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多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法及びガス吸蔵材料
説明

多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法及びガス吸蔵材料

【課題】新規な多孔性金属錯体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩との混合物を、反応させて得られる多孔性金属錯体。


(式中、P及びPは、同一又は異なり、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。Z及びZは、同一又は異なり、=O、=S又は=NRαを表す(Rαは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)。R及びRは、同一又は異なり、−CO、−SO、−PO又は−C≡Nを表す(Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法及びガス吸蔵材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔性金属錯体は有機配位子と金属原子又は金属イオンとが連結することで構成される無限骨格構造を有し、多孔性を示す化合物群である。このような多孔性金属錯体は、空隙率の高さからガスや医薬品の吸蔵・貯蔵材料として、また、ミクロ孔の均一性からサイズや拡散速度の異なる分子の分離材料として、さらに、空孔のナノ空間を反応場とした触媒材料として注目されている(非特許文献1)。
【0003】
これまでに、有機配位子としてテレフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)やトリメシン酸(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸)を用いた多孔性金属錯体が報告されており、そのガス吸蔵特性が知られている(非特許文献2)。
【0004】
一方、芳香族環及び芳香族複素環が三つ以上縮合した芳香族化合物を有する多孔性金属錯体はこれまで報告例が少なく、三環縮合系ではアントラセンの9位及び10位にカルボキシル基を有する多孔性金属錯体の報告例しかなかった(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「革新的な多孔質材料−空間をもつ機能性物質の創成」、日本化学会、化学同人、2010年発行
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 1391-1397
【非特許文献3】Inorg. Chem. 2007, 46, 8499-8501
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の9位及び10位にカルボキシル基を有するアントラセン配位子をもつ多孔性金属錯体は、例えばガス吸蔵材料として用いた場合、特性が不十分であった。そのため、当該多孔性金属錯体よりも大きな比表面積を有し、ガス吸蔵材料として用いた場合に特性が十分な多孔性金属錯体が求められていた。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑み、新規な多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法及びガス吸蔵材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、下記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩との混合物を、反応させて得られる生成物を含む多孔性金属錯体を提供する。
【化1】

(式中、
及びPは、同一又は異なり、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。
及びZは、同一又は異なり、=O、=S又は=NRαを表す(Rαは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)。
及びRは、同一又は異なり、−CO、−SO、−PO又は−C≡Nを表す(Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rが複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)。)
【0009】
本発明においては、前記多孔性金属錯体が、前記混合物を、60℃以上250℃以下の範囲で加熱して反応させて得られる生成物を含むことが望ましい。
【0010】
本発明においては、前記一般式(1)におけるP及びPが、置換基を有していてもよいベンゼン環であることが望ましい。
【0011】
本発明においては、前記一般式(1)で表される芳香族化合物は、P及びPが置換基を有していてもよいベンゼン環である縮合環骨格を有し、前記一般式(1)におけるRが、前記縮合環骨格の2位に結合し、かつ、前記一般式(1)におけるRが、前記縮合環骨格の6位に結合していることが望ましい。
【0012】
本発明においては、前記一般式(1)におけるR及びRが、−COであることが望ましい。
【0013】
本発明においては、前記一般式(1)におけるZ及びZが、=Oであることが望ましい。
【0014】
本発明においては、前記多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子にそれぞれ配位することで、該2つの金属原子を架橋する補助配位子を更に含むことが望ましい。
【0015】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩とを、
1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶媒に溶解又は分散させた反応液を得る工程と、該反応液を反応させる工程と、
を備える多孔性金属錯体の製造方法を提供する。
【化2】

(式中、
及びPは、同一又は異なり、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。
及びZは、同一又は異なり、=O、=S又は=NRαを表す(Rαは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)。
及びRは、同一又は異なり、−CO、−SO、−PO又は−C≡Nを表す(Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rが複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)。)
【0016】
本発明の製造方法においては、前記反応液を反応させる工程が、60℃以上250℃以下の範囲で加熱して反応させる工程であることが望ましい。
【0017】
本発明の製造方法においては、前記反応液を反応させる工程の後に、
該反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子にそれぞれ配位することで、該2つの金属原子を架橋しうる補助配位子を溶解又は分散させて反応させる工程を更に含むことが望ましい。
【0018】
本発明の製造方法においては、前記反応液を反応させる工程の前に、
該反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子にそれぞれ配位することで、該2つの金属原子を架橋しうる補助配位子を溶解又は分散させる工程を更に含むことが望ましい。
【0019】
本発明は、上述の多孔性金属錯体を含むガス吸蔵材料を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガス吸蔵材料として用いた場合、特性が十分な新規な多孔性金属錯体を提供することができる。また、本発明によれば多孔性金属錯体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の77Kにおける窒素の吸脱着等温線である。
【図2】実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。
【図3】実施例2で合成した多孔性金属錯体(B)の77Kにおける窒素の吸脱着等温線である。
【図4】実施例2で合成した多孔性金属錯体(B)の195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。
【図5】実施例3で合成した多孔性金属錯体(C)の77Kにおける窒素の吸脱着等温線である。
【図6】実施例3で合成した多孔性金属錯体(C)の195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態の多孔性金属錯体は、下記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩との混合物を、反応させて得られる生成物を含むものである。
【0023】
【化3】

(式中、
及びPは、同一又は異なり、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。
及びZは、同一又は異なり、=O、=S又は=NRαを表す(Rαは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)。
及びRは、同一又は異なり、−CO、−SO、−PO又は−C≡Nを表す(Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rが複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)。)
【0024】
また、本実施形態の多孔性金属錯体の製造方法は、上記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩とを、
1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶媒に溶解又は分散させた反応液を得る工程と、該反応液を反応させる工程と、を備える。
【0025】
また、本実施形態のガス吸蔵材料は、上述の多孔性金属錯体を含むものである。
以下、順に説明する。
【0026】
<多孔性金属錯体>
(芳香族化合物)
本実施形態の多孔性金属錯体に含まれる、前記一般式(1)で表される芳香族化合物について説明する。
【0027】
前記一般式(1)中、P及びPは、同一又は異なり、置換基を有していてもよいベンゼン環又は芳香族複素環を表す。ここで表される芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環等が挙げられ挙げられる。
及びPは、本発明の多孔性金属錯体の合成が容易であることから好ましくは、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ピリジン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
及びPが置換基を有していてもよいベンゼン環である場合、前記一般式(1)で表される芳香族化合物は、3環式の縮合環骨格を有することとなる。
【0028】
及びPが有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨード原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;カルボキシル基;メルカプト基;スルホン酸基;ニトロ基;ホスホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基を有するシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、アダマンチル基、ドデシル基、シクロドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素数1〜50の直鎖、分岐又は環状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等の全炭素数1〜50程度の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基;フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、3−エテニルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−メトキシメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基等の全炭素数6〜60程度のアリール基等が挙げられる。
合成が容易であることから、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨード原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;カルボキシル基;メルカプト基;スルホン酸基;ニトロ基;ホスホン酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素数1〜20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等の炭素数1〜10の直鎖、分岐のアルコキシ基;フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、3−エテニルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−メトキシメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基等の炭素数6〜30のアリール基であり、
より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨード原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、2−ナフチル基、9−アントリル基であり、さらに好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨード原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基である。
なお、これらの置換基の説明、例示は、本明細書中の以下の「置換基」において、同様である。
【0029】
前記一般式(1)中、Z及びZは、同一又は異なり、=O、=S又は=NRαを表す(Rαは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)。ここで、Z又はZが=NRαである多孔性金属錯体は、Z又はZが=Oである多孔性金属錯体を合成した後に、=OとHNRαで表される第一級アミンとを脱水縮合反応させることによっても得ることができる。
【0030】
このような脱水縮合反応は、触媒非存在下において加熱して行うこともできるが、触媒を用いると効率よく行うことができる。触媒としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸等の酸が挙げられる。
【0031】
前記一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なり、−CO、−SO、−PO又は−C≡Nを表す。ここで、Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。なお、Rとして使用可能なアルカリ金属原子は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムである。R及びRは合成が簡便であることから同一であるものが好ましい。
【0032】
前記一般式(1)で表される芳香族化合物は、R及びRにおいて、陽イオンである金属イオンと配位結合を形成し、多孔性金属錯体を形成する。そのため、R及びRとしては、陰イオンとなりうる−CO、−SO及び−POが好ましく、陽イオンとの相互作用の強さから−COがより好ましい。
また、後述する本発明の製造方法における反応液中で陰イオンとなりやすいため、Rは水素原子又はアルカリ金属原子であることが好ましい。さらに、生成する無機塩の除去する工程を省くことができるため、Rは水素原子であることがより好ましい。
【0033】
前記一般式(1)中、本発明の多孔性金属錯体が規則正しい細孔構造をとり易いので、Z及びZは同一であることが好ましい。また、合成の簡便さから、Z及びZは=Oであることが好ましい。
【0034】
前記一般式(1)で表される芳香族化合物を合成するには、
まず、J. Org. Chem. 1993, 58, 7516-7523に記載されているように、1当量の1,4−ベンゾキノンに対し、2当量の2−メチル−1,3−ブタジエンを、段階的にDiels−Alder反応及び酸化反応をさせて、2,6−ジメチルアントラキノンを得る。次いで、該化合物のメチル基をMacromolecules 1999, 32, 5786-5792に記載されているように、CrO酸化することによって得ることができる。
【0035】
前記一般式(1)で表される芳香族化合物としては、以下で表される芳香族化合物が好ましい。
【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
(金属原子及びそれを含む金属塩)
次に、本実施形態の多孔性金属錯体に含まれる金属原子、及び、該金属原子を含み本実施形態の多孔性金属錯体の原料として用いられる金属塩について説明する。
【0040】
本実施形態の多孔性金属錯体に含まれる金属原子は、周期表第2族〜第13族から選択される金属原子である。具体的には、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムである。
前記一般式(1)で表される芳香族化合物との錯体形成の観点から、好ましくはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムであり、
より好ましくはマグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムであり、
さらに好ましくはマグネシウム、カルシウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムである。
【0041】
本実施形態の多孔性金属錯体の原料として用いられる金属塩とは、上述した金属原子のうち1種の金属原子を通常陽イオンとして有する塩を表す。陽イオンの価数は、多孔性金属錯体を形成するには前述の芳香族化合物を複数有する必要があることから2〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。
【0042】
金属塩は金属原子が通常陽イオンであることから、金属塩全体として電気的に中性にする陰イオンを有する。このような陰イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酸化物イオン、硫化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、チオシアン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ酸イオン、アセチルアセトナート、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシドが挙げられる。
高溶解度のため、後述する本発明の製造方法において好適に使用できることから、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、アセチルアセトナート、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシドであり、特に好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンである。
また、陰イオンが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0043】
また、金属塩は上記の陰イオンのほかに、溶媒和して溶媒和塩を形成する分子を配位子として有していてもよい。
該分子としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、4,4’−ビピリジン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサンなどが挙げられ、好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドである。
また、該分子が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0044】
(補助配位子)
本実施形態における多孔性金属錯体は、前記一般式(1)で表される芳香族化合物以外に多孔性金属錯体を形成するために必要な配位子(以下、補助配位子と称することがある)を有していてもよい。
補助配位子は、本実施形態の多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子、例えば多孔性金属錯体の1分子当たりに含まれる2つの金属原子、にそれぞれ配位することで、該2つの金属原子を架橋することができる化合物である。補助配位子は、金属原子に配位可能な2以上の原子又は基を含み、2つの金属原子に配位して架橋し、多孔性金属錯体の格子(骨格)の一部を構成する。
【0045】
例えば、前記一般式(1)で表される芳香族化合物と上述の金属原子を含む金属塩との混合物とを反応させて得られる生成物が、面方向に広がりを有する板状(層状)の結晶構造となる場合、補助配位子を加えて反応させ、層間を補助配位子で架橋することにより、多孔性金属錯体とすることが可能である。
【0046】
ここで補助配位子としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2,2’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、トリエチレンジアミンのような、孤立電子対を有する窒素原子を2つ有する化合物や、シュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二酸)、コハク酸(ブタン二酸)、フタル酸(ベンゼン−1,2−ジカルボン酸)、イソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)、テレフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)のようなカルボキシル基を2つ有する化合物を挙げることができる。
取り扱いが容易であることから、好ましくはピラジン、4,4’−ビピリジル、トリエチレンジアミン、シュウ酸、テレフタル酸であり、より好ましくはピラジン、4,4’−ビピリジル、トリエチレンジアミンである。
【0047】
(多孔性金属錯体の特徴)
本実施形態における多孔性金属錯体は、結晶構造中に複数の細孔が規則正しく形成された構造を有している。金属錯体が「多孔性」であるか否かの判断は、次の2つの条件のいずれかを満たすか否かを確認することにより行うことができる。
【0048】
(条件1)
まず、多孔性金属錯体は結晶性を示す傾向(つまり、規則正しい繰返し単位を有する傾向)がある。そのため、本実施形態の多孔性金属錯体は、粉末X線回折(XRD)の測定によって、回折ピーク(2θ)を与える。すなわち、後述の製造方法により製造した金属錯体が多孔性を有する場合、XRDの測定によって回折ピークを与える傾向がある。
【0049】
本実施形態における多孔性金属錯体は、0.1°以上12°以下に回折ピークが観測されるものが好ましい。さらに、回折ピークが0.1°以上10°以下に観測されるものがより好ましく、0.1°以上8°以下に観測されるものがさらに好ましく、0.1°以上7°以下に観測されるものが特に好ましい。
【0050】
(条件2)
また、後述の製造方法により製造した金属錯体が多孔性を示す場合、物質の表面積が非常に広いものとなることから、多孔性金属錯体を77Kにおける窒素の吸脱着等温線の測定から算出したBET比表面積が非常に大きい値を示す。具体的には、後述の製造方法により製造した金属錯体が多孔性を有する場合、BET比表面積の測定によって5m−1以上の値となる傾向がある。
【0051】
多孔性金属錯体は、BET比表面積が5m−1以上20000m−1以下であるものが好ましい。さらに、BET比表面積が50m−1以上20000m−1以下であるものがより好ましく、100m−1以上20000m−1以下であるものがさらに好ましく、200m−1以上20000m−1以下であるものがよりさらに好ましい。
【0052】
以上のような多孔性金属錯体は、新規な構成のものであり、ガス吸蔵材料としての利用や、その他後述する種々の用途に用いることができる。
【0053】
<多孔性金属錯体の製造方法>
本実施形態の多孔性金属錯体は、前記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩とを、1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶液又は分散液(以下、反応液と称する)を調製する工程(第1の工程)と、該反応液を反応させる工程(第2の工程)とを備える製造方法によって得ることができる。
【0054】
ここで、反応液が分散液であっても、反応の進行と共に分散した反応基質を消費し、目的とする多孔性金属錯体を得ることができるが、反応が進行しやすいことから、反応液は溶液であることが望ましい。
【0055】
前記第1の工程において、前記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩のモル比率は、収率が高くなることから、好ましくは0.5〜3.0であり、さらに好ましくは0.8〜2.5である。
【0056】
前記第1の工程において、反応液中の前記一般式(1)で表される芳香族化合物の濃度は、溶解度が高く反応液が溶液となること、および収率が高くなることから、好ましくは1mmol/L以上1000mmol/L以下であり、さらに好ましくは10mmol/L以上500mmol/L以下である。
【0057】
前記第1の工程において、反応液中の周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩の濃度は、溶解度が高く反応液が溶液となること、および収率が高くなることから、好ましくは1mmol/L以上1000mmol/L以下であり、さらに好ましくは10mmol/L以上500mmol/L以下である。
【0058】
前記第1の工程において、反応液を構成する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶媒が挙げられる。
反応における金属塩と芳香族化合物の溶解性を確保し易いことから、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、水、メタノール、エタノールであり、さらに好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドである。
なお、前記一般式(1)で表される芳香族化合物において、R及びRがエステル結合を有する場合には、上述の反応液を構成する溶媒に、R及びRが有するエステル結合を加水分解させるための水を混在させるものとする。
【0059】
前記第2の工程において、反応温度は、前記一般式(1)で表される芳香族化合物及び周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩の種類に応じて、適宜調節すればよく、通常、室温以上300℃以下の範囲であるが、60℃以上250℃以下の範囲で加熱して反応させることが好ましく、80℃以上220℃以下の範囲で加熱して反応させることがより好ましく、100℃以上200℃以下の範囲で加熱して反応させることが更に好ましい。60℃以上で加熱して反応させることで、金属錯体の収率がより向上し、250℃以下で加熱して反応させることで、溶媒の分解がより抑制される。
【0060】
前記第2の工程において、反応液の反応は空気雰囲気下で行なうことができる。また、開放系で反応液の反応を行なうこともできるが、溶媒の沸点以上の温度に加熱して反応させることができるため、オートクレーブ等の密閉型反応容器を用いることが好ましい。密閉型反応容器を用いて溶媒の沸点以上の温度に加熱すると、該容器内は加圧環境となり、高温高圧下で反応を行うこととなる。
【0061】
前記第2の工程において、反応容器の加熱はオイルバスやオーブン等で行うことができる。また、マイクロ波や超音波を照射することによっても行うことができる。
【0062】
前記第2の工程において、反応時間は、1分以上1週間以下であることが好ましく、1時間以上120時間以下であることがより好ましく、2時間以上72時間以下であることがさらに好ましい。なお、反応温度及び反応時間については、前記一般式(1)で表される芳香族化合物及び周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩の種類によって選択できる。また、製造された多孔性金属錯体は、本実施形態の工程では析出しやすい傾向にあり、濾別等で分離し、必要に応じて洗浄操作や乾燥操作を行うことで、単離精製することができる。
【0063】
補助配位子を用いる場合、補助配位子は、前記一般式(1)で表される芳香族化合物と上述の金属原子を含む金属塩とを含む反応液を反応させる工程の後に、該反応液に溶解又は分散させて反応させることとしてもよい。
また、前記一般式(1)で表される芳香族化合物と上述の金属原子を含む金属塩とを含む反応液を反応させる工程の前に、該反応液に補助配位子を加え、補助配位子の共存下で反応液を反応させることとしてもよい。
補助配位子を添加するタイミングは、多孔性金属錯体に含まれる金属原子を含む金属塩や前記一般式(1)で表される芳香族化合物の種類に応じて、適宜選択することができる。
【0064】
以上のような多孔性金属錯体の製造方法によれば、液相で反応させることにより錯体形成を促進し、目的とする多孔性金属錯体を容易に製造することができる。
【0065】
<ガス吸蔵材料>
本実施形態の多孔性金属錯体をガス吸蔵材料として用いるためには、多孔性金属錯体内に存在する溶媒分子などを除くための前処理をすることが望ましい。当該溶媒分子は、上述の製造時に用いた反応液に由来するものである。
【0066】
当該前処理は、多孔性金属錯体を加熱することにより行うことができる。溶媒分子の沸点を考慮すると、好ましくは15℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは20℃以上230℃以下である。また、上述の前処理として、多孔性金属錯体を超臨界二酸化炭素により洗浄してもよく、加熱処理よりも効果的に溶媒分子の除去を行うことができる。
【0067】
本実施形態のガス吸蔵材料は、多孔性金属錯体を単体で用いてもよいが、添加物を加えて用いてよい。ここで添加物とは、シリカ、アルミナ、ゼオライト、活性炭、本実施形態以外の多孔性金属錯体などの多孔質材料、パラジウムや白金などの金属単体、該金属単体を活性炭に担持したものである。
【0068】
本実施形態の多孔性金属錯体は、窒素、二酸化炭素、水素、酸素、一酸化炭素、炭素数1〜4の炭化水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、水蒸気等のガスに対してガス吸蔵能を示し、中でも窒素、二酸化炭素、水素に対して優れたガス吸蔵能を示す。したがって、本実施形態のガス吸蔵材料によれば、窒素、二酸化炭素、水素等のガスの吸蔵・貯蔵が実現可能となる。
【0069】
<その他>
また、本実施形態の多孔性金属錯体は細孔構造を有しているため、ガスの吸蔵材のほか、医薬品などの貯蔵材料、サイズや拡散速度の異なる分子の吸着材料や分離材料、ナノ空間を反応場とする触媒材料としての利用が期待される。また、配位子骨格は三環の芳香族化合物によって構成され、多孔性金属錯体全体に共役が広がっていることから、有機ELの発光材料、トランジスタ、色素増感太陽電池及び有機物や水の光分解触媒等の半導体材料としても用いることが可能である。また、多孔性金属錯体は、レドックスを有する固体触媒等の用途に好適であり、具体的には、過酸化水素の分解触媒、芳香族化合物の酸化重合触媒、排ガス・排水浄化用触媒、色素増感太陽電池の酸化還元触媒層、二酸化炭素還元触媒、改質水素製造用触媒、酸素センサー等の用途が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例における分析及び評価は以下のものを用いて行った。
【0071】
(1)粉末X線回折(XRD)の測定
装置:ブルカー・エイエックスエス(株)製 D8 DISCOVER with GADDS
X線管球:Cu-Kα
X線出力:40 kV-40 mA
露光時間:600秒
分解能:0.02 °
測角範囲:4-40.2 °
【0072】
(2)吸脱着等温線の測定
装置:日本ベル(株)製 BELSORP-mini
平衡時間:窒素 90秒(P/P0: 0〜1.0)
二酸化炭素 150秒(P/P0: 0〜0.1), 250秒(P/P0: 0.1〜1.0)
【0073】
(3)水素吸蔵量の測定
装置:(株)ヒューズ・テクノネット製 超高圧PCT測定装置
測定方法:JIS-H-7201(水素吸蔵合金の測定方法)に準拠。
【0074】
<合成例1>
(2,6−アントラキノンジカルボン酸の合成)
以下の反応式に従って、1,4−ベンゾキノンを出発物質として2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)を合成した。
【0075】
【化7】

【0076】
まず、J. Org. Chem. 1993, 58, 7516-7523に従って、1当量の1,4−ベンゾキノンに対し、2当量の2−メチル−1,3−ブタジエンを、段階的にDiels−Alder反応及び酸化反応をさせて、2,6−ジメチルアントラキノンを得た。
次いで、Macromolecules 1999, 32, 5786-5792に従って、2,6−ジメチルアントラキノンのメチル基をCrO酸化することによって、2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz, δ):
8.35 (d, J = 8.1Hz 2H), 8.43 (d, J = 7.8Hz 2H), 8.69 (s, 2H)
【0077】
<実施例1>
296mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、233mgの塩化ジルコニウム(IV)及び50mLのN,N−ジメチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と塩化ジルコニウム(IV)のモル比は1:1であり、濃度はともに20mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを120℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた淡黄色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(A)を得た(収量434mg)。
【0078】
多孔性金属錯体(A)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 6.0, 12.0
【0079】
得られた多孔性金属錯体(A)の77Kにおける窒素と195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線の測定結果を図1及び図2に示す。
【0080】
77Kにおける窒素の吸脱着等温線の測定結果より算出した多孔性金属錯体(A)のBET比表面積は258m−1であった。
【0081】
<実施例2>
89mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、87mgの硝酸ランタン(III)六水和物及び7.5mLのN,N−ジエチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と硝酸ランタン(III)六水和物のモル比は1.5:1であり、濃度はそれぞれ40mmol/L、27mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた淡黄色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(B)を得た(収量176mg)。
【0082】
多孔性金属錯体(B)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 4.1, 6.9, 10.4, 13.6, 24.5, 25.7
【0083】
得られた多孔性金属錯体(B)の77Kにおける窒素と195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線の測定結果を図3及び図4に示す。
【0084】
77Kにおける窒素の吸脱着等温線の測定結果より算出した多孔性金属錯体(B)のBET比表面積は738m−1であった。
【0085】
<実施例3>
89mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、87mgの硝酸セリウム(III)六水和物及び7.5mLのN,N−ジエチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と硝酸セリウム(III)六水和物のモル比は1.5:1であり、濃度はそれぞれ40mmol/L、27mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた淡黄色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(C)を得た(収量157mg)。
【0086】
多孔性金属錯体(C)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 4.1, 6.8, 28.2
【0087】
得られた多孔性金属錯体(C)の77Kにおける窒素と195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線の測定結果を図5及び図6に示す。
【0088】
77Kにおける窒素の吸脱着等温線の測定結果より算出した多孔性金属錯体(C)のBET比表面積は520m−1であった。
【0089】
<実施例4>
296mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、256mgの硝酸マグネシウム(II)六水和物及び50mLのN,N−ジメチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と硝酸マグネシウム(II)六水和物のモル比は1:1であり、濃度はともに20mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた淡黄色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(D)を得た(収量421mg)。
【0090】
多孔性金属錯体(D)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 5.4, 6.4, 12.9, 23.7, 25.8, 27.1
【0091】
<実施例5>
89mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、73mgの硝酸ガリウム(III)六水和物及び7.5mLのN,N−ジメチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と硝酸ガリウム(III)六水和物のモル比は1.5:1であり、濃度はそれぞれ40mmol/L、27mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた淡黄色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(E)を得た(収量125mg)。
【0092】
多孔性金属錯体(E)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 6.0, 12.0, 12.6, 18.0, 24.0, 30.1
【0093】
<実施例6>
89mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、77mgの硝酸イットリウム(III)六水和物及び7.5mLのN,N−ジエチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と硝酸イットリウム(III)六水和物のモル比は1.5:1であり、濃度はそれぞれ40mmol/L、27mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた淡黄色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(F)を得た(収量126mg)。
【0094】
多孔性金属錯体(F)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 6.4, 8.1, 9.4, 11.7, 13.0, 18.9, 22.0
【0095】
<実施例7>
89mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、71mgの硝酸インジウム(III)三水和物及び7.5mLのN,N−ジエチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と硝酸インジウム(III)三水和物のモル比は1.5:1であり、濃度はそれぞれ40mmol/L、27mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた淡黄色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(G)を得た(収量184mg)。
【0096】
多孔性金属錯体(G)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 6.1, 11.9, 12.8, 17.8, 23.7, 29.7
【0097】
<実施例8>
680mgの2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)、860mgの硝酸アルミニウム(III)九水和物及び50mLのN,N−ジエチルホルムアミドをポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。2,6−アントラキノンジカルボン酸(a)と硝酸アルミニウム(III)三水和物のモル比は1:1であり、濃度はともに46mmol/Lであった。
上記ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスで24時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた白色粉末を濾取することにより、多孔性金属錯体(H)を得た(収量1.18g)。
【0098】
多孔性金属錯体(H)について、XRDの測定を行った。
2θ(°): 5.9, 11.8, 17.8
【0099】
77Kにおける窒素の吸脱着等温線の測定結果より算出した多孔性金属錯体(H)のBET比表面積は766m−1であった。
【0100】
多孔性金属錯体(H)の303Kにおける水素平衡圧力10.8MPaにおける水素吸蔵量は0.28重量%であった。多孔性金属錯体(H)を用いたガス吸蔵材料では、常温で水素を吸蔵可能であることが確認された。
【0101】
<実施例9>
メノウの乳鉢に500mgの実施例2で作製した多孔性金属錯体(B)と500mgのStrem Chemicals Inc.製の5重量%のPt/Cを添加物として加え、すりつぶしながら混合した。この粉末を、220℃で1時間乾燥することによって多孔性錯体と添加物の混合体を得た。
【0102】
該混合体の303Kにおける水素平衡圧力10.1MPaにおける水素吸蔵量は0.27重量%であった。多孔性金属錯体(B)を用いたガス吸蔵材料では、常温で水素を吸蔵可能であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩との混合物を、
反応させて得られる生成物を含む多孔性金属錯体。
【化1】

(式中、
及びPは、同一又は異なり、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。
及びZは、同一又は異なり、=O、=S又は=NRαを表す(Rαは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)。
及びRは、同一又は異なり、−CO、−SO、−PO又は−C≡Nを表す(Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rが複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)。)
【請求項2】
前記多孔性金属錯体が、前記混合物を、60℃以上250℃以下の範囲で加熱して反応させて得られる生成物を含む、請求項1に記載の多孔性金属錯体。
【請求項3】
前記一般式(1)におけるP及びPが、置換基を有していてもよいベンゼン環である、請求項1または2に記載の多孔性金属錯体。
【請求項4】
前記一般式(1)で表される芳香族化合物は、P及びPが置換基を有していてもよいベンゼン環である縮合環骨格を有し、
前記一般式(1)におけるRが、前記縮合環骨格の2位に結合し、かつ、前記一般式(1)におけるRが、前記縮合環骨格の6位に結合している、請求項3に記載の多孔性金属錯体。
【請求項5】
前記一般式(1)におけるR及びRが、−COである、請求項1から4のいずれか1項に記載の多孔性金属錯体。
【請求項6】
前記一般式(1)におけるZ及びZが、=Oである、請求項1から5のいずれか1項に記載の多孔性金属錯体。
【請求項7】
前記多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子にそれぞれ配位することで、該2つの金属原子を架橋する補助配位子を更に含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の多孔性金属錯体。
【請求項8】
下記一般式(1)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩とを、
1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶媒に溶解又は分散させた反応液を得る工程と、該反応液を反応させる工程と、
を備える多孔性金属錯体の製造方法。
【化2】

(式中、
及びPは、同一又は異なり、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。
及びZは、同一又は異なり、=O、=S又は=NRαを表す(Rαは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)。
及びRは、同一又は異なり、−CO、−SO、−PO又は−C≡Nを表す(Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rが複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)。)
【請求項9】
前記多孔性金属錯体の製造方法において、反応液を反応させる工程が、60℃以上250℃以下の範囲で加熱して反応させる工程である、請求項8に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
【請求項10】
前記多孔性金属錯体の製造方法において、反応液を反応させる工程の後に、
該反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子にそれぞれ配位することで、該2つの金属原子を架橋しうる補助配位子を、溶解又は分散させて反応させる工程を更に含む、請求項8または9に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
【請求項11】
前記多孔性金属錯体の製造方法において、反応液を反応させる工程の前に、
該反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子にそれぞれ配位することで、該2つの金属原子を架橋しうる補助配位子を、溶解又は分散させる工程を更に含む、請求項8または9に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか1項に記載の多孔性金属錯体を含むガス吸蔵材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−112659(P2013−112659A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261329(P2011−261329)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」「化学品原料の転換・多様性を可能とする革新グリーン技術の開発」「気体原料の高効率利用技術の開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】