説明

多光軸光電センサ

【課題】表示素子を有する多光軸光電センサの小型化を図る。
【解決手段】多光軸光電センサは、対向配置される投光器10及び受光器20を有する。受光器20は、複数の受光素子22a〜22lと、複数の表示灯31a〜31dと、受光用シフトレジスタ26a〜26cと、投受光駆動信号SI0と表示駆動信号SIa〜SIdとクロック信号SCとを出力する受光制御回路23と、クロック信号SCを受光用シフトレジスタ26a〜26cとに入力するためのクロック信号線28bと、駆動信号SI0,SIa〜SIdを受光用シフトレジスタ26a〜26cに入力するための駆動信号線27aとを備える。表示灯31a〜31dが接続される表示用シフトレジスタ33は、クロック信号線28b及び駆動信号線27aに分岐接続される。受光制御回路23は、受光素子22a〜22lに表示駆動信号SIa〜SIdが転送されるタイミングでの受光信号S1〜S3を無効化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多光軸光電センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多光軸光電センサは、複数の投光素子が一列に配列される投光器と、複数の受光素子が一列に配列される受光器とを備えている。投光器と受光器とは、各投光素子に各受光素子が対向するようにして配置される。
【0003】
投光器では、投光器の一端側に設けられ投光器を制御するための投光制御回路と、複数の投光素子がスイッチ素子を介して接続されるシフトレジスタとが信号線により接続されている。投光制御回路は、投光素子をオンさせるための駆動信号と、駆動信号を転送するためのクロック信号とを出力する。シフトレジスタは、このクロック信号に基づいて駆動信号を順次転送し、各投光素子は、シフトレジスタによって駆動信号が転送されるタイミングでオンする。
【0004】
受光器では、受光器の一端側に設けられ受光器を制御するための受光制御回路とシフトレジスタとが接続され、シフトレジスタには複数の受光素子がスイッチ素子を介して接続されている。受光制御回路は、受光器を投光器に同期させるクロック信号と、受光素子に接続されているスイッチ素子をオンさせるための駆動信号とを出力する。シフトレジスタは、このクロック信号に基づいて駆動信号を順次転送し、各受光素子に接続されるスイッチ素子は、シフトレジスタによって駆動信号が転送されるタイミングでオンする。オン状態のスイッチ素子に対応する受光素子が投光素子からの光を受光することにより、受光制御回路には受光信号が入力される(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、多光軸光電センサには、投光器や受光器に複数の表示灯が設けられるものがある(例えば、特許文献2)。例えば、受光器には表示灯用のシフトレジスタが設けられ、このシフトレジスタは、クロック信号と駆動信号を送るための2本の信号線を介して受光制御回路と接続される。受光制御回路は、表示灯の点灯及び消灯を決定する駆動信号と、この駆動信号をシフトレジスタにより伝達するためのクロック信号を出力する。こうした表示灯は、例えば多光軸光電センサの駆動状態や、受光信号に基づく検出エリア内での物体の検出結果等をセンサの使用者に報知するために点灯及び消灯が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−116217号公報
【特許文献2】特開2008−277163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多光軸光電センサでは、作業者が表示灯を見やすいように、表示灯を受光器における受光素子の配列方向の中央部や、投光器における投光素子の配列方向の中央部に設ける場合がある。この場合、表示灯に接続される表示灯用シフトレジスタも、投光器又は受光器の中央部に設けられる。そのため、表示灯の点灯及び消灯を制御する制御信号を送るための2本の信号線を、受光器又は投光器の一端側に設けられる制御回路から中央部に設けられる表示灯用シフトレジスタまで延設する必要があり、これらの長い信号線2本を収容するスペースが必要となる。このような信号配線は、表示灯が設けられる受光器又は投光器の小型化を妨げる。
【0008】
なお、こうした問題は、制御回路と表示灯用のシフトレジスタとの距離が遠い場合には特に顕著となるが、制御回路と表示灯用のシフトレジスタとの距離が近い場合であっても、制御回路と表示灯用のシフトレジスタとを2本の信号線で接続する場合には、これらの信号線を収容するスペースが必要となるため、受光器又は投光器の小型化の妨げとなる。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示素子を有する多光軸光電センサの小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、対向配置される投光器及び受光器を有し、前記投光器及び受光器の少なくとも一方が、複数の光電素子と、複数の表示素子と、前記複数の光電素子に接続される光電用シフトレジスタと、前記光電素子及び前記表示素子を制御する駆動信号と同駆動信号を転送するためのクロック信号とを出力する制御手段と、前記クロック信号を前記光電用シフトレジスタに入力するためのクロック信号線と、前記駆動信号を前記光電用シフトレジスタに入力するための駆動信号線とを備える多光軸光電センサであって、前記クロック信号線及び前記駆動信号線から分岐するように接続されるとともに、前記複数の表示素子が接続される表示用シフトレジスタとを備え、
前記制御手段は、前記複数の光電素子を駆動する光電駆動信号に続いて前記複数の表示素子を駆動する表示駆動信号を出力するとともに、前記光電駆動信号及び前記表示駆動信号が前記光電素子に転送されるタイミングで同光電素子による出力信号が入力され、前記光電素子に前記表示駆動信号が転送されるタイミングでの前記出力信号を無効化することを要旨とする。
【0011】
上記構成では、制御手段が出力した表示駆動信号が、光電用シフトレジスタから分岐して表示用シフトレジスタに転送される。したがって、表示用シフトレジスタにクロック信号及び表示駆動信号を入力するための2本の信号線は、光電用シフトレジスタに接続されるクロック信号線及び駆動信号線に接続されている。これにより、表示用シフトレジスタにクロック信号及び表示駆動信号を送るための2本の信号線を、制御手段から表示用シフトレジスタまでに延設する必要がない。
【0012】
また、上記構成では、表示駆動信号は、光電用シフトレジスタによって転送されるため、本来は光電素子を動作させるための信号ではないにも拘わらず、制御手段には、表示駆動信号が転送されるタイミングで光電素子の出力信号が入力される。上記構成では、制御手段が、この信号を無効化することができるため、光電駆動信号に対応した出力信号にのみ基づいて各種の制御を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記表示用シフトレジスタと前記表示素子との間に接続されて前記表示用シフトレジスタにより転送される信号を保持するとともに、前記表示用シフトレジスタに前記表示駆動信号が転送されたタイミングで前記制御手段が出力するトリガ信号が入力されるラッチ回路を備えることを要旨とする。
【0014】
上記構成では、表示素子は、表示駆動信号によって動作状態が制御され、この動作状態を保持することができる。なお、この構成では制御手段とラッチ回路とを接続する信号線は必要となるが、制御手段と表示用シフトレジスタとを接続する2本の信号線を設ける必要がないため、表示素子の制御のために制御手段から表示用シフトレジスタに延設される信号線を1本削減することができる。したがって、表示素子が設けられる投光器又は受光器の小型化を図ることがでる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、前記制御手段は、前記光電駆動信号を出力してから前記表示駆動信号を出力するまでの間に、前記複数の光電素子の総数に応じた光電用のクロック信号を出力し、前記表示駆動信号を出力してから前記光電駆動信号を出力するまでの間に、前記表示素子の個数に応じた表示用のクロック信号と、前記クロック信号線における前記表示用シフトレジスタの分岐点よりも前記駆動信号の伝送方向の上流に存在する前記光電素子の個数に応じたオフセット用のクロック信号とを出力し、最後の前記オフセット用のクロック信号の出力後に前記トリガ信号を出力することを要旨とする。
【0016】
表示駆動信号を表示素子に到達させるためには、表示駆動信号が出力された後に出力されるクロック信号によって、表示用シフトレジスタの分岐点よりも駆動信号の伝送方向の上流に存在する光電素子に接続される光電用シフトレジスタ及び表示用シフトレジスタを通じて表示駆動信号を転送する必要がある。上記構成では、表示駆動信号の出力後に、表示用のクロック信号とオフセット用のクロック信号とが出力されるため、最後のオフセット用のクロック信号が出力されると各表示素子に対して対応する表示駆動信号が到達する。制御手段は、このタイミングでトリガ信号を出力するため、各表示素子が対応する表示駆動信号によって動作状態を保持することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の多光軸光電センサにおいて、前記制御手段は、前記表示駆動信号を出力してから前記光電駆動信号を出力するまでの間に、前記表示用のクロック信号と前記オフセット用のクロック信号と前記光電用シフトレジスタに残存した前記表示駆動信号を排出するための排出用のクロック信号とを出力することを要旨とする。
【0018】
表示駆動信号を出力した後に、表示用のクロック信号とオフセット用のクロック信号のみが出力された状態では、光電用シフトレジスタに表示駆動信号が未だ残存している。上記構成では、排出用のクロック信号が出力されるため、次回に出力される光電駆動信号が光電用シフトレジスタによって転送されるときに、光電用シフトレジスタに表示駆動信号が残存していることがない。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の多光軸光電センサにおいて、 前記排出用のクロック信号の出力数は、前記光電用のクロック信号の出力数から前記オフセット用のクロック信号の出力数を減算した値に設定されることを要旨とする。
【0020】
表示駆動信号を出力した後に、表示用のクロック信号とオフセット用のクロック信号とが出力された状態では、表示駆動信号のうち最後に出力される信号が、光電用シフトレジスタにおいて、表示用シフトレジスタの分岐点よりも駆動信号の伝送方向の上流に存在する光電素子に対応する位置を通過したに過ぎず、それよりも駆動信号の伝送方向の下流に存在する光電素子に対応する位置には未だ残存している。したがって、表示駆動信号を光電用シフトレジスタから排出するには、この部位よりも下流側に存在する光電素子の個数に対応したクロック信号を出力する必要がある。上記構成では、この光電素子の個数に対応したクロック信号が、排出用のクロック信号として出力されるため、光電用シフトレジスタに残存している表示駆動信号を排出するための排出用のクロック信号を過不足なく出力することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記制御手段は、前記光電用シフトレジスタにおける信号の伝送方向における下流端と駆動信号戻り線により接続されており、前記光電駆動信号を出力してから同光電駆動信号が前記駆動信号戻り線を通じて入力されるまでに出力する前記クロック信号の出力数に基づいて、前記複数の光電素子の総数を検出することを要旨とする。
【0022】
上記構成によれば、多光軸光電センサの組み立て時に、投光器及び受光器に設けられる光電素子の数が任意に設定される場合など、制御手段に予め光電素子の総数が入力設定されていない場合であっても、制御手段は、光電素子の総数を検出することができる。したがって、制御手段は、検出された光電素子の総数に基づいて、駆動信号の伝送方向において表示用シフトレジスタの分岐点よりも上流側に存在する光電素子の個数及び、それ以降に存在する光電素子の個数を把握することができる。これにより、請求項3のオフセット用のクロック信号の出力数、請求項5の排出用のクロック信号の出力数を容易に設定することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記投光器及び受光器の前記少なくとも一方が、複数のユニットから構成されており、前記制御手段と、前記表示素子及び前記表示用シフトレジスタとは異なるユニットに収容されていることを要旨とする。
【0024】
上記構成において、ユニットとは、1つのケーシングに収容されているものや、1つの基板に形成される回路を示す。制御回路と表示用シフトレスタとが異なるユニットに収容されている場合、制御回路と表示用シフトレスタとをクロック信号及び駆動信号を伝送するための2本の信号線で接続するといった従来の態様を採用すると、これらの配線が各ユニット間を跨ぐことになるため、その配線処理が必要となる。この点、請求項1に記載の構成により、制御回路と表示用シフトレジスタとを接続する2本の信号線が不要であるため、制御回路とシフトレジスタとが異なるユニットに収容される場合でも、配線処理が不要となる。したがって、上記構成では、2本の信号線を削減することによる効果をより顕著に発揮することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記複数の表示素子は、前記投光器及び前記受光器の前記少なくとも一方における前記複数の光電素子の配列方向の中央部に設けられることを要旨とする。
【0026】
この構成では、表示素子を多光軸光電センサの使用者にとって見やすい位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、表示素子の動作状態を制御するために制御手段と表示灯用のシフトレジスタとを接続する信号線を削減することができるため、多光軸光電センサの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態にかかる多光軸光電センサを示す斜視図。
【図2】実施形態の多光軸光電センサの電気回路図。
【図3】(a)及び(b)は投光制御回路及び受光制御回路の出力信号を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る多光軸光電センサは、投光器10及び受光器20を備えている。投光器10及び受光器20は、互いに対向配置されるとともに同期線L1を介して接続されている。
【0030】
投光器10は、基本投光ユニット11aと複数(本実施形態では2個)の増設投光ユニット11b,11cとを備えている。投光器10では、1つのケーシングにこれらの各投光ユニット11a〜11cが収容されている。各投光ユニット11a〜11cは、略直方体状の同じ形状に形成されている。投光器10では、基本投光ユニット11a、第1増設投光ユニット11b及び第2増設投光ユニット11cの順に接続されている。すなわち、各投光ユニット11a〜11cは一列状に配列されている。基本投光ユニット11aの下端部には同期線L1が接続されている。
【0031】
各投光ユニット11a〜11cには、投光素子12a〜12lが複数個(本実施形態では4個)設けられており、投光器10では、ケーシングから各投光素子12a〜12lが露出している。投光素子12a〜12lは、発光ダイオード(LED)で構成されている。各投光ユニット11a〜11cでは、投光素子12a〜12lが長手方向(投光ユニット11a〜11cの配列方向であって図1の上下方向)に一定の間隔で設けられている。投光器10では、各投光ユニット11a〜11cが互いに接続されることにより、12個の投光素子12a〜12lが一列状に配列されている。
【0032】
また、各投光ユニット11a〜11c同士の接続部には電気接続部(図示略)が設けられており、各投光ユニット11a〜11cが直列に接続された状態で隣接する投光ユニット11a〜11c同士が電気的に接続されている。
【0033】
受光器20は、基本受光ユニット21aと複数(本実施形態では2個)の増設受光ユニット21b,21cとを備えている。受光器20では、1つのケーシングにこれらの各受光ユニット21a〜21cが収容されている。各受光ユニット21a〜21cは、略直方体状の同じ形状に形成されている。受光器20では、基本受光ユニット21a、第1増設受光ユニット21b及び第2増設受光ユニット21cの順に接続されている。すなわち、各受光ユニット21a〜21cは一列状に配列されている。基本受光ユニット21aの下端部には同期線L1が接続されている。すなわち、投光器10の基本投光ユニット11aと受光器20の基本受光ユニット21aとは、同期線L1により接続されている。
【0034】
各受光ユニット21a〜21cには、受光素子22a〜22lが複数個(本実施形態では4個)設けられており、受光器20では、ケーシングから各受光素子22a〜22l及び後述する表示灯31a〜31dが露出している。本実施形態では、受光素子22a〜22lと後述するスイッチ素子25a〜25l(図2)とが、光電素子を構成する。受光素子22a〜22lは、フォトダイオード(PD)で構成されている。各受光ユニット21a〜21cでは、受光素子22a〜22lが長手方向(受光ユニット21a〜21cの配列方向であって図1の上下方向)に一定の間隔で設けられている。この間隔は、各投光ユニット11a〜11cにおいて投光素子12a〜12lが配列される間隔と同じである。受光器20では、各受光ユニット21a〜21cが互いに接続されることにより、12個の受光素子22a〜22lに対向して一列状に配列される。
【0035】
また、各受光ユニット21a〜21c同士の接続部には、投光器10と同様、電気接続部(図示略)が設けられており、各受光ユニット21a〜21cが直列に接続された状態で隣接する受光ユニット21a〜21c同士が電気的に接続される。
【0036】
受光器20を構成する各受光ユニット21a〜21cのうち中央部に位置する第1増設受光ユニット21bには、表示素子である複数(本実施形態では4個)の表示灯31a〜31dが設けられている。すなわち、表示灯31a〜31dは、受光器20の中央部に設けられている。表示灯31a〜31dは、発光ダイオード(LED)で構成されている。表示灯31a〜31dは、図1の下側から順に第1表示灯31a、第2表示灯31b、第3表示灯31c及び第4表示灯31dで構成される。第1〜第3の各表示灯31a〜31cは、赤色発光ダイオードで構成され、第4表示灯31dは、緑色発光ダイオードで構成される。
【0037】
投光器10の基本投光ユニット11aは、投光素子12a〜12lを所定の順序(本実施形態では下端側から上端側)で順次駆動するための制御信号を生成する。これにより、投光器10の各投光素子12a〜12lから所定の順序で投光がなされる。
【0038】
受光器20の基本受光ユニット21aは、受光素子22a〜22lを投光器10の投光素子12a〜12lの投光タイミングと同期して所定の順序で順次選択するための制御信号を生成する。選択された受光素子22a〜22lは投光素子12a〜12lが投光する光を受光する。これにより、投光器10と受光器20との間に下端側からの順次時分割の投光に基づく12本の光軸Lが形成され、検出エリアが設定される。選択された受光素子22a〜22lが光を受光すると出力信号としての受光信号S1〜S3(図2参照)が出力される。
【0039】
受光器20の表示灯31a〜31dは、受光信号S1〜S3に基づいて点灯及び消灯が制御される。具体的には、第1表示灯31aは、基本受光ユニット21aの受光素子22a〜22dによる受光信号S1に基づいて検出エリア内で物体が検出されることを条件に点灯する。第2表示灯31bは、第1増設受光ユニット21bの受光素子22e〜22hによる受光信号S2に基づいて検出エリア内で物体が検出されることを条件に点灯する。第3表示灯31cは、第2増設受光ユニット21cの受光素子22i〜22lによる受光信号S3に基づいて検出エリア内で物体が検出されることを条件に点灯する。第4表示灯31dは、何れの受光信号S1〜S3も検出エリア内での物体の検出を示さないことを条件に点灯する。
【0040】
次に、多光軸光電センサの電気的構成について説明する。
図2に示すように、投光器10の基本投光ユニット11aは、投光制御回路13、投光回路14a及び4つの投光素子12a〜12dを備えている。投光制御回路13は、CPU、ROM、RAM等よりなり、投光器10を制御する。投光制御回路13には、同期信号SPの入力時から一定周期でカウントする内部カウンタ(図示略)が設けられている。投光回路14aと投光制御回路13とは、駆動信号線17a及びクロック信号線18により接続されている。投光回路14aには、基本投光ユニット11aの4つの投光素子12a〜12dに接続される1つのシフトレジスタ(図示略)が設けられている。
【0041】
第1増設投光ユニット11bは、投光回路14b及び4つの投光素子12e〜12hを備えている。第1増設投光ユニット11bの投光回路14bと基本投光ユニット11aの投光回路14aとは、駆動信号線17a及びクロック信号線18により接続されている。投光回路14bには、第1増設投光ユニット11bの4つの投光素子12e〜12hに接続される1つのシフトレジスタ(図示略)が設けられている。
【0042】
第2増設投光ユニット11cは、第1増設投光ユニット11bと同様の構成であり、投光回路14c及び4つの投光素子12i〜12lを備えている。第2増設投光ユニット11cの投光回路14cと第1増設投光ユニット11bの投光回路14bとは、駆動信号線17a及びクロック信号線18により接続されている。また、第2増設投光ユニット11cの投光回路14cは、基本投光ユニット11aの投光制御回路13に駆動信号戻り線17bを介して接続されている。投光回路14cには、第2増設投光ユニット11cの4つの投光素子12i〜12lに接続される1つのシフトレジスタ(図示略)が設けられている。
【0043】
受光器20の基本受光ユニット21aは、制御手段としての受光制御回路23、受光回路24a及び4つの受光素子22a〜22dを備えている。受光制御回路23はCPU、ROM、RAM等よりなり、受光器20を制御する。また、受光制御回路23は、同期信号SPを投光器10に出力する。受光制御回路23には、同期信号SPの出力時から投光制御回路13の内部カウンタと同じ周期でカウントする内部カウンタ(図示略)が設けられている。受光回路24aと受光制御回路23とは、駆動信号線27a及びクロック信号線28aにより接続されている。受光回路24aには、基本受光ユニット21aの4つの受光素子22a〜22dのそれぞれに接続される4つのスイッチ素子25a〜25dと、それらスイッチ素子25a〜25dに接続される受光用シフトレジスタ26aとが設けられている。
【0044】
第1増設受光ユニット21bは、受光回路24b及び4つの受光素子22e〜22hを備えている。第1増設受光ユニット21bの受光回路24bと基本受光ユニット21aの受光回路24aとは、駆動信号線27a及びクロック信号線28aにより接続されている。受光回路24bには、第1増設受光ユニット21bに設けられた4つの受光素子22e〜22hのそれぞれに接続される4つのスイッチ素子25e〜25hとそれらスイッチ素子25e〜25hに接続される1つの受光用シフトレジスタ26bとが設けられている。
【0045】
さらに、第1増設受光ユニット21bは、表示回路32と4つの表示灯31a〜31dとを備えている。表示回路32は、表示用シフトレジスタ33とラッチ回路34とを備えている。表示用シフトレジスタ33は、第1増設受光ユニット21b内において、駆動信号線27aに駆動分岐線27cを介して接続されるとともに、クロック信号線28aにクロック分岐線28bを介して接続されている。詳細には、駆動分岐線27cは、駆動信号線27aにおける基本受光ユニット21aの受光用シフトレジスタ26aと第1増設受光ユニット21bの受光用シフトレジスタ26bとの間の部位に接続されている。クロック分岐線28bは、クロック信号線28aにおける基本受光ユニット21aの受光用シフトレジスタ26aと第1増設受光ユニット21bの受光用シフトレジスタ26bとの間の部位に接続されている。また、ラッチ回路34は、基本受光ユニット21aの受光制御回路23と、トリガ信号線35により接続されている。4つの表示灯31a〜31dのそれぞれは、図示しない4つのドライバを介してラッチ回路34に接続されており、ラッチ回路34は表示用シフトレジスタ33に接続されている。
【0046】
第2増設受光ユニット21cは、第1増設受光ユニット21bと同様、受光回路24c及び4つの受光素子22i〜22lを備えている。第2増設受光ユニット21cの受光回路24cと第1増設受光ユニット21bの受光回路24bとは、駆動信号線27a及びクロック信号線28aにより接続されている。第2増設受光ユニット21cの受光用シフトレジスタ26cと基本受光ユニット21aの受光制御回路23は、駆動信号戻り線27bにより接続されている。受光回路24cには、第2増設受光ユニット21cに設けられた4つの受光素子22i〜22lのそれぞれに接続される4つのスイッチ素子25i〜25lとそれらスイッチ素子25i〜25lに接続される1つの受光用シフトレジスタ26cとが設けられている。また、受光器20では、各スイッチ素子25a〜25lが、受光信号線29a及びコンパレータ29bを介して受光制御回路23に接続されている。なお、各受光用シフトレジスタ26a〜26cが光電用シフトレジスタを構成している。
【0047】
本実施形態では、投光器10の投光制御回路13及び受光器20の受光制御回路23に、こうした電気的な回路構成の情報が予め入力設定されており、投光制御回路13及び受光制御回路23は、これらの回路構成に基づいて投光器10及び受光器20を以下のように制御する。以下、投光制御回路13及び受光制御回路23の制御と投光器10及び受光器20の動作について、図2及び図3を参照して説明する。図3(a)は投光制御回路13が出力する駆動信号SI及びクロック信号SC、(b)は受光制御回路23が出力する駆動信号SI、クロック信号SC及びトリガ信号STを示すタイミングチャートである。
【0048】
まず、投光器10では、基本投光ユニット11aの投光制御回路13に、受光器20の受光制御回路23が出力した同期信号SPが入力される。投光制御回路13は、同期信号SPが入力されると、内部カウンタに基づいて、図3(a)に示すように、投光素子12a〜12dをオンさせるための光電用駆動信号である投受光駆動信号SI0を駆動信号線17aに出力するとともに、投光器10及び受光器20を同期させるためのクロック信号SCをクロック信号線18に出力する。これにより、図2に示すように、基本投光ユニット11aの投光回路14aでは、そのシフトレジスタがクロック信号SCに基づいて作動し、投受光駆動信号SI0を順次転送し、投受光駆動信号SI1を出力する。そして、投光回路14aは、そのシフトレジスタが投受光駆動信号SI0を転送するタイミングで投光素子12a〜12dを駆動する。これにより、各投光素子12a〜12dから順次に光が出射される。
【0049】
第1増設投光ユニット11bの投光回路14bは、そのシフトレジスタが投光制御回路13から出力されるクロック信号SCに基づいて作動し、基本投光ユニット11aの投光回路14aから出力された投受光駆動信号SI1を順次転送し、投受光駆動信号SI2を出力する。そして、投光回路14bは、そのシフトレジスタが投受光駆動信号SI1を転送するタイミングで投光素子12e〜12hを駆動する。れにより、各投光素子12e〜12hから順次に光が出射される。
【0050】
第2増設投光ユニット11cの投光回路14cは、そのシフトレジスタが投光制御回路13から出力されるクロック信号SCに基づいて作動し、第1増設投光ユニット11bの投光回路14cから出力された投受光駆動信号SI2を順次転送し、投受光駆動信号SI3を出力する。そして、投光回路14cは、そのシフトレジスタが投受光駆動信号SI2を転送するタイミングで投光素子12i〜12lを駆動する。これにより、各投光素子12i〜12lから順次に光が出射される。
【0051】
したがって、投光器10の下端側の投光素子12aから上端側の投光素子12lへと順次に投受光駆動信号SI0〜SI2が転送され、クロック信号SCに基づくタイミングで光が投光(出射)される。本実施形態では、投光器10に12個の投光素子12a〜12lが設けられるため、投光制御回路13は、投受光駆動信号SI0を出力するとともに、これらの投光素子12a〜12lの総数に対応した数(本実施形態では12個)のパルスを出力することにより、全ての投光素子12a〜12lを順次駆動させることができる。すなわち、図3(a)の期間Aに出力される12個のパルスは、光電用のクロック信号としての投受光用のクロック信号SCを示している。
【0052】
基本投光ユニット11aの投光制御回路13には、駆動信号戻り線17bを通じて、第2増設投光ユニット11cから出力される投受光駆動信号SI3が入力される。投光制御回路13は投受光駆動信号SI3が入力されることにより、上端側の投光素子12lの投光が終了した旨を検出する。
【0053】
一方、受光器20では、基本受光ユニット21aの受光制御回路23が、同期信号SPを出力すると、内部カウンタに基づいて、図3(b)に示すように、各受光素子22a〜22lに接続されるスイッチ素子25a〜25lをオンさせるための光電用駆動信号である投受光駆動信号SI0を駆動信号線27aに出力するとともに、投光器10と同期するように生成されたクロック信号SCをクロック信号線28aに出力する。これにより、基本受光ユニット21aの受光用シフトレジスタ26aは、そのクロック信号SCに基づいて作動し、投受光駆動信号SI0を順次転送し、投受光駆動信号SI1を出力する。受光用シフトレジスタ26aは、投受光駆動信号SI0の転送タイミングにてスイッチ素子25a〜25dをオンさせ受光素子22a〜22dが受光した入射光に応じたレベルの出力信号(アナログ信号)を受光信号線29aに出力させる。こうして受光信号線29aに出力された信号が、コンパレータ29bを通じて受光信号S1として受光制御回路23に入力され、基本受光ユニット21aの受光制御回路23は、受光信号S1に基づいて、検出エリアに物体が存在するか否かを検出する。
【0054】
第1増設受光ユニット21bの受光用シフトレジスタ26bは、受光制御回路23から出力されるクロック信号SCに基づいて作動し、基本受光ユニット21aの受光用シフトレジスタ26aが出力した投受光駆動信号SI1を順次転送し、投受光駆動信号SI2を出力する。そして、受光用シフトレジスタ26bは、投受光駆動信号SI1の転送タイミングにてスイッチ素子25e〜25hをオンさせ受光素子22e〜22hが受光した入射光に応じたレベルの出力信号(アナログ信号)を受光信号線29aに出力させる。こうして受光信号線29aに出力された信号が、コンパレータ29bを通じて受光信号S2として受光制御回路23に入力され、基本受光ユニット21aの受光制御回路23は、受光信号S2に基づいて、検出エリアに物体が存在するか否かを検出する。
【0055】
ここで、第1増設受光ユニット21bでは、駆動信号線27aに駆動分岐線27cが接続されており、クロック信号線28aにクロック分岐線28bが接続されている。そのため、基本受光ユニット21aの受光用シフトレジスタ26aが出力した投受光駆動信号SI1が表示用シフトレジスタ33によって順次転送される。具体的には、投受光駆動信号SI0の出力後に、5〜8個目のパルスがクロック信号SCとして出力される間に、表示用シフトレジスタ33では、第1表示灯31aに対応した位置から第4表示灯31dに対応した位置に投受光駆動信号SI0を順次転送させる。しかしながら、このときには、図3(b)に示すように、受光制御回路23はトリガ信号線35にトリガ信号STを出力しない。したがって、表示用シフトレジスタ33が投受光駆動信号SI0を転送する場合でも、この投受光駆動信号SI0によって、各表示灯31a〜31dが点灯又は消灯制御されることはない。
【0056】
第2増設受光ユニット21cの受光用シフトレジスタ26cは、受光制御回路23から出力されるクロック信号SCに基づいて作動し、第1増設受光ユニット21bの受光用シフトレジスタ26bが出力した投受光駆動信号SI2を順次転送し、投受光駆動信号SI3を出力する。そして、受光用シフトレジスタ26cは、投受光駆動信号SI2の転送タイミングにてスイッチ素子25i〜25lをオンさせ受光素子22i〜22lが受光した入射光に応じたレベルの出力信号(アナログ信号)を受光信号線29aに出力させる。こうして受光信号線29aに出力された信号が、コンパレータ29bを通じて受光信号S3として受光制御回路23に入力され、基本受光ユニット21aの受光制御回路23は、受光信号S3に基づいて、検出エリアに物体が存在するか否かを検出する。
【0057】
以上のようにして、受光器20の下端側の受光素子22aから上端側の受光素子22lへと順次にクロック信号SCに同期して投受光駆動信号SI0〜SI2が伝達される。また、受光器20においても、図3(b)の期間Aに出力される12個のパルス(光電用のクロック信号としての投受光用のクロック信号SC)により、全ての受光素子22a〜22lを順次駆動させることができる。そして、各受光素子22a〜22lに接続されるスイッチ素子25a〜25lがオンされるタイミングで、対応する受光素子22a〜22lが受光した入射光に応じた出力信号が同受光素子22a〜22lから受光信号線29aに出力される。
【0058】
受光信号S1〜S3に基づく検出エリア内での物体の検出は、以下のようにして行われる。すなわち、各受光素子22a〜22lによる出力信号(アナログ信号)が、コンパレータ29bに入力され、コンパレータ29bに所定の閾値以上のレベルの出力信号が入力されている間、ハイレベルの受光信号S1〜S3が受光制御回路23に順次入力される。この場合、受光制御回路23は、受光素子22a〜22lが受光した入射光の光量が多いため、投光素子12a〜12lと受光素子22a〜22lとの間に投光素子12a〜12lが出射した光を遮るもの存在していない、すなわち、物体が存在していない旨を検出する。一方、コンパレータ29bに所定の閾値未満のレベルの出力信号が入力されている間、ローレベルの受光信号S1〜S3が受光制御回路23に順次入力される。この場合、受光制御回路23は、受光素子22a〜22lが受光した入射光の光量が少ないため、投光素子12a〜12lと受光素子22a〜22lとの間に投光素子12a〜12lが出射した光を遮るものが存在している、すなわち、物体が存在している旨を検出する。
【0059】
また、受光制御回路23には、駆動信号戻り線27bを通じて、第2増設受光ユニット21cから出力される投受光駆動信号SI3が入力される。受光制御回路23は投受光駆動信号SI3が入力されることにより、上端側の受光素子22lから受光信号線29aへの出力信号の出力が終了した旨を検出する。受光ユニット21aの受光制御回路23は、駆動信号SI3が入力されると、受光信号S1〜S3に基づく検出結果に応じた表示駆動信号SIa〜SIdを駆動信号線27aに出力する。
【0060】
表示駆動信号SIa〜SIdは、以下のようにして決定される。例えば、基本受光ユニット21aの受光素子22a〜22dの出力信号に基づく受光信号S1と、第2増設受光ユニット21cの受光素子22i〜22lの出力信号に基づく受光信号S3とがハイレベルであり、第1増設受光ユニット21bの受光素子22e〜22hの出力信号に基づく受光信号S2とがローレベルであったとする。この場合、受光制御回路23は、第1表示灯31aと第3表示灯31cとを点灯させ、第2表示灯31bと第4表示灯31dとを消灯させるための表示駆動信号SIa〜SIdを出力する。
【0061】
具体的には、受光制御回路23は、図3(b)に示すように、駆動信号線27aに第4表示灯31dを消灯させる表示駆動信号SId「0」、第3表示灯31cを点灯させる表示駆動信号SIc「1」、第2表示灯31bを点灯させる表示駆動信号SIb「0」、第1表示灯31aを点灯させる表示駆動信号SIa「1」を、駆動信号線27a順次出力する。また、受光制御回路23は、表示駆動信号SIa〜SIdを表示用シフトレジスタ33に転送するためのクロック信号SCをクロック信号線28aに出力する。表示駆動信号SIa〜SIdを、表示用シフトレジスタ33の各表示灯31a〜31dに対応する位置まで転送するには、表示灯31a〜31dの個数に対応した4個の表示用のパルスと、クロック分岐線28bまでに存在する受光素子22a〜22dの個数に対応する4個のオフセット用のパルスとを出力する必要がある。したがって、図3(b)に示すように、表示駆動信号SIa〜SIdの出力後に、期間Bに示す8個のパルスを出力する。このうち、期間B1に出力される4個のパルスが、表示用のクロック信号SCであり、期間B2に出力される4個のパルスが、オフセット用のクロック信号SCである。
【0062】
最後のオフセット用のクロック信号SCが出力されると、表示用シフトレジスタ33が、第1表示灯31aに「1」を、第2表示灯31bに「0」を、第3表示灯31cに「1」を、第4表示灯31dに「0」を転送している。したがって、各表示灯31a〜31dに対応する表示駆動信号SIa〜SIdが転送されたタイミングで、受光制御回路23が、図3(b)に示すように、トリガ信号線35にトリガ信号STを出力する。この信号STがラッチ回路34に入力されることにより、第1表示灯31a及び第3表示灯31cに接続されるドライバがオンするため、第1表示灯31a及び第3表示灯31cが点灯し、第2表示灯31b及び第4表示灯31dに接続されるドライバがオフするため、第2表示灯31b及び第4表示灯31dが消灯する。各表示灯31a〜31dは、ラッチ回路34に次回のトリガ信号が入力されるまでこの状態を保持する。
【0063】
こうして表示用シフトレジスタ33に表示駆動信号SIa〜SIdが転送されたタイミングでは、最後に出力される表示駆動信号SIdが、受光用シフトレジスタ26a,26bによってクロック分岐線28bの接続部よりも信号の伝送方向の直ぐ下流の受光素子22eに対応する位置にまで転送されている。したがって、受光用シフトレジスタ26bには、表示駆動信号SIa〜SIdが残存している。ここで、受光用シフトレジスタ26bに表示駆動信号SIa〜SIdが残存した状態で、投受光駆動信号SI0が出力されると、受光用シフトレジスタ26a〜26cが、表示駆動信号SIa〜SIdと投受光用駆動信号SI0〜SI2とを同時期に転送することとなる。この場合、表示駆動信号SIa〜SIdに基づく受光信号S2,S3と投受光駆動信号SI0に基づく受光信号S1,S2とが同時期に受光制御回路23に入力され、受光信号S1〜S3に基づく物体の検出が適切に行われないといった事態が生じうる。そこで、本実施形態では、受光制御回路23が、受光用シフトレジスタ26bに残存した表示駆動信号SIa〜SIdを、受光用シフトレジスタ26b及びその下流に存在する受光用シフトレジスタ26cから排除するための排出用のクロック信号SCを出力する。受光用シフトレジスタ26bに残存した表示駆動信号SIa〜SIdを排出するには、クロック分岐線28bよりも信号の伝送方向の下流に存在する受光素子22e〜22lの個数に対応した8個のクロック信号SCを出力する必要がある。換言すれば、投受光用のクロック信号SCの出力数(12個)からオフセット用のクロック信号SCの出力数(4個)を減算することにより設定される出力数のパルスを出力する必要がある。そこで、図3(b)の期間Cでは、12個のパルスを出力する。これにより、受光用シフトレジスタ26b,26cに残存している表示駆動信号SIa〜SIdを排出するための排出用のクロック信号SCを過不足なく出力することができる。
【0064】
なお、表示駆動信号SIa〜SIdは、表示用クロック信号SC、オフセット用のクロック信号SC、及び排出用のクロック信号SCの出力により受光用シフトレジスタ26a〜26cによって転送されるため、転送される表示駆動信号SIa〜SIdが「1」であれば、各スイッチ素子25a〜25lがオンする。したがって、スイッチ素子25a〜25lがオンしたタイミングで、対応する受光素子22a〜22lが受光した入射光の光量に対応する出力信号が受光信号線29aに出力され、受光制御回路23には受光信号S1〜S3が入力される。しかしながら、本実施形態では、受光制御回路23が、この受光信号S1〜S3を無効化する処理を行い、この受光信号S1〜S3を検出エリア内での物体の検出に用いることはない。すなわち、表示駆動信号SIa〜SIdが受光用シフトレジスタ26a〜26cによって転送されるときには、投光器10の投光素子12a〜12lは投光を行わないため、このときの受光信号S1〜S3は、検出エリア内での物体の有無に拘わらず、常にローレベルの信号となる。したがって、表示駆動信号SIa〜SIdによる受光信号S1〜S3を無効化することにより、検出エリア内での物体の誤検出を抑制することができる。なお、受光制御回路23は、投受光駆動信号SI0の出力時からのクロック信号SCの出力数をカウントすることにより、入力される受光信号S1〜S3が、投受光駆動信号SI0によるものであるか、表示駆動信号Sia〜SIdによるものであるかを判断することができる。
【0065】
排出用のクロック信号SCの出力による排出処理が行われた後は、受光器20の受光制御回路23が同期信号SPを再び出力し、この同期信号SPが投光器10の投光制御回路13に入力される。これにより、投光制御回路13が、投受光駆動信号SI0とクロック信号SCとを出力し、受光制御回路23が、投受光駆動信号SI0とクロック信号SCとを出力するとともに、受光信号S1〜S3に基づいた表示駆動信号SIa〜SIdを出力するといった上記の動作を繰り返し実行する。このようにして、投光器10及び受光器20による検出エリアの投受光動作と、表示灯31a〜31dによる検出エリアにおける物体の検出結果の表示を周期的に行うことができる。
【0066】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下の(1)〜(7)の作用効果を奏することができる。
(1)基本受光ユニット21aの受光制御回路23が、投受光駆動信号SI0に加え、表示灯31a〜31dを動作させるための表示駆動信号SIa〜SIdを駆動信号線27aに出力する。そして、増設受光ユニット21b内では、表示用シフトレジスタ33が、駆動信号線27aに駆動分岐線27cを介して接続されるとともにクロック信号線28aにクロック分岐線28bを介して接続されている。また、表示灯31a〜31dは、受光器20に設けられ、受光制御回路23には、受光素子22a〜22lに投受光駆動信号SI0及び表示駆動信号SIa〜SIdが転送されたタイミングで、受光素子22a〜22lの受光量に応じた受光信号S1〜S3が入力され、受光制御回路23は、表示駆動信号SIa〜SIdに対応する受光信号S1〜S3を無効化する。
【0067】
これにより、表示用シフトレジスタ33に、クロック信号SC及び表示駆動信号SIa〜SIdを送るために、受光制御回路23と表示用シフトレジスタ33とを直接接続する2本の信号線を設けることなく、表示駆動信号SIa〜SIdを表示用シフトレジスタ33に転送することができる。
【0068】
また、表示駆動信号SIa〜SIdが受光用シフトレジスタ26a〜26cで転送されると、受光素子22a〜22lに接続されるスイッチ素子25a〜25lがオンするものの、投光制御回路13は、表示駆動信号SIa〜SIdを出力しないため、このタイミングでは、投光素子12a〜12lからの投光が行われない。したがって、投光素子12a〜12lが投光を行わないときの受光信号S1〜S3が無効化することにより、物体の誤検出を抑制することができる。
【0069】
また、投受光駆動信号SI0に基づく受光信号S1〜S3のみに基づいて検出エリア内での物体の検出を行うことができるため、本来の物体の検出周期に応じて物体の検出を行うことができる。
【0070】
(2)また、表示用シフトレジスタ33と表示灯31a〜31dとの間に接続されるラッチ回路34は、受光制御回路23とトリガ信号線35で接続されており、表示用シフトレジスタ33に表示駆動信号SIa〜SIdが転送されたタイミングで受光制御回路23からトリガ信号STが出力される。
【0071】
これにより、受光制御回路23とラッチ回路34とを接続するトリガ信号線35は必要となるが、表示灯31a〜31dの制御のために受光制御回路23から表示用シフトレジスタ33に延設される信号線を1本削減することができる。したがって、受光器20の小型化を図ることができる。
【0072】
また、表示用シフトレジスタ33に表示駆動信号SIa〜SIdが転送されたタイミングでのみ、受光制御回路23からラッチ回路34にトリガ信号STが送られるため、表示灯31a〜31dは、表示駆動信号SIa〜SIdによってのみ動作状態が制御され、投受光駆動信号SI0よって動作状態が制御されることはない。したがって、表示用シフトレジスタ33に、投受光駆動信号SI0(SI1)が転送される場合でも、投受光駆動信号SI0によって表示灯31a〜31dが誤動作することを抑制することができる。
【0073】
(3)受光制御回路23は、表示駆動信号SIa〜SIdを出力してから投受光駆動信号SI0を出力するまでの間に、表示灯31a〜31dの個数に応じた4個の表示用のクロック信号SCと、クロック分岐線28bまでに存在する受光素子22a〜22dの個数に応じた4個のオフセット用のクロック信号SCとを出力する。そして、受光制御回路23が、最後のオフセット用のクロック信号SCが出力されるタイミングでトリガ信号STを出力する。各表示灯31a〜31dに対して対応する表示駆動信号SIa〜SIdに転送されたタイミングで、トリガ信号を出力されるため、各表示灯31a〜31dが対応する動作状態を保持することができる。
【0074】
(4)受光制御回路23は、表示駆動信号SIa〜SIdを出力してから投受光駆動信号SI0を出力するまでの間に、表示用のクロック信号SCと、オフセット用のクロック信号SCと、受光用シフトレジスタ26b、26cに残存した表示駆動信号SIa〜SIdを排出するための排出用のクロック信号SCとを出力する。したがって、次回の投受光駆動信号SI0が出力されるときに、受光用シフトレジスタ26a〜26cに表示駆動信号SIa〜SIdが残存していることがない。これにより、投受光駆動信号SI0に基づく受光信号S1,S2と、表示駆動信号SIa〜SIdに基づく受光信号S2,S3とが同時期に受光制御回路23に入力されることにより、受光信号S1〜S3に基づく物体の検出が適切に行われないといった事態が生じることを抑制することができる。
【0075】
(5)排出用のクロック信号SCの出力数は、投受光用のクロック信号SCの出力数12個からオフセット用のクロック信号SCの出力数4個を減算した値の8個に設定される。クロック信号線28aにおけるクロック分岐線28bの接続部よりも下流に存在する受光素子22e〜22lの個数に対応したクロック信号SCが排出用のクロック信号SCとして出力されるため、受光用シフトレジスタ26b、26cに残存している表示駆動信号SIa〜SIdを排出するための排出用のクロック信号SCを過不足なく出力することができる。
【0076】
(6)受光器20において、表示灯31a〜31d及び表示用シフトレジスタ33は、第1増設受光ユニット21bに設けられており、この第1増設受光ユニット21b内で駆動分岐線27cが駆動信号線27aに接続されており、クロック分岐線28bがクロック信号線28aに接続されている。したがって、駆動分岐線27c及びクロック分岐線28bは、各受光ユニット21a〜21bを跨いで配線されることがなく、各受光ユニット21a〜21bを跨いだ場合に必要となる配線処理が不要になる。
【0077】
(7)表示灯31a〜31dは、第1増設受光ユニット21bに設けられることにより、受光器20の受光素子22a〜22lの配列方向における中央部に設けられる。したがって、表示灯31a〜31dを多光軸光電センサの使用者にとって見やすい位置に配置することができる。
【0078】
(その他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように適宜変形してもよい。
・上記実施形態では、投光器10の投光制御回路13及び受光器20の受光制御回路23に、投光器10及び受光器20の電気的な回路構成の情報が予め入力設定されている。これに対し、この変形例では、投光器の投光制御回路及び受光器の受光制御回路に、回路構成のうちの投光素子及び受光素子の総数に関する情報が予め入力設定されていない。
【0079】
すなわち、多光軸光電センサの組み立て時に、例えば、投光器及び受光器を構成する各ユニットを任意に増設して投受光素子の総数が任意に設定される場合がある。このような場合には、制御回路に予め投光素子及び受光素子の総数が設定されていない。この場合は、例えば、多光軸光電センサの使用前に、投光素子及び受光素子の総数を検出するためのテスト運転を行う。具体的には、投光器及び受光器のそれぞれが、制御回路から駆動信号線に投受光駆動信号SI0を出力するとともに、クロック信号線にクロック信号SCを出力する。そして、制御回路に駆動信号戻り線を通じて投受光駆動信号が入力されるまでに出力したクロック信号SCの出力数から、投光素子及び受光素子の総数を検出する。
【0080】
ここで、例えば、受光制御回路に、各ユニットにおける受光素子の個数や表示灯の個数、表示灯は受光器の中央部のユニットに設けるといった情報が入力設定されていれば、受光制御回路は、これらの情報と検出された受光素子の総数とに基づいて、クロック分岐線及び駆動分岐線が、クロック信号線及び駆動信号線のどの位置に接続されているかを検出することができる。したがって、受光制御回路は、オフセット用のクロック信号の出力数、排出用のクロック信号の出力数などを導出することができる。
【0081】
・上記各実施形態では、各投光ユニットに4つの投光素子が設けられ、各受光ユニットには4つの受光素子が設けられている。しかしながら、各投光ユニットに設けられる投光素子の個数、各受光ユニットに設けられる受光素子の個数は一致していればよく、4個に限定されない。また投光器及び受光器を構成するユニットの数は3つに限定されない。
【0082】
・上記各実施形態では、受光器20の中央に表示灯31a〜31dを設けるようにしていたが、表示灯は、基本受光ユニットや第2増設受光ユニットに設けるようにしてもよい。
【0083】
・上記各実施形態では、表示灯31a〜31dは、赤色又は緑色のみに点灯可能な発光ダイオードであったが、赤色及び緑色の2色の双方に点灯する発光ダイオードであってもよい。この場合、例えば、発光ダイオードを赤色に点灯させる場合には、赤色に対応するドライバをオンさせ、緑色に対応するドライバをオフさせるために、表示駆動信号「10」を出力し、緑色に点灯させる場合には、逆の表示駆動信号「01」を出力する。例えば、図2に示した回路構成で4つの表示灯31a〜31dの全てを赤色及び緑色の双方に点灯可能な発光ダイオードで構成する場合には、表示駆動信号として8個の信号が必要となり、表示用のクロック信号SCの出力数も8となる。
【0084】
・上記各実施形態では、光電用シフトレジスタに残存した表示駆動信号SIa〜SIdを排出するための排出用のクロック信号SCの出力数を、投受光用のクロック信号SCの出力数からオフセット用のクロック信号SCの出力数を減算した値に設定するようにしている。しかしながら、排出用のクロック信号SCの出力数は、この出力数以上であればよく、例えば投受光用のクロック信号SCと同数であってもよい。
【0085】
さらに、排出用のクロック信号SCが出力されない構成であってもよい。例えば、受光制御回路が、スイッチ素子をオンしたときに受光素子が受光した入射光に応じたレベルの出力信号に基づいて、検出エリア内での物体の検出の有無と、投光素子の点灯の有無とを検出可能な構成とする。そして、受光制御回路が、点灯していないと検出された投光素子に対応する受光信号は無効化するようにすれば、排出用のクロック信号SCを出力しない場合でも、投光素子の点灯時と消灯時の受光信号を区別することができるため、検出エリアでの物体の検出を適切に行うことができる。
【0086】
・上記各実施形態では、表示灯31a〜31dが検出エリアでの物体の検出の有無を表示するものであったが、投光器10及び受光器20のその他の情報を表示するものであってもよい。
【0087】
・上記各実施形態では、受光器20に表示灯31a〜31dが設けられていたが、投光器に表示灯を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10…投光器、11a…基本投光ユニット、11b…第1増設投光ユニット、11c…第2増設投光ユニット、12a〜12l…投光素子、13…投光制御回路、14a〜14c…投光回路、17a…駆動信号線、17b…駆動信号戻り線、18…クロック信号線、20…受光器、21a…基本受光ユニット、21b…第1増設受光ユニット、21c…第2増設受光ユニット、22a〜22l…受光素子、23…受光制御回路、24a〜24c…受光回路、25a〜25l…スイッチ素子、26a=26c…受光用シフトレジスタ、27a…駆動信号線、27b…駆動信号戻り線、27c…駆動分岐線、28a…クロック信号線、28b…クロック分岐線、29a…受光信号線、29b…コンパレータ、31a…第1表示灯、31b…第2表示灯、31c…第3表示灯、31d…第4表示灯、32…表示回路、33…表示用シフトレジスタ、34…ラッチ回路、35…トリガ信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置される投光器及び受光器を有し、前記投光器及び受光器の少なくとも一方が、複数の光電素子と、複数の表示素子と、前記複数の光電素子に接続される光電用シフトレジスタと、前記光電素子及び前記表示素子を制御する駆動信号と同駆動信号を転送するためのクロック信号とを出力する制御手段と、前記クロック信号を前記光電用シフトレジスタに入力するためのクロック信号線と、前記駆動信号を前記光電用シフトレジスタに入力するための駆動信号線とを備える多光軸光電センサであって、
前記クロック信号線及び前記駆動信号線から分岐するように接続されるとともに、前記複数の表示素子が接続される表示用シフトレジスタとを備え、
前記制御手段は、前記複数の光電素子を駆動する光電駆動信号に続いて前記複数の表示素子を駆動する表示駆動信号を出力するとともに、前記光電駆動信号及び前記表示駆動信号が前記光電素子に転送されるタイミングで同光電素子による出力信号が入力され、前記光電素子に前記表示駆動信号が転送されるタイミングでの前記出力信号を無効化することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記表示用シフトレジスタと前記表示素子との間に接続されて前記表示用シフトレジスタにより転送される信号を保持するとともに、前記表示用シフトレジスタに前記表示駆動信号が転送されたタイミングで前記制御手段が出力するトリガ信号が入力されるラッチ回路を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記制御手段は、前記光電駆動信号を出力してから前記表示駆動信号を出力するまでの間に、前記複数の光電素子の総数に応じた光電用のクロック信号を出力し、前記表示駆動信号を出力してから前記光電駆動信号を出力するまでの間に、前記表示素子の個数に応じた表示用のクロック信号と、前記クロック信号線における前記表示用シフトレジスタの分岐点よりも前記駆動信号の伝送方向の上流に存在する前記光電素子の個数に応じたオフセット用のクロック信号とを出力し、最後の前記オフセット用のクロック信号の出力後に前記トリガ信号を出力することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記制御手段は、前記表示駆動信号を出力してから前記光電駆動信号を出力するまでの間に、前記表示用のクロック信号と前記オフセット用のクロック信号と前記光電用シフトレジスタに残存した前記表示駆動信号を排出するための排出用のクロック信号とを出力することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記排出用のクロック信号の出力数は、前記光電用のクロック信号の出力数から前記オフセット用のクロック信号の出力数を減算した値に設定されることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記制御手段は、前記光電用シフトレジスタにおける信号の伝送方向における下流端と駆動信号戻り線により接続されており、前記光電駆動信号を出力してから同光電駆動信号が前記駆動信号戻り線を通じて入力されるまでに出力する前記クロック信号の出力数に基づいて、前記複数の光電素子の総数を検出することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記投光器及び受光器の前記少なくとも一方が、複数のユニットから構成されており、前記制御手段と、前記表示素子及び前記表示用シフトレジスタとは異なるユニットに収容されていることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記複数の表示素子は、前記投光器及び前記受光器の前記少なくとも一方における前記複数の光電素子の配列方向の中央部に設けられることを特徴とする多光軸光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−217193(P2011−217193A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84488(P2010−84488)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】