説明

外部機器着脱装置及びプログラム

【課題】 外部機器と車載ECUとの間でデータ通信を可能とし、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避可能な外部機器着脱装置を提供する。
【解決手段】 送信データ情報生成部の実行する制御系送信データ情報生成処理により、外部機器接続後の初回送信である場合には、接続口ID、ECU−ID及びパラメータIDなどの識別情報を取得し、送信データ情報を登録する。このとき、ECUの有する制御値を取得し、接続時制御値として送信データ情報に格納する。また、前回の送信データと今回の送信データとの差分を算出し、最小変化量及び最小送信間隔を更新する。制御系解除処理においては、接続解除コードデータの送信後(S400)、最小送信間隔で(S410)、接続時制御値に近づくように、制御値を最小変化量ずつ変化させて送信データを繰り返し送信する(S440,S450)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器の接続を可能とし、当該外部機器と車載ECUとの間でデータ通信を可能にする外部機器着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外部機器などを接続して車載機器と連携させることが行われている。例えば、音楽データを外部機器としてのUSBメモリに格納しておき、このUSBメモリを接続することで、車載機器において音楽の再生を行うという具合である。また、外部機器として、最近では、スマートフォンが注目されている。つまり、スマートフォンに所定のアプリケーションをインストールしておき、このスマートフォンを外部機器として接続することで、新たな機能を実現することが可能となる。
【0003】
このように外部機器を接続することにより機能を追加する技術は、いくつか開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。ただし、ここでは、停車中に外部機器を接続することを前提としており、また、情報系のECUとのやり取りを前提としている。
【0004】
ところで、外部機器としてのスマートフォンと制御系のECUとのデータ通信を実現して、新たな機能を追加することが考えられる。ただし、制御系のECUに対するデータ通信では、外部機器の急な取り外し等による急激な制御値の変化が安全性などの面から問題になる虞がある。この点、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避する技術が開示されている(例えば、特許文献4,5参照)。ただし、ここに開示される技術は、汎用PC向けのものであり、不具合を回避するために再起動をかけるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−24644号公報
【特許文献2】特開平7−40794号公報
【特許文献3】特表2003−531766号公報
【特許文献4】特開2007−156921号公報
【特許文献5】特開2008−71098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両に搭載される制御系のECUとのデータ通信を行うとき、走行中である場合は特に、制御系のECUを再起動することは、安全性などの観点から困難である。もちろん再起動のタイミングを考慮してECUを設計することも不可能ではないが、その設計に要する時間が膨大になる虞があり、現実的ではない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、外部機器と車載ECUとの間でデータ通信を可能とし、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避可能な外部機器着脱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するためになされた請求項1に記載の外部機器着脱装置は、外部機器の接続を可能とするものであり、当該外部機器と車載ECUとの間でデータ通信を可能にするものである。
【0009】
外部機器着脱装置は、接続ポート、情報記憶部、送信データ情報生成手段、及び、解除手段を備えている。
接続ポートは、外部機器を接続するための構成であり、外部機器を差し込める接続口などとして具現化される。もちろん、有線による接続に限られず、無線での接続を可能とするポートとしてもよい。
【0010】
情報記憶部は、メモリ装置などとして具現化され、車載ECUへの送信データに関する情報である送信データ情報を接続ポートごとに記憶する。
送信データ情報生成手段は、外部機器が接続ポートに接続されると、当該外部機器の送信データに基づき送信先のECUを特定し、送信データ情報を生成する。この送信データ情報は接続時制御値を含むものであり、接続時制御値は、外部機器の接続前に送信先の車載ECUが有していた制御値である。
【0011】
解除手段は、外部機器が接続ポートから取り外されると、送信データ情報に含まれる接続時制御値に基づき外部機器に代わって車載ECUへ送信データを送信する。
つまり、本発明では、外部機器を接続する前の車載ECUの制御値を接続時制御値として記憶しておき、外部機器が急に取り外されたとしても、当該接続時制御値に基づく車載ECUへのデータ送信を行うのである。このようにすれば、制御値の急激な変化を抑制することができ、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避することができる。
【0012】
なお、請求項2に示すように、外部機器が接続ポートから取り外されると、解除手段は、接続の解除を示す接続解除コードが付加された解除時送信データを送信するようにしてもよい。このようにすれば、車載ECU側へ外部機器の取り外しが接続解除コードによって分かるため、車載ECU側に、解除のための処理を行わせることもできる。
【0013】
ところで、車載ECUが制御系のECUである場合、具体的には、請求項3に示すように、送信データ情報生成手段は、外部機器の送信データに基づき、制御値の最小変化量を含む送信データ情報を生成するようにし、解除手段は、解除時送信データの送信後、制御値が送信データ情報に含まれる接続時制御値に近づくように、最小変化量ずつ制御値を変化させて送信データを送信することが考えられる。つまり、予め制御値の最小変化量を記憶しておき、外部機器が取り外された場合に、最小変化量ずつ制御値を変化させて接続時制御値に近づけるのである。このようにすれば、制御値の急激な変化を抑制することができ、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避することができる。
【0014】
このとき、請求項4に示すように、解除手段は、送信しようとする制御値と送信データ情報に含まれる接続時制御値との差分が最小変化量未満になると、接続時制御値を含む送信データを送信することが考えられる。このようにすれば、最小変化量を越える制御値の変化を伴わず接続時制御値まで制御値を戻すことができる。
【0015】
このように解除手段は外部機器に代わって送信データを送信するのであるが、請求項5に示すように、送信データ情報生成手段は、外部機器の送信データに基づき、制御値の最小送信間隔を含む送信データ情報を生成するようにし、解除手段は、解除時送信データの送信後、最小送信間隔で、外部機器に代わって送信データを送信することが考えられる。つまり、送信データの送信間隔を最小送信間隔に合わせるのである。このようにすれば、制御値の急激な変化を抑制することができ、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避することができる。
【0016】
一方、車載ECUがボデー又は情報系のECUである場合、具体的には、請求項6に示すように、送信データ情報生成手段は、外部機器の送信データに基づき、制御値の最大送信間隔を含む送信データ情報を生成するようにし、解除手段は、解除時送信データの送信後、最大送信間隔の経過を待って、車載ECUへのリセット要求を送信することが考えられる。このようにすれば、車載ECUがボデー系又は情報系のECUの場合、処理が比較的簡単になる。
【0017】
このとき、請求項7に示すように、解除手段は、解除時送信データの送信及び最大送信間隔の待機を予め定められた回数分繰り返した後、車載ECUへのリセット要求を送信するようにしてもよい。すなわち、車載ECU側に何らかの応答処理が組み込まれている場合を前提に、解除時送信データの送信を繰り返すのである。このようにすれば、車載ECUへのリセット要求が適切に送信される。
【0018】
以上は、外部機器着脱装置の発明として説明してきたが、請求項8に示すようなプログラムの発明として実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】GW(ゲートウェイ)−ECUを中心に構成された車載システムの概要を示すブロック図である。
【図2】制御系送信データ情報生成処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)は送信データを示す説明図であり、(b)は接続機器リストを示す説明図であり、(c)は制御系ECUに対応する送信データ情報を示す説明図であり、(d)はボデー情報系ECUに対応する送信データ情報を示す説明図である。
【図4】ボデー情報系送信データ情報生成処理を示すフローチャートである。
【図5】接続解除処理を示すフローチャートである。
【図6】制御系解除処理を示すフローチャートである。
【図7】ボデー情報系解除処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、外部機器脱着装置としてのGW(ゲートウェイ)−ECU10を中心に構成された車載システムの概要を示すブロック図である。
【0021】
GW−ECU10には、エンジンECU21、ブレーキECU22、エアコンECU31、メータECU32、ナビECU41、及び、オーディオECU42が通信可能に接続されている。
【0022】
ここでエンジンECU21及びブレーキECU22は、制御系のECUである。また、エアコンECU31及びメータECU32は、ボデー系のECUである。さらにまた、ナビECU41及びオーディオECU42は、情報系のECUである。
【0023】
GW−ECU10は、これらECU間でデータ送受信を実現するものである。そのため、GW−ECU10は、複数のデータ送信アプリ11及び、ハードウェア12を有している。
【0024】
本実施形態では、GW−ECU10は、さらに、外部機器管理部50、N(図1では2)個の接続口61を有している。これにより、外部機器を脱着することが可能となっている。例えば図1では、スマートフォン70とUSBメモリ80とが接続口61に接続されている。
【0025】
外部機器管理部50は、送信データ情報生成部51、接続解除時処理部52、及び、情報記憶部53を有している。
送信データ情報生成部51は、外部機器から上述した各ECUへの送信データをもとに送信データ情報を生成する処理を実行する。また、接続解除時処理部52は、外部機器を接続口61から取り外したときの処理を実行する。情報記憶部53は、例えばメモリ装置などとして具現化される。
【0026】
次に、送信データ情報生成部51で実行される制御系送信データ情報生成処理を説明する。図2は、制御系送信データ情報生成処理のフローチャートである。この処理は、接続口61に接続された外部機器からの制御系ECUへの送信要求があると実行される。
【0027】
最初のS100では、初回送信であるか否かを判断する。この処理は、接続された外部機器からのデータ送信が接続後はじめてのものであるか否かを判断するものである。ここで初回送信であると判断された場合(S100:YES)、S110へ移行する。一方、初回送信でないと判断された場合(S100:NO)、S120へ移行する。
【0028】
S110では、識別情報を取得する。この処理は、送信データから、接続口ID、送信先ECU−ID、及び、パラメータIDを取得するものである。送信データの一例を図3(a)に示した。図3(a)に示すように、送信データは、接続口ID、ECU−ID、パラメータID、制御値、及び、付加情報コードから構成されている。
【0029】
続くS130では、送信データ情報を登録する。送信データ情報は、図3(b)に示すような接続機器リストを構成する情報である。接続機器リストは、情報記憶部53に記憶される。例えば図3(b)に示すように、N個の接続口61のそれぞれに対して送信データ情報が記憶される。なお、別の送信データの送信が要求された場合、例えばECU−IDやパラメータIDが異なる場合には、図3(b)に矢印で示すように、各接続口61に対して複数の送信データ情報が順次記憶される。
【0030】
ここで送信データ情報の構成について説明する。送信データ情報は、2種類用意されている。具体的には、制御系のECUへの送信データに対応するもの、ボデー情報系のECUへの送信データに対応するものである。
【0031】
制御系のECUへの送信データに対応するものは、図3(c)に示す如くである。図3(c)に示すように、制御系の送信データ情報は、ECU−ID、パラメータID、接続時制御値、最小送信間隔、及び、最小変化量から構成される。
【0032】
一方、ボデー情報系のECUへの送信データに対応するものは、図3(d)に示す如くである。図3(d)に示すように、ボデー情報系の送信データ情報は、ECU−ID、パラメータID、接続時制御値、及び、最大送信間隔で構成される。
【0033】
なお、図2の制御系送信データ情報生成処理は、制御系の送信データ情報を作成更新するものである。ボデー情報系の送信データ情報の作成更新については後述する。
次のS140では、制御値を取得する。この処理は、送信先ECUの現在の制御値を取得するものである。
【0034】
続くS150では、接続時制御値に格納する。この処理は、S140にて取得した制御値を、送信データ情報の接続時制御値として格納するものである。ここまでの処理により、図3(c)のECU−ID、パラメータID、及び、接続時制御値が記憶される。S150の処理終了後、S180へ移行する。
【0035】
一方、S100にて否定判断された場合に移行するS120では、差分を算出する。この処理は、今回の送信データと前回の送信データとの差分を算出するものである。制御系の送信データの場合、差分データは、送信時刻の差分である送信間隔及び制御値の差分で構成される。
【0036】
続くS160では、差分データが未登録又は最小であるか否かを判断する。初回送信しかなされていない場合、図3(c)に示す最小送信間隔及び最小変化量は記憶されていない。そのため、ここで肯定判断される。また、送信時刻の差分又は制御値の差分のいずれか最小である場合も、ここで肯定判断される。差分データが未登録又は最小である場合(S160:YES)、S170へ移行する。一方、差分データが未登録及び最小でない場合(S160:NO)、S170の処理を実行せず、S180へ移行する。
【0037】
S170では、差分データを更新する。この処理は、差分データが未登録の場合、送信データ情報の最小送信間隔及び最小変化量を記憶するものである。一方、差分データが最小の場合は、最小送信間隔及び最小変化量の少なくともいずれか一方を更新するものである。
【0038】
S180では、データをECUへ送信する。この処理は、送信データをECU−IDで指定されるECUへ送信するものである。
この制御系送信データ情報生成処理によって、ECU−ID及びパラメータIDによって区別される複数の送信データ情報が作成更新され、接続時制御値が管理されると共に、最小送信間隔及び最小変化量が更新されることになる。
【0039】
次に、送信データ情報生成部51で実行されるボデー情報系送信データ情報生成処理を説明する。図4は、ボデー情報系送信データ情報生成処理のフローチャートである。この処理は、接続口61に接続された外部機器からのボデー情報系ECUへの送信要求があると実行される。
【0040】
最初のS200では、初回送信であるか否かを判断する。この処理は、図2中のS100と同様のものであり、接続された外部機器からのデータ送信が接続後はじめてのものであるか否かを判断するものである。ここで初回送信であると判断された場合(S200:YES)、S210へ移行する。一方、初回送信でないと判断された場合(S200:NO)、S220へ移行する。
【0041】
S210では、識別情報を取得する。この処理は、図2中のS110と同様であり、送信データから、接続口ID、送信先ECU−ID、及び、パラメータIDを取得するものである。
【0042】
続くS230では、送信データ情報を登録する。送信データ情報については、既に述べた通りである。送信データ情報が2種類用意されていることも既に述べたが、この場合、図3(d)に示したように、ECU−ID、パラメータID、接続時制御値、及び、最大送信間隔で構成される。
【0043】
次のS240では、制御値を取得する。この処理は、図2中のS140と同様、送信先ECUの現在の制御値を取得するものである。
続くS250では、接続時制御値に格納する。この処理は、S240にて取得した制御値を、送信データ情報の接続時制御値として格納するものである。ここまでの処理により、図3(d)のECU−ID、パラメータID、及び、接続時制御値が記憶される。S250の処理終了後、S280へ移行する。
【0044】
一方、S200にて否定判断された場合に移行するS220では、送信時刻の差分を算出する。この処理は、今回の送信データと前回の送信データとの送信間隔を算出するものである。すなわち、ボデー制御系の送信データの場合、差分データは、送信間隔のみで構成される。
【0045】
続くS260では、差分データが未登録又は最大であるか否かを判断する。初回送信しかなされていない場合、図3(d)に示す最大送信間隔は記憶されていない。そのため、ここで肯定判断される。また、送信時刻の差分である送信間隔が最大である場合も、ここで肯定判断される。差分データが未登録又は最大である場合(S260:YES)、S270にて最大送信間隔を記憶し、その後、S280へ移行する。一方、差分データが未登録及び最大でない場合(S260:NO)、S270の処理を実行せず、S280へ移行する。
【0046】
S280では、図2中のS180と同様、データをECUへ送信する。この処理は、送信データをECU−IDで指定されるECUへ送信するものである。
このボデー情報系送信データ情報生成処理によって、ECU−ID及びパラメータIDによって区別される複数の送信データ情報が作成更新され、接続時制御値が管理されると共に、最大送信間隔が更新されることになる。
【0047】
次に、接続解除処理を説明する。図5は、接続解除処理を示すフローチャートである。この処理は、接続口61に対する外部機器の接続が解除された場合に実行されるものである。
【0048】
最初のS300では、送信データ情報を取得する。この処理は、接続が解除された接続口61に対応する送信データ情報を取得するものである。上述したように、送信データ情報は、図3(b)に示すような接続機器リストを構成し、情報記憶部53に記憶されている。
【0049】
次のS310では、送信データ情報が制御系のECUに対するものであるか否かを判断する。ここで制御系のECUに対するものであると判断された場合(S310:YES)、S320にて制御系解除処理を実行し、その後、S340へ移行する。一方、制御系のECUに対するものでないと判断された場合(S310:NO)、すなわちボデー情報系のECUに対するものである場合には、S330にてボデー情報系解除処理を実行し、その後、S340へ移行する。
【0050】
S340では、全ての送信データ情報を処理したか否かを判断する。外部機器が取り外された接続口61に対応して複数の送信データ情報が記憶されることがあるためである(図3(b)参照)。ここで全ての送信データ情報を処理したと判断された場合(S340:YES)、S350へ移行する。一方、送信データ情報のうちで処理していないものがあるうちは、S300からの処理を繰り返す。
【0051】
S350では外部機器関連資源の初期化を行い、その後、接続解除処理を終了する。
次に、図5中S320の制御系解除処理について説明する。図6は、制御系解除処理を示すフローチャートである。
【0052】
最初のS400では、接続解除コードデータを送信する。図3(a)に示したように送信データは付加情報コードを有しており、この付加情報コードを接続解除コードとしたものが接続解除コードデータである。
【0053】
続くS410では、最小送信間隔以内に正常応答が受信されたか否かを判断する。正常応答とは、送信先のECUからの外部機器の解除を承諾する旨の応答である。この場合、ECU側に接続解除コードデータに対応する応答処理が予め用意されている。ここで正常応答が受信されたと判断された場合(S410:YES)、以降の処理を実行せず、制御系解除処理を終了する。一方、正常応答が受信されない場合(S410:NO)、S420へ移行する。
【0054】
S420では、現在の制御値と接続時制御値との差分が最小変化量未満となっているか否かを判断する。最小変化量は、送信データ情報に記憶されるものである。ここで最小変化量未満であると判断された場合(S420:YES)、S430にて接続時制御値を含む送信データを送信し、その後、S450へ移行する。一方、最小変化量以上であると判断された場合(S420:NO)、S440にて最小変化量だけ制御値を接続時制御値へ近づけた送信データを送信し、その後、S450へ移行する。
【0055】
S450では、制御値が接続時制御値に等しくなったか否かを判断する。ここで制御値が接続時制御値に等しくなったと判断された場合(S450:YES)、制御系解除処理を終了する。一方、制御値が接続時制御値に等しくなっていないと判断された場合(S450:NO)、S410からの処理を繰り返す。
【0056】
次に、図5中S330のボデー情報系解除処理について説明する。図7は、ボデー情報系解除処理を示すフローチャートである。
最初のS500では、接続解除コードデータを送信する。この処理は、図6中のS400と同様のものである。
【0057】
続くS510では、最大送信間隔以内に正常応答が受信されたか否かを判断する。正常応答とは、送信先のECUからの外部機器の解除を承諾する旨の応答である。この場合、ECU側に接続解除コードデータに対応する応答処理が予め用意されている。なお、最大送信間隔以内としたのは、ボデー情報系のECUは、安全面に直結するものでないため、最大送信間隔で正常応答を待つのである。ここで正常応答が受信されたと判断された場合(S510:YES)、以降の処理を実行せず、ボデー情報系解除処理を終了する。一方、正常応答が受信されない場合(S510:NO)、S520へ移行する。
【0058】
正常応答がない場合に移行するS520では、リトライ回数の上限であるか否か、あるいは、リトライ回数の設定が無いか否かを判断する。ここでリトライ回数の上限となっている場合又はリトライ回数の設定がない場合(S520:YES)、S530にてECUへのリセットを要求し、その後、ボデー情報系解除処理を終了する。一方、リトライ回数の設定があってリトライ回数の上限となっていない場合(S520:NO)、S500からの処理を繰り返す。
【0059】
次に、本実施形態のGW−ECU10が発揮する効果を説明する。
本実施形態では、送信データ情報生成部51の実行する制御系送信データ情報生成処理により、外部機器接続後の初回送信である場合には(図2中のS100:YES)、接続口ID、ECU−ID及びパラメータIDなどの識別情報が取得され(S110)、送信データ情報が登録される(S130)。このとき、ECUの有する制御値が取得され(S140)、接続時制御値として送信データ情報に格納される(S150)。そして、接続解除時処理部52の制御系解除処理では、接続時制御値に基づくデータ送信が外部機器に代わって行われる(図6中のS410〜S450)。
【0060】
つまり、本実施形態では、外部機器を接続した時点での車載ECUの制御値を接続時制御値として記憶しておき、外部機器が急に取り外されたとしても、当該接続時制御値に基づく車載ECUへのデータ送信を行うのである。これにより、制御値の急激な変化を抑制することができ、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避することができる。
【0061】
また、本実施形態では、外部機器が取り外された場合、最初に接続解除コードデータを送信する(図6中のS400,図7中のS500)。接続解除コードデータは、図3(a)に示したように、送信データを構成する付加情報コードを接続解除コードとしたものである。これにより、車載ECU側で外部機器の取り外しが接続解除コードによって分かるため、車載ECU側で、解除処理を行うことができる。なお、本実施形態では、車載ECUが解除を了承した場合、車載ECUから正常応答が返るようになっている。
【0062】
具体的に制御系のECUである場合、本実施形態では、制御系送信データ情報生成処理において、前回の送信データと今回の送信データとの差分を算出し(図2中のS120)、差分データを記憶すると共に(S160:YES,S170)、差分データが最小である場合には(S160:YES)、差分データを更新する(S170)。これにより、送信データ情報には、最小送信間隔及び最小変化量が更新記憶される。そこで、制御系解除処理においては、接続解除コードデータの送信後(図6中のS400)、最小送信間隔で(S410)、接続時制御値に近づくように制御値を最小変化量ずつ変化させて送信データを繰り返し送信する(S440,S450)。これにより、制御値の急激な変化を抑制することができ、外部機器の急な取り外しによる不具合を回避することができる。
【0063】
このとき、制御系解除処理では、送信しようとする制御値と接続時制御値との差分が最小変化量未満になると(図6中のS420:YES)、接続時制御値を含む接続時制御値データを送信する(S430)。これにより、最小変化量を越える制御値の変化を伴わず接続時制御値まで制御値を戻すことができる。
【0064】
一方、ボデー情報系のECUである場合、本実施形態では、ボデー情報系送信データ情報生成処理において、前回の送信時刻と今回の送信時刻との差分を算出し(図4中のS220)、送信間隔を記憶すると共に(S260:YES,S270)、送信間隔が最大である場合には(S260:YES)、送信間隔を更新する(S270)。これにより、送信データ情報には、最大送信間隔が更新記憶される。そこで、ボデー情報系解除処理においては、接続解除コードデータの送信後(図7中のS500)、最大送信間隔の経過を待って(S510)、車載ECUへのリセット要求を送信する(S530)。これにより、車載ECUがボデー系又は情報系のECUの場合、処理が比較的簡単になる。
【0065】
このとき、ボデー情報系解除処理では、予め定められたリトライ回数の上限となるまで(図7中のS520:YES)、接続解除コードデータの送信及び最大送信間隔の待機を繰り返す(S500,S510)。これにより、車載ECUへのリセット要求が適切なタイミングで送信される。
【0066】
なお、本実施形態におけるGW−ECU10が「外部機器着脱装置」を構成し、接続口61が「接続ポート」を構成し、情報記憶部53が「情報記憶部」を構成し、送信データ情報生成部51が「送信データ情報生成手段」を構成し、接続解除時処理部52が「解除手段」を構成する。
【0067】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施できる。
(イ)上記実施形態は接続口61を介して有線で外部機器が接続される構成であったが、無線によって外部機器が接続される構成としてもよい。
【0068】
(ロ)上記実施形態では外部機器着脱装置をGW−ECUとして具現化したが、同様の機能を発揮する装置であればよく、例えば通常のECUに接続口を追加するようにしてもよい。
【0069】
(ハ)外部機器の例として、スマートフォン70及びUSBメモリ80を挙げたが、追加する機能によっては、各種のセンサを搭載した外部機器などを接続することも考えられる。
【符号の説明】
【0070】
10:ゲートウェイ(GW)ECU、11:データ送信アプリ、12:ハードウェア、21:エンジンECU、22:ブレーキECU、31:エアコンECU、32:メータECU、41:ナビECU、42:オーディオECU、50:外部機器管理部、51:送信データ情報生成部、52:接続解除時処理部、53:情報記憶部、61:接続口、70:スマートフォン、80:USBメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器の接続を可能とし、当該外部機器と車載ECUとの間でデータ通信を可能にする外部機器着脱装置であって、
前記外部機器を接続するための接続ポートと、
前記車載ECUへの送信データに関する情報である送信データ情報を前記接続ポートごとに記憶する情報記憶部と、
前記外部機器が前記接続ポートに接続されると、当該外部機器の送信データに基づき送信先のECUを特定し、当該送信先の車載ECUが前記外部機器の接続前に有していた制御値を接続時制御値とし、当該接続時制御値を含む前記送信データ情報を生成する送信データ情報生成手段と、
前記外部機器が前記接続ポートから取り外されると、前記送信データ情報に含まれる前記接続時制御値に基づき前記外部機器に代わって前記車載ECUへ送信データを送信する解除手段と、
を備えていることを特徴とする外部機器着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外部機器着脱装置において、
前記解除手段は、前記外部機器が前記接続ポートから取り外されると、接続の解除を示す接続解除コードが付加された解除時送信データを送信すること
を特徴とする外部機器着脱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の外部機器着脱装置において、
前記車載ECUが制御系のECUである場合、
前記送信データ情報生成手段は、前記外部機器の送信データに基づき、前記制御値の最小変化量を含む前記送信データ情報を生成し、
前記解除手段は、前記解除時送信データの送信後、制御値が前記送信データ情報に含まれる前記接続時制御値に近づくように、前記最小変化量ずつ前記制御値を変化させて前記送信データを送信すること
を特徴とする外部機器着脱装置。
【請求項4】
請求項3に記載の外部機器着脱装置において、
前記解除手段は、送信しようとする制御値と前記送信データ情報に含まれる前記接続時制御値との差分が最小変化量未満になると、前記接続時制御値を含む前記送信データを送信すること
を特徴とする外部機器着脱装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載の外部機器着脱装置において、
前記送信データ情報生成手段は、前記外部機器の送信データに基づき、前記制御値の最小送信間隔を含む前記送信データ情報を生成し、
前記解除手段は、前記解除時送信データの送信後、前記最小送信間隔で、前記外部機器に代わって前記送信データを送信すること
を特徴とする外部機器着脱装置。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか一項に記載の外部機器着脱装置において、
前記車載ECUがボデー又は情報系のECUである場合、
前記送信データ情報生成手段は、前記外部機器の送信データに基づき、前記制御値の最大送信間隔を含む前記送信データ情報を生成し、
前記解除手段は、前記解除時送信データの送信後、最大送信間隔の経過を待って、前記車載ECUへのリセット要求を送信すること
を特徴とする外部機器着脱装置。
【請求項7】
請求項6に記載の外部機器着脱装置において、
前記解除手段は、前記解除時送信データの送信及び最大送信間隔の待機を予め定められた回数分繰り返した後、前記車載ECUへのリセット要求を送信すること
を特徴とする外部機器着脱装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の外部機器着脱装置の送信データ情報生成手段及び解除手段として機能するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−1324(P2013−1324A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136537(P2011−136537)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)