外科手術用ロボットのための連接式で交換可能な内視鏡
【課題】ロボットによる外科手術を行うための操縦可能/連接式の交換可能な内視鏡を提供する。
【解決手段】複数のアームを有する外科手術ロボットシステムに結合された最小侵襲性の連接式外科用内視鏡310であって、作業末端と該近位端との間のシャフト軸と、を有する細長いシャフト14’と、遠位端と近位端とを有する可撓性リスト10’であって、該可撓性リストの該近位端が該細長いシャフトの作業末端に接続されている、可撓性リストと、該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する内視鏡カメラレンズ314および該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンクを備え、ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために該可撓性リストに付属される、連接式外科用内視鏡。
【解決手段】複数のアームを有する外科手術ロボットシステムに結合された最小侵襲性の連接式外科用内視鏡310であって、作業末端と該近位端との間のシャフト軸と、を有する細長いシャフト14’と、遠位端と近位端とを有する可撓性リスト10’であって、該可撓性リストの該近位端が該細長いシャフトの作業末端に接続されている、可撓性リストと、該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する内視鏡カメラレンズ314および該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンクを備え、ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために該可撓性リストに付属される、連接式外科用内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連米国出願のデータ)
本願は、出願番号第11/071,480号を有する特許出願(2005年3月3日出願)の一部継続出願であり、出願番号第11/071,480号は、出願番号第10/726,795号を有する特許出願(2003年12月2日出願)の一部継続出願であり、出願番号第10/726,795号は、仮出番号願第60/431,636号(2002年12月6日出願)の優先権を主張している。本願はまた、出願番号第10/980,119号を有する特許出願(2004年11月1日出願)の一部継続出願であり、出願番号第10/980,119号は、米国特許第号6,817,974号(2004年11月16日発行)の継続出願であり、米国特許第6,817,974号は、仮出願番号第60/301,967号(2001年6月29日出願)および仮出願番号第60/327,702号(2001年10月5日出願)の優先権を主張している。本願は、以下の特許および特許出願に関連しており、これらの特許及び特許出願の完全な開示が、本明細書に参考として援用される:
米国特許第6,699,235号(発明の名称「Platform Link Wrist Mechanism」、2004年3月2日発行);
米国特許第6,786,896号(発明の名称「Robotic Apparatus」、2004年9月7日発行);
米国特許第6,331,181号(発明の名称「Surgical Robotic Tools,Data Architecture,and Use」、2001年12月18日発行);
米国特許第6,799,065号(発明の名称「Image Shifting Apparatus and Method for a Telerobotic System」、2004年9月28日発行);
米国特許第6,720,988号(発明の名称「Stereo Imaging System and Method for Use in Telerobotic System」、2004年4月13日発行);
米国特許第6,714,839号(発明の名称「Master Having Redundant Degrees of Freedom」、2004年3月30日発行);
米国特許第6,659,939号(発明の名称「Cooperative Minimally Invasive Telesurgery System」、2003年12月9日発行);
米国特許第6,424,885号(発明の名称「Camera Referenced
Control in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」、2002年7月23日発行);
米国特許第6,394,998号(発明の名称「Surgical Tools for Use in Minimally Invasive Telesurgical
Applications」、2002年5月28日発行);および
米国特許第5,808,665号(発明の名称「Endoscopic Surgical Instrument and Method for Use」、1998年9月15日発行);および
米国特許第6,522,906号(発明の名称「Devices and Methods for Presenting and Regulating Auxiliary Information on An Image Display of a Telesurgical System to Assist an Operator in Performing a Surgical Procedure」、2003年2月18日発行)。
【0002】
米国特許第6,364,888号(発明の名称「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」、2002年4月2日発行)。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
本発明は、一般に、内視鏡に関し、より詳細には、ロボットによる外科手術を行うための操縦可能な/連接式の交換可能な内視鏡に関する。
【0004】
最小限に侵襲性の外科手術技術の進歩は、最小限に侵襲性の様式で行われる外科手術の数を劇的に増大させ得る。最小限に侵襲性の医療技術は、診断手順または外科手術手順の間に損傷を受ける無関係の組織の量を減少させることを目的とし、それによって、患者の回復時間、不安、および有害な副作用を減らす。標準的な外科手術のための平均入院期間も、最小限に侵襲性の外科手術技術を用いると有意に短縮され得る。従って、最小限に侵襲性の技術の採用が増大すると、数百万日もの入院日数が削減でき、年間数百万ドルもの入院費用だけでも削減できる。患者の回復時間、患者の不安、外科手術による副作用、および仕事から離れる時間も、最小限に侵襲性の外科手術により減らすことができる。
【0005】
最小限に侵襲性の外科手術の最も一般的な形態は、内視鏡検査法であり得る。おそらく、内視鏡検査法の最も一般的な形態は、腹腔鏡検査法であり、この検査法は、腹腔内部で行われる最小限に侵襲性の検査であり、外科手術である。標準的な腹腔鏡による外科手術において、患者の腹部は、ガスで膨らまされ、カニューレスリーブが、腹腔鏡外科手術用器具のための進入ポートを提供するための小さな(約1/2インチ)切開を通される。この腹腔鏡外科手術器具としては、一般に、腹腔鏡(手術野を視認するため)および作業ツールが挙げられる。その作業ツールは、各ツールの作業末端またはエンドエフェクターが、延長チューブによってそのハンドルから離れていることを除いて、従来の(開放系)外科手術において使用されてきたものと類似している。本明細書で使用される場合、用語「エンドエフェクター(end effector)」とは、外科手術用器具の実際の作業部分を意味し、例えば、クランプ、把持器、ハサミ、ステープラー、およびニードルホルダが挙げられ得る。外科手術手順を行うために、外科医は、これらの作業ツールまたは器具をカニューレスリーブの中を通して、内部の外科手術部位へと通過させ、それらを腹部の外側から操作する。外科医は、腹腔鏡によって撮影された外科手術部位の画像をディスプレイするモニターによってその手順をモニタリングする。類似の内視鏡技術が、例えば、関節鏡検査法、腹膜後鏡検査法、骨盤鏡検査法、腎盂鏡検査法、膀胱鏡検査法、大槽内視鏡検査法(cisternoscopy)、副鼻内視鏡検査法(sinoscopy)、子宮鏡検査法、尿道鏡検査法などにおいて採用される。
【0006】
現時点の最小限に侵襲性の外科手術(MIS)技術に関連する多くの欠点が存在する。例えば、既存のMIS器具は、外科医に、開放系外科手術において見出されるツールの配置の融通性を与えない。最近の腹腔鏡ツールは、剛性のシャフトを有するので、小さい切開部位を通じて作業部位に近づくことが困難であり得る。さらに、多くの内視鏡器具の長さおよび構成は、関連づけられたツールのエンドエフェクターに対して組織および器官に及ぼされる力を外科医が感じる能力を減少させる。内視鏡ツールの操縦性および感度の欠如が、最小限に侵襲性の外科手術の拡大に対する重要な障害である。
【0007】
最小限に侵襲性の遠隔外科手術ロボットシステムが、内部外科手術部位内で作業する場合に外科医の操縦性を増すために、および遠隔位置から外科医が患者に手術を行うことを可能にするために開発されている最中である。遠隔外科手術システムにおいて、外科医には、しばしば、コンピューターワークステーションに外科手術部位の画像が提供される。適切なビューワーまたはディスプレイでこの外科手術部位の三次元画像を見ながら、外科医は、そのワークステーションのマスター入力デバイスまたは制御デバイスを操作することによって、患者に外科手術手順を行う。このマスターは、サーボ機構によって操作される外科手術用器具の運動を制御する。外科手術手順の間に、その遠隔外科手術システムは、マスター制御デバイスの操作に応答して、外科医のために種々の機能(例えば、ニードルを保持または駆動する、血管を把持する、または組織を切除するなど)を果たすエンドエフェクター(例えば、組織把持器、ニードルドライバなど)を有する種々の外科手術用器具またはツールの機械的作動および制御を提供し得る。
【0008】
最小限に侵襲性の外科手術ロボットシステム(例えば、Intuitive Surgical Inc.(Sunnyvale,California)のda Vinci(登録商標))は、従来の腹腔鏡検査法よりも、外科手術の間に、外科医に遙かにより多くの連接(articulation)およびかなり改善された品質の2Dビデオ画像および3Dビデオ画像を提供し得る。現在このような外科手術ロボットシステムは、特定の機能における融通性に関してより制限されている場合がある。特に、それらの大きさおよび重量に起因して、「特定用途のための(dedicated)」ロボットアームを有する外科手術ロボットアーキテクチャーは、内視鏡およびそのカメラヘッド(camera
heard)(例えば、米国特許第6,451,027号に記載されるもの)を保持することが必要とされる。結果として、外科医は、従来の腹腔鏡検査法において代表的に起こっていたように、ポート間でこの内視鏡を交換することはできない。さらに、この内視鏡の大きさおよび重量は、特に、到達困難な領域または隠れた領域を視認するために、内視鏡を外して手動で操縦することにおいて困難を引き起こす。この融通性がないことは、最小限に侵襲性の外科手術ロボットシステムは、心臓および骨盤のような制限された領域での困難な再建手術において勝っている一方で、大きな解剖学的領域(例えば、腹部の複数の4分円)に接近することおよび/または困難な方向から接近することを伴う手順にはあまり適用できないことを意味する。
【0009】
さらに、現時点でのロボットによる内視鏡は、剛性であり、内視鏡の長手軸からまっすぐ前(すなわち、ゼロ(0)°の角度)または30°の角度のいずれかを指し、外科医がより容易に上下を視認することが可能である。結論として、多くの外科手術手順の間に、外科医は、外科手術部位の内部で異なる透視像を得るために、まっすぐ前を向いた観察鏡(scope)と30°傾いた観察鏡との間を何度も前後に切り替えることを必要とし得る。このような観察鏡の切り替えは、外科手術手順の時間、手術の複雑さおよび管理の複雑さ(logistic complexity)を増やすので、安全性さえも懸念される。しかし、観察鏡切り替えを用いたとしても、外科医はなお、ごくわずかな視覚的透視像、よってより小さな領域の可視性に制限される。さらに、外科医は、(例えば、婦人科学手順の間に)障害物の周りにまたは(例えば、心房細動または管腔内診断および管腔内処置の間に)いくつかのトンネルを通り抜けることを必要とする組織の間に隠れている身体組織の望ましい視野を得ることからなお妨げられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、将来の外科手術ロボットアーキテクチャーの単純化を可能にし、より融通の利くポート配置を提供し、より大きな領域の可視性を提供し、手技的な複雑さおよび集中管理の複雑さを加えることも安全性の懸念もなく複数の視覚的透視像を提供し、かつ隠れた身体組織の最も望ましい視野を提供する、外科手術ロボット内視鏡システムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
よって、本発明は、将来の外科手術ロボットアーキテクチャーの単純化を可能にし、より融通の利くポート配置を提供し、より大きな領域の可視性を提供し、手技的な複雑さおよび集中管理の複雑さを加えることも安全性の懸念もなく複数の視覚的透視像を提供し、かつ隠れた身体組織の最も望ましい視野を提供する、連接式の交換可能な外科手術ロボット内視鏡システムおよび方法を提供する。
【0012】
本発明は、最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡によって上記の必要性を満たす。この連接式外科用内視鏡は、細長いシャフト、可撓性リスト(wrist)、内視鏡カメラレンズ、および複数の作動リンクを備える。この細長いシャフトは、作業末端と、近位端と、上記作業末端と上記近位端との間のシャフト軸と、を有する。上記可撓性リストは、遠位端と近位端とを有する。上記可撓性リストの近位端は、上記細長いシャフトの作業末端に接続されている。内視鏡カメラレンズが、上記リストの遠位端に取り付けられている。上記複数の作動リンクは、上記リストと上記細長いシャフトの近位端との間に接続され、その結果、上記リンクは、上記リストに少なくとも1自由度(例えば、リストのピッチ運動およびヨー運動)を提供するように作動可能である。ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系(reference frame)は、少なくとも1自由度の運動の間にユーザーにより大きな直観性を提供するために、上記少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために上記可撓性リストに付属される。逆に、上記内視鏡と関連する他の自由度(例えば、デカルト空間挿入(Cartesian space insertion)/引き抜き運動およびシャフト回転)を制御するために使用される基準系は、上記対象物に付属される。上記最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡は、上記複数のアームのいずれかに解放可能に連結され、上記複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が上記外科手術ロボットシステムのために使用される。
【0013】
上記連接式外科用内視鏡が、上記少なくとも1自由度と関連する解剖学的構造の画像(例えば、環状画像(orbital image))を取得するために使用される場合、このような画像のための上記基準系は、上記内視鏡の近位端において望ましくない運動を最小にするために上記可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転するものである。このような望ましくない運動は、上記少なくとも1自由度を制御するために使用される基準系が、上記可撓性リストに付属される場合にさらに弱められる。
【0014】
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
複数のアームを有する外科手術ロボットシステムに結合された最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡であって、該内視鏡は、
作業末端と、近位端と、該作業末端と該近位端との間のシャフト軸と、を有する細長いシャフト;
遠位端と近位端とを有する可撓性リストであって、該可撓性リストの該近位端が該細長いシャフトの作業末端に接続されている、可撓性リスト;
該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する内視鏡カメラレンズ;および
該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンク;
を備え、ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために該可撓性リストに付属される、
連接式外科用内視鏡。
(項目2)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目3)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目2に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目4)
前記少なくとも1自由度と関連する前記内視鏡によって取得された前記対象物の画像は、前記可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいている、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目5)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目4に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目6)
前記内視鏡は、前記複数のアームのいずれかに解放可能に連結されかつ該複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が前記外科手術ロボットシステムのために使用される、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目7)
前記少なくとも1自由度は、位置制御されているかまたは速度制御されている、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目8)
複数のアームを有する外科手術ロボットシステムに連結された最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡であって、該内視鏡は、
作業末端と、近位端と、該作業末端と該近位端との間にあるシャフト軸と、を有する細長いシャフト;
遠位端と近位端とを有する可撓性リストであって、該リストの該近位端が該細長いシャフトの該作業末端に接続されている、可撓性リスト;
該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する、内視鏡カメラレンズ;および
該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンク;
を備え、ここで該少なくとも1自由度と関連する該内視鏡により取得される該対象物の画像は、該可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいている、
連接式外科用内視鏡。
(項目9)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目10)
前記少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために前記可撓性リストに付属される、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目11)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目10に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目12)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目11に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目13)
前記内視鏡は、前記複数のアームのいずれかに解放可能に連結されかつ該複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が前記外科手術ロボットシステムのために使用される、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。(項目14)
前記少なくとも1自由度は、位置制御されているかまたは速度制御されている、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目15)
少なくとも1自由度の運動を有する可撓性リストを有する最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡について、ユーザーにより多くの直観性を提供する方法であって、該方法は、少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系を、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために、該可撓性リストに付属させる工程を包含する、方法。
(項目16)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目16に記載の方法。
(項目18)
少なくとも1自由度と関連する対象物の画像を取得する場合に、少なくとも1自由度の運動を有する遠位端において可撓性リストを有する連接式外科用内視鏡の近位端の運動を弱める方法であって、該方法は、該少なくとも1自由度と関連する該対象物の画像を、該可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいて取得する工程を包含する、方法。
(項目19)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目18に記載の方法。
(項目20)
マスター・スレーブロボットシステムであって、該システムは、
マスターコントローラーと、
該マスター入力デバイスに連結され、該少なくとも1つのマスター入力デバイスの位置変更に応じて6自由度で連接し、最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡を備える、少なくとも1つのスレーブリンク機構と、
を備え、
ここで該マスターコントローラーは、
プラットフォーム;
該プラットフォームに対して3軸の周りに回転可能でありかつ該プラットフォームに対して3軸に沿って平行移動可能な、少なくとも1つのマスター入力デバイス;
該プラットフォームに対して該入力デバイスを支持するリンク機構;
該リンク機構上の複数の位置に関する運動を測定するために、該リンク機構に連結されたセンサーシステム;
駆動された関節を駆動するように係合する駆動システム;および
少なくとも1つのマスター入力デバイスが位置変更される間に該駆動システムが該リンク機構を作動するように、該センサーシステムから該駆動システムへ連結しているプロセッサ;
を備え、ここで該内視鏡は、
作業末端と、近位端と、該作業末端と該近位端との間のシャフト軸と、を有する細長いシャフト;
遠位端と近位端とを有する可撓性リストであって、該可撓性リストの該近位端が該細長いシャフトの作業末端に接続されている、可撓性リスト;
該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する内視鏡カメラレンズ;および
該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンク、
を備え、ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために該可撓性リストに付属される、
マスター・スレーブロボットシステム。
(項目21)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目22)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目21に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目23)
前記少なくとも1自由度と関連する前記内視鏡によって取得される前記対象物の画像は、前記可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいている、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目24)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目23に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目25)
前記内視鏡は、前記複数のアームのいずれかに解放可能に連結されかつ該複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が前記外科手術ロボットシステムのために使用される、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。(項目26)
前記少なくとも1つのマスター入力デバイスは、絞りまたは開口を含む、前記内視鏡カメラレンズの機能をコントロールするためにさらに使用される、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目27)
前記内視鏡カメラレンズが動く間にスレーブ変換を合わせるように前記マスター変換を調節してマスター・スレーブ直観性を維持することによって、マスターアラインメント補正が連続的かつ少しずつ行われる、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目28)
前記少なくとも1自由度は、位置制御されているかまたは速度制御されている、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
【0015】
(摘要)
本発明は、少なくとも1自由度を有する可撓性リストを備える連接式の最小限に侵襲性の外科手術内視鏡に関する。複数のロボットアームを有する外科手術ロボットとともに使用される場合、この内視鏡は、複数のアームのうちのいずれかによって使用され得る。それによって、汎用的なアーム設計の使用が可能になる。本発明に従う内視鏡は、少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系を、少なくとも1自由度と関連するリストの運動に関して、可撓性リストに付属させることによって、ユーザーに対してより直観的にされる。本発明に従う内視鏡は、可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りを回転する基準系に基づいて、少なくとも1自由度と関連する物体の画像を取得することによって、その後ろ側の末端/近位端における望ましくない運動を弱める。
【0016】
本発明の特徴および利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになり、その詳細な説明は、添付の図面とともに考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う外科手術用ツールの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従うリストの断面図である。
【図3】図3は、図2のリストのIII−IIIに沿った断面図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図4A】図4Aは、ケーブル配置の詳細を示す図4のリストに類似するリストの一例の遠位部分の平面図である。
【図4B】図4Bは、ケーブル配置の詳細を示す図4のリストに類似するリストの一例の遠位部分の立面図である。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態に従うリストの断面図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図9】図9は、ツールシャフトおよびジンバルプレートを有する図8のリストの立面図である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図11】図11は、図10のリストの立面図である。
【図12】図12は、本発明の別の実施形態に従うリストの立面図である。
【図13】図13は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図14】図14は、本発明の別の実施形態に従うリストの一部の断面図である。
【図15】図15は、曲がった状態にある図14のリストの部分断面図である。
【図16】図16は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図17】図17は、図16のリストの平面図である。
【図18】図18は、本発明の別の実施形態に従うリストの一部の断面図である。
【図19】図19は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図20】図20は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図21】図21は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図22】図22は、本発明の別の実施形態に従うリストの一部の断面図である。
【図23】図23は、図22のリストにおけるディスクの平面図である。
【図24】図24は、図22のリストにおけるディスクの平面図である。
【図25】図25は、図22のリストの外側部品の斜視図である。
【図26】図26は、図25の外側部品の部分断面図である。
【図27】図27は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図28】図28は、本発明の一実施形態に従うリストカバーの断面図である。
【図29】図29は、本発明の別の実施形態に従うリストカバーの断面図である。
【図30】図30は、本発明の別の実施形態に従うリストカバーの一部の斜視図である。
【図31】図31は、本発明に従うロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される連接式内視鏡の一実施形態を図示する。
【図32】図32は、一連の解放可能なクリップ320により内視鏡310に解放可能に連結されたカテーテル321を図示する。
【図33】図33は、一連の解放可能なクリップ320により内視鏡310に解放可能に連結されたカテーテルガイド331を図示する。
【図34】図34は、本発明に従うビデオ接続の一実施形態を図示するビデオブロック図である。
【図35】図35は、本発明に従うロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される連接式内視鏡の一実施形態を図示する。
【図36】図36は、ロボットによる最小限に侵襲性の内視鏡についての種々の基準系に対する直観性 対 反直観性(counter−intuitive)の単純化した例示の図である。
【図37】図37は、本発明に従う内視鏡310”についての種々の可能な回転点を図示する。
【図38】図38は、自転車のハンドルバーに類似する様式において操作するために実質的に組み合わされた2つのマスター入力デバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用される場合、「エンドエフェクター」とは、医療的機能のために(例えば、標的組織の予め決められた処置を行うために)、リスト部材によって操作可能である実際の作業遠位部分をいう。例えば、いくらかのエンドエフェクターは、単一の作業部材(例えば、小刀、ブレード、または電極)を有する。他のエンドエフェクターは、例えば、一対のまたは複数の作業部材(例えば、鉗子、把持器、ハサミまたはクリップアプライヤー)を有する。特定の実施形態において、ディスクまたは脊椎様物(vertebrae)が、リストに沿って、長手軸方向の管腔または空間をまとめて規定する開口部を有するように構成され、この管腔または空間は、エンドエフェクターの操作と関連する多くの代替要素または手段のうちのいずれか1つのためのコンジットを提供する。例としては、電気的に作動されるエンドエフェクター(例えば、電気外科手術用電極;変換器、センサなど)のための導体;流体、ガスまたは固体のための(例えば、吸引、吹き込み、灌注、治療用流体、補助導入(accessory introduction)、生検摘出などのための)コンジット;エンドエフェクター部材を動かすように作動するための機械的要素(例えば、グリップ、鉗子、ハサミを操作するための、ケーブル、可撓性要素または連接式の要素);導波管(wave guide);音波伝達要素;光ファイバー要素などが挙げられる。このような長軸方向のコンジットは、直線状の、絶縁体またはガイド要素(例えば、弾性のポリマーチューブ;らせん状にワイヤを巻き付けたチューブなど)を備え得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「外科手術用器具」、「器具」、「外科手術用ツール」、または「ツール」とは、作業末端を有する部材であって、患者の腔における外科手術部位へ導入されるべき1種以上のエンドエフェクターを有しかつその腔の外側から作動して、外科手術部位における標的組織の望ましい処置または医療機能を行うためにエンドエフェクターを操作することが可能であるものをいう。
【0020】
この器具またはツールは、代表的には、遠位端においてエンドエフェクターを有するシャフトを備え、この器具またはツールは、好ましくは、ニードルを保持または駆動し、血管を把持し、組織を切り出すなどの機能を果たすために、遠隔外科手術システムによってサーボ機構的に作動される。
【0021】
本明細書に記載される可撓性リストの種々の実施形態は、製造するのが比較的安価でおよび焼灼に使用することができることが意図されるが、焼灼のための使用に限定されない。MIS適用に関して、上記ツールの挿入可能部分の直径は、小さな切開部を許容するように、小さく、代表的には、約12mm以下であり、好ましくは、約5mm以下である。詳細に記載される例は、この大きさの範囲を例示するが、上記実施形態は、より大きな器具またはより小さな器具を含むために大きさを合わせて調整され得ることが理解されるべきである。
【0022】
リストの実施形態のうちのいくらかは、ピッチ(pitch)およびヨー(yaw)において湾曲される場合に、蛇のような様式で動く、一連のディスクまたは類似の要素を採用する(例えば、図14および図22)。このディスクは、環状のディスクであり、円形の内径および外径を有し得る。代表的には、これらのリストは各々、一連のディスク、例えば、約13枚のディスクを備え、これらディスクは、約0.005インチ〜約0.030インチの厚みの、エッチングされたステンレス鋼ディスクであり得る。中間部においてはより薄いディスクが使用され得るが、ケーブルにかかる力(例えば、末端ディスクの周りでのケーブルのUターンにおいて付与される力)を吸収するために、より厚みのあるディスクが、さらなる強度のために末端領域には望ましい。末端ディスクは、端ぐり(counter bore)(例えば、約0.015インチの深さ)を備え得る。この端ぐりの中に、中心ばねがフィットして、ケーブルからの荷重をこの中心バネの圧縮へと変化させる。このディスクは、内部バネに接するようにネジ山が切られ得、このネジ山は、エンドエフェクター(例えば、把持器、焼灼接続、または先端を保持するための束縛器(tether))のためのケーブルを引っ張るための管腔として作用する。この内部バネはまた、軸方向の剛性を提供し、その結果、把持器または束縛器の力は、リストをゆがませない。いくつかの実施形態において、これらディスクは、一対の対向して配置された内部タブまたは舌部(tongue)を備え、これらタブまたは舌部は、内部バネによって捕捉されている。
【0023】
この内部バネは、ディスクのタブがこのバネにおいて間隙を作り出すために挿入される場所を除いて、密着高さ(solid height)(バネが偏向されていない場合に、連続する螺旋ピッチのワイヤが互いに接触した状態にある)で存在する。これらディスクは、交互になっているピッチ回転およびヨー回転を許容するために、タブの方向が互い違いにされる。代表的な内部バネは、0.01インチ直径のワイヤで作られ、隣接するディスクは、バネの4巻き分だけ互いに間隔を空けて配置される。このバネが、(スリンキー(slinky)のように)縁部が巻かれた平坦なワイヤから作られる場合、高い軸方向の力が、隣り合う巻きが互いの上に載ることなく、ケーブルによって付与され得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、各ディスクは、作動ケーブルを受容するための12個の等しく間隔が空いた穴を有する。3本のケーブルが、任意の望ましい方向においてリストを湾曲させるには十分であり、個々のケーブルに対する張力が、望ましい湾曲運動を生じるように協調する。小さなリスト直径と外科手術の力によってリストに及ぼされるモーメントに起因して、3本のケーブルにおける応力は、極めて大きい。各ケーブルにおける応力を減少するために、3本より多くのケーブルが代表的には使用される(制御目的で余分のさらなるケーブルを含む)。以下に例示されるいくつかの例において、12本以上のケーブルが使用される(以下の図4の考察を参照のこと)。これらケーブルを駆動するために、ジンバルプレートまたはロッキングプレート(rocking plate)が使用され得る。このジンバルプレートは、ケーブルを操作して、ピッチ軸およびヨー軸に対して任意の角度でリストを湾曲するために、2つの標準的なインプットを利用する。
【0025】
いくつかのリストは、ピッチおよびヨーにおいて湾曲するように十分可撓性である管状部材から形成される(例えば、図2および図4)。内部バネが備えられ得る。この管状部材は、構造的剛性を低下させて、湾曲を容易にするためにカットアウト(cut−out)を備え得る(例えば、図5および図19)。リストを作製する1つの方法は、ワイヤおよびハイポチューブマンドレルを中心穴および作動ワイヤ穴の中に挿入することである。型が作製され得、そしてそのアセンブリが、2部分から構成される(two−part)白金硬化シリコーンゴム(オーブン中で(例えば、約165oCで)硬化される)でオーバーモールド(overmold)され得る。このマンドレルは、チャネルを作製して、引っ張っているケーブルのための中心管腔および周辺管腔を形成するために、成型の後に引き抜かれる。このようにして、このリストは、露出された金属部分がない。そのゴムは、オートクレーブに耐えることができ、リストが湾曲する間に、代表的には、約30%のひずみである延びに耐えることができる。
【0026】
特定の実施形態において、この管状部材は、複数の軸方向スライド部材(axial sliding member)を備え、この軸方向スライド部材の各々は、作動ケーブルを受容するための管腔を有する(例えば、図8)。この管状部材は、隣接するバネの巻きと重なり合って作動ケーブルを受容するための管腔を提供する巻きを有する複数の軸方向バネ(axial spring)によって形成され得る(例えば、図10)。この管状部材は、多くの波形バネ(wave spring)によって形成され得る(例えば、図12)。この管状部材の中の管腔は、軸方向バネの内部によって形成され得る(例えば、図16)。この管状部材の外部は、ねじり剛性を提供するために編み組みされ(braid)得る(例えば、図27)。
【0027】
A.ワイヤ巻き付けにより支えられたワイヤを有するリスト
図1は、外科手術用ツールのための、遠位エンドエフェクター12と近位ツールシャフトもしくは主要チューブ14との間を接続するリスト10を示す。示されるエンドエフェクター12は、図2に最もよく示されるように、遠位Uリンク(distal clevis)18に取り付けられたグリップ16を備える。この遠位Uリンク18は、ハイポチューブ26に対して近位に接続する複数のワイヤまたはケーブル24の遠位クリンプ22を収容する側部アクセススロット(side access slot)20を備える。このワイヤまたはケーブルは、プラットフォームまたはガイド30を通ってかつツールシャフト14の内部を通って延びる。このガイド30は、このハイポチューブ26およびワイヤアセンブリを方向付け、この器具のツールシャフト14に取り付けられる。このガイド30はまた、ツールシャフト14がロールして動くにつれて、リスト10のロール運動を開始させる。この側部アクセススロット20は、都合よくクリンプ22が所定の位置に押されることを可能にする。当然のことながら、ワイヤ24を遠位Uリンク18に取り付ける他の方法(例えば、レーザー溶接)が、他の実施形態において採用されてもよい。
【0028】
図2および図3は、4本のワイヤ24を示すが、別の実施形態において、種々の本数のワイヤが使用されてもよい。ワイヤ24は、ニチノールまたは他の適切な材料から作製され得る。このワイヤ24は、リスト10のジョイントを作り、遠位Uリンク18とハイポチューブ26との間に固く取り付けられる。ワイヤ巻き34は、コイルバネに類似してワイヤ24の周りに巻かれ、遠位Uリンク18とハイポチューブ26との間に延びる。この収縮チューブ36は、ワイヤ巻き34、ならびに遠位Uリンク18の一部およびガイド30の一部を覆う。このワイヤ巻き34および収縮チューブ36は、ハイポチューブ26が押されて、リスト10をピッチおよびヨーにおいて動かすように引っ張られる場合に、互いから一定の距離にワイヤ24を保つ。これらはまた、リスト10がツールシャフト14とともにロールして動き、外部からの力に耐えるように、リスト10にねじり剛性および全体的な剛性を提供する。このワイヤ巻きおよび収縮チューブは、他の実施形態において異なる方法で構成され得る(1つの好ましい実施形態は、図27において示され、以下のセクションJに記載される)。例えば、このワイヤ巻きおよび収縮チューブは、内側部品としてワイヤ24を備える5本管腔の押し出し部品に変換され得る。ワイヤ巻きまたは等価な構造体の機能は、リスト10がロール、ピッチ、および/またはヨーにおいて動くにつれて、中心線から一定距離にワイヤ24を維持することである。この収縮チューブはまた、電気的絶縁を提供し得る。
【0029】
B.作動ケーブルによって湾曲される可撓性チューブを有するリスト
図4は、穴または管腔43が作動ケーブルまたはワイヤ44を受容するように周辺部の周りに分布したチューブ42を備えるリスト40を示す。この作動ケーブルまたはワイヤは、ニチノールから作製され得る。このチューブ42は、ケーブル44を引っ張ることによって、ピッチおよびヨーにおいて湾曲を可能にするように可撓性である。リスト40は、好ましくは、剛性の遠位終端ディスク41(図4Bの代替的実施形態において示される)またはケーブルにかかる力を可撓性チューブ42に一様に分配するために可撓性チューブ42よりも実質的に剛性の他の補強物を備える。チューブ42の中空中心部は、エンドエフェクターケーブル(例えば、把持ケーブル)用の空間を提供する。代表的には、少なくとも4つの管腔が存在する。内部バネ47が設けられ得る。
【0030】
図4は、特定の実施形態の12本の管腔を示し、6本のケーブル44をチューブ42の遠位端においてUターン45を作るように適合させている。使用されるケーブルの本数が多いことによって、チューブ42が、ピッチおよびヨーにおいて同じ湾曲を達成するために同じケーブル引っ張り力に対してより高い剛性を有することが可能になる。例えば、4本のケーブルの代わりに12本のケーブルを使用することは、チューブ42が同じケーブル引っ張り力に対して剛性として3倍であり得ることを意味する。あるいは、このチューブ42の剛性が依然として同じである場合、4本のケーブルの代わりに12本のケーブルを使用すると、必要とされるケーブル引っ張り力が、3分の1まで減少する。材料の特性およびケーブルの応力レベルは、Uターン45がチューブ42の末端で直接支えることを可能にし得るが、補強された遠位終端プレート41は、チューブ42に対してより円滑にケーブルにかかる力を分配するように備えられ得ることに注意すること。このケーブル44の近位端は、アクチュエーター機構(例えば、米国特許出願第10/187,248号(2002年6月27日出願、その全開示が本明細書に参考として援用される)において開示されるジンバルプレート46を備えるアセンブリ)に接続され得る。この機構は、湾曲可能な部材または操縦可能な部材の制御(例えば、可撓性リストの湾曲角度および方向の制御)に関して協調した様式で、選択された複数のケーブルの作動を容易にする。出願番号第10/187,248号のアクチュエーター機構の例は、多数の周辺ケーブルを、匹敵する多数のリニアアクチュエーターを要せずに、可撓性部材の協調した操縦を提供するように釣り合った様式で作動するように適合され得る。あるいは、別個に制御されるリニア作動機構は、滑車にかけられ、ロータリーアクチュエーターにより動かされる、各ケーブルまたはケーブル対を張るために使用され得る。この操縦は、リニアアクチュエーターを協調することによって制御される。
【0031】
このチューブ42は、代表的には、ピッチおよびヨーにおいて適切な湾曲を可能にするために十分に低い弾性率を有する、プラスチック材料またはエラストマーから作製され得る。このチューブは、複数の管腔(例えば、12本の管腔)を備えるようにマルチ管腔押し出しによって製造され得る。このチューブはS字型湾曲のような望ましくない変形を制限するために高い湾曲剛性を有することが望ましいが、このことは、ピッチおよびヨーにおいて望ましい湾曲に必要とされるこのケーブルにかかる力を増大させる。以下に議論されるように、このチューブの高い湾曲剛性を越えるために十分高いケーブルにかかる力を提供するために、ピッチおよびヨーにおいてリストを操作するために必要なものより多いケーブル(すなわち、3本より多いケーブル)が使用され得る。
【0032】
図4Aおよび図4Bは、図4において示されるものに類似する、あるリストの実施形態において、2つの異なるケーブル配置の例を模式的に示す。全ケーブルの断面積は一定であるので、対になったケーブルおよびより多数の、比例してより面積が小さいケーブルを含ることは、ケーブルがリストの中心線に対して側方に大きくずれて終端をなすことを可能にすることに注意のこと。図4Aおよび図4Bは、あるリストの実施形態の、それぞれ、平面図および立面図を示し、各図の右側がリスト例1を示し、各図の左側がリスト例2を示すように、境界線によって分けられている。各例において、このチューブ42は、同じ外径Rおよび中心管腔を規定する内径rを有する。
【0033】
例1において、リスト40.1におけるケーブル44の数は、4本に等しく(n1=4)、各ケーブルは、個々に、遠位終端プレート41における皿穴に取り付けられている遠位アンカー44.5によって終端をなし、各ケーブルは、遠位終端プレート41および可撓性チューブ42におけるそれぞれの側方ケーブル管腔43を通って延びる。アンカー44.5は、スエージ加工されたビードであってもよいし、他の従来のケーブルアンカーであってもよい。
【0034】
例2において、リスト40.2におけるケーブル44’の数は、16本に等しく(n2=16)、ケーブルは、対称に間隔を空けて配置された8対の部分44’として配置され、各対は、隣接するケーブル管腔43’の間の遠位終端プレート41’で支えられている、遠位の「Uターン」末端ループ45で終端をなす。管腔43’の開口部における遠位終端プレート41’の縁部は、応力集中を減少させるために丸くされていてもよく、ループ45は、遠位終端プレート41の中へ部分的にまたは完全に皿穴が形成されていてもよい。16本のケーブル44’の直径は、4本のケーブル44の直径の1/2であるので、ケーブルの全断面積は、各例において同じである。
【0035】
例1と例2を比較すると、終端ループ45の採用は、ケーブルアンカー44.5に当てられる遠位の体積を削減し、ケーブル管腔43’が、ケーブル管腔43よりもチューブ42の半径Rに対して近くにあるようにするために役立つ。さらに、各ケーブル44’の直径はより小さいので、ケーブル中心線が、ケーブル管腔43’の外側縁部により近くなる。これらの特性はともに、例2におけるケーブルが、例1の対応するモーメントアームL1より、チューブ42の中心に対して大きなモーメントアームL2の周りで作用することを可能にする。このより大きなモーメントアームL2は、チューブ42上の同じ全体の曲げモーメントに対するより低下したケーブル応力を可能にするか(ケーブルの寿命をより長くするかまたはより広い範囲の任意のケーブル材料を可能にする)、または代わりに、同じケーブル応力に対するより大きな曲げモーメントを可能にする(より大きなリスト配置剛性を可能にする)。さらに、ケーブル直径をより小さくすると、比較的厚みのあるケーブルよりも可撓性が高くなり得る。従って、リスト40の好ましい実施形態は、3本より多いケーブル、好ましくは少なくとも6本(例えば、3対のループ状にしたケーブル)およびより好ましくは12本以上を包含する。
【0036】
遠位終端プレート41において示されるアンカーまたは終端点は、例示であり、このケーブルは、付与される応力に対してこの選択された材料特性が適切である場合、チューブ42の材料上で(アンカーまたはループによって)直接支えるように終端をなし得ることに注意すること。あるいは、このケーブルは、より遠位にあるエンドエフェクター部材(示さず)に対する接続によって終端をなすために、チューブ42および/または遠位終端プレート41より遠位方向に延び得、このケーブルの張力は、リスト運動の操作範囲内でリスト40にしっかりと接続してエンドエフェクター部材を維持するために十分に付勢される。
【0037】
チューブの剛性を構造的に低下させる1つの方法は、図5に示されるように、カットアウトを設けることである。チューブ50は、ピッチおよびヨーにおいて湾曲を容易にするために、それぞれ、2つの側部で2つの直角方向で交互になった複数のカットアウト52を備える。複数の管腔54が、作動ケーブルを収容するために周辺部の周りに配置される。
【0038】
図6に例示される別の実施形態において、チューブ60は、内部バネ62の周りに巻かれる外側ブーツとして形成され、この内部バネは、チューブ60よりも高い剛性材料で作製される。チューブ60は、作動ケーブルを受容するために、内部スロット64を備える。別個に形成された可撓性チューブを設けることによって、アセンブリを単純にし得る。このようなチューブは、ケーブルを貫通させるための穴を備えるチューブよりも、押し出し成形するのが容易であるか、または別の方法で形成するのが容易である。これらのチューブはまた、予め形成された終端構造体またはアンカーを有する作動ケーブルを用いることに役立つ。なぜなら、このケーブルは、中心管腔から適切な位置に置かれ得、その後、内部バネが、ケーブルの間隔および保持を維持するために、ケーブルの中に挿入され得るからである。いくらかの場合において、チューブ60は、無菌の単回使用構成要素であってもよいが、必ずしもオートクレーブ可能ではない。
【0039】
図7は、カットアウト72を有するチューブ70を示し、これは、図5のチューブ50におけるカットアウト52と類似するものであり得る。チューブ70は、プラスチックまたは金属から作製され得る。外側カバー74は、チューブ50の周りに配置される。この外側カバー74は、カプトンカバーなどであってもよく、代表的には、カットアウト72にフィットする、ひだを備える高弾性率材料である。
【0040】
C.軸方向の舌部スライド部材および溝スライド部材を有するリスト
図8および図9は、複数の可撓性の軸方向にスライドする部材82を有するリスト80を示す。これら軸方向にスライドする部材は、管状リスト80を形成するために、軸方向のさねはぎ接続84によって互いに接続または連結される。各スライド部材82は、チューブ80の長手軸方向セグメントを形成する。この軸方向接続84は、これらスライド部材82が、リストの長手軸方向中心線に対して各部材の側方位置を維持しながら、互いに対して軸方向にスライドすることを可能にする。各スライド部材82は、リスト80の遠位端に隣接して終端をなす作動ケーブルを受容するために、穴または管腔86を備える。図9は、このスライド部材82のスライド運動によって容易にされる場合の、ケーブル90のケーブル引っ張り力の下でのリスト80の湾曲を図示する。このケーブル90は、ツールシャフト92を通って延び、作動機構(例えば、作動のためのジンバルプレート94)に対して近位に接続される。これらスライド部材82は、リスト80が湾曲する間の、スライド部材82の曲率半径の差に起因して異なる量だけ湾曲する。あるいは、軸方向にスライドする部材を有するリストの一実施形態は、一体化したケーブルおよびスライド部材を有し得、例えば、それによって、これらスライド部材は、一体化したスライド要素として、ケーブルの周りに(例えば、押し出し成形によって)一体化して形成されるか、またはそれによって、作動機構が、スライド部材の近位端に連結し、これらスライド部材が、リストの遠位端に対して直接力を伝える。
【0041】
図13は、代表的には、可撓性プラスチック材料から作られる複数の軸方向部材132を有するリスト130を示す。この軸方向部材132は、ケーブル134を覆って同時に押しだし成形され得るので、このケーブルは、金属でありかつ絶縁され得る。軸方向部材132は、管状リスト130を形成するために、軸方向さねはぎ接続136によって互いに接続され得る。これら軸方向部材132は、ピッチおよびヨーにおいてリスト130が湾曲している間に、互いに対してスライドすることを可能にする。このリスト130は、図8のリスト80と類似するが、わずかに異なる構成を有し、その要素は、異なる形状を有している。
【0042】
D.重なる軸方向バネ部材(overlapping axial spring member)を有するリスト
図10および図11は、管状リスト100を形成するために、周辺部の周りに配置された複数の軸方向バネ102によって形成されるリスト100を示す。これらバネ102は、同じ方向に巻かれた、またはよりありそうなことには、反対方向に巻かれたコイルバネである。ケーブル104は、図11においてより明らかに認められるように、隣接するバネ102の各対の重なり領域を通って延びる。重なりに起因して、このリスト100の密着高さ(solid height)は、リストがケーブル張力の下で完全に圧縮されていれば、個々のバネ102の密着高さの2倍である。これらバネ102は、代表的には、圧縮状態で予め荷重がかけられており、よってケーブルは、ゆるんでおらず、リストの安定性を増す。
【0043】
1つの代替法において、バネは、リストがニュートラルであるかまたは湾曲していない状態にある場合に、ケーブルに予め張力をかけることによって、完全に圧縮された密着高さの状態に付勢される。リストの一方の側部でケーブル張力を、制御して、協調して減少させるか、またはケーブルを解放すると、一方の側部が延び、その結果、湾曲したリスト100の外径を形成するように、リスト100の一方の側部のバネが延びる。このリストは、外側ケーブルの引っ張り力が再び付与されると、まっすぐな構成へと戻る。
【0044】
別の代替法において、バネは、リストがニュートラルであるかまたは湾曲していない状態にある場合に、ケーブルに予め張力をかけることによって、部分的に圧縮された状態に付勢される。リストの一方の側部でケーブル張力またはケーブル引っ張りを制御して、協調して増大させると、その側部が収縮し、その結果、湾曲したリスト100の内径を形成するように、リスト100の一方の側部のバネが短くなる。このことは、必要に応じて、上記の第1の代替法におけるような外径に対する張力の解放と組み合わされ得る。このリストは、もとのケーブルの引っ張り力が回復すると、まっすぐな構成へと戻る。
【0045】
E.波形バネ部材を有するリスト
図12は、管状の波形バネリスト120を形成するために、積み重ねられるかまたは巻かれた複数の波形バネセグメントまたは構成要素122を有する波形バネ120の形態のリストを示す。一実施形態において、この波形バネが形成され、ある程度らせん状の平坦なワイヤの連続片から巻かれる。ここでこの波形は各周で変化し、その結果、一周の高い点は、次の一周の低い点と接触する。このようなバネは、例えば、Smalley Spring Companyから市販されている。作動ケーブルを受容するために、穴が波形バネリスト120において形成される。あるいは、複数の別個のディスク様波形バネセグメントが、アクチュエーターケーブル上にビード様式で連ねられる(ケーブルによって保持されるかまたは互いに結合される)。
【0046】
図示されるこの波形バネセグメント122は、各々、2つの対向する高い点および2つの対向する低い点を有し、これらの点は、90°だけ間隔が空いている。この構成は、ピッチおよびヨーにおける湾曲を容易にする。当然のことながら、この波形バネセグメント122は、リスト120の周辺部の周りにさらなる高い点および低い点を有するより密な波パターンのような他の構成を有し得る。
【0047】
F.球面状接合表面を備えるディスクを有するリスト
図14は、リスト140のいくつかのセグメントまたはディスク142を示す。内部バネ144がディスク142の内部空間に設けられるが、複数のケーブルまたはワイヤ145が、ピッチおよびヨーにおいてリスト140を湾曲させるために使用される。このディスク142は、ネジ山が切られるかまたはエンドエフェクター用のケーブルを引っ張るための管腔として働く内部バネ144に連結される。この内部バネ144は、軸方向の剛性を提供し、その結果、引っ張っているケーブルを通してエンドエフェクターに付与される力は、リスト140を歪ませない。代替的実施形態において、積み重なった中実スペーサーは、この機能を達成するために、バネ144の代わりに使用され得る。これらディスク142は、各々、曲がった外側接合表面146を備え、この表面は、隣接するディスクの曲がった内側接合表面148と接合する。図15は、これらディスク142の間の関連づけられた相対的回転を伴うリスト140の湾曲を図示する。これらディスク142は、例えば、プラスチックまたはセラミックから作製され得る。球面状接合表面146、148の間の摩擦は、好ましくは、リスト140の動きを妨げるほど強くはない。この潜在的な問題を軽減する1つの方法は、リスト140を曲げるためのケーブル145の作動の間に、いくらかの圧縮荷重に耐えかつディスク142に対する過剰な圧縮荷重を妨げる適切な内部バネ144を選択することである。この内部バネ144は、シリコーンゴムなどから作られ得る。さらなるシリコン部材150が、同様に、作動ケーブルを囲み得る。代替的実施形態において、別個のディスク142が、1つの連続するらせんストリップによって置換され得る。
【0048】
代替的実施形態において、リスト160における各ケーブルは、図16および図17において図示されるように、バネ巻き(spring wind)162の中に収容され得る。内部バネ164がまた設けられる。このディスク170は、(図14および図15におけるディスク142のように)ケーブルを受容するために、環状フランジおよび穴なしで作製され得る。バネ巻き162の内部の中実のマンドレルワイヤ172は、ディスク170の周辺部に沿って所定の位置に配置され得る。中心ワイヤマンドレル174は、内部バネ164を巻き付けるために中央に設けられる。このアセンブリは、シリコーンなどで製作され得、その後、このマンドレルワイヤ172、174が取り外され得る。カバーなどのいくつかの形態は、シリコーンがディスク170の球面状接合表面に貼り付かないようにするために使用され得る。この小さなマンドレルバネ172は、リスト160が湾曲するときに収縮するための余地を提供する小さな間隙を(密着高さの代わりに)残すように巻かれる。このシリコーンは、望ましくは、ディスク170およびバネ172、174の結合したアセンブリにねじり剛性を提供するために、ディスク170に十分に完全に結合される。絶縁性のシリコーン材料は、リスト160を組み込む焼灼ツールのための焼灼絶縁体として働き得る。
【0049】
G.エラストマー部材によって分離されたディスクを有するリスト
図18は、エラストマー部材184によって分離された複数のディスク182を有するリスト180を示す。このエラストマー部材184は、環状部材であってもよいし、ディスク182の周辺部の周りに配置される複数のブロックを備えていてもよい。図14のリスト140と同様に、内部バネ186は、このディスク182およびエラストマー部材184の内部空間に提供されるが、複数のケーブルまたはワイヤ188が、ピッチおよびヨーにおいてリスト180を湾曲するために使用される。このディスク182は、ネジ山が切られるかまたは内部バネ184に連結され、エンドエフェクター用のケーブルを引っ張るための管腔として働く。この内部バネ184は、軸方向の剛性を提供するので、引っ張っているケーブルを通してエンドエフェクターに付与される力は、リスト180を歪ませない。このリスト180の構成は、リスト140よりもヒトの脊柱に類似している。このエラストマー部材184は、ピッチおよびヨーにおいてリスト180の湾曲を可能にするために弾性的に変形する。エラストマー部材184を使用すると、ディスク182と関連する摩擦力との間で表面を接合する必要性がなくなる。
【0050】
H.ピッチ湾曲およびヨー湾曲のために交互になっているリブ支持ディスクを有するリスト
図19は、複数のディスク192を備えるリスト190を示し、これらディスクは、リスト190のピッチ湾曲およびヨー湾曲を容易にするために直交する方向に方向付けられた交互になっている梁(beam)またはリブ(rib)194、196によって支持されている。このリスト190は、ほぼ直交するリブ194、196の交互になっている層を隣接するディスク192の間に残すために、隣接するディスク192の間のカットアウトを除去することによって、チューブから形成され得る。このディスク192は、作動ケーブルが貫通するための穴198を有する。これらディスク192およびリブ194、196は、種々の材料(例えば、鋼、アルミニウム、ニチノール、またはプラスチック)から作られ得る。図20において図示されるようなリスト200の代替的実施形態において、このディスク202は、ケーブルを受容するための穴の代わりに、スロット204を備える。このようなチューブは、ケーブルを貫通させるための穴を備えるチューブよりも押し出し成形するのが容易である。バネ206は、ケーブルを支持するために、ディスク202の上に巻かれる。
【0051】
図21において、リスト210は、交互になっている梁またはリブ214、216によって支持されるディスク212を備え、この梁またはリブは、リブ214、216をディスク212の間の空間よりも長くするために、ディスク212の中へリブの両側にカットまたはスリット217を有する。この構成は、同じリストの長さで、図19におけるリスト190よりも小さな曲率半径での湾曲を容易にし得るか、あるいはより短いリストを使用して、同じ曲率半径を達成し得る。隣接するディスク212の間の約15°の湾曲角度は、これらの実施形態において代表的である。このディスク212は、作動ケーブルを受容するための穴218を有する。
【0052】
I.コイルバネに沿って配置された薄いディスクを採用するリスト
図22は、複数の薄いディスク224とともにコイルバネ222を備えるリスト220の一部を示す。この薄いディスクは、バネ222の長さに沿って配置される。わずか2枚のディスク224が、図23および図24において図示されるように、互いに対して直交しているタブ226とともに、方向付けられている224Aおよび224Bを含め、図22のリスト部分において認められる。このバネ222は、ディスク224を挿入するために設けられている間隙を除いて、密着高さで巻かれている。このバネ222は、内部縁部およびディスク224のタブ226付近で、ディスク224に接続される。このディスク224は、エッチングによって形成され得、作動ケーブルを受容するための穴228を備える。このタブ226は、バネ222が、ピッチおよびヨーにおいてリスト220が湾曲する間に特定の点で湾曲することを可能にするように、支点として機能する。このディスク224は、いくつかの実施形態において、比較的剛性であり得るが、他の実施形態において、湾曲しかつリスト220が湾曲する間にバネ要素として作用するために十分可撓性であり得る。シリコーン外側カバーが、コイルバネ222およびディスク224の周りに絶縁体(dielectric insulator)として設けられ得る。さらに、このバネ222およびディスク224のアセンブリは、例えば、図25および図26における外側部品または外装部品(armor piece)250から形成される外側構造体によって保護され得る。各外装備品250は、外側接合表面252および内側接合表面254を備える。1つの外装部品250の外側接合表面252は、隣接する外装部品250の内側接合表面254と接合する。この外側部品250は、バネ222の長さに沿って積み重ねられ、リスト220の湾曲から回転するときに接触したままである。
【0053】
J.外側の編み組みワイヤ(braided wire)を有するリスト
この可撓性リストは、精度について付与される荷重に対する、種々の材料の剛性に依存する。すなわち、使用される材料が剛性になるほどおよび/またはリストの長さが短くなるほどおよび/またはリストの直径が大きくなるほど、及ぼされる所定の外科手術の力の下でリストに関して存在する横向きの変形が少なくなる。引っ張っているケーブルが、無視できる程度のコンプライアンスを有する場合、リストの末端の角度は、正確に決定され得るが、このケーブルによって打ち消されない力の下で、逸脱する変形または横方向の変形が存在し得る。リストがまっすぐでありかつそのような力が及ぼされる場合、例えば、リストは、S字型の変形を呈し得る。これを打ち消す1つの方法は、リストに対して、十分に剛性のかつ適切なジオメトリー(geometry)の材料を用いることである。別の方法は、米国特許出願第10/187,248号に記載されるように、引っ張っているケーブルの半分が、リストの長さに沿って途中で終端をなすようにして、残りのケーブルと同程度遠位に半分が引っ張られるようにすることである。S字型の変形に対する抵抗が大きくなるほど、モーメントに抵抗する能力を負担する。S字型の変形を避けるさらに別の方法は、リストの外側に編み組みされたカバーを設けることである。
【0054】
図27は、外側ワイヤ274が巻き付けられているチューブ272を有するリスト270を示す。このワイヤ274は、各々、チューブ272の末端の間の約360°回転を覆うように巻き付けられる。リスト270のねじり剛性を増大させ、リスト270のS字型変形を避けるために、外側ワイヤ274は、チューブ272の上の編み組みカバーを形成するように巻き付けられ得る。この編み組みカバーを形成するために、右巻きセットおよび左巻きセット(すなわち、一方は時計回り、網一方は反時計回り)を含む2セットのワイヤが、編み合わされる。編み合わせまたは編みは、時計回りのワイヤおよび反時計回りのワイヤが互いに対して半径方向に動かないようにする。例えば、ねじりの下で、一方のセットのワイヤが、直径を増大させようとする一方で、他方のセットが収縮するので、このねじり剛性が作り出される。この編み組みは、一方のセットが他方とは異ならないようにし、ねじり変形に抵抗する。外側ワイヤ274の覆っている長さは、リスト270が円弧で湾曲するが、外側ワイヤ274が、軸方向にスライドすることが必要であるときに、その編み組みの個々のワイヤ各々が長さを増大させる必要がないように、リスト270の長さと等しくすることが望ましい。この編み組みは、外側ワイヤ274が長さを増す必要があるので、リスト270のS字型変形に耐える。さらに、この編み組みはまた、リストがえぐられたり切断されたりしないように保護し、外装として作用し得る。この編み組カバーが非導電性である場合、このカバーは最も外層にあり、リスト270の外装として作用し得る。リストの増大したねじり剛性およびS字型変形の回避はまた、右巻きで始まって、左巻きで覆われ、次に別の右巻きで覆われる、層状になったバネによって達成され得る。このバネは、編み合わせられない。
【0055】
K.リストカバー
上記は、リストのためのいくつかの外装またはカバーを開示する。図28および図29は、リストカバーのさらなる例を示す。図28において、このリストカバー280は、非導電性材料(例えば、プラスチックまたはセラミック)の平坦ならせんによって形成される。リストが湾曲すると、このらせん状カバー280の異なる巻きが、互いの上をスライドする。図29は、らせんの隣接する層の間が重なり合うことを確実にするために、湾曲縁部(bent edge)または曲がり縁部(curled edge)292を備えるリストカバー290を示す。ねじり剛性をリストに与えるために、このリストカバー300は、リストの軸に対して平行に方向付けられた隆起または溝302を備え得る。この隆起302は、あるらせん層から次の層までのスプラインとして作用し、リストに対するねじりスタビライザー(torsional stabilizer)を構成する。ステントのように構成されたニチノールレーザーカバーの議論が付言される。
【0056】
従って、図1〜図30は、可撓性リストを備える外科手術用器具の種々の実施形態を図示する。特定の例示的実施形態に関して記載されるが、これらの実施形態は、本発明を例示するに過ぎず、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の原理は、多くの特定のシステムおよび実施形態に適用され得る。
【0057】
図31〜図34は、心臓組織切除(CTA)処置において切除カテーテルまたは他のデバイスの安全な配置を容易にしかつこれらのデバイスの視覚的な確認を提供するために、可撓性リストを備える外科手術用器具(例えば、内視鏡など)の種々の実施形態を図示する。図31〜図34に図示される本発明のいくらかの部分は、図1〜図30における対応する物に類似しており、同様の要素が、プライム(’)が付された参照番号によってそうであることが示される。このような類似物が存在する場合、類似かつ図1〜図30におけるものと類似の様式で機能する、図31〜図34の本発明の構造体/要素は、繰り返して詳細には記載されない。本発明がCTA処置への適用に限定されず、他の外科手術適用をも有することは、明らかなはずである。さらに、本発明が最小限に侵襲性のロボット外科手術の領域においてその最良の適用を見出す一方で、本発明が、外科手術ロボットの補助なしでも、あらゆる最小限に侵襲性の外科手術において使用され得ることが明らかなはずである。
【0058】
L.連接式/操縦可能な内視鏡
ここで図31を参照すると、本発明に従う、ロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される内視鏡310の一実施形態が図示される。この内視鏡310は、細長いシャフト14’を備える。可撓性リスト10’は、シャフト14’の作業末端に位置する。ハウジング53’は、外科手術用器具310が、シャフト14’の対向する末端に位置したロボットアーム(示さず)に解放可能に連結することを可能にする。内視鏡カメラレンズは、可撓性リスト10’の遠位端において与えられる。この管腔(示さず)は、ハウジング53’を備える可撓性リスト10’の遠位端をつなぐシャフト14’の長さに沿って延びる。「ファイバースコープ」実施形態において、内視鏡310の画像化センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD))が、ハウジング53’の中に取り付けられ得、このハウジングには、シャフト14’の長さに沿って管腔の内部を延びて可撓性リスト10’の遠位端に実質的に終わる光ファイバーが接続される。このCCDは、次いで、ハウジング53’の末端に位置したコネクタ314を介してカメラ制御ユニットに連結される。代替の「チップ・オン・スティック(chip−on−a−stick)」実施形態において、内視鏡310の画像化センサは、有線または無線いずれかの電気接続で、可撓性リスト10’の遠位端においてカメラ制御ユニットに取り付けられ得る。このカメラ制御ユニットは、ハウジング53’の末端にあるコネクタ314へと連結される。この画像化センサは、二次元または三次元であり得る。
【0059】
内視鏡310は、可撓性リスト10’の遠位端の先端において内視鏡レンズ314を覆いかつ保護するためにキャップ312を有する。キャップ312は、半円形であっても、円錐形などであってもよく、器具が、外科手術部位の中で/その部位の付近で操縦する間に組織から離れてそれないようにする。キャップ312は、硝子、透明プラスチックなどから作製され得、内視鏡310が、明瞭な視認および画像の捕捉を可能にするために透明である。明瞭な視認および画像の捕捉を可能にする特定の条件下で、キャップ312は、同様に半透明であり得る。代替的実施形態において、キャップ312は、内視鏡310の視認性能の改善/増大のために、膨脹式(例えば、その通常の大きさの3倍まで)である。膨脹式キャップ312は、可撓性の透明なポリエチレンから作られ得る。この透明なポリエチレンから血管形成術用バルーンが作られ得るか、または類似の材料から作られ得る。このようにして、キャップ312の大きさ、および結果として内視鏡310が挿入される最小限に侵襲性の外科手術用ポートの大きさが、最小にされ得る。内視鏡310を外科手術部位に挿入した後、キャップ312は、次いで、視認の増大/改善を提供するために膨脹され得る。よって、キャップ312は、キャップ312を要求され次第膨脹するための適切な圧力を提供するために、流体源(例えば、生理食塩水、空気、または他のガス源)に連結され得る。
【0060】
可撓性リスト10’は、内部の身体組織、器官などの周りで容易に内視鏡310を連接しかつ操縦して、望ましい目的地(例えば、心外膜組織または心筋組織)に到達することを可能にするために、少なくとも1自由度を有する。可撓性リスト10’は、上記の図1〜図30に対して記載される実施形態のいずれかであり得る。ハウジング53’はまた、可撓性リスト10’の遠位部分(これは、内視鏡を収容する)を連接するための駆動機構を収容する。この駆動機構は、ケーブル駆動機構、ギア駆動機構、ベルト駆動機構、または他の型の機構であり得る。例示的な駆動機構およびハウジング53’は、米国特許第6,394,998号(本明細書に参考として援用される)に記載される。その例示的な駆動機構は、可撓性リスト10’に対して2自由度を提供し、シャフト14’が、シャフトの長さに沿った軸の周りで回転するようにする。CTA手順において、この連接式内視鏡310は、内部器官、組織などの周りで操縦かつ連接し、視認が困難なかつ/または達するのが困難な場所の視覚的画像を取得する。この取得された画像は、所望の心臓組織上への切除カテーテルの配置を補助するために使用され得る。この連接式内視鏡が、唯一の利用される範囲であってもよいし、主要な内視鏡から取得される主要な画像に対して、その外科手術部位の別の視野を提供するために、第2の範囲または第3の範囲として使用されてもよい。
【0061】
M.解放可能に取り付けられる切除カテーテル/デバイスを備える連接式内視鏡
上記の連接式内視鏡の延長として、望ましい心臓組織上への切除カテーテルの配置をさらに補助するために、カテーテルが、連接式内視鏡に解放可能に連結され得る。図32は、解放可能な一連のクリップ320によって内視鏡310に解放可能に連結されるカテーテル321を図示する。他の型の解放可能な連結(機械的または他のもの)もまた使用され得、本発明の範囲内に十分入り得る。図32に示されるように、クリップ320は、切除デバイス/カテーテル321が内視鏡310に解放可能に取り付けられることを可能にし、その結果、切除デバイス/カテーテル321は、CTA手順において望ましい外科手術の目的地に達するために、駆動され、操縦され、構造体(例えば、肺血管など)の周りで連接されるときに内視鏡310の後に続く。連接式内視鏡310および取り付けられた切除デバイス/カテーテル321がその目的地に達すると、カテーテル321は、例えば、ロボットアームに接続された別の器具によって適切な場所に保持/維持される一方で、内視鏡310は、切除デバイス/カテーテル321から解放され、取り外される。このようにして、操縦する間に内視鏡310によって撮影された、視認が困難なかつ/または到達するのが困難な場所の画像は、ガイダンス目的で利用され得る。さらに、この内視鏡の連接は、到達するのが困難な心臓組織上への切除デバイス/カテーテル321の配置をさらに容易にする。
【0062】
代替的実施形態において、デバイス/カテーテル自体の代わりに、カテーテルガイド331が、内視鏡310に解放可能に取り付けられ得る。図33において図示されるように、カテーテルガイド331は、次いで、上記のように議論される最終的な目的地へと連接式内視鏡310によって同様にガイドされる。連接式内視鏡310および取り付けられたカテーテルガイド331がその目的地に達すると、カテーテルガイド331が、例えば、ロボットアームに接続された別の器具によって適切な場所に保持/維持される一方で、内視鏡310は、カテーテルガイド331から解放され、取り外される。次いで、切除カテーテル/デバイスは、その近位端332においてカテーテルガイド331を使用する場所にスライドされ得る。一実施形態において、カテーテルガイド331は、そのカテーテルが適切な場所にスライドすることを可能にするように、クリップ320のような解放可能な連結を利用する。別の実施形態において、カテーテルガイド331は、内視鏡310の中に構築された管腔を利用する。この管腔の中に、カテーテルガイド331が滑り込んで、目的に達するようにガイドされ得る。
【0063】
N.内視鏡をガイドするための管腔を備える連接式器具
なお別の実施形態において、連接式内視鏡を有する代わりに、エンドエフェクターが、望ましい連接を備える器具を設けるために、可撓性リストに取り付けられる。この連接式器具は、例えば、上記の図1〜図2に関連して記載された。しかし、この連接式器具は、器具のシャフトに沿って延びる管腔(例えば、空洞、作業チャネルなど)をさらに備え、この管腔の中に、外部からの内視鏡が挿入され得、可撓性リストの先端に向かってガイドされる。この実施形態は、解放可能に取り付けられた切除カテーテル/デバイスを備えるかまたは上記のような解放可能に取り付けられたカテーテルガイドを備える連接式内視鏡の実質的に同じ機能を成し遂げる。この差異は、内蔵式管腔への挿入を介して、その切除カテーテル/デバイスが、内視鏡がその切除デバイスに解放可能に取り付けられている状態で駆動および操縦するために使用されることである。内蔵式管腔によって、解放可能な連結物(例えば、クリップ)が除去される。
【0064】
ここで図34を参照すると、本発明に従うビデオ接続の一実施形態を例示するビデオブロック図が図示される。図34に図示されるように、カメラ制御ユニット342は、連接式内視鏡310の操作(例えば、拡大、縮小、解像度モード、画像捕捉など)を制御する。連接式内視鏡310によって捉えられた画像は、主要ディスプレイモニター343および/または補助ディスプレイモニター344に供給される前に、処理するためにカメラ制御ユニット342に提供される。このシステム中の他の利用可能な内視鏡345(例えば、主要内視鏡など)は、それら自体のカメラ制御ユニット346によって同様に制御される。取得された画像は、主要ディスプレイモニター343および/または補助ディスプレイモニター344に同様に供給される。代表的には、主要モニター343は、主要内視鏡から取得された画像(三次元であり得る)をディスプレイする。連接式内視鏡310(または連接式器具の管腔に挿入された内視鏡)から取得された画像は、補助ディスプレイモニター344上にディスプレイされ得る。あるいは、連接式内視鏡310(または連接式器具の管腔に挿入された内視鏡)から取得された画像は、主要ディスプレイモニター343上に補助情報としてディスプレイされ得る(米国特許第6,522,906号(本明細書に参考として援用される)における詳細な説明を参照のこと)。
【0065】
上記の連接式器具/内視鏡は、連接式器具/内視鏡を清潔にかつ無菌状態に維持するために、コンドームによく似た任意の滅菌シースによって覆われ得る。このことによって、外科手術手順において使用した後に、これらの器具/内視鏡を滅菌する必要性を回避する。このような滅菌シースは、内視鏡が画像を明瞭に視認して捉えることを可能にするために半透明である必要がある。従って、滅菌シースは、ラテックス様材料(例えば、Kraton(登録商標)、ポリウレタンなど)から作られ得る。一実施形態において、滅菌シースおよびキャップ312は、同じ材料から作製され得、一部品として一緒に接続され得る。次いで、キャップ312は、機械的または他の型のファスナーによってシャフト14’に固定され得る。
【0066】
従って、図31〜図34は、心臓組織切除(CTA)処置において切除カテーテルまたは他のデバイスの安全な配置を促進しかつこれらデバイスの視覚的確認を提供するために、可撓性リストを備える外科手術用器具(例えば、内視鏡など)の種々の実施形態を図示する。特定の例示的実施形態に関して記載されているが、これらの実施形態は、本発明を例示するに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。むしろ、本発明の原理は、多くの特定のシステムおよび実施形態に適用され得る。
【0067】
図35〜図37は、本発明に従う、連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡を図示する。図35〜図37に図示される本発明のいくらかの部分は、図1〜図34および参考として援用される文献中で記載される他の図面におけるそれらの対応する物に類似しており、同様の要素は、ダブルプライム(”)が付された参照番号によってそうであることが示される。このような類似のものが存在する場合、類似でありかつ図1〜図34におけるものと類似の様式で機能する、図35〜図37の本発明の構造体/要素は、繰り返して詳細に記載されない。
【0068】
O.連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡
ここで図35を参照すると、本発明に従うロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される連接式かつ交換可能な内視鏡310”の一実施形態が図示される。この内視鏡310”は、細長いシャフト14”を備える。可撓性リスト10”は、シャフト14”の作業末端に位置する。ハウジング53”は、外科手術用器具310が例えば、米国特許第6,331,181号および同第6,394,998号に記載されるもののような、シャフト14”の反対の末端に位置したロボットアーム(示さず)に解放可能に連結することを可能にする。米国特許第6,451,027号に記載されるロボットアーム(これは、より重くかつかさばる内視鏡カメラを維持するために設計されている)とは異なり、米国特許第6,331,181号および同第6,394,998号(これらは、その全体が本明細書に参考として援用される)に記載されるロボットアームは、より軽量の外科手術用器具のために設計されている。互換性(interchangeablity)/交換性(swappability)を達成するために、米国特許第6,331,181号および同第6,394,998号に記載されるものに類似のロボットアーム設計が、外科手術ロボットのアーム全てに関して使用されるべきである。言い換えると、外科手術用内視鏡を主に保持するために設計されたロボットアームを使用する代わりに、より軽い荷重のために設計された汎用的(universal)/標準的ロボットアームが、外科手術用内視鏡を含め、全ての型の外科手術用器具を保持するために使用される。このようにして、外科手術用内視鏡は、外科手術ロボットの複数の外科手術ロボットアームのいずれかに取り付けられ得る。それによって、外科手術用内視鏡が、手順の間に必要なときに、種々の外科手術用アーム間で交換されることが可能になる。結果として、外科医は、代表的には、従来の腹腔鏡検査法において起こっていたように、ポート間で内視鏡を交換することが可能である。この交換は、1つのアームから内視鏡を解放かつ外し、次いで、その内視鏡を異なるアームに取り付けかつロックすることによって、容易に行われ得る。このことによって、内視鏡が、患者の身体において異なる外科手術用ポートに挿入されるようになる。さらに、このロボットによる外科手術システムの機械的かつ構造的設計は、種々の型の器具のアームにもはや合わせる必要がないので、単純化され得る。
【0069】
この目標を達成するために、この内視鏡は、より小さくかつ軽量にする必要がある。本発明に従って、内視鏡カメラレンズは、可撓性リスト10”の遠位端において与えられる。管腔(示さず)は、シャフト14”の長さに沿って延び、このシャフトは、可撓性リスト10”の遠位端を、ハウジング53”と接続する。好ましい「チップ・オン・スティック」実施形態において、内視鏡310”の画像化センサが、有線または無線いずれかの電気接続で、ハウジング53”の末端にあるコネクタ314”に連結されたカメラ制御ユニットに、可撓性リスト10’の遠位端において取り付けられ得る。この画像化センサは、二次元(2D)であってもよいし、三次元(3D)であってもよい。いくつかの複雑な信号処理技術が、2D画像化センサから3D画像を導くために使用され得る。いくつかの例示的な市販のチップ・オン・スティック内視鏡の解決法としては、Melville,New YorkのOlympus America,Inc.、Petach Tiqua,IsraelのVisionsenseなどが挙げられる。このようなチップ・オン・スティック実施形態は、その以前の大きさの何分の一かに内視鏡の大きさを縮小することができかつその重量をある程度まで軽くすることができる。よって、内視鏡の大きさおよび重量は、内視鏡の取り付け/取り外しおよび操縦において困難性を何らもたらさない。代替的な「ファイバースコープ」実施形態において、内視鏡310”の画像化センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD))は、シャフト14”の長さに沿って管腔の中を延びかつ可撓性リスト10”の遠位端で実質的に終わる接続される光ファイバーでハウジング53”の内部に取り付けられ得る。
【0070】
内視鏡310”は、可撓性リスト10”の遠位端の先端において内視鏡レンズ314”を覆いかつ保護するためにキャップ312”を有し得る。キャップ312”は、半円形であってもよいし、円錐形などであってもよく、器具が外科手術部位の内部/その部位の付近で操縦する間に組織から離れてそれないようにすることを可能にする。キャップ312”は、ガラス、透明プラスチックなどから作製され得、内視鏡310”が画像を明瞭に視認してとらえることを可能にするように透明である。明瞭な視認および画像捕捉を可能にする特定の条件下で、キャップ312”は、同様に半透明であり得る。代替的実施形態において、キャップ312”は、内視鏡310”の視認性能の改善/増大のために、膨脹式(例えば、その通常の大きさの3倍まで)である。膨脹式キャップ312”は、可撓性の透明なポリエチレンから作製され得る。ポリエチレンから血管形成術バルーンが作製されるかまたは、類似の材料から作製される。このようにして、キャップ312”の大きさおよび結果として内視鏡310”が挿入される最小限に侵襲性の外科手術ポートの大きさは、最小にされ得る。内視鏡310”を外科手術部位に挿入した後、キャップ312”は、視認性の増大/改善を提供するために膨脹され得る。従って、キャップ312”は、キャップ312”を要求され次第膨脹するための適切な圧力を提供するために、流体源(例えば、生理食塩水源、空気源、または他のガス源)に連結され得る。
【0071】
可撓性リスト10”は、内部の身体組織、器官などの周りで内視鏡310を容易に連接しかつ操縦して、望ましい目的地(例えば、心外膜組織または心筋組織)に到達することを可能にするために、さらなる自由度を提供する。可撓性リスト10”は、上記の図1〜図30に対して記載されるかまたは米国特許第6,817,974号において記載される実施形態、複数のジョイントなどを有する他の実施形態のいずれかであり得る。ハウジング53”はまた、可撓性リスト10”の遠位部分(これは、内視鏡を収容する)を連接するための駆動機構を収容する。この駆動機構は、ケーブル駆動機構、ギア駆動機構、ベルト駆動機構、または他の型の機構であり得る。例示的な駆動機構およびハウジング53”は、米国特許第6,394,998号(本明細書に参考として援用される)に記載される。その例示的な駆動機構は、可撓性リスト10”に対して2自由度(ピッチおよびヨー)を提供し、シャフト14”が、シャフトの長さに沿った軸の周りで回転(ロール)するようにする。このピッチ自由度およびヨー自由度は、内視鏡レンズの先端に直ぐ近接しているリスト10”の、それぞれ、仮想水平軸および仮想垂直軸の周りでの湾曲であり、挿入/抜き取り運動(例えば、x、y、およびzのデカルト座標系の運動)および器具シャフト回転(例えば、ロール運動)に加えられる。よって、内視鏡310”は、外科医に内視鏡のさらなる自由度を制御するための直観的方法をどのように提供するかという問題を提起する他のロボットによる外科手術用器具(例えば、把持器など)と同じ自由度が提供される。
【0072】
P.スレーブ器具のカメラ基準制御パラダイム
外科医に複雑な外科手術ロボットを制御する直観的方法を提供することが望ましい。外科医は高度な技術を要しかつ複雑な外科手術手順に没頭するようになるので、彼は、外科手術ロボットがどのようにその責務を果たすかに気付く必要はなく、おそらくときおり、彼は、彼によって指示されているようにロボットが操作しかつその課せられた仕事を果たす方法の直観性に起因して外科手術手順を行うためにロボットを使用しているということを忘れてしまう。直観性 対 反直観性の極めて単純化した例示的図解として、図36を考える。図36は、内視鏡がまっすぐ前を指した水平ゲージ(level gaze)を有する場合、ワールド基準(world−reference)(画像基準ともいう)制御とカメラ基準(例えば、内視鏡の遠位端に取り付けられた系)制御との間に差異はないことを図示する。しかし、カメラが、例えば、時計回りに90°回転したとき、カメラ基準系におけるスレーブ器具の動きを基準にすると、器具運動を外科医に対して直観的にし続けることにおいて、大きさ差異が生じる。なぜなら、この器具が、ワールド基準に基づいている場合、外科医の手の左右運動が、外科手術用器具の上下運動を引き起こすように見えるからである。よって、米国特許第6,364,888号(本明細書中以降、‘888特許という)および米国特許第6,424,885号(本明細書中以降‘885特許という)(これらは、その全体が本明細書に参考として援用される)は、このような直観性を提供するために、全てのスレーブ器具運動および内視鏡カメラ基準系における方向付けを制御することを記載する。しかし、‘888特許および‘885特許に記載される内視鏡は、本発明における内視鏡のように、ピッチ自由度およびヨー自由度を有しない。よって、これらの自由度と関連する課題および結果的にパラダイムは、予期されない。
【0073】
このようなパラダイムの第1のものは、次に議論される。本発明に従う内視鏡が、ピッチ運動またはヨー運動を受ける場合、画像がカメラ基準系から視認されれば、画像は外科医にとって反直観的であり得る。これは、内視鏡が上に傾いた場合、カメラ基準系からの画像では、外科医が直観的に期待する上を向いた画像ではなく、下を向いているように見えることが原因である。この内視鏡が下に傾いた場合、カメラ基準系からの画像は、外科医が直観的に期待する下を向いた画像ではなく、上を向いているように見える。同様に、この内視鏡が左に傾けられる場合、カメラからの画像は、外科医が直観的に期待する左を向いた画像ではなく、右を向いているように見える。この内視鏡が右に傾けられる場合、カメラからの画像は、外科医が直観的に期待する右を向いた画像ではなく、左に向いているようにみえる。このように反直観性は予期しないことであり、本発明において望まれる直観性を維持するために、カメラ基準系から、内視鏡のピッチ運動およびヨー運動のワールド基準/画像基準の基準系へと、スレーブ外科手術用器具の基準系を変更する必要がある。スレーブ外科手術用器具の基準系は、本発明において、全ての他の内視鏡の自由度(例えば、x、y、およびzのデカルト座標系の挿入/引き抜き運動および器具シャフトの回転運動)に関してカメラ基準系を保持する。言い換えると、さらなる自由度のための基準系が、外科手術ロボットの内視鏡と関連する従来の自由度の基準系から分断される。にもかかわらず、本発明に従って、いくつかの適用に関しては、連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡の6自由度のうちの各々およびいずれかを制御するために、カメラ基準系とワールド基準系との間で選択を与えることは有利であり得ることが理解されるべきである。言い換えると、連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡の6自由度のいずれかまたは全てが、カメラ基準系またはワールド基準系のいずれかにおいて制御され得る。
【0074】
マスター−スレーブ外科手術ロボットシステム(例えば、da Vinci(登録商標)システム)において、6自由度のうちのいずれか(または全て)が、カメラ基準系において制御されるとすると、その基準系は、位置および/または方向付けに関して、カメラの動きとともに変化している。言い換えると、スレーブ(例えば、内視鏡カメラ)に対するマスター(すなわち、外科医の眼)の関係は、カメラの動きに起因して変化している。このことによって、このような変化が補償されない限り、外科医の入力に対して彼の認知の直観性が、反対に実行され得る。この補償は、制御変換を介して、マスター入力デバイスを位置変更する(reposition)ことによって達成される。より具体的には、このマスター/眼の変換は、変化しているスレーブ/カメラ変換に適合するように調節される。好ましくは、このようなマスター整列補償は、カメラ制御の後に(すなわち、順番に(sequential))より大きな補償を行うのではなく、カメラ制御の間に(すなわち、リアルタイムまたはリアルタイムに近く)(増分変換(incremental
transform)を介して)連続的かつ少しずつ行われる。なぜなら、関連づけられた遅れ時間が最小にされるからである。このようなマスター整列補償は、非可撓性かつ操縦可能でない内視鏡システムにおいても、6自由度全てがワールド基準系で制御される場合においても必要とされないことが理解される。なぜなら、この基準系は、これらの場合には不変であるからである。
【0075】
マスター入力デバイス(例えば、米国特許第6,714,839号(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)に記載されるものは、少なくとも6自由度で操縦され得る。別個のマスター入力デバイスが、図38に示されるように、ユーザーの右手と左手で使用される場合、少なくとも合計12自由度が、内視鏡カメラの位置および方向付け、ならびに機能(例えば、絞り、開口など)を制御するために、この2つのマスター入力デバイスを実際に組み合わせることから利用可能である。図38は、自転車のハンドルバーと類似の様式で操作するために実際に組み合わされた2つのマスター入力デバイスを図示する。このカメラは、X軸、Y軸およびZ軸に沿って動くことができ、かつこれらの軸の周りで回転することができるので、実際に組み合わされたマスター入力デバイスからの6自由度は、速度(velocity)(速度(rate)ともいう)または位置いずれかの制御を使用して、これらの6つの位置および方向付けを命令するために必要とされる。さらに、実質的に組み合わされたマスター入力デバイスからの3自由度は、組み合わされたマスター入力デバイスの幾何的な制約を実施する/処理するために必要とされる。従って、少なくとも3つの予備の自由度が、他のカメラ機能(例えば、絞り(focus)、開口(aperture)など)を命令するために依然として利用可能である。好ましい実施形態において、これらの他のカメラ機能を命令するために使用される3自由度は、以下のとおりである:ハンドルバーの旋回(すなわち、2つのマスター入力デバイス)、ハンドルバーの湾曲、および各マスター入力デバイスの反対の方向への回転。
【0076】
任意の数学的変化(例えば、基準系の位置/方向付けの変換)、ならびにこのような基準系変化と関連する制御系変化(例えば、制御アルゴリズム)が、‘888特許および‘885特許の関連する詳細な説明に鑑みて、導かれ得かつ実施され得ることは当業者に明らかなはずである。よって、簡略さおよび明瞭さを目的として、このことに関するさらなる議論は、本明細書に提供されない。
【0077】
Q.ピッチ運動およびヨー運動のための回転点
第2の制御パラダイムは、連接式/操縦可能なおよび交換可能な内視鏡のための回転点の選択を伴う。この回転点は、この内視鏡画像の基準系が回転する点である。この回転点は、外科医に直観性の観念および外科手術部位の最適な画像を提供するように選択される。本発明に従う連接式の交換可能な内視鏡に関して、適切に選択された回転点と組み合わせたカメラレンズのさらなるピッチ運動およびヨー運動(個々にまたは両方が同時に、のいずれにせよ)は、内視鏡を(おそらく他の自由度と組み合わせて)操縦して、カメラ基準系に対して外科手術部位内部の解剖学的構造の(惑星の周りを周回する衛生によって観察される画像に類似する)環状画像を提供するために、使用され得る。回転点のこのような選択は、従来のロボットによる外科手術用内視鏡(例えば、ピッチ運動およびヨー運動なしの内視鏡)のために必要とされず、よって、認識されていないことが注意される。この回転点の候補としては、以下が挙げられる:内視鏡の最大作業範囲(例えば、オリンパス内視鏡の遠位先端から約38mm)内の点であり得る外科手術部位の想定される中心、可撓性リスト10”の直ぐ近くの領域における点、内視鏡による外科手術部位の進入点など。
【0078】
ここで図37が参照され、本発明に従う内視鏡310”の異なる可能な回転点が図示される。図37において示されるように、内視鏡310”は、器官372の周りの外科手術部位においてポート371に挿入されている。点373は、想定される中心であり、点374は、可撓性リスト10”に隣接した点または可撓性リスト10”上の点であり、点375は、内視鏡310”が外科手術部位に入る点である。
【0079】
想定される中心の回転点は、最も論理的であり得る。なぜなら、外科手術部位における大部分の活動は、内視鏡の先端の直ぐ周りを取り囲む領域において生じるようであり、拡大縮小性能とともに本発明の連接式/操縦可能な内視鏡の6自由度を考慮すると、微小な調節が、望ましい最適な画像を得るために素早くなされ得るからである。しかし、内視鏡310”の近位端(後ろ側の末端)およびより重大なことには内視鏡がカメラレンズのピッチおよび/またはヨー運動がなされる場合に解放可能に連結されるロボットアームと関連する過剰運動に関連するこのような選択において、欠点が存在するものであり得る。なぜなら、内視鏡310”を保持するロボットアームのこの過剰な運動は、望ましくない。このシステムの他のロボットアームの邪魔になり得、その全てが、手順の間に同時に動き、アーム衝突を生じ得るからである。
【0080】
回転点を内視鏡による外科手術部位の進入点へと動かすと、ロボットアームの運動が弱まるようである。なぜなら、回転点とロボットアームとの間の距離が、(組み合わされる回転および平行運動の量を減少させることによって)大いに減少されるが、やはり、物理的制約および幾何的な制約に起因して、外科手術部位の適切とはいえない視認画像を生成するようである。比較すると、回転点が可撓性リスト10”の中心の周りに存在すると、回転点とロボットアームとの間の距離は減少され、それによって、アームの運動はまた、弱められるが、物理的制約およびジオメトリー的制約がより少なくなることに起因して、視認画像が改善される。よって、可撓性リスト10”の中心周辺の点が、本発明の連接式の交換可能な内視鏡にとって好ましい回転点である。回転点の例示的な実行は、マスター制御点をスレーブ制御点にマッピングすることを記載する‘885特許において提供される。
【0081】
上記の装置および方法の配置は、本発明の原理の適用を例示するに過ぎず、多くの他の実施形態および改変が、特許請求の範囲において規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る。よって、本発明の範囲は、上記の説明を参照せずに決められるべきであるが、代わりに、本発明の完全な均等の範囲内とともに、添付の特許請求の範囲を参照して決められるべきである。
【技術分野】
【0001】
(関連米国出願のデータ)
本願は、出願番号第11/071,480号を有する特許出願(2005年3月3日出願)の一部継続出願であり、出願番号第11/071,480号は、出願番号第10/726,795号を有する特許出願(2003年12月2日出願)の一部継続出願であり、出願番号第10/726,795号は、仮出番号願第60/431,636号(2002年12月6日出願)の優先権を主張している。本願はまた、出願番号第10/980,119号を有する特許出願(2004年11月1日出願)の一部継続出願であり、出願番号第10/980,119号は、米国特許第号6,817,974号(2004年11月16日発行)の継続出願であり、米国特許第6,817,974号は、仮出願番号第60/301,967号(2001年6月29日出願)および仮出願番号第60/327,702号(2001年10月5日出願)の優先権を主張している。本願は、以下の特許および特許出願に関連しており、これらの特許及び特許出願の完全な開示が、本明細書に参考として援用される:
米国特許第6,699,235号(発明の名称「Platform Link Wrist Mechanism」、2004年3月2日発行);
米国特許第6,786,896号(発明の名称「Robotic Apparatus」、2004年9月7日発行);
米国特許第6,331,181号(発明の名称「Surgical Robotic Tools,Data Architecture,and Use」、2001年12月18日発行);
米国特許第6,799,065号(発明の名称「Image Shifting Apparatus and Method for a Telerobotic System」、2004年9月28日発行);
米国特許第6,720,988号(発明の名称「Stereo Imaging System and Method for Use in Telerobotic System」、2004年4月13日発行);
米国特許第6,714,839号(発明の名称「Master Having Redundant Degrees of Freedom」、2004年3月30日発行);
米国特許第6,659,939号(発明の名称「Cooperative Minimally Invasive Telesurgery System」、2003年12月9日発行);
米国特許第6,424,885号(発明の名称「Camera Referenced
Control in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」、2002年7月23日発行);
米国特許第6,394,998号(発明の名称「Surgical Tools for Use in Minimally Invasive Telesurgical
Applications」、2002年5月28日発行);および
米国特許第5,808,665号(発明の名称「Endoscopic Surgical Instrument and Method for Use」、1998年9月15日発行);および
米国特許第6,522,906号(発明の名称「Devices and Methods for Presenting and Regulating Auxiliary Information on An Image Display of a Telesurgical System to Assist an Operator in Performing a Surgical Procedure」、2003年2月18日発行)。
【0002】
米国特許第6,364,888号(発明の名称「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」、2002年4月2日発行)。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
本発明は、一般に、内視鏡に関し、より詳細には、ロボットによる外科手術を行うための操縦可能な/連接式の交換可能な内視鏡に関する。
【0004】
最小限に侵襲性の外科手術技術の進歩は、最小限に侵襲性の様式で行われる外科手術の数を劇的に増大させ得る。最小限に侵襲性の医療技術は、診断手順または外科手術手順の間に損傷を受ける無関係の組織の量を減少させることを目的とし、それによって、患者の回復時間、不安、および有害な副作用を減らす。標準的な外科手術のための平均入院期間も、最小限に侵襲性の外科手術技術を用いると有意に短縮され得る。従って、最小限に侵襲性の技術の採用が増大すると、数百万日もの入院日数が削減でき、年間数百万ドルもの入院費用だけでも削減できる。患者の回復時間、患者の不安、外科手術による副作用、および仕事から離れる時間も、最小限に侵襲性の外科手術により減らすことができる。
【0005】
最小限に侵襲性の外科手術の最も一般的な形態は、内視鏡検査法であり得る。おそらく、内視鏡検査法の最も一般的な形態は、腹腔鏡検査法であり、この検査法は、腹腔内部で行われる最小限に侵襲性の検査であり、外科手術である。標準的な腹腔鏡による外科手術において、患者の腹部は、ガスで膨らまされ、カニューレスリーブが、腹腔鏡外科手術用器具のための進入ポートを提供するための小さな(約1/2インチ)切開を通される。この腹腔鏡外科手術器具としては、一般に、腹腔鏡(手術野を視認するため)および作業ツールが挙げられる。その作業ツールは、各ツールの作業末端またはエンドエフェクターが、延長チューブによってそのハンドルから離れていることを除いて、従来の(開放系)外科手術において使用されてきたものと類似している。本明細書で使用される場合、用語「エンドエフェクター(end effector)」とは、外科手術用器具の実際の作業部分を意味し、例えば、クランプ、把持器、ハサミ、ステープラー、およびニードルホルダが挙げられ得る。外科手術手順を行うために、外科医は、これらの作業ツールまたは器具をカニューレスリーブの中を通して、内部の外科手術部位へと通過させ、それらを腹部の外側から操作する。外科医は、腹腔鏡によって撮影された外科手術部位の画像をディスプレイするモニターによってその手順をモニタリングする。類似の内視鏡技術が、例えば、関節鏡検査法、腹膜後鏡検査法、骨盤鏡検査法、腎盂鏡検査法、膀胱鏡検査法、大槽内視鏡検査法(cisternoscopy)、副鼻内視鏡検査法(sinoscopy)、子宮鏡検査法、尿道鏡検査法などにおいて採用される。
【0006】
現時点の最小限に侵襲性の外科手術(MIS)技術に関連する多くの欠点が存在する。例えば、既存のMIS器具は、外科医に、開放系外科手術において見出されるツールの配置の融通性を与えない。最近の腹腔鏡ツールは、剛性のシャフトを有するので、小さい切開部位を通じて作業部位に近づくことが困難であり得る。さらに、多くの内視鏡器具の長さおよび構成は、関連づけられたツールのエンドエフェクターに対して組織および器官に及ぼされる力を外科医が感じる能力を減少させる。内視鏡ツールの操縦性および感度の欠如が、最小限に侵襲性の外科手術の拡大に対する重要な障害である。
【0007】
最小限に侵襲性の遠隔外科手術ロボットシステムが、内部外科手術部位内で作業する場合に外科医の操縦性を増すために、および遠隔位置から外科医が患者に手術を行うことを可能にするために開発されている最中である。遠隔外科手術システムにおいて、外科医には、しばしば、コンピューターワークステーションに外科手術部位の画像が提供される。適切なビューワーまたはディスプレイでこの外科手術部位の三次元画像を見ながら、外科医は、そのワークステーションのマスター入力デバイスまたは制御デバイスを操作することによって、患者に外科手術手順を行う。このマスターは、サーボ機構によって操作される外科手術用器具の運動を制御する。外科手術手順の間に、その遠隔外科手術システムは、マスター制御デバイスの操作に応答して、外科医のために種々の機能(例えば、ニードルを保持または駆動する、血管を把持する、または組織を切除するなど)を果たすエンドエフェクター(例えば、組織把持器、ニードルドライバなど)を有する種々の外科手術用器具またはツールの機械的作動および制御を提供し得る。
【0008】
最小限に侵襲性の外科手術ロボットシステム(例えば、Intuitive Surgical Inc.(Sunnyvale,California)のda Vinci(登録商標))は、従来の腹腔鏡検査法よりも、外科手術の間に、外科医に遙かにより多くの連接(articulation)およびかなり改善された品質の2Dビデオ画像および3Dビデオ画像を提供し得る。現在このような外科手術ロボットシステムは、特定の機能における融通性に関してより制限されている場合がある。特に、それらの大きさおよび重量に起因して、「特定用途のための(dedicated)」ロボットアームを有する外科手術ロボットアーキテクチャーは、内視鏡およびそのカメラヘッド(camera
heard)(例えば、米国特許第6,451,027号に記載されるもの)を保持することが必要とされる。結果として、外科医は、従来の腹腔鏡検査法において代表的に起こっていたように、ポート間でこの内視鏡を交換することはできない。さらに、この内視鏡の大きさおよび重量は、特に、到達困難な領域または隠れた領域を視認するために、内視鏡を外して手動で操縦することにおいて困難を引き起こす。この融通性がないことは、最小限に侵襲性の外科手術ロボットシステムは、心臓および骨盤のような制限された領域での困難な再建手術において勝っている一方で、大きな解剖学的領域(例えば、腹部の複数の4分円)に接近することおよび/または困難な方向から接近することを伴う手順にはあまり適用できないことを意味する。
【0009】
さらに、現時点でのロボットによる内視鏡は、剛性であり、内視鏡の長手軸からまっすぐ前(すなわち、ゼロ(0)°の角度)または30°の角度のいずれかを指し、外科医がより容易に上下を視認することが可能である。結論として、多くの外科手術手順の間に、外科医は、外科手術部位の内部で異なる透視像を得るために、まっすぐ前を向いた観察鏡(scope)と30°傾いた観察鏡との間を何度も前後に切り替えることを必要とし得る。このような観察鏡の切り替えは、外科手術手順の時間、手術の複雑さおよび管理の複雑さ(logistic complexity)を増やすので、安全性さえも懸念される。しかし、観察鏡切り替えを用いたとしても、外科医はなお、ごくわずかな視覚的透視像、よってより小さな領域の可視性に制限される。さらに、外科医は、(例えば、婦人科学手順の間に)障害物の周りにまたは(例えば、心房細動または管腔内診断および管腔内処置の間に)いくつかのトンネルを通り抜けることを必要とする組織の間に隠れている身体組織の望ましい視野を得ることからなお妨げられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、将来の外科手術ロボットアーキテクチャーの単純化を可能にし、より融通の利くポート配置を提供し、より大きな領域の可視性を提供し、手技的な複雑さおよび集中管理の複雑さを加えることも安全性の懸念もなく複数の視覚的透視像を提供し、かつ隠れた身体組織の最も望ましい視野を提供する、外科手術ロボット内視鏡システムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
よって、本発明は、将来の外科手術ロボットアーキテクチャーの単純化を可能にし、より融通の利くポート配置を提供し、より大きな領域の可視性を提供し、手技的な複雑さおよび集中管理の複雑さを加えることも安全性の懸念もなく複数の視覚的透視像を提供し、かつ隠れた身体組織の最も望ましい視野を提供する、連接式の交換可能な外科手術ロボット内視鏡システムおよび方法を提供する。
【0012】
本発明は、最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡によって上記の必要性を満たす。この連接式外科用内視鏡は、細長いシャフト、可撓性リスト(wrist)、内視鏡カメラレンズ、および複数の作動リンクを備える。この細長いシャフトは、作業末端と、近位端と、上記作業末端と上記近位端との間のシャフト軸と、を有する。上記可撓性リストは、遠位端と近位端とを有する。上記可撓性リストの近位端は、上記細長いシャフトの作業末端に接続されている。内視鏡カメラレンズが、上記リストの遠位端に取り付けられている。上記複数の作動リンクは、上記リストと上記細長いシャフトの近位端との間に接続され、その結果、上記リンクは、上記リストに少なくとも1自由度(例えば、リストのピッチ運動およびヨー運動)を提供するように作動可能である。ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系(reference frame)は、少なくとも1自由度の運動の間にユーザーにより大きな直観性を提供するために、上記少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために上記可撓性リストに付属される。逆に、上記内視鏡と関連する他の自由度(例えば、デカルト空間挿入(Cartesian space insertion)/引き抜き運動およびシャフト回転)を制御するために使用される基準系は、上記対象物に付属される。上記最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡は、上記複数のアームのいずれかに解放可能に連結され、上記複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が上記外科手術ロボットシステムのために使用される。
【0013】
上記連接式外科用内視鏡が、上記少なくとも1自由度と関連する解剖学的構造の画像(例えば、環状画像(orbital image))を取得するために使用される場合、このような画像のための上記基準系は、上記内視鏡の近位端において望ましくない運動を最小にするために上記可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転するものである。このような望ましくない運動は、上記少なくとも1自由度を制御するために使用される基準系が、上記可撓性リストに付属される場合にさらに弱められる。
【0014】
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
複数のアームを有する外科手術ロボットシステムに結合された最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡であって、該内視鏡は、
作業末端と、近位端と、該作業末端と該近位端との間のシャフト軸と、を有する細長いシャフト;
遠位端と近位端とを有する可撓性リストであって、該可撓性リストの該近位端が該細長いシャフトの作業末端に接続されている、可撓性リスト;
該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する内視鏡カメラレンズ;および
該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンク;
を備え、ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために該可撓性リストに付属される、
連接式外科用内視鏡。
(項目2)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目3)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目2に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目4)
前記少なくとも1自由度と関連する前記内視鏡によって取得された前記対象物の画像は、前記可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいている、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目5)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目4に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目6)
前記内視鏡は、前記複数のアームのいずれかに解放可能に連結されかつ該複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が前記外科手術ロボットシステムのために使用される、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目7)
前記少なくとも1自由度は、位置制御されているかまたは速度制御されている、項目1に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目8)
複数のアームを有する外科手術ロボットシステムに連結された最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡であって、該内視鏡は、
作業末端と、近位端と、該作業末端と該近位端との間にあるシャフト軸と、を有する細長いシャフト;
遠位端と近位端とを有する可撓性リストであって、該リストの該近位端が該細長いシャフトの該作業末端に接続されている、可撓性リスト;
該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する、内視鏡カメラレンズ;および
該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンク;
を備え、ここで該少なくとも1自由度と関連する該内視鏡により取得される該対象物の画像は、該可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいている、
連接式外科用内視鏡。
(項目9)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目10)
前記少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために前記可撓性リストに付属される、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目11)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目10に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目12)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目11に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目13)
前記内視鏡は、前記複数のアームのいずれかに解放可能に連結されかつ該複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が前記外科手術ロボットシステムのために使用される、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。(項目14)
前記少なくとも1自由度は、位置制御されているかまたは速度制御されている、項目8に記載の最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡。
(項目15)
少なくとも1自由度の運動を有する可撓性リストを有する最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡について、ユーザーにより多くの直観性を提供する方法であって、該方法は、少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系を、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために、該可撓性リストに付属させる工程を包含する、方法。
(項目16)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目16に記載の方法。
(項目18)
少なくとも1自由度と関連する対象物の画像を取得する場合に、少なくとも1自由度の運動を有する遠位端において可撓性リストを有する連接式外科用内視鏡の近位端の運動を弱める方法であって、該方法は、該少なくとも1自由度と関連する該対象物の画像を、該可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいて取得する工程を包含する、方法。
(項目19)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目18に記載の方法。
(項目20)
マスター・スレーブロボットシステムであって、該システムは、
マスターコントローラーと、
該マスター入力デバイスに連結され、該少なくとも1つのマスター入力デバイスの位置変更に応じて6自由度で連接し、最小限に侵襲性の連接式外科用内視鏡を備える、少なくとも1つのスレーブリンク機構と、
を備え、
ここで該マスターコントローラーは、
プラットフォーム;
該プラットフォームに対して3軸の周りに回転可能でありかつ該プラットフォームに対して3軸に沿って平行移動可能な、少なくとも1つのマスター入力デバイス;
該プラットフォームに対して該入力デバイスを支持するリンク機構;
該リンク機構上の複数の位置に関する運動を測定するために、該リンク機構に連結されたセンサーシステム;
駆動された関節を駆動するように係合する駆動システム;および
少なくとも1つのマスター入力デバイスが位置変更される間に該駆動システムが該リンク機構を作動するように、該センサーシステムから該駆動システムへ連結しているプロセッサ;
を備え、ここで該内視鏡は、
作業末端と、近位端と、該作業末端と該近位端との間のシャフト軸と、を有する細長いシャフト;
遠位端と近位端とを有する可撓性リストであって、該可撓性リストの該近位端が該細長いシャフトの作業末端に接続されている、可撓性リスト;
該リストの該遠位端に取り付けられ、対象物の画像を取得する内視鏡カメラレンズ;および
該リストを、該細長いシャフトの該近位端に接続し、その結果、該リストに少なくとも1自由度を提供するように作動可能である、複数の作動リンク、
を備え、ここで少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系は、該少なくとも1自由度と関連するリスト運動のために該可撓性リストに付属される、
マスター・スレーブロボットシステム。
(項目21)
前記少なくとも1自由度は、前記リストのピッチ運動およびヨー運動に関係する、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目22)
前記内視鏡と関連する他の自由度を制御するために使用される基準系は、前記対象物に付属される、項目21に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目23)
前記少なくとも1自由度と関連する前記内視鏡によって取得される前記対象物の画像は、前記可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りで回転する基準系に基づいている、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目24)
前記対象物の画像は、環状画像である、項目23に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目25)
前記内視鏡は、前記複数のアームのいずれかに解放可能に連結されかつ該複数のアーム間で交換されるように設計され、その結果、1つの標準アーム設計が前記外科手術ロボットシステムのために使用される、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。(項目26)
前記少なくとも1つのマスター入力デバイスは、絞りまたは開口を含む、前記内視鏡カメラレンズの機能をコントロールするためにさらに使用される、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目27)
前記内視鏡カメラレンズが動く間にスレーブ変換を合わせるように前記マスター変換を調節してマスター・スレーブ直観性を維持することによって、マスターアラインメント補正が連続的かつ少しずつ行われる、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
(項目28)
前記少なくとも1自由度は、位置制御されているかまたは速度制御されている、項目20に記載のマスター・スレーブロボットシステム。
【0015】
(摘要)
本発明は、少なくとも1自由度を有する可撓性リストを備える連接式の最小限に侵襲性の外科手術内視鏡に関する。複数のロボットアームを有する外科手術ロボットとともに使用される場合、この内視鏡は、複数のアームのうちのいずれかによって使用され得る。それによって、汎用的なアーム設計の使用が可能になる。本発明に従う内視鏡は、少なくとも1自由度の運動を制御するために使用される基準系を、少なくとも1自由度と関連するリストの運動に関して、可撓性リストに付属させることによって、ユーザーに対してより直観的にされる。本発明に従う内視鏡は、可撓性リストに対して近位に位置する回転点の周りを回転する基準系に基づいて、少なくとも1自由度と関連する物体の画像を取得することによって、その後ろ側の末端/近位端における望ましくない運動を弱める。
【0016】
本発明の特徴および利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになり、その詳細な説明は、添付の図面とともに考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う外科手術用ツールの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従うリストの断面図である。
【図3】図3は、図2のリストのIII−IIIに沿った断面図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図4A】図4Aは、ケーブル配置の詳細を示す図4のリストに類似するリストの一例の遠位部分の平面図である。
【図4B】図4Bは、ケーブル配置の詳細を示す図4のリストに類似するリストの一例の遠位部分の立面図である。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態に従うリストの断面図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図9】図9は、ツールシャフトおよびジンバルプレートを有する図8のリストの立面図である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図11】図11は、図10のリストの立面図である。
【図12】図12は、本発明の別の実施形態に従うリストの立面図である。
【図13】図13は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図14】図14は、本発明の別の実施形態に従うリストの一部の断面図である。
【図15】図15は、曲がった状態にある図14のリストの部分断面図である。
【図16】図16は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図17】図17は、図16のリストの平面図である。
【図18】図18は、本発明の別の実施形態に従うリストの一部の断面図である。
【図19】図19は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図20】図20は、本発明の別の実施形態に従うリストの平面図である。
【図21】図21は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図22】図22は、本発明の別の実施形態に従うリストの一部の断面図である。
【図23】図23は、図22のリストにおけるディスクの平面図である。
【図24】図24は、図22のリストにおけるディスクの平面図である。
【図25】図25は、図22のリストの外側部品の斜視図である。
【図26】図26は、図25の外側部品の部分断面図である。
【図27】図27は、本発明の別の実施形態に従うリストの斜視図である。
【図28】図28は、本発明の一実施形態に従うリストカバーの断面図である。
【図29】図29は、本発明の別の実施形態に従うリストカバーの断面図である。
【図30】図30は、本発明の別の実施形態に従うリストカバーの一部の斜視図である。
【図31】図31は、本発明に従うロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される連接式内視鏡の一実施形態を図示する。
【図32】図32は、一連の解放可能なクリップ320により内視鏡310に解放可能に連結されたカテーテル321を図示する。
【図33】図33は、一連の解放可能なクリップ320により内視鏡310に解放可能に連結されたカテーテルガイド331を図示する。
【図34】図34は、本発明に従うビデオ接続の一実施形態を図示するビデオブロック図である。
【図35】図35は、本発明に従うロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される連接式内視鏡の一実施形態を図示する。
【図36】図36は、ロボットによる最小限に侵襲性の内視鏡についての種々の基準系に対する直観性 対 反直観性(counter−intuitive)の単純化した例示の図である。
【図37】図37は、本発明に従う内視鏡310”についての種々の可能な回転点を図示する。
【図38】図38は、自転車のハンドルバーに類似する様式において操作するために実質的に組み合わされた2つのマスター入力デバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用される場合、「エンドエフェクター」とは、医療的機能のために(例えば、標的組織の予め決められた処置を行うために)、リスト部材によって操作可能である実際の作業遠位部分をいう。例えば、いくらかのエンドエフェクターは、単一の作業部材(例えば、小刀、ブレード、または電極)を有する。他のエンドエフェクターは、例えば、一対のまたは複数の作業部材(例えば、鉗子、把持器、ハサミまたはクリップアプライヤー)を有する。特定の実施形態において、ディスクまたは脊椎様物(vertebrae)が、リストに沿って、長手軸方向の管腔または空間をまとめて規定する開口部を有するように構成され、この管腔または空間は、エンドエフェクターの操作と関連する多くの代替要素または手段のうちのいずれか1つのためのコンジットを提供する。例としては、電気的に作動されるエンドエフェクター(例えば、電気外科手術用電極;変換器、センサなど)のための導体;流体、ガスまたは固体のための(例えば、吸引、吹き込み、灌注、治療用流体、補助導入(accessory introduction)、生検摘出などのための)コンジット;エンドエフェクター部材を動かすように作動するための機械的要素(例えば、グリップ、鉗子、ハサミを操作するための、ケーブル、可撓性要素または連接式の要素);導波管(wave guide);音波伝達要素;光ファイバー要素などが挙げられる。このような長軸方向のコンジットは、直線状の、絶縁体またはガイド要素(例えば、弾性のポリマーチューブ;らせん状にワイヤを巻き付けたチューブなど)を備え得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「外科手術用器具」、「器具」、「外科手術用ツール」、または「ツール」とは、作業末端を有する部材であって、患者の腔における外科手術部位へ導入されるべき1種以上のエンドエフェクターを有しかつその腔の外側から作動して、外科手術部位における標的組織の望ましい処置または医療機能を行うためにエンドエフェクターを操作することが可能であるものをいう。
【0020】
この器具またはツールは、代表的には、遠位端においてエンドエフェクターを有するシャフトを備え、この器具またはツールは、好ましくは、ニードルを保持または駆動し、血管を把持し、組織を切り出すなどの機能を果たすために、遠隔外科手術システムによってサーボ機構的に作動される。
【0021】
本明細書に記載される可撓性リストの種々の実施形態は、製造するのが比較的安価でおよび焼灼に使用することができることが意図されるが、焼灼のための使用に限定されない。MIS適用に関して、上記ツールの挿入可能部分の直径は、小さな切開部を許容するように、小さく、代表的には、約12mm以下であり、好ましくは、約5mm以下である。詳細に記載される例は、この大きさの範囲を例示するが、上記実施形態は、より大きな器具またはより小さな器具を含むために大きさを合わせて調整され得ることが理解されるべきである。
【0022】
リストの実施形態のうちのいくらかは、ピッチ(pitch)およびヨー(yaw)において湾曲される場合に、蛇のような様式で動く、一連のディスクまたは類似の要素を採用する(例えば、図14および図22)。このディスクは、環状のディスクであり、円形の内径および外径を有し得る。代表的には、これらのリストは各々、一連のディスク、例えば、約13枚のディスクを備え、これらディスクは、約0.005インチ〜約0.030インチの厚みの、エッチングされたステンレス鋼ディスクであり得る。中間部においてはより薄いディスクが使用され得るが、ケーブルにかかる力(例えば、末端ディスクの周りでのケーブルのUターンにおいて付与される力)を吸収するために、より厚みのあるディスクが、さらなる強度のために末端領域には望ましい。末端ディスクは、端ぐり(counter bore)(例えば、約0.015インチの深さ)を備え得る。この端ぐりの中に、中心ばねがフィットして、ケーブルからの荷重をこの中心バネの圧縮へと変化させる。このディスクは、内部バネに接するようにネジ山が切られ得、このネジ山は、エンドエフェクター(例えば、把持器、焼灼接続、または先端を保持するための束縛器(tether))のためのケーブルを引っ張るための管腔として作用する。この内部バネはまた、軸方向の剛性を提供し、その結果、把持器または束縛器の力は、リストをゆがませない。いくつかの実施形態において、これらディスクは、一対の対向して配置された内部タブまたは舌部(tongue)を備え、これらタブまたは舌部は、内部バネによって捕捉されている。
【0023】
この内部バネは、ディスクのタブがこのバネにおいて間隙を作り出すために挿入される場所を除いて、密着高さ(solid height)(バネが偏向されていない場合に、連続する螺旋ピッチのワイヤが互いに接触した状態にある)で存在する。これらディスクは、交互になっているピッチ回転およびヨー回転を許容するために、タブの方向が互い違いにされる。代表的な内部バネは、0.01インチ直径のワイヤで作られ、隣接するディスクは、バネの4巻き分だけ互いに間隔を空けて配置される。このバネが、(スリンキー(slinky)のように)縁部が巻かれた平坦なワイヤから作られる場合、高い軸方向の力が、隣り合う巻きが互いの上に載ることなく、ケーブルによって付与され得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、各ディスクは、作動ケーブルを受容するための12個の等しく間隔が空いた穴を有する。3本のケーブルが、任意の望ましい方向においてリストを湾曲させるには十分であり、個々のケーブルに対する張力が、望ましい湾曲運動を生じるように協調する。小さなリスト直径と外科手術の力によってリストに及ぼされるモーメントに起因して、3本のケーブルにおける応力は、極めて大きい。各ケーブルにおける応力を減少するために、3本より多くのケーブルが代表的には使用される(制御目的で余分のさらなるケーブルを含む)。以下に例示されるいくつかの例において、12本以上のケーブルが使用される(以下の図4の考察を参照のこと)。これらケーブルを駆動するために、ジンバルプレートまたはロッキングプレート(rocking plate)が使用され得る。このジンバルプレートは、ケーブルを操作して、ピッチ軸およびヨー軸に対して任意の角度でリストを湾曲するために、2つの標準的なインプットを利用する。
【0025】
いくつかのリストは、ピッチおよびヨーにおいて湾曲するように十分可撓性である管状部材から形成される(例えば、図2および図4)。内部バネが備えられ得る。この管状部材は、構造的剛性を低下させて、湾曲を容易にするためにカットアウト(cut−out)を備え得る(例えば、図5および図19)。リストを作製する1つの方法は、ワイヤおよびハイポチューブマンドレルを中心穴および作動ワイヤ穴の中に挿入することである。型が作製され得、そしてそのアセンブリが、2部分から構成される(two−part)白金硬化シリコーンゴム(オーブン中で(例えば、約165oCで)硬化される)でオーバーモールド(overmold)され得る。このマンドレルは、チャネルを作製して、引っ張っているケーブルのための中心管腔および周辺管腔を形成するために、成型の後に引き抜かれる。このようにして、このリストは、露出された金属部分がない。そのゴムは、オートクレーブに耐えることができ、リストが湾曲する間に、代表的には、約30%のひずみである延びに耐えることができる。
【0026】
特定の実施形態において、この管状部材は、複数の軸方向スライド部材(axial sliding member)を備え、この軸方向スライド部材の各々は、作動ケーブルを受容するための管腔を有する(例えば、図8)。この管状部材は、隣接するバネの巻きと重なり合って作動ケーブルを受容するための管腔を提供する巻きを有する複数の軸方向バネ(axial spring)によって形成され得る(例えば、図10)。この管状部材は、多くの波形バネ(wave spring)によって形成され得る(例えば、図12)。この管状部材の中の管腔は、軸方向バネの内部によって形成され得る(例えば、図16)。この管状部材の外部は、ねじり剛性を提供するために編み組みされ(braid)得る(例えば、図27)。
【0027】
A.ワイヤ巻き付けにより支えられたワイヤを有するリスト
図1は、外科手術用ツールのための、遠位エンドエフェクター12と近位ツールシャフトもしくは主要チューブ14との間を接続するリスト10を示す。示されるエンドエフェクター12は、図2に最もよく示されるように、遠位Uリンク(distal clevis)18に取り付けられたグリップ16を備える。この遠位Uリンク18は、ハイポチューブ26に対して近位に接続する複数のワイヤまたはケーブル24の遠位クリンプ22を収容する側部アクセススロット(side access slot)20を備える。このワイヤまたはケーブルは、プラットフォームまたはガイド30を通ってかつツールシャフト14の内部を通って延びる。このガイド30は、このハイポチューブ26およびワイヤアセンブリを方向付け、この器具のツールシャフト14に取り付けられる。このガイド30はまた、ツールシャフト14がロールして動くにつれて、リスト10のロール運動を開始させる。この側部アクセススロット20は、都合よくクリンプ22が所定の位置に押されることを可能にする。当然のことながら、ワイヤ24を遠位Uリンク18に取り付ける他の方法(例えば、レーザー溶接)が、他の実施形態において採用されてもよい。
【0028】
図2および図3は、4本のワイヤ24を示すが、別の実施形態において、種々の本数のワイヤが使用されてもよい。ワイヤ24は、ニチノールまたは他の適切な材料から作製され得る。このワイヤ24は、リスト10のジョイントを作り、遠位Uリンク18とハイポチューブ26との間に固く取り付けられる。ワイヤ巻き34は、コイルバネに類似してワイヤ24の周りに巻かれ、遠位Uリンク18とハイポチューブ26との間に延びる。この収縮チューブ36は、ワイヤ巻き34、ならびに遠位Uリンク18の一部およびガイド30の一部を覆う。このワイヤ巻き34および収縮チューブ36は、ハイポチューブ26が押されて、リスト10をピッチおよびヨーにおいて動かすように引っ張られる場合に、互いから一定の距離にワイヤ24を保つ。これらはまた、リスト10がツールシャフト14とともにロールして動き、外部からの力に耐えるように、リスト10にねじり剛性および全体的な剛性を提供する。このワイヤ巻きおよび収縮チューブは、他の実施形態において異なる方法で構成され得る(1つの好ましい実施形態は、図27において示され、以下のセクションJに記載される)。例えば、このワイヤ巻きおよび収縮チューブは、内側部品としてワイヤ24を備える5本管腔の押し出し部品に変換され得る。ワイヤ巻きまたは等価な構造体の機能は、リスト10がロール、ピッチ、および/またはヨーにおいて動くにつれて、中心線から一定距離にワイヤ24を維持することである。この収縮チューブはまた、電気的絶縁を提供し得る。
【0029】
B.作動ケーブルによって湾曲される可撓性チューブを有するリスト
図4は、穴または管腔43が作動ケーブルまたはワイヤ44を受容するように周辺部の周りに分布したチューブ42を備えるリスト40を示す。この作動ケーブルまたはワイヤは、ニチノールから作製され得る。このチューブ42は、ケーブル44を引っ張ることによって、ピッチおよびヨーにおいて湾曲を可能にするように可撓性である。リスト40は、好ましくは、剛性の遠位終端ディスク41(図4Bの代替的実施形態において示される)またはケーブルにかかる力を可撓性チューブ42に一様に分配するために可撓性チューブ42よりも実質的に剛性の他の補強物を備える。チューブ42の中空中心部は、エンドエフェクターケーブル(例えば、把持ケーブル)用の空間を提供する。代表的には、少なくとも4つの管腔が存在する。内部バネ47が設けられ得る。
【0030】
図4は、特定の実施形態の12本の管腔を示し、6本のケーブル44をチューブ42の遠位端においてUターン45を作るように適合させている。使用されるケーブルの本数が多いことによって、チューブ42が、ピッチおよびヨーにおいて同じ湾曲を達成するために同じケーブル引っ張り力に対してより高い剛性を有することが可能になる。例えば、4本のケーブルの代わりに12本のケーブルを使用することは、チューブ42が同じケーブル引っ張り力に対して剛性として3倍であり得ることを意味する。あるいは、このチューブ42の剛性が依然として同じである場合、4本のケーブルの代わりに12本のケーブルを使用すると、必要とされるケーブル引っ張り力が、3分の1まで減少する。材料の特性およびケーブルの応力レベルは、Uターン45がチューブ42の末端で直接支えることを可能にし得るが、補強された遠位終端プレート41は、チューブ42に対してより円滑にケーブルにかかる力を分配するように備えられ得ることに注意すること。このケーブル44の近位端は、アクチュエーター機構(例えば、米国特許出願第10/187,248号(2002年6月27日出願、その全開示が本明細書に参考として援用される)において開示されるジンバルプレート46を備えるアセンブリ)に接続され得る。この機構は、湾曲可能な部材または操縦可能な部材の制御(例えば、可撓性リストの湾曲角度および方向の制御)に関して協調した様式で、選択された複数のケーブルの作動を容易にする。出願番号第10/187,248号のアクチュエーター機構の例は、多数の周辺ケーブルを、匹敵する多数のリニアアクチュエーターを要せずに、可撓性部材の協調した操縦を提供するように釣り合った様式で作動するように適合され得る。あるいは、別個に制御されるリニア作動機構は、滑車にかけられ、ロータリーアクチュエーターにより動かされる、各ケーブルまたはケーブル対を張るために使用され得る。この操縦は、リニアアクチュエーターを協調することによって制御される。
【0031】
このチューブ42は、代表的には、ピッチおよびヨーにおいて適切な湾曲を可能にするために十分に低い弾性率を有する、プラスチック材料またはエラストマーから作製され得る。このチューブは、複数の管腔(例えば、12本の管腔)を備えるようにマルチ管腔押し出しによって製造され得る。このチューブはS字型湾曲のような望ましくない変形を制限するために高い湾曲剛性を有することが望ましいが、このことは、ピッチおよびヨーにおいて望ましい湾曲に必要とされるこのケーブルにかかる力を増大させる。以下に議論されるように、このチューブの高い湾曲剛性を越えるために十分高いケーブルにかかる力を提供するために、ピッチおよびヨーにおいてリストを操作するために必要なものより多いケーブル(すなわち、3本より多いケーブル)が使用され得る。
【0032】
図4Aおよび図4Bは、図4において示されるものに類似する、あるリストの実施形態において、2つの異なるケーブル配置の例を模式的に示す。全ケーブルの断面積は一定であるので、対になったケーブルおよびより多数の、比例してより面積が小さいケーブルを含ることは、ケーブルがリストの中心線に対して側方に大きくずれて終端をなすことを可能にすることに注意のこと。図4Aおよび図4Bは、あるリストの実施形態の、それぞれ、平面図および立面図を示し、各図の右側がリスト例1を示し、各図の左側がリスト例2を示すように、境界線によって分けられている。各例において、このチューブ42は、同じ外径Rおよび中心管腔を規定する内径rを有する。
【0033】
例1において、リスト40.1におけるケーブル44の数は、4本に等しく(n1=4)、各ケーブルは、個々に、遠位終端プレート41における皿穴に取り付けられている遠位アンカー44.5によって終端をなし、各ケーブルは、遠位終端プレート41および可撓性チューブ42におけるそれぞれの側方ケーブル管腔43を通って延びる。アンカー44.5は、スエージ加工されたビードであってもよいし、他の従来のケーブルアンカーであってもよい。
【0034】
例2において、リスト40.2におけるケーブル44’の数は、16本に等しく(n2=16)、ケーブルは、対称に間隔を空けて配置された8対の部分44’として配置され、各対は、隣接するケーブル管腔43’の間の遠位終端プレート41’で支えられている、遠位の「Uターン」末端ループ45で終端をなす。管腔43’の開口部における遠位終端プレート41’の縁部は、応力集中を減少させるために丸くされていてもよく、ループ45は、遠位終端プレート41の中へ部分的にまたは完全に皿穴が形成されていてもよい。16本のケーブル44’の直径は、4本のケーブル44の直径の1/2であるので、ケーブルの全断面積は、各例において同じである。
【0035】
例1と例2を比較すると、終端ループ45の採用は、ケーブルアンカー44.5に当てられる遠位の体積を削減し、ケーブル管腔43’が、ケーブル管腔43よりもチューブ42の半径Rに対して近くにあるようにするために役立つ。さらに、各ケーブル44’の直径はより小さいので、ケーブル中心線が、ケーブル管腔43’の外側縁部により近くなる。これらの特性はともに、例2におけるケーブルが、例1の対応するモーメントアームL1より、チューブ42の中心に対して大きなモーメントアームL2の周りで作用することを可能にする。このより大きなモーメントアームL2は、チューブ42上の同じ全体の曲げモーメントに対するより低下したケーブル応力を可能にするか(ケーブルの寿命をより長くするかまたはより広い範囲の任意のケーブル材料を可能にする)、または代わりに、同じケーブル応力に対するより大きな曲げモーメントを可能にする(より大きなリスト配置剛性を可能にする)。さらに、ケーブル直径をより小さくすると、比較的厚みのあるケーブルよりも可撓性が高くなり得る。従って、リスト40の好ましい実施形態は、3本より多いケーブル、好ましくは少なくとも6本(例えば、3対のループ状にしたケーブル)およびより好ましくは12本以上を包含する。
【0036】
遠位終端プレート41において示されるアンカーまたは終端点は、例示であり、このケーブルは、付与される応力に対してこの選択された材料特性が適切である場合、チューブ42の材料上で(アンカーまたはループによって)直接支えるように終端をなし得ることに注意すること。あるいは、このケーブルは、より遠位にあるエンドエフェクター部材(示さず)に対する接続によって終端をなすために、チューブ42および/または遠位終端プレート41より遠位方向に延び得、このケーブルの張力は、リスト運動の操作範囲内でリスト40にしっかりと接続してエンドエフェクター部材を維持するために十分に付勢される。
【0037】
チューブの剛性を構造的に低下させる1つの方法は、図5に示されるように、カットアウトを設けることである。チューブ50は、ピッチおよびヨーにおいて湾曲を容易にするために、それぞれ、2つの側部で2つの直角方向で交互になった複数のカットアウト52を備える。複数の管腔54が、作動ケーブルを収容するために周辺部の周りに配置される。
【0038】
図6に例示される別の実施形態において、チューブ60は、内部バネ62の周りに巻かれる外側ブーツとして形成され、この内部バネは、チューブ60よりも高い剛性材料で作製される。チューブ60は、作動ケーブルを受容するために、内部スロット64を備える。別個に形成された可撓性チューブを設けることによって、アセンブリを単純にし得る。このようなチューブは、ケーブルを貫通させるための穴を備えるチューブよりも、押し出し成形するのが容易であるか、または別の方法で形成するのが容易である。これらのチューブはまた、予め形成された終端構造体またはアンカーを有する作動ケーブルを用いることに役立つ。なぜなら、このケーブルは、中心管腔から適切な位置に置かれ得、その後、内部バネが、ケーブルの間隔および保持を維持するために、ケーブルの中に挿入され得るからである。いくらかの場合において、チューブ60は、無菌の単回使用構成要素であってもよいが、必ずしもオートクレーブ可能ではない。
【0039】
図7は、カットアウト72を有するチューブ70を示し、これは、図5のチューブ50におけるカットアウト52と類似するものであり得る。チューブ70は、プラスチックまたは金属から作製され得る。外側カバー74は、チューブ50の周りに配置される。この外側カバー74は、カプトンカバーなどであってもよく、代表的には、カットアウト72にフィットする、ひだを備える高弾性率材料である。
【0040】
C.軸方向の舌部スライド部材および溝スライド部材を有するリスト
図8および図9は、複数の可撓性の軸方向にスライドする部材82を有するリスト80を示す。これら軸方向にスライドする部材は、管状リスト80を形成するために、軸方向のさねはぎ接続84によって互いに接続または連結される。各スライド部材82は、チューブ80の長手軸方向セグメントを形成する。この軸方向接続84は、これらスライド部材82が、リストの長手軸方向中心線に対して各部材の側方位置を維持しながら、互いに対して軸方向にスライドすることを可能にする。各スライド部材82は、リスト80の遠位端に隣接して終端をなす作動ケーブルを受容するために、穴または管腔86を備える。図9は、このスライド部材82のスライド運動によって容易にされる場合の、ケーブル90のケーブル引っ張り力の下でのリスト80の湾曲を図示する。このケーブル90は、ツールシャフト92を通って延び、作動機構(例えば、作動のためのジンバルプレート94)に対して近位に接続される。これらスライド部材82は、リスト80が湾曲する間の、スライド部材82の曲率半径の差に起因して異なる量だけ湾曲する。あるいは、軸方向にスライドする部材を有するリストの一実施形態は、一体化したケーブルおよびスライド部材を有し得、例えば、それによって、これらスライド部材は、一体化したスライド要素として、ケーブルの周りに(例えば、押し出し成形によって)一体化して形成されるか、またはそれによって、作動機構が、スライド部材の近位端に連結し、これらスライド部材が、リストの遠位端に対して直接力を伝える。
【0041】
図13は、代表的には、可撓性プラスチック材料から作られる複数の軸方向部材132を有するリスト130を示す。この軸方向部材132は、ケーブル134を覆って同時に押しだし成形され得るので、このケーブルは、金属でありかつ絶縁され得る。軸方向部材132は、管状リスト130を形成するために、軸方向さねはぎ接続136によって互いに接続され得る。これら軸方向部材132は、ピッチおよびヨーにおいてリスト130が湾曲している間に、互いに対してスライドすることを可能にする。このリスト130は、図8のリスト80と類似するが、わずかに異なる構成を有し、その要素は、異なる形状を有している。
【0042】
D.重なる軸方向バネ部材(overlapping axial spring member)を有するリスト
図10および図11は、管状リスト100を形成するために、周辺部の周りに配置された複数の軸方向バネ102によって形成されるリスト100を示す。これらバネ102は、同じ方向に巻かれた、またはよりありそうなことには、反対方向に巻かれたコイルバネである。ケーブル104は、図11においてより明らかに認められるように、隣接するバネ102の各対の重なり領域を通って延びる。重なりに起因して、このリスト100の密着高さ(solid height)は、リストがケーブル張力の下で完全に圧縮されていれば、個々のバネ102の密着高さの2倍である。これらバネ102は、代表的には、圧縮状態で予め荷重がかけられており、よってケーブルは、ゆるんでおらず、リストの安定性を増す。
【0043】
1つの代替法において、バネは、リストがニュートラルであるかまたは湾曲していない状態にある場合に、ケーブルに予め張力をかけることによって、完全に圧縮された密着高さの状態に付勢される。リストの一方の側部でケーブル張力を、制御して、協調して減少させるか、またはケーブルを解放すると、一方の側部が延び、その結果、湾曲したリスト100の外径を形成するように、リスト100の一方の側部のバネが延びる。このリストは、外側ケーブルの引っ張り力が再び付与されると、まっすぐな構成へと戻る。
【0044】
別の代替法において、バネは、リストがニュートラルであるかまたは湾曲していない状態にある場合に、ケーブルに予め張力をかけることによって、部分的に圧縮された状態に付勢される。リストの一方の側部でケーブル張力またはケーブル引っ張りを制御して、協調して増大させると、その側部が収縮し、その結果、湾曲したリスト100の内径を形成するように、リスト100の一方の側部のバネが短くなる。このことは、必要に応じて、上記の第1の代替法におけるような外径に対する張力の解放と組み合わされ得る。このリストは、もとのケーブルの引っ張り力が回復すると、まっすぐな構成へと戻る。
【0045】
E.波形バネ部材を有するリスト
図12は、管状の波形バネリスト120を形成するために、積み重ねられるかまたは巻かれた複数の波形バネセグメントまたは構成要素122を有する波形バネ120の形態のリストを示す。一実施形態において、この波形バネが形成され、ある程度らせん状の平坦なワイヤの連続片から巻かれる。ここでこの波形は各周で変化し、その結果、一周の高い点は、次の一周の低い点と接触する。このようなバネは、例えば、Smalley Spring Companyから市販されている。作動ケーブルを受容するために、穴が波形バネリスト120において形成される。あるいは、複数の別個のディスク様波形バネセグメントが、アクチュエーターケーブル上にビード様式で連ねられる(ケーブルによって保持されるかまたは互いに結合される)。
【0046】
図示されるこの波形バネセグメント122は、各々、2つの対向する高い点および2つの対向する低い点を有し、これらの点は、90°だけ間隔が空いている。この構成は、ピッチおよびヨーにおける湾曲を容易にする。当然のことながら、この波形バネセグメント122は、リスト120の周辺部の周りにさらなる高い点および低い点を有するより密な波パターンのような他の構成を有し得る。
【0047】
F.球面状接合表面を備えるディスクを有するリスト
図14は、リスト140のいくつかのセグメントまたはディスク142を示す。内部バネ144がディスク142の内部空間に設けられるが、複数のケーブルまたはワイヤ145が、ピッチおよびヨーにおいてリスト140を湾曲させるために使用される。このディスク142は、ネジ山が切られるかまたはエンドエフェクター用のケーブルを引っ張るための管腔として働く内部バネ144に連結される。この内部バネ144は、軸方向の剛性を提供し、その結果、引っ張っているケーブルを通してエンドエフェクターに付与される力は、リスト140を歪ませない。代替的実施形態において、積み重なった中実スペーサーは、この機能を達成するために、バネ144の代わりに使用され得る。これらディスク142は、各々、曲がった外側接合表面146を備え、この表面は、隣接するディスクの曲がった内側接合表面148と接合する。図15は、これらディスク142の間の関連づけられた相対的回転を伴うリスト140の湾曲を図示する。これらディスク142は、例えば、プラスチックまたはセラミックから作製され得る。球面状接合表面146、148の間の摩擦は、好ましくは、リスト140の動きを妨げるほど強くはない。この潜在的な問題を軽減する1つの方法は、リスト140を曲げるためのケーブル145の作動の間に、いくらかの圧縮荷重に耐えかつディスク142に対する過剰な圧縮荷重を妨げる適切な内部バネ144を選択することである。この内部バネ144は、シリコーンゴムなどから作られ得る。さらなるシリコン部材150が、同様に、作動ケーブルを囲み得る。代替的実施形態において、別個のディスク142が、1つの連続するらせんストリップによって置換され得る。
【0048】
代替的実施形態において、リスト160における各ケーブルは、図16および図17において図示されるように、バネ巻き(spring wind)162の中に収容され得る。内部バネ164がまた設けられる。このディスク170は、(図14および図15におけるディスク142のように)ケーブルを受容するために、環状フランジおよび穴なしで作製され得る。バネ巻き162の内部の中実のマンドレルワイヤ172は、ディスク170の周辺部に沿って所定の位置に配置され得る。中心ワイヤマンドレル174は、内部バネ164を巻き付けるために中央に設けられる。このアセンブリは、シリコーンなどで製作され得、その後、このマンドレルワイヤ172、174が取り外され得る。カバーなどのいくつかの形態は、シリコーンがディスク170の球面状接合表面に貼り付かないようにするために使用され得る。この小さなマンドレルバネ172は、リスト160が湾曲するときに収縮するための余地を提供する小さな間隙を(密着高さの代わりに)残すように巻かれる。このシリコーンは、望ましくは、ディスク170およびバネ172、174の結合したアセンブリにねじり剛性を提供するために、ディスク170に十分に完全に結合される。絶縁性のシリコーン材料は、リスト160を組み込む焼灼ツールのための焼灼絶縁体として働き得る。
【0049】
G.エラストマー部材によって分離されたディスクを有するリスト
図18は、エラストマー部材184によって分離された複数のディスク182を有するリスト180を示す。このエラストマー部材184は、環状部材であってもよいし、ディスク182の周辺部の周りに配置される複数のブロックを備えていてもよい。図14のリスト140と同様に、内部バネ186は、このディスク182およびエラストマー部材184の内部空間に提供されるが、複数のケーブルまたはワイヤ188が、ピッチおよびヨーにおいてリスト180を湾曲するために使用される。このディスク182は、ネジ山が切られるかまたは内部バネ184に連結され、エンドエフェクター用のケーブルを引っ張るための管腔として働く。この内部バネ184は、軸方向の剛性を提供するので、引っ張っているケーブルを通してエンドエフェクターに付与される力は、リスト180を歪ませない。このリスト180の構成は、リスト140よりもヒトの脊柱に類似している。このエラストマー部材184は、ピッチおよびヨーにおいてリスト180の湾曲を可能にするために弾性的に変形する。エラストマー部材184を使用すると、ディスク182と関連する摩擦力との間で表面を接合する必要性がなくなる。
【0050】
H.ピッチ湾曲およびヨー湾曲のために交互になっているリブ支持ディスクを有するリスト
図19は、複数のディスク192を備えるリスト190を示し、これらディスクは、リスト190のピッチ湾曲およびヨー湾曲を容易にするために直交する方向に方向付けられた交互になっている梁(beam)またはリブ(rib)194、196によって支持されている。このリスト190は、ほぼ直交するリブ194、196の交互になっている層を隣接するディスク192の間に残すために、隣接するディスク192の間のカットアウトを除去することによって、チューブから形成され得る。このディスク192は、作動ケーブルが貫通するための穴198を有する。これらディスク192およびリブ194、196は、種々の材料(例えば、鋼、アルミニウム、ニチノール、またはプラスチック)から作られ得る。図20において図示されるようなリスト200の代替的実施形態において、このディスク202は、ケーブルを受容するための穴の代わりに、スロット204を備える。このようなチューブは、ケーブルを貫通させるための穴を備えるチューブよりも押し出し成形するのが容易である。バネ206は、ケーブルを支持するために、ディスク202の上に巻かれる。
【0051】
図21において、リスト210は、交互になっている梁またはリブ214、216によって支持されるディスク212を備え、この梁またはリブは、リブ214、216をディスク212の間の空間よりも長くするために、ディスク212の中へリブの両側にカットまたはスリット217を有する。この構成は、同じリストの長さで、図19におけるリスト190よりも小さな曲率半径での湾曲を容易にし得るか、あるいはより短いリストを使用して、同じ曲率半径を達成し得る。隣接するディスク212の間の約15°の湾曲角度は、これらの実施形態において代表的である。このディスク212は、作動ケーブルを受容するための穴218を有する。
【0052】
I.コイルバネに沿って配置された薄いディスクを採用するリスト
図22は、複数の薄いディスク224とともにコイルバネ222を備えるリスト220の一部を示す。この薄いディスクは、バネ222の長さに沿って配置される。わずか2枚のディスク224が、図23および図24において図示されるように、互いに対して直交しているタブ226とともに、方向付けられている224Aおよび224Bを含め、図22のリスト部分において認められる。このバネ222は、ディスク224を挿入するために設けられている間隙を除いて、密着高さで巻かれている。このバネ222は、内部縁部およびディスク224のタブ226付近で、ディスク224に接続される。このディスク224は、エッチングによって形成され得、作動ケーブルを受容するための穴228を備える。このタブ226は、バネ222が、ピッチおよびヨーにおいてリスト220が湾曲する間に特定の点で湾曲することを可能にするように、支点として機能する。このディスク224は、いくつかの実施形態において、比較的剛性であり得るが、他の実施形態において、湾曲しかつリスト220が湾曲する間にバネ要素として作用するために十分可撓性であり得る。シリコーン外側カバーが、コイルバネ222およびディスク224の周りに絶縁体(dielectric insulator)として設けられ得る。さらに、このバネ222およびディスク224のアセンブリは、例えば、図25および図26における外側部品または外装部品(armor piece)250から形成される外側構造体によって保護され得る。各外装備品250は、外側接合表面252および内側接合表面254を備える。1つの外装部品250の外側接合表面252は、隣接する外装部品250の内側接合表面254と接合する。この外側部品250は、バネ222の長さに沿って積み重ねられ、リスト220の湾曲から回転するときに接触したままである。
【0053】
J.外側の編み組みワイヤ(braided wire)を有するリスト
この可撓性リストは、精度について付与される荷重に対する、種々の材料の剛性に依存する。すなわち、使用される材料が剛性になるほどおよび/またはリストの長さが短くなるほどおよび/またはリストの直径が大きくなるほど、及ぼされる所定の外科手術の力の下でリストに関して存在する横向きの変形が少なくなる。引っ張っているケーブルが、無視できる程度のコンプライアンスを有する場合、リストの末端の角度は、正確に決定され得るが、このケーブルによって打ち消されない力の下で、逸脱する変形または横方向の変形が存在し得る。リストがまっすぐでありかつそのような力が及ぼされる場合、例えば、リストは、S字型の変形を呈し得る。これを打ち消す1つの方法は、リストに対して、十分に剛性のかつ適切なジオメトリー(geometry)の材料を用いることである。別の方法は、米国特許出願第10/187,248号に記載されるように、引っ張っているケーブルの半分が、リストの長さに沿って途中で終端をなすようにして、残りのケーブルと同程度遠位に半分が引っ張られるようにすることである。S字型の変形に対する抵抗が大きくなるほど、モーメントに抵抗する能力を負担する。S字型の変形を避けるさらに別の方法は、リストの外側に編み組みされたカバーを設けることである。
【0054】
図27は、外側ワイヤ274が巻き付けられているチューブ272を有するリスト270を示す。このワイヤ274は、各々、チューブ272の末端の間の約360°回転を覆うように巻き付けられる。リスト270のねじり剛性を増大させ、リスト270のS字型変形を避けるために、外側ワイヤ274は、チューブ272の上の編み組みカバーを形成するように巻き付けられ得る。この編み組みカバーを形成するために、右巻きセットおよび左巻きセット(すなわち、一方は時計回り、網一方は反時計回り)を含む2セットのワイヤが、編み合わされる。編み合わせまたは編みは、時計回りのワイヤおよび反時計回りのワイヤが互いに対して半径方向に動かないようにする。例えば、ねじりの下で、一方のセットのワイヤが、直径を増大させようとする一方で、他方のセットが収縮するので、このねじり剛性が作り出される。この編み組みは、一方のセットが他方とは異ならないようにし、ねじり変形に抵抗する。外側ワイヤ274の覆っている長さは、リスト270が円弧で湾曲するが、外側ワイヤ274が、軸方向にスライドすることが必要であるときに、その編み組みの個々のワイヤ各々が長さを増大させる必要がないように、リスト270の長さと等しくすることが望ましい。この編み組みは、外側ワイヤ274が長さを増す必要があるので、リスト270のS字型変形に耐える。さらに、この編み組みはまた、リストがえぐられたり切断されたりしないように保護し、外装として作用し得る。この編み組カバーが非導電性である場合、このカバーは最も外層にあり、リスト270の外装として作用し得る。リストの増大したねじり剛性およびS字型変形の回避はまた、右巻きで始まって、左巻きで覆われ、次に別の右巻きで覆われる、層状になったバネによって達成され得る。このバネは、編み合わせられない。
【0055】
K.リストカバー
上記は、リストのためのいくつかの外装またはカバーを開示する。図28および図29は、リストカバーのさらなる例を示す。図28において、このリストカバー280は、非導電性材料(例えば、プラスチックまたはセラミック)の平坦ならせんによって形成される。リストが湾曲すると、このらせん状カバー280の異なる巻きが、互いの上をスライドする。図29は、らせんの隣接する層の間が重なり合うことを確実にするために、湾曲縁部(bent edge)または曲がり縁部(curled edge)292を備えるリストカバー290を示す。ねじり剛性をリストに与えるために、このリストカバー300は、リストの軸に対して平行に方向付けられた隆起または溝302を備え得る。この隆起302は、あるらせん層から次の層までのスプラインとして作用し、リストに対するねじりスタビライザー(torsional stabilizer)を構成する。ステントのように構成されたニチノールレーザーカバーの議論が付言される。
【0056】
従って、図1〜図30は、可撓性リストを備える外科手術用器具の種々の実施形態を図示する。特定の例示的実施形態に関して記載されるが、これらの実施形態は、本発明を例示するに過ぎず、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の原理は、多くの特定のシステムおよび実施形態に適用され得る。
【0057】
図31〜図34は、心臓組織切除(CTA)処置において切除カテーテルまたは他のデバイスの安全な配置を容易にしかつこれらのデバイスの視覚的な確認を提供するために、可撓性リストを備える外科手術用器具(例えば、内視鏡など)の種々の実施形態を図示する。図31〜図34に図示される本発明のいくらかの部分は、図1〜図30における対応する物に類似しており、同様の要素が、プライム(’)が付された参照番号によってそうであることが示される。このような類似物が存在する場合、類似かつ図1〜図30におけるものと類似の様式で機能する、図31〜図34の本発明の構造体/要素は、繰り返して詳細には記載されない。本発明がCTA処置への適用に限定されず、他の外科手術適用をも有することは、明らかなはずである。さらに、本発明が最小限に侵襲性のロボット外科手術の領域においてその最良の適用を見出す一方で、本発明が、外科手術ロボットの補助なしでも、あらゆる最小限に侵襲性の外科手術において使用され得ることが明らかなはずである。
【0058】
L.連接式/操縦可能な内視鏡
ここで図31を参照すると、本発明に従う、ロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される内視鏡310の一実施形態が図示される。この内視鏡310は、細長いシャフト14’を備える。可撓性リスト10’は、シャフト14’の作業末端に位置する。ハウジング53’は、外科手術用器具310が、シャフト14’の対向する末端に位置したロボットアーム(示さず)に解放可能に連結することを可能にする。内視鏡カメラレンズは、可撓性リスト10’の遠位端において与えられる。この管腔(示さず)は、ハウジング53’を備える可撓性リスト10’の遠位端をつなぐシャフト14’の長さに沿って延びる。「ファイバースコープ」実施形態において、内視鏡310の画像化センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD))が、ハウジング53’の中に取り付けられ得、このハウジングには、シャフト14’の長さに沿って管腔の内部を延びて可撓性リスト10’の遠位端に実質的に終わる光ファイバーが接続される。このCCDは、次いで、ハウジング53’の末端に位置したコネクタ314を介してカメラ制御ユニットに連結される。代替の「チップ・オン・スティック(chip−on−a−stick)」実施形態において、内視鏡310の画像化センサは、有線または無線いずれかの電気接続で、可撓性リスト10’の遠位端においてカメラ制御ユニットに取り付けられ得る。このカメラ制御ユニットは、ハウジング53’の末端にあるコネクタ314へと連結される。この画像化センサは、二次元または三次元であり得る。
【0059】
内視鏡310は、可撓性リスト10’の遠位端の先端において内視鏡レンズ314を覆いかつ保護するためにキャップ312を有する。キャップ312は、半円形であっても、円錐形などであってもよく、器具が、外科手術部位の中で/その部位の付近で操縦する間に組織から離れてそれないようにする。キャップ312は、硝子、透明プラスチックなどから作製され得、内視鏡310が、明瞭な視認および画像の捕捉を可能にするために透明である。明瞭な視認および画像の捕捉を可能にする特定の条件下で、キャップ312は、同様に半透明であり得る。代替的実施形態において、キャップ312は、内視鏡310の視認性能の改善/増大のために、膨脹式(例えば、その通常の大きさの3倍まで)である。膨脹式キャップ312は、可撓性の透明なポリエチレンから作られ得る。この透明なポリエチレンから血管形成術用バルーンが作られ得るか、または類似の材料から作られ得る。このようにして、キャップ312の大きさ、および結果として内視鏡310が挿入される最小限に侵襲性の外科手術用ポートの大きさが、最小にされ得る。内視鏡310を外科手術部位に挿入した後、キャップ312は、次いで、視認の増大/改善を提供するために膨脹され得る。よって、キャップ312は、キャップ312を要求され次第膨脹するための適切な圧力を提供するために、流体源(例えば、生理食塩水、空気、または他のガス源)に連結され得る。
【0060】
可撓性リスト10’は、内部の身体組織、器官などの周りで容易に内視鏡310を連接しかつ操縦して、望ましい目的地(例えば、心外膜組織または心筋組織)に到達することを可能にするために、少なくとも1自由度を有する。可撓性リスト10’は、上記の図1〜図30に対して記載される実施形態のいずれかであり得る。ハウジング53’はまた、可撓性リスト10’の遠位部分(これは、内視鏡を収容する)を連接するための駆動機構を収容する。この駆動機構は、ケーブル駆動機構、ギア駆動機構、ベルト駆動機構、または他の型の機構であり得る。例示的な駆動機構およびハウジング53’は、米国特許第6,394,998号(本明細書に参考として援用される)に記載される。その例示的な駆動機構は、可撓性リスト10’に対して2自由度を提供し、シャフト14’が、シャフトの長さに沿った軸の周りで回転するようにする。CTA手順において、この連接式内視鏡310は、内部器官、組織などの周りで操縦かつ連接し、視認が困難なかつ/または達するのが困難な場所の視覚的画像を取得する。この取得された画像は、所望の心臓組織上への切除カテーテルの配置を補助するために使用され得る。この連接式内視鏡が、唯一の利用される範囲であってもよいし、主要な内視鏡から取得される主要な画像に対して、その外科手術部位の別の視野を提供するために、第2の範囲または第3の範囲として使用されてもよい。
【0061】
M.解放可能に取り付けられる切除カテーテル/デバイスを備える連接式内視鏡
上記の連接式内視鏡の延長として、望ましい心臓組織上への切除カテーテルの配置をさらに補助するために、カテーテルが、連接式内視鏡に解放可能に連結され得る。図32は、解放可能な一連のクリップ320によって内視鏡310に解放可能に連結されるカテーテル321を図示する。他の型の解放可能な連結(機械的または他のもの)もまた使用され得、本発明の範囲内に十分入り得る。図32に示されるように、クリップ320は、切除デバイス/カテーテル321が内視鏡310に解放可能に取り付けられることを可能にし、その結果、切除デバイス/カテーテル321は、CTA手順において望ましい外科手術の目的地に達するために、駆動され、操縦され、構造体(例えば、肺血管など)の周りで連接されるときに内視鏡310の後に続く。連接式内視鏡310および取り付けられた切除デバイス/カテーテル321がその目的地に達すると、カテーテル321は、例えば、ロボットアームに接続された別の器具によって適切な場所に保持/維持される一方で、内視鏡310は、切除デバイス/カテーテル321から解放され、取り外される。このようにして、操縦する間に内視鏡310によって撮影された、視認が困難なかつ/または到達するのが困難な場所の画像は、ガイダンス目的で利用され得る。さらに、この内視鏡の連接は、到達するのが困難な心臓組織上への切除デバイス/カテーテル321の配置をさらに容易にする。
【0062】
代替的実施形態において、デバイス/カテーテル自体の代わりに、カテーテルガイド331が、内視鏡310に解放可能に取り付けられ得る。図33において図示されるように、カテーテルガイド331は、次いで、上記のように議論される最終的な目的地へと連接式内視鏡310によって同様にガイドされる。連接式内視鏡310および取り付けられたカテーテルガイド331がその目的地に達すると、カテーテルガイド331が、例えば、ロボットアームに接続された別の器具によって適切な場所に保持/維持される一方で、内視鏡310は、カテーテルガイド331から解放され、取り外される。次いで、切除カテーテル/デバイスは、その近位端332においてカテーテルガイド331を使用する場所にスライドされ得る。一実施形態において、カテーテルガイド331は、そのカテーテルが適切な場所にスライドすることを可能にするように、クリップ320のような解放可能な連結を利用する。別の実施形態において、カテーテルガイド331は、内視鏡310の中に構築された管腔を利用する。この管腔の中に、カテーテルガイド331が滑り込んで、目的に達するようにガイドされ得る。
【0063】
N.内視鏡をガイドするための管腔を備える連接式器具
なお別の実施形態において、連接式内視鏡を有する代わりに、エンドエフェクターが、望ましい連接を備える器具を設けるために、可撓性リストに取り付けられる。この連接式器具は、例えば、上記の図1〜図2に関連して記載された。しかし、この連接式器具は、器具のシャフトに沿って延びる管腔(例えば、空洞、作業チャネルなど)をさらに備え、この管腔の中に、外部からの内視鏡が挿入され得、可撓性リストの先端に向かってガイドされる。この実施形態は、解放可能に取り付けられた切除カテーテル/デバイスを備えるかまたは上記のような解放可能に取り付けられたカテーテルガイドを備える連接式内視鏡の実質的に同じ機能を成し遂げる。この差異は、内蔵式管腔への挿入を介して、その切除カテーテル/デバイスが、内視鏡がその切除デバイスに解放可能に取り付けられている状態で駆動および操縦するために使用されることである。内蔵式管腔によって、解放可能な連結物(例えば、クリップ)が除去される。
【0064】
ここで図34を参照すると、本発明に従うビデオ接続の一実施形態を例示するビデオブロック図が図示される。図34に図示されるように、カメラ制御ユニット342は、連接式内視鏡310の操作(例えば、拡大、縮小、解像度モード、画像捕捉など)を制御する。連接式内視鏡310によって捉えられた画像は、主要ディスプレイモニター343および/または補助ディスプレイモニター344に供給される前に、処理するためにカメラ制御ユニット342に提供される。このシステム中の他の利用可能な内視鏡345(例えば、主要内視鏡など)は、それら自体のカメラ制御ユニット346によって同様に制御される。取得された画像は、主要ディスプレイモニター343および/または補助ディスプレイモニター344に同様に供給される。代表的には、主要モニター343は、主要内視鏡から取得された画像(三次元であり得る)をディスプレイする。連接式内視鏡310(または連接式器具の管腔に挿入された内視鏡)から取得された画像は、補助ディスプレイモニター344上にディスプレイされ得る。あるいは、連接式内視鏡310(または連接式器具の管腔に挿入された内視鏡)から取得された画像は、主要ディスプレイモニター343上に補助情報としてディスプレイされ得る(米国特許第6,522,906号(本明細書に参考として援用される)における詳細な説明を参照のこと)。
【0065】
上記の連接式器具/内視鏡は、連接式器具/内視鏡を清潔にかつ無菌状態に維持するために、コンドームによく似た任意の滅菌シースによって覆われ得る。このことによって、外科手術手順において使用した後に、これらの器具/内視鏡を滅菌する必要性を回避する。このような滅菌シースは、内視鏡が画像を明瞭に視認して捉えることを可能にするために半透明である必要がある。従って、滅菌シースは、ラテックス様材料(例えば、Kraton(登録商標)、ポリウレタンなど)から作られ得る。一実施形態において、滅菌シースおよびキャップ312は、同じ材料から作製され得、一部品として一緒に接続され得る。次いで、キャップ312は、機械的または他の型のファスナーによってシャフト14’に固定され得る。
【0066】
従って、図31〜図34は、心臓組織切除(CTA)処置において切除カテーテルまたは他のデバイスの安全な配置を促進しかつこれらデバイスの視覚的確認を提供するために、可撓性リストを備える外科手術用器具(例えば、内視鏡など)の種々の実施形態を図示する。特定の例示的実施形態に関して記載されているが、これらの実施形態は、本発明を例示するに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。むしろ、本発明の原理は、多くの特定のシステムおよび実施形態に適用され得る。
【0067】
図35〜図37は、本発明に従う、連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡を図示する。図35〜図37に図示される本発明のいくらかの部分は、図1〜図34および参考として援用される文献中で記載される他の図面におけるそれらの対応する物に類似しており、同様の要素は、ダブルプライム(”)が付された参照番号によってそうであることが示される。このような類似のものが存在する場合、類似でありかつ図1〜図34におけるものと類似の様式で機能する、図35〜図37の本発明の構造体/要素は、繰り返して詳細に記載されない。
【0068】
O.連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡
ここで図35を参照すると、本発明に従うロボットによる最小限に侵襲性の外科手術において使用される連接式かつ交換可能な内視鏡310”の一実施形態が図示される。この内視鏡310”は、細長いシャフト14”を備える。可撓性リスト10”は、シャフト14”の作業末端に位置する。ハウジング53”は、外科手術用器具310が例えば、米国特許第6,331,181号および同第6,394,998号に記載されるもののような、シャフト14”の反対の末端に位置したロボットアーム(示さず)に解放可能に連結することを可能にする。米国特許第6,451,027号に記載されるロボットアーム(これは、より重くかつかさばる内視鏡カメラを維持するために設計されている)とは異なり、米国特許第6,331,181号および同第6,394,998号(これらは、その全体が本明細書に参考として援用される)に記載されるロボットアームは、より軽量の外科手術用器具のために設計されている。互換性(interchangeablity)/交換性(swappability)を達成するために、米国特許第6,331,181号および同第6,394,998号に記載されるものに類似のロボットアーム設計が、外科手術ロボットのアーム全てに関して使用されるべきである。言い換えると、外科手術用内視鏡を主に保持するために設計されたロボットアームを使用する代わりに、より軽い荷重のために設計された汎用的(universal)/標準的ロボットアームが、外科手術用内視鏡を含め、全ての型の外科手術用器具を保持するために使用される。このようにして、外科手術用内視鏡は、外科手術ロボットの複数の外科手術ロボットアームのいずれかに取り付けられ得る。それによって、外科手術用内視鏡が、手順の間に必要なときに、種々の外科手術用アーム間で交換されることが可能になる。結果として、外科医は、代表的には、従来の腹腔鏡検査法において起こっていたように、ポート間で内視鏡を交換することが可能である。この交換は、1つのアームから内視鏡を解放かつ外し、次いで、その内視鏡を異なるアームに取り付けかつロックすることによって、容易に行われ得る。このことによって、内視鏡が、患者の身体において異なる外科手術用ポートに挿入されるようになる。さらに、このロボットによる外科手術システムの機械的かつ構造的設計は、種々の型の器具のアームにもはや合わせる必要がないので、単純化され得る。
【0069】
この目標を達成するために、この内視鏡は、より小さくかつ軽量にする必要がある。本発明に従って、内視鏡カメラレンズは、可撓性リスト10”の遠位端において与えられる。管腔(示さず)は、シャフト14”の長さに沿って延び、このシャフトは、可撓性リスト10”の遠位端を、ハウジング53”と接続する。好ましい「チップ・オン・スティック」実施形態において、内視鏡310”の画像化センサが、有線または無線いずれかの電気接続で、ハウジング53”の末端にあるコネクタ314”に連結されたカメラ制御ユニットに、可撓性リスト10’の遠位端において取り付けられ得る。この画像化センサは、二次元(2D)であってもよいし、三次元(3D)であってもよい。いくつかの複雑な信号処理技術が、2D画像化センサから3D画像を導くために使用され得る。いくつかの例示的な市販のチップ・オン・スティック内視鏡の解決法としては、Melville,New YorkのOlympus America,Inc.、Petach Tiqua,IsraelのVisionsenseなどが挙げられる。このようなチップ・オン・スティック実施形態は、その以前の大きさの何分の一かに内視鏡の大きさを縮小することができかつその重量をある程度まで軽くすることができる。よって、内視鏡の大きさおよび重量は、内視鏡の取り付け/取り外しおよび操縦において困難性を何らもたらさない。代替的な「ファイバースコープ」実施形態において、内視鏡310”の画像化センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD))は、シャフト14”の長さに沿って管腔の中を延びかつ可撓性リスト10”の遠位端で実質的に終わる接続される光ファイバーでハウジング53”の内部に取り付けられ得る。
【0070】
内視鏡310”は、可撓性リスト10”の遠位端の先端において内視鏡レンズ314”を覆いかつ保護するためにキャップ312”を有し得る。キャップ312”は、半円形であってもよいし、円錐形などであってもよく、器具が外科手術部位の内部/その部位の付近で操縦する間に組織から離れてそれないようにすることを可能にする。キャップ312”は、ガラス、透明プラスチックなどから作製され得、内視鏡310”が画像を明瞭に視認してとらえることを可能にするように透明である。明瞭な視認および画像捕捉を可能にする特定の条件下で、キャップ312”は、同様に半透明であり得る。代替的実施形態において、キャップ312”は、内視鏡310”の視認性能の改善/増大のために、膨脹式(例えば、その通常の大きさの3倍まで)である。膨脹式キャップ312”は、可撓性の透明なポリエチレンから作製され得る。ポリエチレンから血管形成術バルーンが作製されるかまたは、類似の材料から作製される。このようにして、キャップ312”の大きさおよび結果として内視鏡310”が挿入される最小限に侵襲性の外科手術ポートの大きさは、最小にされ得る。内視鏡310”を外科手術部位に挿入した後、キャップ312”は、視認性の増大/改善を提供するために膨脹され得る。従って、キャップ312”は、キャップ312”を要求され次第膨脹するための適切な圧力を提供するために、流体源(例えば、生理食塩水源、空気源、または他のガス源)に連結され得る。
【0071】
可撓性リスト10”は、内部の身体組織、器官などの周りで内視鏡310を容易に連接しかつ操縦して、望ましい目的地(例えば、心外膜組織または心筋組織)に到達することを可能にするために、さらなる自由度を提供する。可撓性リスト10”は、上記の図1〜図30に対して記載されるかまたは米国特許第6,817,974号において記載される実施形態、複数のジョイントなどを有する他の実施形態のいずれかであり得る。ハウジング53”はまた、可撓性リスト10”の遠位部分(これは、内視鏡を収容する)を連接するための駆動機構を収容する。この駆動機構は、ケーブル駆動機構、ギア駆動機構、ベルト駆動機構、または他の型の機構であり得る。例示的な駆動機構およびハウジング53”は、米国特許第6,394,998号(本明細書に参考として援用される)に記載される。その例示的な駆動機構は、可撓性リスト10”に対して2自由度(ピッチおよびヨー)を提供し、シャフト14”が、シャフトの長さに沿った軸の周りで回転(ロール)するようにする。このピッチ自由度およびヨー自由度は、内視鏡レンズの先端に直ぐ近接しているリスト10”の、それぞれ、仮想水平軸および仮想垂直軸の周りでの湾曲であり、挿入/抜き取り運動(例えば、x、y、およびzのデカルト座標系の運動)および器具シャフト回転(例えば、ロール運動)に加えられる。よって、内視鏡310”は、外科医に内視鏡のさらなる自由度を制御するための直観的方法をどのように提供するかという問題を提起する他のロボットによる外科手術用器具(例えば、把持器など)と同じ自由度が提供される。
【0072】
P.スレーブ器具のカメラ基準制御パラダイム
外科医に複雑な外科手術ロボットを制御する直観的方法を提供することが望ましい。外科医は高度な技術を要しかつ複雑な外科手術手順に没頭するようになるので、彼は、外科手術ロボットがどのようにその責務を果たすかに気付く必要はなく、おそらくときおり、彼は、彼によって指示されているようにロボットが操作しかつその課せられた仕事を果たす方法の直観性に起因して外科手術手順を行うためにロボットを使用しているということを忘れてしまう。直観性 対 反直観性の極めて単純化した例示的図解として、図36を考える。図36は、内視鏡がまっすぐ前を指した水平ゲージ(level gaze)を有する場合、ワールド基準(world−reference)(画像基準ともいう)制御とカメラ基準(例えば、内視鏡の遠位端に取り付けられた系)制御との間に差異はないことを図示する。しかし、カメラが、例えば、時計回りに90°回転したとき、カメラ基準系におけるスレーブ器具の動きを基準にすると、器具運動を外科医に対して直観的にし続けることにおいて、大きさ差異が生じる。なぜなら、この器具が、ワールド基準に基づいている場合、外科医の手の左右運動が、外科手術用器具の上下運動を引き起こすように見えるからである。よって、米国特許第6,364,888号(本明細書中以降、‘888特許という)および米国特許第6,424,885号(本明細書中以降‘885特許という)(これらは、その全体が本明細書に参考として援用される)は、このような直観性を提供するために、全てのスレーブ器具運動および内視鏡カメラ基準系における方向付けを制御することを記載する。しかし、‘888特許および‘885特許に記載される内視鏡は、本発明における内視鏡のように、ピッチ自由度およびヨー自由度を有しない。よって、これらの自由度と関連する課題および結果的にパラダイムは、予期されない。
【0073】
このようなパラダイムの第1のものは、次に議論される。本発明に従う内視鏡が、ピッチ運動またはヨー運動を受ける場合、画像がカメラ基準系から視認されれば、画像は外科医にとって反直観的であり得る。これは、内視鏡が上に傾いた場合、カメラ基準系からの画像では、外科医が直観的に期待する上を向いた画像ではなく、下を向いているように見えることが原因である。この内視鏡が下に傾いた場合、カメラ基準系からの画像は、外科医が直観的に期待する下を向いた画像ではなく、上を向いているように見える。同様に、この内視鏡が左に傾けられる場合、カメラからの画像は、外科医が直観的に期待する左を向いた画像ではなく、右を向いているように見える。この内視鏡が右に傾けられる場合、カメラからの画像は、外科医が直観的に期待する右を向いた画像ではなく、左に向いているようにみえる。このように反直観性は予期しないことであり、本発明において望まれる直観性を維持するために、カメラ基準系から、内視鏡のピッチ運動およびヨー運動のワールド基準/画像基準の基準系へと、スレーブ外科手術用器具の基準系を変更する必要がある。スレーブ外科手術用器具の基準系は、本発明において、全ての他の内視鏡の自由度(例えば、x、y、およびzのデカルト座標系の挿入/引き抜き運動および器具シャフトの回転運動)に関してカメラ基準系を保持する。言い換えると、さらなる自由度のための基準系が、外科手術ロボットの内視鏡と関連する従来の自由度の基準系から分断される。にもかかわらず、本発明に従って、いくつかの適用に関しては、連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡の6自由度のうちの各々およびいずれかを制御するために、カメラ基準系とワールド基準系との間で選択を与えることは有利であり得ることが理解されるべきである。言い換えると、連接式/操縦可能なかつ交換可能な内視鏡の6自由度のいずれかまたは全てが、カメラ基準系またはワールド基準系のいずれかにおいて制御され得る。
【0074】
マスター−スレーブ外科手術ロボットシステム(例えば、da Vinci(登録商標)システム)において、6自由度のうちのいずれか(または全て)が、カメラ基準系において制御されるとすると、その基準系は、位置および/または方向付けに関して、カメラの動きとともに変化している。言い換えると、スレーブ(例えば、内視鏡カメラ)に対するマスター(すなわち、外科医の眼)の関係は、カメラの動きに起因して変化している。このことによって、このような変化が補償されない限り、外科医の入力に対して彼の認知の直観性が、反対に実行され得る。この補償は、制御変換を介して、マスター入力デバイスを位置変更する(reposition)ことによって達成される。より具体的には、このマスター/眼の変換は、変化しているスレーブ/カメラ変換に適合するように調節される。好ましくは、このようなマスター整列補償は、カメラ制御の後に(すなわち、順番に(sequential))より大きな補償を行うのではなく、カメラ制御の間に(すなわち、リアルタイムまたはリアルタイムに近く)(増分変換(incremental
transform)を介して)連続的かつ少しずつ行われる。なぜなら、関連づけられた遅れ時間が最小にされるからである。このようなマスター整列補償は、非可撓性かつ操縦可能でない内視鏡システムにおいても、6自由度全てがワールド基準系で制御される場合においても必要とされないことが理解される。なぜなら、この基準系は、これらの場合には不変であるからである。
【0075】
マスター入力デバイス(例えば、米国特許第6,714,839号(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)に記載されるものは、少なくとも6自由度で操縦され得る。別個のマスター入力デバイスが、図38に示されるように、ユーザーの右手と左手で使用される場合、少なくとも合計12自由度が、内視鏡カメラの位置および方向付け、ならびに機能(例えば、絞り、開口など)を制御するために、この2つのマスター入力デバイスを実際に組み合わせることから利用可能である。図38は、自転車のハンドルバーと類似の様式で操作するために実際に組み合わされた2つのマスター入力デバイスを図示する。このカメラは、X軸、Y軸およびZ軸に沿って動くことができ、かつこれらの軸の周りで回転することができるので、実際に組み合わされたマスター入力デバイスからの6自由度は、速度(velocity)(速度(rate)ともいう)または位置いずれかの制御を使用して、これらの6つの位置および方向付けを命令するために必要とされる。さらに、実質的に組み合わされたマスター入力デバイスからの3自由度は、組み合わされたマスター入力デバイスの幾何的な制約を実施する/処理するために必要とされる。従って、少なくとも3つの予備の自由度が、他のカメラ機能(例えば、絞り(focus)、開口(aperture)など)を命令するために依然として利用可能である。好ましい実施形態において、これらの他のカメラ機能を命令するために使用される3自由度は、以下のとおりである:ハンドルバーの旋回(すなわち、2つのマスター入力デバイス)、ハンドルバーの湾曲、および各マスター入力デバイスの反対の方向への回転。
【0076】
任意の数学的変化(例えば、基準系の位置/方向付けの変換)、ならびにこのような基準系変化と関連する制御系変化(例えば、制御アルゴリズム)が、‘888特許および‘885特許の関連する詳細な説明に鑑みて、導かれ得かつ実施され得ることは当業者に明らかなはずである。よって、簡略さおよび明瞭さを目的として、このことに関するさらなる議論は、本明細書に提供されない。
【0077】
Q.ピッチ運動およびヨー運動のための回転点
第2の制御パラダイムは、連接式/操縦可能なおよび交換可能な内視鏡のための回転点の選択を伴う。この回転点は、この内視鏡画像の基準系が回転する点である。この回転点は、外科医に直観性の観念および外科手術部位の最適な画像を提供するように選択される。本発明に従う連接式の交換可能な内視鏡に関して、適切に選択された回転点と組み合わせたカメラレンズのさらなるピッチ運動およびヨー運動(個々にまたは両方が同時に、のいずれにせよ)は、内視鏡を(おそらく他の自由度と組み合わせて)操縦して、カメラ基準系に対して外科手術部位内部の解剖学的構造の(惑星の周りを周回する衛生によって観察される画像に類似する)環状画像を提供するために、使用され得る。回転点のこのような選択は、従来のロボットによる外科手術用内視鏡(例えば、ピッチ運動およびヨー運動なしの内視鏡)のために必要とされず、よって、認識されていないことが注意される。この回転点の候補としては、以下が挙げられる:内視鏡の最大作業範囲(例えば、オリンパス内視鏡の遠位先端から約38mm)内の点であり得る外科手術部位の想定される中心、可撓性リスト10”の直ぐ近くの領域における点、内視鏡による外科手術部位の進入点など。
【0078】
ここで図37が参照され、本発明に従う内視鏡310”の異なる可能な回転点が図示される。図37において示されるように、内視鏡310”は、器官372の周りの外科手術部位においてポート371に挿入されている。点373は、想定される中心であり、点374は、可撓性リスト10”に隣接した点または可撓性リスト10”上の点であり、点375は、内視鏡310”が外科手術部位に入る点である。
【0079】
想定される中心の回転点は、最も論理的であり得る。なぜなら、外科手術部位における大部分の活動は、内視鏡の先端の直ぐ周りを取り囲む領域において生じるようであり、拡大縮小性能とともに本発明の連接式/操縦可能な内視鏡の6自由度を考慮すると、微小な調節が、望ましい最適な画像を得るために素早くなされ得るからである。しかし、内視鏡310”の近位端(後ろ側の末端)およびより重大なことには内視鏡がカメラレンズのピッチおよび/またはヨー運動がなされる場合に解放可能に連結されるロボットアームと関連する過剰運動に関連するこのような選択において、欠点が存在するものであり得る。なぜなら、内視鏡310”を保持するロボットアームのこの過剰な運動は、望ましくない。このシステムの他のロボットアームの邪魔になり得、その全てが、手順の間に同時に動き、アーム衝突を生じ得るからである。
【0080】
回転点を内視鏡による外科手術部位の進入点へと動かすと、ロボットアームの運動が弱まるようである。なぜなら、回転点とロボットアームとの間の距離が、(組み合わされる回転および平行運動の量を減少させることによって)大いに減少されるが、やはり、物理的制約および幾何的な制約に起因して、外科手術部位の適切とはいえない視認画像を生成するようである。比較すると、回転点が可撓性リスト10”の中心の周りに存在すると、回転点とロボットアームとの間の距離は減少され、それによって、アームの運動はまた、弱められるが、物理的制約およびジオメトリー的制約がより少なくなることに起因して、視認画像が改善される。よって、可撓性リスト10”の中心周辺の点が、本発明の連接式の交換可能な内視鏡にとって好ましい回転点である。回転点の例示的な実行は、マスター制御点をスレーブ制御点にマッピングすることを記載する‘885特許において提供される。
【0081】
上記の装置および方法の配置は、本発明の原理の適用を例示するに過ぎず、多くの他の実施形態および改変が、特許請求の範囲において規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る。よって、本発明の範囲は、上記の説明を参照せずに決められるべきであるが、代わりに、本発明の完全な均等の範囲内とともに、添付の特許請求の範囲を参照して決められるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図4B】
【図13】
【図31】
【図32】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図33】
【図34】
【図36】
【図37】
【図38】
【図4B】
【図13】
【図31】
【図32】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図33】
【図34】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2013−46772(P2013−46772A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222926(P2012−222926)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2006−350712(P2006−350712)の分割
【原出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(506410453)インテュイティブ サージカル インコーポレイテッド (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2006−350712(P2006−350712)の分割
【原出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(506410453)インテュイティブ サージカル インコーポレイテッド (32)
【Fターム(参考)】
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