説明

多モードイオン化源

【課題】複数イオン源を組み合わせた利点をもたらすことが可能で、個々の制限を受けず、切換えを必要とせず、かつ手動操作を必要としない多モードイオン化源を提供する。
【解決手段】多モードイオン化源には、1つ以上の大気圧イオン化源3、4が設けられる。これらのイオン化源は、エレクトロスプレーイオン化源、大気圧化学イオン化源、及び/または大気圧光イオン化源とすることが可能であり、サンプル21からの分子をイオン化するために用いられる。多モードイオン化源を利用して、イオンを発生させる方法も開示される。この装置及び方法によれば、個別イオン源に固有の欠点を伴わない、組み合わせイオン源の利点が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、質量分析計に関するものであり、とりわけ、多イオン生成技法を単
一イオン源に取り入れた大気圧イオン源(API)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
質量分析計は、分子をイオン化し、次に、その質量対電荷(m/z)比に基づいて、分
子の分類及び識別を行うことによって正常に機能する。このプロセスにおける2つの重要
なコンポーネントとして、イオンを発生するイオン源と、イオンを分類する質量分析部が
ある。質量分析計には、いくつかの異なるタイプのイオン源が利用可能である。各イオン
源は、特定の利点を有しており、異なるクラスの化合物に用いるのに適合する。異なるタ
イプの質量分析部も利用される。それぞれ、必要な情報タイプに応じた利点及び欠点があ
る。
【0003】
過去十年間にわたる液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)の進歩の大部分は
、新しいイオン源、及び、検体分子をイオン化し、結果生じるイオンを移動相から分離す
る技法の開発におけるものであった。従来のLC/MSシステムは、準大気圧または部分
真空下において機能したが、APIは、大気圧で発生する。さらに、従来、これらの旧式
システムでは、一般に、全てのコンポーネントが真空下におかれたが、APIは、真空外
で発生し、その後、真空内にイオンが送り込まれる。
【0004】
先行アプローチが成功するのは、化合物の数が極めて制限された場合だけであった。A
PI技法の導入によって、LC/MSを利用してうまく分析することが可能な化合物の数
は大幅に増大した。この技法では、最初に、検体分子が大気圧でイオン化される。次に、
検体イオンが、中性分子から空間的及び静電気的に分離される。一般的なAPI技法には
、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、及び、大
気圧光イオン化(APPI)がある。これらの技法のそれぞれに、利点及び欠点がある。
【0005】
エレクトロスプレーイオン化は、最も古い技法であり、部分的に化学に依存して、検体
が質量分析計に達する前に、溶液中において検体イオンを発生する。LC溶離剤が、強い
静電界のかかった、加熱された乾燥ガスの存在する、大気圧の室内に噴射(噴霧)される
。静電界によって、LC溶離剤及び検体分子が充電される。加熱された乾燥ガスによって
、小滴中の溶媒が蒸発する。小滴が収縮すると、小滴の電荷密度が増大する。最終的には
、同様の電荷を持つイオン間の斥力が、凝集力を超えて、イオンが放出され(脱離し)、
気相になる。イオンは、吸引されて、毛管またはサンプリングオリフィスを通り、質量分
析部に送り込まれる。小滴からのイオン放出時から質量分析部へのイオン到達時までの間
で、主として、プロトン移動及び電荷交換といった、いくつかの気相反応が生じる可能性
もある。
【0006】
エレクトロスプレーは、蛋白質、オリゴヌクレオチド、ペプチド等のような大きい生体
分子の分析にとりわけ有効である。この技法は、ベンゾジアゼピン及び硫酸化抱合体のよ
うなより小さい有極性分子の分析にも役立つ可能性がある。有効に分析可能な他の化合物
には、イオン化塩及び有機染料がある。
【0007】
大分子は、2つ以上の電子を獲得することが多い。一般的なLC/MS計測器の質量範
囲(または、より正確には質量対電荷範囲)が約3000m/zであっても、複数荷電に
よって、150,000uもの分子の分析が可能になるという利点が得られる。大分子が
多くの電荷を獲得する場合、デコンボルーションと呼ばれる数学的プロセスを利用して、
検体の実際の分子重量を求めることが可能である。
【0008】
大気圧で実施される第2の一般的な技法は、大気圧化学イオン化(APCI)である。
APCIの場合、LC溶離剤が、大気圧で、加熱した気化器(一般に250〜400℃)
によって噴霧される。熱によって液体が気化し、結果生じる気相溶媒分子が、コロナ放電
で生じる電子によってイオン化される。溶媒イオンは、次に、化学反応(化学イオン化)
によって電荷を検体分子に移動させる。検体イオンは、毛管またはサンプリングオリフィ
スを通って、質量分析部に送り込まれる。APCIには、いくつかの重要な利点がある。
この技法は、広範囲にわたる有極性及び無極性分子に適用可能である。この技法は、エレ
クトロスプレーのように複数荷電を生じることはめったになく、従って、1500u未満
の分子に利用するのに特に有効である。以上の理由及び高温の必要から、APCIは、熱
的に不安定である可能性のある大生体分子に関して、エレクトロスプレーほど役に立たな
い。APCIは、検体が、通常、無極性のため、エレクトロスプレーよりも、順相クロマ
トグラフィに用いられる場合が多い。
【0009】
LC/MSに関する大気圧光イオン化は、比較的新しい技法である。APCIのように
、気化器によってLC溶離剤が気相に変換される。放電灯が、狭いイオン化エネルギー範
囲で光子を発生する。このエネルギー範囲は、できるだけ多くの検体分子をイオン化し、
同時に、溶媒分子のイオン化を最小限に抑えるように慎重に選択される。結果生じるイオ
ンは、毛管またはサンプリングオリフィスを通って、質量分析部に送り込まれる。APP
Iは、一般にAPCIによって分析されるのと同じ化合物の多くに適用可能である。AP
PIは、とりわけ、無極性の高い化合物及び低流量(<100ul/min)といった、
APCIの感度が低下する場合のある、2つの用途において有望である。検体の性質と分
離状態は、エレクトロスプレー、APCI、または、APPIといったイオン化技法が最
良の結果を生じる上においてかなりの影響を及ぼす。最も有効な技法を予測するのは、必
ずしも容易ではない。
【0010】
上述のこれらの技法では、異なるメカニズムによって分子をイオン化する。あいにく、
これらの技法のどれにも、汎用サンプルイオン発生器はない。汎用イオン化の欠如は、し
ばしば潜在的な利点とみなすことが可能な場合もあるが、大いに相違するサンプルの迅速
な分析を担う分析者には重大な欠点を露呈することになる。極めて限られた時間と、分析
しなければならない、ずらりと並んだ数多くのサンプルに直面した分析者が関心を示すの
は、単一技法及び単一組の条件で、できるだけ多種類のサンプルをイオン化することが可
能なイオン源である。あいにく、こうしたAPIイオン源技法は得られなかった。
【0011】
陽イオン検出と陰イオン検出との迅速な切換えを利用して、サンプルイオン化の範囲を
改善しようとする試みがなされてきた。陽イオン/陰イオンを急速に切り換えると、結果
として、API技法で検出される化合物のパーセンテージが増すことになる。しかし、そ
れによって、より汎用性の高いAPIイオン発生の必要がなくなるわけではない。
【0012】
以上の理由から、複数イオン源(エレクトロスプレー、APCI、及びAPPI)を組
み合わせた利点をもたらすことが可能な、ただし、個々の制限を受けない、イオン源を用
いることが望ましい。さらに、あるイオン源から別のイオン源への切換えを必要とせず、
さらに、イオン源を機能させるのに手動操作を必要としないイオン源を備えることが望ま
しい。
【発明の概要】
【0013】
従って、本発明の目的は、迅速に、効率よく、かつ有効に、様々なサンプルのイオン化
が可能な多モードイオン源を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】質量分析計の概略的なブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施態様を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施態様を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の第3の実施態様を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第4の実施態様を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明について詳述する前に、本明細書及び付属の請求項において用いられる限りにお
いて、「ある」、「その」といった単数形には、文脈において別様の明確な指示がない限
り、複数の指示物が含まれるという点に特に言及しておかなければならない。従って、例
えば、「ある導管」への言及には、2つ以上の「導管」が含まれる。ある「エレクトロス
プレーイオン化源」またはある「大気圧イオン化源」への言及には、2つ以上のエレクト
ロスプレーイオン化源」または「大気圧イオン化源」が含まれる。本発明の説明及び請求
において、以下の用語は、以下の定義に従って用いられることになる。
【0016】
「隣接した」という用語は、近い、隣の、または隣り合ったという意味になる。隣接し
た何かは、別のコンポーネントと接触することもできるし、他のコンポーネントを包囲す
る(と同軸をなす)こともできるし、他のコンポーネントから間隔をあけることもできる
し、あるいは他のコンポーネントの一部を含むことも可能である。例えば、噴霧器に隣接
した「乾燥装置」は、噴霧器の隣に間隔をあけて配置することもできるし、噴霧器と接触
することもできるし、噴霧器を包囲するか、噴霧器または噴霧器の一部によって包囲され
ることもできるし、噴霧器を含むか、噴霧器に含まれることもできるし、噴霧器と隣り合
うこともできるし、あるいは噴霧器の近くに位置することも可能である。
【0017】
「導管」という用語は、イオンまたはガスを収容するか、または輸送するために利用可
能な、任意のスリーブ、毛管、輸送装置、ディスペンサ、ノズル、ホース、パイプ、プレ
ート、ピペット、オリフィス、壁面のオリフィス、コネクタ、管、カップリング、コンテ
ナ、ハウジング、構造、または装置を表している。
【0018】
「コロナニードル」という用語は、コロナ放電を生じさせるために利用可能な任意の導
管、ニードル、物体、または装置を表している。
【0019】
「分子縦軸」という用語は、噴射方向において最もイオン濃度の高い領域を通るように
描くことが可能な、理論上の軸またはラインを表わしている。上記用語は、導管の軸に対
する分子縦軸の関係のために採用された。場合によっては、イオン源またはエレクトロス
プレー噴霧器の縦軸が、導管の縦軸からオフセットすることもあり得る(理論上の軸は直
交するが、3次元空間においてアライメントがとれない)。「分子縦軸」という用語の利
用は、それらの実施態様を本発明の広い範囲内に含むように採用された。直交するという
用語は、ほぼ垂直に、すなわち、ほぼ90度の角度でアライメントがとれることを表わし
ている。例えば、「分子縦軸」は、導管の軸と直交することが可能である。実質的に直交
するという用語は、90±20度を表わしている。しかし、本発明は、これらの関係に制
限されるものではなく、「分子縦軸」と導管の縦軸との間に形成されるさまざまな鋭角及
び鈍角を含むことが可能である。
【0020】
「噴霧器」という用語は、液体から小滴またはエアゾルを生じさせる、当該技術におい
て既知の任意の装置を表している。
【0021】
「第1の電極」という用語は、ESI源から生じる噴流または噴霧の方向づけまたは制
限を行うため、あるいは噴霧器まわりの電界を強めて、荷電小滴の形成を助けるため、噴
霧器またはエレクトロスプレーイオン化源に隣接して用いることが可能な任意の設計また
は形状の電極を表わしている。
【0022】
「第2の電極」という用語は、第1の電極から導管にイオンを送るために用いることが
可能な任意の設計または形状の電極を表わしている。
【0023】
「乾燥装置」という用語は、イオン化蒸気を乾燥または部分乾燥させることが可能な、
任意のヒータ、ノズル、ホース、導管、イオンガイド、同軸構造、赤外線(IR)ランプ
、u波ランプ、加熱表面、ターボスプレー装置、または加熱ガス導管を表している。イオ
ン化蒸気の乾燥は、計測器の感度の維持または向上において重要である。
【0024】
「イオン源」または「源」という用語は、検体イオンを発生する任意の源を表わしてい
る。
【0025】
「イオン化領域」という用語は、任意のイオン源と導管との間の領域を表わしている。
【0026】
「エレクトロスプレーイオン化源」という用語は、エレクトロスプレーイオンを発生す
るための噴霧器及び関連部分を表わしている。噴霧器は、大地電位であっても、なくても
かまわない。この用語も、当該技術において周知のエレクトロスプレーイオン化技法を用
いて生じるイオンと同様かまたは同じ荷電粒子を放電させることが可能な電極を備えた管
のような、機器または装置を含むものと広義に解釈すべきである。
【0027】
「大気圧イオン化源」という用語は、イオンの発生技術において既知の一般的な用語を
表わしている。この用語は、さらに、周囲温度及び周囲圧力範囲でイオンを発生するイオ
ン源を表わしている。イオン化源によっては、制限するわけではないが、エレクトロスプ
レー、APPI及びAPCIイオン源を含むことも可能である。
【0028】
「検出部」という用語は、イオンを検出することが可能な任意の装置、機器、機械、コ
ンポーネント、またはシステムを表わしている。検出部には、ハードウェアまたはソフト
ウェアを含む場合もあれば、含まない場合もあり得る。質量分析計において、一般的な検
出部は、質量分析部を含んでいて、かつ質量分析部に結合されているか、あるいは、その
いずれかである。
【0029】
「順次」または「順次アライメント」という用語は、連続して配置されたイオン源の利
用を表わしている。イオン源は、次から次へと後続する。これは、線形配列であっても、
なくてもかまわない。
【0030】
本発明の説明は、図面を参照して行われる。図面は、一定の比率で描かれたものではな
く、すなわち、明瞭に提示するために一部の寸法が誇張されている場合もある。
【0031】
図1には、質量分析計の一般的なブロック図が示されている。本発明は、様々な異なる
タイプの質量分析計に用いることができるので、このブロック図は、一定の比率によるも
のではなく、一般的なフォーマットで描かれている。本発明の質量分析計1には、多モー
ドイオン源2、輸送システム6、及び検出部11が含まれている。本発明は、その最も広
義の意味において、単一APIイオン源のイオン化範囲を拡大し、複数イオン情報メカニ
ズムを単一イオン源に組み込むものである。実施態様の1つでは、これが、ESI機能と
1つ以上のAPCI及び/またはAPPI機能を組み合わせることによって実現される。
第1のイオン源または機能によってイオン化されない検体は、第2のイオン源または機能
によってイオン化すべきである。
【0032】
図1及び図2を参照すると、多モードイオン源2には、第1のイオン源3と、第1のイ
オン源3より下流の第2のイオン源4が含まれている。第1のイオン源3は、第2のイオ
ン源4と空間的に分離することもできるし、あるいは、第2のイオン源4と一体化するこ
とも可能である。第1のイオン源3は、第2のイオン源4と順次アライメントをとること
も可能である。しかし、順次アライメントが必要というわけではない。「順次」または「
順次アライメント」という用語は、連続して配置されたイオン源の利用を表わしている。
イオン源は、次から次へと後続する。これは、線形配列であっても、なくてもかまわない
。第1のイオン源3が第2のイオン源4と順次アライメントがとれる場合、イオンは、第
1のイオン源3から第2のイオン源4に送られなければならない。第2のイオン源4には
、多モードイオン源2の全て若しくは一部、輸送システム6の全て若しくは一部、または
その両方の全て若しくは一部を含むことが可能である。
【0033】
第1のイオン源3には、大気圧イオン源を含むことが可能であり、第2のイオン源4に
は、1つ以上の大気圧イオン源を含むことも可能である。本発明にとって重要なのは、エ
アゾルの形態で荷電小滴及びイオンが得られるようにするため、第1のイオン源3が、エ
レクトロスプレーイオン源または同様のタイプの装置であると言うことである。さらに、
エレクトロスプレー技法には、後で検出し、デコンボルーションを施して、蛋白質のよう
な大分子の特性を解明することが可能な、複合荷電種をもたらすという利点がある。第1
のイオン源3は、多モードイオン源2内のいくつかの位置、定位置、または場所に配置す
ることが可能である。図には、導管37(毛管として図示)に対して直交するように配置
された第1のイオン源3が示されている。直交するの意味するところは、第1のイオン源
3が、導管37の導管縦軸9に対して垂直な「分子縦軸」7を備えるということである(
明確化のため図2を参照されたい)。「分子縦軸」という用語は、噴射方向において最も
イオン濃度の高い領域を通るように描くことが可能な、理論上の軸またはラインを表わし
ている。上記用語は、導管の軸に対する「分子縦軸」の関係のために採用された。場合に
よっては、イオン源またはエレクトロスプレー噴霧器の縦軸が、導管の縦軸からオフセッ
トすることもあり得る(理論上の軸は直交するが、3次元空間においてアライメントがと
れない)。「分子縦軸」という用語の利用は、それらのオフセット実施態様を本発明の広
い範囲内に含むように採用された。この用語は、また、イオン源及び/または噴霧器の縦
軸が導管の縦軸9に対して実質的に直交する状況(図示のように)を含むように定義され
ている。さらに、図には、本発明が実質的に直交する構成で示されているが(分子縦軸が
導管縦軸と実質的に直交する)、分子縦軸と導管縦軸の間で、さまざまな角度(鈍角及び
鋭角)を形成することが可能である。
【0034】
図2には、本発明の第1の実施態様の断面図が示されている。この図には、多モードイ
オン源2のさらなる詳細が示されている。多モードイオン源2には、全て、単一イオン源
ハウジング10に収容された、第1のイオン源3、第2のイオン源4、及び導管37が含
まれている。この図に示すように、第1のイオン源3は、イオン源ハウジング10内にお
いて第2のイオン源4に密結合され、一体化されている。イオン源ハウジング10は、図
に示されているが、本発明の必要な構成要素というわけではない。予測では、イオン源は
、独立したハウジングに納めることもできるし、あるいは、イオン源がイオン源ハウジン
グ10と共に用いられることが全くない構成において、利用することさえ可能である。イ
オン源は、通常、大気圧(約760トル)で動作するが、代わりに、約20〜約2000
トルの圧力に保つことも可能である。イオン源ハウジング10は、ガスを除去するための
排気ポート12を備えている。
【0035】
第1のイオン源3(図2にはエレクトロスプレーイオン源として示されている)には、
噴霧器8と乾燥装置23が含まれている。噴霧器8のコンポーネントは、それぞれ、独立
したものとすることも、あるいは、イオン源10と一体化することも(図2〜図5に示す
ように)可能である。噴霧器8とイオン源ハウジング10が一体化される場合、イオン源
ハウジング10に対する噴霧器8の取り付けには噴霧器カップリング40を用いることが
可能である。
【0036】
噴霧器8には、噴霧器導管19、噴霧器注入口42を備えた噴霧器キャップ17、及び
噴霧器先端20が含まれている。噴霧器導管19は、噴霧器キャップ17から噴霧器先端
20まで延びる縦通ボア28を備えている(図には、噴霧器導管19が、ボアのアライメ
ントが取れるようにして、2つの部分に分割された、分割設計で示されている)。縦通ボ
ア28は、イオン化領域15内に放出される荷電エアゾルを形成するため、噴霧器先端2
0にサンプル21を送るように設計されている。噴霧器8は、イオン化領域15に放出さ
れる荷電エアゾルを形成するためのオリフィス24を備えている。乾燥装置23は、噴霧
器先端20で発生し、そこから放出された荷電エアゾルに対してスイープガスを供給する
。スイープガスは、加熱して、直接または間接的にイオン化領域15に供給することが可
能である。スイープガス導管25を利用して、スイープガスをイオン化領域15に直接供
給することが可能である。スイープガス導管25は(図2に示すように)イオン源ハウジ
ング10に取り付けてもよいし、一体化してもよい。スイープガス導管25がイオン源ハ
ウジング10に取り付けられる場合、独立したイオン源ハウジングボア29を用いて、ス
イープガス源23からスイープガス導管25に向けてスイープガスを送ることが可能であ
る。スイープガス導管25は、噴霧器導管19の一部を含むこともできるし、あるいは、
噴霧器先端20からエアゾルが供給される際、エアゾルに対してスイープガスが送られる
ように、噴霧器導管19を部分的または完全に包囲することも可能である。
【0037】
ESI液に荷電するため噴霧器先端20に電界を加えることが重要であるという点に留
意すべきである。噴霧器先端20は、高電界強度を発生するのに十分なほど小さくなけれ
ばならない。噴霧器先端20は、一般に、直径が100〜300ミクロンである。第2の
イオン源4が、APCIイオン源である場合、コロナニードル14の電圧は、500〜6
000Vの間で、4000Vが一般的である。光子源は、通常、噴霧器先端20の電界に
影響しないので、この電界は、APPIにとってクリティカルなものではない。多モード
イオン源2の第2のイオン源4が、APCI源である場合、初期ESIプロセスの妨げに
ならないように、噴霧器の電界は、コロナニードル14に印加される電圧から分離する必
要がある。上述の実施態様(図2に示す)の場合、接地した噴霧器が用いられる。この設
計は、ユーザにとってより安全であり、より弱電流で、より低コストの電源(図示及び解
説されない電源)が利用される。
【0038】
第2のイオン源4がAPCIである実施態様の1つでは、オプションの第1の電極30
及び第2の電極33が、第1のイオン源3に隣接して用いられる(図2参照。本書で解説
の電極に関するさらなる情報については、「Apparatus for Delive
ring Ions from a Grounded Electrospray A
ssembly to a Vacuum Chamber」と題する米国特許出願公開
第09/579,276号明細書参照)。噴霧器先端20と第1の電極30との電位差に
よって、先端に荷電エアゾルを発生する電界が生じ、一方、第2の電極33と導管37と
の電位差によって、イオンを導管37に向けて送る、または、導くための電界が生じる。
コロナ放電は、コロナニードル14にかかる高電界によって生じるが、この電界は、主と
して、コロナニードル14と導管37との電位差によって生じるものであり、多少は、第
2の電極33の電位による影響もある。例証のためであって、制限のためではないが、そ
れぞれの電極における典型的な1組の電界は、噴霧器先端20(大地電位)、第1の電極
30(−1kV)、第2の電極33(大地電位)、コロナニードル14(+3kV)、導
管37(−4kV)である。これらの電位例は、陽イオンの場合であり、陰イオンの場合
、電位の符号が逆になる。第1の電極30と第2の電極33との間の電界は、陽荷電イオ
ン及び小滴に関して制動するので、スイープガスを用いて、電界に逆らってそれらを押し
進め、それらが第2の電極33を確実に通過するようにする。
【0039】
電界が電位差によって生じるので、適正な電位差が保たれる限りにおいて、電極の絶対
電位の選択はほぼ任意である。一例として、可能性のある1組の電位は、噴霧器先端20
(+4kV)、第1の電極30(+3kV)、第2の電極33(+4kV)、コロナニー
ドル14(+7kV)、導管37(大地電位)である。電位の選択は、任意ではあるが、
通常、利便性に従って、また、計測器設計の実際の態様に従って決定される。
【0040】
第2のイオン源4に対するAPPIの利用は、イオン化プロセスの補助に電界を必要と
しないので、APCIの利用とは状況が異なる。図4には、APPIを用いる、詳細に後
述する本発明の実施態様の断面図が示されている。図5には、第1の電極30の使用が示
されているが、オプションにより、APPI源に第2の電極を用いることも可能である。
【0041】
噴霧器先端20と導管37との間の電界は、標準的なエレクトロスプレーイオン源の場
合と同様、エレクトロスプレーの発生と、導管37へのイオンの移送の両方に役立つ。例
えば、導管37をほぼ大地電位にまたは大地電位に保ったまま、噴霧器先端20に1kV
以上の正電位を印加することもできるし、あるいは、噴霧器先端20をほぼ大地電位にま
たは大地電位に保ったまま、導管37に1kV以上の正電位を印加することも可能である
(陰イオンの場合、極性が逆になる)。いずれにせよ、紫外線(UV)ランプ32は、導
管37及び噴霧器先端20から十分に距離をあければ、電界への影響はほとんどない。あ
るいはまた、導管37の電位と噴霧器先端20の電位との間の適切な電位値の別の電極ま
たはケーシングによって、ランプを遮蔽することも可能である。
【0042】
乾燥装置23は、噴霧器8に隣接して配置され、第1のイオン源3によって生じる荷電
エアゾルを乾燥させるように設計されている。荷電エアゾルを乾燥させるための乾燥装置
23は、赤外線(IR)ランプ、加熱表面、ターボスプレー装置、マイクロ波ランプ、及
び加熱ガス導管からなる群から選択される。ESIエアゾルの乾燥は、クリティカルなス
テップであるという点に留意されたい。エアゾルが非イオン化検体を遊離させるのに十分
なほど乾燥しなければ、APCIまたはAPPIプロセスは無効になる。乾燥は、エレク
トロスプレーによって生じるイオンの損失を回避するように実施しなければならない。イ
オンの損失は、表面への放電によって、または、イオンを有用なイオンサンプリング容積
から流出できるようにすることによって、生じる可能性がある。乾燥解決法は、両方の問
題を取り扱わねばならない。荷電エアゾル及びイオンを乾燥させて、閉じ込めるための実
用的な方法は、高温不活性ガスの利用である。電界は、大気圧では、イオン制御にわずか
な効果しかない。不活性ガスは、電荷を放散させないし、熱源とすることが可能である。
イオン及び荷電小滴を限られた空間内に閉じ込めることが可能な力のベクトルを示すよう
に、不活性ガスを供給することも可能である。これは、エアゾルに対して平行に、同軸を
なして流れるガスを利用して、または、エアゾルに対して垂直方向にガスを流すことによ
って実現可能である。乾燥装置23は、噴霧器先端20から生じるエアゾルにスイープガ
スを供給することが可能である。実施態様の1つでは、乾燥装置23に、加熱ガスを供給
するためのガス源または他の装置を含むことが可能である。ガス源は、当該技術において
周知のところであり、どこか他で解説されている。乾燥装置23は、独立したコンポーネ
ントとすることもできるし、あるいは、イオン源ハウジング10と一体化することも可能
である。乾燥装置23は、噴霧器導管25によっていくつかのガスを供給することが可能
である。本発明には、例えば、窒素、アルゴン、キセノン、二酸化炭素、空気、ヘリウム
等のようなガスを用いることが可能である。ガスは不活性である必要はなく、十分な量の
エネルギーまたは熱を有することが可能である。本発明には、これらの固有の特性を含む
、当該技術において周知の他のガスを利用することも可能である。他の実施態様では、ス
イープガス及び乾燥ガスについて、異なるまたは別個の導入箇所を備えることが可能であ
る。例えば、スイープガスは、同じ導管(図2及び図4に示すように)または異なる導管
(図3及び図5)を用いて導入することが可能であり、次に、スイープガスの導入箇所よ
りさらに下流において、別個に噴霧ガスをシステムに加えることが可能である。ガスの代
替導入箇所(導管、ポート等)によって、ガス/コンポーネント及び温度を維持または変
更する柔軟性を高めることも可能である。第2のイオン源4には、APCIまたはAPP
Iイオン源を含むことが可能である。図2には、APCI構成をなす場合の、第2のイオ
ン源4が示されている。第2のイオン源4は、さらに、実施態様例として(制限するわけ
ではないが)、コロナニードル14、コロナニードルホルダ22、及び、コロナニードル
ジャケット27を含むことが可能である。コロナニードル14は、イオン源ハウジング1
0内において第1のイオン源3より下流に配置することが可能である。コロナニードル1
4の高電位による電界によって、コロナ放電が生じ、その結果、さらに、第1のイオン源
3から流れてくる蒸気流中の検体がAPCIプロセスによってイオン化されることになる
。陽イオンの場合、正のコロナが利用されるが、この場合、電界はコロナニードルから周
囲に向けられる。陰イオンの場合、負のコロナが利用され、電界はコロナニードル14に
向けられる。検体イオン、蒸気、及びエアゾルの混合物が、第1のイオン源3からイオン
化領域15に流入し、APCIまたはAPPIプロセスによるさらなるイオン化を受ける
ことになる。上述の乾燥ガスまたはスイープガスには、第1のイオン源3からイオン化領
域15に混合物を輸送するための手段が含まれている。
【0043】
図3には、図2と同様の実施態様が示されているが、スイープガス、噴霧ガス、及び乾
燥ガスのそれぞれの導入箇所に関するある設計が含まれている。ガスを組み合わせること
によって、荷電エアゾルを乾燥させることが可能になる。上述のように、噴霧ガス及びス
イープガスは、解説のように導入することが可能である。しかし、この設計では、乾燥ガ
スは、乾燥ガスポート45及び46によって1つ以上の乾燥ガス源44に導入することが
可能である。この図には、第2の電極33の一部を構成する、乾燥ガス源44と乾燥ガス
ポート45及び46が示されている。これは、必要というわけではなく、これらのコンポ
ーネントは、独立したものとしてイオン源ハウジング10に組み込むこともできるし、あ
るいは、その一部として組み込むことも可能である。
【0044】
図4には、図2と同様の実施態様が示されているが、異なる第2のイオン源4が含まれ
ている。さらに、この実施態様の場合、オプションの第1の電極30及び第2の電極33
は用いられない。第2のイオン源4には、APPIイオン源が含まれる。紫外線ランプ3
2が、第1のイオン源3と導管37の間に挿入されている。紫外線ランプ32には、分子
のイオン化が可能な、当該技術において周知の任意の数のランプが含まれている。いくつ
かのUVランプ及びAPPIイオン源は、当該技術において既知のところであって、用い
られており、本発明にも用いることが可能である。第2のイオン源4は、第1のイオン源
3より下流のいくつかの場所に配置することが可能であり、本発明の広義の範囲が、図に
示され、説明される実施態様に制限されるとか、あるいは、それらに焦点を絞ったもので
あると解釈すべきではない。他のコンポーネント及び部品については、上記APCIの実
施態様で説明したものと同様とすることが可能である。はっきりさせるため、上記説明を
参照されたい。
【0045】
輸送システム6(図1に略示された)には、イオンを受け取って、ある場所またはチャ
ンバから別の場所またはチャンバに移送するための1つの導管37、または、任意の数の
毛管、導管、または装置を含むことが可能である。図2〜図5には、単純な導管37を含
む場合の輸送システム6がより詳細に示されている。導管37は、イオン源ハウジング1
0内において、コロナニードル14またはUVランプ32に隣接して配置され、エレクト
ロスプレーエアゾルからイオンを受け取るように設計されている。導管37は、イオン源
3より下流に配置され、当該技術において周知のさまざまな材料及び設計を含むことが可
能である。導管37は、イオン化領域15(図1には示されていない)内に放出される、
イオン源3及びイオン源4から生じた検体イオンを受け取り、収集するように設計されて
いる。導管37は、検体イオンを受け取って、別の場所に輸送するオリフィス38を備え
ている。当該技術において周知の他の構造及び装置を用いて、導管37を補助することも
可能である。ガス導管5によって、イオン化領域15内のイオンに乾燥ガスを供給するこ
とが可能である。乾燥ガスは、イオン化領域15内の検体イオンと相互作用して、イオン
源2及び/またはイオン源3から供給された溶媒和エアゾルから溶媒を除去する。導管3
7には、当該技術において周知のさまざまな材料及び装置を含むことが可能である。例え
ば、導管37には、スリーブ、輸送装置、ディスペンサ、毛管、ノズル、ホース、パイプ
、ピペット、ポート、コネクタ、管、オリフィス、壁面のオリフィス、カップリング、コ
ンテナ、ハウジング、構造、または装置を含むことが可能である。いくつかの例では、導
管は、ただ単にイオンを受け取るためのオリフィスを含むだけにすることも可能である。
図2〜図5の場合、導管37は、毛管がガス導管5内に配置され、本発明の独立したコン
ポーネントをなす特定の実施態様として示されている。「導管」という用語は、広義に解
釈すべきであり、図面に示す実施態様の範囲に制限されるものと解釈すべきではない。「
導管」という用語は、イオンを受け取るために利用可能な任意のスリーブ、毛管、輸送装
置、ディスペンサ、ノズル、ホース、パイプ、プレート、ピペット、ポート、コネクタ、
管、オリフィス、カップリング、コンテナ、ハウジング、構造、または装置を表している

【0046】
検出部11が、第2のイオン源4より下流に配置されている(図1には、検出部11だ
けしか示されていない)。検出部11には、輸送システム6によって収集され、輸送され
た検体強化イオンを検出するための質量分析部または当該技術において周知の他の同様の
装置を含むことが可能である。検出部11には、当該技術において周知のところである、
検体イオンの検出を助けることが可能な任意のコンピュータ・ハードウェア及びソフトウ
ェアを含むことも可能である。
【0047】
図5には、図4と同様の実施態様が示されているが、さらに、第1の電極30及び第2
の電極33も含まれている。さらに、本発明のこの実施態様には、スイープガス、噴霧ガ
ス、及び、乾燥ガスの分離も含まれる。図3において上述のように、独立した乾燥ガス源
44を用いて、乾燥ガスポート45及び46を介して乾燥ガスが供給される。
【0048】
本発明及びコンポーネントについてある程度詳細に述べてきたが、本発明の動作方法に
ついて、順を追って説明することにする。多モードイオン源2を用いてイオンを発生する
方法には、エレクトロスプレーイオン化源のような第1の大気圧イオン化源によって荷電
エアゾルを発生するステップと、第2の大気圧イオン化源を利用して、第1の大気圧イオ
ン化源によって生じた荷電エアゾルをイオン化するステップと、多モードイオン化源から
生じたイオンを検出するステップが含まれている。図2を参照すると、サンプル21が、
縦通ボア28に至る噴霧器注入口42によって第1のイオン源3に供給される。サンプル
21には、当該技術において周知のところであり、質量分析計に用いられてきた、任意の
数の材料を含むことが可能である。サンプル21は、大気圧イオン化源(すなわち、ES
I、APPI、またはAPPIイオン化源)によるイオン化が可能な任意のサンプルとす
ることが可能である。本明細書では開示されないが、当該技術において既知のところであ
る、他のイオン化源を利用することも可能である。噴霧器導管19は、サンプル21を噴
霧器先端20に向かって送るために利用される縦通ボア28を備えている。乾燥装置23
は、スイープガス導管25を通じてイオン化サンプルにスイープガスを導入することが可
能である。スイープガス導管25は、噴霧器導管19を包囲または収容し、スイープガス
を噴霧器先端20に対して噴射する。次に、噴霧器先端20から噴射されるエアゾルが、
第1の電極30及び第2の電極33によって生じる電界を印加される。第2の電極33は
、荷電エアゾルを導管37に向けて送る電界を発生する。しかし、荷電エアゾルは、導管
37に達する前に、まず、第2のイオン源4にさらされる。図2に示す第2のイオン源4
は、APCIイオン源である。本発明は、第1のイオン源3及び第2のイオン源4の同時
使用に制限されるものと解釈すべきではない。しかし、これは、本発明の重要な特徴であ
る。第1のイオン源3は、第2のイオン源4と同様、「オン」または「オフ」にすること
も可能である。換言すれば、本発明は、APCI及びAPPIイオン源の一方または両方
があっても、なくても、ESIイオン化源単独の利用が可能になるように設計されている
。ESIイオン源と共に、またはESIイオン源抜きで、APCIまたはAPPIイオン
源を利用することも可能である。
【0049】
図4には、第2のイオン源4がAPPIイオン源として示されている。第1のイオン源
3を用いて、分子をイオン化した後、イオン源の一方または両方、あるいは、複数のイオ
ン源を用いるのは、本発明の範囲内である。換言すれば、第2のイオン源には、当該技術
において既知のところであり、第1のイオン源3によってまだ荷電されていない、または
、電荷が増加していない分子の一部をイオン化する、1つの、1つを超える、2つの、2
つを超える、あるいは、多数のイオン源を含むことが可能である。他モードイオン化装置
を動作させるための重要なステップがいくつか存在する。例えば、放出物は、噴霧器先端
における電界強度が約108V/cm以上になるように、高電界のかかった噴霧器から出
なければならない。これによって、液体分子の荷電が可能になる。次に、液体は、電界の
かかった噴霧器によって荷電エアゾルに変換される。荷電エアゾルは、荷電分子と非荷電
分子を含むことが可能である。ESI技法を用いて荷電されない分子は、APCIまたは
APPIイオン源によって荷電される可能性があり得る。スプレーニードルは、噴霧の助
け(空気圧によるような)を利用して、高液体流量の動作を行えるようにすることが可能
である。上述のように、次に、荷電エアゾルは乾燥させられる。乾燥のメカニズムは、さ
まざまな可能性があり、高温ガス、あるいは、赤外線波またはマイクロ波のような電磁放
射線を含むことが可能である。次に、エアゾル、イオン、及び、蒸気の組み合わせが、コ
ロナ放電または真空紫外線にさらされる。この結果、第2のイオン形成メカニズムが生じ
ることになる。最後に、ESIプロセスと第2のイオン源の両方によるイオンが導管37
に送り込まれるように、イオン源における電圧傾度を維持することが重要である。次に、
イオンは、輸送システム6を通って検出部11まで進む(図2〜図5には、輸送システム
6は略示されていない)。
【0050】
もちろん、本発明は、特定の実施態様に関連して解説されたが、以上の説明並びに付随
する例は、本発明を例示することを意図したものであって、制限を意図したものではない
。本発明の範囲内における他の態様、利点、及び修正については、本発明に関する技術者
には明らかであろう。
【0051】
本明細書において後述及び前述の全ての特許、特許出願、及び刊行物は、ここに引用す
ることで本明細書の一部をなすものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多モードイオン化源を用いてイオンを生じる方法であって、
(a)エレクトロスプレーイオン化によって荷電エアゾルを生じるステップと、
(b)前記エレクトロスプレーイオン化によって生じた前記荷電エアゾルを乾燥するステップと、
(c)複数の電極を用いて前記荷電エアゾルを導くステップと、
(d)前記複数の電極の下流で第2の大気圧イオン化源を用いて前記荷電エアゾルをイオン化するステップと、
(e)前記多モードイオン化源から生じたイオンを検出するステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
多モードイオン化源を用いてイオンを生じる方法であって、
(a)第1の大気圧イオン化源によって荷電エアゾルを生じるステップと、
(b)前記荷電エアゾルを乾燥するステップと、
(c)前記電荷エアゾルを前記第1の大気圧イオン化源から複数の電極を用いて下流に導くステップと、
(d)前記複数の電極の下流に位置する第2の大気圧イオン化源を用いて、前記乾燥した荷電エアゾルをイオン化するステップと
を含んでなる方法。
【請求項3】
(a)荷電エアゾルを提供するためのエレクトロスプレーイオン化源と、
(b)前記エレクトロスプレーイオン化源に隣接し、前記荷電エアゾルを乾燥させるための乾燥装置と、
(c)前記エレクトロスプレーイオン化源より下流にあり、前記荷電エアゾルをさらにイオン化するための大気圧イオン化源と、
(d)前記大気圧イオン化源に隣接し、前記荷電エアゾルからイオンを受け取るためのオリフィスを備えた導管と
を含んでなり、
前記大気圧イオン化源は、大気圧光イオン化源(APPI)である、多モードイオン化源。
【請求項4】
(a)多モードイオン化源と、
(b)前記多モードイオン化源より下流にあり、前記多モードイオン化源によって生じるイオンを検出するための検出部と
を含んでなる多モードイオン発生用質量分析計であって、
前記多モードイオン化源が、
i. 荷電エアゾルを提供するためのエレクトロスプレーイオン化源と、
ii. 前記エレクトロスプレーイオン化源に隣接し、前記荷電エアゾルを乾燥させるための乾燥装置と、
iii. 前記エレクトロスプレーイオン化源より下流にあり、前記荷電エアゾルをさらにイオン化するための大気圧イオン化源と、
iv. 前記大気圧イオン化源に隣接し、前記荷電エアゾルからイオンを受け取るためのオリフィスを備えた導管と
を含んでなり、
前記大気圧イオン化源は、大気圧光イオン化源(APPI)である、多モードイオン発生用質量分析計。
【請求項5】
多モードイオン化源を用いてイオンを生じる方法であって、
(a)エレクトロスプレーイオン化によって荷電エアゾルを生じるステップと、
(b)前記エレクトロスプレーイオン化によって生じた前記荷電エアゾルを乾燥するステップと、
(c)複数の電極を用いて前記荷電エアゾルを導くステップと、
(d)前記複数の電極の下流で第2の大気圧イオン化源を用いて前記荷電エアゾルをイオン化するステップと、
(e)前記多モードイオン化源から生じたイオンを検出するステップと
を含んでなり、
前記第2の大気圧イオン化源は、大気圧光イオン化源(APPI)である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−82181(P2011−82181A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255220(P2010−255220)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2004−538148(P2004−538148)の分割
【原出願日】平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】