外科用ステープリング装置
ハンドル部分、中央本体部分およびSULUを含む外科用装置を開示する。本SULUは、近位本体部分、中間ピボット部材およびツール組立体を含む。中間ピボット部材は、第1のピボット軸を中心として近位本体部分に枢着され、ツール組立体は、第1のピボット軸に直交する第2のピボット軸を中心として中間ピボット部材に枢着されている。本SULUは、非剛体リンクによってツール組立体に動作可能に連結された複数の関節運動用リンクを含む。本関節運動用リンクは、中央本体部分に配置された関節運動用リンクに解放自在に係合するように適合されている。本体部分の関節運動用リンクは、第1の軸および第2の軸を中心としたツール組立体の関節運動を生じさせるために全方向に動くように支持された関節運動アクチュエータに連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年6月17日出願の米国仮出願番号第60/479,379号に基づく優先権を主張し、米国仮出願番号第60/479,379号は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(1. 技術分野)
本開示は、外科用ステープリング装置に関し、より詳細には、第1および第2の直交する軸を中心として関節運動可能なツール組立体を有する内視鏡手術用ステープリング装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
(2. 関連技術の背景)
組織を最初に対向するジョー構造間で把持するかまたは締め付け次いで外科用留め具で結合する外科用装置は、当業界でよく知られている。いくつかの器具には、留め具で結合された組織を切断するためのナイフが備えられている。留め具は一般に外科用ステープルの形状であるが、ポリマー製留め具を含む2部分留め具も用いることができる。
【0004】
この目的用の器具は、組織を捕捉するかまたは締め付けるためにそれぞれ用いられる2つの細長い部材を含むことができる。一般に、これらの部材のうちの一方は、例えば少なくとも横二列に配列された複数のステープルを収容するステープルカートリッジを担持し、一方で他方の部材は、ステープルがステープルカートリッジから打ち出される際にステープルの脚を形成するための面を画定するアンビルを有する。通常、ステープリング動作は、ステープルカートリッジを通って長手方向に進むカムバーによって実行され、カムバーは、ステープルプッシャに作用してステープルカートリッジから連続的にステープルを打ち出す。ナイフは、ステープルの横列間にあるステープリングされた組織を長手方向に切断するために、ステープルの横列間で移動することができる。このようなステープラは、その全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6、250、532号および第6、241、139号に開示されている。
【0005】
内視鏡手順または腹腔鏡手順においては、手術は、小切開部を通じてもしくは皮膚内の小さい挿入用切開創を経由して挿入された小口径のカニューレを通じて実施される。器具が皮膚を経由して配置される場合には、その可動度が制限されるため、組織にアクセスしかつ/または組織を締め付けるために外科医が器具のツール組立体を操作するのが極めて困難となる可能性がある。この問題を克服するために、回転可能な内視鏡本体部分および回転可能かつ/または関節運動可能なツール組立体を有する器具が開発され、市販されている。これらの器具は内視鏡ツール技術に著しい改善をもたらしているが、外科医がより迅速に組織にアクセスするのを可能にすることにより外科的手順に要する時間を減らすことのできるさらなる改善が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、組織にアクセスし、それを締め付けかつ/または切断するために無数の方向に迅速かつ容易に操向することのできるツール組立体を有する内視鏡手術用装置もしくは腹腔鏡手術用装置の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
本開示によれば、ハンドル部分、細長い中央本体部分および単回使用ローディングユニット(「SULU」)または使い捨てローディングユニット(「DLU」)を含む外科用ステープリング装置が提供される。細長い本体部分は、ハンドル部分に回転自在に固定されている。SULUは、近位本体部分、中間ピボット部材およびツール組立体を含む。中間ピボット部材は、第1の軸を中心として近位本体部分に枢着され、第1の軸に実質的に直交する第2の軸を中心としてツール組立体に枢着されている。従って、中間ピボット部材は、近位本体部分に対して関節運動することができ、ツール組立体は、中間ピボット部材に対して枢動することができる。従って、ツール組立体は、本装置の細長い中央本体部分に対して複数の軸を中心として枢動することができる。本装置の細長い中央本体部分は本装置のハンドル部分に対しても回転自在であるので、複数の軸を中心としたツール組立体の関節運動機能により、外科医がツール組立体を無数の向きに迅速かつ容易に配置することが可能となり、身体組織の手術を促進する。
【0008】
本開示の別の局面では、本外科用ステープリング装置は、全方向またはあらゆる方向に動くように半球状のベース部材上に支持された関節運動アクチュエータを含む。複数の関節運動用リンクは、関節運動アクチュエータに動作可能に連結された第1の端部およびSULUの関節運動用リンクに解放可能に連結されるように適合された第2の端部を有する。SULUの関節運動用リンクは、関節運動アクチュエータを操作して第1の軸および第2の軸のいずれかまたは両方を中心としてツール組立体を関節運動させることができるように、ケーブルもしくは非剛体リンクでツール組立体に動作可能に連結されている。
【0009】
本発明の別の局面では、ハンドル部分は、ツール組立体の動作を生じさせるために発射用リンクおよび後退用リンクを動かすための駆動機構を含む。駆動機構は、ハンドル部分内に支持されたスピンドルおよび該スピンドルの周りに摺動自在に配置されたバレル組立体を含む。スピンドルは、発射用ラックを受け入れるための第1の案内軌道および後退用ラックを摺動自在に受け入れるための、正反対の位置に配置された第2の案内軌道を含む。バレル組立体は、発射用ラックと係合するように移動可能な発射用つめおよび後退用ラックと係合するように移動可能な後退用つめを含む。発射用つめおよび後退用つめを発射用ラックならびに後退用ラックに対してそれぞれ選択的に配置するために、第1のシフトリング組立体が備えられている。ハンドル部分のトリガは、バレル組立体をスピンドルを中心としてかつそれに沿って動かし、発射用ラックまたは後退用ラックを選択的に移動させてツール組立体を操作するために備えられている。
【0010】
本開示のさらに別の局面では、ツール組立体は、ステープリング装置であり、バレル組立体は、発射用ラックとの係合状態へ移動可能でありツール組立体を把持具モードで操作することを可能にする把持用つめを含む。より具体的には、把持用つめは、第2のシフトリング組立体によって制御され、かつ、可動トリガの作動と同時にツール組立体のカートリッジ組立体とアンビル組立体を接近させるがステープルは発射させない距離だけ発射用ラックが移動することを可能にするように発射用ラックとの係合状態へ選択的に移動可能である。
【0011】
本開示のさらに別の実施形態では、ツール組立体は、カートリッジ組立体およびアンビル組立体を含む。ナイフバーを含む駆動用組立体および作動用スレッドは、ツール組立体を通って平行移動可能であり、カートリッジ組立体とアンビル組立体との間に位置する組織を同時にステープリングしかつ切断する。発射用ケーブルおよび後退用ケーブルは各々、駆動用組立体に固定された第1の部分を有する。発射用ケーブルは、中央本体部分の発射用リンクに解放可能に連結されるように適合されたSULUの発射用リンクに固定された近位端を有する。中央本体部分の発射用リンクは、発射用ラックの近位移動によってカートリッジ組立体を通る駆動用組立体の遠位平行移動が生じるように、発射用ラックに動作可能に連結されている。後退用ケーブルは、SULUの後退用リンクに連結された近位端を有する。SULUの後退用リンクは、後退用ラックの近位移動によって駆動用組立体の近位移動が生じるように後退用ラックに動作可能に連結された本装置の中央本体部分の後退用リンクに連結されるように適合されている。
【0012】
本開示の別の局面では、SULUを本ステープリング装置の細長い本体部分に固定するための新規な連結機構を提供する。本連結機構は、非剛体ケーブルで駆動される駆動用組立体を有するSULUのステープリング装置への解放可能な取り付けを促進する。
【0013】
本開示の1つの目的は、非剛体のリンクを有する関節運動機構および/または駆動機構を含む除去可能なSULUを有する外科用装置を提供することにある。
【0014】
本開示の別の目的は、回転可能な中央本体部分およびカートリッジ組立体ならびにアンビル組立体を含む実質的に互いに直交する第1の軸および第2の軸を中心として枢動するツール組立体を有する外科用ステープリング装置を提供することにある。
【0015】
本開示のさらに別の目的は、スピンドルおよび発射モードまたは作動モード、後退モードおよび把持モードでの作動部材もしくは駆動部材の選択的操作を促進するバレル組立体を有するハンドル部分を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
今回開示する外科用ステープリング装置の各実施形態を、図面を参照して本明細書に開示する。
【0017】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここで、いくつかの図の各々において同じ参照数字は同じ要素または対応する要素を示す図面を参照し、今回開示するステープリング装置の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0018】
2002年10月4日に提出された米国仮出願第60/416、088号および2002年10月4日に提出された米国仮出願第60/416、372号は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0019】
本明細書全体を通して、用語「近位の」は、術者に最も近い本装置の部分を指し、用語「遠位の」は、術者から最も遠い本装置の部分を指すことになる。
【0020】
図1〜図8に、全体を10で示す今回開示する外科用ステープリング装置の一実施形態を示す。簡単に述べれば、外科用ステープリング装置10は、近位のハンドル部分12、細長い中央本体部分14および遠位の使い捨てローディングユニット(「DLU」)16を含む。DLUは、単回使用ローディングユニット(「SULU」)であるのが好ましい。ハンドル部分12は、固定ハンドル18、トリガ20、回転用回転制御部材22および関節運動アクチュエータ24を形成する本体13を含む。本体13は、熱可塑性材料、例えばポリカーボネートで形成することのできる、一対の成形により製造された半断面13aおよび13bを含む。代替的に、必要な強度基準値を有する他の材料、例えば外科グレードの金属を用いて本体13を形成してもよい。本体13の半断面13aおよび13bは、既知の締結手法、例えば接着剤、溶接、インタロッキング構造、ねじ等を用いて互いに固定されている。代替的に、他の締結手法を用いてもよい。
【0021】
図9〜図16を参照すると、ハンドル部分12は、以下に詳細に説明するように、SULU16のジョーを近づけてSULU16からステープルを打ち出すための近置/発射機構を含む。近置/発射機構は、互いに正反対の位置に設けられた案内軌道28および30(図16)を画定するスピンドル26を含む。スピンドル26の近位端は、環状陥凹部32a(図11)を画定する延長部分32を含む。延長部分32は、ハンドル部分12の本体半断面13aおよび13b内に形成された陥凹部34内に収容され、スピンドル26を本体13内に回転自在に固定する。ピニオン36(図16)は、スピンドル26の中央部分に形成された貫通孔38内に回転自在に固定される。ピニオン36は、案内軌道28および30内に延びる歯車の歯を含む。
【0022】
図16を参照すると、発射用ラック40はスピンドル26の案内軌道28に摺動自在に受け入れられ、後退用ラック42はスピンドル26の案内軌道30に摺動自在に受け入れられる。発射用ラック40は、該ラックの両側に形成された歯車用の歯44および46を含む。歯車用の歯44は、前進および発射用のつめ48(「発射用つめ」)の歯に係合するように配置される。歯車用の歯46は、ピニオン36の歯に係合するように配置される。発射用ラック40の近位端は、以下に詳細に論じる方法で把持用つめ52に係合するような寸法を有する切欠き50を含む。
【0023】
後退用ラック42も、該ラックの両側に形成された歯車用の歯54および56を含む。歯車用の歯54は後退用のつめ58の歯に係合するように配置され、歯車用の歯56はピニオン36の歯に係合するように配置される。後退用ラック42の近位端は、インジケータリング60のピン60aを受け入れるための穴42aを含む。インジケータリング60は、スピンドル26の周りに配置され、後退用ラック42に可動固定される。インジケータリング60は、観察を容易にするために、例えば赤色に着色されるのが好ましい。ハンドル部分12の本体13の窓または透明な部分(図示せず)から、インジケータリング60の位置を観察することができる。インジケータリング60の位置に関連して本装置の動作段階を確認するために、観察用部分に隣接させて、本体13上に指標を設けてもよい。
【0024】
図15および図33も参照すると、バレル組立体62が、スピンドル26の周りに摺動自在に配置されている。バレル組立体62は、発射用つめ48、把持用つめ52、後退用つめ58、本体部分64、第1と第2のシフトリング組立体66および68、ならびにトリガコネクタ70を含む。バレル組立体の本体部分64は、一対の対向する貫通孔72および74を含む。発射用つめ48は、バレル組立体の本体部分64を通って延びるピボットピン76を中心として、貫通孔72内に枢着されている。後退用つめ58は、バレル組立体の本体部分64を通って延びるピボットピン78を中心として、貫通孔74内に枢着されている。バネ部材またはOリング80が本体部分64の周りに配置され、発射用つめ48および後退用つめ58に係合して発射用つめ48ならびに後退用つめ58が発射用ラック40および後退用ラック42とそれぞれ係合するように促す。代替的に、別の付勢装置を用いて発射用つめおよび後退用つめを付勢して発射用ラックならびに後退用ラックと係合させてもよい。発射用つめ48は、カムスロット48aおよび発射用ラック40の歯44に係合するように構成された一連の歯48bを含む。後退用つめ58は、カムスロット58aおよび後退用ラック42の歯54に係合するように構成された一連の歯58bを含む。
【0025】
第1のシフトリング組立体66は、外輪82および内輪84を含む。外輪82は、バレル組立体の本体部分64の周りに摺動自在に配置されている。外輪82は、一対の突出したバネアーム85を含む。各バネアームが、外側接合部材86および内側突出部88を含む。内輪84は、外輪82の内側にバレル組立体の本体部分64を取り巻いて摺動自在に配置されており、以下に詳細に説明する方法でバネアーム85の突出部88を受け入れるような寸法を有する外側環状陥凹部90を含む。内輪84の内面とバレル組立体の本体部分64の外面との間の摩擦接触により、内輪84は、内輪84が手動で動かされるまで、バレル組立体の本体部分64上の固定位置に保持される。
【0026】
外輪82は、ハンドルの本体13内に摺動自在に配置されており、その各側に一対の細長いリブ92を含む。リブ92は、本体の半断面13aおよび13b(図35)の内面上に形成された細長いリブ96(図34)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する細長いスロット94を画定している。スロット94内におけるリブ96の位置決めによって、外輪82の直線的な動きが制限される。互いに正反対の位置に設けられた一対の突起物98が、本体の半断面13aおよび13bの各々内に形成された細長いスロット100(図34)を通って、外輪82の各側から外方に延びている。突起物100は、ハンドル本体13上の、前進位置から後退位置までハンドル本体13内で外輪82を直線的に移動させるために装置10のオペレータによって操作されることになる位置に配置されている。
【0027】
図34〜図36も参照すると、カム面102が、本体の半断面13aおよび13bの各々の内面上に形成されている。外輪82のバネアーム85の接合部材86は、外輪82が本体部分64の周りの前進位置から本体部分64の周りの後退位置まで移動される際にカム面102の上を摺動するように配置されている。カム面102は、カム面102の各端部に配置された一段高くなった表面102aおよび陥凹部102bならびに102cを含む。外輪82がハンドル本体13内で前進位置と後退位置との間を直線的に移動する際に、接合部材86がカム面102の一段高くなった表面102aに係合してバネアーム85を内方に押圧し、これによって、内側突出部88が、本体部分64を取り巻く内輪84の環状陥凹部90に入る。内側突出部88が内輪84の環状陥凹部90内に受け入れられる際に、外輪82の直線的な動きが内輪84の直線的な動きに変換される。接合部材86が一段高くなった表面102aを通過する際に、バネアーム85が外方に動き、これにより接合部材86が陥凹部102bまたは102cに入り、内側突出部88が環状陥凹部90を出て、内輪および外輪82ならびに84をそれぞれ離脱させる。
【0028】
ピンまたはロッド104(図16)が、発射用つめのカムスロット48aを貫通し、内輪84を横断して延びている。第2のピンまたはロッド106が、後退用つめのカムスロット58aを貫通し、内輪84を横断して延びている。内輪84が前進位置から後退位置へ移動される際に、ピン104および106が発射用つめのカムスロット48aならびに後退用つめのカムスロット58aの中でそれぞれ移動し、バネ部材80が後退用つめ58を動かしてそれぞれの後退用ラック42に係合させかつ発射用つめ48を動かして発射用ラック40との係合を離脱させることを可能にする(図33g参照)。
【0029】
内輪84が後退位置から前進位置へ移動される際に、ピン104および106がカムスロット48aならびに58aの中でそれぞれ移動し、発射用つめ48を枢動させて発射用ラック40と係合させ、かつバネ部材80が後退用つめ58を枢動させて後退用ラック42との係合を離脱させることを可能にする(図33参照)。
【0030】
再度図15、図16および図33を参照すると、第2のシフトリング組立体68(図16)も、外輪108および内輪110ならびに第1のシフトリング組立体と同一の機能を含む。より具体的には、外輪108は、バレル組立体の本体部分64の周りに摺動自在に配置され、一対の張り出したバネアーム112を含む。各バネアームが、外側接合部材114および内側突出部116を含む。内輪110は、外輪108の内側にバレル組立体の本体部分64を取り巻いて摺動自在に配置され、以下に詳細に説明する方法でバネアーム112の突出部116を受け入れるような寸法を有する環状陥凹部118を含む。内輪110の内面とバレル組立体の本体部分64の外面との間の摩擦接触により、内輪110がバレル組立体の本体部分64上の固定位置に保持される。
【0031】
外輪108は、ハンドル本体13内に摺動自在に配置され、その各側に一対の細長いリブ120を含む。リブ120は、本体の半断面13aおよび13b(図35)の内面上に形成された細長いリブ124(図34)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する細長いスロット122を画定している。スロット122内におけるリブ124の位置決めによって、外輪108の直線的な動きが制限される。互いに正反対の位置に設けられた一対の突起物126が、本体の半断面13aおよび13bの各々内に形成された細長いスロット128(図36)を通って、外輪108の各側から外方に延びている。突起物128は、ハンドル本体13上の、外輪108を前進位置から後退位置までハンドル本体13内で直線的に移動させるために装置10のオペレータによって操作されることになる位置に配置される。
【0032】
図34〜図36も参照すると、カム面130が、本体の半断面13aおよび13bの各々の内面上に形成されている。外輪108のバネアーム112の接合部材114は、外輪82がその後退位置からその前進位置まで移動される際にカム面130の上を摺動するように配置されている。カム面130は、カム面130の各端部に配置された一段高くなった表面130aおよび陥凹部130bならびに130cを含む。外輪108がハンドル本体13内でその前進位置とその後退位置との間を直線的に移動する際に、接合部材114がカム面130の一段高くなった表面130aに係合してバネアーム112を内方に押圧し、これによって、内側突出部116が、内輪110の環状陥凹部118に入る。内側突出部116が内輪110の環状陥凹部118内に受け入れられる際に、外輪108の直線的な動きが内輪110の直線的な動きに変換される。接合部材114が一段高くなった表面130aの上を通過する際に、バネアーム112が外方に動き、これにより接合部材114が陥凹部130bまたは130cに入り、内側突出部116が環状陥凹部118を出て内輪および外輪を離脱させる。
【0033】
ピンまたはロッド132(図16)が、把持用つめのカムスロット52aを貫通し、内輪110を横断して延びる。内輪110がバレル組立体の本体部分64上でその前進位置からその後退位置まで移動される際に、ピン132が、把持用つめ52を発射用ラック40から遠ざかる方向に枢動させるように把持用つめのカムスロット52a内で移動する。内輪110がその後退位置からその前進位置まで移動される際に、付勢部材134が把持用つめの突起52bを発射用ラックの切欠き50内に促すことを可能にする位置まで、ピン132が把持用つめのカムスロット52a内を移動する。把持用つめ52の突起52bが発射用ラックの切欠き50内に位置している際には、トリガ20の作動時に生じる発射用ラック40の前進および後退がごくわずかとなり、本装置が把持具として機能することを可能にする。
【0034】
再度図9〜図16を参照すると、バレル組立体62は、キャップ138でバレル組立体の本体部分64の遠位端周りに回転自在に固定された環状部材136を含むトリガコネクタ70(図16)をも含む。一実施形態では、キャップ138は、一対のピン139aおよび139bでバレル組立体の本体部分64の遠位端に固定されており、バレル組立体の本体部分64遠位端上の環状部材136を、キャップ138とバレル組立体の本体部分64の段部140(図16)の間に保持している。代替的に、別の固定手法、例えばねじ山、接着剤、溶接等を用いてキャップ138をバレル組立体の本体部分64に固定してもよい。環状部材136は、以下に説明する方法でトリガ20に係合するように配置された一対の突起物142を含む。
【0035】
トリガ20は、グリップ部144、係合部146、および枢動部148を含む。枢動部148は、トリガ20の最上端に形成され、ピボット部材150を取り巻いて本体の半断面13aと13bとの間に枢着されるように構成されている(図14)。トリガ20の係合部146は、バレルの本体部分および一対のU字形フック部材154を受け入れるための円筒状部材152を含む。フック部材154は、トリガ20の枢動によってスピンドル26を中心としたバレル組立体62の直線的な動きが生じるように、環状部材136の突起物142を摺動自在に受け入れるような寸法を有する。トリガ20を非圧縮形状へ促すために、トリガ20と固定ハンドル18との間に付勢部材156が配置されている。一実施形態では、付勢部材156は、例えばピンでトリガ20に固定された第1の部分156a、および固定ハンドル18内に形成された溝158内に配置されたフック156cを介して本体の半断面13aと13bとの間で固定ハンドル18に固定された第2の部分156bを含む。2部分付勢部材156の第1の部分156aおよび第2の部分156bはバネ鋼で形成することができ、Tスロットコネクタ160を用いて摺動自在に取り付けられる。代替的に、他の既知の付勢装置または固定手法を用いてもよい。
【0036】
使用に際しては、トリガ20が、固定ハンドル18に向けて図33eに矢印「A」で示す方向へ手動で枢動され、バレル組立体62が、矢印「B」で示す方向へスピンドル26の上を近位方向に移動する。第1のシフトリング組立体66がその前進位置(図33)にある場合、すなわち発射用つめ48が発射用ラック40と係合するような位置にある場合、発射用ラック40が、案内軌道28に沿って近位方向に押圧される。これが生じる際に、発射用ラック40および後退用ラック42と係合しているピニオン36が回転し、案内軌道30に沿って後退用ラックを前進させることになる。第1のシフトリング組立体66がその後退位置(図33g)にある場合、すなわち後退用つめ58が後退用ラック42と係合するような位置にある場合、トリガ20によってバレル組立体62がスピンドル26上を近位方向に移動する際に、後退用ラック42が案内軌道30に沿って近位方向に押圧されることになる。これが生じる際に、ピニオン36が後退用ラック42の動きによって駆動され発射用ラック40を遠位方向に前進させる。把持用つめ52の動作を以下にさらに詳細に論じる。
【0037】
図9、図12および図13を参照すると、回転制御部材22は、熱可塑性材料、例えばポリカーボネートで形成することのできる半断面22aおよび22bを含んでいる。制御部材22の近位端は、ハンドル部分12の遠位端上に形成された環状のリブ164を受け入れるような寸法を有する内側環状チャネル162を画定している。チャネル162とリブ164との間の係合により、回転制御部材22がハンドル部分12に回転自在に固定される。アクチュエータのベース部材166は、回転制御部材22の周りに固定された半球形の外面168部分を有する。アクチュエータのベース部材166は、任意の既知の固定手法、例えば接着剤、溶接、ねじ等を用いて回転制御部材22の中央部分の周りに共に固定された成形半断面166aおよび166bで形成することができる。これも成形半断面24aおよび24bで形成することのできる関節運動アクチュエータ24は、ベース部材166と連係した関節運動アクチュエータ24のほぼ全方向の動きを可能にするために、アクチュエータベース部材166の半球状外面168周辺に支持された半球状内面170を含んでいる。すなわち、関節運動アクチュエータ24は、ベース部材166の半球状外面を中心としてあらゆる方向に枢動することができる。以下に詳細に論じるように、関節運動アクチュエータ24は、SULU16のツール部材の関節運動を生じさせるために、アクチュエータのベース部材166と連係して動くことができる。
【0038】
図9、図17および図18を参照すると、細長い本体部分14は、外管172、内側軸174、複数の関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および前進・発射用リンク(「発射用リンク」)180を含む。内側軸174の近位端174aは、内側軸174をハンドルの本体13に回転自在に固定するために、外方に広がりかつハンドルの本体13内に形成された環状チャネル182内に受け入れられている。内側軸174は、周方向間隔を持たせ半径方向に向けられた一連のスポーク186を有する中央ハブ部材184を含む。細長い本体部分14をSULU16と整合させるのを支援するために、位置合わせ用ロッド187がハブ部材184内に固定されている。隣接するスポーク186およびそれぞれの案内面188が関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および発射用リンク180のうちの各それぞれ1つを受け入れるためのガイドチャネル190を形成するように、半円形の案内面188が、各スポーク186の遠位端に固定されるかまたはそれと一体に形成されている。
【0039】
図17および図18を参照すると、関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および発射用リンク180の各々の遠位端は、湾曲したスロット192を形成する間隔を置いて配置された一対のフィンガ192aならびに192bを含む係合構造を含む。スロット192は、以下にさらに詳細に論じる方法でSULU16のそれぞれの関節運動用リンク、後退用リンクおよび発射用リンクの近位端を受け入れるように構成されておりかつそのような寸法を有する。フィンガ192aおよび192bの各々を貫通して穴または孔194が形成されている。重ね板バネ196がリンク176a〜176d、178、および180の各々の遠位端に固定されており、それに固定されたコネクタまたは連結ピン198を含んでいる。重ね板バネ196は、その非変形形状では、各リンクの上面から外方に延びる。連結ピン198は、重ね板バネ196が各リンクの上面に向かって下向きに変形する際に連結ピン198がフィンガ192aおよび192bの各々内の孔194を通じて挿入されるように重ね板バネ196上に支持されている。孔194は、連結ピン198が入る際の枢動運動に対応するように、わずかに細長いかまたはサイズが大きめとなっている。
【0040】
図40aを参照すると、後退用リンク178の近位端が後退用ラック42の遠位端に固定状態に取り付られ、発射用リンク180の近位端が発射用ラック40の遠位端に固定状態に取り付けられている。中間リンク200は、後退用リンクおよび発射用リンクを後退用ラックならびに発射用ラックに連結するのに用いることができる。しかしながら、後退用リンクおよび発射用リンクを後退用ラックならびに発射用ラックにそれぞれ直接的に連結することができることが想定される。中間リンク200を用いる場合、このリンクは、図40aに示すような、ラックおよびリンクにピンで留めた剛体のリンクであってもよく、任意の既知の固定手法、例えば接着剤、結び目、クランプ等を用いてリンクとラックとの間に固定することのできる非剛体のリンクまたはケーブルであってもよい。
【0041】
例えば関節運動用リンクに関する用語「剛体の」は、本明細書においては、全体的に、リンク全体が意図された目的(ここでは、関節運動アクチュエータを用いてツール組立体を効果的に関節運動させること)に対して動作可能となるのに十分な剛性または強度を有することを意味する。従って、例えば、リンクの末端部分は、使い捨てローディングユニットの近位端において、外科用装置の中央本体部分の遠位端に位置する別の関節運動用リンクの隣接する遠位端に、関節運動用リンクの端部を効果的に動作可能に取り付けるのに十分な剛性を有していなければならない。同様に、関節運動用リンクの反対端を効果的かつ動作可能にケーブルに取り付けるのに十分な剛性をも有していなければならない。こういった意味合いで、ここでは、取り付けるとは、例えば取り付け領域に加えられる力によってケーブルが切断されたりリンクの材料が引き裂かれないような任意の適した構造または方法によることを意味する。
【0042】
図17に示すように、関節運動用リンク176a〜176dの各々の近位端は、非剛体リンク202、例えばケーブル、ロープ、コード、ワイヤ、Kevlarストランド、またはそれらの任意の組み合わせ等で関節運動アクチュエータ24に連結されている。代替的に、剛体リンクを用いて関節運動用リンク176a〜176dの近位端を関節運動アクチュエータ24に連結してもよい。
【0043】
図9〜図14および図17を参照すると、リンク202は、関節運動用リンク176a〜176dの近位端に固定され、内側軸174を通って近位方向に延びている。この実施形態では、リンク202は、リンク202をリンクの近位端近傍の穴に通すことによって関節運動用リンク176a〜176dに連結されている。代替的に、他の取り付け手法を用いてもよい。リンク202の摩損を防止するために、内側軸174内にプラスチック製のスリーブ175(図9)を固定してもよい。複数の半径方向または周方向に間隔を置いて配置された開口部204が、内側軸174の近位部を貫通して形成されている。リンク202は、内側軸174の内部から延び、内側軸174内の開口部204を通り、外管172内に形成された細長いスロット206を通り、回転制御部材22内に形成された穴208を通って関節運動アクチュエータ24に隣接する位置に到達する。リンク202の各々の近位端は、関節運動アクチュエータ24の円周沿いに等間隔に配置された各位置において関節運動アクチュエータ24に固定される(図10)。リンク202は、結束、接着剤、ピン等を含む任意の既知の固定手法を用いて関節運動アクチュエータ24に固定することができる。従って、関節運動アクチュエータ24が術者によって操作される、例えば枢動または旋回されると、この動きがリンク202を介して内側軸174のガイドチャネル190内の関節運動用リンク176a〜176dの直線的な動きに変換される。
【0044】
再度図17および図18を参照すると、関節運動用リンク176a〜176dの各々、後退用リンク178および発射用リンク180が、それらの上面に形成された少なくとも1つの凹面212を含んでいる。凹面212は、固定部材214を受け入れるように構成され、かつそのような寸法を有する。1つの固定部材214を、一対の隣接するリンク内に形成された凹面212に受け入れられるように配置することができる。固定部材214をボール状の部材として図示しているが、固定部材214は、以下に論じる機能を実行することのできる別の形状をとることもできると想定している。各固定部材は、固定部材214が隣接する凹面212内に配置されたときに隣接するリンクが互いに対しかつ内側軸174に対して相対的に軸方向に動くのを防止するように、隣接するリンク176〜180の協同の凹面212内に設置される。
【0045】
図9を参照すると、外管172は、内側軸174を取り囲んで摺動自在に配置されている。穴216が、各凹面212に隣接して内側軸174の各案内面188に形成されている。穴216は、固定部材214が部分的に穴216を通って延びるように、リンク176a〜180の凹面212と位置合わせされている。外管172は、環状に配列されたボール逃がし穴218aおよび近位の環状に配列された一連のボール逃がし穴218bをも含む。近位の一連のボール逃がし穴218bは、固定部材214と整合するように摺動可能である。以下に詳細に論じるように、遠位の一連のボール逃がし穴218aは、SULU16内に配置された固定部材と整合するように移動可能である。外管172が内側軸174の周りのその後退位置にあるときは、外管172の内壁が固定部材214に係合して固定部材214を押圧し、内側軸174の穴216を通してリンク176〜180の凹面212に配置し、内側軸174および互いに対して相対的に軸方向にリンク176〜180を固定する。外管が内側軸の周りのその前進位置に移動されたときは、ボール逃がし穴218bが固定部材214と整合し、固定部材214が凹面212から移動することを可能にする。従って、発射または関節運動させるために本装置を作動させると、1つのリンクまたはリンク176〜180の動きによって固定部材214が凹面212の外に促されて一部分がボール逃がし穴218bに入り、内側軸174に対して相対的なリンク176〜180の動きを可能にする。
【0046】
外管172はまた、外管172がその後退位置からその前進位置へ移動される際に、各リンク176a〜180上の重ね板バネ196を変形させる働きもする。これは、外管172の遠位端が重ね板バネ196上を前進して重ね板バネ196が各リンク176a〜180の上面に向かうことを強制する際に生じる(図45参照)。以下にさらに詳細に論じるように、重ね板バネ196が外管172によって内方に押圧されると、連結ピン198がフィンガ192aおよび192bの穴194を通って移動し、SULU16を細長い本体部分14の遠位端に固定する。
【0047】
図9および図56〜図58を参照すると、一対のスナップ式ボタン220が、回転制御部材22内に形成されたスロット222(図9)を通って延びるように配置されている。スナップ式ボタン220は各々、L字形の本体220aを含み、該本体の一端に形成された突起220bおよび本体220aの他端上に設けられたフィンガ係合部材220cを有する。各係合部材220cには、回転制御部材22に隣接する位置から、術者がアクセスすることができる(図1)。各L字形本体220aは、突出部220bが外管172側壁に係合部材220cと向かい合って係合するように、他方のL字形本体220aに隣接して回転制御部材22のそれぞれのスロット222を通り、外管172上面を越えて延びる。スナップ式ボタン220は、弾性材料、例えばプラスチック、バネ鋼等で形成されている。外管172は、互いに正反対の位置に、一対の切欠き224を含む。外管172がその後退位置から前進位置へ移動されると、スナップ式ボタン220の突起222bが切欠き224に嵌まり込み、外管172をその前進位置に固定する。スナップ式ボタン220は、係合部材222cを押圧し続けて突起222bを外方に撓め、突起222bを切欠き224から除去することによって押圧結合させることができ、それによって外管がその前進位置から開放される。
【0048】
図5〜図8および図18a〜図24を参照すると、SULU16は、近位本体部分230、遠位ツール組立体232および中間ピボット部材233を含む。遠位ツール組立体232は、アンビル組立体234およびカートリッジ組立体236を含む。アンビル組立体234は、アンビル本体部分238およびアンビルプレート部分240を含む(図19)。当業界で知られているように、アンビルプレート部分240は、その裏面に沿って複数のステープル変形ポケット(図示せず)を含む。アンビルプレート部分240は、任意の既知の固定手法、例えば溶接、圧接等を用いてアンビル本体部分238に固定される。組み立てた状態では、アンビル本体部分238およびアンビルプレート部分240は、それらの間にギャップまたはキャビティ241を形成する(図19)。アンビル本体部分238の近位端は、一対のヒンジ部材242aおよび242bを含む。アンビルプレート部分240の近位部は、カム面244を画定している。細長いスロット246が、アンビルプレート部分240の近位端からアンビルプレート部分240の遠位端に向けて延びている。
【0049】
カートリッジ組立体236は、ステープルカートリッジ254を受け入れるような寸法を有する細長い支持チャネル252を形成するキャリヤ部分250を含む。カートリッジ254およびキャリヤ部分250内の対応するスロットならびに溝は、カートリッジ254を支持チャネル252内に保持する働きをする。ステープルカートリッジ254は、複数の留め具、例えば当業界で知られているようなステープル、およびプッシャ(図示せず)を受け入れるための複数のステープルスロットまたはステープルポケット256を含む。作動用スレッド260の直立したカムウエッジ258を収容するために、複数の間隔を置いて配置された内部長手方向スロット(図示せず)が、ステープルカートリッジ254を通って延びている。中央の長手方向スロット262は、カートリッジ254を通るナイフバー264の直線的な動きを促進するために、ステープルカートリッジ254の全長に沿って延びている。ナイフバー264は、ナイフ刃266およびアンビル組立体234のキャビティ241を通って移動するように配置された横カム部材268を含む。ナイフバー264は、作動用スレッド260に近接しかつそれと接触して配置されている。一対の穴270および272が、ナイフバー264に設けれている。穴270は、発射用ケーブル274(図24)のナイフバー264への係合または取り付けを容易にする。穴272は、後退用ケーブル276(図24)のナイフバー264への係合または取り付けを容易にする。
【0050】
キャリヤ部分250は、その近位端に形成された一対のヒンジ部材278aおよび278bを有する。各ヒンジ部材278aおよび278bの近位面は、半円形とすることができ、カムは、一連のセレーションまたは歯280を含む。歯280の機能を以下にさらに詳細に論じる。アンビル本体部分238に対して相対的に離間した位置とそれに対して相対的に接近した位置との間でアンビル組立体234がカートリッジ組立体236に対して相対的に枢動するように、ピボットピン282(図51)が、ヒンジ部材242aと242bとの間およびヒンジ部材278aと278bとの間に延びている。
【0051】
ガイドキャップ284(図21)または他の適した構造体を、キャリヤ部分250遠位端に備えるかまたは固定することができる。ガイドキャップ284または該構造体は、例えばケーブル駆動システムのケーブルを受け入れて誘導するための一対の軌道286aおよび286bならびに中央貫通孔288を画定し、以下にさらに詳細に論じるアンビル組立体およびカートリッジ組立体の接近ならびにステープルの打出を生じさせることができる。ガイドキャップ284は、任意の既知の固定手法、例えばスナップ式タブ、ねじ、接着剤、溶接等を用いてキャリヤ部分250に固定することができる。チャネルカバー290を、キャリヤ部分250の各側面に固定することができる。各チャネルカバー290は、キャリヤ部分250に形成されたスロット294内に固定的に受け入れられるタブ292を用いてキャリヤ部分250の側壁に固定される。チャネルカバー290は、キャリヤ部分250の側壁に沿って、発射用ケーブル274用のケーブルチャネル、例えば291aおよび291bを形成する。一対の切欠き296aおよび296bがキャリヤ部分250に形成され、チャネル291aおよび291bからカートリッジ支持チャネル252内への発射用ケーブル274の通過を促進する。
【0052】
図24に、本明細書に開示する本装置およびSULUと共に用いるための適したケーブルの配列または経路を示す。より詳細には、発射用ケーブル274は、ナイフバー264内の穴270を通って延びることのできる中央部分を含むことができる。ケーブル274の両端は、ナイフバー264から作動用スレッド260内のまたはそれに関連する適したチャネルを通り、カートリッジ組立体236のキャリヤ部分250の中央部に沿って遠位に延びる。発射用ケーブル274の第1の端部は、ガイドキャップ284の貫通孔288からキャリヤ部分250を出て軌道286aを回って方向変更される。発射用ケーブル274の第2の端部は、ガイドキャップ284の貫通孔288からキャリヤ部分250を出て案内軌道286b回って方向変更される。以下に詳細に説明するように、発射用ケーブル274の第1の端部および第2の端部は、それぞれケーブルチャネル291aならびに291bを通って近位方向に延び、それぞれ切欠き296aおよび296bを通ってキャリヤ部分250の近位部に再び入り、各々キャリヤ部分250の対向する側壁沿いにSULUの発射用リンク310に向かって近位方向に進む。発射用ケーブル274の配列は、発射用ケーブル274の第1の端部および第2の端部が発射用ラック40に係合した発射用つめ48を有する作動用トリガ20によって近位方向に引っ張られるとナイフバー264が遠位方向に引っ張られてアンビル組立体234とカートリッジ組立体236を接近させ、それに続きスレッド260がステープルカートリッジ254からステープルを打ち出すようになされている。
【0053】
後退用ケーブル276は、ナイフバー264の穴272に動作可能に係合し、ここではそれを通って延びる中央部分を含む。以下に詳細に説明するように、後退用ケーブル276のそれぞれの第1の部分および第2の部分は、SULUの後退用リンク308に向かってナイフバー264から近位方向に延びる(図24)。
【0054】
図8および図18a〜図18eを参照すると、SULUの近位本体部分230(図8)は、第1の固定外管300、第2の可動外管302、内側軸304、複数の関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310を含む。内側軸304は、構造が内側軸174に類似しており、中央ハブ部材312(図18b)、複数の周方向に間隔を置いて配置されたスポーク314および外側の円筒状案内面316を含む。隣接するスポーク314と案内面316が、ガイドチャネル318を形成する。各ガイドチャネル318は、関節運動用リンク、後退用リンクおよび発射用リンクのうちの1つを摺動自在に受け入れるような寸法を有する。
【0055】
関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310の各々が、孔322を有するフィンガ320(図39および図40)を有する第1の端部を含む。各フィンガ320は、孔322がそれぞれの本体部分のリンクの孔194と実質的に整合するように、細長い中央本体部分14のリンク176〜180のうちの各1つのフィンガ192aと192bとの間のスロット192に摺動自在に受け入れられるような寸法を有する。以下にさらに詳細に論じるように、関節運動用リンク306a〜306dの各々の第2の端部は、関節運動用ケーブル401aおよび401bのうちの1つの1端に動作可能に係合し、本装置の関節運動を生じさせるように適合されている。後退用リンク308および発射用リンク310の近位端は、後退用ケーブル276ならびに発射用ケーブル274の近位端にそれぞれ係合するように適合されている。一実施形態では、関節運動用ケーブル401aおよび401b、後退用ケーブル276ならびに発射用ケーブル274は、それぞれのリンクの遠位端にピンで固定された近位アイレット403(図18a)を含む。代替的に、他の取り付け手法を用いてもよい。
【0056】
固定外管300は、ピン324で内側軸304の遠位端部に固定することができる。ピン324は、外管300および内側軸304を通って延びて、軸方向に外管300を内側軸304に固定する。外管302は、内側軸304の近位端の周りに摺動自在に配置することができる。内側軸304は、それを通って延びる細長い長手方向のスロット326を含む。外管302に取り付けられたピン328は、外管326が前進位置と後退位置との間で内側軸304に対して相対的に動くことができるように、スロット326内に摺動自在に配置することができる。付勢部材またはバネ330は、ピン324とピン328との間に圧縮状態で配置され、外管302をその後退位置に促す(図18dおよび図18e)。ピン324および/または328へのバネ330の取り付けを促進するために、ピン324ならびにピン328の一方もしくは両方にバネマウント332を設けてもよい。
【0057】
図18aを参照すると、関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310は各々、それらの上面に形成された、固定部材338を受け入れるための少なくとも1つの凹面334を含む。1つの固定部材338を、2つの隣接するリンクの凹面内に受け入れられるように配置することができる。内側軸304は、各凹面に隣接して配置された開口部336を含む。各固定部材338は、一部分が開口部336を通って延び、可動外管302がその前進位置にないときに可動外管302の内面と係合可能である。固定部材338は球状またはボール状に図示されているが、他の固定部材形状も使用に適していると想定している。外管302の内面と固定部材338との間の係合により、各固定部材338が部分的に内側軸304の開口部336を通って内方に凹面334内に入ることを余儀なくされ、関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310を軸方向に内側軸304に固定する。以下にさらに詳細に論じるように、SULU16が装置10の細長い本体部分14に取り付けられると、可動外管302が、細長い本体14の外管172の遠位端との係合によって、内側軸304上のその前進位置へ移動する(図18e)。その前進位置では、可動外管302は、固定部材338の遠位に位置し、固定部材338は、細長い本体部分14の外管172に形成された遠位のボール逃がし用開口部218a内に受け入れられる(図18e)。固定部材338が開口部218a内に位置しているときは、リンク306〜310は、内側軸304に対して相対的に軸方向に移動可能である。
【0058】
図18a〜図18eおよび図51を参照すると、ここでは中空の取り付け部材350として示す取り付け部材は、貫通孔351を形成することができ、圧入によって、または他の既知の取り付け手法、例えば圧接、接着剤、ピン等を用いて内側軸304の遠位端内に固定することができる。取り付け部材350は、取り付け部材350をSULU16の近位本体部分230の遠位端に回転自在に固定するための、内側軸304および外管300に形成されたスロット353ならびに353a内にそれぞれ受け入れられた、互いに正反対の位置に設けられた一対のリブ352を含む。取り付け部材350は、一対のヒンジ部材354aおよび354bを含む。以下に詳細に説明するように、各ヒンジ部材354aおよび354bは、ピボット部材358、および半円形の一組の歯360を受け入れるための孔356を含む。
【0059】
図51に示すように、中間ピボット部材233は、第1の水平枢動軸を画定する第1の組のヒンジ部材362aおよび362bならびに第1の枢動軸から約90度ずれた第2の垂直枢動軸を画定する第2の組のヒンジ部材364aおよび364bを含む。ヒンジ部材362aおよび362bは各々、ピボットピン282を受け入れるための細長いスロット363を含む。ヒンジ部材364aおよび364bは各々、ピボットピン358を受け入れるための細長いスロット365を含む。回転滑車366および368は、ヒンジ部材362aならびに362bに固定されている。回転滑車370および372は、ヒンジ部材364aならびに364bに固定されている。滑車366〜372の各々が、関節運動用ケーブル401aおよび401b(図18a)のうちの1本を受け入れるためのチャネル374を形成している。ピボットピン282は、アンビル組立体234のヒンジ部材242aと242bとの間、カートリッジ組立体236のヒンジ部材278aと278bとの間、およびピボット部材233のヒンジ部材362aと362bの間を延びており、これにより、アンビル組立体234がカートリッジ組立体236に対して相対的に枢動自在となり、かつツール組立体232が第1の水平軸を中心として中間ピボット部材233に対して相対的に回転自在となる。ヒンジ部材362aおよび362bのスロット363が細長いため、中間ピボット部材233の位置は、ツール組立体232に対して相対的に移動可能である。ピボットピン358は、中空の取り付け部材350のピボット部材354aと354bとの間、および中間ピボット部材233のピボット部材364aと364bとの間に延びており、後者がツール組立体232を支持している。従って、ツール組立体232は、第2の垂直軸「Z」を中心として細長い本体部分14に対して相対的に枢動自在となる。ヒンジ部材364aおよび364bのスロット365が細長いため、中間ピボット部材233の位置は、SULU16の近位本体部分230の取り付け部材350に対して相対的に移動可能である。
【0060】
中間ピボット部材233は、その上面上および底面上に配置された一対の第1の係合部材380を含む。第1の係合部材380は、ピボットピン358が枢動用スロット363内の最前方まで引かれたときにヒンジ部材354aおよび354bの歯360に係合するような配置ならびに構成となっている。係合部材380と歯360との間の係合により、SULU16の近位本体部分230に対する中間ピボット部材233の角度位置が固定される。一対の第2の係合部材382が、中間ピボット部材233の側壁上に配置されている。第2の係合部材382は、ピボットピン282が枢動用スロット363内の最近位まで引かれたときにキャリヤ部分250のヒンジ部材278aおよび278b上に形成された歯280に係合するような配置ならびに構成となっている。第2の係合部材382が歯280に係合すると、y軸に沿った中間ピボット部材233に対して相対的なツール組立体232の枢動運動が防止される。すなわち、中間ピボット部材233に対するツール組立体232の角度位置が固定される。
【0061】
図51、図63および図64を参照すると、可撓性の付勢部材またはバネが、ピボットピン282とピボットピン358との間に配置されている。圧縮バネとすることのできる付勢部材390は、圧縮状態にあり、スロット363内でピボットピン282をその最前方へ促しかつスロット365内でピボットピン358をその最近位へ促すように配置されている。これらの付勢された位置では、係合部材380がSULU近位部分230の歯360から離脱し、係合部材382がカートリッジキャリヤ部分250の歯280から離脱しており、第1の水平軸および第2の垂直軸を中心とした種々の構成要素の関節運動を促進する。
【0062】
図62〜図64を参照すると、第1の係合部材380および第2の係合部材382は、関節運動アクチュエータ24を近位方向に引き続けて関節運動用ケーブル401aならびに401b(図55)の張力を増大させることにより、ヒンジ部材354aおよび354bの歯360ならびにヒンジ部材278aおよび278bの歯280とそれぞれ係合させることができる。ケーブル401aおよび401bの張力がバネ390の圧縮力に勝ったときにピボットピン282がスロット363内で近位方向に移動し、歯280を動かして係合部材382と接触させる。同時に、ピボットピン358がスロット365内で遠位方向に移動し、係合部材380を動かして歯360と係合させる。上に論じたように、これが生じると、ツール組立体232が中間ピボット部材233に対して固定された角度位置で固定され、中間ピボット部材233が近位本体部分230に対して固定された角度位置で固定される。
【0063】
図51〜図55を参照すると、関節運動用ケーブル401aは、関節運動用リンク306aに取り付けられた第1の端部410aを有する(図18a)。関節運動用ケーブル401aは、取り付け部材350内に形成されたチャネル412に沿いかつそれを通って関節運動用リンク306aから延び、滑車370の周りを斜めに周ってチャネル414(図54)を通り、中間ピボット部材233に入る。関節運動用ケーブル401aは、は、チャネル414を出て滑車368の片側上を通過し、下方に延びてキャリヤ部分250近位端底部の片側内の穴416を通り、キャリヤ250近位端の反対側上の穴418を通って上方に戻る。関節運動用ケーブル401aはその後、滑車366の片側上を通過し、中間ピボット部材233を貫通して形成された第2のチャネル420を通って延び、滑車370の反対側の周りを通過する。関節運動用ケーブル401aの第2の端部410b(図55)は、取り付け部材350内に形成された第2のチャネル422(図55)を通りかつそれに沿って延び、関節運動用リンク306bに取り付けられている。
【0064】
関節運動用ケーブル401bは、関節運動用リンク306cに取り付けられた第1の端部424aを有する。関節運動用ケーブル401bは、取り付け部材350内に形成されたチャネル426(図55)に沿ってかつそれを通って延び、滑車372の片側を斜めに周って中間ピボット部材233内に形成されたチャネル428(図50)を通る。関節運動用ケーブル401bは、チャネル428を出て滑車368の片側を回って上方へと通過し、カートリッジキャリヤ250近位端上部の片側上に形成されたブラケット430内の開口部を通る。関節運動用ケーブル401bは、ブラケット430から延び、カートリッジキャリヤ250近位端の反対側上の第2のブラケット432の開口部を通り、滑車366の片側を周って下方に延び中間ピボット部材233内に形成されたチャネル434を通る。関節運動用ケーブル401bは、チャネル434を出て滑車372の反対側の周りを通過し、取り付け部材350内に形成されたチャネル436を通りかつそれに沿って通過する。関節運動用ケーブル401bの第2の端部424bは、チャネル436を出て関節運動用リンク306dに取り付けられている。
【0065】
使用に際しては、関節運動用ケーブル401aの端部410aおよび410bが共に後方に引かれると、ツール組立体232は、第1の水平枢動軸を中心として、すなわちピボットピン282を中心として上方に枢動する。関節運動用ケーブル401bの端部424aおよび424bが共に後方に引かれると、ツール組立体232は、ピボットピン282を中心として下方に枢動する。関節運動用ケーブル401aの端部410aおよび関節運動用ケーブル401bの端部424aが共に後方に引かれると、ツール組立体232および中間ピボット部材233が、第2の垂直軸、すなわちピボットピン358を中心として、図55に示すように逆時計回り方向に枢動することになる。端部410bおよび端部424bが後方に引かれると、反対の現象が生じることになる。関節運動用ケーブルのうちの1本またはそれ以上を近位方向に引っ張ることにより、ツール組立体232の垂直枢動運動および水平枢動運動の任意の組み合わせを達成することができる。
【0066】
関節運動用ケーブル401aおよび401bの各々は、SULU16の関節運動用リンク306a〜306d、中央部分14の関節運動用リンク176a〜176d、および非剛体リンク202を介して関節運動アクチュエータ24に連結されている。関節運動アクチュエータ24を操作することにより、上に説明した運動の任意の組み合わせを実行することができ、それによって、ツール組立体232を、水平方向と垂直方向との間の方向を含むあらゆる方向に、少なくとも約90度関節運動させることができる。例えば図66〜図74を参照されたい。
【0067】
外科用ステープリング装置10を使用する前に、SULU16が細長い本体部分14の遠位端に固定される。図39、図40および図43〜図48を参照すると、SULU16を細長い本体部分14に連結するために、SULUの関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310のフィンガ320が、細長い本体の関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および発射用リンク180の遠位端に形成されたスロット192にそれぞれ配置される(図39)。次に、細長い本体の外管172が、内側軸174の上を遠位方向に動かされる。外管172が遠位方向に移動する際に、外管172の遠位端が重ね板バネ196に係合し、連結ピン198を下方に枢動させて細長い本体のリンク176a〜180のフィンガ192aおよび192b内の孔194に通し、かつSULUのリンク306a〜310のフィンガ320の孔322を貫通させる。外管172が遠位方向に進められSULUの近位本体部分230の可動外管302と係合される。外管172がさらに前進するにつれて、可動外管302によって近位本体部分230の固定部材338が暴露され外管172の遠位ボール逃がし穴218a(図18e)内に受け入れられるまで、可動外管302は、バネ330の付勢に抗して内側軸304の上を遠位方向に押圧される。この時点で、細長い本体部分14の固定部材214も外管172の近位ボール逃がし穴218b内に受け入れられ、スナップ嵌合された突出部220が、外管172の近位端内の切欠き224に係合する。スナップ嵌合された突出部220の切欠き224内への係合によって、外管172がその前進位置(図56)に固定される。遠位ボール逃がし穴218a内における固定部材338の位置決めおよび近位ボール逃がし穴218b内における固定部材214の位置決めによって、DLU16の内側軸304および174ならびに細長い本体部分14に対するSULUおよび中央本体の関節運動用リンク、後退用リンクならびに発射用リンクの固定が解除され、関節運動およびステープリング装置の発射が促進される。
【0068】
上に簡単に論じたように、外科用ステープリング装置10は、把持具として動作することができる。図33を参照すると、装置10を把持具として用いるために、装置10は締め付けのない位置に維持または移動され、外輪108をその前進位置へ摺動させることにより、第2のシフトリング組立体68がその前進位置へ移動される。上に論じたように、これが生じる際に、内輪110が前進してカムピン132をカムスロット52b内に移動させ、バネ134が把持具の突出部52aを発射用ラックの切欠き50内に移動させることを可能にする。外輪82および108は互いに隣接しているので、外輪108の前進は、第1のシフトリング組立体66の外輪82の前進をも生じさせる。外輪82がその前進位置に移動しているときは、発射用つめ48が発射用ラック40に係合している。従って、トリガ20が作動または圧縮されると、バレル組立体62がスピンドル26を中心として近位方向に移動し、発射用ラック40を近位方向に動かす。発射用ラック40が近位方向に移動すると、発射用リンク180、SULUの発射用リンク310および発射用ケーブル274が近位方向に引かれる。関節運動用ケーブル274が近位方向に引かれると、ナイフバー264が遠位方向に動かされ、これによりカムバー268がアンビルプレート240のカム面244に係合してピボットピン282を中心としてアンビル組立体をカートリッジ組立体236に向けて枢動させ、ツール組立体232のジョー内の組織に対する把持機能を提供する。把持用つめ52は発射用ラック40の切欠き50内に係合しているので、トリガ20が術者によって解放され、バネ156によってその非圧縮状態に戻されると、発射用ラック40は、その前進位置に戻ることになる。これが生じる際に、ピニオン36が同時に後退用ラックをその後退位置に駆動し、駆動部材264をその後退位置に戻し、アンビル組立体およびカートリッジ組立体またはジョー234ならびに236をそれぞれそれらの開放形状へと移動させる。この工程を反復してステープリング装置10を把持具として用いることができる。
【0069】
装置10からステープルを打ち出すことが所望される場合、シフトリング組立体68の外輪108をその後退位置に移動させ、シフトリング組立体66の外輪82を前進位置に移動させて発射用つめ48を発射用ラック40と係合させることにより、把持用つめ52が発射用ラックの切欠き50から外される。その後、作動ストロークを経て可動トリガ20を固定ハンドル18に向けて圧縮し、発射用ラック40をガイドチャネル28内で近位方向に移動させることができる。上に論じたように、発射用ラック40の近位方向の動きによって、発射用リンク180、発射用リンク310および発射用ケーブル274が近位方向に移動し、駆動部材264をツール組立体32内で遠位方向に動かす。可動トリガ20の各作動ストロークによって駆動部材264の所定の、例えば15mmの直線的な動きが生じることに留意されたい。従って、外科用装置10は、複数のサイズ、例えば15mm、30mm、45mm、60mm等のSULUを発射するのに用いることができる。可動トリガの最初の作動ストロークによって、アンビル組立体234とカートリッジ組立体236の接近が生じる。その後の各作動ストロークによって、駆動部材264が、ツール組立体32を通って約15mm前進する。従って、45mmのSULUを有するステープラを発射するのには、4作動ストロークまたはNがSULUの長さである(N/15+1)作動ストロークを経て可動トリガを動かさなければならないであろう。
【0070】
ツール組立体32内の駆動部材264を後退させてカートリッジ組立体およびアンビル組立体をそれらの離間した位置に移動させるためには、第1のシフトリング組立体が後退位置に移動され、後退用つめ58が動かされて後退用ラック42と係合される。その後、ツール組立体32を経由して駆動部材264を戻すのに十分な回数の作動ストロークを経て、可動ハンドル20が移動される。
【0071】
本明細書に開示した実施形態に種々の変更を加えることができるのが理解されよう。例えば、開示した外科用ステープリング装置は、外科用ステープリング装置ではないSULU、例えば把持具、クリップアプライヤ、解剖器具、電気外科用封鎖装置等と併せて用いることができることが想定される。従って、用語「発射用リンク」は、ツール組立体の作動を生じさせるためのあらゆるリンクを含むことができる。さらに、SULUは、ステープラ以外のツール組立体または留め具、例えば把持具、封鎖装置(電気外科用および非電気外科用)等を射出する装置をも含むことができる。またさらに、本ステープリング装置は除去可能なSULUを有するように開示されているが、ツール組立体および中間ピボット部材は、外科用ステープリング装置の中央本体部分に非除去可能に固定されてもよい。従って、上述の説明は、限定するものと見なすべきではなく、単に好ましい実施形態の例示に過ぎないと見なすべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲および精神内で他の変更形態を想定するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、今回開示する外科用ステープリング装置の遠位端から見た側面斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す外科用ステープリング装置の近位端から見た側面斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す外科用ステープリング装置の側面図である。
【図4】図4は、図3に示す外科用ステープリング装置の上面図である。
【図5】図5は、ツール組立体が非関節運動状態にある、図4に示す外科用ステープリング装置のSULUの近位本体部分の遠位端およびツール組立体から見た側面斜視図である。
【図6】図6は、ツール組立体が第1の軸を中心として関節運動した、図5に示すSULUの遠位端から見た側面斜視図である。
【図7】図7は、ツール組立体が第1の軸に直角な第2の軸を中心として関節運動した、図6に示すSULUの遠位端から見た側面斜視図である。
【図8】図8は、ハンドル部分の半断面、回転制御部材および関節運動アクチュエータを除去した、図8に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分の中央部分からSULUを分離した、図4に示す外科用ステープリング装置の遠位端から見た側面斜視図である。
【図9】図9は、部品を分離しかつSULUを示していない、図8に示す外科用ステープリング装置の遠位端から見た側面斜視図である。
【図10】図10は、図8に示す外科用ステープリング装置の部品を分離した、中央本体部分の近位端、関節運動アクチュエータおよびアクチュエータのベース部材の片側断面ならびに回転制御部材の片側断面の側面斜視図である。
【図11】図11は、ハンドル部分の片側断面、関節運動アクチュエータおよび回転制御部材を除去した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の近位端ならびに中央本体部分の近位部から見た側面斜視図である。
【図12】図12は、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の最遠位部、回転制御部材、関節運動アクチュエータおよび中央本体部分の近位部から見た側面斜視図である。
【図13】図13は、ハンドル部分の片側断面および回転制御部材の片側断面ならびに関節運動アクチュエータを除去した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の遠位端および中央本体部分の近位部から見た側面斜視図である。
【図14】図14は、ハンドル部分の片側断面、回転制御部材および関節運動アクチュエータを除去した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分ならびに中央本体部分の近位部の側面図である。
【図15】図15は、図9に示す外科用ステープリング装置のスピンドルの遠位端およびバレル組立体から見た側面斜視図である。
【図16】図16は、部品を分離した、図15に示すスピンドルの遠位端およびバレル組立体から見た側面斜視図である。
【図17】図17は、図8に示す外科用ステープリングの中央本体部分の内部構成要素の部品を分離した側面斜視図である。
【図18】図18は、図17に示す指定詳細領域の拡大図である。図18aは、SULUの近位本体部分を部品を分離して示す、図8に示す外科用ステープリング装置のSULUの側面斜視図である。図18bは、図18aの切断線18b−18bに沿って取った断面図である。図18cは、図18aの切断線18c−18cに沿って取った断面図である。図18dは、図18aの切断線18d−18dに沿って取った断面図である。図18eは、外科用ステープリング装置の中央本体部分へのSULU取り付け時の、図18に示すSULUの近位本体部分の断面図である。
【図19】図19は、雑然としたケーブルを示していない、図18aに示すSULUのツール組立体の部品を分離して示す側面斜視図である。
【図20】図20は、図19に示すSULUのナイフバーの拡大側面斜視図である。
【図21】図21は、図19に示すSULUのガイドキャップの遠位端から見た拡大側面斜視図である。
【図22】図22は、組み立てた状態の、図19に示すSULUのカートリッジ組立体の上方から見た拡大側面斜視図である。
【図23】図23は、カートリッジおよびノーズキャップを除去した、図22に示すカートリッジ組立体の遠位端の一部の拡大側面斜視図である。
【図24】図24は、部品を分離しかつ発射用ケーブルおよび後退用ケーブルを概略的に示す、図22に示すカートリッジ組立体の一面から見た上面斜視図である。
【図25】図25は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図26】図26は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図27】図27は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図28】図28は、図15に示すバレル組立体のバレル組立体本体部分の遠位端から見た拡大側面斜視図である。
【図29】図29は、図15に示すバレル組立体およびスピンドルの上面図である。
【図30】図30は、図29に示すバレル組立体およびスピンドルの側面図である。
【図31】図31は、図30の切断線31−31に沿って取った断面図である。
【図32】図32は、図29の切断線32−32に沿って取った断面図である。
【図33】図33は、図32に示す指定詳細領域の拡大図である。図33aは、第1のシフトリング組立体および第2のシフトリング組立体がそれらの最遠位置にあり発射用つめが発射用ラックと係合している、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の一部の拡大水平断面図である。図33bは、図33aに示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の片側の部分部分を切断しかつ第2のシフトリング組立体をその最近位置に向けて移動している状態で示す水平断面図である。図33cは、第2のシフトリング組立体がその最近位置に移動した、図33aに示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の水平断面図である。図33dは、第2のシフトリング組立体がその最近位置にあり把持用つめが発射用ラックから離脱している、図30に示すバレル組立体およびスピンドルの断面図である。図33eは、第2のシフトリング組立体がその最近位置に移動した、図14に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の一部の側面図である。図33fは、第1のシフトリング組立体および第2のシフトリング組立体がそれらの最近位置に移動した、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の水平断面図である。図33gは、第1のシフトリング組立体および第2のシフトリング組立体がそれらの最近位置にある、図30に示すバレル組立体ならびにスピンドルの垂直断面図である。
【図34】図34は、図33eに示すハンドル部分のハンドル部分片側断面の内部本体の側面図である。図34aは、図34の切断線34a−34aに沿って取った拡大部分切欠断面図である。
【図35】図35は、図34に示すハンドル部分の一部の拡大側面斜視図である。
【図36】図36は、図35に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図37】図37は、中央本体部分へのSULU取り付け前の、図8に示す外科用ステープリング装置のSULUの近位部分の遠位端および中央本体部分の遠位部から見た斜視図である。
【図38】図38は、図37に示すSULUの近位部分の近位端および中央本体部分の遠位部から見た斜視図である。
【図39】図39は、取り付け前の中央本体部分の関節運動用リンクの遠位端およびSULUの関節運動用リンクから見た斜視図である。
【図40】図40は、図39に示す関節運動用リンクの側面図である。図40aは、中間リンクによって相互連結された中央本体部分の発射用/後退用リンクおよびSULUの発射用/後退用リンクの断面図である。
【図41】図41は、外管を除去した、図8に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分の遠位端の斜視図である。
【図42】図42は、ハブ部材を除去した、図41に示す中央本体部分の遠位端から見た斜視図である。
【図43】図43は、本装置へのSULUの取り付け前の、図1に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図44】図44は、図2に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図45】図45は、中央本体部分へのSULU取り付け時の、SULU近位部分の遠位端および図8に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分の遠位部から見た側面斜視図である。
【図46】図46は、相互への取り付け時の、SULU関節運動用リンクおよび中央本体部分関節運動用リンクの側面図である。
【図47】図47は、相互への完全取り付け直前の、本装置のSULU近位端および図45に示す本装置の中央本体部分遠位端の側面斜視図である。
【図48】図48は、SULUが中央本体部分に完全に取り付けられた、本装置のSULU近位端および本装置の中央本体部分遠位端の側面斜視図である。
【図49】図49は、図1に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図50】図50は、図2に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図51】図51は、部品を分離した、図8に示す外科用ステープリング装置のカートリッジキャリヤ近位端の遠位端、中間ピボット組立体および取り付け部材から見た斜視図である。
【図52】図52は、関節運動用ケーブルを取り付けた、図51に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の底面斜視図である。
【図53】図53は、一対の回転滑車および関節運動用ケーブルを搭載した、図52に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の上面斜視図である。
【図54】図54は、中間ピボットおよび第2の一対の回転滑車を取り付けた、図53に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の上面斜視図である。
【図55】図55は、取り付け部材を中間ピボットに固定した、図54に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の上面斜視図である。
【図56】図56は、回転制御部材の片側断面を除去した、本外科用ステープリング装置のハンドル部分遠位端および中央本体部分近位端の拡大側面斜視図である。
【図57】図57は、図56に示す外科用ステープリング装置のスナップ式ボタンの上面から見た側面斜視図である。
【図58】図58は、図57に示すスナップ式ボタンの上面から見た第2の側面斜視図である。
【図59】図59は、本外科用ステープリング装置の関節運動前の、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分および中央本体部分の側面切欠図である。
【図60】図60は、図59に示す外科用ステープリング装置のキャリヤ部分、中間ピボット組立体および取り付け部材の側面断面図である。
【図61】図61は、図60に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の上面断面図である。
【図62】図62は、関節運動アクチュエータが近位方向に移動した、図59に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分および中央本体部分の側面切欠図である。
【図63】図63は、図62に示す外科用ステープリング装置のキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の側面断面図である。
【図64】図64は、図62に示す外科用ステープリング装置のSULUのキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の上面断面図である。
【図65】図65は、関節運動用ケーブルを部分的に想像線で示しかつSULUが非関節運動状態にある、図8に示す外科用ステープリング装置のキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の側面切欠図である。
【図66】図66は、SULUのツール組立体を第1の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第1の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の側面図である。
【図67】図67は、関節運動アクチュエータが図66に示す位置に移動された後の、図65に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の側面図である。
【図68】図68は、SULUのツール組立体を第2の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第2の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の側面図である。
【図69】図69は、関節運動アクチュエータが図68に示す位置に移動された後の、図65に示すキャリヤ部分、中間ピボット、および取り付け部材の側面図である。
【図70】図70は、図65に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の底面図である。
【図71】図71は、ツール組立体を第3の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第3の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の上面図である。
【図72】図72は、関節運動アクチュエータが図71に示す位置に移動された後の、図70に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の底面図である。
【図73】図73は、ツール組立体を第4の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第4の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の上面図である。
【図74】図74は、関節運動アクチュエータが図73に示す位置に移動された後の、図70に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の底面図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年6月17日出願の米国仮出願番号第60/479,379号に基づく優先権を主張し、米国仮出願番号第60/479,379号は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(1. 技術分野)
本開示は、外科用ステープリング装置に関し、より詳細には、第1および第2の直交する軸を中心として関節運動可能なツール組立体を有する内視鏡手術用ステープリング装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
(2. 関連技術の背景)
組織を最初に対向するジョー構造間で把持するかまたは締め付け次いで外科用留め具で結合する外科用装置は、当業界でよく知られている。いくつかの器具には、留め具で結合された組織を切断するためのナイフが備えられている。留め具は一般に外科用ステープルの形状であるが、ポリマー製留め具を含む2部分留め具も用いることができる。
【0004】
この目的用の器具は、組織を捕捉するかまたは締め付けるためにそれぞれ用いられる2つの細長い部材を含むことができる。一般に、これらの部材のうちの一方は、例えば少なくとも横二列に配列された複数のステープルを収容するステープルカートリッジを担持し、一方で他方の部材は、ステープルがステープルカートリッジから打ち出される際にステープルの脚を形成するための面を画定するアンビルを有する。通常、ステープリング動作は、ステープルカートリッジを通って長手方向に進むカムバーによって実行され、カムバーは、ステープルプッシャに作用してステープルカートリッジから連続的にステープルを打ち出す。ナイフは、ステープルの横列間にあるステープリングされた組織を長手方向に切断するために、ステープルの横列間で移動することができる。このようなステープラは、その全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6、250、532号および第6、241、139号に開示されている。
【0005】
内視鏡手順または腹腔鏡手順においては、手術は、小切開部を通じてもしくは皮膚内の小さい挿入用切開創を経由して挿入された小口径のカニューレを通じて実施される。器具が皮膚を経由して配置される場合には、その可動度が制限されるため、組織にアクセスしかつ/または組織を締め付けるために外科医が器具のツール組立体を操作するのが極めて困難となる可能性がある。この問題を克服するために、回転可能な内視鏡本体部分および回転可能かつ/または関節運動可能なツール組立体を有する器具が開発され、市販されている。これらの器具は内視鏡ツール技術に著しい改善をもたらしているが、外科医がより迅速に組織にアクセスするのを可能にすることにより外科的手順に要する時間を減らすことのできるさらなる改善が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、組織にアクセスし、それを締め付けかつ/または切断するために無数の方向に迅速かつ容易に操向することのできるツール組立体を有する内視鏡手術用装置もしくは腹腔鏡手術用装置の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
本開示によれば、ハンドル部分、細長い中央本体部分および単回使用ローディングユニット(「SULU」)または使い捨てローディングユニット(「DLU」)を含む外科用ステープリング装置が提供される。細長い本体部分は、ハンドル部分に回転自在に固定されている。SULUは、近位本体部分、中間ピボット部材およびツール組立体を含む。中間ピボット部材は、第1の軸を中心として近位本体部分に枢着され、第1の軸に実質的に直交する第2の軸を中心としてツール組立体に枢着されている。従って、中間ピボット部材は、近位本体部分に対して関節運動することができ、ツール組立体は、中間ピボット部材に対して枢動することができる。従って、ツール組立体は、本装置の細長い中央本体部分に対して複数の軸を中心として枢動することができる。本装置の細長い中央本体部分は本装置のハンドル部分に対しても回転自在であるので、複数の軸を中心としたツール組立体の関節運動機能により、外科医がツール組立体を無数の向きに迅速かつ容易に配置することが可能となり、身体組織の手術を促進する。
【0008】
本開示の別の局面では、本外科用ステープリング装置は、全方向またはあらゆる方向に動くように半球状のベース部材上に支持された関節運動アクチュエータを含む。複数の関節運動用リンクは、関節運動アクチュエータに動作可能に連結された第1の端部およびSULUの関節運動用リンクに解放可能に連結されるように適合された第2の端部を有する。SULUの関節運動用リンクは、関節運動アクチュエータを操作して第1の軸および第2の軸のいずれかまたは両方を中心としてツール組立体を関節運動させることができるように、ケーブルもしくは非剛体リンクでツール組立体に動作可能に連結されている。
【0009】
本発明の別の局面では、ハンドル部分は、ツール組立体の動作を生じさせるために発射用リンクおよび後退用リンクを動かすための駆動機構を含む。駆動機構は、ハンドル部分内に支持されたスピンドルおよび該スピンドルの周りに摺動自在に配置されたバレル組立体を含む。スピンドルは、発射用ラックを受け入れるための第1の案内軌道および後退用ラックを摺動自在に受け入れるための、正反対の位置に配置された第2の案内軌道を含む。バレル組立体は、発射用ラックと係合するように移動可能な発射用つめおよび後退用ラックと係合するように移動可能な後退用つめを含む。発射用つめおよび後退用つめを発射用ラックならびに後退用ラックに対してそれぞれ選択的に配置するために、第1のシフトリング組立体が備えられている。ハンドル部分のトリガは、バレル組立体をスピンドルを中心としてかつそれに沿って動かし、発射用ラックまたは後退用ラックを選択的に移動させてツール組立体を操作するために備えられている。
【0010】
本開示のさらに別の局面では、ツール組立体は、ステープリング装置であり、バレル組立体は、発射用ラックとの係合状態へ移動可能でありツール組立体を把持具モードで操作することを可能にする把持用つめを含む。より具体的には、把持用つめは、第2のシフトリング組立体によって制御され、かつ、可動トリガの作動と同時にツール組立体のカートリッジ組立体とアンビル組立体を接近させるがステープルは発射させない距離だけ発射用ラックが移動することを可能にするように発射用ラックとの係合状態へ選択的に移動可能である。
【0011】
本開示のさらに別の実施形態では、ツール組立体は、カートリッジ組立体およびアンビル組立体を含む。ナイフバーを含む駆動用組立体および作動用スレッドは、ツール組立体を通って平行移動可能であり、カートリッジ組立体とアンビル組立体との間に位置する組織を同時にステープリングしかつ切断する。発射用ケーブルおよび後退用ケーブルは各々、駆動用組立体に固定された第1の部分を有する。発射用ケーブルは、中央本体部分の発射用リンクに解放可能に連結されるように適合されたSULUの発射用リンクに固定された近位端を有する。中央本体部分の発射用リンクは、発射用ラックの近位移動によってカートリッジ組立体を通る駆動用組立体の遠位平行移動が生じるように、発射用ラックに動作可能に連結されている。後退用ケーブルは、SULUの後退用リンクに連結された近位端を有する。SULUの後退用リンクは、後退用ラックの近位移動によって駆動用組立体の近位移動が生じるように後退用ラックに動作可能に連結された本装置の中央本体部分の後退用リンクに連結されるように適合されている。
【0012】
本開示の別の局面では、SULUを本ステープリング装置の細長い本体部分に固定するための新規な連結機構を提供する。本連結機構は、非剛体ケーブルで駆動される駆動用組立体を有するSULUのステープリング装置への解放可能な取り付けを促進する。
【0013】
本開示の1つの目的は、非剛体のリンクを有する関節運動機構および/または駆動機構を含む除去可能なSULUを有する外科用装置を提供することにある。
【0014】
本開示の別の目的は、回転可能な中央本体部分およびカートリッジ組立体ならびにアンビル組立体を含む実質的に互いに直交する第1の軸および第2の軸を中心として枢動するツール組立体を有する外科用ステープリング装置を提供することにある。
【0015】
本開示のさらに別の目的は、スピンドルおよび発射モードまたは作動モード、後退モードおよび把持モードでの作動部材もしくは駆動部材の選択的操作を促進するバレル組立体を有するハンドル部分を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
今回開示する外科用ステープリング装置の各実施形態を、図面を参照して本明細書に開示する。
【0017】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここで、いくつかの図の各々において同じ参照数字は同じ要素または対応する要素を示す図面を参照し、今回開示するステープリング装置の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0018】
2002年10月4日に提出された米国仮出願第60/416、088号および2002年10月4日に提出された米国仮出願第60/416、372号は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0019】
本明細書全体を通して、用語「近位の」は、術者に最も近い本装置の部分を指し、用語「遠位の」は、術者から最も遠い本装置の部分を指すことになる。
【0020】
図1〜図8に、全体を10で示す今回開示する外科用ステープリング装置の一実施形態を示す。簡単に述べれば、外科用ステープリング装置10は、近位のハンドル部分12、細長い中央本体部分14および遠位の使い捨てローディングユニット(「DLU」)16を含む。DLUは、単回使用ローディングユニット(「SULU」)であるのが好ましい。ハンドル部分12は、固定ハンドル18、トリガ20、回転用回転制御部材22および関節運動アクチュエータ24を形成する本体13を含む。本体13は、熱可塑性材料、例えばポリカーボネートで形成することのできる、一対の成形により製造された半断面13aおよび13bを含む。代替的に、必要な強度基準値を有する他の材料、例えば外科グレードの金属を用いて本体13を形成してもよい。本体13の半断面13aおよび13bは、既知の締結手法、例えば接着剤、溶接、インタロッキング構造、ねじ等を用いて互いに固定されている。代替的に、他の締結手法を用いてもよい。
【0021】
図9〜図16を参照すると、ハンドル部分12は、以下に詳細に説明するように、SULU16のジョーを近づけてSULU16からステープルを打ち出すための近置/発射機構を含む。近置/発射機構は、互いに正反対の位置に設けられた案内軌道28および30(図16)を画定するスピンドル26を含む。スピンドル26の近位端は、環状陥凹部32a(図11)を画定する延長部分32を含む。延長部分32は、ハンドル部分12の本体半断面13aおよび13b内に形成された陥凹部34内に収容され、スピンドル26を本体13内に回転自在に固定する。ピニオン36(図16)は、スピンドル26の中央部分に形成された貫通孔38内に回転自在に固定される。ピニオン36は、案内軌道28および30内に延びる歯車の歯を含む。
【0022】
図16を参照すると、発射用ラック40はスピンドル26の案内軌道28に摺動自在に受け入れられ、後退用ラック42はスピンドル26の案内軌道30に摺動自在に受け入れられる。発射用ラック40は、該ラックの両側に形成された歯車用の歯44および46を含む。歯車用の歯44は、前進および発射用のつめ48(「発射用つめ」)の歯に係合するように配置される。歯車用の歯46は、ピニオン36の歯に係合するように配置される。発射用ラック40の近位端は、以下に詳細に論じる方法で把持用つめ52に係合するような寸法を有する切欠き50を含む。
【0023】
後退用ラック42も、該ラックの両側に形成された歯車用の歯54および56を含む。歯車用の歯54は後退用のつめ58の歯に係合するように配置され、歯車用の歯56はピニオン36の歯に係合するように配置される。後退用ラック42の近位端は、インジケータリング60のピン60aを受け入れるための穴42aを含む。インジケータリング60は、スピンドル26の周りに配置され、後退用ラック42に可動固定される。インジケータリング60は、観察を容易にするために、例えば赤色に着色されるのが好ましい。ハンドル部分12の本体13の窓または透明な部分(図示せず)から、インジケータリング60の位置を観察することができる。インジケータリング60の位置に関連して本装置の動作段階を確認するために、観察用部分に隣接させて、本体13上に指標を設けてもよい。
【0024】
図15および図33も参照すると、バレル組立体62が、スピンドル26の周りに摺動自在に配置されている。バレル組立体62は、発射用つめ48、把持用つめ52、後退用つめ58、本体部分64、第1と第2のシフトリング組立体66および68、ならびにトリガコネクタ70を含む。バレル組立体の本体部分64は、一対の対向する貫通孔72および74を含む。発射用つめ48は、バレル組立体の本体部分64を通って延びるピボットピン76を中心として、貫通孔72内に枢着されている。後退用つめ58は、バレル組立体の本体部分64を通って延びるピボットピン78を中心として、貫通孔74内に枢着されている。バネ部材またはOリング80が本体部分64の周りに配置され、発射用つめ48および後退用つめ58に係合して発射用つめ48ならびに後退用つめ58が発射用ラック40および後退用ラック42とそれぞれ係合するように促す。代替的に、別の付勢装置を用いて発射用つめおよび後退用つめを付勢して発射用ラックならびに後退用ラックと係合させてもよい。発射用つめ48は、カムスロット48aおよび発射用ラック40の歯44に係合するように構成された一連の歯48bを含む。後退用つめ58は、カムスロット58aおよび後退用ラック42の歯54に係合するように構成された一連の歯58bを含む。
【0025】
第1のシフトリング組立体66は、外輪82および内輪84を含む。外輪82は、バレル組立体の本体部分64の周りに摺動自在に配置されている。外輪82は、一対の突出したバネアーム85を含む。各バネアームが、外側接合部材86および内側突出部88を含む。内輪84は、外輪82の内側にバレル組立体の本体部分64を取り巻いて摺動自在に配置されており、以下に詳細に説明する方法でバネアーム85の突出部88を受け入れるような寸法を有する外側環状陥凹部90を含む。内輪84の内面とバレル組立体の本体部分64の外面との間の摩擦接触により、内輪84は、内輪84が手動で動かされるまで、バレル組立体の本体部分64上の固定位置に保持される。
【0026】
外輪82は、ハンドルの本体13内に摺動自在に配置されており、その各側に一対の細長いリブ92を含む。リブ92は、本体の半断面13aおよび13b(図35)の内面上に形成された細長いリブ96(図34)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する細長いスロット94を画定している。スロット94内におけるリブ96の位置決めによって、外輪82の直線的な動きが制限される。互いに正反対の位置に設けられた一対の突起物98が、本体の半断面13aおよび13bの各々内に形成された細長いスロット100(図34)を通って、外輪82の各側から外方に延びている。突起物100は、ハンドル本体13上の、前進位置から後退位置までハンドル本体13内で外輪82を直線的に移動させるために装置10のオペレータによって操作されることになる位置に配置されている。
【0027】
図34〜図36も参照すると、カム面102が、本体の半断面13aおよび13bの各々の内面上に形成されている。外輪82のバネアーム85の接合部材86は、外輪82が本体部分64の周りの前進位置から本体部分64の周りの後退位置まで移動される際にカム面102の上を摺動するように配置されている。カム面102は、カム面102の各端部に配置された一段高くなった表面102aおよび陥凹部102bならびに102cを含む。外輪82がハンドル本体13内で前進位置と後退位置との間を直線的に移動する際に、接合部材86がカム面102の一段高くなった表面102aに係合してバネアーム85を内方に押圧し、これによって、内側突出部88が、本体部分64を取り巻く内輪84の環状陥凹部90に入る。内側突出部88が内輪84の環状陥凹部90内に受け入れられる際に、外輪82の直線的な動きが内輪84の直線的な動きに変換される。接合部材86が一段高くなった表面102aを通過する際に、バネアーム85が外方に動き、これにより接合部材86が陥凹部102bまたは102cに入り、内側突出部88が環状陥凹部90を出て、内輪および外輪82ならびに84をそれぞれ離脱させる。
【0028】
ピンまたはロッド104(図16)が、発射用つめのカムスロット48aを貫通し、内輪84を横断して延びている。第2のピンまたはロッド106が、後退用つめのカムスロット58aを貫通し、内輪84を横断して延びている。内輪84が前進位置から後退位置へ移動される際に、ピン104および106が発射用つめのカムスロット48aならびに後退用つめのカムスロット58aの中でそれぞれ移動し、バネ部材80が後退用つめ58を動かしてそれぞれの後退用ラック42に係合させかつ発射用つめ48を動かして発射用ラック40との係合を離脱させることを可能にする(図33g参照)。
【0029】
内輪84が後退位置から前進位置へ移動される際に、ピン104および106がカムスロット48aならびに58aの中でそれぞれ移動し、発射用つめ48を枢動させて発射用ラック40と係合させ、かつバネ部材80が後退用つめ58を枢動させて後退用ラック42との係合を離脱させることを可能にする(図33参照)。
【0030】
再度図15、図16および図33を参照すると、第2のシフトリング組立体68(図16)も、外輪108および内輪110ならびに第1のシフトリング組立体と同一の機能を含む。より具体的には、外輪108は、バレル組立体の本体部分64の周りに摺動自在に配置され、一対の張り出したバネアーム112を含む。各バネアームが、外側接合部材114および内側突出部116を含む。内輪110は、外輪108の内側にバレル組立体の本体部分64を取り巻いて摺動自在に配置され、以下に詳細に説明する方法でバネアーム112の突出部116を受け入れるような寸法を有する環状陥凹部118を含む。内輪110の内面とバレル組立体の本体部分64の外面との間の摩擦接触により、内輪110がバレル組立体の本体部分64上の固定位置に保持される。
【0031】
外輪108は、ハンドル本体13内に摺動自在に配置され、その各側に一対の細長いリブ120を含む。リブ120は、本体の半断面13aおよび13b(図35)の内面上に形成された細長いリブ124(図34)を摺動自在に受け入れるような寸法を有する細長いスロット122を画定している。スロット122内におけるリブ124の位置決めによって、外輪108の直線的な動きが制限される。互いに正反対の位置に設けられた一対の突起物126が、本体の半断面13aおよび13bの各々内に形成された細長いスロット128(図36)を通って、外輪108の各側から外方に延びている。突起物128は、ハンドル本体13上の、外輪108を前進位置から後退位置までハンドル本体13内で直線的に移動させるために装置10のオペレータによって操作されることになる位置に配置される。
【0032】
図34〜図36も参照すると、カム面130が、本体の半断面13aおよび13bの各々の内面上に形成されている。外輪108のバネアーム112の接合部材114は、外輪82がその後退位置からその前進位置まで移動される際にカム面130の上を摺動するように配置されている。カム面130は、カム面130の各端部に配置された一段高くなった表面130aおよび陥凹部130bならびに130cを含む。外輪108がハンドル本体13内でその前進位置とその後退位置との間を直線的に移動する際に、接合部材114がカム面130の一段高くなった表面130aに係合してバネアーム112を内方に押圧し、これによって、内側突出部116が、内輪110の環状陥凹部118に入る。内側突出部116が内輪110の環状陥凹部118内に受け入れられる際に、外輪108の直線的な動きが内輪110の直線的な動きに変換される。接合部材114が一段高くなった表面130aの上を通過する際に、バネアーム112が外方に動き、これにより接合部材114が陥凹部130bまたは130cに入り、内側突出部116が環状陥凹部118を出て内輪および外輪を離脱させる。
【0033】
ピンまたはロッド132(図16)が、把持用つめのカムスロット52aを貫通し、内輪110を横断して延びる。内輪110がバレル組立体の本体部分64上でその前進位置からその後退位置まで移動される際に、ピン132が、把持用つめ52を発射用ラック40から遠ざかる方向に枢動させるように把持用つめのカムスロット52a内で移動する。内輪110がその後退位置からその前進位置まで移動される際に、付勢部材134が把持用つめの突起52bを発射用ラックの切欠き50内に促すことを可能にする位置まで、ピン132が把持用つめのカムスロット52a内を移動する。把持用つめ52の突起52bが発射用ラックの切欠き50内に位置している際には、トリガ20の作動時に生じる発射用ラック40の前進および後退がごくわずかとなり、本装置が把持具として機能することを可能にする。
【0034】
再度図9〜図16を参照すると、バレル組立体62は、キャップ138でバレル組立体の本体部分64の遠位端周りに回転自在に固定された環状部材136を含むトリガコネクタ70(図16)をも含む。一実施形態では、キャップ138は、一対のピン139aおよび139bでバレル組立体の本体部分64の遠位端に固定されており、バレル組立体の本体部分64遠位端上の環状部材136を、キャップ138とバレル組立体の本体部分64の段部140(図16)の間に保持している。代替的に、別の固定手法、例えばねじ山、接着剤、溶接等を用いてキャップ138をバレル組立体の本体部分64に固定してもよい。環状部材136は、以下に説明する方法でトリガ20に係合するように配置された一対の突起物142を含む。
【0035】
トリガ20は、グリップ部144、係合部146、および枢動部148を含む。枢動部148は、トリガ20の最上端に形成され、ピボット部材150を取り巻いて本体の半断面13aと13bとの間に枢着されるように構成されている(図14)。トリガ20の係合部146は、バレルの本体部分および一対のU字形フック部材154を受け入れるための円筒状部材152を含む。フック部材154は、トリガ20の枢動によってスピンドル26を中心としたバレル組立体62の直線的な動きが生じるように、環状部材136の突起物142を摺動自在に受け入れるような寸法を有する。トリガ20を非圧縮形状へ促すために、トリガ20と固定ハンドル18との間に付勢部材156が配置されている。一実施形態では、付勢部材156は、例えばピンでトリガ20に固定された第1の部分156a、および固定ハンドル18内に形成された溝158内に配置されたフック156cを介して本体の半断面13aと13bとの間で固定ハンドル18に固定された第2の部分156bを含む。2部分付勢部材156の第1の部分156aおよび第2の部分156bはバネ鋼で形成することができ、Tスロットコネクタ160を用いて摺動自在に取り付けられる。代替的に、他の既知の付勢装置または固定手法を用いてもよい。
【0036】
使用に際しては、トリガ20が、固定ハンドル18に向けて図33eに矢印「A」で示す方向へ手動で枢動され、バレル組立体62が、矢印「B」で示す方向へスピンドル26の上を近位方向に移動する。第1のシフトリング組立体66がその前進位置(図33)にある場合、すなわち発射用つめ48が発射用ラック40と係合するような位置にある場合、発射用ラック40が、案内軌道28に沿って近位方向に押圧される。これが生じる際に、発射用ラック40および後退用ラック42と係合しているピニオン36が回転し、案内軌道30に沿って後退用ラックを前進させることになる。第1のシフトリング組立体66がその後退位置(図33g)にある場合、すなわち後退用つめ58が後退用ラック42と係合するような位置にある場合、トリガ20によってバレル組立体62がスピンドル26上を近位方向に移動する際に、後退用ラック42が案内軌道30に沿って近位方向に押圧されることになる。これが生じる際に、ピニオン36が後退用ラック42の動きによって駆動され発射用ラック40を遠位方向に前進させる。把持用つめ52の動作を以下にさらに詳細に論じる。
【0037】
図9、図12および図13を参照すると、回転制御部材22は、熱可塑性材料、例えばポリカーボネートで形成することのできる半断面22aおよび22bを含んでいる。制御部材22の近位端は、ハンドル部分12の遠位端上に形成された環状のリブ164を受け入れるような寸法を有する内側環状チャネル162を画定している。チャネル162とリブ164との間の係合により、回転制御部材22がハンドル部分12に回転自在に固定される。アクチュエータのベース部材166は、回転制御部材22の周りに固定された半球形の外面168部分を有する。アクチュエータのベース部材166は、任意の既知の固定手法、例えば接着剤、溶接、ねじ等を用いて回転制御部材22の中央部分の周りに共に固定された成形半断面166aおよび166bで形成することができる。これも成形半断面24aおよび24bで形成することのできる関節運動アクチュエータ24は、ベース部材166と連係した関節運動アクチュエータ24のほぼ全方向の動きを可能にするために、アクチュエータベース部材166の半球状外面168周辺に支持された半球状内面170を含んでいる。すなわち、関節運動アクチュエータ24は、ベース部材166の半球状外面を中心としてあらゆる方向に枢動することができる。以下に詳細に論じるように、関節運動アクチュエータ24は、SULU16のツール部材の関節運動を生じさせるために、アクチュエータのベース部材166と連係して動くことができる。
【0038】
図9、図17および図18を参照すると、細長い本体部分14は、外管172、内側軸174、複数の関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および前進・発射用リンク(「発射用リンク」)180を含む。内側軸174の近位端174aは、内側軸174をハンドルの本体13に回転自在に固定するために、外方に広がりかつハンドルの本体13内に形成された環状チャネル182内に受け入れられている。内側軸174は、周方向間隔を持たせ半径方向に向けられた一連のスポーク186を有する中央ハブ部材184を含む。細長い本体部分14をSULU16と整合させるのを支援するために、位置合わせ用ロッド187がハブ部材184内に固定されている。隣接するスポーク186およびそれぞれの案内面188が関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および発射用リンク180のうちの各それぞれ1つを受け入れるためのガイドチャネル190を形成するように、半円形の案内面188が、各スポーク186の遠位端に固定されるかまたはそれと一体に形成されている。
【0039】
図17および図18を参照すると、関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および発射用リンク180の各々の遠位端は、湾曲したスロット192を形成する間隔を置いて配置された一対のフィンガ192aならびに192bを含む係合構造を含む。スロット192は、以下にさらに詳細に論じる方法でSULU16のそれぞれの関節運動用リンク、後退用リンクおよび発射用リンクの近位端を受け入れるように構成されておりかつそのような寸法を有する。フィンガ192aおよび192bの各々を貫通して穴または孔194が形成されている。重ね板バネ196がリンク176a〜176d、178、および180の各々の遠位端に固定されており、それに固定されたコネクタまたは連結ピン198を含んでいる。重ね板バネ196は、その非変形形状では、各リンクの上面から外方に延びる。連結ピン198は、重ね板バネ196が各リンクの上面に向かって下向きに変形する際に連結ピン198がフィンガ192aおよび192bの各々内の孔194を通じて挿入されるように重ね板バネ196上に支持されている。孔194は、連結ピン198が入る際の枢動運動に対応するように、わずかに細長いかまたはサイズが大きめとなっている。
【0040】
図40aを参照すると、後退用リンク178の近位端が後退用ラック42の遠位端に固定状態に取り付られ、発射用リンク180の近位端が発射用ラック40の遠位端に固定状態に取り付けられている。中間リンク200は、後退用リンクおよび発射用リンクを後退用ラックならびに発射用ラックに連結するのに用いることができる。しかしながら、後退用リンクおよび発射用リンクを後退用ラックならびに発射用ラックにそれぞれ直接的に連結することができることが想定される。中間リンク200を用いる場合、このリンクは、図40aに示すような、ラックおよびリンクにピンで留めた剛体のリンクであってもよく、任意の既知の固定手法、例えば接着剤、結び目、クランプ等を用いてリンクとラックとの間に固定することのできる非剛体のリンクまたはケーブルであってもよい。
【0041】
例えば関節運動用リンクに関する用語「剛体の」は、本明細書においては、全体的に、リンク全体が意図された目的(ここでは、関節運動アクチュエータを用いてツール組立体を効果的に関節運動させること)に対して動作可能となるのに十分な剛性または強度を有することを意味する。従って、例えば、リンクの末端部分は、使い捨てローディングユニットの近位端において、外科用装置の中央本体部分の遠位端に位置する別の関節運動用リンクの隣接する遠位端に、関節運動用リンクの端部を効果的に動作可能に取り付けるのに十分な剛性を有していなければならない。同様に、関節運動用リンクの反対端を効果的かつ動作可能にケーブルに取り付けるのに十分な剛性をも有していなければならない。こういった意味合いで、ここでは、取り付けるとは、例えば取り付け領域に加えられる力によってケーブルが切断されたりリンクの材料が引き裂かれないような任意の適した構造または方法によることを意味する。
【0042】
図17に示すように、関節運動用リンク176a〜176dの各々の近位端は、非剛体リンク202、例えばケーブル、ロープ、コード、ワイヤ、Kevlarストランド、またはそれらの任意の組み合わせ等で関節運動アクチュエータ24に連結されている。代替的に、剛体リンクを用いて関節運動用リンク176a〜176dの近位端を関節運動アクチュエータ24に連結してもよい。
【0043】
図9〜図14および図17を参照すると、リンク202は、関節運動用リンク176a〜176dの近位端に固定され、内側軸174を通って近位方向に延びている。この実施形態では、リンク202は、リンク202をリンクの近位端近傍の穴に通すことによって関節運動用リンク176a〜176dに連結されている。代替的に、他の取り付け手法を用いてもよい。リンク202の摩損を防止するために、内側軸174内にプラスチック製のスリーブ175(図9)を固定してもよい。複数の半径方向または周方向に間隔を置いて配置された開口部204が、内側軸174の近位部を貫通して形成されている。リンク202は、内側軸174の内部から延び、内側軸174内の開口部204を通り、外管172内に形成された細長いスロット206を通り、回転制御部材22内に形成された穴208を通って関節運動アクチュエータ24に隣接する位置に到達する。リンク202の各々の近位端は、関節運動アクチュエータ24の円周沿いに等間隔に配置された各位置において関節運動アクチュエータ24に固定される(図10)。リンク202は、結束、接着剤、ピン等を含む任意の既知の固定手法を用いて関節運動アクチュエータ24に固定することができる。従って、関節運動アクチュエータ24が術者によって操作される、例えば枢動または旋回されると、この動きがリンク202を介して内側軸174のガイドチャネル190内の関節運動用リンク176a〜176dの直線的な動きに変換される。
【0044】
再度図17および図18を参照すると、関節運動用リンク176a〜176dの各々、後退用リンク178および発射用リンク180が、それらの上面に形成された少なくとも1つの凹面212を含んでいる。凹面212は、固定部材214を受け入れるように構成され、かつそのような寸法を有する。1つの固定部材214を、一対の隣接するリンク内に形成された凹面212に受け入れられるように配置することができる。固定部材214をボール状の部材として図示しているが、固定部材214は、以下に論じる機能を実行することのできる別の形状をとることもできると想定している。各固定部材は、固定部材214が隣接する凹面212内に配置されたときに隣接するリンクが互いに対しかつ内側軸174に対して相対的に軸方向に動くのを防止するように、隣接するリンク176〜180の協同の凹面212内に設置される。
【0045】
図9を参照すると、外管172は、内側軸174を取り囲んで摺動自在に配置されている。穴216が、各凹面212に隣接して内側軸174の各案内面188に形成されている。穴216は、固定部材214が部分的に穴216を通って延びるように、リンク176a〜180の凹面212と位置合わせされている。外管172は、環状に配列されたボール逃がし穴218aおよび近位の環状に配列された一連のボール逃がし穴218bをも含む。近位の一連のボール逃がし穴218bは、固定部材214と整合するように摺動可能である。以下に詳細に論じるように、遠位の一連のボール逃がし穴218aは、SULU16内に配置された固定部材と整合するように移動可能である。外管172が内側軸174の周りのその後退位置にあるときは、外管172の内壁が固定部材214に係合して固定部材214を押圧し、内側軸174の穴216を通してリンク176〜180の凹面212に配置し、内側軸174および互いに対して相対的に軸方向にリンク176〜180を固定する。外管が内側軸の周りのその前進位置に移動されたときは、ボール逃がし穴218bが固定部材214と整合し、固定部材214が凹面212から移動することを可能にする。従って、発射または関節運動させるために本装置を作動させると、1つのリンクまたはリンク176〜180の動きによって固定部材214が凹面212の外に促されて一部分がボール逃がし穴218bに入り、内側軸174に対して相対的なリンク176〜180の動きを可能にする。
【0046】
外管172はまた、外管172がその後退位置からその前進位置へ移動される際に、各リンク176a〜180上の重ね板バネ196を変形させる働きもする。これは、外管172の遠位端が重ね板バネ196上を前進して重ね板バネ196が各リンク176a〜180の上面に向かうことを強制する際に生じる(図45参照)。以下にさらに詳細に論じるように、重ね板バネ196が外管172によって内方に押圧されると、連結ピン198がフィンガ192aおよび192bの穴194を通って移動し、SULU16を細長い本体部分14の遠位端に固定する。
【0047】
図9および図56〜図58を参照すると、一対のスナップ式ボタン220が、回転制御部材22内に形成されたスロット222(図9)を通って延びるように配置されている。スナップ式ボタン220は各々、L字形の本体220aを含み、該本体の一端に形成された突起220bおよび本体220aの他端上に設けられたフィンガ係合部材220cを有する。各係合部材220cには、回転制御部材22に隣接する位置から、術者がアクセスすることができる(図1)。各L字形本体220aは、突出部220bが外管172側壁に係合部材220cと向かい合って係合するように、他方のL字形本体220aに隣接して回転制御部材22のそれぞれのスロット222を通り、外管172上面を越えて延びる。スナップ式ボタン220は、弾性材料、例えばプラスチック、バネ鋼等で形成されている。外管172は、互いに正反対の位置に、一対の切欠き224を含む。外管172がその後退位置から前進位置へ移動されると、スナップ式ボタン220の突起222bが切欠き224に嵌まり込み、外管172をその前進位置に固定する。スナップ式ボタン220は、係合部材222cを押圧し続けて突起222bを外方に撓め、突起222bを切欠き224から除去することによって押圧結合させることができ、それによって外管がその前進位置から開放される。
【0048】
図5〜図8および図18a〜図24を参照すると、SULU16は、近位本体部分230、遠位ツール組立体232および中間ピボット部材233を含む。遠位ツール組立体232は、アンビル組立体234およびカートリッジ組立体236を含む。アンビル組立体234は、アンビル本体部分238およびアンビルプレート部分240を含む(図19)。当業界で知られているように、アンビルプレート部分240は、その裏面に沿って複数のステープル変形ポケット(図示せず)を含む。アンビルプレート部分240は、任意の既知の固定手法、例えば溶接、圧接等を用いてアンビル本体部分238に固定される。組み立てた状態では、アンビル本体部分238およびアンビルプレート部分240は、それらの間にギャップまたはキャビティ241を形成する(図19)。アンビル本体部分238の近位端は、一対のヒンジ部材242aおよび242bを含む。アンビルプレート部分240の近位部は、カム面244を画定している。細長いスロット246が、アンビルプレート部分240の近位端からアンビルプレート部分240の遠位端に向けて延びている。
【0049】
カートリッジ組立体236は、ステープルカートリッジ254を受け入れるような寸法を有する細長い支持チャネル252を形成するキャリヤ部分250を含む。カートリッジ254およびキャリヤ部分250内の対応するスロットならびに溝は、カートリッジ254を支持チャネル252内に保持する働きをする。ステープルカートリッジ254は、複数の留め具、例えば当業界で知られているようなステープル、およびプッシャ(図示せず)を受け入れるための複数のステープルスロットまたはステープルポケット256を含む。作動用スレッド260の直立したカムウエッジ258を収容するために、複数の間隔を置いて配置された内部長手方向スロット(図示せず)が、ステープルカートリッジ254を通って延びている。中央の長手方向スロット262は、カートリッジ254を通るナイフバー264の直線的な動きを促進するために、ステープルカートリッジ254の全長に沿って延びている。ナイフバー264は、ナイフ刃266およびアンビル組立体234のキャビティ241を通って移動するように配置された横カム部材268を含む。ナイフバー264は、作動用スレッド260に近接しかつそれと接触して配置されている。一対の穴270および272が、ナイフバー264に設けれている。穴270は、発射用ケーブル274(図24)のナイフバー264への係合または取り付けを容易にする。穴272は、後退用ケーブル276(図24)のナイフバー264への係合または取り付けを容易にする。
【0050】
キャリヤ部分250は、その近位端に形成された一対のヒンジ部材278aおよび278bを有する。各ヒンジ部材278aおよび278bの近位面は、半円形とすることができ、カムは、一連のセレーションまたは歯280を含む。歯280の機能を以下にさらに詳細に論じる。アンビル本体部分238に対して相対的に離間した位置とそれに対して相対的に接近した位置との間でアンビル組立体234がカートリッジ組立体236に対して相対的に枢動するように、ピボットピン282(図51)が、ヒンジ部材242aと242bとの間およびヒンジ部材278aと278bとの間に延びている。
【0051】
ガイドキャップ284(図21)または他の適した構造体を、キャリヤ部分250遠位端に備えるかまたは固定することができる。ガイドキャップ284または該構造体は、例えばケーブル駆動システムのケーブルを受け入れて誘導するための一対の軌道286aおよび286bならびに中央貫通孔288を画定し、以下にさらに詳細に論じるアンビル組立体およびカートリッジ組立体の接近ならびにステープルの打出を生じさせることができる。ガイドキャップ284は、任意の既知の固定手法、例えばスナップ式タブ、ねじ、接着剤、溶接等を用いてキャリヤ部分250に固定することができる。チャネルカバー290を、キャリヤ部分250の各側面に固定することができる。各チャネルカバー290は、キャリヤ部分250に形成されたスロット294内に固定的に受け入れられるタブ292を用いてキャリヤ部分250の側壁に固定される。チャネルカバー290は、キャリヤ部分250の側壁に沿って、発射用ケーブル274用のケーブルチャネル、例えば291aおよび291bを形成する。一対の切欠き296aおよび296bがキャリヤ部分250に形成され、チャネル291aおよび291bからカートリッジ支持チャネル252内への発射用ケーブル274の通過を促進する。
【0052】
図24に、本明細書に開示する本装置およびSULUと共に用いるための適したケーブルの配列または経路を示す。より詳細には、発射用ケーブル274は、ナイフバー264内の穴270を通って延びることのできる中央部分を含むことができる。ケーブル274の両端は、ナイフバー264から作動用スレッド260内のまたはそれに関連する適したチャネルを通り、カートリッジ組立体236のキャリヤ部分250の中央部に沿って遠位に延びる。発射用ケーブル274の第1の端部は、ガイドキャップ284の貫通孔288からキャリヤ部分250を出て軌道286aを回って方向変更される。発射用ケーブル274の第2の端部は、ガイドキャップ284の貫通孔288からキャリヤ部分250を出て案内軌道286b回って方向変更される。以下に詳細に説明するように、発射用ケーブル274の第1の端部および第2の端部は、それぞれケーブルチャネル291aならびに291bを通って近位方向に延び、それぞれ切欠き296aおよび296bを通ってキャリヤ部分250の近位部に再び入り、各々キャリヤ部分250の対向する側壁沿いにSULUの発射用リンク310に向かって近位方向に進む。発射用ケーブル274の配列は、発射用ケーブル274の第1の端部および第2の端部が発射用ラック40に係合した発射用つめ48を有する作動用トリガ20によって近位方向に引っ張られるとナイフバー264が遠位方向に引っ張られてアンビル組立体234とカートリッジ組立体236を接近させ、それに続きスレッド260がステープルカートリッジ254からステープルを打ち出すようになされている。
【0053】
後退用ケーブル276は、ナイフバー264の穴272に動作可能に係合し、ここではそれを通って延びる中央部分を含む。以下に詳細に説明するように、後退用ケーブル276のそれぞれの第1の部分および第2の部分は、SULUの後退用リンク308に向かってナイフバー264から近位方向に延びる(図24)。
【0054】
図8および図18a〜図18eを参照すると、SULUの近位本体部分230(図8)は、第1の固定外管300、第2の可動外管302、内側軸304、複数の関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310を含む。内側軸304は、構造が内側軸174に類似しており、中央ハブ部材312(図18b)、複数の周方向に間隔を置いて配置されたスポーク314および外側の円筒状案内面316を含む。隣接するスポーク314と案内面316が、ガイドチャネル318を形成する。各ガイドチャネル318は、関節運動用リンク、後退用リンクおよび発射用リンクのうちの1つを摺動自在に受け入れるような寸法を有する。
【0055】
関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310の各々が、孔322を有するフィンガ320(図39および図40)を有する第1の端部を含む。各フィンガ320は、孔322がそれぞれの本体部分のリンクの孔194と実質的に整合するように、細長い中央本体部分14のリンク176〜180のうちの各1つのフィンガ192aと192bとの間のスロット192に摺動自在に受け入れられるような寸法を有する。以下にさらに詳細に論じるように、関節運動用リンク306a〜306dの各々の第2の端部は、関節運動用ケーブル401aおよび401bのうちの1つの1端に動作可能に係合し、本装置の関節運動を生じさせるように適合されている。後退用リンク308および発射用リンク310の近位端は、後退用ケーブル276ならびに発射用ケーブル274の近位端にそれぞれ係合するように適合されている。一実施形態では、関節運動用ケーブル401aおよび401b、後退用ケーブル276ならびに発射用ケーブル274は、それぞれのリンクの遠位端にピンで固定された近位アイレット403(図18a)を含む。代替的に、他の取り付け手法を用いてもよい。
【0056】
固定外管300は、ピン324で内側軸304の遠位端部に固定することができる。ピン324は、外管300および内側軸304を通って延びて、軸方向に外管300を内側軸304に固定する。外管302は、内側軸304の近位端の周りに摺動自在に配置することができる。内側軸304は、それを通って延びる細長い長手方向のスロット326を含む。外管302に取り付けられたピン328は、外管326が前進位置と後退位置との間で内側軸304に対して相対的に動くことができるように、スロット326内に摺動自在に配置することができる。付勢部材またはバネ330は、ピン324とピン328との間に圧縮状態で配置され、外管302をその後退位置に促す(図18dおよび図18e)。ピン324および/または328へのバネ330の取り付けを促進するために、ピン324ならびにピン328の一方もしくは両方にバネマウント332を設けてもよい。
【0057】
図18aを参照すると、関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310は各々、それらの上面に形成された、固定部材338を受け入れるための少なくとも1つの凹面334を含む。1つの固定部材338を、2つの隣接するリンクの凹面内に受け入れられるように配置することができる。内側軸304は、各凹面に隣接して配置された開口部336を含む。各固定部材338は、一部分が開口部336を通って延び、可動外管302がその前進位置にないときに可動外管302の内面と係合可能である。固定部材338は球状またはボール状に図示されているが、他の固定部材形状も使用に適していると想定している。外管302の内面と固定部材338との間の係合により、各固定部材338が部分的に内側軸304の開口部336を通って内方に凹面334内に入ることを余儀なくされ、関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310を軸方向に内側軸304に固定する。以下にさらに詳細に論じるように、SULU16が装置10の細長い本体部分14に取り付けられると、可動外管302が、細長い本体14の外管172の遠位端との係合によって、内側軸304上のその前進位置へ移動する(図18e)。その前進位置では、可動外管302は、固定部材338の遠位に位置し、固定部材338は、細長い本体部分14の外管172に形成された遠位のボール逃がし用開口部218a内に受け入れられる(図18e)。固定部材338が開口部218a内に位置しているときは、リンク306〜310は、内側軸304に対して相対的に軸方向に移動可能である。
【0058】
図18a〜図18eおよび図51を参照すると、ここでは中空の取り付け部材350として示す取り付け部材は、貫通孔351を形成することができ、圧入によって、または他の既知の取り付け手法、例えば圧接、接着剤、ピン等を用いて内側軸304の遠位端内に固定することができる。取り付け部材350は、取り付け部材350をSULU16の近位本体部分230の遠位端に回転自在に固定するための、内側軸304および外管300に形成されたスロット353ならびに353a内にそれぞれ受け入れられた、互いに正反対の位置に設けられた一対のリブ352を含む。取り付け部材350は、一対のヒンジ部材354aおよび354bを含む。以下に詳細に説明するように、各ヒンジ部材354aおよび354bは、ピボット部材358、および半円形の一組の歯360を受け入れるための孔356を含む。
【0059】
図51に示すように、中間ピボット部材233は、第1の水平枢動軸を画定する第1の組のヒンジ部材362aおよび362bならびに第1の枢動軸から約90度ずれた第2の垂直枢動軸を画定する第2の組のヒンジ部材364aおよび364bを含む。ヒンジ部材362aおよび362bは各々、ピボットピン282を受け入れるための細長いスロット363を含む。ヒンジ部材364aおよび364bは各々、ピボットピン358を受け入れるための細長いスロット365を含む。回転滑車366および368は、ヒンジ部材362aならびに362bに固定されている。回転滑車370および372は、ヒンジ部材364aならびに364bに固定されている。滑車366〜372の各々が、関節運動用ケーブル401aおよび401b(図18a)のうちの1本を受け入れるためのチャネル374を形成している。ピボットピン282は、アンビル組立体234のヒンジ部材242aと242bとの間、カートリッジ組立体236のヒンジ部材278aと278bとの間、およびピボット部材233のヒンジ部材362aと362bの間を延びており、これにより、アンビル組立体234がカートリッジ組立体236に対して相対的に枢動自在となり、かつツール組立体232が第1の水平軸を中心として中間ピボット部材233に対して相対的に回転自在となる。ヒンジ部材362aおよび362bのスロット363が細長いため、中間ピボット部材233の位置は、ツール組立体232に対して相対的に移動可能である。ピボットピン358は、中空の取り付け部材350のピボット部材354aと354bとの間、および中間ピボット部材233のピボット部材364aと364bとの間に延びており、後者がツール組立体232を支持している。従って、ツール組立体232は、第2の垂直軸「Z」を中心として細長い本体部分14に対して相対的に枢動自在となる。ヒンジ部材364aおよび364bのスロット365が細長いため、中間ピボット部材233の位置は、SULU16の近位本体部分230の取り付け部材350に対して相対的に移動可能である。
【0060】
中間ピボット部材233は、その上面上および底面上に配置された一対の第1の係合部材380を含む。第1の係合部材380は、ピボットピン358が枢動用スロット363内の最前方まで引かれたときにヒンジ部材354aおよび354bの歯360に係合するような配置ならびに構成となっている。係合部材380と歯360との間の係合により、SULU16の近位本体部分230に対する中間ピボット部材233の角度位置が固定される。一対の第2の係合部材382が、中間ピボット部材233の側壁上に配置されている。第2の係合部材382は、ピボットピン282が枢動用スロット363内の最近位まで引かれたときにキャリヤ部分250のヒンジ部材278aおよび278b上に形成された歯280に係合するような配置ならびに構成となっている。第2の係合部材382が歯280に係合すると、y軸に沿った中間ピボット部材233に対して相対的なツール組立体232の枢動運動が防止される。すなわち、中間ピボット部材233に対するツール組立体232の角度位置が固定される。
【0061】
図51、図63および図64を参照すると、可撓性の付勢部材またはバネが、ピボットピン282とピボットピン358との間に配置されている。圧縮バネとすることのできる付勢部材390は、圧縮状態にあり、スロット363内でピボットピン282をその最前方へ促しかつスロット365内でピボットピン358をその最近位へ促すように配置されている。これらの付勢された位置では、係合部材380がSULU近位部分230の歯360から離脱し、係合部材382がカートリッジキャリヤ部分250の歯280から離脱しており、第1の水平軸および第2の垂直軸を中心とした種々の構成要素の関節運動を促進する。
【0062】
図62〜図64を参照すると、第1の係合部材380および第2の係合部材382は、関節運動アクチュエータ24を近位方向に引き続けて関節運動用ケーブル401aならびに401b(図55)の張力を増大させることにより、ヒンジ部材354aおよび354bの歯360ならびにヒンジ部材278aおよび278bの歯280とそれぞれ係合させることができる。ケーブル401aおよび401bの張力がバネ390の圧縮力に勝ったときにピボットピン282がスロット363内で近位方向に移動し、歯280を動かして係合部材382と接触させる。同時に、ピボットピン358がスロット365内で遠位方向に移動し、係合部材380を動かして歯360と係合させる。上に論じたように、これが生じると、ツール組立体232が中間ピボット部材233に対して固定された角度位置で固定され、中間ピボット部材233が近位本体部分230に対して固定された角度位置で固定される。
【0063】
図51〜図55を参照すると、関節運動用ケーブル401aは、関節運動用リンク306aに取り付けられた第1の端部410aを有する(図18a)。関節運動用ケーブル401aは、取り付け部材350内に形成されたチャネル412に沿いかつそれを通って関節運動用リンク306aから延び、滑車370の周りを斜めに周ってチャネル414(図54)を通り、中間ピボット部材233に入る。関節運動用ケーブル401aは、は、チャネル414を出て滑車368の片側上を通過し、下方に延びてキャリヤ部分250近位端底部の片側内の穴416を通り、キャリヤ250近位端の反対側上の穴418を通って上方に戻る。関節運動用ケーブル401aはその後、滑車366の片側上を通過し、中間ピボット部材233を貫通して形成された第2のチャネル420を通って延び、滑車370の反対側の周りを通過する。関節運動用ケーブル401aの第2の端部410b(図55)は、取り付け部材350内に形成された第2のチャネル422(図55)を通りかつそれに沿って延び、関節運動用リンク306bに取り付けられている。
【0064】
関節運動用ケーブル401bは、関節運動用リンク306cに取り付けられた第1の端部424aを有する。関節運動用ケーブル401bは、取り付け部材350内に形成されたチャネル426(図55)に沿ってかつそれを通って延び、滑車372の片側を斜めに周って中間ピボット部材233内に形成されたチャネル428(図50)を通る。関節運動用ケーブル401bは、チャネル428を出て滑車368の片側を回って上方へと通過し、カートリッジキャリヤ250近位端上部の片側上に形成されたブラケット430内の開口部を通る。関節運動用ケーブル401bは、ブラケット430から延び、カートリッジキャリヤ250近位端の反対側上の第2のブラケット432の開口部を通り、滑車366の片側を周って下方に延び中間ピボット部材233内に形成されたチャネル434を通る。関節運動用ケーブル401bは、チャネル434を出て滑車372の反対側の周りを通過し、取り付け部材350内に形成されたチャネル436を通りかつそれに沿って通過する。関節運動用ケーブル401bの第2の端部424bは、チャネル436を出て関節運動用リンク306dに取り付けられている。
【0065】
使用に際しては、関節運動用ケーブル401aの端部410aおよび410bが共に後方に引かれると、ツール組立体232は、第1の水平枢動軸を中心として、すなわちピボットピン282を中心として上方に枢動する。関節運動用ケーブル401bの端部424aおよび424bが共に後方に引かれると、ツール組立体232は、ピボットピン282を中心として下方に枢動する。関節運動用ケーブル401aの端部410aおよび関節運動用ケーブル401bの端部424aが共に後方に引かれると、ツール組立体232および中間ピボット部材233が、第2の垂直軸、すなわちピボットピン358を中心として、図55に示すように逆時計回り方向に枢動することになる。端部410bおよび端部424bが後方に引かれると、反対の現象が生じることになる。関節運動用ケーブルのうちの1本またはそれ以上を近位方向に引っ張ることにより、ツール組立体232の垂直枢動運動および水平枢動運動の任意の組み合わせを達成することができる。
【0066】
関節運動用ケーブル401aおよび401bの各々は、SULU16の関節運動用リンク306a〜306d、中央部分14の関節運動用リンク176a〜176d、および非剛体リンク202を介して関節運動アクチュエータ24に連結されている。関節運動アクチュエータ24を操作することにより、上に説明した運動の任意の組み合わせを実行することができ、それによって、ツール組立体232を、水平方向と垂直方向との間の方向を含むあらゆる方向に、少なくとも約90度関節運動させることができる。例えば図66〜図74を参照されたい。
【0067】
外科用ステープリング装置10を使用する前に、SULU16が細長い本体部分14の遠位端に固定される。図39、図40および図43〜図48を参照すると、SULU16を細長い本体部分14に連結するために、SULUの関節運動用リンク306a〜306d、後退用リンク308および発射用リンク310のフィンガ320が、細長い本体の関節運動用リンク176a〜176d、後退用リンク178および発射用リンク180の遠位端に形成されたスロット192にそれぞれ配置される(図39)。次に、細長い本体の外管172が、内側軸174の上を遠位方向に動かされる。外管172が遠位方向に移動する際に、外管172の遠位端が重ね板バネ196に係合し、連結ピン198を下方に枢動させて細長い本体のリンク176a〜180のフィンガ192aおよび192b内の孔194に通し、かつSULUのリンク306a〜310のフィンガ320の孔322を貫通させる。外管172が遠位方向に進められSULUの近位本体部分230の可動外管302と係合される。外管172がさらに前進するにつれて、可動外管302によって近位本体部分230の固定部材338が暴露され外管172の遠位ボール逃がし穴218a(図18e)内に受け入れられるまで、可動外管302は、バネ330の付勢に抗して内側軸304の上を遠位方向に押圧される。この時点で、細長い本体部分14の固定部材214も外管172の近位ボール逃がし穴218b内に受け入れられ、スナップ嵌合された突出部220が、外管172の近位端内の切欠き224に係合する。スナップ嵌合された突出部220の切欠き224内への係合によって、外管172がその前進位置(図56)に固定される。遠位ボール逃がし穴218a内における固定部材338の位置決めおよび近位ボール逃がし穴218b内における固定部材214の位置決めによって、DLU16の内側軸304および174ならびに細長い本体部分14に対するSULUおよび中央本体の関節運動用リンク、後退用リンクならびに発射用リンクの固定が解除され、関節運動およびステープリング装置の発射が促進される。
【0068】
上に簡単に論じたように、外科用ステープリング装置10は、把持具として動作することができる。図33を参照すると、装置10を把持具として用いるために、装置10は締め付けのない位置に維持または移動され、外輪108をその前進位置へ摺動させることにより、第2のシフトリング組立体68がその前進位置へ移動される。上に論じたように、これが生じる際に、内輪110が前進してカムピン132をカムスロット52b内に移動させ、バネ134が把持具の突出部52aを発射用ラックの切欠き50内に移動させることを可能にする。外輪82および108は互いに隣接しているので、外輪108の前進は、第1のシフトリング組立体66の外輪82の前進をも生じさせる。外輪82がその前進位置に移動しているときは、発射用つめ48が発射用ラック40に係合している。従って、トリガ20が作動または圧縮されると、バレル組立体62がスピンドル26を中心として近位方向に移動し、発射用ラック40を近位方向に動かす。発射用ラック40が近位方向に移動すると、発射用リンク180、SULUの発射用リンク310および発射用ケーブル274が近位方向に引かれる。関節運動用ケーブル274が近位方向に引かれると、ナイフバー264が遠位方向に動かされ、これによりカムバー268がアンビルプレート240のカム面244に係合してピボットピン282を中心としてアンビル組立体をカートリッジ組立体236に向けて枢動させ、ツール組立体232のジョー内の組織に対する把持機能を提供する。把持用つめ52は発射用ラック40の切欠き50内に係合しているので、トリガ20が術者によって解放され、バネ156によってその非圧縮状態に戻されると、発射用ラック40は、その前進位置に戻ることになる。これが生じる際に、ピニオン36が同時に後退用ラックをその後退位置に駆動し、駆動部材264をその後退位置に戻し、アンビル組立体およびカートリッジ組立体またはジョー234ならびに236をそれぞれそれらの開放形状へと移動させる。この工程を反復してステープリング装置10を把持具として用いることができる。
【0069】
装置10からステープルを打ち出すことが所望される場合、シフトリング組立体68の外輪108をその後退位置に移動させ、シフトリング組立体66の外輪82を前進位置に移動させて発射用つめ48を発射用ラック40と係合させることにより、把持用つめ52が発射用ラックの切欠き50から外される。その後、作動ストロークを経て可動トリガ20を固定ハンドル18に向けて圧縮し、発射用ラック40をガイドチャネル28内で近位方向に移動させることができる。上に論じたように、発射用ラック40の近位方向の動きによって、発射用リンク180、発射用リンク310および発射用ケーブル274が近位方向に移動し、駆動部材264をツール組立体32内で遠位方向に動かす。可動トリガ20の各作動ストロークによって駆動部材264の所定の、例えば15mmの直線的な動きが生じることに留意されたい。従って、外科用装置10は、複数のサイズ、例えば15mm、30mm、45mm、60mm等のSULUを発射するのに用いることができる。可動トリガの最初の作動ストロークによって、アンビル組立体234とカートリッジ組立体236の接近が生じる。その後の各作動ストロークによって、駆動部材264が、ツール組立体32を通って約15mm前進する。従って、45mmのSULUを有するステープラを発射するのには、4作動ストロークまたはNがSULUの長さである(N/15+1)作動ストロークを経て可動トリガを動かさなければならないであろう。
【0070】
ツール組立体32内の駆動部材264を後退させてカートリッジ組立体およびアンビル組立体をそれらの離間した位置に移動させるためには、第1のシフトリング組立体が後退位置に移動され、後退用つめ58が動かされて後退用ラック42と係合される。その後、ツール組立体32を経由して駆動部材264を戻すのに十分な回数の作動ストロークを経て、可動ハンドル20が移動される。
【0071】
本明細書に開示した実施形態に種々の変更を加えることができるのが理解されよう。例えば、開示した外科用ステープリング装置は、外科用ステープリング装置ではないSULU、例えば把持具、クリップアプライヤ、解剖器具、電気外科用封鎖装置等と併せて用いることができることが想定される。従って、用語「発射用リンク」は、ツール組立体の作動を生じさせるためのあらゆるリンクを含むことができる。さらに、SULUは、ステープラ以外のツール組立体または留め具、例えば把持具、封鎖装置(電気外科用および非電気外科用)等を射出する装置をも含むことができる。またさらに、本ステープリング装置は除去可能なSULUを有するように開示されているが、ツール組立体および中間ピボット部材は、外科用ステープリング装置の中央本体部分に非除去可能に固定されてもよい。従って、上述の説明は、限定するものと見なすべきではなく、単に好ましい実施形態の例示に過ぎないと見なすべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲および精神内で他の変更形態を想定するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、今回開示する外科用ステープリング装置の遠位端から見た側面斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す外科用ステープリング装置の近位端から見た側面斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す外科用ステープリング装置の側面図である。
【図4】図4は、図3に示す外科用ステープリング装置の上面図である。
【図5】図5は、ツール組立体が非関節運動状態にある、図4に示す外科用ステープリング装置のSULUの近位本体部分の遠位端およびツール組立体から見た側面斜視図である。
【図6】図6は、ツール組立体が第1の軸を中心として関節運動した、図5に示すSULUの遠位端から見た側面斜視図である。
【図7】図7は、ツール組立体が第1の軸に直角な第2の軸を中心として関節運動した、図6に示すSULUの遠位端から見た側面斜視図である。
【図8】図8は、ハンドル部分の半断面、回転制御部材および関節運動アクチュエータを除去した、図8に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分の中央部分からSULUを分離した、図4に示す外科用ステープリング装置の遠位端から見た側面斜視図である。
【図9】図9は、部品を分離しかつSULUを示していない、図8に示す外科用ステープリング装置の遠位端から見た側面斜視図である。
【図10】図10は、図8に示す外科用ステープリング装置の部品を分離した、中央本体部分の近位端、関節運動アクチュエータおよびアクチュエータのベース部材の片側断面ならびに回転制御部材の片側断面の側面斜視図である。
【図11】図11は、ハンドル部分の片側断面、関節運動アクチュエータおよび回転制御部材を除去した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の近位端ならびに中央本体部分の近位部から見た側面斜視図である。
【図12】図12は、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の最遠位部、回転制御部材、関節運動アクチュエータおよび中央本体部分の近位部から見た側面斜視図である。
【図13】図13は、ハンドル部分の片側断面および回転制御部材の片側断面ならびに関節運動アクチュエータを除去した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の遠位端および中央本体部分の近位部から見た側面斜視図である。
【図14】図14は、ハンドル部分の片側断面、回転制御部材および関節運動アクチュエータを除去した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分ならびに中央本体部分の近位部の側面図である。
【図15】図15は、図9に示す外科用ステープリング装置のスピンドルの遠位端およびバレル組立体から見た側面斜視図である。
【図16】図16は、部品を分離した、図15に示すスピンドルの遠位端およびバレル組立体から見た側面斜視図である。
【図17】図17は、図8に示す外科用ステープリングの中央本体部分の内部構成要素の部品を分離した側面斜視図である。
【図18】図18は、図17に示す指定詳細領域の拡大図である。図18aは、SULUの近位本体部分を部品を分離して示す、図8に示す外科用ステープリング装置のSULUの側面斜視図である。図18bは、図18aの切断線18b−18bに沿って取った断面図である。図18cは、図18aの切断線18c−18cに沿って取った断面図である。図18dは、図18aの切断線18d−18dに沿って取った断面図である。図18eは、外科用ステープリング装置の中央本体部分へのSULU取り付け時の、図18に示すSULUの近位本体部分の断面図である。
【図19】図19は、雑然としたケーブルを示していない、図18aに示すSULUのツール組立体の部品を分離して示す側面斜視図である。
【図20】図20は、図19に示すSULUのナイフバーの拡大側面斜視図である。
【図21】図21は、図19に示すSULUのガイドキャップの遠位端から見た拡大側面斜視図である。
【図22】図22は、組み立てた状態の、図19に示すSULUのカートリッジ組立体の上方から見た拡大側面斜視図である。
【図23】図23は、カートリッジおよびノーズキャップを除去した、図22に示すカートリッジ組立体の遠位端の一部の拡大側面斜視図である。
【図24】図24は、部品を分離しかつ発射用ケーブルおよび後退用ケーブルを概略的に示す、図22に示すカートリッジ組立体の一面から見た上面斜視図である。
【図25】図25は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図26】図26は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図27】図27は、図16に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図28】図28は、図15に示すバレル組立体のバレル組立体本体部分の遠位端から見た拡大側面斜視図である。
【図29】図29は、図15に示すバレル組立体およびスピンドルの上面図である。
【図30】図30は、図29に示すバレル組立体およびスピンドルの側面図である。
【図31】図31は、図30の切断線31−31に沿って取った断面図である。
【図32】図32は、図29の切断線32−32に沿って取った断面図である。
【図33】図33は、図32に示す指定詳細領域の拡大図である。図33aは、第1のシフトリング組立体および第2のシフトリング組立体がそれらの最遠位置にあり発射用つめが発射用ラックと係合している、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の一部の拡大水平断面図である。図33bは、図33aに示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の片側の部分部分を切断しかつ第2のシフトリング組立体をその最近位置に向けて移動している状態で示す水平断面図である。図33cは、第2のシフトリング組立体がその最近位置に移動した、図33aに示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の水平断面図である。図33dは、第2のシフトリング組立体がその最近位置にあり把持用つめが発射用ラックから離脱している、図30に示すバレル組立体およびスピンドルの断面図である。図33eは、第2のシフトリング組立体がその最近位置に移動した、図14に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の一部の側面図である。図33fは、第1のシフトリング組立体および第2のシフトリング組立体がそれらの最近位置に移動した、図1に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の水平断面図である。図33gは、第1のシフトリング組立体および第2のシフトリング組立体がそれらの最近位置にある、図30に示すバレル組立体ならびにスピンドルの垂直断面図である。
【図34】図34は、図33eに示すハンドル部分のハンドル部分片側断面の内部本体の側面図である。図34aは、図34の切断線34a−34aに沿って取った拡大部分切欠断面図である。
【図35】図35は、図34に示すハンドル部分の一部の拡大側面斜視図である。
【図36】図36は、図35に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図37】図37は、中央本体部分へのSULU取り付け前の、図8に示す外科用ステープリング装置のSULUの近位部分の遠位端および中央本体部分の遠位部から見た斜視図である。
【図38】図38は、図37に示すSULUの近位部分の近位端および中央本体部分の遠位部から見た斜視図である。
【図39】図39は、取り付け前の中央本体部分の関節運動用リンクの遠位端およびSULUの関節運動用リンクから見た斜視図である。
【図40】図40は、図39に示す関節運動用リンクの側面図である。図40aは、中間リンクによって相互連結された中央本体部分の発射用/後退用リンクおよびSULUの発射用/後退用リンクの断面図である。
【図41】図41は、外管を除去した、図8に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分の遠位端の斜視図である。
【図42】図42は、ハブ部材を除去した、図41に示す中央本体部分の遠位端から見た斜視図である。
【図43】図43は、本装置へのSULUの取り付け前の、図1に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図44】図44は、図2に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図45】図45は、中央本体部分へのSULU取り付け時の、SULU近位部分の遠位端および図8に示す外科用ステープリング装置の中央本体部分の遠位部から見た側面斜視図である。
【図46】図46は、相互への取り付け時の、SULU関節運動用リンクおよび中央本体部分関節運動用リンクの側面図である。
【図47】図47は、相互への完全取り付け直前の、本装置のSULU近位端および図45に示す本装置の中央本体部分遠位端の側面斜視図である。
【図48】図48は、SULUが中央本体部分に完全に取り付けられた、本装置のSULU近位端および本装置の中央本体部分遠位端の側面斜視図である。
【図49】図49は、図1に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図50】図50は、図2に示す指定詳細領域の拡大図である。
【図51】図51は、部品を分離した、図8に示す外科用ステープリング装置のカートリッジキャリヤ近位端の遠位端、中間ピボット組立体および取り付け部材から見た斜視図である。
【図52】図52は、関節運動用ケーブルを取り付けた、図51に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の底面斜視図である。
【図53】図53は、一対の回転滑車および関節運動用ケーブルを搭載した、図52に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の上面斜視図である。
【図54】図54は、中間ピボットおよび第2の一対の回転滑車を取り付けた、図53に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の上面斜視図である。
【図55】図55は、取り付け部材を中間ピボットに固定した、図54に示すカートリッジキャリヤ部分の近位端の上面斜視図である。
【図56】図56は、回転制御部材の片側断面を除去した、本外科用ステープリング装置のハンドル部分遠位端および中央本体部分近位端の拡大側面斜視図である。
【図57】図57は、図56に示す外科用ステープリング装置のスナップ式ボタンの上面から見た側面斜視図である。
【図58】図58は、図57に示すスナップ式ボタンの上面から見た第2の側面斜視図である。
【図59】図59は、本外科用ステープリング装置の関節運動前の、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分および中央本体部分の側面切欠図である。
【図60】図60は、図59に示す外科用ステープリング装置のキャリヤ部分、中間ピボット組立体および取り付け部材の側面断面図である。
【図61】図61は、図60に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の上面断面図である。
【図62】図62は、関節運動アクチュエータが近位方向に移動した、図59に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分および中央本体部分の側面切欠図である。
【図63】図63は、図62に示す外科用ステープリング装置のキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の側面断面図である。
【図64】図64は、図62に示す外科用ステープリング装置のSULUのキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の上面断面図である。
【図65】図65は、関節運動用ケーブルを部分的に想像線で示しかつSULUが非関節運動状態にある、図8に示す外科用ステープリング装置のキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の側面切欠図である。
【図66】図66は、SULUのツール組立体を第1の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第1の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の側面図である。
【図67】図67は、関節運動アクチュエータが図66に示す位置に移動された後の、図65に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の側面図である。
【図68】図68は、SULUのツール組立体を第2の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第2の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の側面図である。
【図69】図69は、関節運動アクチュエータが図68に示す位置に移動された後の、図65に示すキャリヤ部分、中間ピボット、および取り付け部材の側面図である。
【図70】図70は、図65に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の底面図である。
【図71】図71は、ツール組立体を第3の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第3の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の上面図である。
【図72】図72は、関節運動アクチュエータが図71に示す位置に移動された後の、図70に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の底面図である。
【図73】図73は、ツール組立体を第4の方向へ関節運動させるために関節運動アクチュエータが第4の位置に移動した、図8に示す外科用ステープリング装置のハンドル部分の上面図である。
【図74】図74は、関節運動アクチュエータが図73に示す位置に移動された後の、図70に示すキャリヤ部分、中間ピボットおよび取り付け部材の底面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用装置であって、
固定ハンドルおよび可動トリガを有するハンドル部分と、
該可動トリガに動作可能に連結された作動用リンクを含む、第1の長手方向軸を規定しかつ該ハンドル部分から遠位方向に延びる中央本体部分と、
該中央本体部分の遠位端に除去可能に固定された使い捨てローディングユニットとを備え、該使い捨てローディングユニットは、可動駆動部材を有するツール組立体を含み、該可動駆動部材は、該ツール組立体、非剛体リンク、および実質的に剛体のリンクを作動させ、該非剛体リンクは、該実質的に剛体のリンクを該可動駆動部材に相互連結し、該実質的に剛体のリンクは、該中央本体部分の該作動用リンクに解放可能に係合するための係合構造を含む外科用装置。
【請求項2】
前記ツール組立体は、内部で支持された複数のステープルを有するカートリッジ組立体およびアンビル組立体を含み、該アンビル組立体は、離間した位置と接近した位置との間で該カートリッジ組立体に対して相対的に移動可能である、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項3】
前記カートリッジ組立体の前記ステープルは、複数の線列に整列されている、請求項2に記載の外科用装置。
【請求項4】
前記可動駆動部材に隣接して配置された作動用スレッドをさらに含み、該可動駆動部材は、ナイフ刃、前記可動トリガの作動によって前記作動用リンクの動きが生じるように動作可能に該可動駆動部材と係合した前記非剛体リンク、前記実質的に剛体のリンク、および前記ツール組立体の少なくとも一部分を通る該駆動部材と該作動用スレッドの平行移動を生じさせるための前記非剛体リンクを含む、請求項1〜請求項3うちののいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項5】
前記カートリッジ組立体は、遠位端および該遠位端または該遠位端近傍に配置されたガイドを含み、前記非剛体リンクは、前記実質的に剛体のリンクに連結された第1の端部、該ガイドの一部分を周って該カートリッジ組立体を通って延びる中央部分、および前記駆動部材に動作可能に係合した第2の端部を有し、該非剛体リンクの近位方向の動きによって、前記ツール組立体の少なくとも一部分を通る該駆動部材および前記作動用スレッドの遠位方向の動きが生じる、請求項2、請求項3または請求項4のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項6】
前記使い捨てローディングユニットは、近位本体部分および中間ピボット部材をさらに含み、該近位本体部分は、前記ステープリング装置の前記中央本体部分に除去可能に固定され、該中間ピボット部材は、第1のピボット軸を中心として該近位本体部分に枢着され、かつ前記ツール組立体は、第2のピボット軸を中心として該中間ピボット部材に枢着され、該第1のピボット軸は、該第2のピボット軸に実質的に直交している、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項7】
前記ハンドル部分に隣接して支持された関節運動アクチュエータをさらに含み、該関節運動アクチュエータは、前記第1のピボット軸および第2のピボット軸を中心として前記ツール組立体を枢動させるように移動可能である、請求項6に記載の外科用装置。
【請求項8】
前記関節運動アクチュエータは、実質的に半球状の外面を有するベース部材上に支持されており、該関節運動アクチュエータは、該ベース部材を中心としたほぼ全方向の動きに対応している、請求項7に記載の外科用装置。
【請求項9】
前記中央本体部分は、4つの関節運動用リンクを含み、各関節運動用リンクは、非剛体リンクによって前記関節運動アクチュエータに連結された第1の端部および前記使い捨てローディングユニット内に支持された対応する関節運動用リンクに解放可能に係合するように適合された第2の端部を有する、請求項8に記載の外科用装置。
【請求項10】
前記中央本体部分は、前記ハンドル部分に対して相対的に回転自在である、請求項1〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項11】
前記非剛体リンクは、織物ケーブルおよび不織物ケーブル、ロープ、コード、フィラメント、糸、ワイヤおよびKevlarストランドからなる群から選択される、請求項1〜請求項10のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項12】
使い捨てローディングユニットであって、
複数のステープルおよびアンビル組立体を有するカートリッジ組立体を含むツール組立体を備え、該アンビル組立体は、離間した位置と接近した位置との間で該カートリッジ組立体に対して相対的に移動可能であり、
近位本体部分を備え、
第1のピボット軸を中心として前記ツール組立体に枢着されかつ第2のピボット軸を中心として前記近位本体部分に枢着された中間ピボット部材を備え、該第1のピボット軸は、該第2のピボット軸に実質的に直交する、使い捨てローディングユニット。
【請求項13】
前記近位本体部分は、非剛体の関節運動用リンクによって前記ツール組立体に動作可能に連結された複数の実質的に剛体の関節運動用リンクを含む、請求項12に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項14】
前記複数の実質的に剛体の関節運動用リンクは各々、外科用ステープリング器具に解放可能に係合するための近位係合構造を含む、請求項13に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項15】
前記非剛体関節運動用リンクの各々は、前記中間ピボット部材を貫通して形成されたチャネルを通って延び、前記ツール組立体と動作可能に係合している、請求項13または請求項14のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項16】
前記複数の剛体関節運動用リンクは、4つの関節運動用リンクを含み、前記非剛体関節運動用リンクの各々は、第1の実質的に剛体の関節運動用リンクに固定された第1の端部、前記ツール組立体と動作可能に関連付けられた中央部分および第2の実質的に剛体の関節運動用リンクに固定された第2の端部を有する、請求項13、請求項14または請求項15のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項17】
前記各非剛体関節運動用リンクの中央部分は、前記カートリッジ組立体の近位端と動作可能に関連付けられている、請求項16に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項18】
前記近位係合構造は、それを貫通して形成された孔を有する延長部分を含む、請求項14、請求項15または請求項16のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項19】
前記ツール組立体は、前記カートリッジ組立体から前記ステープルを打ち出すために該ツール組立体を通って平行移動するように配置された駆動部材を含む、請求項12〜請求項18のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項20】
前記近位本体部分内に移動可能に支持された実質的に剛体の発射用リンクをさらに含み、該実質的に剛体の発射用リンクは、非剛体の発射用リンクによって前記駆動部材に動作可能に連結されている、請求項12に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項21】
前記非剛体の発射用リンクは、前記実質的に剛体の発射用リンクに連結された第1の端部、前記ツール組立体を通りかつ該ツール組立体の前記遠位端内に支持されたガイドの周りを延びる中央部分および前記駆動部材と動作可能に係合された第2の端部を有し、前記近位本体部分内での該実質的に剛体の発射用リンクの近位方向の動きが該ツール組立体内での該駆動部材の遠位方向前進を生じさせる、請求項20に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項22】
前記近位本体部分内に移動可能に支持された実質的に剛体の後退用リンクをさらに含み、該実質的に剛体の後退用リンクは、非剛体の後退用リンクによって前記駆動部材に動作可能に連結されている、請求項21に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項23】
前記非剛体の後退用リンクは、前記剛体の後退用リンクの近位方向の動きが前記ツール組立体内での前記駆動部材の近位方向の動きを生じさせるように該駆動部材に動作可能に係合している、請求項22に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項24】
前記駆動部材はナイフ刃を支持している、請求項19〜請求項23のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項25】
前記実質的に剛体の関節運動用リンクおよび前記実質的に剛体の発射用リンクの各々の前記近位端は、外科用ステープリング装置に解放可能に係合するための係合用構造を含む、請求項22〜請求項24のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項26】
前記非剛体の発射用リンクおよび前記非剛体の後退用リンクはケーブルである、請求項22〜請求項24のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項27】
外科用装置であって、
固定ハンドルを画定する本体、可動トリガ、該本体内に支持されたスピンドルおよび該スピンドルの周りに摺動自在に配置されたバレル組立体を含むハンドル部分を備え、該スピンドルは、該外科用装置の駆動部材に動作可能に連結された第1のラックを摺動自在に受け入れるための第1の案内軌道を画定し、該バレル組立体は、該第1のラックに係合している第1の位置から該第1のラックから離脱した第2の位置へ選択的に移動可能な第1のつめを含み、該可動トリガは、該可動トリガの動きによって該バレル組立体の該スピンドルに対して相対的な軸方向の動きが生じるように該バレル組立体と動作可能に関連付けられており、該第1のつめがその第1の位置にあるときは、該バレル組立体の第1の軸方向の動きによって該第1のラックの対応する軸方向の動きが生じ、該外科用装置の該駆動部材を動かす、外科用装置。
【請求項28】
前記スピンドルは、前記外科用装置の前記駆動部材に動作可能に連結された第2のラックを摺動自在に受け入れるための第2の案内軌道を画定し、前記バレル組立体は、該第2のラックに係合している第1の位置から該第2のラックから離脱している第2の位置へ選択的に移動可能な第2のつめを含み、該第2のつめがその第1の位置にあるときは、第1の方向への該スピンドルに対して相対的な該バレル組立体の軸方向の動きによって該第2のラックの対応する軸方向の動きが生じ、該外科用装置の該駆動部材を軸方向に動かす、請求項27に記載の外科用装置。
【請求項29】
前記ハンドル部分内に支持された第1のシフトリング組立体をさらに含み、該第1のシフトリング組立体は、前記第1のつめおよび第2のつめに動作可能に関連付けられており、該第1のつめがその第1の位置にありかつ該第2のつめがその第2の位置にある第1の位置から該第1のつめがその第2の位置にありかつ該第2のつめがその第1の位置にある第2の位置へ移動可能である、請求項28に記載の外科用装置。
【請求項30】
前記第1のラックは、ピニオンで前記第2のラックに連結されており、1つの方向への該第1のラックの動きによって反対方向への該第2のラックの動きが生じる、請求項29に記載の外科用装置。
【請求項31】
前記第1のシフトリング組立体は、外輪および内輪を含み、該内輪は、前記バレル組立体の周りに配置されかつ該内輪を横断し前記第1のつめ内に形成された第1のカムスロットを通って延びる第1のロッドならびに該内輪を横断し前記第2のつめ内の第2のカムスロットを通って延びる第2のロッドを有し、該内輪は、第1と第2のつめをそれらの第1と第2の位置の間で移動させるように、該バレル組立体に対して相対的に摺動自在である、請求項29または請求項30のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項32】
前記スピンドル、前記バレル組立体および前記内輪は、該スピンドルの長手方向軸を中心として回転自在である、請求項31に記載の外科用装置。
【請求項33】
前記外輪は、前記ハンドル部分の前記本体内の前記第1のシフトリング組立体の前記内輪の周りに配置されており、該外輪は、該ハンドル部分の該本体内に対して回転自在に固定され、かつ該内輪内に形成された環状陥凹部に受け入れられるような寸法を有する内側突出部を有するバネアームを含み、該バネアームは、該バネアームの内側突出部を該内輪の該環状陥凹部に配置するために内方に変形可能であり、これにより該外輪の直線的な動きが該内輪の直線的な動きに変換される、請求項32に記載の外科用装置。
【請求項34】
前記ハンドル部分の前記本体の内壁上にカム面をさらに含み、前記バネアームは、外側接合部材をさらに含み、前記第1のシフトリング組立体の前記外輪が前記バレル組立体に対して相対的に直線移動されて該外輪の動きを前記内輪の動きに変換する際に、該接合部材と該カム面との間の係合によって該バネアームの内側突出部が該内輪の前記環状陥凹部内に促される、請求項33に記載の外科用装置。
【請求項1】
外科用装置であって、
固定ハンドルおよび可動トリガを有するハンドル部分と、
該可動トリガに動作可能に連結された作動用リンクを含む、第1の長手方向軸を規定しかつ該ハンドル部分から遠位方向に延びる中央本体部分と、
該中央本体部分の遠位端に除去可能に固定された使い捨てローディングユニットとを備え、該使い捨てローディングユニットは、可動駆動部材を有するツール組立体を含み、該可動駆動部材は、該ツール組立体、非剛体リンク、および実質的に剛体のリンクを作動させ、該非剛体リンクは、該実質的に剛体のリンクを該可動駆動部材に相互連結し、該実質的に剛体のリンクは、該中央本体部分の該作動用リンクに解放可能に係合するための係合構造を含む外科用装置。
【請求項2】
前記ツール組立体は、内部で支持された複数のステープルを有するカートリッジ組立体およびアンビル組立体を含み、該アンビル組立体は、離間した位置と接近した位置との間で該カートリッジ組立体に対して相対的に移動可能である、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項3】
前記カートリッジ組立体の前記ステープルは、複数の線列に整列されている、請求項2に記載の外科用装置。
【請求項4】
前記可動駆動部材に隣接して配置された作動用スレッドをさらに含み、該可動駆動部材は、ナイフ刃、前記可動トリガの作動によって前記作動用リンクの動きが生じるように動作可能に該可動駆動部材と係合した前記非剛体リンク、前記実質的に剛体のリンク、および前記ツール組立体の少なくとも一部分を通る該駆動部材と該作動用スレッドの平行移動を生じさせるための前記非剛体リンクを含む、請求項1〜請求項3うちののいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項5】
前記カートリッジ組立体は、遠位端および該遠位端または該遠位端近傍に配置されたガイドを含み、前記非剛体リンクは、前記実質的に剛体のリンクに連結された第1の端部、該ガイドの一部分を周って該カートリッジ組立体を通って延びる中央部分、および前記駆動部材に動作可能に係合した第2の端部を有し、該非剛体リンクの近位方向の動きによって、前記ツール組立体の少なくとも一部分を通る該駆動部材および前記作動用スレッドの遠位方向の動きが生じる、請求項2、請求項3または請求項4のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項6】
前記使い捨てローディングユニットは、近位本体部分および中間ピボット部材をさらに含み、該近位本体部分は、前記ステープリング装置の前記中央本体部分に除去可能に固定され、該中間ピボット部材は、第1のピボット軸を中心として該近位本体部分に枢着され、かつ前記ツール組立体は、第2のピボット軸を中心として該中間ピボット部材に枢着され、該第1のピボット軸は、該第2のピボット軸に実質的に直交している、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項7】
前記ハンドル部分に隣接して支持された関節運動アクチュエータをさらに含み、該関節運動アクチュエータは、前記第1のピボット軸および第2のピボット軸を中心として前記ツール組立体を枢動させるように移動可能である、請求項6に記載の外科用装置。
【請求項8】
前記関節運動アクチュエータは、実質的に半球状の外面を有するベース部材上に支持されており、該関節運動アクチュエータは、該ベース部材を中心としたほぼ全方向の動きに対応している、請求項7に記載の外科用装置。
【請求項9】
前記中央本体部分は、4つの関節運動用リンクを含み、各関節運動用リンクは、非剛体リンクによって前記関節運動アクチュエータに連結された第1の端部および前記使い捨てローディングユニット内に支持された対応する関節運動用リンクに解放可能に係合するように適合された第2の端部を有する、請求項8に記載の外科用装置。
【請求項10】
前記中央本体部分は、前記ハンドル部分に対して相対的に回転自在である、請求項1〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項11】
前記非剛体リンクは、織物ケーブルおよび不織物ケーブル、ロープ、コード、フィラメント、糸、ワイヤおよびKevlarストランドからなる群から選択される、請求項1〜請求項10のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項12】
使い捨てローディングユニットであって、
複数のステープルおよびアンビル組立体を有するカートリッジ組立体を含むツール組立体を備え、該アンビル組立体は、離間した位置と接近した位置との間で該カートリッジ組立体に対して相対的に移動可能であり、
近位本体部分を備え、
第1のピボット軸を中心として前記ツール組立体に枢着されかつ第2のピボット軸を中心として前記近位本体部分に枢着された中間ピボット部材を備え、該第1のピボット軸は、該第2のピボット軸に実質的に直交する、使い捨てローディングユニット。
【請求項13】
前記近位本体部分は、非剛体の関節運動用リンクによって前記ツール組立体に動作可能に連結された複数の実質的に剛体の関節運動用リンクを含む、請求項12に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項14】
前記複数の実質的に剛体の関節運動用リンクは各々、外科用ステープリング器具に解放可能に係合するための近位係合構造を含む、請求項13に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項15】
前記非剛体関節運動用リンクの各々は、前記中間ピボット部材を貫通して形成されたチャネルを通って延び、前記ツール組立体と動作可能に係合している、請求項13または請求項14のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項16】
前記複数の剛体関節運動用リンクは、4つの関節運動用リンクを含み、前記非剛体関節運動用リンクの各々は、第1の実質的に剛体の関節運動用リンクに固定された第1の端部、前記ツール組立体と動作可能に関連付けられた中央部分および第2の実質的に剛体の関節運動用リンクに固定された第2の端部を有する、請求項13、請求項14または請求項15のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項17】
前記各非剛体関節運動用リンクの中央部分は、前記カートリッジ組立体の近位端と動作可能に関連付けられている、請求項16に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項18】
前記近位係合構造は、それを貫通して形成された孔を有する延長部分を含む、請求項14、請求項15または請求項16のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項19】
前記ツール組立体は、前記カートリッジ組立体から前記ステープルを打ち出すために該ツール組立体を通って平行移動するように配置された駆動部材を含む、請求項12〜請求項18のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項20】
前記近位本体部分内に移動可能に支持された実質的に剛体の発射用リンクをさらに含み、該実質的に剛体の発射用リンクは、非剛体の発射用リンクによって前記駆動部材に動作可能に連結されている、請求項12に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項21】
前記非剛体の発射用リンクは、前記実質的に剛体の発射用リンクに連結された第1の端部、前記ツール組立体を通りかつ該ツール組立体の前記遠位端内に支持されたガイドの周りを延びる中央部分および前記駆動部材と動作可能に係合された第2の端部を有し、前記近位本体部分内での該実質的に剛体の発射用リンクの近位方向の動きが該ツール組立体内での該駆動部材の遠位方向前進を生じさせる、請求項20に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項22】
前記近位本体部分内に移動可能に支持された実質的に剛体の後退用リンクをさらに含み、該実質的に剛体の後退用リンクは、非剛体の後退用リンクによって前記駆動部材に動作可能に連結されている、請求項21に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項23】
前記非剛体の後退用リンクは、前記剛体の後退用リンクの近位方向の動きが前記ツール組立体内での前記駆動部材の近位方向の動きを生じさせるように該駆動部材に動作可能に係合している、請求項22に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項24】
前記駆動部材はナイフ刃を支持している、請求項19〜請求項23のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項25】
前記実質的に剛体の関節運動用リンクおよび前記実質的に剛体の発射用リンクの各々の前記近位端は、外科用ステープリング装置に解放可能に係合するための係合用構造を含む、請求項22〜請求項24のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項26】
前記非剛体の発射用リンクおよび前記非剛体の後退用リンクはケーブルである、請求項22〜請求項24のうちのいずれか1項に記載の使い捨てローディングユニット。
【請求項27】
外科用装置であって、
固定ハンドルを画定する本体、可動トリガ、該本体内に支持されたスピンドルおよび該スピンドルの周りに摺動自在に配置されたバレル組立体を含むハンドル部分を備え、該スピンドルは、該外科用装置の駆動部材に動作可能に連結された第1のラックを摺動自在に受け入れるための第1の案内軌道を画定し、該バレル組立体は、該第1のラックに係合している第1の位置から該第1のラックから離脱した第2の位置へ選択的に移動可能な第1のつめを含み、該可動トリガは、該可動トリガの動きによって該バレル組立体の該スピンドルに対して相対的な軸方向の動きが生じるように該バレル組立体と動作可能に関連付けられており、該第1のつめがその第1の位置にあるときは、該バレル組立体の第1の軸方向の動きによって該第1のラックの対応する軸方向の動きが生じ、該外科用装置の該駆動部材を動かす、外科用装置。
【請求項28】
前記スピンドルは、前記外科用装置の前記駆動部材に動作可能に連結された第2のラックを摺動自在に受け入れるための第2の案内軌道を画定し、前記バレル組立体は、該第2のラックに係合している第1の位置から該第2のラックから離脱している第2の位置へ選択的に移動可能な第2のつめを含み、該第2のつめがその第1の位置にあるときは、第1の方向への該スピンドルに対して相対的な該バレル組立体の軸方向の動きによって該第2のラックの対応する軸方向の動きが生じ、該外科用装置の該駆動部材を軸方向に動かす、請求項27に記載の外科用装置。
【請求項29】
前記ハンドル部分内に支持された第1のシフトリング組立体をさらに含み、該第1のシフトリング組立体は、前記第1のつめおよび第2のつめに動作可能に関連付けられており、該第1のつめがその第1の位置にありかつ該第2のつめがその第2の位置にある第1の位置から該第1のつめがその第2の位置にありかつ該第2のつめがその第1の位置にある第2の位置へ移動可能である、請求項28に記載の外科用装置。
【請求項30】
前記第1のラックは、ピニオンで前記第2のラックに連結されており、1つの方向への該第1のラックの動きによって反対方向への該第2のラックの動きが生じる、請求項29に記載の外科用装置。
【請求項31】
前記第1のシフトリング組立体は、外輪および内輪を含み、該内輪は、前記バレル組立体の周りに配置されかつ該内輪を横断し前記第1のつめ内に形成された第1のカムスロットを通って延びる第1のロッドならびに該内輪を横断し前記第2のつめ内の第2のカムスロットを通って延びる第2のロッドを有し、該内輪は、第1と第2のつめをそれらの第1と第2の位置の間で移動させるように、該バレル組立体に対して相対的に摺動自在である、請求項29または請求項30のうちのいずれか1項に記載の外科用装置。
【請求項32】
前記スピンドル、前記バレル組立体および前記内輪は、該スピンドルの長手方向軸を中心として回転自在である、請求項31に記載の外科用装置。
【請求項33】
前記外輪は、前記ハンドル部分の前記本体内の前記第1のシフトリング組立体の前記内輪の周りに配置されており、該外輪は、該ハンドル部分の該本体内に対して回転自在に固定され、かつ該内輪内に形成された環状陥凹部に受け入れられるような寸法を有する内側突出部を有するバネアームを含み、該バネアームは、該バネアームの内側突出部を該内輪の該環状陥凹部に配置するために内方に変形可能であり、これにより該外輪の直線的な動きが該内輪の直線的な動きに変換される、請求項32に記載の外科用装置。
【請求項34】
前記ハンドル部分の前記本体の内壁上にカム面をさらに含み、前記バネアームは、外側接合部材をさらに含み、前記第1のシフトリング組立体の前記外輪が前記バレル組立体に対して相対的に直線移動されて該外輪の動きを前記内輪の動きに変換する際に、該接合部材と該カム面との間の係合によって該バネアームの内側突出部が該内輪の前記環状陥凹部内に促される、請求項33に記載の外科用装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【公表番号】特表2007−524451(P2007−524451A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517469(P2006−517469)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/019710
【国際公開番号】WO2004/112618
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501289751)タイコ・ヘルスケア・グループ・リミテッド・パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/019710
【国際公開番号】WO2004/112618
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501289751)タイコ・ヘルスケア・グループ・リミテッド・パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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