説明

外観検査装置及び印刷半田検査装置

【課題】位相シフト法を用いて3次元計測結果の表示が可能で、また2次元計測が可能な外観検査装置及び印刷半田検査装置を提供することにある。
【解決手段】印刷半田検査装置1は、検査対象物100に対し斜め上方であって対向する2方向から位相変化光を照射可能な一対の第1照明装置2と、前記検査対象物に対し上方からRGB光を照射可能な第2照明装置3と、前記検査対象物を白黒画像で撮像可能な撮像装置4と、を備えている。そして、前記検査対象物の同一撮像面に対し前記2方向の位相変化光を照射して撮像し、該撮像の前又は後にて前記検査対象物の同一撮像面に対し前記RGB光を順次照射して撮像し、各画像を合算した画像により前記検査対象物の外観を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物に対し照明し撮像して該検査対象物の外観を検査する外観検査装置及び基板に対し照明し撮像して該基板に印刷された半田を検査する印刷半田検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半田印刷とは、メタルマスクと呼ばれる薄い金属板に設けられた開口部を通して、ペースト状の半田(クリーム半田)を基板のパッド上に転写する工程をいう。よって、基板に印刷されたクリーム半田には、通常100μm〜150μm位の厚みがある。このような厚み方向の転写状況までしっかり把握するためには、当然ながら3次元測定技術が必要である。
【0003】
例えば、特許文献1,2には、位相シフト法を用いた印刷半田検査装置が開示されている。この印刷半田検査装置では、基板に色相を持った位相変化光もしくは白黒の縞状の位相変化光を照射し、基板をカラーカメラもしくは白黒カメラで撮像することにより基板に印刷されたクリーム半田の高さの計測を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−121115号公報
【特許文献2】特開2002−81924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1,2に記載の印刷半田検査装置では、以下の問題がある。すなわち、基板に色相を持った位相変化光を照射し、基板をカラーカメラで撮像した場合、基板等の色特性により縞状パターンの光強度分布が不安定になって位相変化の判別が困難な部位が発生し、3次元計測の精度が悪化してしまうという問題がある。一方、基板に白黒の縞状の位相変化光を照射し、基板を白黒カメラで撮像した場合、かかる問題は解消できる。しかし、視認性の観点からカラー画像での3次元計測結果の表示の要望が高まっている。また、3次元計測では、判別が困難な、高さの低いにじみ不良等が発生し、2次元計測が必要となった。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、位相シフト法を用いてカラー画像での3次元計測結果の表示と、2次元計測が可能な外観検査装置及び印刷半田検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、本発明の外観検査装置では、
検査対象物に対し照明し撮像して前記検査対象物の外観を検査する外観検査装置であって、
前記検査対象物に対し斜め上方であって対向する2方向から位相変化光を照射可能な一対の第1照明装置と、
前記検査対象物に対し上方からRGB光を照射可能な第2照明装置と、
前記検査対象物を白黒画像で撮像可能な撮像装置と、を備え、
前記検査対象物の同一撮像面に対し前記2方向の位相変化光を照射して撮像し、該撮像の前又は後にて前記検査対象物の同一撮像面に対し前記RGB光を順次照射して撮像し、各画像を合算した画像により前記検査対象物の外観を検査することを特徴としている。
【0008】
上記目的達成のため、本発明の印刷半田検査装置では、
基板に対し照明し撮像して前記基板に印刷された半田を検査する印刷半田検査装置であって、
前記基板に対し斜め上方であって対向する2方向から位相変化光を照射可能な一対の第1照明装置と、
前記基板に対し上方からRGB光を照射可能な第2照明装置と、
前記基板を白黒画像で撮像可能な撮像装置と、を備え、
前記基板の同一撮像面に対し前記2方向の位相変化光を照射して撮像し、該撮像の前又は後にて前記検査対象物の同一撮像面に対し前記RGB光を順次照射して撮像し、各画像を合算した画像により前記半田の外観を検査することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位相シフト法を用いてカラー画像での3次元計測結果の表示が可能な外観検査装置及び印刷半田検査装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る印刷半田検査装置の全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る印刷半田検査装置の全体構成を示す斜視図である。この印刷半田検査装置1は、検査対象基板100に印刷されているクリーム半田(以下、印刷半田という)の3次元測定を行って該印刷半田を検査する機能を備えている。印刷半田検査装置1は、第1照明装置2、第2照明装置3、撮像装置4、制御装置5、テーブル6等を備えている。
【0013】
第1照明装置2は、液晶光学シャッタを備えた一対の位相スリット照明で構成され、検査対象基板100に対し斜め上方であって対向する2方向から正弦波状の複数の位相変化する光パターンを照射可能に配設されている。第1照明装置2においては、図示しない光源からの光が、光ファイバにより一対の集光レンズに導かれて平行光にされる。その平行光が、液晶光学シャッタを介して恒温制御装置内に配置された投影レンズに導かれる。そして、3つの位相変化する光パターンが、投影レンズから照射される。
【0014】
このように、第1照明装置2に液晶光学シャッタが使用されていることによって、縞状の光パターンを作成した場合に、その照度が理想的な正弦波に近いものが得られ、これにより、3次元計測の測定分解能が向上する。また、光パターンの位相シフトの制御を電気的に行うことができ、制御系のコンパクト化を図ることができる。
【0015】
第2照明装置3は、リング照明で構成され、検査対象基板100に対し上方からRGB光を照射可能に配設されている。撮像装置4は、CMOSセンサの撮像素子を有して白黒画像を撮像するカメラ41とレンズ42を備えている。テーブル6は、X軸テーブル61、X軸用モータ62、Y軸テーブル63、Y軸用モータ64を備えている。
【0016】
以上の光学系・照明系構成で、制御装置5は、公知の位相シフト法(特開2002−81924号公報、特開2003−121115号公報参照)を用いて3次元計測を行う。すなわち、第1照明装置2を駆動制御して光パターンの照射を開始させると共に、この光パターンの位相を所定ピッチ(例えば2π/3)ずつシフトさせて3種類の照射を順次切換制御する。さらに、制御装置5は、このようにして光パターンの位相がシフトする照射が行われている間に撮像装置4を駆動制御して、これら各照射ごとに検査エリア部分を撮像し、それぞれ3画面分の画像データを得る。
【0017】
制御装置5は、画像メモリを備えており、3画面分の画像データを順次記憶する。制御装置5は、記憶した画像データに基づいて、各種画像処理を行う。
【0018】
次に、制御装置5は、画像処理と比較判定を行う。検査対象基板100に投影された光パターンに関して、検査対象基板100面上とクリームハンダとの間では、その高さの相違に基づく位相のずれが生じる。そこで、制御装置5は、光パターンの位相が所定ピッチずつシフトした際の検査エリアの画像データ(3画面の画像データ)に基づき、位相シフト法(縞走査法)によって検査エリア内の各部の反射面の高さを算出する。
【0019】
制御装置5は、得られた高さデータを撮像画面の画素単位に演算してメモリに格納する。また、当該各部のデータに基づいて、基準面より高くなった印刷半田の印刷範囲が検出され、この範囲内での各部の高さを積分することにより印刷半田の量を算出する。
【0020】
そして、このようにして求めた印刷半田の位置、面積、高さ又は量等のデータを予め記憶されている基準データと比較判定し、この比較結果が許容範囲内にあるか否かによって、その検査エリアにおける印刷半田の印刷状態の良否を判定する。
【0021】
その後、制御装置5は、第2照明装置3を制御して検査対象基板100に対し上方からR照明のみ点灯し、撮像装置4を制御してR照明のみ点灯時の白黒画像データを取得する。次に、第2照明装置3を制御して検査対象基板100に対し上方からG照明のみ点灯し、撮像装置4を制御してG照明のみ点灯時の白黒画像データを取得する。
【0022】
最後に、第2照明装置3を制御して検査対象基板100に対し上方からB照明のみ点灯し、撮像装置4を制御してB照明のみ点灯時の白黒画像データを取得する。そして、制御装置5は、それらを合算して実質カラー画像を取得し印刷半田の印刷状態の良否を判定する。なお、カラー画像を取得動作は、上述の位相シフト動作の前であってもよい。なお、RGB照明点灯時の白黒画像データの取得順序は任意の順でよく、特に限定されるものではない。
そして、制御装置5は、テーブル6を次の検査エリアへと移動し、上述の位相シフトによる高さ測定とRGB撮像を行う。以上の処理を全ての検査エリアについて行う。
【符号の説明】
【0023】
1 印刷半田検査装置、2 第1照明装置、3 第2照明装置、4 撮像装置、5 制御装置、6 テーブル、41 カメラ、42 レンズ、61 X軸テーブル、62 X軸用モータ、63 Y軸テーブル、64 Y軸用モータ、100 検査対象基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に対し照明し撮像して前記検査対象物の外観を検査する外観検査装置であって、
前記検査対象物に対し斜め上方であって対向する2方向から位相変化光を照射可能な一対の第1照明装置と、
前記検査対象物に対し上方からRGB光を照射可能な第2照明装置と、
前記検査対象物を白黒画像で撮像可能な撮像装置と、を備え、
前記検査対象物の同一撮像面に対し前記2方向の位相変化光を照射して撮像し、該撮像の前又は後にて前記検査対象物の同一撮像面に対し前記RGB光を順次照射して撮像し、各画像を合算した画像により前記検査対象物の外観を検査することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
基板に対し照明し撮像して前記基板に印刷された半田を検査する印刷半田検査装置であって、
前記基板に対し斜め上方であって対向する2方向から位相変化光を照射可能な一対の第1照明装置と、
前記基板に対し上方からRGB光を照射可能な第2照明装置と、
前記基板を白黒画像で撮像可能な撮像装置と、を備え、
前記基板の同一撮像面に対し前記2方向の位相変化光を照射して撮像し、該撮像の前又は後にて前記検査対象物の同一撮像面に対し前記RGB光を順次照射して撮像し、各画像を合算した画像により前記半田の外観を検査することを特徴とする印刷半田検査装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−117920(P2012−117920A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267994(P2010−267994)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(504184503)株式会社DJTECH (9)
【Fターム(参考)】