説明

多チャネル光学セル

【課題】テラヘルツ領域の、改良された多チャネル光学セルを提供する。
【解決手段】視野反射鏡12と複数の対物反射鏡対14,16とを含むデュアルチャネル光学セル10は、複数の光源ポート20および検出器ポート22の対を含み、各光源ポートは放射線ビーム24を通すように構成されていて、各検出器ポートは放射線ビームを受信するように構成されている。各対の光源ポートおよび検出器ポートは、視野反射鏡の光軸がそれぞれ光源ポートおよび検出器ポートの間にあるように視野反射鏡の外側エッジに近接して配置されている。各対物反射鏡と光源ポートおよび検出器ポートの各対は光源ポートおよび検出器ポートの各対が別個のチャネルを形成する各対物反射鏡対に関連付けられるように配置されていて、各チャネルの光源ポートおよび検出器ポートの対ならびに関連付けられた対物反射鏡対の各中心は、それぞれ別個の面内に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的実施形態は、一般に、電磁信号が伝搬する光学セルに関し、特に、周波数の異なる複数の電磁信号の同時伝搬が可能な多チャネル光学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テラヘルツ(THz)領域に特化した光源および検出器が開発されたことにより、有毒ガスを識別および検出するための、化合物分子の固有の回転スペクトルの特徴の調査が進められている。THzスペクトル領域には、可視領域や赤外線(IR)領域では通常直面しない、ある独特の問題がある。複数の浮遊不要反射または定在波が、THでは、より深刻になる可能性があり、放射線の物理光学伝搬は、計測器内の光路に関して、独特の問題を計測器設計者に突きつける可能性がある。具体的には、THz放射線は、波長が長いために、長距離にわたって平行化されたままでいることができない。平面波であれば、急速に伝搬して球面波に変わることが可能である。また、ビームサイズは、より波長が短い同種のものより大きくなる傾向がある。
【0003】
波長がより短い場合、いわゆるホワイトセル内の光源および光路は、その基本的な形態では、3つの球面鏡、反射鏡などの間で複数回のバウンス(bounce)を与えるように設計される。3つの鏡のうちの1つは、視野鏡(field mirror)と呼ばれることが多く、他の2つは、対物鏡と呼ばれることが多い。光源および検出器は、視野鏡の表面近くの、視野鏡の光軸に関して対称な位置に配置することが可能である。光源は、一方の対物鏡に送ることが可能な球面波を生成するように構築可能である。そして、それらの対物鏡は、ビームを視野鏡に再度集束させることが可能である。視野鏡上の反射点における小さな集束スポット(「画像」と呼ばれることもある)は、球面波として、第2の対物鏡に向けて方向を変えることが可能であり、この球面波は、光を視野鏡に戻して、視野鏡上の新しいスポットに集束させることが可能である。球面鏡上のスポットが多いほど、セルを通る光路が長くなり、セル内のガスの吸収を測定する際の分光計の感度を高くすることが可能である。そして、設計では、スポットを検出器上に置くことが可能になるまで、視野鏡全体にわたってスポットを1つずつ調べる。ホワイトセルの詳細については、John U.White,Long Optical Paths of Large Aperture,32 J.Opt.Soc.Am.285−288 (1942)を参照されたい。
【0004】
THz放射線は波長が長いため、視野鏡上のスポットは、可視スポットまたはIRスポットよりずっと大きい可能性がある。また、波長の関数であるビーム伝搬は、広帯域のTHz波長にわたって深刻な集束ずれを引き起こす可能性がある。これらの問題は、ビームの開きが波長によって大きく異なる可能性があるために、スポットの著しい逸脱やスループットの低下を引き起こす可能性がある。スポットおよびパッケージング制約が大きいほど、より短い波長の分光計と比べて、そのようなセルが達成可能な光バウンス数(経路長)が制限される可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
前述の背景を鑑みて、本発明の例示的実施形態は、改良された多チャネル光学セルを提供する。本発明の例示的実施形態の一態様によれば、視野反射鏡と、それぞれが光軸および反射面を有する、複数の対物反射鏡対と、を含む装置が提供され、各対物反射鏡の反射面は、視野反射鏡の反射面と向き合うように配置されている。本装置はさらに、各対物反射鏡の反射面と向き合う、複数の光源ポートおよび検出器ポートの対を含み、各光源ポートは、放射線ビームを、視野反射鏡と各対物反射鏡との間に通して伝搬させるように構成されていて、各検出器ポートは、視野反射鏡と各対物反射鏡との間を伝搬して集束された放射線ビームを受信するように構成されている。各対の光源ポートおよび検出器ポートは、視野反射鏡の光軸がそれぞれの光源ポートおよび検出器ポートの間(の、たとえば、対称位置)にあるように、視野反射鏡の外側エッジに近接して配置されている。したがって、光源ポートを通った放射線ビームが、各検出器ポートに到達するまで、視野反射鏡と、各対物反射鏡対との間で伝搬および反射を繰り返すことが可能である。しかしながら、各対の光源ポートおよび検出器ポートは、視野反射鏡の直径からずれた場所にある(ただし、直径と平行である)視野反射鏡の弦(choud)上にあるため、視野反射鏡上に複数列のスポットを与えることが可能であり、したがって、単一行のスポットの場合より経路長を長くすることが可能である。
【0006】
本態様の各対物反射鏡と光源ポートおよび検出器ポートの各対は、光源ポートおよび検出器ポートの各対が、別個のチャネルを形成する各対物反射鏡対に関連付けられるように配置されていて、各チャネルの光源ポートおよび検出器ポートの対ならびに関連付けられた対物反射鏡対の各中心は、それぞれ別個の面内に位置する。対物反射鏡対の各中心は、視野反射鏡の直径に平行な線上に位置してよい。そして、このような場合において、光源ポートおよび検出器ポートがそれぞれ上述のように視野反射鏡の弦上にある場合には、ポート対と反射鏡対がある別個の面を視野反射鏡の軸(光軸)からいくぶん傾斜させてよい。様々な場合において、チャネルごとに、光源ポートおよび検出器ポートが沿っている弦は、視野反射鏡の直径からずれていてよい。
【0007】
各対物反射鏡ならびに光源ポートおよび検出器ポートの各対は、各チャネルの別個の面同士が、約360°/2n(ただし、nはチャネル数を表す)の、鈍角でない交差角度で交差するように配置されていてよい。したがって、2チャネルの場合、面同士はほぼ直角に交差してよく、3チャネルの場合、面同士はほぼ60°の角度で交差してよい。
【0008】
各対物反射鏡はさらに、視野反射鏡の光軸上の共通点のまわりに配置されてよく、共通点は各対物反射鏡から等距離にあってよい。視野反射鏡および対物反射鏡は、球面または非球面の凹面反射鏡であってよく、共通点のまわりに四つ葉状または円状に配置されてよい。チャネルごとに、光源ポートおよび検出器ポートは視野反射鏡の弦上にあってよく、各対物反射鏡は、各弦に垂直で視野反射鏡の光軸に垂直な軸に沿って、ある角度で傾斜していてよい。
【0009】
各光源ポートは、別個の周波数帯の放射線ビームを通すように構成されてよい。チャネルごとの別個の周波数帯は、テラヘルツスペクトル領域にあってよい。光源ポートが少なくとも第1の光源ポートおよび第2の光源ポートを含む場合を含めて他の場合には、第1の光源ポートは、テラヘルツスペクトル領域に放射線ビームを通すように構成されていてよく、第2の光源ポートは、赤外線または可視のスペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていてよい。そして、光源ポートがさらに第3の光源ポートを含む場合には、第2の光源ポートは、赤外線スペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていてよく、第3の光源ポートは、可視スペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていてよい。
【0010】
本発明の例示的実施形態の別の態様によれば、視野反射鏡と第1および第2のチャネルとを含む装置が提供され、本装置はさらに第3のチャネルを含んでもよい。第1のチャネルは、第1の対物反射鏡対と、第1の光源ポートおよび第1の検出器ポートとを含んでいる。第1の光源ポートおよび検出器ポートは、視野反射鏡の直径からずれた場所にある(ただし、直径と平行である)視野反射鏡の第1の弦に沿って、視野反射鏡の外側エッジに近接して配置されてよく、それぞれのポートが視野反射鏡の軸(光軸)から等距離にあるように配置されてよい。第2のチャネルは、第2の対物反射鏡対と、第2の光源ポートおよび第2の検出器ポートとを含んでいる。第1の光源ポートおよび検出器ポートと同様に、第2の光源ポートおよび検出器ポートは、(第1の弦と同様に)視野反射鏡の直径からずれた場所にある(ただし、直径と平行である)視野反射鏡の第2の弦に沿って、視野反射鏡の外側エッジに近接して配置されてよい。やはり第1の光源ポートおよび検出器ポートと同様に、第2の光源ポートおよび検出器ポートも、それぞれのポートが視野反射鏡の軸から等距離にあるように配置されてよい。そして、第3のチャネルが含まれる場合、第3のチャネルは、第3の対物反射鏡対と、第3の光源ポートおよび第3の検出器ポートとを含み、これらは、第1および第2の光源ポートおよび検出器ポートの各対と同様に配置されてよい。
【0011】
本態様に関連して、各対物反射鏡は光軸を有し、視野反射鏡の反射面と向き合うように配置された反射面を有する。第1の光源ポートおよび第1の検出器ポート、ならびに第1の対物反射鏡対の各中心は、第1の面内にある。第2の光源ポートおよび第2の検出器ポート、ならびに第2の対物反射鏡対の各中心は、第1の面とは別個の第2の面内にある。そして、第3のチャネルが含まれる場合、第3の光源ポートおよび第3の検出器ポート、ならびに第3の対物反射鏡対の各中心は、第1および第2の面の両方と別個の第3の面内にある。
【0012】
以上、本発明を一般的な用語で説明してきたが、ここからは、添付図面を参照していく。これらの図面は必ずしも正確な縮尺では描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の例示的実施形態によるデュアルチャネル光学セルの側面図である。
【図2】本発明の例示的実施形態によるデュアルチャネル光学セルの斜視図である。
【図3】本発明の例示的実施形態による、デュアルチャネル光学セルの一方のチャネルを通るビームの伝搬をハイライトした、デュアルチャネル光学セルの側面図である。
【図4】本発明の例示的実施形態による、多チャネル光学セルの検出器で測定可能なビームの放射照度(面積当たり出力)の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の他の例示的実施形態による3チャネル光学セルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明していく。添付図面では、本発明の好ましい実施形態を示す。しかしながら、本発明は、様々な形態で具体化されてよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を、綿密かつ完璧であって本発明の範囲を当業者に完全に伝えるものとするために提供されている。この点において、本明細書では、いくつかの数式または数値を参照し、各種構成要素、素子などのいくつかの位置を参照している場合がある。しかしながら、これらの式、値、位置などが参照する式、値、または位置は、本発明の例示的実施形態が、設計の許容範囲などに起因して多チャネル光学セルに起こりうるばらつきを考慮できるように、絶対的であっても近似的であってもよいことを理解されたい。全体を通して、類似の参照符号は類似の要素を参照する。
【0015】
本発明の例示的実施形態が対象とするのは、従来の光学セルに比べて、広いスペクトル帯を維持しながら感度の向上を可能にし得る多チャネル光学セルである。本明細書で主に図示および説明しているように、本多チャネル光学セルは、2つのチャネルを含むデュアルチャネル光学セルであり、各チャネルは、それぞれの送信器(光源)および受信器(検出器)を有する。しかしながら、本多チャネル光学セルは、動作波長および経路長の要件に応じて、3つ、4つ、またはそれ以上のチャネルを含んでよいことを理解されたい。
【0016】
さらに、本発明の例示的実施形態の多チャネル光学セルについては、主として、電磁スペクトルのTHz(またはmmW)領域の信号との関連で説明する。ただし、本発明の例示的実施形態の多チャネル光学セルは、電磁スペクトルのTHz領域の内外における他の様々な応用例と関連して利用可能である。より具体的には、デュアルチャネル光学セルの文脈において、たとえば、一方のチャネルを、非常に選択性の高い、やや狭いTHz帯で動作するように構成することが可能であり、他方のチャネルを、より広い、選択性の高くない帯域で動作するように構成することが可能である。他の構成例として、以下のものがある。
1つの赤外線(IR)チャネルと1つのTHzチャネル。これらは、分光計システムの文脈では、同じガスの高周波分子振動スペクトルと低周波回転スペクトルとを同時にカバーする計測で用いることが可能である。
1つの可視チャネルと1つのTHzチャネル。
1つの可視チャネルと、1つのIRチャネルと、1つのTHzチャネル。
【0017】
図1および図2は、本発明の例示的実施形態によるデュアルチャネル光学セル10の側面図および斜視図である。本デュアルチャネル光学セルは、図に示すように、凹面視野反射鏡12と、チャネルごとの一対の対物反射鏡14、16とを含んでよい(図では、第1のチャネルに対して対物反射鏡14a、16aを、第2のチャネルに対して対物反射鏡14b、16bを示した)。これらの反射鏡は、放射線(電磁波)のビームを反射できる何種類かの構成要素(鏡、再帰反射器など)のうちのいずれかから成るものであってよく、それらの1つ以上が、コーティング、または他の、そのような反射を促進もしくは支援する要素を含んでよい。これらの対物反射鏡はそれぞれ別個の反射鏡であってよく、あるいは2つ以上の対物反射鏡が単一の反射鏡から形成されてもよい。
【0018】
視野反射鏡12および対物反射鏡14、16は、何種類かの形状のうちのいずれかの反射面を有する凹面反射鏡であってよい。一例示的実施形態では、視野反射鏡および対物反射鏡を含む反射鏡は、球面または非球面の凹面反射鏡であってよい。対物反射鏡14、16は、概念的には視野反射鏡12の軸(光軸)上に中心を有する対物反射鏡を共通の親とするセグメントであると見なしてよい。各対物反射鏡は、セグメントとして、それぞれの中心が親対物反射鏡の光軸(したがって、視野反射鏡の光軸)から等距離にあるように配置してよい。共通チャネルに対する各対物反射鏡は、同じ親規定(光学特性。たとえば、視野反射鏡を基準とする曲率半径、位置、および方向)を有してよく、別々のチャネルに対する対物鏡は別々の親規定(parent prescription)を有してよい。
【0019】
一例示的実施形態では、視野および対物反射鏡12、14、16は、球面の凹面反射鏡であってよく、対物反射鏡は、それぞれの中心が視野反射鏡の直径に平行な線上にあり、かつ、各対物反射鏡が傾斜して視野反射鏡上に所望の数のスポットを形成し、したがって、それぞれのチャネルに対して所望の経路長をセルに形成するように配置してよい。この点において、チャネルごとの対物反射鏡は、それぞれの中心が視野反射鏡の直径と視野反射鏡の軸とを含む平面内にあるように配置してよい。
【0020】
各対物反射鏡14、16の傾斜(tilt)に関しては、視野反射鏡12および各対物反射鏡は、図1〜3に示すような、視野反射鏡の中心に原点があってz軸が光軸に沿っている座標系(x,y,z)にあると見なす。このような場合、所与の対物反射鏡の中心を(x1,0,z1)に配置し、この対物反射鏡をy軸に平行で点(x1,0,z1)を通る軸(傾斜角軸)に沿ってある角度(傾斜角度)で傾斜させてよい。言い換えると、各対物反射鏡の中心は親対物反射鏡のセグメントとして、親対物反射鏡の二次軸上に位置してよいものとする。しかしながら、対物反射鏡は、対物反射鏡の特徴として、二次軸が対物反射鏡の中心を通りながら親対物反射鏡の湾曲の中心からずれるように傾斜させてよい。
【0021】
図2および図3にさらに示すように、共通の親対物反射鏡のセグメントとしての各対物反射鏡14、16のアパーチャは、くさび形もしくは葉状であってよい。このような場合、各対物反射鏡は、四つ葉(四つ葉のクローバ)状に、ある点のまわりに配置してよく、それぞれにとってのその点は、各対物反射鏡の共通の親対物反射鏡の中心点である。また、特にセル10が3つ以上のチャネルを含む場合にはチャネルごとにエネルギスループットの最適化が可能であるように、各対物反射鏡のサイズはチャネルごとに異なってもよい。このような場合、サイズが異なる各対物反射鏡は、それぞれに応じて頂角が異なってよい。さらに、ほとんどの場合、対物反射鏡対の傾斜角は、対称になり、各チャネルに適した経路を制御するために慎重に選択される。必要であれば、経路長はチャネルごとに異なってよい。
【0022】
視野反射鏡12および対物反射鏡14、16は、管またはチャンバ18(図1、3に示したが、図2では簡略化のために省略)の対向する端部に取り付けてよい。様々な文脈での動作において、チャンバは、分析対象となるサンプル媒体および/またはベース媒体(たとえば、周囲空気)を含んでよい。そのような状況において、サンプル媒体およびベース媒体は、放射線ビームが少なくとも部分的に透過する何種類かの形態のうちのいずれかを有することが可能である。たとえば、サンプル媒体およびベース媒体は、固体、液体、気体、プラズマ、またはエアロゾルからなることが可能である。より具体的には、各種の例示的実施形態において、周囲空気のベース媒体は気体の形態であってよく、サンプルは気体またはエアロゾルの形態であってよい。
【0023】
デュアルチャネル光学セル10に放射線ビームを通す場合、セルは、チャネルごとに送信器(光源)20および受信器(検出器)22を含んでよい(図では、第1のチャネルに対して光源20aおよび検出器22aを、第2のチャネルに対して光源20bおよび検出器22bを示した)。各光源は、放射線(電磁波)のビームを送信するように構成された何種類かの光源のうちのいずれかから成るものであってよく、各検出器は、放射線ビームを検出もしくは測定するように構成された何種類かの検出器のうちのいずれかから成るものであってよい。たとえば、一方または両方の光源が光混合器型送信器(photomixer transmitter)を含んでよく、光混合器型送信器は、セルに直接結合されてもよく、それぞれの光路(たとえば、光ファイバ)を介してセルに間接的に結合されてもよい。同様に、一方または両方の受信器が、光混合器型受信器(ホモダイン受信器)のような電界検出器を含んでよく、これは、セルに直接結合されてもよく、間接的に結合されてもよい。マイクロ波アンテナおよびテラヘルツアンテナを、光源および受信器の両方として使用してもよく、用途によってはレーザを光源として使用してよい。
【0024】
光源20および検出器22は、視野反射鏡12を含むチャンバ18の端部の、視野反射鏡の領域の内側または外側に近接して配置してよい。光源または検出器が視野反射鏡の領域の内側に位置する場合は、図に示すように、チャンバおよび/または視野反射鏡が、それぞれの光源または検出器をチャンバ内部と結合するための開口部またはポートの範囲を規定することになる。一方、光源または検出器が視野反射鏡の領域の外側に位置する場合は、チャンバ自体だけが、それぞれの光源または検出器をチャンバ内部と結合するための開口部またはポートの範囲を規定することになる。
【0025】
チャネルごとに、対物反射鏡14、16の軸(各対物反射鏡の中心を通る、親対物反射鏡の二次軸を回転させたもの)は視野反射鏡12の反射面を通過してよく、(たとえば、親対物反射鏡の光軸と一致する)視野反射鏡の光軸は各対物反射鏡からほぼ等距離にある共通の点を通過してよい。図3に示すように、チャネルごとに、各光源20を介してセル10に導入したビーム24を、当該チャネルの対物反射鏡対のうちの第1の対物反射鏡(たとえば、対物反射鏡14)に向けてよく、この対物反射鏡はビームを反射して視野反射鏡に戻す。視野反射鏡は、このビームを当該チャネルの対物反射鏡対のうちの第2の対物反射鏡(たとえば、対物反射鏡16)に向けて反射する。第2の対物反射鏡はこのビームを反射して視野反射鏡に戻し、視野反射鏡は、このビームを反射して第1の対物反射鏡に戻す。その後、このビームは、それぞれの検出器22に到達するまで視野反射鏡と各対物反射鏡との間で反射され続ける。各対物反射鏡の光軸間の距離、視野反射鏡と各対物反射鏡との間の距離、ならびに(光源位置および検出器位置を通る線に平行な方向の)視野反射鏡の直径またはサイズが、視野反射鏡と各対物反射鏡との間の反射の回数に影響を及ぼす可能性があり、したがって、ビームがセル10をトラバースする光路の長さに影響を及ぼす可能性がある。より重要なこととして、各対物反射鏡の角度(傾斜角度)により、反射回数および経路長の微調整制御を行うことが可能である。
【0026】
一般に、THz光源から誘導されるビームは、レイリー長(平行化されたビームが平行化されたままでいられる距離)が非常に短いために、第1の対物反射鏡(たとえば、対物反射鏡14)に向かって球面波のように広がる。第1の対物反射鏡は、ビームを視野反射鏡12上のスポットに再集束し、これによって、反射鏡の検出器孔の下および近くでスポットの線列(line sequence)が開始される。反射光によって、ビームは第2の対物反射鏡(たとえば、対物反射鏡16)に向かって再度広がり、第2の対物反射鏡は、ビームを視野反射鏡上の光源孔の位置の近くのスポットに再集束し、これによって、光源の中心と検出器の中心とを結ぶ線を含む面内で第2のスポット列が開始される。そして、この対応する点から、視野反射鏡はビームを第1の対物反射鏡に向けて戻す。この過程では、光源と検出器とを結ぶ線上のスポットが検出器ポートに到達して検出器によって集光されるまで、スポットを視野反射鏡上に集め続ける。
【0027】
各チャネルおよびそれぞれの対物反射鏡14、16、光源20、および検出器22を何種類かの方式のうちのいずれかで配置することにより、各チャネルについて上述の動作を実行することが可能であり、上述の動作は別々のタイミングで実行してもよく、同時に実行してもよい。たとえば、チャネルごとに、視野反射鏡12の直径からずれた場所にある(ただし、直径と平行である)視野反射鏡12の弦に沿って光源20および検出器22を配置してよく、この弦に沿って視野反射鏡の軸から等距離に光源および検出器を配置してよい。光源は、視野反射鏡の外側エッジに近接した線に沿って配置してよい。そして、各検出器は、光源によってセル10に導入され、検出器によって受信されるすべてのビームとの、最大でなくとも十分な結合が得られるように、この線に沿って光源に対して配置してよい。
【0028】
また、チャネルごとに、(それぞれの傾斜角度で傾斜した)対物反射鏡14、16、光源20、および検出器22は、光源および検出器と各対物反射鏡の中心とが同一面内にあるように配置してよい。そして、光源および検出器がそれぞれ上述のように視野反射鏡12の弦上にある場合は、光源および検出器と、各対物反射鏡とがある面を視野反射鏡の軸(光軸)からいくぶん傾斜させてよい。そして、各対物反射鏡の傾斜角軸は、光源および検出器が沿っている弦に垂直であってよく、視野反射鏡の光軸に垂直であってよい。
【0029】
図2および図3に示した例示的実施形態では、光源20aおよび検出器22aと、対物反射鏡14a、16aの中心とは、視野反射鏡の軸に対してわずかに傾斜した面にあり、光源20bおよび検出器22bと、対物反射鏡14b、16bの中心とは、視野反射鏡の軸に対してわずかに傾斜したほぼ直交する面にある。そして、例示のデュアルチャネル光学セル10では各チャネルを直交構成に並べてよい。図1および図2に示したように、第1のチャネル内のビーム(図のビーム24a)が一般に伝搬する領域は、第2のチャネル内のビーム(図のビーム24b)が伝搬する領域と直交してよい。
【0030】
セルの設計では、検出器22および光源20を上述の対称位置に配置してよく、これらの位置はビームウエスト位置に対応してよい。光混合器、THzホーンアンテナなどのような光源は、ウエスト位置に対してそれぞれの装置の望ましい位置があってよい。これがわかっていれば、各種装置をセル10内のそれぞれの適切な位置に取り付けることが可能である。しかしながら、THz分光計の用途に用いる場合は、対物反射鏡14、16が光源のウエストを複数の結像スポットにより視野反射鏡12上に結像するようにセルを設計してよい。この設計は、従来の光学設計による最適化が可能である。しかしながら、テラヘルツはさらなる制約をもたらす可能性があり、それは経路長および波長に対する波面の曲率半径の変化である。
【0031】
背景技術の項で説明したように、波長の関数であるビーム伝搬は広帯域のTHz波長にわたって深刻な集束ずれを引き起こす可能性がある。これらの問題は、ビームの開きが波長によって大きく異なる可能性があるために、スポットの著しい逸脱やスループットの低下を引き起こす可能性がある。この点では、ビームは、視野反射鏡12上でのビーム集束が注目帯域内の周波数に対して変化する(注目周波数に対して変化する)ように非点収差であると見なしてよい。このことは、図4に見られるとおりである。図4は、検出器で測定可能なビームの放射照度(面積当たり出力)の一例を示している。したがって、一例示的実施形態では、検出器を視野反射鏡の外側エッジに近接させ、検出器の中心における注目周波数(たとえば、注目帯域内の中心周波数)のビーム放射照度が最大になる点に配置してよい。そして、検出器は、ビームのエネルギのすべてでなくともほとんどを検出もしくは測定するようなサイズであってよい。図4の例では、ビームの周波数が500GHzであり検出器の長さおよび幅(円形検出器の場合は直径)が8mmである。注目スペクトル領域では、そして特にTHzスペクトル領域では、本発明の例示的実施形態の多チャネル光学セルの各チャネルは、それぞれの個々の帯域に応じて設計されてよく、帯域が連続する場合には、この多チャネル光学セルはそれらのチャネルの帯域を包含するさらに広い帯域を効果的にカバーすることが可能である。
【0032】
一例として、セル10のそれぞれのチャネルは、別々の波長の光源20から要求される別々の曲率半径により別々の中心周波数に対して光学的に最適化されてよい。これにより、光源の位置を変化させて、ビームの波面曲率を、対物反射鏡の曲率によりよく適合させること、および/または光源と検出器の位置をチャネルごとに調節することが可能になる。
【0033】
デュアルチャネル光学セル22のより具体的な例として、近赤外線用に設計されたセルを考える。光源20は、光源と対物反射鏡との距離に等しい曲率半径のビームを送信するように設計されてよい。これは、反射鏡(視野反射鏡12および対物反射鏡14、16)の曲率半径(ROC)がこれと同じROC(たとえば、200mm)であってよいためである。そこで、このセルを、400GHzを中心とする約200GHzの帯域幅と600GHzを中心とする約200GHzの帯域幅とを有するチャネルのTHz周波数で使用することを考える。この例では、視野反射鏡12の曲率半径は約200mmであり、対物反射鏡14、16はROCが約200mmであって視野反射鏡から200mmのところに位置する。これらの値に対し、4mmのウエストを有するTHz光源が400GHzで222.46mm、600GHzで250.53mmのROCを生成し、このROCは、赤外線内の挙動と異なり各帯域にわたって変化する。1つのソリューションは、第1のチャネルの光源の位置を対物反射鏡のROCと適合するように調節することであり、第2の光源の場合も同様であるが、これは、光源の配置が容認しかねるものになるおそれがある。よりよいソリューションは、セルを再設計して200mmの要素を400GHzおよび600GHzの帯域中心に最適適合するものに置き換えることである。なお、最適化により、光源ビームのROCを両帯域にわたって変化させた結果として、視野反射鏡と対物反射鏡との間の最良の距離、および各反射鏡のROCの選択が可能になる。この設計の最適化は、多経路セルのテラヘルツ用途に特有であり、可視用途および赤外線用途には無関係である。これは、可視用途および赤外線用途において、光源のROCがほぼ一定となるためである。
【0034】
1つのチャネルに2つのTHzチャネルを有することによりROC性能を改善することに加えて、本セル設計は、設計者がこの2つのチャネルに対して別々の光源を使用することを可能にしうる。このような場合、その2つのチャネルに対する光源は別々の光源ビームウエストを有してよく、これにより最適化プロセスの自由度をさらに高めることが可能である。このプロセスは分光装置の感度の全体的向上に寄与することが可能である。
【0035】
上述のように、一例示的実施形態の多チャネル光学セルはデュアルチャネル光学セルであるが、多チャネル光学セルは、動作波長および経路長要件に応じて、3つ、4つ、またはそれ以上のチャネルを含んでよい。3チャネル光学セル26の一例を図5に示す。付随する管またはチャンバは簡潔さのために省略した。図に示すように、デュアルチャネル光学セルと同様に、3チャネル光学セルは凹面視野反射鏡28とチャネルごとの対物反射鏡対30、32とを含んでよい(図では、第1のチャネルに対して対物反射鏡30a、32aを、第2のチャネルに対して対物反射鏡30b、32bを、第3のチャネルに対して対物反射鏡30c、32cを示した)。デュアルチャネル光学セルの各対物反射鏡と同様に、3チャネル設計の各対物反射鏡はそれぞれ別個の反射鏡であってよく、あるいは2つ以上の対物反射鏡が単一の反射鏡から形成されてもよい。
【0036】
視野反射鏡28および対物反射鏡30、32は、何種類かの形状のうちのいずれかの反射面を有する凹面反射鏡であってよい。一例示的実施形態では、視野反射鏡および対物反射鏡を含む反射鏡は、ほぼ同一の曲率半径を有する球面の凹面反射鏡である。たとえば、図5に示したように、各対物反射鏡は、各対物反射鏡から等距離にある視野反射鏡の光軸上の点のまわりに円形に配置してよい。チャネルごとに経路長が異なってもよい。この場合、対物反射鏡対の傾斜角度はチャネルごとに異なってよく、したがって、視野反射鏡上のスポット数および結果として経路長がチャネルごとに異なってよい。このことは、飽和していると考えられる強い吸収スペクトル線の測定を1つのチャネルで行う場合に有用である。より短い経路長をこのチャネルに用いると、非飽和測定が可能である。
【0037】
また、2チャネル光学セル10と同様に、3チャネル光学セル26は、チャネルごとに送信器(光源)34および受信器(検出器)36を含んでよい(図5では、第1のチャネルに対して光源34aおよび検出器36aを、第2および第3のチャネルに対して光源34bおよび34cをそれぞれ示した。第2および第3のチャネルに対する検出器は、ビームの背後に隠れている)。各チャネルの対物反射鏡30、32、光源および検出器を含む各チャネルの構成要素を、何種類かの方式のうちのいずれかで配置および配列することにより、上述の方式と同様の方式で各チャネルに対する動作を実行することが可能である。たとえば、光源および検出器は、視野反射鏡の直径からずれた場所にある(ただし、直径と平行である)視野反射鏡の弦に沿って配置してよく、ビームのウエストおよびその開きに応じて変化するような様式で互いに対して配置してよい。
【0038】
デュアルチャネル光学セル10の場合は、1つのチャネルの光源34および検出器36と対物反射鏡30、32の中心とが、視野反射鏡12の軸に対して傾斜していてよい独立した面内にあるように各構成要素を配置してよい。3チャネル設計の場合、そして、一般に多チャネル光学セルの場合には、これらの面を360°/2nにほぼ等しい鈍角でない(鋭角または直角の)交差角度で交差するように配置してよい(ただし、nはチャネル数(たとえば、3)を表す)。言い換えると、これらの面は、共通の点(たとえば、視野反射鏡の光軸と一致してよい親対物反射鏡の軸)のまわりで交差するように配置してよく、z軸のまわりを360°/2nにほぼ等しい角度で互いに対して回転させてよい。したがって、デュアルチャネル設計の場合は、これらの面をほぼ90°(すなわち、360°/4)の直角の交差角度で交差するように配置してよく、3チャネル設計の場合は、これらの面をほぼ60°(すなわち、360°/6)の鋭角の交差角度で交差するように配置してよい。
【0039】
本発明の例示的実施形態の多チャネルセルは、様々なタイプの分光計システムを含むいくつかの文脈のうちのいずれかで実装してよい。本発明の例示的実施形態から利益を受けうるそのような分光計のシステムおよび方法の1つが、2010年2月25日に出願された米国特許出願第12/712,736号(名称「System and Method for Magnitude and Phase Retrieval by Path Modulation」)に記載されている。この出願の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0040】
本発明に関係していて、前述の説明および関連付けられた図面で提示された教示の恩恵がある当業者であれば、本発明の多くの修正形態および他の実施形態が思い浮かぶと考えられる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないこと、ならびに修正形態および他の実施形態は添付の特許請求の範囲に含まれるものとすることを理解されたい。本明細書では特定の用語を用いているが、これらは一般的および説明的な意味で使用されているだけであり限定目的での使用ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸および反射面を有する視野反射鏡と、
それぞれが前記視野反射鏡の前記反射面と向き合うように配置された反射面を有する複数の対物反射鏡対と、
前記各対物反射鏡の前記反射面と向き合う、複数の光源ポートおよび検出器ポートの対であって、各対の前記光源ポートおよび検出器ポートは、前記視野反射鏡の前記光軸がそれぞれの前記光源ポートおよび検出器ポートの間にあるように前記視野反射鏡の外側エッジに近接して配置されていて、前記各光源ポートは、放射線ビームを前記視野反射鏡と前記各対物反射鏡との間に通して伝搬させるように構成されていて、前記各検出器ポートは、前記視野反射鏡と前記各対物反射鏡との間を伝搬した放射線ビームを受信するように構成されている、前記複数の光源ポートおよび検出器ポートの対と、を備え、
前記各対物反射鏡と前記光源ポートおよび検出器ポートの各対は、前記光源ポートおよび検出器ポートの各対が別個のチャネルを形成する各対物反射鏡対に関連付けられるように配置されていて、前記各チャネルの前記光源ポートおよび検出器ポートの対ならびに前記関連付けられた対の対物反射鏡の各中心はそれぞれ別個の面内に位置する、
装置。
【請求項2】
前記各対物反射鏡ならびに前記光源ポートおよび検出器ポートの各対は、前記各チャネルの前記別個の面同士が約360°/2n(nはチャネル数を表す)の、鈍角でない交差角度で交差するように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記各対物反射鏡は、前記視野反射鏡の前記光軸上にある共通の点のまわりに配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
チャネルごとに、前記光源ポートおよび検出器ポートは前記視野反射鏡の弦上にあり、前記各対物反射鏡は前記各弦に垂直で前記視野反射鏡の前記光軸に垂直な軸に沿ってある角度で傾斜している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
チャネルごとに、前記光源ポートおよび検出器ポートが沿っている前記弦は前記視野反射鏡の直径からずれた場所にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記視野反射鏡および前記各対物反射鏡は、前記共通点のまわりに四つ葉状または円状に配置された複数の球面の凹面反射鏡を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記共通点は、前記各対物反射鏡から等距離にある、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
チャネルごとに、前記視野反射鏡、前記対物反射鏡対、ならびに前記光源ポートおよび検出器ポートの対は、前記光源ポートを通った放射線ビームが前記各検出器ポートに到達するまで前記視野反射鏡と前記対物反射鏡対との間で伝搬および反射を繰り返すように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記各光源ポートは別個の周波数帯の放射線ビームを通すように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記各光源ポートはテラヘルツスペクトル領域の別個の周波数帯の放射線ビームを通すように構成された、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の光源ポートおよび検出器の対は少なくとも第1の光源ポートおよび第2の光源ポートを含んでいて、前記第1の光源ポートはテラヘルツスペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていて、前記第2の光源ポートは赤外線または可視のスペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の光源ポートおよび検出器の対は、少なくとも第1の光源ポート、第2の光源ポート、および第3の光源ポートを含んでいて、前記第1の光源ポートはテラヘルツスペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていて、前記第2の光源ポートは赤外線スペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていて、前記第3の光源ポートは可視スペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
光軸および反射面を有する視野反射鏡と、
第1のチャネルであって、
それぞれが前記視野反射鏡の前記反射面と向き合うように配置された反射面を有する第1の対物反射鏡対と、
前記視野反射鏡の外側エッジに近接して配置されている第1の光源ポートおよび第1の検出器ポートであって、前記視野反射鏡の前記光軸が前記第1の光源ポートと前記第1の検出器ポートとの間にあり、前記第1の光源ポートおよび第1の検出器ポートと前記第1の対物反射鏡対の各中心とが第1の面内にある、前記第1の光源ポートおよび第1の検出器ポートと、を備える前記第1のチャネルと、
第2のチャネルであって、
それぞれが前記視野反射鏡の前記反射面と向き合うように配置された反射面を有する、第2の対物反射鏡対と、
前記視野反射鏡の前記外側エッジに近接して配置されている第2の光源ポートおよび第2の検出器ポートであって、前記視野反射鏡の前記光軸が前記第2の光源ポートと前記第2の検出器ポートとの間にあり、前記第2の光源ポートおよび第2の検出器ポートと前記第2の対物反射鏡対の各中心とが、前記第1の面とは別個の第2の面内にある、前記第2の光源ポートおよび第2の検出器ポートと、を備える前記第2のチャネルと、
を備える装置。
【請求項14】
前記第1および第2の対物反射鏡対、ならびに前記第1および第2の光源ポートおよび検出器ポートは前記第1および第2の面同士がほぼ直角に交差するように配置されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1および第2の対物反射鏡対は前記視野反射鏡の前記光軸上にある共通点のまわりに配置されている、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の光源ポートおよび第1の検出器ポートは前記視野反射鏡の第1の弦上にあり、前記第1の対物反射鏡対の各対物反射鏡は、前記第1の弦に垂直であって前記視野反射鏡の前記光軸に垂直な軸に沿ってある角度で傾斜していて、
前記第2の光源ポートおよび第2の検出器ポートは前記視野反射鏡の第2の弦上にあり、前記第2の対物反射鏡対の各対物反射鏡は、前記第2の弦に垂直であって前記視野反射鏡の前記光軸に垂直な軸に沿ってある角度で傾斜している、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の光源ポートおよび第1の検出器ポートが沿っている前記第1の弦、ならびに前記第2の光源ポートおよび第2の検出器ポートが沿っている前記第2の弦のそれぞれは、前記視野反射鏡の直径からずれた場所にある、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記視野反射鏡および前記各対物反射鏡は、前記共通点のまわりに四つ葉状または円状に配置された複数の球面の凹面反射鏡を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記共通点は前記各対物反射鏡から等距離にある、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記視野反射鏡、前記第1の対物反射鏡対、前記第1の光源ポートおよび前記第1の検出器ポートは、前記第1の光源ポートを通った第1の放射線ビームが前記第1の検出器ポートに到達するまで、前記視野反射鏡と、前記第1の対物反射鏡対のそれぞれとの間で伝搬および反射を繰り返すように配置されていて、
前記視野反射鏡、前記第2の対物反射鏡対、前記第2の光源ポートおよび前記第2の検出器ポートは、前記第2の光源ポートを通った第2の放射線ビームが、前記第2の検出器ポートに到達するまで、前記視野反射鏡と前記第2の対物反射鏡対のそれぞれとの間で伝搬および反射を繰り返すように配置されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記第1および第2の光源ポートはそれぞれ別個の周波数帯の放射線ビームを通すように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項22】
前記第1および第2の光源ポートは、テラヘルツスペクトル領域のそれぞれ別個の周波数帯の放射線ビームを通すように構成された、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の光源ポートはテラヘルツスペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていて、前記第2の光源ポートは赤外線または可視のスペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
それぞれが前記視野反射鏡の前記反射面と向き合うように配置された反射面を有する第3の対物反射鏡対と、
前記視野反射鏡の前記外側エッジに近接して配置されている第3の光源ポートおよび第3の検出器ポートであって、前記視野反射鏡の前記光軸が前記第3の光源ポートと前記第3の検出器ポートとの間にあり、前記第3の光源ポートおよび第3の検出器ポートと前記第3の対物反射鏡対の各中心とが前記第1および第2の面とは別個の第3の面内にある、前記第3の光源ポートおよび第3の検出器ポートと、
を備える第3のチャネルをさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項25】
前記第1、第2、および第3の対物反射鏡対、ならびに前記第1、第2、および第3の光源ポートおよび検出器ポートは、前記第1、第2、および第3の面同士がほぼ60°の角度で交差するように配置されている、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の光源ポートはテラヘルツスペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されていて、前記第2の光源ポートは赤外線領域の放射線ビームを通すように構成されていて、前記第3の光源ポートは可視スペクトル領域の放射線ビームを通すように構成されている、請求項24に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−203253(P2011−203253A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−66149(P2011−66149)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(501348092)グッドリッチ コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】