説明

多価髄膜炎菌多糖−タンパク質複合ワクチン

【課題】病原菌である髄膜炎菌によって生じる髄膜炎菌性疾患に対して広範囲の防御をもたらす複合ワクチンを提供する。
【解決手段】本ワクチンは、単回投与ワクチンとして処方された4つの別個の多糖−タンパク質複合体から成る。髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY由来の精製莢膜多糖を化学的に活性化させ、さらに共有化学結合によって担体タンパク質に選択的に結合させて、子供ならびに大人において様々な髄膜炎菌株に対して永続的な免疫を誘導できる多糖−タンパク質複合体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2001年1月23日出願の米国仮特許出願第60/263,435号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、医学の分野に関するものであり、より詳細には、細菌学、免疫学、ワクチン、および免疫による細菌性病原菌感染の防止に関するものである。
【背景技術】
【0003】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は、世界中において細菌性髄膜炎および敗血症の主な原因である。ここ30年の間における特有の髄膜炎菌性疾患の発生率は、先進国で100,000人当り1から5人の範囲であり、開発途上国では100,000人当り10から25人の範囲である(Reido, F.X., et al. 1995)。米国では、1年当り約2,600症例の細菌性髄膜炎が発生し、開発途上国では平均で330,000症例である。致死率は10%から20%に及ぶ。
【0004】
病原性髄膜炎菌は、生物の外膜表面に結合した多糖莢膜によって包まれている。莢膜多糖の免疫学的特異性に基づいて、13の異なる髄膜炎菌血清群が同定された(Frasch, C.E., et al. 1985)。それら13の血清群の中で5つが、髄膜炎菌性疾患の大部分の原因となる;そのような血清群として、血清群A、B、C、W135、およびYが挙げられる。血清群Aは、ほとんどの伝染性疾患の原因である。血清群B、C、およびYは大部分の風土病および局在化された発生の原因である。
【0005】
ヒト鼻−口腔咽頭粘膜は、髄膜炎菌の唯一の公知の天然の貯蔵所である。鼻咽頭の粘膜細胞および上皮下組織の外面の両方で定着が生じる。髄膜炎菌の運搬は数ヶ月の間続くであろう。髄膜炎菌の拡散は、直接的接触または空気飛沫を介して生じる。髄膜炎菌は、エンドサイトーシスの結果として、食胞によって粘膜上皮を通って通過することによって侵襲性になる。侵襲性髄膜炎菌の宿主防御は、補体介在性溶菌に依存する。補体介在製溶菌を担う血清抗体は、主に、外側の莢膜多糖に対するものである。
【0006】
莢膜多糖に対する免疫応答を誘導する、髄膜炎菌多糖に基づくワクチンについて記載する。それら抗体は、血清群特異的な髄膜炎菌の補体介在性溶菌をもたらす能力を有する。髄膜炎菌多糖ワクチンは、子供および成人において有効であることが示された(Peltola, H., et al. 1977; Artenstein, M.S., et al. 1970)が、その有効性は乳児および幼児では限られていた(Reingold, A.L., et al. 1985)。若い集団において多糖を後日に追加投与すると、弱い既往応答を誘導するかまたは全く既往応答を誘導しなかった(Goldschneider, I., et al. 1973; Gold, R., et al. 1977)。髄膜炎菌多糖ワクチンによって誘導された防御の期間は長続きせず、大人および4才を超える子供では約3年から5年の間と推定された(Brandit, B., et al. 1975, Kaeyhty, H., et. al. 1980; Ceesay, S.J., et al. 1993)。1才から4才までの子供に関しては、防御の期間は3年未満である(Rein-gold, A.L., et al. 1985)。
【0007】
多糖は、T−ヘルパーリンパ球への抗原提示および刺激の必須条件である主要組織適合複合体分子に結合する能力がなく、すなわちT細胞非依存性抗原である。多糖は、T−ヘルパーリンパ球の助けなしに、抗体産生のためにBリンパ球を刺激することができる。Bリンパ球のT非依存性刺激の結果、それら抗原による免疫の後に生じる記憶誘導を欠く。多糖抗原は、大人では非常に効果的なT−依存性応答を誘導できるが、そのようなT依存性応答は、乳児および幼児の未熟な免疫系では弱い。
【0008】
多糖をタンパク質分子(「担体」または「担体タンパク質」)に共有結合させることによって、T−非依存性多糖抗原を、T依存性抗原に変換させることができる。複合ワクチンの多糖成分に結合するB細胞は、共役担体タンパク質の部分であるぺプチドに特異的なヘルパーT細胞によって活性化され得る。担体タンパク質に対するT−ヘルパー応答は、多糖に対する抗体産性を増大させる働きをする。
【0009】
血清群Bの多糖は、人口母集団において、非免疫原性であることが示されている(Wyle, F.A., et al. 1972)。その血清群の多糖をタンパク質に化学結合させても、実験動物における免疫応答は有意に変化しなかった(Jennings, H.J., et al. 1981)。その血清群の多糖に対する免疫応答の欠如の理由は、血清群Bの多糖と例えば神経細胞接着分子のようなポリシアリル化宿主糖タンパク質との間の構造類似性によると考えられている。
【0010】
血清群Cの多糖に基づく髄膜炎複合ワクチンについても記載されている。その一価ワクチンは、血清群Cに相当する髄膜炎菌の菌株に存在する莢膜多糖に対する強い機能的抗体反応を誘導する。そのようなワクチンは、血清群Cの細菌によって生じる病気に対してのみ防御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,146,902号明細書
【特許文献2】米国特許第4,356,170号明細書
【特許文献3】米国特許第4,619,828号明細書
【特許文献4】米国特許第5,153,312号明細書
【特許文献5】米国特許第5,422,427号明細書
【特許文献6】米国特許第5,445,817号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】P.W.Anderson, et al. (1986), J. Immunol. 137: 1181-1186
【非特許文献2】H.J.Jennings and C.Lugowski (1981) J.Immunol. 127: 1011-1018
【非特許文献3】Vaccine Design, the Subunit and Adjuvant Approach, 1995(M.F. Powell and M. J. Newman, eds., Plenum Press, NY)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
髄膜炎菌多糖に基づく既存のワクチンは、幼児においてその使用が限定されており、大人においても長期間の防御をもたらすことはできない。子供を含む、髄膜炎菌感染の危険を有する全ての群で長期間の防御を誘導できることが示された唯一のワクチンである髄膜炎菌ワクチンは、単一の髄膜炎菌血清群由来の多糖に基づいており、他の血清群の細菌の感染に対して防御をもたらさない。従って、髄膜炎菌感染の危険を有する子供および大人において髄膜炎菌性疾患に対する広範で持続する防御をもたらすことができる髄膜炎菌複合ワクチンへの必要性が存在する。本発明の多価髄膜炎菌多糖は、髄膜炎菌の主要な病原性血清群由来の免疫原性多糖を、担体タンパク質に結合させてT依存性抗原に変えたワクチン製剤を提供することによって、その必要性を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、病原性髄膜炎菌によって生じる髄膜炎菌性疾患の治療のための免疫組成物を提供する。
【0015】
本発明は、2以上のタンパク質−多糖複合体を含み、各複合体が担体タンパク質に結合した髄膜炎菌由来の莢膜多糖を含むことを特徴とする免疫組成物を提供する。
【0016】
本発明は、2以上のタンパク質−多糖複合体を含み、各複合体が担体タンパク質に結合した異なる髄膜炎菌血清群由来の莢膜多糖を含むことを特徴とする免疫組成物を提供する。
【0017】
本発明は、病原性髄膜炎菌によって生じる髄膜炎菌性疾患の治療のためのワクチンを提供する。本発明は、免疫学的効果量の2から4つの別個のタンパク質−多糖複合体から成り、各複合体が担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W−135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択されることを特徴とする多価髄膜炎菌ワクチンを提供する。
【0018】
本発明はまた、病原性髄膜炎菌から2以上の莢膜多糖を精製し;前記精製多糖を1以上の担体タンパク質に結合させて複合体を作成し;さらに前記複合体を混合して多価髄膜炎菌多糖−タンパク質組成物を作成する;各工程を含むことを特徴とする、多価髄膜炎菌多糖−タンパク質組成物を製造する方法を提供する。
【0019】
本発明は、免疫学的効果量の本発明の免疫組成物をヒトまたは動物に投与する工程を含むことを特徴とする、髄膜炎菌の莢膜多糖に対する免疫応答を誘導する方法をさらに提供する。
【0020】
本発明は、免疫学的効果量の2から4つの別個のタンパク質−多糖複合体から成り、各複合体が担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W−135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択されることを特徴とする、多価髄膜炎菌ワクチンを提供する。
【0021】
本発明は、免疫学的効果量の本発明のワクチンをヒトまたは動物に投与する工程を含むことを特徴とする、髄膜炎菌に感染しやすいヒトまたは動物を防御する方法を提供する。
【0022】
本明細書において挙げられているすべての特許、特許出願、および他の刊行物は、参照によってその全てが本明細書中に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、それぞれが担体タンパク質に結合した莢膜多糖を含む、2以上の別個のタンパク質−多糖複合体から成る免疫組成物を包含する。したがって、本発明は、1以上の担体タンパク質に結合した2以上の異なる莢膜多糖を含む組成物を包含する。
【0024】
当業者に公知である標準的技術によって、莢膜多糖を調製することができる。本発明において、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYから調製された莢膜多糖が好ましい。
【0025】
好ましい実施形態において、それら髄膜炎菌血清群複合体は別個の工程で調製され、単回投与量に処方される。例えば、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY由来の莢膜多糖を別個に精製する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、担体タンパク質に結合させる前に、精製多糖を解重合および活性化させる。本発明の好ましい実施形態では、穏やかな酸化条件を用いて、髄膜炎菌由来の血清群A、C、W−135、およびYの莢膜多糖を部分的に解重合させる。
【0027】
多糖の解重合または部分的解重合に続いて、活性化工程を実施する。「活性化」とは、担体タンパク質と反応し得る化学基を提供するための多糖の化学的処理を意味する。好ましい活性化法は、生理食塩水(pH5.0±0.1)中のアジピン酸ジヒドラジドで、15℃から30℃で約2時間処理することを含む。
【0028】
活性化されると、莢膜多糖を1以上の担体タンパク質に結合させることができる。本発明の好ましい実施形態では、各莢膜多糖は、個々に単一の担体タンパク質種に結合する。好ましい実施形態では、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY由来の莢膜多糖は、各々別個に同じ担体タンパク質種に結合する。
【0029】
担体タンパク質として、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌LT、大腸菌ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素Aのような不活化細菌毒素が挙げられる。例えば外膜複合体c(OMPC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌表面プロテインA(PspA)、または肺炎球菌アドヘシンタンパク質(PsaA)のような細菌外膜タンパク質を担体タンパク質として用いてもよい。例えば、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、または精製ツベルクリンタンパク質(PPD)のような他のタンパク質を担体タンパク質として用いてもよい。好ましくは、担体タンパク質は非毒性でかつ非反応誘導性(non-reactogenic)であり、さらに十分な量および純度で得ることができるようなタンパク質である。担体タンパク質は、標準的結合方法によって使用できるものでなければならない。本発明の好ましい実施形態では、培養ジフテリア菌(Corynebacteria diphtheriae)から精製したジフテリア毒素をホルムアルデヒドで化学的に無毒化したものを担体タンパク質として用いる。
【0030】
莢膜多糖を担体タンパク質に結合させた後、様々な技術によって多糖−タンパク質複合体を精製することができる(多糖−タンパク質複合体の量を高める)。精製工程の1つの目標は、多糖−タンパク質複合体から、非結合多糖を除去することである。硫酸アンモニウム(硫安)の存在下での限外濾過を含む、1つの精製方法は、特許文献1に記載されている。あるいは、特にサイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心、疎水性相互作用クロマトグラフィー、または硫安分画等の任意の数の標準的技術によって、未反応のタンパク質および多糖から複合体を精製して取り出すこともできる。例えば、非特許文献1および2を参照。
【0031】
多糖と担体タンパク質との複合体形成の後、様々な多糖−タンパク質複合体を混合することによって、本発明の免疫組成物を作成する。本発明の免疫組成物は、1以上の担体タンパク質に結合した2以上の異なる莢膜多糖を含む。本発明の好ましい実施形態は、別個にジフテリアトキソイド結合した血清群AおよびCの髄膜炎菌由来の莢膜多糖を含む2価免疫組成物である。より好ましくは、本発明は、別個にジフテリアトキソイドに結合した髄膜炎菌血清群A,C,W−135、およびY由来の莢膜多糖を含む4価免疫組成物である。
【0032】
担体タンパク質の調製および使用、ならびに様々な可能な結合方法は当業者に周知である。本発明に含まれる教示、ならびに通常の文献で容易に利用できる情報を用いて、当業者は本発明の複合体を調製することができる。以下の任意の特許文献またはそれらの全てからガイダンスを得ることができる(特許文献2から6(参照によってそれらの教示は全て本明細書に含まれる))。
【0033】
異なる髄膜炎菌血清群から別個に多糖−タンパク質複合体を調製し、その後で複合体を混合することによって、本発明の免疫組成物を作成する。本発明の免疫組成物をワクチンとして用いることができる。本発明のワクチンの処方は当業技術を用いて達成することができる。本発明のワクチン組成物は、1以上のアジュバントを含んでいてもよい。アジュバントとして、限定はされないが、例えば、アルミニウムアジュバント、フロイントアジュバント、BAY、DC−chol、pcpp、モノホスホリルリピドA、CpG、QS−21、コレラ毒素、およびホルミルメチオニルペプチドが挙げられる。例えば、非特許文献3を参照。好ましくは、アジュバントは例えば水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムのようなアルミニウムアジュバントである。
【0034】
以下に記載のように、本発明に基づくワクチンおよび免疫組成物は、様々な動物モデルにおいてT−依存性様免疫応答(T-dependent-like immune response)を誘導するが、多糖ワクチンはT−非依存性様免疫応答を誘導する。したがって、本発明の組成物は、髄膜炎菌抗原に対するT依存性様免疫応答に関連する生物学的経路およびプロセスを研究するための有用な研究手段でもある。
【0035】
ヒトまたは動物に投与するための本発明のワクチンの量および投薬計画は、特定の抗原、アジュバント(もし存在する場合には)、特定動物または患者の年齢、性別、体重、種、および状態、ならびに投与経路のような因子を考慮して、医療または獣医の分野の当業者に周知の標準的技術に従って特定することができる。本発明において、髄膜炎菌に対するワクチン接種のために効果用量を提供するための多糖−担体タンパク質の量は、約0.02μgから約5μg/kg体重の間の量であってよい。本発明の好ましい組成物および方法において、用量は約0.1μgから3μg/kg体重である。例えば、効果用量は、感染後の経過時間が短い場合には、細菌の増殖時間があまりないため、より少ない抗体を必要とするであろう。同様に、効果用量は、診断時における細菌量に依存するであろう。数日間に亘る複数注射も治療的慣用法である。
【0036】
本発明の多価複合体を単回投与でまたは連続して(すなわち、「追加免疫」する)投与してよい。例えば、現在小児疾患を予防するのに他のワクチンで推奨されているように、出生後早期に子供に単回投与し、その後、10年後までに追加投与してもよい。
【0037】
追加投与は、初回抗原刺激を受けたB細胞から抗体を産生させるであろう(すなわち既往反応)。すなわち、多価複合ワクチンは、認可されている多糖ワクチンと比較して、若い集団において、高い初回(すなわちワクチンの単回投与後)機能的抗体反応を誘導し、さらに既往反応(すなわち、追加投与後)を誘導することができ、本発明の多価複合ワクチンによって誘導された防御免疫応答が永続することを立証する。
【0038】
本発明の組成物は、例えば、懸濁液、シロップまたはエリキシル剤のような、例えば口、鼻、肛門、膣、胃内、粘膜(例えば舌粘膜、歯槽粘膜、歯肉粘膜、嗅粘膜、または呼吸粘膜)等のような開口部投与用の液体製剤;ならびに例えば滅菌懸濁液またはエマルジョンのような、非経口、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内投与(例えば注射による投与)用の製剤を含んでいてよい。静脈内投与および非経口投与が好ましい。そのような組成物は、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース等のような適切なキャリアー、希釈剤、または賦形剤との混合剤であってもよい。本組成物は凍結乾燥してもよい。本組成物は、所望の投与経路および製剤に応じて、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化または粘膜増強添加剤、防腐剤、香味料、着色剤等のような補助物質を含んでいてよい。"PEMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCE", 17th edition, 1985(参照によって本明細書中に含まれる)のような標準的教科書は、実験無しに適切な製剤を調製することについて記載している。
【0039】
本発明の組成物は、通常、選択されたpHに緩衝化され得る、例えば等張水溶液、懸濁液、エマルジョンまたは粘性組成物として提供される。消化管吸収が好ましい場合、本発明の組成物は、丸薬、錠剤、カプセル、カプレット等の「固形」であってよく、例えばゼラチンで液剤を被覆し、消化管への輸送のためにゼラチンが胃で溶解するような、徐放性または液剤充填「固形」製剤を含む。鼻または呼吸(粘膜)投与が望ましい場合、組成物は、高圧スプレイディスペンサー、ポンプディスペンサー、またはエアゾルディスペンサーによって分配されるものであってよい。エアゾルは、通常、炭化水素によって圧力を掛けられている。ポンプディスペンサーは、好ましくは、定量または特定の粒子サイズを有する分量を分配することができる。
【0040】
液体製剤は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固形組成物よりも容易に調製できる。さらには、液体組成物は、特に注射または経口投与によって、子供、特により小さな子供、ならびに丸薬、錠剤、カプセル等を飲み込むのが困難である他の対象に投与したり、あるいは複数回投与するのにより都合がよい。一方、粘性組成物は、適切な粘度範囲内に処方されて、例えば胃粘膜または鼻粘膜のような粘膜とのより長い接触期間をもたらすことができる。
【0041】
明らかに、適切な担体および他の添加剤の選択は、正確な投与経路、ならびに、例えば組成物を溶液、懸濁液、ゲル、または別の液剤に処方すべき場合の液体剤形、または例えば組成物を丸薬、錠剤、カプセル、カプレット、徐放性形態または液剤充填形態に処方すべき場合の固形剤形のような特定剤形の性質に依存するであろう。
【0042】
溶液、懸濁液、およびゲルは、通常、活性原料に加えて、大量の水(好ましくは精製水)を含む。例えばpH調節剤(例えばNaOHのような塩基)、乳化剤または分散剤、緩衝剤、防腐剤、湿潤剤、ゼリー化剤(jelling agent)(例えばメチルセルロース)、着色剤および/または香味剤のような他の少量の原料も含んでいてよい。本組成物は等張であってよく、すなわち、血液および涙液と同じ浸透圧を有していてよい。
【0043】
本組成物の等張性は、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、または他の無機または有機溶液を用いて達成できる。ナトリウムイオンを含有するバッファーでは、塩化ナトリウムが特に好ましい。
【0044】
薬剤的に許容される濃化剤を用いて、本組成物の粘度を選択レベルに維持することができる。メチルセルロースは容易かつ経済的に利用でき、さらに取り扱いが容易であるため、メチルセルロースが好ましい。他の適切な濃化剤として、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー等が挙げられる。濃化剤の好ましい濃度は、選択された薬剤に依存するであろう。重要な点は、選択した粘度を達成するような量を用いることである。粘性組成物は、通常、そのような濃化剤の添加によって溶液から調製される。
【0045】
組成物の貯蔵期間を延ばすため、薬剤的に許容される防腐剤を用いることができる。ベンジルアルコールが適切であるが、例えば、パラベン、チメロサール、クロロブタノール、または塩化ベンザルコニウム等を含む様々な防腐剤も用いることができる。適切な防腐剤の濃度は、全重量に基づき0.02%から2%であるが、選択された薬剤に依存して適当に変動するであろう。
【0046】
当業者は、本組成物の成分が、髄膜炎菌多糖−担体タンパク質複合体に対して化学的に不活性となるように選択されなければならないことを認識するであろう。
【0047】
本発明思想の好ましい実施形態を詳細に示す以下の例示的でかつ非限定的な実施例を参照することによって、本発明をさらに説明する。本発明の他の実施例は、本発明の精神を逸脱することなく、当業者に明白であろう。
【実施例1】
【0048】
髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY群の精製莢膜多糖粉末の調製
髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY群の湿式凍結種細胞を解凍し、液体ワトソン・シャープ(Watson Scherp)培地を用いて解凍および回収し、ミューラー・ヒントン寒天培地を含むブレークボトル(Blake bottle)に播いた。ブレークボトルを35℃から37℃でCO雰囲気中において15時間から19時間インキュベートした。インキュベーション時間に続いて、ブレークボトルから増殖細胞を取り除き、ワトソン・シャープ培地を含む4Lフラスコに添加した。プラットフォームシェーカーにおいて、フラスコを35℃から37℃で3時間から7時間インキュベートした。4Lフラスコの内容物を、ワトソン・シャープ培地含有発酵容器に移した。栄養補助物質の供給および消泡剤の添加によって溶解酸素含量およびpHを制御しながら、発酵容器を35℃から37℃で7時間から12時間インキュベートした。インキュベーション時間後に、発酵容器の内容物を500Lタンクに移し、セタブロン(Cetavlon)を添加し、さらに1時間混合した。セタブロン処理増殖細胞を、約15,000から17,000xgで、約30から70リットル/時間の流速で遠心した。第2のセタブロン沈殿で上清から粗多糖を沈殿させた。セタブロンを上清に添加し、室温で1時間以上混合した。材料を1℃から5℃で8時間から12時間保管した。約45,000から50,000xgで、300から400ml/分の流速で遠心して、沈殿多糖を採取した。集めたペーストをさらに加工するまで−60℃以下で保管した。
【0049】
精製多糖粉末の調製
不活化ペーストを解凍し、ブレンダーに移した。ペーストを0.9M塩化カルシウムと混合して、均一な懸濁液を得た。懸濁液を約10,000xgで15分間遠心した。上清をリントフリーのパッドを通して、第1抽出物として静かに容器に注いだ。第2容量の0.9M塩化カルシウムをペーストに添加し、さらに混合して均一懸濁液を得た。懸濁液を上記のように遠心して、その上清を第1抽出から得た上清と混ぜ合わせた。全体で4回の抽出を実施し、上清をプールした。10−30kDA MWCO渦巻状限外濾過ユニットを用いて限外濾過することによって、プールした抽出物を濃縮した。
【0050】
塩化マグネシウムを濃縮物に添加して、水酸化ナトリウムを用いてpHを7.2から7.5に調整した。DNaseおよびRNaseを濃縮物に添加し、25℃から28℃で、混和させながら、4時間インキュベートした。30%から50%までエタノールを添加した。沈殿した核酸およびタンパク質を、10,000xgで2時間遠心することによって除去した。上清を回収し、80%までアルコールを添加することによって沈殿した多糖を、1から5℃で1晩放置した。アルコールを吸い上げ、沈殿多糖を10,000xgで5分間遠心した。沈殿多糖をアルコールで洗浄した。多糖をアセトンで洗浄し、10,000xgで15から20分間遠心した。多糖を真空下で乾燥した。最初の多糖粉末を酢酸ナトリウム溶液に溶解させた。塩化マグネシウムを添加し、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7.2から7.5に調整した。DNaseおよびRNaseを溶液に添加して、25℃から28℃で、混和させながら、4時間インキュベートして、残りの核酸を除去した。それら酵素を用いてインキュベートした後、等容量の酢酸ナトリウム−フェノール溶液を水相に添加し、上記のように抽出した。全部で4回の抽出を実施して、多糖溶液からタンパク質および内毒素を除去した。混合した水性抽出物を、注射用水で10倍まで希釈し、10容量の注射用水でダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション処理した多糖に塩化カルシウムを添加した。80%までエタノールを添加することによって、1から5℃で1晩多糖を沈殿させた。アルコール上清を回収し、10,000xgで14分間遠心することによって多糖を回収した。精製多糖をエタノールで2回、アセトンで1回洗浄した。洗浄した粉末をデシケーター中において真空下で乾燥した。乾燥粉末を複合体にさらに加工するまで30℃以下で保管した。
【実施例2】
【0051】
髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYの精製莢膜多糖粉末の解重合
調製に用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY由来の精製莢膜多糖粉末(実施例1に基づいて調製)、滅菌50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)、滅菌1N塩酸、滅菌1N水酸化ナトリウム、30%過酸化水素、および滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)が挙げられる。
【0052】
各血清群多糖を別個の反応で解重合した。ステンレス鋼タンクに60gまでの精製莢膜多糖粉末を入れた。滅菌50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)を多糖に添加して、2.5g多糖/リットルの濃度をもたらす。溶液になるように、多糖溶液を1から5℃で12から24時間混合した。反応タンクを熱交換器ユニットに連結した。追加の50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)を添加して、1.25g/リットルの反応濃度まで多糖を希釈した。多糖溶液を55℃±0.1まで加熱した。30%過酸化水素を反応混合物に添加して、1%過酸化水素の反応濃度にした。
【0053】
時間経過による多糖の分子サイズを追うことによって、反応の経過をモニターした。15から20分おきに、反応混合物から一部を取り出して、HPLCカラムに注入して多糖の分子サイズを測定した。多糖の分子サイズが目的とする分子サイズに達したとき、加熱ユニットを止め、氷水浴を介した巡回によって5℃まで多糖溶液を迅速に冷却した。3000MWCO再生セルロースカートリッジを備えた限外濾過ユニットに反応タンクを連結させて、解重合多糖溶液を15g/リットルまで濃縮した。10容量の滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)に対して濃縮解重合多糖溶液を限外濾過した。次の工程段階まで解重合多糖を1から5℃で保管した。
【0054】
デキストラン分子サイズスタンダードを用いて校正された商品名"Ultahydrogel(商標)250"で販売されているゲル濾過クロマトグラフィーカラムを通過させ、さらに多角レーザー光散乱によって、解重合多糖の分子サイズを特定した。Bartlet, G.R.J. (1959) Journal of Biological Chemistry, 234, pp466-468に記載の方法を用いて血清群Aに関してリン含量によって、さらにSvennerholm, L.(1955) Biochimica Biophysica Acta 24, pp604-611の方法を用いて血清群C、W135、およびYに関してシアル酸含量によって、多糖の量を特定した。Hesterin, S.(1949) Journal of Biological Chemistry 180, p249の方法によってO−アセチル含量を特定した。Park, J.T. and Johnson, M.J.(1949) Journal of Biological Chemistry 181, pp149-151の方法によって還元活性を特定した。プロトンHおよび13C NMRによって解重合多糖の構造の健全性を特定した。LAL(内毒素)含量および残りの過酸化水素含量を測定することによって解重合多糖の純度を特定した。
【実施例3】
【0055】
髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYの解重合した莢膜多糖の誘導体化
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYの過酸化水素解重合莢膜多糖(実施例2に基づいて調製)、アジピン酸ジヒドラジド、血清群Aのみに関して1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、シアノボロ水素化ナトリウム (sodium cyanoborohydride)、滅菌1N塩酸、滅菌1N水酸化ナトリウム、滅菌塩化ナトリウム、および滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)が挙げられる。
【0056】
各血清群多糖を別個の反応で誘導体化(derivatized)した。ステンレス鋼タンクに精製解重合多糖を入れ、6g多糖/リットルの最終反応濃度になるように、滅菌0.85%生理食塩水で希釈した。1g/リットルの反応濃度になるように、その溶液に、滅菌0.85%生理食塩水中に溶解したアジピン酸ジヒドラジドの濃縮液を添加した。血清群Aのみに関して、1g/リットルの反応濃度になるように、滅菌0.85%生理食塩水中に溶解した濃縮液としてEDACを添加した。pHを5.0±0.1に調整し、滅菌1N塩酸および滅菌1N水酸化ナトリウムを用いて、室温(15から30℃)で2時間、そのpHを維持した。2時間後、0.85%生理食塩水中に溶解したシアノボロ水素化ナトリウムの濃縮液を反応混合物に添加して、2g/リットルの反応濃度にした。pHを5.5±0.5に維持しながら、室温(15から30℃)で44時間±4時間反応液を撹拌した。その反応時間の後、pHを6.0±0.1に調整し、3000MWCO再生セルロースカートリッジを備えた限外濾過ユニットに反応タンクを連結させて、誘導体化多糖溶液を12g/リットルまで濃縮した。30容量の1M塩化ナトリウム、続いて10容量の0.15M塩化ナトリウムに対して濃縮誘導体化多糖溶液を限外濾過した。
【0057】
誘導体化多糖の分子サイズ、多糖の量、およびO−アセチル含量は、解重合多糖で用いたのと同じ方法で測定した。Snyder, S.L. and Sobocinski, P.Z.(1975) Analytical Biochemistry 64, pp282-288に記載の2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸法によってヒドラジド含量を測定した。プロトンHおよび13C NMRによって誘導体化多糖の構造の健全性を特定した。非結合ヒドラジド、LAL(内毒素)含量および残りのシアノボロ水素含量を測定することによって誘導体化多糖の純度を特定した。
【実施例4】
【0058】
担体タンパク質の調製
粗ジフテリアトキソイドタンパク質の調製
凍結乾燥種細胞を再生させて16から18時間インキュベートした。培養液の一部を、増殖培地を含有する0.5リットルフラスコに移し、回転式振とう培養器において、34.5から36.5℃で7から9時間培養フラスコをインキュベートした。増殖培地を含有する4リットルフラスコに培養フラスコから一部を移し、回転式振とう培養器において、34.5から36.5℃で14から22時間培養フラスコをインキュベートした。4リットルフラスコからの培養液を用いて、増殖培地含有発酵槽に播種した。発酵槽を34.5から36.5℃で70から144時間インキュベートした。発酵槽の内容物を、デプスフィルターを通して回収容器に濾過した。0.2%濃度になるように、回収物に37%ホルムアルデヒド溶液を添加した。pHを7.4から7.6に調整した。0.2μmフィルターカートリッジを通して滅菌20リットルボトルに回収物を濾過した。34.5から36.5℃で7日間ボトルをインキュベートした。0.4%濃度になるように、各20リットルボトルに37%ホルムアルデヒド溶液を添加した。混合物のpHを7.4から7.6に調整した。振とう撹拌器において、34.5から36.5℃で7日間ボトルをインキュベートした。0.5%濃度になるように、各20リットルボトルに37%ホルムアルデヒド溶液を添加した。混合物のpHを7.4から7.6に調整した。34.5から36.5℃で8週間ボトルをインキュベートした。無毒化に関して粗トキソイドを試験した。試験期間の間、1から5℃でボトルを保管した。
【0059】
粗ジフテリアトキソイドタンパク質の精製
粗トキソイドを室温まで暖め、20リットルボトルの内容物を合わせて精製タンクに入れた。トキソイドのpHを7.2から7.4に調整し、活性炭を粗トキソイドに添加して2分間混合した。活性炭−トキソイド混合物を1時間放置し、その後デプスフィルターカートリッジを通して第2精製タンクに濾過した。70%飽和になるように固形硫酸アンモニウムを濾液に添加した。pHを6.8から7.2に調整し、溶液を16時間放置した。沈殿したタンパク質を濾過によって回収し、70%飽和硫酸アンモニウム溶液(pH7.0)で洗浄した。沈殿物を滅菌蒸留水中に溶解させ、タンパク質溶液をステンレス回収容器に濾過した。pHを6.8から7.2に調整し、40%飽和になるように硫酸アンモニウムを添加した。溶液のpHを7.0から7.2に調整し、溶液を16時間放置した。濾過によって沈殿物を除去し、捨てた。60%飽和になるように濾液に硫酸アンモニウムを添加し、さらにpHを7.0から7.2に調整した。混合物を16時間放置し、沈殿したタンパク質を濾過によって回収した。沈殿物を滅菌蒸留水に溶解させ、溶けていないタンパク質を濾過によって除去し、さらに0.85%生理食塩水に対して限外濾過した。
【0060】
精製ジフテリアトキソイドタンパク質の濃縮および滅菌濾過
15g/リットルまでタンパク質溶液を濃縮し、3000MWCO再生セルロースカートリッジを用いて、10容量の0.85%生理食塩水に対して限外濾過した。0.2μmメンブランを通して濾過することによって、濃縮タンパク質を滅菌した。複合体に加工するまで、タンパク質溶液を1から5℃で保管した。
【0061】
Lowry, O.H. et al(1951) Journal of Biological Chemistry 193, p265-275の方法によってタンパク質濃度を特定した。無菌性、LAL(内毒素)含量、および残りのホルムアルデヒド含量によってタンパク質の純度を特定した。
【実施例5】
【0062】
髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYの多糖とジフテリアトキソイドタンパク質との一価複合体の調製
この調製に用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYのアジピン酸誘導体化多糖(実施例3に基づいて調製)、滅菌ジフテリアトキソイドタンパク質(実施例4に基づいて調製)、EDAC、硫酸アンモニウム、滅菌1N塩酸、滅菌1N水酸化ナトリウム、および滅菌生理食塩水(0.85%)が挙げられる。
【0063】
各血清群の多糖複合体は別個の反応によって調製した。以下の工程によって、4つ全ての複合体を調製した。700から1000μmolの反応性ヒドラジド/リットルの反応濃度の精製アジピン酸誘導体化多糖、および3.8から4.0gタンパク質/リットルの反応濃度の精製ジフテリアトキソイドタンパク質をステンレス鋼タンクに入れた。生理食塩水(0.85%)を用いて開始材料を目的の反応濃度まで希釈し、さらにpHを5.0±0.1に調製した。2.28から2.4g/リットルの反応濃度になるようにEDACを多糖タンパク質混合物に添加した。滅菌1N水酸化ナトリウムを用いて反応液のpHを7.0±0.1に調整し、反応液を1から5℃で16から20時間保管した。
【0064】
反応混合物を15から30℃まで暖め、3000MWCO再生セルロースカートリッジを備えた限外濾過ユニットに反応容器を連結させた。60%飽和(血清群A,W−135、およびY)、ならびに50%飽和(血清群C)になるように、固形硫酸アンモニウムを添加した。20容量の60%飽和硫酸アンモニウム溶液(血清群A,W−135、およびY)、
ならびに50%飽和硫酸アンモニウム溶液(血清群C)、続いて20容量の生理食塩水(0.85%)に対して、複合体形成反応混合物を限外濾過した。限外濾過した複合体を、最初に1.2μmおよび0.45マイクロmフィルターを備えたフィルターカプセルを通して濾過し、続いて0.22μmフィルターを備えた第2のフィルターカプセルを通して濾過した。
【0065】
多糖の量およびO−アセチル含量は、解重合および誘導体化多糖において用いられたのと同じ方法によって測定した。タンパク質の量はLowry法によって特定した。複合体の分子サイズは、空隙容量マーカーとしてDNAを用い、全容量マーカーとしてATPを用い、さらに参照マーカーとしてウシチログロブリンを用いて、商品名"TSK6000PW"で販売されているゲル濾過クロマトグラフィーカラムを通過させて特定した。さらに、多角レーザー光散乱によって、TSK6000PWカラムから溶出された複合体の分子サイズを測定した。ダブルサンドイッチELISA法を用いて、抗多糖血清群特異的抗体への結合によって、複合体の抗原特性を測定した。疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムを介した溶出によって非結合(非複合体形成)多糖の量、キャピラリー電気泳動によって非結合タンパク質の量、無菌性、LAL(内毒素)含量、残っているEDAC含量、および残っているアンモニウムイオン含量を測定することによって、複合体の純度を特定した。
【実施例6】
【0066】
多価髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYの多糖−ジフテリアトキソイド複合ワクチンの形成
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYの多糖−ジフテリアトキソイド複合体(実施例5に基づいて調製)、滅菌100mMリン酸ナトリウム緩衝生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)が挙げられる。
【0067】
ステンレス鋼製バルキングタンク(bulking tank)中の生理食塩水(0.85%)に滅菌100−500mMリン酸ナトリウム緩衝生理食塩水を添加して、10mMリン酸ナトリウムの最終ワクチン濃度を得る。8μgの各血清群多糖/mLバッファーの最終濃度になるように、10mM滅菌リン酸ナトリウム緩衝生理食塩水を含有するバルキングタンクに、2から4つの滅菌一価髄膜炎菌多糖−ジフテリアトキソイド複合体の各々を添加した。形成された4価複合体を混合し、0.2μmフィルターを通して第2バルキングタンクに濾過した。
【0068】
パルス電流検出を備えた高pH陰イオン交換クロマトグラフィーを用いる成分多糖分析によって、多価製剤中に存在する各血清群多糖の量を特定した。Lowry法によってタンパク質の量を測定した。pHメーターに連結した組合せ電極を用いてワクチンのpHを測定した。ダブルサンドイッチELISA法を用いて、抗多糖血清群特異的抗体への結合によって、多価複合ワクチンの抗原特性を測定した。ワクチン中に存在する各複合体が動物モデルにおいて初回および追加抗多糖IgG免疫応答の両方を誘導する能力によって、多価複合ワクチンの免疫原性を測定した。パルス電流検出を備えた高pH陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて非結合(非複合体形成)多糖の量を測定し、無菌性、LAL(内毒素)含量、発熱物質含量、および一般的安全性を測定することによって、多価複合ワクチンの純度を特定した。
【実施例7】
【0069】
水酸化アルミニウムアジュバント−髄膜炎菌多糖ジフテリアトキソイドタンパク質複合体の調製
水酸化アルミニウム吸着複合体の調製
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびYの多糖−ジフテリアトキソイド複合体(実施例5に基づいて調製)、滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)、および生理食塩水(0.85%)中の滅菌水酸化アルミニウムが挙げられる。
【0070】
8μgの各血清群多糖/mLバッファーの最終濃度になるように、生理食塩水を含有するバルキングタンクに滅菌一価髄膜炎菌多糖ジフテリアトキソイド複合体の各々を添加する。0.44mgアルミニウムイオン/mLワクチンの最終濃度になるように、生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)中の滅菌水酸化アルミニウムを多価複合ワクチンに添加する。
【実施例8】
【0071】
リン酸アルミニウムアジュバント−複合体の調製
この調製で用いられる材料として、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY多糖−ジフテリアトキソイド複合体(実施例5に基づいて調製)、滅菌生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)、および生理食塩水(0.85%)中の滅菌リン酸アルミニウムが挙げられる。
【0072】
8μgの各血清群多糖/mLバッファーの最終濃度になるように、生理食塩水を含有するバルキングタンクに滅菌一価髄膜炎菌多糖ジフテリアトキソイド複合体の各々を添加する。0.44mgアルミニウムイオン/mLワクチンの最終濃度になるように、生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)中の滅菌リン酸アルミニウムを多価複合ワクチンに添加する。
【実施例9】
【0073】
四価複合ワクチンの免疫原性
臨床で評価する前に、実験小動物において免疫応答を誘導する能力に関して四価複合ワクチンを試験した。マウス、ラット、およびウサギを用いて、多糖ワクチンと比較した複合ワクチンの免疫原性を試験した。それら動物モデルは、それらの免疫応答パターンによって対応する多糖と複合ワクチンとを区別することができるため有用である。複合ワクチンは、それらモデルにおいてT−依存性様免疫応答を誘導するが、多糖ワクチンはT−非依存性様免疫応答を誘導する。
【0074】
マウス免疫原性試験において、ヒト用量の1/4から1/16までの間の量を投与するため、生理食塩水(0.85%)で複合体を希釈した。マウスにワクチン(複合ワクチンまたは多糖ワクチンの何れか)を1回または2回投与し、ワクチン接種の2週間後に血液試料を採取した。1つの群のマウスは非免疫対照群としての役割を果たす。各血清群多糖に対する抗体をELISA法で測定した。ELISAマイクロタイタープレートウェルに結合させた過剰な各莢膜多糖と共に血清試料をインキュベートした。メチル化ヒト血清アルブミンを用いて、各血清群多糖をマイクロタイターウェルに結合させた。インキュベーションの後、マイクロタイターウェルをバッファーで洗浄し、抗髄膜炎菌多糖抗体に結合する第2抗体−酵素複合体を、抗体−多糖複合体に添加した。マイクロタイタープレートを洗浄し、多糖−髄膜炎菌抗体−第2抗体−酵素複合体に化学基質を添加した。酵素は化学基質の一部を加水分解して発色させる。発色の量は、マイクロタイターウェルに結合した多糖−髄膜炎菌抗体−第2抗体−酵素複合体の量に比例する。4パラメーターフィット(four-parameter fit)を用いる平行線計算によって同じマイクロタイタープレートにおいて測定された各血清群に関する参照抗血清の値と比較することによってワクチン効力を特定した。マウス参照抗血清は、各血清群複合ワクチンで個々に3回免疫した同じマウス種において作成した。1.0の光学密度を得る希釈倍率の逆数に基づいて、マウス参照抗血清の力価を特定した。
【0075】
四価複合ワクチン(液体および水酸化アルミニウム製剤の両方)、または対応する四価多糖ワクチンの何れかで2回ワクチン接種したSwiss-Websterマウスにおいて得られた各血清群に関する抗多糖IgG力価の要約を表1に示す。1組10匹のマウスからプールした血清においてIgG力価を測定した。1組10匹のマウス2組を用いて、各ワクチン製剤に対する免疫応答を測定した。1日目に両方の組にワクチン接種した。15日目(ワクチン接種の2週間後)に、1組10匹のマウスから血液試料を採取し、第2の組の10匹のマウスには、15日目に2回目のワクチン接種を行った。2週間後の29日目に、第2組の10匹のマウスおよび非免疫対照群から血液試料を採取した。全ての血液を同時に滴定し、すなわち、非免疫対照およびマウス参照血清と共に、15日目と29日目の両方の血液試料を同時に測定した。
【表1】

【0076】
四価複合ワクチン(非アジュバント化および水酸化アルミニウムアジュバント化ワクチンの両方)は、このマウスモデルにおいて強い抗多糖IgG免疫応答を誘導することができる。水酸化アルミニウムアジュバントは、4つの血清群多糖複合体の各々に対する初回および追加免疫応答の両方を増強させる働きをする。四価多糖ワクチンは、このマウスモデルにおいて、血清群A、C、およびW135に対して非免疫対照と比較して極僅かな免疫応答を誘導するのみであり、一方血清群Yは相当の免疫応答を誘導するが追加応答は誘導しない。四価多糖ワクチンは、このモデルにおいて、4つ全ての血清群多糖に対して追加応答を誘導できない。このモデルは、各血清群複合ワクチンに対する免疫応答の大きさおよび追加免疫応答パターンの両方によって、多糖ワクチンと複合ワクチンとを容易に差別化できる。
【0077】
若い健康な大人および健康な幼児における安全性および免疫原性に関して、非アジュバント化形態の四価複合ワクチンを臨床試験した。大人での試験では、多糖として4μgの4つの複合体の各々を含有するように処方されたワクチンの単回投与によって被験者にワクチン接種した。抗多糖IgGの量を定量化するELISA測定によって各血清群複合体に対する抗体を測定した。ELISA法は、マウス血清中に存在するIgGの量を測定するのに用いた方法に非常に類似する。
【0078】
簡単に説明すると、メチル化ヒト血清アルブミンを用いてプレートに結合させた過剰な髄膜炎菌多糖でコートしたELISAマイクロタイターウェル中において血清試料をインキュベートした。ペロキシダーゼ標識マウス抗ヒトIgG特異的モノクロナール抗体と反応させることによって結合した抗体の量を特定した。次のペロキシダーゼ基質を用いた反応が発色産物を生じさせ、それを分光測光によって測定した。発色団の光学密度は、マイクロタイタープレートにおいて髄膜炎菌多糖に結合した血清中のIgGの量に相関する。4パラメーターロジスティック曲線法を用いて、指定値を有するヒト参照血清(CDC 1922)と比較することによって抗体量を計算する。さらに、血清群特異的細菌を溶菌する能力に関して抗体を測定した。最初に血清試料を熱非働化させて補体を破壊する。滅菌96穴マイクロタイタープレートにおいて2倍希釈によって血清試料を希釈する。生まれたてのウサギの補体と共に血清群特異的細菌を血清希釈液に添加し、さらにインキュベートした。インキュベーション時間の後、寒天重畳培地を(agar overlay medium)を、血清/補体/細菌混合物に添加した。寒天重畳は固められ、5%二酸化炭素の下、37℃で1晩インキュベートした。次の日、ウェル中に存在する細菌コロニーをカウントした。補体対照ウェルの平均値と比較して50%以上の致死をもたらす血清希釈の逆数によって終点力価を特定した。
【0079】
4μg多糖/用量に処方された四価複合ワクチンでワクチン接種する前後の大人の血清における、各血清群に関する抗多糖平均IgG濃度、および平均血清殺菌性抗体(SBA)力価の要約を表2に示す。4つ全ての血清群複合体に対する免疫応答は満足なものであり、すなわち、IgG抗体および機能的殺菌性抗体反応の両方に関して、認可されている多糖ワクチンによって達成される免疫応答に匹敵するものであった。
【表2】

【0080】
若い年齢群、すなわち2歳未満の子供において、多糖ワクチンに対する免疫応答は弱く、1年後には免疫は弱くなると推定された。生後12から15ヶ月の子供に、4μgの各血清群多糖/用量で処方された四価複合ワクチンを単回投与し、さらに最初の投与の2ヶ月後に四価複合ワクチンの2回目の投与を実施した。1回目および2回目のワクチン接種の前、ならびに2回目のワクチン接種の1ヶ月後に血液試料を採取した。4つの血清群複合体に対する抗体反応を表3に要約する。四価複合体の2回目の投与の後、各血清群に関して、IgG抗体および機能的殺菌性抗体に関する追加免疫応答を観察した。この年齢群に関して、複合ワクチンによって誘導されたIgG抗体のレベルは、認可されている多糖ワクチンに匹敵し;6週間後の血清群C多糖に対するIgG抗体反応は3.64μg/ml(2.96−4.49)であった。しかしながら、この年齢群に関して、複合ワクチンによって誘導された殺菌性抗体のレベルは、認可されている多糖ワクチンによって通常誘導されるレベルよりもかなり高く;6週間後のSBA力価は7.2(5.0−10.4)である。若い集団におけるそのようなIgG抗体と殺菌性抗体との間の不一致は、若い集団において、多糖が高い割合の低親和性抗体を誘導することによるものと考えられる。一方、複合体はより高い割合の高親和性抗体を誘導すると思われる。高親和性抗体は殺菌活性を担うと考えられる。
【表3】

【0081】
四価複合ワクチンが、認可されている多糖ワクチンと比較して、若い集団において高い機能的抗体反応を誘導する能力に加えて、四価複合ワクチンは既往反応を誘導することができ、本発明の四価複合ワクチンによって誘導される防御が永続することを示唆する。四価複合ワクチンの開発において、2価AC複合製剤で最初に試験を実施した。そのワクチンは現在の認可されている一価C複合体よりも広い対象を提供するが、血清群W135およびYによって生じる疾患に対して防御をもたらさない。
【0082】
二価AC多糖ワクチン対二価AC複合ワクチンに対する免疫応答を比較する臨床試験を幼児被験者で実施した。この試験では、3番目の群の幼児を対照群として登録し、b型インフルエンザ菌複合体を接種した。3つのワクチン群に毎回同じ小児ワクチンを与える。二価AC複合体群には、生後6、10、および14週目に、3回複合ワクチン(4μg多糖/用量)を投与する。二価Ac多糖群には、生後10および14週目に、二価AC多糖ワクチン(50μg多糖/容量)を2回投与する。b型インフルエンザ菌複合対群には、生後6、10、および14週目に3回複合ワクチンを投与する。生後6週目(ワクチン接種前)、および生後18週目(ワクチン接種の4週間後)に血液試料を採取した。子供が11から12ヶ月の年齢になったとき、血液試料を採取し、二価AC複合ワクチンまたは二価AC多糖ワクチンの何れかを投与された子供に、AC多糖を追加投与した。多糖の追加投与の理由は、被験者が既往反応を誘導するか否かを評価するためであった。
【0083】
この試験の結果(初回免疫反応および多糖追加免疫反応の両方)を、IgG抗体反応に関して表4に示し、SBA抗体反応に関して表5に示す。初回の一連の投与後のIgG抗体反応は、多糖ワクチンと複合ワクチンでほぼ同じであった。しかしながら、複合ワクチンを接種した被験者での殺菌性抗体反応は多糖ワクチンを接種した被験者での反応よりもかなり高かった。1歳の被験者で認められたように、多糖での幼児のワクチン接種は、ほんの僅かな機能的殺菌性抗体のみを誘導する。多糖ワクチンに対して幼児において誘導された抗体はおそらく低親和性抗体であり、一方複合ワクチンは高親和性抗体を誘導すると思われ、それによってより高い力価の殺菌性抗体をもたらす。一連の初回ワクチン接種において複合ワクチンを接種された被験者における多糖ワクチンの追加投与によって誘導された高レベルの機能性抗体は、それら被験者がメモリーまたはT−細胞依存性抗体反応のための初回抗原刺激を受けたことを示唆する。一連の初回免疫接種において多糖ワクチンを接種された被験者は、多糖追加投与に対する僅かな応答を誘導し、そのことはT−細胞非依存性反応を示唆する。
【表4】

【表5】

【0084】
本発明が若い集団において、髄膜炎菌性疾患に対する高められた防御、ならびに血清群A、C、W−135、およびYに対するより広い防御をもたらすことの利益に加えて、四価複合体は担体タンパク質に対する抗体反応を誘導することによって、他の病原菌に対する防御も提供することができる。ジフテリアトキソイド複合体を用いて四価複合ワクチンを幼児に投与した際、それら被験者は、ジフテリアトキソイドを含む通常の小児ワクチンも受けた。従って、それら被験者において、ジフテリアトキソイドに対する抗体反応の明らかな増強は無かった。しかしながら、付随してジフテリアトキソイド含有ワクチンを受けなかった被験者にジフテリアトキソイド複合体を投与した場合、ジフテリアトキソイドに対する強い追加免疫応答が観察された。それら被験者は、生後2、3、および4ヶ月目にDTPの3回投与を受けた。この試験において、被験者は、二価AC複合体の単回投与または二価AC多糖ワクチンの単回投与の何れかを2歳から3歳の間で受けた。ワクチン接種時およびワクチン接種の30日後に血液試料を採取した。二価AC複合体は担体タンパク質としてジフテリアトキソイドを用いた。
【0085】
2つのワクチン群でのジフテリアトキソイドの免疫応答を表6に示す。予想通りそれら被験者において、多糖は抗ジフテリア免疫応答を刺激する役割を果たさなかったが、AC複合体を接種された被験者では強い抗ジフテリア免疫応答が観察された。従って、髄膜炎菌複合ワクチンは、担体タンパク質に対する免疫応答を刺激する付加的利益を提供することができ、それによって、ジフテリアトキソイドを担体タンパク質として用いた場合、ジフテリアによって生じる疾患に対する防御をもたらす。
【表6】

【参考文献】
【0086】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2、3、または4つの別個のタンパク質−多糖複合体を含み、各複合体が、1以上の担体タンパク質に結合した2以上の髄膜炎菌血清群由来の莢膜多糖を含むことを特徴とする免疫組成物
【請求項2】
前記莢膜多糖が、髄膜炎菌血清群A、C、W−135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択されることを特徴とする請求項1記載の免疫組成物。
【請求項3】
前記莢膜多糖が、髄膜炎菌血清群AおよびC由来の莢膜多糖であることを特徴とする請求項1記載の免疫組成物。
【請求項4】
前記莢膜多糖が、髄膜炎菌血清群A、C,A−135、およびC由来の莢膜多糖であることを特徴とする請求項1記載の免疫組成物。
【請求項5】
前記担体タンパク質がジフテリアトキソイドであることを特徴とする請求項1記載の免疫組成物。
【請求項6】
アジュバントをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の免疫組成物。
【請求項7】
前記アジュバントが水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項5記載の免疫組成物。
【請求項8】
前記アジュバントがリン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項5記載の免疫組成物。
【請求項9】
髄膜炎菌の莢膜多糖に対する免疫応答を誘導するためにヒトまたは動物に投与されることを特徴とする請求項1記載の免疫組成物。
【請求項10】
免疫学的効果量の2から4つの別個のタンパク質−多糖複合体から成り、各複合体が担体タンパク質に結合した異なる莢膜多糖を含み、各莢膜多糖が血清群A、C、W−135、およびY由来の莢膜多糖より成る群から選択されることを特徴とする多価髄膜炎菌ワクチン。
【請求項11】
前記莢膜多糖が、髄膜炎菌血清群AおよびCから調製されることを特徴とする請求項10記載の多価髄膜炎菌ワクチン。
【請求項12】
前記莢膜多糖が、髄膜炎菌血清群A、C,A−135、およびCから調製されることを特徴とする請求項10記載の多価髄膜炎菌ワクチン。
【請求項13】
前記担体タンパク質がジフテリアトキソイドであることを特徴とする請求項10記載の多価髄膜炎菌ワクチン。
【請求項14】
アジュバントをさらに含むことを特徴とする請求項10記載の多価髄膜炎菌ワクチン。
【請求項15】
前記アジュバントが水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項14記載の多価髄膜炎菌ワクチン。
【請求項16】
前記アジュバントがリン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項5記載の多価髄膜炎菌ワクチン。
【請求項17】
髄膜炎菌に感染しやすいヒトまたは動物を防御するためにヒトまたは動物に投与されることを特徴とする請求項10記載の多価髄膜炎菌ワクチン。

【公開番号】特開2011−140522(P2011−140522A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89891(P2011−89891)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【分割の表示】特願2002−559071(P2002−559071)の分割
【原出願日】平成14年1月22日(2002.1.22)
【出願人】(503263001)サノフィ パストゥール インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】