説明

外科用テザー装置および使用方法

患者の脊髄分節の屈曲を制御する方法および装置は、脊髄分節の中の1対の隣接する椎骨に脊椎固定手技を行うステップと、拘束デバイスを患者に埋め込むステップとを含む。拘束デバイスの長さまたは張力を調整することにより、拘束デバイスが固定を受けるべき脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供することを可能にする。拘束デバイスはまた、固定を受けるべき脊髄分節またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する。いくつかの実施形態では、拘束デバイスは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されたコンプライアンス部材とを有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.発明の分野)本発明は、概して、医療方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、固定された脊髄分節の屈曲を制限するために使用される方法および装置に関する。本明細書で開示される方法および装置は、単独で、または背痛等の脊髄障害がある患者を治療することを目的としている固定または他の整形外科手技と組み合わせて、使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
しばしば不安定の問題および/または背痛をもたらす、多数の脊椎の症状が存在する。慢性腰痛の主な原因は、椎間板内破裂としても称される、椎間板起因の疼痛である。椎間板起因の疼痛は、比較的機能障害になる可能性があり、一部の患者では、労働および生活を満喫する能力に影響を及ぼす可能性がある。椎間板起因の疼痛を罹患する患者は、若年であるか、さもなければ、背部に局限した疼痛を呈する健康な個人である傾向がある。椎間板起因の疼痛は、通常、脊椎のL4−L5またはL5−S1接合部に位置する椎間板で生じる。疼痛は、患者が腰椎を屈曲させたときに(すなわち、座位または前屈によって)悪化し、腰椎を伸展させた時に(すなわち、立位または後屈によって)緩和する傾向がある。屈曲および伸展は、腰部の機械的荷重パターンを変化させることが知られている。腰部が伸展状態にあるときに、腰部によって負担される軸荷重は、椎間板および面関節によって共有される(荷重の約30%が面関節によって負担される)。屈曲時に、分節荷重は、ほぼ完全に椎間板によって負担される。さらに、核は後方に移行し、(神経支配される)線維輪の後方部分への荷重を変化させ、その線維に張力および剪断力を受けさせる可能性が高い。次いで、分節屈曲は、椎間板によって負担される荷重を増大させるとともに、より有痛性の方法で荷重を負担させる。したがって、椎間板および隣接組織の領域中の荷重を低減するために、単独で、または他の脊椎治療と組み合わせて使用することができる、方法および装置を提供することが望ましいであろう。
【0003】
背痛および脊椎移動性に対処するために、いくつかの治療が存在する。これらのうちのいくつかは、罹患脊髄分節の固定を含むが、それに限定されない。患者はまた、固定が治癒することを可能にするために、3ヶ月から6ヶ月間、外部背部矯正装具を装着するよう要求される場合がある。残念ながら、外部矯正装具は、不快、高価、使用が不便となり得て、患者コンプライアンスがしばしば低いため、そのような矯正器は必ずしも望ましいとは限らない。背部矯正装具の代替案は、脊髄分節に従来の器具類を取り付けることである。従来の器具類も、固定を促進し、固定された分節に沿った後続の運動を防止する。この治療は効果的となる場合があるが、欠点もあり得る。例えば、従来の器具類を用いた固定手技は、より侵襲性であり、剛体器具類が使用されるときに(すなわち、椎弓根ネジおよび脊椎安定化ロッド)、脊髄分節の器具を取り付けた領域脊髄分節が非常に堅くなり、固定分節にわたって運動が妨げられる。荷重が組織よりもむしろ器具類によって負担され得て、隣接分節における荷重および運動が増加され得る。ある量の運動および荷重が、実際に治癒過程に役立ち、固定を推進し、隣接するインプランとおよび組織への過剰な摩耗および断裂を防止する場合があるため、これは必ずしも望ましいとは限らない。また、器具類への荷重は、器具類の弛緩または他の機械的故障をもたらす場合がある。したがって、固定された脊髄分節に器具を取り付けるための改良型デバイスを有することが望ましいであろう。また、改良型デバイスが、弛緩および他の機械的故障の可能性を最小化するように、デバイス/骨界面における荷重を最小化するならば望ましいであろう。また、デバイスが骨/インプラント界面におけるピーク荷重パターンを弱めるならば望ましいであろう。
【0004】
したがって、前述の理由により、固定移植片の運動および荷重を依然として可能にしながら、椎骨の融合を促進することに役立つために、脊髄固定手技とともに使用することができる方法および装置を提供することが有利であろう。さらに、患者にとって低侵襲性であり、費用効果が良好で使いやすい方法および装置を提供することが望ましいであろう。
【0005】
(2.背景技術の記述)関心の特許および公開出願は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、米国特許第5,415,658号、同第5,415,661号、同第5,449,361号、同第5,456,722号、同第5,462,542号、同第5,496,318号、同第5,540,698号、同第5,562,737号、同第5,609,634号、同第5,628,756号、同第5,645,599号、同第5,725,582号、同第5,902,305号、Re.第36,221号、同第5,928,232号、同第5,935,133号、同第5,964,769号、同第5,989,256号、同第6,053,921号、同第6,248,106号、同第6,312,431号、同第6,364,883号、同第6,378,289号、同第6,391,030号、同第6,468,309号、同第6,436,099号、同第6,451,019号、同第6,582,433号、同第6,605,091号、同第6,626,944号、同第6,629,975号、同第6,652,527号、同第6,652,585号、同第6,656,185号、同第6,669,729号、同第6,682,533号、同第6,689,140号、同第6,712,819号、同第6,689,168号、同第6,695,852号、同第6,716,245号、同第6,761,720号、同第6,835,205号、同第7,029,475号、同第7,163,558号、米国特許出願公開第2002/0151978号、同第2004/0024458号、同第2004/0106995号、同第2004/0116927号、同第2004/0117017号、同第2004/0127989号、同第2004/0172132号、同第2004/0243239号、同第2005/0033435号、同第2005/0049708号、第2005/0192581号、第2005/0216017号、同第2006/0069447号、同第2006/0136060号、同第2006/0240533号、同第2007/0213829号、同第2007/0233096号、第2008/0009866号、第2008/0108993号、国際公開第01/28442A1号、同第02/03882A2号、同第02/051326A1号、同第02/071960A1号、同第03/045262A1号、同第2004/052246A1号、同第2004/073532A1号、同第2008/051806号、同第2008/051423号、同第2008/051801号、同第2008/051802号、および公開外国出願である欧州特許第0322334A1号、および仏国特許出願公開第2681525A1号を含む。脊髄分節に適用される可撓性拘束の機械的性質は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、およびVoydevilleらの(1992)Orthop Traumatol 2、259−264において説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,648,691号明細書
【特許文献2】米国特許第4,643,178号明細書
【特許文献3】米国特許第4,743,260号明細書
【特許文献4】米国特許第4,966,600号明細書
【特許文献5】米国特許第5,011,494号明細書
【特許文献6】米国特許第5,092,866号明細書
【特許文献7】米国特許第5,116,340号明細書
【特許文献8】米国特許第5,282,863号明細書
【特許文献9】米国特許第5,180,393号明細書
【特許文献10】米国特許第5,395,374号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Pappら、(1997)Spine 22、151−155
【非特許文献2】Dickmanら、(1997)Spine 22、596−604
【非特許文献3】Garnerら、(2002)Eur.Spine J.、S186−S191
【非特許文献4】Al Bazら、(1995)Spine 20、No.11,1241−1244
【非特許文献5】Heller、(1997)Arch.Orthopedic and Trauma Surgery、117、No.1−2、96−99
【非特許文献6】Leahyら、(2000)Proc.Inst.Mech.Eng.、Part H、J.Eng.Med.214、No.5、489−495
【非特許文献7】Minnsら、(1997)Spine 22、No.16、1819−1825
【非特許文献8】Miyasakaら、(2000)Spine 25、No.6、732−737
【非特許文献9】Shepherdら、(2000)Spine 25、No.3、319−323
【非特許文献10】Shepherd、(2001)Medical Eng.Phys.23、No.2、135−141
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、概して、医療方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、固定されるべき脊髄分節の屈曲を制限するために使用される方法および装置に関する。本明細書で開示される方法および装置は、単独で、または背痛等の脊髄障害がある患者を治療することを目的としている固定または他の整形外科手技と組み合わせて、使用されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面では、患者の脊髄分節の屈曲を制御するための方法は、脊髄分節の中の1対の隣接する椎骨に脊椎固定手技を行うステップと、拘束デバイスを患者に埋め込むステップとを含む。埋め込むステップは、拘束デバイスを脊髄分節と連結するステップを含む。方法はまた、拘束デバイスが、固定を受けるべき脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように、拘束デバイスの長さまたは張力を調整するステップも含む。拘束デバイスはまた、骨移植材料およびそれに隣接する組織を含む、固定を受けるべき脊髄分節によって負担される荷重を修正する。いくつかの実施形態では、拘束デバイスは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されたコンプライアンス部材とを有してもよい。拘束デバイスの上部分は、上棘突起と係合されてもよく、拘束デバイスの下部分は、下棘突起または仙骨と係合されてもよい。拘束デバイスの長さまたは張力は、所望の値に調整されてもよい。長さまたは張力は、固定が患者の自然な前弯曲線と一致する位置で形成することを促すように調整されてもよい。
【0010】
脊椎固定手技を行うステップは、骨移植材料を、隣接する椎骨上の後方、側方、後側方、または椎体間位置のうちの1つに適用するステップを含む。骨移植片は、拘束が連結される、固定される椎骨の棘突起の間に、または棘突起と平行して配置されてもよい。時には、脊椎固定手技を行うステップは、1対の隣接する椎骨の間の椎間板腔での椎間移植、または骨移植材料を上棘突起および下棘突起に適用するステップを含んでもよい。脊椎固定手技を行うステップはまた、第1の補綴を患者に埋め込むステップを含んでもよい。第1の補綴は、脊髄分節の少なくとも一部分と係合されてもよい。拘束デバイスは、第1の補綴およびそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正してもよい。拘束デバイスは、固定手技と同じ外科手技中に埋め込まれ、脊髄分節と連結されてもよい。加えて、拘束デバイスは、ともに融合するにつれて分節を安定化し、固定手技後に形成するのに数ヶ月かかる場合がある。固定が生じた後に、拘束は、もはやさらなる有益性を提供しなくなり、除去されるか、または定位置に残されてもよい。定位置に残された場合、拘束デバイスは、従来の器具類よりも長く存続してもよい。拘束デバイスのコンプライアンスにより、拘束デバイスは、固定された分節の微動に適応することができ、したがって、複雑分節荷重を伝達し、稼働中に故障する可能性が高い剛体器具類システムと比較して、より低い荷重および摩耗を体験する。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の補綴を埋め込むステップは、1対の隣接する椎骨の間に椎間デバイスを設置するステップを含んでもよい。椎間デバイスは、関節固定手技の進展中に1対の隣接する椎骨の間の整列および距離を維持するように構成されてもよい。椎間デバイスは、椎体間固定ケージを備えてもよい。他の実施形態では、第1の補綴を埋め込むステップは、1対の隣接する椎骨の間に骨移植材料を設置するステップを含んでもよく、骨移植材料は、骨組織の同種移植片または自家移植片、異種移植片、およびまた合成骨移植片、あるいは骨の成長を刺激するように設計されている骨形成タンパク質等の作用物質から成る群より選択されてもよい。骨移植材料を設置することに加えて、第1の補綴を埋め込むステップはさらに、関節固定手技の進展中に、1対の隣接する椎骨の間に椎体間固定ケージを設置するステップを含んでもよい。
【0012】
拘束デバイスを埋め込むステップは、上棘突起の下面と下棘突起または仙骨の上面との間に延在する棘間領域の中に補綴を直接埋め込むことなく、拘束デバイスを上棘突起および下棘突起または仙骨と係合するステップを含んでもよい。拘束デバイスを埋め込むステップはまた、上棘突起の上面より上位で貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺するステップと、貫通を通して上部テザー部分を前進させるステップとを含んでもよい。テザーはまた、そこからの棘間靱帯の外科的除去によって作成されている、上棘突起と隣接する棘突起との間の間隙を通して前進させられてもよい。拘束デバイスを埋め込むステップはまた、下棘突起の下面より下位で貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺するステップと、貫通を通して下部テザー部分を前進させるステップとを含んでもよい。テザーはまた、そこからの棘間靱帯の外科的除去によって作成されている、下棘突起と隣接する棘突起または仙骨との間の間隙を通して前進させられてもよい。代替として、拘束デバイスは、棘間靱帯の外科的除去によって作成された棘突起間の間隙を通して前進させられてもよい。
【0013】
拘束デバイスの長さまたは張力を調整するステップは、脊髄分節の治療中、および脊髄分節の治癒中または治癒後に、長さまたは張力を複数回調整するステップを含んでもよい。調整は、経皮的に行われてもよい。
【0014】
時には、第1の補綴または拘束デバイスの少なくとも1つは、脊髄分節の中の組織を修正するように適合される治療薬を備えてもよい。治療薬は、骨形成タンパク質を備えてもよい。
【0015】
本発明の別の側面では、患者の脊髄分節の屈曲を制御するためのシステムは、固定される脊髄分節の領域の周囲に少なくとも部分的に配置される拘束デバイスを備える。拘束デバイスは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されたコンプライアンス部材とを有する。上部テザー部分は、固定される脊髄分節に沿って上棘突起と連結され、下部テザー部分は、固定される脊髄分節に沿って下棘突起または仙骨と連結される。拘束デバイスの長さまたは張力は、拘束デバイスが、固定される脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように、調整可能である。また、拘束デバイスは、移植材料およびそれに隣接する組織を含む、固定される脊髄分節によって負担される荷重を修正する。
【0016】
拘束デバイスは、上棘突起および下棘突起または仙骨と係合されてもよく、上棘突起の下面と下棘突起または仙骨の上面との間に直接延在する棘間領域は、埋め込まれた補綴を含まないままであってもよい。
【0017】
システムはさらに、固定される脊髄分節の領域と連結される第1の補綴を備えてもよい。拘束デバイスは、第1の補綴によって、またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正してもよい。時には、第1の補綴は、固定される脊髄分節の領域中で2つの隣接する椎骨の間に配置される、椎間デバイスを備えてもよい。椎間デバイスは、関節固定手技の進展中に、椎間板材料が2つの隣接する椎骨の間に配置された後に、2つの隣接する椎骨の間の整列および距離を維持するように構成されてもよい。椎間デバイスは、固定される脊髄分節の領域中で2つの隣接する椎骨の固定を促進するように適合される、椎体間固定ケージを備えてもよい。第1の補綴はまた、2つの隣接する椎骨の間に配置される骨移植材料を備えてもよく、骨移植材料は、脊髄分節の2つの隣接する椎骨の固定を促進するように適合される。骨移植材料は、同種移植片、自家移植片、異種移植片、合成材料、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0018】
これらおよび他の実施形態を付属の図面に関連する以下の説明においてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、脊椎の腰部を図示する概略図である。
【図1B】図1Bは、矢状面に沿って得られた脊椎の腰部の一部分を示す概略図である。
【図2】図2は、米国特許出願公開第2005/0216017A1号において説明されている種類の脊椎インプラントを図示する。
【図3A】図3Aは、固定された脊髄分節の器具を取り付けた領域を図示する。
【図3B】図3Bは、脊髄分節の固定領域での拘束デバイスの使用を図示する。
【図4A】図4Aは、横突起の固定を図示する。
【図4B】図4B−4Cは、横突起の固定とともに拘束デバイスの使用を図示する。
【図4C】図4B−4Cは、横突起の固定とともに拘束デバイスの使用を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aは、棘突起(SP)、面関節(FJ)、層(L)、横突起(TP)、および仙骨(S)を含む脊椎の腰部を図示する概略図である。図1Bは、矢状面に沿って得られた脊椎の腰部の一部分を示す概略図であり、本開示でしばしば使用される「中立位置」、「屈曲」、および「伸展」という用語を定義するために有用である。
【0021】
本明細書で使用されるように、「中立位置」は、患者の脊椎が弛緩立位で静止する位置を指す。「中立位置」は、患者によって異なるであろう。通常、そのような中立位置は、脊椎がわずかな前方凸性、およびわずかな後方凹性を有する腰椎のわずかな曲率または脊柱前弯症によって特徴付けられるであろう。場合によっては、本発明の拘束の存在は、中立位置を修正してもよく、例えば、デバイスは、未治療の脊椎のいくらかの伸展を有する「新しい」中立位置を画定する、初期力を印加してもよい。そのようなものとして、「中立位置」という用語の使用は、デバイスの存在または不在との関連で解釈されるものである。本明細書で使用されるように、「脊髄分節の中立位置」は、脊椎が中立位置にあるときの脊髄分節の位置を指す。
【0022】
さらに、本明細書で使用されるように、「屈曲」は、患者が前屈するときの脊髄分節の隣接する椎骨間の運動を指す。図1Bを参照すると、患者が脊椎の中立位置から、すなわち、湾曲軸Aに対して右に前屈すると、椎骨板Dの前方部分が圧縮されるように、前方側面の個々の椎骨L間の距離は、減少する。対照的に、個々の後方側面の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向に離れる。したがって、屈曲は、患者が図1Bで図示される中立位置から前屈する際の隣接する椎骨間の相対的移動を指す。
【0023】
加えて、本明細書で使用されるように、「伸展」は、患者が後屈し、脊椎が図1Bに図示される中立位置から延在する際の個々の椎骨Lの運動を指す。患者が後屈すると、個々の椎骨の前端が離れる。隣接する椎骨上の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向とは反対の方向に相互により接近して移動する。
【0024】
慢性腰痛の主な原因は、椎間板内破裂としても称される、椎間板起因の疼痛である。椎間板起因の腰痛がある患者によって体験されると疼痛は、屈曲不安性と考えることができ、異常分節平行移動が分節屈曲によって悪化する脊椎の症状である、脊椎すべり症等の他の症状で発現する屈曲不安定性に関係付けられる。椎間板起因の疼痛は、通常、脊椎のL4−L5またはL5−S1接合部に位置する椎間板において生じる。疼痛は、患者が腰椎を屈曲させたときに(すなわち、座位または前屈によって)悪化し、腰椎を伸展させたときに(すなわち、立位または後屈によって)緩和する傾向がある。屈曲および伸展は、腰部の機械的荷重パターンを変化させることが知られている。腰部が伸展状態にあるときに、腰部によって負担される軸荷重は、椎間板および面関節によって共有される(荷重の約30%が面関節によって負担される)。屈曲時に、分節荷重は、ほぼ完全に椎間板によって負担される。さらに、屈曲時に、核は後方に移行し、(神経支配される)線維輪の後方部分への荷重を変化させ、その線維に張力および剪断力を受けさせる可能性が高い。次いで、分節屈曲は、椎間板によって負担される荷重を増大させるとともに、より有痛性の方法で荷重を負担させる。椎間板起因の疼痛がある患者は、有痛性の分節を屈曲させる座位等の体位を回避し、有痛性の分節を伸展状態で維持する立位等の体位を好むことによって症候群に適応する。
【0025】
椎間板起因の疼痛は、保存治療から手術および補綴の埋込に及ぶ、いくつかの方法で治療されてもよい。保存治療は、理学療法、マッサージ、抗炎症剤および鎮痛剤、筋肉弛緩剤、および硬膜外ステロイド注射を含む。これらの治療には、様々な程度の成功があり、しばしば患者は、一般的には、有意な程度の疼痛に苦しみ続ける。他の患者は、時には隣接する椎骨の固定とともに椎間板切除術(椎間板の切除)を必要とする、脊椎固定手技を受けることを選択する。固定はまた、例えば、椎弓根ネジ、安定化ロッド、および/または椎間デバイスを含む、罹患脊髄分節の器具類を含んでも含まなくてもよい。固定は、不可逆的であり、費用がかかり、高い罹患率と関連付けられ、有効性が疑わしいため、椎間板起因の疼痛には安易に推奨されない。しかしながら、固定は、これらの欠点にもかかわらず、依然として椎間板起因の疼痛に使用され、固定はまた、疼痛および不安定性に関係付けられる多くの他の脊髄障害にも使用される。従来の器具類を用いた固定は、有望であるが、状況によっては欠点を有する場合がある。ほとんどの器具類は剛体であるか、または限定された運動しか提供しないため、固定された分節の周囲の運動が妨げられ、荷重が組織よりもむしろ器具類によって完全に負担され得る。固定治癒過程中に有意な運動の防止が重要である一方で、組織のある量の微動および荷重は、固定を推進することができるため望ましい。さらに、そのような運動および荷重を可能にすることにより、分節が自然な位置で固定することを可能にしてもよく、脊椎の治療された領域中の前弯曲線の維持を可能にし、固定器具類を用いた「脊柱後弯症」または「平坦背部」の生成を回避する。したがって、固定領域中のいくらかの微動および荷重を依然として可能にしながら、従来の器具類のような固定領域を安定化することができるデバイスを提供することが望ましいであろう。さらに、脊柱に沿った荷重は、固定により修正されてもよく、これは、固定領域、隣接組織、または使用されるデバイスへの過剰な荷重をもたらす場合がある。したがって、単独で、または固定の高さでの微動を可能にし、過剰な荷重を低減するのに役立ち、付加的な屈曲安定性を提供する脊椎固定手技または他の脊椎治療と併せて使用することができる、方法および装置を提供することが望ましいであろう。
【0026】
図2は、その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、現在は米国特許第7,458,981号である関連する米国特許出願公開第2005/02161017A1号において説明されている種類の脊椎インプラントを示す。図2の拘束デバイスは、固定されているか、または固定を受けている脊髄分節の微動を可能にするため、および固定を受ける領域または患者に埋め込まれたデバイスによって負担される荷重、ならびに隣接する組織によって負担される荷重を低減し、それにより、治癒を促進し、組織損傷ならびに摩耗および断裂を低減するために、単独で、または他の脊椎治療と組み合わせて使用されてもよい。さらに、拘束デバイスは、より優れた安定性を脊髄分節に提供するために、および患者の前弯曲線と一致する椎間角度で固定の治癒を促進するために使用されてもよい。
【0027】
図2で示されるように、インプラント10は、一般的には、1対のコンプライアンス要素16によって接合される上ストラップ構成要素12および下ストラップ構成要素14を有するテザー構造を備える。小さい開口が棘間靱帯(図示せず)を通して穿刺され、上部ストラップが開口を通過させられる。次いで、上ストラップ12は、L4の棘突起SP4の最上部を覆って配置されてもよい。同様の下開口が棘間靱帯を通して穿刺され、下ストラップ14がL5の棘突起SP5の底部を覆って延在することを可能にする。コンプライアンス要素16は、一般的には、棘突起SP4およびSP5が屈曲中に離れると、ストラップが、「弾性的」または「従順に」に引き離されてもよいような方法でストラップ12および14に取り付けられるバネまたはゴムブロック等の内部要素を含む。このようにして、インプラントは、屈曲に抵抗する力である、棘突起上の弾性張力を提供する。力は、突起がさらに離れるにつれて増加する。通常、ストラップ自体は、弾性またはコンプライアンスの度合が、コンプライアンス要素16のみによって制御され、提供されてもよいように、本質的に従順でなくなる。インプラント10および使用方法についての付加的な詳細は、国際出願第PCT/US2009/055914号(代理人整理番号第026398−000910PC)、同第PCT/US2009/046492号(代理人整理番号第026398−000810PC)、米国仮特許出願第61/093,922号(代理人整理番号第026398−000900US)、同第61/059,543号(代理人整理番号第026398−000800US)、同第61/059,538号(代理人整理番号第026398−000700US)、米国特許出願第12/106,103号(代理人整理番号第02398−000410US)、米国特許出願公開第2010/0023060号(代理人整理番号第026398−000710US)、同第2008/0262549号(代理人整理番号第026398−000151US)、および米国特許第7,458,981号(代理人整理番号第026398−000210US)において開示されており、それぞれの内容全体は、参照することによりその全体で本明細書に組み込まれる。図2の拘束デバイスは、従来的に器具を取り付けた固定手技よりも良好な臨床転帰を提供するために、固定とともに使用されてもよい。加えて、状況によっては、拘束デバイスを、下棘突起よりもむしろ仙骨と連結することが望ましくてもよい。仙骨取付方法についての付加的な開示は、米国仮特許出願第61/149,224号(代理人整理番号第026398−001200US)、国際出願第PCT/US2010/022767号(代理人整理番号第026398−001210PC)、および米国特許出願第11/827,980号(代理人整理番号第026398−000120US)に見出されてもよく、その内容全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0028】
図3Aは、脊髄分節の従来の固定および器具類を図示する。図3Aでは、隣接する椎骨V間の椎間板Dが除去されており、骨移植片材料304がその間に埋め込まれている。任意に、椎骨間の固定を促進するために、脊椎固定手技ケージ304も隣接する椎骨間に埋込まれる。骨移植片材料は、骨材料の同種移植片または自家移植片であってもよい。異種移植片および合成移植片材料も使用されてもよい。上記で説明されるような(椎間板腔内の)椎体間の脊椎固定手技は、椎体間固定手技として知られている。別の一般的な脊椎固定技法は、骨移植片が固定される運動分節の横突起の間に適用される、後側方固定手技である。ここで説明される方法およびシステムは、両方の固定技法に適用可能である。いったん骨移植材料および/または固定ケージが埋め込まれると、脊髄分節はしばしば、固定領域の周囲の運動を防止し、それにより、固定を推進するために、椎弓根ネジ306および安定化ロッド308が取り付けられる。しばしば、4つの椎弓根ネジ(脊髄分節正中線の両側に2つずつ)および2つの安定化ロッド(正中線の両側に1つずつ)が使用されるが、図3Aは、側面図であるため、2つの椎弓根ネジおよび1つの脊椎ロッドのみを図示する。器具を取り付けた固定の問題および課題のうちのいくつかが、上記で以前に論議されている。図3Bは、図2で図示されたもの等の拘束デバイスを使用して脊髄分節を固定する代替実施形態を図示する。
【0029】
図3Bでは、脊髄分節は、上記の図3Aに関して以前に説明されたのと同様に固定される。椎間板Dが隣接する椎骨V間から除去され、骨移植材料304が任意的な固定ケージ302に沿って埋め込まれる。固定された分節に椎弓根ネジおよび剛体脊椎ロッドを取り付ける代わりに、拘束デバイスが脊髄分節の固定領域に取り付けられる。ここで、拘束デバイス310は、概して、上記の図2の拘束デバイスと同じ形態を成すが、本明細書で開示される拘束デバイスのうちのいずれかが使用されてもよい。拘束デバイス310は、上部テザー部分310と、下部テザー部分314と、その間に連結されたコンプライアンス部材316とを有する。上部テザー部分310は、上棘突起の上面の周囲に配置され、下部テザー部分314は、下棘突起の下面の周囲に配置される。拘束デバイスは、上棘突起の下面および下棘突起の上面から延在する棘間領域が、スペーサまたは他の補綴等のいずれのインプラントも含まないままであるように(しかし、いくつかの実施形態では、骨移植片がこの空間に埋め込まれてもよい)、埋め込まれ、脊髄分節と連結されてもよい。拘束デバイスの長さまたは張力は、コンプライアンス部材316が、脊髄分節の屈曲に対してどれだけの力を提供するかを制御するために、結果として生じるループを締めるために調整されてもよい。加えて、コンプライアンス部材のバネ定数が、所望の動作特性にも基づいて選択されてもよい。したがって、拘束デバイス310は、固定が生じることができるように、屈曲に対する十分な抵抗を提供するように調整されてもよい一方で、同時に、固定および固定速度をさらに推進するため、および患者の前弯曲線を保存する椎間角度での固定の治癒を可能にするために、隣接する固定された椎骨の間のいくらかの微動を可能にする。拘束デバイスはまた、骨移植材料および/または骨・ケージ界面の動的荷重を可能にし、固定および固定速度をさらに推進する。また、(後側方固定手技の場合のように)移植片が横突起または固定された椎骨の後方要素に適用されるときに、同じ有益性が導出され得ることも理解されたい。ネジおよびロッドが脊椎から直接的に除荷する従来の器具類と違って、拘束デバイス310を使用することは、脊椎から間接的に除荷することに役立つ。
【0030】
脊髄分節固定はまた、隣接する横突起を固定することによって達成されてもよい。図4Aは、いずれの固定化器具類も伴わない、横突起TPに適用された骨移植片402を図示する。これは、器具が取り付けられていない固定として知られている。患者が前屈すると、横突起が離れる。これは、移植片の治癒を妨害し、癒着不能(偽関節症)をもたらす場合があり、または固定が屈曲位置で治癒する場合がある(脊柱後弯症)。図4Bは、移植片が治癒し、固定がより自然な前弯姿勢で進展するように、分節屈曲に抵抗するための、棘突起SPと係合された拘束デバイス404の使用を図示する。図4Cは、固定領域および拘束デバイスの取付けをより明確に示す、図4Bの後面図である。拘束デバイス402は、概して、本明細書で説明されるものと同じ形態を成す。
【0031】
本デバイスおよび方法はまた、拘束デバイスが屈曲を直接制御し、椎弓根ネジおよびロッドよりも多くの小関節面の係合を伴うため、ネジおよびロッドを用いた従来の器具使用と比べて有利である。これは、固定にさらに役立ち、付加的な脊髄分節安定性を提供してもよい、軸回転および矢状平行移動の両方のいくらかの間接的制限をもたらす。本デバイスおよび方法を使用することの別の利点は、引張荷重以外の荷重が拘束デバイスに伝達されないことであり、したがって、拘束デバイスは、全荷重がネジおよびロッドに伝達される従来の器具類よりも少ない故障モードを経験する可能性が高い。したがって、本拘束デバイスは、治療を最大化しようとするだけであるほとんどの既存の器具類デバイスと違って、治療有効性を最大化しようとするだけでなく、故障を最小化しようとする。
【0032】
従来の器具使用技法を使用することとは対照的に、拘束デバイスを適用することは、低侵襲性でもある。拘束デバイスは、低侵襲技法を使用して適用されてもよく、ネジが椎弓根に螺入されることを必要としない。拘束デバイスは、患者の背部の小切開を通して送達され、拘束デバイスのテザー部分は、棘間靱帯に穿刺された小さい穴に通過させられる。したがって、手技は、より高速に、より少ない失血を伴って行われてもよく、従来の器具類よりも少ない手術室時間を必要とし、より安全で費用効果的な手技をもたらしてもよい。また、従来の器具類は、罹患した高さでの切除を必要としない、例えば、いずれの骨も罹患椎体またはその後方要素から切除されるように要求されない拘束デバイスを埋め込むための本方法と違って、組織が切除されることを必要とする。したがって、従来の器具類は、低侵襲拘束デバイスよりも多くの合併症および安全性の懸念を有する場合がある。ネジおよびロッドの不在はまた、患者の背部の空間を解放し、付加的な背部手術が必要とされる場合により容易なアクセスを可能にし、また、ネジおよびロッドに干渉することを回避する必要なく、他のデバイスが領域に埋め込まれることを可能にする。
【0033】
拘束デバイスを埋め込むための方法およびツールについての付加的な開示は、その内容全体が、参照することによって本明細書に以前に組み込まれた、米国特許出願案公開第2008/0262549号(代理人整理番号第026398−000151US)、米国仮特許出願第61/093,922号(代理人整理番号第026398−000900US)、国際出願第PCT/US2009/055914号(代理人整理番号第026398−000910PC)でより詳細に開示されている。加えて、拘束デバイス用のいくつかの他の長さおよび張力調整機構は、その内容全体が、参照することによって本明細書に以前に組み込まれた、米国仮特許出願第61/059,543号(代理人整理番号第026398−000800US)、第61/059,538号(代理人整理番号第026398−000700US)、米国特許出願公開第2010/0023060号(代理人整理番号第026398−000710US)、国際出願第PCT/US2009/046492号(代理人整理番号第026398−000810PC)において開示されている。拘束デバイスの付加的な実施形態も、その内容全体が、参照することによって本明細書に以前に組み込まれた、米国特許出願第12/106,103号(代理人整理番号第026398−000410US号)および米国特許第7,458,981号(代理人整理番号026398−000210US)において開示されている。
【0034】
理解を明確にするために、かつ一例として、例示的実施形態をいくらか詳細に説明してきたが、いくつかの修正、変更、および適合が実装されてもよく、および/または当業者に明白となるであろう。よって、本発明の範囲は、独立請求項のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脊髄分節の屈曲を制御する方法であって、該方法は、
該脊髄分節の中の1対の隣接する椎骨に脊椎固定手技を行うことと、
拘束デバイスを該患者の中に埋め込むことであって、該埋め込むステップは、該拘束デバイスを該脊髄分節と連結することを含む、ことと、
該拘束デバイスが該固定された脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように、該拘束デバイスの長さまたは張力を調整することと
を含み、該拘束デバイスは、該固定された脊髄分節またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する、方法。
【請求項2】
前記拘束デバイスは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されるコンプライアンス部材とを備え、前記連結するステップは、該上部テザー部分を上棘突起と係合し、該下部テザー部分を下棘突起または仙骨と係合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記長さまたは張力は、所望の値に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記長さまたは張力は、前記固定が前記患者の自然な前弯曲線と一致する位置において形成することを促すように調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記脊椎固定手技を行う前記ステップは、前記隣接する椎骨の後方または側方移植のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記脊椎固定手技を行う前記ステップは、前記隣接する椎骨の後側方移植を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脊椎固定手技を行う前記ステップは、前記1対の隣接する椎骨の間の椎間板腔での椎間移植を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
椎間移植は、骨移植材料を上棘突起および下棘突起に適用することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記脊椎固定手技を行う前記ステップは、第1の補綴を患者に埋め込むことを含み、該第1の補綴は、前記脊髄分節の少なくとも一部分と係合され、前記拘束デバイスは、該第1の補綴またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の補綴を埋め込むことは、前記1対の隣接する椎骨の間に椎間デバイスを設置することを含み、該椎間デバイスは、関節固定手技の進展中に該1対の隣接する椎骨の間の整列および距離を維持するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記椎間デバイスは、椎体間固定ケージを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の補綴を埋め込むことは、前記1対の隣接する椎骨の間に骨移植材料を設置することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の補綴を埋め込むことは、前記1対の隣接する椎骨の間に椎体間固定ケージを設置することをさらに含み、該固定ケージは、関節固定手技の進展中に該1対の隣接する椎骨の間の整列および距離を維持するように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記骨移植材料は、同種移植片、自家移植片、合成移植片、および異種移植片から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の補綴または前記拘束デバイスは、前記脊髄分節の中の組織を修正するように適合される治療薬を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記治療薬は、骨形成タンパク質を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記拘束デバイスを埋め込むことは、前記上棘突起の下面と前記下棘突起または前記仙骨の上面との間に延在する棘間領域の中に補綴を直接埋め込むことなく、該拘束デバイスを該上棘突起および該下棘突起または仙骨と係合することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記拘束デバイスを埋め込む前記ステップは、
前記上棘突起の上面より上位で貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺することと、
該貫通を通して前記上部テザー部分を前進させることと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記拘束デバイスを埋め込む前記ステップは、
前記上棘突起と隣接する棘突起との間の間隙を通して、前記上部テザー部分を前進させるステップを含み、該間隙は、該上棘突起と隣接する棘突起との間からの棘間靱帯の外科的除去によって作成される、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記拘束デバイスを埋め込む前記ステップは、
前記下棘突起の下面より下位において貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺することと、
該貫通を通して前記下部テザー部分を前進させることと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記拘束デバイスを埋め込む前記ステップは、
前記下棘突起と隣接する棘突起または仙骨との間の間隙を通して、前記下部テザー部分を前進させることを含み、該間隙は、該下棘突起と隣接する棘突起または仙骨との間からの棘間靱帯の外科的除去によって作成される、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記拘束デバイスの長さまたは張力を調整することは、前記脊髄分節の治療中、および該脊髄分節の治癒中または治癒後に、該長さまたは張力を複数回調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記調整するステップは、前記長さまたは前記張力を経皮的に調整することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
患者の脊髄分節の屈曲を制御するシステムであって、該システムは、
固定されるべき該脊髄分節の領域の周囲に少なくとも部分的に配置される拘束デバイスであって、該拘束デバイスは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されるコンプライアンス部材とを有する、拘束デバイスを備え、該上部テザー部分は、固定されるべき該脊髄分節に沿って上棘突起と連結され、該下部テザー部分は、固定されるべき該脊髄分節に沿って下棘突起または仙骨と連結され、
該拘束デバイスの長さまたは張力は、該拘束デバイスが固定されるべき該脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように、調整可能であり、
該拘束デバイスはまた、固定されるべき該脊髄分節によって、またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する、システム。
【請求項25】
固定されるべき前記脊髄分節の前記領域と連結される第1の補綴をさらに備え、前記拘束デバイスは、該第1の補綴によって、またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の補綴は、固定されるべき前記脊髄分節の前記領域の中の2つの隣接する椎骨の間に配置される椎間デバイスを備え、該椎間デバイスは、関節固定手技の進展中に該2つの隣接する椎骨の間の整列および距離を維持するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記椎間デバイスは、固定されるべき前記脊髄分節の前記領域の中の前記2つの隣接する椎骨の固定を促進するように適合される椎体間固定ケージを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1の補綴は、2つの隣接する椎骨の間に配置される骨移植材料を備え、該骨移植材料は、前記脊髄分節の中において該2つの隣接する椎骨の固定を促進するように適合される、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記骨移植材料は、同種移植片、自家移植片、合成移植片、および異種移植片から成る群より選択される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記拘束デバイスは、前記上棘突起および前記下棘突起または仙骨と係合され、該上棘突起の下面と該下棘突起または仙骨の上面との間に直接延在する棘間領域は、補綴を含まない状態のままである、請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1の補綴または前記拘束デバイスは、前記脊髄分節の中の組織を修正するように適合される治療薬を備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項32】
前記治療薬は、骨形成タンパク質を備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記拘束デバイスの前記長さまたは張力は、経皮的に調整可能である、請求項24に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2012−520131(P2012−520131A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554143(P2011−554143)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/026799
【国際公開番号】WO2010/104935
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(509108906)シンピライカ スパイン, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】