説明

外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法

【課題】本発明は、外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による外部電極用導電性ペースト組成物は、導電性金属粉末100重量部と、平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部と、を含む。本発明による外部電極用導電性ペースト組成物は、薄膜でも緻密な焼成密度を具現し、電極焼成の際、外部電極の膨れ現象であるブリスター(blister)の発生を抑制して緻密、且つ薄い膜で具現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜でも緻密な焼成密度を具現し、ブリスター(blister)の発生を抑制することができる外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタまたはサーミスタなどのセラミック材料を使用する電子部品は、セラミック材料からなるセラミック素体、素体の内部に形成された内部電極及び上記内部電極と接続されるようにセラミック素体の表面に設置された外部電極を備える。
【0003】
セラミック電子部品のうち積層セラミックキャパシタは、積層された複数の誘電体層、一誘電体層を介して対向配置される内部電極、及び上記内部電極に電気的に接続された外部電極を含む。
【0004】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながら、高容量が保障され、実装が容易であるという長所があるため、コンピュータ、PDA、携帯電話などの移動通信装置の部品として広く用いられている。
【0005】
最近、電子製品が小型化及び多機能化するにつれ、チップ部品も小型化及び高機能化されているため、積層セラミックキャパシタもその大きさが小さく、容量の大きい高容量製品が要求されている。
【0006】
そのため、外部電極層の厚さを減少させることで、全体チップサイズは同一に維持しながら積層セラミックキャパシタの小型化及び大容量化を試している。
【0007】
しかし、外部電極層の厚さが薄くなると、相対的に電極の緻密度やコーナー(corner)部のカバレッジ(coverage)が劣るようになり、外部電極の膨れ現象であるブリスター(blister)などの欠陥が発生して積層セラミックキャパシタの信頼性の低下を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、薄膜でも緻密な焼成密度を具現し、ブリスター(blister)の発生を抑制することができる外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、導電性金属粉末100重量部と、平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部と、を含む外部電極用導電性ペースト組成物を提供する。
【0010】
上記導電性金属粉末は銅(Cu)で、上記導電性金属粉末の平均粒径は0.1〜4μmであることができる。
【0011】
上記セラミック粉末の平均粒径は100〜200nmで、1〜5重量部の含量を有することができる。
【0012】
本発明の他の実施形態は、セラミック素体と、上記セラミック素体の内部に形成され、一端が上記セラミック素体の側面に、それぞれ交互に露出する複数の内部電極と、上記セラミック素体の側面に形成され、上記内部電極と電気的に連結された外部電極とを含み、上記外部電極は、導電性金属粉末100重量部及び平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部を含む積層セラミックキャパシタを提供する。
【0013】
また、本発明の他の実施形態は、複数のセラミックグリーンシートを用意する段階と、上記セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する段階と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、上記内部電極パターンの一端が側面に交互に露出するように、上記セラミック積層体を切断した後、焼成してセラミック素体を形成する段階と、上記一端と電気的に連結されるように、上記セラミック素体の側面に導電性金属粉末100重量部及び平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部を含む外部電極用導電性ペーストで外部電極パターンを形成する段階と、上記外部電極パターンを焼結させて外部電極を形成する段階と、を含む積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0014】
上記外部電極パターンの焼結は600〜900℃で行われる。
【0015】
上記導電性金属粉末は銅(Cu)で、上記導電性金属粉末の平均粒径は0.1〜4μmである。
【0016】
上記セラミック粉末の平均粒径は100〜200nmで、1〜5重量部の含量を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明による外部電極用導電性ペーストは、薄膜でも緻密な焼成密度を具現し、電極焼成の際、外部電極の膨れ現象であるブリスター(blister)の発生を抑制して緻密、且つ薄い膜で具現することができる。
【0018】
これによって、薄膜の外部電極を形成する場合にも、緻密、且つ薄い膜で具現できるため、積層セラミックキャパシタの小型化、超高容量化を具現することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペースト組成物を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す斜視図である。
【図3】図2のA-A′に沿って切断した断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程図である。
【図5】本発明の一実施例及び比較例の微細構造を分析した電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の一実施例及び比較例によるブリスターの発生率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0021】
しかし、本発明の実施形態は、多様に他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は、以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0022】
従って、図面における要素の形状及び大きさなどは、明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同一符号で表示される要素は同一要素である。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペースト組成物を示す模式図である。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペースト組成物は、導電性金属粉末10 100重量部と、平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末20 0.1〜10重量部とを含む。
【0025】
上記導電性金属粉末10は、外部電極用導電性金属粉末であれば、特に制限されず、例えば、銅(Cu)であることができる。
【0026】
上記導電性金属粉末10は、本発明の目的に応じて多様な粒子の大きさを有することができ、例えば、平均粒径は0.1〜4μmであることができる。
【0027】
上記のように、本発明の一実施形態では、外部電極ペースト製造の際、銅(Cu)との反応性のないセラミック粉末を添加することによって、ブリスターの発生を防止することができる。
【0028】
一般的に、銅ペースト(Cu paste)は焼成の際、粒子ネッキング(necking)及び気孔(pore)消滅の挙動を示す。
【0029】
従って、電極焼成の際、銅(Cu)外部電極の急激な緻密化により、高温で高温ガス(gas)の排出通路を遮断することでブリスター(blister)と言われる外部電極の膨れ現象を引き起こした。
【0030】
一方、本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペースト組成物は、導電性金属粉末10、特に、銅(Cu)粉末に銅(Cu)と反応性のないセラミック粉末20を添加することでブリスターの発生を防止し、緻密、且つ薄い膜で具現することができる。
【0031】
即ち、本発明の一実施形態によるセラミック粉末を添加した銅ペーストは、微粉のセラミック粉末粒子が銅粒子間で焼成挙動することを抑制する効果(pinning effect)を有するようになる。
【0032】
また、時間が経過するにつれ気孔が消滅する挙動を示す。
【0033】
このように、高温ガス(gas)が効率的に放出された後、外部電極の緻密度が向上するように、銅(Cu)粒子の焼結速度を減少させることによってブリスター発生を防止することができる。
【0034】
上記セラミック粉末20の平均粒径は50〜500nmであり、好ましくは100〜200nmである。
【0035】
上記セラミック粉末の平均粒径が50nm未満の場合は、高温ガス(gas)の効率的な放出が難しく、500nmを超過する場合は、セラミック粒子の大きさが大きいため、外部電極の緻密度が低下することがある。
【0036】
上記セラミック粉末20の含量は、導電性金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部を有することができ、好ましくは、1〜5重量部の含量を有することができる。
【0037】
上記セラミック粉末の含量が10重量部を超過する場合、ペーストの焼結速度の遅延により外部電極の緻密度が低下することがある。
【0038】
本発明の一実施形態による外部電極ペースト組成物の上記のような挙動に対する模式図を図1に示している。
【0039】
上記のように、本発明の一実施形態によると、外部電極用導電性ペースト組成物は導電性金属粉末10、特に、銅(Cu)粉末に銅(Cu)と反応性のないセラミック粉末20を添加することでブリスターの発生を防止し、緻密、且つ薄い膜で具現することができる。
【0040】
上記セラミック粉末20は、積層セラミックキャパシタの誘電体層との濡れ性が良いものであれば、特に制限されず、積層セラミックキャパシタの素体との接合性などを考慮すると、誘電体層と同質のセラミックであることが好ましい。
【0041】
本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペースト組成物は、上記導電性金属粉末10とセラミック粉末20に、ベース樹脂、有機ビークル(vehicle)、及びその他の添加剤を混合して製造することができる。
【0042】
上記ベース樹脂、有機ビークル(vehicle)、及びその他の添加剤は、通常、外部電極用導電性ペースト組成物の製造時に用いられるものであれば、特に制限されず、その含量も本発明の目的に応じて多様に適用されることができる。
【0043】
図2は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す斜視図であり、図3は図2のA-A′に沿って切断した断面図である。
【0044】
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック素体110と、上記セラミック素体110の内部に形成され、一端が上記セラミック素体110の側面に、それぞれ交互に露出する複数の内部電極130a、130bと、上記セラミック素体の側面に形成され、上記内部電極130a、130bと電気的に連結された外部電極120a、120bとを含み、上記外部電極120a、120bは、導電性金属粉末100重量部及び平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部を含む。
【0045】
上記セラミック素体110は、複数のセラミック誘電体層111を積層した後に焼結させたものであり、隣接する誘電体層同士は境界を確認することができない程度に一体化されている。
【0046】
上記セラミック誘電体層111は、高い誘電率を有するセラミック材料からなることができ、これに制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛系複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料などを使用することができる。
【0047】
上記内部電極130a、130bは、上記複数の誘電体層の積層過程で上記一誘電体層間に形成されたものであり、焼結によって一誘電体層を介して、上記セラミック素体の内部に形成される。
【0048】
上記内部電極130a、130bは、互いに異なる極性を有する一対の電極であり、誘電体層の積層方向によって対向配置され、誘電体層により互いに電気的に絶縁されている。
【0049】
内部電極130a、130bの一端は、交互に上記セラミック素体の両側面に露出される。
【0050】
上記セラミック素体の側面に露出される内部電極130a、130bの一端は、外部電極120a、120bと各々電気的に連結される。
【0051】
上記内部電極130a、130bは導電性金属で形成され、上記導電性金属は特に制限されず、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)または銅(Cu)などがあり、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
上記外部電極120a、120bは外部電極用導電性ペーストの焼成によって形成されたものであり、上記外部電極用導電性ペーストは導電性金属粉末100重量部及び平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部を含む。
【0053】
本発明の一実施形態による外部電極120a、120bは、導電性金属粉末、特に、銅(Cu)を主成分とし、銅100重量部に対し、平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末を0.1〜10重量部を含むため、緻密度に優れ、内部電極との接触性に優れる。
【0054】
一般的に、微粒の銅粉末は、焼結開始及び焼結速度が速くて電極焼成時に発生するガスの放出が難しいため、セラミック素体110と外部電極120a、120bとの接触領域にブリスターが発生する場合がある。
【0055】
これによって、積層セラミックキャパシタの信頼性が低下する問題が発生するおそれがある。
【0056】
本発明の一実施形態による外部電極120a、120bは、導電性金属粉末、特に、銅(Cu)粉末に微粒のセラミック粉末を含むため、外部電極の焼結速度が遅くなり、焼結温度が上昇してガス放出が円滑に行われ、ブリスターの発生率を低くすることができる。
【0057】
また、ガスが放出された後、時間が経過するにつれ気孔が消滅するため、外部電極の緻密度が向上する効果がある。
【0058】
従って、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、ブリスターの発生率が低く、外部電極の緻密度に優れるため、小型化及び超高容量化の具現が可能である。
【0059】
図4は、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程図である。
【0060】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層セラミックキャパシタの製造方法は、複数のセラミックグリーンシートを用意する段階と、上記セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する段階と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、上記内部電極パターンの一端が側面に交互に露出するように、上記セラミック積層体を切断した後、焼成してセラミック素体を形成する段階と、上記一端と電気的に連結されるように、上記セラミック素体の側面に導電性金属粉末100重量部及び平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部を含む外部電極用導電性ペーストで外部電極パターンを形成する段階と、上記外部電極パターンを焼結させて外部電極を形成する段階と、を含む。
【0061】
以下、積層セラミックキャパシタの製造方法を各段階別に具体的に説明する。
【0062】
まず、複数のセラミックグリーンシートを用意する(a)。
【0063】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリをドクターブレード法により数μmの厚さを有するシート(sheet)形で製作する。
【0064】
また、セラミックグリーンシートの表面に、内部電極ペーストを塗布して内部電極パターンを形成する(b)。
【0065】
上記内部電極パターンは、スクリーン印刷法により形成されることができる。
【0066】
上記内部電極ペーストは、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金からなる粉末を有機バインダー及び有機溶剤に分散させてペースト状にしたものである。
【0067】
上記有機バインダーは、当業界で公知されたものを使用することができ、これに制限されず、例えば、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アリール樹脂、アクリル樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アルキド樹脂またはロジンエステルなどのバインダーを使用することができる。
【0068】
また、有機溶剤も当業界で公知されたものを使用することができ、これに制限されず、例えば、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テレビン油、テルピネオール、エチルセロソルブまたはブチルフタレートなどの溶剤を使用することができる。
【0069】
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層及び加圧し、積層されたセラミックグリーンシートと内部電極ペーストを圧着させる(c)。
【0070】
このようにして、セラミックグリーンシートと内部電極ペーストとが交互に積層されたセラミック積層体を製造する(d)。
【0071】
次に、セラミック積層体を1個のキャパシタに対応する領域毎に切断する(e)。
【0072】
この時、第1及び第2の内部電極パターンの一端が側面に交互に露出するように切断する。
【0073】
以後、切断された積層体を、例えば、約1200℃で焼成してセラミック素体を製造する(f)。
【0074】
セラミック素体を水及び研磨媒体を含むバレル(barrel)内で処理して表面研磨をする。
【0075】
表面研磨は、セラミック積層体の製造段階で行っても良い。
【0076】
次に、セラミック素体の側面に露出した内部電極と電気的に連結されるように外部電極を形成する(g)。
【0077】
以下、外部電極の形成方法を具体的に説明する。
【0078】
まず、導電性金属粉末10とセラミック粉末20に、ベース樹脂、有機ビークル(vehicle)、及びその他の添加剤を混合して外部電極用導電性ペーストを用意する。
【0079】
上記外部電極用導電性ペースト組成物は、上述した本発明の一実施形態によるペースト組成物である。
【0080】
上記外部電極用導電性ペーストをセラミック素体の側面に塗布して外部電極パターンを形成する。
【0081】
上記外部電極用導電性ペーストを焼結させて外部電極を形成する。
【0082】
上記外部電極用導電性ペーストの焼結は、600〜900℃で行われることができる。
【0083】
この後、外部電極の表面にニッケル、錫などのメッキ処理を施すことができる。
【0084】
一般的に、平均粒径が小さい粉末を使用するほど内部電極との接触性及び緻密度が向上する。
【0085】
しかし、粉末の平均粒径が小さくなるほど焼結開始及び焼結速度は速くなる。
【0086】
これによって、高温で発生するガスの放出が難しいため、セラミック素体と外部電極との間が膨れるブリスター(blister)が発生することがある。
【0087】
上記ブリスターの発生により積層セラミックキャパシタの信頼性が低下する問題が発生するおそれがある。
【0088】
しかし、本実施形態によると、外部電極ペースト製造の際、銅(Cu)との反応性のないセラミック粉末を添加することによって、ブリスターの発生を防止することができる。
【0089】
具体的に、セラミック粉末を添加した銅ペーストは、微粉のセラミック粉末粒子が銅粒子間で焼成挙動を抑制する効果(pinning effect)を有する。
【0090】
また、時間が経過するにつれ気孔が消滅する挙動を示す。
【0091】
このように、高温ガス(gas)が効率的に放出された後、外部電極の緻密度が向上するように、銅(Cu)粒子の焼結速度を減少させることでブリスターの発生を防止することができる。
【0092】
また、本発明の一実施形態による製造方法で製造された積層セラミックキャパシタは、ブリスターの発生率が低く、外部電極の緻密度に優れるため、小型化及び超高容量化の具現が可能である。
【0093】
上記セラミック粉末の平均粒径は50〜500nmであり、好ましくは100〜200nmである。
【0094】
上記セラミック粉末の平均粒径が50nm未満の場合は、高温ガス(gas)の効率的な放出が難しく、500nmを超過する場合は、セラミック粒子の大きさが大きいため、外部電極の緻密度が低下することがある。
【0095】
上記セラミック粉末の含量は、導電性金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部を有することができ、好ましくは、1〜5重量部の含量を有することができる。
【0096】
上記セラミック粉末の含量が10重量部を超過する場合は、ペーストの焼結速度の遅延により外部電極の緻密度が低下することがある。
【0097】
以下、実施例及び比較例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに制限されるものではない。
【0098】
実施例1〜5
本発明の実施例は、主成分として、銅(Cu)粉末と、上記銅粉末100重量部に対し、平均粒径が150nmであるセラミック粉末を、それぞれ1(実施例1)、2(実施例2)、3(実施例3)、4(実施例4)、及び5(実施例5)重量部を用意して混合した。次に、上記混合物と、ベース樹脂、分散剤、及び有機溶剤を混合し、3-ロールミル(3-rollmill)で分散してペーストを製造した。
【0099】
比較例
比較例は、実施例1〜5と比較しセラミック粉末を添加せずに製造されたことを除き、上記実施例1〜5と同様に製作した。
【0100】
各々の試料に対して電極焼成後、外部電極の微細構造及びブリスターの発生頻度を調査した。
【0101】
図5は、本発明の一実施例及び比較例の微細構造を分析した電子顕微鏡写真である。
【0102】
図6は、本発明の一実施例及び比較例によるブリスターの発生率を示すグラフである。
【0103】
図5の微細構造の分析結果を見ると、比較例と実施例1〜3の最終緻密度は、同等の水準を示したが、実施例4及び5は、セラミック粉末の添加による銅粉末の焼結速度の遅延によって緻密度の低下を示す。
【0104】
図6のブリスターの発生率を分析した結果を見ると、比較例の場合、電極焼成の完了後17.7%のブリスターが発生したことが分かる。
【0105】
しかし、セラミック粉末が1重量部添加された実施例1の場合、ブリスターの発生率が5.1%に減少し、セラミック粉末が2重量部以上添加された実施例2〜5の場合にはブリスターが全く発生しなかったことが分かる。
【0106】
従って、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、セラミック粉末が添加された導電性金属粉末で用意された外部電極用ペーストを用いて外部電極が形成されるため、ブリスターの発生率が低く、外部電極の緻密度に優れて小型化及び超高容量化の具現が可能である。
【0107】
本発明は、上述した実施形態及び図面により限定されるものではなく、特許請求の範囲により限定される。従って、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であるということは当技術分野の通常の知識を有する者には自明であり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属する。
【符号の説明】
【0108】
10 導電性金属粉末
20 セラミック粉末
100 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック素体
111 誘電体層
120a、120b 外部電極
130a、130b 内部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属粉末100重量部と、
平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部と
を含む外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記導電性金属粉末は、銅(Cu)である請求項1に記載の外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項3】
前記導電性金属粉末の平均粒径は、0.1〜4μmである請求項1または2に記載の外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項4】
前記セラミック粉末の平均粒径は、100〜200nmである請求項1から3の何れか1項に記載の外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項5】
前記セラミック粉末は、1〜5重量部の含量を有する請求項1から4の何れか1項に記載の外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項6】
セラミック素体と、
前記セラミック素体の内部に形成され、一端が前記セラミック素体の側面に、それぞれ交互に露出する複数の内部電極と、
前記セラミック素体の側面に形成され、前記内部電極と電気的に連結された外部電極と
を含み、
前記外部電極は、導電性金属粉末100重量部及び平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部を含む積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記導電性金属粉末は、銅(Cu)である請求項6に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
複数のセラミックグリーンシートを用意する段階と、
前記セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する段階と、
前記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、
前記内部電極パターンの一端が側面に交互に露出するように、前記セラミック積層体を切断した後、焼成してセラミック素体を形成する段階と、
前記一端と電気的に連結されるように、前記セラミック素体の側面に導電性金属粉末100重量部及び平均粒径が50〜500nmであるセラミック粉末0.1〜10重量部を含む外部電極用導電性ペーストで外部電極パターンを形成する段階と、
前記外部電極パターンを焼結させて外部電極を形成する段階と
を含む積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記外部電極パターンの焼結は、600〜900℃で行われる請求項8に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記導電性金属粉末は、銅(Cu)である請求項8または9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記導電性金属粉末の平均粒径は、0.1〜4μmである請求項8から10の何れか1項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記セラミック粉末の平均粒径は、100〜200nmである請求項8から11の何れか1項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記セラミック粉末は、1〜5重量部の含量を有する請求項8から12の何れか1項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−138579(P2012−138579A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281878(P2011−281878)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】