説明

外科用テザー装置および使用方法

脊椎治療システムは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されたコンプライアンス部材とを有する、拘束デバイスを含む。上部テザー部分は、患者の脊髄分節の上棘突起と連結され、下部テザー部分は、脊髄分節の下棘突起または仙骨と連結される。拘束デバイスの長さまたは張力は、テザー部分およびコンプライアンス部材の構成が脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように、調整可能である。システムはまた、脊髄分節と連結される第1の補綴も含み、拘束デバイスは、補綴によって、またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.技術分野) 本発明は、概して、医療方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、脊髄分節の屈曲を制限するために使用される方法および装置に関する。本明細書で開示される方法および装置は、単独で、または脊髄障害がある患者を治療することを目的としている手技等の他の整形外科手技と組み合わせて、使用されてもよい。例示的な脊髄障害は、背痛ならびに関節障害、脊椎骨折、椎間板、髄核、および線維輪障害を含むが、それらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
しばしば移動性組織および/または背痛をもたらす、多数の脊椎の症状が存在する。慢性腰痛の主な原因は、椎間板内破裂としても称される、椎間板起因の疼痛である。椎間板起因の疼痛は、比較的機能障害になる可能性があり、一部の患者では、労働および生活を満喫する能力に影響を及ぼす可能性がある。椎間板起因の疼痛を罹患する患者は、若年であるか、さもなければ、背部に局限した疼痛を呈する健康な個人である傾向がある。椎間板起因の疼痛は、通常、脊椎のL4−L5またはL5−S1の接合部に位置する椎間板で生じる。疼痛は、患者が腰椎を屈曲させた時に(すなわち、座位または前屈によって)悪化し、腰椎を伸展させた時に(すなわち、立位または後屈によって)緩和する傾向がある。屈曲および伸展は、腰部の機械的荷重パターンを変化させることが知られている。腰部が伸展状態にある時に、腰部によって負担される軸荷重は、椎間板および面関節によって共有される(荷重の約30%が面関節によって負担される)。屈曲時に、分節荷重は、ほぼ完全に椎間板によって負担される。さらに、屈曲時に、核は後方に移行し、(神経支配される)線維輪の後方部分への荷重を変化させ、その線維に張力および剪断力を受けさせる可能性が高い。次いで、分節屈曲は、椎間板によって負担される荷重を増大させるとともに、より有痛性の方法で荷重を負担させる。したがって、椎間板および隣接する組織への荷重を低減または修正する方法および装置を提供することが望ましいであろう。
【0003】
背痛および脊椎移動性に対処するために、いくつかの治療が存在する。これらのうちのいくつかは、人工椎間板の使用、人工髄核置換、線維修復、脊椎骨折の椎体形成治療、同時固定を伴う、または伴わない脊髄分節の器具の使用、および面関節置換を含む。これらの治療のうちの多くが有望であるが、場合によっては、潜在的欠点も有する。例えば、脊椎固定術が行われる時に、脊髄分節の過剰な運動または荷重が結果的に生じる場合がある。しばしば、過剰な運動または荷重および結果として生じる効果は、固定に隣接する高さで発生する(隣接分節変性または接合部症候群と呼ばれる)。これは、運動分節のさらなる変性をもたらし得る。したがって、これは、脊髄分節の隣接する高さでの屈曲が制限され、それにより、過剰な運動およびさらなる変性を低減または排除する場合に望ましいであろう。
【0004】
椎間板置換、髄核置換、線維輪修復、面関節修復、および脊椎骨折修復等の他の治療も、治療領域付近の制限された屈曲から便益を得ることができる。例えば、過剰な屈曲は、人工面関節デバイスを固着する椎弓根ネジをトグルで留めること等による、解剖学的構造への補綴のてこ動作を緩める場合がある。治療領域付近の屈曲を制限することは、これらのインプラントによって、または周辺組織によって負担される荷重を修正し、したがって、組織への医原性損傷を低減、排除、または軽減し、ならびに任意の補綴および隣接する組織によって負担される荷重を低減し、さらに、付加的な屈曲安定性を提供する。
【0005】
したがって、前述の理由により、脊髄手術で使用されるインプラントによって負担される荷重を修正する方法および装置を提供することが有利であろう。また、そのような方法および装置が、外科的に治療された領域付近の組織によって負担される荷重も修正し、付加的な屈曲安定性も提供するならば望ましいであろう。さらに、患者が移動性を維持し、非生理的荷重に起因する力によって引き起こされる有害な臨床効果を最小化または回避することを可能にするよう、屈曲安定性を提供する装置および方法が、患者の自然な運動および生理機能を保存するならば望ましいであろう。さらに、そのような方法および装置が、患者にとって低侵襲性であり、費用効果的であり、使いやすいならば望ましいであろう。さらに、そのような方法および装置が、体内の反復荷重条件を超えて損傷または破損に抵抗性があるならば望ましいであろう。
【0006】
(2.背景技術の記述) 関心の特許および公開出願は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、米国特許第5,415,658号、同第5,415,661号、同第5,449,361号、同第5,456,722号、同第5,462,542号、同第5,496,318号、同第5,540,698号、同第5,562,737号、同第5,609,634号、同第5,628,756号、同第5,645,599号、同第5,725,582号、同第5,902,305号、Re.第36,221号、同第5,928,232号、同第5,935,133号、同第5,964,769号、同第5,989,256号、同第6,053,921号、同第6,248,106号、同第6,312,431号、同第6,364,883号、同第6,378,289号、同第6,391,030号、同第6,468,309号、同第6,436,099号、同第6,451,019号、同第6,582,433号、同第6,605,091号、同第6,626,944号、同第6,629,975号、同第6,652,527号、同第6,652,585号、同第6,656,185号、同第6,669,729号、同第6,682,533号、同第6,689,140号、同第6,712,819号、同第6,689,168号、同第6,695,852号、同第6,716,245号、同第6,761,720号、同第6,835,205号、同第7,029,475号、同第7,163,558号、米国特許出願公開第2002/0151978号、同第2004/0024458号、同第2004/0106995号、同第2004/0116927号、同第2004/0117017号、同第2004/0127989号、同第2004/0172132号、同第2004/0243239号、同第2005/0033435号、同第2005/0049708号、第2005/0192581号、第2005/0216017号、同第2006/0069447号、同第2006/0136060号、同第2006/0240533号、同第2007/0213829号、同第2007/0233096号、第2008/0009866号、第2008/0108993号、国際公開第01/28442A1号、同第02/03882A2号、同第02/051326A1号、同第02/071960A1号、同第03/045262A1号、同第2004/052246A1号、同第2004/073532A1号、同第2008/051806号、同第2008/051423号、同第2008/051801号、同第2008/051802号、および公開外国出願である欧州特許第0322334A1号、および仏国特許出願公開第2681525A1号を含む。脊髄分節に適用される可撓性拘束の機械的性質は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、およびVoydevilleらの(1992)Orthop Traumatol 2、259−264において説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,648,691号明細書
【特許文献2】米国特許第4,643,178号明細書
【特許文献3】米国特許第4,743,260号明細書
【特許文献4】米国特許第4,966,600号明細書
【特許文献5】米国特許第5,011,494号明細書
【特許文献6】米国特許第5,092,866号明細書
【特許文献7】米国特許第5,116,340号明細書
【特許文献8】米国特許第5,180,393号明細書
【特許文献9】米国特許第5,282,863号明細書
【特許文献10】米国特許第5,395,374号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Pappら、(1997)Spine 22、151−155
【非特許文献2】Dickmanら、(1997)Spine 22、596−604
【非特許文献3】Garnerら、(2002)Eur.Spine J.、S186−S191
【非特許文献4】Al Bazら、(1995)Spine 20、No.11,1241−1244
【非特許文献5】Heller、(1997)Arch.Orthopedic and Trauma Surgery、117、No.1−2、96−99
【非特許文献6】Leahyら、(2000)Proc.Inst.Mech.Eng.、Part H、J.Eng.Med.214、No.5、489−495
【非特許文献7】Minnsら、(1997)Spine 22、No.16、1819−1825
【非特許文献8】Miyasakaら、(2000)Spine 25、No.6、732−737
【非特許文献9】Shepherdら、(2000)Spine 25、No.3、319−323
【非特許文献10】Shepherd、(2001)Medical Eng.Phys.23、No.2、135−141
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、概して、医療方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、脊髄分節の屈曲を制限するために使用される方法および装置に関する。本明細書で開示される方法および装置は、単独で、または脊髄障害がある患者を治療することを目的としている手技等の他の整形外科手技と組み合わせて、使用されてもよい。例示的な脊髄障害は、背痛ならびに関節障害、脊椎骨折、椎間板、線維輪、および髄核障害を含むが、それらに限定されない。
【0010】
本発明の第1の側面では、手術方法は、第1の補綴を患者に埋め込むステップを含み、第1の補綴は、患者の脊髄分節の少なくとも一部分と係合される。方法はまた、拘束デバイスを患者に埋め込むステップも含み、拘束デバイスは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されるコンプライアンス部材とを有する。拘束デバイスの上部分は、上棘突起と係合され、拘束デバイスの下部分は、下棘突起または仙骨と係合される。拘束デバイスの長さまたは張力は、テザー部分およびコンプライアンス部材の構成が脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように調整される。長さまたは張力は、所望の値に調整されてもよい。また、拘束デバイスは、第1の補綴またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する。拘束デバイスは、これらの荷重を間接的に修正する。第1の補綴は、骨移植片を備える。
【0011】
本発明の別の側面では、脊椎治療システムは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されるコンプライアンス部材とを有する、拘束デバイスを備える。上部テザー部分は、患者の脊髄分節の上棘突起と連結され、下部テザー部分は、脊髄分節の下棘突起または仙骨と連結される。拘束デバイスの長さまたは張力は、コンプライアンス部材およびテザーの構成が脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように、調整可能である。システムはまた、脊髄分節と連結される第1の補綴も含み、拘束デバイスは、補綴によって、またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、脊椎治療システムは、複数の椎弓根ネジと、少なくとも1つの脊椎安定化ロッドとを備える、第1の補綴を備える。第1の補綴は、ともに固定される1対の椎骨に器具を取り付けるように適合される。1対の椎骨は、患者の脊髄分節の中に配置され、少なくとも1つの椎弓根ネジは、固定される椎骨のうちの少なくとも1つずつと螺合可能に係合される。安定化ロッドは、少なくとも1つの椎弓根ネジと連結され、また、安定化ロッドは、固定される1対の椎骨を横断して配置される。拘束デバイスは、コンプライアンス部材を備え、拘束デバイスは、固定される1対の椎骨の少なくとも一部分より上位にある。拘束デバイスの下部分は、椎弓根ネジのうちの少なくとも1つと動作可能に連結され、拘束デバイスの長さまたは張力は、固定される椎骨より上位にある脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するよう調整可能である。代替として、拘束デバイスの下部分は、固定された椎骨の棘突起を取り囲むこと等によって、固定された椎骨のうちの1つと直接、動作可能に連結されてもよい。拘束デバイスの長さまたは張力は、所望の値に調整されてもよい。拘束デバイスはまた、第1の補綴およびそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する。拘束デバイスは、少なくとも部分的に上棘突起の周囲に配置される上部テザー部分を備えてもよく、またはコンプライアンス部材の上部分は、脊髄分節の器具を取り付けた領域より上位にある椎弓根と螺合可能に係合される、椎弓根ネジと動作可能に連結されてもよい。代替実施形態では、上記で説明される実施形態は、拘束デバイスが固定される1対の椎骨の少なくとも一部分より下位にあってもよいように、反転させられてもよい。
【0013】
時には、第1の補綴は、隣接する椎骨の間に埋め込まれる人工椎間板を備えてもよい。椎間板は、後方、前方、側方、または他のアプローチから埋め込まれてもよく、隣接する組織は、人工椎間板に隣接してもよい、椎間板、椎体、終板、または面関節を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1の補綴は、人工面関節を備えてもよい。
【0014】
時には、第1の補綴または拘束デバイスの少なくとも1つは、脊髄分節の中の組織を修正するように適合される治療薬を備えてもよい。治療薬は、骨形成タンパク質、またはその前駆物質のうちの1つ、あるいは効果が脊髄分節の荷重負担特性を修正することである別の薬剤を備えてもよい。
【0015】
方法はさらに、2つの隣接する椎骨を骨移植材料とともに固定するステップを含んでもよく、第1の補綴を埋め込むステップは、ともに固定されている、または固定される2つの椎骨のうちの上椎骨に、実質的に非弾性のテザーを連結するステップを含んでもよく、実質的に非弾性のテザーおよび下部テザー部分の構成は、ともに固定されている、または固定される2つの椎骨の間の屈曲を制限する。拘束デバイスの構成はまた、上位隣接または下位隣接運動分節あるいは1対の椎骨の屈曲に抵抗する力を提供する。実質的に非弾性のテザーはまた、上部および下部テザー部分の間に配置されてもよい。実質的に非弾性のテザーは、少なくとも部分的に中間棘突起の上面の周囲に配置されてもよい。非弾性のテザーはまた、中間棘突起の切り込みまたは穴を通して配置されてもよい。棘突起に切り込みを入れる、または開口を作成することについての付加的な開示は、2009年2月2日出願の米国仮出願第61/149,224号(代理人整理番号第026398−001200US)および国際出願第PCT/US2010/022767号(代理人整理番号第026398−001210PC)に開示されており、その内容全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。中間棘突起は、上棘突起と下棘突起または仙骨との間に配置されてもよい。
【0016】
時には、第1の補綴を埋め込むステップは、1対の隣接する棘突起の間にスペーサを設置するステップを含む。その間にスペーサが埋め込まれる、1対の隣接する棘突起は、上棘突起、下棘突起、または仙骨のうちの少なくとも1つよりも上位に配置されてもよく、スペーサは、それが埋め込まれる脊髄分節の少なくとも一部分の伸展を阻止してもよい。コンプライアンス部材およびテザーの構成によって提供される力は、スペーサよりも下位にある脊髄分節の一部分の屈曲に抵抗してもよい。他の実施形態では、第1の補綴を埋め込むステップは、上棘突起または下棘突起のうちの少なくとも1つよりも下位に配置される、1対の隣接する棘突起の間にスペーサを設置するステップを含んでもよい。スペーサは、それが埋め込まれる脊髄分節の少なくとも一部分の伸展を阻止し、コンプライアンス部材およびテザーの構成によって提供される力は、スペーサよりも上位にある脊髄分節の屈曲に抵抗してもよい。
【0017】
第1の補綴を埋め込むステップは、隣接する椎骨の間に配置される椎間板に人工髄核を挿入するステップを含んでもよい。分節屈曲中に、椎骨終板の楔着は、人工髄核を背側に押し進めてもよい。拘束デバイスの長さまたは張力を調整することは、椎間板の中心から離れた人工髄核の移動または放出を阻止してもよい。拘束デバイスの張力は、経皮的に、または第2の外科的手順で修正または再調整されてもよい。これは、より大きい分節剛性が望ましい時の髄核埋込後の初期期間中に、最初に拘束デバイスがより高い張力に調整されることを可能にする。より高い初期剛性は、軟組織治癒を促進し、また、椎間板から髄核が早期に移動する危険性を最小化する。初期治癒期間後に、分節剛性を減少させるために、張力は、より低い値等の所望の値に再調整されてもよい。方法はさらに、椎間板を完全に除去するステップ、または脊髄分節の隣接する椎骨の間の椎間板物質を部分的に除去するステップを含んでもよい。拘束デバイスは、椎間板腔、配置される人工髄核、または領域、および任意の残存椎間板物質への荷重を修正してもよい。拘束デバイスは、椎間板切除術後の椎間板の再ヘルニア形成を阻止してもよい。第1の補綴は、脊髄分節の線維輪への損傷を修復または補償するように構成される、環状修復デバイスを備えてもよい。第1の補綴を埋め込むステップは、後方アプローチから環状修復デバイスを埋め込むステップを含んでもよい。拘束デバイスは、線維輪からの環状修復デバイスの移動または放出を阻止してもよい。
【0018】
第1の補綴を埋め込むステップは、骨セメント等の充填材を椎骨に注入するステップを含んでもよい。第1の補綴を埋め込むステップは、椎体形成術または椎骨形成術で骨折した椎骨を治療するステップを含んでもよい。拘束デバイスは、椎骨への荷重を修正してもよい。
【0019】
拘束デバイスを埋め込むステップは、上棘突起の上面より上位で貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺するステップと、貫通を通して上部テザー部分を前進させるステップとを含んでもよい。拘束デバイスを埋め込むステップはまた、下棘突起の下面より下位で貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺するステップと、貫通を通して下部テザー部分を前進させるステップとを含んでもよい。他の実施形態では、拘束デバイスは、参照することにより本明細書に以前に組み込まれた、米国仮出願第61/149,224号(代理人整理番号第026398−001200US)および国際出願第PCT/US2010/022767号(代理人整理番号第026398−001210US)で開示されているように、上または下棘突起のいずれか一方の切り込みまたは開口を通して前進させられてもよい。代替として、拘束デバイスは、上棘突起と隣接する棘突起との間の間隙、または下棘突起と隣接する棘突起との間の間隙を通して前進させられてもよい。間隙は、減圧術または他の手技中に、そこからの棘間靱帯の外科的除去によって作成されてもよい。拘束デバイスの長さまたは張力を調整するステップは、脊髄分節の治療中、および脊髄分節の治癒中または治癒後に、長さまたは張力を複数回調整するステップを含んでもよい。長さまたは張力を調整するステップはさらに、初期埋込手技が完了した後の経皮的調整を含んでもよい。時には、上棘突起の下面と下棘突起の上面との間に直接延在する領域は、補綴を含まないままであってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、患者の脊髄分節の1対の隣接する椎骨をともに固定するステップを含んでもよい。1対の隣接する椎骨を固定するステップはさらに、その間に配置される複数の椎弓根ネジおよび少なくとも1つの安定化ロッドを用いて、1対の隣接する椎骨に器具を取り付けるステップを含んでもよい。方法はまた、拘束デバイスを患者に埋め込むステップを含んでもよく、拘束デバイスは、典型的には固定された1対の椎骨より直接上位にあるが、潜在的には直接下位にある、固定された1対の椎骨に隣接する椎骨に係合する。拘束デバイスは、コンプライアンス部材を備えてもよく、拘束デバイスの一部分は、椎弓根ネジシステムと動作可能に連結される、または固定された椎骨のうちの1つに直接連結される。方法はまた、拘束デバイスの長さまたは張力を調整し、それにより、脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供し、器具を取り付けられた隣接する椎骨およびそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正するステップを含んでもよい。長さまたは張力は、所望の値に調整されてもよい。
【0021】
拘束デバイスは、少なくとも部分的に上棘突起の周囲に、またはそれを通して配置される上部テザー部分を備えてもよい。代替として、コンプライアンス部材の上部分は、脊髄分節の器具を取り付けられた領域より上位にある椎弓根と連結される、締結具によって動作可能に連結されてもよい。締結具は、椎弓根ネジを備えてもよい。代替実施形態では、拘束デバイスはまた、下隣接分節に取り付けられてもよい。したがって、拘束デバイスは、少なくとも部分的に下棘突起または仙骨の周囲に、あるいはそれを通して配置される下部テザー部分を備えてもよい。代替として、コンプライアンス部材の下部分は、脊髄分節の器具を取り付けられた領域より下位にある椎弓根と連結されるか、または固定された椎骨の下位にある脊髄分節に直接連結される、椎弓根ネジ等の締結具によって動作可能に連結されてもよい。
【0022】
これらおよび他の実施形態を添付図面に関連する以下の説明においてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1Aは、脊椎の腰部を図示する概略図である。
【図1B】図1Bは、矢状面に沿って得られた脊椎の腰部の一部分を示す概略図である。
【図2】図2は、米国特許出願公開第2005/0216017 A1号で説明されている種類の脊椎インプラントを図示する。
【図3】図3A−3Bは、人工椎間板および/または人工面関節との拘束デバイスの使用を図示する。
【図4−1】図4A−4Cは、脊椎固定術に上位隣接する拘束デバイスの使用を図示する。
【図4−2】図4A−4Cは、脊椎固定術に上位隣接する拘束デバイスの使用を図示する。
【図5】図5は、棘間スペーサとの拘束デバイスの使用を図示する。
【図6】図6A−6Bは、人工髄核との拘束デバイスの使用を図示する。
【図7−1】図7A−7Dは、椎体形成術に加えた拘束デバイスの使用を図示する。
【図7−2】図7A−7Dは、椎体形成術に加えた拘束デバイスの使用を図示する。
【図8】図8A−8Bは、環状修復デバイスとの拘束デバイスの使用を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aは、棘突起(SP)、面関節(FJ)、層(L)、横突起(TP)、および仙骨(S)を含む、脊椎の腰部を図示する、概略図である。図1Bは、矢状面に沿って得られた脊椎の腰部の一部分を示す概略図であり、本開示でしばしば使用される「中立位置」、「屈曲」、および「伸展」という用語を定義するために有用である。
【0025】
本明細書で使用されるように、「中立位置」は、患者の脊椎が弛緩立位で静止する位置を指す。「中立位置」は、患者によって異なるであろう。通常、そのような中立位置は、脊椎がわずかな前方凸性、およびわずかな後方凹性を有する、腰椎のわずかな曲率または脊柱前弯症によって特徴付けられるであろう。場合によっては、本発明の拘束の存在は、中立位置を修正してもよく、例えば、デバイスは、未治療の脊椎のいくらかの伸展を有する「新しい」中立位置を画定する、初期力を印加してもよい。そのようなものとして、「中立位置」という用語の使用は、デバイスの存在または不在との関連で解釈されるものである。本明細書で使用されるように、「脊髄分節の中立位置」は、脊椎が中立位置にある時の脊髄分節の位置を指す。
【0026】
さらに、本明細書で使用されるように、「屈曲」は、患者が前屈する時の脊髄分節の隣接する椎骨間の運動を指す。図1Bを参照すると、患者が脊椎の中立位置から、すなわち、湾曲軸Aに対して右に前屈すると、椎骨板間Dの前方部分が圧縮されるように、前方側面の個々の椎骨L間の距離は、減少する。対照的に、個々の後方側面の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向に離れる。したがって、屈曲は、患者が図1Bで図示される中立位置から前屈する際の隣接する椎骨間の相対的移動を指す。
【0027】
加えて、本明細書で使用されるように、「伸展」は、患者が後屈し、脊椎が図1Bに図示される中立位置から延在する際の個々の椎骨Lの運動を指す。患者が後屈すると、個々の椎骨の前端が離れる。隣接する椎骨上の個々の棘突起SPは、矢印Bによって示される方向とは反対の方向に相互により接近して移動する。
【0028】
背痛は、脊髄分節と関連付けられるいくつかの症状によって引き起こされる場合があり、多くの異なる種類の脊椎介入および補綴が、そのような症状に対処するように開発されてきた。背痛および関連問題を軽減しようとして投与される治療の実施例は、椎間板または椎間板髄核の置換または修正、線維輪の修復、椎体形成術または椎骨形成術を用いた脊椎骨折の修復、面関節置換術、および脊椎固定術を含む。これらの治療は、有望であるが、状況によっては欠点を有する場合がある。例えば、脊椎補綴または外科手技が、脊柱の荷重を不利に修正し、過剰な荷重またはそうでなければ不利な荷重を、補綴によって、または治療された組織あるいは隣接する組織によって負担させる場合がある。そのような荷重は、補綴の弛緩、移動、または放出、人工椎間板、小関節面、髄核、または環状修復デバイスの有意な危険性、また、従来の固定ハードウェアの危険性をもたらす場合がある。加えて、そのような荷重は、治療された部位が依然として治癒しており、機械的損傷を受けやすい時に、それを損傷し、医原的に損傷された組織をもたらす場合があり、これは、特に椎体形成術に当てはまる。経時的に、そのような荷重は、脊椎固定術に隣接する分節について観察されているように、治療部位に隣接する組織の変性につながる場合がある。さらに、そのような荷重は、補綴の増加した摩耗または断裂をもたらし、そのような補綴の有用寿命を減少させ、潜在的にデバイス故障につながる場合がある。例えば、人工椎間板の場合、椎間板の縁がしばしば、相互に影響を及ぼし、それにより、亀裂、摩耗、組織炎症、ならびに他のデバイス故障モードを引き起こす。しばしば、これらの不利な荷重は、分節屈曲時に最大であるか、または有意に悪化する。屈曲は、椎間可動域の最大構成要素であり、最も頻繁に発揮される。前述のように、屈曲は、椎間板腔への荷重を増加させ、一般的な脊髄の病変と関連付けられる。したがって、過剰な荷重を低減することに役立つため、および付加的な屈曲安定性を提供するために、単独で、または他の脊椎治療と併せて使用することができる、方法および装置を提供することが望ましいであろう。
【0029】
脊椎安定化は、典型的には、椎弓根ネジおよび安定化ロッド等の器具類を用いて達成される。そのような従来の器具類の配置は、多くの場合、有意な手術罹患率および長い治癒期間を伴う大手術を必要とし、有痛性となり得て、患者の移動性を制限する場合があり、器具自体ならびに隣接する骨および他の組織への望ましくない摩耗および断裂を引き起こし得る。直接安定化および直接荷重負担器具類に依存するよりもむしろ、本明細書で開示される本アプローチは、屈曲を拘束し、脊髄分節の運動を、それが本質的により安定している伸展に優先的に付勢することによる、罹患脊髄分節の間接的除荷および間接的安定化を利用する。脊髄分節は、屈曲に抵抗する可変力を提供する、調整可能な拘束デバイスを使用して、この位置に付勢される。脊椎の安定性を増強するために間接的アプローチを使用することにより、埋め込まれた脊椎デバイス、外科的に治療された組織、および隣接する組織に対する機械的荷重環境を向上させるための独特の方法を提供する。
【0030】
本デバイスおよび方法を使用することの別の主要な利点は、引張荷重以外の荷重が拘束デバイスに伝達されないことであり、したがって、拘束デバイスは、有意な複合荷重がネジおよびロッドに伝達される従来の器具類よりも少ない故障モードを体験する可能性が高い。したがって、本拘束デバイスが、治療有効性を最大限化しようとするだけでなく、故障を最小化しようとする一方で、ほとんどの既存の脊椎器具類は、荷重負担を最大限化し、結果として、高い機械的故障の割合を有する。
【0031】
本方法および装置の他の利点がある。例えば、椎弓根ネジおよび安定化ロッドを伴う従来の器具類は、手術野に圧力をかけ、標的領域への外科医のアクセスを制限し得る。加えて、そのような器具類は、他のデバイス、特に、ネジで脊髄分節に連結されなければならないデバイスの埋込のために利用可能な空間を制限する。本安定化方法は、好ましくは、ネジの使用を回避するが、ネジが使用されてもよく、必要であれば他のネジベースのデバイスの埋込を可能にする。加えて、従来の器具類と比べて、本デバイスおよび方法を埋め込むために、より少ない組織切除が必要とされ、より少ない失血、より短い手技時間、より速い治癒、およびより低い治療費を含む、複数の対応する臨床および経済的有益性を伴う低侵襲手技を提供する。
【0032】
加えて、椎弓根ネジおよびロッド等の従来の器具類が使用される時に、脊髄分節は、いったん器具が取り付けられると、所与の位置に係止される。動的安定化ロッドを用いても、限定された運動しか許可されない。したがって、ロッドおよびネジアプローチは、脊髄分節に器具を取り付ける前に、脊髄分節の最適な位置を判定することに外科医の技能に依存する。本デバイスおよび方法は、脊髄分節を剛体位置に「係止」しないため有利である。本デバイスおよび方法は、原位置で調整可能であり、埋込後の脊髄分節のいくらかの移動を可能にし、埋込が発生する前に単一の最適な位置を確立する必要性を低減する。この調整可能性が、デバイスと周辺組織との間のより一貫した嵌合に貢献する場合、デバイスの周囲および周辺組織の中の治癒は、より自然に発生してもよい。本デバイスはまた、初期埋込後の以降の手技で調整されてもよく、したがって、剛体器具類システムと比較して経時的な変化にうまく適応する可能性が高い。
【0033】
ロッドおよびネジ等の従来の器具類と関連付けられる別の主要な課題は、剪断、屈伸、回転、弛緩等によりデバイスが故障する可能性である。本デバイスは、剛体ではなく、これらの種類の運動に適応することができ、したがって、稼働中に故障する可能性が低い。その潜在的により低い故障率により、本デバイスは、より少ない安全性の懸念およびより低い合併症発生率を生成するべきである。
【0034】
本デバイスおよび方法はまた、脊髄分節のより自然な運動を保存し、他の剛体または「可撓性」器具類デバイスと比較して、独特の運動学的特性を有する。椎弓根ネジおよびロッド器具類と違って、本デバイスおよび方法は、小関節面の係合を促す傾向がある。これは、付加的な脊髄分節安定性を提供してもよい、軸回転のいくらかの間接的制限をもたらす。本明細書で開示される本デバイスは、伸展荷重に関する問題を回避することに役立つ後方運動(伸展)を意図的に可能にし、患者の脊柱の平衡を保つことに役立ってもよい。ほとんどの他の器具類デバイスまたはシステムは、脊髄分節の後方運動を許可しない。
【0035】
したがって、多くの既存の背痛治療および安定化方法と関連付けられる課題に基づいて、過剰な荷重を低減することに役立つため、および付加的な屈曲安定性を提供するために、単独で、または他の脊椎治療と併せて使用することができる、方法および装置を提供することが望ましいであろう。図2は、その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、現在は米国特許第7,458,981号である、関連米国特許出願公開第2005/02161017A1号で説明されている種類の脊椎インプラントを示す。図2の拘束デバイスは、患者に埋め込まれた補綴によって負担される、または治療領域に隣接する組織によって負担される荷重を修正し、それにより、治癒を促進し、摩耗および断裂を低減するために、単独で、または他の脊椎治療と併せて使用されてもよい。また、拘束デバイスは、脊髄分節により多大な安定性を提供するために使用されてもよい。
【0036】
本明細書で説明される拘束から便益を得ることができる補綴および手技の多くは、特定の病変が介入によって直接治療されるように、自給自足となるように設計された。実施例は、環状修復デバイスを用いた線維輪の欠陥の治療、および椎体形成術または椎骨形成術を用いた脊椎圧迫骨折の治療を含む。これらの介入は、病変に直接対処する一方で、上記で説明されるように、それらが引き起こす副次的または一過性効果に対処しない。そのようなものとして、多くの独立型介入に優る改良のさらなる必要性が存在する。補助的な安定化が、1次補綴または手順と同時に埋め込まれてもよく、または1次補綴または隣接する組織の不利な荷重と関連付けられる退行性変化に対処するように後日埋め込まれてもよいことが留意されるべきである。
【0037】
複数の病変に同時に対処するように運動保存アプローチを組み合わせる、限定数のインプラントが知られている。例えば、Disc Motion TechnologiesによるPDSは、小関節面置換デバイスおよび完全椎間板置換補綴の組み合わせである。しかしながら、そのような複合デバイスは、組み合わせて発生する2つの独立した原発性病変に対処することを目的としており、例えば、複合椎間板置換および小関節面置換デバイスは、面関節および椎間板の複合病変に対処する。1次治療の生体力学を増強および修正することによって、1次治療の結果を向上させる手段を提供することが有利であろう。さらに、補助療法または拘束が低侵襲性であること、既知の関連合併症および罹患率により、椎弓根ネジの使用を回避すること、および1次運動保存治療の意図と協調して生理学的荷重および運動を可能にすることが有利であろう。
【0038】
図2で図示されるように、インプラント10は、典型的には、1対のコンプライアンス部材16によって接合される、上ストラップ構成要素12および下ストラップ構成要素14を有する、テザー構造を備える。上ストラップ12が、L4の棘突起SP4の最上部を覆って配置されて示されている一方で、下ストラップ14は、L5の棘突起SP5の底部を覆って延在して示されている。コンプライアンス部材16は、典型的には、棘突起SP4およびSP5が屈曲中に離れると、ストラップが、「弾性的」または「従順に」に引き離されてもよいような方法で、ストラップ12および14に取り付けられる、バネまたはゴムブロック等の内部要素を含む。このようにして、インプラントは、屈曲に抵抗する力である、棘突起上の弾性張力を提供する。力は、突起がさらに離れるにつれて増加する。通常、ストラップ自体は、弾性またはコンプライアンスの度合が、コンプライアンス部材16のみによって制御され、提供されてもよいように、本質的に非従順となる。インプラント10は、低侵襲的に脊髄分節に連結されてもよい。典型的には、上棘突起より上位にあり、また下棘突起の下位にある棘間靱帯(図示せず)に、小さい穿孔が作成される。次いで、上下ストラップが、これらの穿刺を通して前進させられてもよく、端が、閉ループを形成するようにともに連結されてもよい。インプラント10および使用方法についての付加的な詳細は、米国仮特許出願第61/093,922号(代理人整理番号第026398−000900US号)、同第61/059,543号(代理人整理番号第026398−000800US号)、同第61/059,538号(代理人整理番号第026398−000700US)号、米国特許出願第12/106,103号(代理人整理番号第026398−000410US号)、米国特許出願公開第2010/0023060号(代理人整理番号第026398−000710US号)、および同第2008/0262549号(代理人整理番号第026398−000151US号)、米国特許第7,458,981号(代理人整理番号第026398−000210US号)、および国際出願第PCT/US2009/055914号(代理人整理番号第026398−00910PC号)、および同第PCT/US2009/046492号(代理人整理番号第026398−000810PC号)で開示されており、それぞれの内容全体は、参照することによりその全体で本明細書に組み込まれる。他の脊椎治療と組み合わせて拘束デバイスが使用される、いくつかの例示的実施形態を以下で開示する。本明細書で開示される拘束デバイスは、参照することにより組み込まれる参考文献で説明されている特徴のうちのいずれかを含んでもよい。拘束デバイスの種々の実施形態からの特徴はまた、本明細書で開示される他の実施形態からの特徴と組み合わせられるか、または置換されてもよい。
【0039】
図3A−3Bは、人工椎間板または人工面関節置換デバイスとの拘束デバイスの使用を図示する。図3Aでは、天然椎間板Dは、2つの隣接する椎骨Vの間で正常に配置されている。しかしながら、疾患または変性により、損傷された椎間板が人工椎間板302と置換されてもよい。人工椎間板が当技術分野で周知であり、例示的な商用デバイスは、Depuy Spine、Johnson & Johnson CompanyからのCharite人工椎間板、ならびにSynthesおよびMedtronic Sofamor Danekからの他のデバイスを含む。人工椎間板302は、天然椎間板Dに取って代わり、2つの椎骨Vの間の適正な整列および間隔を修復し、2つの椎骨Vの間の平滑な相対運動を可能にする。
【0040】
図3Bは、単独で、または人工椎間板インプラントと組み合わせて使用されてもよい、人工置換面関節306の埋込を図示する。Facet Solutions,Inc.によって提供されるAcadia等の面関節置換も当技術分野で周知である。一部の患者では、面関節は、病的な有痛性関節を排除し、正常な運動を修復し、脊髄分節の安定化を提供するために、人工関節で修復または置換される。また、面関節インプラントは、固定の代わりに、部分椎弓切除術、椎弓切開術、神経減圧術、および脊椎関節突起切除術の補助として使用されてもよい。面関節インプラントはしばしば、小関節面の変性疾患、不安定性を伴う小関節面の変性疾患、変性脊椎すべり症、および脊髄狭窄症を含む、腰椎の不安定性または変形を治療するために使用される。
【0041】
人工椎間板も、面関節置換デバイスも、典型的には、脊髄分節の屈曲に対する弾性抵抗を提供しない。これらの補綴は、摩擦を最小化するように設計されている荷担面を有し、移動を制限する「硬質停止部」を備えてもよい。したがって、隣接棘突起SPの周囲に拘束デバイス304を適用することは、脊髄分節の屈曲を制限することに役立つ。拘束デバイス304は、概して、図2に図示された拘束デバイスと同じ形態を成し、上部テザー部分と、下部テザー部分と、1対のコンプライアンス部材(図3の側面図では1つしか図示されていない)とを含む。上部テザー部分は、上棘突起の上面の周囲に配置され、下部テザー部分は、下棘突起の下面の周囲に配置される。拘束デバイスを適用するための方法は、米国特許出願公開第2008/0262549号でより詳細に開示されており、拘束デバイスについての付加的な開示は、全て参照することにより本明細書に以前に組み込まれた、米国特許出願第12/106,103号および米国特許第7,458,981号で見出されてもよい。拘束デバイスを埋め込むための方法は、本明細書で開示される実施形態のうちのいずれかに適用されてもよく、本明細書で開示される拘束デバイスのうちのいずれかは、拘束デバイス304の形態を成してもよい。また、屈曲を制限することによって、人工椎間板または人工面関節および隣接する組織に印加される荷重のうちのいくらかが修正される。椎間板については、この荷重の変化は、椎間板縁の衝突を最小化し、縁の衝突を制限する特徴を伴うより複雑な人工椎間板の必要性を低減する。荷重は、より均等に分配されるか、または軽減さえされる。したがって、拘束デバイスを適用することは、脊髄分節のより自然な生体力学を修復することに役立つ。
【0042】
図4A−4Cは、図2の拘束デバイスが、どのようにして脊髄分節の固定と併せて使用されてもよいかを図示する。図4Aでは、隣接する椎骨は、当技術分野で周知の方法を使用して、ともに固定されている。固定領域Fはしばしば、固定の高さでの運動を防止するように、椎弓根ネジ402および脊椎安定化ロッド404が取り付けられるが、内部固定を伴わずに原位置固定が行われてもよい。この手技は、有望であるが、潜在的な欠点も有する場合がある。例えば、脊椎固定術が実現された後に、過剰な運動が、隣接する高さ(例えば、固定領域Fより上側および下側の脊髄分節領域)で生じる場合がある。これは、固定分節における可撓性の損失に対する補償によるものであり、運動分節のさらなる変性を生じ得る。したがって、隣接する高さ(例えば、固定より上側または下側)での分節の屈曲が制限され、それにより、さらなる変性を低減または排除するならば望ましいであろう。図4Aでは、図2で図示されたもの等の拘束デバイス406は、固定領域より上位にある運動分節に適用されている。拘束デバイスは、固定器具から完全に独立しているように脊髄分節に固定される。ここで、拘束デバイスは、固定より上位にある上棘突起の上面の周囲に、また、下棘突起の下面の周囲にも配置され、下棘突起は、固定された脊髄分節の上領域の一部である。したがって、この実施形態では、器具を取り付けられた領域に沿った運動は、固定過程を促進するために実質的に阻止され、拘束デバイスは、固定領域に上位隣接する脊髄分節の屈曲を制限する。これは、固定器具ならびに隣接する組織、特に隣接椎間板に印加される荷重をより均等に分配し、おそらくは軽減することに役立つ。それはまた、過剰な運動を低減し、固定されていない運動分節のさらなる変性の可能性を軽減する。
【0043】
図4Bは、図4Bでは、拘束デバイスが固定器具と連結されているという主な違いを伴う、図4Aと同様の実施形態を図示する。図4Bでは、下部椎骨が別の椎骨(図示せず)と固定されている。次いで、固定領域Fは、固定された椎骨の間での運動を防止するように、椎弓根ネジ402および脊椎安定化ロッド404が取り付けられる。次いで、拘束デバイス408が、固定された分節に上位隣接して適用される。この実施形態では、拘束デバイス408は、上棘突起の上面の周囲に配置される上部テザー410と、脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供する1対のコンプライアンス部材412とを含む。ここで、各コンプライアンス部材412の底部は、椎弓根ネジ402および安定化ロッド404と固着される。したがって、拘束デバイス408は、固定領域Fに上位隣接する脊髄分節の屈曲を制限する。代替実施形態では、コンプライアンス部材412の上部分は、上部テザー410を使用する代わりに、椎弓根ネジまたは他の締結具414と連結される、透視で図示された連結棒416を含んでもよい。代替実施形態では、拘束は、拘束デバイスが固定領域より下位にあり、コンプライアンス部材の最上部分が椎弓根ネジと連結されるように、方向転換させることができる。
【0044】
図4Cは、屈曲に対する抵抗を提供し、ならびに固定された脊髄分節の運動を防止するように修正されてもよい、図2と同様の拘束デバイスの代替実施形態の側面図および後面図を図示する。図4Cでは、後側方固定術Fが、隣接する椎骨、ここでは、L4とL5との間で行われている。拘束デバイス420は、上部テザー部分422と、下部テザー部分426とを含む。拘束デバイス420は、上部テザー部分422が、固定領域に隣接する椎骨の上棘突起の上面の周囲に配置され、下部テザー部分426が、固定領域の下部分上の下棘突起の下面の周囲に配置されるように、脊髄分節と連結される。中間テザー424は、中間棘突起の上面の周囲に配置され、中間テザー424の端は、下部テザー部分424に固定される。中間棘突起は、拘束デバイスが連結される上下棘突起の間に配置され、この例示的実施形態では、中間棘突起は、上部固定椎骨の一部である。この実施形態では、上部、下部、および中間テザー部分422、424、426は、実質的に非弾性であり、したがって、下棘突起と中間棘突起との間の運動は、テザー部分424、426の張力または長さに基づいて制御される。したがって、固定分節において運動が許可されないか、または非常に限定された運動が許可されるように、中間テザー部分および下部テザー部分を調整することが望ましいであろう。加えて、上部テザー部分422、下部テザー部分426、およびコンプライアンス部材408の構成は、上位隣接分節の屈曲を抑制する。当業者であれば、代替実施形態では、固定領域より下位にある脊髄分節の屈曲が制限されるように、拘束デバイスを使用できることも理解するであろう。
【0045】
本明細書で開示される実施形態の多くでは、いずれのインプラントも拘束デバイスの間に配置されない。したがって、拘束デバイスが上棘突起の上面および下棘突起の下面と連結される時に、上棘突起の下面と下棘突起の上面との間に直接延在する領域はしばしば、いずれのスペーサまたは他のインプラントも含まないままである。
【0046】
棘突起の間に何も配置されない、以前の実施形態とは違って、図5では、脊髄分節の伸展および屈曲を制限するために、拘束デバイスと組み合わせて棘間スペーサが使用されている。図5では、St.Francis Medical Technologies,Inc.(Kyphon,Inc.によって買収され、現在はMedtronicの一部)によって提供されているX Stop等のスペーサ502が、L3およびL4で棘突起SPの間に配置される。スペーサは、隣接する椎骨の間の伸展を制限し、それにより、小関節面荷重を潜在的に低減し、脊柱管および椎孔の面積を増加させる。これは、神経原性跛行および疼痛等の患者の体系を緩和することに役立つ。拘束デバイス504はまた、屈曲を制限するために脊髄分節に適用されてもよい。図5では、拘束デバイス504は、上部テザー部分506と、コンプライアンス部材508と、下部テザー部分510とを含む。この実施形態の上部テザー部分は、スペーサ502と直接連結されて示されている。それは、接着、溶接、固定、開口に通過させること等を含む、いくつかの方法でスペーサに取り付けられてもよい。代替実施形態では、上部テザー部分は、スペーサと連結される必要はない。代わりに、テザーは、以前に論議された図2、3、および4A−4Cの実施形態と同様に、上棘突起の上面の周囲に配置されてもよい。下部テザー部分510は、下棘突起の下面の周囲に配置される。したがって、屈曲は、スペーサより下位の分節で制限され、テザーおよびコンプライアンス部材508の構成は、屈曲に抵抗する力を提供する。当業者であれば、スペーサが脊髄分節に沿っていずれか2つの棘突起の間に配置されてもよく、したがって、拘束デバイスの位置は、必要に応じて脊髄分節に沿って移動させられてもよいことを理解するであろう。
【0047】
椎間板変性が初期または中間段階であり、椎間板線維輪が依然として有能であり、十分な拘束を提供する時に、完全椎間板補綴の代わりに、人造または人工髄核が使用されてもよい。髄核のみを置換することによって、線維輪および終板等の残存椎間板組織が、それらの機能とともに保存される。髄核を置換するための外科手技は、完全椎間板置換術よりも単純であってもよい。図6Aでは、人造髄核602が、椎骨Vの間に配置されている残存椎間板線維輪Aに埋め込まれている。人工髄核602は、線維輪を再膨張させ、荷重の一部分を携持することによって圧縮荷重を緩和する。しかしながら、髄核602は、分節屈曲による望ましくない移動、放出、摩耗、または他の悪影響を受ける場合がある。図6Aは、髄核602の部分押出を図示する。屈曲を制限する、図2と同様の拘束デバイスは、髄核の押出を防止することに役立ってもよい。図6Bでは、拘束デバイス604は、人造髄核602を包囲する椎骨の上下の棘突起に適用されている。拘束デバイス604は、概して、以前に説明された拘束デバイスと同じ形態を成す。例えば、拘束デバイス604は、上部テザー部分606と、下部テザー部分610と、1対のコンプライアンス部材608(図6Bの側面図では1つしか示されてない)とを含む。上部テザー部分606は、上棘突起の上面の周囲に配置され、下部テザー部分610は、下棘突起の下面の周囲に配置される。拘束デバイス604は、人造髄核を包囲する脊髄分節の屈曲に抵抗し、したがって、人造髄核および周辺組織上でより均等に力を分配し、それにより、髄核の損傷および放出を防止する。
【0048】
図7A−7Dは、椎体形成術と併せた拘束デバイスの使用を図示する。しばしば、骨粗鬆症、癌または良性腫瘍の結果である、脊椎圧迫骨折とも呼ばれる脊椎骨折を有する患者では、椎体形成術が適切な低侵襲治療であってもよい。図7Aは、椎骨Vにおける脊椎骨折702を図示する。図7Bは、椎体形成術での主要なステップを図示する。椎体形成術では、骨折した骨702の中へ狭い経路を作成するために、中空器具が使用される。次いで、整形外科用バルーン704が、経路を通して骨折した椎体702に挿入される。しばしば、治療中により良好な支持を骨に提供するために、椎体の両側に1つずつ、2つのバルーンが使用される(図7Bは側面図であり、したがって1つのバルーンしか図示しない)。次いで、バルーン704は、崩壊した椎体を持ち上げ、それを正常な位置に戻すために膨張させられる。バルーンを膨張させることはまた、骨に空洞を作成し、いったんバルーンが収縮されると、空洞は骨セメント706または骨セメント類似体で充填され、それにより、定位置で椎体を担持する内部ギプスを形成する。再度、これは有望な治療であるが、図7Cの矢印によって示されるような屈曲運動が、修復された椎骨の前方部分により高い圧縮荷重を及ぼす場合がある。これらの荷重は、修復された骨折708に伝達される場合があり、疼痛、骨折した骨の癒着不能、および他の治癒不具合を潜在的に引き起こす。加えて、骨セメントおよびほとんどの骨セメント代用品の弾性係数が正常な骨の弾性係数よりも大きいため、修復された椎体の剛性は、天然椎骨の剛性よりも大きくてもよく、そのようなものとして、骨セメント・骨界面において、過剰な摩耗および断裂があり得る。屈曲を制限する拘束デバイスの適用は、修復された骨折および隣接する組織708から除荷することに役立ち、それにより、これらの有害な合併症を低減してもよい。図7Dでは、図2と同様の拘束デバイスが、椎体形成術で治療された脊髄分節に適用されている。拘束デバイス710は、概して、上記で以前に説明されたのと同じ形態を成す。拘束デバイス710は、脊椎骨折に隣接する棘突起の周囲に配置される、上部および下部テザー部分712、716を含む。この実施形態では、上部テザー部分712は、上棘突起の上面の周囲に配置され、下部テザー部分716は、骨折した椎骨の下棘突起の下部分の周囲に配置される。テザーおよび1対のコンプライアンス部材714(図7Dの側面図では1つしか図示されていない)の構成は、治療された脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供する。他の実施形態は、椎骨形成術(椎体形成術用バルーンの拡張を伴わない充填材の注入)を含むがそれに限定されない、椎体形成術の変化例、およびインプラント(例えば、ステント状またはメッシュ状デバイスの埋込)を含んでもよい。
【0049】
図8A−8Bは、環状修復デバイスとの拘束デバイスの使用を図示する。環状修復デバイスは、特に椎間板ヘルニアによる、線維輪の欠陥、病変、断裂、または他の損傷を修繕または修復するために使用される。図8Aは、隣接する椎骨Vの間の椎間板の環状欠陥804を図示する。環状修復デバイス802は、椎間板ヘルニアまたは髄核放出を防止するために、線維輪と連結される。ヘルニア形成はしばしば、矢印によって図8Aで示される屈曲と急性的に関連付けられ、また、治癒を阻止し、再ヘルニア形成を誘発する場合もある。同様に、屈曲運動は、環状修復デバイスにより多くの要求を課し、したがって、それらの有効性に影響を及ぼす場合がある。屈曲運動を制限する拘束デバイスは、再ヘルニア形成の発生率を低減し、環状修復デバイス、特に低侵襲デバイスで治療された患者の転帰を向上させることに役立つ。
【0050】
図8Bは、環状修復デバイス802と併せた、図2で見られるもの等の拘束デバイスの使用を図示する。拘束デバイスは、概して、上記で以前に説明されたものと同じ形態を成す。拘束デバイス806は、上部および下部テザー部分808、812と、1対のコンプライアンス部材810(図8Bの側面図では1つしか見えない)とを含む。上部テザー部分は、上棘突起の上面の周囲に配置され、下部テザー部分は、下棘突起の下面の周囲に配置される。テザーおよびコンプライアンス部材810の構成は、脊髄分節の屈曲を制限する力を提供する。これはまた、線維輪後部の張力を低減することに役立ち、環状欠陥804を閉じておく。
【0051】
上記で開示される実施形態のうちのいずれかでは、屈曲に対する抵抗がどれだけ提供されるかを制御するために、拘束デバイスの張力および/または長さが調整されてもよい。拘束デバイスは、付加的な手術が回避されるように、経皮的に調整されることを含んで、埋込の前、間、または後に調整されてもよい。これはまた、治癒が発生するにつれて、デバイスが調整されることも可能にする。例えば、屈曲に対するより多大な抵抗を提供する、より緊密な拘束デバイスが、治癒の初期段階中に提供されてもよく、屈曲に対するより小さい抵抗を提供する、あまり緊密ではない拘束デバイスが、治癒が進行するにつれて必要とされてもよい。種々の調整および係止機構が、参照することにより本明細書に以前に組み込まれた、米国仮特許出願第61/059,543号および同第61/059,538号、ならびに本明細書で組み込まれた他の特許出願で開示されている。さらに、本明細書で開示される実施形態のうちのいずれかはまた、治癒過程を促進する治療薬を携持し、送達するために使用されてもよい。例えば、抗生物質が、感染症を予防することに役立つように拘束デバイスによって携持されてもよく、骨形成タンパク質も、骨または他の組織成長を刺激するために使用されてもよい。加えて、本明細書で開示される実施形態の多くは、インプラントまたは治療の高さで、あるいはインプラントまたは治療の高さより上位で、脊髄分節の屈曲を制限する拘束デバイスを示す。当業者であれば、インプラントまたは治療の高さより下側で屈曲を制限するよう、拘束デバイスが脊髄分節に適用されてもよいことを理解するであろう。加えて、状況によっては、拘束デバイスの下部分は、下棘突起の代わりに仙骨と連結されてもよい。仙骨取付方法は、米国仮特許出願第61/149,224号(代理人整理番号第026398−001200US)、国際出願第PCT/US2010/022767号(代理人整理番号第026398−001210PC)、および米国特許出願第11/827,980号(代理人整理番号第026398−000120US)でより詳細に開示されており、その内容全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。上記で説明される実施形態では、拘束構造は、第1の補綴または手技と同時に、または別の時に行われる別個の手技で埋め込まれてもよい。
【0052】
理解を明確にするために、かつ一例として、例示的実施形態をいくらか詳細に説明してきたが、いくつかの修正、変更、および適合が実装されてもよく、および/または当業者に明白となるであろう。よって、本発明の範囲は、独立請求項のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の補綴を患者の中に埋め込むことであって、該第1の補綴は、該患者の脊髄分節の少なくとも一部分と係合される、ことと、
拘束デバイスを該患者の中に埋め込むことであって、該拘束デバイスは、上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されるコンプライアンス部材とを有し、該拘束デバイスの上部分は、上棘突起と係合され、該拘束デバイスの下部分は、下棘突起または仙骨と係合される、ことと、
該テザー部分およびコンプライアンス部材の構成が該脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように、該拘束デバイスの長さまたは張力を調整することと
を含み、該拘束デバイスは、該第1の補綴またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する、手術方法。
【請求項2】
前記拘束デバイスは、前記第1の補綴またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を間接的に修正する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の補綴は、隣接する椎骨の間に埋め込まれる人工椎間板を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の補綴を埋め込むことは、後方アプローチから前記椎間板を埋め込むことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記隣接する組織は、椎間板を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の補綴は、人工面関節を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の補綴を埋め込むことは、前記脊髄分節に器具を取り付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の補綴は、骨移植片を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の補綴は、椎弓根ネジを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の補綴は、隣接する椎骨の間に配置される安定化ロッドを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の補綴または前記拘束デバイスのうちの少なくとも1つは、前記脊髄分節の中の組織を修正するように適合される治療薬を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記治療薬は、骨形成タンパク質を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
2つの隣接する椎骨をともに固定することをさらに含み、
前記第1の補綴を埋め込むことは、該2つの固定される椎骨のうちの上椎骨に、実質的に非弾性のテザーを連結することを含み、該実質的に非弾性のテザーおよび下部テザー部分の構成は、該2つの固定された椎骨の間の屈曲を制限し、
該実質的に非弾性のテザーは、該上部と下部テザー部分との間に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記実質的に非弾性のテザーは、少なくとも部分的に中間棘突起の上面の周囲に配置され、該中間棘突起は、前記上棘突起と前記下棘突起または前記仙骨との間に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の補綴を埋め込むことは、1対の隣接する棘突起の間にスペーサを設置することを含み、該1対の隣接する棘突起は、前記上棘突起、前記下棘突起、または前記仙骨のうちの少なくとも1つよりも上位にあり、該スペーサは、前記脊髄分節の少なくとも一部分の伸展を阻止し、
前記力は、該スペーサよりも下位にある該脊髄分節の一部分の屈曲に抵抗する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の補綴を埋め込むことは、1対の隣接する棘突起の間にスペーサを設置することを含み、該1対の隣接する棘突起は、前記上棘突起または前記下棘突起のうちの少なくとも1つよりも下位に配置され、該スペーサは、前記脊髄分節の少なくとも一部分の伸展を阻止し、
前記力は、該スペーサよりも上位にある該脊髄分節の一部分の屈曲に抵抗する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の補綴を埋め込むことは、隣接する椎骨の間に配置される椎間板に人工髄核を挿入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記拘束デバイスの長さまたは張力を調整することは、前記人工髄核の移動または放出を阻止することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第2の別個の手順で前記拘束デバイスの長さまたは張力を再調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
長さまたは張力を調整することは、経皮的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記脊髄分節の隣接する椎骨の間の椎間板物質の完全または部分椎間板切除術をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記拘束デバイスは、椎間板腔への荷重を修正する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記拘束デバイスは、椎間板切除術後の前記椎間板の再ヘルニア形成を阻止する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の補綴は、前記脊髄分節の線維輪への損傷を修復または補償するように構成される環状修復デバイスを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の補綴を埋め込むことは、後方アプローチから前記環状修復デバイスを埋め込むことを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記拘束デバイスは、前記線維輪からの前記環状修復デバイスの移動または放出を阻止する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の補綴を埋め込むことは、充填材を椎骨に注入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記充填材は、骨セメントを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の補綴を埋め込むことは、椎体形成術または椎骨形成術によって骨折した椎骨を治療することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記拘束デバイスは、前記椎骨への荷重を修正する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記拘束デバイスを埋め込むことは、
前記上棘突起の上面より上位に貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺することと、
該貫通を通して前記上部テザー部分を前進させることと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記拘束デバイスを埋め込むことは、
前記下棘突起の下面より下位に貫通を形成するように、棘間靱帯を穿刺することと、
該貫通を通して前記下部テザー部分を前進させることと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記拘束デバイスを埋め込むことは、
前記上棘突起と隣接する棘突起との間の間隙であって、そこからの棘間靱帯の外科的除去によって作成される間隙を通して、前記上部テザー部分を前進させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記拘束デバイスを埋め込む前記ステップは、
前記下棘突起と隣接する棘突起との間の間隙であって、そこからの棘間靱帯の外科的除去によって作成される間隙を通して、前記下部テザー部分を前進させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記拘束デバイスの長さまたは張力を調整することは、前記脊髄分節の治療中、および該脊髄分節の治癒中または治癒後に、該長さまたは張力を複数回調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記長さまたは前記張力は、経皮的に調整される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記拘束デバイスの長さまたは張力を調整することは、該長さまたは張力を所望の値に調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記上棘突起の下面と前記下棘突起の上面との間に直接延在する領域は、補綴を含まない状態のままである、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
患者の脊髄分節の1対の隣接する椎骨をともに固定することと、
該1対の隣接する椎骨に器具を取り付けることであって、該取り付けることは、その間に配置される複数の椎弓根ネジおよび少なくとも1つの安定化ロッドを用いる、ことと、
拘束デバイスを患者に埋め込むことであって、該拘束デバイスは、該器具を取り付けられた1対の椎骨の少なくとも一部分より上位または下位にあり、該拘束デバイスは、コンプライアンス部材を備え、該拘束デバイスの一部分は、該椎弓根ネジのうちの少なくとも1つと動作可能に連結される、ことと、
該拘束デバイスの長さまたは張力を調整し、それにより、該脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供し、該器具を取り付けられた隣接する椎骨およびそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正することと
を含む、手術方法。
【請求項40】
前記拘束デバイスは、少なくとも部分的に上棘突起の周囲に配置される上部テザー部分を備える、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記コンプライアンス部材の一部分は、締結具によって動作可能に連結され、該締結具は、前記脊髄分節の前記器具を取り付けられた領域より上位または下位にある椎弓根と連結される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記締結具は、椎弓根ネジを備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
上部テザー部分と、下部テザー部分と、その間に連結されるコンプライアンス部材とを有する拘束デバイスであって、該上部テザー部分は、患者の脊髄分節の上棘突起と連結され、該下部テザー部分は、該脊髄分節の下棘突起または仙骨と連結され、該拘束デバイスの長さまたは張力は、該テザー部分および該コンプライアンス部材の構成が該脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように調整可能である、拘束デバイスと、
該脊髄分節と連結される第1の補綴であって、該拘束デバイスは、該補綴によって、またはそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する、第1の補綴と
を備える、脊椎治療システム。
【請求項44】
前記第1の補綴は、隣接する椎骨の間に埋め込まれる人工椎間板を備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記隣接する組織は、椎間板を備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の補綴は、人工面関節置換を備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
前記第1の補綴は、椎弓根ネジと、脊椎安定化ロッドとを備え、該椎弓根ネジは、前記脊髄分節の椎弓根と螺合可能に係合され、該脊椎安定化ロッドは、隣接する椎骨の間に配置される、請求項43に記載のシステム。
【請求項48】
前記第1の補綴または前記拘束デバイスのうちの少なくとも1つは、前記脊髄分節の中の組織を修正するように適合される治療薬を備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項49】
前記治療薬は、骨形成タンパク質を備える、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記第1の補綴は、2つの隣接する椎骨の間に配置される骨移植材料を備え、該骨移植材料は、前記脊髄分節の該2つの隣接する椎骨の固定を促進するように適合され、
該第1の補綴は、ともに固定される該2つの椎骨のうちの上椎骨と連結される実質的に非弾性のテザーを備え、
該実質的に非弾性のテザーおよび前記拘束デバイスは、ともに固定される該2つの椎骨の間の屈曲を制限し、
該実質的に非弾性のテザーは、該上部テザー部分と該下部テザー部分との間に配置される、請求項43に記載のシステム。
【請求項51】
前記実質的に非弾性のテザーは、少なくとも部分的に中間棘突起の上面を覆って配置され、該中間棘突起は、前記上棘突起と前記下棘突起または前記仙骨との間に配置される、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記第1の補綴は、1対の隣接する棘突起の間に配置されるスペーサを備え、該1対の隣接する棘突起は、前記上棘突起、前記下棘突起、または前記仙骨のうちの少なくとも1つより上位に配置され、該スペーサは、前記脊髄分節の少なくとも一部分の伸展を阻止し、
前記力は、該スペーサよりも下位にある該脊髄分節の一部分の屈曲に抵抗する、請求項43に記載のシステム。
【請求項53】
前記第1の補綴は、1対の隣接する棘突起の間に配置されるスペーサを備え、該1対の隣接する棘突起は、前記上棘突起または前記下棘突起のうちの少なくとも1つより下位に配置され、該スペーサは、前記脊髄分節の少なくとも一部分の伸展を阻止し、
前記力は、該スペーサよりも上位にある該脊髄分節の一部分の屈曲に抵抗する、請求項43に記載のシステム。
【請求項54】
前記第1の補綴は、少なくとも部分的に前記椎間板の中に配置される人工髄核を備え、該椎間板は、少なくとも部分的に1対の隣接する椎骨の間に配置される、請求項43に記載のシステム。
【請求項55】
前記拘束デバイスの長さまたは張力の調整は、前記椎間板から離れた前記人工髄核の移動を阻止する、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記拘束デバイスは、前記人工髄核への荷重を修正する、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記第1の補綴は、前記脊髄分節の線維輪への損傷を修復または補償するように構成される環状修復デバイスを備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項58】
前記第1の補綴は、少なくとも部分的に椎骨の中に配置される充填材を備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項59】
前記充填材は、骨セメントを備える、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記拘束デバイスは、前記椎骨への荷重を修正する、請求項58に記載のシステム。
【請求項61】
前記拘束デバイスの前記長さまたは張力は、経皮的に調整可能である、請求項43に記載のシステム。
【請求項62】
前記上棘突起の下面と前記下棘突起の上面との間に直接延在する領域は、補綴を含まない状態のままである、請求項43に記載のシステム。
【請求項63】
複数の椎弓根ネジと、少なくとも1つの脊椎安定化ロッドとを備える第1の補綴であって、該第1の補綴は、ともに固定される1対の椎骨に器具を取り付けるように適合され、該1対の椎骨は、患者の脊髄分節の中に配置され、少なくとも1つの椎弓根ネジは、該1対の椎骨のうちの少なくとも1つの各々と螺合可能に係合され、該安定化ロッドは、該少なくとも1つの椎弓根ネジと連結され、該安定化ロッドは、該1対の椎骨をわたって配置される、第1の補綴と、
コンプライアンス部材を備える拘束デバイスであって、該1対の椎骨の少なくとも一部分より上位にある、拘束デバイスと
を備え、該拘束デバイスの下部分は、該椎弓根ネジのうちの少なくとも1つと動作可能に連結され、
該拘束デバイスの長さまたは張力は、該1対の椎骨より上位にある該脊髄分節の屈曲に抵抗する力を提供するように調整可能であり、該拘束デバイスは、該第1の補綴およびそれに隣接する組織によって負担される荷重を修正する、脊椎治療システム。
【請求項64】
前記拘束デバイスは、少なくとも部分的に上棘突起の周囲に配置される上部テザー部分を備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記コンプライアンス部材の上部分は、前記脊髄分節の器具を取り付けた領域より上位にある椎弓根と連結される締結具によって動作可能に連結される、請求項63に記載のシステム。
【請求項66】
前記締結具は、椎弓根ネジを備える、請求項65に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2012−520135(P2012−520135A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554162(P2011−554162)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/026859
【国際公開番号】WO2010/104975
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(509108906)シンピライカ スパイン, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】