説明

外部接続が可能な電子回路ユニット

【課題】回路基板と、これに結合される外部接続用のコネクタとを含む電子回路ユニットであって、簡素な構造で前記回路基板と前記外部接続用のコネクタとの結合部分への水分の侵入を防ぐ防水機能を有するものを提供すること。
【解決手段】電子回路ユニットであって、回路基板と、ケースと、複数の端子と、電線側防水部材とを備え、前記ケースは基板保持部と端子挿通部と端子保持部とを有し、前記基板保持部は開口から前記回路基板が基板挿入方向に挿入されるのを許容する形状の本体部と前記本体部の開口を塞ぎ、かつ、前記ケース内を密閉するように当該本体部に装着される蓋部とを有し、前記電線側防水部材は、前記ケース内を密閉するように前記複数の電線のそれぞれの外周面とそれに対応する前記端子挿通部の内周面との隙間を密閉すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載され、複数本の電線を介して外部回路に接続されることが可能な電子回路ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される電子回路ユニットとして、電子回路が組込まれた回路基板と、この回路基板上の接続用導体に外部接続用の電線を接続するための基板用コネクタとを備えたものが多く知られている。さらに、その基板用コネクタとして、当該回路基板の縁部に装着される、いわゆるカードエッジ型のコネクタが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1は、図11に示すように、複数の電線の端末にそれぞれ設けられる端子92と、これらの端子92を保持する端子側ハウジング94と、回路基板96の縁部に固定される基板側ハウジング98とを備えたコネクタ90を開示する。
【0004】
前記各端子92は、前記回路基板96の厚み方向に弾性変位可能な弾性接触片93を有する。この弾性接触片93は、前記回路基板96の表面と接触する際に当該表面から反力を受けて弾性変位し、その弾性復帰力によって当該表面上の接続用導体に圧接する。
【0005】
前記端子側ハウジング94は、前記各端子92の弾性接触片93が前記回路基板96をその表裏両側から挟み込み、かつ、回路基板96の幅方向に沿って複数個の端子92が並ぶような配列で、これらの端子92を保持する。前記基板側ハウジング98は、前記端子側ハウジング94を受入可能な形状を有し、前記各端子92の弾性接触片93が前記回路基板96の接続用導体に接触する位置で前記端子側ハウジング94を係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−112682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のような電子回路ユニットは、その使用場所や使用環境によっては防水機能を有することが求められる。具体的に、前記コネクタ90を用いる場合には、その端子92と回路基板96の接続用導体との接触部分への水分の浸入を防ぐことが求められる。このような水分の浸入を防ぐには、前記接触部分を含む回路基板96全体を専用ケース内に密閉することが考えられるが、前記回路基板96をこれにつながる前記コネクタ90も含めて前記ケース内に防水状態で密閉することは容易でない。さらに、コネクタ90そのものの構造も、複数の端子92を保持する端子側ハウジング94及びこの端子側ハウジング94を回路基板96側に係止する基板側ハウジング98を有する複雑な構造を有しており、当該コネクタ90に防水機能を持たせることも構造の複雑化及び大幅なコストアップを伴うことになる。
【0008】
本発明の目的は、前記課題を解決すべく、回路基板と、これに結合される外部接続用のコネクタとを含む電子回路ユニットであって、簡素な構造で前記回路基板と前記外部接続用のコネクタとの結合部分への水分の浸入を防ぐ防水機能を有するものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、電子回路ユニットであって、縁部を有してその表面に複数の接続用導体が設けられる回路基板と、この回路基板を収容するケースと、前記回路基板の各接続用導体に接続されるべき複数の電線の端末にそれぞれ設けられ、かつ、対応する接続用導体と接触可能な基板接触部をそれぞれ有する複数の端子と、前記ケース内を密閉するように前記各電線について設けられる電線側防水部材と、を備え、前記ケースは、特定の基板保持位置に前記回路基板を保持しながらこれを収容する基板保持部と、前記各端子をケースの外部から内部に向けて挿通可能な複数の端子挿通部と、各端子挿通部を通じて挿通された端子を受け入れ可能な形状を有するとともに、前記基板保持部に収容される回路基板の複数の接続用導体のうち対応する接続用導体に前記端子の基板接触部が接触する位置に当該端子をそれぞれ保持する複数の端子保持部とを有し、前記基板保持部は、前記端子収容部と反対の側に開口してこの開口から前記回路基板がその縁部を先頭にして当該回路基板の板厚方向と直交する方向であって前記端子収容部に向かう方向である基板挿入方向に挿入されるのを許容する形状の本体部と、前記本体部の開口を塞ぎ、かつ、前記ケース内を密閉するように当該本体部に装着される蓋部とを有し、前記電線側防水部材は、前記ケース内を密閉するように前記複数の電線のそれぞれの外周面とそれに対応する前記端子挿通部の内周面との隙間を密閉する、電子回路ユニットを提供する。
【0010】
この発明の電子回路ユニットでは、ケースが、回路基板を挿入する開口を有する本体部と端子を挿通する端子挿通部とを有するので、前記本体部の開口を密閉する前記蓋部と、前記複数の端子挿通部を密閉する前記電線側防水部材とを含む簡素な構造により、前記ケースの内部をその外部から防水すること、すなわち、前記回路基板と前記端子との接触部分への水分の浸入を防ぐことができる。
【0011】
また、前記蓋部の具体的な例として、前記蓋部は、前記本体部の開口を塞ぐように当該本体部に装着される蓋部本体と、この蓋部本体と前記本体部との間に介在して前記本体部の開口を密閉するシール部を有する蓋部側防水部材とを有するものが挙げられる。
【0012】
この例では、蓋部側防水部材は、蓋部本体と本体部との間に介在するのでケースの外部からの影響を受けにくくなり、そのシール部のシール性を良好に保つことができる。
【0013】
さらに、前記蓋部側防水部材の具体的な例として、前記蓋部側防水部材は、弾性変形可能な材料からなり、前記本体部の開口に圧入されて弾性変形しながら前記本体部の開口を規定する内周面と全周にわたって密着する外周面を有しており、当該外周面が前記シール部を構成するものが挙げられる。
【0014】
この例では、蓋部側防水部材を前記本体部の開口に圧入し、前記蓋部本体を前記本体部に装着するだけで、前記本体部の開口を密閉することができる。
【0015】
さらに、前記回路基板の保持に関する好適な例として、前記蓋部側防水部材は、前記基板挿入方向に貫通する貫通孔を有しており、前記蓋部本体は、前記本体部の開口を覆う形状を有する前面部と、少なくともその一部が前記貫通孔内に位置するように前記前面部から前記基板挿入方向に突出するとともに前記回路基板が前記蓋部側防水部材と接触しない状態で当該回路基板の前記縁部が設けられた側と反対側に設けられた端部を受ける基板受け部とを有し、前記蓋部側防水部材の外周面が前記本体部の開口を規定する内周面と全周にわたって密着した状態で前記ケース内を密閉するように前記蓋部側防水部材と相互に密着しており、前記端子保持部は、前記基板受け部との間で前記回路基板を前記基板挿入方向の両側から挟み込むことにより当該回路基板を前記基板保持位置に保持する基板拘束部を有するものが挙げられる。
【0016】
この例では、前記回路基板が前記ケース内で安定的に保持されるとともに、前記本体部の開口のシールの状態が良好に維持される。具体的には、前記回路基板は、前記蓋部側防水部材に接触しない状態で前記蓋部本体の基板受け部と前記基板拘束部との間で前記基板挿入方向の両側から挟み込まれて前記基板保持位置に保持される。したがって、前記回路基板の前記基板挿入方向の両側への振動が抑制される結果、前記回路基板における前記接触導体と前記端子における前記基板接触部との接触部分に発生する振動が抑制されるので、例えば、前記接触部分の接触状態が不十分になるといった不具合の発生が抑制され、さらに、前記回路基板の振動等が前記蓋部側防水部材に伝わって当該蓋部側防水部材と前記本体部との間のシールを不十分にするといった不具合の発生も防止される。
【0017】
また、前記蓋部の別の具体的な例として、前記蓋部は、前記本体部の開口を塞ぐ形状を有するとともに当該開口を密閉するシール部を有する開口密閉部材を有しており、当該開口密閉部材は、弾性変形可能な材料からなり、前記本体部の開口に圧入されて弾性変形しながら前記本体部の開口を規定する内周面と全周にわたって密着する外周面を有しており、当該外周面が前記シール部を構成するものが挙げられる。
【0018】
この例では、開口密閉部材を前記本体部の開口に圧入するだけで、前記本体部の開口を密閉することができる。
【0019】
さらに、前記蓋部の具体的な例として、前記蓋部は、前記開口密閉部材を覆うようにして前記本体部に装着されるカバー部材をさらに有するものが挙げられる。
【0020】
この例では、前記本体部の開口のシールの状態を良好に保つことが容易である。具体的には、前記本体部の開口を密閉するように当該本体部に圧入された開口密閉部材を覆うように前記カバー部材が前記本体部に装着されればよい。このようにすれば、前記開口密閉部材は、前記カバー部材によりが覆われてケースの外部からの影響を受けにくくなり、そのシール部のシール性を良好に保つことができる。
【0021】
また、前記電線側防水部材の具体的な例として、前記電線側防水部材は、弾性変形可能な材料からなり、前記複数の電線にそれぞれ装着され、弾性変形しながら前記端子挿通部の内周面と全周にわたって密着することが可能な形状を有するものが挙げられる。
【0022】
この例では、端子挿通部の密閉が容易である。具体的には、予め各電線に電線側防水部材が装着されて、その電線の端末に設けられた端子が前記端子挿通部に挿通されればよい。このようにすれば、簡便に端子挿通部を密閉することができる。
【0023】
また、前記回路基板の前記基板保持部内への挿入及びその保持に関する好適な例として、前記ケースの本体部は、前記基板挿入方向及び前記回路基板の板厚方向のそれぞれに直交する方向の両側から当該回路基板を保持する側壁と、この側壁の内面に設けられており前記回路基板を前記板厚方向の両側から挟み込むとともに前記基板挿入方向に沿って延びる形状を有するガイドレール部とを有するものが挙げられる。
【0024】
この例では、正確に、かつ、安定的に前記回路基板が前記本体部の開口から前記基板挿入方向に向かって挿入され、また、その挿入後は、当該回路基板は前記ガイドレール部によって安定的に保持される。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、回路基板と、これに結合される外部接続用のコネクタとを含む電子回路ユニットであって、簡素な構造で前記回路基板と前記外部接続用のコネクタとの結合部分への水分の侵入を防ぐ防水機能を有するものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電子回路ユニットの回路基板、ケース、端子及び電線側防水部材が組立てられた状態を示す断面斜視図である。
【図2】前記電子回路ユニットの分解斜視図である。
【図3】前記電子回路ユニットにおける前記端子、電線及び電線側防水部材の詳細を示す拡大図である。
【図4】前記電子回路ユニットにおけるケースの端子保持部の各端子収容室に各端子を挿入する前の状態を示す断面斜視図である。
【図5】前記ケースの基板保持部内に前記回路基板を挿入する前の状態を示す断面斜視図である。
【図6】前記回路基板が挿入された前記基板保持部の本体部の開口を開口密閉部材により密閉する前の状態を示す断面斜視図である。
【図7】開口密閉部材により前記開口が密閉された本体部にカバー部材を装着する前の状態を示す断面斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる電子回路ユニットの回路基板、ケース、端子及び電線側防水部材が組立てられた状態を示す断面斜視図である。
【図9】前記電子回路ユニットにおけるケースの端子保持部の各端子収容室に各端子が挿入された状態の一部を断面とした分解斜視図である。
【図10】前記基板保持部における前記回路基板の保持状態を説明する図である。
【図11】従来のカードエッジ型コネクタの例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1〜図6を参照しながら説明する。
【0028】
この実施の形態にかかる電子回路ユニットは、回路基板10と、これを収容するケースCSと、回路基板10に複数の電線Wをそれぞれ接続するための複数の端子30と、電線側防水部材50とを備える。
【0029】
前記回路基板10は、例えばプリント回路基板からなり、その表裏両面に回路構成用の導体パターンが配設されるとともに、回路を構成する電子部品が実装される。この実施の形態にかかる回路基板10は、その一方側(図1及び図2では右側)に縁部12を、その他方側(図1及び図2では左側)に端部14を有した矩形状をなす。縁部12の表側面上及び裏側面上にそれぞれ複数の薄板状の接続用導体(不図示)が設けられる。これらの接続用導体は前記縁部12に沿って配列されている。
【0030】
前記ケースCSは、基板保持部20と、複数の端子挿通部45と、複数の端子保持部46とを有する。
【0031】
前記基板保持部20は、略直方体で特定方向(図1及び図2では左方向)に開いた開口21を有する本体部26と、当該本体部26に装着される蓋部60とを有する。
【0032】
前記本体部26は、プラスチック等の絶縁材料により成形されたもので、その中に前記回路基板10がその板厚方向と直交する基板挿入方向(この実施の形態では図1及び図2の右方向)に挿入されるのを許容する形状をもつ。具体的に、前記本体部26は、天壁22、底壁23、左右一対の側壁24、並びに天壁22及び底壁23に形成された係止部25を有する。前記天壁22及び前記底壁23は互いに平行な姿勢で上下に配置される。両側壁24は天壁22と底壁23との間に配設され、これら天壁22及び底壁23とともに四角筒体を形成する。前記係止部25は、天壁22及び底壁23における前記開口21近傍のそれぞれに形成されており、後述するカバー部材80aの被係止部85と係合する。この係止部25は、カバー部材80aが装着される方向に沿って次第にその厚みを増す形状のテーパ面を有する。なお、本実施の形態では、この係止部25は、各側壁24同士を結ぶ方向に離間して一対形成されている。
【0033】
前記蓋部60は、前記本体部26の開口21を塞ぎ、かつ、前記ケースCS内を密閉するように当該本体部26に装着されるものである。この実施の形態では、蓋部60は、前記本体部26の開口21への圧入される開口密閉部材70aと、この開口密閉部材70aを覆うように本体部26に着脱可能に装着されるカバー部材80aとを有する。
【0034】
開口密閉部材70aは、ゴム等の弾性変形可能で、かつ、絶縁性を有する材料からなり、前記本体部26の開口21を塞ぐ形状を有する。より詳細には、この開口密閉部材70aは、前記開口21へ圧入されて弾性変形しながら本体部26における開口21を規定する内周面と全周にわたって密着する外周面71を有した形状を有する。すわなち、前記本体部26の開口21に圧入された状態の開口密閉部材70aにおける外周面71が「シール部」を構成する。この開口密閉部材70aは、前記基板拘束部44aとの間で回路基板10を前記基板挿入方向の両側から挟み込む。
【0035】
カバー部材80aは、プラスチック等の絶縁材料により成形されたもので、具体的に、本体部26の開口21を塞ぐ前面部81と、本体部26の天壁22及び底壁23をそれぞれ覆う天面部82及び底面部83と、本体部26の各側壁24を覆う側面部84(図2に一方の側面部84のみ図示)とを有する。そして、前記天面部82及び底面部83には、それぞれ前記係止部25と係合することにより当該カバー部材80aを本体部26に対して装着状態とする被係止部85が形成されている。
【0036】
前記各端子30は対応する電線Wの端末に装着される。各電線Wは、図略の導体と、これを覆う絶縁被覆からなる。当該電線Wの端末では前記絶縁被覆が部分的に除去されて前記導体が露出する。
【0037】
前記各端子30は、導体である金属板により形成され、対応する電線Wの端末に装着される。図3に示すように、具体的に、各端子30は、基板接触部31と電線接続部32とを前後に有する。電線接続部32は、左右の導体バレル33と左右のインシュレーションバレル34とを前後に有する。両導体バレル33は、電線Wの端末の露出した導体を抱き込むようにして当該導体に圧着され、これにより当該導体と導通する。両インシュレーションバレル34は、前記導体の露出部分よりも後ろ側に位置しており、電線Wの端末に取り付けられた後述する電線側防水部材50における被挟持部52を抱き込むようにして当該電線側防水部材50を介して電線Wに圧着される。
【0038】
前記基板接触部31は、端子軸方向に延びる箱状の本体35と、この本体35から端子軸方向と直交する方向に膨出する形状の弾性接触片36とを有する。前記本体35は、前記電線接続部32と一体に形成されたものであって、当該電線接続部32を構成する金属板の一部が角筒状に形成されたものである。この本体35を構成する4枚の壁のうちの一つに、これを貫通する窓35aが形成されている。前記弾性接触片36は、前記本体35の内側から前記窓35aを通じて当該本体35の外部に弓なりに膨出する。しかし、この弾性接触片36が前記回路基板10の縁部12の接続用導体と接触する際には当該縁部12からの反力を受けて当該弾性接触片36が窓35a内に没入するように撓み変位し、その弾発力で前記接続用導体に圧接する。この弾性接触片36は、本体35を構成する金属板の一部が折り曲げられて窓35aから外部に露出するように配置されることにより形成されており、その折り曲げられた折曲部37を支点として窓35aから露出する姿勢と窓35a内に没入する姿勢との間で揺動する。
【0039】
本体35の内側には、前記弾性接触片36の内面から当該弾性接触片36を窓35aから膨出する方向に付勢する付勢部材38が設けられている。この付勢部材38は、前記弾性接触片36が前記接続用導体と接触した際の当該弾性接触片36の前記接続用導体への圧接を補助するように当該弾性接触片36を付勢する。
【0040】
前記複数の端子挿通部45は、前記基板保持部20に対してその開口21と反対の側に位置し、当該基板保持部20の本体部26と一体に成形される。各端子挿通部45は、これに対応する端子30の基板接触部31が後方から挿通可能な端子挿通孔49を囲む内周面を有する。この実施の形態に係る各端子挿通部45はそれぞれ円筒状をなし、前記端子挿通孔49を囲む円筒状の内周面を有する。これらの端子挿通部45は、当該端子挿通部45が囲む端子挿通孔49に後方から挿通された端子30の基板接触部31がそのまま前記端子保持部46内に収容されるような位置にそれぞれ形成されている。
【0041】
前記複数の端子保持部46は、各端子挿通部45を通じて挿通された各端子30を受け入れ可能な形状を有し、その受け入れ状態で前記各基板接触部31と前記回路基板10の各接続用導体とが相互接触可能となるように前記各端子30を保持するものである。これらの端子保持部46は、前記各端子30の弾性接触片36がそれぞれ前記回路基板10の縁部12の両面の接続用導体に同時に接触するような配列で当該端子30をまとめて保持する。この端子保持部46は、前記端子挿通部45からこれと一体に前方に延びている。
【0042】
具体的に、この実施の形態に係る端子保持部46は、前側内壁43と、この前側内壁43から後方に間隔をおいて位置する後側内壁44と、これらの両内壁43,44を囲む周壁42とを有し、当該両内壁43,44と当該周壁42との間にそれぞれ前記各端子30の主として基板接触部31を収容して保持する複数の端子収容室41が形成されている。各端子収容室41は、前記前側内壁43における上側の部分と前記後側内壁44との間及び前記前側内壁43における下側の部分と前記後側内壁44との間に左右方向に並ぶように形成される。前記前側内壁43は、その前側から前記回路基板10の縁部12が挿入可能な基板挿入空間を囲み、前記後側内壁44は当該基板挿入空間の後方に位置する。そして、前記各端子30の弾性接触片36が前記基板挿入空間に臨むように、当該各端子30が端子保持部46に保持される。
【0043】
すなわち、前記前側内壁43における上側の部分と前記後側内壁44との間の端子収容室41に収容される端子30(上側列の端子30)は、その弾性接触片36が下を向くように端子保持部46に保持され、前記前側内壁43における下側の部分と前記後側内壁44との間の端子収容室41に収容される端子30(下側列の端子30)は、その弾性接触片36が上を向くように端子保持部46に保持される。そして、後側内壁44は、上側の端子30の群と下側の端子30の群との間に介在する。
【0044】
前記端子保持部46における各端子30の保持位置は、前記基板挿入空間内に前記回路基板10の縁部12が完全に挿入されてその縁部12の端面が前記後側内壁44の前端44aに突き当たる位置で前記各端子30の弾性接触片36が前記回路基板10の各接続用導体に同時に接触するように、設定される。つまり、前記後側内壁44の前端44aは、回路基板10を基板挿入方向に沿って拘束する「基板拘束部」を構成し、前記本体部26に装着される後述する蓋部60との間で前記回路基板10をその基板挿入方向の両側から挟み込む。この挟み込んだ位置が、正規の「基板保持位置」に相当する。換言すれば、前記回路基板10の前記基板挿入方向に沿った寸法は、前記後側内壁44の前端44aと、前記本体部26に装着される前記蓋部60の内側面との距離とほぼ同等に設定されている。
【0045】
前記端子保持部46は、前記各端子30を保持するための複数のランス(端子係止部)47を有する。各ランス47は、前記各端子収容室41に対してケースCSの外部(図1では右側)から端子30が挿入される際に当該端子30から退避する向きに撓み変位し、当該端子30の挿入完了時点で弾性復帰することにより、当該端子30の適所を係止する。
【0046】
前記電線側防水部材50は、前記ケースCS内を密閉するように各電線Wについて設けられるものである。この実施の形態にかかる電線側防水部材50は、前記複数の端子挿通部45のそれぞれを密閉するように各電線Wについて設けられる。すなわち、各電線側防水部材50により各端子挿通部45がそれぞれ密閉され、蓋部60により前記本体部26の開口21が密閉されることにより、ケースCS内への水分の浸入が防止される。
【0047】
この実施の形態では、各電線側防水部材50は、ゴム等の弾性変形可能で、かつ、絶縁性を有する材料からなり、各電線Wの端末に装着される。これら電線側防水部材50は、前記端子挿通部45へ圧入されて弾性変形しながら当該端子挿通部45の内周面と全周にわたって密着することが可能な形状を有する。
【0048】
具体的に、この電線側防水部材50は、電線Wの端末を受け入れる側の端部51と、この端部51が設けられた側とは反対側に設けられており前記インシュレーションバレル34に挟持される被挟持部52と、その外周面が前記端子挿通部45の内周面と全周にわたって密着することにより当該端子挿通部45をシール可能な形状を有する第1防水部53及び第2防水部54とを有する。第1防水部53及び第2防水部54は端部51と被挟持部52との間で前後に並ぶように設けられており、端子挿通部45への圧入により当該端子挿通部45が密閉されるようにその外径がそれぞれ設定される。この電線側防水部材50は筒状であり、端部51側の開口からは電線Wにおける絶縁被覆された部分が露出し、被挟持部52側の開口からは電線Wにおける絶縁被覆が除去された導体が露出する。
【0049】
次に、この電子回路ユニットの組立要領を説明する。
【0050】
1)端子挿通部45及び端子保持部46への端子30の挿入(図4)
端子挿通部45の各端子挿通孔49内に各端子30の基板接触部31が後方から挿通される。この基板接触部31は、端子保持部46の各端子収容室41内に至り、ランス47により係止される。このようにして各端子30が上下2段にわたって配列され、かつ、各端子30の弾性接触片36が内側を向く姿勢で各端子30が共通の端子保持部46内に保持される。このとき、各端子30の後方で電線Wに装着されている電線側防水部材50が前記端子挿通孔49を囲む端子挿通部45の内周面に全周にわたって密着することにより、当該電線Wと端子挿通部45との間でのシールが行われる。すなわち、電線W側での防水が行われる。
【0051】
2)基板保持部20内への回路基板10の挿入(図5)
1)と並行してもしくは前後して、ケースCSにおける基板保持部20の本体部26内にその開口21から回路基板10が挿入される。この挿入は、前記本体部26から蓋部60が取外された状態で行われる。回路基板10は、その挿入前側の縁部12が端子保持部46側の後側内壁44の前端44aに突き当たる位置、すなわち基板保持位置まで到達するまで挿入される。これにより、当該縁部12の両面に設けられた各接続用導体が前記各端子30の弾性接触片36に同時に接触する状態が形成される。
【0052】
3)開口密閉部材70aの圧入(図6)
前記本体部26にその開口21を密閉するように開口密閉部材70aが圧入される。この圧入の際、当該開口密閉部材70aが回路基板10の前記縁部12と反対側の端部14に突き当たり、もしくはきわめて近接する。その結果、回路基板10の位置が基板保持位置に確定する。すなわち、当該回路基板10が、その基板挿入方向について前記開口密閉部材70aと前記端子保持部46の後側内壁44の前端44aとの間に挟まれる結果、当該回路基板10の位置が前記基板保持位置に確定する。よって、当該基板保持位置にある回路基板10の各接続用導体と前記端子保持部46に保持される各端子30の弾性接触片36との接触が保証される。このとき、開口密閉部材70aが前記本体部26の開口21を規定する内周面に全周にわたって密着することにより、当該開口密閉部材70aと本体部26との間でのシールが行われる。すなわち、蓋部60側での防水が行われる。
【0053】
4)カバー部材80aの装着(図7)
前記開口密閉部材70aを覆うように本体部26にカバー部材80aが装着される。この装着の際、カバー部材80aの前面部81の内面は、本体部26における開口21が設けられた側の端面に当接、もしくはきわめて接近する。これと同時に、本体部26の係止部25とカバー部材80aの被係止部85とが係合する。なお、この係合は、カバー部材80aの天面部82及び底面部83が、その内面が係止部25のテーパ面と摺接されながらこのテーパ面の厚み方向に撓み変位し、当該係止部25を乗り越えた位置でその変位が解消されるように弾性復帰することにより達成される。また、このカバー部材80aは省略することも可能である。
【0054】
また、前記の組立手順において、最後に各端子挿通部45及び端子保持部46への端子30の挿入が行われてもよい。すなわち、基板保持部20内への回路基板10の挿入、開口密閉部材70aの圧入及びカバー部材80aの装着が終了した後、各端子挿通部45及び端子保持部46への端子30の挿入が行われてもよい。
【0055】
以上のように、本実施の形態では、ケースCSの基板保持部20における本体部26の開口21を密閉する蓋部60と、複数の端子挿通部45を密閉する複数の電線側防水部材50とを含む簡素な構造により、前記ケースCSの内部をその外部から防水すること、すなわち、回路基板10と端子30との接触部分への水分の浸入を防ぐことができる。
【0056】
また、この実施の形態では、前記開口密閉部材70aを前記本体部26の開口21に圧入するだけで、前記本体部26の開口21を密閉することができる。さらに、この開口密閉部材70aは、前記カバー部材80aによりが覆われておりケースCSの外部からの影響を受けにくいので、そのシール部のシール性を良好に保つことができる。
【0057】
そして、回路基板10は、開口密閉部材70aと前記基板拘束部44aとの間で前記基板挿入方向の両側から挟み込まれて前記基板保持位置に保持されるので、回路基板10の前記基板挿入方向の両側への振動が抑制される結果、回路基板10における前記接触導体と前記端子30における前記基板接触部31との接触部分に発生する振動が抑制される。よって、例えば、前記接触部分の接触状態が不十分になるといった不具合の発生が抑制される。さらには、前記開口密閉部材70aが弾性を有することから、回路基板10の前記基板挿入方向の両側への振動を前記開口密閉部材70aが吸収することにより、当該回路基板10を前記基板保持位置に安定的に保持することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を主に図8及び図9を参照しながら説明する。なお、第2の実施の形態では、前記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1の実施の形態と同じ構成、作用及び効果については説明を省略する。この第2の実施の形態にかかる電子回路ユニットにおける第1の実施の形態にかかる電子回路ユニットとの異なる点は、蓋部60の構造の一部である。
【0059】
本実施の形態にかかる蓋部60は、前記基板保持部20の本体部26に装着される蓋部本体80bと、この蓋部本体80bと本体部26との間に介在して前記蓋部本体80bとともに前記本体部26の開口21を密閉する蓋部側防水部材70bとを有する。
【0060】
本実施の形態にかかる蓋部側防水部材70bは、その略中央部分に前記基板挿入方向に貫通する貫通孔72を有する。より詳細には、蓋部側防水部材70bは、前記基板挿入方向及び回路基板10の板厚方向のそれぞれに直交する方向、すなわち、回路基板10の幅方向に長い形状の貫通孔72を有する。なお、蓋部側防水部材70bの外周面71が「シール部」を構成することは、前記第1の実施の形態と同様である。
【0061】
蓋部本体80bは、前記前面部81の略中央部分から前記基板挿入方向に突出しており前記基板拘束部44aとの間で回路基板10を前記基板挿入方向の両側から挟み込む基板受け部86を有する。基板受け部86は、前記回路基板10の幅方向に長い形状を有し、前記回路基板10が蓋部側防水部材70bに接触しない状態で当該回路基板10の端部14を受ける端部受け部87を有する。具体的に、端部受け部87は、前記端部14を板厚方向の両側から挟み込むとともに当該端部14の端面と当接する形状を有する。また、蓋部本体80bは、蓋部側防水部材70bと相互に密着される。具体的に、基板受け部86は、その外周面88が蓋部側防水部材70bにおける前記貫通孔72を規定する内周面と全周にわたって密着されており、このことによりケースCS内が密閉される。そして、基板受け部86の少なくとも一部は貫通孔72内に位置する。
【0062】
続いて、この実施の形態における電子回路ユニットの組立要領を説明する。なお、端子挿通部45及び端子保持部46への端子30の挿入、並びに基板保持部20内への回路基板10の挿入については、前記第1の実施の形態の電子回路ユニットの組立要領の説明における1)及び2)と同一であるので、その説明を省略する。
【0063】
3)蓋部側防水部材70bの圧入
前記本体部26にその開口21を規定する内周面と当該蓋部側防水部材70bの外周面71とが密着するように蓋部側防水部材70bが圧入される。この状態において、蓋部側防水部材70bの貫通孔72からは回路基板の端部14の端面が臨んでいる。
【0064】
4)蓋部本体80bの装着
基板受け部86の外周面88が蓋部側防水部材70bにおける貫通孔72を画定する内周面と密着されるように当該基板受け部86が貫通孔72内に圧入されて蓋部本体80bが前記本体部26に装着される。これにより、ケースCS内が密閉される。また、この装着の際、蓋部本体80bの前面部81の内面は、本体部26における開口21が設けられた側の端面に当接、もしくはきわめて接近し、蓋部本体80bの被係止部85は、本体部26の係止部25と係合し、そして、基板受け部86は、その少なくとも一部が前記貫通孔72内に位置しながら端部受け部87が回路基板10の端部14を受ける。その結果、回路基板10の位置が基板保持位置に確定する。すなわち、当該回路基板10が、その基板挿入方向について前記基板受け部86と前記端子保持部46の後側内壁44の前端44aとの間に挟まれる結果、当該回路基板10の位置が前記基板保持位置に確定する。よって、当該基板保持位置にある回路基板10の各接続用導体と前記端子保持部46に保持される各端子30の弾性接触片36との接触が保証される。
【0065】
また、前記の組立手順において、蓋部側防水部材70bが予め蓋部本体80bに取り付けられた状態で、すなわち、基板受け部86の外周面88が蓋部側防水部材70bにおける貫通孔72を画定する内周面と密着されるように当該基板受け部86が貫通孔72内に圧入された状態で、これら蓋部側防水部材70b及び蓋部本体80bが同時に本体部26に装着されてもよい。
【0066】
以上のように、本実施の形態では、回路基板10は、蓋部側防水部材70bに接触しない状態で基板受け部86と前記基板拘束部44aとの間で前記基板挿入方向の両側から挟み込まれて前記基板保持位置に保持される。したがって、回路基板10の振動等が前記蓋部側防水部材70bに伝わって当該蓋部側防水部材70bと前記本体部26との間のシールを不十分にするといった不具合の発生が防止される。
【0067】
ところで、これまで説明した上記第1及び第2の実施の形態において、前記各側壁24の内側面には、図10に示すように、それぞれガイドレール部27が形成されてもよい。各ガイドレール部27は、前記回路基板10における左右縁部をその板厚方向の両側から挟み込むとともに前記基板挿入方向に延びる形状を有する。また、このガイドレール部27は、前記後側内壁44と同じ高さ位置に形成される。このガイドレール部27が形成されることにより、回路基板10は、当該ガイドレール部27の案内を受けながら正確に、かつ、安定的に基板挿入方向に沿って挿入される。また、その挿入後は、回路基板10は、その左右縁部が当該回路基板10の板厚方向の両側から挟持されるので、その保持状態が安定する。
【0068】
なお、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
例えば、上記第1及び第2の実施の形態では、電線側防水部材50として、ゴム等の弾性変形可能な材料からなるものを用いた例を示したが、この弾性変形可能な材料からなるものの代わりに、グリース等の粘性の高い材料からなるもの、あるいは、熱硬化性樹脂等を用いることができる。具体的には、電線Wの外周面と端子挿通部45の内周面との隙間に、前記グリース等の粘性の高い材料からなるもの、あるいは、熱硬化性樹脂等を封入することにより、前記隙間を密閉する構成とすることができる。
【0070】
同様に、第2の実施の形態において、蓋部本体80bと基板保持部20の本体部26との間に介在する蓋部側防水部材70bについても、弾性変形可能な材料からなるものの代わりに、前記粘性の高い材料からなるもの、あるいは、熱硬化樹脂等を用いることができる。具体的に、蓋部本体80bの前面部81の内面のうち基板受け部86の外周面88を取り囲む部分、及び前記本体部26の開口21を規定する部分の外周面の全周のいずれか一方または両方に、前記粘性の高い材料からなるもの、あるいは、熱硬化樹脂等を設けた後、蓋部本体80bを本体部26に装着することにより、前記粘性の高い材料からなるもの、あるいは、熱硬化樹脂等の一部が前記シール部を構成するようにしてもよい。この場合においては、前記基板受け部86が本体部26の開口21を規定する内周面との間に僅かな隙間を有する形状とされ、その隙間が前記粘性の高い材料からなるもの、あるいは、熱硬化樹脂等により封止されることがより好ましい。
【0071】
また、上記第1の実施の形態において、開口密閉部材70aとカバー部材80aとが別体である例について示したが、これら開口密閉部材70aとカバー部材80aとは、開口密閉部材70aの前面側とカバー部材80aの前面部81における内面とが互いに密着するように接着されて一体とされていてもよく、あるいは、インサート成形により一体とされてもよい。このことは、第2の実施の形態の蓋部側防水部材70b及び蓋部本体80bについても同様である。なお、第2の実施の形態において、蓋部側防水部材70bの前面側と蓋部本体80bの前面部81における内面とが互いに密着しているのであれば、蓋部側防水部材70bにおける貫通孔72を規定する内周面と基板受け部86の外周面88とは互いに密着している必要はない。
【0072】
また、上記第1及び第2の実施の形態において、電線側防水部材50は、第1防水部53及び第2防水部54の外周面と端子挿通部45の内周面との間に、封止部材を介して端子挿通部45に装着されてもよい。同様に、第1の実施の形態における開口密閉部材70aまたは第2の実施の形態における蓋部側防水部材70bは、その外周面71と本体部26における開口21を規定する内周面との間に、封止部材を介して本体部26に取り付けられてもよい。
【0073】
また、上記第1の実施の形態のカバー部材80a及び第2の実施の形態の蓋部本体80bは、その本体部26への装着が、係止部25と被係止部85との係合により達成される例について示したが、カバー部材80aまたは蓋部本体80bが本体部26に対して着脱可能とされる必要がないのであれば、カバー部材80aまたは蓋部本体80bを前面部81のみを有する形状とし、その内面が本体部26における開口21が設けられている側の端面に接着されることにより、カバー部材80aまたは蓋部本体80bが本体部26に装着される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
CS ケース
W 電線
10 回路基板
12 縁部
14 端部
20 基板保持部
21 開口
24 側壁
26 本体部
27 ガイドレール部
30 端子
31 基板接触部
32 電線接続部
41 端子収容室
44 後側内壁
44a 後側内壁の前端(基板拘束部)
45 端子挿通部
46 端子保持部
50 電線側防水部材
60 蓋部
70a 開口密閉部材
70b 蓋部側防水部材
71 外周面(シール部)
72 貫通孔
80a カバー部材
80b 蓋部本体
81 前面部
86 基板受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路ユニットであって、
縁部を有してその表面に複数の接続用導体が設けられる回路基板と、
この回路基板を収容するケースと、
前記回路基板の各接続用導体に接続されるべき複数の電線の端末にそれぞれ設けられ、かつ、対応する接続用導体と接触可能な基板接触部をそれぞれ有する複数の端子と、
前記ケース内を密閉するように前記各電線について設けられる電線側防水部材と、を備え、
前記ケースは、特定の基板保持位置に前記回路基板を保持しながらこれを収容する基板保持部と、前記各端子をケースの外部から内部に向けて挿通可能な複数の端子挿通部と、各端子挿通部を通じて挿通された端子を受け入れ可能な形状を有するとともに、前記基板保持部に収容される回路基板の複数の接続用導体のうち対応する接続用導体に前記端子の基板接触部が接触する位置に当該端子をそれぞれ保持する複数の端子保持部とを有し、
前記基板保持部は、前記端子収容部と反対の側に開口してこの開口から前記回路基板がその縁部を先頭にして当該回路基板の板厚方向と直交する方向であって前記端子収容部に向かう方向である基板挿入方向に挿入されるのを許容する形状の本体部と、前記本体部の開口を塞ぎ、かつ、前記ケース内を密閉するように当該本体部に装着される蓋部とを有し、
前記電線側防水部材は、前記ケース内を密閉するように前記複数の電線のそれぞれの外周面とそれに対応する前記端子挿通部の内周面との隙間を密閉する、電子回路ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電子回路ユニットにおいて、
前記蓋部は、前記本体部の開口を塞ぐように当該本体部に装着される蓋部本体と、この蓋部本体と前記本体部との間に介在して前記本体部の開口を密閉するシール部を有する蓋部側防水部材とを有する、電子回路ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の電子回路ユニットにおいて、
前記蓋部側防水部材は、弾性変形可能な材料からなり、前記本体部の開口に圧入されて弾性変形しながら前記本体部の開口を規定する内周面と全周にわたって密着する外周面を有しており、当該外周面が前記シール部を構成する、電子回路ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の電子回路ユニットにおいて、
前記蓋部側防水部材は、前記基板挿入方向に貫通する貫通孔を有しており、
前記蓋部本体は、前記本体部の開口を覆う形状を有する前面部と、少なくともその一部が前記貫通孔内に位置するように前記前面部から前記基板挿入方向に突出するとともに前記回路基板が前記蓋部側防水部材と接触しない状態で当該回路基板の前記縁部が設けられた側と反対側に設けられた端部を受ける基板受け部とを有し、前記蓋部側防水部材の外周面が前記本体部の開口を規定する内周面と全周にわたって密着した状態で前記ケース内を密閉するように前記蓋部側防水部材と相互に密着しており、
前記端子保持部は、前記基板受け部との間で前記回路基板を前記基板挿入方向の両側から挟み込むことにより当該回路基板を前記基板保持位置に保持する基板拘束部を有する、電子回路ユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の電子回路ユニットにおいて、
前記蓋部は、前記本体部の開口を塞ぐ形状を有するとともに当該開口を密閉するシール部を有する開口密閉部材を有しており、当該開口密閉部材は、弾性変形可能な材料からなり、前記本体部の開口に圧入されて弾性変形しながら前記本体部の開口を規定する内周面と全周にわたって密着する外周面を有しており、当該外周面が前記シール部を構成する、電子回路ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の電子回路ユニットにおいて、
前記蓋部は、前記開口密閉部材を覆うようにして前記本体部に装着されるカバー部材をさらに有する、電子回路ユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の電子回路ユニットにおいて、
前記電線側防水部材は、弾性変形可能な材料からなり、前記複数の電線にそれぞれ装着され、弾性変形しながら前記端子挿通部の内周面と全周にわたって密着することが可能な形状を有する、電子回路ユニット。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の電子回路ユニットにおいて、
前記ケースの本体部は、前記基板挿入方向及び前記回路基板の板厚方向のそれぞれに直交する方向の両側から当該回路基板を保持する側壁と、この側壁の内面に設けられており前記回路基板を前記板厚方向の両側から挟み込むとともに前記基板挿入方向に沿って延びる形状を有するガイドレール部とを有する、電子回路ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−80672(P2013−80672A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221217(P2011−221217)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】