説明

外装化粧材及びその位置決め治具

【課題】外装化粧材と軒天との施工順序が不問となり、外装化粧材を施工した後であっても、軒天の取り付け又は取り外しを容易に行うことができる外装化粧材の提供を目的とする。
【解決手段】 軒を構成する木下地120の外側面及び軒天130の端縁部を覆い隠すための外装化粧材1であって、木下地120の外側面を覆い隠す略板状の化粧材本体10と、軒天130の端縁部を覆い隠す略板状の見切り材20とを備え、少なくとも、化粧材本体10の下端側に、木下地120に接合された軒天130と干渉しない係合部11を設け、この係合部11によって、化粧材本体10と見切り材20とを着脱可能に取り付けた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒を装飾するための鼻隠し又は破風といった外装化粧材、及びその位置決め治具に関し、特に、外装化粧材と軒天との施工順序が不問となり、外装化粧材を施工した後であっても、軒天の取り付け又は取り外しを容易に行うことができる外装化粧材及びその位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軒を構成する木下地の外側面、及びこの木下地に接合された軒天の端縁部を覆い隠して装飾するために、鼻隠し又は破風といった外装化粧材が広く用いられている。例えば、図14は特開平7−229256号公報(特許文献1参照)で提案されている従来の外装化粧材の施工状態を示す部分断面図である。
【0003】
同図において、従来の外装化粧材110は、板状をなす鼻隠し(又は破風)本体部111と、鼻隠し本体部111の下部側から側方に向けて突き出す張出し部112とを一体に備え、張出し部112に換気口112aを形成した構成となっていた。
【0004】
このような従来の外装化粧材110は、軒天130の施工後に、木下地120の外側面に沿って鼻隠し本体部111を釘やビスで固定することにより施工していた。また、木下地120に鼻隠し本体部111を固定すると、張出し部112の先端112bが、軒天130の端縁部を覆い隠すようになっていた。さらに、鼻隠し本体部111の外側には、雨樋140がその長手方向に沿って取り付けられていた。
【特許文献1】特開平7−229256号公報(図1,4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した従来の外装化粧材110では、鼻隠し本体部111に一体化した張出し部112(先端112b)により、軒天130の端縁部を覆い隠す構成となっていたため、天井裏のメンテナンスや破損した軒天130を交換する場合などに、軒天130を容易に取り外すことができないという問題があった。
【0006】
すなわち、軒天130の端縁部が鼻隠し本体部111の張出し部112に覆い隠されているために、軒天130を単独で取り外すことができず、まず、雨樋140を取り外し、次いで、外装化粧材110を取り外し、その後、軒天130を取り外すといった順序を経なければならなかった。
【0007】
また、施工時は上記と逆に、まず先に、軒天130を取り付けた後でなければ、外装化粧材110を取り付けることができず、軒天130と外装化粧材110との施工順序が制限されてしまうという問題もあった。
【0008】
さらに、鼻隠し本体部111に張出し部112を一体化した断面略L字形状の外装化粧材110では、窯業系材料等によって全体を一体的に押し出し成形する場合に、張出し部112を形成するための、L字型のサポーター治具を必要とし、一般的な平板トレイが使用できず、製造に手間が掛かるという問題もあった。
【0009】
これに加え、従来の外装化粧材110では、柔軟性のない硬質の窯業系材料等によって張出し部112を鼻隠し本体部111に一体化していたので、木下地120や軒天130の取り付け誤差や寸法誤差が生じた場合には、張出し部112と軒天130との間に隙間Sが生じてしまうことがあり、取り付け誤差や寸法誤差に柔軟に対応することができないという問題もあった。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、外装化粧材と軒天との施工順序が不問となり、外装化粧材を施工した後であっても、軒天の取り付け又は取り外しを容易に行うことができ、また、サポーター治具を使用することなく効率よく押出成形することが可能であり、さらに、木下地や軒天の取り付け誤差や寸法誤差に柔軟に対応することができる外装化粧材及びその位置決め治具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の外装化粧材は、軒を構成する木下地の外側面及び軒天の端縁部を覆い隠すための外装化粧材であって、前記木下地を覆い隠す略板状の化粧材本体と、前記軒天の端縁部を覆い隠す略板状の見切り材とを備え、少なくとも、前記化粧材本体の下端側に、前記木下地に接合された前記軒天と干渉しない係合部を設け、この係合部によって、前記化粧材本体と前記見切り材とを着脱可能に取り付けた構成としてある。
【0012】
このような構成によれば、化粧材本体が軒天と干渉しないので、軒天との関係で施工の先後が問われない。したがって、化粧材本体と軒天とのいずれを先に施工してもよい。いずれが先の場合でも、軒天の施工後に見切り材を化粧材本体に装着すれば、施工された軒天の端縁部を覆い隠し、この端縁部における隙間、釘やビスの頭を目隠しすることが可能となる。
【0013】
また、軒天の端縁部を、着脱自在な見切り材によって覆い隠しているので、本外装化粧材を施工した後であっても、見切り材のみを分離することにより、軒天を容易に取り外すことができる。
【0014】
さらに、化粧材本体は、見切り材を着脱自在な別体としてあるので、従来の外装化粧材のような張出し部を一体化する必要がない。これにより、化粧材本体の裏面が平坦面となり、サポーター治具を用いずに効率よく押出成形することが可能となる。
【0015】
これに加え、化粧材本体を耐火性に優れた窯業系材料で形成し、見切り材のみを弾性に富んだ合成樹脂で形成することが可能となり、この見切り材の弾性を利用して、木下地や軒天の取り付け誤差や寸法誤差に柔軟に対応して、軒天の端縁部を目隠しすることができる。
【0016】
ここで、「化粧材本体」には、屋根の下側に取り付けられる化粧材の機能を有する部材であって、例えば、鼻隠しや破風の機能を果たす部材が含まれる。このような化粧材本体を形成するための材料としては、耐火性に優れた繊維混入けい砂セメント等の窯業系材料が通常用いられる。
【0017】
また、「係合部」には、化粧材本体を木下地に固定したときに軒天と干渉しないものであって、化粧材本体の下端側に見切り材を着脱可能とする種々の係合手段が含まれる。さらに、「係合」とは、化粧材本体と見切り材とが直接係合する場合に限らず、例えば、シール材等を介して係合する場合も含まれる。
【0018】
好ましくは、前記係合部を、前記木下地又は軒天側に向かって開口する凹溝とするとともに、前記見切り材を合成樹脂で形成し、その一側に弾性をもって上下に開く一対の二股板状係合片を設け、前記凹溝に前記二股状係合片を互いに交差する方向に圧入することによって、前記化粧材本体と前記見切り材とを互いに交差する方向に着脱可能に取り付けた構成とする。
【0019】
このような構成によれば、見切り材の弾性を有する二股板状係合片を上下に閉じた状態とすることにより、この二股板状係合片を、凹溝である化粧材本体の係合部に簡単に挿抜することができ、化粧材本体への見切り材の係合又は係合解除を容易に行うことができる。すなわち、化粧材本体に見切り材を容易に着脱することができる。
【0020】
また、このような見切り材の二股板状係合片は、凹溝である化粧材本体の係合部内において、上下に開いた状態となって上下方向に作用する付勢力を生じ、この付勢力により係合部と強固に係合することができる。
【0021】
好ましくは、前記係合部の凹溝の開口部下端縁又は上端縁の少なくとも一方に、上方又は下方に突出する突出部を設けるとともに、前記二股板状係合片の少なくとも一方の端部側に、前記突出部に当接して係止する係止爪を形成した構成とする。
【0022】
このような構成によれば、見切り材の二股板状係合片が、凹溝である化粧材本体の係合部に作用させる上下方向の付勢力に加え、二股板状係合片の係止爪と、係合部の突出部とが互いに当接して係止するので、二股状係合片の係合部からの脱落が防止され、見切り材を化粧材本体により確実に装着することが可能となる。
【0023】
また、係止爪と突出部との係止によって、二股板状係合片と係合部との係合が確実かつ強固なものとなった場合でも、二股板状係合片を押圧して上下に閉じた状態とすることにより、簡単に係合部との係合を解除することができ、見切り材を化粧材本体から容易に分離することができる。
【0024】
好ましくは、前記見切り材の他側を少なくとも1箇所上方に向かって曲折させ、この他端側が前記軒天に弾性接触するようにした構成とする。
【0025】
このような構成によれば、化粧材本体に装着した見切り材の先端が、より軒天の端縁部に接触しやすくなり、取り付け誤差や寸法誤差による見切り材と軒天との隙間、特に外観上支障となるレベル(5mm以上)の隙間の発生を効果的に防止することができる。
【0026】
また、合成樹脂製の見切り材の弾性を利用して、見切り材の先端が軒天の端縁部に弾性接触するようにすれば、取り付け誤差や寸法誤差が大きい場合でも、軒天との隙間の発生をより確実に防止することが可能となる。
【0027】
好ましくは、前記化粧材本体の裏面を平坦面又は凸部が同一高さの凹凸面とし、その全体を窯業系材料によって一体化した構成とする。
【0028】
このような構成によれば、上述したように、従来の外装化粧材の張出し部を一体化するためのサポーター治具を使用する必要がなり、耐火性に優れた窯業系材料を原料とする押出成形によって、化粧材本体を効率よく大量生産することができる。
【0029】
上記目的を達成するために、本発明の外装化粧材の位置決め治具は、上述した本発明に係るいずれかの外装化粧材の施工に用いる位置決め治具であって、治具本体が、一側面、上面及び下面の少なくとも三面を有し、前記治具本体の一側面を、前記化粧材本体の裏面に当接される略垂直な化粧材本体当接面とし、この化粧材本体当接面の所定位置に、前記化粧材本体の係合部に係合可能な凸状部を突設し、前記治具本体の上面又は下面の一方を、前記木下地の下端面に当接される木下地当接面とし、この木下地当接面を、前記凸状部を基準にして第1の所定位置決め高さに設け、前記治具本体の上面又は下面の他方を、前記軒天の端縁部に当接される軒天当接面とし、この軒天当接面を、前記凸状部を基準にして第2の所定位置決め高さに設けた構成としてある。
【0030】
このような構成によれば、軒天の施工の先後を問わず、本外装化粧材を木下地又は軒天に対して適切な高さに位置決めすることができる。すなわち、軒天の施工の先後を問わず、本外装化粧材を構成する化粧材本体の係合部を、木下地又は軒天に対して適切な高さに位置決めすることができ、軒天の施工後において、前記係合部に見切り材をスムーズに装着することができるようになる。
【0031】
例えば、木下地の下端面に軒天の端縁部をビス止めする場合において、軒天より先に本外装化粧材を木下地に固定するならば、本位置決め治具の木下地当接面を上にして、その凸状部を化粧材本体の係合部に係合させる。この状態で化粧材本体を木下地の外側面に覆い被せ、本位置決め治具の木下地当接面を木下地の下端面に当接させれば、化粧材本体の係合部が、木下地の下端面に対して適切な高さに位置決めされる。
【0032】
一方、上記例示において、軒天より後に本外装化粧材を木下地に固定するならば、上記と逆に、本位置決め治具の軒天当接面を上にして、その凸状部を化粧材本体の係合部に係合させる。この状態で化粧材本体を木下地の外側面に覆い被せ、本位置決め治具の軒天当接面を軒天の端縁部に当接させれば、化粧材本体の係合部が、軒天の端縁部に対して適切な高さに位置決めされる。
【0033】
なお、木下地の下端面に軒天の端縁部を直接ビス止めしない場合も、本位置決め治具の軒天当接面を上にして、その凸状部を化粧材本体の係合部に係合させることにより、前記係合部を木下地の下端面に対して適切な高さに位置決めすることができる。
【0034】
このような本位置決め治具は、略垂直な化粧材本体当接面、凸状部、この凸状部を基準にして所定の高さに形成された木下地当接面及び軒天当接面を有するものであればよい。例えば、本位置決め治具の治具本体は、化粧材本体と同様に木下地に沿って長手方向に延びる長尺体としてもよく、また、治具本体を短くした複数の本位置決め治具を化粧材本体に係合させて位置決めする構成としてもよい。
【0035】
好ましくは、前記軒天当接面を、前記軒天の取り付け角に対応する略水平面又は傾斜面とし、前記木下地当接面の前記第1の所定位置決め高さを、前記軒天の取り付け時における上下面間の垂直幅、及び前記見切り材の上方への突出高さを考慮した高さとし、前記軒天当接面の前記第2の所定位置決め高さを、前記見切り材の上方への突出高さを考慮した高さとした構成とする。
【0036】
このような構成によれば、本外装化粧材を構成する化粧材本体の係合部を、木下地又は軒天に対して最適な高さに位置決めすることができ、例えば、前記係合部に係合させた見切り材に軒天への付勢力をもたせたり、見切り材の弾性を利用して取り付け誤差や寸法誤差による隙間の発生を防止したりすることが可能となる。
【0037】
ここで、「軒天の取り付け時における上下面間の垂直幅」とは、軒天の上下面間の垂直幅であって、例えば、軒天が下地材の下端部に略水平に取り付けられた場合ならば、軒天の肉厚が上下面間の垂直幅に相当する。また、軒天が下地材の下端部に傾斜して取り付けられた場合ならば、傾斜した軒天の上面と下面とを結ぶ垂線の長さが垂直幅に相当する。
【0038】
一方、「見切り材の上方への突出高さ」とは、化粧材本体の係合部に見切り材を係合させた場合に、この係合部よりも上方へ突出する部分の高さをいう。例えば、略水平な見切り材の先端側を上方に向かって曲折させた場合には、この曲折部分の高さが突出高さに相当する。
【0039】
また、「考慮した高さ」とは、「軒天の取り付け時における上下面間の垂直幅」及び「見切り材の上方への突出高さ」の両方、又は「見切り材の上方への突出高さ」のみに基づいて第1又は第2の所定位置決め高さを決定することを意味する。
【0040】
例えば、木下地当接面の第1の所定位置決め高さは、「軒天の取り付け時における上下面間の垂直幅」に「見切り材の上方への突出高さ」を加えた高さとすることができるが、この場合は理論上、化粧材本体の係合部に係合させた見切り材が、軒天に対して付勢力又は弾性力を及ぼさない。そこで、この第1の所定位置決め高さを「軒天の取り付け時における上下面間の垂直幅」に「見切り材の上方への突出高さ」を加えた高さよりも適度に低くすれば、化粧材本体の係合部に係合させた見切り材が、軒天に対して付勢力又は弾性力を及ぼすようになり、取り付け誤差や寸法誤差の吸収が可能となる。このことは、「見切り材の上方への突出高さ」のみを考慮して決定される軒天当接面の第2の所定位置決め高さについても同様である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の外装化粧材によれば、外装化粧材と軒天との施工順序が不問となり、外装化粧材を施工した後であっても、軒天の取り付け又は取り外しを容易に行うことができ、また、サポーター治具を使用することなく効率よく押出成形することが可能であり、さらに、木下地や軒天の取り付け誤差や寸法誤差に柔軟に対応することができる。
【0042】
また、本発明の外装化粧材の位置決め治具によれば、軒天の施工の先後を問わず、本外装化粧材を木下地又は軒天に対して適切な高さに位置決めすることができる。すなわち、軒天の施工の先後を問わず、本外装化粧材を構成する化粧材本体の係合部を、木下地又は軒天に対して適切な高さに位置決めすることができ、軒天の施工後において、前記係合部に見切り材をスムーズに装着することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態に係る外装化粧材及びその位置決め治具について、図面を参照しつつ説明する。まず、図1〜図8に基づいて、本発明の一実施形態に係る外装化粧材について説明する。なお、上述した従来技術(図14参照)と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
<外装化粧材の全体構成>
図1〜図3は本発明の一実施形態に係る外装化粧材の異なる施工状態を示す部分断面図であり、図1は木下地に軒天を略水平に取り付けた場合、図2は木下地に軒天を傾斜させて取り付けた場合、図3は木下地と面一に軒天を略水平に取り付けた場合をそれぞれ示している。図4は本実施形態に係る外装化粧材を示す斜視図である。
【0045】
図1及び図4において、1は本実施形態に係る外装化粧材であり、耐火性に優れた窯業系材料によって形成した化粧材本体10と、適度な弾性、耐候性及び剛性を兼ね備えた合成樹脂(アクリロニトリル−エチレンゴム−スチレン共重合樹脂)によって形成した見切り材20とを互いに係合させた構成となっている。
【0046】
化粧材本体10は、軒を構成する木下地120の外側面に沿って延びる長尺の板状部材であり、この木下地120の外側面を覆い隠して装飾している。一方、見切り材20も、化粧材本体10と同じ方向に延びる長尺の薄板状部材である。この見切り材20は、化粧材本体10の裏側下端部に形成された係合部11に係合し、化粧材本体10と交差する方向に張り出して、軒天130の端縁部を覆い隠している。このような見切り材20によって、軒天130の端縁部における隙間S及び釘頭Hを目隠しし、軒裏側の見栄えを良好にしている。
【0047】
さらに、化粧材本体10の外側には、その長手方向に沿って雨樋140が取り付けてある。雨樋140は、化粧材本体10を貫通する図示しないビス又は釘によって、木下地120に固定してある。
【0048】
このような外装化粧材1は、図1に示すように、木下地120の下端面に、軒天130を略水平に取り付けた場合、図2に示すように、木下地120の下端面に、軒天130を傾斜して取り付けた場合、図3に示すように、軒天130を、木下地120に隣接して設けた下地材150に取り付けた場合のいずれにも適用することができる。
【0049】
<化粧材本体の構成>
図5は本外装化粧材を構成する化粧材本体の端面図であり、同図(a)は化粧材本体の裏面を平坦面とした場合、同図(b)は化粧材本体の裏面に肉抜き凹部を形成した場合を示す。
【0050】
図4及び図5(a)において、化粧材本体10は、その表面10aに立体的又は平面的な模様、色彩などの装飾的処理が施してある(図示せず)。本実施形態では、化粧材本体10の裏面10bを平坦面としてあり、化粧材本体10を木下地120の外側面に当接させたときに、軒天130に干渉するような張出部分が一切ない構成としてある。
【0051】
化粧材本体10の裏面10bの下端側には、上述した係合部11が形成してある。この係合部11は、断面略コ字型の凹溝であり、化粧材本体10の長手方向に沿って延びている。また、係合部11の凹溝の開口部下端縁には、上方に向かって突出する突出部11aが形成してある。
【0052】
なお、化粧材本体10の表面10a側において、点線で囲った上端部10c及び下端部10dは、見栄えを良好にするための装飾的形状であり、本外装化粧材1を施工する軒のデザインに応じて他の形状に変更することが可能である。
【0053】
このような化粧材本体10は、耐火性に優れた繊維混入けい砂セメント等の窯業系材料が通常用いられる。そして、押出成形により製造した長尺の化粧材本体10を、木下地120の長さに応じて適宜切断して施工する。
【0054】
ここで、図5(b)に示す他の化粧材本体10’のように、裏面10bに複数の肉抜き用溝12a,12a,12a…を形成して軽量化を図ってもよい。このような構成とした場合でも、各肉抜き用溝12aによって形成された凸部12b,12b,12b…の高さが同一であるならば、この化粧材本体10’を木下地120の外側面に当接させたときに、軒天130に干渉する張出部分は形成されない。
【0055】
<見切り材の構成>
図6は本外装化粧材を構成する見切り材を示す端面図である。
【0056】
図4及び図6において、見切り材20は、合成樹脂により形成された長尺の薄板状部材であって、その一側には、弾性をもって上下に開く一対の二股板状係合片21が設けてあり、その他側には、2箇所上方に向かって曲折させた曲折部22が形成してある。
【0057】
二股板状係合片21は、曲折部22と比較してより薄い、一対の上部係合片21Aと下部係合片21Bとからなっている。これら上部及び下部係合片21A,21Bは、共に良好な可撓性を有し、作業者が手で押圧することによって、上下に閉じた状態にすることが可能となっている。また、下部係合片21Bの端部裏側には、その長手方向に連続する係止爪21bが形成してある。
【0058】
ここで、本実施形態では、上部係合片21Aのみを傾斜させて係合維持に十分な付勢力を発揮させ、一方で、下部係合片21Bを略水平に形成してある。これにより、施工された見切り材20の外観を構成する下部係合片21Bの下面が、すっきりした平坦面となって、見切り材20の見栄えが良好となる。
<化粧材本体と見切り材との係合>
【0059】
次に、上記構成からなる化粧材本体10と見切り材20との係合状態及び係合手順について、図7及び図8(a)〜(c)を参照しつつ説明する。図7は本外装化粧材を構成する化粧材本体と見切り材との係合状態を示す部分拡大図である。図8(a)〜(c)は上記化粧材本体と見切り材との係合手順を示す部分断面斜視図である。
【0060】
化粧材本体10と見切り材20とは、共に長手方向に延びる長尺な部材であるから、互いの係合部11と二股板状係合片21とを係合させる場合には、長手方向の一端側から他端側へ一部分ずつ係合作業を進めていく。なお、以下に説明する係合作業は、何ら特別な工具を使用することなく、作業者の手作業のみで行うことができる。
【0061】
まず、図8(a)に示すように、見切り材20の二股板状係合片21の一端側を、化粧材本体10の係合部11に位置合わせする。次いで、図8(b)に示すように、位置合わせした二股板状係合片21の一端側を上下方向から押圧し、上部及び下部係合片21A,21Bを上下に閉じた状態にする。この状態を維持しつつ、上部及び下部係合片21A,21Bを化粧材本体10の係合部11に挿入又は圧入する。
【0062】
すると、図7に示すように、凹溝である係合部11内において、上部及び下部係合片21A,21Bが上下に開いた状態に復元する。これにより、上部及び下部係合片21A,21Bが、係合部11の上下方向に作用する付勢力を生じさせる(図7の上下白抜き矢印(小)参照)。これと同時に、下部係合片21Bの係合爪21bが、係合部11の突出部11aに当接して脱落が防止され、係合部11に二股板状係合片21が強固に係合する。
【0063】
その後、図8(c)に示すように、上記と同様の手順により、見切り材20の二股板状係合片21の他端側へと係合作業を進めていく。これにより、長尺状の係合部11及び二股板状係合片21の全長にわたって、二股板状係合片21の付勢力を伴い、係合爪21aと突出部11との当接による脱落防止が図られた良好な係合状態が形成される。
【0064】
ここで、図7に示すように、化粧材本体10の木下地120への取り付け位置を調整し(後に詳述する)、見切り材20を化粧材本体10に係合させたとき、見切り材20の曲折部22が軒天130に弾性接触するようにしてもよい(図中の上下白抜き矢印(大)参照)。このような構成とした場合は、見切り材20の曲折部22先端が、より軒天130の端縁部に接触しやすくなり、取り付け誤差や寸法誤差による見切り材20と軒天130との隙間の発生を防止して、見栄えを良好にすることができる。
【0065】
なお、上述した手順により化粧材本体10に係合した見切り材20は、上部及び下部係合片21A,21Bを上下方向から押圧して上下に閉じた状態とし、二股板状係合片21を一端側から他端側へと順に係合部11から係合解除させることにより、簡単に化粧材本体10から分離させることができる。なお、このような見切り材20の分離作業も、何ら特別な工具を使用することなく、作業者の手作業のみで行うことができる。
【0066】
<外装化粧材の位置決め治具>
次に、本発明の実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具について、図9〜図12を参照しつつ説明する。
【0067】
図9は本発明の第1実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具を示す部分断面斜視図である。図10は上記位置決め治具の使用状態を示す部分断面拡大図であり、同図(a)は化粧材本体より後に軒天を施工する場合、同図(b)は化粧材本体より先に軒天を施工する場合を示す。なお、位置決め治具の材質は、特に限定されるものではないが、合成樹脂製の物が、加工性及び軽量性に優れている。
【0068】
図9において、本発明の第1実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具30は、木下地120の下端面に軒天130を略水平に取り付けた場合(図1参照)に用いる。位置決め治具30は、断面略長方形状の治具本体31を有する。この治具本体31の一側面は、化粧材本体10の裏面10b(図5参照)に当接される略垂直な化粧材本体当接面32としてあり、この化粧材本体当接面32の所定位置に、化粧材本体10の係合部11に係合可能な凸状部32aを突設した構成となっている。
【0069】
また、治具本体31の図中上面は、木下地120の下端面に当接される木下地当接面33としてある。この木下地当接面33は、凸状部32aの図中上面を基準にして第1の所定位置決め高さL1に設けてある。
【0070】
木下地当接面33の第1の所定位置決め高さL1は、図10(a)に示すように、軒天130の取り付け時における上下面間の垂直幅La、及び見切り材20の上方への突出高さLb(図6参照)を考慮した高さとしてある。本実施形態の場合、軒天130の取り付け時における上下面間の垂直幅Laは、軒天130を略水平に取り付けているので、軒天130の肉厚に等しい。
【0071】
この第1の所定位置決め高さL1は、軒天130及び見切り材20の取り付けスペースを考慮し、化粧材本体10の係合部11を、木下地120の下端面に対して最適な高さに位置決めするものである。したがって、L1=La+Lbに設定すると、理論上は、係合部11に係合した見切り材20の曲折部22先端と、軒天130との間に隙間が生じないことになる。但し、取り付け誤差や寸法誤差を考慮すると、L1をLa+Lbよりも多少低い高さに設定して、見切り材20の曲折部22先端が、軒天130に付勢力を作用させつつ弾性接触することが好ましい。
【0072】
一方、治具本体31の図中下面は、既に木下地120に取り付けられた軒天130の端縁部に当接される軒天当接面34としてある。この軒天当接面34は、凸状部32aの図中下面を基準にして第2の所定位置決め高さL2に設けてある。
【0073】
軒天当接面34の第2の所定位置決め高さL2は、図10(b)に示すように、見切り材20の上方への突出高さLbのみを考慮した高さとしてある。上記第1の所定位置決め高さの場合と同様に、L2=Lbに設定すると、理論上は、化粧材本体10の係合部11に係合した見切り材20の曲折部22先端と、軒天130との間に隙間が生じないことになるが、見切り材20の曲折部22先端を軒天130に弾性接触させるため、L2をLbよりも多少低い高さに設定することが好ましい。
【0074】
上記構成からなる位置決め治具30は、化粧材本体10と軒天130との取り付けの先後に応じて、木下地当接面33と軒天当接面34とを適宜、上下反転させて使用する。
【0075】
すなわち、化粧材本体10を軒天130より先に木下地120に取り付ける場合は、木下地当接面33を上にし、凸状部32aを化粧材本体10の係合部11に係合させ、位置決め治具30を化粧材本体10に装着する。この状態で、化粧材本体10の裏面10bを木下地120の外側面に覆い被せつつ、位置決め治具30の木下地当接面33を、木下地120の下端面に当接させる。これにより、化粧材本体10の係合部11が、木下地120の下端面に対して、軒天130及び見切り材20の取り付けスペースを考慮した高さに位置決めされる。この状態で、化粧材本体10を木下地120の外側面に釘止め又はビス止めすれば、化粧材本体10を最適な位置に固定することができる。
【0076】
一方、化粧材本体10を軒天130より後に木下地120に取り付ける場合は、軒天当接面34を上にして、上記と同様に位置決め治具30を化粧材本体10に装着する。この状態で、化粧材本体10の裏面10bを木下地120の外側面に覆い被せつつ、位置決め治具30の軒天当接面34を、軒天130の端縁部に当接させる。これにより、化粧材本体10の係合部11が、軒天130の端縁部に対して、見切り材20の取り付けスペースを考慮した高さに位置決めされ、化粧材本体10を最適な位置に固定することができる。
【0077】
次に、本発明の第2実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具について、図11及び図12を参照しつつ説明する。
【0078】
図11は本発明の第2実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具を示す部分断面斜視図である。図12は上記位置決め治具の使用状態を示す部分断面拡大図であり、同図(a)は化粧材本体より後に軒天を施工する場合、同図(b)は化粧材本体より先に軒天を施工する場合を示す。
【0079】
図11において、本発明の第2実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具30’は、木下地120の下端面に軒天130を傾斜して取り付けた場合(図2参照)に用いる。本実施形態では、位置決め治具30’の軒天当接面34’を、軒天130とほぼ同じ角度α°(図12(b)参照)に傾斜させた構成としてある。
【0080】
本実施形態では、図12(b)に示すように、傾斜する軒天当接面34’の頂部の高さを、見切り材20の上方への突出高さLbを考慮した高さ(好ましくは、Lbよりも若干低い高さ)としてある。但し、軒天130の傾斜角度(=軒天当接面34’の傾斜角度)α°によっては、軒天当接面34’の頂部の高さをLbより低くしても、軒天130との間にLbが確保される場合もあるので、このような場合は、軒天当接面34’の頂部の高さをLb近傍とする必要はない。
【0081】
一方、図12(a)に示すように、位置決め治具30’の木下地当接面33’は、軒天130の取り付け時における上下面間の垂直幅La’、及び見切り材20の上方への突出高さLbを考慮した高さ(好ましくは、La’+Lbより若干低い高さ)としてある。本実施形態の場合、軒天130の取り付け時における上下面間の垂直幅La’は、軒天130を傾斜して取り付けているので、軒天130の肉厚(図10(a)の符号La参照)よりも若干大きい。
【0082】
上記構成からなる位置決め治具30’は、上述した第1実施形態の位置決め治具30と同様に、化粧材本体10と軒天130との取り付けの先後に応じて、木下地当接面33’と軒天当接面34’とを適宜、上下反転させて使用する。この位置決め治具30’の化粧材本体10への装着手順、木下地120又は軒天130に対する位置決め手順も、上述した第1実施形態の位置決め治具30と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0083】
なお、軒天130を、木下地120に隣接して設けた下地材150に取り付ける場合(図3参照)は、例えば、図10(b)に示す位置決め治具30の軒天当接面34を利用し、化粧材本体10の係合部11を、木下地120の下端面又は軒天130の端縁部に対して、見切り材20の取り付けスペースを考慮した高さに位置決めすることができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る外装化粧材1によれば、化粧材本体10が軒天130と干渉しないので、軒天130との関係で施工の先後が問われない。したがって、化粧材本体10と軒天130とのいずれを先に施工してもよい。いずれが先の場合でも、軒天130の施工後に見切り材20を化粧材本体10に装着すれば、施工された軒天130の端縁部を覆い隠し、この端縁部における隙間、釘やビスの頭を目隠しすることが可能となる。
【0085】
軒天130の端縁部を、着脱自在な見切り材20によって覆い隠しているので、本外装化粧材1を施工した後であっても、見切り材20のみを分離することにより、軒天130を容易に取り外すことができる。
【0086】
化粧材本体10は、見切り材20を着脱自在な別体としてあるので、従来の外装化粧材110のような張出し部112(図14参照)を一体化する必要がない。これにより、化粧材本体の裏面が平坦面となり、サポーター治具を用いずに効率よく押出成形することが可能となる。
【0087】
化粧材本体10を耐火性に優れた窯業系材料で形成し、見切り材20のみを弾性に富んだ合成樹脂で形成することが可能となり、この見切り材20の弾性を利用して、木下地120や軒天130の取り付け誤差や寸法誤差に柔軟に対応して、軒天130の端縁部を目隠しすることができる。
【0088】
見切り材20の二股板状係合片21を上下に閉じた状態とすることにより、この二股板状係合片21を、凹溝である化粧材本体10の係合部11に簡単に挿抜することができ、化粧材本体10への見切り材20の係合又は係合解除を容易に行うことができる。すなわち、特別な工具を用いることなく、作業者の手作業のみによって、化粧材本体10に見切り材20を容易に着脱することができる。
【0089】
このような見切り材20の二股板状係合片21は、凹溝である化粧材本体10の係合部11内において、上下に開いた状態となって上下方向に作用する付勢力を生じ、この付勢力により係合部11と強固に係合することができる。
【0090】
見切り材20の他側に上方に向かう曲折部22を形成し、この曲折部22先端が軒天130に弾性接触するようにしたので、この曲折部22先端が、より軒天130の端縁部に接触しやすくなり、取り付け誤差や寸法誤差による見切り材20と軒天130との隙間の発生を効果的に防止することができる。
【0091】
一方、本実施形態に係る外装化粧材1の位置決め治具30又は30’によれば、軒天130の施工の先後を問わず、本外装化粧材1を木下地120又は軒天130に対して適切な高さに位置決めすることができる。すなわち、軒天130の施工の先後を問わず、本外装化粧材1を構成する化粧材本体10の係合部11を、木下地120又は軒天130に対して適切な高さに位置決めすることができ、軒天130の施工後において、係合部11に見切り材20をスムーズかつ最適な位置に装着することができるようになる。
【0092】
なお、本発明の外装化粧材及びその位置決め治具は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、化粧材本体10の外観形状は、図面に例示されたものに限定されるものではなく、軒天130に干渉しないことを条件に、種々変更することができる。
【0093】
また、化粧材本体10と見切り材20との係合構造も、軒天130に干渉しないことを条件に、種々の係合構造に変更することができる。例えば、図13(a)に示すように、化粧材本体10の下端部に凹溝10eを形成し、この凹溝10eの部内に長手方向に延びる断面長方形状の係合凸条部12を設ける。一方、見切り材20には、係合凸条部12に嵌り合う断面略コ字型の係合凹条部23を形成した構成としてもよい。
【0094】
さらに、図13(b)に示すように、化粧材本体10の下端部に凹部を形成し、この凹部内に長手方向に延びる断面円形状の係合凸条部13を設ける。一方、見切り材20には、係合凸条部13に嵌り合う断面略C字型の係合凹条部24を形成した構成としてもよい。このような構成とした場合は、見切り材20を化粧材本体10に装着した後、この見切り材20の取り付け角度を、断面円形状の係合凸条部13を支点にして変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態に係る外装化粧材の異なる施工状態を示す部分断面図であり、木下地に軒天を略水平に取り付けた場合を示している。
【図2】同じく、本発明の一実施形態に係る外装化粧材の異なる施工状態を示す部分断面図であり、木下地に軒天を傾斜させて取り付けた場合を示している。
【図3】同じく、本発明の一実施形態に係る外装化粧材の異なる施工状態を示す部分断面図であり、木下地と面一に軒天を略水平に取り付けた場合を示している。
【図4】本実施形態に係る外装化粧材を示す斜視図である。
【図5】本外装化粧材を構成する化粧材本体の端面図であり、同図(a)は化粧材本体の裏面を平坦面とした場合、同図(b)は化粧材本体の裏面に肉抜き凹部を形成した場合を示す。
【図6】本外装化粧材を構成する見切り材を示す端面図である。
【図7】本外装化粧材を構成する化粧材本体と見切り材との係合状態を示す部分拡大図である。
【図8】同図(a)〜(c)は上記化粧材本体と見切り材との係合手順を示す部分断面斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具を示す部分断面斜視図である。
【図10】上記位置決め治具の使用状態を示す部分断面拡大図であり、同図(a)は化粧材本体より後に軒天を施工する場合、同図(b)は化粧材本体より先に軒天を施工する場合を示す。
【図11】本発明の第2実施形態に係る外装化粧材の位置決め治具を示す部分断面斜視図である。
【図12】上記位置決め治具の使用状態を示す部分断面拡大図であり、同図(a)は化粧材本体より後に軒天を施工する場合、同図(b)は化粧材本体より先に軒天を施工する場合を示す。
【図13】同図(a),(b)は本発明に係る外装化粧材のその他の変更例を示す部分断面拡大図である。
【図14】従来の外装化粧材の施工状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 外装化粧材
10 化粧材本体
10a 表面
10b 裏面
11 係合部
11a 突出部
20 見切り材
21 二股板状係合片
21A 上部係合片
21B 下部係合片
21b 係止爪
22 曲折部
30,30’ 位置決め治具
31 治具本体
32 化粧材本体当接面
32a 凸状部
33 木下地当接面
34,34’ 軒天当接面
L1 第1の所定位置決め高さ
L2 第2の所定位置決め高さ
La,La’ 軒天の取り付け時における上下面間の垂直幅
Lb 見切り材の上方への突出高さ
120 木下地
130 軒天
140 雨樋
150 下地材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒を構成する木下地の外側面及び軒天の端縁部を覆い隠すための外装化粧材であって、
前記木下地の外側面を覆い隠す略板状の化粧材本体と、
前記軒天の端縁部を覆い隠す略板状の見切り材とを備え、
少なくとも、前記化粧材本体の下端側に、前記木下地に接合された前記軒天と干渉しない係合部を設け、この係合部によって、前記化粧材本体と前記見切り材とを着脱可能に取り付けたことを特徴とする外装化粧材。
【請求項2】
前記係合部を、前記木下地又は軒天側に向かって開口する凹溝とするとともに、前記見切り材を合成樹脂で形成し、その一側に弾性をもって上下に開く一対の二股板状係合片を設け、
前記凹溝に前記二股状係合片を互いに交差する方向に圧入することによって、前記化粧材本体と前記見切り材とを互いに交差する方向に着脱可能に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の外装化粧材。
【請求項3】
前記係合部の凹溝の開口部下端縁又は上端縁の少なくとも一方に、上方又は下方に突出する突出部を設けるとともに、前記二股板状係合片の少なくとも一方の端部側に、前記突出部に当接して係止する係止爪を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の外装化粧材。
【請求項4】
前記見切り材の他側を少なくとも1箇所上方に向かって曲折させ、この他端側が前記軒天に弾性接触するようにしたことを特徴とする請求項2又は3記載の外装化粧材。
【請求項5】
前記化粧材本体の裏面を平坦面又は凸部が同一高さの凹凸面とし、その全体を窯業系材料によって一体化したことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の外装化粧材。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の外装化粧材の施工に用いる位置決め治具であって、
治具本体が、一側面、上面及び下面の少なくとも三面を有し、
前記治具本体の一側面を、前記化粧材本体の裏面に当接される略垂直な化粧材本体当接面とし、この化粧材本体当接面の所定位置に、前記化粧材本体の係合部に係合可能な凸状部を突設し、
前記治具本体の上面又は下面の一方を、前記木下地の下端面に当接される木下地当接面とし、この木下地当接面を、前記凸状部を基準にして第1の所定位置決め高さに設け、
前記治具本体の上面又は下面の他方を、前記軒天の端縁部に当接される軒天当接面とし、この軒天当接面を、前記凸状部を基準にして第2の所定位置決め高さに設けたことを特徴とする外装化粧材の位置決め治具。
【請求項7】
前記軒天当接面を、前記軒天の取り付け角に対応する略水平面又は傾斜面とし、
前記木下地当接面の前記第1の所定位置決め高さを、前記軒天の取り付け時における上下面間の垂直幅、及び前記見切り材の上方への突出高さを考慮した高さとし、
前記軒天当接面の前記第2の所定位置決め高さを、前記見切り材の上方への突出高さを考慮した高さとしたことを特徴とする請求項6記載の外装化粧材の位置決め治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−69546(P2008−69546A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248666(P2006−248666)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)