説明

外管付き電気ランプ

本発明は両側が溶融シールで封止された内管を有する電気ランプであって、内管は長手軸を有し、内管内に発光手段が収納されている。内管は外管によって包囲されており、外管はホイル端部の位置に取り付けられた2つの隆起部に固定されている。本発明はまた前記電気ランプを製造する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念に従った外管付き電気ランプに関する。この種のランプはとりわけ高圧放電ランプ又はハロゲン白熱灯である。
【0002】
背景技術
EP-A 1 492 146には、内管上に外管が取り付けられた、外管付き高圧放電ランプが記載されている。特に、外管は内管のシールの管状延長部に固定されている。
【0003】
発明の概要
本発明の課題は、内管と外管との間で良好な熱放散が保証される外管付き電気ランプを提供することである。
【0004】
この課題は請求項1の特徴部分に記載されている構成により解決される。
【0005】
特に有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0006】
内管と外管とを有する石英ガラスでできた、両側が封止された電気ランプ、特に放電ランプはたいてい外管が原因で封止ホイルの周囲環境に対して開けた面の温度が上昇するため大きなエネルギー損失を被る。ここでは、周囲雰囲気は空気である。この封止はふつう溶融シール又はピンチシールである。
【0007】
従来、温度負荷は、溶融領域を比較的長くすることによって、又はランプの構造を明らかにより手の込んだものにすることによって、例えば外管を内管の円筒状の封止領域に、とりわけ溶融シールに当接させることによって解決されてきた。
【0008】
良好な熱放散は封止ホイルの縁部温度を下げ、外管付きランプの封止ホイルの酸化を防ぐ。
【0009】
本発明によれば、放電容器のシールはさらに隆起部(瘤とも呼ばれる)を含んでおり、しかもこの隆起部は封止ホイルの外縁の近傍にある溶融領域に存在する。この隆起部は外管への接点として機能し、効率的に温度を放散させる。
【0010】
シールの管状延長部に位置するシール外縁部での接合とは別に、この付加的な接合点によって、熱はホイル溶融領域から排出される。その際、一定の付加的な熱橋が形成される。最終的には、これによってホイルの縁部温度が明らかに低下する。
【0011】
その他に、この隆起部はこの種のランプを製造する際に有利な効果を奏する。基本的にEP 1 492 146に記載されているように、外管の体積はシールの延長部にあるポンプ穴を介して排出及び充填される。このポンプ穴は充填プロセス後に封止されなければならない。これまでは、外管の端部をシールの円筒状延長部に当てることによってポンプ穴を閉じることが提案されてきた。しかし、このプロセスではガラス中に大きな応力が発生する。
【0012】
より良い解決手段は、ホイル外縁の位置における溶融中に隆起部を付加することで可能になる。これにより、外管の端部はこの隆起部上に来る。延長部における大きな接合面に比べて、この隆起部の外管との接合面は小さい。接合面が小さいため、外管のガラス中の応力は明らかに低減する。さらに、接合する面積が小さいので、明らかに低いエネルギーコストで接合ができる。さらに、この接合により、接合される部材(外管と発光管胴部)の間の角度が大きくなり、機械的な強さが改善される。
【0013】
この場合、ポンプ穴自体はもはや封止されず、隆起部によって外管の体積から切り離される。
【0014】
また、外管を延長部の領域において小面積で内管と接合させてもよい。さらに、この構造から熱的な境界が生じ、ある一定の境界(瘤の赤道)の場合には、任意選択的に負圧と温度とを介してポンプ穴領域を平面的に当接させることが可能である。
【0015】
外管の充填物は任意選択的に真空、窒素(50mbar〜800mbar)、アルゴン(50mbar〜800mbar)又は他の混合ガス又は空気(標準気圧、開放系)とすることができる。
【0016】
製造方法は基本的に以下のステップを用いる。
a)放電容器の前身として石英ガラスでできた管を用意する。
b)前記管の各端にそれぞれ1つの電極システムを装填する。ただし、電極システムは電極、ホイル、給電線及び口金を含んでいる。
c)中央の放電体積と、ホイルを含む溶融シールと、給電線及び口金部材を含む管状延長部とが形成されるように前記管の第1の端部を加熱及び成形する。その際、成形の最中又は成形の後に、ホイルの外縁部の位置における溶融シールに放射状の隆起部が取り付けられる。
d)まだ開いている第2の端部を通して放電体積を排出及び充填する。
e)この場合も、ホイルを含む溶融シールと給電線及び口金部材を含む管状延長部とが形成されるように前記管の第2の端部を加熱及び成形する。ここでも、成形の最中又は成形の後に、ホイルの外縁部の位置における溶融シールに放射状の隆起部が取り付けられる。これにより生じる放電容器の第2の延長部の側部には、外管のための後のポンプ穴として開口部が残される。
f)後に外管となる、直径のより大きな、石英でできた第2の管を被せる。ここで、第2の管の長さは、放電体積と封止領域と延長部の所定の部分、とりわけ延長部の長さの10〜60%の領域とを被覆するように選定されている。さらに、被覆領域における後のポンプ穴は閉じている。
g)外管を形成するために、第2の管の両端を圧延又は融着又は接着することにより、延長部領域に少なくとも1つの真空密なコンタクトを形成する。ここで、ポンプ穴はコンタクト領域内にある。
h)内部容器と外管との間に広がる体積をポンプ穴を介して排出し、場合によっては充填する。
i)外管の端部を溶融シールの隆起部に当接させる。
【0017】
場合によっては、ポンプ穴を封止するために(所望ならば)改めて圧延をしてもよい。その場合、有利には、圧延される領域は第1の圧延プロセスにおいて既に明らかに小さな直径にされている。ポンプ穴は単純に負圧を利用して閉じさせることで封止してもよい。あるいは、レーザ光線もしくはプラズマ加熱によって、又は他のいずれかの確立された方法によって溶融させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】メタルハライドランプの第1の実施例を示す。
【図2】ハロゲン白熱灯の実施例を示す。
【図3】図1のランプの製造方法を極めて図式的に示す。
【図4】上記製造方法による新規な端部を示す。
【図5】隆起部とまだ開いているポンプ路とを含むポンプ穴周りの領域の詳細を示す。
【図6】隆起部と閉じたポンプ路とを含むポンプ穴周りの領域の詳細を示す。
【0019】
本発明の有利な実施形態
図1には、両端が封止されたメタルハライドランプ1の側面図が極めて図式的に示されている。樽状体として形成された、石英ガラスでできた放電容器2には、2つの電極3とハロゲン化金属充填物が封入されている。バルブ端部はピンチシール4又は溶融シールによって封止されており、その中にホイル5が埋め込まれている。これらは外部給電線6と接続されている。外部給電線6は管状スリーブ7の中に通されており、組み込まれた口金部材9のソケット8で終端している。口金は鋼からワンピース形成されており、さらにコンタクト部材として円板10を、センタリング及び保持部材として反し11を有している。放電容器の膨らんだ部分は外管12によって包囲されており、外管12の、ピンチシール4とスリーブ7との間の移行部は圧延(13)されている。外管12は円周上に窪み14を有しているので、外管の内表面に塗布された、ステンレス鋼又はニッケル鍍金した鉄でできた弾性支持帯15は、横にずれることがない。支持帯はZr、Fe、V、Coのようなゲッター物質を含有している。これらのゲッター物質は酸素、水素などのような様々な物質を吸収するためのものである。外管は窒素、他の不活性ガス又は真空で充填されていてよい。
【0020】
以下に、図2に基づいて製造方法を説明する。まず、成形ローラと、場合によってはさらに、まだ開いている管の中に入れた電極システムを例えばかしめによって固定するかしめ具とによって、端部にシール(ピンチシール4又は溶融シール)が設けられるところまで、円筒状の管から放電容器2を完成させる。同時に、シールに一体的に取り付けられたスリーブ状の延長部7は残る。まず延長部のまだ開いている端部16aを挿入された口金部材17に当接させることにより第1の延長部7aを封止する間、第2の延長部7bではポンプ穴18は開いたままである。また、初めのうちは開放端16bは処理されない。円筒状の外管12は、円周上の窪み14が外管12内で窪み14の傍らに張られた支持帯を脇から固定するところまで、並行して前処理されている。外管の端部は、炎で前もって加熱し、延長部16a、bの両端に成形ブロックRを当てることによって圧延(矢印P1、P2)される、それも第2の延長部16bにおける固定がまだ開いているポンプ穴18の外部で行われるように圧延される。外管12はポンプ穴18の領域ではたしかに既に圧延されるが、延長部16bに接する領域(矢印P2)ではまだ圧延されない。このアセンブリは第2の延長部のまだ開いている端部において送り管38を介してポンプ・充填システム39に接続される、特に、ポンプゴム40を延長部の端部に当てることによって接続される。特に有利には、口金部材はこのときまだはめ込まれていない。
【0021】
今や外管内の雰囲気を排出することができる。ポンプ路は矢印P3として示されている。続いて、このポンプ路を介して外管12に例えば不活性雰囲気を入れてもよいし、又は真空を維持してもよい。次のステップでは、必要に応じて、ポンプ穴18は、圧延されるか、レーザで溶融されるか、単に加熱後に負圧をかけて自ら閉じるようにすることによって封止される。しかし、これは必須ではない。続いて、第2の延長部の端部16bを「すぼませる」。しかし、「すぼませる」のは、端部16bが瘤30に接するまでである。ゲッターストリップ15は、使用しているゲッターにおいて必要ならば、後で外管12を貫いてレーザで活性化させてもよい。
【0022】
図3には、まったく同様に形成されたハロゲン白熱灯20が示されている。しかし、このハロゲン白熱灯20は電極は有しておらず、内管の内部に発光体21を有している。
【0023】
図4には、内管2と外管12との接続領域が詳細に示されている。ここで、ガラス瘤30はだいたい溶融シール24の中のホイル5の外側端部の位置にある。このガラス瘤30は例えば封止領域の圧潰、圧延又はブロー成形によって円周上のカラー又は隆起部として形成することができる。ガラス瘤30の後方もっと外側にはポンプ穴18があり、管状延長部7から外管12内への連絡部を形成している。外管12の外側端部は内管の延長部7に接着されている。外管はまだガラス瘤30から離れている。
【0024】
図5では、続いて外管の端部領域が加熱され、外管の細い管状の端部32が瘤30の円頂に押し当てられる。これによって面積の小さな管状接続部が形成され、ポンプ穴18が外管の内部体積から切り離される。その際、ポンプ穴そのものは必要に応じて維持される。この面積の小さな管状接続部は同時に溶融シール24と外管12との間の理想的な熱橋として機能する。
【0025】
図6の放電容器2は例えばそれ自体公知のメタルハライドからなる充填物を有している。さらに、放電容器の中には2つの電極3が配置されており、これら2つの電極3の間で放電アークが点火する。
【0026】
熱負荷の対称性の理由から、この実施例では、2つのピンチシール4がホイル端部の近傍にこの種の隆起部30を有している。しかし、隆起部30のうちの1つだけしかポンプ穴18の封止に関係する機能を有していない。
【0027】
瘤の成形はシャンク(ピンチシール又は溶融シール)の外径の0.4倍から数倍までとしてよい。瘤30は回転対称な基本立体(球形又はレンズ形)であり、直径が最も大きな部分では丸い輪郭を有している。円筒状のシャンク部分への移行部は角張って形成してもよいし、丸く形成してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラスでできた長く延びた内管を有する電気ランプであって、該電気ランプは両側が溶融シールで封止された中央部を有しており、前記溶融シールに管状の外部延長部が接続しており、前記溶融シールはホイルを含んでおり、前記内管は長手軸を有しており、前記内管内に発光手段が収納されており、前記内管は石英ガラスでできた外管により包囲されている、電気ランプにおいて、前記溶融シールは前記ホイルの端部の位置に半径方向外側に突き出た隆起部を有しており、前記外管の各端部領域は前記隆起部と接合しており、前記ホイルからの熱が排出されることを特徴とする電気ランプ。
【請求項2】
前記外管の端部は前記延長部と接続されている、請求項1記載の電気ランプ。
【請求項3】
前記延長部の領域において片側にポンプ穴が設けられている、請求項1記載の電気ランプ。
【請求項4】
外管(12)と該外管(12)内に配置された放電容器(2)とを有する電気ランプを製造する方法において、
a)放電容器の前身として石英ガラスでできた管を用意するステップと、
b)前記管の各端にそれぞれ1つの電極システムを装填するステップであって、電極システムは電極、ホイル、給電線及び口金を含む、ステップと、
c)前記ホイルを含む溶融シールと前記給電線及び前記口金部材を含む管状延長部とが形成されるように前記管の第2の端部を加熱及び成形するステップであって、成形の最中又は成形の後に、前記ホイルの外縁部の位置にある前記溶融シールに半径方向に隆起部が取り付けられる、ステップと、
d)まだ開いている前記第2の端部を通して放電体積を排出及び充填するステップと、
e)前記ホイルを含む溶融シールと前記給電線及び前記口金部材を含む管状延長部とが形成されるように前記管の第2の端部を加熱及び成形するステップであって、成形の最中又は成形の後に、前記ホイルの外縁部の位置にある前記溶融シールに半径方向に隆起部が取り付けられ、これにより生じる放電容器の第2の延長部の側部には、外管のための後のポンプ穴として開口部が残される、ステップと、
f)後に外管となる、直径のより大きな、石英でできた第2の管を被せるステップであって、前記第2の管の長さは、前記放電体積と前記封止領域と前記延長部の所定の部分、とりわけ前記延長部の長さの10〜60%の領域とを被覆するように選定されており、前記後のポンプ穴は被覆領域において閉じている、ステップと、
g)外管を形成するために、前記第2の管の両端を圧延又は融着又は接着することにより、前記延長部の領域に少なくとも1つの真空密なコンタクトを形成するステップであって、前記ポンプ穴はコンタクト領域内にある、ステップと、
h)内部容器と外管との間に広がる体積をポンプ穴を介して排出、場合によっては充填するステップと、
i)外管の端部を前記溶融シール中の隆起部に当接させるステップと
を用いることを特徴とする電気ランプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−523066(P2012−523066A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502548(P2012−502548)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053109
【国際公開番号】WO2010/112314
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(508096703)オスラム アクチエンゲゼルシャフト (92)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM AG
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Str. 1, 81543 Muenchen Germany
【Fターム(参考)】