説明

外観不良ワーク加工装置及び外観不良ワーク加工方法

【課題】外観不良ワークに対してレーザー加工を施す際に他のワークに悪影響を与えることなく、かつ、外観不良ワークに対して適切な加工を施す。
【解決手段】複数のワークがm列及びn行に配列されたリードフレーム基板200における外観不良ワークに対して所定の加工を施す外観不良ワーク加工装置であって、m列のうちの1つの列を露出可能とする開口窓を有する第1カバー130により、加工対象ワークが存在する列を露出させるように覆うとともに、任意の列に存在するn個のワークを個々に露出可能とするn個の開口窓を有する第2カバー140により、第1カバー130によって露出している列のn個のワークを個々に露出させるように覆い、さらに、シャッター150により加工対象ワークを露出させるように覆った状態で、当該加工対象ワークの所定部分をレーザー発生装置170によりレーザー加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観不良と判定された外観不良ワークに対して所定の加工を施す外観不良ワーク加工装置及び外観不良ワーク加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームのダイパッド上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子の上面とリードフレームのアウターリードとを接続する接続部材とからなる複数のワークがm列n行(但し、m及びnはともに2以上の整数。)に配列されたリードフレーム基板を外観検査することが行われている。このようなリードフレーム基板の外観検査を行った結果、外観不良と判定された外観不良ワークに対しては、オペレータの手でニッパーなどにより切り離すなどの加工がなされている。
【0003】
図10は、外観不良ワークの例を説明するためにリードフレーム基板の一部を取り出して示す図である。すなわち、図10は半導体素子212と接続子214とからなる1つのワーク(ワークW11とする。)と、当該ワークW11を搭載しているリードフレーム210の一部を示すものであり、リードフレーム210のダイパッド211に搭載されている半導体素子212の上面とリードフレーム210のアウターリード213とが接続子214によって接続された状態となっている。
【0004】
このようなリードフレーム基板において、図10(a)は接続子214の高さ(アウターリード213から接続子214の上面までの高さ)hが規定値以上の場合であるために外観不良ワークとされた例である。
【0005】
また、図10(b)は半導体素子212のダイパッド211への搭載位置が規定の搭載位置(図示の破線枠A1)からはみ出しているために外観不良ワークとされた例である。図10(b)において灰色で示した部分K1が規定の搭載位置からはみ出ている部分(以下、「はみ出し部」という。)である。
【0006】
図10(c)は接続子214のアウターリード213への接続位置が規定の接続位置(図示の破線枠A2)からはみ出しているために外観不良ワークとされた例である。図10(c)において灰色で示した部分K2が「はみ出し部」である。なお、図10(c)においては、アウターリード213への接続位置が規定の接続位置(図示の破線枠A2)から、はみ出している例を示したが、接続子214の半導体素子212への接続位置が規定の接続位置(図示せず。)からはみ出している場合にも外観不良ワークとされる。
【0007】
図10(d)は半導体素子212が搭載されていない場合であり、このような場合においても外観不良ワークとされる。また、図10(a)〜図10(d)以外にも、図示は省略するが、例えば、接続子214が搭載されていない場合もあり、この場合にも外観不良とされる。
【0008】
上記したような外観不良とされた外観不良ワークをニッパーなどによって切り離しを行うと、クラックなどが発生し、近接している他のワークに悪影響を与える場合がある。
【0009】
一方、外観不良ワークにレーザー光を照射することにより所定の加工を施すようにした外観不良ワーク加工装置も種々開発されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、以下では、「レーザー光を照射することにより所定の加工を施す」ことを「レーザー加工を施す」というように表記する場合もある。
【0010】
特許文献1には、半導体ウエハー上に形成されたダイ領域における所定の加工位置(例えば不良部分)にレーザー加工を施す技術が記載されている。特許文献1に記載されている技術(従来技術という。)は、上記したような外観不良ワークに対して所定の加工を施すものとは異なるが、多数のワークの加工位置に対して所定の加工を施すという点では共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−135505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来技術のように、多数のワークのうちの所定の加工位置にレーザー加工を施すと、レーザー加工によってスパッター(spatter)が発生する場合もあり、このようなスパッターが、良品とされているワークに付着すると、良品とされているワークに悪影響を及ぼすおそれがある。このため、図10に示すような外観不良ワークにレーザー加工を施す場合においても、レーザー加工によって発生するスパッターが、良品とされている他のワークに付着すると、良品とされているワークに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0013】
ところで、図10に示した外観不良ワークにレーザー加工を行う場合においては、外観不良ワークがどのような外観不良であるかによってもレーザー加工の種類が異なる。例えば、図10(b)及び図10(c)に示すような外観不良、すなわち、「はみ出し部」が存在する外観不良の場合には、はみ出し部を切除するための加工(以下、「はみ出し部切除加工」という。)及び当該外観不良ワークの特性を不良化するための加工(「以下、特性不良化加工」という。)を行う。また、図10(a)及び図10(d)に示すような外観不良ワークのように「はみ出し部」が存在しない外観不良については、特性不良化加工のみを行うというように、外観不良の内容に応じたレーザー加工を施す。
【0014】
なお、はみ出し部切除加工を行うのは、後に樹脂封止を行う場合、はみ出し部が存在したまま樹脂封止を行うと、樹脂封止用金型の破損につながる場合があるからである。また、特性不良化加工を行うのは、外観不良ワークが良品と混じってしまった場合であっても、後に行われる特性試験において、外観不良ワークを確実に特性不良と判定できるようにして、外観不良ワークが良品として流通しないようにするためである。
【0015】
このような「はみ出し部切除加工」及び「特性不良化加工」を行う際には、レーザー加工により発生するスパッターが、良品とされているワークに悪影響を及ぼすことがないようにすることが重要である。
【0016】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外観不良ワークに対してレーザー加工を施す際に他のワークに悪影響を与えることなく、かつ、外観不良ワークに対して適切な加工を施すことができる外観不良ワーク加工装置及び外観不良ワーク加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[1]本発明の外観不良ワーク加工装置は、リードフレームのダイパッド上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子の上面と前記リードフレームのアウターリードとを接続する接続部材とからなる複数のワークがm列及びn行(但し、m及びnはともに2以上の整数。)に配列されたリードフレーム基板における前記複数のワークを外観検査した結果、外観不良とされた外観不良ワークに対して所定の加工を施す外観不良ワーク加工装置であって、前記リードフレーム基板における前記m列のうちの任意の1つの列を露出可能とする開口窓を有する第1カバーと、前記m列のうちの任意の1つの列に存在するn個のワークを個々に露出可能とするn個の開口窓を有する第2カバーと、前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出可能とする開口窓を有するシャッターと、前記外観不良ワークのうちその時点において加工対象となる加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射するレーザー光発生装置とを有し、前記加工対象ワークが存在する列を露出させるように前記第1カバーで前記リードフレーム基板を覆うとともに、前記第1カバーの開口窓によって露出している列に属するn個のワークを個々のワークごとに露出させるように前記第2カバーで覆い、さらに、前記加工対象ワークを露出させるように前記シャッターで覆った状態として、前記加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射することにより当該加工対象ワークに所定の加工を施すことを特徴とする。
【0018】
[2]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記第2カバーにおける前記n個の開口窓の縁部には、当該n個の開口窓の各開口窓に対応するワークの周囲を囲うことができる遮蔽壁が形成されていることが好ましい。
【0019】
[3]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記シャッターは、前記行に沿った方向にn個の開口窓を有し、当該n個の開口窓の各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有し、前記行に沿った方向にスライドすることよって、前記n個の開口窓のうちの1つの開口窓で前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出させることが好ましい。
【0020】
[4]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記シャッターは、前記列に沿った方向にm個の開口窓を有し、当該m個の開口窓の各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有し、前記列に沿った方向にスライドすることよって、前記m個の開口窓のうちの1つの開口窓で前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出させることが好ましい。
【0021】
[5]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記半導体素子の前記ダイパッドへの搭載位置が規定の搭載位置からはみ出している場合においては、当該はみ出している部分を切除するためのはみ出し部切除加工であることが好ましい。
【0022】
[6]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記接続部材の前記半導体素子への接続位置又は前記アウターリードへの接続位置の少なくとも一方の接続位置が規定の接続位置からはみ出している場合に、当該はみ出している部分を切除するためのはみ出し部切除加工であることが好ましい。
【0023】
[7]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記加工対象ワークの特性を不良化する特性不良化加工であることが好ましい。
【0024】
[8]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記はみ出し部切除加工に加えて前記加工対象ワークの特性を不良化する特性不良化加工を行うことが好ましい。
【0025】
[9]本発明の外観不良ワーク加工装置においては、前記特性不良化加工は、前記ワークに貫通孔を形成する加工であることが好ましい。
【0026】
[10]本発明の外観不良ワーク加工方法は、リードフレームのダイパッド上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子の上面と前記リードフレームのアウターリードとを接続する接続部材とからなる複数のワークがm列及びn行(但し、m及びnはともに2以上の整数。)に配列されたリードフレーム基板における前記複数のワークを外観検査した結果、外観不良とされた外観不良ワークに対して所定の加工を施す外観不良ワーク加工方法であって、前記リードフレーム基板における前記m列のうちの任意の1つの列を露出可能とする開口窓を有する第1カバーによって、前記外観不良ワークのうちその時点において加工対象となる加工対象ワークが存在する列を露出させるように前記リードフレーム基板を覆う第1工程と、前記m列のうちの任意の1つの列に存在するn個のワークを個々に露出可能とするn個の開口窓を有する第2カバーによって、前記第1カバーの開口窓によって露出している列に属するn個のワークを個々のワークごとに露出させるように覆う第2工程と、前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出可能とする開口窓を有するシャッターによって、前記加工対象ワークを露出させるように覆う第3工程と、前記加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射することにより当該加工対象ワークに所定の加工を施す第4工程とをこの順序で前記外観不良ワークの数の分だけ繰り返して実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の外観不良ワーク加工装置においては、リードフレーム基板におけるm列のうちの任意の1つの列を露出可能とする開口窓を有する第1カバーと、m列のうちの任意の1つの列に存在するn個のワークを個々に露出可能とするn個の開口窓を有する第2カバーと、複数のワークのうち任意の1個のワークを露出可能とする開口窓を有するシャッターとを備え、加工対象ワークが存在する列を露出させるように第1カバーでリードフレーム基板を覆うとともに、第1カバーの開口窓によって露出している列に属するn個のワークを個々のワークごとに露出させるように第2カバーで覆い、さらに、加工対象ワークを露出させるようにシャッターで覆った状態として、加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射することにより当該加工対象ワークに所定の加工を施すようにしている。これにより、本発明の外観不良ワーク加工装置によれば、外観不良ワークに対してレーザー加工を施す際に他のワークに悪影響を与えることなく、かつ、外観不良ワークに対して適切な加工を施すことができる。
【0028】
また、本発明の外観不良ワーク加工方法においては、加工対象となる1個の加工対象ワークが存在する列を露出させるように第1カバーでリードフレーム基板を覆う第1工程と、第1カバーの開口窓によって露出している列に属するn個のワークを個々のワークごとに露出させるように第2カバーで覆う第2工程と、加工対象ワークを露出させるようにシャッターで覆う第3工程と、加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射することにより当該加工対象ワークに所定の加工を施す第4工程とをこの順序で行うようにしている。これにより、本発明の外観不良ワーク加工方法によれば、外観不良ワークに対してレーザー加工を施す際に他のワークに悪影響を与えることなく、かつ、外観不良ワークに対して適切な加工を施すことができる。
【0029】
なお、本発明の外観不良ワーク加工方法においても、前記本発明の外観不良ワーク加工装置が有する前記[2]〜[9]に示す特徴と同様の特徴を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100を説明するために示す図である。
【図2】リードフレーム基板200を模式化して示す図である。
【図3】図2に示すリードフレーム基板200の要部を拡大して示す図である。
【図4】第1カバー130、第2カバー140及びシャッター150について説明するために示す図である。
【図5】実施形態1に係る外観不良ワーク加工方法の各工程を示すフローチャートである。
【図6】レーザー加工を施す際のリードフレーム基板200の加工対象ワークW23と、第1カバー130と、第2カバー140と、シャッター150との関係を模式化して示す図である。
【図7】はみ出し部切除加工と特性不良化加工を説明するために示す図である。
【図8】実施形態2に係る外観不良ワーク加工装置において使用するシャッターについて説明するために示す図である。
【図9】レーザー加工を施す際のリードフレーム基板200の加工対象ワークW23と、第1カバー130と、第2カバー140と、シャッター150Aとの関係を模式化して示す図である。
【図10】外観不良ワークの例を説明するためにリードフレーム基板の一部を取り出して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0032】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100を説明するために示す図である。図2は、リードフレーム基板200を模式化して示す図である。図3は、図2に示すリードフレーム基板200の要部を拡大して示す図である。図4は、第1カバー130、第2カバー140及びシャッター150について説明するために示す図である。なお、図4(a)は第1カバー130の構成を模式化して示す平面図であり、図4(b)は第2カバー140の構成を模式化して示す平面図であり、図4(c)は図4(b)におけるa−a線矢視断面図であり、図4(d)はシャッター150の構成を模式化して示す平面図である。
【0033】
実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100を説明する前に、まずは、図2によりリードフレーム基板200の構成について説明し、その後で、図1により実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100について説明する。
【0034】
リードフレーム基板200は、図2に示すように、複数のワークW11〜W36がm列及びn行(m=3、n=6とする。)に配列されている。この場合、図示の左側からx軸方向に沿って第1列、第2列、第3列目とし、図示の上側からy軸方向に沿って第1行、第2行、・・・、第6行としている。
【0035】
ここで、各ワークに付されている符号「W11,W12,・・・,W36」の数値「11」、「12」、「36」などは、列と行を表している。例えば、「W11」の「11」は「1列1行目」を表しており、「W12」の「12」は「1列2行目」を表しており、「W21」の「21」は「2列1行目」を表しており、「W36」の「36」は「3列6行目」を表している。
【0036】
このようなリードフレーム基板200において、外観検査によって、2列3行目のワークW23が外観不良ワーク(NGワークともいう。)であると判定されたとする。外観不良ワークには、外観不良ワークであることを示すNGマークが付されているが、当該NGマークは図示を省略している。
【0037】
なお、ここでは、説明の簡単化のため、m=3、n=6としているが、実際には、1つのリードフレーム基板200には、例えば、列に沿った方向(y軸に沿った方向)には10個のワーク、行に沿った方向(x軸に沿った方向)には30個のワークというように多数のワークが存在する。また、図2に示すリードフレーム基板200は模式図であるため、実際のリードフレーム基板200とは異なったものとなっている。
【0038】
図3は図2に示すリードフレーム基板200の要部を拡大して示す図であり、図3により、ワークW11〜W36のうちのある1つのワーク(ワークW11とする。)及び当該ワークW11を搭載するリードフレーム210について説明する。リードフレーム210は、図3に示すように、ダイパッド211とアウターリード213とを有している。一方、ワークW11は、図3に示すように、ダイパッド211上に搭載された半導体素子212と、当該半導体素子212の上面とアウターリード213の所定部位とを接続する接続部材(接続子とする。)214とからなる。他のワークW12〜W36とこれらのワークW12〜W36を搭載するリードフレー210も同様の構成となっている。また、各ワークW11〜W36はこれら各ワークW11〜W36を搭載する各リードフレーム210により繋がった状態となっている。
【0039】
次に、実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100について説明する。実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100は、図示しない外観検査装置によって外観不良とされた外観不良ワーク(例えば、図10参照。)にレーザー加工を施すものである。なお、外観不良とされた外観不良ワークに対して施されるレーザー加工の具体例については後述する。
【0040】
実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100は、図1に示すように、外観不良ワークが存在するリードフレーム基板200(図2参照。)を載置して平面上(xy平面上)で移動可能なリードフレーム基板載置台110と、リードフレーム基板載置台110を平面上(xy平面上)で任意の量だけ移動させるためのリードフレーム基板載置台駆動部120と、リードフレーム基板200の表面を覆うように設置される第1カバー130と、第1カバー130の表面を覆うように設置される第2カバー140と、第2カバー140の表面を覆うように設置されるシャッターと150と、シャッター150をx軸に沿った方向(図4(d)に示すx−x’方向)にスライドさせるシャッター駆動部160と、1つのリードフレーム基板200に外観不良ワークが複数存在する場合、複数の外観不良ワークのうちその時点で加工対象となるワーク(加工対象ワークという。)において加工すべき位置(加工位置という。)にレーザー光を照射するレーザー光発生装置170と、これら各構成要素を制御する制御部180とを有している。
【0041】
なお、上記「平面上(xy平面上)で移動可能」というのは、リードフレーム基板載置台110がx軸方向及びy軸方向に沿って直線的に移動可能なだけではなく、xy平面上において所定範囲の角度で回転可能となっていることを含むものである。また、第1カバー130、第2カバー140及びシャッター150の詳細については後述する。
【0042】
制御部180はリードフレーム基板載置台駆動部120を制御する機能と、レーザー光発生装置170を制御する機能と、シャッター駆動部160を制御する機能とを有している。なお、これら各機能は、例えば、図示しない撮像手段によってリードフレーム基板200を撮像して得られた撮像画像データに基づいて実施可能である。
【0043】
次に、第1カバー130、第2カバー140及びシャッター150について図4により説明する。第1カバー130、第2カバー140及びシャッター150は、例えばステンレス材などによって形成されている。
【0044】
第1カバー130は、図4(a)に示すように、リードフレーム基板200における第1列〜第3列の3つの列のうちの任意の1つの列を露出可能とするような開口窓131を有している。これにより、リードフレーム基板200の加工対象ワークの存在する列に第1カバー130の開口窓131を対応させるように第1カバー130を設置すると、当該加工対象ワークの存在する列については当該列全体が露出し、それ以外については第1カバー130によって覆われた状態となる。
【0045】
第2カバー140は、図4(b)に示すように、リードフレーム基板200における第1列〜第3列の3つの列のうちの任意の1つの列に存在するn個(この場合6個)のワークを個々に露出可能とするような6個の開口窓を有している。第2カバー140は、その開口窓141〜146が第1カバー130の開口窓131に対応するように重ねて設置されるものであり、このように第2カバー140を設置すると、第1カバー130の開口窓131によって露出している列に属する6個のワークが第2カバー140の開口窓141〜146によって露出する状態となる。
【0046】
また、第2カバー140の各開口窓141〜146は、単に開口しているだけではなく、図4(c)に示すように、各開口窓141〜146の裏面における開口窓縁部には、各ワークの周囲を囲う遮蔽壁148がそれぞれ形成されている。この遮蔽壁148は、第2カバー140を第1カバー130に重ねるように設置したときに、その先端部148aがリードフレーム210の表面の位置と同程の位置にまで達するようになっている。
【0047】
なお、図4(c)においては、開口窓146に設けられている遮蔽壁148が示されているが、他の開口窓141〜145においても同様の遮蔽壁148が設けられている。このような遮蔽壁148は、加工対象ワークをレーザー加工する際に発生するスパッターが他のワークにまで飛び散ることを防止するためのものである。
【0048】
シャッター150は、図4(d)に示すように、行に沿った方向(x軸の沿った方向)にn個(この場合、n=6であるので6個)の開口窓151〜156を有し、当該6個の開口窓151〜156の各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有している。
【0049】
このような構造を有するシャッター150は、x−x’方向にスライドすることよって、6個の開口窓151〜156のうちの1つの開口窓でリードフレーム基板200における複数のワーク(W11〜W36)のうちの任意の1個のワークを露出させることができる。これにより、シャッター150の動きを単純化することができ、シャッター駆動部160のシャッター駆動機構も単純化することができる。
【0050】
ここで、開口窓151は、リードフレーム基板200(図2参照。)における第1行の3個のワークに共通する開口窓であり、シャッター150がx−x’方向にスライドすることによって、第1行の3個のワークのいずれかを露出させることができる。開口窓152は、リードフレーム基板200における第2行の3個のワークに共通する開口窓であり、シャッター150がx−x’方向にスライドすることによって、第2行の3個のワークのいずれかを露出させることができる。開口窓153は、リードフレーム基板200における第3行の3個のワークに共通する開口窓であり、シャッター150がx−x’方向にスライドすることによって、第3行の3個のワークのいずれかを露出させることができる。以下同様に、シャッター150がx−x’方向にスライドすることによって、第4行〜第6行のそれぞれ3個のワークのいずれかをそれぞれ対応する開口窓によって露出させることができる。
【0051】
また、シャッター150の開口窓151〜156は、各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有しており、ここでは、隣接する列に存在する開口窓同士が列に沿った方向(y軸に沿った方向)において少なくとも1行分の間隔を置くように配置されている。
【0052】
例えば、図4(d)における左から2番目の開口窓153に注目すると、当該開口窓153(注目開口窓153とする。)に隣接する列に存在する開口窓151,155のうち、開口窓151は、注目開口窓153の行(第3行)に対して1行置いた第1行となるように配置され、開口窓155は、注目開口窓153の行(第3行)に対して1行置いた第5行となるように配置されている。
【0053】
各開口窓151〜156の配置をこのようにすることにより、隣接する開口窓同士の間隔を大きくすることができるため、シャッター150の強度を高くすることができる。
【0054】
このような構造を有するシャッター150は、第2カバー140の表面上をシャッター駆動部160により、矢印x−x’に沿ってスライド可能となっている。シャッター150を矢印x−x’に沿ってスライドさせることにより、6個の開口窓151〜156のうちの1つの開口窓でリードフレーム基板200における複数のワーク(W11〜W36)のうちの任意の1個のワークを露出させることができる。
なお、シャッター150の開口窓151〜156の配置は、シャッター150の強度が保持できれば、図4(d)のような配置に限られるものではなく種々の変形が可能である。
【0055】
次に、本発明の外観不良ワーク加工方法について説明する。
図5は、実施形態1に係る外観不良ワーク加工方法の各工程を示すフローチャートである。実施形態1に係る外観不良ワーク加工方法の各工程(外観不良ワーク加工工程という。)は、図5に示すように、第1工程(ステップS1)から第5工程(ステップS5)を有する。
【0056】
まず、第1工程として、加工対象ワークが属する列のみを露出させるように第1カバー130で覆う工程を行い(ステップS1)、続いて、第2工程として、第1カバー130の開口窓131によって露出している列(加工対象ワークが属する列)の個々のワークが露出するように第2カバーで覆う工程を行う(ステップS2)。
【0057】
そして、第3工程として、第2カバー140によって露出しているワークのうち、加工対象ワークのみが露出するようにシャッター150で覆う工程を行う(ステップS3)。この第3工程を実施することにより、リードフレーム基板200は、シャッター150をその上方から見ると、加工対象ワークのみが露出し、その他はシャッター150によって覆われた状態となる。
続いて、第4工程として、シャッター150の開口窓によって露出している加工対象ワークの加工すべき位置(加工位置)にレーザー加工を施す工程を行う(ステップS4)。
【0058】
以上、第1工程から第4工程(ステップS1〜S4)を終了すると、第5工程(ステップS5)として、当該リードフレーム基板200に他の外観不良ワークが存在するか否かを判定する工程を行い、他の外観不良ワークが存在すれば、ステップS1に戻り、他の外観不良ワークが存在しなければ当該リードフレーム基板200に対する外観不良ワーク加工工程を終了する。
【0059】
なお、図5に示す外観不良ワーク加工工程は、ある1つのリードフレーム基板200についての説明であったが、外観不良ワークの存在するリードフレーム基板が複数存在する場合には、すべてのリードフレー基板について図5に示す外観不良ワーク加工工程(ステップS1〜S5)を行う。
【0060】
ところで、第4工程(ステップS4)において実施するレーザー加工として、ここでは、「はみ出し部切除加工」と「特性不良化加工」を行う。「はみ出し部切除加工」は、外観不良ワークのうち、半導体素子212に「はみ出し部」(例えば、図10(b)参照。)が存在する外観不良ワークと、接続子214に「はみ出し部」(例えば、図10(c)参照。)が存在する外観不良ワークについて行うものである。また、「特性不良化加工」は、外観不良ワークの特性を不良化する必要がある外観不良ワーク(例えば、図10(a)〜図10(d)参照。)について行うものである。
【0061】
なお、半導体素子212に「はみ出し部」が存在する外観不良ワーク及び接続子214に「はみ出し部」が存在する外観不良ワークの場合には、「はみ出し部切除加工」に加えて「特性不良化加工」をも行うものとし、また、図10(a)及び図10(d)に示すような外観不良ワークのように「はみ出し部」が存在しない外観不良については、特性不良化加工のみを行うものとする。
【0062】
図6は、レーザー加工を施す際のリードフレーム基板200の加工対象ワークW23と、第1カバー130と、第2カバー140と、シャッター150との関係を模式化して示す図である。なお、図6においては、リードフレーム基板200の上に、第1カバー130と第2カバー140とシャッター150とをこの順序で重ねた状態が示されているために、リードフレーム基板200、第1カバー130及び第2カバー140は目視できない状態となっている。
【0063】
この場合、リードフレーム基板200は、図2に示したリードフレーム基板200であり、外観検査によって2列3行目のワークW23が外観不良ワークであるとされたリードフレーム基板であるとする。なお、外観不良ワークW23は、現時点において加工対象ワークとして選択されたものであり、ここでは、当該外観不良ワークW23を加工対象ワークW23という。
【0064】
このようなリードフレーム基板200の表面を覆うように、まずは第1カバー130を設置する。このとき、第1カバー130の開口窓131(一点鎖線枠で囲まれている範囲)が、加工対象ワークW23の存在する第2列に対応するように当該第1カバー130で覆う。このように第1カバー130でリードフレーム基板200を覆うと、加工対象ワークW23が属する列(加工対象列という。)のみが露出した状態となる。
【0065】
次に、第1カバー130の表面を覆うように第2カバー140を設置する。このとき、第2カバー140の各開口窓141〜146が、加工対象列に属する各ワーク(この場合、ワークW21〜W26)に対応するように当該第2カバー140を設置する。このようにして、第1カバー130及び第2カバー140を設置すると、加工対象列に属するワークW21〜W26が個々のワークごとに露出した状態となる。なお、図6においては、加工対象列に属するワークW21〜W26のうち、加工対象ワークW23以外のワークに付されている符号「W21」、「W22」、「W24」、「W25」、「W26」は図示を省略している。
【0066】
次に、第2カバー140の表面を覆うようにシャッター150を設置する。このとき、シャッター150をx軸に沿った方向(x−x’方向)にスライドさせて、加工対象ワークW23のみを露出させるようにする。
【0067】
なお、実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置100においては、シャッター150は、シャッター駆動部160によって自動的にスライド可能としている。例えば、図示しない撮像装置によって撮像された撮像画像データに基づいて、制御部180が加工対象ワークW23の位置情報を取得し、取得した位置情報によりシャッター駆動部160を制御する。すなわち、制御部180は、シャッター150の開口窓のうち加工対象ワークW23に対応する開口窓153が当該加工対象ワークW23に対応する位置となるようにシャッター駆動部160を制御する。これにより、シャッター150は、x軸に沿った方向(x−x’方向)に所定量だけスライドし、シャッター150の開口窓153が加工対象ワークW23に対応する位置となる。
【0068】
このように、リードフレーム基板200上に第1カバー130と第2カバー140とシャッター150とをこの順序で重ねるように設置すると、加工対象ワークW23のみが露出した状態となる。なお、このとき、第2カバー140の各開口窓141〜146には、それぞれ遮蔽壁148が形成されているため、各開口窓141〜146に対応するワークW21〜W26は、それぞれの遮蔽壁148によって囲た状態となる。
【0069】
また、制御部180は撮像画像データに基づいてリードフレーム基板載置台駆動部120を制御して、リードフレーム基板載置台110を所定位置に移動させる。すなわち、加工対象ワークW23における加工位置がレーザー光発生装置170から発せられるレーザー光の照射位置に一致するように、リードフレーム基板載置台110を平面上(xy平面上)で移動させる。
【0070】
この状態で、加工対象ワークW23に対してレーザー光発生装置170からレーザー光を照射することにより、当該加工対象ワークW23に対してレーザー加工を施すことができる。ここで、当該加工対象ワークW23の外観不良の種類が、例えば、半導体素子212に、はみ出し部(図10(b)参照。)が存在する外観不良である場合には、当該はみ出し部を切除するための「はみ出し部切除加工」を実施するとともに、当該半導体素子212の特性を不良化するための「特性不良化加工」を実施する。
【0071】
なお、はみ出し部分を切除するのは、その後に行われる樹脂封止工程において、樹脂封止用金型に悪影響を与えないためである。すなわち、ワークに余分なはみ出し部分が存在すると、樹脂封止用金型と、はみ出し部分とが衝突することによって樹脂封止用金型を破損させてしまう場合もあるからである。
【0072】
また、特性不良化加工を行うのは、特性検査において、外観不良ワークの特性が正常と判定されないようにするためである。特性不良化加工を行うことにより、良品とされたワークの中に、仮に、外観不良ワークが混在してしまった場合であっても、特性検査によって、当該外観不良ワークが確実に特性不良として判定されるようになる。
【0073】
このように、外観不良ワークが確実に特性不良として判定されるようにするために、実施形態1に係る外観不良ワーク加工方法においては、外観不良ワーク(特に半導体素子212)に貫通孔を形成するようにしている。特性不良化加工として、外観不良ワークに貫通孔を形成するのは、当該外観不良ワークが確実に特性不良として判定されるようにするためである。
【0074】
図7は、はみ出し部切除加工と特性不良化加工を説明するために示す図である。はみ出し部切除加工は、図7に示すように、半導体素子212の正規の搭載位置(図示における破線枠A1で示す範囲)からはみ出ている「はみ出し部分」(図示において灰色で示す部分K1)を切除する。また、特性不良化加工は、例えば、半導体素子212における所定位置(図示における灰色で示す部分P1)に貫通孔を形成する。これらの加工(はみ出し部切除加工及び特性不良化加工)は、レーザー光発生装置170から加工対象ワークW23の加工位置にレーザー光を照射することによって行う。
【0075】
貫通孔の平面形状は、図7においては長方形としているが、特に限定されるものではなく、長円形、円形などであってもよく、また、小径の貫通孔を複数箇所に形成するようにしてもよい。なお、貫通孔が確実に形成されているか否かは、ここでは図示及び説明は省略するが、貫通孔の有無を検査する工程によって調べる。このように、貫通孔の有無を検査することにより、当該外観不良ワークを確実に特性不良とすることができ、当該ワークが良品として流通することを確実に防止することができる。
【0076】
なお、加工対象ワークW23に対して、はみ出し部切除加工及び特性不良化加工を行う際、スパッターが発生する可能性があるが、第2カバー140の各開口窓141〜146には各ワークを囲むような遮蔽壁148がそれぞれ設けられているため、加工対象ワークW23をレーザー加工する際に発生したスパッターが他のワークに悪影響を及ぼすことはない。
【0077】
また、ここでは、外観不良の種類として、半導体素子121に、はみ出し部が存在している場合を例示したが、接続子214に、はみ出し部が存在している場合(例えば、図10(c)参照。)にも同様に実施可能である。
【0078】
また、ここでは、はみ出し部切除加工と特性不良化加工の両方を行う場合を例示したが、はみ出し部が存在しない外観不良ワークの場合(例えば、図10(a)及び図10(d))においては、特性不良化加工のみを行えばよい。
【0079】
[実施形態2]
上記実施形態1においては、シャッター150を行に沿った方向、すなわちx軸に沿った方向(図4(d)に示すx−x’方向)にスライドさせる場合を例示したが、シャッター150のスライド方向は列に沿った方向(y軸に沿った方向)であってもよい。
【0080】
図8は、実施形態2に係る外観不良ワーク加工装置において使用するシャッターについて説明するために示す図である。実施形態2においては、シャッターのスライド方向が実施形態1と異なるだけであり、実施形態2に係る外観不良ワーク加工装置及び外観不良ワーク加工方法は、実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置及び外観不良ワーク加工方法を適用できるため、ここでは、シャッターの構造のみを説明する。なお、実施形態2に係る外観不良ワーク加工装置において使用するシャッターをシャッター150Aとして説明する。また、実施形態2においても、リードフレーム基板は図2に示すリードフレーム基板200と同様のものであるとする。
【0081】
シャッター150Aは、図8に示すように、列に沿った方向(y軸に沿った方向)にm個(この場合、m=3であるので3個)の開口窓151〜153を有し、当該3個の開口窓151〜153の各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有している。このような構造を有するシャッター150Aは、y−y’方向にスライドすることよって、3個の開口窓151〜153のうちの1つの開口窓でリードフレーム基板200における複数のワーク(W11〜W36)のうちの任意の1個のワークを露出させることができる。
【0082】
ここで、開口窓151は、リードフレーム基板200(図2参照。)における第1列の6個のワークに共通する開口窓であり、シャッター150Aがy−y’方向にスライドすることによって、第1列の6個のワークのいずれかを露出させることができる。開口窓152は、リードフレーム基板200における第2列の6個のワークに共通する開口窓であり、シャッター150Aがy−y’方向にスライドすることによって、第2列の6個のワークのいずれかを露出させることができる。開口窓153は、リードフレーム基板200における第3列の6個のワークに共通する開口窓であり、シャッター150Aがy−y’方向にスライドすることによって、第3列の6個のワークのいずれかを露出させることができる。
【0083】
また、シャッター150Aの開口窓151〜153は、実施形態1に係る外観不良ワークにおいて使用したシャッター150と同様、各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有しているため、隣接する開口窓同士の間隔を大きくすることができ、シャッター150Aの強度を高くすることができる。なお、シャッター150Aの開口窓151〜153の配置は、シャッター150Aの強度が保持できれば、図8のような配置に限られるものではなく種々の変形が可能である。
【0084】
このような構造を有するシャッター150Aの場合には、シャッター150Aを列に沿った方向(y軸に沿った方向)、すなわち、図8におけるy−y’方向にスライドさせることによって、開口窓151〜153のいずれかの開口窓によって、複数のワーク(W11〜W36)のうちの任意の1つのワークを露出させることができる。
【0085】
図9は、レーザー加工を施す際のリードフレーム基板200の加工対象ワークW23と、第1カバー130と、第2カバー140と、シャッター150Aとの関係を模式化して示す図である。なお、図9においては、リードフレーム基板200の上に、第1カバー130と第2カバー140とシャッター150Aとをこの順序で重ねた状態が示されているために、リードフレーム基板200、第1カバー130及び第2カバー140は目視できない状態となっている。
【0086】
この場合、リードフレーム基板200は、図2に示したリードフレーム基板200であり、外観検査によって2列3行目のワークW23が外観不良ワークであるとされたリードフレーム基板であるとする。なお、外観不良ワークW23は、現時点において加工対象ワークとして選択されたものであり、ここでは、当該外観不良ワークW23を加工対象ワークW23という。
【0087】
このようなリードフレーム基板200の表面を覆うように、まずは第1カバー130を設置する。このとき、第1カバー130の開口窓131(一点鎖線枠で囲まれている範囲)が、加工対象ワークW23の存在する第2列に対応するように当該第1カバー130で覆う。このように第1カバー130でリードフレーム基板200を覆うと、加工対象ワークW23が属する列(加工対象列という。)のみが露出した状態となる。
【0088】
次に、第1カバー130の表面を覆うように第2カバー140を設置する。このとき、第2カバー140の各開口窓141〜146が、加工対象列に属する各ワーク(この場合、ワークW21〜W26)に対応するように当該第2カバー140を設置する。このようにして、第1カバー130及び第2カバー140を設置すると、加工対象列に属するワークW21〜W26が個々のワークごとに露出した状態となる。なお、図9においては、加工対象列に属するワークW21〜W26のうち、加工対象ワークW23以外のワークに付されている符号「W21」、「W22」、「W24」、「W25」及び「W26」は図示を省略している。
【0089】
次に、第2カバー140の表面を覆うようにシャッター150Aを設置する。このとき、シャッター150Aをy軸に沿った方向(y−y’方向)にスライドさせて、加工対象ワークW23のみを露出させるようにする。この状態で、加工対象ワークW23に対してレーザー光発生装置170からレーザー光を照射することにより、実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置の場合と同様に、当該加工対象ワークW23に対してレーザー加工を施すことができ、実施形態1に係る外観不良ワーク加工装置と同様の効果が得られる。
【0090】
なお、シャッター150Aは、図2に示すようなリードフレーム基板200(ワークが3列6行の配置)上を列に沿った方向(y軸に沿った方向)にスライドさせるものとしたために、開口窓の数や配置が単純なものとなったが、リードフレーム基板における列が、例えば、6列(m=6)である場合には、シャッター150Aの開口窓は6個となり、その配置は、例えば、図4(d)に示すシャッター150を例えば時計方向に90度回転させた場合と同様の配置となる。
【0091】
本発明は上述の各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0092】
(1)上記各実施形態においては、シャッターは制御部180がシャッター駆動部160を制御することによって、所定位置にまで自動的にスライドさせるようにしたが、オペレータが手動でスライドさせるようにしてもよい。また、上記実施形態においては、シャッターは、x軸方向又はy軸方向に直線的にスライドするものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、xy平面上で任意に移動可能としてもよい。なお、xy平面上で任意に移動可能というのは、x軸方向及びy軸方向の両方に沿った移動が可能なだけではなく、xy平面上において所定範囲の角度で回転可能となっていることを含むものである。
【0093】
このように、シャッターをxy平面上で任意に移動可能とする場合、開口窓は1つであってもよく、当該1つの開口窓が加工対象ワークに対応するようにシャッターをxy平面上で任意に移動させればよい。
【0094】
(2)上記各実施形態においては、第1カバー130及び第2カバー140でリードフレーム基板200を覆う際の駆動手段は特に言及しなかったが、これも、オペレータが手動で加工対象ワークを開口窓により露出させるようにしてもよく、また、自動的に行うようにすることも可能である。
【0095】
(3)上記各実施形態においては、はみ出し部切除加工及び特性不良化加工を行う際においては、リードフレーム基板200をリードフレーム基板載置台110上に設置して、制御部180がリードフレーム基板載置台駆動部120を制御することによって、ワークにおける加工位置を自動的にレーザー光の照射位置に対応させるようにしたが、これも、オペレータが手動で行うようにしてもよい。
【0096】
(4)上記各実施形態においては、半導体素子121とリードフレーム210のアウターリード213とを接続子214で接続した場合を例示したが、ワイヤーボンディングによって接続した場合にも本発明は適用可能である。
【0097】
(5)上記各実施形態においては、外観不良ワークに対して行う加工としては、「はみ出し部」を切除する「はみ出し部切断加工」と、特性を不良化する「特性不良化加工」を例示したが、これら以外にも、例えば、外観不良ワークをリードフレーム基板200から切り離す切り離し加工を行うことも可能である。
【0098】
(6)上記各実施形態においては、リードフレーム基板載置台110をxy平面上で移動可能としたが、レーザー光発生装置170をxy平面上で移動可能とするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
100・・・外観不良ワーク加工装置、110・・・リードフレーム基板載置台、120・・・リードフレーム基板載置台駆動部、130・・・第1カバー、131・・・第1カバー130の開口窓、140・・・第2カバー、141〜146・・・第2カバー140の開口窓、148・・・遮蔽壁、148a・・・遮蔽壁の先端部、150,150A・・・シャッター、151〜156・・・シャッターの開口窓、160・・・シャッター駆動部、170・・・レーザー光発生装置、180・・・制御部、200・・・リードフレーム基板、210・・・リードフレーム、211・・・ダイパッド、212・・・半導体素子、213・・・アウターリード、214・・・接続子(接続部材)、W11〜W36・・・ワーク、W23・・・外観不良ワーク(加工対象ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームのダイパッド上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子の上面と前記リードフレームのアウターリードとを接続する接続部材とからなる複数のワークがm列及びn行(但し、m及びnはともに2以上の整数。)に配列されたリードフレーム基板における前記複数のワークを外観検査した結果、外観不良とされた外観不良ワークに対して所定の加工を施す外観不良ワーク加工装置であって、
前記リードフレーム基板における前記m列のうちの任意の1つの列を露出可能とする開口窓を有する第1カバーと、
前記m列のうちの任意の1つの列に存在するn個のワークを個々に露出可能とするn個の開口窓を有する第2カバーと、
前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出可能とする開口窓を有するシャッターと、
前記外観不良ワークのうちその時点において加工対象となる加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射するレーザー光発生装置と、
を有し、
前記加工対象ワークが存在する列を露出させるように前記第1カバーで前記リードフレーム基板を覆うとともに、前記第1カバーの開口窓によって露出している列に属するn個のワークを個々のワークごとに露出させるように前記第2カバーで覆い、さらに、前記加工対象ワークを露出させるように前記シャッターで覆った状態として、前記加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射することにより当該加工対象ワークに所定の加工を施すことを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記第2カバーにおける前記n個の開口窓の縁部には、当該n個の開口窓の各開口窓に対応するワークの周囲を囲うことができる遮蔽壁が形成されていることを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記シャッターは、前記行に沿った方向にn個の開口窓を有し、当該n個の開口窓の各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有し、前記行に沿った方向にスライドすることよって、前記n個の開口窓のうちの1つの開口窓で前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出させることを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記シャッターは、前記列に沿った方向にm個の開口窓を有し、当該m個の開口窓の各開口窓が互いに異なった行及び列に存在するように配置された構造を有し、前記列に沿った方向にスライドすることよって、前記m個の開口窓のうちの1つの開口窓で前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出させることを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記半導体素子の前記ダイパッドへの搭載位置が規定の搭載位置からはみ出している場合においては、当該はみ出している部分を切除するためのはみ出し部切除加工であることを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項6】
請求項1〜4に記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記接続部材の前記半導体素子への接続位置又は前記アウターリードへの接続位置の少なくとも一方の接続位置が規定の接続位置からはみ出している場合に、当該はみ出している部分を切除するためのはみ出し部切除加工であることを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記加工対象ワークの特性を不良化する特性不良化加工であることを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記加工対象ワークに施す所定の加工は、前記はみ出し部切除加工に加えて前記加工対象ワークの特性を不良化する特性不良化加工を行うことを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項9】
請求項7又は8のいずれかに記載の外観不良ワーク加工装置において、
前記特性不良化加工は、前記ワークに貫通孔を形成する加工であることを特徴とする外観不良ワーク加工装置。
【請求項10】
リードフレームのダイパッド上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子の上面と前記リードフレームのアウターリードとを接続する接続部材とからなる複数のワークがm列及びn行(但し、m及びnはともに2以上の整数。)に配列されたリードフレーム基板における前記複数のワークを外観検査した結果、外観不良とされた外観不良ワークに対して所定の加工を施す外観不良ワーク加工方法であって、
前記リードフレーム基板における前記m列のうちの任意の1つの列を露出可能とする開口窓を有する第1カバーによって、前記外観不良ワークのうちその時点において加工対象となる加工対象ワークが存在する列を露出させるように前記リードフレーム基板を覆う第1工程と、
前記m列のうちの任意の1つの列に存在するn個のワークを個々に露出可能とするn個の開口窓を有する第2カバーによって、前記第1カバーの開口窓によって露出している列に属するn個のワークを個々のワークごとに露出させるように覆う第2工程と、
前記複数のワークのうち任意の1個のワークを露出可能とする開口窓を有するシャッターによって、前記加工対象ワークを露出させるように覆う第3工程と、
前記加工対象ワークの所定部分にレーザー光を照射することにより当該加工対象ワークに所定の加工を施す第4工程と、
をこの順序で前記外観不良ワークの数の分だけ繰り返して実施することを特徴とする外観不良ワーク加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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