒が起こる前のシールを損なうことを防止するように働く。しかし、いくつかの外科手術において、外科手術用支持体(例えば、強化材料、ガスケット、メッシュまたはバットレス)が、組織欠損部を患者と橋渡しし、修復し、そして/または強化するために、特に腹壁、胸壁、横隔膜および身体の他の筋腱膜領域において行われる場合に、外科医により使用される。
【0007】
ステープルが外科手術手順において外科手術用支持体を利用して適用される場合、これらのステープルのレッグは、代表的に、カートリッジ顎から外科手術用支持体の層を通り、そして患者の組織を通り、その後、アンビル顎に遭遇する。代替の手順において、ステープルのレッグは、代表的に、カートリッジ顎から、外科手術用支持体の第一の層を通り、次いで、患者の組織を通り、そして最後に、外科手術用支持体の第二の層を通り、その後、アンビル顎に遭遇する。ステープルが適所にある状態で、ステープル留めされた組織は、外科手術用支持体の層の間にクランプされる。
【0008】
外科手術用ステープルの使用に加えて、生物学的組織接着剤が、組織修復および吻合の作製のために開発されている。一般に、生物学的接着剤は、分離した組織を一緒に結合して、治癒プロセスを補助し、そして組織の強度を増大する。このような接着剤は、例えば、外科手術手順において、組織の修復または吻合の作製のために、縫合およびステープル留めの代わりに使用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,915,616号明細書
【特許文献2】米国特許第7,168,604号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットであって、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含む、ガスケット。
(項目2)
上記ジイソシアネートが、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネートからなる群より選択される、上記項目に記載のガスケット。
(項目3)
上記ジイソシアネートが、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目4)
上記ポリ(エーテルエステル)が、少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つのポリ酸をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目5)
上記少なくとも1つのポリオールが、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、多糖類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目6)
上記少なくとも1つのポリ酸が、脂肪族ポリ酸である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目7)
上記脂肪族ポリ酸が、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目8)
上記ガスケットが生体吸収性である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目9)
上記ガスケットが、約1日間〜約21日間で身体に吸収される、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目10)
上記ガスケットが引き裂き抵抗性である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目11)
上記ガスケットが弾力性である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目12)
上記ガスケットが柔軟である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目13)
上記ガスケットが膨潤可能である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目14)
上記ガスケットが硬化性材料である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目15)
上記ガスケットがUV硬化性である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目16)
上記ガスケットの少なくとも一部分が多孔性である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目17)
上記ガスケットが創傷処置材料をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目18)
外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットであって、予め硬化した接着剤または封止剤を含む、ガスケット。
(項目19)
上記ガスケットが、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、上記項目に記載のガスケット。
(項目20)
外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットであって、
上表面および下表面を有する本体部分であって、該本体部分は、該上表面と該下表面との間に延びる中心長手方向軸を規定し、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含む、本体部分;ならびに
該本体部分を通って延びる複数の細孔であって、該細孔の各々は、該上表面から該下表面まで延び、その結果、各細孔が、該中心長手方向軸に対して実質的に平行な軸を規定する、複数の細孔、
を備え、該本体部分が、該複数の細孔より外側に配置された外側領域を有し、該外側領域は実質的に非多孔性である、ガスケット。
(項目21)
上記ジイソシアネートが、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目22)
上記本体部分が、上記複数の細孔が上記外科手術用ステープル留め装置のステープル線に配置され、そして上記外側領域が該外科手術用ステープル留め装置により発射されるステープルより外側に配置されるような寸法にされている、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目23)
上記本体部分が、外側端縁部を有し、上記本体部分が、該外側端縁部が上記外科手術用ステープル留め装置のアンビルアセンブリの外周より外側に配置されるような寸法にされている、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目24)
上記複数の細孔が、上記本体部分を切断することにより形成される、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目25)
上記複数の細孔が、打ち抜きにより形成される、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目26)
上記本体部分が、外側端縁部、および内部に開口部分を規定する内側端縁部を備え、該開口部分は、外科手術用ステープル留め装置のシャフトを受容するような寸法および配置にされている、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目27)
上記本体部分が、形状が実質的に円形である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目28)
上記本体部分がポリエチレングリコールを含む、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目29)
上記本体部分が弾力性である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
(項目30)
上記本体部分が膨潤可能である、上記項目のうちのいずれかに記載のガスケット。
【0011】
外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットが開示される。このガスケットは、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含有する。このジイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネートから選択される。ポリ(エーテルエステル)は、少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つのポリ酸をさらに含み得る。このガスケットは、望ましくは、生体吸収性である。
【0012】
(要旨)
本開示は、外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットに関し、このガスケットは、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含有する。このジイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネートからなる群より選択され得る。
【0013】
特定の実施形態において、このジイソシアネートは、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0014】
このポリ(エーテルエステル)は、少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つのポリ酸を含み得る。この少なくとも1つのポリオールは、特定の実施形態において、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、多糖類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0015】
この少なくとも1つのポリ酸は、脂肪族ポリ酸であり得る。特定の実施形態において、この脂肪族ポリ酸は、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0016】
特定の好ましい実施形態において、このガスケットは、生体吸収性である。このガスケットは、約1日〜約21日で、身体に吸収され得る。このガスケットは、引き裂き抵抗性であり、弾力性であり、柔軟であり、そして/または膨潤可能であり得る。このガスケットは、硬化性材料から形成され得る。このガスケットは、UV硬化性材料から形成され得る。
【0017】
特定の好ましい実施形態において、このガスケットの少なくとも一部分は、多孔性である。
【0018】
このガスケットは、創傷処置材料をさらに含み得る。
【0019】
特定の実施形態において、このガスケットは、予め硬化した接着剤または封止剤を含む。
【0020】
このガスケットは、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含み得る。
【0021】
さらなる局面において、外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットが開示される。このガスケットは、上表面および下表面を有する本体部分であって、この本体部分は、この上表面とこの下表面との間に延びる中心長手方向軸を規定し、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含む、本体部分;この本体部分を通って延びる複数の細孔であって、これらの細孔の各々は、上表面から下表面まで延びており、その結果、各細孔が、中心長手方向軸に対して実質的に平行な軸を規定する、細孔を備え、この本体部分は、これらの複数の細孔の外側に配置された外側領域を有し、この外側領域は、実質的に非多孔性である。
【0022】
特定の実施形態において、このジイソシアネートは、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、またはフェニレンジイソシアネートである。
【0023】
特定の好ましい実施形態において、この本体部分は、複数の細孔が外科手術用ステープル留め装置のステープル線に位置し、そして外側領域が、この外科手術用ステープル留め装置により発射されるステープルの外側に位置するような、寸法にされる。
【0024】
この本体部分は、外側端縁部を有し得、この本体部分は、この外側端縁部が外科手術用ステープル留め装置のアンビルアセンブリの外周より外側に位置するような寸法にされ得る。
【0025】
特定の実施形態において、複数の細孔は、この本体部分を切断することにより形成されるか、または打ち抜きにより形成される。
【0026】
この本体部分は、外側端縁部、および内部に開口部分を規定する内側端縁部を備え得る。この開口部分は、外科手術用ステープル留め装置のシャフトを受容するような寸法および配置にされ得る。
【0027】
特定の好ましい実施形態において、この本体部分は、形状が実質的に円形である。
【0028】
この本体部分は、ポリエチレングリコールを含み得る。この本体部分は、弾力性であり得る。この本体部分は、膨潤可能であり得る。
【0029】
本開示の外科手術用ガスケットの種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本開示の実施形態に従う環状外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図1A】図1Aは、本開示の実施形態に従う直線状外科手術用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【図2A】図2Aは、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの平面図である。
【図2B】図2Bは、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの横断面図である。
【図3A】図3Aは、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの平面図である。
【図3B】図3Bは、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの横断面図である。
【図4A】図4Aは、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの平面図である。
【図4B】図4Bは、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの横断面図である。
【図5A】図5Aは、本開示の実施形態に従う直線状ガスケットの平面図である。
【図5B】図5Bは、本開示の実施形態に従う直線状ガスケットの横断面図である。
【図6】図6は、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの横断面図である。
【図7】図7は、本開示の実施形態に従う環状ガスケットの平面図である。
【図8】図8は、図1の環状外科手術用ステープル留めデバイスを使用する方法を図示する、患者の腸領域の斜視図である。
【図9】図9は、非近接位置にある図1の外科手術用ステープル留めデバイスの一部分の長手軸方向断面図であり、アンビル棒上に位置する図2Aおよび図2Bの環状ガスケット、ならびにこのアンビル棒に隣接する組織の2つの層を図示する。
【図10】図10は、近接位置にある図1の外科手術用ステープル留めデバイスの一部分の長手軸方向断面図であり、アンビル棒上に位置する図2Aおよび図2Bの環状ガスケット、およびこのアンビル棒に隣接する組織の2つの層を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の環状ガスケットの実施形態が、図面を参照しながらここで詳細に記載される。図面において、同じ参照番号は、類似の要素または同一の要素を識別する。本明細書中で使用される場合、慣習的であるように、用語「遠位」とは、使用者から遠い方の部分をいい、一方で、用語「近位」とは、使用者に近い方の部分をいう。本明細書中で使用される場合、用語「ガスケット」は、ステープル線強化材料、バットレス、外科用綿撒糸、または外科手術用ファスナー留め装置と一緒に使用される材料の他の任意のシートもしくはパッドを包含する。
【0032】
最初に図1を参照すると、本明細書中に開示される環状ガスケットと一緒に使用するための環状外科手術用ステープル留めデバイスが、一般に10と指定されている。外科手術用ステープル留めデバイス10は、ハンドルアセンブリ12を備え、このハンドルアセンブリは、少なくとも1つの旋回可能な起動ハンドル部材14、および前進部材16を有する。ハンドル部材12から延びる管状本体部分20が提供され、この管状本体部分は、その長さに沿って湾曲した形状を有するように構築され得る。本体部分20は、ステープルカートリッジアセンブリ22で終わり、このステープルカートリッジアセンブリは、ステープル受容スロット36の環状アレイの対を備え、ステープル受容スロット36の各々に1つずつ、ステープル37(図9および図10に概略的に示される)が配置されている。ステープルカートリッジアセンブリ22の遠位に配置されるアンビルアセンブリ30が提供され、このアンビルアセンブリは、アンビル部材26、およびこのアンビルアセンブリに作動可能に関連するシャフト28を備え、このシャフトは、アンビルアセンブリ30を管状本体部分20の遠位端40に取り外し可能に接続するためのものである。
【0033】
ステープルカートリッジアセンブリ22は、管状本体部分20の遠位端40にしっかりと接続され得るか、または管状本体部分20の遠位端40内に同心状にはまるように構成され得る。代表的に、ステープルカートリッジアセンブリ22は、ステープルプッシャー(図示せず)を備え、このステープルプッシャーは、ほぼ切頭円錐の形状を有する近位部分、および円周上に間隔を空けたフィンガー(図示せず)の2つの同心リングを規定する遠位部分を備え、これらのフィンガーの1つずつが、それぞれのステープル受容スロット36内に受容される。
【0034】
代表的に、ナイフ(図示せず。実質的に開いたカップの形状であり、その縁がナイフエッジを規定する)が、ステープルカートリッジアセンブリ22内に配置され、そしてステープルプッシャー(図示せず)の遠位表面に設置される。このナイフエッジは、ステープルの環状アレイの対の半径方向内側に配置される。従って、使用において、ステープルプッシャーが前進するにつれて、このナイフもまた軸方向外向きに前進する。
【0035】
Violaらに対する米国特許第5,915,616号、および同第7,168,604号(これらの各々の全内容は、上記で本明細書中に参考として援用された)が、種々の環状ステープル留めデバイスの詳細な議論について、参照され得る。
【0036】
図1Aを参照すると、本開示の直線状ガスケットと一緒に使用するための直線状外科手術用ステープル留めデバイスが、一般に10aと指定されている。直線状外科手術用ステープル留めデバイス10aは、近位端の近くのハンドルアセンブリ12a、遠位端の近くのエンドエフェクタ16a、およびこれらの間の細長部分18aを備える。エンドエフェクタ16aは、外科手術部位において組織と係合するように、体腔内に配置され得、一方で、ハンドルアセンブリ12aは、外科医によってこの体腔の外側から操作されて、エンドエフェクタ16aの移動および作動を制御する。細長部分18aは、長手方向軸「A−A」を規定する。
【0037】
エンドエフェクタ16aは、直線の列に配置された複数のステープル(図示せず)を収容するカートリッジアセンブリ20a、およびステープルを形成するためのアンビルアセンブリ22aを備える。カートリッジアセンブリ20aおよびアンビルアセンブリ22aのうちの少なくとも一方が、開位置(この位置において、カートリッジアセンブリ20aはアンビルアセンブリ22aから実質的に間隔を空けている)と近接位置(この位置において、カートリッジアセンブリ20aとアンビルアセンブリ22aとはより近付いている)との間で、他方に対して移動可能である。ハンドルアセンブリ12aの旋回可能なトリガ24aは、起動行程を通して、静止把持部材28aに対して移動可能であり、カートリッジアセンブリ20aをアンビルアセンブリ22aに対して、開位置と近接位置との間で移動させ、ステープルをカートリッジアセンブリ20aから排出し、そして/またはナイフを前進させて組織を切断する。直線状外科手術用ステープル留めデバイスのさらなる詳細は、共有に係るMillimanらに対する米国特許第6,953,139号(その全内容は、本明細書中に参考として援用される)に詳細に記載されている。
【0038】
ここで図2〜図4を参照すると、本開示の種々の実施形態に従う環状ガスケットが図示されている。明瞭にするために、図2Aおよび図2Bに図示されるガスケットの実施形態は、ガスケットは番号100として指定され、図3Aおよび図3Bに図示されるガスケットは、番号100bとして指定され、そして図4Aおよび図4Bに図示されるガスケットは、番号100cとして指定される。さらに、ガスケット100、100bおよび100cの類似の特徴は、図2Aおよび図2Bのガスケット100を参照しながら議論される。図5Aおよび図5Bのガスケット100dは、以下に別に議論される。理解され得るように、ガスケット100、100bおよび100cの種々の特徴は、ガスケット100dと共通であり得るので、ガスケット100dに関するこのような特徴の説明は、明瞭にするために本明細書中で省略され得る。
【0039】
ガスケット100は、座金様または円板様の本体部分102を備え、この本体部分は、この本体部分を通して形成された実質的に中心に位置する開口部分104を備える。ガスケット100は、外側端縁部106、開口部分104のサイズを規定する内側端縁部108、上表面110、および下表面112により規定される。本体部分102は、開口部分104を通って延びる中心長手方向軸「X−X」(例えば、図2Bを参照のこと)を規定する。以下にさらに詳細に議論されるように、ガスケット100の使用は、吻合連結部の隣接位置での漏出、出血および/または狭窄の可能性を低下させることを補助し得る。
【0040】
種々の実施形態において、ガスケット100は、ガスケット100がステープル留めデバイス10と作動可能に関連する場合に、以下により詳細に記載されるように、外側端縁部106がステープルカートリッジアセンブリ22のステープル保持ポケット36より半径方向外側に延びるようなサイズにされる。さらに、ガスケット100の開口部分104は、この開口部分を通してアンビルアセンブリ30のシャフト28を少なくとも受容するようなサイズにされる。外側端縁部106と内側端縁部108との間の距離は、ステープルカートリッジアセンブリ22の組織接触表面24(図1を参照のこと)の幅と実質的に等しいこともまた、想定される。
【0041】
ガスケット100は、本体部分102を通して配置された複数の細孔120を備え、各細孔は、軸「X−X」に対して実質的に平行な軸を規定する。これらの細孔は、特定の実施形態において、一方向である。細孔120は、これらの細孔を通る腸セクション66、68の内方成長を可能にする。具体的には、本体部分102の細孔120は、治癒プロセス中に、腸セクション66と68とが接触するために必要とされる時間を減少させる。例えば、細孔120のサイズに依存して、腸セクション66、68は、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射の直後に互いに接触し得るか、または細孔120がチャネルを規定し、時間が経つにつれて、これらのチャネル内に腸セクション66、68が成長し、そして互いに接触する。
【0042】
ガスケット100の細孔120は、多孔性領域122を規定する。開口部分104に対する多孔性領域122の位置は、ガスケット100に貫入するように構成されたステープル37(図9および図10に概略的に示される)の位置とおよそ整列することが想定される。理解され得るように、このような実施形態において、各ステープルは、多孔性領域122の一部分に貫入する。多孔性領域122の幅「W」は、ステープル線の幅とほぼ等しいことがさらに想定され、その幅は、約3mmであり得る。
【0043】
図2〜図4の実施形態を参照しながら以下で議論されるように、ガスケット100の多孔性部分122は、比較的多数の比較的小さい細孔120を備えても(例えば、図2Aおよび図2B)、比較的中程度の数の比較的中程度のサイズの細孔120bを備えても(例えば、図3A〜図3B)、比較的少数の比較的大きい細孔120cを備えても(例えば、図4A〜図4B)、他の任意の構成であってもよい。各実施形態において、本体部分102に細孔120を備えることは、種々の方法(例えば、レーザー切断、塩浸出(salt leaching)、熱プレスまたは打ち抜き)により達成され得る。細孔120は、織材料またはメッシュにより規定され得るか、あるいは材料のシートに形成された不連続な開口部であり得る。従って、本体部分102(すなわち、多孔性領域122を含む)、内側領域126(以下で議論される)および外側領域128(以下で議論される)は、単一の材料から作製されることが想定される。細孔120は、任意の形状またはパターンで打ち抜きまたはレーザー切断され得る。ダイが、細孔120の所望の形状に従って形成され得るか、またはレーザーが、形状を形成するようにラスター(raster)され得る。あるいは、多孔性領域122および外側領域128は、別々の材料から形成され得、これらの材料が一緒に連結されるか、接続されるか、または融合される。
【0044】
ガスケット100はまた、内側領域126および外側領域128を備える。内側領域126は、内側端縁部108と多孔性領域122の内側縁部123との間に配置される、ガスケット100の領域である。外側領域128は、多孔性領域122の外側縁部124と外側端縁部106との間に配置される、ガスケット100の領域である。内側領域126の少なくとも一部分が、ステープル線より内側にあり、従って、組織と一緒に切断される。すなわち、ナイフの発射後に、内側領域126の少なくとも一部分は、ガスケット100の本体部分102の残りの部分から切り離され、そして患者の身体を通過する。内側領域126は、特定の実施形態において、中実内側部分を備え、これは、外科手術用ファスナー留めデバイス(例えば、円形ステープラー)の配置を可能にする。
【0045】
外側領域128は、中実(すなわち、実質的に非多孔性)であり、そしてステープルおよびナイフの発射後に、適所に残る。より具体的には、その非多孔性に起因して、外側領域128は、矢印「Y」(例えば、図2Bを参照のこと)に沿った方向(この方向は、軸「X−X」に対して実質的に垂直である)へ半径方向外向きの、流体(例えば、体液)の漏出を防止する。さらに、外側領域128は、矢印「Y」に対して角度を付けて配置される方向への、半径方向外向きの流体の漏出を防止する。
【0046】
外側領域128の幅「WOR」は、ステープラーカートリッジの直径に関連することが想定される。ガスケット100の直径「d」は、カートリッジアセンブリ22内のステープル37の外側の列およびアンビルアセンブリ30により規定される直径より大きく、その結果、外側領域128の少なくとも一部分は、外側のステープル列を半径方向に越えて延び、そしていくつかの実施形態においては、カートリッジアセンブリ22およびアンビルアセンブリ30より外側に延びることが想定される。外側領域128、およびガスケット100のサイズは、一般に、ステープルの外側の列が外側領域128内のいくらかの材料を捕捉して、吻合部におけるガスケット100の一体性を確実にするように配置されるべきである。
【0047】
図2〜図4を参照すると、種々の型のガスケット100が、本開示により想定される。図2〜図4における各ガスケット100間の差は、その細孔120および多孔性領域122に関連する。より具体的には、細孔120の配置、サイズおよび/または形状は、異なる実施形態に関して変動する。
【0048】
図2Aおよび図2Bを特に参照すると、ガスケット100は、複数の細孔120を備え、これらの細孔は、本体部分102の上表面110の周りに実質的に連続的に延び(そしてそれに対応して、下表面112の周りに延び)る。図2Aは、本体部分102の周りに実質的に連続的に延びる細孔120(すなわち、細孔の1つのセクション)を図示する一方で、細孔120は、互いから間隔を空けた少なくとも2つのセクションに配置されることが想定される。例えば、細孔120は、4つのセクション(例えば、図3Aおよび図4Aにそれぞれ図示される、細孔120bおよび120cの4つのセクション)に配置され得る。
【0049】
各細孔120は、その上表面110において、その下表面112における直径よりも大きい直径を有することが想定され、そして各細孔は、その上表面において、その下表面における直径よりも小さい直径を有することもまた想定される。さらに、いくつかの細孔は、その上表面においてより大きい直径を有し得、そしていくつかの細孔は、その下表面においてより大きい直径を有し得る。細孔120の直径は互いに異なる(すなわち、全ての細孔120が同じ直径を有するわけではない)こともまた想定される。細孔は、台形、矩形または他の規則的形状もしくは不規則な形状を、上で議論された図2A〜図7の平面図および/または断面図において有し得ることもまた想定される。
【0050】
図2Bを特に参照すると、ガスケット100の横断面図(図2Aの矢印2B−2Bに沿って見た)は、とりわけ、選択された細孔120のサイズを図示する。より具体的には、図2Bは、種々の細孔120の、上表面110における直径(「DU」)および下表面112aにおける直径(「DL」)を図示する。図2Bにおいて、これらの2つの直径は実質的に等しいように示されるが、これらの直径のうちの一方は他方より大きいことが想定される(例えば、図3Bに図示される実施形態を参照のこと)。
【0051】
図3Aおよび図3Bを参照すると、図3Aおよび図3Bに図示されるガスケットは、一般に、参照番号100bとして指定される。ガスケット100bは、4つのセクションにおいて、本体部分102bの上表面110bの周りに延び(そしてそれに対応して、下表面112bの周りに延び)る複数の細孔120bを備える。図3Aは、本体部分102bの周りで4つのセクションにおいて延びる細孔120bを図示するが、細孔120bは、より多いセクションまたはより少ないセクションに配置されることが想定される。例えば、細孔120bは、1つのセクションに配置され得る(例えば、図2Aに図示される細孔120の1つのセクション)。
【0052】
図3Bを特に参照すると、ガスケット100bの横断面図(図3Aの矢印3B−3Bに沿って見た)は、とりわけ、選択された細孔120bのサイズを図示する。より具体的には、図3Bは、種々の細孔120bの、上表面110bにおける直径(「DU」)および下表面112bにおける直径(「DL」)を図示する。図3Bにおいて、直径DUは、直径DLより大きいように示される。理解され得るように、細孔120bのこのような構成は、上表面110bに隣接する組織の部分から、下表面112bに隣接する組織の部分へと向かう組織の成長を容易にし得る。従って、下表面112bに隣接する組織の部分から、上表面110bに隣接する組織の部分へと向かう組織の成長は、制限されるかまたは実質的に防止される。図3Bは、等しくない直径の細孔120bを図示するが、直径DUおよび直径DLは、実質的に等しいことが想定される(例えば、図2Bおよび図4Bに図示される実施形態に示されるように)。直径DUは、直径DLより小さいこともまた想定される。1つのガスケット100が、直径DLより大きい直径DUを有するいくつかの細孔120、および直径DUより大きい直径DLを有するいくつかの細孔120を備えることがさらに想定される。
【0053】
図4Aおよび図4Bを参照すると、図4Aおよび図4Bに図示されるガスケットは、一般に、参照番号100cとして指定される。ガスケット100cは、4つのセクションにおいて、本体部分102cの上表面110cの周りで延び(そしてそれに対応して、下表面112cの周りで延び)る複数の細孔120cを備える。すなわち、この実施形態において、各細孔120cが1つのセクションを構成する。図4Aは、4つのセクションにおいて本体部分102cの周りで延びる細孔120cを図示するが、細孔120cは、より多いセクションまたはより少ないセクションに配置されることが想定される。例えば、細孔120cは、3つのセクションまたは5つのセクションに配置されてもよい。
【0054】
図4Bを特に参照すると、ガスケット100cの横断面図(図4Aの矢印4B−4Bに沿って見た)は、とりわけ、選択された細孔120cのサイズを図示する。より具体的には、図4Bは、種々の細孔120cの、上表面110cにおける幅(「WU」)および下表面112cにおける幅(「WL」)を図示する。図4Bにおいて、これらの2つの幅は、実質的に等しいように示されるが、これらの幅のうちの一方が他方より大きいことが想定される(例えば、図3Bに図示される実施形態を参照のこと)。
【0055】
ここで図5Aおよび図5Bを参照すると、直線状ガスケット100dが図示されている。ガスケット100、100bおよび100cと同様に、ガスケット100dは、本体部分102d、上表面110d、下表面112d、複数の細孔120d、および多孔性領域122dを備える。さらに、ガスケット100dは、多孔性領域122d間に配置された内側領域126d、および各多孔性領域122dの外側(すなわち、横方向に外向き)に配置された中実の外側領域128dを備える。
【0056】
図6を参照すると、さらなる実施形態において、ガスケット100eは、ガスケット100eの外縁部107が広がっていることを除いて、ガスケット100(図2Aおよび図2Bに示される)と構成が類似である。従って、ガスケット100eは、外縁部107が図6に示されるように広がっていることを除いて、図2Aおよび図2Bに関連して上に記載されたとおりである。この広がった形状は、2つの組織/腸セクションが吻合部において連結されている領域の周りにシールを形成することに寄与する。
【0057】
さらなる実施形態において、図7を参照すると、ガスケット100fは、細孔120fがより大きく、細孔間に材料のスポーク109を規定していることを除いて、ガスケット100c(図4Aおよび図4Bに示される)と構成が類似である。従って、このガスケットは、細孔120fがより大きくて組織の内方成長を促進することを除いて、図4Aおよび図4Bに関連して上に記載されたとおりである。細孔120fは、周方向が拡大されており、そして形状がほぼ台形である。この周方向は、円形または楕円形のガスケットの周に沿う。他の形状の細孔(三角形、矩形、楕円形、または任意の多角形が挙げられる)が想定される。
【0058】
ここで図8〜図10を参照して、外科手術用ステープル留めデバイス10およびガスケット100(図9および図10)の、腸セクション66および組織のセクション68を連結するための吻合手順における使用が図示される。この吻合手順は、一般に、最小侵襲性外科手術技術(腹腔鏡手段および器具類を含む)を使用して実施される。この手順の、図8に示される時点において、病気にかかった腸セクションが予め除去されており、アンビルアセンブリ30が、外科手術切開部を介してかまたは経肛門的にかのいずれかで手術部位に導入され、そして腸セクション68内に配置されている。さらに、外科手術用ステープル留めデバイス10の管状本体部分20が、腸セクション66に経肛門的に挿入されている。腸セクション66および68はまた、それぞれの構成要素(例えば、それぞれ、管状本体20の遠位端およびアンビルアセンブリ30のシャフト28)の周りで、従来の手段(例えば、巾着縫合「P」(図9および図10を参照のこと))によって一時的に固定されて示されている。
【0059】
図9および図10を一般的に参照すると、ガスケット100は、アンビルアセンブリ30のシャフト28に配置され、その後、アンビルアセンブリ30が管状本体部分20の遠位端に結合される。具体的には、アンビルアセンブリ30のシャフト28は、本体部分102の開口部分104に挿入されることが想定される。ガスケット100をアンビルアセンブリ30のシャフト28に配置した後に、図9を特に参照すると、外科医は、アンビルアセンブリ30を、シャフト28の近位端が外科手術用ステープル留めデバイス10の管状本体部分20の遠位端に挿入されるまで操作し、ここで管状本体部分20の遠位端内の設置構造体(図示せず)が、シャフト28に係合して、この設置を行う。ガスケット100は、開口部分104から外側端縁部106まで延びる半径方向スリット(図示せず)を備えることもまた想定される。このような半径方向スリットは、設置構造体がシャフト28に係合した後に、ガスケット100がアンビルアセンブリ30のシャフト28に配置されることを可能にする。
【0060】
その後、図10に示されるように、アンビルアセンブリ30と管状本体部分20とが近接して腸セクション66、68を近接させ、そしてガスケット100の本体部分102をこれらの腸セクション間に捕捉した後に、外科手術用ステープル留めデバイス10が発射され得、これによって、腸セクション66、68を互いにステープル留めし、そしてナイフの半径方向内側に配置された組織の部分およびガスケット100の部分(すなわち、内側領域126)を切断して、吻合を完成させる。吻合後、組織の内方成長が細孔120を通って(例えば、ステープル線において)起こり、一方で、中実の外側領域128は、この吻合の部位における半径方向の漏出の発生を防止する。
【0061】
ガスケット100の少なくとも一部分(例えば、多孔性領域122)が、迅速吸収性生体適合性材料(例えば、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、カルボキシメチルセルロース、迅速吸収性ポリマーまたはコポリマー(ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ポリ(アルキレンオキシド)(例えば、ポリ(エチレンオキシド))のポリマーまたはそのポリ(プロピレンオキシド)、ポリエステル−エーテルウレタンおよび/もしくは尿素とのコポリマー)ならびにこれらの組み合わせ)でコーティングされて、その粘着強度を増加させることが想定される。このようなコーティングは、例えば、溶媒コーティング、スプレーコーティング、電子スピン、電子スプレーなどにより塗布されることが想定される。
【0062】
開示される実施形態において、ガスケット100は、ステープル留めデバイス10の力によって損傷されないように充分に強く、そしてステープル留めされた組織と少なくとも同程度に適合性である材料(または材料の組み合わせ)から作製される。さらに、ガスケット100は、体液と接触した後に膨潤し、その結果、この膨潤により発生する圧力が吻合をシールすること補助し、そしておそらく、ガスケット100の漏出防止機能を増大させる材料(または材料の組み合わせ)から作製されることが想定される。従って、ガスケット100および/またはそのコーティングを作製するために使用され得る適切な材料としては、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリペプチド、タンパク質、核酸、および多糖類が挙げられる。適切なポリ(エーテルエステル)としては、少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つのポリ酸から調製されるポリマーまたはオリゴマーが挙げられる。適切なポリオールとしては、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、多糖類などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポリヒドロキシ化合物は、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリプロピレンオキシド(「PPO」)、ポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)とのブロックコポリマーまたはランダムコポリマー)であり得る。適切な脂肪族ポリ酸としては、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適切なポリエステルは、例えば、ポリアルキレンオキシドと、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、カプロラクトン、p−ジオキサノン、トリメチレンカーボネートとのコポリマー、およびこれらの組み合わせをベースとするものであり得る。
【0063】
目的のジイソシアネートとしては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネートが挙げられる。例としては、芳香族ジイソシアネート(例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)またはテトラメチルキシリレンジイソシアネート);脂肪族イソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート);および脂環式イソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、またはBayer Material Scienceから市販されているDESMODURS(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
ポリウレタンは、低分子量のジオール、ジアミンまたはアルコールアミンを使用して、鎖長を延長されることもまた想定される。適切な鎖長延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ポリ(エチレングリコール)、ヒドロキシ末端を有するポリアルキレンオキシド(例えば、PEG、およびエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー)、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、リジン、スペルミン、スペルミジン、N−(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミンの異性体、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス−ヘキサメチレントリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,2−エタンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキサンジアミンの異性体、4,4’−メチレンビスシクロヘキサンアミン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)、トルエンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、フェンアルキレンポリアミン、アミノ官能基化ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG、およびエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー)、ポリペプチドならびにこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。さらに、正に荷電したビーズが、創傷治癒カスケードを加速するために、このポリマーに組み込まれ得る。
【0065】
ガスケット100は、創傷処置材料(例えば、接着剤、封止剤、および/または他の医薬)を含浸され得ることもまた想定される。従って、使用において、ガスケット100の封止剤成分は、組織から起こり得る出血を遅くするように機能し得る。ガスケット100の創傷治癒材料は、近接させられた組織を一緒に固定するように機能し得る。ガスケット100が生体吸収性である実施形態において、ガスケット100の生体吸収性は、ガスケット100の少なくとも一部分が、所定量の時間の後に身体に吸収されることを可能にする。例えば、ガスケット100は、ガスケット100が身体に吸収される前に吻合が充分に治癒する目的で、約2週間〜3週間にわたって身体内で適所に残り得る。
【0066】
ガスケット100の本体のために使用され得る他の材料としては、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、α−カプロラクトンおよびトリメチレンカーボネートからなる群より選択される1種以上のモノマーから得られるホモポリマー、コポリマーまたはブレンドから製造された材料が挙げられるが、これらに限定されない。他の生体吸収性材料としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)およびポリ乳酸(PLA)が挙げられるが、これらに限定されない。開示される実施形態において、ガスケット100は、生体吸収性のフェルト、ゼラチンまたは他の任意の生体吸収性材料から製造され得る。
【0067】
接着剤が生体適合性接着剤(組織との接触の際に硬化する接着剤、紫外(UV)光への曝露の際に硬化する接着剤、互いに単離されて維持されていて互いに接触すると硬化する2部分系である接着剤、感圧性である接着剤、これらの組み合わせである接着剤、および他の任意の公知の適切な接着剤が挙げられるが、これらに限定されない)であることが想定される。1つの実施形態において、約10秒〜約15秒の硬化時間を有する接着剤が使用され得ることが想定される。別の実施形態において、約30秒の硬化時間を有する接着剤が使用され得ることが想定される。
【0068】
ガスケット100は、予め硬化した接着剤または封止剤を含浸され得ることが想定される。予め硬化した接着剤または封止剤は、身体組織の水分および/または熱と反応し、これによって、この封止剤または接着剤の封止特性および/または接着特性を活性化する。予め硬化した封止剤または接着剤は、ヒドロゲルなどであり得ることが想定される。
【0069】
外科手術用器具(特に、外科手術用ステープラー)において使用され得るかまたは外科手術用器具により適用され得る、他の外科手術的に生体適合性である創傷処置材料としては、その機能が器官、組織または構造体を付着または保持することである接着剤;流体の漏出を防止するための封止剤;出血を止めるかまたは防止するための止血剤;および医薬が挙げられる。使用され得る接着剤の例としては、タンパク質由来のアルデヒドベースの接着材料(例えば、商標BioGlueTMとしてCryolife,Inc.により販売されている、市販のアルブミン/グルタルアルデヒド材料、ならびにIndermilTMおよびDermaBondTMの商標でそれぞれCovidienおよびEthicon Endosurgery,Inc.により販売されているシアノアクリレートベースの材料)が挙げられる。使用され得る封止剤の例としては、フィブリンシーラント、ならびにコラーゲンベースおよび合成ポリマーベースの組織封止剤が挙げられる。市販の封止剤の例は、商標CoSealTMのもとでCohesion TechnologiesおよびBaxter International,Inc.により販売されている、合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル材料である。使用され得る止血材料の例としては、フィブリンベースの止血剤、コラーゲンベースの止血剤、酸化再生セルロールベースの止血剤およびゼラチンベースの局所止血剤が挙げられる。市販の止血材料の例は、商標CoStasisTMのもとでTyco Healthcare Group,LPにより販売されているフィブリノゲン−トロンビン組み合わせ材料、Johnson & Johnsonにより販売されているCrossealTMフィブリン封止剤、およびBaxter International,Inc.により販売されているTisseelTMである。本明細書中の止血剤は、収斂薬(例えば、硫酸アルミニウム)および凝固剤を包含する。
【0070】
この医薬は、ガスケット100上に配置されても、ガスケット内に含浸されてもよい。この医薬は、医学的および/または外科的に有用な1種以上の物質(例えば、薬物、酵素、増殖因子、成長因子、ペプチド、タンパク質、色素、診断剤または止血剤、あるいは狭窄の予防において使用される他の任意の医薬品)を含有し得る。
【0071】
開示される実施形態において、ガスケット100は、2部分接着剤の第一の成分で含浸され得、そしてステープルカートリッジアセンブリ22のステープル受容スロット36内に保持されるステープルは、この2部分接着剤の第二の成分(例えば、反応物質)でコーティングされ得ることが想定される。この様式で、この接着剤の第一の成分は、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射手順中に、これらのステープルがガスケット100の本体部分102に貫入して捕捉すると活性化され、そしてこの接着剤の2つの成分が互いに接触する。
【0072】
本開示はまた、ガスケット100を製造するための種々の方法に関する。開示される方法は、上表面110および下表面112を有する非多孔性本体部分102を提供する工程;ならびに本体部分102を通る複数の細孔120を作製する工程を包含する。細孔120の各々は、上表面110から下表面112まで延び、その結果、各細孔120が、中心長手方向軸に対して実質的に平行な軸を規定する。複数の細孔120の各々は、レーザー切断、塩浸出、熱プレスおよび打ち抜きからなる群のうちの少なくとも1つによって、作製される。
【0073】
本開示はまた、外科手術用ステープル留めキットに関する。このキットは、上記のような外科手術用ステープル留め装置10、10a、および上記のようなガスケット100を備える。
【0074】
このガスケットは、このガスケットを円形ステープラーに取り付けるためのハブを備え得る。このガスケットは、好ましくは、このガスケットが連結されるべき組織のセクションの間に配置されるように、アンビルシャフトまたは管状本体部分シャフト上の位置に取り付けられる。ガスケットを円形ステープル留め器具に取り付けるためのハブは、米国特許出願公開第2007/0203509号に開示されており、その開示は、本明細書中に参考として援用される。あるいは、このガスケットは、このシャフトに組み込まれ得、そしてこのシャフトから展開され得る。展開可能なガスケットは、米国特許出願公開第2006/0135992号に開示されており、その開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0075】
さらなる実施形態において、このガスケットは、形状が半円形である。このようなガスケットは、アンビルおよび本体部分の形状が半円であることを除いて図1に示されるものと類似の外科手術用ステープラーと一緒に使用され得るか、または湾曲した顎から連続的な様式でステープルを展開する外科手術用ステープラーと一緒に使用され得る。米国特許出願番号12/235,751の開示は、本明細書中に参考として援用され、そしてフック形状の顎を有する外科出用ステープラーを開示する。矩形の形状のガスケットは、直線状外科手術用ステープラー(例えば、米国特許第5,318,221号および同第5,782,396号および同第6,953,139号に開示される外科手術用ステープラーであり、これらの米国特許の開示は全て、本明細書中に参考として援用される)と一緒に使用され得る。
【0076】
さらなる局面において、上で議論された実施形態のいずれかによるガスケットのためのポリマー材料が開示される。この材料は、望ましくは、引き裂き抵抗性であり、使用の際に膨潤可能であり、そして非常に弾力性かつ柔軟である。好ましくは、この材料は、ガスケットの半径方向において弾力性かつ柔軟である。この材料が乾燥しているときには非常に硬いことが望ましい。ポリウレタン尿素材料が開示される。例えば、(PEG−Ad−PEG−HMDI−BD)が使用され得、ここでPEGとは、ポリエチレングリコールであり、Adとは、アジペートであり、HMDIとは、ジイソシアン酸ヘキサメチレンであり、そしてBDとは、ブタンジオールである。このHMDIは、リジンまたはPDIで置き換えられ得、ここでPDIとは、ジイソシアン酸フェニレンである。このような材料の例は、米国特許出願公開第2006/0253094号(発明の名称「Bioabsorbable Surgical Composition」)に開示されており、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0077】
ポリウレタンの一例は、工程間に精製を行う必要なしに、ワンポットで作製され得る。材料は、1601g/molのPEGアジペート(ロット433s−49)、MDI(トルエンへの溶解、濾過、エバポレーションにより精製)(Aldrichロット06823EE)、DMF中20%のヘキサンジオール、およびDMFである。3.4924グラムのMDIを、機械攪拌子を備え付けたきれいな乾燥した100mlの丸底フラスコに量り取る。ブランケットN下に置く。80℃まで加熱し、そして50rpmでの攪拌に設定する。MDI対PEGアジペートのモル比を1.98:1にするための、P2(433s−49材料)の重量を求める。11.282グラムのP2を、約1分間かけてゆっくりと添加する。攪拌を100rpmに設定し、そしてその温度で2時間反応させる。0.825グラムのHDを添加する。混合物が濃厚(白色かつ泡状)になったら、25mlのDMFを添加して溶解する。合計0.5時間反応させる。テフロン(登録商標)皿に注いでフード内で乾燥させる。この物質は、伸縮性がある。一旦、水中で膨潤すると、この材料は比較的強くなる。
【0078】
別のワンポットの例は、以下の材料を使用する:1601g/molのPEGアジペート(ロット433s−49)、MDI(トルエンへの溶解、濾過、エバポレーションにより精製)(Aldrichロット06823EE)、DMF中20%のブタンジオール、およびDMF。上記と同じ手順に従って、その物質をまた、水中で膨潤させ得る。
【0079】
さらなる例において、使用される材料は、34.97グラムのPEG(ロット4335−16)(1767g/mol)、0.988グラムの1,4−ブタンジオール、5.04グラムの精製したPDI(溶媒精製)、トリエチルアミン(触媒として)である。このジオールを混合し、そしてNを吹き込みながら40℃で一晩、25rpmで乾燥させる。翌日、1滴のTEAを添加し、その温度を65℃まで上昇させ、そしてPDIを添加する。その温度で15分間混合し、テフロン(登録商標)トレイに注ぎ、そして100℃で一晩置いて硬化させる。
【0080】
別の例において、PDIで官能基化されたPEGアジペート(427s−136)、ブタンジオール(DMF中20%溶液)、オクタン酸スズ、およびDMFを使用した。12.89グラムの427s−136材料および1滴のオクタン酸スズを、攪拌棒およびテフロン(登録商標)ブレードを備えたきれいな乾燥二つ口100ml丸底フラスコに入れる。この混合物を80℃まで加熱し、50rpmで混合する。ブタンジオールを添加する(等モル量のNCO:OHを必要とする)。3mlのDMF溶液を添加し、185rpmで攪拌し、そして加熱する。その材料は、攪拌すると固化する。50mlのDMFを添加し、そして90℃まで加熱して溶解する。テフロン(登録商標)トレイに注いで乾燥させる。この材料は、比較的弾力性でありかつ強い。
【0081】
さらなる例において、以下の材料を、機械攪拌子を備えるきれいな乾燥した100ml丸底フラスコに入れる:6.9226グラムのPCLジオール1250、0.5037グラムのブタンジオール、2.5142グラムの蒸留LDI(リジンジイソシアネート)、および1滴のSn(Oct)。50rpmで攪拌し、そして静止Nをフラスコに取り付ける。油浴に入れ、そしてその浴を80℃に設定する。1.5時間後、その材料は色が白色であり、そして濃厚である。15mlのDMFを添加し、そして素早く溶解する。この反応を80℃で一晩進行させる。その溶液を減圧下で乾燥させる。乾燥した溶液は硬く、そして蝋状であり、膨潤しないようである。
【0082】
100mlの2つ口丸底フラスコに、19.753グラムのP2(ロット433s−63、1608グラム/mol)(65℃で1時間およびNを吹き込みながら4日間乾燥させる)、8.575グラムの蒸留LDI、および1滴のSn(Oct)を添加する。機械攪拌子およびブランケットNを取り付ける。油浴に入れる。100rpmで攪拌し、そして油浴を65℃に設定する。21時間反応させる。水冷蛇管冷却器を取り付け、そして400rpm〜500rpmで攪拌しながら、石油エーテルで9回の抽出を行う。各抽出について、約30mlの石油エーテルを添加し、2分間〜3分間混合し、次いで、そのエーテルをピペットで除く。最終物質を減圧下で2日間乾燥させ、次いで、20mlの注射器に包装し得る。
【0083】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、本明細書中で使用される場合、用語「円形」はまた、円形に限定されないガスケット(例えば、楕円形のガスケット、少なくとも1つの直線状外縁部を有するガスケットなど)を包含することを意図される。さらに、本開示のガスケットは、任意の規則的な形状または不規則な形状を含み得る。従って、上記説明は、限定と解釈されるべきではなく、単に、開示される実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0084】
100 ガスケット
102 本体部分
104 開口部分
106 外側端縁部
108 内側端縁部
110 上表面
112 下表面
120 細孔
122 多孔性領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットであって、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含む、ガスケット。
【請求項2】
前記ジイソシアネートが、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネートからなる群より選択される、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記ジイソシアネートが、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のガスケット。
【請求項4】
前記ポリ(エーテルエステル)が、少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つのポリ酸をさらに含む、請求項1に記載のガスケット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポリオールが、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、多糖類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項4に記載のガスケット。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリ酸が、脂肪族ポリ酸である、請求項4に記載のガスケット。
【請求項7】
前記脂肪族ポリ酸が、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載のガスケット。
【請求項8】
前記ガスケットが生体吸収性である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項9】
前記ガスケットが、約1日間〜約21日間で身体に吸収される、請求項1に記載のガスケット。
【請求項10】
前記ガスケットが引き裂き抵抗性である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項11】
前記ガスケットが弾力性である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項12】
前記ガスケットが柔軟である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項13】
前記ガスケットが膨潤可能である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項14】
前記ガスケットが硬化性材料である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項15】
前記ガスケットがUV硬化性である、請求項14に記載のガスケット。
【請求項16】
前記ガスケットの少なくとも一部分が多孔性である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項17】
前記ガスケットが創傷処置材料をさらに含む、請求項1に記載のガスケット。
【請求項18】
外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットであって、予め硬化した接着剤または封止剤を含む、ガスケット。
【請求項19】
前記ガスケットが、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、請求項18に記載のガスケット。
【請求項20】
外科手術用ステープル留め装置と一緒に使用するためのガスケットであって、
上表面および下表面を有する本体部分であって、該本体部分は、該上表面と該下表面との間に延びる中心長手方向軸を規定し、ジイソシアネートで末端キャップされたポリ(エーテルエステル)を含む、本体部分;ならびに
該本体部分を通って延びる複数の細孔であって、該細孔の各々は、該上表面から該下表面まで延び、その結果、各細孔が、該中心長手方向軸に対して実質的に平行な軸を規定する、複数の細孔、
を備え、該本体部分が、該複数の細孔より外側に配置された外側領域を有し、該外側領域は実質的に非多孔性である、ガスケット。
【請求項21】
前記ジイソシアネートが、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートからなる群より選択される、請求項20に記載のガスケット。
【請求項22】
前記本体部分が、前記複数の細孔が前記外科手術用ステープル留め装置のステープル線に配置され、そして前記外側領域が該外科手術用ステープル留め装置により発射されるステープルより外側に配置されるような寸法にされている、請求項20に記載のガスケット。
【請求項23】
前記本体部分が、外側端縁部を有し、前記本体部分が、該外側端縁部が前記外科手術用ステープル留め装置のアンビルアセンブリの外周より外側に配置されるような寸法にされている、請求項20に記載のガスケット。
【請求項24】
前記複数の細孔が、前記本体部分を切断することにより形成される、請求項20に記載のガスケット。
【請求項25】
前記複数の細孔が、打ち抜きにより形成される、請求項20に記載のガスケット。
【請求項26】
前記本体部分が、外側端縁部、および内部に開口部分を規定する内側端縁部を備え、該開口部分は、外科手術用ステープル留め装置のシャフトを受容するような寸法および配置にされている、請求項20に記載のガスケット。
【請求項27】
前記本体部分が、形状が実質的に円形である、請求項20に記載のガスケット。
【請求項28】
前記本体部分がポリエチレングリコールを含む、請求項20に記載のガスケット。
【請求項29】
前記本体部分が弾力性である、請求項20に記載のガスケット。
【請求項30】
前記本体部分が膨潤可能である、請求項20に記載のガスケット。

【図1】
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【図1A】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−15963(P2011−15963A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144333(P2010−144333)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】