説明

外管付きランプ

【課題】 接着剤による外観品質の劣化を抑制するとともに、十分な固着強度を得られる外管付きランプを提供すること。
【解決手段】 ランプ本体4を収容する外管5を口金6に固着する放電ランプ1であって、外管と口金を固着する接着面9が対向する2箇所に設けられており、外管の接着部分の外径をD〔mm〕、2箇所の接着面の平均面積をS〔mm2〕としたとき、2D−18≦Sとする。外管の外径に合わせ適切な接着面積にすることにより固着強度を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ本体とランプ本体を収容する外管を口金に取り付けた外管付きランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗用照明としてはハロゲンランプが使用されていたが、近年、ハロゲンランプに代わり、高効率、長寿命であるメタルハライドランプが提案されている。
特に透光性セラミック放電容器を使用したセラミックメタルハライドランプは、耐食性に優れているため、発光効率が高く可視光全域での発光が見られる希土類金属を利用することができ、高効率、高演色な光源を得ることができる。
この種のセラミックメタルハライドランプを使用した店舗用照明ではコンパクトな照明が要求されているため、発光管を内部に備え一端が閉じられ他端がピンチシールにより閉じられた気密外管と、この気密外管を取り付けた口金に接着剤により外管を固着したランプが提案されている。
しかし口金と外管を接着する接着剤が、透明な外管を通して外部から視認されるため、外管品質が損なわれる問題があった。
【0003】
そこで、外管に不透明膜を施し接着剤を隠し、外観品質が損なわれるのを防止する外管付きランプが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、ランプの使用中、外管は高温にさらされるため、この不透明膜は耐熱塗料などの高耐熱性能が要求される。このような耐熱塗料の塗布による不透明膜の形成には、塗布材料コスト及び塗布工程による余分なコストが発生してしまう。
外観が損なわれるのは接着剤が透明外管を通して視認されるからであるから、この接着面は面積が小さいほど外観が損なわれるという問題に対しては有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3124181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着面の面積は小さいほど良好な外観を保持できるが、接着面の面積が小さすぎる場合、相対的に固着強度が低下するため、取り付けや取り外しの際、過度の力が加わると破損などが発生することがある。
そこで本発明は、良好な外観を保持したまま、十分な固着強度を実現することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の請求項1記載の放電ランプは、ランプ本体に取り付けられた口金と、ランプ本体を収容し、接着剤により口金に取り付けられた外管とを備え、前記口金と外管を固着する接着面が対向する2箇所に設けられ、前記外管の接着部分の外径をD〔mm〕、前記2箇所の接着面の平均面積をS〔mm2〕としたとき、2D−18≦Sであることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2記載の放電ランプは、請求項1記載の放電ランプにおいて、前記外管の接着面に、内側方向に凸部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3記載の放電ランプは、請求項2記載の放電ランプにおいて、前記接着剤と前記口金の接着面の周囲の色が同色であり、前記口金の外周面には段差が形成されており、前記段差に外管を嵌めこみ固着する構造であり、前記接着面は、前記段差のみに存在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外管の寸法にあわせ接着面の面積を最適化したことにより、良好な外観を保持したまま、十分な固着強度を実現できる。
また、外管の内側方向に凸部を形成したことにより、外観上の接着面積を増加させることなく、固着強度に影響を与える接着面積を増加させることができるため、外観に影響を与えることなく、固着強度の上昇が実現できる。
また、接着剤と口金が同色であるため、接着剤は周囲と同化し良好な外観を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る放電ランプを示す図。
【図2】本発明に係る放電ランプを示す組立図。
【図3】本発明の口金の取付部を示す図。
【図4】外管の外径と接着面の面積による固着強度を測定した実験結果を示す図。
【図5】本発明の別の実施形態を示す図。
【図6】本発明の別の実施形態を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は本発明に係る放電ランプを示す図である。図1に示すように、放電ランプ1は、ガラス製の密閉内管4の内部に、セラミックメタルハライドランプなどの発光管3を収納したランプ本体2が口金6に取り付けられており、このランプ本体を収納するように外管5が口金に固着されている。
ランプ本体2は片端が密封されており、他端はピンチシール部7が形成され、このピンチシール部7から発光管3の一対のリード線8をランプ本体外部に導出し、導出したリード線8は口金6に接続され、外部からの給電により発光管3が点灯する構造になっている。
口金6は取付部11と口金本体12からなり、取付部11にランプ本体2と外管5を取り付けた後、口金本体12に取り付けることにより放電ランプ1が完成する。
【0012】
図3は口金6の取付部11を示す図である。
図3に示すように、取付部11はランプ保持部13とフランジ14と口金挿入部15からなり、中央にはランプ本体を挿入、固定するためのランプ挿入口17が形成されている。凹部16は外管を固着するために接着剤を充填するためのものであり、対向した2箇所に形成されており、この凹部が接着面9になる。
本実施例においては、ステアタイトで形成された白色の口金と、アルミナ及びシリカを主成分とする白色の無機耐熱接着剤を使用している。
ランプ保持部13には中央にランプ挿入口17が形成されており、このランプ挿入口17にランプ本体2を挿入して固着した後、凹部16に接着剤を充填し、ランプ本体2を収容するように外管5を挿入し外管端部をフランジ14に当接した位置にて外管5と取付部11を固着する。
【0013】
ランプ保持部13の外径は外管5の内径よりもわずかに小さく形成されており、この部分に接着剤は充填されず、接着剤は取付部11の凹部16にのみ充填されているので、この部分が実質的な接着面9となる。
接着面は小さいほうが良好な外観を保持できるが、小さすぎる接着面は固着強度を低下させるため、固着強度を向上させるべく本発明者は最適な接着面の面積を決定する試作実験を行った。
【0014】
図4は試作した放電ランプの外管の接着部における外径と接着面の面積による固着強度を測定した結果である。外管の外径をD〔mm〕、2箇所の接着面の平均面積をS〔mm2〕とし、トルク試験により過度な力を放電ランプに加え、十分な固着強度を得ることができた試作仕様を○印で表し、十分な固着強度を得ることができなかった試作仕様を×印にて表している。
本実験によれば、外管の外径Dが大きいほど、2箇所の接着面の平均面積Sを大きくする必要があり、接着面の面積は2D−18≦Sであれば、十分な固着強度が得られることが判明した。
【0015】
尚、接着面の面積は大きいほど固着強度を高められるが、大きな接着面は外観を損ねること以外にも以下のような問題がある。
大きな接着面にした場合、使用する接着剤の量が多くなるため、固着時の乾燥工程においてより大きなエネルギーとより長い時間が必要になる。本実施例における乾燥工程は、200℃の炉体の中に30分保持する条件で行われたが、接着面積を50mm2以上にした試作品において、この乾燥条件で乾燥させたものは、十分乾燥されないため大きな接着面積を有しながらも逆に固着強度が低下してしまった。
乾燥工程の条件を変え、より大きなエネルギーとより長い時間をかけ乾燥させることにより、50mm2以上の接着面積を持ったものでも十分な乾燥を得ることが可能であるが、乾燥工程のコストアップになるため、接着面積は50mm2以下が妥当である。
【0016】
図5は本発明の別の実施形態を示す正面図(a)と断面図(b)である。
図5に示すように、外管の接着面には内側方向に凸部10を設けても良い。この凸部を設けることにより固着強度に影響を与える接着面積を増大させることができる。一方で、外観上の接着面積は変わらないので、良好な外観を維持することができる。凸部の形状は接着面積を増大させるものであればよく、図5に示したように内側に突起を設けたものや、加熱した状態で外側から力を加えることにより内側に凹ませたものでも良い。
【0017】
図6は本発明の別の実施形態を示す部分断面図である。
凸部10の寸法は固着強度に影響を与える接着面積を増加させることができれば良いが、図6に示す凸部10と接着部端面との距離dは、1mm以上が望ましい。これは、この距離dにより、例えば外管5が取付部11から抜けるような方向に力が加わった場合でも凸部10が接着剤部分に引っかかり抜けにくくなるため、強度を向上させることができるからである。また、この効果は抜ける方向のみならず、周方向に対しても有効である。
【0018】
また、取付部11には、ランプ保持部13とフランジ14により段差が形成されているが、段差よりはみ出しランプ保持部13より上に接着剤がはみ出すと外観を損ねてしまうので、接着面はこの範囲に収めることが望ましい。また、接着剤と口金が同色であれば、接着剤は周囲と同化し見えにくくなるため、良好な外観を保持できる。尚、接着剤と口金は全く同じ色である必要はなく、接着剤が目立たない程度に同系統の色であれば良い。
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、十分な固着強度を実現できるとともに、接着面積を抑え、良好な外観を維持することが実現できた。
【符号の説明】
【0020】
1 放電ランプ
2 ランプ本体
3 発光管
4 密閉内管
5 外管
6 口金部
7 ピンチシール部
8 リード線
9 接着面
10 凸部
11 取付部
12 口金本体
13 ランプ保持部
14 フランジ
15 口金挿入部
16 凹部
17 ランプ挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ本体と、ランプ本体に取り付けられた口金と、ランプ本体を収容し、接着剤により口金に取り付けられた外管とを備え、前記口金と外管を固着する接着面が対向する2箇所に設けられ、前記外管の接着部分の外径をD〔mm〕、前記2箇所の接着面の平均面積をS〔mm〕としたとき、2D−18≦Sであることを特徴とする、放電ランプ。
【請求項2】
前記外管の接着面には内側方向に凸部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記接着剤と前記口金の接着面の周囲の色が同色であり、前記口金の外周面には段差が形成されており、前記段差に外管を嵌めこみ固着する構造であり、前記接着面は、前記段差のみに存在することを特徴とする請求項1または2記載の放電ランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−199076(P2012−199076A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62420(P2011−62420)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成23年3月8日にライティング・フェア2011にて発表
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】