説明

多孔質炭素ベース材料の製造方法

【課題】 多孔質炭素ベース材料を調製する方法の提供。
【解決手段】 本発明は、多孔質炭素ベース材料の製造方法に関し、フィルムまたは被覆から選択される高分子フィルムを提供するステップと、80℃〜3,500℃の範囲の温度の実質的に酸素のない雰囲気中で高分子フィルムを熱分解および/または炭化するステップとを含む。本発明はまた、前記方法に従って製造できる炭素ベース材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、80℃〜3,500℃の範囲の温度の実質的に酸素を含まない雰囲気において、フィルムもしくはラッカーから選択される高分子フィルムの熱分解および/または炭化により、多孔質炭素ベース材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質炭素ベースの材料は、流体分離の分野においてかなり以前から使用されてきた。かかる材料は、吸着剤、膜層、または自己支持膜として適切な形で調製および使用することができる。炭素ベース材料の気孔率および化学的性質の両方を特異的に変化させる様々な可能性のため、これらの材料は、特に選択的な流体分離用にとりわけ関心がもたれている。
【0003】
二次元の形態、特にシートの形態をした多孔質炭素ベース材料を調製する一連の方法が、従来技術に記載されている。例えば、国際公開第02/32558号には、次の材料を含む炭素を基礎とする可撓性で多孔質の吸着剤を調製する方法が記載されており、この場合、その構成成分が実質的に水素結合によって互いに保持される二次元ベースの基材が、抄紙機で調製され、その後熱分解される。この国際出願において使用される出発材料は、これらが通常抄紙機で使用され、調製された紙の個々の繊維は実質的に水素結合によって互いに保持されるので、実質的に様々な種類の繊維状材料である。
【0004】
類似の方法が、例えば特開昭51−94056 A号公報および特開昭61−012918号公報に記載されている。これらの文献には製紙方法も記載されており、その方法を用いて、有機繊維またはプラスチック繊維、およびパルプから紙のシートが製造され、パルプは、フェノール樹脂で処理され、その後乾燥され、高温押圧されて不活性ガス雰囲気中で炭化される。このようにして、化学物質および電気伝導度に対して抵抗を有する厚い多孔質炭素シートを得ることができる。
【0005】
しかし、上記方法の欠点は、出発原料に使用する繊維材料により、それらの繊維太さおよび繊維長、並びに、シート状の紙材料中のそれらの分布に依存して、密度、および、それに加えて熱分解後に得られる炭素材料の気孔率の大部分が前もって決められてしまい、その結果、大きすぎる寸法を有する細孔の場合、追加の炭素材料の沈着によって細孔を狭めるために、化学物質の気相溶浸などの複雑な追加の後処理ステップが必要になることである。
【0006】
さらに、従来技術の方法によれば、必然的に水溶性紙処理プロセスに使用できる出発材料だけが使用することができ、そのため、考えられる出発材料の選択が、特に疎水性プラスチックの分野が大幅に制限される。しかし、まさにそのような例えばポリオレフィンなどの疎水性プラスチックが、それらの炭素含量が相対的に高く、一定の品質で容易に入手できるので、天然繊維よりしばしば好ましい出発材料である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、繊維から調製される紙状材料を使用する必要のない多孔質炭素ベース材料を調製する経済的で簡単な方法に対する要望がある。
【0008】
したがって、多孔質で実質的に炭素ベース材料の調製方法を提供することが本発明の目的であり、それは、安価な出発材料から、経済的な方法でかつ少ないプロセスステップだけでそれらの特性について広く変化させ得る、対応する材料の調製が可能になるものである。
【0009】
本発明の別の目的は、多孔質炭素ベースの材料から、安定な自己支持構造体、または、膜もしくは膜層の調製が可能になる多孔質炭素ベース材料の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この解決策は、上述した目的の本発明によれば、以下のステップを含む多孔質炭素ベース材料の調製方法からなる:
a)フィルムまたは被覆から選択される高分子フィルムを提供するステップ、
b)80℃〜3,500℃の範囲の温度の実質的に酸素を含まない雰囲気中で高分子フィルムを熱分解および/または炭化するステップ。
【0011】
本発明の好適な実施形態では、高分子フィルムの熱分解および/または炭化は、200℃〜2,500℃の範囲の温度の実質的に酸素を含まない雰囲気中で行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明によれば、適切な高分子材料のフィルムと被覆の両方を含む高分子フィルムから、高温度での熱分解および/または炭化によって炭素材料を製造することができ、その気孔率が、使用した高分子フィルム材料、その厚さ、および構造に依存して広範囲に特異的に調節できることが判明した。
【0013】
高分子フィルムは、それらがほとんど任意の寸法で容易に調製されるか、または商業的に入手できるという利点を有する。高分子フィルムは、容易に入手できて費用効果がよい。熱分解および/または炭化用の出発原料としての紙とは対照的に、高分子フィルムは、特にフィルムと被覆例えばラッカーなどは、通常製紙に使用されるパルプまたは水相溶性の天然繊維と共に使用できない疎水性材料が、炭素ベース材料の調製に使用できるという利点を有する。
【0014】
高分子フィルムは容易に成形可能であり、例えば、熱分解または炭化の前により大きい集団および構造に処理して、高分子フィルム材料の熱分解/炭化の際、かかる構造を実質的に維持することができる。このように、本発明の方法に従って、高分子フィルムからフィルムまたはシートパッケージへと互いの上に多層化し、かつ後続の熱分解および/または炭化によって、多孔質炭素ベースの材料から、得られる材料の機械的な強度の故に流体分離における自己支持型の機械的に安定な膜または吸着剤パッケージとして使用できるパッケージまたはモジュラー構造を作り出すことが可能である。
【0015】
熱分解および/または炭化の前に、高分子フィルムは、折畳み、スタンピング、打抜き、印刷、押出成形、スプレー、射出成形、丁合等によって適切な形に構造化することができ、任意に互いに折り曲げてもよい。この目的で、従来の周知の接着剤、並びに、他の適切な接着剤材料例えば、水ガラス、デンプン、アクリレート、シアノアクリレート、ホットメルト接着剤、ゴム、または、溶剤含有および溶剤を含まない接着剤等を使用することができ、それにより、本発明の方法に従って、所望の多孔質炭素ベースの材料から、秩序ある積層を有する特異的に構造化した三次元構造の調製が可能になる。
【0016】
この点について、最初に炭素ベース材料を調製し、次いでその後、複雑な成形ステップにおいて、例えば膜パッケージ用等に必要な所望の三次元構造を調製する必要はなく、本発明の方法により、熱分解および/または炭化の前に高分子フィルムを予め適切に構造化または成形することによって、炭素ベース材料の完成した構造を得ることが可能になる。
【0017】
その結果として、本発明の方法によって、間隔を狭くするのが難しい構造も作り出すことができ、それは、後続の成形ステップによる完成した炭素材料からは達成できない、または辛うじて達成できるものである。この点について、例えば熱分解および/または炭化の際に通常起る収縮を特異的に使用することができる。
【0018】
本発明に従って使用できる高分子フィルムは、二次元のシートもしくはウェブの形態で、例えば材料のロールとして、あるいは、円管の形でまたは管状もしくは毛管の幾何形状で提供してもよい。フィルムまたは毛管の形をした高分子フィルムは、例えば高分子エマルジョンまたは懸濁液からの転相方法(非対称層の積層)によって調製することができる。
【0019】
本発明の方法に適切な高分子フィルムは、例えばプラスチックのフィルム、管、または毛管である。好ましいプラスチックは、脂肪族または芳香族ポリオレフィンのホモまたは共重合体を含み、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン;ポリブタジエン;ポリビニル例えばポリ塩化ビニルもしくはポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロシアノアクリレート;ポリアミド;ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン;高分子(例えばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタラート);ワックス、パラフィンワックス、フィッシャー−トロプシュ・ワックス;カゼイン、デキストラン、多糖類、フィブリノーゲン、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D、L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキルカルボナート、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタラート、ポリリンゴ酸(polymalatic acid)、ポリタルトロン酸、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸;ポリエチレン酢酸ビニル、シリコーン;ポリ(エステル−ウレタン)、ポリ(エーテル−ウレタン)、ポリ(エステル−ウレア)、ポリエーテル例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニクス、ポリテトラメチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリ(酢酸ビニルフタラート)、上述した材料の1種もしくはそれ以上のホモまたは共重合体の混合物、並びに、通常フィルム、管、もしくは毛管にも加工できる当業者に周知の追加の高分子材料がある。
【0020】
高分子フィルムのその他の好ましい種類は、高分子発泡体系であり、例えば、本発明による後続の炭化または熱分解ステップにおいて多孔質炭素材料に転化できるフェノールフォーム、ポリオレフィンフォーム、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フルオロポリマーフォームがある。これらは、炭化ステップにおいて、発泡体の気孔率に応じて調節可能な細孔構造を有する材料を得ることができるという利点を有する。発泡した高分子を調製する上で、慣用の発泡剤例えばハロゲン化炭化水素、二酸化炭素、窒素、水素、および低沸点の炭化水素を使用して、現状技術の全ての慣用の発泡方法を使用できる。高分子フィルムの中またはその上に発泡させるのに適する充填材も、高分子フィルムの中またはその上に加えることができる。
【0021】
さらに、本発明の方法では、この高分子フィルムを被覆とすることができ、例えば、バインダ系のアルキド樹脂を有するラッカーから製造したラッカーフィルム、塩化ゴム、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、アミン樹脂、メラミン樹脂、油ベース(oil base)、ニトロベース(硝酸セルロース)、ポリエステル、ポリウレタン、コロホニ、ノボラック(Novolac)(登録商標)−エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、タールもしくはタール状材料例えばタールピッチ、ビチューメン、並びに、デンプン、セルロース、セラック、ワックス、上述した材料を改質したバインダもしくは有機再生可能原料のバインダ、あるいは、上記材料の組合せがある。
【0022】
特に好ましいのは、フェノールおよび/またはメラミン樹脂を基礎とするラッカーであり、それは、任意に完全にまたは部分的にエポキシド化できるものであり、例えば商用のパッキングラッカー、例えば任意にエポキシド化した芳香族炭化水素樹脂を基礎とする1または2成分ラッカーである。
【0023】
本発明に従って使用できる被覆は、液体、パルプ、またはペースト状の状態から、例えば被覆、塗装、ラッカー塗、転相、噴霧、分散もしくはホットメルト被覆、押出成形、キャスティング、浸漬によって、あるいは、粉末被覆、火炎溶射、焼結、または周知の方法によるその他同種のものによる固相状態からのホットメルトとして、適切な担体材料に塗布することができる。被覆の形をした高分子フィルムを提供するため、担体材料と適切な高分子とをラミネートすることも、本発明に従って使用できる方法である。
【0024】
本発明の方法において被覆を使用すると、例えば、被覆を、不活性担体材料に塗布し、任意に乾燥させ、その後熱分解および/または炭化にかけ、熱分解または炭化条件を適切に選択することによって担体材料が実質的に完全に熱分解または炭化され、その結果、被覆例えばラッカーなどが、熱分解または炭化の後、多孔質炭素ベースの材料の形をしたままにとどまるように、行うことができる。本発明の方法では、被覆、特にラッカーの被覆、フィニッシュ、およびラミネート等を使用すると、特に薄いシート形の炭素ベース材料の調製が可能になる。
【0025】
さらに、好ましい高分子フィルムは、転写法によって得ることもでき、この場合、材料、すなわちラッカー、フィニッシュ、上述した材料のラミネート、または高分子材料を、転写担体材料例えば上記したフィルムなどに塗布し、任意に硬化させ、その後、後続の炭化に供給するために担体材料から剥離する。
【0026】
この点について、担体材料の被覆は、適切な印刷法例えばアニロックスローラー印刷など、ナイフ被覆、スプレー被覆、または、熱ラミネート、押圧ラミネート、もしくはウェットオンウェットラミネート等によって行うことができる。数層の薄層が可能であり、場合により、例えば高分子フィルムの精度を保証するのに所望される。さらに、転写担体材料の上に被覆を塗布する際、できるだけ均質なラッカー分布のため、異なるグレーティングを任意に使用することができる。
【0027】
上記種類の転写法を用いて、層材料のシーケンスが異なる多層傾斜フィルムを製造することもまた可能であり、それは、炭化後、例えば材料の密度が場所に応じて変化することになる炭素ベースの傾斜材料を与えるものである。
【0028】
本発明の方法に使用するために非常に薄い高分子フィルムが必要となる場合、これらは、例えば粉末被覆またはホットメルト被覆、次いで剥離および炭化を経由する転写法によって、適切なフィルム上に製造することができる。担体フィルム例えばポリオレフィンフィルムなどが炭化条件下で完全に揮発することになる場合、担体フィルムからの剥離が必要でないことがあり、それどころか好ましくないこともある。
【0029】
さらに、転写法では、転写担体材料を事前に適切に構造化することによって、例えば事前のプラズマエッチングによって、形成される高分子フィルムの構造化または微細構造化を達成することも可能である。このようにして、薄い被覆を用いると担体材料の構造が高分子フィルムに転写される。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、熱分解または炭化の後、膜または分子層として使用するための炭素ベースの多孔質層を得るために、高分子フィルムはまた、耐熱基板への被覆として塗布することができる。この基板は、例えばガラス、セラミック、金属、金属合金、金属酸化物、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、およびこれらの材料の混合物からなることができ、予め所望通りに成形できる。この実施形態の好ましい用途は、本発明に従って製造できる材料からの膜の被覆を有する吸着剤ペレットの調製である。
【0031】
ある好適な実施形態では、本発明の方法で使用される高分子フィルムは、熱分解および/または炭化の前に有機および/または無機化合物で被覆、含浸、または改質することができる。高分子フィルムの一または両面に塗布する被覆は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、タール、タールピッチ、ビチューメン、ゴム、ポリクロロプレンもしくはポリ(スチレン−co−ブタジエン)ラテックス材料、シロキサン、シリケート、金属塩もしくは金属の塩溶液、例えば遷移金属塩、カーボンブラック、フラーレン、活性炭粉末、炭素モレキュラーシーブ、ペロブスカイト、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、貴金属粉末(例えばPt、Pd、Au、またはAgなど)、並びに、それらの組合せを含むことができる。
【0032】
好ましい改質は、例えば、高分子フィルムもしくはそれから得られる炭素ベース材料の表面のパリレン化または含浸から得ることができる。この点について、最初に、高分子フィルムはパラシクロファンと共により高い温度、典型的には約600℃で処理され、ポリ(p−キシリレン)の層が高分子フィルムまたはそれから作り出される材料の表面に形成される。これは、後続の炭化または熱分解ステップにおいて任意に炭素に転化することができる。
【0033】
特に好ましい実施形態では、パリレン化および炭化のステップシーケンスが数回繰り返される。
【0034】
高分子フィルムの一または二面に上述の材料を被覆することによって、または、高分子フィルム構造へのかかる材料の特異的な導入によって、熱分解および/または炭化の後に得られる多孔質炭素ベース材料の特性が特異的に影響を受け、これを改善することができる。例えば、高分子フィルムの中への層状化シリケートの導入、または、層状化シリケート、ナノ粒子、無機ナノコンポジット金属、金属酸化物等による高分子フィルムの被覆によって、得られる炭素材料の熱膨張係数、およびその機械的特性または気孔率特性を改質することができる。
【0035】
特に、本発明に従って調製した材料の層で形成した被覆基板の調製の際、上述した添加剤の高分子フィルム中への導入によって、この被覆基板が膜層の破損および剥離に対してさらに耐性となるように、基板に塗布した層の粘着が改良され、例えば、外側の層の熱膨張係数を基板の1つに調節される可能性がある。その結果として、これらの材料は、実質的にさらに耐久性が上がり、具体的な用途において、従来のこの種類の生成物としては長期のより高い安定性を有する。
【0036】
金属および金属塩、特にまた貴金属および遷移金属の塗布または導入により、得られる多孔質炭素ベース材料の化学的および吸着質特性を、所望要件のそれぞれに調節するのが可能になり、その結果、特別の用途の場合、得られる材料に、例えば不均一触媒特性を付与することもできる。
【0037】
本発明の方法の好ましい実施形態では、多孔質炭素ベース材料の物理的および化学的性質は、熱分解または炭化の後の適切な後処理ステップによってさらに改質され、所望の用途それぞれに調節される。
【0038】
適切な後処理には、例えば還元または酸化の後処理ステップがあり、この場合、適切な還元剤および/または酸化剤、例えば水素、二酸化炭素、水蒸気、酸素、空気、硝酸等、並びに場合によりこれらの混合物で材料が処理される。
【0039】
後処理ステップは、高温度で、ただし熱分解温度未満で、例えば40℃〜1,000℃、好ましくは70℃〜900℃、より好ましくは100℃〜850℃、さらに好ましくは200℃〜800℃、最も好ましくは700℃で任意に行うことができる。特に好ましい実施形態では、本発明に従って調製される材料は、室温での還元的もしくは酸化的、またはこれらの後処理ステップの組合せで改質される。
【0040】
酸化または還元の処理によって、あるいは、添加剤、充填材、または機能性材料の導入によっても、本発明に従って調製した材料の表面特性は、特異的に影響を受けるか、または変化させることができる。例えば、無機ナノ粒子またはナノコンポジット例えば層状化シリケートの導入によって、材料の表面特性を親水化または疎水化できる。
【0041】
追加の適切な添加剤、充填材、または機能性材料には、例えば、酸化ケイ素もしくはアルミニウム、アルミノシリケート、酸化ジルコニウム、タルク、グラファイト、カーボンブラック、ゼオライト、クレー材料、フィロシリケート、および通常当業者に周知の類似物がある。
【0042】
好ましい実施形態では、充填材から、水、溶剤、酸もしくは塩基などを用いて、例えばポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アルミニウム粉、脂肪酸、ミクロワックスもしくはエマルジョン、パラフィン、炭酸塩、溶解ガス、または水溶性の塩などを洗浄することによって、あるいは、蒸留、または酸化的もしくは非酸化的分解によって、気孔の調節を行うことができる。また、粉状の材料例えば金属粉末、カーボンブラック、フェノール樹脂粉末、繊維特に炭素もしくは天然繊維などを用いて表面を構造化することによって、任意に気孔を作り出すことができる。
【0043】
アルミニウムベースの充填材を添加すると例えば熱膨張係数が増大し、ガラス、グラファイト、または石英ベースの充填材を添加すると熱膨張係数が低下し、その結果、高分子システムの構成成分の混合により、それに応じて本発明による材料の熱膨張係数を個別に調節することができる。例えば、これに限らないが、織布もしくは不織布の形をした炭素、高分子、ガラス、または他の繊維の添加によるファイバコンポジットの調製を経て、この特性をさらに調節することが可能な場合があり、それにより、被覆の弾性および他の機械的性質が顕著に増大する。
【0044】
本発明に従って調製した材料はまた、後に適切な添加剤を導入することによって、生体適合性のある表面をもたらし、任意にバイオリアクタまたは賦形剤として使用することができる。この目的で例えば薬剤または酵素にこの材料を導入して、膜の適切な遅延および/または選択的な透過特性に従い前者を任意に制御可能に放出することができる。
【0045】
さらに、ある実施形態では、本発明に従って調製した材料をフッ化することが好ましい。適用するフッ化の程度に応じて、本発明による材料に、高度なフッ化の場合には撥油性を、低度のフッ化の場合には親油性を付与することができる。
【0046】
さらに、場合により、水溶性の材料、例えばポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールなどで処理することによって、本発明による材料の少なくとも表面を親水化することが好ましい。
【0047】
これらの方策を通じて、材料の濡れ性質を所望のように改質することができる。
【0048】
炭化した材料はまた、表面または細孔構造、およびそれらの特性をさらに改質するために、任意の追加の処理ステップにおいて、任意にいわゆるCVD(化学蒸着)プロセスにかけてもよい。この目的で、炭化した材料は、適切な前駆体ガスを用いて高温度で処理される。かかる方法は、当分野ではかなり以前から知られている。
【0049】
CVD条件下で十分な揮発性を有する周知のほとんど全ての飽和および不飽和炭化水素が、炭素開裂前駆体として検討されている。例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、炭素数C1〜C20の鎖状および分岐アルカン、アルケンおよびアルキン、並びに芳香族炭化水素(例えばベンゼン、ナフタレン等)、並びに、単独でおよび複合的にアルキル、アルケニル、およびアルキニル置換された芳香族化合物例えばトルエン、キシレン、クレゾール、スチレン等がある。
【0050】
BC13、NH3、シラン例えばテトラエトキシシラン(TEOS)、SiH4、ジクロロジメチルシラン(DDS)、メチルトリクロロシラン(MTS)、トリクロロシリルジクロロボラン(TDADB)、ヘキサジクロロメチルシリルオキシド(HDMSO)など、AlCl3、TiC13、またはそれらの混合物が、セラミック前駆体として使用できる。
【0051】
これらの前駆体は、CVD法ではほとんどの場合、不活性ガス例えば窒素、アルゴン等を用いて約0.5〜15体積パーセントの低濃度で使われる。適切な沈着ガス混合物に水素を添加することもやはり可能である。200〜2,000℃、好ましくは500〜1,500℃、最も好ましくは700〜1,300℃の温度で、上記化合物は、炭化水素フラグメント、または炭素もしくはセラミック前駆体に開裂し、それらが熱分解した材料の細孔システムに実質的に均一に分散して沈着し、そこで細孔構造を改質し、それにより、さらなる最適化という意味で実質的に均一な細孔径および細孔分布がもたらされる。
【0052】
炭化した材料の細孔システムに沈着する炭素またはセラミック微粒子の均一な分布を制御するため、例えば炭化した対象物の表面上に炭素前駆体が沈着する際、例えば連続して負圧または真空になる形の圧力勾配をかけてもよく、それによって沈着する微粒子が炭化した材料の細孔構造の中に均一に吸入される(いわゆる「強制流動CVI」、化学蒸気浸透法(Chemical Vapor Infiltration);例えばW.Benzingerらの「カーボン(Carbon)」(1996年、34、1465ページ)を参照されたい)。さらに、このようにして得られる細孔構造の均一化により、このようにして調製される材料の機械的強度が増大する。
【0053】
この方法は、同様のやり方で上記したセラミック、焼結金属、金属、または金属合金の前駆体にも使用できる。
【0054】
さらに、イオン注入によって、本発明の材料の表面特性を改質することができる。窒素の注入によって、窒化物、炭窒化物、または遷移金属を含む酸窒化物相を形成することができ、それは、炭素含有材料の耐薬品性および機械的抵抗力を著しく増大させる。炭素のイオン注入は、多孔質材料の再高密度化だけでなく、本発明の材料の機械的強度を増大させるのに使用できる。
【0055】
さらに好ましい実施形態では、本発明に従って調製した材料は、熱分解および/または炭化の後、適切な方法によって、例えばボール粉砕またはローラミル等によって、小片に機械的に小さくする。このようにして調製し、小片に小さくなった材料は、様々に造粒処理した粉末、フレーク、ロッド、球体、中空球体として使用でき、あるいは、当分野の慣用の方法によって様々な形の造粒物または押出し物に処理できる。本発明の材料を形成するために、加熱プレス方法も、場合により適切なバインダを添加して、使用できる。本質的に膜特性を有するか、または上述の材料を組み込むために適切に調製した全ての高分子が、特にこれに適する。
【0056】
加えて、熱分解および/または炭化の前に高分子フィルムを適切な方法で小片に小さくすることによって、大きさの小さい粉材も、本発明の方法に従って調製できる。
【0057】
しかし、本発明方法の特に好ましい実施形態では、高分子フィルムは、熱分解および/または炭化の前に適切に構造化され、例えばスタンプされ、互いに構造単位に結合され、粘着して接着され、または、互いに機械的に曲げられる。何故なら、これによって適切に予め構造化した高分子フィルム材料に対し、熱分解ステップの間、その構造が実質的に変化しないままにとどまって簡単な方法で容易に形成される可能性が生ずるからである。
【0058】
本発明の方法の熱分解または炭化ステップは、通常、80℃〜3,500℃、好ましくは約200℃〜約2,500℃、最も好ましくは約200℃〜約1,200℃の範囲の温度で行われる。いくつかの実施形態では、好ましい温度は250℃〜500℃である。温度は、使用する材料特性に依存して、高分子フィルムができるだけ少ない加熱経費で炭素含有固体に実質的に完全に変化するように選択するのが好ましい。熱分解温度の適切な選択または制御によって、材料の気孔率、強度、および剛性、並びに他の特性を調節することができる。
【0059】
熱分解または炭化ステップ中の雰囲気は、本発明の方法では実質的に酸素を含まない。不活性ガス雰囲気、例えば窒素、希ガス(例えばアルゴン、ネオン)、および他の全ての不活性物質、炭素非反応性ガスもしくはガス状化合物、反応性ガス(例えば二酸化炭素)、塩化水素酸、アンモニア、水素、並びに、不活性ガスの混合物を使用することが好ましい。窒素および/またはアルゴンが好ましい。場合によっては、炭化後、所望の特性を得るために、酸素または水蒸気をさらに含む反応性ガスで活性化を行ってもよい。
【0060】
本発明の方法では、熱分解および/または炭化は、通常上記した不活性ガスの存在下に常圧で行われる。しかし、場合により、より高い圧力の不活性ガスを使用することも有利な場合がある。本発明の方法の特定の実施形態では、熱分解および/または炭化を負圧または真空中で行ってもよい。
【0061】
熱分解ステップは、連続式の炉プロセスで行うのが好ましい。それによって、任意に構造化され、被覆され、または前処理された高分子フィルムが炉の一側に供給され、他端から炉を出る。好適な実施形態では、熱分解および/または炭化の間、高分子フィルムを通して負圧をかけることができるように、高分子フィルムまたは高分子フィルムから形成される対象物が、多孔板、スクリーン等の上に位置する場合がある。これにより、炉内に対象物が簡単に固定されるだけでなく、熱分解および/または炭化の間、フィルムまたは構造単位を経由する不活性ガスの排気および最適な流れもまた可能になる。
【0062】
適切な不活性ガス閉じ込めによって、炉を個々のセグメントに小分割することができ、この場合、任意に、熱分解または炭化の異なる条件下、例えば異なる温度、異なる不活性ガスまたは真空度などで、連続して1つまたは複数の熱分解または炭化ステップを行うことができる。
【0063】
さらに、炉の適切なセグメントにおいて、後処理ステップ、例えば還元もしくは酸化、あるいは、金属、金属塩溶液、または触媒等の含浸による再活性化を任意に行ってもよい。
【0064】
この代わりとして、閉じた炉でも熱分解/炭化を行うことができ、これは、熱分解および/または炭化が真空で行われる場合に特に好ましい。
【0065】
本発明の方法では、熱分解および/または炭化の際、出発原料および使用した前処理に依存して、典型的には、約5%〜95%、好ましくは約40%〜90%、最も好ましくは50%〜70%の高分子フィルムの重量減少が起こる。さらに、本発明の方法では、熱分解および/または炭化の間、通常、高分子フィルム、または高分子フィルムから作り出された構造もしくは構造単位の収縮が起こる。この収縮は、0%〜約95%、好ましくは10%〜30%の大きさを有することがある。
【0066】
本発明に従って調製される材料は、化学的に安定であり、機械的にロード可能であり、導電性であり、かつ耐熱性である。
【0067】
本発明の方法では、使用した熱分解または炭化温度、並びに、使用した添加剤または充填材の性質および量に依存して、電気伝導度を広範囲に調節することができる。すなわち、1,000〜3,500℃の範囲の温度の場合、材料の黒鉛化が起るので、より低い温度の場合に比べて高い導電性を得ることができる。加えて、例えば高分子フィルムへの黒鉛の添加によっても電気伝導度を増大させることができ、その場合、より低い温度でそれを熱分解または炭化することができる。
【0068】
本発明に従って調製した材料は、不活性雰囲気中で20℃〜600℃に加熱し、それに続いて20℃に冷却すると、+/−10%以下、好ましくは+/−1%以下、最も好ましくは+/−0.3%以下の寸法変化を示す。
【0069】
本発明に従って調製した多孔質炭素ベースの材料は、出発原料、充填材の量および性質に依存して、少なくとも1重量パーセント、好ましくは少なくとも25重量パーセント、場合により少なくとも60重量パーセント、最も好ましくは少なくとも75重量パーセントの炭素含量を示す。本発明の特に好ましい材料は、少なくとも50重量パーセントの炭素含量を有する。
【0070】
本発明に従って調製した材料のBET法による比表面積は、気孔率がこの方法で検出可能なものよりも小さいので、通常非常に小さい。しかし、適切な添加剤または方法(気孔化剤または活性化)によって、2,000m2/gを上回るBET表面積が達成可能である。
【0071】
本発明の方法に従って調製したシートまたは粉末の形の材料は、膜、吸着剤、および/または膜モジュールもしくは膜パッケージの調製に使用することができる。本発明の方法による膜モジュールの調製は、例えば国際公開第02/32558号に記載されているように行うことができ、そこには紙ベースの基材の代わりに高分子フィルムを使用することが記載されている。国際公開第02/32558号の開示は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本発明に従って調製した材料を使用する流体分離の分野における例には、一般的なガス分離、例えば空気から酸素を蓄積するための酸素−窒素分離、炭化水素混合物の分離、水素含有ガス混合物からの水素分離、ガスろ過、大気からのCO2分離、排気ガスまたは大気からの揮発性有機化合物の分離、精製、脱塩、飲料水の軟化または再生、燃料電池電極として、ズルツァー(Sulzer)パッケージの形で、ラシヒリング等がある。
【0073】
本発明の特別な実施形態では、高分子フィルムは、従来の吸着剤材料または膜、例えば活性炭、ゼオライト、セラミック、焼結金属、紙、織布、不織布、金属、または金属合金等に応用され、好ましくは、熱分解または炭化の前に、ペレットまたは造粒物の形をした、例えば表面被覆した形の吸着剤材料に応用される。
【0074】
熱分解または炭化の後、表面膜層を有する吸着剤材料を調製することができ、それによって膜の選択性から吸着剤の選択性が定まる。このように、例えば、膜を経由して透過できる物質だけを選択的に吸着する吸着剤造粒物を調製することができる。望ましくないアクセサリー構成成分によって覆われるので、吸着剤の速い排気がそれによって長引くか、または回避される。これによって適切な用途における吸着剤カートリッジの交換間隔を延ばすことができ、それにより費用効率がよくなる。
【0075】
かかる膜被覆した吸着剤の好ましい用途には、例えば、PSAシステム、自動車または飛行機キャビン、呼吸保安装置例えば防毒マスク等がある。
【実施例】
【0076】
実施例1:ニトロセルロースを両面に薄く被覆した酢酸セルロースフィルム(製造業者UCBフィルム(UCB Films)、タイプ・セロハン(Cellophane)(登録商標)MS500、合計厚さ34.7ミクロン、50g/m2)の熱分解および炭化
【0077】
このフィルムを、商用の高温炉内の精製した窒素雰囲気中(流速10リットル/分)830℃で48時間かけて熱分解または炭化した。その後、それによって起こる収縮を、3つの矩形のフィルム片およびそれから調製した炭素シートのそれぞれの平均測定値と比較して決定した。結果を表1にまとめた。
【0078】
【表1】

【0079】
その後、上記調製した炭素シートの窒素および水素透過性を様々な条件下で試験した。条件および結果を以下の表2に挙げた。透過率の値は、3回の測定それぞれからの平均値である。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例2:ポリ塩化ビニリデン(PVdC)を両面に薄く被覆した酢酸セルロースフィルム(製造業者UCBフィルム、タイプ・セロハン(登録商標)XS500、合計厚さ34.7ミクロン、50g/m2)の熱分解および炭化
【0082】
このフィルムを、商用の高温炉内の精製した窒素雰囲気中(流速10リットル/分)830℃で48時間かけて熱分解または炭化した。その後、それによって起こる収縮を、3つの矩形のフィルム片およびそれから調製した炭素シートのそれぞれの平均測定値と比較して決定した。結果を表3にまとめた。
【0083】
【表3】

【0084】
実施例3:炭化前の合計厚さ7ミクロン、炭化後2.3ミクロンの均一かつ欠陥を含まないエポキシ樹脂フィルムの熱分解および炭化
【0085】
このフィルムは、20重量パーセント溶液からの溶媒蒸発方法によって調製した。商用の高温炉内の精製した窒素雰囲気中(流速10リットル/分)830℃で48時間かけて炭化を行った。その後、それによって起こる収縮を、3つの矩形のフィルム片およびそれから調製した炭素シートのそれぞれの平均測定値と比較して決定した。結果を表4にまとめた。
【0086】
【表4】

【0087】
このようにして調製したシート材料は、
a)第2の活性化ステップにおいて、空気中350℃で2時間の第2の温度処理にかけた。
b)第2のステップにおいて炭化水素CVD層が形成され、第2の温度処理において700℃で行った。
【0088】
これによって吸水能力が変化した。これは次のように測定した:VE水1mLを、ピペット(直径それぞれ20mm)でフィルム表面上にまき、5分間作用させた。その後、重量の差違を決定した。
【0089】
吸水率[g]
炭化した試料 0.0031
a)活性化した試料 0.0072
b)CVD改質した試料 0.0026
これから、シート材料のCVD改質により気孔率が減少するが、一方、活性化により気孔率が増加することがわかる。
【0090】
実施例4:合計厚さ3g/m2の均一かつ欠陥を含まないエポキシ樹脂フィルムの熱分解および炭化
【0091】
このフィルムは、15重量パーセントのエポキシ被覆溶液からの溶媒蒸発方法によって調製し、それに、直径25mmのステンレス鋼基板上での浸漬被覆方法により、50%のポリエチレングリコール(エポキシ樹脂ラッカーを基準にした、Mw 1,000g/mol)を加えた。商用の高温炉内の精製した窒素雰囲気中(流速10リットル/分)500℃で8時間かけて炭化を行った。その後、この被覆を、超音波水浴中60℃で30分間洗浄し、秤量した。
【0092】
被覆なしの丸皿重量 1.2046g
被覆後の重量 1.2066g
炭化後の重量 1.2061g
洗浄手続き後の重量 1.2054g
【0093】
洗浄手続きによってフィルムの気孔率を増加させることができた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質炭素ベース材料の調製方法であって、以下のステップ:
a)フィルムまたは被覆から選択される高分子フィルムを提供するステップと、
b)80℃〜3,500℃の範囲の温度の実質的に酸素を含まない雰囲気中で前記高分子フィルムを熱分解および/または炭化するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記高分子フィルムが、熱分解および/または炭化の前に、スタンピング、折畳み、打抜き、印刷、押出成形、およびそれらの組合せ等によって構造化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高分子フィルムが、脂肪族もしくは芳香族ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニルもしくはポリビニルアルコールなどのポリビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンのホモまたは共重合体のフィルム、並びに、これらのホモまたは共重合体の混合物および組合せのフィルムを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記高分子フィルムが、ラッカー、ラミネート、またはフィニッシュから選択される被覆であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記高分子フィルムが、バインダ系のアルキド樹脂を有するラッカーから調製されるラッカーフィルム、塩化ゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、油ベース、ニトロベース、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール樹脂、タール、タール状材料、タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、セラック、再生可能な原材料からの有機材料、またはそれらの組合せであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記高分子フィルムが、無機添加剤または充填材を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記無機添加剤または充填材が、酸化ケイ素もしくは酸化アルミニウム、アルミノシリケート、酸化ジルコニウム、タルク、グラファイト、カーボンブラック、ゼオライト、クレー材料、フィロシリケート、ワックス、パラフィン、塩、金属、金属化合物、ポリビニルピロリドンもしくはポリエチレングリコール等の可溶性有機化合物から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記充填材が、水、溶剤、酸もしくは塩基で洗浄することによって、または、酸化的もしくは非酸化的熱分解によって、基材から取り除かれることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記充填材が、粉末、繊維、織布、不織布の形態で存在することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記充填材が、前記高分子フィルムの中またはその上に発泡をもたらすのに適することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記材料が、熱分解および/または炭化の後に、酸化および/または還元の後処理にかけられることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の方法に従って製造できる多孔質炭素ベース材料。


【公表番号】特表2006−528931(P2006−528931A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529845(P2006−529845)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005277
【国際公開番号】WO2004/101433
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505257349)ブルー メンブレーンス ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】