説明

外観検査装置

【課題】錠剤などのワークを搬送しながら効果的に撮影し、ワークの外観を検査する外観検査装置を提供する。
【解決手段】走行する2つのベルト60,62を対向させ、その対向側面側に上方に突出する凸条Bをそれぞれ形成する。そして、この凸条B上にワークを支持し、ベルト60,62間から空気を吸引することによって、ワークを、凸条B上に吸い付けながら搬送する。これによって、ワークを撮影しやすい状態で確実に搬送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
搬送されるワークの外観を検査する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、錠剤や薬用カプセルなどのワークの外観検査装置が知られており、このような検査装置ではワークを搬送しながらカメラ撮影し、得られた撮影映像からワークの検査が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、無端ベルトに穴を開け、この穴から吸引することによって、ワークをベルト上に吸い付けて搬送し、搬送状態のワークを撮影する装置が開示されている。また、特許文献2には、2つの平行移動するベルトによって、ワークを支持することが示されている。そして、これら特許文献1,2においては、1つの搬送系における搬送中において、ワークの1面を撮影し、その後別の搬送系でワークの他面を露出させて搬送し、その際にワークの他面を撮影している。
【0004】
さらに、特許文献3では、断面円形のベルトを用いてワークを搬送することが示されている。この特許文献3では、搬送中のワークを上方および下方から撮影することでワークの両面の検査を行っている。また、特許文献4には、リンゴなどのワークについての多方面からの画像を1つのカメラによって得る装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3796289号公報
【特許文献2】特許第3154218号公報
【特許文献3】特公平5−65405号公報
【特許文献4】特公平7−99326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の装置によって、錠剤等のワークを搬送することが可能であり、また搬送中のワークの両面を撮影することができる。しかし、より適切な検査を行うためには、各種の撮影がより効果的に行われることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、搬送されるワークの外観を検査する外観検査装置であって、帯状の第1走行ベルトと、第1走行ベルトに対し所定間隔をおき平行して走行する帯状の第2走行ベルトと、を含み、第1および第2走行ベルトの対向する側部には、上方に突出する壁状凸部がそれぞれ設けられ、これら2つの壁状凸部の上にワークを支持し、第1および第2走行ベルト間の間隙から空気を吸引することによって外観検査対象となるワークを前記第1および第2走行ベルトの壁状凸部に吸い付けながら搬送することを特徴とする。
【0008】
また、前記第1および第2走行ベルトの側部に形成される壁状凸部は、対向する側部の上端部が面取りされて丸くなっていることが好適である。
【0009】
前記ワークが錠剤であることが好適である。
【0010】
また、搬送中のワークを上方と、進行方向斜め前方の2方向および斜め後方の2方向の4側方との合計5方向からの画像を撮影する撮影手段を有することが好適である。
【0011】
また、前記撮影手段は1つのカメラを含み、前記5方向のうちの少なくとも4側方からの画像は光学系を利用して屈曲させ、5方向の画像を前記1つのカメラにより得ることが好適である。
【0012】
また、前記第1走行ベルトおよび第2走行ベルトを有する第1コンベアの他に、前記ワークの撮影される上面側を吸い付けて搬送する第2コンベアを設け、この第2コンベア上のワークを上方と、進行方向斜め前方の2方向斜め後方の2方向の4側方の合計5方向からの画像を撮影する別の撮影手段を設け、2つの撮影手段における4側方同士が進行方向に対し互いにずれていることが好適である。
【0013】
また、ベルト上を搬送されるワークの外観を検査する外観検査装置であって、搬送されるワークの斜め右前、斜め右後、斜め左前、斜め左後、および上方からの側面像4つと、上面像1つを得るための5光路を有し、4つの側面像の各光路は、少なくとも1つの上下方向の光路を構成するプリズムを含み、1つの上面像の光路は、ワークの上方において水平方向に光を往復させるZ型のプリズムを含み、5つの光路長を合致させてカメラに入力させ、搬送されるワークについての5つの画像を得ることを特徴とする。
【0014】
また、前記カメラは、前記ワーク上方に配置され、側面像についての4つの光路は、光学素子によって上方のカメラに向けて方向変換してカメラに向かい、上面像についての1つの光路は前記Z型のプリズムから上方のカメラに向けて進むことを特徴とする。
【0015】
また、側面像についての4つの光路のうち2つは、1つの光学素子の斜面の高さの異なる位置に入射し、ここで反射されることによって、カメラの異なる位置に入射され、側面像についての4つの光路のうち他の2つは、他の1つの光学素子の斜面の高さの異なる位置に入射し、ここで反射されることによって、カメラの異なる位置に入射されることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明によれば、2つのベルトの壁状凸部によってワークを支持して搬送するため、ワークの撮影などが容易な搬送が行える。また、搬送されているワークについての5つの画像をプリズムを用いて1つのカメラによって得る場合には、比較的簡単な構成で検査が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
「全体構成」
図1は、検査装置の全体構成を示す図である。検査対象であるワーク(この例では錠剤)は、ホッパー等から整列供給部10に供給される。錠剤は、中央部分が膨らんだ円盤状である。通常直径5〜12mm、厚み2〜8mm程度のものである。この整列供給部10は、その出口においてガイド板や整列用溝により、ワークを1列に整列させる構造になっており、1列に並んだワークが先頭のものから順次コンベア12に送り出される。重力によってワークが押し出されるようにしてもよいが、単位時間当たりの送出量を多くするため、バイブレータ、ベルト、回転盤などを用い、ワークの送出量を規制してもよい。
【0019】
この整列供給部10から送出されたワークは、コンベア12上に供給される。このコンベア12は、プーリ14,16および吸引ドラム18に掛け回された無端ベルトであり、プーリ14,16、吸引ドラム18の中の1つ以上を回転駆動することによって移動される。この例では、図における上部右にプーリ14、左に吸引ドラム18、中央下にプーリ16が配置されている。吸引ドラム18がプーリ14,16に比べ大径であり、コンベア12は、プーリ14から左方向に伸びて吸引ドラム18に至り、吸引ドラム18の略半分に巻回され反転されて右方向にプーリ16にまで至り、プーリ16の下側に少しの距離だけ接触して向きが斜め上方に変更されて、プーリ14に至る。なお、コンベア12の詳細な構成については後述する。
【0020】
コンベア12の上方走行部分(プーリ14と吸引ドラム18との間の部分)の下方、および吸引ドラム18に近い下方走行部分の上方には、吸引ボックス20が配置されており、この吸引ボックス20内は、真空ポンプなどで吸気されて減圧状態になっている。そして、吸引ボックス20のコンベア12の裏面に近接する部分には、スリット状の開口が設けられており、この開口を介し空気が吸引ボックス20内に吸引され、コンベア12にもスリットが設けられていることで、ワークがコンベア12のスリットに吸い付けられる。
【0021】
コンベア12に吸引ドラム18のまわりに半周ほど巻き付けられて、走行方向が反転されるが、この吸引ドラム18もその内部が減圧されるとともに、コンベア12の裏面に近接する場所にスリットが設けられている。従って、ワークがコンベア12に吸い付けられた状態で、コンベア12は吸引ドラム18の回転につれて走行する。
【0022】
吸引ドラム18から離れて水平方向に走行するコンベア12の下方走行部分には、上述したように吸引ボックス20の一部が近接配置されている。従って、この部分においても、コンベア12はその下面にワークを吸引したまま走行する。そして、コンベア12がプーリ16に至る前に吸引ボックス20はなくなる。吸引ボックス20の内部はいくつかの部屋に分割されており、各部屋の吸引圧が個別に変えられる構造となっている。コンベア12にて吸引されたワークはドラム18の下部を通過後、いくつかに分割された部屋を持つ吸引ボックス20を通過するが、各部屋の吸引圧が徐々に低下するように設定されている。
【0023】
コンベア12の下方走行部分の下方には、水平方向に配置されたプーリ22,24に巻回されたコンベア26が配置されている。プーリ22は、吸引ドラム18の下方に位置しているが、プーリ24は、プーリ14より図における右側の位置まで伸びて配置され、上部が図における右方向に走行し、下部で左方向に走行する。また、このコンベア26の上方走行部分の下方には、吸引ボックス28が設けられており、ここから空気を吸引している。そして、コンベア26は、スリットを有しており、また吸引ボックス28もそれに対応したスリットを有している。吸引ボックス28の内部も吸引ボックス20と同様にいくつかの部屋に分割されており、各部位の吸引圧が部屋別に変えられる構造になっている。分割された各部屋はプーリ22側から徐々に強くなるように調整されている。従って、コンベア12にて吸引されたワークはドラム18の下部を通過後、いくつかに分割された部屋を持つ吸引ボックス20を通過するが、各部屋の吸引圧が徐々に低下し、一方、吸引ボックス28の分割された各部屋はプーリ22側から徐々に強くなるため、プーリ16を通過するまでにコンベア12からコンベア26に受け渡されてコンベア26の右方向に搬送される。
【0024】
ワークはプーリ24の手前まで吸引され搬送される。プーリ24付近には選別機構29がある。選別機構29は、撮影装置40,撮影装置50内のカメラ44、カメラ54の画像を画像処理することにより得られた判定結果に基づき作動しワークを選別する。
【0025】
選別機構29の後には選別羽根32が設けられており、ワークについての判定が行えていない場合には、未判定ボックス31にワークを導入し、不良品と判定された場合には不良品ボックス30に収容するように、選別羽根32が制御される。
【0026】
また、コンベア12の上方走行部における吸引ドラム18に至る手前の部分のコンベア上方には、撮影装置40が設けられている。この撮影装置40は、プリズムなどの光学系42と、カメラ44から構成されており、ワークの第1面側の画像を得る。さらに、コンベア26のプーリ24に至る手前の走行部分の上方には、撮影装置50が設けられている。この撮影装置50も、プリズムなどの光学系52と、カメラ54から構成されており、ワークの第2面側の画像を得る。そして、これらカメラ54によって得た画像について画像処理を行い、良品か、不良品かの判定を行い、その結果に応じて選別機構29が制御される。
【0027】
このようなシステムにおける、コンベア12の構成について、図2、3に基づいて説明する。図2は、コンベア12,26の断面図、図3は一部の斜視図を示している。このように、コンベア12,26は、一対の独立したベルト60,62から構成されており、ベルト60,62は、所定間隔をおいて平行に配置される。また、ベルト60,62は、平板状の部分Aとそこから上方に突出した凸部Bとからなっており、両ベルト60,62の対向する側に凸部Bが位置している。すなわち、両ベルト60,62は、ともに帯状の無端ベルトで、一方の側部が畝状に高くなった凸部(凸条)Bを有し、その凸条B同士が所定の間隔をおいて対向している。また、凸条Bの上端部分は、面取りされ、断面が半球状になっている。
【0028】
ベルト60,62の裏面側は、ベルトを横断する方向の溝が一定間隔で形成され、裏面側が長手方向において定期的に凸凹を繰り返す形状になっている。そして、プーリ14,16,22,24,および吸引ドラム18の表面には、ベルト60,62の裏面の凸凹に合致する凹凸が形成されており、従ってコンベア12,26は、進行方向において滑りがなく、ベルト60,62は同一速度で進行するタイミングベルトになる。なお、プーリ14,16,22,24,および吸引ドラム18の全てに凹凸を形成する必要はなく、一部のみでもよい。
【0029】
また、図4に示すように、ベルト60,62は、対向する側面である凸条Bの下方部分が切り欠きCが形成されている。一方、プーリ14,16,22,24,および吸引ドラム18には、この切り欠きCに対応した凸条を有しているとともに、またベルト60,62の反対側の側部に対応した凸部も形成されている。いいかえれば、プーリ14,16,22,24,および吸引ドラム18には、ベルト60,62の形状に合致した凹部が形成されており、ベルト60,62がこの凹部に収まることで、ベルト60,62の横方向(進行方向に直角な方向)の移動が規制されるようになっている。切り欠きCを設け、ここに凸条を位置させることによって、凸条がスリット側に出っ張ることを防止でき、凸部B間のスリットを近づけて配置することが可能となっている。
【0030】
このようなベルト60,62を用いることで、一対の凸条Bが所定間隔をおいて平行して走行する。そして、一対の凸条の上にワークが供給される。一対の凸条Bの間隙は吸引ボックスや吸引ドラムによって吸引されているため、ワークが一対の凸条B上に吸引されて走行することになる。
【0031】
ここで、ワークは、図2に示すように、周辺が薄く中央部分が厚い円盤状であり、上述のような面取りされた凸条によって適切に保持される。
【0032】
図5には、吸引ドラム18の構成例が示されている。この例では、吸引ドラム18の内部に吸引ノズル70a,70bを配置している。この吸引ノズル70a,70bは、吸引ドラム18の周面の内側に設けられ、吸引ドラム18のスリットに対応したスリットをその外周面に有している。特に、この実施例では、吸引ドラム18はその左側の半周において、ワークをコンベア12に吸引する。従って、吸引ノズル70,70bは、その吸引が必要な部分のみに設けてあり、全体として200°程度の範囲のみのドーナツ状の形状となっている。また、吸引ノズル70a,70bは、別々の部屋になっている。
【0033】
また、図6には、断面構造が示されている。このように、吸引ノズル70a,70bは、吸引ドラム18の周壁の内側にその外周面が近接して設けられている。吸引ドラム18は回転し、吸引ノズル70a,70bは固定であるため、両者の対応面同士は離れている。しかし、吸引ノズル70a,70bは、なるべくコンベア12を介し空気を吸引したいため、両面間をなるべく気密にシールしたいという要求がある。そこで、オイルシールなど各種のシール手段を設けることが好適である。
【0034】
吸引ノズル70a,70bの内側には、2つの吸引バルブ72a,72bが中心側から接続されており、この吸引バルブ72a,72bの他端は、吸引ドラム18の中心付近から外部に導出され、吸引ボックス28と同様に真空ポンプなどの減圧源に接続されている。
【0035】
なお、吸引ドラム18のスリットは、全周に設けられており、適当数の接続ポスト74を吸引ドラム18のスリットを挟む一対の壁間に配置して、補強している。
【0036】
このように、吸引ノズル70a,70bを設けることで、吸引ドラム18内の必要な部分のみから吸引でき、吸引ドラム18内の全部を吸引する場合に比較して、効率的な吸引が行える。
【0037】
図7には、吸引ドラム18の他の構成例が示されている。この例では、吸引ドラム18の内部は1つの空間であり、この内部空間全体から空気を吸引する。吸引ドラム18の中心部に固定された回転軸を吸引パイプ72として外部に引き出している。そして、この吸引パイプ72が、ロータリジョイントを介して、真空ポンプなどに接続される。なお、図5における吸引ノズル70a,70bに対する接続も同様の構成を採ることが可能である。
【0038】
そして、この例においては、コンベア12が巻き付けられていない、ワークの搬送に利用されない部分については、吸引ドラム18のスリットに対しシート材76を挿入して、スリットを塞いでいる。これによって、不要なスリットからの吸引によって吸引効率が低下することを防止できる。なお、シート材76としては、テフロン(登録商標)などのプラスチックシートが好適である。
【0039】
「光学系」
次に、第1および撮影装置40,50について説明する。撮影装置40,50は、ほぼ同一の構成を有しており、以下の説明は両装置に共通のものである。
【0040】
図8には、撮影装置の機能構成図が示してある。実際には、1つのワークについて、前方右左、後方右左の側方の4方向からと、上方からの1方向を合わせて5方向から撮影する。図6は、ワークが矢印方向に移動するとしてワーク進路の右後方(ワークの進行方向に対し右方向を0度として、−45度の方向)の光路を示している。
【0041】
撮影対象であるワークに向けて第1プリズム102の下部が配置されている。第1プリズム102は、−45度方向であって、水平方向に対し約10度〜15度上方に向かった方向の光を受け入れる。そして、第1プリズム102は、垂直方向に配置され縦方向に長いプリズムであって、入射光は、第1プリズム102に進入し、後方の斜め部分で上方に向けて反射され、上部後方の斜め部分において、ワークの上方(中央)部分に向けて水平方向に反射され、第1プリズム102から出射される。
【0042】
第1プリズム102から135度方向に出射された光は、ワークの上方(中央)との中途部に位置された第2ミラー104に入射され、ここで方向が45度方向に変換されて第3ミラー106に入射される。第2ミラー104は、若干上向きであり、光は若干上方に向けて出射される。第3ミラー106は、ワークの上方であって、進行方向に対し直角となるワークの横(右)方向(0度方向)に位置しており、進行方向に対し22.5度左(112.5度)の方向の反射面を有している。そして、この第3ミラー106によって、ワークの上方(中央)方向(180度方向)に向けて反射される。この第3ミラー106は若干上方に向けて光を射出するように設定されている。
【0043】
ワークの上方には、第4プリズム108が配置されており、右方向から入射してくる光を上方に向けて反射する。この第4プリズム108の上方には、カメラが設けられており、第4プリズム108からの光がカメラ110に入射する。
【0044】
ここで、図8においては、1方向からの撮影についてのみ示した。実際には、5方向からワークを撮影する。右側方と、左側方は、対象な構成である。一方、進行方向前側と後側は、第4プリズム108については共用する。また、第3ミラー106については、図8に示すように上下方向に積層した形で配置される。すなわち、45度方向に配置した第1プリズムから出射された光は第2ミラー104によって第3ミラー106方向に反射されるが、この際に光路が若干上向きに調整され、上側の第3ミラー106を介し、第4プリズム108の傾斜面の若干上の部分に入射される。従って、カメラ110においては、前方からの画像が後方からの画像の右側に位置することになる。このように、この例では、上側の第3ミラー106は、後方用ミラーであり、下側の第3ミラー106は、前方用ミラーである。そして、それぞれの光路は第4プリズム108の反射面(斜面)の上下の異なった位置に入射する。なお、上側の第3ミラー106を前方用、下側の第3ミラー106を後方用としてもよい。
【0045】
第4プリズム108は、中央部分が開口しており、下方からの光はそのままカメラ110に入射する。従って、上方からの画像が中央部に位置する。また、左側の画像も同様にカメラ110に入射するため、上面画像の左隣に左後方からの画像、一番左に左前方からの画像が位置することになる。なお、カメラ110は、ラインセンサであり、ワークの搬送に伴い、ワークの画像を順次取り込む。
【0046】
図9は、ワークの側面像を得る4つの光路について説明している。第1プリズム102は、ワークから側方であって、15度上方に向く光を受け入れ垂直上方に変換して、水平方向に出射する。第2,3ミラー104,106によって中央方向に向けられ、これが第4プリズム108によって、上方のカメラ110に入射される。
【0047】
図10には、ワークの上面像を得る光路について示してある。上面像は、まっすぐ上方から撮影すればそれで得られるのであるが、カメラ110において、上面像がカメラ110内部のラインセンサ上で側面像の結像位置と異なった位置に、側面像と同じ結像距離で結像するためには、上面像の光路長と側面像の光路長を同一にする必要がある。そこで、Z型プリズム112を設け、ワークから上方に向かう光を右方向に曲げた後、上方、左方向、上方、右方向、上方というように順次方向を変換し、光学的に側面の光路長と同一の光路長となるようにして、上方へ出射する。この際、光路長算出において空気中とガラスの屈折率の差によるガラス内部の光路長の伸びを考慮する必要がある。これによって、側面像を得る光路と、光路長が同一に調整されてカメラ110に入射される。
【0048】
図11には、第4プリズム108の構成例が示されている。図11(A)は、図8に示した第4プリズム108の1つの実施例であり、三角プリズムを2個組み合わせた構造で、上面の光路は2つの三角プリズムの間を通りカメラ110に至る。また、図11(B)は、第4プリズムの別な実施例であり、台形プリズムを使用している。上面の光路は台形プリズムの底面に直角に入射し、プリズム内部のガラス層を通過後、上面より直角に出射し、カメラ110に至る。なお、図11(A)と図11(B)において、上面光路の光路長を計算する場合に、図11(B)においては、ガラス内部を通過するので空気層を通過する図11(A)の場合と比べ光路長が異なるので、Z型プリズム内の光路長を変更する必要がある。
【0049】
図12には、4つの側面像と、1つの上面像がカメラ110において、結像する様子が示されている。このように、5つの像が1つのカメラ110の異なる位置に結像し、5つの画像が同時に得られる。
【0050】
また、カメラ110によって得られた画像は、画像処理に供されるが、この際5つの像はそれぞれ分離されて処理される。図13には、5つの画像がカメラ110のラインセンサに結像されワークの移動とともに、順次撮影された状態が示されている。5つの画像のラインセンサ上の結像位置は光学的に予め決められている。5つの像の境界部分は隣接する画像の干渉などにより、画像処理に不適切なため、所定の大きさを除去する。これらにより、同一のラインセンサ上に結像された画像が隣接する画像の干渉を受けず、独立した画像として分離される。
【0051】
異物付着などの欠陥がワーク表裏面と側面の境界角付近に存在したり、繊維、毛髪類がワークの周面より飛び出した場合において、表面または裏面、側面などの1つの面を対象にした画像では、表裏面と側面の境界付近の欠陥が観察し難く十分な画像が得られない。本実施例では、ワークの上面から撮影した画像と側面全周を4方向から撮影し、かつ4つの側面画像は、上面と側面の境界付近が十分観察できる斜め上方より斜視して撮影している。
【0052】
そして、撮影した5つの画像より、上面像ではカメラ面に面した上部表面の欠陥検査が行われ、4つの側面像では上面と側面の境界、側面の欠陥検査が行われ、側面の欠陥および境界付近の欠陥および境界付近の周面より飛び出た繊維や毛髪などが確実に検出される。特に、コンベア12,26の凸条の上にワークが乗せられているため、ベルト面に近い側面も高精度に検査できる。
【0053】
さらに、ワークを反転した後も、ワークの反対面に対し同様の処理がなされ、1つのワークについて合計10個の画像から高精度の欠陥検査が行われる。
【0054】
図14,15には、第1および撮影装置40,50によるワークを撮影する際の側面像の撮影方向について記載してある。上述の例では、進行方向に対し、45度ずれた方向であって、90度おきの4方向から撮影しており、この方向が実線の矢印で示してある。この配置によれば、撮影装置40および撮影装置50において、同一の4方向からワークが撮影される。なお、撮影装置40で撮影した後、ワークは反転されて撮影装置50によって撮影されるが、側面については同一方向からの撮影になる。一方、図14、図15の例では、撮影装置40と撮影装置50とで、45度ずれた方向からの撮影が行われる。
【0055】
これについて、進行方向に対し、直行する方向であって、右方向を0度として角度を表せば、上述の例では、第1および撮影装置40,50の両方において、45度、135度、225度、315度の4方向から撮影するが、図14の例では、撮影装置40において、67.5度、157.5度、247.5度、337.5度の4方向、撮影装置50においては、22.5度、112.5度、202.5度、292.5度の4方向から撮影する。また、図15の例では、撮影装置40において、67.5度、112.5度、247.5度、292.5度の4方向、撮影装置50において、22.5度、157.5度、202.5度、337.5度の4方向から撮影する。
【0056】
また、撮影の正面と奥行き方向の面では、光路長が異なるため、結像位置が異なり、一般的にいずれか一方に焦点を合わせると他方の面の画像がボケる(不鮮明となる)。また、正面と奥行きの中間位置に焦点を合わせる方法もあるが、いずれの場合も画像のボケは生じる。
【0057】
このように、図14,図15の例では、撮影装置40と撮影装置50とで、ワークを撮影する方向が異なっている。錠剤のような円形のワークの側面を撮影する場合、撮影の正面となる位置では面の奥行き方向の変化が少なく解像度が高いが、側方に位置する部位では、奥行き方向の面に対する撮影になるため解像度が相対的に低くなる。本実施形態によれば、撮影の正面に当たる位置を撮影装置40と撮影装置50とで異ならせることで、ワークの側面全周についての解像度を高くすることができる。同様に、光路長差による正面像と奥行き方向の面の画像との不鮮明な位置も、撮影装置40と撮影装置50とで撮影する方向を変えることで、撮影装置40で不鮮明な位置が撮影装置50では鮮明となる。なお、撮影角度は、上述の例に限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
【0058】
ここで、本実施形態では、上述のように、コンベア12,26について、2つのベルトで構成するが、これらをタイミングベルトで構成している。従って、2つのベルトの間の走行スピードについてのずれがなく、これによってワークの姿勢が変化することが防止されている。そこで、上述のようにワーク側面の撮影位置を適切に変更することができる。
【0059】
さらに、本実施形態では、撮影装置40,撮影装置50において撮影されるワークは凸条によって支持されており、側面の下の方まで照明が可能である。そこで、1回の撮影において、ワークの下面と側面の境界の部分まで比較的解像度の高い撮影が行える。そこで、撮影装置40または撮影装置50の一方について、側面の撮影箇所を減らしたり、省略することも可能である。例えば、撮影装置50は、上面のみの撮影とすることによって、撮影装置50のプリズムなどの光学系を省略でき、簡単な構成にすることができる。なお、この場合、側面の撮影について、斜め上方からの撮影とはせずに、ワークの側方からの撮影とすることが好適である。
【0060】
「他の実施形態」
図16には、他の実施形態の全体構成が示されている。この実施形態では、ホッパーなどから整列供給部10に送られたワークは、ここで1列に整列され、規制ガイドなどを通過して、下方のコンベア26上に1つずつ間欠的に供給される。コンベア26は、水平方向に離間して配置された2つのプーリ22,24に巻回されており、図における左側でワークを受け取り、ワークを載せて右側へ輸送する。
【0061】
コンベア26の左側上方には、搬送中のワークの上面を撮影する撮影装置50が設けられている。また、コンベア26の上側移動部分の下側には、吸引ボックス28が設けられ、ワークをコンベア26の上面に吸い付けている。
【0062】
コンベア26の右側の上納には、コンベア12が配置されている。このコンベア12は、プーリ14,16および吸引ドラム18に掛け回された無端ベルトであり、プーリ14,16、吸引ドラム18の中の1つ以上を回転駆動することによって移動される。
【0063】
この例では、図における上部左にプーリ14、右に吸引ドラム18、中央下にプーリ16が配置されている。吸引ドラム18がプーリ14,16に比べ大径であり、コンベア12は、プーリ16の下部から吸引ドラム18へ至り、吸引ドラム18略半分に巻回されから右方向に伸びてプーリ14に至り、プーリ14の周囲を1/3程度まわり、プーリ16に至る。
【0064】
コンベア12の上方走行部分(プーリ14と吸引ドラム18との間の部分)の下方、および吸引ドラム18に近い下方走行部分の上方には、吸引ボックス20が配置されている。また、この吸引ドラム18もその内部が減圧されるとともに、コンベア12の裏面に近接する場所にスリットが設けられており、ワークがコンベア12に吸い付けられた状態で、コンベア12は吸引ドラム18の回転につれて走行する。
【0065】
コンベア12の下方走行部分には、上述したように吸引ボックス20の一部が近接配置されている。また、この部分は、コンベア26の上面に対応するとともに、近接配置されている。そして、コンベア26におけるワークの吸引力は、右方向に移動するにつれて徐々に弱くなり、吸引ボックス28がなくなる部分では吸引力はなくなる。
【0066】
一方、コンベア12の下側走行部分は、吸引ボックス20によりワークのコンベア12の吸引力が右方向に移動するにつれて徐々に大きくなっており、吸引ドラム18も十分亜吸引力を持っている。
【0067】
従って、コンベア12に下面が吸引されて移動していたワークは、コンベア26の吸引力によって上面が吸引され、コンベア26に受け渡されることになる。なお、上述した吸引力の変更は、上述の実施形態と同様に、吸引ボックス28、20の内部を複数の部屋に分割して部屋毎に吸引力を設定することで達成される。
【0068】
このようにして、コンベア12に受け渡されたワークは吸引ドラム18の外周を回ってプーリ14へ向けて上部を左方向に走行する。このコンベア12の上部走行部分の上方には、撮影装置40が設けられており、ワークの上面が撮影される。なお、このワークは、コンベア12からコンベア26に受け渡された段階で、吸い付けられる面が反対側になっているため,撮影装置40では撮影装置50で撮影されて面と反対側の面が撮影される。
【0069】
コンベア12の上部走行部分のプーリ14に近い部分には、選別装置29が設けられており、不良品・未判定のワークについては、コンベア12上から除去して不良品ボックス30または未判定ボックス31に導入される。例えば、選別装置29は、不良品および未判定品についてコンベア12の側方に排出すればよい。一方、良品はそのままコンベア12上を進み、良品回収シュート55によって良品として回収される。
【0070】
なお、撮影装置40,50の構成や、その判定および判定結果による選別機構29の制御コンベア26,12の具体的構成などは、上述の実施形態と同様である。
【0071】
このように、本実施形態によれば、下方に位置しているコンベア26から上方に位置しているコンベア12にワークを受け渡す。従って、受け渡しはワークに働く重力と反対方向の移動で行われる。従って、このワークの受け渡しは、コンベア12側の吸引力だけを利用して行われ、確実な受け渡しが行われる。重力の影響でワークの移動スピードが速くなりすぎ、受取側のコンベア上でバウンドするなどの問題を解消することができ、受け渡しについての機構が比較的簡単に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】コンベアの構成を示す図である。
【図3】コンベアを構成する1つのベルトの構成を示す図である。
【図4】ベルトの支持状態を示す図である。
【図5】吸引ドラムの構成を示す図である。
【図6】吸引ドラムの断面を示す図である。
【図7】吸引ドラムの他の例を示す図である。
【図8】側面像の光路を説明する図である。
【図9】側面像の光路を示す図である。
【図10】上面像の光路を示す図である。
【図11】第4プリズムの構成例を示す図である。
【図12】各像の結像状態を示す図である。
【図13】各像の処理を示す図である。
【図14】ワーク側面の撮影方向の一例を説明する図である。
【図15】ワーク側面の撮影方向の他の例を説明する図である。
【図16】他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
10 整列供給部、12,26 コンベア、14,16,22,24 プーリ、18 吸引ドラム、20,28 吸引ボックス、29 選別機構、30 不良ボックス、31 未判定ボックス、32 選別羽根、40,50 撮影装置、42、52 光学系、44,54 カメラ、60,62 ベルト、70a,70b 吸引ノズル、72a,72b 吸引パイプ、74 接続ポスト、76 シート材、102 第1プリズム、104 第2ミラー、106 第3ミラー、108 第4プリズム、110 カメラ、112 Z型プリズム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるワークの外観を検査する外観検査装置であって、
帯状の第1走行ベルトと、
第1走行ベルトに対し所定間隔をおき平行して走行する帯状の第2走行ベルトと、
を含み、
第1および第2走行ベルトの対向する側部には、上方に突出する壁状凸部がそれぞれ設けられ、これら2つの壁状凸部の上にワークを支持し、第1および第2走行ベルト間の間隙から空気を吸引することによって外観検査対象となるワークを前記第1および第2走行ベルトの壁状凸部に吸い付けながら搬送することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記第1および第2走行ベルトの側部に形成される壁状凸部は、対向する側部の上端部が面取りされて丸くなっていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の外観検査装置において、
前記ワークが錠剤であることを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つ記載の外観検査装置であって、
搬送中のワークを上方と、進行方向斜め前方の2方向および斜め後方の2方向の4側方との合計5方向からの画像を撮影する撮影手段を有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の外観検査装置おいて、
前記撮影手段は1つのカメラを含み、前記5方向のうちの少なくとも4側方からの画像は光学系を利用して屈曲させ、5方向の画像を前記1つのカメラにより得ることを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の外観検査装置において、
前記第1走行ベルトおよび第2走行ベルトを有する第1コンベアの他に、前記ワークの撮影される上面側を吸い付けて搬送する第2コンベアを設け、この第2コンベア上のワークを上方と、進行方向斜め前方の2方向斜め後方の2方向の4側方の合計5方向からの画像を撮影する別の撮影手段を設け、
2つの撮影手段における4側方同士が進行方向に対し互いにずれていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項7】
ベルト上を搬送されるワークの外観を検査する外観検査装置であって、
搬送されるワークの斜め右前、斜め右後、斜め左前、斜め左後、および上方からの側面像4つと、上面像1つを得るための5光路を有し、
4つの側面像の各光路は、
少なくとも1つの上下方向の光路を構成するプリズムを含み、
1つの上面像の光路は、ワークの上方において水平方向に光を往復させるZ型のプリズムを含み、
5つの光路長を合致させてカメラに入力させ、搬送されるワークについての5つの画像を得ることを特徴とする外観検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の外観検査装置において、
前記カメラは、前記ワーク上方に配置され、
側面像についての4つの光路は、光学素子によって上方のカメラに向けて方向変換してカメラに向かい、
上面像についての1つの光路は前記Z型のプリズムから上方のカメラに向けて進むことを特徴とする外観検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載の外観検査装置において、
側面像についての4つの光路のうち2つは、1つの光学素子の斜面の高さの異なる位置に入射し、ここで反射されることによって、カメラの異なる位置に入射され、
側面像についての4つの光路のうち他の2つは、他の1つの光学素子の斜面の高さの異なる位置に入射し、ここで反射されることによって、カメラの異なる位置に入射されることを特徴とする外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−286617(P2008−286617A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131209(P2007−131209)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(505192567)エーザイマシナリー株式会社 (18)
【出願人】(391009936)株式会社住田光学ガラス (59)
【Fターム(参考)】