説明

外部電極用導電性ペースト、これを用いた積層セラミック電子部品及びその製造方法

【課題】本発明は、外部電極用導電性ペースト、これを用いた積層セラミック電子部品及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペースト、これを用いた積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供する。本発明によると、内部電極と外部電極との連結性低下及びガラスの励起によるメッキ不良を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部電極と外部電極との連結性低下及びガラスの励起によるメッキ不良を解決した外部電極用導電性ペースト、これを用いた積層セラミック電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子製品の小型化に伴い、積層セラミック電子部品の小型化及び大容量化も求められており、これにより、当該積層セラミック電子部品の外部電極も薄層化されている。
【0003】
外部電極用ペーストは、主材料として銅(Cu)等の導電性金属粉末が含まれるため、チップの密閉性及び外部電極とチップとの電気的連結性を保障し、補助材料としてガラスが含まれるため、上記導電性金属粉末の焼結収縮時に生じる空間を充填すると共に外部電極とチップとの結合力を与える役割をする。
【0004】
上記ガラスとしては、通常、酸化物系ガラスを用いる。上記外部電極用ペーストをチップの端部に塗布し焼結させることにより外部電極を形成し、その後、ニッケル(Ni)及び錫(Sn)を順次電解メッキすることによりメッキ層を形成する。
【0005】
しかしながら、上記外部電極用ペーストに酸化物系ガラスを添加して外部電極を製作することには、下記のような問題がある。
【0006】
第一に、焼成過程でガラスが内部電極を覆ってしまうため、当該内部電極と外部電極との連結性が低下することがある。
【0007】
第二に、焼成過程でガラスが外部電極の外に溶出されるため、その後のメッキ工程でメッキ不良が生じることがある。
【0008】
特に、外部電極の薄層化に伴い、所望の水準の緻密度を具現するのが困難となり、ガラスの高温挙動特性上、ガラスの不足又は過剰による不良発生の可能性が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、内部電極と外部電極との連結性低下及びガラスの励起によるメッキ不良を解決できる外部電極用導電性ペースト、これを用いた積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペーストは、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含むことができる。
【0011】
上記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmであることができる。
【0012】
上記導電性金属粉末の含量は、上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部であることができる。
【0013】
上記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0014】
本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層を含むセラミック本体と、当該セラミック本体内で上記誘電体層を介して対向配置される第1及び第2の内部電極と、当該第1の内部電極と電気的に連結された第1の外部電極及び当該第2の内部電極と電気的に連結された第2の外部電極と、を含み、上記第1及び第2の外部電極の内部の溶存酸素含量が100ppm以下であることができる。
【0015】
上記第1及び第2の外部電極は、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストを塗布して形成されることができる。
【0016】
上記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmであることができる。
【0017】
上記導電性金属粉末の含量は、上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部であることができる。
【0018】
上記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態による積層セラミック電子部品は、複数の誘電体層を含むセラミック本体と、当該セラミック本体内で上記複数の誘電体層のそれぞれを介して対向配置される複数の第1及び第2の内部電極と、当該第1の内部電極と電気的に連結された第1の外部電極及び当該第2の内部電極と電気的に連結された第2の外部電極と、を含み、上記第1及び第2の外部電極の内部の溶存酸素含量が100ppm以下であることができる。
【0020】
上記第1及び第2の外部電極は、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストを塗布して形成されることができる。
【0021】
上記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmであることができる。
【0022】
上記導電性金属粉末の含量は、上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部であることができる。
【0023】
上記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、誘電体層と当該誘電体層を介して対向配置される第1及び第2の内部電極とを含むセラミック本体を製造する段階と、導電性金属粉末とa+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末とを含む外部電極用導電性ペーストを製造する段階と、上記第1及び第2の内部電極と電気的に連結されるように外部電極用導電性ペーストを上記セラミック本体の上に塗布する段階と、上記セラミック本体を焼成して第1及び第2の外部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【0025】
上記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmであることができる。
【0026】
上記導電性金属粉末の含量は、上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部であることができる。
【0027】
上記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0028】
上記第1及び第2の外部電極の内部の溶存酸素含量は、100ppm以下であることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、伝導性を有する非晶質金属(Amorphous metal)を用いて外部電極を形成するため、電極の焼成後に生じやすい内部電極と外部電極との連結性低下及びガラスの励起によるメッキ不良を解決した積層セラミック電子部品を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペーストの概略図である。
【図2】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの概略斜視図である。
【図3】図1のA−A’線に沿う断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態は、多様な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当業界における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張されることがある。なお、図面上において同一符号で表示される要素は、同一の要素である。
【0032】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペーストの概略図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペーストは、導電性金属粉末1と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末2と、を含み、有機バインダーと有機溶剤とを含む有機ビヒクルをさらに含むことができる。
【0035】
上記導電性金属粉末1は、静電容量の形成のために上記第1及び第2の内部電極21、22と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0036】
上記導電性金属粉末1の含量は、上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部であることができる。
【0037】
本発明の一実施形態によると、上記外部電極用導電性ペーストに上記伝導性非晶質金属粉末2が含まれることから、ガラス等の無機材料を含む際に起こることがある問題が生じないため、上記導電性金属粉末1の含量は、40〜60重量部であることができる。
【0038】
具体的には、本発明の一実施形態によると、ガラスを過量に含む際に起こることがある問題、即ち、焼成過程でガラスが内部電極を覆って当該内部電極と外部電極との連結性が低下する問題及び焼成過程でガラスが外部電極の外に溶出されて焼成後のメッキ工程でメッキ不良が生じる問題を解決することができる。
【0039】
したがって、本発明の一実施形態によると、上記導電性金属粉末1の含量は、上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部であることができる。
【0040】
上記導電性金属粉末1が上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40重量部未満で含まれる場合、上記伝導性非晶質金属粉末2が過量に添加されるため、内部電極と外部電極との連結性が低下することがある。
【0041】
上記導電性金属粉末1が上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して60重量部を超えて含まれる場合、上記伝導性非晶質金属粉末2が少量添加されるため、チップの密閉性が低下することがある。
【0042】
上記伝導性非晶質金属粉末2は、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含むことができる。
【0043】
上記伝導性非晶質金属粉末2は、伝導性を有する物質で、焼成過程中に外部電極とセラミック本体との間に均一に融着されて当該外部電極と当該セラミック本体とを強く接合させることができる。
【0044】
また、上記伝導性非晶質金属粉末2は、内部電極を含むセラミック本体の末端の気密封着(hermetic sealing)に非常に効果的であることができる。
【0045】
また、上記伝導性非晶質金属粉末2は、伝導性を有するため、酸化物系ガラスとは異なり、焼成過程中に溶融された伝導性非晶質金属粉末2が内部電極を覆ってしまう場合にも当該内部電極と外部電極との電気的接合を可能にすることができる。
【0046】
また、上記伝導性非晶質金属粉末2は、伝導性を有するため、酸化物系ガラスとは異なり、焼成過程中に溶融された伝導性非晶質金属粉末2が外部電極の外に溶出される場合にもメッキ層の形成を可能にすることができる。
【0047】
本発明の一実施形態による伝導性非晶質金属粉末2は、内部電極と外部電極との電気的接合及び溶出の際にもメッキ層の形成が可能となるように、a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)の式で表現される物質を含むことができる。
【0048】
上記伝導性非晶質金属粉末2を400〜1000℃の高温でセラミック本体と均一に接合させるためには、ガラス安定性及び濡れ温度が重要である。
【0049】
上記ガラス安定性(ΔT)は、結晶化温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差、即ち、ΔT=Tc−Tgで表現されることができる。
【0050】
上記ガラス安定性(ΔT)は、接合しようとする温度における安定的な粘性挙動の確保の面において重要な因子で、本発明の一実施形態によると、上記伝導性非晶質金属粉末2のガラス安定性が約50℃以上であってこそ、セラミック本体と外部電極との十分な接合力が得られる。
【0051】
上記濡れ温度(Twet)は、伝導性非晶質金属粉末の励起現象と密接な関係がある。外部電極用導電性ペースト内の導電性金属粉末と伝導性非晶質金属粉末との濡れ温度が電極焼成温度に比べて相対的に高い場合、焼成過程で溶融液状態の伝導性非晶質金属粉末が外部電極の外に溶出されることがある。
【0052】
また、外部電極用導電性ペースト内の導電性金属粉末と伝導性非晶質金属粉末との濡れ温度が電極焼成温度に比べて低すぎる場合、内部電極と外部電極との合金反応が起こる前に伝導性非晶質金属粉末が先に軟化及び融着されて内部電極を覆ってしまうため、当該内部電極と外部電極との連結性が低下することがある。
【0053】
本発明の一実施形態によると、上記式がa+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足するため、焼成過程中に伝導性非晶質金属粉末が外部電極とセラミック本体との間に均一に融着されて当該外部電極と当該セラミック本体とを強く接合させることができる。
【0054】
上記伝導性非晶質金属粉末2の平均粒径は、例えば、0.5〜5.0μmであることができるが、特に制限されるものではない。
【0055】
上記伝導性非晶質金属粉末2の平均粒径が0.5μm未満の場合、当該伝導性非晶質金属粉末2が先に軟化及び融着されて内部電極を覆ってしまうため、当該内部電極と外部電極との連結性が低下することがある。
【0056】
また、上記伝導性非晶質金属粉末2の平均粒径が5.0μmを超える場合、焼成過程で当該伝導性非晶質金属粉末2が外部電極の外に溶出されることがあるため、問題となることがある。
【0057】
図2は、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの概略斜視図であり、図3は、図1のA−A’線に沿う断面図である。
【0058】
図2及び図3を参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層3を含むセラミック本体10と、当該セラミック本体10内で上記誘電体層3を介して対向配置される第1及び第2の内部電極21、22と、当該第1の内部電極21と電気的に連結された第1の外部電極31及び当該第2の内部電極22と電気的に連結された第2の外部電極32と、を含み、上記第1及び第2の外部電極31、32の内部の溶存酸素含量が100ppm以下であることができる。
【0059】
以下、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品を積層セラミックキャパシタとして説明するが、これに制限されるものではない。
【0060】
図2を参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタにおいて、長さ方向は「L方向」、幅方向は「W方向」、厚さ方向は「T方向」である。上記「厚さ方向」は、誘電体層を積み重ねる方向、即ち、「積層方向」である。
【0061】
本発明の他の実施形態によると、上記誘電体層1の原料は、十分な静電容量が得られるものであれば特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末であることができる。
【0062】
上記誘電体層1を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)等のパウダーに、本発明の目的に応じて多様なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤等が添加されることができる。
【0063】
上記第1及び第2の内部電極21、22を形成する材料は、特に制限されず、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)の一つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて上記第1及び第2の内部電極21、22を形成することができる。
【0064】
本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記第1の内部電極21と電気的に連結された第1の外部電極31と、上記第2の内部電極22と電気的に連結された第2の外部電極32と、を含むことができる。
【0065】
上記第1及び第2の外部電極31、32は、静電容量の形成のために上記第1及び第2の内部電極21、22と電気的に連結され、また、それぞれ異なる電位に連結されることができる。
【0066】
本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2の外部電極31、32は、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストを塗布して形成されることができる。
【0067】
上記外部電極用導電性ペーストに関する特徴は、上述と同様であるため、以下ではその説明を省略する。
【0068】
本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2の外部電極31、32の内部の溶存酸素含量は、100ppm以下であることができる。
【0069】
上記第1及び第2の外部電極31、32は、酸化物系ガラスの代わりに導電性を有する非晶質金属粉末を含んで形成されるため、溶存酸素含量を極少量にすることができる。
【0070】
具体的には、本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2の外部電極31、32の形成の際に用いられる外部電極用導電性ペースト内に酸化物系ガラスが含まれないため、当該酸化物系ガラスによる酸素発生を抑制することができる。
【0071】
但し、外部電極の形成過程で必然的反応による酸素発生があることもあるが、極めて少量に過ぎず、特に、本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2の外部電極31、32の内部の溶存酸素含量を100ppm以下にすることができる。
【0072】
本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2の外部電極31、32の内に酸化物系ガラスの代わりに導電性を有する非晶質金属粉末を含むため、電極の焼成後に生じやすい内部電極と外部電極との連結性低下及びガラスの励起によるメッキ不良を解決した積層セラミック電子部品を具現することができる。
【0073】
本発明のさらに他の実施形態による積層セラミック電子部品は、複数の誘電体層3を含むセラミック本体10と、当該セラミック本体10内で上記複数の誘電体層3のそれぞれを介して対向配置される複数の第1及び第2の内部電極21、22と、当該第1の内部電極21と電気的に連結された第1の外部電極31及び当該第2の内部電極22と電気的に連結された第2の外部電極32と、を含み、上記第1及び第2の外部電極31、32の内部の溶存酸素含量が100ppm以下であることができる。
【0074】
本実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層、第1及び第2の内部電極がそれぞれ複数積層されたことを除いては、上述と同様であるため、以下ではその説明を省略する。
【0075】
図4は、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程図である。
【0076】
図4を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、誘電体層3と当該誘電体層3を介して対向配置される第1及び第2の内部電極21、22とを含むセラミック本体10を製造する段階と、導電性金属粉末とa+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末とを含む外部電極用導電性ペーストを製造する段階と、上記第1及び第2の内部電極21、22と電気的に連結されるように上記外部電極用導電性ペーストを上記セラミック本体10の上に塗布する段階と、上記セラミック本体10を焼成して第1及び第2の外部電極31、32を形成する段階と、を含むことができる。
【0077】
なお、本実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法に関する説明のうち上述した実施形態と重複する説明は省略する。
【0078】
以下、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を説明する上で、積層セラミック電子部品を積層セラミックキャパシタとして説明するが、これに制限されるものではない。
【0079】
まず、誘電体層3と、当該誘電体層3を介して対向配置される第1及び第2の内部電極21、22と、を含むセラミック本体10を製造することができる。
【0080】
上記誘電体層3は、チタン酸バリウム(BaTiO)等のパウダーをセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤と配合しバスケットミル(Basket Mill)を用いて形成されたスラリーをキャリアフィルム上に塗布し乾燥させることにより製造された数μmの厚さのセラミックグリーンシートで形成されることができる。
【0081】
その後、上記セラミックグリーンシートの上に導電性ペーストをディスペンシング(dispensing)し、スクイージー(squeegee)を一側方向に進行させながら上記導電性ペーストによる内部電極層を形成することができる。
【0082】
この際、上記導電性ペーストは、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)等の貴金属材料及びニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち一つの物質で形成されるか又は少なくとも二つの物質を混合して形成されることができる。
【0083】
このように内部電極層が形成されたセラミックグリーンシートをキャリアフィルムから分離した後、当該内部電極層が形成されたセラミックグリーンシートを複数積層してセラミックグリーンシート積層体を形成することができる。
【0084】
次いで、上記セラミックグリーンシート積層体を高温及び高圧で圧着し、圧着された当該セラミックグリーンシート積層体を所定のサイズに切断してセラミック本体10を製造することができる
【0085】
次に、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストを製造することができる。
【0086】
上記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0087】
上記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmであることができる。
【0088】
上記導電性金属粉末の含量は、上記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部であることができる。
【0089】
次に、上記第1及び第2の内部電極21、22と電気的に連結されるように、上記外部電極用導電性ペーストを上記セラミック本体10の上に塗布することができる。
【0090】
最後に、上記セラミック本体10を焼成して第1及び第2の外部電極31、32を形成することができる。
【0091】
上記第1及び第2の外部電極31、32の内部の溶存酸素含量は、100ppm以下であることができる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。
【0093】
本実施例は、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストで形成される第1及び第2の外部電極を含む積層セラミックキャパシタに対し、静電容量低下の有無及びメッキ不良の有無を試験するために行われた。
【0094】
本実施例による積層セラミックキャパシタは、下記の段階で製作された。
【0095】
まず、チタン酸バリウム(BaTiO)等のパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム上に塗布し乾燥して複数のセラミックグリーンシートを製造し、当該セラミックグリーンシートで誘電体層を形成した。
【0096】
上記誘電体層の焼成後の厚さは、1μm以下である。
【0097】
その後、ニッケル粒子の平均サイズが0.05〜0.2μmの内部電極用導電性ペーストを製造した。
【0098】
次いで、上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法により塗布して内部電極層を形成した後、当該内部電極層が形成されたセラミックグリーンシートを200層積層して積層体を製造した。
【0099】
次に、上記積層体を圧着及び切断して0603規格サイズのチップを製造し、当該チップをH0.1%以下の還元雰囲気下で1050〜1200℃で焼成した。
【0100】
次に、伝導性非晶質金属粉末の組成を多様に適用した外部電極用導電性ペーストを用いて外部電極を形成し、メッキ工程等を経て積層セラミックキャパシタを製作した。
【0101】
下記表1は、積層セラミックキャパシタの外部電極用導電性ペースト内に含まれる伝導性非晶質金属粉末の組成及び含量によるガラス安定性(ΔT)、濡れ温度(Twet)、静電容量低下の有無及びメッキ不良の有無を比較したものである。
【0102】
【表1】

注1)容量低下の有無の評価基準:Xは不良、○は良好
注2)メッキ不良の有無の評価基準:Xは不良、○は良好
【0103】
上記表1を参照すると、比較例1は、酸化物系ガラスを含有する通常の外部電極用導電性ペーストを適用したもので、電極の焼成による静電容量低下及びメッキ不良の問題があることが分かる。
【0104】
比較例2は、伝導性非晶質金属粉末のガラス安定性(ΔT)が50℃未満であり、当該伝導性非晶質金属粉末と銅(Cu)との濡れ温度(Twet)も高いため、静電容量低下の問題 があることが分かる。
【0105】
これに対し、実施例1及び2は、本発明の数値範囲を満足するもので、ガラス安定性(ΔT)、及び伝導性非晶質金属粉末と銅(Cu)との濡れ温度(Twet)が良好であるため、静電容量低下及びメッキ不良の問題がなく、良好な結果を示すことが分かる。
【0106】
実施例3から6も、ガラス安定性(ΔT)、及び伝導性非晶質金属粉末と銅(Cu)との濡れ温度(Twet)が非常に良好であるため、静電容量低下及びメッキ不良の問題がなく、良好な結果を示すことが分かる。
【0107】
一方、比較例3から5は、伝導性非晶質金属粉末のガラス安定性(ΔT)が50℃未満であり、当該伝導性非晶質金属粉末と銅(Cu)との濡れ温度(Twet)も高いため、静電容量低下の問題があることが分かる。
【0108】
結局、本発明の一実施形態によると、第1及び第2の外部電極が、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含むため、電極の焼成後に生じやすい内部電極と外部電極との連結性低下及びガラスの励起によるメッキ不良を解決した積層セラミック電子部品を具現することができる。
【0109】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されることなく添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当該技術分野における通常の知識を有する者による多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0110】
1 導電性金属粉末
2 伝導性非晶質金属粉末
3 誘電体層
10 セラミック本体
21 第1の内部電極
22 第2の内部電極
31、32 第1及び第2の外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属粉末と、
a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、
を含む、外部電極用導電性ペースト。
【請求項2】
前記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmである、請求項1に記載の外部電極用導電性ペースト。
【請求項3】
前記導電性金属粉末の含量は、前記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部である、請求項1に記載の外部電極用導電性ペースト。
【請求項4】
前記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上である、請求項1に記載の外部電極用導電性ペースト。
【請求項5】
誘電体層を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体内で前記誘電体層を介して対向配置される第1及び第2の内部電極と、
前記第1の内部電極と電気的に連結された第1の外部電極及び前記第2の内部電極と電気的に連結された第2の外部電極と、
を含み、
前記第1及び第2の外部電極の内部の溶存酸素含量が100ppm以下である、積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記第1及び第2の外部電極は、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストを塗布して形成される、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmである、請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記導電性金属粉末の含量は、前記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部である、請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上である、請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
複数の誘電体層を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体内で前記複数の誘電体層のそれぞれを介して対向配置される複数の第1及び第2の内部電極と、
前記第1の内部電極と電気的に連結された第1の外部電極及び前記第2の内部電極と電気的に連結された第2の外部電極と、
を含み、
前記第1及び第2の外部電極の内部の溶存酸素含量が100ppm以下である、積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記第1及び第2の外部電極は、導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストを塗布して形成される、請求項10に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項12】
前記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmである、請求項11に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項13】
前記導電性金属粉末の含量は、前記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部である、請求項11に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項14】
前記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上である、請求項11に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項15】
誘電体層と、当該誘電体層を介して対向配置される第1及び第2の内部電極と、を含むセラミック本体を製造する段階と、
導電性金属粉末と、a+b+c=100、20≦a≦60、20≦b≦60及び2≦c≦25を満足する式a(Cu、Ni)−bZr−c(Al、Sn)を含む伝導性非晶質金属粉末と、を含む外部電極用導電性ペーストを製造する段階と、
前記第1及び第2の内部電極と電気的に連結されるように外部電極用導電性ペーストを前記セラミック本体の上に塗布する段階と、
前記セラミック本体を焼成して第1及び第2の外部電極を形成する段階と、
を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記伝導性非晶質金属粉末の平均粒径は、0.5〜5.0μmである、請求項15に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記導電性金属粉末の含量は、前記外部電極用導電性ペースト100重量部に対して40〜60重量部である、請求項15に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記導電性金属粉末は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び銀−パラジウム(Ag−Pd)からなる群から選択された一つ以上である、請求項15に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記第1及び第2の外部電極の内部の溶存酸素含量は、100ppm以下である、請求項15に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−58722(P2013−58722A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41115(P2012−41115)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】