説明

多元規格化モードを有する電源制御ループ

電源(104)を制御する方法および装置であり、システム(100)は、電源(104)と、電源の動作を調整するコマンド信号を出力するコントローラ(116)を含む。コントローラは、選択基準に基づいて、複数のエラー信号から選択される、少なくとも一つのエラー信号に基づいて、コマンド信号を決定する。方法は、少なくとも一つの選択基準を満たすエラー信号に基づいて、コントローラのための特性を決定すること、および、そのコントローラを用いて電源の動作を制御することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「Power Supply Control Loop with Multiple Leveling Modes」と題され、2003年8月18日に出願された、米国仮出願番号第60/495,719号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電源制御の分野に関する。より詳細には、本発明は、プラズマチャンバの電源を制御する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、電源の応用は、様々な電気的リミットによって限定される、規定された動作領域内にて動作するための電源を要求する(例えば、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンス)。電源動作は、一部の所望される制御効果のために、電源を保護または負荷を保護するための動作領域内にて動作するよう制限される。その応用に依存し、電源は、例えば、特定の電流制限を超過しない、一定の電力出力を提供する(すなわち、一定に保つ)よう要求される。
【0004】
さらに、一部の電源の応用は、電源が効果的に動作モード間を切り替えることが出来るように要求する(例えば、電流および電圧制限を有する一定の電力出力を提供することから、電力および電流制限を有する一定の電圧を提供することへの切り替えなど)。
【0005】
それゆえ、電源の動作モード間を切り替えることを可能にする電源の動作を制御することが必要とされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一局面において、電源の動作を制御する方法に関する。本方法は、電源の動作に関連する、複数のエラー(error)信号を受信すること、および、どのエラー信号が、少なくとも一つの選択基準を満たすのかを決定することとを含む。本方法はまた、少なくとも一つの選択基準を満たすエラー信号に基づいて、コントローラのための特性(property)を決定すること、および、そのコントローラを用いて電源の動作を制御することとを含む。
【0007】
一部の実施形態において、これらのステップの一部または全てが繰り返され得る。一部の実施形態において、本方法は、電源の動作に関する、複数のエラー信号を受信すること、および、どのエラー信号が複数の選択基準を満たすのかを決定することとを含む。一部の実施形態において、本方法は、少なくとも一つの選択基準を満たす、複数のエラー信号に基づいて、コントローラのための特性を決定することを含む。
【0008】
一部の実施形態において、エラー信号は、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンスからなる群から選択される、電源動作パラメータにそれぞれ基づく。一部の実施形態において、エラー信号を規格化(normalize)することを含む。一部の実施形態において、エラー信号を規格化することが、コントローラを安定させる。エラー信号は、例えば、電源動作パラメータ(例えば、一つ以上の電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンス)によって規格化され得る。一部の実施形態において、どのエラー信号が選択基準を満たすのかを決定することは、アナログ回路およびデジタル信号プロセッサのうちの少なくとも一つによってインプリメントされる。
【0009】
一部の実施形態において、本方法は、エラー信号における変化を最小化することを含む。一部の実施形態において、最小エラー信号は選択基準を満たす。一部の実施形態において、最大エラー信号は選択基準を満たす。一部の実施形態において、本方法は、どのエラー信号が選択基準を満たすのかを決定するために、複数のエラー信号を継続的に監視することを含む。本方法はまた、エラー信号の一つが特定の閾値を超える場合、電源の動作パラメータ(例えば、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンス)の少なくとも一つの値を下げることを含み得る。本方法はまた、例えば、電力変換器またはプラズマチャンバなどのような複素インピーダンス負荷に、電源を用いて、電力を供給することを含み得る。電源は、例えば、DC電源、RF電源、または、マイクロ波電源などであり得る。
【0010】
他の局面において、本発明は、電源の動作を制御するする方法に関し、その方法は、第1の電気的パラメータの計測された値と、第1の電気的パラメータの特定の値とを比較することによって、電源の動作に関する第1のエラー信号を決定すること、および、第2の電気的パラメータの計測された値と、第2の電気的パラメータの特定の値とを比較することによって、電源の動作に関する第2のエラー信号を決定することとを含む。本方法はまた、どのエラー信号が選択基準を満たすかを識別すること、および、選択基準を満たすエラー信号に基づいて、コントローラの性質を決定することとを含む。
【0011】
他の局面において、本発明は、電源を含み、および、電流供給の動作を調整するために、コマンド信号を出力するコントローラを含むシステムである。コントローラは、少なくとも一つのエラー信号に基づいて、コマンド信号を決定する。少なくとも一つのエラー信号は、選択基準に基づいて、複数のエラー信号から選択される。
【0012】
コントローラは、アナログ回路およびデジタル信号プロセッサのうちの少なくとも一つを用いてインプリメントされ得る。コントローラは、電源の、少なくとも一つの動作パラメータ(例えば、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンス)を調整し得る。コントローラは、エラー信号における変化を最小にし得る。コントローラはエラー信号を規格化し得る。エラー信号は、例えば、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンスなどの電源動作パラメータを用いて、規格化され得る。エラー信号を規格化することは、コントローラを安定化し得る。電源は、電力変換器またはプラズマチャンバなどの、複素インピーダンス負荷へ電力を提供し得る。電源は、例えば、DC電源、RF電源、またはマイクロ波電源であり得る。
【0013】
他の局面において、本発明は、電源を含み、どのエラー信号が選択基準を満たすのかを決定する手段を含むシステムである。システムはまた、選択基準を満たすエラー信号に基づいて、コントローラのための特性を決定する手段と、コントローラを用いて電源の動作を制御する手段を含む。
【0014】
本発明の先行するおよび他の対象物、特質、および利点、ならびに本発明自体は、以下の記載および上記の請求項からさらに明らかにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の先行するおよび他の対象物、特質、および利点、ならびに本発明自体は、必ずしも縮尺通りではない添付された図面と共に読む場合、その図示された記載から、さらに十分に理解される。
【0016】
図1は、電源104などのような装置の動作を制御することに使用されるシステム100を表す。電源104は、電気的負荷108への電源出力112などのような、電気信号を出力する。例えば負荷108は、電力変換器またはプラズマチャンバなどのような複素インピーダンス負荷である。さらなる例示によって、電源はDC電源、RF電源、または、マイクロ波電源であり得る。一部の実施形態において、電源104は、半導体スパッタリングプロセスにおいて使用されるプラズマチャンバへの出力112を提供する。
【0017】
システム100はまた、制御アルゴリズムをインプリメントするコントローラ116を含む。コントローラ116は、エラー信号122を受信する。コントローラ116は、所望される方法にて、電源104の動作を制御するために、エラー信号122に基づいて、制御信号120を計算および出力する。様々な制御アルゴリズムのうちの任意の一つは、コントローラ116によってインプリメントされ得、比例積分微分制御アルゴリズム、比例微分アルゴリズム、比例積分アルゴリズム、状態空間(state space)制御、およびファジー論理アルゴリズムを含むが、それらに限定されるわけではない。この実施形態において、コントローラ116は、デジタル信号プロセッサなどのようなデジタル回路を含む。一部の実施形態において、コントローラ116は、一つ以上のエラー信号を受信し、複数のエラー信号に基づく一つ以上の出力信号を計算および出力する。
【0018】
例示から、コントローラ116は、Motorola DSP56300デジタル信号プロセッサ(Motorola、 Schaumberg,IL)を含む。一部の実施形態において、システム100のコントローラ116および他の構成要素は、アナログ回路または、アナログ回路およびデジタル回路の組み合わせを用いてインプリメントされ得る。
【0019】
この実施形態において、システム100は、電源104の動作パラメータである、電力セットポイント124、電圧セットポイント128、電流セットポイント132、およびコンダクタンスセットポイント136などの制限のセットを含み得る。セットポイント124、128、132、および136は、動作パラメータ(個々に、電力、電圧、電流およびコンダクタンス)のそれぞれの、特定の制限である。セットポイント値は、電源104および負荷108が電気的に保護されることを保証するために、電源104が動作する動作領域を規定する、所定の最大値である。一部の実施形態において、セットポイント124、128、132、および136は、例えば、システム100の動作間に、オペレータまたは遠隔コントローラによって修正され得る。
【0020】
システム100はまた、電源104の動作に関連する、複数のエラー信号140、144、148、および152を入力として受信する、モジュール156を含む。
【0021】
モジュール156は、一つ以上の選択基準に基づいて、エラー信号140、144、148、および152のうちの少なくとも一つを選択し、選択されたエラー信号122をコントローラ116に出力する。コントローラ116は、少なくとも一つの選択されたエラー信号122に基づいて、制御アルゴリズムの特性を決定する。コントローラは、次いで、所望される方法にて、電源104の動作を制御するために、制御信号120を出力する。
【0022】
この実施形態において、モジュール156は、最小値を有するエラー信号を選択する選択基準を用いる。ネガティブのエラー信号は、ポジティブのエラー信号よりも少ない。選択されたエラー信号は、前記されたように、コントローラ116への出力である。代替的な選択基準および/または多数の選択基準が用いられ得る。例えば、モジュール156は、最大値を有するエラー信号を選択する選択基準を用いることができる。一部の実施形態において、モジュール156は、数学的な方程式を満たすエラー信号122を選択する、選択基準を用いることができる。
【0023】
この実施形態において、エラー信号140、144、148、および152は、エラー信号のそれぞれが、一つの電力信号(たとえばワット)として、同じ計測単位を有するように、適切なスケーリングの要因によって、それぞれ規格化(normalize)される。結果として、それぞれのエラー信号のループゲインは、ほぼ等しい。なぜならば、それぞれのエラー信号は、同じ計測単位を用いて規格化されるからである。この方法において、コントローラの性能は、例えば、システム100の性能がシステム100の動作モード間を切り替える場合に、それほど変化しないので、安定する。例えば、最大電圧、最大電流および最大コンダクタンスのセットポイント値によって制限される最大電力値のレベルを一定に保つことから、最大電力、最大電流、および最大コンダクタンスのセットアップ値によって制限される最大電圧値のレベルを一定に保つことへ、変化する場合に、システム100の性能は、それほど変化しない。代替的には、エラー信号140、144、148、および152は、エラー信号が同じ計測単位を用いるように、任意のパラメータによって規格化され得る。一部の実施形態において、エラー信号140、144、148、および152は、申し分のない性能を達成するように規格化される必要がない。
【0024】
エラー信号140は、電力セットアップ124と電力センス信号158との間の、大きさにおける差異である。電力センス信号158は、電圧信号160および電流信号162の数学的な積である。電圧信号160および電流信号162の積は電力単位(Power=VoltageCurrent)を用いる。電圧センスモジュール164は、電源出力112の電圧に対応する信号170を計測し、出力する。この実施形態において、モジュール172は、電圧信号168と特定の最小電圧(Min_V)とを比較する。電圧信号168および最小電圧(Min_V)の、より大きいほうが、電圧信号160として、モジュール172によって出力される。コントローラ116が安定した最小電圧(Min_V)であることを保証するのは、ゼロより大きい場合だけである。
【0025】
同様に、電流センスモジュール166は、電源出力112の電流を計測し、電流信号170を出力する。モジュール174は、電流信号170と、特定の最小電流(Min_I)とを比較する。電流信号170および最小電流(Min_I)の、より大きいほうが、電流信号162として、モジュール174によって出力される。コントローラ116が安定した最小電流(Min_I)であることを保証するのは、ゼロより大きい場合だけである。
【0026】
エラー信号144は、電圧信号176および電流信号162の積である。電圧信号176および電流信号162の積は、電力単位(Power=VoltageCurrent)を用いる。電圧信号176は、電圧セットポイント128および電圧信号160の値の間の差異である。
【0027】
エラー信号148は、電流信号178および電圧信号160の積である。電流信号178および電圧信号160の積は、電力単位(Power=VoltageCurrent)を用いる。電流信号178は、電流セットポイント132および電流信号162の値の間の差異である。
【0028】
エラー信号152は、電流信号182および電圧信号160の数学的積である。電流信号182および電圧信号160の積は、電力単位(Power=VoltageCurrent)を用いる。電流信号182は、電流信号180および電流信号162の間の差異である。電流信号180は、コンダクタンスセットポイント136と電圧信号160の積である。コンダクタンスは、(1/Resistance)と等しく、Mhos単位を用いる。
【0029】
通常は、システム100は、どのエラー信号が選択基準を満たすかを決定するために、複数のエラー信号を継続的に監視する。システム100は、電源104の所望される動作を継続的に保証し、システムの動作モードが変化した場合でも、コントローラ116が安定していることを継続的に保証するために、本発明の方法のそれぞれのステップを繰り返すことができる。例示によって、システム100の動作モードが、電流、電圧、およびコンダクタンスのセットポイントによって制限される、特定の電力出力をコマンドすることから、電力、電流、およびコンダクタンスのセットポイントによって制限される、特定の電圧出力をコマンドすることへ、切り替えられる場合に、電源104およびコントローラ116の安定にとって適切に動作することを保証するために、本方法のそれぞれのステップは、繰り返され得る。
【0030】
図2は、本発明の図示的な実施形態に従い、電源を制御するための方法を表す。方法200は、図1のシステム100のように、電源制御システムによってインプリメントされ得る。方法200は、コントローラ116によって指示されるように、オペレータによって、または自動的に、繰り返され得(ステップ224)、または、終了し得る(ステップ228)。方法200のそれぞれの繰り返しは、方法の反復として規定される。図2の図示的な方法において、四つのエラー信号(V_PWR_Limit、I_PWR_Limit、P_Error、およびG_PWR_Limit)が計測される(ステップ204)。例示によって、エラー信号は、図1の、個々に、エラー信号144、148、140、および152であり得る。
【0031】
最小エラー信号は、四つのエラー信号(V_PWR_Limit、I_PWR_Limit、P_Error、およびG_PWR_Limit)において選択される(ステップ208)。この実施形態において、選択基準は、最小エラー信号を選択する。しかしながら、代替的な選択信号は、他の実施形態において、使用され得る。
【0032】
ステップ212において、Error_Nは、ステップ208において選択された最小のエラー信号と等しい値に割り当てられる。コントローラ(図1のコントローラ116のように)における制御アルゴリズムのパラメータの値は、以下の式によって計算され得る(ステップ216)。
【0033】

Derivative=DTerm[Error_N−Error_N3+(Error_N1−Error_N2)] 式1
Integral=ITermError_N+Integral_N1 式2
Proportional=PTermError_N 式3

DTerm、ITerm、およびPTermは、例えば、電源104およびコントローラ116の開始動作に先立って決定される、比例積分微分制御アルゴリズムのための制御定数である。Error_N1は、方法200の直前の先行する反復からのエラー信号Error_Nと等しい。Error_2は、方法200の直前の先行する反復からのエラー信号Error_N1と等しい。Error_N3は、方法200の直前の先行する反復からのエラー信号Error_N2と等しい。システムのスタートアップにて、エラー、Error_N1、Error_N2、およびError_N3、はゼロである。なぜならば、ステップ208は、まだエラーを選択していないからである(ステップ208)。他の実施形態において、たとえば、オペレータは、一部かまたは全てのエラーの初期値を特定する(Error_N1、Error_N2、およびError_N3)。Integral_N1は、方法200の直前の先行する反復からのIntegralの値と等しい。システムのスタートアップにて、Integralの値はゼロである。なぜならば、ステップ216は、まだ値を決定していないからである(ステップ216)。他の実施形態において、オペレータは、たとえば、Integralの初期値を特定し得る。
【0034】
図1における出力信号112のような、駆動信号は、以下の式で計算される(ステップ216)。
【0035】

Drive=Proportional+Integral+Derivative 式4

出力信号112は、次いで、電源104の動作の所望される方法において制御するために、電源104に供給される。Error_N3は、次いで、Error_N2と等しい値を割り当てられる(増加させられる)。すなわち、Error_N2はError_N1と等しい値を割り当てられ、Error_N1はError_Nと等しい値を割り当てられる(ステップ220)。それぞれのステップ(ステップ204、208、212、216および220)は、次いで、繰り返され(ステップ224)、または終了される(ステップ228)。一部の実施形態において、異なる制御定数DTerm、ITerm、およびPTermは、例えば、方法200の特定の反復の間、どのエラー信号が最小として選択されるのかに基づいて、コントローラによってインプリメントされ得る。
【0036】
図示において、本発明の実施形態の電源のための動作領域302は、図3のグラフ表示300において示される。本発明に従い、図1のシステム100などのようなシステムは、電源の動作を調整し、電源の動作パラメータ(個々に、電力、電圧、電流およびコンダクタンス)のためのセットポイント(動作リミット304、308、312、および316)を特定する。リミット304は、電源の出力を、最大電力12,500ワットに制限する。リミット308は、電源の出力を、最大電圧800ボルトに制限する。リミット312は、電源の出力を、最大電流25アンペアに制限する。リミット316は、電源の出力を、最大コンダクタンス0.1Mhos(ジーメンス(siemens)とも呼ばれる)に制限する。この実施形態において、電源は、動作領域302(リミット304、308、312、および316によって規定される)の境界線に沿って動作する。他の実施形態においては、ユーザは、新しい動作領域をセットすることが可能であり、電源が動作する境界線を効果的に変化させることができる。例えば、ユーザは、一つ以上のリミット304、308、312、および316を変化させることによって、元々の動作領域内にて、新しい動作領域をセットすることが可能である。
【0037】
前記したように、図1のシステム100の最小エラー信号122は、コントローラ116によって受信される。コントローラ116は、電源104の出力を制御するのに適した出力信号120を計算する。この方法において、最小エラー信号122は、電源104の動作を統制するために使用される。さらなる例示によって、電圧エラー信号144が最小エラー信号122であると決定される場合、電源104は、動作領域302における、動作リミット308に近接する位置にて動作する。電流エラー信号148が最小エラー信号122であると決定される場合、電源104は、動作領域302における、動作リミット312に近接する位置にて動作する。この方法において、電源104の動作位置(例えば、電力、電圧、電流、およびコンダクタンスの特定の値によって指示される)が、例えば、負荷108の電気的性質における変化などのために、変化すると、システムは最小値を有するエラー信号を選択する。
【0038】
図4に図示される他の実施形態において、電源104の動作を制御するシステム400は、電力エラー信号140、電圧エラー信号144、および電流エラー信号148を生成するアナログ回路を含む。オペアンプ回路408aは、電力セットポイント124および電力信号158に基づいて、電力エラー信号140を生成する。電力信号158は、前記したのと同様に、電流信号162および電圧信号160の積である。オペアンプ回路408bは、電流セットポイント132および電流信号162に基づいて、電流エラー信号148を生成する。オペアンプ回路408cは、電圧セットポイント128および電力信号160に基づいて、電圧エラー信号144を生成する。
【0039】
この実施形態において、エラー信号144および148は、電力エラー信号140(例えばワット)の計測単位と等しい計測単位を有するように規格化されない。従って、オペアンプ回路のループゲインは、コントローラ116がシステム400の動作間に安定するのを保証するために、それぞれ調整される。一部の実施形態において、電圧エラー信号144および電流エラー信号148を規格化することなしに、コントローラ116の係数(例えば、PIDコントローラの係数DTerm、ITerm、およびPTerm)は、どのエラー信号がコントローラ116に提供されるかに依存し、異なる。
【0040】
ダイオード404a、404b、および404cは、最小エラー信号(例えば、最小のエラー140、144、および148)が選択され、コントローラ116へ提供されるように、構成される。コントローラは、次いで、前記したように、最小のエラー信号に基づいて、例えば、PIDコントローラをインプリメントする。コントローラ116は、次いで、信号120を電源104に出力し、次いで、電源出力信号112を、複素インピーダンス負荷などの負荷へ供給する。
【0041】
図示から、1オームの負荷108にとって、1ボルトで1アンプの電源出力112では、電力出力は1ワットになる。100Wの電力セットポイントおよび1WのI_SenseV_Senseでは、U1のオペアンプのポジティブ入力が優勢であり、U1の出力(エラー信号140)をポジティブレールにする。1ボルトの電源出力112および5ボルトの電圧セットポイントでは、U3のオペアンプ入力が優勢であり、U3の出力(エラー信号144)をポジティブレールにする。1アンプの電源出力112および1Aの電流セットポイントでは、U2のオペアンプのポジティブおよびネガティブ入力は等しく、オペアンプ(エラー信号148)の出力は、ゼロよりも低い一つのダイオード電圧降下(ダイオードD2)である。その結果、信号122にてゼロボルトになる。なぜならば、最小エラー信号はエラー信号148であり、ダイオードD2(404b)は順方向バイアスである唯一のダイオードであり、それゆえ、電流エラー148は、コントローラ116に提供される。
【0042】
ここに記載されたものについての変更、修正、および他の実施は、請求される本発明の趣旨および範囲から逸れることなく、当業者によってなされる。従って、本発明は、例示的な記載によって限定されるものではなく、その代わり、請求項の趣旨および範囲によって限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施する、電源の動作を制御するシステムのブロック図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態に従う、電源の動作を制御する方法のフロー図である。
【図3】本発明に従う、電源を制御するシステムを用いた、電源動作領域のグラフ図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態に従う、アナログ回路を用いて電源の動作を制御するシステムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の動作を制御する方法であって、該方法は、
(a)電源の動作に関連する複数のエラー信号を受信することと、
(b)どの該エラー信号が少なくとも一つの選択基準を満たすのかを決定することと、
(c)該少なくとも一つの選択基準を満たす該エラー信号に基づいて、コントローラのための特性を決定することと、
(d)該コントローラを用いて、該電源の該動作を制御することと
を包含する、方法。
【請求項2】
ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)を繰り返す、ステップ(e)を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラー信号が、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンスからなる群から選択される電源動作パラメータに、それぞれ基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エラー信号を規格化することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エラー信号が、電源動作パラメータによって規格化される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電源動作パラメータが、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンスの群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記エラー信号が、前記コントローラを安定させるように規格化される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラが、比例積分微分、比例積分、比例微分、状態空間、ファジー論理からなる群から選択された制御アルゴリズムをインプリメントする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エラー信号における変化を最小にすることを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
最小エラー信号が前記選択基準を満たす、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
最大エラー信号が前記選択基準を満たす、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
どの前記エラー信号が前記選択基準を満たすのかを決定することが、アナログ回路およびデジタル信号プロセッサのうちの少なくとも一つによってインプリメントされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
どのエラー信号が前記選択基準を満たすのかを決定するために、前記複数のエラー信号を継続的に監視することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
エラー信号のうちの一つが特定の閾値を超える場合、前記電源のうちの少なくとも一つの動作パラメータの値を下げることを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記動作パラメータが、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンスからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記電源を用いて、電力を複素インピーダンス負荷に供給することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記複素インピーダンス負荷が電力変換器である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複素インピーダンス負荷がプラズマチャンバである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記電源が、DC電源、RF電源、およびマイクロ波電源からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
電源の動作を制御する方法であって、該方法は、
(a)第1の電気的パラメータの計測された値と、該第1の電気的パラメータの特定の値とを比較することによって、電源の動作に関連する第1のエラー信号を決定することと、
(b)第2の電気的パラメータの計測された値と、該第2の電気的パラメータの特定の値とを比較することによって、該電源の動作に関連する第2のエラー信号を決定することと、
(c)どの該エラー信号が選択基準を満たすのかを識別することと、
(d)該選択基準を満たす該エラー信号に基づいて、コントローラのための特性を決定することと
を包含する、方法。
【請求項21】
(a)電源と、
(b)該電源の動作を調整するために、コマンド信号を出力するコントローラであって、該コントローラは少なくとも一つのエラー信号に基づいて、該コマンド信号を決定し、該少なくとも一つのエラー信号は選択基準に基づいて、複数のエラー信号から選択される、コントローラと
を備える、システム。
【請求項22】
前記コントローラが、アナログ回路およびデジタル信号プロセッサのうちの少なくとも一つを用いてインプリメントされる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラが、前記電源の少なくとも一つの動作パラメータを調整する、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも一つの動作パラメータが、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンスからなる群から選択される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記電源が、電力を複素インピーダンス負荷に供給する、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記複素インピーダンス負荷が電力変換器である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記複素インピーダンス負荷がプラズマチャンバである、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記電源が、DC電源、RF電源、およびマイクロ波電源からなる群から選択される、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラが、前記エラー信号における変化を最小にする、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記コントローラが前記エラー信号を規格化する、請求項21に記載のシステム。
【請求項31】
前記コントローラが、電源動作パラメータを用いてエラー信号を規格化する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記電源動作パラメータが、電圧、電流、電力、抵抗、およびコンダクタンスからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記エラー信号を規格化することが、前記コントローラを安定させる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
(a)電源と、
(b)複数のエラー信号のうちのどれが選択基準を満たすのかを決定する手段と、
(c)該選択基準を満たす該エラー信号に基づいて、コントローラのための特性を決定する手段と、
(d)該コントローラを用いて、該電源の動作を制御する手段と
を備えるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503097(P2007−503097A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523985(P2006−523985)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026685
【国際公開番号】WO2005/020414
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED