説明

多光軸光電センサ

【課題】危険領域を分かり易くして、危険領域への侵入を未然に防止することのできる多光軸光電センサを提供する。
【解決手段】第1表示要素31aの形状は方形以外の三角形等であってもよい。第1表示要素31aは、投光素子7の両端部の近傍にのみ設けられていてもよい。第1表示要素31aは、2種以上の形状で形成されていてもよい。第1表示要素31aは投光素子7ごとに設けられていてもよい。最も端の投光素子7よりも更に端寄りに第1表示要素31aを設けてもよい。第1表示要素31aは中心線Z1上に設けられていればよく、中心線Z1に対し芯ズレ(オフセット)していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定領域に侵入する人体等を検知するためのライトカーテンを形成する多光軸光電センサに関し、より詳しくは、インジケータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレス機械等の危険源とみなされる機械から人の安全を確保するために、危険源へ人が侵入可能な経路には、人体等を検知する多光軸光電センサが多用されている。多光軸光電センサは、数多くの投光素子を一列に配置した投光器と、この投光素子からの光ビームを受ける数多くの受光素子を一列に配置した受光器とを含み、これら投光器と受光器とで危険区域を仕切る複数の光軸列によりライトカーテンを形成し、このライトカーテンに遮光物が侵入すると光軸の遮光を検知して、危険源を強制的に作動停止させて安全を確保するために、危険源を駆動するモータ等の電源を遮断する遮断指令信号を出力する。
【0003】
近年の多光軸光電センサにおいては、前記投光素子として赤外線を用いる場合が多い。この場合、多光軸光電センサは2本の細いケーシングが存在するだけで、危険領域が分かりにくい。危険領域であることが作業者等に分かれば、安全性が高まる。
【0004】
かかる観点から、ケーシングの投受光面とは異なる側面に複数の表示部を投受光器の概ね全長にわたって設けた多光軸光電センサが提案されている。しかし、この先行技術では、多光軸光電センサを保護するためにケーシングを金属製のカバーで覆うと、インジケータが見えなくなる。
【0005】
一方、投光器の概ね全長にわたって投受光面に表示素子を設けた多光軸光電センサも公知である(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−345548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この先行技術では、投光素子の光軸列と平行に表示素子を設けているので、投光面が幅広になりがちである。
また、光軸列から表示素子がズレて配置されているから、正確な危険領域を知ることができない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、危険領域を分かり易くして、危険領域への侵入を未然に防止することのできる多光軸光電センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本第1発明は各々一方向に長いケーシングを有し、該ケーシングの長手方向に沿って一端から他端に亘って複数の光軸が互いに離間して一列に配列される投光器及び受光器を備え、当該光軸の入光/遮光状態に応じて物体を検知する多光軸光電センサにおいて、前記投光器に内蔵され、前記光軸を構成する投光素子を駆動する投光回路と、前記受光器に内蔵され、前記光軸を構成する受光素子からの信号を処理する受光回路と、前記受光回路からの信号に基づいて、全光軸が入光状態である第1状態と、少なくとも一の光軸が遮光状態である第2状態とに対応した二値信号を出力する状態出力回路と、前記投光回路、前記受光回路及び前記状態出力回路の故障を診断する診断手段とを備え、前記投光器及び前記受光器は、前記一列に配列される光軸列の列上で前記光軸に干渉しない位置に配列される複数の表示要素からなる第1表示部を備え、前記投光器及び/又は前記受光器は、前記一列に配列される光軸列の列外で前記光軸に干渉しない位置に配列される複数の表示要素からなる第2表示部を備え、前記多光軸光電センサは、前記光軸列を示すために前記第1状態のときに前記第1表示部の前記複数の表示要素を点灯し、前記診断手段により故障と診断されたときに前記第2表示部の前記複数の表示要素に予め定められた点灯パターンにより診断内容を表示させる表示制御部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本第1発明においては、侵入物の検知時つまり通常の動作時において、全光軸が入光状態である第1状態のときに、光軸列上に設けた表示要素が点灯する。そのため、作業者等に危険領域が分かり易いので、危険領域への侵入を未然に防止することができる。
また、前記第1表示部の表示要素が光軸列の列上に配置されているので、危険領域を正確に知ることができる上、投受光面が幅広になるおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本第1発明においては、前記投光器及び前記受光器は、二以上の光軸を一体的に有する光軸モジュールを複数接続して備えると共に、前記光軸モジュールは前記一体的に有する光軸数よりも少ない数の前記第1表示部の表示要素を備えていてもよい。
この場合、投受光の素子等と表示要素とが一体的にモジュール化されているので、生産性が向上する上、第1表示部の表示要素の数を少なくすることができるから、コストダウンを図ることができる。
【0012】
本第1発明においては、少なくとも1の光軸を一体的に有する光軸モジュールと、複数の前記光軸モジュール間を接続する第1通信ラインとを更に備えると共に、前記第1表示部の表示要素を有し前記光軸モジュールの数よりも少ない数の複数の表示モジュールと、前記複数の表示モジュール間を接続する第2通信ラインとを備えていてもよい。
このように、光軸モジュールとは別の表示モジュールを設けると共に、光軸モジュール間の第1通信ラインとは別の第2通信ラインを設けることで、パーツの標準化が容易になる。
【0013】
本第1発明においては、前記投光器及び前記受光器は、各々、少なくとも1の光軸を一体的に有する第1光軸モジュールと、前記第1光軸モジュールとは異なる構成で少なくとも1の光軸を一体的に有する第2光軸モジュールとを複数接続して備えると共に、前記第1光軸モジュールは、更に、前記第1表示部の表示要素を備えていてもよい。
この場合、第2光軸モジュールの他に表示要素を搭載した第1光軸モジュールを設けたので、パーツの数が少なくなるから、生産性が向上する。
【0014】
課題を解決するための手段:
一方、本第2発明は、各々一方向に長いケーシングを有し、該ケーシングの長手方向に沿って一端から他端に亘って複数の光軸が互いに離間して一列に配列される投光器及び受光器を備え、当該光軸の入光/遮光状態に応じて物体を検知する多光軸光電センサにおいて、前記投光器に内蔵され、前記光軸を構成する投光素子を駆動する投光回路と、前記受光器に内蔵され、前記光軸を構成する受光素子からの信号を処理する受光回路と、前記受光回路からの信号に基づいて、全光軸が入光状態である第1状態と、少なくとも一の光軸が遮光状態である第2状態とに対応した二値信号を出力する状態出力回路と、前記投光回路、前記受光回路及び前記状態出力回路の故障を診断する診断手段とを備え、前記投光器及び前記受光器は、前記一列に配列される光軸列の列上で前記光軸に干渉しない位置に配列される複数の表示要素からなる表示部を備え、前記多光軸光電センサは、前記光軸列を示すために前記第1状態のときに前記表示部の前記複数の表示要素を点灯し、前記診断手段により故障と診断されたときに前記表示部の前記複数の表示要素に予め定められた前記第1状態のときとは異なる点灯パターンにより診断内容を表示させる表示制御部を有する。
【0015】
発明の効果:
本第2発明においては、前記第1発明と同様に、危険領域への侵入を未然に防止し得るなどの利点が得られる。
【0016】
発明を実施するための最良の形態:
本第2発明においては、前記投光器及び前記受光器は、二以上の光軸を一体的に有する光軸モジュールを複数接続して備えると共に、前記光軸モジュールは前記一体的に有する光軸数よりも少ない前記表示部の表示要素を備えていてもよい。
この場合、生産性の向上およびコストダウンを図り得る。
【0017】
本発明においては、前記光軸列の列上に配置された表示要素が前記ケーシングの長手方向の両端部もしくはその近傍に設けられてもよい。
この場合、ケーシングの長手方向の両端部までを危険領域として表示されるので、長手方向について領域の認識が正確になる。
【0018】
本発明においては、前記光軸列の列上に配置された表示要素が前記両端部の間にも配置されてもよい。
この場合、危険領域の認識が容易になる。
【0019】
本発明においては、前記光軸列の列上に配置された表示要素が前記光軸間に配置されていると共に前記光軸列の中心線に沿って配置されていてもよい。
【0020】
本発明においては、前記光軸列の列上に配置された表示要素が概ね等ピッチで配置されてもよい。
【0021】
本発明においては、前記両端部に設けられた表示要素の更に端寄りに前記光軸のうちの少なくとも1つが配置されてもよい。
この場合、端の部分に検出し得ないデッドスペースが生じにくい。
【0022】
本発明においては、前記ケーシングが両端の端部ケーシングとその間の中間ケーシングとを包含し、前記両端部に設けられた表示要素が前記端部ケーシング内に設けられてもよい。
この場合、端部まで検知領域を認識できる。
【0023】
本発明においては、前記光軸列の列上に配置された表示要素は、取付時に光軸が合致した場合にも点灯してもよい。
この場合、取付時つまり光軸の調整時に点灯するので、該調整が容易になる。
【0024】
本第1発明においては、前記多光軸光電センサは、前記状態出力回路が、前記受光回路からの信号に基づいて、全光軸が入光状態である第1状態と、少なくとも一の光軸が遮光状態である第2状態とに対応した二値信号を出力する通常モードと、前記光軸の入光/遮光状態に拘わらず前記第1状態に対応した信号を出力するミュートモードとを備え、前記表示制御部は、前記通常モードにおいて、前記光軸列を示すために前記第1状態のときに前記第1表示部の前記複数の表示要素を点灯し、前記第2表示部に前記状態出力回路の出力状態を示す情報とを表示し、前記ミュートモードにおいて、前記光軸列を示すために前記第1状態のときに前記第1表示部の前記複数の表示要素を点灯し、前記第2表示部にミュートモードを示す情報と、前記状態出力回路の出力状態を示す情報とを表示してもよい。
【0025】
一方、本第2発明においては、前記多光軸光電センサは、前記状態出力回路が、前記受光回路からの信号に基づいて、全光軸が入光状態である第1状態と、少なくとも一の光軸が遮光状態である第2状態とに対応した二値信号を出力する通常モードと、前記光軸の入光/遮光状態に拘わらず前記第1状態に対応した信号を出力するミュートモードとを備え、前記表示制御部は、前記通常モードにおいて、前記光軸列を示すために前記第1状態のときに前記表示部の前記複数の表示要素を点灯し、前記ミュートモードにおいて、前記表示部にミュートモードを示す情報を表示してもよい。
【0026】
これらの場合、ミュートモードであるか否かが分かり易くなる。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1〜図4は実施例1を示す。
図2において、多光軸光電センサ1は、一対の投受光器2,3を有し、通信線又は信号線L1を介して前記投光器2と受光器3とが互いに接続される。投受光器2,3は、通信線又は信号線を介して直列に増設可能であり、各光軸モジュールM1同士が互いに接続される。
【0028】
図3において、投光器2は、細長いケーシング4を有し、このケーシング4の中に、その長手方向Zに沿って一列にN個の投光素子7が等間隔に配置されている。
【0029】
同様に、受光器3は、細長いケーシング4を有し、このケーシング4の中に、その長手方向Zに沿って一列に、投光素子7と同じ数の受光素子8が等間隔に配置されており、隣接する受光素子8、8間の間隔は、前記投光器2の投光素子7の間隔と同じである。
【0030】
投光器2と受光器3は、同一平面上において互いに対面して配置され、投光器2の各投光素子7から、これに対応する受光器3の受光素子8に向けて、たとえば赤外線からなる光ビームが発射されることにより投光器2と受光器3との間にセーフティライトカーテンが形成される。図1に示す参照符号10は光軸を示す。
【0031】
前記投光素子7は、たとえば、赤外線を発光する発光ダイオード等からなる。一方、受光素子8は、前記赤外線を受光する例えばフォトダイオード等からなる。なお、投光素子7および受光素子8の各々の前方には、図示しない集光レンズが設けられている。
【0032】
投光器2は、前記発光ダイオードなどのN個の投光素子7と、これらN個の投光素子7を個々に駆動するN個の投光回路12と、これらN個の投光回路12を時分割でスキャンする素子切替回路13と、投光器2を全体的に制御する投光制御回路14とを有する。投光制御回路14はクロック発生回路15からのクロック信号を受けてN個の投光素子7を順次発光させる投光タイミングを生成する。
【0033】
投光器2は、受光器3との間の通信、例えばタイミング信号の授受を制御すると共に、他の増設された投光器との間の通信を制御する通信制御回路17を含み、投光制御回路14は、受光器3からの指示を受けて、N個の投光回路12を順次起動させることにより、一番目の光軸10の投光素子7からN番目の投光素子7まで次々と点灯させる。これにより、投光器2は、受光器3に向けて、所定の投光タイミングで一番目の光軸10からN番目の光軸10まで、順次、光ビームを発射する。
【0034】
受光器3は、受光ダイオードなどのN個の受光素子8と、これらN個の受光素子8を個々に駆動するN個の受光回路18と、これらN個の受光回路18を時分割でスキャンする素子切替回路19と、受光器3を全体的に制御する受光制御部20とを有し、受光制御部20はクロック発生回路21からのクロック信号を受けてN個の受光素子8を順次有効化する。
【0035】
受光器3は、また、投光器2との間の通信、例えばタイミング信号の授受を制御すると共に、他の増設された受光器3との間の通信を制御する通信制御回路23を含み、受光制御部20は、投光器2からのタイミング信号を受けて、投光器2から次々に発射される光ビームに対応する受光素子8からの出力を取り込むことができるように、第1番目の受光素子8の光軸10からN番目の光軸10まで、順次、有効化する。
【0036】
投光器2および受光器3の配置:
前記投光器2および受光器3は、該投光器2および受光器3を一対として、種々の形状に配置することができる。たとえば、プレス機などの場合には、該プレス機を取り囲むようにコ字状に設けてもよいし、コンベヤを有する物などには、該コンベヤの入口と出口に設けてもよい。
【0037】
モジュールM1〜M3:
図2に示すように、投光器2は1個または複数の光軸モジュールM1と1個の投光制御モジュールM2とを備えている。投光側の各光軸モジュールM1同士はコネクタ6を介して互いに直列に接続される。接続された光軸モジュールM1の一端は、コネクタ6を介して投光制御モジュールM2に接続される。
一方、受光器3は1個または複数の光軸モジュールM1と1個の受光制御モジュールM3とを備えている。受光側の各光軸モジュールM1同士はコネクタ6を介して互いに直列に接続される。接続された光軸モジュールM1の一端は、コネクタ6を介して受光制御モジュールM3に接続される。
投光制御モジュールM2および受光制御モジュールM3は、それぞれ、前記通信線又は信号線L1を介して入出力部5に接続される。
【0038】
光軸モジュールM1:
図1に示すように、光軸モジュールM1には、前述の投光素子7または受光素子8と共に、第1表示要素31a、ならびに、該第1表示要素31aを駆動する第1表示制御部31bが設けられている。したがって、光軸モジュールM1は、二以上の光軸10を一体的に有する。
第1表示要素31aは、たとえば、赤および緑の何れか一方を選択的に発光可能な発光ダイオードからなる。第1表示要素31aは、前記光軸数よりも少ない数(本実施例では、1個の光軸モジュールM1につき1個の第1表示要素31a)が設けられている。
【0039】
投光制御モジュールM2:
投光制御モジュールM2は、前記光軸モジュールの1種で、前記投光側の光軸モジュールM1と同じ素子や回路の他に、入出力部5、前記投光制御回路14、クロック発生回路15および通信制御回路17を有してている。
【0040】
受光制御モジュールM3:
前記受光制御モジュールM3は、前記光軸モジュールの1種で、前記受光側の光軸モジュールM1と同じ素子や回路の他に、入出力部5、前記受光制御部20、クロック発生回路21および通信制御回路23を有し、更に、複数の第2表示要素32aからなる第2表示部32、ならびに、該第2表示要素32aを駆動する第2表示制御部32bを有している。第2表示要素32aは、たとえば、赤および緑の何れか一方を選択的に発光可能な発光ダイオードからなる。
【0041】
なお、図1においては、図示の便宜上、光軸モジュールM1を投光器2および受光器3について各々1つだけ図示しているが、図2、図3および図8に示すように、光軸モジュールM1は任意に増設可能である。
【0042】
信号線L11〜L14:
図1に示すように、投光側の第1表示制御部31bは、信号線L11を介して互いに接続されると共に、投光制御モジュールM2の投光制御回路14に接続される。
投光側の素子切替回路13は、信号線L13を介して互いに接続されると共に、投光制御回路14に接続される。
受光側の第1表示制御部31bは、信号線L11を介して互いに接続されると共に、受光制御モジュールM3の受光制御部20に接続される。
受光側の素子切替回路19は、信号線L14を介して互いに接続されると共に受光制御部20に接続される。
受光制御モジュールM3の第2表示制御部32bは、信号線L12を介して受光制御部20に接続されている。
【0043】
ケーシング4:
図3に示すように、投光器2および受光器3は、前記モジュールM1〜M3がケーシング4に収容されてなる。図4(a)に示すように、ケーシング4は、両端の端ケーシング40と、その間の中間ケーシング41とにより構成されている。前記ケーシング4は、横断面が略コ字状または略U字状に形成されている。
【0044】
図3に示すように、投光側のケーシング4は、1個または複数の光軸モジュールM1を収容すると共に、一方の端部に投光制御モジュールM2を収容する。受光側のケーシング4は、1個または複数の光軸モジュールM1を収容すると共に、一方の端部に受光制御モジュールM3を収容する。
なお、投光制御モジュールM2および受光制御モジュールM3に、投光素子7および受光素子8等をそれぞれ設けなくてもよい。
【0045】
第1表示要素31aの配置:
図3の前記投光側のケーシング4と受光側のケーシング4とは、投光素子7と受光素子8とが互いに対面するように設置される。
前記投光素子7および受光素子8は、長手方向Zに対して一列に配置される。前記複数の第1表示要素31aからなる第1表示部31は、前記投光素子7ないし受光素子8の光軸列上で、かつ、前記光軸10に干渉しない位置に配列される。すなわち、第1表示要素31aは、前記光軸10,10間に配置されていると共に、光軸列の中心線Z1上に配置されている。
【0046】
第1表示要素31aは、前記光軸列の中心線Z1上に概ね等ピッチで配置されている。図4(a),(b)に示すように、第1表示要素31aは、投光器2ないし受光器3の長手方向Zの両端の近傍に設けられていると共に、前記両端の間にも配置されている。前記ケーシング4の両端に設けられた第1表示部要素31aは、各端ケーシング40内に設けられている。中心線Z1は、投受光器2,3のケーシング4の幅方向Xの中心に設けられている。
【0047】
図3に示すように、投光素子7ないし受光素子8は、投光器2ないし受光器3の長手方向Zの両端に設けた第1表示要素31aよりも更に端寄りに配置されている。したがって、光軸10は、両端の第1表示要素31aよりも更に端寄りに配置されている。
【0048】
第2表示要素32aの配置:
前記複数の第2表示要素32aからなる第2表示部32は、受光器3の前記一列に配列される光軸列の中心線Z1上の列外で、かつ、受光素子8に干渉しない位置に配列される。なお、第2表示部32は、投光器2に設けてもよいし、投光器2および受光器3の両方に設けてもよい。
【0049】
入出力部5:
前記入出力部5はコントローラとしての機能と、外部に対する信号の入出力を行う機能とを有する。入出力部5には、図示しない安全および非安全出力制御回路が内蔵され、これらの出力制御回路からプレス機などの危険源の安全制御装置や非安全制御装置に対して信号が出力される。
【0050】
図1の前記受光制御モジュールM3の受光制御部20は、状態出力回路33および診断手段34を備えている。
前記入出力部5は、受光制御部20から出力された信号に基づいて、投光器2および受光器3の各機器や、該入出力部5に接続されたプレス機など他の各機器の制御を行う。たとえば、多光軸光電センサ1は、以下に説明する通常モード、ミュートモード、光軸設定モードおよび診断モード等を備えていてもよい。
【0051】
通常モード;
通常モードは、前記光軸10の入光/遮光状態に応じて物体の検知を行うモードである。通常モードにおいて、図1の状態出力回路33は、素子切替回路19を介して出力される受光回路18からの信号に基づいて、全光軸10が入光状態である第1状態と、少なくとも一の光軸10が遮光状態である第2状態とに対応した二値信号を入出力部5に出力する。
【0052】
前記通常モードにおいて、入出力部5は受信した前記二値信号に基づき、各々、表示制御部31b,32bを介して、前記光軸10により形成された検出領域を示すために第1表示要素31aの第1表示部31を点灯させ、第2表示部32に前記状態出力回路33の出力状態を示す情報を表示させる。
【0053】
前記通常モードにおいて、入出力部5は、状態出力回路33からの状態信号に基づき、所定のパターンで第1表示要素31aを点灯させる。
【0054】
たとえば、入出力部5は、前記第1状態に対応する二値信号を受信すると、全ての第1表示要素31aを緑色に点灯させてもよい。
一方、入出力部5は、第2状態に対応する二値信号を受信すると、該入出力部5に接続されたプレス機などの危険源を直ちに停止させる。同時に、入出力部5は、当該遮光された光軸モジュールM1〜M3の第1表示要素31aを消灯すると共に、それ以外の入光している光軸モジュールM1〜M3の第1表示要素31aを赤色に点灯させてもよい。また、同時に、入出力部5は第2表示要素32aを赤色に点灯させてもよい。
【0055】
点灯パターンの一例を図8を用いて説明する。
図8(a),(b)に示すように、全ての光軸101
〜10n が入光している場合には、全ての第1表示要素31a1 〜31am が緑色に点灯する。これにより、危険領域が明瞭になる。
【0056】
一方の端の光軸101 が入光し、かつ、残りの光軸102 〜10n のうちの1以上が遮光されている場合には、当該一方の端の第1表示要素31a1 が赤色に点灯(以下、「赤点灯」という。)する。同様に、他方の端の光軸10n が入光し、かつ、残りの光軸101
〜10n-1 のうちの1以上が遮光されている場合には、当該他方の端の第1表示要素31am が赤点灯する。両端の光軸10n および101 の双方が入光し、かつ、中間の光軸102 〜10n-1 の1以上が遮光されている場合には、中間の全ての第1表示要素31a2 〜31am-1 が赤点灯する。
【0057】
一方の端の光軸101 が遮光されている場合には、当該一方の端の第1表示要素31a1 および中間の全ての第1表示要素31a2 〜31am-1 が消灯する。同様に、他方の端の光軸10n が遮光されている場合には、当該他方の端の第1表示要素31am および中間の全ての第1表示要素31a2 〜31am-1 が消灯する。
【0058】
すなわち、一方の端の光軸101 のみが入光していると、当該一方の端の第1表示要素31a1 のみが赤点灯すると共に、残りの第1表示要素31a2 〜31am が消灯する。同様に、他方の端の光軸10n のみが入光していると、当該他方の端の第1表示要素31am のみが赤点灯すると共に、残りの表示要素31a1 〜31am-1 が消灯する。
【0059】
この点灯パターンの場合、多光軸光電センサ1の据え付時に、第1表示要素31a1 〜31am の点灯状態を見ながら、一方(または他方)の光軸101 (10n )を合致させた後に、他方(または一方)の光軸10n (101 )を合致させることにより、投受光器2,3の光軸調整が容易になる。
【0060】
別の点灯パターンとしては、光軸がズレている部分がある場合には、当該ズレている光軸モジュールM1〜M3の第1表示要素31aを消灯させると共に、光軸が合致している光軸モジュールM1〜M3の第1表示要素31aを赤色に点灯させてもよい。更に、全光軸が合致した場合には、全ての第1表示要素31aを緑色に点灯させてもよい。
これらの点灯パターンも光軸調整の際に役立つ。
【0061】
本多光軸光電センサ1は投光回路12、受光回路18及び状態出力回路33の故障を診断することが可能である。診断手段34は、前記回路12,18,33の故障の存否を入出力部5に送信する。
【0062】
前記診断モードにおいて、入出力部5は診断手段34からの診断信号に基づいて、所定のパターンで第1表示要素31aを点灯させる。
たとえば、前記回路12,18,33のいずれかが故障しているという診断信号を受信した場合には、全ての第1表示要素31aを赤色で点滅させてもよい。更に、入出力部5は、第2表示要素32aを所定の点灯パターンで点灯させることにより、故障した部分や状態等を作業者に知らせるようにしてもよい。
【0063】
ミュートモード;
ミュートモードは、ワークが光軸10からなる前記セーフティライトカーテンを通過する時に、該セーフティライトカーテンの保安機能が一時的に無効になるモードである。ミュートモードにおいて、状態出力回路33は、光軸の入光/遮光に拘わらず前記第1状態に対応した信号を入出力部5に出力する。
【0064】
前記ミュートモードにおいて、入出力部5は、光軸列を示すために、第1表示部31の複数の第1表示要素31aを点灯し、第2表示部32にミュートモードを示す情報と、状態出力回路33の出力状態を示す情報とを表示する。
たとえば、ミュートモード時において、全ての第1表示要素31aが緑色に点灯されると共に、第2表示要素32aが緑色に点滅されることにより、ミュートの状態を作業者に知らせるようにしてもよい。
【0065】
なお、前記各モードにおける第1表示部31および第2表示部32の点灯色や、点灯パターン、点滅パターンなどは、前述したパターン以外の種々のパターンを採用することができる。また、多光軸光電センサ1を購入した顧客が、独自のパターンを設定できるようにしてもよい。さらに、多光軸光電センサ1の状態、たとえばミュート、インターロック解除待ち、オーバライドなどの機能が実行されている場合には、それに応じた点灯パターンや点滅パターンを採用してもよい。
【実施例2】
【0066】
図5は実施例2を示す。
図5に示すように、各光軸モジュールM10には、1個の投光素子7ないし受光素子8が設けられている。各表示モジュールM11には、1個の第1表示要素31aが設けられている。
本多光軸光電センサは、第1および第2通信ラインL21,L22が内蔵されたフラットケーブル45と、光軸モジュールM10および表示モジュールM11をフラットケーブル45にそれぞれ固定するための第1および第2固定具46,47を備えている。
【0067】
フラットケーブル45には、第1固定具46により複数の前記光軸モジュールM10が固定されると共に、第2固定具47により光軸モジュールM1よりも少ない数の表示モジュールM11が固定される。
第1固定具46には、複数の光軸モジュールM10同士を接続する第1通信ラインL21と、複数の表示モジュールM11同士を電気的に接続する第2通信ラインL22とが設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、その説明を省略する。
なお、光軸モジュールM10には、2個以上の投光素子7ないし受光素子8が設けられていてもよい。
【実施例3】
【0068】
図6は実施例3を示す。
図6に示すように、第1光軸モジュールM10には、投光素子7ないし受光素子8が設けられている。一方、第2光軸モジュールM20には、投光素子7ないし受光素子8と、第1表示要素31aが設けられている。
フラットケーブル45には、第1固定具46により、複数の第1光軸モジュールM10が固定されると共に、第1固定具46により光軸モジュールM10よりも少ない数の第2光軸モジュールM20が固定される。
その他の構成は、実施例2と同様であり、その説明を省略する。
なお、第1および/または第2光軸モジュールM10,M20には、2個以上の投光素子7ないし受光素子8が設けられていてもよい。
【0069】
図7は第1表示要素31aの配置等の他の例を示す。
図7(a)のように、第1表示要素31aの形状は方形以外の三角形等であってもよい。
図7(b)のように、第1表示要素31aは、投光素子7の両端部の近傍にのみ設けられていてもよい。
図7(c)のように、第1表示要素31aは、2種以上の形状で形成されていてもよい。
図7(d)のように、第1表示要素31aは投光素子7ごとに設けられていてもよい。
図7(e)のように、最も端の投光素子7よりも更に端寄りに第1表示要素31aを設けてもよい。
図7(f)のように、第1表示要素31aは中心線Z1上に設けられていればよく、中心線Z1に対し芯ズレ(オフセット)していてもよい。
【0070】
図9は多光軸光電センサ1のレイアウトの一例を示す。
多光軸光電センサ1は、2つの投光器2,2および受光器3,3を、各々実線で示すL型や二点鎖線で追加して示す門型(コ字型)に形成する場合がある。このような場合に本実施例のように光軸10が幅方向Xの中心線Z1上に設けられていると、光軸10,10間のピッチPがコーナ部分Coにおいても直線Li部分と同じ一定のピッチPとすることが容易となる。
【0071】
前記実施例では入出力部5を受光器3に内蔵して設けたが、本発明においては、入出力部5を必ずしも内蔵する必要はなく、図6のように、入出力部5の機能を持つコントローラ5Bを外付けで設けてもよいし、あるいは、投光器2に内蔵してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、所定領域に侵入する人体等を検知するためのライトカーテンを形成する多光軸光電センサに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の多光軸光電センサの実施例1にかかる投受光器を示す概略構成図である。
【図2】多光軸光電センサの概略構成図である。
【図3】多光軸光電センサの概略斜視図である。
【図4】(a)は投光器ないし受光器を示す分解斜視図であり、(b)は投光器ないし受光器を示す概略斜視図である。
【図5】実施例2の多光軸光電センサのモジュールを示す概略斜視図である。
【図6】実施例3の多光軸光電センサのモジュールを示す概略斜視図である。
【図7】表示要素の配置等の他の例を示す投光器の概略正面図である。
【図8】(a)は表示要素の点灯パターンを説明するための投(受)光器の平面的な概念図、(b)は同点灯パターンを示す図表である。
【図9】多光軸光電センサのレイアウトの例を示す投(受)光器の平面的な概念図である。
【図10】実施例4の多光軸光電センサのモジュールを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0074】
1:多光軸光電センサ
2:投光器
3:受光器
4:ケーシング
40:端ケーシング
41:中間ケーシング
7:投光素子
8:受光素子
10:光軸
12:投光回路
14:投光制御回路
18:受光回路
20:受光制御部
31:第1表示部
31a:(第1)表示要素
31b:第1表示制御部
32:第2表示部
32a:(第2)表示要素
32b:第2表示制御部
33:状態出力回路
34:診断手段
L1:信号線
L21:第1通信ライン
L22:第2通信ライン
M1〜M3:光軸モジュール
M10:第1光軸モジュール
M20:第2光軸モジュール
M11:表示モジュール
Z1:中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々一方向に長いケーシングを有し、該ケーシングの長手方向に沿って複数の光軸が互いに離間して一列に配列される投光器及び受光器を備え、当該光軸の入光/遮光状態に応じて物体を検知する多光軸光電センサにおいて、
前記投光器及び前記受光器は、前記一列に配列される光軸列の列上に配列される複数の表示要素からなり、該複数の表示要素が該光軸列に沿って配列される光軸調整用表示部を備え、
前記表示部の一端側の表示要素は一端の光軸の入光に応じて点灯し、他端側の表示要素は他端の光軸の入光に応じて点灯することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記多光軸光電センサは、さらに、該多光軸光電センサの故障内容を表示するための複数の表示要素からなる故障表示部を備え、該故障表示部の複数の表示要素の点灯パターンにより前記故障内容を報知する、請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項3】
光軸調整用表示部の表示要素の幅が光軸の幅よりも広い、請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−164670(P2012−164670A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85049(P2012−85049)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【分割の表示】特願2007−15006(P2007−15006)の分割
【原出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】