説明

多孔質シリカ前駆体塗布液の作製方法

【課題】基材表面に塗布して焼成したときに耐薬液性に優れた多孔質シリカ膜を得ることが可能な前駆体塗布液を提供する。
【解決手段】多孔質シリカ膜の形成に用いられる前駆体塗布液の作製方法であって、官能基を有するアルコキシシランを界面活性剤と共に溶媒に溶解させ、この溶解させたアルコキシシランを触媒存在下で加水分解及び脱水縮合して第1のゾルを得る第1工程と、第1のゾルにテトラアルコキシシランもしくはその重合体を添加し、第1のゾルに含まれる脱水縮合物とテトラアルコキシシランもしくはその重合体を加水分解及び脱水縮合して第2のゾルを得る第2工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質シリカ膜の形成に用いられる多孔質シリカ前駆体塗布液の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの層間絶縁膜として、例えば比誘電率が2以下の多孔質シリカ膜が用いられている。多孔質シリカ膜の形成にはCVD法や塗布法が用いられているが、簡単な設備で実施することができる塗布法が有望視されている。例えば、特許文献1には、塗布法を用いた多孔質シリカ膜の形成方法が開示されている。このものでは、界面活性剤を添加したアルコキシシラン溶液を触媒存在下で加水分解及び脱水縮合することで前駆体塗布液を作製し、この作製した前駆体塗布液を基材表面に塗布し、この塗布したものを焼成する。これにより、前駆体塗布液に含まれる界面活性剤が除去され、この除去部分が空孔となり、多孔質シリカ膜が形成される。
【0003】
このように形成された多孔質シリカ膜内にドライエッチングによりトレンチやホール等の凹部が形成される。そして、エッチング残渣を酸(例えばフッ酸)で除去した後、凹部内に配線材料として例えばCuを埋め込み、スラリーを用いたCMPにより平坦化することで配線構造が得られる。ここで、配線構造の形成に用いられる酸やアルカリ(CMP用スラリー)等の薬液に対し多孔質シリカ膜の耐性が低いと、薬液と接触した空孔のサイズが大きくなり、多孔質シリカ膜の強度が低下すると共に比誘電率が高くなるという不具合が生じる。
【0004】
多孔質シリカ膜の耐薬液性を高めるために、上記特許文献1記載では、メチル基を有するアルコキシシランを上記アルコキシシランと混合し、混合して得た溶液を加水分解及び脱水縮合することで前駆体塗布液を作製することが提案されている。
【0005】
然しながら、本発明者らが鋭意検討した結果、従来例の如く、アルコキシシランと官能基を有するアルコキシシランとを混合した後に加水分解及び脱水縮合して前駆体塗布液を得ると、焼成後の多孔質シリカ膜が十分な耐薬液性を発現しないことが判明した。これは、アルコキシシランに比べて官能基を有するアルコキシシランは、脱水縮合が進み難く、官能基を有する脱水縮合物の分子量が比較的小さいので、かかる分子量の小さい脱水縮合物が前駆体塗布液を塗布する際に溶媒と共に流れてしまい、結果として、多孔質シリカ膜の表面に官能基が存在し難いためであると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−143029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、耐薬液性に優れた多孔質シリカ膜を得ることが可能な多孔質シリカ前駆体塗布液を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、多孔質シリカ膜の形成に用いられる前駆体塗布液の作製方法であって、官能基を有するアルコキシシランを界面活性剤と共に溶媒に溶解させ、この溶解させたアルコキシシランを触媒存在下で加水分解及び脱水縮合して第1のゾルを得る第1工程と、第1のゾルにテトラアルコキシシランもしくはその重合体を添加し、第1のゾルに含まれる脱水縮合物とテトラアルコキシシランもしくはその重合体を加水分解及び脱水縮合して第2のゾルを得る第2工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1工程にて、官能基を有するアルコキシシランの脱水縮合物を含む第1のゾルを得る。即ち、テトラアルコキシシランに比べて脱水縮合し難い、官能基を有するアルコキシシランの脱水縮合物を得る。この脱水縮合物には、焼成時に空孔となる界面活性剤が含まれる。次に、第2工程にて、第1のゾルに含まれる脱水縮合物とテトラアルコキシシランもしくはその重合体との脱水縮合物を含む第2のゾルを得る。このようにして得られた第2のゾルに含まれる脱水縮合物は、従来例の如く官能基を有するアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを混合して加水分解及び脱水縮合することで得られた脱水縮合物よりも官能基を多く含むこととなる。そして、本発明の前駆体塗布液を基材表面に塗布すれば、基材表面から溶媒と一緒に脱水縮合物の一部が流れ出たとしても、基材表面に残る脱水縮合物に含まれる官能基が多くなる。これにより、基材表面に前駆体塗布液を塗布したものを焼成することで得られる多孔質シリカ膜は、その表面に官能基が多く存在したものとすることができる。結果として、官能基として耐薬液性の高いものを選択すれば、耐薬液性に優れた多孔質シリカ膜を形成することができる。
【0010】
本発明において、官能基を有するアルコキシシランが、官能基を有するトリアルコキシシランであることが好ましい。トリアルコキシシランは官能基との結合手を1個しか持たないため、官能基との結合手を2個又は3個持つジアルコキシシラン又はモノアルコキシシランに比べて脱水縮合速度が速く、しかも、多孔質シリカ膜の骨格を強くできるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例で得られた多孔質シリカ前駆体塗布液を用いて形成した多孔質シリカ膜の耐薬液性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の多孔質シリカ前駆体塗布液の作製方法について説明する。本実施形態の多孔質シリカ前駆体塗布液の作製方法は、先ず、槽内にて、官能基を有するアルコキシシランを界面活性剤と共に溶媒に溶解させ、この溶解させて得た溶液に触媒と加水分解用の水とを添加して攪拌する。これにより、官能基を有するアルコキシシランが加水分解及び脱水縮合し第1のゾルが得られる(第1工程)。この第1のゾルに含まれる脱水縮合物には、焼成時に空孔となる界面活性剤が取り込まれている。
【0013】
ここで、官能基を有するアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン(MTMS)やフェニルトリメトキシシラン(PhTMS)等の官能基を有するトリアルコキシシランを単独で又は2種以上を組み合わせて好適に用いることができる。トリアルコキシシランは、官能基との結合手を1個しか持たないため、官能基との結合手を2個又は3個持つジアルコキシシラン又はモノアルコキシシランに比べて脱水縮合速度が速く、しかも、多孔質シリカ膜の骨格を強くできるという利点がある。官能基としては、耐薬液性と共に多孔質シリカ膜に要求される特性に応じて、メチル基、エチル基等のアルキル基;及びフェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基から少なくとも一種を選択することができる。疎水性の高い多孔質シリカ膜を得るためには、アルキル基を選択することが好ましい一方で、耐ドライエッチング性に優れた多孔質シリカ膜を得るためには、アリール基を選択することが好ましい。
【0014】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物等の非イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;エチルエーテル等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類から選択された少なくとも1種を単独で又は混合して好適に用いることができる。
【0015】
触媒としては、酸触媒及びアルカリ触媒から選択される少なくとも一種を用いることができる。酸触媒としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸や例えばギ酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。アルカリ触媒としては、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられる。
【0016】
第1工程の加水分解及び脱水縮合時間は少なくとも30分以上に設定することができる。30分より短いと、脱水縮合が不十分となり、比較的大きい分子量を有する脱水縮合体が得られないという不具合が生じる。この場合、後述の第2工程で得られる脱水縮合体に含まれる官能基が少なくなる。また、第1工程の加水分解及び脱水縮合の温度は、溶媒の気化温度より低い温度に設定すればよく、例えば室温に設定することが好ましい。
【0017】
上記第1工程で得られた第1のゾルにシリカ骨格形成用のテトラアルコキシシランもしくはその重合体を添加して攪拌する。ここで、第1のゾルは、触媒と加水分解用の水とを含んでいる。このため、第1のゾルに含まれる脱水縮合物とテトラアルコキシシランもしくはその重合体とが加水分解及び脱水縮合し第2のゾルが得られる(第2工程)。
【0018】
ここで、テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)から選択される少なくとも1種を用いることができる。テトラアルコキシシランの重合体としては、メチルシリケート(MS)、エチルシリケート(ES)から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0019】
第2工程の加水分解及び脱水縮合時間は少なくとも30分以上に設定することができる。30分より短いと、脱水縮合が不十分となるという不具合が生じる。また、第2工程の加水分解及び脱水縮合の温度は、上記第1工程と同様、例えば室温に設定することが好ましい。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によれば、官能基を含むアルコキシシランを脱水縮合して第1のゾルを得た後、この脱水縮合物とテトラアルコキシシランもしくはその重合体とを更に脱水縮合して第2のゾルを得るようにした。このようにして得た第2のゾルに含まれる脱水縮合物は、従来例の如く官能基を含むアルコキシシランとテトラアルコキシシランもしくはその重合体とを脱水縮合して得られる脱水縮合物と比べて、官能基を多く含むようになる。そして、第2のゾルからなる前駆体塗布液を基材たるシリコン基板の表面に塗布すると、シリコン基板表面から溶媒と一緒に脱水縮合物の一部が流れ出たとしても、シリコン基板表面に残る脱水縮合物に含まれる官能基が多くなる。これにより、シリコン基板表面に前駆体塗布液を塗布したものを真空雰囲気下で焼成することで得られる多孔質シリカ膜は、その表面に官能基が多く存在したものとすることができる。結果として、官能基として耐薬品性の高いものを選択すれば、耐薬液性に優れた多孔質シリカ膜を形成することが可能となる。尚、第2のゾルに上記溶媒を溶かして粘度調整することで前駆体塗布液を得てもよい。また、前駆体塗布液の塗布方法や焼成方法については公知のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例1では、槽内にて、メチルトリメトキシシラン(MTMS)0.1モルと非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製の商品名「P450」、HO(CHCHO)13(CH(CH)CHO)20(CHCHO)13Hで表される。)0.01モルとをエタノール中に溶解させ、この溶解させて得た溶液に硝酸0.01モルと水1モルとを更に添加し、これら硝酸及び水を添加したものを25℃で3時間攪拌して第1のゾルを得た。次いで、この第1のゾルに、メチルシリケート(MS)(扶桑化学工業株式会社製の商品名「メチルシリケート51」)0.0013モルを添加して25℃で2時間更に攪拌して第2のゾルを得た。この第2のゾルにエタノールを加えて塗布に好適な粘度に調整することにより、透明で均一な前駆体塗布液を作製した。
【0022】
本実施例1で得られた前駆体塗布液をシリコン基板表面にスピンコート法により回転数1200rpmで塗布し、この前記体塗布液を塗布したものを真空雰囲気下にて350℃で1時間焼成した。尚、350℃までの昇温時間は15分とした。焼成により得られた多孔質シリカ膜の比誘電率kは2.0であり、屈折率は1.23であり、弾性率は4.0GPaであり、膜厚は約150nmであった。この多孔質シリカ膜が形成されたシリコン基板を30mm角に切断し、この切断したものを50℃加熱の1wt%KOH水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量(ウェットエッチング量)は35nmであり、また、上記切断したものを23℃加熱の0.5wt%HF水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は23nmであることが確認された。
【0023】
(実施例2)
本実施例2では、MTMSに代えてフェニルトリメトキシシラン(PhTMS)0.1モルを用い、MSに代えてテトラエトキシシラン(TEOS)0.011モルを添加した以外は、上記実施例1と同様の方法で前駆体塗布液を作製した。上記実施例1と同様に、本実施例2で得られた前駆体塗布液をシリコン基板表面に塗布し焼成することで得られた多孔質シリカ膜の比誘電率kは2.5であり、屈折率は1.29であり、弾性率は4.5GPaであり、膜厚は150nmであった。この多孔質シリカ膜が形成されたシリコン基板を30mm角に切断し、この切断したものを50℃加熱の1wt%KOH水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は10nmであり、また、上記切断したものを23℃加熱の0.5wt%HF水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は5nmであることが確認された。
【0024】
(実施例3)
本実施例3では、MTMS0.1モルと共にPhTMS0.01モルを用い、MSの添加量を0.0025モルとした以外は、上記実施例1と同様の方法で前駆体塗布液を作製した。上記実施例1と同様に、本実施例3で得られた前駆体塗布液をシリコン基板表面に塗布し焼成することで得られた多孔質シリカ膜の比誘電率kは2.0であり、屈折率は1.23であり、弾性率は3.8GPaであり、膜厚は150nmであった。この多孔質シリカ膜が形成されたシリコン基板を30mm角に切断し、この切断したものを50℃加熱の1wt%KOH水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は7nmであり、また、上記切断したものを23℃加熱の0.5wt%HF水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は3nmであることが確認された。
【0025】
以上説明したように、本実施例1〜3の前駆体塗布液を基材表面に塗布して焼成したときに耐薬液性に優れた多孔質シリカ膜が得られることが判った。
【0026】
以下、上記実施例に対する比較例について説明する。
(比較例1)
本比較例1では、槽内にて、MTMS0.1モルと、MS0.0013モルと、非イオン性界面活性剤0.01モルとをエタノール中に溶解させ、この溶解させて得た溶液に硝酸0.01モルと水1モルとを更に添加し、これら硝酸及び水を添加したものを25℃で3時間攪拌してゾルを得た。このゾルにエタノールを加えて塗布に好適な粘度に調整することにより、透明で均一な多孔質シリカ前駆体塗布液を得た。上記実施例1と同様に、本比較例1で得られた前駆体塗布液をシリコン基板表面に塗布し焼成することで得られた多孔質シリカ膜の比誘電率kは2.0であり、屈折率は1.23であり、弾性率は4.0GPaであり、膜厚は150nmであった。この多孔質シリカ膜が形成されたシリコン基板を30mm角に切断し、この切断したものを50℃加熱の1wt%KOH水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は72nmであり、また、上記切断したものを23℃加熱の0.5wt%HF水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は41nmであることが確認された。これより、上記実施例1よりも耐薬液性が低いことが判った。
【0027】
(比較例2)
本比較例2では、MTMSに代えてPhTMS0.1モルを用い、MSに代えてTEOS0.011モルを用いる以外は、上記比較例1と同様の方法で前駆体塗布液を作製した。上記実施例1と同様に、本比較例2で得られた前駆体塗布液をシリコン基板表面に塗布し焼成することで得られた多孔質シリカ膜の比誘電率kは2.5であり、屈折率は1.28であり、弾性率は4.5GPaであり、膜厚は150nmであった。この多孔質シリカ膜が形成されたシリコン基板を30mm角に切断し、この切断したものを50℃加熱の1wt%KOH水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は43nmであり、また、上記切断したものを23℃加熱の0.5wt%HF水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は25nmであることが確認された。これより、上記実施例2よりも耐薬液性が低いことが判った。
【0028】
(比較例3)
本比較例3では、MTMS0.1モルと共にPhTMS0.01モルを用い、MSの添加量を0.0025モルとした以外は、上記比較例1と同様の方法で前駆体塗布液を作製した。上記実施例1と同様に、本比較例3で得られた前駆体塗布液をシリコン基板表面に塗布し焼成することで得られた多孔質シリカ膜の比誘電率kは2.0であり、屈折率は1.23であり、弾性率は3.6GPaであり、膜厚は150nmであった。この多孔質シリカ膜が形成されたシリコン基板を30mm角に切断し、この切断したものを50℃加熱の1wt%KOH水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は20nmであり、また、上記切断したものを23℃加熱の0.5wt%HF水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は11nmであることが確認された。これより、上記実施例3よりも耐薬液性が低いことが判った。
【0029】
(比較例4)
本比較例4では、槽内にて、MTMS0.1モルと、非イオン性界面活性剤0.01モルとをエタノール中に溶解させ、この溶解させて得た溶液に硝酸0.01モルと水1モルとを更に添加し、これら硝酸及び水を添加したものを25℃で3時間攪拌してゾルを得た。このゾルにエタノールを加えて塗布に好適な粘度に調整することにより、透明で均一な多孔質シリカ前駆体塗布液を得た。上記実施例1と同様に、本比較例4で得られた前駆体塗布液をシリコン基板表面に塗布し焼成することで得られた多孔質シリカ膜の比誘電率kは2.3であり、屈折率は1.28であり、弾性率は5.0GPaであり、膜厚は150nmであった。この多孔質シリカ膜が形成されたシリコン基板を30mm角に切断し、この切断したものを50℃加熱の1wt%KOH水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は42nmであり、また、上記切断したものを23℃加熱の0.5wt%HF水溶液に10分間浸漬させた結果、膜厚減少量は17nmであることが確認された。
【0030】
以上説明したように、本比較例1〜3の前駆体塗布液を基材表面に塗布して焼成することで得られる多孔質シリカ膜の耐薬液性が不十分であることが判った。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。例えば、第2工程においても加水分解用の水と触媒とを更に添加してもよい。また、第2工程においても、空孔形成用の界面活性剤を添加してもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質シリカ膜の形成に用いられる前駆体塗布液の作製方法であって、
官能基を有するアルコキシシランを界面活性剤と共に溶媒に溶解させ、この溶解させたアルコキシシランを触媒存在下で加水分解及び脱水縮合して第1のゾルを得る工程と、
第1のゾルにテトラアルコキシシランもしくはその重合体を添加し、第1のゾルに含まれる脱水縮合物とテトラアルコキシシランもしくはその重合体を加水分解及び脱水縮合して第2のゾルを得る工程とを含むことを特徴とする多孔質シリカ前駆体塗布液の作製方法。
【請求項2】
官能基を有するアルコキシシランが、官能基を有するトリアルコキシシランであることを特徴とする請求項1記載の多孔質シリカ前駆体塗布液の作製方法。



【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−112573(P2013−112573A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261263(P2011−261263)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】