説明

多孔性有・無機混成体及びこれを含有する吸着剤

本発明は、広い表面積と大きい細孔体積を有する鉄含有多孔性有・無機細孔体(porous organic−inorganic hybrid materials)を用いた吸着剤、特に水分吸着剤に関するものである。また、100℃以下でも容易に吸・脱着することができ、吸着剤の1重量当たりの吸着量が高く、加湿器、除湿器及び冷/暖房機に適用可能な吸着剤に関するものである。
また、本発明は、多孔性有・無機混成体の新規な製造方法、特に、フッ酸を用いないことを特徴とする製造方法、前記製造方法により製造された多孔性有・無機混成体及びその吸着剤としての用途に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性有・無機混成体の製造方法、これを含有する吸着剤、及び前記有・無機混成体の触媒応用に関するものである。さらに詳しくは、100℃以下の低温でも容易に吸・脱着することができ、吸着条件での吸着量と脱着条件での吸着量との差が大きい吸着剤に関するものである。また、本発明は、ナノサイズの細孔を有し、表面積及び細孔体積が非常に大きい特徴を有する多孔性有・無機混成体を用いた吸着剤に関するものである。
【0002】
また、本発明は、フッ酸を用いずに多孔性有・無機混成体を製造する新規な製造方法、及び前記製造方法により得られる多孔性有・無機混成体の吸着剤としての新規な用途に関するものである。
【0003】
特に、本発明による多孔性有・無機混成体の吸着剤としての新規な用途に関し、本発明は、100℃以下でも容易に吸・脱着することができる吸着剤の1重量当たりの吸着量が高く、加湿器、除湿器及び冷・暖房機に適用可能な水分吸着剤に関するものである。また、本発明は、広い表面積と均一な細孔特性を有する本発明の多孔性有・無機混成体を、特定の有害物質に対する吸着性能に優れた吸着剤として用いる用途に関するものである。
【0004】
本発明により製造される多孔性有・無機混成体は、中心金属イオン(例えば、鉄イオン)が、有機リガンドと結合して形成された多孔性有・無機高分子化合物と定義することができる。前記化合物は、骨格構造内に有機物と無機物のいずれも含み、分子サイズまたはナノサイズの細孔構造を有する結晶性化合物を意味する。
【背景技術】
【0005】
多孔性有・無機混成体は、広範囲な意味の用語であって、一般に“多孔性配位高分子(porous coordination polymers)”とも言い[Angew.Chem.Intl.Ed.、43、2334(2004)]、または“金属−有機骨格体(metal−organic frameworks)”とも言う[Chem.Soc.Rev.、32、276(2003)]。
【0006】
最近は、分子配位結合と材料科学との接木によるこのような物質の開発に研究の焦点が合わせられている。このような物質は、高表面積と分子サイズまたはナノサイズの細孔を有しており、吸着剤、気体保存物質、センサ、メンブレイン、機能性薄膜、触媒及び触媒担体等に用いられるだけでなく、細孔のサイズよりも小さいゲスト分子を捕集するか、または細孔を用いて分子のサイズに応じて分子を分離するのに用いられ得る。
【0007】
多孔性有・無機混成体は、種々な方法により製造されてきた。代表的に、室温付近で溶媒拡散(solvent difffusion)を用いるか、または水を溶媒として用いて高温で反応させる水熱合成(hydrothermal synthesis)、または有機溶媒を用いる溶媒熱合成(solvothermal synthesis)方法により製造された[Microporous Mesoporous Mater.、73、15、2004;Accounts of Chemical Research、38、217、2005]。
【0008】
多孔性有・無機混成体は、高い表面積、規則性が非常に高い結晶構造及び比較的に高い熱安定性等の特性のため、触媒、触媒担体、吸着剤、イオン交換物質及び気体保存物質に用いることができるだけでなく、ナノ物質の保存、製造及び分離に活用され、ナノ反応器としても活用できる独特な特性を有するものと認識されている。これに関し、有−無機混成体であるMIL−100(MIL:Materials of Institute Lavoisier)構造であるCr−MIL−100[Bulletin of Korean Chemical Society vol.26、p.880(2005)]が報告された。
【0009】
しかし、上述したように、Crを含有する有・無機混成体の場合、人体に有害なCr成分により、その応用性が相対的に制限されるしかない。特に、人体に有害ではないFeを中心金属とする鉄−有・無機混成体は、Cr成分を有する有・無機混成体の合成方法によっては形成されにくく、このための新しい製造方法の開発が必要となった。
【0010】
また、水熱合成による多孔性有・無機混成体合成の場合、一般に結晶の形成速度を調節するために、窒酸、フッ酸等を含む混合酸を用いた。前記水熱合成により製造された代表的な多孔性有・無機混成体としては、化学式がCrО(HО)F[C−(CО・nHО(n〜14.5)である MIL−100(Cr)と、CrF(HО)О[C(CО・nHО(n〜25)であるMIL−101(Cr)等が報告された[Science 23、2040、(2005);Accounts of Chemical Research、38、217、(2005)]。また、Cr以外の金属が置換された金属−有機骨格構造の有・無機混成体はまだ報告されていない。
【0011】
一方、水分を容易に吸・脱着することができる吸着剤は、種々な用途を有している。例えば、除湿器には、低温で水分を吸着した後、高温に加熱すれば、水分が脱着される特性を有する吸着剤を活用することができる。また、冷暖房機に吸着剤を活用すれば、暖房時には低い温度の室外の湿気を吸着した後、室内に湿気を流入し、高温の室内で脱着して加湿器の役割を代わりにすることもでき、冷房時には低い温度の室内の湿気を吸着し、高い温度の室外で脱着し、湿気を室外に送ることもでき、快適な室内雰囲気を得ることができる。
【0012】
このような概念を適用したエアコン及び湿度調節器が米国特許第6,978,635号、同6,959,875号、同6,675,601号等に提案されている。しかし、このような装置に用いられた吸着剤について詳しくは言及されておらず、シリカゲル、ゼオライト、イオン交換樹脂を用いるとのみ言及されているか、または吸着剤を用いるとのみなっている。また、このような吸着剤の場合、吸着量が低いだけでなく、脱着にも100℃以上の高温が要求される等、運転コストの上昇を誘発させる。
【0013】
従って、低温でも脱着が可能であり、吸着量と脱着量との差が大きい吸着剤の開発が非常に必要である。しかし、吸着量が増加すれば脱着が難しく、吸着量が少ない場合は、吸着量と脱着量との差が少ないという問題が常に存在していた。
【0014】
また、これまで揮発性有機化合物(VОCs)等を含む蒸気相または粒子相の特定の有害物質を除去することができる吸着剤として、活性炭及び疎水性ゼオライトを主に用いてきた。活性炭は、微細空洞が発達しており、比表面積が非常に大きく、非極性分子に対する吸着力が強く、排気ガスの除去、臭いの除去及び脱色効果に優れているのに対し、ゼオライトは、3〜10程度の細孔径を有する親水性吸着剤であって、一酸化炭素、二酸化炭素及び水分に対する吸着特性が強い特性を有する。しかし、ほとんどが疎水性特性のみを有しており、水が含まれている揮発性有機化合物を効果的に吸着して除去することは、容易でないという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これにより、本発明の第1の様態において、高い水分吸着量を有し、100℃以下の比較的に低温、例えば60〜80℃でも脱着が容易な吸着剤を提供し、鉄を含有する多孔性有・無機混成体を用い、吸着量と吸着特性に優れた吸着剤を提供する。
【0016】
従って、本発明の目的は、高い水分吸着量を有し、比較的に低温でも脱着が容易な水分吸着剤を提供することにある。
【0017】
より具体的には、高い水分吸着量を有し、比較的に低温でも脱着が容易な物質として、高い表面積と大きい細孔体積を有する鉄含有多孔性有・無機混成体を用いた水分吸着剤を提供することに、本発明の目的がある。
【0018】
また、本発明は、前記高い表面積と大きい細孔体積を有する鉄含有多孔性有・無機混成体の製造方法を提供することに、更なる目的がある。
【0019】
従来、多孔性有・無機混成体に含まれる金属成分であったCrの代わりに、環境親和的なFeを含有する鉄前駆体と有機リガンドとを反応させる。窒酸とフッ酸との混合酸の存在下で、溶媒との混合物を加熱して結晶化反応を行った場合、1700m2/gより高い表面積及び0.8ml/gより大きい細孔体積のような、高表面積及び広い細孔体積の鉄含有多孔性有・無機混成体が製造される。これを水分吸着剤として用いた場合、100℃以下の温度で脱着が容易であり、吸着剤の1重量当たりの水分吸着量が非常に高いことを見出し、本発明を完成した。
【0020】
本発明の第2の様態は、多孔性有・無機混成体を製造することにおいて、場合によってフッ酸を全く用いないことにより、環境親和的な新規な製造工程を通じて相対的に小さいナノ粒子サイズを有する多孔性有・無機混成体を製造し、精製する方法、及び前記方法により製造された多孔性有・無機混成体の吸着剤としての用途を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、マイクロ波の照射により、迅速及び連続製造工程で多孔性有・無機混成体を製造する方法を提供することを目的とする。特に、吸着剤としての用途に関し、本発明は、水分、またはVОC、シックハウス症候群を誘発する有害物質等の特定の有害物質に対して吸着性能に優れた吸着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の様態は、水分吸着剤に関するものである。特に、前記吸着剤は、環境親和的な鉄を金属成分として含有する多孔性の有・無機混成体を用いることを特徴とする。
【0023】
本発明は、低温でも脱着が容易であり、低温吸着量と高温吸着量との差が大きい、鉄を含む多孔性有・無機混成体を用いた吸着剤を提供する。本発明による吸着剤は、1,700m2/gより大きい表面積、0.8mL/gより大きい細孔体積を有し、有機物と無機物のいずれも骨格の構成成分として含有する。また、前記鉄含有多孔性有・無機混成体は、鉄前駆体及び鉄前駆体と配位結合することができる有機リガンド化合物の反応により製造されることを特徴とする。
【0024】
表面積及び細孔体積が前記の値よりも小さい場合、水分吸着剤としての効果が大きくない。
【0025】
また、表面積及び細孔体積は大きければ大きいほど良い。しかし、製造方法上、実質的に実現可能な範囲として、表面積の上限は10000m2/g程度であり、細孔体積の上限は10mL/g程度である。本発明による鉄含有多孔性有・無機混成体の場合、1,700〜2,500m2/gの表面積、0.8〜1.2mL/gの細孔体積を有する。
【0026】
また、従来の吸着剤の場合、室温の水分吸着量に対する100℃での水分吸着量の比が0.5〜1程度である。従って、100℃以下の温度では、吸着された水分の50%以下が脱着され、低温での脱着特性が良くないという問題点があった。しかし、本発明による吸着剤の場合は、100℃以下の温度で、吸着された水分の80%以上、より好ましくは90%以上が脱着される特性を有する。また、60〜80℃で10〜30分乾燥した後、相対湿度60〜80%の条件で水分吸着量は吸着剤の1重量当たり0.4〜0.7g/gと、吸着剤の単位重量当たりの水分吸着量が非常に高い。従って、本発明による水分吸着剤は、水分吸着量が非常に高く、100℃以下の低い温度でも脱着が容易であるだけでなく、従来の吸着剤に比べて脱着速度が高く、湿度調節用として用いるのに適している。
【0027】
本発明の第2の様態において、本発明は、多孔性有・無機混成体の効率的な新規な製造方法、特に、水熱合成の際にフッ酸を用いずにナノサイズの粒径を有する多孔性有・無機混成体を製造する方法を提供する。また、本発明の前記製造方法は、多孔性有・無機混成体の表面積を増加させるための精製方法を含むことを特徴とする。また、本発明は、前記新規な製造方法により得られる多孔性有・無機混成体を水分吸着剤、VОC(揮発性有機化合物)等の特定の有害物質除去用吸着剤として用いることを特徴とする新規な用途に関するものである。前記特定の有害物質としては、揮発性有機化合物以外に、シックハウス症候群を起こすホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、タール、ニトロソアミン類、ポリ環状芳香族炭化水素類等のような蒸気相または粒子相の物質等を含む。また、本発明は、前記新規な製造方法により得られる多孔性有・無機混成体を水分吸着剤、蒸気相または粒子相の特定の有害物質を除去する吸着剤として用いることを特徴とする新規な用途に関するものである。
【0028】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0029】
本発明の第1の様態において、本発明による吸着剤として用いられる鉄含有多孔性有・無機混成体は、次のステップを含む方法により製造される:
(1)鉄前駆体として鉄または鉄塩、有機リガンド、溶媒及び反応促進剤としてフッ酸及び窒酸を含む混合酸を混合して反応物混合液を製造するステップ;及び
(2)前記反応物混合液を、電気加熱またはマイクロ波の照射を行って加熱するステップ。
【0030】
多孔性有・無機混成体のもう1つの構成元素であるリガンドとして作用することができる有機化合物は、リンカー(linker)とも言い、配位結合可能な有機化合物であれば、いずれも用いることができる。例えば、配位することができる作用基には、−CО、−N、カルボン酸基、カルボン酸の陰イオン基、アミノ基(−NH)、イミノ基(
【化1】

)、アミド基(−CОNH)、スルホン酸基(−SОH)、スルホン酸の陰イオン基(−SО)、メタンジチオ酸基(−CSH)、メタンジチオ酸の陰イオン基(−CS)、ピリジン基またはピラジン基等がある。
【0031】
より安定した有・無機混成体を誘導するためには、配位することができる場所が2つ以上の化合物、例えば、二座配位子(bidentate)または三座配位子(tridentate)である有機化合物が有利である。有機化合物としては、配位する場所があれば、ビピリジン、ピラジン等のような中性有機化合物、陰イオン性有機化合物、例えばテレフタレート、ナフタレンジカルボキシレート、ベンゼントリカルボキシレート、グルタレート、サクシネート等のようなカーボン酸の陰イオンはもちろん、陽イオン物質も可能である。カーボン酸の陰イオンの場合、テレフタレートのような芳香族環を有する陰イオンの他、例えば、ホルメートのような線形のカーボン酸の陰イオン、シクロヘキシルジカーボネートのように非芳香族環を有する陰イオン等、いずれの陰イオンであっても用いることができる。
【0032】
また、配位することができる場所を有する有機化合物はもちろん、潜在的に配位する場所を有しており、反応条件で配位するように変換することができる有機化合物も使用可能である。すなわち、テレフタル酸のような有機酸を用いても、反応後にはテレフタレートとして金属成分と結合することができる。用いることができる有機化合物の代表的な例として、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ビピリジルジカルボン酸、蟻酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、またはシクロヘキシルジカルボン酸から選ばれる有機酸及びこれらの陰イオン、ピラジン、ビピリジン等が含まれる。また、1つ以上の有機化合物を混合して用いることもできる。テレフタル酸またはベンゼントリカルボン酸を用いることが好ましい。
【0033】
本発明による吸着剤である鉄含有多孔性有・無機混成体は、鉄前駆体、有機リガンド、溶媒、及び反応促進剤としてフッ酸及び窒酸を含む混合酸を反応器に仕込んで封止した後、100〜250℃に加熱するが、マイクロ波または電気を用いて反応温度を維持し、圧力を自動圧力に維持して製造することができる。
【0034】
上述したように、本発明による鉄含有有・無機混成体の製造方法は、酸、好ましくはフッ酸及び窒酸の混合酸を用いることを特徴とする。特に、本発明の鉄を含有する有・無機混成体は、既存のフッ酸のみを用いて合成する方法に比べて、顕著な結晶性の向上と、結晶サイズの減少を示す。従来のフッ酸を用いる製造方法では、1,700m2/gより大きい表面積、及び0.8mL/gより大きい細孔体積を有する鉄含有有・無機混成体を製造することができない。実施例及び比較例の結果を参照すれば、既存のフッ酸を用いた場合は、BET表面積の値が1,590m2/gであって、混合酸を用いた2,050m2/gのBET表面積の値に比べて顕著に低い。また、混合酸を用いた場合は、細孔体積が1.0ml/gであるのに対し、フッ酸を用いた場合は、0.7ml/gと低かった。また、混合酸を用いた場合は、そうでない場合に比べて、非常に短い反応時間(マイクロ波を用いたときに、2分以内)にも拘らず、結晶性は向上し、収率は同様の効果を有することが確認された。しかし、その他の酸として、酢酸、硫酸等の酸成分や、フッ化アンモニウム及び塩化ナトリウム等の塩を用いた場合は、十分な結晶性を有する有・無機混成体を製造することが難しい。本発明の製造方法で、前記混合酸において、窒酸とフッ酸との混合割合を0.1〜1:1〜0.1のモル比で用い、本発明の目的とする鉄含有有・無機混成体を製造することができる。窒酸やフッ酸が前記モル比から外れる場合は、収率が低下し、且つ反応時間が長くなり過ぎる短所がある。
【0035】
金属成分と有機化合物の他に、多孔性有・無機混成体を製造する場合は、適当な溶媒が必要である。前記溶媒としては、水、アルコール類、ケトン類、炭化水素類のいずれの物質も使用可能であり、2つ以上の溶媒を混合して用いることもできる。好ましくは、水、炭素数1〜10個のアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、炭素数2〜10個のケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、及び炭素数5〜20個の炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンの中から選ばれた1種または2種以上の混合物を用いることができる。より好ましくは、水を用いることができる。
【0036】
前記鉄前駆体と有機化合物とは、1:0.1〜10の割合(モル比)で混合することができる。前記割合は、各鉄前駆体と有機化合物の種類により適宜調節することができる。本発明においては、鉄前駆体として金属粉末状の鉄または窒酸鉄のような鉄塩等を用い、有機リガンドとしてテレフタル酸またはベンゼントリカルボン酸がより好ましい。
【0037】
本発明において、多孔性有・無機混成体の製造のための反応温度は、実際に制限されない。
【0038】
しかし、100℃以上が適当である。100℃以上250℃以下の温度が好ましく、150℃以上220℃以下の温度がさらに好ましい。前記反応温度が100℃未満と低過ぎると、反応速度が遅くて効果的ではなく、反応温度が250℃を超えて高過ぎると、細孔のない物質が得られやすく、反応速度が速過ぎて不純物が混入しやすい。また、反応器の内部圧力が高くなり、反応器の構成が非経済的である。反応器の圧力は実際には限界がないが、反応温度での反応物の自動圧力(autogeneous pressure)で物質を合成することが簡単である。また、窒素、ヘリウムのような不活性気体を追加し、高圧で反応を行うこともできる。前記反応熱源としてマイクロ波を照射した場合、周波数がおよそ300MHz〜300GHzである、いずれのマイクロ波も反応物を加熱するのに用いることができる。しかし、産業的に周波数2.45GHz、0.915GHzのマイクロ波を一般に用いる。
【0039】
マイクロ波を照射する方法は、電気加熱を用いた方法に比べて、反応時間が短く、多孔性有・無機混成体の粒子のサイズが相対的に小さく、比表面積の値が高く、水分吸着剤としての特性がより優れている。
【0040】
また、加湿器または除湿器に吸着剤として用いるためには、初期10分、より好ましくは、初期5分内の吸着及び脱着特性が重要である。すなわち、吸着量が多いとしても、その速度が低過ぎると、加湿器及び除湿器の用途に用いるのに適していないこともある。ところが、本発明による吸着剤のうち、マイクロ波を照射する方法により製造された吸着剤の場合、吸着速度が非常に高く、脱着速度にも優れており、このような用途に用いるのに、より適した特性を有している。すなわち、60〜80℃で10〜30分乾燥した後、相対湿度60〜80%の条件で5分経過の後、水分吸着量が吸着剤の1重量当たり0.35〜0.45g/gと、初期の吸着速度が非常に高い。
【0041】
前記製造方法において、反応は、回分式及び連続式により行うことができる。回分式反応器は、1時間当たりの生産量が低く、少量の多孔性有・無機混成体を生産するのに適している。連続式反応器は、投資費が多くかかるが、大量生産に適している。反応時間は、回分式の場合、1分〜8時間程度が適している。反応時間が長過ぎると、不純物が混入しやすく、粒子が成長してナノ粒子を製造することが容易でない。反応時間が短過ぎると、反応転換率が低い。連続式反応器の滞留時間は、1分〜1時間程度が適している。滞留時間が長過ぎると、生産性が低く、大きい粒子が得られ、滞留時間が短過ぎると、反応転換率が低い。滞留時間は、1分〜20分がさらに適当である。回分式反応中には反応物を攪拌することができ、攪拌速度は100〜1000rpmが適当である。しかし、反応は攪拌過程なしでも行うことができ、攪拌をしないことが反応器の構成や運転において簡便で、適用しやすい。
【0042】
マイクロ波を用いた反応は非常に速い速度で起こるため、反応物の均一性を高めるか、または溶解度を高め、結晶核が一部生成されるように、前処理が行われた状態でマイクロ波を照射することが好ましい。前処理が行われていない状態で、マイクロ波による反応を直ぐ開始すれば、反応が遅いか、または不純物が混入するか、または粒子サイズの均一度が低くなりやすい。しかし、工程自体は簡便になる。前処理は、反応物を超音波で処理するか、または激しく攪拌することにより行うことができる。前処理の温度は、室温〜反応温度の間の温度が好ましい。しかし、温度が低過ぎると、前処理の効果が微弱であり、高過ぎると、不純物が生成されやすいだけでなく、前処理の設備が複雑にならなければならないという短所がある。前処理の時間は、1分〜5時間が適している。超音波処理の場合は1分以上、攪拌処理の場合は5分以上が適している。前記前処理ステップを攪拌で行う場合、金属成分と有機化合物を溶媒の存在下で50〜2,000rpmで5〜600分間攪拌することが好ましく、超音波を照射して行う場合、15,000Hz〜30MHzの超音波を1〜600分間照射して行うことが好ましい。前記前処理の時間が短過ぎた場合は、前処理の効果が微弱であり、あまりにも長く前処理を行えば、前処理の効率が低くなる。
【0043】
前処理は、超音波を用いて行うことが、前処理の時間と反応物の均一性の面でより効果的である。
【0044】
本発明の第2の様態は、次のステップを含む、多孔性有・無機混成体の製造方法に関するものである:
(1)金属前駆体、リガンドとして作用することができる有機化合物、酸及び溶媒を混合して反応物混合液を製造するステップ;
(2)前記反応物混合液を、電気加熱またはマイクロ波の照射を行って100℃以上に加熱するステップ;及び
(3)前記ステップ(2)で得られる多孔性有・無機混成体を、無機塩または溶媒で処理して精製するステップ。
【0045】
前記製造方法において、前記ステップ(3)は、必要な場合に選択的に行うことができる。
【0046】
本発明による前記製造方法により製造される多孔性有・無機混成体は、ナノ粒子として得ることができ、前記ナノ粒子のサイズは、約450nm以下である。また、本発明による前記製造方法により製造される多孔性有・無機混成体は、粉末状や、薄膜またはメンブレイン形態であることができる。
【0047】
ナノ粒子、薄膜またはメンブレイン形態の多孔性有・無機混成体は、前記反応物混合液に基板を浸漬した後、前記加熱及びマイクロ波の照射のような方法で容易に製造することができる。
【0048】
本発明の多孔性有・無機混成体の製造方法は、多孔性ナノ細孔体の製造のための水熱合成で、フッ酸を用いずにナノサイズの粒径を有する有・無機混成体を製造する。また、多孔性有・無機混成体の表面積を増加させるための精製方法として、一般に用いられる溶媒以外に、塩化アンモニウムまたはフッ化カリウム等のような無機塩を用いて処理することにより、有・無機混成体の細孔内の不純物を精製するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0049】
また、前記多孔性有・無機混成体は、吸着剤としての新規な用途を有する。特に、本発明による多孔性有・無機混成体の吸着剤は、100℃以下でも容易に吸・脱着することができ、吸着剤の1重量当たりの吸着量が高い。従って、前記吸着剤は、加湿器、除湿器及び冷/暖房機に適用可能な水分吸着剤として用いることができる。また、広い表面積と均一な細孔特性を有する本発明の多孔性有・無機混成体は、特定の有害物質に対する吸着性能に優れた吸着剤として用いることができる。
【0050】
本発明の製造方法において、多孔性有・無機混成体に含まれる成分の1つである金属物質として、いずれの金属であっても用いることができる。代表的な金属成分は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Оs、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi等を含む。特に、配位化合物を生成しやすい遷移金属が適当である。遷移金属のうち、クロム、バナジウム、鉄、ニッケル、コバルト、銅、チタン及びマンガン等が適当であり、クロム及び鉄が最も適当である。遷移金属の他にも、配位化合物を生成する典型元素はもちろん、ランタン族のような金属も可能である。典型元素の中では、アルミニウム及びケイ素が適当であり、ランタン族金属の中では、セリウム、ランタンが適当である。金属源としては、金属自体はもちろん、金属のいずれの化合物も用いることができる。
【0051】
本発明の第2の様態において、有・無機混成体に含まれる他の成分であるリガンドとして作用することができる有機化合物、及び有・無機混成体の合成に用いられる溶媒は、前記第1の様態で用いられたものと同一である。
【0052】
有・無機混成ナノ細孔体の結晶成長速度を調節するために、酸、特に窒酸、塩酸、フッ酸のほかに、フッ酸を含む混合酸を用いることができる。
【0053】
一方、フッ酸を用いる工程では、テフロン(登録商標)以外の反応器を用いるのに制限があった。これまで、有・無機混成ナノ細孔体の結晶成長速度について、核形成速度が遅いのに対し、結晶成長速度は相対的に速いものと知られてきた。従って、フッ酸が含まれた反応物では、金属イオンとフッ素イオンとの間の強い結合特性により、相対的に核形成速度が遅く、結晶サイズの小さいナノ細孔体を得ることが難しいこともある。
【0054】
従って、本発明の更なる側面では、フッ酸の使用による前記問題点を解決するために、本発明の多孔性有・無機混成体の製造方法において、多孔性有・無機混成体の製造のために、フッ酸を除いた無機酸を用いることを特徴とする。これにより、本発明の前記製造方法により、フッ酸を全く用いずに、相対的に小さいナノ粒子サイズを有する多孔性有・無機混成ナノ細孔体を製造することができる。
【0055】
また、本発明の第2の様態により製造された多孔性有・無機混成体の細孔内に存在する金属または有機リガンドを除去するために、従来は、溶媒を用いて不純物を除去していた。
【0056】
しかし、前記の場合は、細孔内にキレート化した有機または無機物の不純物を除去することに限界があった。これに比べて、本発明の製造方法では、無機塩、特に、NH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる1価または2価の陽イオンと、ハロゲン陰イオン、炭酸イオン (CO2−)、窒酸イオン及び硫酸イオンからなる群より選ばれる1価または2価の陰イオンを含む無機塩を用いて多孔性有・無機混成体を処理することにより、有・無機混成ナノ細孔体の細孔内の不純物を効率的に除去することができる。従って、高い表面積を有する有・無機混成ナノ細孔体を得ることができる。前記無機塩として、2価の陽イオンとしてCa2+またはMg2+、1価の陰イオンとして、F、IまたはBrを含む塩、1価の陽イオンと2価の陰イオンを含む塩、NHF、KF、KI及びKBrからなる群より選ばれる1つ以上の無機塩を用いることができる。
【0057】
本発明において、無機塩で処理した後の有・無機混成ナノ細孔体の窒素吸着量が200ml/g程度増加することを、表面積の測定により確認することができた。
【0058】
反応は、電気ヒーティング方式の水熱合成法の他にも、マイクロ波の照射による回分式または連続式方式による水熱合成も可能である。また、有・無機混成体のメンブレインまたは薄膜は、前記(1)のステップで反応物混合液に基板を浸漬した後、マイクロ波を照射して加熱する方法により製造することができる。
【0059】
本発明の前記製造方法により、特に、フッ素を含有せず、化学式:CrОH(HO)O[C(CO・nHO(n〜25)または化学式:FeO(HO)OH[C−(CO・nHO(n〜14.5)で表わされる新規な多孔性有・無機混成体を得ることができる。
【0060】
また、本発明の製造方法により得られる多孔性有・無機混成体は、酸化反応用触媒または酸触媒として用いることができる。
【0061】
また、本発明の製造方法により製造された多孔性有・無機混成体は、吸・脱着性能に優れた吸着剤として用いることができる。特に、水分吸着剤として用いる場合、100℃以下の低温で脱着が容易に起こるため、このような特性を用いて加湿器、除湿器等で非常に優れた性能を達成することができる。また、本発明の製造方法により製造された多孔性有・無機混成体を、VOC、シックハウス症候群の誘発物質等の吸着剤として用いる場合、特定の有害物質を効果的に除去することができる。
【0062】
特に、本発明の製造方法により得られる多孔性有・無機混成体が低温水分吸着剤として用いられる場合、100℃以下、好ましくは50〜100℃の低温脱着特性と、既存のHFを含有する有・無機ナノ細孔体に比べて非常に速い水分吸着速度を有することを確認することができる。
【発明の効果】
【0063】
上述したように、本発明により製造された鉄含有多孔性有・無機混成体は、水分の吸着量が多く、低温で脱着量の特性が優れている。従って、除湿器、加湿器、暖房機または冷房機において、吸着剤として用いることができる。特に、脱着温度が非常に低く、このような装備の運転コストを非常に大きく減少させることができるという長所がある。
【0064】
また、他の側面から、本発明の新規な製造方法により製造された多孔性有・無機混成体は、水熱合成の際にフッ酸を用いないにも拘らず、高い結晶性を有するナノ細孔体である。特に、塩化アンモニウムまたはフッ化カリウム等のような無機塩で処理することにより、前記有・無機混成ナノ細孔体の細孔内の不純物を除去して精製することで、その表面積を増加させることができる。また、本発明の製造方法により製造された多孔性有・無機混成体は、吸・脱着性能に優れた吸着剤として用いることができる。特に、水分吸着剤として用いる場合、100℃以下の低温で脱着が容易に起こる。このような特性を用い、加湿器、除湿器等において、非常に優れた性能を達成することができる。また、本発明の製造方法により製造された多孔性有・無機混成体を、VOC、シックハウス症候群の誘発物質等の吸着剤として用いる場合、特定の有害物質を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、実施例1により得られた鉄ベンゼントリカルボキシレートの有・無機吸着剤のX−線回折形態である。
【図2】図2は、実施例1により得られた鉄ベンゼントリカルボキシレートの有・無機吸着剤の窒素等温吸着線である。
【図3】図3は、実施例1及び2の鉄ベンゼントリカルボキシレート及び比較例1のゼオライトYを用いた吸着剤の水分吸着特性を示したグラフである:水分吸着剤の脱着は70℃(実施例1及び2)または200℃(比較例1)、吸着は相対湿度68%で行った結果を示したものである。
【図4】図4は、実施例1及び比較例1の吸着剤に対する水分脱着試験結果を示したグラフである:実施例1は70℃での水分脱着の結果であり、比較例1は200℃での水分脱着の結果である。
【図5】図5は、本発明の実施例3の製造方法により製造された多孔性有・無機混成体であるクロムテレフタレートのX−線回折形態のグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施例3の精製方法により製造された多孔性有・無機混成体であるクロムテレフタレートの精製前後のX−線回折形態の結果を示したものであって、(a)は精製前の形態であり、(b)は精製後の形態である。
【図7】図7は、本発明の実施例4により得られた多孔性有・無機混成体であるクロムテレフタレートでの窒素吸着等温線の結果である。
【図8】図8は、本発明の実施例5及び比較例4により得られた多孔性有・無機混成体である鉄ベンゼントリカルボキシレートの電子顕微鏡の写真である。
【図9】図9は、本発明の実施例5及び6、並びに比較例4により得られた鉄を含む多孔性有・無機混成体の水分吸着特性の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
実施例1:マイクロ波の照射による多孔性有・無機混成体(Fe−BTC)の製造
【0067】
テフロン(登録商標)反応器に、金属鉄1mmol、1M HNO 60ml、5M HF (水溶液)40ml及び1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTCA)7mmolを加えた後、蒸留水を加えた。反応物の最終のモル比は、Fe:HF:HNO:BTCA:HO=1:2:0.6:0.7:278であった。前記混合した反応物を室温で500rpmで20分間攪拌し、均一な反応物となるようにした。前記前処理した反応物を含有するテフロン(登録商標)反応器を、マイクロ波反応器(CEM社、モデルMars−5)に取り付け、マイクロ波(2.54GHz)を照射して200℃に昇温させた後、200℃で2分間維持し、結晶化反応を行った。次いで、反応物を室温に冷却し、遠心分離、蒸留水による洗浄及び乾燥を行い、多孔性有・無機混成体(Fe−BTC)を得た。前記得られた固体相の多孔性有・無機混成体のX−線回折形態を図1に示す。元素の分析の結果、Fe:C:F=1:6.5:0.32のモル比を示し、窒素吸着実験の結果、BET表面積が2,050m2/g、細孔体積が1.0ml/gであった。形成した多孔性粒子の収率は、86%であった(図2)。
【0068】
上記結果は、前記物質が、以前に文献[Bulletin of Korean Chemical Society vol.26、p.880(2005)]に公開された、Cr−MIL−100の構造と類似した結晶性の構造を有するということを示す。
実施例2:電気加熱による多孔性有・無機混成体(Fe−BTC)の製造
【0069】
熱源として、マイクロ波を照射する代わりに、一般的なコンベクションオーブン(Convection oven)を用いた電気加熱方式で144時間加熱し、有・無機混成体を製造した以外は、前記実施例1と同一の方法で多孔性有・無機混成体を製造した。XRD分析の結果、製造された有・無機混成体の結晶構造において、ピークの相対的な強度は異なるが、実施例1と同一の位置で回折形態が得られたことを確認することができる。窒素吸着実験の結果、1,820m2/gのBET表面積及び0.9ml/gの細孔体積を示した。
比較例1:ゼオライトの水分吸着剤
【0070】
商業用水分吸着剤として用いられるゼオライトY(アルドリッチ社、Si/Al=5.6、比表面積=827m2/g、細孔体積=0.35ml/g)を準備した。
比較例2:単一の酸を用いた多孔性有・無機混成体(Fe−BTC)の製造
【0071】
窒酸ではない単一の酸を用いて混成体を製造した以外は、前記実施例1と同一の方法で多孔性有・無機混成体を製造した。テフロン(登録商標)反応器に、金属鉄1mmol、5M HF(水溶液)40ml及び1,3,5−ベンゼントリカルボン酸 (BTCA)7mmolを加えた後、蒸留水を加えた。反応物の最終のモル比は、Fe:HF:BTCA:HO=1:2:0.6:278であった。有・無機混成体に対するマイクロ波の照射温度は200℃であり、反応を1時間行った。得られた固体相の多孔性有・無機混成体の収率は、82%であった。多孔性有・無機混成体のX−線回折形態は、実施例1の結果と類似しているが、全体的なピーク強度が低い。窒素吸着実験の結果、1,590m2/gのBET表面積及び0.7ml/gの細孔体積を示した。
試験例1:水分吸着試験
【0072】
実施例1及び実施例2で得られた吸着剤を、70℃で30分真空乾燥した後、水分吸着実験を重量法で行った(図3)。相対湿度68%でも吸着剤の1重量当たりの水分吸着量は、実施例1で0.67g/g、実施例2で0.59g/gであった。
【0073】
比較例1の商用の水分吸着剤として用いられるゼオライトYと比較してみると、ゼオライトYを200℃で30分真空乾燥した後、水分吸着実験を同一に行った結果、水分吸着量は0.35g/gであった(図3)。すなわち、実施例の吸着剤に対する脱着温度を70℃にしたにも拘らず、本発明による吸着剤は、1.6倍以上の水分吸着量を示した。
【0074】
また、マイクロ波を用いて製造された実施例1の吸着剤は、初期の5分経過の後、0.4g/g、10分経過の後、0.56g/gの吸着量を示したのに対し、比較例1の吸着剤は、5分経過の後、0.25g/g、10分経過の後、0.28g/gの吸着量を示した。従って、本発明の実施例1による吸着剤は、初期の吸着速度が非常に高いことが分かる。
試験例2:水分脱着試験
【0075】
実施例1で製造された吸着剤とナトリウムゼオライトY(NaY)を、塩化アンモニウム飽和水溶液を仕込んだデシケーターの上層に3日間維持し、充分に水分を吸着させた後、重量分析法で脱着量を分析した。脱着条件において、窒素を300ml/min流しながら吸着剤の重量減少を測定した。実施例1の吸着剤における脱着温度は70℃、比較例1のナトリウムゼオライトY(NaY)における脱着温度は200℃であった。
【0076】
図4は、水分を吸着した吸着剤の全重量を100%として、経時的な重量減少の結果を示したグラフである。重量減少率がこれ以上減少しないことは、脱着可能な水分が全て脱着したことを意味する。実施例1の結果をみると、10分経過の後、40重量%程度の重量減少を示した。比較例1の場合、25重量%の重量減少を示した。実施例1の場合、吸着剤の1重量当たりの脱着可能な水分吸着量が40/60=0.67g/gであり、比較例1の場合、吸着剤の1重量当たりの脱着可能な水分吸着量が25/75=0.33g/gである。従って、実施例1の吸着剤の絶対水分吸着量が、比較例1の吸着剤に比べて2倍以上であることが分かる。また、初期の5分以内の脱着速度も、比較例1の吸着剤に比べて、実施例1の吸着剤がさらに高いことが示された。
【0077】
前記の結果から、本発明による吸着剤は、100℃の温度で水分脱着が容易であり、単位重量当たりの水分吸着量が高い特性を有することが分かる。このような特性を用い、吸着剤を加湿器、除湿器に適用すれば、湿度調節に優れた性能を示すものと予想される。
実施例3(Cr−BDC−1)
【0078】
テフロン(登録商標)反応器に、Cr(NO・9HO及び1,4−ベンゼンジカルボン酸(BDCA)を添加した後、蒸留水を添加し、反応物の最終のモル比がCr:HNO:BDCA:HO=1:0.1:1:272となるようにした。基本的に、Cr(NOが水に溶解されれば、水化して強い酸となる。従って、HNOを仕込んだものと同一の効果を示す。前記反応物を含むテフロン(登録商標)反応器を電気オーブンに入れ、210℃で11時間反応させた後、室温に冷却した後、遠心分離、蒸留水による洗浄及び乾燥を行い、多孔性有・無機混成体としてクロムテレフタレート(Cr−BDC)を得た。製造したCr−BDCのX−線回折分析の結果、2θ値がおよそ3.3、5.2、5.9、8.5及び9.1である特徴的な回折ピークを示し、これから、立方晶の結晶性を有するクロムテレフタレートが得られたことが分かる(図5)。本実施例で得られたクロムテレフタレート結晶のXRD形態は、公開された文献の値と一致することを確認した[Science23、2040、2005]。これにより、反応物にフッ酸(HF)を用いない環境親和型工程によっても、非常に効果的に多孔性有・無機混成体が得られることが分かる。ICP分析の結果、前記得られた多孔性有・無機混成体のクロムテレフタレートは、Fが含まれておらず、その構造はMIL−101と同一であるが、構造内にFが含まれていないものであって、化学式:CrOH(HO)O[C(CO・nHO(n〜25)で表わすことができる物質であることが確認できる。
実施例4(Cr−BDC−2)
【0079】
実施例3で製造された多孔性有・無機混成体1gを1M濃度のNHF 50mlに仕込み、70℃の温度で攪拌し、細孔体の細孔内に存在する結晶構造内に結合されない、1,4−ベンゼンジカルボン酸及びクロム酸化物等のような不純物を除去することにより、表面積が向上した有・無機混成体を製造した。X−線回折形態(図6)から、フッ化アンモニウムの処理後に結晶性が損なわれずに維持されることを確認することができる。また、前記フッ化アンモニウムの処理前後の多孔性有・無機混成体の窒素吸着測定結果から、フッ化アンモニウムの処理により表面積が700m2/g(フッ化アンモニウムの処理前3,373m2/g→処理後4,074m2/g)増加し、P/Po=0.5での吸着量が200ml/g(フッ化アンモニウムの処理前1,050ml/g→処理後1,250ml/g)増加する特性を有する有・無機混成体が得られることが見られる(図7)。
実施例5:マイクロ波の照射による多孔性有・無機混成体(Fe−BTC−1)の製造
【0080】
テフロン(登録商標)反応器に、金属鉄1mmol、1M HNO 60ml及び1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTCA)7mmolを添加した後、蒸留水を加えた。反応物の最終のモル比は、Fe:HNO:BTCA:HO=1:0.6:0.7:278であった。前記反応物を室温で500rpmで20分間攪拌し、均一な反応物となるようにした。前記前処理した反応物を含むテフロン(登録商標)反応器を、マイクロ波反応器(CEM社、モデルMars−5)に取り付け、マイクロ波(2.54GHz)を照射して200℃に昇温させた後、200℃で2分間維持して、結晶化反応を行った。次いで、室温に冷却し、遠心分離、蒸留水による洗浄及び乾燥を行い、多孔性有・無機混成体(Fe−BTC)を得た。X−線回折形態の模様は、公開された文献[Bulletin of Korean Chemical Society vol.26、p.880(2005)]の結晶構造であるCr−MIL−100の構造と類似していることを示す。ICP分析の結果、得られた多孔性有・無機混成体のクロムテレフタレートは、Fが含まれていないものであって、その構造はMIL−100と同一であるが、構造内にFが含まれておらず、化学式: FeO(HO)OH[C−(CO)・nHO(n〜14.5)で表わすことができる物質であることが分かる。窒素吸着実験の結果、多孔性有・無機混成体(Fe−BTC)の表面積が1,700m2/g以上であることを確認した。電子顕微鏡分析の結果、粒子のサイズが200〜500nm以下と非常に小さくなったことが分かる(図8a)。
実施例6:電気加熱による多孔性有・無機混成体(Fe−BTC−2)の製造
【0081】
熱源として、マイクロ波を照射する代わりに、一般的な電気ヒーティング方式を用いた電気加熱方式で6時間加熱し、有・無機混成体を製造した以外は、前記実施例3と同一の方法で多孔性有・無機混成体を製造した。XRD分析の結果、前記のように製造された有・無機混成体の結晶構造において、ピークの相対的な強度は異なるが、実施例3と同一の位置で回折形態が得られることを確認した。電子顕微鏡を用いた分析の結果、粒子のサイズが1μmと相対的に大きい結晶を得ることができた。
実施例7(Cr−BDC−3)
【0082】
実施例3で、電気ヒーティング方式ではないマイクロ波の照射によるヒーティング方式を用いた以外は、実施例3と同一の方法で有・無機混成体を製造した。しかし、2.5GHz振動数のマイクロ波反応装置を用い、反応温度210℃、反応時間40分間維持し、有・無機混成体を製造した。X−線回折形態の分析により、前記物質が実施例3と同一の構造であることが示された。
実施例 8(Fe−BDC−3)
【0083】
Cr(NO・9HOの代わりに、Feを用いた以外は、実施例3と同一の方法で有・無機混成体を製造した。また、実施例4の後処理ステップを用い、純粋な多孔性有・無機混成体を製造した。X−線回折形態から、実施例3と同一の構造の物質が得られることが分かった。
実施例9(V−BDC−1)
【0084】
実施例8で、Cr(NO・9HOを用いる代わりに、VClを用いた以外は、実施例3及び実施例4の後処理ステップを用いた同一の方法で有・無機混成体を製造した。X−線回折形態は、実施例3と同一の構造の物質が得られたことを示す。電子顕微鏡の写真は、50〜80nm程度の均一な粒径特性を有する有・無機混成体が得られることを示す。
実施例10
【0085】
実施例5及び6、並びに比較例4で得られた有・無機混成体のFe−BTCAそれぞれ0.1gを、150℃で30分真空乾燥した後、水分の吸着実験を重量法で行った(図5)。
【0086】
相対湿度60%で、初期の5分以内での吸着剤の1重量当たりの水分吸着量は、実施例5で0.36g/g、実施例6で0.34g/gであるものと測定された。これは、比較例4の吸着量0.29g/gよりそれぞれ24%、17%向上した結果を示すものである。特に、吸着初期から5分までの全領域での水分吸着速度が非常に速いことを確認した。このように、本発明による多孔性有・無機混成体を低温水分吸着剤として用いる場合、吸着剤は100℃以下で容易に脱着することができ、このような特性を用い、加湿器、除湿器等において非常に優れた性能を達成することができることが分かる。
実施例11
【0087】
前記実施例3の方法により得られた多孔性有・無機混成体のCr−BDC 1gに揮発性有機化合物であるベンゼン1gを仕込み、1時間の吸着実験を行った結果、0.73gのベンゼンが吸着により除去されることを確認した。この値は、同一含量のDarco社の活性炭(表面積1600m2/g)の吸着量である0.19gのベンゼン吸着量よりも3.5倍高い吸着量であることが確認できた。
比較例3(Cr−BDC−4)
【0088】
実施例3による製造方法において、反応混合物を調製する際にフッ酸を用いて多孔性有・無機混成ナノ細孔体を製造した。反応混合物の最終のモル比は、Cr:HF:BDCA:HO=1:1:1:272となるようにした。製造した多孔性有・無機混成ナノ細孔体の表面積の分析の結果、P/Po=0.5で吸着量が1,044ml/g、BET表面積が3,439m2/gである有・無機混成体が得られることが分かった。
比較例4(Fe−BTC)
【0089】
実施例5による製造方法において、反応混合物を調製する際にフッ酸を用いて多孔性有・無機混成ナノ細孔体を製造した。反応混合物の最終のモル比は、Fe:HF:HNO:BTCA:HO=1:1:0.6:0.7:278となるようにした。製造した有・無機混成体のX−線回折の分析の結果、実施例5と同一の結晶性を有する有・無機混成体が得られる代わりに、結晶サイズが非常に大きい(1 〜 5μm)物質が得られることが分かる(図8b)。
【0090】
前記実施例及び比較例の結果から、フッ酸を用いる工程に比べて、フッ酸を含まない本発明の製造方法により同一の結晶性を有する多孔性有・無機混成ナノ細孔体を製造することができることを確認した。特に、アンモニウム塩及びフッ化カリウム等のような無機塩で処理する場合、表面積が10%以上増加することを確認した。また、本発明の製造方法により製造された多孔性有・無機混成ナノ細孔体は、触媒として活性が非常に高いことを確認した。また、本発明の製造方法により製造された多孔性有・無機混成体は、吸・脱着性能に優れた吸着剤として用いることができる。特に、水分吸着剤として用いる場合、100℃以下の低温で脱着が容易に起こるため、このような特性を用い、加湿器、除湿器等において非常に優れた性能を達成することができる。また、本発明の製造方法により製造された多孔性有・無機混成体を、VOC、シックハウス症候群の誘発物質のような特定の有害物質の吸着剤として用いる場合、蒸気相及び粒子相の特定の有害物質を効果的に除去することができる。
【図8(a)】

【図8(b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,700m2/g超過10,000m2/g未満の表面積、及び0.8mL/g超過10mL/g未満の細孔体積を有する、鉄テレフタレート及び鉄ベンゼントリカーボネートからなる群より選ばれる多孔性有・無機混成体を含む水分吸着剤であって、前記多孔性有・無機混成体が、次のステップを含む方法により製造されることを特徴とする水分吸着剤:
(1)鉄前駆体として、鉄または鉄塩、有機リガンド、溶媒及び反応促進剤として、フッ酸及び窒酸を含む混合酸を混合して反応物混合液を製造するステップ;及び
(2)前記反応物混合液を、電気加熱またはマイクロ波の照射を行って加熱するステップ。
【請求項2】
60〜80℃で10〜30分間乾燥した後、相対湿度60〜80%下で前記鉄含有多孔性有・無機混成体の水分吸着量は、前記多孔性有・無機混成体の1グラム当たり0.4〜0.7gであることを特徴とする請求項1に記載の水分吸着剤。
【請求項3】
前記反応物混合液を100〜250℃の温度で加熱することを特徴とする請求項1に記載の水分吸着剤。
【請求項4】
前記反応物混合液の加熱が、マイクロ波の照射により行われることを特徴とする請求項3に記載の水分吸着剤。
【請求項5】
製造のために、回分式反応器または連続式反応器を用いることを特徴とする請求項3に記載の水分吸着剤。
【請求項6】
前記(1)ステップの後に、50〜2,000rpmで5分〜600分間攪拌するか、または15,000Hz〜30MHzの超音波を1〜600分間照射し、結晶核を形成する前処理ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の水分吸着剤。
【請求項7】
次のステップにより製造されることを特徴とする多孔性有・無機混成体を含有する吸着剤:
(1)金属前駆体、リガンドとして作用することができる有機化合物、酸及び溶媒を混合して反応物混合液を製造するステップ;
(2)前記反応物混合液を、電気加熱またはマイクロ波の照射を行って100℃以上に加熱するステップ;及び
(3)前記ステップ(2)で得られた多孔性有・無機混成体を、無機塩または溶媒で処理することにより精製するステップ。
【請求項8】
前記酸が、フッ酸を除いた無機酸であることを特徴とする請求項7に記載の吸着剤。
【請求項9】
前記ステップ(3)で用いられる無機塩は、NH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる1価または2価の陽イオンと、ハロゲン陰イオン、炭酸イオン(CO2−)、窒酸イオン及び硫酸イオンからなる群より選ばれる1価または2価の陰イオンを含み、前記無機塩で処理することにより得られた多孔性有・無機混成体内の不純物を精製することを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項10】
前記金属前駆体が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Оs、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb及びBiからなる群より選ばれる1つ以上の金属またはその化合物であることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項11】
前記金属前駆体が、Al、Fe、V、Mn、Mg及びCrからなる群より選ばれる1つ以上の金属またはその化合物であることを特徴とする請求項10に記載の吸着剤。
【請求項12】
リガンドとして作用することができる有機化合物が、カルボン酸基、カルボン酸の陰イオン基、アミノ基(−NH)、イミノ基(
【化1】

)、アミド基(−CONH)、スルホン酸基(−SOH)、スルホン酸の陰イオン基(−SO)、メタンジチオ酸基(−CSH)、メタンジチオ酸の陰イオン基(−CS)、ピリジン基及びピラジン基からなる群より選ばれる1つ以上の作用基を含む化合物またはその混合物であることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項13】
カルボン酸の陰イオン基を有する化合物が、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ビピリジルジカルボン酸、蟻酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸及びシクロヘキシルジカルボン酸からなる群より選ばれる化合物に由来するものであることを特徴とする請求項12に記載の吸着剤。
【請求項14】
前記多孔性有・無機混成体が、クロムテレフタレート、鉄テレフタレート、アルミニウムテレフタレートまたはバナジウムテレフタレートであることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項15】
前記多孔性有・無機混成体が、Fe−BTC(ベンゼントリカルボキシレート)またはCr−BDC(ベンゼンジカルボキシレート)であることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項16】
前記多孔性有・無機混成体が、ナノ粒子の形態に製造されることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項17】
前記多孔性有・無機混成体が、薄膜またはメンブレイン形態に製造されることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項18】
前記多孔性有・無機混成体が、フッ素を含有しておらず、化学式:CrOH(HO)O[C(CO・nHO(n〜25)で表わされることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項19】
前記多孔性有・無機混成体が、フッ素を含有しておらず、化学式:FeO(HO)OH[C−(CO・nHO(n〜14.5)で表わされることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項20】
請求項7または8に記載の吸着剤を用いて水分を吸着することを特徴とする水分吸着剤。
【請求項21】
除湿器、加湿器または冷凍機において、水分吸着のために用いられることを特徴とする請求項20に記載の水分吸着剤。
【請求項22】
100℃以下の低温で、水分吸着のために用いられることを特徴とする請求項20に記載の水分吸着剤。
【請求項23】
蒸気相または粒子相の特定の有害物質の吸着のために用いられることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項24】
蒸気相または粒子相の揮発性有機化合物の吸着のために用いられることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。
【請求項25】
シックハウス症候群を起こす、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、タール、ニトロソアミン類及びポリ環状芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる1つ以上の蒸気相または粒子相の物質の吸着のために用いられることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−512991(P2010−512991A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541227(P2009−541227)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006472
【国際公開番号】WO2008/072896
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(398043850)コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー (21)
【Fターム(参考)】