説明

外部環境に応答して内部の物質組成を変えるリポソーム

【課題】外部環境に応答して内部の物質組成を変えるリポソームを提供することを本発明の課題とする。
【解決手段】 上記課題は、以下:(a)プロモーター配列、リボスイッチ配列、翻訳開始配列、および、ポリペプチドコード配列を含むDNA;(b)RNAポリメラーゼ;(c)リボヌクレオチド;ならびに、(d)無細胞蛋白質合成系、を含む、一枚膜リポソームを提供することによって解決された。本発明を用いることによって、外界からの物質に応答してレポーター遺伝子の発現を誘発するバイオセンサー、環境中の有害物質を認識して光るリポソーム、および、生体内の環境に応答して、有効成分を発現する医薬を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部環境に応答して内部の物質組成を変化させるリポソームの分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
リポソームは、生物学的膜のモデルとして長らく研究されてきた。リポソームは、その内部と外部とを物理的に遮断し、親水性物質を透過させないという特徴を有することから、生物化学的反応を行なう微小区画として利用する手法も開発されている(特許文献1)。しかしながら、リポソームは脂質膜に囲まれており、この脂質膜は脂溶性のバリアとして作用する(非特許文献1〜2)。このリポソームの遮断性に起因して、リポソーム内部に外部から物質(特に、親水性物質)を導入することは困難であると考えられている。そして、リポソーム内部での反応ないし物質組成をリポソーム外部から制御することは不可能であると考えられていた。
【0003】
リポソームは、その遮断性のために薬物送達の担体として使用することも提唱されている(特許文献2)。上記のとおり、リポソームの遮断性に起因して、一旦、リポソーム内に封入された物質の組成を変更することは、不可能であると考えられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−274454
【特許文献2】特表2008−500297
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Deamer et al 1994,Self−Assembly and Function of Primitive Membrane Structures, in S. Bengtson(ed.), Early Life on Earth, Columbia University Press, New York, Chichester, West Sussex, Nobel Symposium No. 84, pp. 107-123
【非特許文献2】Mouritsen et al. 1995, Permeability of Lipid Bilayers Near the Phase Transition, in E. A. Disalvo and S. A. Simon (eds.), Permeability and Stability of Lipid Bilayers, CRC Press, Boca Raton, 1, pp. 137-160.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外部環境に応答して内部の物質組成を変えるリポソームを提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、例えば、以下を提供することによって解決された。
(項目1)
以下:
(a)プロモーター配列、リボスイッチ配列、翻訳開始配列、および、ポリペプチドコード配列を含むDNA;
(b)RNAポリメラーゼ;
(c)リボヌクレオチド;ならびに、
(d)無細胞蛋白質合成系、
を含む、一枚膜リポソーム。
(項目2)
前記リボスイッチ配列が、テオフィリン、および、チアミンピロリン酸からなる選択される化合物に応答する配列である、項目1に記載の一枚膜リポソーム。
(項目3)
前記リボスイッチ配列が、チアミンピロリン酸に応答する配列であって、以下:
(i)配列番号1に記載の核酸配列;
(ii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と144位との間の塩基対形成、
3位と143位との間の塩基対形成、
4位と142位との間の塩基対形成、
5位と141位との間の塩基対形成、
6位と140位との間の塩基対形成、
7位と139位との間の塩基対形成、
8位と138位との間の塩基対形成、
9位と137位との間の塩基対形成、
10位と136位との間の塩基対形成、
15位と131位との間の塩基対形成、
16位と130位との間の塩基対形成、
17位と129位との間の塩基対形成、
18位と128位との間の塩基対形成、
19位と127位との間の塩基対形成、
20位と126位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と124位との間の塩基対形成、
50位と86位との間の塩基対形成、
51位と85位との間の塩基対形成、
52位と84位との間の塩基対形成、
53位と83位との間の塩基対形成、
54位と82位との間の塩基対形成、
55位と80位との間の塩基対形成、
56位と73位との間の塩基対形成、
57位と72位との間の塩基対形成、
58位と71位との間の塩基対形成、
60位と69位との間の塩基対形成、
92位と117位との間の塩基対形成、
93位と116位との間の塩基対形成、
94位と115位との間の塩基対形成、
98位と111位との間の塩基対形成、
99位と110位との間の塩基対形成、
100位と109位との間の塩基対形成、および、
101位と108位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、項目1に記載の一枚膜リポソーム。
(項目4)
前記リボスイッチ配列が、テオフィリンに応答する配列であって、以下:
(i)配列番号2に記載の核酸配列;
(ii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と97位との間の塩基対形成、
3位と96位との間の塩基対形成、
4位と95位との間の塩基対形成、
5位と94位との間の塩基対形成、
6位と93位との間の塩基対形成、
7位と92位との間の塩基対形成、
8位と91位との間の塩基対形成、
9位と90位との間の塩基対形成、
10位と89位との間の塩基対形成、
15位と84位との間の塩基対形成、
16位と83位との間の塩基対形成、
17位と82位との間の塩基対形成、
18位と81位との間の塩基対形成、
19位と80位との間の塩基対形成、
20位と79位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と77位との間の塩基対形成、
47位と75位との間の塩基対形成、
48位と74位との間の塩基対形成、
52位と70位との間の塩基対形成、
53位と69位との間の塩基対形成、
54位と68位との間の塩基対形成、
55位と64位との間の塩基対形成、
56位と63位との間の塩基対形成、
57位と62位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号2に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、項目1に記載の一枚膜リポソーム。
(項目5)
前記プロモーター配列および前記RNAポリメラーゼが、原核生物由来である、項目1に記載の一枚膜リポソーム。
(項目6)
前記プロモーター配列が、T7プロモーター配列(配列番号3)、T5プロモーター配列(配列番号4)、Sp6プロモーター配列(配列番号5)、および、T3プロモーター配列(配列番号6)からなる群から選択される、項目1に記載の一枚膜リポソーム。
(項目7)
前記プロモーター配列が、T3プロモーター配列(配列番号6)である、項目1に記載の一枚膜リポソーム。
(項目8)
さらに、
(e)前記(a)と同一のポリメラーゼによって転写される第2のプロモーター配列、前記(a)のリボスイッチ配列と同一の化合物に対して応答する第2のリボスイッチ配列、翻訳開始配列、および、前記(a)のプロモーター配列および該第2のプロモーター配列からの転写を行なうポリメラーゼのコード配列を含む第2のDNA
をさらに含む、項目1に記載の一枚膜リポソーム。
(項目9)
前記(a)のリボスイッチ配列が、チアミンピロリン酸に応答する配列であって、前記代2のリボスイッチ配列が、以下:
(i)配列番号1に記載の核酸配列;
(ii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と144位との間の塩基対形成、
3位と143位との間の塩基対形成、
4位と142位との間の塩基対形成、
5位と141位との間の塩基対形成、
6位と140位との間の塩基対形成、
7位と139位との間の塩基対形成、
8位と138位との間の塩基対形成、
9位と137位との間の塩基対形成、
10位と136位との間の塩基対形成、
15位と131位との間の塩基対形成、
16位と130位との間の塩基対形成、
17位と129位との間の塩基対形成、
18位と128位との間の塩基対形成、
19位と127位との間の塩基対形成、
20位と126位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と124位との間の塩基対形成、
50位と86位との間の塩基対形成、
51位と85位との間の塩基対形成、
52位と84位との間の塩基対形成、
53位と83位との間の塩基対形成、
54位と82位との間の塩基対形成、
55位と80位との間の塩基対形成、
56位と73位との間の塩基対形成、
57位と72位との間の塩基対形成、
58位と71位との間の塩基対形成、
60位と69位との間の塩基対形成、
92位と117位との間の塩基対形成、
93位と116位との間の塩基対形成、
94位と115位との間の塩基対形成、
98位と111位との間の塩基対形成、
99位と110位との間の塩基対形成、
100位と109位との間の塩基対形成、および、
101位と108位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、項目8に記載の一枚膜リポソーム。
(項目10)
前記(a)のリボスイッチ配列が、テオフィリンに応答する配列であって、前記代2のリボスイッチ配列が、以下:
(i)配列番号2に記載の核酸配列;
(ii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と97位との間の塩基対形成、
3位と96位との間の塩基対形成、
4位と95位との間の塩基対形成、
5位と94位との間の塩基対形成、
6位と93位との間の塩基対形成、
7位と92位との間の塩基対形成、
8位と91位との間の塩基対形成、
9位と90位との間の塩基対形成、
10位と89位との間の塩基対形成、
15位と84位との間の塩基対形成、
16位と83位との間の塩基対形成、
17位と82位との間の塩基対形成、
18位と81位との間の塩基対形成、
19位と80位との間の塩基対形成、
20位と79位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と77位との間の塩基対形成、
47位と75位との間の塩基対形成、
48位と74位との間の塩基対形成、
52位と70位との間の塩基対形成、
53位と69位との間の塩基対形成、
54位と68位との間の塩基対形成、
55位と64位との間の塩基対形成、
56位と63位との間の塩基対形成、
57位と62位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号2に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、項目8に記載の一枚膜リポソーム。
(項目11)
リポソーム内の物質組成を変化させる方法であって、以下:
(1)項目1または8に記載の一枚膜リポソームを提供する工程;および、
(2)前記リボスイッチ配列が応答する化合物と、該一枚膜リポソームとを接触させる工程;
を包含する、方法。
(項目12)
前記リボスイッチ配列が、テオフィリン、および、チアミンピロリン酸からなる選択される化合物に応答する配列である、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記リボスイッチ配列が、チアミンピロリン酸に応答する配列であって、以下:
(i)配列番号1に記載の核酸配列;
(ii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と144位との間の塩基対形成、
3位と143位との間の塩基対形成、
4位と142位との間の塩基対形成、
5位と141位との間の塩基対形成、
6位と140位との間の塩基対形成、
7位と139位との間の塩基対形成、
8位と138位との間の塩基対形成、
9位と137位との間の塩基対形成、
10位と136位との間の塩基対形成、
15位と131位との間の塩基対形成、
16位と130位との間の塩基対形成、
17位と129位との間の塩基対形成、
18位と128位との間の塩基対形成、
19位と127位との間の塩基対形成、
20位と126位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と124位との間の塩基対形成、
50位と86位との間の塩基対形成、
51位と85位との間の塩基対形成、
52位と84位との間の塩基対形成、
53位と83位との間の塩基対形成、
54位と82位との間の塩基対形成、
55位と80位との間の塩基対形成、
56位と73位との間の塩基対形成、
57位と72位との間の塩基対形成、
58位と71位との間の塩基対形成、
60位と69位との間の塩基対形成、
92位と117位との間の塩基対形成、
93位と116位との間の塩基対形成、
94位と115位との間の塩基対形成、
98位と111位との間の塩基対形成、
99位と110位との間の塩基対形成、
100位と109位との間の塩基対形成、および、
101位と108位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記リボスイッチ配列が、テオフィリンに応答する配列であって、以下:
(i)配列番号2に記載の核酸配列;
(ii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と97位との間の塩基対形成、
3位と96位との間の塩基対形成、
4位と95位との間の塩基対形成、
5位と94位との間の塩基対形成、
6位と93位との間の塩基対形成、
7位と92位との間の塩基対形成、
8位と91位との間の塩基対形成、
9位と90位との間の塩基対形成、
10位と89位との間の塩基対形成、
15位と84位との間の塩基対形成、
16位と83位との間の塩基対形成、
17位と82位との間の塩基対形成、
18位と81位との間の塩基対形成、
19位と80位との間の塩基対形成、
20位と79位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と77位との間の塩基対形成、
47位と75位との間の塩基対形成、
48位と74位との間の塩基対形成、
52位と70位との間の塩基対形成、
53位と69位との間の塩基対形成、
54位と68位との間の塩基対形成、
55位と64位との間の塩基対形成、
56位と63位との間の塩基対形成、
57位と62位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号2に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記プロモーター配列および前記RNAポリメラーゼが、原核生物由来である、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記プロモーター配列が、T7プロモーター配列(配列番号3)、T5プロモーター配列(配列番号4)、Sp6プロモーター配列(配列番号5)、および、T3プロモーター配列(配列番号6)からなる群から選択される、項目11に記載の方法。
(項目17)
前記プロモーター配列が、T3プロモーター配列(配列番号6)である、項目11に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
従来のリポソームは、その内部の物質組成をリポソーム外部の環境に応じて変化させることは不可能であった。これに対して、本発明では、一枚膜リポソーム内部に、リボスイッチ配列を含むDNAを封入し、その結果、リポソームが外部環境に応答して内部の物質組成を変えることが可能となった。
【0009】
また、従来のリポソームは内部に薬剤を封入することでドラックデリバリーの手法として使われているが、この場合、一度薬剤をリポソームに封入すると、内部の薬剤の組成を変化させることができない。有効成分を含むリポソームを患者に投与した後に、体内の環境が変わり、その結果、必要な薬剤が変わった場合であっても、薬剤の組成を変えることは不可能であった。本発明を利用することによって、体内環境に応じてリポソーム内の有効成分を変化させるリポソームの製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1Aはチアミンピロリン酸に応答するRNA配列と分子内での塩基間相互作用を示す模式図である。44位の残基は、典型的には「A」または「G」のいずれかであるが、他のリボヌクレオチドに置換されていてもよい。
【図1B】図1Bはテオフィリンに応答するRNA配列と分子内での塩基間相互作用を示す模式図である。
【図2】図2は、T7−RSW−GFPを用いた場合のTPP応答を示す写真である。
【図3】図3は、T7−RSW−GFPのT7プロモーターを種々のプロモーター配列に置換したリポソームを用いた場合のTPP応答を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。
【0012】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
【0013】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0014】
(定義)
本明細書において使用する場合、用語「微小区画」とは、脂質層、および、その内部の水層から構成される閉じられた微小な空間をいう。「微小区画」としては、例えば、リポソームが挙げられるがこれに限定されない。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「リポソーム」とは、通常、膜状に集合した脂質層および内部の水層から構成される閉鎖小胞を意味する。代表的に使用されるリン脂質のほか、コレステロール、糖脂質などを組み込ませることも可能である。本発明において、リポソームは、修飾基を付するために、エステル結合を付与する官能基を有する構成単位(例えば、糖脂質、ガングリオシド、ホスファチジルグリセロールなど)またはペプチド結合を付与する官能基を有する構成単位(例えば、ホスファチジルエタノールアミン)を有してもよい。本発明において使用するリポソームは、好ましくは、脂質二重層からなる膜が一重のみからなる一枚膜リポソームである。一枚膜リポソームの調製法としては、種々の周知の方法が利用可能である。
【0016】
本明細書において使用する場合、用語「リポソーム内の物質組成」とは、リポソーム内のあらゆる物質の成分を包含する。リポソーム内の物質組成は、好ましくは、タンパク質の組成である。「リポソーム内の物質組成」が変化する場合としては、限定されることはないが、例えば:
・特定のアミノ酸配列からなるポリペプチドが翻訳されてリポソーム内での量が増える;
・リポソーム内に存在しなかった特定のアミノ酸配列からなるポリペプチドが、新たに翻訳される;
・特定のアミノ酸配列からなるポリペプチドが分解されてリポソーム内での量が減少する;
・特定のアミノ酸配列からなるポリペプチドが分解されてリポソーム内での量が「0」となる;ならびに、
・特定のアミノ酸配列からなるポリペプチドが分解されて、そのポリペプチドに由来する2つ以上のフラグメントとなる;
ことが挙げられる。
【0017】
本明細書において使用する場合、用語「プロモーター配列」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。プロモーターは、誘導性であっても、構成的であっても、部位特異的であっても、時期特異的であってもよい。プロモーターとしては、例えば、哺乳動物細胞、大腸菌、酵母などの宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。代表的なプロモーター配列としては、T7プロモーター配列(配列番号3)、T5プロモーター配列(配列番号4)、Sp6プロモーター配列(配列番号5)、および、T3プロモーター配列(配列番号6)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
本明細書において使用する「RNAポリメラーゼ」は、使用するプロモーター配列に適合する、すなわち、その使用するプロモーターからの転写を行なうRNAポリメラーゼであれば、いかなるRNAポリメラーゼを用いてもよい。好ましくは、プロモーター配列とRNAポリメラーゼとが、同じ、あるいは、近接する生物種に由来する。例えば、原核生物由来のプロモーター配列を使用する場合、使用するRNAポリメラーゼもまた、原核生物由来であることが好ましい。あるいは、バクテリオファージ由来のプロモーター配列を使用する場合、使用するRNAポリメラーゼもまた、同一または類似のバクテリオファージ由来であることが好ましい。
【0019】
本明細書において使用する場合、用語「リボスイッチ配列」とは、特定の化合物の存在に依存して、構造変化を起こす配列をいう。特定の「リボスイッチ配列」に対して、この構造変化を起こす化合物を、「リボスイッチ配列が応答する化合物」という。例えば、配列番号1からなる「リボスイッチ配列」について「リボスイッチ配列が応答する化合物」はチアミンピロリン酸であり、配列番号2からなる「リボスイッチ配列」について「リボスイッチ配列が応答する化合物」はテオフィリンである。
【0020】
本明細書において使用する場合、用語「翻訳開始配列」とは、機能的なリボソーム進入部位を提供できる任意の配列を意味する。バクテリアのシステムにおいては、この領域は、シャイン-ダルガルノ(Shine-Dalgarno)配列ともいわれる。
【0021】
「プロモーター配列」と「翻訳開始配列」との間に「リボスイッチ配列」を配置すると、「リボスイッチ配列が応答する化合物」の存在に依存して、プロモーター配列からの転写が行なわれる。
【0022】
本明細書において使用される用語「無細胞蛋白質合成系」とは、細胞を処理することによって自律複製能を失った細胞由来の成分であって、蛋白質の合成が可能な成分をいう。無細胞蛋白質合成系としては、例えば、市販のPURESYSTEM(登録商標)(バイオコゥマー株式会社 東京都文京区)を利用することも可能である。あるいは、無細胞蛋白質合成系に必要とされる成分を精製および/または組換え発現して、作製することも可能である。
【0023】
本明細書において遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。また、本明細書において配列(核酸配列、アミノ酸配列など)の同一性とは、2以上の対比可能な配列の、互いに対する同一の配列(個々の核酸、アミノ酸など)の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。本明細書において、遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存的置換をポジティブ(同一)とみなした場合の、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、保存的置換がある場合は、その保存的置換の存在に応じて相同性と類似性とは異なる。また、保存的置換がない場合は、相同性と類似性とは同じ数値を示す。
【0024】
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメータを用いて算出される。
【0025】
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。本明細書において有用なフラグメントの長さは、そのフラグメントの基準となる全長蛋白質の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。
【0026】
本明細書において、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
【0027】
本明細書において「高度にストリンジェントな条件」は、核酸配列において高度の相補性を有するDNA鎖のハイブリダイゼーションを可能にし、そしてミスマッチを有意に有するDNAのハイブリダイゼーションを除外するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決定される。このようなハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、0.0015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、65〜68℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および50% ホルムアミド、42℃である。このような高度にストリンジェントな条件については、Sambrooket al.,MolecularCloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory(ColdSpring Harbor,N,Y.1989);およびAnderson et al.、NucleicAcid Hybridization:a Practicalapproach、IV、IRL Press Limited(Oxford,England).Limited,Oxford,Englandを参照のこと。必要により、よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい。他の薬剤が、非特異的なハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。そのような他の薬剤の例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSOまたはSDS)、Ficoll、Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(または別の非相補的DNA)および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は、通常、pH6.8〜7.4で実施されるが;代表的なイオン強度条件において、ハイブリダイゼーションの速度は、ほとんどpH独立である。Anderson et al.、NucleicAcidHybridization:a Practical Approach、第4章、IRL Press Limited(Oxford,England)を参照のこと。
【0028】
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る。
(℃)=81.5+16.6(log[Na])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。
【0029】
本明細書において「中程度にストリンジェントな条件」とは、「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、50〜65℃、または0.015
M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37〜50℃である。例として、0.015Mナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
【0030】
本明細書において配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「類似性」のパーセンテージは、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求められる。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウィンドウ内の部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配列(他
の配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準配列は付加も欠失もないものとする)と比較したときに、付加または欠失(すなわちギャップ)が含ま
れる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛けて同一性のパーセンテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については、従来技術において周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(8):2444−2448、 Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Res.22(2):4673−4680、Higgins et al.,1996,Methods Enzymol.266:383−402、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)(たとえば、Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267−2268、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272、Altschul et al.,1997,Nuc.Acids Res.25:3389−3402を参照のこと)を用いて蛋白質および核酸配列の相同性を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施することによって比較または検索が達成され得る。
【0031】
(1) BLASTPおよびBLAST3でアミノ酸のクエリー配列を蛋白質配列データベースと比較;
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換した概念的翻訳産物を蛋白質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNで蛋白質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を6つの読み枠で変換したものを、6つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
【0032】
BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ましくは蛋白質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被検配列との間で、「ハイスコアセグメント対」と呼ばれる類似のセグメントを特定することによって相同配列を同定するものである。ハイスコアセグメント対は、多くのものが従来技術において周知のスコアリングマトリックスによって同定(すなわち整列化)されると好ましい。好ましくは、スコアリングマトリックスとしてBLOSUM62マトリックス(Gonnet et al.,1992,Science 256:1443−1445、Henikoff and Henikoff,1993,Proteins 17:49−61)を使用する。このマトリックスほど好ましいものではないが、PAMまたはPAM250マトリックスも使用できる(たとえば、Schwartz and Dayhoff,eds.,1978,Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlas of Protein Sequence and Structure,Washington: National Biomedical Research Foundationを参照のこと)。BLASTプログラムは、同定されたすべてのハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し、好ましくはユーザー固有の相同率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値レベルを満たすセグメントを選択する。統計的な有意性を求めるKarlinの式を用いてハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価すると好ましい(Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267−2268参照のこと)。
【0033】
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。そのような改変体としては、基準となる核酸分子またはポリペプチドに対して、1または数個の置換、付加および/または欠失、あるいは1つ以上の置換、付加および/または欠失を含むものが挙げられるがそれらに限定されない。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。そのような対立遺伝子変異体は、通常その対応する対立遺伝子と同一または非常に類似性の高い配列を有し、通常はほぼ同一の生物学的活性を有するが、まれに異なる生物学的活性を有することもある。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトおよびマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子およびβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用である。オルソログは、通常別の種において、もとの種と同様の機能を果たしていることがあり得ることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。
【0034】
同様に、「ポリヌクレオチドアナログ」、「核酸アナログ」は、ポリヌクレオチドまたは核酸とは異なる化合物であるが、ポリヌクレオチドまたは核酸と少なくとも1つの化学的機能または生物学的機能が等価であるものをいう。したがって、ポリヌクレオチドアナログまたは核酸アナログには、もとのペプチドに対して、1つ以上のヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド誘導体が付加または置換されているものが含まれる。
【0035】
本明細書において使用される核酸配列は、元の核酸配列と実質的に同一の活性を有する限り、上述のようにその核酸の配列の一部が欠失または他の塩基により置換されていてもよく、あるいは他の核酸配列が一部挿入されていてもよい。あるいは、5’末端および/または3’末端に他の核酸が結合していてもよい。
【0036】
このような核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
【0037】
本明細書において、ポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリヌクレオチドに対して、ヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、ホルモン、サイトカインの情報伝達機能など)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
【0038】
本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、必ずしも隣接して配置される必要はない。
【0039】
本明細書において使用する場合、用語「塩基対形成」とは、DNAの場合は、GとCとの組み合わせ、または、AとTとの組み合わせによる塩基対の形成、RNAの場合は、GとCとの組み合わせ、または、AとUとの組み合わせによる塩基対の形成をいう。
【0040】
本明細書において使用する場合、用語「塩基対形成を維持する置換」とは、塩基対を形成している2つの塩基の両方が置換され、その結果、置換後の2つの塩基が塩基対を形成する置換をいう。
【0041】
(一枚膜リポソームの製造)
本発明において使用する一枚膜リポソームは、実施例に記載する遠心沈降法を用いて調製することができるが、調製法は、これに限定されない。例えば、遠心沈降法の他にも、静置水和法(P.Mueller and T.F.Chien,Biophys.J.,1983,44,375−381)、および、エレクトロフォーメーション法(Miglena I.Angelove and Dimiter S.Dimitrov,Faraday Discuss.Chem.Soc.,1986,81,303−311)を利用することが可能である。
【0042】
静置水和法は、代表的には、以下の工程を包含する方法である:(1)脂質を溶媒に溶かしフラスコ中で自然乾燥することにより、フラスコ表面に脂質膜を形成させる工程;および、(2)水溶液を添加し、脂質膜を膨潤させる工程。この第2工程によって、脂質膜が水溶液を取り込んだリポソームが浮き上がってくる。
【0043】
エレクトロフォーメーション法は、代表的には、以下の工程を包含する方法である:(1)導電性電極上に脂質溶液を塗布し、乾燥させて脂質フィルムを形成させる工程;(2)絶縁性スペーサーを介した反対側にも導電性電極を設置し、その間を水溶液で満たす工程;および、(3)二つの電極間に電界を印加することにより、脂質膜を電極から剥がして巨大薄膜リポソームを作製する工程。
【0044】
本発明の一枚膜リポソームは、
(a)プロモーター配列、リボスイッチ配列、翻訳開始配列、および、ポリペプチドコード配列を含むDNA;
(b)RNAポリメラーゼ;
(c)リボヌクレオチド;ならびに、
(d)無細胞蛋白質合成系、
を用いて作製することができる。このDNA配列は、好ましくは、5’側から順番に、プロモーター配列、リボスイッチ配列、翻訳開始配列、および、ポリペプチドコード配列を含む。リボスイッチ配列は、好ましくは、配列番号1からなるチアミンピロリン酸(TPP)に応答するリボスイッチ配列またはその改変体、あるいは、配列番号2からなるテオフィリンに応答するリボスイッチ配列またはその改変体である。
【0045】
プロモーター配列は、使用するRNAポリメラーゼと適合する限り、任意の配列を使用することができる。種々のプロモーター配列は周知であり、そして、必要とされる転写量に応じて、当業者は、適宜、適切なプロモーター配列を選択することができる。リボスイッチ配列は、「リボスイッチ配列が応答する化合物」に応じて、適宜、選択ないし作製することができる。例えば、「リボスイッチ配列が応答する化合物」がチアミンピロリン酸の場合、「リボスイッチ配列」は配列番号1からなる配列またはその改変体である。配列番号1からなる配列の改変体としては、以下の核酸配列からなる群から選択される核酸配列からなり、かつ、有意なリボスイッチ活性を有する核酸配列が挙げられる。
(i)配列番号1に記載の核酸配列に対して、高度にストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションする核酸配列;
(ii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と144位との間の塩基対形成、
3位と143位との間の塩基対形成、
4位と142位との間の塩基対形成、
5位と141位との間の塩基対形成、
6位と140位との間の塩基対形成、
7位と139位との間の塩基対形成、
8位と138位との間の塩基対形成、
9位と137位との間の塩基対形成、
10位と136位との間の塩基対形成、
15位と131位との間の塩基対形成、
16位と130位との間の塩基対形成、
17位と129位との間の塩基対形成、
18位と128位との間の塩基対形成、
19位と127位との間の塩基対形成、
20位と126位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と124位との間の塩基対形成、
50位と86位との間の塩基対形成、
51位と85位との間の塩基対形成、
52位と84位との間の塩基対形成、
53位と83位との間の塩基対形成、
54位と82位との間の塩基対形成、
55位と80位との間の塩基対形成、
56位と73位との間の塩基対形成、
57位と72位との間の塩基対形成、
58位と71位との間の塩基対形成、
60位と69位との間の塩基対形成、
92位と117位との間の塩基対形成、
93位と116位との間の塩基対形成、
94位と115位との間の塩基対形成、
98位と111位との間の塩基対形成、
99位と110位との間の塩基対形成、
100位と109位との間の塩基対形成、および、
101位と108位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列。
【0046】
あるいは、上記(iii)において列挙した塩基対形成の、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または、9つ、あるいは、それ以上が塩基対形成をしないように置換されていてもよい。
【0047】
「リボスイッチ配列が応答する化合物」がテオフィリンの場合、「リボスイッチ配列」は配列番号2からなる配列またはその改変体である。配列番号2からなる配列の改変体としては、以下の核酸配列からなる群から選択される核酸配列からなり、かつ、有意なリボスイッチ活性を有する核酸配列が挙げられる。
(i)配列番号2に記載の核酸配列に対して、高度にストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションする核酸配列;
(ii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と97位との間の塩基対形成、
3位と96位との間の塩基対形成、
4位と95位との間の塩基対形成、
5位と94位との間の塩基対形成、
6位と93位との間の塩基対形成、
7位と92位との間の塩基対形成、
8位と91位との間の塩基対形成、
9位と90位との間の塩基対形成、
10位と89位との間の塩基対形成、
15位と84位との間の塩基対形成、
16位と83位との間の塩基対形成、
17位と82位との間の塩基対形成、
18位と81位との間の塩基対形成、
19位と80位との間の塩基対形成、
20位と79位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と77位との間の塩基対形成、
47位と75位との間の塩基対形成、
48位と74位との間の塩基対形成、
52位と70位との間の塩基対形成、
53位と69位との間の塩基対形成、
54位と68位との間の塩基対形成、
55位と64位との間の塩基対形成、
56位と63位との間の塩基対形成、
57位と62位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号2に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列。
【0048】
あるいは、上記(iii)において列挙した塩基対形成の、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または、9つ、あるいは、それ以上が塩基対形成をしないように置換されていてもよい。
【0049】
翻訳開始配列は、無細胞蛋白質合成系と適合性である限り、任意の配列を選択することができる。種々の翻訳開始配列は周知であり、必要とされる翻訳量に応じて、当業者は、適宜、適切なプロモーター配列を選択することができる。
【0050】
任意の化合物に応答するリボスイッチ配列の設計法としては、例えば、以下に記載の方法が挙げられるがこれに限定されない。
【0051】

(リボスイッチ配列の設計法)
所定の化合物に応答するリボスイッチ配列は、例えば、以下の手順で設計することが可能である。
(1)例えば、以下の手順で、インビトロ選択法またはSELEX法により所定の化合物に結合するRNA配列を取得する:(a)200塩基程度のランダムRNAライブラリーを用意する;(b)固相(ビーズやレジン)に標的化号物を固定化する;(c)固相に結合したRNAを選択する;(d)得られたRNAを増幅する;(e)増幅したRNAに変異導入し、複数種類のRNA分子のプールを調製する;(f)工程(c)〜(e)を繰り返し、所定の化合物に強く結合するRNAを取得する。
(2)上記(1)で取得したRNAを、実施例で使用したリボスイッチ配列のTPP結合配列と入れ替える。その際に導入した配列と、導入元の配列の接合部位は数塩基のリンカー配列を入れる。リンカー配列は異なる種類を検討し、最もよく応答する配列を選択する。
【0052】
上記の手法に従い、例えば、環境中の有害物質を認識して応答するリボスイッチ配列を設計し、本発明においてGFP遺伝子とともに使用することによって、環境中の有害物質に応答して光るリポソームを開発することができる。これはバイオセンサーとして利用できる。あるいは、上記の手法に従い、例えば、リポソーム外部のグルコースに応答するリボスイッチ配列を設計し、血糖値の調整に寄与する酵素(例えば、グルコース分解酵素およびグルコース合成酵素)をコードする遺伝子とともに本発明のリポソームを製造し、そのリポソームを血中に投与した場合に血中のグルコースに応答することにより、血糖値が高い場合には血糖値の低減に寄与する酵素(例えば、グルコース分解酵素)を発現させ、逆に、血糖値が低い場合には血糖値の増加に寄与する酵素(例えば、グルコース合成酵素)を発現させることにより、血糖値を一定に保つことができる。
【0053】
本発明はまた、上記以外にも血中の特定化合物濃度の以上が原因となる疾患に応用可能である。具体的には、その特定の化合物に対するリボスイッチとその分解酵素、あるいは合成酵素をリポソームに組み込むことにより、特定の化合物の濃度が一定以上になった場合に酵素反応によって分解する、あるいは一定以下になった場合に合成することができる。
【0054】
たとえば、血中尿酸濃度が高くなりすぎることが原因である痛風に対しては、この方法で血中の尿酸濃度を基準値以下に保つことができる。他にも血中エストロゲン濃度低下により引き起こされる骨粗鬆症についても、この方法で一定濃度に保つことができる。
【0055】
(リボスイッチ配列の活性の測定)
本発明のリボスイッチ配列は、リボスイッチ活性を有する。所定の化合物に応答するリボスイッチ配列の活性(リボスイッチ活性)は、例えば、以下の方法で測定することが可能である。
【0056】
5’から3’に、所定のプロモーター配列、リボスイッチ配列、および、レポーター遺伝子を順番に含むDNA構築物を作製する。リボスイッチ配列の代わりに、同じ長さのランダムRNA配列か、もしくはリボスイッチ配列を除いたRNAをネガティブコントロール配列として利用することができる。コントロールDNA構築物として、5’から3’に、所定のプロモーター配列、上記のネガティブコントロール配列、および、レポーター遺伝子を順番に含むDNA構築物を作製する。また、レポーター遺伝子の替わりに、所望のアミノ酸配列のコード配列を使用してもよい。
【0057】
所定の化合物の存在下および非存在下で、目的のDNA構築物またはコントロールDNA構築物のいずれかを、所定のプロモーター配列と適合性のRNAポリメラーゼおよび無細胞蛋白質合成系と混合し、レポーター遺伝子からの遺伝子産物の翻訳が行なわれる条件下でインキュベートし、レポーター遺伝子からの遺伝子産物の発現量または活性を測定する。所定の化合物の存在下での遺伝子産物の発現量または活性を所定の化合物非存在下で正規化し、目的のDNA構築物の値と、コントロールDNA構築物での値を比較する。値の増加量が、25%以上、50%以上、100%以上、150%以上、200%以上、または、300%以上の場合、好ましくは100%以上の場合、用いたリボスイッチ配列は、有意なリボスイッチ活性を有すると判断される。
【0058】
(ポジティブフィードバック回路による高応答性スイッチ)
上記の[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[レポーター遺伝子]とともに、ポジティブフィードバック回路、例えば、リボスイッチ配列上流のプロモーターからの転写を行なうポリメラーゼをコードする配列を、[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[プロモーターからの転写を行なうポリメラーゼをコードする配列]を用いてもよい。この[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[プロモーターからの転写を行なうポリメラーゼをコードする配列]は、リボスイッチ配列の応答の結果、プロモーターからの転写を行なうポリメラーゼを発現させ、その結果、[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[レポーター遺伝子]の応答のレベルが増加する。すなわち、[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[プロモーターからの転写を行なうポリメラーゼをコードする配列]は、ポジティブフィードバック回路として作用し、リボスイッチ配列の応答を、より急激なものにする。このポジティブフィードバック回路のポリメラーゼとして好ましいポリメラーゼは、T3ポリメラーゼである。
【実施例】
【0059】
以下に実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
(実施例1:一枚膜リポソームの調製)
本発明において使用するリポソームは、例えば、以下の方法によって調製することが可能である。
・10mgの脂質(ホスファチジルコリン:コレステロール=9:1)を100μlクロロホルムに溶解し、2mlの流動パラフィンと混合した。
・80℃で30分インキュベーションした。
・リポソーム外液(200mM グルコース、無細胞翻訳系から翻訳タンパク質群とtRNAを除いたもの)、内液(200mM スクロース、無細胞翻訳系、40 U/μul RNaseインヒビター(Promega)、0.5〜5 U/μl T7 RNAポリメラーゼ、10 nM 鋳型DNA(T7プロモーター配列、リボスイッチ配列、GFP遺伝子を含むPCR産物:「T7−RSW−GFP」と称する)、0.1〜4mM TPP)を調製した。
・脂質を溶解した流動パラフィン400μlにリポソーム内液20μlを入れ、氷上で1分置いた。
・ボルテックスミキサーの最大強度で40秒攪拌しエマルションを調整後、氷上で10分置いた。
・新しいチューブにリポソーム外液150μlをいれ、その上に調製したエマルションを積層し、氷上で10分置いた。
・14k×g、4℃で30分遠心した。
・チューブの底に穴を開け、底に溜まったリポソーム懸濁液80μlを回収した。
・リポソーム懸濁液に2μlの5U/μl DNase、あるいは4mg/ml RNaseを添加した。
・リポソーム懸濁液を37℃で3〜24時間インキュベーションした。
【0061】
鋳型DNA配列はプライマーとしてATCGGTGATGTCGGCGATATAG(配列番号7)とGCTAGTTATTGCTCAGCGG(配列番号8)、鋳型としてプラスミドpETG5_T3_rsw_TTP1(配列番号9)を用いたPCRにより調製した。調製したPCR増幅産物は、[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[GFPコード領域]を含む。
【0062】
使用した無細胞翻訳系(無細胞蛋白質合成系)の組成は、以下のとおりである:
各0.3 mM アミノ酸(アラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、セリン、スレオニン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、メチオニン、システイン、チロシン)、3.6μg/μl tRNA、2mM ATP、2mM GTP、1mM CTP、1mM UTP、14mM 酢酸マグネシウム、50mM Hepes−KOH (pH7.8)、100mM グルタミン酸カリウム、2mM スペルミジン、20mM クレアチンリン酸、2mM ジチオスレイトール、10ng/μl 10−ホルミル−5.6.7.8.−テトラヒドロ葉酸、翻訳タンパク質群(2500nM IF1、411nM IF2、728nM IF3、247nM RF1、484nM RF2、168nM RF3、485nM RRF、727nM AlaRS、99nM ArgRS、420nM AsnRS、121nM AspRS、100nM CysRS、101nM GlnRS、232nM GluRS、86nM GlyRS、85nM HisRS、365nM IleRS、99nM LeuRS、115nM LysRS、109nM MetRS、134nM PheRS、166nM ProRS、99nM SerRS、84nM ThrRS、102nM TrpRS、101nM TyrRS、100nM ValRS、588nM MTF、926nM MK、465nM CK、1307nM NDK、621nM Ppiase2、1290nM EF−G、2315nM EF−Tu、3300nM EF−Ts、529nM Tig、22nM HrpA、1440nM TrxC)。
【0063】
(実施例2:GFP活性の測定)
実施例1で調製したリポソームを含む溶液に、1mMのTPP(チアミンピロリン酸)を添加し、37℃で、24時間インキュベートした後、リポソームを明視野および蛍光視野において観察した。結果を図2に示す。
【0064】
図2の結果から明らかなように、TPPの添加によって、GFPの発現が誘導された。
【0065】
(実施例3:種々のプロモーター配列の比較)
実施例1において使用したDNA構築物におけるT7プロモーター配列(配列番号3)を、T5プロモーター配列(配列番号10)、Sp6プロモーター配列(配列番号5)、または、T3プロモーター配列(配列番号6)のいずれかに置き換えたDNA構築物、T5−RSW−GFP、Sp6−RSW−GFP、および、T3−RSW−GFPを作製し、1mMのTPP(チアミンピロリン酸)を添加し、37℃で、各時間インキュベートした後、蛍光輝度を蛍光光度計(AgilentのMx3005P)によって測定した。その結果を図3に示す。図3において、「T7」はT7−RSW−GFPを用いた結果であり、「T5」はT5−RSW−GFPを用いた結果であり、「Sp6」はSp6−RSW−GFPを用いた結果であり、そして、「T3」はT3−RSW−GFPを用いた結果である。
【0066】
図3の結果から明らかなように、T3プロモーター配列を用いた場合には、他のプロモーター配列と比較して、TPPに対する応答が高レベルであった。
【0067】
(実施例4:ポジティブフィードバック回路による高応答性スイッチ)
実施例1では、[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[GFPコード領域]を含むPCR増幅産物を調製して使用した。本実施例では、実施例1で調製したPCR産物のGFPコード領域を、T3ポリメラーゼコード領域(配列番号10)で置換したPCR産物を、実施例1で調製したPCR産物とともにリポソーム内に封入して用いる。
【0068】
実施例2と同様に、リポソーム外部にTPPを添加してインキュベートすることによって、GFPとT3ポリメラーゼの両方の発現が誘導される。実施例2の実験では、T3ポリメラーゼの量が一定であることから、GFPが誘導される速度はほぼ一定であるが、本実施例の場合には、T3ポリメラーゼの発現も誘導されることから、GFPの誘導発現量が指数的に増加すると考えられる。実際、試験管内で(1)[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[GFPコード領域]のみの場合、と(2)[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[GFPコード領域]と、[プロモーター配列]−[リボスイッチ配列]−[T3ポリメラーゼコード領域]との組み合わせの場合、を比較したところ、(2)は(1)と比較して急激な蛍光の応答を示した。
【0069】
したがって、上記のようなポリメラーゼのポジティブフィードバック回路を用いることによって、高応答性スイッチを作製することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に従って、リポソーム内の組成を、リポソーム外部から制御することが可能となる。その結果、リポソーム内の微小区画での反応を、外界から制御することが可能となる。さらに、本発明に従い、リポソーム外界からの物質に応答して、レポーター遺伝子の発現を誘発するバイオセンサーを作製することも可能となる。この手法によって、例えば、環境中の有害物質を認識して光るリポソームを開発することができる。あるいは、本発明を用いて、生体内の環境に応答して、有効成分を発現する医薬の製造も可能となる。例えば、リポソームを血中に投与し、血中のグルコースに応答することにより、血糖値が高い場合にはグルコース分解酵素を発現させ、逆に血糖値が低い場合にはグルコース合成酵素を発現させることにより、血糖値を一定に保つことができる。
【配列表フリーテキスト】
【0071】
配列番号1:チアミンピロリン酸に応答するリボスイッチの核酸配列
配列番号2:テオフィリンに応答するリボスイッチの核酸配列
配列番号3:T7プロモーターの核酸配列
配列番号4:T5プロモーターの核酸配列
配列番号5:Sp6プロモーターの核酸配列
配列番号6:T3プロモーターの核酸配列
配列番号7:実施例1で使用したPCRプライマーの核酸配列
配列番号8:実施例1で使用したPCRプライマーの核酸配列
配列番号9:実施例1でPCRの鋳型として使用したプラスミドの核酸配列
配列番号10:実施例3で使用したT5プロモーターの核酸配列
配列番号11:T3ポリメラーゼコード領域の核酸配列
配列番号12:T3ポリメラーゼのアミノ酸配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)プロモーター配列、リボスイッチ配列、翻訳開始配列、および、ポリペプチドコード配列を含むDNA;
(b)RNAポリメラーゼ;
(c)リボヌクレオチド;ならびに、
(d)無細胞蛋白質合成系、
を含む、一枚膜リポソーム。
【請求項2】
前記リボスイッチ配列が、テオフィリン、および、チアミンピロリン酸からなる選択される化合物に応答する配列である、請求項1に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項3】
前記リボスイッチ配列が、チアミンピロリン酸に応答する配列であって、以下:
(i)配列番号1に記載の核酸配列;
(ii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と144位との間の塩基対形成、
3位と143位との間の塩基対形成、
4位と142位との間の塩基対形成、
5位と141位との間の塩基対形成、
6位と140位との間の塩基対形成、
7位と139位との間の塩基対形成、
8位と138位との間の塩基対形成、
9位と137位との間の塩基対形成、
10位と136位との間の塩基対形成、
15位と131位との間の塩基対形成、
16位と130位との間の塩基対形成、
17位と129位との間の塩基対形成、
18位と128位との間の塩基対形成、
19位と127位との間の塩基対形成、
20位と126位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と124位との間の塩基対形成、
50位と86位との間の塩基対形成、
51位と85位との間の塩基対形成、
52位と84位との間の塩基対形成、
53位と83位との間の塩基対形成、
54位と82位との間の塩基対形成、
55位と80位との間の塩基対形成、
56位と73位との間の塩基対形成、
57位と72位との間の塩基対形成、
58位と71位との間の塩基対形成、
60位と69位との間の塩基対形成、
92位と117位との間の塩基対形成、
93位と116位との間の塩基対形成、
94位と115位との間の塩基対形成、
98位と111位との間の塩基対形成、
99位と110位との間の塩基対形成、
100位と109位との間の塩基対形成、および、
101位と108位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、請求項1に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項4】
前記リボスイッチ配列が、テオフィリンに応答する配列であって、以下:
(i)配列番号2に記載の核酸配列;
(ii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と97位との間の塩基対形成、
3位と96位との間の塩基対形成、
4位と95位との間の塩基対形成、
5位と94位との間の塩基対形成、
6位と93位との間の塩基対形成、
7位と92位との間の塩基対形成、
8位と91位との間の塩基対形成、
9位と90位との間の塩基対形成、
10位と89位との間の塩基対形成、
15位と84位との間の塩基対形成、
16位と83位との間の塩基対形成、
17位と82位との間の塩基対形成、
18位と81位との間の塩基対形成、
19位と80位との間の塩基対形成、
20位と79位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と77位との間の塩基対形成、
47位と75位との間の塩基対形成、
48位と74位との間の塩基対形成、
52位と70位との間の塩基対形成、
53位と69位との間の塩基対形成、
54位と68位との間の塩基対形成、
55位と64位との間の塩基対形成、
56位と63位との間の塩基対形成、
57位と62位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号2に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、請求項1に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項5】
前記プロモーター配列および前記RNAポリメラーゼが、原核生物由来である、請求項1に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項6】
前記プロモーター配列が、T7プロモーター配列(配列番号3)、T5プロモーター配列(配列番号4)、Sp6プロモーター配列(配列番号5)、および、T3プロモーター配列(配列番号6)からなる群から選択される、請求項1に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項7】
前記プロモーター配列が、T3プロモーター配列(配列番号6)である、請求項1に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項8】
さらに、
(e)前記(a)と同一のポリメラーゼによって転写される第2のプロモーター配列、前記(a)のリボスイッチ配列と同一の化合物に対して応答する第2のリボスイッチ配列、翻訳開始配列、および、前記(a)のプロモーター配列および該第2のプロモーター配列からの転写を行なうポリメラーゼのコード配列を含む第2のDNA
をさらに含む、請求項1に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項9】
前記(a)のリボスイッチ配列が、チアミンピロリン酸に応答する配列であって、前記代2のリボスイッチ配列が、以下:
(i)配列番号1に記載の核酸配列;
(ii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と144位との間の塩基対形成、
3位と143位との間の塩基対形成、
4位と142位との間の塩基対形成、
5位と141位との間の塩基対形成、
6位と140位との間の塩基対形成、
7位と139位との間の塩基対形成、
8位と138位との間の塩基対形成、
9位と137位との間の塩基対形成、
10位と136位との間の塩基対形成、
15位と131位との間の塩基対形成、
16位と130位との間の塩基対形成、
17位と129位との間の塩基対形成、
18位と128位との間の塩基対形成、
19位と127位との間の塩基対形成、
20位と126位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と124位との間の塩基対形成、
50位と86位との間の塩基対形成、
51位と85位との間の塩基対形成、
52位と84位との間の塩基対形成、
53位と83位との間の塩基対形成、
54位と82位との間の塩基対形成、
55位と80位との間の塩基対形成、
56位と73位との間の塩基対形成、
57位と72位との間の塩基対形成、
58位と71位との間の塩基対形成、
60位と69位との間の塩基対形成、
92位と117位との間の塩基対形成、
93位と116位との間の塩基対形成、
94位と115位との間の塩基対形成、
98位と111位との間の塩基対形成、
99位と110位との間の塩基対形成、
100位と109位との間の塩基対形成、および、
101位と108位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、請求項8に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項10】
前記(a)のリボスイッチ配列が、テオフィリンに応答する配列であって、前記代2のリボスイッチ配列が、以下:
(i)配列番号2に記載の核酸配列;
(ii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と97位との間の塩基対形成、
3位と96位との間の塩基対形成、
4位と95位との間の塩基対形成、
5位と94位との間の塩基対形成、
6位と93位との間の塩基対形成、
7位と92位との間の塩基対形成、
8位と91位との間の塩基対形成、
9位と90位との間の塩基対形成、
10位と89位との間の塩基対形成、
15位と84位との間の塩基対形成、
16位と83位との間の塩基対形成、
17位と82位との間の塩基対形成、
18位と81位との間の塩基対形成、
19位と80位との間の塩基対形成、
20位と79位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と77位との間の塩基対形成、
47位と75位との間の塩基対形成、
48位と74位との間の塩基対形成、
52位と70位との間の塩基対形成、
53位と69位との間の塩基対形成、
54位と68位との間の塩基対形成、
55位と64位との間の塩基対形成、
56位と63位との間の塩基対形成、
57位と62位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号2に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、請求項8に記載の一枚膜リポソーム。
【請求項11】
リポソーム内の物質組成を変化させる方法であって、以下:
(1)請求項1または8に記載の一枚膜リポソームを提供する工程;および、
(2)前記リボスイッチ配列が応答する化合物と、該一枚膜リポソームとを接触させる工程;
を包含する、方法。
【請求項12】
前記リボスイッチ配列が、テオフィリン、および、チアミンピロリン酸からなる選択される化合物に応答する配列である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リボスイッチ配列が、チアミンピロリン酸に応答する配列であって、以下:
(i)配列番号1に記載の核酸配列;
(ii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号1に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と144位との間の塩基対形成、
3位と143位との間の塩基対形成、
4位と142位との間の塩基対形成、
5位と141位との間の塩基対形成、
6位と140位との間の塩基対形成、
7位と139位との間の塩基対形成、
8位と138位との間の塩基対形成、
9位と137位との間の塩基対形成、
10位と136位との間の塩基対形成、
15位と131位との間の塩基対形成、
16位と130位との間の塩基対形成、
17位と129位との間の塩基対形成、
18位と128位との間の塩基対形成、
19位と127位との間の塩基対形成、
20位と126位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と124位との間の塩基対形成、
50位と86位との間の塩基対形成、
51位と85位との間の塩基対形成、
52位と84位との間の塩基対形成、
53位と83位との間の塩基対形成、
54位と82位との間の塩基対形成、
55位と80位との間の塩基対形成、
56位と73位との間の塩基対形成、
57位と72位との間の塩基対形成、
58位と71位との間の塩基対形成、
60位と69位との間の塩基対形成、
92位と117位との間の塩基対形成、
93位と116位との間の塩基対形成、
94位と115位との間の塩基対形成、
98位と111位との間の塩基対形成、
99位と110位との間の塩基対形成、
100位と109位との間の塩基対形成、および、
101位と108位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記リボスイッチ配列が、テオフィリンに応答する配列であって、以下:
(i)配列番号2に記載の核酸配列;
(ii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列;
(iii)配列番号2に記載の核酸配列において、1または数個の欠失、付加、または、置換を有する核酸配列であって、ここで、
2位と97位との間の塩基対形成、
3位と96位との間の塩基対形成、
4位と95位との間の塩基対形成、
5位と94位との間の塩基対形成、
6位と93位との間の塩基対形成、
7位と92位との間の塩基対形成、
8位と91位との間の塩基対形成、
9位と90位との間の塩基対形成、
10位と89位との間の塩基対形成、
15位と84位との間の塩基対形成、
16位と83位との間の塩基対形成、
17位と82位との間の塩基対形成、
18位と81位との間の塩基対形成、
19位と80位との間の塩基対形成、
20位と79位との間の塩基対形成、
28位と41位との間の塩基対形成、
29位と40位との間の塩基対形成、
30位と39位との間の塩基対形成、
31位と38位との間の塩基対形成、
45位と77位との間の塩基対形成、
47位と75位との間の塩基対形成、
48位と74位との間の塩基対形成、
52位と70位との間の塩基対形成、
53位と69位との間の塩基対形成、
54位と68位との間の塩基対形成、
55位と64位との間の塩基対形成、
56位と63位との間の塩基対形成、
57位と62位との間の塩基対形成、
が維持される核酸配列;ならびに、
(iv)配列番号2に記載の核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、核酸配列;
からなる群から選択される核酸配列からなる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記プロモーター配列および前記RNAポリメラーゼが、原核生物由来である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記プロモーター配列が、T7プロモーター配列(配列番号3)、T5プロモーター配列(配列番号4)、Sp6プロモーター配列(配列番号5)、および、T3プロモーター配列(配列番号6)からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記プロモーター配列が、T3プロモーター配列(配列番号6)である、請求項11に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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