説明

多ユニット分析装置

【課題】分析ユニット間の情報を容易に確認することができる多ユニット分析装置を提供すること。
【解決手段】検体と試薬とを反応容器43,53,63に分注し、反応容器7内で反応した反応液の分析を行う分析ユニット4〜6が設けられた多ユニット分析装置であって、各分析ユニット4〜6で得られたユニット情報D1をもとに、各分析ユニット間で関連する測定情報のユニット間情報D2を生成する生成部75と、生成部75で生成されたユニット間情報D2を関連する測定情報毎に記憶する記憶部76と、指示された測定情報に関連するユニット間情報D2を抽出する抽出部74と、抽出部74によって抽出された各分析ユニット間にわたるユニット間情報D2を出力する出力部73と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の分析ユニットを有する多ユニット分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分析ユニットを複数有し、分析項目に応じて複数の分析ユニットのうちの特定の分析ユニットを選択して検体を分析する多ユニット分析装置が知られている。この多ユニット分析装置では、各分析ユニット毎にキャリブレーション、精度管理を行い、分析の精度管理を行っている。この精度管理は、複数の分析ユニットで同一項目の分析処理を行う場合、測定結果は、どの分析ユニットで測定されたかにかかわらず、多ユニット分析装置の測定結果として出力されるため、各分析ユニットの精度管理情報が分析ユニット間でも管理される必要がある。この問題に対して、分析ユニット間の精度管理情報を確認できる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−326332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す技術では、測定情報の統計値が表示されるのみであり、測定情報に異常があった場合の確認に困難を要していた。特に、精度管理情報は、時系列で測定される情報であるため、統計値のみの表示では、データを比較することが困難である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分析ユニット間の情報を容易に確認することができる多ユニット分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる多ユニット分析装置は、検体と試薬とを反応容器に分注し、該反応容器内で反応した反応液の分析を行う分析ユニットが複数設けられた多ユニット分析装置であって、各分析ユニットで得られた測定情報をもとに、各分析ユニット間で関連する測定情報のユニット間情報を生成する手段と、前記生成手段で生成された前記関連する測定情報毎に記憶する記憶手段と、指示された前記測定情報に関連する前記関連する測定情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された各分析ユニット間にわたる前記測定情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、前記出力手段は、表示出力することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、前記出力手段は、グラフ化して出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、前記出力手段は、時系列でグラフ化して出力することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、前記出力手段は、各分析ユニットの平均値を出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、表示すべき分析ユニットを選択する第1選択手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、前記測定情報のもとによる試料であり、表示すべき該試料を選択する第2選択手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、前記出力手段は、前記測定情報に関する表を出力することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、各分析ユニットが行なう分析項目が同一である場合に、前記測定情報または前記分析ユニットの前記測定情報の差が閾値以内であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が閾値を超えていると判定した場合に、当該分析ユニットまたは当該分析ユニット間の測定情報が前記閾値を超えている旨の情報を報知する報知手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる多ユニット分析装置は、上記の発明において、前記測定情報は、キャリブレーション情報、精度管理情報、分析項目、前記検体の測定値、および実施日時を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、分析ユニット毎の情報を関連する測定情報毎に情報生成し、関連する情報を、ユニットをまたいで表示するようにしたので、分析ユニット間の情報を容易に確認することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である多ユニット分析装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0018】
図1は、本発明の多ユニット分析装置の概略構成を示す平面図である。多ユニット分析装置1は、血清等の検体中に含まれる特定物質の量を分析するもので、図1に示すように、サンプラ2、搬送装置11に沿って並列して設けられる分析ユニット3〜6、搬送制御部9、中央制御装置70及び搬送装置11を備えている。
【0019】
サンプラ2は、分析ユニット3〜6と共に並列して設けられており、ラック供給部21、ラック回収部22及びラック収納部23を有している。ラック供給部21は、検体容器7を保持した複数のラック8がセットされる部分であり、ラック回収部22と共に中央制御装置70からの制御の下に作動し、これらのラック8を順次搬送装置11の追い越しライン12又は搬送ライン13に送り出す。ラック回収部22は、戻しライン14によって搬送されてくるラック8を回収してラック収納部23に搬送する。これにより、分析終了後の検体容器7を保持したラック8は、ラック収納部23に収納される。また、サンプラ2は、複数のラック8の搬送装置11への送り出し位置にバーコードリーダ24が設けられている。バーコードリーダ24は、サンプラ2から搬送装置11へ送り出されるラック8に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取り、読み取ったラック情報を中央制御装置70へ出力する。
【0020】
なお、ラック8に設ける識別指標としては、バーコードラベルの他に、電磁気的な情報の書込み,消去が可能な、例えば、ICタグのような記録媒体や、ラック8に設ける切欠き又はカラーマーク或いはラック8自体の色の少なくとも一つ或いはこれらを組み合わせて使用してもよい。この場合、識別指標としてICタグを使用する場合、読取装置としては無線通信手段を用い、識別指標として切欠き又はカラーマーク或いはラック8自体の色を使用する場合、読取装置としてはCCDカメラ等の撮像手段を用いる。
【0021】
また、検体容器7は、分析対象となる検体が予め収容されており、分析項目等を記録したバーコードラベルが貼付されている。バーコードラベルは、ラック8に貼付したバーコードラベルと同様に、バーコードリーダ24,33,48,58,68によって読み取られる。ここで、検体容器7は、血清等の検体を収容する容器であるが、試薬単独を収容する場合や、試薬と検体の混合液を含む液体試料を収容する場合或いは空の場合もある。
【0022】
分析ユニット3〜6は、搬送装置11に沿って並列して設けられ、中央制御装置70からの制御の下に作動する。分析ユニット3は、電極法によって検体中の電解質を測定するユニットであり、検体分注機構31、バーコードリーダ33及びユニット制御部34を有している。
【0023】
検体分注機構31は、回動、かつ、昇降可能に構成され、追い越しライン12上の吸引位置S3b又は搬送ライン13上の吸引位置S3aにおいてラック8が保持した複数の検体容器7から検体を順次吸引し、測定容器32に吐出する。測定容器32に吐出された検体は、ナトリウム,塩素,カリウム,カルシウム,無機リン等のイオンからなる電解質が測定される。バーコードリーダ33は、搬送装置11を臨む位置に追い越しライン12に隣接して設けられ、追い越しライン12や搬送ライン13によって分析ユニット3へ搬送されてきたラック8に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。バーコードリーダ33は、読み取ったバーコードに記録されたラック情報を中央制御装置70へ出力する。ユニット制御部34は、CPU,RAM及びROM等により構成され、中央制御装置70からの指示を受けて検体分注機構31を含む分析ユニット3全体の動作を制御する副制御部である。ユニット制御部34は、分析ユニット3における測定項目,測定結果等を含む測定データを中央制御装置70へ出力する。
【0024】
分析ユニット4〜6は、分析ユニット4が生化学項目を、分析ユニット5が免疫項目を、分析ユニット6が遺伝子項目を、それぞれ分析するよう設定してもよく、同一項目の分析を行うことも可能である。主要構成が同じであるため、分析ユニット4について説明し、分析ユニット5,6については対応する構成部分に対応する符号を付している。
【0025】
分析ユニット4は、キュベットホイール42、第一試薬テーブル44、第二試薬テーブル45、バーコードリーダ48及びユニット制御部49を有している。
【0026】
キュベットホイール42は、周方向に沿って異なる半径で複数の反応容器43が内外2列に保持されており、検体分注機構41によって反応容器43に検体が分注される。検体分注機構41は、検体分注機構31と同様に構成され、追い越しライン12上の吸引位置S4b又は搬送ライン13上の吸引位置S4aにおいてラック8が保持した複数の検体容器7から検体を順次吸引し、反応容器43に吐出する。第一試薬テーブル44は、第一試薬を収容した複数の試薬ボトルを保持しており、近傍に第一試薬分注機構46が配置されている。第一試薬分注機構46は、分析項目に対応した第一試薬を対応する反応容器43に分注する。第二試薬テーブル45は、第二試薬を収容した複数の試薬ボトルを保持し、第二試薬分注機構47によって分析項目に対応した第二試薬が対応する反応容器43に分注される。なお、反応容器43の配置は、1列でもよい。
【0027】
バーコードリーダ48は、追い越しライン12や搬送ライン13によって分析ユニット4へ搬送されてきたラック8に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。バーコードリーダ48は、読み取ったバーコードに記録されたラック情報を中央制御装置70へ出力する。ユニット制御部49は、CPU,RAM及びROM等により構成され、中央制御装置70からの指示を受けて分析ユニット4全体の動作を制御する副制御部である。ユニット制御部49は、分析ユニット4における測定項目,測定結果等を含む測定データを中央制御装置70へ出力する。
【0028】
搬送制御部9は、中央制御装置70からの指示を受けてラック供給部21から送り出されるラック8を追い越しライン12や搬送ライン13に振り分け、各分析ユニットにおける分析処理が終了したラックを戻しライン14に戻すと共に、戻しライン14を搬送されてくるラック8をラック回収部22へ回収する等の動作を制御する。
【0029】
中央制御装置70は、多ユニット分析装置1全体を制御するパーソナルコンピュータであり、制御部71、入力部72、出力部73、抽出部74、生成部75、記憶部76および判定部77を備えている。制御部71は、バーコードリーダ24から送られてくるラック情報(検体の分析項目)に基づいてラック8を搬送すべき分析ユニットを決定し、決定した搬送先の分析ユニットを搬送装置11に指示する。また、制御部71は、バーコードリーダ33,48,58,68が読み取ったバーコードラベルの情報に基づいて指示された正規の分析ユニットにラック8が搬送されているか否かを確認する。
【0030】
制御部71は、CPU,RAM及びROM等により構成されており、多ユニット分析装置1全体の制御を行う。また、制御部71は、出力部73によって出力される情報の表示にかかる処理を行う表示処理部78を有する。
【0031】
入力部72は、多ユニット分析装置1へ分析操作に関連した分析項目等を含む種々の情報を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。出力部74は、多ユニット分析装置1での分析操作に関連した分析内容,分析結果或いは警報等の種々の情報を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。抽出部74は、出力部73が出力する情報を、記憶部76から抽出する。
【0032】
生成部75は、記憶部76に記憶されたユニット情報D1の内、各分析ユニット3〜6の関連する項目を抽出し、項目毎に収集された情報であるユニット間情報D2を生成する。記憶部76は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、多ユニット分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部76は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、分析ユニット毎に収集された情報であって、各分析ユニットのキャリブレーション情報、精度管理情報、検体測定情報を含むユニット情報D1と、生成部75によって生成される測定項目毎の情報であるユニット間情報D2とを記憶する。
【0033】
判定部77は、各分析ユニット4〜6の精度管理情報、キャリブレーション情報等が精度管理許容範囲以内であるか否かを判定する。また、同一分析項目における分析ユニット間の差を取り、ユニット間差がユニット間精度管理許容範囲以内である否かを判定する。判定部77による判定の結果、精度管理許容範囲またはユニット間精度管理許容範囲を超えた分析ユニットがあると判定された場合、出力部73は、許容範囲を超えている分析ユニットがある旨を報知する。なお、本実施の形態においては、精度管理許容範囲を±2SD、ユニット間精度管理許容範囲を3SD以上と設定する。
【0034】
搬送装置11は、中央制御装置70からの指示を受けてラック8を搬送するベルトコンベアを使用した搬送装置である。搬送装置11は、分析ユニット3〜6の配列方向に沿って互いに並行して配置され、緊急検体や割り込み検体用のラック8を特定の分析ユニットに選択的に搬送する追い越しライン12と、ラック8を分析ユニット3〜6に順次搬送する搬送ライン13と、各分析ユニットに搬送後のラック8をラック回収部22へ戻す戻しライン14とを有している。追い越しライン12及び搬送ライン13は、間欠的に運転されてラック8をピッチ送りすることにより分析ユニット3〜6の吸引位置S3a,S3b〜S6a,S6bに位置決めして順次停止させる。搬送装置11は、少なくとも搬送ライン13と戻しライン14とを有していれば、追い越しライン12は必ずしも必要ではない。
【0035】
また、搬送装置11は、吸引位置S4a,S4b〜S6a,S6bから見てラック8の搬送方向下流側に、追い越しライン12、搬送ライン13及び戻しライン14をまたがってラインチェンジャ15が設けられている。ラインチェンジャ15は、ラック8の搬送方向に対して直交する横方向にスライドし、ラック8を搬送するラインを変更する。
【0036】
以上のように構成される多ユニット分析装置1は、サンプラ2のラック供給部21に検体容器7を保持した複数のラック8をセットし、中央制御装置70の制御の下に、ラック8がラック供給部21から順次送り出され、搬送装置11によってラック8が分析ユニット3〜6へ搬送される。そして、多ユニット分析装置1は、搬送先の分析ユニットで検体容器7内の検体が分析された後、搬送装置11に搬送されてラック8がサンプラ2へ戻され、ラック回収部22で回収される。
【0037】
なお、各分析ユニット4〜6は、分析処理前にキャリブレーションと精度管理を行う。また、精度管理は、場合により分析処理中および分析処理後にも行われる。キャリブレーションによる吸光度−濃度情報を作成し、この吸光度−濃度グラフを用いて、既知濃度の標準試料を、同一標準試料に対して複数回測光部が測光し、得られた測光値から濃度を換算して基準濃度に対する標準偏差(SD)を算出して精度管理を行なう。
【0038】
つぎに、各分析ユニットから測定情報が得られてから、測定情報を出力するまでについて、図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかる各分析ユニット4〜6から得られる測定情報の情報処理を示す図である。まず、各分析ユニット4〜6から得られた測定情報は、たとえば、分析ユニット4から得られた測定情報である分析ユニット情報D1a、分析ユニット5から得られた測定情報である分析ユニット情報D1b、分析ユニット6から得られた測定情報である分析ユニット情報D1cユニット情報を、ユニット情報D1として記憶部76に記憶される。なお、測定情報は、キャリブレーション情報、精度管理情報、分析項目、前記検体の測定値、および実施日時等を含み、測定値は、分析結果として測定された測定日時および濃度変換に用いられたキャリブレーション情報、精度管理情報と関連付けされている。生成部75は、記憶された各分析ユニット情報D1a〜D1cから各分析ユニット間で関連する測定情報を、各関連する測定情報毎のユニット間情報として生成する。たとえば、各分析ユニットのキャリブレーションの検量線にかかる測定情報であるキャリブレーション情報D2a、上述した精度管理に関する測定情報である精度管理情報D2b、検体分析にかかる測定情報である検体分析情報D2cが、ユニット間情報D2として記憶される。なお、キャリブレーション情報D2aには、キャリブレーションに使用する試薬(キャリブレータ)の名称であるキャリブレータ名と、そのロット番号と、キャリブレーションを実行した日時の情報であるキャリブレーション実行日とを含めてもよい。
【0039】
ここで、抽出部74は、制御部71から出力にかかる指示情報(精度管理)D3を受けると、精度管理情報D2bをユニット間情報D2から抽出し、出力部73に出力する。出力部73は、抽出部73から入力された情報を出力する。なお、表示出力する場合は、表示処理部78が、抽出部74が抽出した測定情報のグラフ化処理等を行い、出力部73に出力し、出力部73がディスプレイパネル等に表示する。
【0040】
つづいて、出力部73が表示出力する精度管理画面について、図3〜5を参照して説明する。図3〜5は、本発明の実施の形態にかかる精度管理画面を示す図である。図3に示す精度管理画面W1は、網掛けで表示されるXberR管理図の統計表示であって、画面上に、精度管理にかかる測定情報を表で示すX管理図を表示可能なX管理ボタンB11と、精度管理にかかるグラフで示すXberR管理図を表示可能なXberR管理ボタンB12と、X管理図におけるQCモニタであることを示すとともに、押下することでX管理図を表示可能なQCモニタボタンB21と、XberR管理図における統計表示であることを示すとともに、押下することでXberR管理図の統計表示を表示可能な統計表示ボタンB22と、XberR管理図における詳細データであることを示すとともに、押下することでXberR管理図の詳細データを表示可能な詳細データボタンB23と、有する。
【0041】
また、インデックスとして、表示する表示期間の入力が可能な期間入力ボックスI11,I12が設けられ、表示する期間を入力部72によって入力可能である。また、標準試料(Ctl.)が標準試料1と標準試料2として2種類用いられ、試料表示ボタンB31,B32が網掛けで表示されている。なお、試料表示ボタンB31,B32は押下することによって表示する標準試料の選択が可能である。図3は、項目番号3のALPに関する統計表示であって、標準試料1および標準試料2に対する精度管理のグラフを表示している。また、精度管理における精度管理許容範囲は、標準偏差(SD)が±2SD以内として設定される。
【0042】
ここで、図3に示す精度管理グラフは、標準試料1(Ctl.1)と標準試料2(Ctl.2)とに対する他ユニット分析装置の標準偏差(SD)を示す時系列グラフであり、各グラフは、図1の分析ユニット4に対応する分析ユニットNo.1と、分析ユニット5に対応する分析ユニットNo.2と、分析ユニット6に対応する分析ユニットNo.3とから得られた各分析ユニットの精度管理情報の各標準試料1,2に対する平均値であって、多ユニット分析装置1の各標準試料1,2に対する精度を示すグラフとなる。なお、精度管理画面W1は、精度管理にかかるデータ数、平均値、標準偏差等の統計値を統計表T11として表示してもよい。また、リアクションモニタボタンB51を押下すると、検体分析情報D2cを表示することが可能であり、キャリブレーションモニタB52を押下すると、キャリブレーション情報D2aを表示することができる。作業を終了する場合は、キャンセルボタンB10を押下する。
【0043】
また、詳細データボタンB23を押下すると、各分析ユニットNo.1〜3の精度管理グラフを確認することができる。図4は、項目番号3のALPに関する詳細データであって、各分析ユニットNo.1〜3の精度管理の時系列グラフを表示する精度管理画面W2である。なお、表示されているグラフは、図4中、網掛け表示されている標準試料1に関する各分析ユニットNo.1〜3の時系列グラフである。
【0044】
図4に示す精度管理グラフは、時間に対する標準偏差(SD)を示すグラフであり、ユニット選択ボタンB41〜44によって選択された各分析ユニットNo.1〜3の精度管理グラフを表示することができる。図4は、ユニット選択ボタンB41を選択して、全分析ユニットNo.1〜3の精度管理情報を表示し、各分析ユニット間の精度管理時状況を目視によって容易に確認することができる。
【0045】
また、ユニット選択ボタンB42,B44を選択すると、抽出部74によって、分析ユニットNo.1と分析ユニットNo.3の精度管理情報が抽出され、出力部73は、図5に示す精度管理画面W3を表示する。図5に示す精度管理画面W3は、選択されたユニット選択ボタンB42,B44が網掛け表示されて、選択されていることを示し、精度管理グラフには、分析ユニットNo.1と分析ユニットNo.3との標準試料1に対する精度管理グラフが表示される。
【0046】
ここで、精度管理において、SD異常について、図6,7を参照して説明する。図6,7は、本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の精度異常の場合の一例を示す図である。図6に示す精度管理画面W4において、精度管理グラフ中の分析ユニットNo.1と分析ユニットNo.3との標準偏差(SD)の差R1が、3SD以上となっており、分析ユニットNo.2において、時間R2で示す標準偏差(SD)がユニット間精度管理許容範囲である3SDを越えた状態となっている。
【0047】
制御部71は、出力部73に精度管理画面W4を表示させると同時に、判定部77に、各分析ユニットNo.1〜3が精度管理許容範囲を超えているか否かと、各分析ユニットNo.1〜3のSD間差がユニット間精度管理許容範囲を超えているか否かとを判定するよう指示する。図6に示す精度管理グラフの場合、分析ユニットNo.2の時間R2において精度管理許容範囲である+2SDを越えているため、判定部77は、分析ユニットNo.2が精度管理許容範囲異常である旨を制御部71に報知する。また、分析ユニットNo.1と分析ユニットNo.3との標準偏差(SD)の差R1が、ユニット間精度管理許容範囲を超えているため、判定部77は、分析ユニットNo.1および分析ユニットNo.3がユニット間精度管理許容範囲異常である旨を制御部71に報知する。精度管理許容範囲異常とユニット間精度管理許容範囲異常との情報を受けた制御部71は、出力部73に、精度管理許容範囲異常とユニット間精度管理許容範囲異常とがある旨を報知するよう指示する。ここで、判定部77のユニット間精度管理許容範囲の判定は、同時刻のユニット間差の最大値を判定の対象としてもよく、一定時間の平均値におけるユニット間差を判定の対象としてもよい。
【0048】
なお、出力部73による精度管理許容範囲異常の報知処理は、ポップアップ等を用いて表示してもよく、精度管理グラフ中の対象グラフの色等を変化させて表示するようにしてもよい。また、図7に示す精度管理画面W5のように、画面中にコメントボックスC11を配置して確認できるようにしてもよく、各コメントを押下することによって、対象分析ユニットおよび分析ユニット間の数値および時間等の詳細データを表示するようにしてもよい。
【0049】
また、精度管理情報を表として精度管理画面に表示してもよい。図8は、本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の変形例1を示す図である。図8に示す精度管理画面W6は、QCモニタとして表示される精度管理テーブルT12を示しており、各測定データを示すデータ概要中、精度管理許容範囲異常の精度管理情報である各測定データP1,P2,P3は網掛け表示され、目視でも容易に確認することが可能となる。また、測定データP1を押下することにより、図6または図7の精度管理画面W4またはW5に切り替えて、詳細データを確認できるようにしてもよく、新たに図6または図7の精度管理画面W4またはW5を別個表示させてもよい。なお、図9の精度管理画面W7に示す変形例2のように、コメントボックスC12を配置して、異常情報を簡易的に確認できるようにしてもよく、コメント部分を押下することによって図6または図7の精度管理画面W4またはW5を表示させてもよい。
【0050】
さらに、精度管理画面において、キャリブレーション情報を表示するようにしてもよい。図10は、本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の変形例3を示す図である。図10に示す精度管理画面W8は、キャリブレーションモニタボタンB52を押下した場合に表示されるキャリブレーション情報であって、濃度(Conc.)と吸光度(OD)とに関する分析ユニットNo.1〜3の検量線データを同時に確認することができる。また、ユニット選択ボタンB41〜B44を押下することによって、選択的に検量線を比較・確認することが可能である。ここで、分析ユニットNo.1〜3の分析項目が同一の場合、精度管理と同様に、キャリブレーションによる検量線に対して分析ユニットNo.1〜3の間でユニット間許容範囲を設定し、判定部77がユニット間差を判定して、判定の結果、許容範囲を超えている場合に報知するようにしてもよい。なお、検量線にかかる数式等を表示するようにしてもよい。さらに、検体の分析結果を表示することも可能である。分析結果の表示は、測定された各検体の分析結果を時系列で表示してもよく、ある検体IDの分析結果のみを表示するようにしてもよい。図2に示す情報生成処理によって測定情報が関連付けされて記憶されているため、容易に所望の情報を抽出でき、測定回毎に測定した分析ユニットが異なっている場合でも容易に確認することが可能となる。
【0051】
ここで、精度管理におけるグラフにおいて表示される時系列は、時刻表示である日内精度管理でも、日表示である日差精度管理でもよい。日差精度管理情報を表示することによって、ある検体IDに対して前回値および今回値が如何なる精度管理状態で行なわれたかを確認することが可能である。また、ユニット情報D1に対して、分析ユニット情報D1a〜D1cとして分析ユニット毎に出力される測定情報を一つのファイルとして各分析ユニットの情報を一括出力するようにしてもよく、ユニット間情報D2においても同様に可能である。各分析ユニットの測定情報を、時系列または項目に関連付けて一括出力することによってユニット間の情報が容易に比較可能となる。
【0052】
なお、出力部73が出力する出力形式を選択して出力するようにしてもよい。図11は、本発明の実施の形態にかかる出力選択画面W9を示す図である。図11に示す出力選択画面W9は、分析ユニットを選択するプルダウンPD1と、出力する情報を選択するチェックボックスとを有する。また、出力形式をファイル出力ボタンB61、グラフ出力ボタンB62および表出力ボタンB63から選択して押下することによって、選択した出力形式で出力することが可能となる。
【0053】
また、プルダウンPD1は、本実施の形態において、ALL、分析ユニットNo.1〜3が選択可能であり、分析ユニットNo.1〜3を複数個選択できるようにすることが好ましい。出力情報は、キャリブレーション情報を出力する場合は、チェックボックスCB1を選択し、精度管理情報を出力する場合は、チェックボックスCB2を選択し、検体分析情報を出力する場合は、チェックボックスCB3を選択する。また、各情報において、キャリブレーションモニタのみを出力する場合は、チェックボックスCB11を選択し、キャリブレーション設定情報のみを出力する場合は、チェックボックスCB12を選択する。チェックボックスCB1を選択した場合は、キャリブレーションモニタおよびキャリブレーション設定情報の両情報が出力される。同様に、日内精度管理情報はチェックボックスCB21、日差精度管理情報はチェックボックスCB22、分析条件はチェックボックスCB31、測定結果はチェックボックスCB32をそれぞれ選択することで出力可能となる。なお、チェックボックスを複数選択することも可能である。
【0054】
上述した実施の形態によって、関連する測定情報を関連する情報毎に記憶し、抽出部が出力する測定情報を抽出し、出力部が分析ユニット毎の情報を一括または選択的に出力することによって、各分析ユニット毎の情報または分析ユニット間の間差を容易に確認することができる。また、記憶部が分析ユニット毎の測定情報と、項目毎の測定情報とを有するため、確認すべき測定情報を容易に抽出して出力できる。
【0055】
また、上述した実施の形態に限らず、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態にかかる多ユニット分析装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる各分析ユニットから得られる測定情報の情報処理を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の精度異常の場合の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の精度異常の場合の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の変形例1を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の変形例2を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる精度管理画面の変形例3を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかる出力選択画面を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 多ユニット分析装置
2 サンプラ
3,4,5,6 分析ユニット
7 検体容器
8 ラック
9 搬送制御部
11 搬送装置
12 追い越しライン
13 搬送ライン
14 戻しライン
15 ラインチェンジャ
21 ラック供給部
22 ラック回収部
23 ラック収納部
24 バーコードリーダ
31,41,51,61 検体分注機構
32 測定容器
33,48,58,68 バーコードリーダ
34,49,59,69 ユニット制御部
42,52,62 キュベットホイール
43,53,63 反応容器
44,54,64 第一試薬テーブル
45,55,65 第二試薬テーブル
46,56,66 第一試薬分注機構
47,57,67 第二試薬分注機構
70 中央制御装置
71 制御部
72 入力部
73 出力部
74 抽出部
75 生成部
76 記憶部
77 判定部
78 表示処理部
D1 ユニット情報
D2 ユニット間情報
S3a〜S6b 吸引位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬とを反応容器に分注し、該反応容器内で反応した反応液の分析を行う分析ユニットが複数設けられた多ユニット分析装置であって、
各分析ユニットで得られた測定情報をもとに、各分析ユニット間で関連する測定情報のユニット間情報を生成する手段と、
前記生成手段で生成された前記関連する測定情報毎に記憶する記憶手段と、
指示された前記測定情報に関連する前記関連する測定情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された各分析ユニット間にわたる前記測定情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする多ユニット分析装置。
【請求項2】
前記出力手段は、表示出力することを特徴とする請求項1に記載の多ユニット分析装置。
【請求項3】
前記出力手段は、グラフ化して出力することを特徴とする請求項1または2に記載の多ユニット分析装置。
【請求項4】
前記出力手段は、時系列でグラフ化して出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の多ユニット分析装置。
【請求項5】
前記出力手段は、各分析ユニットの平均値を出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の多ユニット分析装置。
【請求項6】
表示すべき分析ユニットを選択する第1選択手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の多ユニット分析装置。
【請求項7】
前記測定情報のもとによる試料であり、表示すべき該試料を選択する第2選択手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の多ユニット分析装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記測定情報に関する表を出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の多ユニット分析装置。
【請求項9】
各分析ユニットが行なう分析項目が同一である場合に、前記測定情報または前記分析ユニットの前記測定情報の差が閾値以内であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が閾値を超えていると判定した場合に、当該分析ユニットまたは当該分析ユニット間の測定情報が前記閾値を超えている旨の情報を報知する報知手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の多ユニット分析装置。
【請求項10】
前記測定情報は、キャリブレーション情報、精度管理情報、分析項目、前記検体の測定値、および実施日時を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の多ユニット分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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