説明

多原色表示装置

【課題】 本発明は、多原色を用いた画像表示により色再現範囲を拡大するうえで、画素を構成するサブピクセル間の色分離が認識されにくくなり、白線表示の際に1本の線として認識されやすくなるという作用効果を発揮して表示品位を向上することができる表示装置及びそれにより構成されてなる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の表示装置は、1ピクセルあたり4色以上のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、該表示装置を構成する画素は、輝度値の最も高い色のサブピクセルを画素の中央領域に配置した画素を主体とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素により表示画面が構成される表示装置及び液晶表示装置に関する。より詳しくは、多原色により画像を構成することにより、液晶ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electroluminescent)、FED(Field Emission Display)等の各種のディスプレイに適用することができる多原色表示装置及びそれにより構成されてなる液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置としては、画素(ピクセル)により画像を形成する各種のディスプレイが情報や映像の表示手段として広く普及しているが、1つの画素がRGBからなる3原色のサブピクセルによって構成され、これによりカラー表示するものが一般的である。このようなカラー表示の技術において、近年では表示品位を向上するために色再現範囲を拡大することが検討されている。例えば、RGBの3原色の色純度を濃くすると、色度図において色再現範囲が拡張されることになるが、この場合、色が濃くなることに起因して輝度が低下することになる。これに対して、サブピクセル数を増やして多原色化し、4色又はそれ以上とすることで、液晶ディスプレイ等の色再現範囲を拡大する方法が提案されている。
【0003】
従来の表示装置における色再現範囲の拡大に関連した技術としては、行方向には赤色、青色、緑色及び白色の各画素が配置されていて、列方向には同一色の画素だけが配置された液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この液晶表示装置では、RGBの3原色にWを追加することで、輝度と色再現範囲を向上する方法が提案されている。また、ストライプ配列とマトリクス配列との2つの色配列が提案されているが、テレビ等の大型ディスプレイのアプリケーションには、画像とのマッチング性からストライプ配列を採用することが一般的である。この液晶表示装置におけるストライプ配列の実施の形態を図11に示す。ここではR、G、B、Wの順に配列されて1つの画素が形成されている。このような構成では、色再現範囲を広くできるものの、暗い背景の中に白線を1本表示した際に、GとWが分離して認識されてしまうことになる。更に、カラーフィルターを形成する微細フィルターがR−G軸とB−Y軸に対応した4色を有する液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この液晶表示装置においては、4色の配列をストライプ配列とすることの開示がない。
【0004】
また色再現範囲をより向上するために、サブピクセル数を5つ、6つに増やし、色数を増やす方法も提案されている。例えば、図12に示すような配列で5色サブピクセル構成が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。ここでは色相順にRYGCBの順に1つの画素を構成するサブピクセルが配列されている。このような構成でも、色再現は大きくできるものの、暗い背景の中に白線を1本表示した際に、B/CとYが分離して認識されてしまうことから、色再現範囲の拡大と輝度低下の抑制とを両立しつつ表示品位を向上するための工夫の余地があった。
【0005】
更に、少なくとも4つの原色のサブピクセルを用いてカラー表示を行う液晶表示装置に関し、RGYBCの5つの原色を順に4つのサブピクセルにRGYB、CRGY、BCRG、YBCR、GYBCと配列させることが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、4原色を赤色、緑色、青色及び青緑色の放電セルから画素を構成したプラズマディスプレイパネル(例えば、特許文献5参照。)や図14に示すようにサブピクセルが2×3配列の6色により構成された液晶パネル(例えば、非特許文献1参照。)が開示されている。しかしながら、これらの表示装置においても、白線表示における色分離現象等を充分に抑制し、優れた表示品位が要求される液晶テレビ等のディスプレイにおいて基本性能を高めるための工夫の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−102292号公報(第1、2、22頁)
【特許文献2】特開2001−209047号公報(第1、2、6頁)
【特許文献3】国際公開第03/088203号パンフレット(第1、図面10頁)
【特許文献4】国際公開第02/101644号パンフレット(第1、2、図面9頁)
【特許文献5】特開2004−152737号公報(第1、2頁)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「SID速報」、[online]、平成16年5月26日、日経ビジネスパブリケーションズ、[平成16年8月4日検索]、インターネット<URL:http://ne.nikkeibp.co.jp/members/NEWS/20040526/103584/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、多原色を用いた画像表示により色再現範囲を拡大するうえで、画素を構成するサブピクセル間の色分離が認識されにくくなり、白線表示の際に1本の線として認識されやすくなるという作用効果を発揮して表示品位を向上することができる表示装置及びそれにより構成されてなる液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、表示装置の色再現範囲の拡大について種々検討したところ、1つの画素を構成するサブピクセル数を増やして多原色化し、4色又はそれ以上とすることが色再現範囲を拡大するのに有効であることに着目した。そして、従来では、サブピクセルを色相順に配列することが一般的であったが、4色以上のサブピクセルが配列された画素において、Y値(輝度値)を基準にして、例えばY値が高いサブピクセルほど画素の中央付近に配置することにより、1ピクセル内での色の分離を防ぐことができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、1ピクセルあたり4色以上のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、上記表示装置を構成する画素は、輝度値の最も高い色のサブピクセルを画素の中央領域に配置した画素を主体とする表示装置である。なお、本願明細書における「以上」、「以下」は、当該数値を含むものである。
このような表示装置においてサブピクセルの配列方法には、ストライプ配列とマトリクス配列があるが、実際に液晶テレビ等に採用する場合には駆動周波数を低下させる意味からストライプ配列が好適である。すなわち上記画素を構成するサブピクセルは、ストライプ状に配置されたものであることが好ましい。
【0011】
上記表示装置は、Y値を優先し、輝度値の高い色のサブピクセルほど画素の中央領域に配置することにより、白線表示時の色の分離を防ぐという作用効果を高めることができるが、このような構成においては、輝度値の高いものから低い順に画素の中央領域から端の領域に向かってサブピクセルを配置した画素を有することが好ましい。また、上記輝度値の最も高い色のサブピクセルの幅は、他のサブピクセルよりも広いことも本発明の作用効果を高めるために有効である。
【0012】
上記表示装置を構成する画素が2種類以上の画素を有する場合の配置状態としては、格子状(市松状)とすることが挙げられる。この中で、上記表示装置が、輝度値の最も高い色のサブピクセルを画素の中央領域に配置した画素が少なくとも2種類の配列を有する場合には、該2種類の配列を格子状に配置して構成されたものであることが好ましい。
【0013】
以下では、サブピクセルを構成する具体的な原色を挙げて説明する。これらの表示装置においても、輝度値の最も高い色のサブピクセルを画素の中央領域に配置した画素を有し、このような画素を主体として構成されることが好ましい。
【0014】
1ピクセルあたり5色のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、該表示装置を構成する画素は、R(赤)、G(緑)、Y(黄)、C(シアン)、B(青)又はR(赤)、C(シアン)、Y(黄)、G(緑)、B(青)の順にサブピクセルがストライプ状に配置された画素を有する表示装置においては、輝度値の最も高い色のサブピクセルであるYが画素の中央領域に配置されることになる。この場合、サブピクセルYの幅は、他の4つのサブピクセルよりも広いことにより、輝度値の最も高い色のサブピクセルの幅が他のサブピクセルよりも広い形態とすることができる。
【0015】
1ピクセルあたり5色のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、該表示装置を構成する画素は、R(赤)、G(緑)、W(白)、Y(黄)、B(青)又はR(赤)、Y(黄)、W(白)、G(緑)、B(青)の順にサブピクセルがストライプ状に配置された画素を有する表示装置においては、輝度値の最も高い色のサブピクセルであるWが画素の中央領域に配置され、これにより白線表示時の色の分離を防ぐ作用効果を発揮することになる。
【0016】
1ピクセルあたり4色のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、該表示装置を構成する画素は、R(赤)、G(緑)、Y(黄)、B(青)又はR(赤)、Y(黄)、G(緑)、B(青)の順にサブピクセルがストライプ状に配置された画素を有する表示装置においては、輝度値の最も高い色のサブピクセルであるYが4色のサブピクセルから構成される画素の中央領域に配置され、次いで輝度値の高い色のサブピクセルであるGも画素の中央領域に配置されることになる。この場合、上記表示装置は、R(赤)、G(緑)、Y(黄)、B(青)の配列とR(赤)、Y(黄)、G(緑)、B(青)の配列とを格子状に配置して構成されたものであることが好ましい。
【0017】
1ピクセルあたり4色のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、該表示装置を構成する画素は、R(赤)、W(白)、G(緑)、B(青)又はR(赤)、G(緑)、W(白)、B(青)の順にサブピクセルがストライプ状に配置された画素を有する表示装置においては、輝度値の最も高い色のサブピクセルであるWが4色のサブピクセルから構成される画素の中央領域に配置され、次いで輝度値の高い色のサブピクセルであるGも画素の中央領域に配置されることになる。この場合、上記表示装置は、R(赤)、W(白)、G(緑)、B(青)の配列とR(赤)、G(緑)、W(白)、B(青)の配列とを格子状に配置して構成されたものであることが好ましい。
【0018】
1ピクセルあたり6色のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、該表示装置を構成する画素は、R(赤)、G(緑)、B(青)又はB(青)、G(緑)、R(赤)の順に配置されたサブピクセルと、M(マジェンタ)、Y(黄)、C(シアン)又はC(シアン)、Y(黄)、M(マジェンタ)の順に配置されたサブピクセルとがマトリクス状に配置された画素を有する表示装置においては、輝度値の最も高い色のサブピクセルであるYが、マトリクス配列によりサブピクセルが構成される画素の中央領域に配置され、次いで輝度値の高い色のサブピクセルであるGも画素の中央領域に配置されることになる。例えば、マトリクス配列が列方向(縦)に2列で行方向(横)に3列である2×3配列の場合、2つの行方向の配列のうち1つをR(赤)、G(緑)、B(青)又はB(青)、G(緑)、R(赤)の順に行方向に配置し、他方をM(マジェンタ)、Y(黄)、C(シアン)又はC(シアン)、Y(黄)、M(マジェンタ)の順に行方向に配置すればよい。また、マトリクス配列が列方向(縦)に3列で行方向(横)に2列である3×2配列の場合、2つの列方向の配列のうち1つをR(赤)、G(緑)、B(青)又はB(青)、G(緑)、R(赤)の順に列方向に配置し、他方をM(マジェンタ)、Y(黄)、C(シアン)又はC(シアン)、Y(黄)、M(マジェンタ)の順に列方向に配置すればよい。
この場合にも、異なったサブピクセルの配列パターンにより構成される2種類以上の画素を格子状に配置して表示装置を構成することが好ましい。
なお、マトリクス配列により構成される画素を有する形態においては、輝度値の最も高い色のサブピクセルがマトリクス配列により構成される画素の中央領域に配置されるように、2×3配列や3×2配列等において配列パターンを適宜設定すればよく、上記形態に限定されるものではない。
【0019】
上記サブピクセルの配列パターンで構成された液晶表示装置は、色再現範囲を拡張しつつ、輝度や表示品位において優れた基本性能を有することになり、液晶ディスプレイとして液晶テレビ等に好適に適用されるものである。すなわち、1ピクセルあたり4色以上のサブピクセルを含む画素により画像が構成される液晶表示装置であって、該液晶表示装置は、上記表示装置におけるサブピクセルの配列パターンを有するものである液晶表示装置もまた、本発明の一つである。
本発明の表示装置及び液晶表示装置の構成としては、上述した特徴を必須として表示装置が通常有する構成要素を備えたものであればよく、その他の構成において特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明の表示装置は、上述したような構成からなるので、4色以上の多原色を用いた画像表示により色再現範囲を拡大しつつ輝度も優れたものとするうえで、画素を構成するサブピクセル間の色分離が認識されにくくなり、白線表示の際に1本の線として認識されやすくなるという作用効果を発揮して表示品位を向上することができ、多原色表示装置として液晶テレビ等の各種のディスプレイに好適に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1−a】本発明の5原色(RGYCB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する5つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図1−b】本発明の5原色(RGYCB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、Y値とサブピクセルの配列との関係をグラフで示す概念図である。
【図1−c】本発明の5原色(RCYGB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する5つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図1−d】本発明の5原色(RCYGB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、Y値とサブピクセルの配列との関係をグラフで示す概念図である。
【図2−a】本発明の5原色(RGWYB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する5つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図2−b】本発明の5原色(RYWGB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する5つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図3−a】本発明の実施形態における5原色(RGYCB)表示装置の回路構成を示す図であり、白ベタ表示の場合の概念図である。
【図3−b】本発明の実施形態における5原色(RGYCB)表示装置の回路構成を示す図であり、白線表示の場合の概念図である。
【図3−c】本発明の実施形態における5原色(RGYCB)表示装置の回路構成を示す図であり、図3−bの場合の画面表示を示す概念図である。
【図4−a】本発明の4原色(RWGB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する4つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図4−b】本発明の4原色(RWGB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、Y値とサブピクセルの配列との関係をグラフで示す概念図である。
【図4−c】本発明の4原色(RGWB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する4つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図4−d】本発明の4原色(RGWB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、Y値とサブピクセルの配列との関係をグラフで示す概念図である。
【図5−a】本発明の6原色(MRGYCB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する6つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図5−b】本発明の6原色(MRYGCB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する6つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図6】本発明の6原色(MGYWCB)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1つの画素を構成する6つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図7】本発明の4原色(RGYB及びRYGB)表示装置を構成する画素配置の実施形態の一つであり、格子状配置を示す概念図である。
【図8】本発明の4原色(RWGB及びRGWB)表示装置を構成する画素配置の実施形態の一つであり、格子状配置を示す概念図である。
【図9】実施の形態における基板構成を示す概念図である。
【図10】本発明の6原色(RGBMYC)表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、マトリクス配列を示す概念図である。
【図11】従来の4原色(RGBW)表示装置を構成する画素形態であり、1つの画素を構成する4つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図12】従来の5原色(RYGCB)表示装置を構成する画素形態であり、1つの画素を構成する5つのサブピクセルの配列を示す概念図である。
【図13−a】従来の5原色(RYGCB)表示装置の回路構成を示す図であり、白ベタ表示の場合の概念図である。
【図13−b】従来の5原色(RYGCB)表示装置の回路構成を示す図であり、白線表示の場合の概念図である。
【図13−c】従来の5原色(RYGCB)表示装置の回路構成を示す図であり、図13−bの場合の画面表示を示す概念図である。
【図14】従来の6原色(RGBCMY)表示装置を構成する画素形態であり、マトリクス配列を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を実施するための最良の形態として表示装置又は液晶表示装置に具現化させた例を掲げ、図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施の形態のみに限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の5原色表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1ピクセルがR、Y、G、B、Cの5色のサブピクセルで構成され、5つのサブピクセルはストライプ状に配置される表示装置であって、R、G、Y、C、B又はR、C、Y、G、Bの順にサブピクセルを配置する形態である。1つの画素を構成する5つのサブピクセルの配列、及び、この場合のY値とサブピクセルの配列との関係を図1−aとb、及び、図1−cとdに示す。本実施形態においては、サブピクセルYの幅が他の4つのサブピクセルよりも広いことが好ましい。
この他にも、本発明の5原色表示装置を構成する実施形態としては、1ピクセルがR、Y、G、B、Wの5色のサブピクセルで構成され、5つのサブピクセルはストライプ状に配置される表示装置において、R、G、W、Y、B又はR、Y、W、G、Bの順にサブピクセルを配置する形態が挙げられる。この形態のサブピクセルの配置を図2−a及びbに示す。
【0024】
図1−aとb、及び、図1−cとdに示されるように、Y値(輝度値)を基準にしてサブピクセルを配列し、Y値が高いサブピクセルほど画素の中央付近に配置する。この場合、Y値の最も高い色のサブピクセルであるYを5つのストライプ状に配置されたサブピクセルの中央に配置し、Y値の高いものから低い順に5つのサブピクセルの中央から端に向かって配置されている。これにより、1ピクセル内での色の分離を防ぐという作用効果が発揮されることになる。
【0025】
これに対して従来では、図12に示されるようにサブピクセルを色相順に配列することが一般的であり、この場合、暗い背景の中に白線を1本表示した際に、B/CとYが分離して認識されてしまうことになる。本実施形態のように5色の場合には、色相順にRYGCBとするのではなく、RGYCB又はRCYGBと配列することにより、白線表示における色分離を解消して表示品位を向上することが可能となる。
【0026】
図3は、本発明の実施形態における5原色(RGYCB)表示装置の回路構成を示す概念図である。この場合、基板(1)上に画素が設けられ、走査信号回路(2)とデータ駆動回路(3)により画像表示するための信号が各画素に伝達されることになる。図3−a,bにおいては、行方向(横)に4個、列方向(縦)に3個の画素が配置され、それぞれの画素はRGYCBのサブピクセルの配置パターンからなる(左上の画素のみRGYCBを表記しているが、他の画素も同様である。)。
図3−aは白ベタ表示の場合であり、各画素が白色表示の状態にあり、図3−bは白線表示の場合であり、列方向(縦)に一本の白線が表示されるように列方向(縦)の一列の画素だけ白色表示の状態にある。図中においては、白線が表示される状態にはない画素が網かけ表記で概念的に示されている。
図3−cは図3−bの場合の画面表示を示す概念図であり、黒の背景に白線が表示された状態を示している。なお、図3において、1つの画素はRGYCBの配列のサブピクセルにより構成され、このような画素により基板(1)上のすべての画素が構成されている。
本実施形態においては、Y値の高いサブピクセルを画素中央に配置しているため色の分離が起きにくく、白線が1本の線として認識されやすくなる。
【0027】
一方、図13は、従来の表示装置の回路構成を示す概念図である。この場合も上述したのと同様に各画素に信号が伝達されることになり、図13−aに白ベタ表示の場合、図13−bに白線表示の場合、図13−cに図13−bの場合の画面表示が示されている。図13においては、1つの画素はRYGCBの配列のサブピクセルにより構成され、このような画素により基板(1′)上のすべての画素が構成されている。
このような従来の表示装置においては、RYGによるY系とCBによるB系の線に分離することになる。
【0028】
図4は、4原色表示装置を構成する画素の実施形態の一つであり、1ピクセルがR、W、G、Bの4色のサブピクセルで構成され、4つのサブピクセルはストライプ状に配置される表示装置において、R、W、G、B又はR、G、W、Bの順にサブピクセルを配置する形態である。1つの画素を構成する4つのサブピクセルの配列、及び、この場合のY値とサブピクセルの配列との関係を図4−aとb、及び、図4−cとdに示す。
この他にも、本発明の4原色表示装置を構成する実施形態としては、1ピクセルがR、Y、G、Bの4色のサブピクセルで構成され、4つのサブピクセルはストライプ状に配置される表示装置において、R、G、Y、Bもしくは、R、Y、G、Bの順にサブピクセルを配置する形態が挙げられる。
【0029】
図4−aとb、及び、図4−cとdに示されるように、Y値(輝度値)を基準にしてサブピクセルを配列し、Y値が高いサブピクセルほど画素の中央付近に配置する。この場合、Y値の最も高い色のサブピクセルであるWを4つのストライプ状に配置されたサブピクセルの中央領域の2つのうちのいずれかに配置し、中央領域のもう1つのサブピクセルに次いでY値が高いGを配置することにより、Y値の高いものから低い順に4つのサブピクセルの中央領域から端に向かって配置されることになる。これにより、1ピクセル内での色の分離を防ぐという作用効果が発揮されることになる。
【0030】
これに対して従来では、図11に示されるようにサブピクセルのWの位置について考慮されていないことから、暗い背景の中に白線を1本表示した際に、線が分離して認識されてしまうことになる。本実施形態のように4色の場合には、色相順にRGBWとするのではなく、RWGB又はRGWBと配列することにより、表示品位を向上することが可能となる。
【0031】
またサブピクセルが6色の場合も、色相順に、RYGCBMとするのではなく、図5−aとbに示されるようにMRGYCB又はMRYGCBとする形態が好適である。Mはマジェンタ(マゼンタ)である。Wを用いた6色の場合には、図6に示されるようにRGYWCBとする形態が好ましい。このように、1つの画素に4色以上のサブピクセルを用いる形態であれば、Y値の高い色のサブピクセルを画素の中央領域に配置するという本発明のサブピクセルの配列を適用することができる。
これらの形態において画素の中央領域とは、サブピクセル数が4個、6個等の偶数の場合には、画素の中央に位置する2つのサブピクセルのいずれかにY値の最も高い色のサブピクセルを配置すればよく、画素の中央に位置する2つのサブピクセルの残りにY値の次いで高い色のサブピクセルを配置することが好ましい。また、サブピクセル数が5個等の奇数の場合には、画素の中央に位置する1つのサブピクセルにY値の最も高い色のサブピクセルを配置すればよい。
【0032】
図7には、1つの画素を構成する4つのサブピクセルがストライプ状に配置され、RGYB又はRYGBの順にサブピクセルが配置された表示装置において、画像を形成する複数の画素の配置構成が概念的に示されている。この場合には、RGYBの配列画素とRYGBの配列画素とが格子状又は市松状に縦横交互に配置されている。また、図8には、RWGB又はRGWBの順にサブピクセルが配置された表示装置において、画像を形成する複数の画素の配置構成が概念的に示されている。この場合には、RWGBの配列画素とRGWBの配列画素とが格子状又は市松状に縦横交互に配置されている。
これらの実施形態において示されるように、サブピクセルの配列として2つ以上の組み合わせを用いる場合、2種以上の画素を格子状又は市松状に配置し、縦横隣り合わせに配置される画素が同じサブピクセルの配列とはならないように配置することにより、表示品位をより向上することが可能である。
【0033】
なお、サブピクセルの輝度は、トプコン社製分光放射計SR−3を用いて、暗室下にて、基板法線方向より、2°視野、測定エリア30mmφ程度で輝度を測定することができる。
また実施の形態における基板は、図9に示されるように、4つのサブピクセルにより1つの画素を構成する場合、1つのサブピクセルの一辺が600μm、他の一辺が150μmであり、240×240画素により構成されるものを用いている。
このような基板構成において、本実施形態の場合には、Y値の高い色のサブピクセルを画素の中央領域に配置した画素(Y値基準画素)により基板を構成することになり、基板を構成する画素の全部をこのようなY値基準画素とすることが好ましいが、白線表示時の色分離が起こりにくくなる限りにおいて、一部の画素をY値基準画素としない形態とすることもできる。一部の画素をY値基準画素としない形態においては、Y値基準画素を主体として基板を構成することになる。この場合、従来のようにY値を考慮しないでサブピクセルを配列した画素を主体とするのではなく、Y値を考慮してサブピクセルを配列した画素を大部分に用いて、実質的にY値基準画素により基板を構成する画素を構成することになる。
【0034】
本発明の実施形態において、ストライプ配列以外の形態としてはマトリクス配列が挙げられる。マトリクス配列の場合も、Y値の最も高い色のサブピクセルを画素の中央領域に配置すればよい。例えば、6色のサブピクセルを用いた2×3配列においては、上下3列の中央にある2つのサブピクセルのいずれかにYを配置すればよく、図10に示されるようにRGBMYCの6色のサブピクセルを用いる場合には、Y値の最も高いYと次いで高いGを上下3列の中央にそれぞれ配置する形態が挙げられる。これにより、実質的にY値の高い色のサブピクセルが画素の中央領域に配置されることになり、本発明の作用効果を発揮することが可能となる。
【0035】
本実施形態の表示装置は、複数の画素により画像が構成され、多原色を用いて表示を行う表示装置であって、1つの画素が複数のサブピクセル(絵素)により構成されることになる多原色表示装置におけるカラー表示技術に広く適用することが可能であり、例えば、液晶テレビ等の液晶表示装置、PDP、有機EL、FED等の各種のディスプレイに好適に適用できるものである。
【0036】
なお、本願は、2004年8月19日に出願された日本国特許出願第2004−240020号を基礎として、優先権を主張するものである。該出願の内容は、その全体が本願中に参照として組み込まれている。
【符号の説明】
【0037】
1:本発明の実施形態における基板
1′:従来の実施形態における基板
2:走査信号回路
3:データ駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ピクセルあたり6色のサブピクセルを含む画素により画像が構成される表示装置であって、
該表示装置を構成する画素は、M(マジェンタ)、R(赤)、G(緑)、Y(黄)、C(シアン)、B(青)又はM(マジェンタ)、R(赤)、Y(黄)、G(緑)、C(シアン)、B(青)の順にサブピクセルがストライプ状に配置された画素を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示装置を構成する画素は、画素の中央に位置する2つのサブピクセルのいずれかに輝度値の最も高い色のサブピクセルを配置し、該2つのサブピクセルの残りに輝度値の次いで高い色のサブピクセルを配置することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、輝度値の高いものから低い順に画素の中央領域から端の領域に向かってサブピクセルを配置した画素を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
1ピクセルあたり4色以上のサブピクセルを含む画素により画像が構成される液晶表示装置であって、該液晶表示装置は、請求項1に記載の表示装置におけるサブピクセルの配列パターンを有するものであることを特徴とする液晶表示装置。

【図1−a】
image rotate

【図1−b】
image rotate

【図1−c】
image rotate

【図1−d】
image rotate

【図2−a】
image rotate

【図2−b】
image rotate

【図3−a】
image rotate

【図3−b】
image rotate

【図3−c】
image rotate

【図4−a】
image rotate

【図4−b】
image rotate

【図4−c】
image rotate

【図4−d】
image rotate

【図5−a】
image rotate

【図5−b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13−a】
image rotate

【図13−b】
image rotate

【図13−c】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−76100(P2011−76100A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246494(P2010−246494)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【分割の表示】特願2006−531299(P2006−531299)の分割
【原出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】