説明

多孔性ケイ酸セラミック体、歯科修復物、及びその製造法

【解決手段】任意に種々の色でありうる、焼結されて第2密度を有するケイ酸セラミック体になることができる第1密度を有する、多孔性、ケイ酸、セラミック体であって、第1密度の、第2密度に対する比が、2/5から98/100、特に、12から98/100であり、第1密度を有する前記多孔性セラミック体の3点曲げ強度が、ISO 6872にしたがって測定した場合、25から180 MPaである、多孔性、ケイ酸、セラミック体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性ケイ酸セラミック体、歯科修復物前駆体、歯科修復物、多孔性ケイ酸セラミック体を調製するためのプロセス、歯科修復物を調製するためのプロセス、及び、本発明による該多孔性ケイ酸セラミック体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科業界では、一般に、CAD/CAM分野では、ブロック、ディスクなどの成形部材において、二つの異なる応用群が区別される:セラミック融合されるスキャフォールド構造のためのセラミックス、及び、いわゆる診療台応用のためのセラミックス又はガラスセラミックス、すなわち、歯科医が、患者のために1回の外来でそれから修復物を研削することが可能で、しかも、その修復物は、完成し、個別化した後、その同じ外来において所定の場所に合着させることが可能なブロックである。そのスキャフォールド材料は、高密度又は多孔性セラミックブロックであり、その場合、多孔性セラミックスから製造されるスキャフォールドは、焼結又はガラス含浸プロセスによって最終形状及び強度を獲得する。診療台応用のためのセラミックスは、高密度セラミック又はガラスセラミック・ブロックであり、研削又は研磨プロセス後、単に機械的に後処理(磨き上げ)するか、又は、最終強度(結晶化焼成)、又は表面仕上げ(いわゆる釉薬焼成)を実現するために、短時間の焼成プロセスを施すかしなければならない。
【0003】
特許文献1は、多孔性ブロックであって、それから、研削又は研磨によって、修復物、例えば、ベニアを調製することが可能なブロックを記載する。この記載のブロックは、酸化物セラミックス、例えば、安定化ZrO2 又はAl2O3.から成る。修復物は、該多孔性ブロックから、特定されない拡大係数を伴って研削され、次いで高密度焼成される。色々とあるが、特に、この修復物はその後セラミック融合しなければならないという欠点がある。
【0004】
特許文献2は、CAD/CAM技術を用いて、長石の多孔性ブロック又はベニアセラミック材料から修復物を調製する方法を記載する。ブロックの理論密度は、高密度焼結後の密度の85%未満である。しかしながら、この記載の方法が不利なのは、拡大係数が研削プロセスに組み込まれておらず、高密度焼成後も、材料にはまだセラミック融合の実施が残っていることである。さらに、この多孔性構造体は、高密度焼結中、耐火性、耐熱性材料の上に支持されなければならないと記載されている。
【0005】
特許文献3は、多孔性ブロックであって、それから、所望の修復物を、拡大サイズではあるが、最終輪郭に近似したサイズに研削することが可能であり、その後に高密度焼結しなければならないブロックを記載する。このブロックは、ZrO2 、Al2O3、一般的酸化物セラミックス、又はガラスセラミックスから成る。記載のプロセスの不利な点は、ブロックが、焼結時、等方性収縮、すなわち、空間の全3方向に等しい収縮を示すことである。さらに、一般に、酸化物セラミックスもやはり、ZrO2 及びAl2O3の場合と同様、セラミック融合しなければならない。
【0006】
特許文献4は、高密度焼結時、多孔性構造体を支持するためのプロセスを記載する。これは、好ましくは焼結される多孔性修復物と同じ材料から成り、焼結時、同じ収縮を有する支持構造体の調製を含む。多孔性修復物は、焼結時、この構造体の上に安着される。多孔性構造体は、ブロック、酸化物セラミックブロックから研削されてもよいし、或いは、懸濁液又はスリップから適用される材料、例えば、ガラス含浸用の酸化物材料又は長石材料から成っていてもよい。このプロセスの難点は、高密度焼結後、支持構造体の残留物を除去しなければならないこと、及び、そのような除去中、修復物の表面に衝撃を受ける恐れがあることである。したがって、形状安定化支持を要しない高密度焼結用材料の方が有利である。
【0007】
診療台プロセス用セラミックスの利点は、美的要求度の高いクラウンが患者に直ぐに提供されることである。難点は加工にある。これらの材料は、高密度であるためきわめて硬く、すなわち、ほとんど又は全く多孔性ではなく、そのため、研削加工は、相当の時間消費を含む。さらに、研削器又は研磨機は、比較的高い硬度のためにきわめて速やかに摩耗するので、特に、修復物の薄い辺縁領域では、「チッピング」とも呼ばれるが、小片が剥がれ/飛ぶ場合がある。
【0008】
修復物表面の後処理、すなわち、天然歯様光沢を実現するために、研削マークを除去すること、及び表面仕上げすることもまた、相当の時間消費を要求し、かつ、表面仕上げのための装置も大きな摩耗を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US-A-5106303
【特許文献2】US-A-5775912
【特許文献3】US-B-6354836
【特許文献4】US-A-6106747
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を回避する物体を提供することである。もう一つの目的は、そのような物体を調製するためのプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、任意に種々の色の、焼結されて第2密度を有するケイ酸セラミック体になることができる第1密度を有する多孔性ケイ酸セラミック体であって、第1密度の、第2密度に対する比が、2/5から98/100、特に、12から98/100であり、第1密度を有する前記多孔性セラミック体の3点曲げ強度が、ISO 6872にしたがって測定した場合、25から180 MPaである、多孔性ケイ酸セラミック体によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】多孔性ケイ酸セラミック体から調製したクラウンの写真。多孔性長石ブロックから調製し、高密度焼結したクラウンの前面図を示す。
【図2】多孔性ケイ酸セラミック体から調製したクラウンの写真。多孔性長石ブロックから調製し、高密度焼結したクラウンの背面図を示す。
【図3】卑金属クラウンの、成形部材から研削したVM13ベニアとの複合体の切片を示す。写真の左側は、高密度ベニアを示す。中間部は不透過物であり、右側の白い領域は、卑金属スキャフォールドである。
【図4】卑金属クラウンの、成形部材から研削したVM13ベニアとの複合体の切片を示す。この切削切片において見ることができる物は、卑金属クラウン(白)、適用された不透過物(淡いグレー)、及び、高密度ベニア(濃いグレー、左)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のある特定実施態様では、本発明による多孔性ケイ酸セラミック体の第2密度は、該セラミック体の理論的に到達可能な密度に概ね一致する。
【0014】
多孔性成形部材の所望密度は、材料(化学的特性)、及び、使用される機械の研削又は研磨パラメータ(物理的パラメータ)によって定められる。研削又は研磨システムによるが、成形部材は、非損傷性加工を保証するためには、ある特定の密度範囲に調整されなければならない。ブロック密度の到達は、焼結時間及び焼結温度によって調節される。
【0015】
一般に、焼結温度の低下は、焼結時間の延長を引き起こし、焼結温度の上昇は、焼結時間の短縮を引き起こす。
【0016】
ケイ酸セラミック体の多孔性構造によって、材料除去のために使用されるツールの摩耗をより少なくしながら、より速やかな研削又は研磨が可能となる。加工がより簡単になるために、修復物からの材料のチッピングを阻止することができる。さらに、表面は、研削後に行われる焼結工程によって滑らかにすることができる、すなわち、研削マークは、どんなものでも、実質的に又は完全に除去される。高密度表面の手間のかかる仕上げ加工は省くことができるが、多孔性状態の表面を仕上げ、又は滑らかにすることは可能である。さらに、表面仕上げのための前述の焼成、いわゆる釉薬焼成は、この焼結工程のために省略することが可能である。
【0017】
本発明による多孔性ケイ酸セラミック体のもう一つの利点は、該物体から、成形可能な対象物を、歯科プロテーゼ調製のための歯科技工においてベニア材料(下記ではベニアとも呼ぶ)として採取することができる、という事実において見ることができる。当業者であれば、多孔性ケイ酸セラミック体の熱膨張率(CTE)は、特に、スキャフォールド用のベニア材料としての使用のために調整されることが理解されよう。ISO 6872にしたがって測定されるCTEは、例えば、少なくとも7 x 10-6 K-1、特に、7から18 x 10-6 K-1でなければならない。
【0018】
セラミック融合されるスキャフォールドが、金属、例えば、金合金、又は、卑金属から製造される場合、本発明による多孔性ケイ酸セラミック体の、ISO 6872にしたがって測定されるCTEは、典型的には、7から16 x 10-6 K-1、特に、12から15 x 10-6 K-1でなければならない。
【0019】
ベニアセラミックのために使用することが可能な合金、及びそのCTE値は、一般に、ベニアセラミックのメーカーによって公表されており、当業者には公知である。好ましくは、歯科セラミックスのCTEは、修復物の中に圧縮応力を蓄えるように、スキャフォールド材料のものよりも低く、例えば、0.5から数単位低くなるように選ばれる。
【0020】
本発明による多孔性ケイ酸セラミック体はさらに、融合のためにセラミックスキャフォールドに適用されてもよい。この場合、物体のCTEは、ISO 6872にしたがって測定される場合、7から11 x 10-6 K-1となるように選ぶことが勧められる。ただし、スキャフォールド材料のCTEもこの範囲内に納まることが必要である。
【0021】
【表1】

表において後の三つの材料は、ガラス含浸セラミックスである。
【0022】
多くの場合、本発明による多孔性ケイ酸セラミック体の色は、できるだけベニアの外観に自然に馴染み、したがって、歯科修復物の結果が得られるように選ぶことが指定されてもよい。このため、ブロックは、例えば、種々の透過度及び/又は色を持つ複数層から構成されていてもよい。もう一つの可能性は、PCT/EP2008/064602において記載されるような、ヒトの歯のエナメル線の筋道を、実質的に本物そっくりに模倣することを可能とする3次元構造の導入である。この特許文献の主題を引用により本明細書に含める。
【0023】
この特許文献は、少なくとも第1成分及び第2成分を含む形状安定化材料から製造される成形部材であって、前記第2成分は、第1成分のものとは異なる色を有し、かつ第2成分は、界面が空間において曲面を描くように第1成分の中に配置され前記界面を形成する成形部材を開示する。
【0024】
一実施態様では、成形部材は、界面が、天然又は人工歯の象牙質/エナメル質境界の筋道に対し少なくとも部分的に一致するように設計される。第1成分及び第2成分の色は、天然歯又は人工歯のエナメル質又は象牙質の色にできるだけ近くなるように選ばれる。したがって、この成形部材においては、歯の象牙質/エナメル質境界について、広範な筋道を準備することが可能であり、そのため、調製される歯科修復物における境界線の個別的調整を実行することができる。
【0025】
成形部材の形状は、種々の方策によって安定化することが可能である。特に、これは、機械的作用、特に、通常5-500 MPaの範囲内の圧力、例えば、プレスによる加圧によって実現することが可能である。その他の成形法は当業者に公知である。さらに、その調製のためには、添加法、例えば、射出成形を使用してもよい。
【0026】
本発明による成形部材の成分の色は、着色によって、もっとも単純な場合では、同時に透過度の調整に使用されてもよい、色顔料によって実現することができる。透過度は、不透過剤によって調整してもよい。
【0027】
本発明による成形部材を歯科技工において使用するためには、その第1及び第2成分が、セラミック材料、特に、長石又は酸化物セラミック材料である、成形部材が特に好適である。しかしながら、プラスチック材料を使用することも可能である。プラスチック材料は、熱可塑性材料、又は熱硬化性材料であってもよい。アクリル系プラスチック材料は特に好適である。好適なプラスチック材料は当業者には公知であり、典型的には、人工歯の調製に使用されるものを含む。
【0028】
任意に顔料及び無機充填剤が添加補充された、SiO2, Al2O3, Na2O, K2Oから成る群から選ばれる金属酸化物を含む長石セラミック材料の第1及び第2成分を使用してもよい。
【0029】
別の実施態様では、該成分は、SiO2, Al2O3, ZrO2から成る群から選ばれる金属酸化物を含み、各種化合物(Y2O3, CeO2 など)によって安定化され、任意に、顔料又は着色イオンの化合物を添加補充した、酸化物セラミック材料から成っていてもよい。
【0030】
本発明の別の実施態様では、本発明による成形部材は、特に、焼結可能材料のサイズ安定性を強化するための結合剤を含む。例えば、使用が可能な結合剤は、アクリル酸塩)、ポリビニールアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリサッカリド/アクリル酸(PS/AC)、セルロース誘導体又はそれらの混合物から成る群から選ばれる。追加の補助剤、例えば、水、摩擦を下げるための潤滑剤、高密化を促進するための焼結支援剤、又は分散剤、可塑剤、湿潤剤、及び、流動特性に影響を及ぼす熱可塑剤を加えてもよい。
【0031】
特に好ましい実施態様では、成形部材の第1及び第2成分の間の界面、すなわち、特に、歯の象牙質を模倣する材料、及び、エナメル質を模倣する材料の間の界面は、実質的に、一群の放物線によって表される。成形部材を通過する、平行な断面平面は、該成形部材の中に、二つの成分間の境界が、放物線状境界線として見えるように配置させることができる。この場合、境界線は、その長さの、少なくとも2/3、特に3/4は放物線状である。特に、境界線の辺縁すなわち末端は、放物線のものとは異なる形状を持つ場合があるが、その際、境界線のこの領域も跳躍又はステップを持たないことが好ましい。特に、放物線状境界線は、辺縁領域においてより平坦となり、外方に向くことが好ましい。
【0032】
平行断面平面に対して垂直に延びる成形部材の幅において、該断面平面の少なくとも70%、特に、該断面平面の少なくとも80%は、上に定義した放物線状境界線を有する。
【0033】
第2成分、すなわち、特に象牙質を模倣する材料が、成形部材の下方部分の中に配される成形部材の方向性において、境界線を形成する放物線は、底部に向かって開く。これは最大値を産み、その場合、好ましい実施態様では、放物線は、この最大値を通って延びる平面に対して鏡像対称となる。このように象牙質が下を向くように成形部材が配置されると、好ましい実施態様では、対称面を、放物線の全ての最大値を通過させて引くことができる。
【0034】
好ましい実施態様では、象牙質を下向きにした成形部材の位置において放物線状境界線が最大値又は最高値を有する断面平面である大断面平面を画成することができる。大断面平面から始まって、境界線の高さは、好ましくは、連続的に先細り(テーパー)方向に減少する。特に、最大値によって画成される曲線は、少なくともその長さの主要部分に亘って連続的に、特に、その長さの半分より大きく、好ましくはその長さの3/4より大きくに亘って連続的に減少する。最大値を結ぶ曲線は、好ましくは、対称面の中にあるか、及び/又は、大断面平面に対し垂直な方向性を持つ。先細り方向における第2成分の幅に対し、放物線の最大値の減少は、好ましくは、第2成分の全長又は全幅の、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%に亘って存在する。
【0035】
境界線の両端、すなわち放物線の裾野の両端は融合して、反対湾曲の曲線となる。したがって、好ましい実施態様では、境界線の放物線部分の次に、外向き曲線が続き、変曲点を形成する。
【0036】
特にエナメル質を模倣する第1成分、及び、特に象牙質を模倣する第2成分の間の界面に関する、前述の特に好ましい実施態様は、若干の偏向を有していてもよい。これは、最大10%の偏向が可能とされる幾何学的近似である。特に、境界線の設計は、経験、及び、天然及び/又は人工歯におけるエナメル質/象牙質境界の精査に基づいて行われる。
【0037】
人工歯を調製するには、成形部材は、好ましくは、適切なコンピュータソフトウェアによって表現し、特に、空間において自由に回転させることができる。したがって、歯科医又は歯科技工士は、種々の視点から境界線を眺めることができる。再現すべき歯の幾何学的大きさは、例えば、画像処理プログラムによってコンピュータに伝達される。歯科医又は歯科技工士は、そのようにして産みだされる仮想歯を、成形部材中の任意の所望の位置に配置することが可能であり、したがって、後で該成形部材から調製されるべき歯の印象の外観が、患者の天然歯、特に、患者の隣接歯のものに一致するように、又は、少なくともきわめて近似するように、象牙質・エナメル質間の界面を配置することができる。
【0038】
本発明によるプロセスは、少なくとも一つの第1成分及び少なくとも一つの第2成分を有する焼結可能材料から成る、本発明による成形部材の調製に有用であって、
a) 前記少なくとも一つの成分は、金型中に充填され;
b) 表面を有する陥凹が、前記材料、特に焼結可能材料又はプラスチック材料の、充填された少なくとも一つの第1成分の中に押し込まれ;かつ、
c) 前記表面が、空間において湾曲界面を形成し、
d) 陥凹の中に充填される少なくとも一つの第2成分に向く、
プロセスに関する。
【0039】
界面の表面は、天然又は人工歯の象牙質/エナメル質境界の筋道に対して少なくとも部分的に一致するように設計される。
【0040】
成形部材の調製はさらに、セラミック射出成形、又は同様の調製法によって実行されてもよい。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、界面の構築は、種々の天然及び/又は人工歯のエナメル質/象牙質界面を位置取りすることによって実行される。天然歯では、エナメル質と象牙質の間の界面位置を特徴づけるために、予備的に、エナメル質を丁寧に剥がすことができる。その作業では、象牙質層が擦られることがないよう注意しなければならない。人工歯及びその界面の筋道を調製するのはもっと簡単である。人工歯における界面の筋道は、天然歯における筋道を模倣する。この界面筋道を示す部材を調製するには、歯は、全層を含めて調製はせず、比較的透明なエナメル層は省略される。このようにして、焼結プロセス後、エナメル質/象牙質界面の筋道に一致する人工歯表面が得られる。
【0042】
種々の歯の調製において、種々の象牙質/エナメル質界面を空間に配置することによって、好ましくは、サイズ依存性に配置することによって、種々の歯の界面の筋道に一致する曲面のモデルを作ることができる。このモデルから金型を調製することができる。
【0043】
界面をモデル化するための別の可能性は、エナメル質/象牙質界面の筋道をデジタル化し、ソフトウェアによってモデルを生成することである。これによって、界面の生成において実質的により多数の界面筋道を含む可能性が得られる。さらに、次に、CAD-CAM法によって金型をはるかに簡単に準備することができる。
【0044】
この金型を用いて、所望の成形部材を調製することが可能である。成形部材又は界面の筋道について3次元測定を実行するために、成形部材は、できるだけ多数の平板・平行ディスクを形成するように鋸切断され、ディスクは、両面滑らかに研磨される。鋸切断の前に、成形部材の対角を結ぶ連続マーク、好ましくは溝が、成形部材に、鋸切断方向に対して垂直に適用される。これにより、ディスクの辺縁における溝の位置を測定することによって、ディスクの位置を明瞭に決定することが可能となる。
【0045】
ディスクにおける界面の位置を測定することによって、座標系の中に、エナメル質/象牙質界面を表す点軌跡を定めることができる。
【0046】
本明細書に記載されるプロセスは、中間工程として、焼結工程を含んでもよい。これによって、成形部材がより安定になるという利点がある。
【0047】
さらに、本発明による成形部材は、対応的に実行されるドライ又はウェットプロセス、例えば、加圧スリップキャスティングによって調製してもよい。
【0048】
例えば、加圧スリップキャスティングによる調製プロセスは、下記のように実行することができる:
a) スリップを、例えば表面が記載の境界に一致する多孔性石膏金型の中に、加圧下又は無加圧下で鋳込むことによって、前述の調製プロセスによる表面形態を有する成形部材Aを調製すること;
b) a)による成形部材Aに対して陰性輪郭を有する第2成形部材Bを調製すること;
c) 二つの成形部分A及びBを組み合わせてコンパウンドユニットCを形成すること、組み合わせは、場合によって、成形後熱処理とともに、加圧又は無加圧下で、コンパウンドユニットCの全体外形(組み合わせ成分/コンパウンドユニットの表面)を定める金型の内又は外(金型脱離後)において行われる。
或いは:
a) 前述の調製プロセスによる表面形態を有する成形部材Aを調製すること、調製は、スリップを、例えば、表面が記載の境界に一致する多孔性石膏金型の中に、加圧下又は無加圧下で鋳込むことによって実行される;
b) 成形部材Aを金型から取り出し、コンパウンドユニットの最終輪郭に一致する別の石膏金型の中に、成形部材Aを位置づけること;
c) 該金型を、圧力の下又は圧力無しに、場合によって、金型内又は金型脱離後に熱処理下に、別のスリップによって充填すること。
【0049】
ドライプロセスにより調製プロセスは下記のように実行することができる:
a) 前述の調製プロセスによる表面形態を有する成形部材Aを調製すること、調製は、結合材添加又は無添加の可塑化組成物を、対応金型の中に、場合によって熱安定化を伴い、圧力の下又は圧力無しに、挿入することによって行われる;
b) a)による成形部材Aに対して陰性輪郭を有する第2成形部材Bを調製すること;
c) 二つの成形部分A及びBを組み合わせてコンパウンドユニットCを形成すること、組み合わせは、場合によって、成形後熱処理とともに、加圧又は無加圧下で、コンパウンドユニットCの全体外形(組み合わせ成分/コンパウンドユニットの表面)を定める金型の内又は外において行われる。
【0050】
上述の調製プロセスは、セラミック成形の分野では原理的にはずっと以前から知られている(Hulsenberg, Keramikformgebung, ISBN 3-342-00098-8)。
【0051】
成形部材は、歯科修復物、特に、CAD/CAM法によって構築、調製される修復物の調製に使用することができる。
【0052】
本発明はさらに、形状安定化材料から製造され、その内部に界面を延長させる成形部材を調製するためのプロセスであって、
前記材料は少なくとも第1成分及び第2成分を有し;
第2成分は、第1成分のものとは異なる着色を有し、第2成分は、界面が空間において曲面を描くように第1成分の中に配置されて前記界面を形成し;
前記界面は、一組の天然歯又は人工歯から作製されるセクションから、種々の湾曲度の曲率半径を有する表面を創出することによって得ることができ;及び/又は、
前記界面は、該一組の天然歯又は人工歯の象牙質/エナメル質境界の筋道から、種々の湾曲度の曲率半径を有する表面を創出することによって得ることができ;
種々の湾曲度の曲率半径を有する該創出表面は、曲率半径の湾曲度の関数として配置され;かつ
得られる創出表面の空間配置が、界面の全体を産みだすプロセスに関する。
【0053】
本発明による、界面を有する成形部材を調製するための、国際特許出願に記載されるプロセスの一実施態様では、象牙質/エナメル質の筋道の辺縁領域は、創出表面が配置されるとき、考慮せずそのまま放置することができる。
【0054】
別の実施態様では、その象牙質/エナメル質境界が、指定の近似表面に対し少なくとも80%、特に少なくとも90%合致する歯のみを、界面の全体の製造において考慮することができる。特に、近似表面は、天然又は人工歯の、顕著な象牙質/エナメル質境界によって近似される。
【0055】
本発明によるプロセスのさらに別の実施態様では、大きな湾曲度の象牙質/エナメル質境界を有する歯はまとめられて、界面の頂上領域を形成するか、又は、近似表面の頂上領域に配置される。例えば、頂上領域に配置されるように選ばれる歯は、実質的に、そのサイズによって仕分けすることができる。
【0056】
本発明によるプロセスの別の実施態様では、小さな湾曲度の象牙質/エナメル質境界を有する歯は、界面の辺縁域まとめられるか、又は、近似表面の辺縁領域に配置される。この場合においてもまた、辺縁領域に配置されるように選ばれる歯は、実質的に、そのサイズによって仕分けすることができる。
【0057】
本発明によるプロセスの別実施態様では、中間湾曲度の象牙質/エナメル質境界を有する歯は、まとめられて、辺縁領域と頂上領域の間の中間領域を形成するか、又は、近似表面の中間領域に配置される。この場合においてもまた、中間領域に配置されるように選ばれる歯は、実質的に、そのサイズによって仕分けすることができる。
【0058】
本発明によれば、湾曲の強度とは無関係に、空間において同じ方向にサイズ仕分けを実行することが可能である。
【0059】
本発明による多孔性ケイ酸セラミック体の加工、特に、CAD/CAM加工法による加工をやり易くするために、多孔性ケイ酸セラミック体は成形部材として設計される。例えば、この本発明による多孔性ケイ酸セラミック体は、例えば、DE-A-103 22 762に記載されるような保持要素、又は、メーカーによっては、各種CAD/CAM及び/又はコピー研削システムのために通常使用される保持要素を有する。この場合、該保持要素は、該セラミック体に接着結合されるか、或いは、該セラミック体の形状は、その調製プロセスによって既に、対応的保持要素、例えば、溝を有している。
【0060】
別の実施態様では、本発明による多孔性ケイ酸セラミック体は、埋設のためにマトリックスの中に配置されてもよい。これはさらに、加工、特に機械的加工、加工用CAD/CAM機及び/又はコピー研削システムにおける加工をやり易くするか、又は可能にする。例えば、KaVo、Biberach、ドイツから販売されるEverest(登録商標)は既に知られている。
【0061】
したがって、本発明はさらに、本発明による多孔性ケイ酸セラミック体を加工することによって取得が可能な歯科修復物前駆体に関する。
【0062】
焼結収縮又はいわゆる拡大係数(拡大係数は、収縮係数と等価であり、成形部材から研削される試験片が、高密度焼結後に所望のサイズを有するように試験片に対して拡大される係数であって、両者は、一般に、方向依存的に決定される)の決定後、歯科修復物前駆体は、多孔性ケイ酸セラミック体から研削することができる。歯科修復物は、定義された拡大の下に成形部材から研削されるので、高密度歯科修復物は、所望のサイズ及び形状を獲得する。
【0063】
本発明はさらに、歯科修復物前駆体から調製することが可能な歯科修復物であって、該修復物を、調製対象、例えば、患者の歯根に適用するために、要すれば焼結収縮を考慮に入れて、歯科修復物前駆体を高密度焼結することによって取得することが可能な歯科修復物に関する。
【0064】
歯科修復物前駆体の高密度焼結は、例えば、ベニア形成歯科修復物のための市販の炉において実行される。ベニア形成の場合と同様、焼結中、真空を適用することが好ましい。焼結温度及び焼結時間は、ケイ酸セラミック材料及びその物理的特性、及び、歯科修復物の所望の表面特性に適合させなければならない。
【0065】
本発明によればさらに、本発明による多孔性ケイ酸セラミック体を加工し、それを相補的スキャフォールドに適用することによって取得することが可能な歯科修復物を調製することができる。この歯科修復物前駆体はまた、下記では、「多孔性ベニア」とも呼ばれる。
【0066】
ケイ酸セラミック成形部材のCTEが、スキャフォールド材料のCTEに合わせて調整される場合、上部構造を、CAD/CAM法、又は、他の研削又は研磨法によって、該多孔性ケイ酸セラミック成形部材から研削することができ、前記上部構造はスキャフォールドに適用され、次いで、前述のようにスキャフォールド上において焼結される。歯根又は歯根モデルの代わりに、スキャフォールド構造の表面が、該上部構造を、多孔性成形部材から研削/研磨するための基礎として使われる。
【0067】
スキャフォールドは、歯科修復物前駆体が、多孔性ベニアとして適用される表面上にアンダーカットを全く、又はごく僅かしか持たないように注意することが勧められる。後に、ベニアがスキャフォールドに適用されるとき、アンダーカットが、直径減少のために問題を引き起こす可能性がある。さらに、高密度焼結の際、空洞が形成され、これが、ストレス及びひび割れをもたらす場合がある。
【0068】
スキャフォールド及びベニアを構築するとき、ベニアがスキャフォールド上の明瞭な位置に設置されるよう、また不用意にずれる可能性が無いよう、スキャフォールド界面を構築すると有利である。
【0069】
できるだけ正確な位置取り及びできるだけ適正な結合の確保を実行する、もう一つの可能性は、その構築中、ベニアの設計をベニアとスキャフォールドの間の界面が一致するように行うこと、すなわち、ベニアの内面を拡大化するのではなくスキャフォールドの外面に適合するように研削し、ベニアの外面を、密度にしたがって、又は収縮係数を考慮に入れて拡大サイズに研削することである。さらに、ベニアの内面は、一致よりは大きく、ブロックの、以前に測定された拡大係数による計算から得られるベニアの内面よりは最大でも小さくなるように研削することができ、一方、ベニアの外面は、密度にしたがって、又は、収縮係数を考慮に入れて拡大サイズに研削される。このことは、焼結後スキャフォールドに正確に一致するようにまだベニアが研削され高密度焼結することができる最大拡大係数を表す多孔性ブロックの以前に測定された拡大係数よりも小さい拡大係数の下に、修復物の内面が研削されることを意味する。内側に適用される拡大係数にしたがって、外側の拡大係数は、特に、ブロックの計算された拡大係数に基づいて計算されるが、内側の非最大拡大係数を考慮にいれる。
【0070】
さらに、対応修復物によって要求されるならば、本発明による歯科修復物前駆体を高密度焼結することによって取得が可能な歯科修復物を、本発明にしたがって提供してもよい。次に、これを、要すれば焼結収縮を考慮に入れて、相補的スキャフォールド上に配置してもよい。
【0071】
ベニアとスキャフォールド間の結合は、ベニアの焼結、市販の歯科接着剤による結合、又は、溶接剤、好ましくは、WO-A-2006/120255 Aに記載されるようなガラス溶接剤の使用によって実現することができる。
【0072】
本発明はさらに、本発明による多孔性ケイ酸セラミック体の調製プロセスであって、成形体の生産が、セラミック成形において粉末又は顆粒に関わる、それ自体公知の調製プロセス(さらに、Hulsenberg, Keramikformgebung, ISBN 3-342-00098-8を参照されたい)によって実行することが可能な調製プロセスに関する。そのような公知の調製プロセスとしては、例えば:
−加圧スリップキャスティング
−顆粒のドライ加圧法
−押出法など
が挙げられる。
【0073】
従来技術によるガラス-セラミック歯科成形部材の調製プロセスとは対照的に、本発明による調製プロセスは、完全な高密度焼結の前に介入される、多孔性物体を形成するための焼結プロセスと理解されてもよい。
【0074】
本発明はさらに、本発明による歯科修復物を調製するためのプロセスであって、下記の工程:
−本発明による多孔性ケイ酸セラミック体を加工すること、次いで、
a) スキャフォールドの上にベニアを位置づけ、それを焼結焼成に付すこと;又は、
b) この修復物前駆体を高密度焼結して最終的歯科修復物を形成すること;又は、
c) ベニアを高密度焼結すること、次いで、それをスキャフォールドに位置づけ、結合させること(焼結、接着性結合、ガラス溶接剤を用いて)、
を含むプロセスに関する。
【実施例】
【0075】
本発明を、本発明の主題を制限しない、下記の実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
【0076】
実験に使用される研削機は、Sirona inLabの機械であった。本機及びその研削パラメータを選ぶことによって、調製される成形部材のパラメータを定義した。なぜなら、定義されたブロックパラメータだけのための指定の研削パラメータによって意味のある結果を実現することが可能だからである。
【0077】
試験標本の原料は、長石セラミックの混合物である。長石粒子は、成形し、プレスした。これによって得られた成形部材は、従来技術にしたがって粒子中に用いた添加物に基づいて結合剤から解放し、次いで、1125℃で多孔性焼結した。結合剤の除去後、成形部材を直接、すなわち、まだ熱い内に、或いは、真空炉であらかじめ加熱した後、焼結した。焼結時間は、多孔性体の密度が、指定の温度において、高密度材料の理論的密度の85%から95%を上回る密度に達するように選んだ。加熱速度は、流散を防ぐため、標的温度に達した後数分であった。成形部材は、まだ熱い内に炉から取り出した。
【0078】
収縮/拡大係数を定量するために、多孔体を測定し、高密度焼結して再び測定した。このようにして空間の3方向において焼結収縮を定義し、固定具を付着させた後、クラウンを、Sirona inLabによって多孔体から研削した。これらのクラウンは、1165℃の温度において真空下に高密度焼結した:
この修復物を炉に入れる前に、あらかじめ600℃で6分加熱し;
最終温度(1165℃)で40分加熱し;
最大温度に10分維持した。
【0079】
加熱時及び焼結時、真空を維持した。
【0080】
最大温度において炉を開き、修復物を大気中で空冷するか、又は、密閉又は僅かに開放した炉においてゆっくりと冷却した。
【0081】
同じ焼結時間においてより高い焼結温度を用いると、成形部材の密度は、修復物が、指定の研削パラメータでは研削不可能となるほど高くなることが見出された。チッピングがあり、CAM/CAD機は、研削ディスクに対する負荷があまりにも高いために、研削プロセスを一部中絶した。
【0082】
真空無しにプレ焼結した成形部材は、使用不可能と考えられる。なぜなら、セラミック中の含有物によってそれが濁るからである。多孔性焼結中、加熱速度を下げると、それによってセラミック体は流散され、そのため、該セラミック体の中に異なる密度を有する領域が産みだされる。したがって、正確な加工ができなくなる。
【0083】
さらに、二酸化ジルコンキャップ用ベニアが、前述の成形部材から調製された。このために、高密度焼結キャップを、市販のCAD/CAMシステムを用いてスキャンで取り込み、ベニアの完全な解剖学的デザインを実行した。このベニアを研削によって生成し、これを、二酸化ジルコンキャップの上に焼結させた。このために、完全クラウンの高密度焼結(前記参照)のために用いたものと同じ焼結プログラムを用いた。
【0084】
焼結によって付着させる場合、ベニアが、炉の中に設置される際滑らないと有利である。セラミックスキャフォールドの表面と、ベニアの内面がそれにしたがって設計されると有利である。研削形態がソフトウェアにあらかじめ組み込まれることは特に勧められる。
【0085】
スキャフォールド構築体が設計される際、アンダーカットの構築はまったくないか、又はごく僅かであると有利である。成形部材又は研削多孔性構築体の焼結収縮が定められることによって、さらにそれに加わる収縮はまったく無いか、又は、ごく僅かである。仮に付加的収縮は、それは、多孔性構造によっては達成されえず、対象物の表面張力、及び、液体及び粘性体が、できるだけ小さい表面を実現しようとする天然の特性によって生ずるものと考えられる。しかしながら、これによってストレス及びひび割れがもたらされる場合がある。なぜなら、成形部材は、色々の程度に縮まるからである。
【0086】
さらに、ベニアに加工した多孔性成形部材は、市販のベニア用白榴石強化セラミック粉末(Vita VM9及びVM13ベニアセラミック)から調製した。スキャフォールド材料の各CTEに適合させたベニアセラミック粉末は、単純なプレスによって成形した。任意に、結合剤、又は、成形のための、他の添加剤を、取扱いをやり易くするために使用することができる。
【0087】
ベニアセラミックのCTEは、9から13の範囲内にあった。
【0088】
9のCTEを有する成形部材を調製するために、ベニアセラミック粉末を成形し、焼結した。焼結は、プレ加熱無しで、かつ、焼結プロセス中ずっと真空下で行った。ブロックを、あらかじめ500℃から600℃に熱した炉に入れた。10分内に780℃の温度に加熱し、次いで、この最大温度に5分間維持した。下表は、それぞれの特性を持つ異なる実験を示す:
【0089】
【表2】

【0090】
750℃未満で焼結した成形部材は軟弱すぎることが見出された。温度を上げていくと、Sirona研削機の加工特性は向上した。
【0091】
研削セラミックベニアは、下記の焼結プログラムにしたがって二酸化ジルコンキャップに焼きつけた:
−500℃で6分間のプレ加熱
−910℃において55℃/分で加熱
−最大温度を1分間保持。
【0092】
用いた温度プログラムは、このベニアセラミックのための通例焼成プログラムに一致する。
【0093】
13のCTEを有する成形部材の調製は、前述の成形部材の調製のものと同様の工程を含む。ベニアセラミック粉末をプレスによって成形した。次いで、成形部材を600℃で6分間プレ加熱した。成形部材を15分内に730℃に加熱した。この加熱中、既に真空を適用した。最大温度を2分間維持した。成形部材を炉中で冷却し、その際、扉は完全密閉ではなく、わずかに隙間があった。800℃を超える温度におけるプレ焼成は有用ではないことが判明した。なぜならば、このようにして得られる成形部材の密度は、加工するには既に高すぎるからである。
【0094】
このようにして調製される成形部材から、ベニアを、市販のCAD/CAM研削システムにおいて研削し、次いで、卑金属キャップに適合させた。スキャンによって取り込む前に、卑金属スキャフォールドを不透過剤で処理し、金属の内在的濃色を被覆した。高密度焼結は、下記の焼成プログラムにしたがって行った:
−500℃で6分間のプレ加熱
−880℃において55℃/分で加熱
−880℃で1分間完全に焼結。
【0095】
この修復物を炉中でゆっくりと冷却した。
【0096】
用いた温度プログラムは、このベニアセラミックのための通例焼成プログラムに一致する。
【0097】
図3及び4は、卑金属スキャフォールド及びベニアセラミックの複合体の写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に種々の色の、焼結されて第2密度を有するケイ酸セラミック体になることができる第1密度を有する多孔性ケイ酸セラミック体であって、第1密度の、第2密度に対する比が、2/5から98/100であり、第1密度を有する前記多孔性セラミック体の3点曲げ強度が、ISO 6872にしたがって測定した場合、25から180 MPaである、多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項2】
第2密度が、前記セラミック体の理論的に到達可能な密度に概ね一致する請求項1に記載の多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項3】
熱膨張率(CTE)が、スキャフォールド用のベニア材料としての使用のために調整され、ISO 6872にしたがって測定される場合、少なくとも7 x 10-6 K-1、特に、7から18 x 10-6 K-1である請求項1および/または2に記載の多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項4】
ISO 6872にしたがって測定されるCTEが、7から16 x 10-6 K-1、特に、12から15 x 10-6 K-1である請求項3に記載の多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項5】
ISO 6872にしたがって測定されるCTEが、7から10 x 10-6 K-1である請求項3に記載の多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項6】
成形部材として設計される請求項1〜5の少なくとも一項に記載の多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項7】
保持要素を有する請求項6に記載の多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項8】
マトリックスの中に埋設されている請求項6に記載の多孔性ケイ酸セラミック体。
【請求項9】
請求項1および/もしくは2または請求項3〜8のいずれかに記載の多孔性ケイ酸セラミック体を加工することによって取得が可能な歯科修復物前駆体。
【請求項10】
必要に応じて焼結収縮を考慮に入れて、請求項9に記載の歯科修復物前駆体を高密度焼結することによって取得することが可能な歯科修復物。
【請求項11】
請求項1〜8の少なくとも一項に記載の多孔性ケイ酸セラミック体を加工して、それを相補的スキャフォールドに適用することによって取得することが可能な歯科修復物前駆体。
【請求項12】
必要に応じて焼結収縮を考慮に入れて、請求項11に記載の歯科修復物前駆体を相補的スキャフォールド上に高密度焼結することによって取得することが可能な歯科修復物。
【請求項13】
請求項1〜8の少なくとも一項に記載の多孔性ケイ酸セラミック体の歯科技工における使用。
【請求項14】
以下の工程を含む請求項1〜8の少なくとも一項に記載の多孔性ケイ酸セラミック体の調製プロセス:
設計された表面形態を有する成形体を調製する工程;
必要に応じて、前記成形体から結合剤を除去して、任意に真空下、結合剤を除去してプレフォームを得る工程;
任意に真空下、前記プレフォームを焼結して多孔性成形部材を得る工程。
【請求項15】
以下の工程を含む歯科修復物の調製プロセス:
請求項1〜8の少なくとも一項に記載の多孔性ケイ酸セラミック体を加工する工程、
a) スキャフォールドの上にベニアを位置づけ、それを焼結焼成に付す工程;
b) この修復物前駆体を高密度焼結して最終的歯科修復物を形成する工程;
c) ベニアを高密度焼結すること、次いで、(焼結、接着性結合、ガラス溶接剤を用いて)スキャフォールドに位置づけ、結合させる工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528690(P2011−528690A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519148(P2011−519148)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059359
【国際公開番号】WO2010/010087
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(594104744)ビタ・ゼーンファブリク・ハー・ラウター・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コー・カーゲー (5)
【Fターム(参考)】