外科用ステープリング装置
内痔核治療用の外科用ステープリング装置(10)を開示する。本外科用ステープリング装置は、ハンドル部分(12)、細長本体部分(14)およびアンビル組立体(30)ならびにシェル組立体(31)を含むヘッド部分(16)を含む。ヘッド部分は、本装置が発射を完了して非接近状態となった後に自動的に傾斜する傾斜可能アンビルを含むアンビル組立体を含む。傾斜可能なアンビルは、アンビルの輪郭を縮小し、吻合手技が実施された後の本装置の除去中における外傷を減少させる。本ステープリング装置のアンビル組立体は、該アンビル組立体のアンビルセンターロッドの長手方向孔内に入れ子式に受け入れられるような寸法を有する細長遠位延長部分を含むアンビル保持具を有する接近機構を含むことができる。細長遠位延長部分は、手術部位の可視化を妨げることなくアンビルセンターロッドと入れ子式に係合する長さを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全内容が引用により組み込まれる2003年6月20日に提出された米国仮出願第60/480、074号の優先権を主張する。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、全体として身体組織に外科用ステープルを打ち込むための外科用ステープリング装置に関する。より詳細には、本開示は、中空組織器官内壁の輪状吻合および/または治療を実施するのに適した外科用ステープリング装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
吻合とは、別個の中空器官切断部の手術的結合である。一般に、吻合手技は、中空組織の罹患部分または欠損部分を除去して残りの端面を結合する手術法を用いる。所望の吻合手技に応じ、端面は、輪状器官再建法、端々器官再建法または側々器官再建法によって結合することができる。
【0004】
輪状吻合手技では、組織切断部の2つの端面は、ステープルの輪状アレイを各器官切断部の端面に打ち込み同時に打ち込まれたステープルの輪状アレイ内側のあらゆる組織をコアリングして管状通路を解放するステープリング器具によって結合される。中空器官の輪状吻合実施用器具の例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7に記載されており、それらの各々が全体として引用により本明細書に組み込まれる。一般に、これらの器具は、近位端に該器具を作動させるためのハンドル部分を有する細長シャフトおよび遠位端に配置されたステープル保持部品を含む。アンビルヘッドが取り付けられたアンビルロッドを含むアンビル組立体が、ステープル保持部品に隣接してこの器具の遠位端に取り付けられる。ステープリングされることになる中空器官組織の対向する末端部分は、アンビルヘッドとステープル保持部品との間で締め付けられる。締め付けられた組織は、ステープルの端部が組織を貫通してアンビルヘッドによって変形されるようにステープル保持部品から1本またはそれ以上のステープルを打ち込むことによってステープリングされる。輪状のナイフが同時に前進して中空器官と共に組織をコアリングし、該器官内の管状通路を開放する。
【0005】
中空器官の吻合に加え、輪状吻合実施用の外科用ステープリング装置は、直腸内の内痔核を治療するのにも用いられてきた。一般に、痔核治療用輪状ステープリング装置の使用中、外科用ステープリング装置のアンビルヘッドおよびステープル保持部品は、アンビルヘッドならびにステープル保持部品を開放状態または非接近状態にして、肛門を通じて直腸内に挿入される。その後、巾着縫合糸を用いて、内痔核組織がアンビルロッドに向けて引っ張られる。次に、アンビルヘッドとステープル保持部品が近づけられ、アンビルヘッドとステープル保持部品との間の痔核組織が締め付けられる。ステープリング装置が発射されて痔核組織が切除されかつ切断された組織がステープリングされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
痔核を治療するのに従来の輪状吻合用ステープラを用いる手段は、いくつかの難点を有する。より具体的には、ステープリング装置のアンビルヘッドとステープル保持部品とが密接するために、例えば巾着縫合糸の配置中における手術部位の可視性が大きく損なわれる。さらに、手術部位へのアクセスが著しく制限される。その結果、外科医が巾着縫合糸を痔核組織内または痔核組織に隣接して適切に配置しかつ巾着縫合糸が適切に配置を完了されたことおよび所望の痔核組織が切除に備えて適切に配置されていることをも確認することは困難となる。
【0007】
従って、当業界には、手術部位の可視性およびアクセスが改善された痔核または同種のものを治療するのに適した輪状ステープリング装置の必要性が引き続き存在する。
【特許文献1】米国特許第6,053,390号明細書
【特許文献2】米国特許第5,588,579号明細書
【特許文献3】米国特許第5,119,983号明細書
【特許文献4】米国特許第5,005,749号明細書
【特許文献5】米国特許第4,646,745号明細書
【特許文献6】米国特許第4,576,167号明細書
【特許文献7】米国特許第4,473,077号明細書
【課題を解決するための手段】
【0008】
(概要)
本開示によれば、輪状吻合を実施しかつ/または内痔核を治療するための輪状外科用ステープリング装置が開示される。本外科用ステープリング装置は、ハンドル部分またはハンドル組立体、本体部分およびアンビル組立体ならびにシェル組立体を含むヘッド部分を含む。ハンドル部分は、アンビル組立体とシェル組立体を接近させてトリガを発射し、発射機構を作動させてシェル組立体内に配置されたステープルを打ち出すための回転自在の接近用ノブを含むことができる。一実施形態では、発射用トリガは、発射機構を作動させるために備えられた2本のバーリンケージからなる1つのリンクを形成している。2本のバーリンケージは、本装置を発射させるのに要する発射力を低減する向上された機械的利点を本装置に提供する。
【0009】
一実施形態では、ヘッド部分は、本装置が発射を完了して非接近状態となった際には自動的に傾斜することになる傾斜可能なアンビルを含むアンビル組立体を含む。この傾斜可能なアンビルは、アンビルの輪郭を縮小し、吻合手技が実施された後の本装置の除去中における外傷を減少させる。
【0010】
本外科用ステープリング装置は、本装置が接近を完了するまで発射用トリガの作動を防止する発射ロックアウト機構をも含むことができる。一実施形態では、発射ロックアウト機構は、トリガロックおよびハンドル組立体内に移動可能に配置されたロックアウト部材を含む。ロックアウト部材は、本装置が接近を完了するまで、固定された位置から固定が解除された位置までトリガロックが移動するのを防止する。
【0011】
一実施形態では、本外科用ステープリング装置は、触知式表示機構を含む。触知式表示機構は、アンビルヘッドが傾斜するのを許容するのに十分な距離だけアンビルヘッドが非接近状態となったことを外科医に表示し、そのようにして、本装置を患者から除去することができることを示す。
【0012】
別の実施形態では、本ステープリング装置は、本装置のハンドル組立体の上面上方に延びる球状インジケータを含む。このインジケータは、本装置が接近を完了して発射の準備が整った状態にあることを外科医に明らかにするための指標を含む。このインジケータは、指標を目立つように表示するために拡大材料で形成されたカバーを含むことができる。今回開示するインジケータは、本器具の最上部および側部の両方からの外科医に対するインジケータの可視化が改善されている。
【0013】
別の実施形態では、本ステープリング装置のアンビル組立体は、アンビルヘッド上に配置された保持クリップを含む。この保持クリップは、その非付勢位置で切断用リングに係合して本ステープリング装置の接近解除中に該切断用リングがナイフ刃に付着するのを防止するように配置された少なくとも1本の弾性アームを含む。保持クリップは、アンビル組立体のアンビル支柱の横スロット内に配置される一対の弾性アームを含むことができる。切断用リングは、アンビル支柱の周りに配置され、弾性アームを横スロット内に促す。切断用リングは、本装置が発射されて保持クリップの弾性アームが切断用リングの近位方向移動を妨害する位置まで外方に曲がることができるときにアンビル支柱の周りで移動可能である。
【0014】
さらに別の実施形態では、本外科用ステープリング装置は、アンビル組立体のアンビルセンターロッド内に形成された長手方向孔に入れ子式に受け入れられる細長遠位延長部分を有するアンビル保持具を含む接近機構を含む。この細長遠位延長部分は、アンビル保持具の近位部分と比べて縮小された直径を有することができる。細長遠位延長部分は、手術部位の可視化を妨げることなくアンビル保持具とアンビルセンターロッドとの入れ子式係合を促進するような長さを有していなければならない。一実施形態では、アンビル保持具は、アンビルセンターロッドに解放自在に係合するための係合面または係合肩を含む。この肩は、細長遠位延長部分の近位に配置されている。接近機構は、接近用スクリューとアンビル保持具との間に配置される保持具延長部材をも含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、本外科用ステープリング装置は、内痔核を治療するのに適した手術用キットに含まれる。本キットは、外科用ステープリング装置および取り外し自在のアンビル組立体を含む。一実施形態では、本外科用ステープリング装置は、細長遠位延長部分を有するアンビル保持具を含む。本キットは、アンビル組立体に解放自在に係合して該アンビル組立体を手術部位に配置するように適合された挿入用ハンドルをも含むことができる。本キットは、検鏡、肛門拡張器および/または閉塞具をも含むことができる。
【0016】
今回開示する外科用ステープリング装置の種々の実施形態を、図面を参照して本明細書に開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態の詳細な説明)
ここで、いくつかの図の各々において同じ参照数字は同じ要素または対応する要素を表す図面を参照し、今回開示する外科用ステープリング装置の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
本明細書全体を通して、用語「近位の」は、術者に最も近い本器具の部分を指し、用語「遠位の」は、術者から最も遠い本器具の部分を指す。
【0019】
図1および図2に、全体を10で示す今回開示する外科用ステープリング装置の一実施形態を示す。簡単に述べれば、外科用ステープリング装置10は、近位ハンドル組立体12、湾曲した細長外管14aを含む細長中央本体部分14、および遠位ヘッド部分16を含む。代替的に、いくつかの手術手技、例えば痔核の治療においては、実質的にまっすぐな中央本体部分を有するのが望ましい。本体部分14およびヘッド部分16の長さ、形状ならびに/または直径も、特定の手術手技に適するように変えることができる。
【0020】
ハンドル組立体12は、固定ハンドル18、発射用トリガ20、接近用回転ノブ22およびインジケータ24を含む。固定ハンドル18は、例えばポリカーボネート製の熱可塑性ハンドル半体部分18aおよび18bで形成することができ(図3)、該熱可塑性ハンドル半体部分18aならびに18bは、共にハンドル組立体12の内部構成要素用のハウジングを形成する。ハンドル半体部分18aおよび18bは、音波溶接によって共に固定することができる。代替的に、ネジ、接着剤、スナップ式コネクタ等を含む他の既知の固定技法を用いてもよい。ハンドル部分12の内部構成要素について以下に詳細に論じる。一実施形態では、グリップ(図示せず)などのクッション性を有しかつ/または弾性の滑り抵抗性を有する部分を、ハンドル半体部分18aおよび18bならびに発射用トリガ20の一部として固定もしくは含めることができる。滑り抵抗性を有するグリップは、オーバーモールド法を用いてハンドル半体部分18aおよび18bならびに発射用トリガ20の上に形成することができ、またネオプレンポリクロロプレンまたはゴムで形成することができる。代替的に、他の適した、例えばエラストマー材料および結合技法を用いてもよい。枢着されたトリガロック26がハンドル組立体12に固定されており、ステープリング装置10の偶発的発射を防止するために手動で配置される。インジケータ24は、固定ハンドル18上に配置されており、本装置が発射を完了したか否かおよび/または本装置の発射準備がいつ整うかを外科医が確認するための指標、例えばカラーコーディング、英数字によるラベリング等を含む。
【0021】
ヘッド部分16は、アンビル組立体30およびシェル組立体31を含む。これらの組立体の各々について以下に詳細に論じる。特に指定した場合を除き、外科用装置10の構成要素は、ポリカーボネートを含む熱可塑性プラスチック、およびステンレススチールならびにアルミニウムを含む金属で形成される。特定の構成要素を形成するために選択される特定の材料は、該特定の構成要素の強度要件に応じて決定されることになる。例えば、アンビルは、ステンレススチールなどの金属で形成することができ、固定ハンドルは、ポリカーボネートなどの熱可塑性プラスチックで形成することができる。代替的に、その材料が外科用途に適しておりかつ特定の構成要素の強度要件を満たしているということを条件に、滅菌工程に耐えることのできる、上に挙げていない他の材料を用いてステープリング装置10の構成要素を形成してもよい。
【0022】
図3〜図5に、ハンドル組立体12の内部構成要素を示す。内部構成要素には、接近機構および発射機構の近位構成要素、発射ロックアウト機構およびインジケータ駆動機構が含まれる。図6および図7に、細長本体部分14の内部構成要素を示す。これらの構成要素には、接近機構および発射機構の遠位構成要素が含まれる。これらの機構の各々を以下に詳細に開示する。
【0023】
(接近機構)
図3〜図8を参照すると、接近機構は、接近用ノブ22、回転スリーブ33、ドライブスクリュー32、第1のスクリュー延長部分34および第2のスクリュー延長部分36(図6)、ならびにアンビル保持具38を含む。回転スリーブ33は、共に中央孔33aを形成する実質的に円筒状の中空本体部分40および実質的に円筒状の鍔42を含む。鍔42は、その周りに形成された環状溝44を有しており、固定ハンドル18の内壁上に形成された内方に延びるフランジ46を受け入れるような寸法を有する。溝44とフランジ46との間の係合により、固定ハンドル18に対して相対的なスリーブ33の回転が可能な状態で、スリーブ33がハンドル18内で軸方向に固定される。回転スリーブ33の本体部分40の近位端は、固定ハンドル18の近位端内の開口部18bを通って延びる。一対の直径上で対向する細長リブ48が、本体部分40の外面上に配置されている。接近用ノブ22は、ノブ22の回転がスリーブ33の同時回転を生じさせるように、スリーブ33のリブ48を受け入れてスリーブ33をノブ22に回転自在に固定するために配置された一対の内部スロット49aを含む。
【0024】
スクリュー32の近位半分は、らせん状のチャネル50を含み、回転スリーブ33の中央孔33a内に摺動自在に配置されるような寸法を有する。スクリュー32の遠位端は、スクリュー32の外面とプッシャリンク74(図6)の内面との間に流体密封シールを設けるためのシール部材37(図3)を受け入れるような寸法を有する環状陥凹部35を含む。ピン52(図3)が、スリーブ33の本体部分42を通ってらせん状チャネル50内へ半径方向に延びる。スリーブ33は固定ハンドル18に対して軸方向に固定されているので、スクリュー32の周りでのスリーブ33の回転によってピン52がスクリュー32のチャネル50に沿って移動し、固定ハンドル18内でのスクリュー32の軸方向運動を生じさせる。
【0025】
スクリュー32の遠位端は、横スロット54を含む。上のスクリュー延長部分34および下のスクリュー延長部分36(図6)は各々、近位に位置する可撓性の平坦なバンド部分58および遠位に位置する平坦なバンド部分60を含む。代替的に、スクリュー延長部分34および36はバンド状以外の形状を有することもできることが想定される。例えば、スクリュー延長部分34および36は、断面が半円形または円形であってもよい。上のスクリュー延長部分34および下のスクリュー延長部分36が可撓性を有することにより、スクリュー延長部分34ならびに36が湾曲した細長本体部分14内を移動することが可能となる。各バンド部分58の近位端は、スクリュー延長部分34および36の近位端をスクリュー32の横スロット54内に固定するためのピン64を受け入れるような寸法を有する穴62を含む。代替的に、他の固定技法、例えば溶接、圧着等を用いて各バンド部分58をスクリュー32に固定してもよい。各スクリュー延長部分34および36の遠位に位置するバンド部分60は、アンビル保持具38をスクリュー延長部分34ならびに36の遠位端に固定するために、アンビル保持具38(図7)の近位端に形成された横スロット66内に受け入れられるような寸法を有する。一実施形態では、アンビル保持具38の近位端およびバンド部分60を通って延びる一対のピン66aを用いて、スクリュー延長部分34ならびに36がアンビル保持具38に固定される。代替的に、バンド部分60は、スロット66内にろう付けまたは溶接してもよく、他の固定技法、例えばネジ、圧着等を用いてスクリュー延長部分34および36のバンド部分60をアンビル保持具38に固定してもよい。アンビル保持具38は、以下に詳細に論じる方法でアンビル組立体に係合するように構成された環状突出部177(図7)を含む。代替的に、突出部177は環状である必要はなく、異なる取り付け構造、例えば陥凹部、溝等を含んでもよい。
【0026】
操作においては、接近用ノブ22が手動で回転される際に回転スリーブ33がスクリュー32の近位端の周りで回転し、スクリュー32のらせん状チャネル50に沿ってピン52を移動させる。スリーブ33は固定ハンドル18に対して軸方向に固定されているので、ピン52がチャネル50を通って移動する際に、スクリュー32が固定ハンドル18内で前進または後退する。その結果、スクリュー32の遠位端に固定された上のスクリュー延長部分34および下のスクリュー延長部分36、ならびにスクリュー延長部分34および36の遠位端に固定されたアンビル保持具38が、細長本体部分14内で軸方向に移動する。アンビル組立体30は、アンビル保持具38の遠位端に固定されているので、接近用ノブ22の回転により、離間した位置と接近した位置との間でのシェル組立体31に対して相対的なアンビル組立体30の移動が生じる。
【0027】
(発射機構)
図3〜図6および図9を参照すると、発射機構は、発射用トリガ20、発射用リンク72および細長プッシャリンク74(図6)を含む。発射用トリガ20は、本体部分76およびトリガカバー80を含む。ネオプレンポリクロロプレンまたはゴムで形成することのできるクッション性を有するグリップ面(図示せず)がトリガカバー80上に備えられている。クッション性を有するグリップ面が滑らないクックッション付き面となり、装置10の作動が外科医にとってより快適で精神的外傷を残すことのより少ないものとなっている。トリガ20の本体部分76は、ピボット部材84によって結合部材86(プッシャリンク74の近位端に固定された)に枢着されている。結合部材86は、プッシャリンク74と一体に形成しても、それに固定された別個の要素として形成してもよい。発射用リンク72は、ピボット部材87によってトリガ20の本体部分76に枢着された第1の端部およびピボット部材79によって固定ハンドル18のハンドル半体部分18aと18bとの間に形成された垂直スロット82内に枢着された第2の端部を有する。ピボット部材79は、スロット82内を垂直に自由に移動することができる。バネ82a(図9)がハンドル18内に支持されており、ピボット部材79をスロット82の下端に向けて下方に促す。本体部分76は、以下にさらに詳細に説明する方法でトリガロック26の遠位端26a(図4)に係合するように配置された当接部材89および当接部材91を含む一対の当接部材をさらに含んでおり、装置10接近前のトリガ20の作動を防止する。
【0028】
細長プッシャリンク74の近位端上に支持された結合部材86は、フランジ104(図6)を含む。固定ハンドル18内の内壁または当接部材とフランジ104との間に配置されたバネ106は、後退した非発射位置へと近位方向にプッシャリンク74を付勢する。一対の翼部108が、結合部材86から半径方向外方に延びる。翼部108は、固定ハンドル18の内壁に沿って形成されたチャネル111(図3)に沿って摺動するような寸法を有しており、装置10の発射中、固定ハンドル18内でのプッシャリンク74の適切な整合を維持する。
【0029】
プッシャリンク74の遠位端は、プッシャ後部186の近位端に形成された部材220と固定係合するような寸法を有する一対の係合フィンガ110を含む。プッシャ後部186は、シェル組立体31の一部を形成しており、以下にさらに詳細に論じる。プッシャリンク74は、可撓性プラスチック材料で形成することができ、また複数の切欠き187を含んでおり、該切欠き187によって、プッシャリンクが本体14を通って移動する際に、それがより容易に曲がることが可能となる。プッシャリンク74は、接近機構を摺動自在に受け入れるための中空のチャネル75を形成する。プッシャリンク74内に形成された平坦な面または切欠き74aは、互いに積み重ねて並置して整列させて配置されたスクリュー延長部分34および36を摺動自在に支持する。スペーサ77が切欠き74aに隣接して外管14a内に配置され、スクリュー延長部分34および36をさらに支持し、作動中の各構成要素の座屈を防止する。Oリングシール74cを受け入れるために、プッシャリンク74の周りに環状チャネル74bが形成されている。プッシャリンク74は、Oリング74がプッシャリンク74と外管14aの内壁との間の空間を封止するように、本体部分14に摺動自在に配置される。本装置の発射機構の動作を以下に詳細に説明する。
【0030】
発射用トリガ20が作動される、例えばピボット部材84を中心として枢動されると、スクリュー止め306上に形成された当接面307(図25、図28および図48)にピボット部材79が係合するまで、発射用リンク72が近位方向に移動する。スクリュー止め306は、スクリュー32に対して軸方向に固定されている。発射用トリガ20が遠位方向に押圧されると、プッシャリンク74は、バネ106の付勢に抗して遠位方向に前進する。再度図6に戻ってこれを説明すると、プッシャリンク74の遠位端はプッシャ後部186に連結されているので、発射用トリガ20の作動によってプッシャ後部186がシェル組立体31内に前進し、以下に説明する方法で、シェル組立体31からステープルを打ち出す。
【0031】
(アンビル組立体)
図10〜図21を参照すると、アンビル組立体30は、アンビルヘッド組立体120およびアンビルセンターロッド組立体152を含む。アンビルヘッド組立体120は、支柱122、アンビルヘッド124、バックアッププレート126、切断用リング128、アンビル129および保持クリップ127を含む。支柱122は、アンビルヘッド124内の孔を通して中央に配置されている。アンビル129は、アンビルヘッド124上の外側環状陥凹部136内に支持され、ステープルを受け入れて変形するための複数のポケット140を含む。少なくとも1つのタブ129aがアンビル129から半径方向外方に延び、アンビルヘッド124内に形成された切欠き124a内に受け入れられるような寸法を有する。タブ129aおよび切欠き124aは、アンビル129を環状陥凹部136内で位置合わせする機能を果たす。バックアッププレート126は、支柱122と環状陥凹部136との間にあるアンビルヘッド124の内側陥凹部134内の支柱122の周りに配置される中央開口部126bを含む。バックアップリング126は、一段高くなったプラットフォーム126aを含む。切断用リング128は、実質的にプラットフォーム126aと同じ形状を有する開口部128aを含む。開口部128aは、プラットフォーム126aの周りに配置され、切断用リング128aをバックアップリング126上に回転自在に固定する。一実施形態では、切断用リング128は、ポリエチレンで形成され、例えば接着剤を用いてバックアッププレート126に固定状態に取り付けられる。バックアップリング126は、金属のようなより硬い材料で形成してもよい。代替的に、他の構成材料を用いてプレート126およびリング128を構成してもよい。切断用リング128およびバックアッププレート126は、支柱122の周りに摺動自在に取り付けられる。バックアッププレート126は、内方に延びる一対のタブ150を含んでおり、該一対のタブ150については以下にさらに詳細に説明する。切断用リング128は、タブ128bを含んでおり、該タブ128bがアンビルヘッド124内に形成された切欠き124b内に受け入れられて、アンビルヘッド124内でバックアップリング126および切断用リング128を適切に位置合わせする。
【0032】
アンビルセンターロッド組立体152は、アンビルセンターロッド154、プランジャ156およびプランジャバネ158を含む。センターロッド154の第1の端部は、センターロッド154の中心長手方向軸線からずれた横貫通孔160を含む。アンビルヘッド組立体120の支柱122も、横貫通孔162を含む。アンビルヘッド組立体120がアンビルセンターロッド組立体152に枢動自在に取り付けられるように、ピボット部材164が、支柱122をセンターロッド154に枢動自在に固定している。プランジャ156は、センターロッド154の第1の端部内に形成された孔154b(図16)内に摺動自在に配置される。プランジャ156は、アンビルヘッド組立体120のピボット軸線からずれた、プランジャバネ158によって付勢されて支柱122の基部122aと係合してアンビルヘッド組立体120をセンターロッド154に直角な枢動位置へと促す係合フィンガ168を含む。発射前の位置では、バックアッププレート126上に形成されたタブ150がセンターロッド154の上面154a(図20)に係合し、アンビルヘッド組立体120がピボット部材164を中心として枢動するのを防止する。装置10が発射される際に、以下にさらに詳細に説明する方法で、バックアッププレート126および切断用リング128が、ナイフ188(図6)によって、支柱122(図21)の周りのアンビルヘッド124のアンビル陥凹部134内により深く移動される。アンビル陥凹部134内へのバックアッププレート126および切断用リング128の移動によってタブ150が移動してセンターロッド154の上面154aとの係合を離脱し、プランジャ156がピボット部材164を中心としてアンビルヘッド組立体120を枢動させることが可能となる。
【0033】
保持クリップ127は、支柱122内に形成された横スロット122c内に配置され、外方に付勢された一対の可撓性アーム127aおよび127bを含む。アーム127bは、ピボットピン164(図17)を受け入れるような寸法を有する陥凹部127cを含む。装置10を発射する前に、アーム127aおよび127bがバックアッププレート126によって内方に変形される(図17)。装置10が発射されてバックアッププレート126がナイフ188によってアンビルヘッド124内により深く押し込まれた後に、可撓性アーム127aおよび127bがバックアッププレート126正面の位置まで外方に跳ねる。この位置で、アーム127aおよび127bは、アンビル組立体30が接近を解除されている際に切断用リング128ならびにバックアッププレート126がナイフ188に付着するのを防止する。
【0034】
センターロッド154の第2の端部は、複数の可撓性アーム155によって形成された孔170を含む。孔170は、取り外し自在のトロカール157(図12)を受け入れるような寸法を有する。可撓性アーム155は各々、取り外し自在のトロカール157上に形成された突出部157dを受け入れてトロカール157をセンターロッド154に解放自在に固定するような寸法を有する開口部155aを含む(図13)。可撓性アーム155の各々の遠位端は、以下に詳細に説明する方法で解放自在にアンビル保持具38(図6)に係合するような寸法を有する内側肩155bを含む。複数のスプライン181(図10)がセンターロッド154の周りに形成されており、シェル組立体31内の溝196a(図6)内に受け入れらてアンビル組立体とシェル組立体の接近中アンビル組立体30をシェル組立体31と位置合わせするような寸法を有する。センターロッド154も環状陥凹部183を含んでおり、外科医による把持具でのアンビル組立体30の把持を容易にする。
【0035】
再度図12〜図15に移ると、取り外し自在のトロカール157は、トロカール先端部157a、本体部分157bおよび片持ちアーム157cを含む。突出部157dは、片持ちアーム157cの末端上に配置される。アーム157は、図13に矢印「A」で示す方向に、下方、すなわち半径方向内方に偏向可能であり、センターロッド154の孔170内への本体部分157bの挿入を促進する。トロカール157をセンターロッド154の孔170内で適切に位置合わせするために、スプライン157eが本体部分157上に設けられている。アーム157は、突出部157dがセンターロッド154内の開口部155aの下を通過する際に突出部157dが開口部155aに嵌まり込んで取り外し自在のトロカール157をセンターロッド154に解放自在に固定するように、突出部157dを外方に付勢する。タブ157fがアーム157c上に配置されており、これを押下して容易にセンターロッド154からトロカール157を取り外すことができる。トロカールの先端157aは、縫合糸(図示せず)を受け入れるような寸法を有する貫通孔157gを含み、人体内外へのトロカール157の配置および除去を促進する。とがった先端を有するように図示しているが、他のトロカール先端形状、例えば鈍い形状が想定される。
【0036】
(シェル組立体)
図6を参照すると、シェル組立体31は、シェル182、プッシャ後部186、円筒状ナイフ188、およびステープルガイド192を含む。シェル182は、外側ハウジング部分194およびアンビルセンターロッド154上のスプライン181(図10)と噛み合わせるための溝196aを有する内側ガイド部分196を含む。外側ハウジング部分194は、遠位の円筒状部分200、中央の円錐状部分202および近位のより小口径の円筒状部分204を有する貫通孔198を形成する。円錐状部分202には、複数の開口部206を形成することができる。開口部206は、本装置の操作中に流体および組織が通過することができるような寸法を有する。一対の直径上対向する可撓性係合部材207が、シェル182の近位円筒状部分204上に形成されている。係合部材207は、細長本体14にシェル182を固定するために、外管14aの遠位端上に形成された開口部207aに受け入れられるように配置されている。外管14aの近位端内に形成された一対の開口部211は、ハンドル部分12への管14aの取り付けを促進するように、固定ハンドル18(図1)の内壁上に形成された突出部(図示せず)を受け入れるような寸法を有する。
【0037】
再度図6に移ると、プッシャ後部186は、シェル182の内側ガイド部分196の周りに摺動自在に配置される中央貫通孔208を含む。プッシャ後部186は、シェル182の遠位円筒状部分200内に摺動自在に配置される遠位の円筒状部分210、中央の円錐状部分および近位のより小口径の円筒状部分214を含む。プッシャ後部186の近位端は、プッシャリンク74の遠位面がプッシャ後部186の近位面に当接するように、プッシャリンク74の弾性フィンガ110と固定係合してプッシャリンク74をプッシャ後部186に固定するように構成された部材220を含む。
【0038】
プッシャ後部186の遠位端は、プッシャ190を含む。プッシャ190は、ステープルガイド192内に形成されたスロット228内に摺動自在に受け入れられてそこからステープル230を打ち出すような寸法を有する多数の遠位方向に延びるフィンガ226を含む。円筒状ナイフ188は、ナイフ188をプッシャ190に対して固定状態に取り付けるために、プッシャ後部186の中央貫通孔内に摩擦保持される。代替的に、接着剤、圧着、ピン等を用いてナイフ188をプッシャ後部186内に保持してもよい。ナイフ188の遠位端は、円形の刃先234を含む。
【0039】
操作時、以下に説明するように、発射用トリガ20の作動に応答してプッシャリンク74が遠位方向に前進すると、プッシャ後部186がシェル182内で遠位方向に前進する。プッシャ後部186の前進によってフィンガ226がステープルガイド192のスロット228を通って前進し、スロット228内に配置されたステープル230を前進させ、ステープル230を、ステープルガイド192からアンビル129のステープル変形用ポケット140(図11)内に打ち出す。ナイフ188はプッシャ後部186に固定されているので、以下により詳細に説明するように、ナイフ188も遠位方向に前進して、組織をコアリングする。
【0040】
剛体のブッシング209が、シェル182の内側ガイド部分196の近位端内に支持されている。ブッシング209は、アンビル組立体30のアンビル保持具38およびセンターロッド154(図10)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する貫通孔を形成する。ブッシング209は、アンビル組立体30が近接された際にセンターロッド154の可撓性アーム155を側方に支持し、アンビル組立体30がアンビル保持具38から離脱するのを防止する。非近接状態では、センターロッド154の可撓性アーム155はブッシング209の外部に配置され、アンビル組立体30を保持具38から取り外すことを可能にする。
【0041】
(カム調整機構)
図8および図22〜図28を参照すると、カム調整部材400が、側壁306a内に形成された陥凹部306b内のスクリュー止め306の側壁306a上に止めネジ312で固定されている。カム調整部材400は、貫通孔404を有する円板402を含む。貫通孔400は、円板402を通って偏心的に形成されており、止めネジ312を受け入れるような寸法を有する。より小さい切欠きまたは穴406も円板402内に形成されており、調整具(図示せず)の先端部を受け入れるような寸法を有する。陥凹部306b(図22)は、前方の当接肩または当接面306c(図23)および後部の当接面306dを含んでおり、円板402の外縁が前方当接面306cならびに後方当接面306dに当接するように円板402を受け入れるような寸法を有する。
【0042】
止めネジ312は、円板402およびスクリュー止め306を通って延び、スクリュー32内のねじ込み孔32a内に受け入れられてスクリュー止め306をスクリュー32上の所定の位置に固定する。カム調整部材400は、スクリュー32上でのスクリュー止め306の軸方向位置を調整する機能を果たす。より具体的には、止めネジ312を緩めることによって、依然としてスクリュー32に固定されたままで、スクリュー止め306の陥凹部306b内で円板402が回転することを可能にすることができる。円板は偏心的にスクリュー32の周りに取り付けられておりかつ陥凹部306の前方当接面306cおよび後方当接面306dに係合するので、固定された止めネジ312を中心とした円板402の回転によってスクリュー止め306がスクリュー32に沿って軸方向に促され、スクリュー32上でのスクリュー止め306の軸方向位置を調整することになる。例えば、円板402が矢印「B」で示す時計回り方向(図28に示すように)に回転される場合、スクリュー止め306は、円板402の外縁と陥凹部306bの後方肩306dとの間の係合に応じて、矢印「C」で示す方向に、スクリュー32に対して相対的に軸方向に移動することになる。逆に、円板402が矢印「D」で示す逆時計回り方向(図27に示すように)に回転される場合、スクリュー止め306は、円板402の外縁と陥凹部306bの前方肩306cとの間の係合に応じて、矢印「E」で示す方向に、スクリュー32に対して相対的に軸方向に移動することになる。
【0043】
ステープリング装置10が完全に近接した状態(例えば図65に見ることができるように)、すなわちアンビル組立体30、640およびシェル組立体31、605が並んで整列して組織受け入れ用間隔を形成している場合、スクリュー止め306(図47)は、回転スリーブ33の本体部分42に当たる。すなわち、スリーブ33が、接近機構の停止装置として機能する。この状態では、アンビル組立体30とシェル組立体31とがわずかに離間しており、組織受け入れ用間隔を形成している。カム調整部材400を備えることによって、スクリュー32上のスクリュー止め306の位置を調節することにより、組織受け入れ用間隔を所望の範囲内となるように選択的に調整することができる。一実施形態では、カム調整部材400は±0.45インチの組織受け入れ用間隔の調整を可能にするが、より大きいまたはより小さい調整機能も想定される。一般に、組織受け入れ用間隔の調整は、本装置の製造者によって行われることになる。代替的に、穴または開口部(図示せず)をハンドル部分12(図1)内に設けて調整部材400に直接アクセスし、手術部位での組織受け入れ用間隔の調整を可能にしてもよい。
【0044】
(インジケータ機構)
図3〜図5、図9、図22、図29および図33を参照すると、インジケータ機構は、インジケータ24、レンズカバー24aおよび摺動部材500を含む。インジケータ24は、ハンドル半体部分18aおよび18bと一体に形成することのできるピボット部材502の周りに枢着されている。レンズカバー24aは、インジケータ24の上方に配置され、インジケータ24が容易に見えるのを促進するために、拡大材料で形成することができる。摺動部材500(図29)は、細長スロット506が中に形成された本体部分504、遠位の当接部材または上方を向いたリップ部分508、および近位の延長部分510を含む。摺動部材500は、ハンドルの半体部分18aと18bとの間に摺動自在に配置されている。近位延長部分510は、支持構造体516(図5)によって固定ハンドル18内に摺動自在に支持されている。付勢部材512、例えばコイルバネが、支持構造体516と摺動部材500の本体部分504との間の近位延長部分510の周りに圧縮状態で配置され、固定ハンドル18内で摺動部材500を遠位方向に促す。インジケータ24は、ピボット部材502の周りに配置された下方に延びる一対の突出部518および520を含む。摺動部材500の上方を向いたリップ部分508は、突出部518と520との間に配置され、かつそれが固定ハンドル18内で移動する際に突出部518および520に係合するように配置されている。装置10の未発射状態では、付勢部材512は、摺動部材500を遠位方向に促してリップ部分508を移動させ、突出部518と係合させてインジケータを第1の位置へ枢動させ、それにより、本装置が接近を完了しておらず発射準備が整った状態ではないことが外科医に表示される。
【0045】
上に論じたように、スクリュー止め306は、スクリュー32に固定状態で取り付けられている。スクリュー止め306は、本装置の接近時にスロット506を通って移動し、スロット506の近位端506aに係合するように配置された第1の係合部材522を含む。係合部材522がスロット506の近位端506aに当接している際に、装置10がさらに接近すると、スライド式プレート500がバネ512の付勢に抗して固定ハンドル18内で近位方向に移動し、これにより摺動部材500の上方を向いたリップ508が、インジケータ24の突出部518および520に係合する(図48参照)。突出部518および520とリップ508との間の係合により、インジケータ24が、第2の位置までピボット部材502を中心として枢動する。第2の位置では、インジケータ24は、本装置が接近を完了して現在発射準備が整っている状態であることを外科医に表示する。
【0046】
(発射ロックアウト機構)
図3〜図5、図22、図30、図33および図47を参照すると、発射ロックアウト機構は、トリガロック26およびロックアウト部材530を含む。トリガロック26は、ピボット部材534を中心としてハンドル半体部分18aおよび18bの孔532内に枢支されている。一実施形態では、ピボット部材534は、トリガロック26の上縁から延び、T形状を有し、孔532の内壁に摩擦係合してトリガロック26の自由回転を防止する。トリガロック26の先端26aは、発射用トリガ20の本体部分76上の当接部材89と91との間に配置され、トリガロック26が固定された状態にある際にトリガ20の作動を防止する。トリガロック26は、以下にさらに詳細に論じる近位延長部分26b(図4)をも含む。
【0047】
ロックアウト部材530(図30)は、本体部分536、近位延長部分538、一対の前脚540a、一対の後脚540b、および接合部材または下方を向いたリップ部分542を含む。ロックアウト部材530は、ハンドル半体部分18aおよび18bの内壁上に形成された第1の止め子544と第2の止め子546(図5)との間に摺動自在に配置されている。止め子544は後脚540bに係合するように配置され、止め子546は、前脚540aに係合するように配置されている。各対の脚に代えて単一の接合部材を用いてもよいことも想定される。付勢部材548、例えばコイルバネが止め子544と本体536との間で近位延長部分538の周りに配置されており、ロックアウト530を、脚540aが止め子546に当接するその最遠位置へ促す。この位置では、トリガロック26の延長部分26bがロックアウト部材530のリップ部分542の下に位置してトリガロック26の枢動運動を防止し、そのようにして、ステープリング装置10の作動を防止する。
【0048】
上に論じたように、また図47に示すように、スクリュー止め306は、スクリュー32に固定されている。第2の1つまたは複数の係合部材548が、スクリュー止め306から下方に延びる(図22参照)。ステープリング装置10が接近され、スクリュー32が固定ハンドル18内を近位方向に移動すると、係合部材548がロックアウト部材530の前脚540aに当接し、リップ部分542がトリガロック26の延長部分26bの近位に間隔を置いて配置されている位置まで、部材548の付勢に抗して、ロックアウト部材530を近位方向に移動させる。ロックアウト部材530のこの位置では、トリガロック26は枢動することができ、ステープリング装置10の発射を可能にする。
【0049】
(触知式インジケータ機構)
図3、図5、図9および図9Aを参照すると、固定ハンドル18内に設けられた触知式インジケータ機構は、ハンドル半体部分18aおよび18b内に規定された垂直スロット582内に摺動自在に配置される当接部材580を含む。当接部材580は、隆起部580aおよびガイドリブ580bを含む。隆起部580aは、スロット582の壁に沿って形成された2つの移動止め582aおよび582bのうちの1つの内部に受け入れられるような寸法を有する。当接部材580は、隆起部580aが移動止め582a内に位置する後退(下方)位置から、隆起部580aが移動止め582b内に位置する延長(上方)位置まで移動可能である。隆起部580aと移動止め582aおよび582bとの間の係合により、当接部材580がそれぞれの位置に保持される。垂直スロット582内に形成された移動止め582cは、ガイドリブ580bを摺動自在に受け入れるような大きさを有しており、それにより部材580のスロット582との接触を維持する。
【0050】
ステープリング装置10の発射前に、当接部材580が後退(下方)位置(図5)に配置される。装置10が発射されると、発射用リンク72の延長部分590が当接部材580に係合し、当接部材580をその後退位置からその伸長位置へ移動させる。伸長位置では、当接部材580は、固定ハンドル18のチャネル111内に延びる。
【0051】
スクリュー止め306は、固定ハンドル18のチャネル111内に摺動自在に配置される一対の翼部584を含む。ステープリング装置10が発射された後、当接部材580は、チャネル111内に配置される。アンビル組立体150およびカートリッジ組立体31の接近解除中、アンビル組立体30をその輪郭が縮小される位置(以下により詳細に論じるように、また図57に示すように)へ枢動することを可能にするのに十分な距離だけ非近接状態となったときに、スクリュー止め306の翼部584のうちの1つが当接部材580に係合する。当接部材580とスクリュー止め306の翼部584との間の係合により、アンビル組立体120が傾斜しておりステープリング装置10を患者から除去ことができることを示す触知式表示および/または可聴表示が外科医になされる。外科用ステープリング装置がさらに非近接状態になると、翼部584が当接部材580を伸長位置から後退位置へ強制的に戻すことになる。
【0052】
(操作)
ここで、外科用ステープリング装置10の操作について、図31〜図61を参照し詳細に説明する。
【0053】
図31〜図35に、アンビル保持具38へのアンビル組立体30の取り付け前の非接近位置または開放位置にある外科用ステープリング装置10を示す。この位置では、付勢部材106は連結器86と係合しており、プッシャリンク74を、連結器86がスクリュー止め306に当接するその最近位置へ促す。図33に見られるように、付勢部材512はインジケータ機構の摺動部材500と係合して摺動部材500をインジケータ24の隆起部580と係合する位置に配置し、インジケータ24を時計回り方向に枢動させる。付勢部材549は、ロックアウト部材530の本体536と係合し、ロックアウト部材530をその最遠位置へ促し、この場合、ロックアウト部材530のリップ部分542はトリガロック26の延長部分26b上方に配置され、固定が解除された位置へのトリガロック26の移動を防止する。付勢部材82aはピボット部材79に係合し、ピボット部材79を垂直スロット82の基部へ促す。触知式インジケータ580は、隆起部580aが移動止め582aと共に配置された後退位置または下方位置にある。
【0054】
図36〜図44に、アンビル組立体30がアンビル保持具38に取り付けられ、アンビル組立体30が非接近位置または開放位置にある外科用ステープリング装置10を示す。図37および図38を参照すると、アンビル保持具38にアンビル組立体30を取り付けている間は、アンビル保持具38は、アンビル組立体30のセンターロッド154の孔170内に配置される。センターロッド154を収容するために、可撓性アーム155が外方に偏向する。センターロッド154は、可撓性アーム155の内側肩155bがアンビル保持具38上に形成された環状突出部177の上を通過するまで、図37に矢印「K」で示す方向へ、アンビル保持具38の方に向かって前進する。この時点で、弾性脚155がアンビル保持具に解放自在に係合する。ステープリング装置の残りの構成要素の配置は、アンビル保持具38へのアンビル組立体30の取り付けによる影響を受けず、上述した状態に、また図31〜図35に示す状態に留まる。
【0055】
図45〜図50に、接近位置または閉鎖位置へのアンビル組立体30およびカートリッジ組立体31の移動中の外科用ステープリング装置10を示す。上に論じたように、アンビル組立体30は、回転ノブ22を回転させることにより、図45に矢印「L」で示す方向に接近位置または閉鎖位置へ移動する。回転ノブ22は、円筒状スリーブ33を回転させ、スクリュー32のらせん状チャネル50に沿ってピン52を移動させる。らせん状チャネル50に沿ったピン52(図48)の移動によって、スクリュー32がスリーブ33内で平行移動する。スクリュー32の遠位端は、遠位端でアンビル保持具38に固定されたスクリュー延長部分34および36に連結されている。従って、スリーブ33内でのスクリュー32の後退が、アンビル保持具38およびアンビル組立体30の近位方向移動に変換される。アンビル組立体30が接近する際にセンターロッド154の可撓性脚155がブッシング209内に引き込まれ、脚155をアンビル保持具38上に固定することに注目されたい(図46参照)。
【0056】
上に論じたように、スクリュー止め306(図47)は、止めネジ312によって軸方向にスクリュー32に固定されている。従って、スクリュー32がスリーブ33内で後退する際に、スクリュー止め306は、固定ハンドル18内の遠位置から近位置へ移動する。スクリュー止め306が遠位置から近位置へ移動する際に、スクリュー止め306上に形成された第1の係合部材522がスライド式プレート500の近位端506aに当接し、スライド式プレート500を、バネ512の付勢に抗して近位方向に移動させる。スライド式プレート500が近位方向に移動する際に、摺動部材500のリップ508がインジケータ24の突出部518および520に係合し、図48に示すように、インジケータ24を逆時計回り方向に枢動させる。
【0057】
スクリュー止め306は、第2の係合部材548をも含む(図47)。アンビル組立体30の接近中にスクリュー止め306が遠位置から近位置へ移動する際に、第2の係合部材548がロックアウト部材530の遠位脚540aに係合し、ロックアウト部材530を、リップ部分542がトリガロック26延長部分26bの近位に間隔を置いて配置されている位置へと近位方向に移動させる。この位置では、トリガロック26は、固定が解除された位置へ枢動することができ、ステープリング装置10の発射が可能となる。
【0058】
その最近位置への固定ハンドル18内でのスクリュー止め306の移動により、スクリュー止め306の当接面307(図48)が、発射用リンク72のピボット部材79に係合する所定の位置に配置される。当接面307は、ステープリング装置の発射時にピボット79を部分的に捕捉しかつピボット79の逆転防止装置として機能するように配置された実質的に凹形の表面を備える。
【0059】
図51〜図56に、トリガ20の発射ストローク中の外科用ステープリング装置10を示す。トリガ20が固定ハンドル18に向けて押圧される際に(図51に矢印で示すように)、ピボット部材79がスクリュー止め306上の当接面307に係合し、発射用トリガ20が遠位方向に押される。上に論じたように、発射用トリガ20の遠位端は、連結部材86を介してプッシャリンク74の近位端に連結されている。従って、発射用トリガ20が遠位方向に移動すると、プッシャリンク74が遠位方向に移動し、プッシャ後部186をシェル組立体31内に前進させる。プッシャ後部186のフィンガ190がステープルに係合し、ステープルガイド192からステープル230を打ち出す(図52)。
【0060】
円筒状ナイフ188は、ナイフ188が移動して切断用リング128およびバックアッププレート126と係合するように、プッシャ後部186と共に移動される。上に論じたように、切断用リング128はポリエチレンで形成することができ、バックアッププレート126は金属で形成することができる。ナイフ188が切断用リング128に係合すると、それは切断用リング128に食い込み、バックアッププレート126をアンビルヘッド124内により深く押し込んで、タブ150を移動させてセンターロッド154の上面154aとの係合から離脱させる(図56)。ここでアンビルヘッド124は部材164を中心として自由に回転することができるようになり、またプランジャ156によってそのようにするように促される。アンビル組立体はシェル組立体31と並んで整列しているので、アンビルヘッドが完全に枢動するのに十分な距離だけアンビル組立体とシェル組立体が非接近状態になるまでアンビルヘッド14は完全には枢動しないことに留意されたい。バックアッププレート126がアンビルヘッド124内に移動する際に、保持クリップ127の可撓性アーム127aおよび127bがバックアッププレート126正面の位置まで外方に跳ね、バックアッププレート126が動いてアンビルヘッド124から外れるのを阻止する(図55)。上に論じたように、アーム127aおよび127bは、アンビル組立体30が非接近位置に戻る際にバックアッププレート126がナイフ188に付着するのを防止する。
【0061】
図57〜図60を参照すると、装置10が発射された後の接近解除中、アンビル組立体124がその傾斜した輪郭が縮小される位置まで枢動することのできる非接近地点において、スクリュー止め306の翼部584が触知式インジケータ580(図58)に係合する。翼部584と触知式インジケータ580との間の接触により、アンビルヘッド124が傾斜しているという触知式表示および/または可聴式表示が提供される。接近用ノブ22にさらに力が加えられた場合、スクリュー止め306の翼部584は、触知式インジケータを強制的に後退位置へ移動さることになり、ステープリング装置10が完全に開放された位置へ移動することが可能となる。この位置では、可撓性アーム155がブッシング209の遠位に位置し、アンビル組立体30をアンビル保持具28から外すことができる。
【0062】
図62〜図91に、全体を600で示す今回開示する外科用ステープリング装置の別の実施形態を示す。ステープリング装置600は、患者の内痔核を除去するための手術手技に用いるのに特に適した構成および寸法を有する。簡単に述べれば、外科用ステープリング装置600は、近位ハンドル組立体601、中央本体部分603および遠位ヘッド部分605を含む。ハンドル組立体601は、外科用ステープリング装置10のハンドル組立体12と実質的に同一であり、本明細書においてさらに詳細に論じることはない。
【0063】
図62〜図71を参照すると、外科用ステープリング装置600の接近機構は、接近用ノブ602、回転スリーブ604、ドライブスクリュー606、保持具延長部分608、およびアンビル保持具610を含む。接近用ノブ602、回転スリーブ604およびドライブスクリュー606は、外科用ステープリング装置10に関して上に述べた同じ名称の構成要素と実質的に同一であり、本明細書においてさらに詳細に説明することはない。図66〜図68を参照すると、保持具延長部分608は、ドライブスクリュー606の遠位端を受け入れるような寸法を有する孔614を形成する近位端612を含む。一対の横開口部618が、保持具延長部分608近位端の側壁を通って延びており、ピンまたはネジ620(図62)によるドライブスクリュー606の遠位端への保持具延長部分608の取り付けを容易にする。代替的に、他の既知の取り付け具、例えば溶接、ろう着、ネジ山等を用いてもよい。保持具延長部分608の遠位端は、アンビル保持具610の近位端内に形成されたスロット624(図69)内に受け入れられるように構成された平坦なフィンガ622を含む。保持具延長部分608内の開口部626および626aならびにアンビル保持具610(図70)は、それぞれ、アンビル保持具610を保持具延長部分608の遠位端に固定するためのピンまたはネジ628(図62)を受け入れるような寸法を有する。代案として、他の取り付け構成および取り付け技法が企図される。
【0064】
図69〜図71も参照すると、アンビル保持具610は、細長い小径の遠位延長部分630および中央環状肩632を含む。一実施形態では、環状肩632は、アンビル保持具610の軸方向外面610aに対して約90度の角度を形成している(図71)。以下に更に詳細に論じるように、肩632が鋭角を有することにより、アンビル組立体がアンビル保持具610上に確実に固定される。ステープリング装置10に関して上に説明したように、接近用ノブ602(図62)が手動で回転される際に、回転スリーブ604がスクリュー606の近位端の周りで回転し、ハンドル組立体601内でスクリュー606を前進または後退させる。保持具延長部分608の近位端612はスクリュー606の遠位端に固定され、アンビル保持具610の近位端は保持具延長部分608の遠位端に固定されているので、保持具延長部分608およびアンビル保持具610は、ドライブスクリュー606がハンドル組立体601内で軸方向に移動する際に、中央本体部分603内で軸方向に移動することになる。以下にさらに詳細に論じるように、アンビル組立体640(図64)は、アンビル保持具610に固定される。従って、接近用ノブ602が手動で回転される際に、アンビル組立体640は、離間した位置と接近した位置との間でシェル組立体642に対して相対的にアンビル保持具610と共に軸方向に移動することになる。
【0065】
図62〜図64に示すように、遠位ヘッド部分605(図63)は、アンビル組立体640およびシェル組立体642を含む。シェル組立体642は、ハウジング644、プッシャ646、円筒状ナイフ645およびステープルガイド648を含む。図72〜図79も参照すると、ハウジング644は、外側ハウジング部分644aおよび内側ガイド部分644bを含む。外側ハウジング部分644a(図72〜図75)は、外方に広がる貫通孔650を形成し、小口径の近位端652および大口径の遠位端654を含む。遠位端652は、以下に論じる方法で内側ガイド部分644bに解放自在に係合するための、直径上対向する一対のスプリングタブ656を含む。貫通孔650は、プッシャ646(図62)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する(図62)。貫通孔650およびプッシャ646の構造により、プッシャ646は、遠位方向のみに貫通孔650内で摺動自在である。一対の安定リブ653が、内側ガイド部分644bの側壁上に形成されたリブ654(図76)に係合し、内側ガイド部分644bを外側ハウジング部分644a内に固定する。
【0066】
内側ガイド部分644b(図76〜図79)は、円筒状近位端658、円筒状中央部分660および内側遠位部分662を含む。近位端658は、シェル組立体642をハンドル組立体612上に固定するためにハンドル組立体612上に形成されたスプリングタブ(図示せず)に係合するための一対の開口部664を含む。リブ654が、内側ガイド部分644bの内側遠位部分662上に形成されている。一対の環状リブ666が、中央部分660上に互いに間隔を置いて形成されている。外側ハウジング部分644a(図72〜図75)のスプリングタブ656は、リブ666間の空間にスナップ嵌合して内側ガイド部分644bを外側ハウジング部分644aに固定するために配置されている。内側遠位部分662は、保持具延長部分608およびアンビル保持具610(図62)を摺動自在に受け入れるための円筒状孔668を規定している。円筒状孔668は、アンビル組立体640とシェル組立体642をそれらの接近中に円周方向および軸方向に正確に位置合わせするためのリブならびに溝676の環状アレイを含む。遠位部分662の近位端は、中央部分660内を近位方向に延び、それと共に一対のチャネル670(図78)を形成している。チャネル670の近位部分は、プッシャリンク(図示せず)の駆動アームを摺動自在に受け入れるような寸法を有する。この実施形態に用いられているプッシャリンクは、ステープリング装置10に関して上に論じたプッシャリンク74に類似しており、本明細書においてさらに詳細に論じることはない。
【0067】
図62および図80〜図83を参照すると、プッシャ646が、シェル組立体のハウジング644内に摺動自在に配置されている。プッシャ646は、内側ガイド部分644b内に形成されたチャネル670(図78)の遠位端を通って延びる一対の近位延長部分676を含む。プッシャ646の遠位端は、ステープルガイド648(図62)内に形成されたスロット内に摺動自在に受け入れられる多数の遠位に延びるフィンガ680を含む。ステープルガイド648は、外側ハウジング部分644aの遠位端内に固定状態に保持される。ステープル(図示せず)は、ステープルガイドのスロット(図示せず)内に格納される。外側ハウジング部分644a内におけるプッシャ646の運動によって、ステープルガイド648のスロットからステープルが打ち出される。円筒状ナイフ645(図62および図63)は、プッシャ646の中央貫通孔内に固定または摩擦保持される。ナイフ645の遠位端は、環状の刃先682を含む。プッシャ646の遠位部分は、切除した組織を受け入れるための内部チャンバ780を規定する。
【0068】
図84〜図89を参照すると、アンビル組立体640は、アンビルヘッド組立体684およびアンビルセンターロッド686を含む。アンビルヘッド組立体684は、アンビルヘッド688、アンビル支柱690、アンビル692およびアンビルカバー694を含む。アンビルカバー694(図91ならびに図92)は、実質的に円錐状で、人体の管腔または開口部、例えば肛門内へのアンビル組立体640の順調な挿入を促進するために、丸みを帯びた遠位部分696を含む。アンビル692は、アンビルヘッド688に固定され、上に論じたように、ステープルを受け入れて変形するための複数のステープル変形用ポケット(図示せず)を含む。アンビルヘッド組立体684は、アンビルセンターロッド686の遠位端に固定される。上に論じたように、アンビルヘッド組立体684はアンビルセンターロッド686に枢着することができるが、一実施形態では、アンビルヘッド組立体684は、アンビルセンターロッド686に固定状態に取り付けられる。
【0069】
図86、図87および図90に示すように、アンビルセンターロッド686は、部分的に複数の可撓性アーム702によって規定される中央孔700を規定している。中央孔700は、実質的にセンターロッド686の長手方向の長さに沿って延びる。各可撓性アーム702の遠位端は、放射状突出部702aを含む。中央孔700は、放射状突出部702aがアンビル保持具610の環状肩632(図70および図71)の上にスナップ式に嵌まってそれに係合しアンビル組立体640をアンビル保持具610に固定するように、遠位延長部分630を含むアンビル保持具610を摺動自在に受け入れるような寸法を有する。放射状突出部702a(図90)は、肩632に当接してアンビル組立体640をアンビル保持具610に確実に固定し、アンビル保持具610からのアンビル組立体640の不慮の離脱を実質的に防止する垂直面を形成している。アンビル組立体640がアンビル保持具610に固定されているときは、アンビル保持具610の遠位延長部分630は、アンビルセンターロッド686の長さの相当な部分に沿い、中央孔700を通って延びる。一実施形態では、遠位延長部分630は、中央孔700を通って実質的にアンビルセンターロッド686の全長にわたって延びる。
【0070】
使用に際しては、接近用ノブ602(図63)が手動で回転される際にスクリュー606が近位方向に移動し、アンビル保持具610およびアンビル組立体640がシェル組立体642内に引き入れられてアンビルヘッド組立体684が移動し、シェル組立体642(図65)と接近する。可撓性アーム702が内側ガイド部分644bの円筒状孔668内に引っ込められている際は、アーム702が外方に曲がるのが防止され、アンビル組立体640がアンビル保持具610に固定される。
【0071】
上に論じたように、ステープリング装置600は、患者の内痔核を除去するための手術手技に用いるのに特に適している。そのような手技時には、アンビル組立体640(図64)が、ステープリング装置600から切り離して患者の肛門および直腸内に挿入される。図93〜図95を参照すると、肛門および直腸内へのアンビル組立体640の挿入を容易にするために、挿入用ハンドル720を用いることができる。一実施形態では、ハンドル720は、握りノブ722、ノブ722から遠位方向に延びる剛体のシャフト725および連結部分724を含む。連結部分724は、移動止め726および突出部728を含む。シャフト725の連結部分724は、アンビルセンターロッドの中央孔700内に摺動自在に受け入れられるような寸法を有する。移動止め726は、アンビルセンターロッド686の遠位端内に形成された複数の縫合糸穴730(図87)のうちの1つに受け入れられてハンドル720をアンビルセンターロッド686に解放自在に固定するために配置されている。突出部は、可撓性アーム702間に摺動自在に受け入れられかつそれらに係合し、ハンドル720をアンビルセンターロッド686と適切に位置合わせするために配置されている。停止部材728aも、連結部分上に備え、中央孔700内へのシャフト724の挿入の深さを制限することができる。ハンドル720をアンビルセンターロッド686から取り外すためには、可撓性アーム702を外方に曲げるだけの十分な力をハンドル720に加え、移動止め726を縫合糸穴730から解放しなければならない。一実施形態では、アンビル組立体640が肛門および直腸内に適切に配置された後に、内痔核の各々内に巾着縫合糸が配置される。その後、巾着縫合糸がアンビルセンターロッド686の周りで締められ、内痔核がアンビルセンターロッド686の周りへと内方に引き寄せられる。
【0072】
図96〜図99を参照すると、代替的実施形態では、巾着縫合糸は、肛門および直腸内へのアンビル組立体の挿入前に内痔核内に配置することができる。いずれかの実施形態を用いて、肛門鏡または検鏡750を準備して、巾着縫合糸を内痔核内に配置することができる。検鏡750は、先細または鈍い先端754を有する半円筒状本体752を含むことができる。本体752は、チャネルまたは陥凹部756を形成する。本体の近位端は、複数の開口部760および一対の突出するフィンガタブ762を含む半環状フランジ758を有する。フィンガタブ762および開口部760により、使用中のより容易な握りおよび検鏡の操作が可能となる。視覚化を向上させるために検鏡750を透明なプラスチック材料で形成することができることも想定される。さらに、検鏡750は、検鏡750の表面に沿ってグラデーションマーキング(図示せず)を含み、外科医が痔核の位置の深さを知るのを支援する。
【0073】
使用に際しては、第1の内痔核がチャネル756内に垂れ下がる位置まで、検鏡750の鈍い先端が肛門内に挿入される。巾着縫合糸が内痔核の第1の部分内に配置される。次いで、フィンガタブ762および開口部760を用いて、内痔核の第2の部分がチャネル756内に垂れ下がるまで検鏡750が回転される。巾着縫合糸が内痔核の第2の部分内に配置される。この工程が、巾着縫合糸が肛門輪周辺の各内痔核内に配置され終えるまで反復される。
【0074】
巾着縫合糸が各内痔核内に配置され終えると検鏡750が肛門から除去され、アンビル組立体640が肛門および直腸内に挿入される。その後、巾着縫合糸が締められ、内痔核がアンビルセンターロッド686の周りに引き寄せられる。開口部、溝、フック、畝またはリブのような付着構造をアンビルセンターロッド686上に設けて巾着縫合糸、従って内痔核をアンビルセンターロッド686に固定することができる。付着構造は、アンビルセンターロッド686上およびシェル組立体642内の巾着縫合糸の位置を変更するために調整することのできる、軸方向に調整可能な部材、例えば摺動自在フックの形状としてもよいことも想定される。同様に、グラデーションをセンターロッド686上に配置して、センターロッド686の挿入の深さまたは縫合線の長さもしくは縫合された痔核の長さを表示することができる。
【0075】
内痔核がアンビルセンターロッド686の周りに締め寄せられた後に、上に論じた方法で、センターロッド686がアンビル保持具610に取り付けられる。遠位延長部分630およびアンビルセンターロッド686は、手術部位の可視性が装置600のシェル組立体642によって遮られる前に延長部分630をアンビルセンターロッド686内に入れ子式に嵌め込むことができる長さを有していなければならない。一実施形態では、アンビルセンターロッド686と保持具延長部分630を組み合わせた長さは、少なくとも4.5インチ(114.3)または上記の目的を達成する長さである。アンビル保持具610上に延長部分を設けかつ/または細長アンビルセンターロッド686を備えることにより、手術部位の可視性が大幅に改善される。可視性の改善は、アンビルセンターロッド686へのアンビル組立体640の取り付けを簡単にするのみならず、アンビル接近時の可視性をも改善し、痔核組織がアンビルシャフトの周りに適切に配置されるのを確かなものとする。
【0076】
アンビル組立体がアンビルセンターロッド686に取り付けられた後に、ノブ602を手動で回転させてアンビル組立体とシェル組立体を接近させ、プッシャ646内に形成された内部チャンバ780(図62)内およびシェル組立体642のナイフ682内に内痔核を引き入れることができる。ここで発射用トリガ790(図62)をステープリング装置10に関して上に論じた方法で作動させ、内痔核を切断して除去することができる。その後、ステープリング装置600は、切除した内痔核をシェル組立体642の内部チャンバ780に収容して肛門から除去する。
【0077】
器具付属品を用いて上に説明した手技の特定の工程を実行するのを支援することができることが想定される。例えば、上述の方法の各工程を実行する前に肛門拡張器を肛門内に挿入し、手術部位へのアクセスをより容易にすることができる。また、拡張可能な導入装置を備えて、肛門内へのステープリング装置の挿入に起因する外傷を減少させることもできる。さらに、ステープリング装置、アンビル組立体、挿入用ハンドル、検鏡および肛門拡張器、ならびに/または閉塞具を含む上に論じた構成要素の任意の組み合わせを、痔核治療手技を実施するためのキットに含めることができる。
【0078】
取り外し自在のアンビル組立体を有する外科用ステープラを提供することにより手術部位の可視性が大幅に改善されることに注目されたい。これは、巾着縫合糸配置時およびアンビルセンターロッドの周りでの巾着縫合糸締め時においては特に重要である。
【0079】
本明細書に開示した実施形態に種々の変更を加えることができることが理解されよう。従って、上記の説明は、限定するものと見なすべきではなく、単に開示した実施形態の例示に過ぎないと見なすべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲および精神内で他の変更形態を想定するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、非近接状態の、今回開示する外科用ステープリング装置の近位端から見た上側面斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す外科用ステープリング装置の遠位端から見た上側面斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面分解斜視図である。
【図3A】図3Aは、図3に示すハンドル組立体のインジケータの上面斜視図である。
【図4】図4は、ハンドル部分を除去した、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の上面から見た側面斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の底面から見た側面斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分および遠位ヘッド部分の側面分解斜視図である。
【図7】図7は、図6に示す中央本体部分のアンビル保持具およびバンド部分の拡大側面斜視図である。
【図8】図8は、図5に示すハンドル組立体の接近機構のスクリューおよびスクリュー止めの側面斜視図である。
【図9】図9は、図3に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図9A】図9Aは、図3に示すハンドル組立体の当接部材の上面から見た側面斜視図である。
【図10】図10は、図1に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の近位端から見た側面分解斜視図である。
【図11】図11は、図10に示すアンビル組立体の保持クリップの側面斜視図である。
【図12】図12は、取り外し自在のトロカールを固定した、図10に示すアンビル組立体のセンターロッドの遠位端の側面斜視図である。
【図13】図13は、相互に分離した、図11に示すセンターロッドおよび取り外し自在のトロカールの側面斜視図である。
【図14】図14は、取り外し自在のトロカールを取り付けた、図10に示すアンビル組立体の近位端から見た側面斜視図である。
【図15】図15は、図14に示すアンビル組立体の遠位端から見た側面斜視図である。
【図16】図16は、アンビル組立体の保持クリップおよび図15に示すアンビル組立体の取り外し自在のトロカールを通って取った側面断面図である。
【図17】図17は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図18】図18は、図15に示すアンビル組立体のアンビルヘッド組立体のピボット部材を通って取った側面断面図である。
【図19】図19は、取り外し自在のトロカールを取り外した、図18に示すアンビル組立体の近位端から見た側面斜視図である。
【図20】図20は、アンビルヘッドを除去した、図19に示すアンビル組立体の遠位端から見た部分切欠斜視図である。
【図21】図21は、アンビルヘッドを想像線で示した、図19に示すアンビル組立体の遠位部分の部分切欠側面断面図である。
【図22】図22は、図3に示すハンドル組立体のスクリュー止めの底面から見た側面斜視図である。
【図23】図23は、図22に示すスクリュー止めの近位端から見た底面斜視図である。
【図24】図24は、図3に示すハンドル組立体のカム調整部材の上面斜視図である。
【図25】図25は、止めネジおよびカム調整部材を除去した、図3に示すハンドル組立体のスクリューならびにスクリュー止めの側面図である。
【図26】図26は、止めネジおよびカム調整部材を取り付けた、図25に示すスクリューならびにスクリュー止めの側面図である。
【図27】図27は、組織間隙を増大させるようにカム調整ネジを調整した、図26に示すスクリューおよびスクリュー止めの側面図である。
【図28】図28は、組織間隙を減少させるようにカム調整ネジを調整した、図26に示すスクリューおよびスクリュー止めの側面図である。
【図29】図29は、図3に示すハンドル組立体のインジケータ機構の摺動部材の近位端から見た上面斜視図である。
【図30】図30は、図3に示すハンドル組立体の発射ロックアウト機構のロックアウト部材の底面斜視図である。
【図31】図31は、アンビル組立体を除去した、図1に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図32】図32は、ハンドル部分を除去した、図31に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面拡大図である。
【図33】図33は、図31に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図34】図34は、図31に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図35】図35は、アンビル組立体を除去した、図31に示す外科用ステープリング装置の遠位端の前面から見た斜視図である。
【図36】図36は、アンビル組立体を取り付けた、図35に示す外科用ステープリング装置の遠位端の前面から見た斜視図である。
【図37】図37は、図36に示す外科用ステープリング装置の遠位端の側面断面図である。
【図38】図38は、アンビル組立体を取り付けた、図31に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図39】図39は、図38の切断線39−39に沿って取った断面図である。
【図40】図40は、図38の切断線40−40に沿って取った断面図である。
【図41】図41は、図38の切断線41−41に沿って取った断面図である。
【図42】図42は、図38の切断線42−42に沿って取った断面図である。
【図43】図43は、図38の切断線43−43に沿って取った断面図である。
【図44】図44は、図38の切断線44−44に沿って取った断面図である。
【図45】図45は、アンビル組立体が接近位置にある、図38に示す外科用ステープリング装置の側面斜視図である。
【図46】図46は、図45に示す外科用ステープリング装置の遠位端の側面断面図である。
【図47】図47は、ハンドル部分を除去した、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面拡大図である。
【図48】図48は、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面断面図である。
【図49】図49は、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の一部分の上面水平断面図である。
【図50】図50は、ハンドル部分を除去した、図45に示す外科用ステープラのハンドル組立体の一部分の側面図である。
【図51】図51は、発射用トリガが作動された後の、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の一部分の側面断面図である。
【図52】図52は、発射用トリガが作動された後の、図45に示す外科用ステープリング装置の遠位端の側面断面図である。
【図53】図53は、ハンドル部分を除去した、図51に示すハンドル組立体の側面図である。
【図54】図54は、図53に示すハンドル組立体の触知式インジケータ機構の当接部材に係合する発射用リンク延長部分の拡大図である。
【図55】図55は、図52に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の遠位部分の側面断面図である。
【図56】図56は、アンビルヘッド組立体の一部分を想像線で示した、図55に示すアンビル組立体の遠位部分の側面断面図である。
【図57】図57は、アンビルヘッド組立体がアンビルセンターロッド上で枢動するのを許容するのに十分な距離だけアンビル組立体とカートリッジ組立体が非接近状態となった後の、図45に示す外科用ステープリング装置の側面図である。
【図58】図58は、想像線で示すスクリュー止めの翼部が当接部材と係合している、図53に示すハンドル組立体の触知式インジケータ機構の当接部材の拡大図である(アンビル組立体とカートリッジ組立体の非接近時)。
【図59】図59は、アンビルヘッド組立体が傾斜を開始する際の図56に示すアンビル組立体の側面断面図である。
【図60】図60は、アンビル組立体が傾斜した、図59に示すアンビル組立体の側面断面図である。
【図61】図61は、アンビルヘッド組立体が非接近位置にありかつ傾斜している、図45に示す外科用ステープリング装置の側面図である。
【図62】図62は、アンビル組立体をアンビル保持具から除去した、今回開示する外科用ステープリング装置の別の実施形態の側面断面図である。
【図63】図63は、開放状態でアンビル組立体をアンビル保持具に取り付けた、図62に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図64】図64は、図63に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の側面断面図である。
【図65】図65は、アンビル組立体が接近位置にある、図63に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図66】図66は、図65に示す外科用ステープリング装置の保持具延長部分の近位端から見た側面斜視図である。
【図67】図67は、図66に示す保持具延長部分の側面図である。
【図68】図68は、図67に示す保持具延長部分の上面断面図である。
【図69】図69は、図65に示す外科用ステープリング装置のアンビル保持具の上面図である。
【図70】図70は、図69に示すアンビル保持具の側面図である。
【図71】図71は、図70に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図72】図72は、図65に示す外科用ステープリング装置のシェル組立体の外側ハウジング部分の側面図である。
【図73】図73は、図72に示すシェル組立体の外側ハウジング部分の上面図である。
【図74】図74は、図72の切断線74−74に沿って取った断面図である。
【図75】図75は、図73の切断線75−75に沿って取った断面図である。
【図76】図76は、図65に示す外科用ステープリング装置のシェル組立体の内側ガイド部分の側面図である。
【図77】図77は、図76に示すシェル組立体の内側ガイド部分の上面図である。
【図78】図78は、図77に示すシェル組立体の内側ガイド部分の側面断面図である。
【図79】図79は、図77に示すシェル組立体の内側ガイド部分の上面断面図である。
【図80】図80は、図65に示す外科用ステープリング装置のプッシャの側面図である。
【図81】図81は、図80に示すプッシャの上面図である。
【図82】図82は、図81に示すプッシャの側面断面図である。
【図83】図83は、図82に示すプッシャの上面断面図である。
【図84】図84は、図65に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の側面断面図である。
【図85】図85は、図84に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の上面断面図である。
【図86】図86は、図85に示すアンビル組立体のアンビルセンターロッドの上面図である。
【図87】図87は、図85に示すアンビル組立体のアンビルセンターロッドの側面図である。
【図88】図88は、図85に示すアンビル組立体のアンビルヘッドの側面断面図である。
【図89】図89は、図88に示すアンビルヘッドの側面図である。
【図90】図90は、図87に示すアンビルセンターロッドの側面断面図である。
【図91】図91は、図84に示すアンビル組立体のアンビルカバーの側面図である。
【図92】図92は、図91に示すアンビルカバーの側面断面図である。
【図93】図93は、アンビル組立体挿入用ハンドルの側面断面図である。
【図94】図94は、図93に示すアンビル組立体挿入用ハンドルの側面斜視図である。
【図95】図95は、図84に示すアンビル組立体に取り付けられた、アンビル組立体挿入用ハンドルの側面断面図である。
【図96】図96は、今回開示する外科用ステープリング装置と共に用いるのに適した検鏡の上面図である。
【図97】図97は、図96に示す検鏡の上方から見た側面斜視図である。
【図98】図98は、図96に示す検鏡の背面図である。
【図99】図99は、図97に示す検鏡の側面断面図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全内容が引用により組み込まれる2003年6月20日に提出された米国仮出願第60/480、074号の優先権を主張する。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、全体として身体組織に外科用ステープルを打ち込むための外科用ステープリング装置に関する。より詳細には、本開示は、中空組織器官内壁の輪状吻合および/または治療を実施するのに適した外科用ステープリング装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
吻合とは、別個の中空器官切断部の手術的結合である。一般に、吻合手技は、中空組織の罹患部分または欠損部分を除去して残りの端面を結合する手術法を用いる。所望の吻合手技に応じ、端面は、輪状器官再建法、端々器官再建法または側々器官再建法によって結合することができる。
【0004】
輪状吻合手技では、組織切断部の2つの端面は、ステープルの輪状アレイを各器官切断部の端面に打ち込み同時に打ち込まれたステープルの輪状アレイ内側のあらゆる組織をコアリングして管状通路を解放するステープリング器具によって結合される。中空器官の輪状吻合実施用器具の例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7に記載されており、それらの各々が全体として引用により本明細書に組み込まれる。一般に、これらの器具は、近位端に該器具を作動させるためのハンドル部分を有する細長シャフトおよび遠位端に配置されたステープル保持部品を含む。アンビルヘッドが取り付けられたアンビルロッドを含むアンビル組立体が、ステープル保持部品に隣接してこの器具の遠位端に取り付けられる。ステープリングされることになる中空器官組織の対向する末端部分は、アンビルヘッドとステープル保持部品との間で締め付けられる。締め付けられた組織は、ステープルの端部が組織を貫通してアンビルヘッドによって変形されるようにステープル保持部品から1本またはそれ以上のステープルを打ち込むことによってステープリングされる。輪状のナイフが同時に前進して中空器官と共に組織をコアリングし、該器官内の管状通路を開放する。
【0005】
中空器官の吻合に加え、輪状吻合実施用の外科用ステープリング装置は、直腸内の内痔核を治療するのにも用いられてきた。一般に、痔核治療用輪状ステープリング装置の使用中、外科用ステープリング装置のアンビルヘッドおよびステープル保持部品は、アンビルヘッドならびにステープル保持部品を開放状態または非接近状態にして、肛門を通じて直腸内に挿入される。その後、巾着縫合糸を用いて、内痔核組織がアンビルロッドに向けて引っ張られる。次に、アンビルヘッドとステープル保持部品が近づけられ、アンビルヘッドとステープル保持部品との間の痔核組織が締め付けられる。ステープリング装置が発射されて痔核組織が切除されかつ切断された組織がステープリングされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
痔核を治療するのに従来の輪状吻合用ステープラを用いる手段は、いくつかの難点を有する。より具体的には、ステープリング装置のアンビルヘッドとステープル保持部品とが密接するために、例えば巾着縫合糸の配置中における手術部位の可視性が大きく損なわれる。さらに、手術部位へのアクセスが著しく制限される。その結果、外科医が巾着縫合糸を痔核組織内または痔核組織に隣接して適切に配置しかつ巾着縫合糸が適切に配置を完了されたことおよび所望の痔核組織が切除に備えて適切に配置されていることをも確認することは困難となる。
【0007】
従って、当業界には、手術部位の可視性およびアクセスが改善された痔核または同種のものを治療するのに適した輪状ステープリング装置の必要性が引き続き存在する。
【特許文献1】米国特許第6,053,390号明細書
【特許文献2】米国特許第5,588,579号明細書
【特許文献3】米国特許第5,119,983号明細書
【特許文献4】米国特許第5,005,749号明細書
【特許文献5】米国特許第4,646,745号明細書
【特許文献6】米国特許第4,576,167号明細書
【特許文献7】米国特許第4,473,077号明細書
【課題を解決するための手段】
【0008】
(概要)
本開示によれば、輪状吻合を実施しかつ/または内痔核を治療するための輪状外科用ステープリング装置が開示される。本外科用ステープリング装置は、ハンドル部分またはハンドル組立体、本体部分およびアンビル組立体ならびにシェル組立体を含むヘッド部分を含む。ハンドル部分は、アンビル組立体とシェル組立体を接近させてトリガを発射し、発射機構を作動させてシェル組立体内に配置されたステープルを打ち出すための回転自在の接近用ノブを含むことができる。一実施形態では、発射用トリガは、発射機構を作動させるために備えられた2本のバーリンケージからなる1つのリンクを形成している。2本のバーリンケージは、本装置を発射させるのに要する発射力を低減する向上された機械的利点を本装置に提供する。
【0009】
一実施形態では、ヘッド部分は、本装置が発射を完了して非接近状態となった際には自動的に傾斜することになる傾斜可能なアンビルを含むアンビル組立体を含む。この傾斜可能なアンビルは、アンビルの輪郭を縮小し、吻合手技が実施された後の本装置の除去中における外傷を減少させる。
【0010】
本外科用ステープリング装置は、本装置が接近を完了するまで発射用トリガの作動を防止する発射ロックアウト機構をも含むことができる。一実施形態では、発射ロックアウト機構は、トリガロックおよびハンドル組立体内に移動可能に配置されたロックアウト部材を含む。ロックアウト部材は、本装置が接近を完了するまで、固定された位置から固定が解除された位置までトリガロックが移動するのを防止する。
【0011】
一実施形態では、本外科用ステープリング装置は、触知式表示機構を含む。触知式表示機構は、アンビルヘッドが傾斜するのを許容するのに十分な距離だけアンビルヘッドが非接近状態となったことを外科医に表示し、そのようにして、本装置を患者から除去することができることを示す。
【0012】
別の実施形態では、本ステープリング装置は、本装置のハンドル組立体の上面上方に延びる球状インジケータを含む。このインジケータは、本装置が接近を完了して発射の準備が整った状態にあることを外科医に明らかにするための指標を含む。このインジケータは、指標を目立つように表示するために拡大材料で形成されたカバーを含むことができる。今回開示するインジケータは、本器具の最上部および側部の両方からの外科医に対するインジケータの可視化が改善されている。
【0013】
別の実施形態では、本ステープリング装置のアンビル組立体は、アンビルヘッド上に配置された保持クリップを含む。この保持クリップは、その非付勢位置で切断用リングに係合して本ステープリング装置の接近解除中に該切断用リングがナイフ刃に付着するのを防止するように配置された少なくとも1本の弾性アームを含む。保持クリップは、アンビル組立体のアンビル支柱の横スロット内に配置される一対の弾性アームを含むことができる。切断用リングは、アンビル支柱の周りに配置され、弾性アームを横スロット内に促す。切断用リングは、本装置が発射されて保持クリップの弾性アームが切断用リングの近位方向移動を妨害する位置まで外方に曲がることができるときにアンビル支柱の周りで移動可能である。
【0014】
さらに別の実施形態では、本外科用ステープリング装置は、アンビル組立体のアンビルセンターロッド内に形成された長手方向孔に入れ子式に受け入れられる細長遠位延長部分を有するアンビル保持具を含む接近機構を含む。この細長遠位延長部分は、アンビル保持具の近位部分と比べて縮小された直径を有することができる。細長遠位延長部分は、手術部位の可視化を妨げることなくアンビル保持具とアンビルセンターロッドとの入れ子式係合を促進するような長さを有していなければならない。一実施形態では、アンビル保持具は、アンビルセンターロッドに解放自在に係合するための係合面または係合肩を含む。この肩は、細長遠位延長部分の近位に配置されている。接近機構は、接近用スクリューとアンビル保持具との間に配置される保持具延長部材をも含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、本外科用ステープリング装置は、内痔核を治療するのに適した手術用キットに含まれる。本キットは、外科用ステープリング装置および取り外し自在のアンビル組立体を含む。一実施形態では、本外科用ステープリング装置は、細長遠位延長部分を有するアンビル保持具を含む。本キットは、アンビル組立体に解放自在に係合して該アンビル組立体を手術部位に配置するように適合された挿入用ハンドルをも含むことができる。本キットは、検鏡、肛門拡張器および/または閉塞具をも含むことができる。
【0016】
今回開示する外科用ステープリング装置の種々の実施形態を、図面を参照して本明細書に開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態の詳細な説明)
ここで、いくつかの図の各々において同じ参照数字は同じ要素または対応する要素を表す図面を参照し、今回開示する外科用ステープリング装置の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
本明細書全体を通して、用語「近位の」は、術者に最も近い本器具の部分を指し、用語「遠位の」は、術者から最も遠い本器具の部分を指す。
【0019】
図1および図2に、全体を10で示す今回開示する外科用ステープリング装置の一実施形態を示す。簡単に述べれば、外科用ステープリング装置10は、近位ハンドル組立体12、湾曲した細長外管14aを含む細長中央本体部分14、および遠位ヘッド部分16を含む。代替的に、いくつかの手術手技、例えば痔核の治療においては、実質的にまっすぐな中央本体部分を有するのが望ましい。本体部分14およびヘッド部分16の長さ、形状ならびに/または直径も、特定の手術手技に適するように変えることができる。
【0020】
ハンドル組立体12は、固定ハンドル18、発射用トリガ20、接近用回転ノブ22およびインジケータ24を含む。固定ハンドル18は、例えばポリカーボネート製の熱可塑性ハンドル半体部分18aおよび18bで形成することができ(図3)、該熱可塑性ハンドル半体部分18aならびに18bは、共にハンドル組立体12の内部構成要素用のハウジングを形成する。ハンドル半体部分18aおよび18bは、音波溶接によって共に固定することができる。代替的に、ネジ、接着剤、スナップ式コネクタ等を含む他の既知の固定技法を用いてもよい。ハンドル部分12の内部構成要素について以下に詳細に論じる。一実施形態では、グリップ(図示せず)などのクッション性を有しかつ/または弾性の滑り抵抗性を有する部分を、ハンドル半体部分18aおよび18bならびに発射用トリガ20の一部として固定もしくは含めることができる。滑り抵抗性を有するグリップは、オーバーモールド法を用いてハンドル半体部分18aおよび18bならびに発射用トリガ20の上に形成することができ、またネオプレンポリクロロプレンまたはゴムで形成することができる。代替的に、他の適した、例えばエラストマー材料および結合技法を用いてもよい。枢着されたトリガロック26がハンドル組立体12に固定されており、ステープリング装置10の偶発的発射を防止するために手動で配置される。インジケータ24は、固定ハンドル18上に配置されており、本装置が発射を完了したか否かおよび/または本装置の発射準備がいつ整うかを外科医が確認するための指標、例えばカラーコーディング、英数字によるラベリング等を含む。
【0021】
ヘッド部分16は、アンビル組立体30およびシェル組立体31を含む。これらの組立体の各々について以下に詳細に論じる。特に指定した場合を除き、外科用装置10の構成要素は、ポリカーボネートを含む熱可塑性プラスチック、およびステンレススチールならびにアルミニウムを含む金属で形成される。特定の構成要素を形成するために選択される特定の材料は、該特定の構成要素の強度要件に応じて決定されることになる。例えば、アンビルは、ステンレススチールなどの金属で形成することができ、固定ハンドルは、ポリカーボネートなどの熱可塑性プラスチックで形成することができる。代替的に、その材料が外科用途に適しておりかつ特定の構成要素の強度要件を満たしているということを条件に、滅菌工程に耐えることのできる、上に挙げていない他の材料を用いてステープリング装置10の構成要素を形成してもよい。
【0022】
図3〜図5に、ハンドル組立体12の内部構成要素を示す。内部構成要素には、接近機構および発射機構の近位構成要素、発射ロックアウト機構およびインジケータ駆動機構が含まれる。図6および図7に、細長本体部分14の内部構成要素を示す。これらの構成要素には、接近機構および発射機構の遠位構成要素が含まれる。これらの機構の各々を以下に詳細に開示する。
【0023】
(接近機構)
図3〜図8を参照すると、接近機構は、接近用ノブ22、回転スリーブ33、ドライブスクリュー32、第1のスクリュー延長部分34および第2のスクリュー延長部分36(図6)、ならびにアンビル保持具38を含む。回転スリーブ33は、共に中央孔33aを形成する実質的に円筒状の中空本体部分40および実質的に円筒状の鍔42を含む。鍔42は、その周りに形成された環状溝44を有しており、固定ハンドル18の内壁上に形成された内方に延びるフランジ46を受け入れるような寸法を有する。溝44とフランジ46との間の係合により、固定ハンドル18に対して相対的なスリーブ33の回転が可能な状態で、スリーブ33がハンドル18内で軸方向に固定される。回転スリーブ33の本体部分40の近位端は、固定ハンドル18の近位端内の開口部18bを通って延びる。一対の直径上で対向する細長リブ48が、本体部分40の外面上に配置されている。接近用ノブ22は、ノブ22の回転がスリーブ33の同時回転を生じさせるように、スリーブ33のリブ48を受け入れてスリーブ33をノブ22に回転自在に固定するために配置された一対の内部スロット49aを含む。
【0024】
スクリュー32の近位半分は、らせん状のチャネル50を含み、回転スリーブ33の中央孔33a内に摺動自在に配置されるような寸法を有する。スクリュー32の遠位端は、スクリュー32の外面とプッシャリンク74(図6)の内面との間に流体密封シールを設けるためのシール部材37(図3)を受け入れるような寸法を有する環状陥凹部35を含む。ピン52(図3)が、スリーブ33の本体部分42を通ってらせん状チャネル50内へ半径方向に延びる。スリーブ33は固定ハンドル18に対して軸方向に固定されているので、スクリュー32の周りでのスリーブ33の回転によってピン52がスクリュー32のチャネル50に沿って移動し、固定ハンドル18内でのスクリュー32の軸方向運動を生じさせる。
【0025】
スクリュー32の遠位端は、横スロット54を含む。上のスクリュー延長部分34および下のスクリュー延長部分36(図6)は各々、近位に位置する可撓性の平坦なバンド部分58および遠位に位置する平坦なバンド部分60を含む。代替的に、スクリュー延長部分34および36はバンド状以外の形状を有することもできることが想定される。例えば、スクリュー延長部分34および36は、断面が半円形または円形であってもよい。上のスクリュー延長部分34および下のスクリュー延長部分36が可撓性を有することにより、スクリュー延長部分34ならびに36が湾曲した細長本体部分14内を移動することが可能となる。各バンド部分58の近位端は、スクリュー延長部分34および36の近位端をスクリュー32の横スロット54内に固定するためのピン64を受け入れるような寸法を有する穴62を含む。代替的に、他の固定技法、例えば溶接、圧着等を用いて各バンド部分58をスクリュー32に固定してもよい。各スクリュー延長部分34および36の遠位に位置するバンド部分60は、アンビル保持具38をスクリュー延長部分34ならびに36の遠位端に固定するために、アンビル保持具38(図7)の近位端に形成された横スロット66内に受け入れられるような寸法を有する。一実施形態では、アンビル保持具38の近位端およびバンド部分60を通って延びる一対のピン66aを用いて、スクリュー延長部分34ならびに36がアンビル保持具38に固定される。代替的に、バンド部分60は、スロット66内にろう付けまたは溶接してもよく、他の固定技法、例えばネジ、圧着等を用いてスクリュー延長部分34および36のバンド部分60をアンビル保持具38に固定してもよい。アンビル保持具38は、以下に詳細に論じる方法でアンビル組立体に係合するように構成された環状突出部177(図7)を含む。代替的に、突出部177は環状である必要はなく、異なる取り付け構造、例えば陥凹部、溝等を含んでもよい。
【0026】
操作においては、接近用ノブ22が手動で回転される際に回転スリーブ33がスクリュー32の近位端の周りで回転し、スクリュー32のらせん状チャネル50に沿ってピン52を移動させる。スリーブ33は固定ハンドル18に対して軸方向に固定されているので、ピン52がチャネル50を通って移動する際に、スクリュー32が固定ハンドル18内で前進または後退する。その結果、スクリュー32の遠位端に固定された上のスクリュー延長部分34および下のスクリュー延長部分36、ならびにスクリュー延長部分34および36の遠位端に固定されたアンビル保持具38が、細長本体部分14内で軸方向に移動する。アンビル組立体30は、アンビル保持具38の遠位端に固定されているので、接近用ノブ22の回転により、離間した位置と接近した位置との間でのシェル組立体31に対して相対的なアンビル組立体30の移動が生じる。
【0027】
(発射機構)
図3〜図6および図9を参照すると、発射機構は、発射用トリガ20、発射用リンク72および細長プッシャリンク74(図6)を含む。発射用トリガ20は、本体部分76およびトリガカバー80を含む。ネオプレンポリクロロプレンまたはゴムで形成することのできるクッション性を有するグリップ面(図示せず)がトリガカバー80上に備えられている。クッション性を有するグリップ面が滑らないクックッション付き面となり、装置10の作動が外科医にとってより快適で精神的外傷を残すことのより少ないものとなっている。トリガ20の本体部分76は、ピボット部材84によって結合部材86(プッシャリンク74の近位端に固定された)に枢着されている。結合部材86は、プッシャリンク74と一体に形成しても、それに固定された別個の要素として形成してもよい。発射用リンク72は、ピボット部材87によってトリガ20の本体部分76に枢着された第1の端部およびピボット部材79によって固定ハンドル18のハンドル半体部分18aと18bとの間に形成された垂直スロット82内に枢着された第2の端部を有する。ピボット部材79は、スロット82内を垂直に自由に移動することができる。バネ82a(図9)がハンドル18内に支持されており、ピボット部材79をスロット82の下端に向けて下方に促す。本体部分76は、以下にさらに詳細に説明する方法でトリガロック26の遠位端26a(図4)に係合するように配置された当接部材89および当接部材91を含む一対の当接部材をさらに含んでおり、装置10接近前のトリガ20の作動を防止する。
【0028】
細長プッシャリンク74の近位端上に支持された結合部材86は、フランジ104(図6)を含む。固定ハンドル18内の内壁または当接部材とフランジ104との間に配置されたバネ106は、後退した非発射位置へと近位方向にプッシャリンク74を付勢する。一対の翼部108が、結合部材86から半径方向外方に延びる。翼部108は、固定ハンドル18の内壁に沿って形成されたチャネル111(図3)に沿って摺動するような寸法を有しており、装置10の発射中、固定ハンドル18内でのプッシャリンク74の適切な整合を維持する。
【0029】
プッシャリンク74の遠位端は、プッシャ後部186の近位端に形成された部材220と固定係合するような寸法を有する一対の係合フィンガ110を含む。プッシャ後部186は、シェル組立体31の一部を形成しており、以下にさらに詳細に論じる。プッシャリンク74は、可撓性プラスチック材料で形成することができ、また複数の切欠き187を含んでおり、該切欠き187によって、プッシャリンクが本体14を通って移動する際に、それがより容易に曲がることが可能となる。プッシャリンク74は、接近機構を摺動自在に受け入れるための中空のチャネル75を形成する。プッシャリンク74内に形成された平坦な面または切欠き74aは、互いに積み重ねて並置して整列させて配置されたスクリュー延長部分34および36を摺動自在に支持する。スペーサ77が切欠き74aに隣接して外管14a内に配置され、スクリュー延長部分34および36をさらに支持し、作動中の各構成要素の座屈を防止する。Oリングシール74cを受け入れるために、プッシャリンク74の周りに環状チャネル74bが形成されている。プッシャリンク74は、Oリング74がプッシャリンク74と外管14aの内壁との間の空間を封止するように、本体部分14に摺動自在に配置される。本装置の発射機構の動作を以下に詳細に説明する。
【0030】
発射用トリガ20が作動される、例えばピボット部材84を中心として枢動されると、スクリュー止め306上に形成された当接面307(図25、図28および図48)にピボット部材79が係合するまで、発射用リンク72が近位方向に移動する。スクリュー止め306は、スクリュー32に対して軸方向に固定されている。発射用トリガ20が遠位方向に押圧されると、プッシャリンク74は、バネ106の付勢に抗して遠位方向に前進する。再度図6に戻ってこれを説明すると、プッシャリンク74の遠位端はプッシャ後部186に連結されているので、発射用トリガ20の作動によってプッシャ後部186がシェル組立体31内に前進し、以下に説明する方法で、シェル組立体31からステープルを打ち出す。
【0031】
(アンビル組立体)
図10〜図21を参照すると、アンビル組立体30は、アンビルヘッド組立体120およびアンビルセンターロッド組立体152を含む。アンビルヘッド組立体120は、支柱122、アンビルヘッド124、バックアッププレート126、切断用リング128、アンビル129および保持クリップ127を含む。支柱122は、アンビルヘッド124内の孔を通して中央に配置されている。アンビル129は、アンビルヘッド124上の外側環状陥凹部136内に支持され、ステープルを受け入れて変形するための複数のポケット140を含む。少なくとも1つのタブ129aがアンビル129から半径方向外方に延び、アンビルヘッド124内に形成された切欠き124a内に受け入れられるような寸法を有する。タブ129aおよび切欠き124aは、アンビル129を環状陥凹部136内で位置合わせする機能を果たす。バックアッププレート126は、支柱122と環状陥凹部136との間にあるアンビルヘッド124の内側陥凹部134内の支柱122の周りに配置される中央開口部126bを含む。バックアップリング126は、一段高くなったプラットフォーム126aを含む。切断用リング128は、実質的にプラットフォーム126aと同じ形状を有する開口部128aを含む。開口部128aは、プラットフォーム126aの周りに配置され、切断用リング128aをバックアップリング126上に回転自在に固定する。一実施形態では、切断用リング128は、ポリエチレンで形成され、例えば接着剤を用いてバックアッププレート126に固定状態に取り付けられる。バックアップリング126は、金属のようなより硬い材料で形成してもよい。代替的に、他の構成材料を用いてプレート126およびリング128を構成してもよい。切断用リング128およびバックアッププレート126は、支柱122の周りに摺動自在に取り付けられる。バックアッププレート126は、内方に延びる一対のタブ150を含んでおり、該一対のタブ150については以下にさらに詳細に説明する。切断用リング128は、タブ128bを含んでおり、該タブ128bがアンビルヘッド124内に形成された切欠き124b内に受け入れられて、アンビルヘッド124内でバックアップリング126および切断用リング128を適切に位置合わせする。
【0032】
アンビルセンターロッド組立体152は、アンビルセンターロッド154、プランジャ156およびプランジャバネ158を含む。センターロッド154の第1の端部は、センターロッド154の中心長手方向軸線からずれた横貫通孔160を含む。アンビルヘッド組立体120の支柱122も、横貫通孔162を含む。アンビルヘッド組立体120がアンビルセンターロッド組立体152に枢動自在に取り付けられるように、ピボット部材164が、支柱122をセンターロッド154に枢動自在に固定している。プランジャ156は、センターロッド154の第1の端部内に形成された孔154b(図16)内に摺動自在に配置される。プランジャ156は、アンビルヘッド組立体120のピボット軸線からずれた、プランジャバネ158によって付勢されて支柱122の基部122aと係合してアンビルヘッド組立体120をセンターロッド154に直角な枢動位置へと促す係合フィンガ168を含む。発射前の位置では、バックアッププレート126上に形成されたタブ150がセンターロッド154の上面154a(図20)に係合し、アンビルヘッド組立体120がピボット部材164を中心として枢動するのを防止する。装置10が発射される際に、以下にさらに詳細に説明する方法で、バックアッププレート126および切断用リング128が、ナイフ188(図6)によって、支柱122(図21)の周りのアンビルヘッド124のアンビル陥凹部134内により深く移動される。アンビル陥凹部134内へのバックアッププレート126および切断用リング128の移動によってタブ150が移動してセンターロッド154の上面154aとの係合を離脱し、プランジャ156がピボット部材164を中心としてアンビルヘッド組立体120を枢動させることが可能となる。
【0033】
保持クリップ127は、支柱122内に形成された横スロット122c内に配置され、外方に付勢された一対の可撓性アーム127aおよび127bを含む。アーム127bは、ピボットピン164(図17)を受け入れるような寸法を有する陥凹部127cを含む。装置10を発射する前に、アーム127aおよび127bがバックアッププレート126によって内方に変形される(図17)。装置10が発射されてバックアッププレート126がナイフ188によってアンビルヘッド124内により深く押し込まれた後に、可撓性アーム127aおよび127bがバックアッププレート126正面の位置まで外方に跳ねる。この位置で、アーム127aおよび127bは、アンビル組立体30が接近を解除されている際に切断用リング128ならびにバックアッププレート126がナイフ188に付着するのを防止する。
【0034】
センターロッド154の第2の端部は、複数の可撓性アーム155によって形成された孔170を含む。孔170は、取り外し自在のトロカール157(図12)を受け入れるような寸法を有する。可撓性アーム155は各々、取り外し自在のトロカール157上に形成された突出部157dを受け入れてトロカール157をセンターロッド154に解放自在に固定するような寸法を有する開口部155aを含む(図13)。可撓性アーム155の各々の遠位端は、以下に詳細に説明する方法で解放自在にアンビル保持具38(図6)に係合するような寸法を有する内側肩155bを含む。複数のスプライン181(図10)がセンターロッド154の周りに形成されており、シェル組立体31内の溝196a(図6)内に受け入れらてアンビル組立体とシェル組立体の接近中アンビル組立体30をシェル組立体31と位置合わせするような寸法を有する。センターロッド154も環状陥凹部183を含んでおり、外科医による把持具でのアンビル組立体30の把持を容易にする。
【0035】
再度図12〜図15に移ると、取り外し自在のトロカール157は、トロカール先端部157a、本体部分157bおよび片持ちアーム157cを含む。突出部157dは、片持ちアーム157cの末端上に配置される。アーム157は、図13に矢印「A」で示す方向に、下方、すなわち半径方向内方に偏向可能であり、センターロッド154の孔170内への本体部分157bの挿入を促進する。トロカール157をセンターロッド154の孔170内で適切に位置合わせするために、スプライン157eが本体部分157上に設けられている。アーム157は、突出部157dがセンターロッド154内の開口部155aの下を通過する際に突出部157dが開口部155aに嵌まり込んで取り外し自在のトロカール157をセンターロッド154に解放自在に固定するように、突出部157dを外方に付勢する。タブ157fがアーム157c上に配置されており、これを押下して容易にセンターロッド154からトロカール157を取り外すことができる。トロカールの先端157aは、縫合糸(図示せず)を受け入れるような寸法を有する貫通孔157gを含み、人体内外へのトロカール157の配置および除去を促進する。とがった先端を有するように図示しているが、他のトロカール先端形状、例えば鈍い形状が想定される。
【0036】
(シェル組立体)
図6を参照すると、シェル組立体31は、シェル182、プッシャ後部186、円筒状ナイフ188、およびステープルガイド192を含む。シェル182は、外側ハウジング部分194およびアンビルセンターロッド154上のスプライン181(図10)と噛み合わせるための溝196aを有する内側ガイド部分196を含む。外側ハウジング部分194は、遠位の円筒状部分200、中央の円錐状部分202および近位のより小口径の円筒状部分204を有する貫通孔198を形成する。円錐状部分202には、複数の開口部206を形成することができる。開口部206は、本装置の操作中に流体および組織が通過することができるような寸法を有する。一対の直径上対向する可撓性係合部材207が、シェル182の近位円筒状部分204上に形成されている。係合部材207は、細長本体14にシェル182を固定するために、外管14aの遠位端上に形成された開口部207aに受け入れられるように配置されている。外管14aの近位端内に形成された一対の開口部211は、ハンドル部分12への管14aの取り付けを促進するように、固定ハンドル18(図1)の内壁上に形成された突出部(図示せず)を受け入れるような寸法を有する。
【0037】
再度図6に移ると、プッシャ後部186は、シェル182の内側ガイド部分196の周りに摺動自在に配置される中央貫通孔208を含む。プッシャ後部186は、シェル182の遠位円筒状部分200内に摺動自在に配置される遠位の円筒状部分210、中央の円錐状部分および近位のより小口径の円筒状部分214を含む。プッシャ後部186の近位端は、プッシャリンク74の遠位面がプッシャ後部186の近位面に当接するように、プッシャリンク74の弾性フィンガ110と固定係合してプッシャリンク74をプッシャ後部186に固定するように構成された部材220を含む。
【0038】
プッシャ後部186の遠位端は、プッシャ190を含む。プッシャ190は、ステープルガイド192内に形成されたスロット228内に摺動自在に受け入れられてそこからステープル230を打ち出すような寸法を有する多数の遠位方向に延びるフィンガ226を含む。円筒状ナイフ188は、ナイフ188をプッシャ190に対して固定状態に取り付けるために、プッシャ後部186の中央貫通孔内に摩擦保持される。代替的に、接着剤、圧着、ピン等を用いてナイフ188をプッシャ後部186内に保持してもよい。ナイフ188の遠位端は、円形の刃先234を含む。
【0039】
操作時、以下に説明するように、発射用トリガ20の作動に応答してプッシャリンク74が遠位方向に前進すると、プッシャ後部186がシェル182内で遠位方向に前進する。プッシャ後部186の前進によってフィンガ226がステープルガイド192のスロット228を通って前進し、スロット228内に配置されたステープル230を前進させ、ステープル230を、ステープルガイド192からアンビル129のステープル変形用ポケット140(図11)内に打ち出す。ナイフ188はプッシャ後部186に固定されているので、以下により詳細に説明するように、ナイフ188も遠位方向に前進して、組織をコアリングする。
【0040】
剛体のブッシング209が、シェル182の内側ガイド部分196の近位端内に支持されている。ブッシング209は、アンビル組立体30のアンビル保持具38およびセンターロッド154(図10)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する貫通孔を形成する。ブッシング209は、アンビル組立体30が近接された際にセンターロッド154の可撓性アーム155を側方に支持し、アンビル組立体30がアンビル保持具38から離脱するのを防止する。非近接状態では、センターロッド154の可撓性アーム155はブッシング209の外部に配置され、アンビル組立体30を保持具38から取り外すことを可能にする。
【0041】
(カム調整機構)
図8および図22〜図28を参照すると、カム調整部材400が、側壁306a内に形成された陥凹部306b内のスクリュー止め306の側壁306a上に止めネジ312で固定されている。カム調整部材400は、貫通孔404を有する円板402を含む。貫通孔400は、円板402を通って偏心的に形成されており、止めネジ312を受け入れるような寸法を有する。より小さい切欠きまたは穴406も円板402内に形成されており、調整具(図示せず)の先端部を受け入れるような寸法を有する。陥凹部306b(図22)は、前方の当接肩または当接面306c(図23)および後部の当接面306dを含んでおり、円板402の外縁が前方当接面306cならびに後方当接面306dに当接するように円板402を受け入れるような寸法を有する。
【0042】
止めネジ312は、円板402およびスクリュー止め306を通って延び、スクリュー32内のねじ込み孔32a内に受け入れられてスクリュー止め306をスクリュー32上の所定の位置に固定する。カム調整部材400は、スクリュー32上でのスクリュー止め306の軸方向位置を調整する機能を果たす。より具体的には、止めネジ312を緩めることによって、依然としてスクリュー32に固定されたままで、スクリュー止め306の陥凹部306b内で円板402が回転することを可能にすることができる。円板は偏心的にスクリュー32の周りに取り付けられておりかつ陥凹部306の前方当接面306cおよび後方当接面306dに係合するので、固定された止めネジ312を中心とした円板402の回転によってスクリュー止め306がスクリュー32に沿って軸方向に促され、スクリュー32上でのスクリュー止め306の軸方向位置を調整することになる。例えば、円板402が矢印「B」で示す時計回り方向(図28に示すように)に回転される場合、スクリュー止め306は、円板402の外縁と陥凹部306bの後方肩306dとの間の係合に応じて、矢印「C」で示す方向に、スクリュー32に対して相対的に軸方向に移動することになる。逆に、円板402が矢印「D」で示す逆時計回り方向(図27に示すように)に回転される場合、スクリュー止め306は、円板402の外縁と陥凹部306bの前方肩306cとの間の係合に応じて、矢印「E」で示す方向に、スクリュー32に対して相対的に軸方向に移動することになる。
【0043】
ステープリング装置10が完全に近接した状態(例えば図65に見ることができるように)、すなわちアンビル組立体30、640およびシェル組立体31、605が並んで整列して組織受け入れ用間隔を形成している場合、スクリュー止め306(図47)は、回転スリーブ33の本体部分42に当たる。すなわち、スリーブ33が、接近機構の停止装置として機能する。この状態では、アンビル組立体30とシェル組立体31とがわずかに離間しており、組織受け入れ用間隔を形成している。カム調整部材400を備えることによって、スクリュー32上のスクリュー止め306の位置を調節することにより、組織受け入れ用間隔を所望の範囲内となるように選択的に調整することができる。一実施形態では、カム調整部材400は±0.45インチの組織受け入れ用間隔の調整を可能にするが、より大きいまたはより小さい調整機能も想定される。一般に、組織受け入れ用間隔の調整は、本装置の製造者によって行われることになる。代替的に、穴または開口部(図示せず)をハンドル部分12(図1)内に設けて調整部材400に直接アクセスし、手術部位での組織受け入れ用間隔の調整を可能にしてもよい。
【0044】
(インジケータ機構)
図3〜図5、図9、図22、図29および図33を参照すると、インジケータ機構は、インジケータ24、レンズカバー24aおよび摺動部材500を含む。インジケータ24は、ハンドル半体部分18aおよび18bと一体に形成することのできるピボット部材502の周りに枢着されている。レンズカバー24aは、インジケータ24の上方に配置され、インジケータ24が容易に見えるのを促進するために、拡大材料で形成することができる。摺動部材500(図29)は、細長スロット506が中に形成された本体部分504、遠位の当接部材または上方を向いたリップ部分508、および近位の延長部分510を含む。摺動部材500は、ハンドルの半体部分18aと18bとの間に摺動自在に配置されている。近位延長部分510は、支持構造体516(図5)によって固定ハンドル18内に摺動自在に支持されている。付勢部材512、例えばコイルバネが、支持構造体516と摺動部材500の本体部分504との間の近位延長部分510の周りに圧縮状態で配置され、固定ハンドル18内で摺動部材500を遠位方向に促す。インジケータ24は、ピボット部材502の周りに配置された下方に延びる一対の突出部518および520を含む。摺動部材500の上方を向いたリップ部分508は、突出部518と520との間に配置され、かつそれが固定ハンドル18内で移動する際に突出部518および520に係合するように配置されている。装置10の未発射状態では、付勢部材512は、摺動部材500を遠位方向に促してリップ部分508を移動させ、突出部518と係合させてインジケータを第1の位置へ枢動させ、それにより、本装置が接近を完了しておらず発射準備が整った状態ではないことが外科医に表示される。
【0045】
上に論じたように、スクリュー止め306は、スクリュー32に固定状態で取り付けられている。スクリュー止め306は、本装置の接近時にスロット506を通って移動し、スロット506の近位端506aに係合するように配置された第1の係合部材522を含む。係合部材522がスロット506の近位端506aに当接している際に、装置10がさらに接近すると、スライド式プレート500がバネ512の付勢に抗して固定ハンドル18内で近位方向に移動し、これにより摺動部材500の上方を向いたリップ508が、インジケータ24の突出部518および520に係合する(図48参照)。突出部518および520とリップ508との間の係合により、インジケータ24が、第2の位置までピボット部材502を中心として枢動する。第2の位置では、インジケータ24は、本装置が接近を完了して現在発射準備が整っている状態であることを外科医に表示する。
【0046】
(発射ロックアウト機構)
図3〜図5、図22、図30、図33および図47を参照すると、発射ロックアウト機構は、トリガロック26およびロックアウト部材530を含む。トリガロック26は、ピボット部材534を中心としてハンドル半体部分18aおよび18bの孔532内に枢支されている。一実施形態では、ピボット部材534は、トリガロック26の上縁から延び、T形状を有し、孔532の内壁に摩擦係合してトリガロック26の自由回転を防止する。トリガロック26の先端26aは、発射用トリガ20の本体部分76上の当接部材89と91との間に配置され、トリガロック26が固定された状態にある際にトリガ20の作動を防止する。トリガロック26は、以下にさらに詳細に論じる近位延長部分26b(図4)をも含む。
【0047】
ロックアウト部材530(図30)は、本体部分536、近位延長部分538、一対の前脚540a、一対の後脚540b、および接合部材または下方を向いたリップ部分542を含む。ロックアウト部材530は、ハンドル半体部分18aおよび18bの内壁上に形成された第1の止め子544と第2の止め子546(図5)との間に摺動自在に配置されている。止め子544は後脚540bに係合するように配置され、止め子546は、前脚540aに係合するように配置されている。各対の脚に代えて単一の接合部材を用いてもよいことも想定される。付勢部材548、例えばコイルバネが止め子544と本体536との間で近位延長部分538の周りに配置されており、ロックアウト530を、脚540aが止め子546に当接するその最遠位置へ促す。この位置では、トリガロック26の延長部分26bがロックアウト部材530のリップ部分542の下に位置してトリガロック26の枢動運動を防止し、そのようにして、ステープリング装置10の作動を防止する。
【0048】
上に論じたように、また図47に示すように、スクリュー止め306は、スクリュー32に固定されている。第2の1つまたは複数の係合部材548が、スクリュー止め306から下方に延びる(図22参照)。ステープリング装置10が接近され、スクリュー32が固定ハンドル18内を近位方向に移動すると、係合部材548がロックアウト部材530の前脚540aに当接し、リップ部分542がトリガロック26の延長部分26bの近位に間隔を置いて配置されている位置まで、部材548の付勢に抗して、ロックアウト部材530を近位方向に移動させる。ロックアウト部材530のこの位置では、トリガロック26は枢動することができ、ステープリング装置10の発射を可能にする。
【0049】
(触知式インジケータ機構)
図3、図5、図9および図9Aを参照すると、固定ハンドル18内に設けられた触知式インジケータ機構は、ハンドル半体部分18aおよび18b内に規定された垂直スロット582内に摺動自在に配置される当接部材580を含む。当接部材580は、隆起部580aおよびガイドリブ580bを含む。隆起部580aは、スロット582の壁に沿って形成された2つの移動止め582aおよび582bのうちの1つの内部に受け入れられるような寸法を有する。当接部材580は、隆起部580aが移動止め582a内に位置する後退(下方)位置から、隆起部580aが移動止め582b内に位置する延長(上方)位置まで移動可能である。隆起部580aと移動止め582aおよび582bとの間の係合により、当接部材580がそれぞれの位置に保持される。垂直スロット582内に形成された移動止め582cは、ガイドリブ580bを摺動自在に受け入れるような大きさを有しており、それにより部材580のスロット582との接触を維持する。
【0050】
ステープリング装置10の発射前に、当接部材580が後退(下方)位置(図5)に配置される。装置10が発射されると、発射用リンク72の延長部分590が当接部材580に係合し、当接部材580をその後退位置からその伸長位置へ移動させる。伸長位置では、当接部材580は、固定ハンドル18のチャネル111内に延びる。
【0051】
スクリュー止め306は、固定ハンドル18のチャネル111内に摺動自在に配置される一対の翼部584を含む。ステープリング装置10が発射された後、当接部材580は、チャネル111内に配置される。アンビル組立体150およびカートリッジ組立体31の接近解除中、アンビル組立体30をその輪郭が縮小される位置(以下により詳細に論じるように、また図57に示すように)へ枢動することを可能にするのに十分な距離だけ非近接状態となったときに、スクリュー止め306の翼部584のうちの1つが当接部材580に係合する。当接部材580とスクリュー止め306の翼部584との間の係合により、アンビル組立体120が傾斜しておりステープリング装置10を患者から除去ことができることを示す触知式表示および/または可聴表示が外科医になされる。外科用ステープリング装置がさらに非近接状態になると、翼部584が当接部材580を伸長位置から後退位置へ強制的に戻すことになる。
【0052】
(操作)
ここで、外科用ステープリング装置10の操作について、図31〜図61を参照し詳細に説明する。
【0053】
図31〜図35に、アンビル保持具38へのアンビル組立体30の取り付け前の非接近位置または開放位置にある外科用ステープリング装置10を示す。この位置では、付勢部材106は連結器86と係合しており、プッシャリンク74を、連結器86がスクリュー止め306に当接するその最近位置へ促す。図33に見られるように、付勢部材512はインジケータ機構の摺動部材500と係合して摺動部材500をインジケータ24の隆起部580と係合する位置に配置し、インジケータ24を時計回り方向に枢動させる。付勢部材549は、ロックアウト部材530の本体536と係合し、ロックアウト部材530をその最遠位置へ促し、この場合、ロックアウト部材530のリップ部分542はトリガロック26の延長部分26b上方に配置され、固定が解除された位置へのトリガロック26の移動を防止する。付勢部材82aはピボット部材79に係合し、ピボット部材79を垂直スロット82の基部へ促す。触知式インジケータ580は、隆起部580aが移動止め582aと共に配置された後退位置または下方位置にある。
【0054】
図36〜図44に、アンビル組立体30がアンビル保持具38に取り付けられ、アンビル組立体30が非接近位置または開放位置にある外科用ステープリング装置10を示す。図37および図38を参照すると、アンビル保持具38にアンビル組立体30を取り付けている間は、アンビル保持具38は、アンビル組立体30のセンターロッド154の孔170内に配置される。センターロッド154を収容するために、可撓性アーム155が外方に偏向する。センターロッド154は、可撓性アーム155の内側肩155bがアンビル保持具38上に形成された環状突出部177の上を通過するまで、図37に矢印「K」で示す方向へ、アンビル保持具38の方に向かって前進する。この時点で、弾性脚155がアンビル保持具に解放自在に係合する。ステープリング装置の残りの構成要素の配置は、アンビル保持具38へのアンビル組立体30の取り付けによる影響を受けず、上述した状態に、また図31〜図35に示す状態に留まる。
【0055】
図45〜図50に、接近位置または閉鎖位置へのアンビル組立体30およびカートリッジ組立体31の移動中の外科用ステープリング装置10を示す。上に論じたように、アンビル組立体30は、回転ノブ22を回転させることにより、図45に矢印「L」で示す方向に接近位置または閉鎖位置へ移動する。回転ノブ22は、円筒状スリーブ33を回転させ、スクリュー32のらせん状チャネル50に沿ってピン52を移動させる。らせん状チャネル50に沿ったピン52(図48)の移動によって、スクリュー32がスリーブ33内で平行移動する。スクリュー32の遠位端は、遠位端でアンビル保持具38に固定されたスクリュー延長部分34および36に連結されている。従って、スリーブ33内でのスクリュー32の後退が、アンビル保持具38およびアンビル組立体30の近位方向移動に変換される。アンビル組立体30が接近する際にセンターロッド154の可撓性脚155がブッシング209内に引き込まれ、脚155をアンビル保持具38上に固定することに注目されたい(図46参照)。
【0056】
上に論じたように、スクリュー止め306(図47)は、止めネジ312によって軸方向にスクリュー32に固定されている。従って、スクリュー32がスリーブ33内で後退する際に、スクリュー止め306は、固定ハンドル18内の遠位置から近位置へ移動する。スクリュー止め306が遠位置から近位置へ移動する際に、スクリュー止め306上に形成された第1の係合部材522がスライド式プレート500の近位端506aに当接し、スライド式プレート500を、バネ512の付勢に抗して近位方向に移動させる。スライド式プレート500が近位方向に移動する際に、摺動部材500のリップ508がインジケータ24の突出部518および520に係合し、図48に示すように、インジケータ24を逆時計回り方向に枢動させる。
【0057】
スクリュー止め306は、第2の係合部材548をも含む(図47)。アンビル組立体30の接近中にスクリュー止め306が遠位置から近位置へ移動する際に、第2の係合部材548がロックアウト部材530の遠位脚540aに係合し、ロックアウト部材530を、リップ部分542がトリガロック26延長部分26bの近位に間隔を置いて配置されている位置へと近位方向に移動させる。この位置では、トリガロック26は、固定が解除された位置へ枢動することができ、ステープリング装置10の発射が可能となる。
【0058】
その最近位置への固定ハンドル18内でのスクリュー止め306の移動により、スクリュー止め306の当接面307(図48)が、発射用リンク72のピボット部材79に係合する所定の位置に配置される。当接面307は、ステープリング装置の発射時にピボット79を部分的に捕捉しかつピボット79の逆転防止装置として機能するように配置された実質的に凹形の表面を備える。
【0059】
図51〜図56に、トリガ20の発射ストローク中の外科用ステープリング装置10を示す。トリガ20が固定ハンドル18に向けて押圧される際に(図51に矢印で示すように)、ピボット部材79がスクリュー止め306上の当接面307に係合し、発射用トリガ20が遠位方向に押される。上に論じたように、発射用トリガ20の遠位端は、連結部材86を介してプッシャリンク74の近位端に連結されている。従って、発射用トリガ20が遠位方向に移動すると、プッシャリンク74が遠位方向に移動し、プッシャ後部186をシェル組立体31内に前進させる。プッシャ後部186のフィンガ190がステープルに係合し、ステープルガイド192からステープル230を打ち出す(図52)。
【0060】
円筒状ナイフ188は、ナイフ188が移動して切断用リング128およびバックアッププレート126と係合するように、プッシャ後部186と共に移動される。上に論じたように、切断用リング128はポリエチレンで形成することができ、バックアッププレート126は金属で形成することができる。ナイフ188が切断用リング128に係合すると、それは切断用リング128に食い込み、バックアッププレート126をアンビルヘッド124内により深く押し込んで、タブ150を移動させてセンターロッド154の上面154aとの係合から離脱させる(図56)。ここでアンビルヘッド124は部材164を中心として自由に回転することができるようになり、またプランジャ156によってそのようにするように促される。アンビル組立体はシェル組立体31と並んで整列しているので、アンビルヘッドが完全に枢動するのに十分な距離だけアンビル組立体とシェル組立体が非接近状態になるまでアンビルヘッド14は完全には枢動しないことに留意されたい。バックアッププレート126がアンビルヘッド124内に移動する際に、保持クリップ127の可撓性アーム127aおよび127bがバックアッププレート126正面の位置まで外方に跳ね、バックアッププレート126が動いてアンビルヘッド124から外れるのを阻止する(図55)。上に論じたように、アーム127aおよび127bは、アンビル組立体30が非接近位置に戻る際にバックアッププレート126がナイフ188に付着するのを防止する。
【0061】
図57〜図60を参照すると、装置10が発射された後の接近解除中、アンビル組立体124がその傾斜した輪郭が縮小される位置まで枢動することのできる非接近地点において、スクリュー止め306の翼部584が触知式インジケータ580(図58)に係合する。翼部584と触知式インジケータ580との間の接触により、アンビルヘッド124が傾斜しているという触知式表示および/または可聴式表示が提供される。接近用ノブ22にさらに力が加えられた場合、スクリュー止め306の翼部584は、触知式インジケータを強制的に後退位置へ移動さることになり、ステープリング装置10が完全に開放された位置へ移動することが可能となる。この位置では、可撓性アーム155がブッシング209の遠位に位置し、アンビル組立体30をアンビル保持具28から外すことができる。
【0062】
図62〜図91に、全体を600で示す今回開示する外科用ステープリング装置の別の実施形態を示す。ステープリング装置600は、患者の内痔核を除去するための手術手技に用いるのに特に適した構成および寸法を有する。簡単に述べれば、外科用ステープリング装置600は、近位ハンドル組立体601、中央本体部分603および遠位ヘッド部分605を含む。ハンドル組立体601は、外科用ステープリング装置10のハンドル組立体12と実質的に同一であり、本明細書においてさらに詳細に論じることはない。
【0063】
図62〜図71を参照すると、外科用ステープリング装置600の接近機構は、接近用ノブ602、回転スリーブ604、ドライブスクリュー606、保持具延長部分608、およびアンビル保持具610を含む。接近用ノブ602、回転スリーブ604およびドライブスクリュー606は、外科用ステープリング装置10に関して上に述べた同じ名称の構成要素と実質的に同一であり、本明細書においてさらに詳細に説明することはない。図66〜図68を参照すると、保持具延長部分608は、ドライブスクリュー606の遠位端を受け入れるような寸法を有する孔614を形成する近位端612を含む。一対の横開口部618が、保持具延長部分608近位端の側壁を通って延びており、ピンまたはネジ620(図62)によるドライブスクリュー606の遠位端への保持具延長部分608の取り付けを容易にする。代替的に、他の既知の取り付け具、例えば溶接、ろう着、ネジ山等を用いてもよい。保持具延長部分608の遠位端は、アンビル保持具610の近位端内に形成されたスロット624(図69)内に受け入れられるように構成された平坦なフィンガ622を含む。保持具延長部分608内の開口部626および626aならびにアンビル保持具610(図70)は、それぞれ、アンビル保持具610を保持具延長部分608の遠位端に固定するためのピンまたはネジ628(図62)を受け入れるような寸法を有する。代案として、他の取り付け構成および取り付け技法が企図される。
【0064】
図69〜図71も参照すると、アンビル保持具610は、細長い小径の遠位延長部分630および中央環状肩632を含む。一実施形態では、環状肩632は、アンビル保持具610の軸方向外面610aに対して約90度の角度を形成している(図71)。以下に更に詳細に論じるように、肩632が鋭角を有することにより、アンビル組立体がアンビル保持具610上に確実に固定される。ステープリング装置10に関して上に説明したように、接近用ノブ602(図62)が手動で回転される際に、回転スリーブ604がスクリュー606の近位端の周りで回転し、ハンドル組立体601内でスクリュー606を前進または後退させる。保持具延長部分608の近位端612はスクリュー606の遠位端に固定され、アンビル保持具610の近位端は保持具延長部分608の遠位端に固定されているので、保持具延長部分608およびアンビル保持具610は、ドライブスクリュー606がハンドル組立体601内で軸方向に移動する際に、中央本体部分603内で軸方向に移動することになる。以下にさらに詳細に論じるように、アンビル組立体640(図64)は、アンビル保持具610に固定される。従って、接近用ノブ602が手動で回転される際に、アンビル組立体640は、離間した位置と接近した位置との間でシェル組立体642に対して相対的にアンビル保持具610と共に軸方向に移動することになる。
【0065】
図62〜図64に示すように、遠位ヘッド部分605(図63)は、アンビル組立体640およびシェル組立体642を含む。シェル組立体642は、ハウジング644、プッシャ646、円筒状ナイフ645およびステープルガイド648を含む。図72〜図79も参照すると、ハウジング644は、外側ハウジング部分644aおよび内側ガイド部分644bを含む。外側ハウジング部分644a(図72〜図75)は、外方に広がる貫通孔650を形成し、小口径の近位端652および大口径の遠位端654を含む。遠位端652は、以下に論じる方法で内側ガイド部分644bに解放自在に係合するための、直径上対向する一対のスプリングタブ656を含む。貫通孔650は、プッシャ646(図62)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する(図62)。貫通孔650およびプッシャ646の構造により、プッシャ646は、遠位方向のみに貫通孔650内で摺動自在である。一対の安定リブ653が、内側ガイド部分644bの側壁上に形成されたリブ654(図76)に係合し、内側ガイド部分644bを外側ハウジング部分644a内に固定する。
【0066】
内側ガイド部分644b(図76〜図79)は、円筒状近位端658、円筒状中央部分660および内側遠位部分662を含む。近位端658は、シェル組立体642をハンドル組立体612上に固定するためにハンドル組立体612上に形成されたスプリングタブ(図示せず)に係合するための一対の開口部664を含む。リブ654が、内側ガイド部分644bの内側遠位部分662上に形成されている。一対の環状リブ666が、中央部分660上に互いに間隔を置いて形成されている。外側ハウジング部分644a(図72〜図75)のスプリングタブ656は、リブ666間の空間にスナップ嵌合して内側ガイド部分644bを外側ハウジング部分644aに固定するために配置されている。内側遠位部分662は、保持具延長部分608およびアンビル保持具610(図62)を摺動自在に受け入れるための円筒状孔668を規定している。円筒状孔668は、アンビル組立体640とシェル組立体642をそれらの接近中に円周方向および軸方向に正確に位置合わせするためのリブならびに溝676の環状アレイを含む。遠位部分662の近位端は、中央部分660内を近位方向に延び、それと共に一対のチャネル670(図78)を形成している。チャネル670の近位部分は、プッシャリンク(図示せず)の駆動アームを摺動自在に受け入れるような寸法を有する。この実施形態に用いられているプッシャリンクは、ステープリング装置10に関して上に論じたプッシャリンク74に類似しており、本明細書においてさらに詳細に論じることはない。
【0067】
図62および図80〜図83を参照すると、プッシャ646が、シェル組立体のハウジング644内に摺動自在に配置されている。プッシャ646は、内側ガイド部分644b内に形成されたチャネル670(図78)の遠位端を通って延びる一対の近位延長部分676を含む。プッシャ646の遠位端は、ステープルガイド648(図62)内に形成されたスロット内に摺動自在に受け入れられる多数の遠位に延びるフィンガ680を含む。ステープルガイド648は、外側ハウジング部分644aの遠位端内に固定状態に保持される。ステープル(図示せず)は、ステープルガイドのスロット(図示せず)内に格納される。外側ハウジング部分644a内におけるプッシャ646の運動によって、ステープルガイド648のスロットからステープルが打ち出される。円筒状ナイフ645(図62および図63)は、プッシャ646の中央貫通孔内に固定または摩擦保持される。ナイフ645の遠位端は、環状の刃先682を含む。プッシャ646の遠位部分は、切除した組織を受け入れるための内部チャンバ780を規定する。
【0068】
図84〜図89を参照すると、アンビル組立体640は、アンビルヘッド組立体684およびアンビルセンターロッド686を含む。アンビルヘッド組立体684は、アンビルヘッド688、アンビル支柱690、アンビル692およびアンビルカバー694を含む。アンビルカバー694(図91ならびに図92)は、実質的に円錐状で、人体の管腔または開口部、例えば肛門内へのアンビル組立体640の順調な挿入を促進するために、丸みを帯びた遠位部分696を含む。アンビル692は、アンビルヘッド688に固定され、上に論じたように、ステープルを受け入れて変形するための複数のステープル変形用ポケット(図示せず)を含む。アンビルヘッド組立体684は、アンビルセンターロッド686の遠位端に固定される。上に論じたように、アンビルヘッド組立体684はアンビルセンターロッド686に枢着することができるが、一実施形態では、アンビルヘッド組立体684は、アンビルセンターロッド686に固定状態に取り付けられる。
【0069】
図86、図87および図90に示すように、アンビルセンターロッド686は、部分的に複数の可撓性アーム702によって規定される中央孔700を規定している。中央孔700は、実質的にセンターロッド686の長手方向の長さに沿って延びる。各可撓性アーム702の遠位端は、放射状突出部702aを含む。中央孔700は、放射状突出部702aがアンビル保持具610の環状肩632(図70および図71)の上にスナップ式に嵌まってそれに係合しアンビル組立体640をアンビル保持具610に固定するように、遠位延長部分630を含むアンビル保持具610を摺動自在に受け入れるような寸法を有する。放射状突出部702a(図90)は、肩632に当接してアンビル組立体640をアンビル保持具610に確実に固定し、アンビル保持具610からのアンビル組立体640の不慮の離脱を実質的に防止する垂直面を形成している。アンビル組立体640がアンビル保持具610に固定されているときは、アンビル保持具610の遠位延長部分630は、アンビルセンターロッド686の長さの相当な部分に沿い、中央孔700を通って延びる。一実施形態では、遠位延長部分630は、中央孔700を通って実質的にアンビルセンターロッド686の全長にわたって延びる。
【0070】
使用に際しては、接近用ノブ602(図63)が手動で回転される際にスクリュー606が近位方向に移動し、アンビル保持具610およびアンビル組立体640がシェル組立体642内に引き入れられてアンビルヘッド組立体684が移動し、シェル組立体642(図65)と接近する。可撓性アーム702が内側ガイド部分644bの円筒状孔668内に引っ込められている際は、アーム702が外方に曲がるのが防止され、アンビル組立体640がアンビル保持具610に固定される。
【0071】
上に論じたように、ステープリング装置600は、患者の内痔核を除去するための手術手技に用いるのに特に適している。そのような手技時には、アンビル組立体640(図64)が、ステープリング装置600から切り離して患者の肛門および直腸内に挿入される。図93〜図95を参照すると、肛門および直腸内へのアンビル組立体640の挿入を容易にするために、挿入用ハンドル720を用いることができる。一実施形態では、ハンドル720は、握りノブ722、ノブ722から遠位方向に延びる剛体のシャフト725および連結部分724を含む。連結部分724は、移動止め726および突出部728を含む。シャフト725の連結部分724は、アンビルセンターロッドの中央孔700内に摺動自在に受け入れられるような寸法を有する。移動止め726は、アンビルセンターロッド686の遠位端内に形成された複数の縫合糸穴730(図87)のうちの1つに受け入れられてハンドル720をアンビルセンターロッド686に解放自在に固定するために配置されている。突出部は、可撓性アーム702間に摺動自在に受け入れられかつそれらに係合し、ハンドル720をアンビルセンターロッド686と適切に位置合わせするために配置されている。停止部材728aも、連結部分上に備え、中央孔700内へのシャフト724の挿入の深さを制限することができる。ハンドル720をアンビルセンターロッド686から取り外すためには、可撓性アーム702を外方に曲げるだけの十分な力をハンドル720に加え、移動止め726を縫合糸穴730から解放しなければならない。一実施形態では、アンビル組立体640が肛門および直腸内に適切に配置された後に、内痔核の各々内に巾着縫合糸が配置される。その後、巾着縫合糸がアンビルセンターロッド686の周りで締められ、内痔核がアンビルセンターロッド686の周りへと内方に引き寄せられる。
【0072】
図96〜図99を参照すると、代替的実施形態では、巾着縫合糸は、肛門および直腸内へのアンビル組立体の挿入前に内痔核内に配置することができる。いずれかの実施形態を用いて、肛門鏡または検鏡750を準備して、巾着縫合糸を内痔核内に配置することができる。検鏡750は、先細または鈍い先端754を有する半円筒状本体752を含むことができる。本体752は、チャネルまたは陥凹部756を形成する。本体の近位端は、複数の開口部760および一対の突出するフィンガタブ762を含む半環状フランジ758を有する。フィンガタブ762および開口部760により、使用中のより容易な握りおよび検鏡の操作が可能となる。視覚化を向上させるために検鏡750を透明なプラスチック材料で形成することができることも想定される。さらに、検鏡750は、検鏡750の表面に沿ってグラデーションマーキング(図示せず)を含み、外科医が痔核の位置の深さを知るのを支援する。
【0073】
使用に際しては、第1の内痔核がチャネル756内に垂れ下がる位置まで、検鏡750の鈍い先端が肛門内に挿入される。巾着縫合糸が内痔核の第1の部分内に配置される。次いで、フィンガタブ762および開口部760を用いて、内痔核の第2の部分がチャネル756内に垂れ下がるまで検鏡750が回転される。巾着縫合糸が内痔核の第2の部分内に配置される。この工程が、巾着縫合糸が肛門輪周辺の各内痔核内に配置され終えるまで反復される。
【0074】
巾着縫合糸が各内痔核内に配置され終えると検鏡750が肛門から除去され、アンビル組立体640が肛門および直腸内に挿入される。その後、巾着縫合糸が締められ、内痔核がアンビルセンターロッド686の周りに引き寄せられる。開口部、溝、フック、畝またはリブのような付着構造をアンビルセンターロッド686上に設けて巾着縫合糸、従って内痔核をアンビルセンターロッド686に固定することができる。付着構造は、アンビルセンターロッド686上およびシェル組立体642内の巾着縫合糸の位置を変更するために調整することのできる、軸方向に調整可能な部材、例えば摺動自在フックの形状としてもよいことも想定される。同様に、グラデーションをセンターロッド686上に配置して、センターロッド686の挿入の深さまたは縫合線の長さもしくは縫合された痔核の長さを表示することができる。
【0075】
内痔核がアンビルセンターロッド686の周りに締め寄せられた後に、上に論じた方法で、センターロッド686がアンビル保持具610に取り付けられる。遠位延長部分630およびアンビルセンターロッド686は、手術部位の可視性が装置600のシェル組立体642によって遮られる前に延長部分630をアンビルセンターロッド686内に入れ子式に嵌め込むことができる長さを有していなければならない。一実施形態では、アンビルセンターロッド686と保持具延長部分630を組み合わせた長さは、少なくとも4.5インチ(114.3)または上記の目的を達成する長さである。アンビル保持具610上に延長部分を設けかつ/または細長アンビルセンターロッド686を備えることにより、手術部位の可視性が大幅に改善される。可視性の改善は、アンビルセンターロッド686へのアンビル組立体640の取り付けを簡単にするのみならず、アンビル接近時の可視性をも改善し、痔核組織がアンビルシャフトの周りに適切に配置されるのを確かなものとする。
【0076】
アンビル組立体がアンビルセンターロッド686に取り付けられた後に、ノブ602を手動で回転させてアンビル組立体とシェル組立体を接近させ、プッシャ646内に形成された内部チャンバ780(図62)内およびシェル組立体642のナイフ682内に内痔核を引き入れることができる。ここで発射用トリガ790(図62)をステープリング装置10に関して上に論じた方法で作動させ、内痔核を切断して除去することができる。その後、ステープリング装置600は、切除した内痔核をシェル組立体642の内部チャンバ780に収容して肛門から除去する。
【0077】
器具付属品を用いて上に説明した手技の特定の工程を実行するのを支援することができることが想定される。例えば、上述の方法の各工程を実行する前に肛門拡張器を肛門内に挿入し、手術部位へのアクセスをより容易にすることができる。また、拡張可能な導入装置を備えて、肛門内へのステープリング装置の挿入に起因する外傷を減少させることもできる。さらに、ステープリング装置、アンビル組立体、挿入用ハンドル、検鏡および肛門拡張器、ならびに/または閉塞具を含む上に論じた構成要素の任意の組み合わせを、痔核治療手技を実施するためのキットに含めることができる。
【0078】
取り外し自在のアンビル組立体を有する外科用ステープラを提供することにより手術部位の可視性が大幅に改善されることに注目されたい。これは、巾着縫合糸配置時およびアンビルセンターロッドの周りでの巾着縫合糸締め時においては特に重要である。
【0079】
本明細書に開示した実施形態に種々の変更を加えることができることが理解されよう。従って、上記の説明は、限定するものと見なすべきではなく、単に開示した実施形態の例示に過ぎないと見なすべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲および精神内で他の変更形態を想定するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、非近接状態の、今回開示する外科用ステープリング装置の近位端から見た上側面斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す外科用ステープリング装置の遠位端から見た上側面斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面分解斜視図である。
【図3A】図3Aは、図3に示すハンドル組立体のインジケータの上面斜視図である。
【図4】図4は、ハンドル部分を除去した、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の上面から見た側面斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の底面から見た側面斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分および遠位ヘッド部分の側面分解斜視図である。
【図7】図7は、図6に示す中央本体部分のアンビル保持具およびバンド部分の拡大側面斜視図である。
【図8】図8は、図5に示すハンドル組立体の接近機構のスクリューおよびスクリュー止めの側面斜視図である。
【図9】図9は、図3に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図9A】図9Aは、図3に示すハンドル組立体の当接部材の上面から見た側面斜視図である。
【図10】図10は、図1に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の近位端から見た側面分解斜視図である。
【図11】図11は、図10に示すアンビル組立体の保持クリップの側面斜視図である。
【図12】図12は、取り外し自在のトロカールを固定した、図10に示すアンビル組立体のセンターロッドの遠位端の側面斜視図である。
【図13】図13は、相互に分離した、図11に示すセンターロッドおよび取り外し自在のトロカールの側面斜視図である。
【図14】図14は、取り外し自在のトロカールを取り付けた、図10に示すアンビル組立体の近位端から見た側面斜視図である。
【図15】図15は、図14に示すアンビル組立体の遠位端から見た側面斜視図である。
【図16】図16は、アンビル組立体の保持クリップおよび図15に示すアンビル組立体の取り外し自在のトロカールを通って取った側面断面図である。
【図17】図17は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図18】図18は、図15に示すアンビル組立体のアンビルヘッド組立体のピボット部材を通って取った側面断面図である。
【図19】図19は、取り外し自在のトロカールを取り外した、図18に示すアンビル組立体の近位端から見た側面斜視図である。
【図20】図20は、アンビルヘッドを除去した、図19に示すアンビル組立体の遠位端から見た部分切欠斜視図である。
【図21】図21は、アンビルヘッドを想像線で示した、図19に示すアンビル組立体の遠位部分の部分切欠側面断面図である。
【図22】図22は、図3に示すハンドル組立体のスクリュー止めの底面から見た側面斜視図である。
【図23】図23は、図22に示すスクリュー止めの近位端から見た底面斜視図である。
【図24】図24は、図3に示すハンドル組立体のカム調整部材の上面斜視図である。
【図25】図25は、止めネジおよびカム調整部材を除去した、図3に示すハンドル組立体のスクリューならびにスクリュー止めの側面図である。
【図26】図26は、止めネジおよびカム調整部材を取り付けた、図25に示すスクリューならびにスクリュー止めの側面図である。
【図27】図27は、組織間隙を増大させるようにカム調整ネジを調整した、図26に示すスクリューおよびスクリュー止めの側面図である。
【図28】図28は、組織間隙を減少させるようにカム調整ネジを調整した、図26に示すスクリューおよびスクリュー止めの側面図である。
【図29】図29は、図3に示すハンドル組立体のインジケータ機構の摺動部材の近位端から見た上面斜視図である。
【図30】図30は、図3に示すハンドル組立体の発射ロックアウト機構のロックアウト部材の底面斜視図である。
【図31】図31は、アンビル組立体を除去した、図1に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図32】図32は、ハンドル部分を除去した、図31に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面拡大図である。
【図33】図33は、図31に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図34】図34は、図31に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図35】図35は、アンビル組立体を除去した、図31に示す外科用ステープリング装置の遠位端の前面から見た斜視図である。
【図36】図36は、アンビル組立体を取り付けた、図35に示す外科用ステープリング装置の遠位端の前面から見た斜視図である。
【図37】図37は、図36に示す外科用ステープリング装置の遠位端の側面断面図である。
【図38】図38は、アンビル組立体を取り付けた、図31に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図39】図39は、図38の切断線39−39に沿って取った断面図である。
【図40】図40は、図38の切断線40−40に沿って取った断面図である。
【図41】図41は、図38の切断線41−41に沿って取った断面図である。
【図42】図42は、図38の切断線42−42に沿って取った断面図である。
【図43】図43は、図38の切断線43−43に沿って取った断面図である。
【図44】図44は、図38の切断線44−44に沿って取った断面図である。
【図45】図45は、アンビル組立体が接近位置にある、図38に示す外科用ステープリング装置の側面斜視図である。
【図46】図46は、図45に示す外科用ステープリング装置の遠位端の側面断面図である。
【図47】図47は、ハンドル部分を除去した、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面拡大図である。
【図48】図48は、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の側面断面図である。
【図49】図49は、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の一部分の上面水平断面図である。
【図50】図50は、ハンドル部分を除去した、図45に示す外科用ステープラのハンドル組立体の一部分の側面図である。
【図51】図51は、発射用トリガが作動された後の、図45に示す外科用ステープリング装置のハンドル組立体の一部分の側面断面図である。
【図52】図52は、発射用トリガが作動された後の、図45に示す外科用ステープリング装置の遠位端の側面断面図である。
【図53】図53は、ハンドル部分を除去した、図51に示すハンドル組立体の側面図である。
【図54】図54は、図53に示すハンドル組立体の触知式インジケータ機構の当接部材に係合する発射用リンク延長部分の拡大図である。
【図55】図55は、図52に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の遠位部分の側面断面図である。
【図56】図56は、アンビルヘッド組立体の一部分を想像線で示した、図55に示すアンビル組立体の遠位部分の側面断面図である。
【図57】図57は、アンビルヘッド組立体がアンビルセンターロッド上で枢動するのを許容するのに十分な距離だけアンビル組立体とカートリッジ組立体が非接近状態となった後の、図45に示す外科用ステープリング装置の側面図である。
【図58】図58は、想像線で示すスクリュー止めの翼部が当接部材と係合している、図53に示すハンドル組立体の触知式インジケータ機構の当接部材の拡大図である(アンビル組立体とカートリッジ組立体の非接近時)。
【図59】図59は、アンビルヘッド組立体が傾斜を開始する際の図56に示すアンビル組立体の側面断面図である。
【図60】図60は、アンビル組立体が傾斜した、図59に示すアンビル組立体の側面断面図である。
【図61】図61は、アンビルヘッド組立体が非接近位置にありかつ傾斜している、図45に示す外科用ステープリング装置の側面図である。
【図62】図62は、アンビル組立体をアンビル保持具から除去した、今回開示する外科用ステープリング装置の別の実施形態の側面断面図である。
【図63】図63は、開放状態でアンビル組立体をアンビル保持具に取り付けた、図62に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図64】図64は、図63に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の側面断面図である。
【図65】図65は、アンビル組立体が接近位置にある、図63に示す外科用ステープリング装置の側面断面図である。
【図66】図66は、図65に示す外科用ステープリング装置の保持具延長部分の近位端から見た側面斜視図である。
【図67】図67は、図66に示す保持具延長部分の側面図である。
【図68】図68は、図67に示す保持具延長部分の上面断面図である。
【図69】図69は、図65に示す外科用ステープリング装置のアンビル保持具の上面図である。
【図70】図70は、図69に示すアンビル保持具の側面図である。
【図71】図71は、図70に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図72】図72は、図65に示す外科用ステープリング装置のシェル組立体の外側ハウジング部分の側面図である。
【図73】図73は、図72に示すシェル組立体の外側ハウジング部分の上面図である。
【図74】図74は、図72の切断線74−74に沿って取った断面図である。
【図75】図75は、図73の切断線75−75に沿って取った断面図である。
【図76】図76は、図65に示す外科用ステープリング装置のシェル組立体の内側ガイド部分の側面図である。
【図77】図77は、図76に示すシェル組立体の内側ガイド部分の上面図である。
【図78】図78は、図77に示すシェル組立体の内側ガイド部分の側面断面図である。
【図79】図79は、図77に示すシェル組立体の内側ガイド部分の上面断面図である。
【図80】図80は、図65に示す外科用ステープリング装置のプッシャの側面図である。
【図81】図81は、図80に示すプッシャの上面図である。
【図82】図82は、図81に示すプッシャの側面断面図である。
【図83】図83は、図82に示すプッシャの上面断面図である。
【図84】図84は、図65に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の側面断面図である。
【図85】図85は、図84に示す外科用ステープリング装置のアンビル組立体の上面断面図である。
【図86】図86は、図85に示すアンビル組立体のアンビルセンターロッドの上面図である。
【図87】図87は、図85に示すアンビル組立体のアンビルセンターロッドの側面図である。
【図88】図88は、図85に示すアンビル組立体のアンビルヘッドの側面断面図である。
【図89】図89は、図88に示すアンビルヘッドの側面図である。
【図90】図90は、図87に示すアンビルセンターロッドの側面断面図である。
【図91】図91は、図84に示すアンビル組立体のアンビルカバーの側面図である。
【図92】図92は、図91に示すアンビルカバーの側面断面図である。
【図93】図93は、アンビル組立体挿入用ハンドルの側面断面図である。
【図94】図94は、図93に示すアンビル組立体挿入用ハンドルの側面斜視図である。
【図95】図95は、図84に示すアンビル組立体に取り付けられた、アンビル組立体挿入用ハンドルの側面断面図である。
【図96】図96は、今回開示する外科用ステープリング装置と共に用いるのに適した検鏡の上面図である。
【図97】図97は、図96に示す検鏡の上方から見た側面斜視図である。
【図98】図98は、図96に示す検鏡の背面図である。
【図99】図99は、図97に示す検鏡の側面断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープリング装置であって、
ハンドル組立体と、
該ハンドル組立体から遠位方向に延びる本体部分と、
アンビル組立体およびシェル組立体を含むヘッド部分であって、該アンビル組立体がアンビルヘッドならびに長手方向孔を規定するアンビルセンターロッドを含み、該シェル組立体が複数のステープルを支持し、該アンビル組立体が離間した位置と接近した位置との間で該シェル組立体に対して移動可能である、ヘッド部分と、
該アンビル組立体を支持するためのアンビル保持具を含む接近機構であって、該アンビル保持具は、該アンビルセンターロッドの該長手方向孔に入れ子式に受け入れられるような寸法を有する細長遠位延長部分を含む、接近機構、
とを備える、外科用ステープリング装置。
【請求項2】
前記長手方向孔は、実質的に前記アンビルセンターロッドの全長に沿って延び、前記アンビル保持具の前記細長遠位延長部分は、該長手方向孔の長さを実質的に延長している、請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項3】
前記アンビル組立体は、前記アンビル保持具に取り外し自在に固定されている、請求項1〜2のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項4】
前記アンビルセンターロッドは、前記長手方向孔を部分的に規定する複数の可撓性アームを含み、該可撓性アームのうちの少なくとも1本は、放射状突出部を含み、前記アンビル保持具は、前記細長遠位延長部分の近位に配置された肩を規定し、該少なくとも1本の可撓性アームの該放射状突出部は、前記アンビル組立体を該アンビル保持具に解放自在に固定するために該アンビル保持具の肩と係合可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項5】
前記アンビル保持具の前記細長遠位延長部分は、該アンビル保持具の近位部分よりも小さい直径を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項6】
前記接近機構は、前記ハンドル組立体上に支持された回転自在の接近用ノブ、該接近用ノブと動作可能に関連付けられたスクリュー、および該スクリューに固定された保持具延長部材を含み、前記アンビル保持具は、該保持具延長部材の遠位端に固定されている、請求項1〜5のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項7】
前記細長遠位延長部分は、手術部位の可視性を妨げることなく前記アンビルセンターロッドとの該細長遠位延長部分の入れ子式嵌まり合いを許容する長さである、請求項1〜6のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項8】
前記アンビルセンターロッドと前記細長遠位延長部分との組み合わせた長さは、約4.5インチよりも大きい、請求項1〜7のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項9】
内痔核を治療する方法であって、該方法は、
a)外科用ステープリング装置のアンビル組立体を、該アンビル組立体のアンビルヘッドが該内痔核を越えて配置されるように、肛門を通じて直腸内に挿入する工程と、
b)直腸組織および/または該内痔核に巾着縫合糸を適用する工程と、
c)該アンビル組立体が該肛門を通じて挿入された後に、ハンドル組立体およびシェル組立体を含む外科用ステープリング装置を該アンビル組立体に取り付ける工程と、
d)該巾着縫合糸を用いて該直腸組織および/または該内痔核を該アンビル組立体のセンターロッドに向けて引く工程と、
e)該アンビル組立体と該シェル組立体とを接近させる工程と、
f)該外科用ステープリング装置を作動させて該直腸組織および/または該内痔核を治療する工程、
とを含む、方法。
【請求項10】
前記外科用ステープリング装置は、細長遠位延長部分を有するアンビル保持具を有する接近機構を含み、前記取り付ける工程は、該遠位延長部分を用いて該ステープリング器具を前記アンビル組立体と位置合わせする工程を含む、請求項9に記載の内痔核を治療する方法。
【請求項11】
前記アンビル組立体を挿入する工程は、前記肛門を通じて該アンビル組立体を挿入する前に、該アンビル組立体に挿入用ハンドルを取り付ける工程を含む、請求項9〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記巾着縫合糸を適用する工程は、検鏡を用いて該巾着縫合糸を前記直腸組織および/または内痔核に適用する工程を含む、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
内痔核を治療するためのキットであって、該キットは、
ハンドル組立体、該ハンドル組立体から遠位方向に延びる本体部分、アンビル保持具を含む接近機構、複数のステープルを含むシェル組立体、および該アンビル保持具に取り外し自在に取り付け可能なアンビル組立体を含む外科用ステープリング装置と、
該アンビル組立体に取り外し自在に取り付け可能なアンビル組立体挿入用ハンドル、
とを備える、キット。
【請求項14】
前記アンビル組立体は、長手方向孔を有するセンターロッドを含み、前記アンビル保持具は、該センターロッドの該長手方向孔内に入れ子式に受け入れられるような寸法を有する細長遠位延長部分を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記細長遠位延長部分は、内痔核を治療するための手技中に手術部位の可視性を妨げることのない前記アンビル保持具の該細長遠位延長部分と前記アンビル組立体の前記センターロッドとの入れ子式嵌まり合いを許容する長さである、請求項13〜14のいずれかに記載のキット。
【請求項16】
前記アンビルセンターロッドと前記細長遠位延長部分の組み合わされた長さは約4.5インチより大きい、請求項13〜15のいずれかに記載のキット。
【請求項17】
チャネル、鈍い先端、および半環状フランジを規定する半円筒状本体を有する検鏡をさらに含む、請求項13〜16のいずれかに記載のキット。
【請求項18】
前記半環状フランジは、少なくとも1つのフィンガタブを含む、請求項13〜17のいずれかに記載のキット。
【請求項19】
前記細長遠位延長部分は、前記アンビル保持具の近位部分の直径よりも小さい直径を有する、請求項13〜18のいずれかに記載のキット。
【請求項20】
前記挿入用ハンドルは、握りノブ、該ノブから遠位方向に延びる実質的に剛体のシャフト、および前記アンビルセンターロッド内に形成された開口部内に受け入れられるように構成された移動止めを含む、請求項13〜19のいずれかに記載のキット。
【請求項1】
外科用ステープリング装置であって、
ハンドル組立体と、
該ハンドル組立体から遠位方向に延びる本体部分と、
アンビル組立体およびシェル組立体を含むヘッド部分であって、該アンビル組立体がアンビルヘッドならびに長手方向孔を規定するアンビルセンターロッドを含み、該シェル組立体が複数のステープルを支持し、該アンビル組立体が離間した位置と接近した位置との間で該シェル組立体に対して移動可能である、ヘッド部分と、
該アンビル組立体を支持するためのアンビル保持具を含む接近機構であって、該アンビル保持具は、該アンビルセンターロッドの該長手方向孔に入れ子式に受け入れられるような寸法を有する細長遠位延長部分を含む、接近機構、
とを備える、外科用ステープリング装置。
【請求項2】
前記長手方向孔は、実質的に前記アンビルセンターロッドの全長に沿って延び、前記アンビル保持具の前記細長遠位延長部分は、該長手方向孔の長さを実質的に延長している、請求項1に記載の外科用ステープリング装置。
【請求項3】
前記アンビル組立体は、前記アンビル保持具に取り外し自在に固定されている、請求項1〜2のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項4】
前記アンビルセンターロッドは、前記長手方向孔を部分的に規定する複数の可撓性アームを含み、該可撓性アームのうちの少なくとも1本は、放射状突出部を含み、前記アンビル保持具は、前記細長遠位延長部分の近位に配置された肩を規定し、該少なくとも1本の可撓性アームの該放射状突出部は、前記アンビル組立体を該アンビル保持具に解放自在に固定するために該アンビル保持具の肩と係合可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項5】
前記アンビル保持具の前記細長遠位延長部分は、該アンビル保持具の近位部分よりも小さい直径を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項6】
前記接近機構は、前記ハンドル組立体上に支持された回転自在の接近用ノブ、該接近用ノブと動作可能に関連付けられたスクリュー、および該スクリューに固定された保持具延長部材を含み、前記アンビル保持具は、該保持具延長部材の遠位端に固定されている、請求項1〜5のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項7】
前記細長遠位延長部分は、手術部位の可視性を妨げることなく前記アンビルセンターロッドとの該細長遠位延長部分の入れ子式嵌まり合いを許容する長さである、請求項1〜6のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項8】
前記アンビルセンターロッドと前記細長遠位延長部分との組み合わせた長さは、約4.5インチよりも大きい、請求項1〜7のいずれかに記載の外科用ステープリング装置。
【請求項9】
内痔核を治療する方法であって、該方法は、
a)外科用ステープリング装置のアンビル組立体を、該アンビル組立体のアンビルヘッドが該内痔核を越えて配置されるように、肛門を通じて直腸内に挿入する工程と、
b)直腸組織および/または該内痔核に巾着縫合糸を適用する工程と、
c)該アンビル組立体が該肛門を通じて挿入された後に、ハンドル組立体およびシェル組立体を含む外科用ステープリング装置を該アンビル組立体に取り付ける工程と、
d)該巾着縫合糸を用いて該直腸組織および/または該内痔核を該アンビル組立体のセンターロッドに向けて引く工程と、
e)該アンビル組立体と該シェル組立体とを接近させる工程と、
f)該外科用ステープリング装置を作動させて該直腸組織および/または該内痔核を治療する工程、
とを含む、方法。
【請求項10】
前記外科用ステープリング装置は、細長遠位延長部分を有するアンビル保持具を有する接近機構を含み、前記取り付ける工程は、該遠位延長部分を用いて該ステープリング器具を前記アンビル組立体と位置合わせする工程を含む、請求項9に記載の内痔核を治療する方法。
【請求項11】
前記アンビル組立体を挿入する工程は、前記肛門を通じて該アンビル組立体を挿入する前に、該アンビル組立体に挿入用ハンドルを取り付ける工程を含む、請求項9〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記巾着縫合糸を適用する工程は、検鏡を用いて該巾着縫合糸を前記直腸組織および/または内痔核に適用する工程を含む、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
内痔核を治療するためのキットであって、該キットは、
ハンドル組立体、該ハンドル組立体から遠位方向に延びる本体部分、アンビル保持具を含む接近機構、複数のステープルを含むシェル組立体、および該アンビル保持具に取り外し自在に取り付け可能なアンビル組立体を含む外科用ステープリング装置と、
該アンビル組立体に取り外し自在に取り付け可能なアンビル組立体挿入用ハンドル、
とを備える、キット。
【請求項14】
前記アンビル組立体は、長手方向孔を有するセンターロッドを含み、前記アンビル保持具は、該センターロッドの該長手方向孔内に入れ子式に受け入れられるような寸法を有する細長遠位延長部分を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記細長遠位延長部分は、内痔核を治療するための手技中に手術部位の可視性を妨げることのない前記アンビル保持具の該細長遠位延長部分と前記アンビル組立体の前記センターロッドとの入れ子式嵌まり合いを許容する長さである、請求項13〜14のいずれかに記載のキット。
【請求項16】
前記アンビルセンターロッドと前記細長遠位延長部分の組み合わされた長さは約4.5インチより大きい、請求項13〜15のいずれかに記載のキット。
【請求項17】
チャネル、鈍い先端、および半環状フランジを規定する半円筒状本体を有する検鏡をさらに含む、請求項13〜16のいずれかに記載のキット。
【請求項18】
前記半環状フランジは、少なくとも1つのフィンガタブを含む、請求項13〜17のいずれかに記載のキット。
【請求項19】
前記細長遠位延長部分は、前記アンビル保持具の近位部分の直径よりも小さい直径を有する、請求項13〜18のいずれかに記載のキット。
【請求項20】
前記挿入用ハンドルは、握りノブ、該ノブから遠位方向に延びる実質的に剛体のシャフト、および前記アンビルセンターロッド内に形成された開口部内に受け入れられるように構成された移動止めを含む、請求項13〜19のいずれかに記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図58】
【図55】
【図56】
【図57】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【図88】
【図89】
【図90】
【図86】
【図87】
【図91】
【図92】
【図93】
【図94】
【図95】
【図96】
【図97】
【図98】
【図99】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図58】
【図55】
【図56】
【図57】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【図88】
【図89】
【図90】
【図86】
【図87】
【図91】
【図92】
【図93】
【図94】
【図95】
【図96】
【図97】
【図98】
【図99】
【公表番号】特表2007−516730(P2007−516730A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517484(P2006−517484)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019798
【国際公開番号】WO2004/112583
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501289751)タイコ・ヘルスケア・グループ・リミテッド・パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019798
【国際公開番号】WO2004/112583
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501289751)タイコ・ヘルスケア・グループ・リミテッド・パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]