説明

多孔性の鉱物質支持体の含浸法およびそのための噴霧装置の使用

【課題】著しく多孔性の材料をできるだけ経済的に材料の希釈なしに十分に均一に含浸し、ならびに落書き防止用含浸の改善された材料塗布を可能にする効果的な方法を提供する。
【解決手段】多孔性の鉱物質支持体を噴霧技術によって含浸するための方法の場合に、ガスで支持された噴霧装置を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を阻止し、場合によっては油を阻止し、また場合によっては汚れおよび落書き(Graffiti)を阻止する、多孔性の鉱物質支持体の含浸のため、殊に建築材料の処理のための特殊な噴霧技術の方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性の鉱物質支持体、即ち建築材料、例えばファイバーセメント、コンクリート、砂岩、石灰岩、天然石、人造石、ガラスウール生成物およびミネラルウール生成物、煉瓦、モルタル、上塗り、テラコッタ、セラミック、灰砂煉瓦、ファイバーセメント板ならびにミネラルファイバー板、セメントが結合した建築材料または粘土が結合した建築材料を疎水性含浸剤の塗布によって侵入する湿分から有効に保護しうることは、久しく公知である。このために、多数の液体含浸剤が適している。市場には、金属石鹸、例えばステアリン酸塩、人造樹脂、例えばアクリレート樹脂、エポキシドアルキド樹脂またはポリウレタン樹脂、珪素を基礎とする生成物、例えばアルキルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシロキサン、シリコーン並びにシリコーン樹脂の天然のロウおよび油を基礎とする生成物が存在する。付加的に、親水化は、弗素化生成物、例えばテフロン、変性されたフルオロアルキル基樹脂、フルオロアルキルアルコキシシラン、フルオロアルキルアルコキシシロキサン、フルオロアルキルヒドロキシシロキサンまたはフルオロシリコーンの使用によって達成されうる。
【0003】
この種の疎水化および親水化の利点は、刊行物に記載されており、当業者に十分に公知である。疎水化および親水化の有効性を記載するための方法は、同様に刊行物に公知である。この立場で疎水化に関しては、例えばGuetegemeinschaft Antigraffitiの"Bewertung von Verfahren, Technologien und Materialien zur Graffitientfernug und Graffitiprophylaxe"(ReGG), Copyright 2000 by Labor Dr. Kupfer, Alt Stralau 54, 10245 Berlinの規則本に記載された、侵入深さおよび水吸収量の減少率ならびに親水性および落書き防止特性に関連する機能試験が挙げられる。
【0004】
液体含浸剤は、一般にフローコーティング法、例えば刷毛塗り、吹き付け、浸漬によって、例えば刷毛またはローラーを用い、またビルヒマイヤー噴霧器(Birchmeierspritz)またはエアレス装置を用いて十分に塗布される[MBT AG社の一連の刊行物, Meynadier "Bautenschutz und Instandsetzung, 第1部:Partielle Instandsetzung und Oberflaechenschutz, 第4号 2000年1月, ISBN 3-907075-04-8, 第92頁、第95頁および第98頁;"Verarbeitungshinweise fuer DYNASYLAN(登録商標)BHNおよびBSM 40%", 1995年10月, Huels AG社; "WackerSilicone fuer den Denkmalschutz", 1975年4月, 第6頁;Dr. M. Roth Bautenschutzmittel Sonderdruck "Anstriche und Impraegnierungen auf Naturstein", Wacker Chemie GmbH社; "Wackersilicone Bautenschutzmittel", 1981年5月, 第10頁;生成物情報 Wacker BS(登録商標)SMK 1311, Wacker BS(登録商標)1001, Wacker BS(登録商標)1701, Wacker BS(登録商標)290, Wacker BS(登録商標)Creme C, Wacker BS(登録商標)28, Wacker BS(登録商標)29(全て2001年3月)"]。
【0005】
この場合、このようなフローコーティング法の場合の欠点は、建築材料が吸収する状態にあるように多量の液体含浸剤が塗布されることである(例えば、Schriftenreihe der MBT, Meynadier Bautenschutz mit Hydrophobieren, Heft 2, Maerz 1999, R. Hager "Silicone fuer die Hydrophobierung", 第16頁参照)。従って、高すぎる生成物消費量が生じることがなく、さらに疎水化の結果が局部的に強く変動することが回避されるようにするために、含浸剤は付加的に希釈されなければならない。
【0006】
例えば、吸収能を有する煉瓦をフローコーティング法で処理する場合には、約1 l/mおよびそれ以上の生成物使用量が生じうる。こうして、濃縮され、即ち溶剤を含まない生成物を使用する場合には、不必要に高い生成物使用量が生じ、この場合この生成物使用量は、高い費用を惹起し、多くの場合には、使用技術的にも不利である。即ち、このような場合に、例えばシロキサンおよびシリコーン樹脂を基礎とする生成物の場合には、粘着性の審美的でない樹脂被膜が表面上に生じる。良好に浸透する物質、例えば単量体のアルキルトリアルコキシシランまたは短鎖状アルキルアルコキシシロキサンの場合には、吸収能を有する支持体上でのこのように高い塗布量の場合に数センチメートルの侵入深さを生じる。この作用物質は、高価であり、望ましい作用のためには、一般に約1cmの範囲の侵入深さで十分であるので、溶剤は、価値の高い作用物質を希釈するために使用される。この溶剤は、一面で乳化系の場合には水であってもよいし、被覆剤を基礎とする系の場合には、アルコールまたはベンジン炭化水素であってもよい。
【0007】
しかし、水溶性生成物を使用する場合には、溶剤が雰囲気中に到達するかまたは多くの建築材料が長い乾燥時間を示すことは、不利であり、このことは、殊に例えばファイバーセメント板を工場側で疎水化する場合に不利に作用する。それというのも、製造工程で付加的な乾燥工程が生じるからである。
【0008】
また、できるだけ均一な生成物の塗布を達成するために、液体含浸剤を数回ウェット・オン・ウェット塗布することは、望ましい。即ち、例えばHuels社のパンフレットには、DYNASYLAN(登録商標)BHNおよびBSM 40%についての加工法を指摘しながら建築材料を保護するために、垂直方向の面に長さ30〜50cmの液状で遊ぶ排出カーテンを目視することができることが推奨されている。また、また、よりいっそう小さな面積に対しては、この効果を達成させるために、ポットから垂直方向の面に向かって注入を行なうことができる。
【0009】
例えばエアレス技術において、ならびにビルヒマイヤー噴霧の場合に達成されるような高い圧力下での含浸液体の霧化は、阻止される。それというのも、形成されるエーロゾル小液滴は、一面で健康的に懸念され、他面、蒸発およびスプレー飛沫によって著しい生成物損失が起こりうるからである。エアレス技術の場合には、一般に2バールを上廻るノズル内圧で作業される。即ち、塗装領域において、エアレス技術は通常7〜14バールの圧力範囲内で使用され、その際に極めて微細な霧が発生される。
【0010】
吸収能を有する支持体、例えば多くの天然石、例えばオイヴィル(Euville)またはサヴォニール(Savonniers)、またはファイバーセメント建築材料またはミネラルファイバー遮断板は、殊に望ましい2回のフローコーティング法を使用する場合に、1m当たり数kgの材料使用量が生じるような高さの多孔度を有している。このような場合に作用物質含量を制御するために、希釈された溶液または希釈されたエマルジョンを用いて作業される。これは、溶剤を使用しなければならないかまたは費用を掛けて作用物質を水で希釈可能なエマルジョンに加工しなければならないという欠点を有している。
【0011】
完成建築材料を工場側で含浸する場合には、溶剤の使用は、特に不利である。それというのも、有機溶剤の場合には、蒸発工程によって空気との爆発性混合物が生じる可能性があり、水を溶剤(乳化)として使用する場合には、長い乾燥時間を許容しなければならないからである。その上、例えば存在するファッサードの疎水化の際の溶剤の使用は、経済的に極めて不利である。
【0012】
また、落書き防止用含浸の場合にも、フローコーティング法は、満足に使用される。
【0013】
落書き防止用含浸のための改善された多工程法は、欧州特許第1193302号明細書に開示されている。この場合、落書き防止用含浸剤の第1の塗布は、生成物の使用量を制御するために希釈された溶液から行なわれる。更に、塗布は、ビルヒマイヤー噴霧器に対して等価の装置(グロリア(Gloria)噴霧器、運転圧力3バール)を用いて行なわれる。この場合、第1の生成物搬出が希釈された溶液から行なわれることは、不利であり、このことは、高められた作業費および高い乾燥時間を惹起し、第2の塗布工程から生じる霧が問題を引き起こす可能性があり、ならびに明らかに簡単で不均一な材料の塗布を余儀なくされる必要性は、機械的な後処理を必要とし、このことは、より高い材料使用量および個々の層の塗布の間の長い待ち時間をまねきうる。
【0014】
空気で支持されたHVLP噴霧技術またはLVLP噴霧技術(high volume low pressureまたはlow volume low pressure)が塗装技術に使用されることは、公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許第1193302号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Guetegemeinschaft Antigraffitiの"Bewertung von Verfahren, Technologien und Materialien zur Graffitientfernug und Graffitiprophylaxe"(ReGG), Copyright 2000 by Labor Dr. Kupfer, Alt Stralau 54, 10245 Berlin
【非特許文献2】MBT AG社の一連の刊行物, Meynadier "Bautenschutz und Instandsetzung, 第1部:Partielle Instandsetzung und Oberflaechenschutz, 第4号 2000年1月, ISBN 3-907075-04-8, 第92頁、第95頁および第98頁
【非特許文献3】"Verarbeitungshinweise fuer DYNASYLAN(登録商標)BHNおよびBSM 40%", 1995年10月, Huels AG社
【非特許文献4】"WackerSilicone fuer den Denkmalschutz", 1975年4月, 第6頁;Dr. M. Roth Bautenschutzmittel Sonderdruck "Anstriche und Impraegnierungen auf Naturstein", Wacker Chemie GmbH社
【非特許文献5】"Wackersilicone Bautenschutzmittel", 1981年5月, 第10頁
【非特許文献6】Schriftenreihe der MBT, Meynadier Bautenschutz mit Hydrophobieren, Heft 2, Maerz 1999, R. Hager "Silicone fuer die Hydrophobierung",第16頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、さらに多孔性の鉱物質支持体を含浸するためのできるだけ経済的で同時に効果的な方法を提供するという課題が存在した。殊に、著しく多孔性の材料をできるだけ経済的に材料の希釈なしに十分に均一に含浸し、ならびに落書き防止用含浸の改善された材料塗布を可能にするという課題が存在した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
課された課題は、本発明によれば、特許請求の範囲の記載に相応して解決される。
【0019】
次に記載された特許明細書、殊に欧州特許第1101787号明細書、欧州特許第1193302号明細書、欧州特許第0814110号明細書、欧州特許第1205481号明細書の記載が、本発明の記載内容に含みうることは、表現的に指摘される。
【0020】
意外なことに、多孔性の鉱物質支持体、殊に著しく多孔性の建築材料の疎水的含浸、親水的含浸および/または汚れを阻止する含浸のために、ガスで支持された噴霧技術、HVLP(high volume low pressure)技術またはLVLP(low volume low pressure)技術を特に有利に、それというのも特に経済的に顕著な含浸結果および高い環境認容性ならびに簡単で確実な取り扱いを生じるので有利に使用することができることが見い出された。有利に圧縮空気で作業する噴霧装置は、使用の際、殊に建築材料の使用のために、空気で支持されていない噴霧技術(エアレス法)と比較して、所謂スプレー飛沫を殆んど生じないという利点を提供する。これとは異なり、エアレス法の場合には、液体小液滴の著しい再衝突によって液体の著しい流去が生じ、それによって高められた材料使用量が生じる。本発明による方法の場合の特に2バール未満の僅かな噴霧圧力は、付加的に明らかに僅かに霧を発生させる。本発明による実施例において示されているように、これは、意外なことに多孔性の材料の含浸の際にプラスの効果も生じる。特に意外なことに、ガスで支持された噴霧技術を使用する場合に十分に溶剤を断念することができ、純粋な作用物質を、この作用物質が幅広く液状ないし高粘稠であるように直接に塗布することができるという事実が存在する。フローコーティング法における作業工程で100mlを上廻る含浸剤を吸収する多孔性の材料は、これまで希釈された含浸剤を必要とした。本発明による方法によれば、殊にこのような支持体の場合には、本質的に希釈されていない液状の含浸作用物質を使用することができる。しかし、本発明による方法の場合には、希釈されたかまたは乳化された作用物質系を使用することもできる。更に、エアレス技術と比較して本発明による方法の意外な利点は、例えば欧州特許第1101787号明細書の記載およびその改善された欧州特許第1193302号明細書の記載と同様に液体作用物質を用いての落書き防止用含浸の場合に明らかになる。本発明による技術を用いた場合には、材料の節約に関連して、第1の含浸のための含浸溶液の希釈を断念することができる。更に、満足な落書き防止用含浸性能に必要とされる連続的含浸は、均一に僅かな費用で塗布を行なうことができる。付加的に、含浸工程の間の待ち時間は、新しい改善された技術の場合に明らかに短縮されている。
【0021】
従って、本発明の対象は、多孔性の鉱物質支持体を噴霧技術によって含浸するための方法であり、この方法は、ガスで支持された噴霧装置を使用することによって特徴付けられており、それによって好ましくは制御された方法で液体含浸剤は、多孔性の鉱物質支持体の表面上に、使用量が従来の塗布方法の場合をフローコーティング法によって明らかに下廻る使用量で塗布される。
【0022】
特に、本発明による方法を実施する場合には、本質的に(i)ノズル系と(ii)ガス圧またはガス量のための調節単位装置を含めてガス圧縮単位装置と(iii)場合によっては液体供給単位装置ならびに液体調節単位装置を含めて液体含浸剤のための貯蔵単位装置とからなる、ガスで支持された噴霧装置が使用され、この場合(ii)から(i)への結合は、ガスの供給のために存在し、(iii)から(i)への結合は、ノズル系に液体を供給するために存在する。
【0023】
即ち、好ましくは、例えば本発明による方法の場合には、Sata社、Optima社、Devilbiss社、Elektra Beckum社、Elmag社、Graco社およびWalter Pilot社によって販売されているような所謂HVLP技術またはLVLP技術(米国特許第5799875号明細書、米国特許第5064119号明細書、米国特許第4744518号明細書、米国特許第4759502号明細書、米国特許第5050804号明細書)の空気で支持された噴霧装置を使用することができる。
【0024】
従って、また、本発明の対象は、作用物質として珪素化合物を含有する含浸剤を用いての多孔性の鉱物質支持体の含浸のため、有利に構造物保護のためおよび殊に落書き防止のために使用するための、本質的に単位装置(i)、(ii)および(iii)からなるガスで支持された噴霧装置の使用である。
【0025】
本発明による方法の場合には、殊にノズル系により運転される噴霧装置は、有効であることが実証され、この場合には、エアレス技術とは異なり、圧縮された空気がノズル系中に供給される。ノズル系は、1個以上のノズルからなることができ、場合によっては自動化されて含浸すべき表面上に導かれることができる。
【0026】
ノズル内圧は、本発明による方法の場合には、一般に生成物の損失をまねきかつまた作業安全技術的に危険を生じうる望ましくない霧を十分に回避させるために、有利に過圧2バール未満、特に有利に過圧1バール未満、殊に有利に過圧0.7バール未満である。
【0027】
本発明によれば、ガスで支持された噴霧装置は、大気圧と比較して0.05〜2バール以下の過圧で運転される。この場合には、別のガスまたは空気としてのガス混合物を使用することができ、例えば若干の例を挙げるとすれば、希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素を使用することができる。
【0028】
0.5〜150000mPasの粘度範囲内の液体含浸剤の場合には、有利に4mm未満の直径を有する噴霧ノズルが使用され、特に有利には、0.5〜3.5mmのノズル直径が使用され、殊に有利には、0.7〜3mmのノズル直径が使用される。
【0029】
液体通過量および空気通過量は、適当に異なる独立の弁により調節可能である。特に有利には、液体の流れの調節のために、ニードル弁がノズル系中に使用される。空気流は、有利に別々のコンプレッサーにより発生される。コンプレッサーは、空気流を調節する噴霧ノズルについての可能性が全く存在しない場合には、可変の供給効率を有する。この可能性が存在する場合には、一定の供給効率を有するコンプレッサーを使用することができる。供給効率は、ノズル1つにつき100 l/分を上廻り、有利に1000 l/分を上廻り、特に有利に2500 l/分を上廻る。
【0030】
含浸剤としては、本発明による方法の場合、但し、この場合には、常にシラン、シロキサンおよびシリコーンの希釈された溶液ならびに珪素化合物を含有するエマルジョンを含むものとし、自体公知の全ての液体疎水化剤および液体親水化剤を使用することができる。
【0031】
しかし、特に有利には、珪素を基礎とする含浸剤、例えば有機官能性シラン、シロキサン、シリコーン、シリコーン樹脂またはシリコネートが殊に本発明による方法の第1の塗布工程に使用される。しかし、他の塗布工程、即ちもう1つの噴霧工程が先行しているような連続的含浸の場合には、珪素化合物を基礎とする、有機溶剤中もしくは水中の溶液またはこれらの低粘稠もしくは高粘稠な水性エマルジョン(水中油型または油中水型)が使用されてもよい。
【0032】
特に有利に、一般式I
−Si(R(OR3−a (I)
〔式中、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、それぞれ部分的にかまたは完全にハロゲン、殊に弗素によって置換されていてもよい、1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、有利にn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−オクチル、イソオクチル、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロオクチルを表わすかまたは直鎖状または分枝鎖状のアルキル鎖を有するアリール基またはアラルキル基を表わし、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基または第三ブチル基を表わし、aは、0に等しいかまたは1または2に等しい〕で示される単量体のシランは、本発明による方法で使用するための作用物質または含浸剤として適している。
【0033】
本明細書中で例示的には殊に次のシラン作用物質が挙げられる:
n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、イソヘキシルトリメトキシシラン、イソヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン。
【0034】
勿論、本発明による方法の場合には、式Iの枚挙されたシランからのシラン混合物または部分水解物を使用することができるかまたはこれらシラン混合物または部分水解物を作用物質または含浸剤としての単量体のオルガノシランとの混合物で使用されることができる。その上、例えば欧州特許第0814110号明細書および欧州特許第1205481号明細書に記載されたようなシロキサン混合物を使用することができる。複数の親水性成分としてかまたは単独での親水性成分として、一般に支持体の表面で相互作用を許容する反応性基を有する液体フルオロポリマー、または溶解されたフルオロポリマー、フルオロシリコーンまたは欧州特許第1101787号明細書に記載されているような系を使用することもできる。
【0035】
本発明による方法の場合、シリコーン含浸剤としては、例えばメチルシロキサンもしくはメチルシリコーン樹脂または記載された含浸剤の相応する混合物を使用することができる。
【0036】
好ましくは、本発明による方法の場合には、含浸剤は、0.5〜150000mPasの粘度範囲内、特に有利に0.65〜1000mPasの粘度範囲内、殊に有利に0.65〜100mPasの粘度範囲内で使用される。
【0037】
特に、作用物質は、希釈されずに溶剤を含まないで使用される。しかし、この作用物質は、必要に応じて、例えば純粋な作用物質が使用不可能であるかまたは非液状であるかまたは高すぎる粘度を有する場合または連続的な含浸工程の場合には、溶液で使用されてもよいし、水性エマルジョンとして使用されてもよい。
【0038】
支持体としては、一般に多孔性の鉱物質下地、特に乾燥状態で200g/mを上廻る水を吸収することができる前記下地、特に有利に300g/mを上廻る水を吸収することができる前記下地が適しており、この場合には、水吸収能の確認のために一般に相応する試験片が乾燥箱中で状態調節前に秤量され、この試験片は、1回5秒間、水中に浸漬され、質量の増加が確認される。
【0039】
本発明によれば、1回の噴霧工程につき有利に塗布される含浸剤の量は、1〜200g/m、特に有利に1〜100g/m、殊に有利に5〜75g/mである。疎水化のための含浸の場合には、一般に1回の塗布工程で十分である。しかし、本発明による噴霧工程は、数回順次に実施することができ、有利には、2回、3回、4回ないし10回まで連続的にかまたはなおさらに頻繁に実施することができる。即ち、落書き防止用被覆は、殊に欧州特許第1101787号明細書に記載されているような生成物を用いて実施する場合には、複数の噴霧工程または含浸工程を必要とし、この場合には、先行した含浸によりなお乾燥されていない(ウェット・オン・ウェット塗布)際に、連続的な含浸を先行する含浸に続けることができる。
【0040】
しかし、先行した含浸に乾燥を続けることができ、その後に直ぐ次の含浸を開始させることもできる。噴霧された支持体表面は、なお均一な液体分布を表面に生じさせるために、機械的に簡単に、例えば刷毛または布切れで後処理されることができる。しかし、後処理は、通常、不要である。
【0041】
本発明による方法は、これまで構造物保護に使用された噴霧方法とは、殊にガスで支持された噴霧装置を使用しながら主に方向付けされた空気流によって微細な含浸剤小液滴を計量供給し、十分に方向付けられて支持体表面上に得ることができ、即ちこの場合には、エアレス噴霧単位装置によって高い圧力で発生されるような欠点を有するエーロゾル霧は、全く生成されないことによって区別され、また、この場合には、フローコーティング法でエアレス技術を用いて低い圧力で作業する際に観察されるような高い生成物使用量は生じない。
【0042】
即ち、一定の条件下で本発明による噴霧法は、この技術が極めて微細な噴霧小液滴を供給しかつ微細な霧が通常の教示により含浸の実施の際、例えば建築材料をシラン、シロキサンまたはシリコーンを基礎とする含浸剤で疎水的に含浸されることを回避させるとしても、含浸の実施の際に特殊な利点を生じることが見い出された。LVLP技術またはHVLP技術の本発明による使用は、例えば60g/m未満の最も少ない塗布量の際に、例えばファッサードの建築、防火遮断層および天井の建築において使用することができるような高度に多孔性の支持体上、例えば多くの天然石、例えばサヴォニール、オイヴィル等、または高度に多孔性のファイバーセメント板またはミネラルファイバー板上への液体含浸剤それ自体の意外にも均一な塗布を可能にする。殊に、侵入深さおよび水吸収量の減少によって有効にされるかまたは落書き防止用被覆の際に機能試験によって有効にされる、本発明による含浸の作用は、最も少ない生成物使用量にも拘わらず意外なことに比較可能であり、むしろ常用の技術、例えばフローコーティング法で達成される生成物使用量よりも良好である。更に、本発明による方法は、点状で正確な塗布可能性を保証し、それによって費用のかかる高価な被覆作業を不用にすることができ、生成物の損失は、実際に生じない。また、本発明による含浸技術は、本質的に溶剤を含まない濃厚物を可能にし、この場合常用の技術の場合には、作用物質の使用量を制御しうるために、フローコーティング法で溶剤で希釈された生成物または水で希釈可能なエマルジョンを使用しなければならない。従って、本発明による方法は、十分に溶剤を断念することができ、同様に費用のかかる乳化剤技術の使用を回避することができる。それによって、本発明による方法は、構造物保護にとって著しい生態学的利点、毒物学的利点および経済的利点をもたらす。
【0043】
本発明を次の例および比較例によって詳説する。
【実施例】
【0044】

例中に記載された試験方法は、構造物保護のために常用されており、以下に詳説されている:
(1)水吸収量の減少率の測定
規定には、鉱物質建築材料についての疎水化品質の試験が記載されている。疎水化された試験体の水中貯蔵によって、水の吸収量が測定され、水の吸収量と参照試験体(未処理の試験体)との比較によって、疎水化された試験体の水吸収量の減少率が測定される。
【0045】
水の吸収量を測定するために、処理された試験体および未処理の試験体は、水道水中で貯蔵される(水中貯蔵)。このために、処理された試験体および未処理の試験体は、別々に水道水で充填された槽中に入れられる。水位は、試験体の上方の約1cmの処にある。
【0046】
24時間の水中貯蔵の後、質量の増加を0.1g宛の秤量によって正確に測定する。全ての秤量前に、表面に付着する水をパルプ製布地で拭き取る。
【0047】
試験報告において、疎水化された試験体ならびに参照試験体については、次のように記載することができる:
1.水貯蔵前のgでの質量
2.水貯蔵してから24時間後のgでの質量
3.gでの質量差
4.試験体の初期質量に対する絶対%での水吸収量
5.未処理の試験体に対する相対%での水吸収量
6.%での水吸収量の減少率
【0048】
(2)侵入深さの測定
この方法は、鉱物質建築材料中への含浸剤の侵入深さを測定するために使用される。
【0049】
侵入深さの測定のために、処理された試験体は、2つの部分に割られ、破断面は、それぞれ水性塗料系で湿潤される。含浸されていない帯域は、呈色されており、含浸された帯域は、無色のままである。処理された表面の幅は、呈色の境界面に到るまで、試験体の8つの異なる位置で測定される。それによって、それぞれ侵入深さ(mmで)の平均値が計算される。
【0050】
(3)落書き防止用機能試験は、Guetegemeinschaft Antigraffitiの"Bewertung von Verfahren, Technologien und Materialien zur Graffitientfernug und Graffitiprophylaxe"(ReGG), Copyright 2000 by Labor Dr. Kupfer, Alt Stralau 54, 10245 Berlinの規則本に詳細に記載されている。
【0051】
例で使用された試験は、上記の試験規定に依拠し、次のように記載されている:
試験塗料としては、次のものが使用されている:
1.エディング社(Edding AG) アーレンブルク(Ahrensburg)
エディング(Edding) 800 パーマネントマーカーブラック(Permanent Marker Schwarz)
2.デュプリカラー(Dupli-Color)
アクリル塗料RAL3000ファイアーレッド(feurrot)
3.ハーゲバウ(Hagebau)(建築市場)
アルキド塗料 吹付塗料 高光沢 フクシアピンク
4.トゥーム(Toom)(建築市場)
ジーニアスプロアクア彩色吹付塗料(Genius Pro Aqua Buntspruehlack)高光沢のリンドウブルー
5.MZZE ヒップホップメイルオーダー(Hip Hop Mailorder)
オンザランスーパーフレッシュカラーマーカーブルー(On The Run superfresh Color Marker blau)
6.MZZE ヒップホップメイルオーダー(Hip Hop Mailorder)
モロタウ(Molotow)XXLクラシックイースターイェロー(Classic Ostergelb)
7.MZZE ヒップホップメイルオーダー(Hip Hop Mailorder)
モロタウ(Molotow)XXLクラシッククロム(Classic Chrom)
8.MZZE ヒップホップメイルオーダー(Hip Hop Mailorder)
モロタウ(Molotow)XXLデヴィルカラーピッチブラック(Devil Colors Pechschwarz)
9.MZZE ヒップホップメイルオーダー(Hip Hop Mailorder)
モロタウ(Molotow)XXLクラシックウルトラマリンブルー(Classic Ultramarinblau)
10.MZZE ヒップホップメイルオーダー(Hip Hop Mailorder)
カバーズオールビチューメンコンビネーションブラック(Covers All Bitumen kombination schwarz)
実施:
建築材料、例えばコンクリート、砂岩、クリンカー等は、グラフィッティ保護剤が備えられている。それぞれ使用される建築材料1個につき空試験体(グラフィッティ保護なしの建築材料)を比較のために設けることは、強制的に予め記載されている。
【0052】
測定された結合時間の後、塗料は機能試験にもたらされる。塗料は、室温で7日間、乾燥のために実験室内に放置される。
【0053】
試験中に不変の清浄装置(場合によっては清浄系)を用いて、表面は清浄化される。そのために、清浄剤が施こされ、約15〜20分間の作用時間後に高圧清浄装置(50バール、非加熱)を用いて除去される。この方法は、なお認めることができる塗料残基の場合に支持体表面上で石の2〜3時間の乾燥(室温)後になお1回繰り返される。
【0054】
試験結果の評価:
試験結果として、清浄化の結果の写真による証拠によって支持される目視の評価が確定される。
【0055】
清浄化の結果の目視の評価は、次のように行なわれる:
0〜30%の除去(本質的に塗料の除去なし):1ポイント
30〜75%の除去(部分的な塗料の除去、明らかに確認できる色の輪郭):2ポイント
75〜90%の除去(大部分の塗料の除去、確認できる輪郭的な影):3ポイント
90%を上廻る除去(有効な塗料の除去、確認できる輪郭的なぼんやりした影):4ポイント
残分のない塗料の除去(細孔内に個々の有色顔料が許容されている):5ポイント
機能試験の試験結果:
清浄化後、全ての個々の色点の目視の評価によりCi値が測定される。このCi値は、次のように計算される:
Ci値=(付加される個々の色点の色の数×20)/(色点の数)
Ci値最大=100
HVLP噴霧器:
例において使用されるHVLP噴霧器は、企業内商品名"The Fuji Super System uses the Ametek-Lamb Electric 3-stage turbine motor type # 116765"を有するFuji Industrial Spray Equipment Ltd.社 Tronto Ontario Canada在の市販の装置である。例の実施の際には、直径1mmを有する噴霧ノズルが使用された。コンプレッサーは、約2850 l/分の供給効率で約0.5バールの過圧で運転した。
【0056】
例1(比較例)
浸漬による溶剤不含の100%系(イソブチルトリエトキシシラン)を有するファイバーセメントの疎水化
希釈されていない所謂"100%系"としての含浸剤は、98質量%以上の市販の純度を有するイソブチルトリエトキシシランである。
【0057】
寸法10×15cm(0.015mに相当する)を有するファイバーセメントからなる外側領域のためのPlycem社の厚さ11mmのファッサード板を2回5秒間外側領域でイソブチルトリエトキシシラン99質量%とテトラブチルチタネート1%との混合物(触媒)中に、含浸すべき板が約1mmの深さで液体中に浸漬されるように浸漬した。吸収された液体が14.48g(約965g/mに相当する)で秤量によって測定された。実験室内で2週間の貯蔵時間(反応時間)後、水吸収量および含浸剤の侵入深さを処理されていない板と比較して測定した。
【0058】
水吸収量の減少率は、88%であり、板は、十分に含浸されていた。
【0059】
例2(比較例)
浸漬による作用物質含量10%(無水エタノール中に希釈された例1からの含浸溶液10%)のシラン系を有するファイバーセメントの疎水化
寸法10×15cm(0.015mに相当する)を有するファイバーセメントからなる外側領域のためのPlycem社の厚さ11mmのファッサード板を2回5秒間外側領域でイソブチルトリエトキシシラン99質量%とテトラブチルチタネート1%との混合物(触媒)中に、含浸すべき板が約1mmの深さで液体中に浸漬されるように浸漬した。吸収された液体が15.1g(約1007g/mに相当し、約100.7g/mの作用物質使用量に相当する)で秤量によって測定された。実験室内で2週間の貯蔵時間(反応時間)後、水吸収量および含浸剤の侵入深さを処理されていない板と比較して測定した。
【0060】
水吸収量の減少率は、約81%であり、板は、約2mmの含浸剤の侵入深さを示した。
【0061】
例3(比較例)
シミュレートしたフローコーティング法による溶剤不含の100%系(イソブチルトリエトキシシラン)を有するファイバーセメントの疎水化
寸法10×15cm(0.015mに相当する)を有するファイバーセメントからなる外側領域のためのPlycem社の厚さ11mmのファッサード板を垂直に置いた。引続き、ピペットで例1からの含浸剤を光沢液体被膜が表面上に生成されるまで上方から板上に塗布した。10.5g(約700g/m)が秤量によって測定された。引続き、板の含浸されていない面を水密のエポキシ樹脂塗料で被覆した。実験室内で2週間の貯蔵時間(反応時間)後、水吸収量および含浸剤の侵入深さを処理されていない板と比較して測定した。
【0062】
水吸収量の減少率は、89%であり、板は、十分に含浸されていた。
【0063】
例4(比較例)
エアレス噴霧による溶剤不含の100%系(イソブチルトリエトキシシラン)を有するファイバーセメントの疎水化
寸法10×15cm(0.015mに相当する)を有するファイバーセメントからなる外側領域のためのPlycem社の厚さ11mmのファッサード板に、ビルヒマイヤー噴霧器に相当する噴霧装置(Gloria Feinsprueher Floretta Kombi)を用いて、液体光沢表面が目視可能であるように例1からの含浸剤を噴霧した。生成物の使用量は、9.65g(約643g/m)で秤量によって測定された。実験室内で2週間の貯蔵時間(反応時間)後、水吸収量および含浸剤の侵入深さを処理されていない板と比較して測定した。
【0064】
水吸収量の減少率は、88%であり、板は、十分に含浸されていた。
【0065】
例5
空気で支持された噴霧技術を使用することによる溶剤不含の100%系(イソブチルトリエトキシシラン)を有するファイバーセメントの疎水化
寸法10×15cm(0.015mに相当する)を有するファイバーセメントからなる外側領域のための厚さ11mmのファッサード板に、HVLP装置を用いて例1からの含浸剤(イソブチルトリエトキシシラン)を1回噴霧した。生成物の使用量は、微量調節弁で板が含浸剤約0.71gを吸収するように調節され、このことは、約47g/mにすぎない生成物使用量に相当した。実験室内で2週間の貯蔵時間(反応時間)後、水吸収量および含浸剤の侵入深さを処理されていない板と比較して測定した。
【0066】
水吸収量の減少率は、約90%であり、板は、約2mmの侵入深さを有していた。
【0067】
例5a
空気で支持された噴霧技術を使用することによるオルガノシラン含有の100%系を有するファイバーセメントの疎水化
寸法10×15cm(0.015mに相当する)を有するファイバーセメントからなる外側領域のためのPlycem社の厚さ11mmのファッサード板に、HVLP装置を用いて次の組成:
例1に記載の欧州特許第1205481号明細書の記載に相当するプロピルエトキシシロキサン98質量%、
ジブチル錫ジラウレート1%(触媒)、
エーロジル(Aerosil)R202 1%(ビーズ形成助剤(Abperlhilfsmittel))
の含浸剤を噴霧した。生成物の使用量は、微量調節弁で板が含浸剤約0.71gを吸収するように調節され、このことは、約74g/mにすぎない生成物使用量に相当した。実験室内で2週間の貯蔵時間(反応時間)後、水吸収量および含浸剤の侵入深さを処理されていない板と比較して測定した。
【0068】
水吸収量の減少率は、約91%であり、板は、約2mmの侵入深さを有していた。
【0069】
例6
多工程法で空気で支持された噴霧技術による落書き防止用含浸剤の塗布
コンクリート石材(DIN18503による複合敷石)にHVLP噴霧装置を用いて例1により欧州特許第1101787号明細書に記載された落書き防止用溶液を、約150g/mの生成物使用量が生じるように含浸した。前記石材の表面を実験室内で約2時間で乾燥させた。引続き、乾燥された表面上に直ぐ次の含浸物をHVLP装置を用いて、65g/mの生成物使用量が生じるように塗布した。1時間の待ち時間後、石材の表面は、乾燥され、この石材に直ぐ次の含浸物を約40g/m2の生成物使用量で塗布した。それによれば、全生成物の使用量は、約3時間の塗布の全体時間の際に約255g/mであった。1週間の待ち時間の後、落書き防止機能試験を実施した。そのために、前記石材を上記の試験規定により塗料で処理し、その後に市販のグラフィッティ清浄装置(Krautol Uniabbeizer)を用いて清浄化した。ビチューメン塗料をドュロテックグラフィッティ−クリーン(Durrotech Graffiti-Clean) 25 ビチューメン清浄装置を用いて除去した。含浸の作用は、卓越していた。100のCi値が達成された。
【0070】
例7(比較例)
多工程組合せ法:フローコーティング法/エアレス噴霧法における落書き防止用含浸剤の塗布
コンクリート石材(DIN18503による複合敷石)を、予め落書き防止溶液1部+水14部の比で希釈された、例1により欧州特許第1101787号明細書に記載された落書き防止溶液で処理した。約415g/m(落書き防止濃厚物28gに相当する)の生成物使用量が生じた。前記石材の表面を実験室内で約4時間で乾燥させた。引続き、乾燥された表面上に直ぐ次の含浸物を希釈されていない落書き防止用含浸剤と一緒に、ビルヒマイヤー噴霧器に相当する噴霧装置(Gloria Feinsprueher Floretta Kombi)を用いて、200g/mの生成物使用量が生じるように塗布した。均一な液体被膜を達成させるために、噴霧された生成物を刷毛で表面中に混入しなければならなかった。2時間の待ち時間後、石材の表面は乾燥され、この石材に直ぐ次の含浸物を約163g/mの生成物使用量で塗布した。再び、刷毛による混入が必要であった。例6と同様に落書き防止機能試験における性能を達成させるために、2時間の待ち時間の後にさらに133g/mの生成物使用量での含浸工程が必要であった。それによれば、全生成物の使用量は、約8.5時間の塗布の全体時間の際に約524g/mであった。1週間の待ち時間の後、落書き防止機能試験を実施した。そのために、前記石材を上記の試験規定により塗料で処理し、その後に市販のグラフィッティ清浄装置(Krautol Uniabbeizer / Durrotech Graffiti-Clean 25 Bitumenreiniger)を用いて清浄化した。含浸の作用は、卓越していた。100のCi値が達成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性の鉱物質支持体を噴霧技術によって含浸するための方法において、ガスで支持された噴霧装置を使用することを特徴とする、多孔性の鉱物質支持体の含浸法。
【請求項2】
本質的に(i)ノズル系と(ii)ガス圧縮単位装置および場合によってはガス圧またはガス量のための調節単位装置と(iii)液体含浸剤のための貯蔵単位装置および場合によっては液体供給単位装置ならびに液体調節単位装置からなる、ガスで支持された噴霧装置を使用し、この場合(ii)から(i)への結合は、ガスの供給のために存在し、(iii)から(i)への結合は、ノズル系に液体を供給するために存在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ガスで支持された噴霧装置が過圧2バール以下の圧力範囲で運転される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ジェット噴流を発生させるために、1個以上のノズルからなるノズル系を使用し、この場合には、液体含浸剤の噴霧のために圧縮空気をノズル系中に供給する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ノズル内圧を過圧2バール以下に調節する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
4mm以下のノズル直径を有するノズルを使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
液体流を(iii)から出発して調節弁によって調節する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
単位装置(ii)中でガスとして空気を使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
空気供給量を単位装置(ii)の調節弁によって調節する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
単位装置(ii)の空気流の調節のために、コンプレッサーを使用する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
コンプレッサーが一定不変の空気効率を発生させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
コンプレッサーが可変の空気効率を発生させる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
単位装置(ii)のコンプレッサーが100 l/分以上の空気効率を発生させる、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ノズル系(i)のノズル1個当たりのコンプレッサーが100 l/分以上の空気効率を発生させる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
噴霧装置中のノズル系(i)をオートメーション化して含浸すべき表面上に導く、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
含浸剤として液体疎水化剤および/または液体親水化剤を使用する、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
使用される含浸剤が少なくとも1つの珪素有機化合物を含有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
珪素有機化合物として一般式I
−Si(R(OR3−a (I)
〔式中、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、それぞれ部分的にかまたは完全にハロゲンによって置換されていてもよい、1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わすかまたは直鎖状または分枝鎖状のアルキル鎖を有するアリール基またはアラルキル基を表わし、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基または第三ブチル基を表わし、aは、0に等しいかまたは1または2に等しい〕で示される少なくとも1つの単量体のシランを使用する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、イソヘキシルトリメトキシシラン、イソヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、クロルプロピルトリメトキシシラン、クロルプロピルトリエトキシシラン、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランまたはこれらのシラン少なくとも2つからなる混合物を使用する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
珪素有機化合物として1つ以上のシラン、例えば請求項18または19から認めることができるシランの加水分解および縮合によって得ることができる、少なくとも1つのシロキサンを使用する、請求項17記載の方法。
【請求項21】
珪素有機化合物として欧州特許第0814110号明細書および欧州特許第1205481号明細書に記載されているような少なくとも1つのシロキサンを使用する、請求項17または20記載の方法。
【請求項22】
珪素有機化合物としてシランとシロキサンとからなる混合物を使用する、請求項17から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
珪素化合物を含有する含浸剤として式Iによるシランおよび/またはシロキサンそれ自体を、場合によっては5質量%未満のアルコールの含量、有利にアルコール2質量%未満、特に有利にアルコール1質量%未満と一緒に使用する、請求項17から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
含浸剤としてシリコーン含浸剤を使用する、請求項17記載の方法。
【請求項25】
含浸剤として本質的にシラン、シロキサンおよび/またはシリコーンを含有する低粘稠ないし高粘稠な組成物を使用する、請求項17から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
含浸剤として落書き防止用含浸剤を使用する、請求項17から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
落書き防止用含浸剤がフルオロポリマーを含有する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
フルオロポリマーが鉱物質の下地と相互作用を生じうる反応性基を有する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
落書き防止用含浸剤が欧州特許第1101787号明細書の記載と同様にトリアミノアルキル官能性オルガノシランおよびフルオロアミノアルキル官能性オルガノシランまたはこのようなオルガノシランの混合物を基礎とする少なくとも1つの作用物質を含有する、請求項26から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
作用物質のシラン、シロキサンおよび/またはシリコーンをさらに希釈することなく処理すべき表面上に施す、請求項17から29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
処理すべき鉱物質支持体がファイバーセメント、コンクリート、砂岩、石灰岩、天然石、ガラスウール製品およびミネラルウール製品、煉瓦、人造石、モルタル、上塗り、テラコッタ、セラミック、灰砂煉瓦、セメントが結合した建築材料または粘土が結合した建築材料である、請求項1から30までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
相応する試験体を1回に5秒間水中に浸漬する場合、処理すべき多孔質支持体が乾燥状態で200g/mを超える水を吸収することができる、請求項1から31までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
1回を上廻る塗布工程を実施する、請求項1から32までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
塗布工程1回当たり含浸剤1〜200g/mを塗布する、請求項1から33までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
第1の塗布工程において含浸剤を10〜300g/mの量で塗布し、続く含浸において1〜150g/mの塗布量を塗布する、請求項1から34までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
第1の塗布工程において10〜200g/mの塗布量を塗布し、続く含浸において1〜100g/mの塗布量を塗布する、請求項35記載の方法。
【請求項37】
第1の塗布工程において95〜100質量%のシラン、シロキサンおよび/またはシリコーンの含量を有する含浸剤を使用し、続く含浸の際にシラン、シロキサンおよび/またはシリコーンを0.1〜100質量%以下含有するかまたは珪素化合物を基礎とする低粘稠ないし高粘稠な水性エマルジョンである含浸剤を使用する、請求項1から34までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
さらに噴霧工程をこれまでのウェット・オン・ウェット塗布で行なう、請求項1から37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
噴霧塗布の間に含浸すべき表面が表面的に乾燥しているように見えるのに十分な乾燥時間を維持する、請求項1から37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
作用物質として珪素化合物を含有する含浸剤を用いての多孔性の鉱物質支持体の含浸のための、請求項1から39までのいずれか1項に記載された、本質的に単位装置(i)、(ii)および(iii)からなる噴霧装置の使用。
【請求項41】
構造物保護のための、請求項40記載の使用。
【請求項42】
落書き防止に使用するための、請求項40または41記載の使用。

【公開番号】特開2013−28530(P2013−28530A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180668(P2012−180668)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2003−122631(P2003−122631)の分割
【原出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】