説明

多孔質炭素系成形体を製造するための方法、ならびに細胞培養担体システムおよび培養システムとしてのその使用

本発明は、炭素系成形体を製造するための方法に関し、特に、非ポリマー性フィラーと混合した有機ポリマー材料を炭化し、次いで、炭化された成形体からフィラーを取り除くことによって、多孔質炭素系成形体を製造するための方法に関する。もう一つの実施形態においては、本発明は、炭化の間に、実質的に完全に分解されるポリマー性フィラーを含む有機ポリマー材料を炭化することによる、多孔質炭素系成形体を製造するための方法に関する。有機ポリマー材料を炭化することによって多孔質炭素系成形体を製造するための方法がさらに開示されており、この炭素系成形体は、孔を形成するために炭化後に部分的に酸化される。最後に本発明は、当該方法の一つに従って製造される多孔質成形体およびその使用に関し、特に細胞培養担体システムおよび/または培養システムとしての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素系成形体を製造するための方法に関する。特に本発明は、非ポリマー性フィラーと混合した有機ポリマー材料を炭化し、次いで炭化された成形体からフィラーを溶解させることによって、多孔質炭素系成形体を製造するための方法に関する。さらなる実施形態においては、本発明は、炭化の間に、実質的に完全に分解する非ポリマー性フィラーと混合した有機ポリマー材料を炭化することによって、多孔質炭素系成形体を製造するための方法に関する。本発明はさらに、有機ポリマー材料を炭化することによって、多孔質炭素系成形体を製造するための方法に関し、この炭素系成形体は、孔を形成するために炭化後に部分的に酸化される。さらに本発明は、当該方法の一つに従って製造される多孔質成形体およびその使用に関し、特に細胞培養担体システムおよび/または培養システムとしての使用に関する。
【0002】
その特性の可変しやすさの結果として、炭素は材料工学の全ての分野における多目的材料である。炭素系材料は機械工学、車両建築において用いられ、さらには医療工学およびプロセス工学において用いられている。DE 35 28 185に記載されていることは、特殊な粉末の炭素含有原料から、高強度で高密度の炭素材料を、バインダーを用いることなく製造するための方法である。
【0003】
DE 198 23 507には、天然の植物繊維または木製品の生物起源の原料を炭化することによって、炭素系成形体を製造するための方法が記載されている。DE 100 11 013およびEP 0 543 752には、発泡した開始ポリマー、たとえばポリアクリロニトリルまたはポリウレタンの炭化または熱分解によって、炭素含有材料を製造するための方法が記載されている。このようにして得られる炭素の発泡体を、加熱装置(furnace installations)または反応用構造体(reactor construction)における高温用断熱材として、または高温での操作における消音のために用いる。米国特許第3,342,555号には、レゾール型またはノボラック型のフェノールアルデヒド樹脂に基づく発泡ポリマーを炭化することによって、軽量の多孔質炭素を製造するための方法も記載されている。
【0004】
多孔質炭素成形体を製造するための当該従来技術の方法は、発泡ポリマーを炭化することによって得られる成形体が、機械的負荷条件下ではこれらを用いることがほとんど不可能となる、極めて小さい機械的安定性を高い頻度で示すという不都合を有する。さらに、バイオテクノロジー関連の応用、たとえば整形外科用のインプラント用にこれらを用いるために、これらの成形体における孔径および細孔容積を十分に正確に調整することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、多孔質炭素含有成形体を製造するための新たな改善された方法についての絶え間のない必要性が存在する。
【0006】
従って、経済的条件下で実施することができる、多孔質炭素系成形体を製造するための単純な方法を提供することが本発明の目的である。
【0007】
本発明のさらなる目的は、単純なプロセスのパラメータを変えることによって、多孔性、特に細孔容積および孔径を再現可能な様式に具体的に調整することができる多孔質炭素系成形体を製造するための方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、複数の形状および大きさに対応する成形体を特別に製造するために用いることができる、多孔質炭素系成形体を製造するための方法を提供することである。
【0009】
本発明による炭素系成形体の使用分野および応用分野を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0010】
本発明の目的は、独立項に従った方法およびそれによって製造することができる成形体ならびにその使用によって実現する。好ましい実施形態は従属項のそれぞれに明記されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一般的に、本発明は、有機ポリマー材料の半完成の成形部を炭化することによって多孔質炭素系成形体を製造する方法を提供し、ここで、この成形体の孔は熱分解の間または後で形成される。
【0012】
本発明の第一の実施形態においては、多孔質炭素系成形体を製造するための方法であって、次の工程、
−炭化して炭素にすることができる有機ポリマー材料を、非ポリマー性フィラーと混合する工程、
−この混合物から半完成の成形部を形成する工程、
−半完成の成形部を高温非酸化雰囲気で炭化する工程であって、炭素系成形体を得る工程、
−適切な溶媒を用いて、炭化した成形体からフィラーを溶解させる工程、
を含む方法を提供する。
【0013】
本発明による方法のこの実施形態に従えば、この第一の工程において、炭化して炭素にすることができる有機ポリマー材料を、非ポリマー性フィラーと混合またはブレンドする。基本的には、当業者に知られている適切な混合方法、たとえばポリマーペレットのフィラー粉末もしくは顆粒との乾式混合、フィラーのポリマー融解物への混合、またはフィラーのポリマー溶液もしくは懸濁液の混合を利用して、このことを実施することができる。
【0014】
非ポリマー性フィラーとして適切なものは、炭化条件下で実質的に安定しており、かつ炭化後に、適切な溶媒を用いて炭素系成形体から除去することができる物質のすべてである。さらに、炭化条件下での溶媒に可溶性の物質に変換される非ポリマー性フィラーがフィラーとして適する。
【0015】
好ましいフィラーは、無機金属塩、特にアルカリおよび/またはアルカリ土類の炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ハロゲン化物、硫化物、酸化物およびそれらの混合物から選択される。さらに適切なフィラーは、有機金属塩、好ましくはアルカリ、アルカリ土類および/または遷移金属の有機金属塩、特にそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フタル酸塩、ステアリン酸塩、石炭酸塩、スルホン酸塩、アミン塩ならびにそれらの混合物から選択される。
【0016】
炭化された成形体からフィラーを溶解させることに適切な溶媒は、水、特に熱水、希釈されたまたは濃縮された無機酸または有機酸、アルカリなどである。適切な無機酸は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸の希釈された形態のものまたは濃縮された形態のもの、ならびに希フッ化水素酸である。
【0017】
適切なアルカリは、たとえば、水酸化ナトリウム溶液、アンモニア溶液、炭酸塩溶液だけでなく、有機アミン溶液である。
【0018】
適切な有機酸は、ギ酸、酢酸、トリクロロメタン酸、トリフルオロメタン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸およびそれらの混合物である。
【0019】
フィラーは、溶媒のタイプおよび溶媒の使用時間に従って、炭化された成形体から実質的に完全にまたは部分的に溶解することができる。フィラーの実質的に完全な溶解が好ましい。
【0020】
意図した用途および所望の多孔性または孔の大きさに応じて、適切な粒径のフィラーを用いることができる。特に好ましいものは、3オングストローム〜2mmの平均粒径を有する粉末または顆粒のフィラーであり、特に好ましくは1nm〜500μmのものであり、さらに好ましくは10nm〜100μmのものである。
【0021】
当業者であれば、予め炭化された成形体の所望の多孔性および所望の孔径に応じて、非ポリマー性フィラーの適切な粒径を選択するだろう。
【0022】
さらに、フィラーを溶解させるために適切な溶媒は有機溶媒、たとえば、メタノール、エタノール、N−プロパノール、イソプロパノール、ブトキシジグリコール、ブトキシエタノール、ブトキシイソプロパノール、ブトキシプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ブチレングリコール、ブチルオクタノール、ジエチレングリコール、ジメトキシジグリコール、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、エトキシエタノール、エチルヘキサンジオール、グリコール、ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール、イソブトキシプロパノール、イソペンチルジオール、3−メトキシブタノール、メトキシジグリコール、メトキシエタノール、メトキシイソプロパノール、メトキシメチルブタノール、ポリプロピレングリコール、メチラール、メチルヘキシルエーテル、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トリメチルヘキサノール、フェノール、ベンゼン、トルオール、キシロールであり、およびさらには水であり、必要に応じて分散補助剤とともに混合されてもよく、ならびに前述の混合物であってもよい。
【0023】
本発明の特定の実施形態においては、有機溶媒と、水および/または無機酸および/または有機酸との混合物を用いて、炭化された成形体から、非ポリマー性フィラーを溶解させることもできる。
【0024】
本発明の第二の実施形態においては、多孔質炭素系成形体を製造するための方法であって、次の工程、
−炭化して炭素にすることができる有機ポリマー材料を、非ポリマー性フィラーと混合する工程、
−この混合物から半完成の成形部を形成する工程、
−半完成の成形部を高温非酸化雰囲気で炭化する工程であって、ポリマー性フィラーを実質的に完全に分解する工程、
を含む方法が提供される。
【0025】
本発明のこの実施形態に従えば、ポリマー性フィラーが、炭化される有機ポリマー材料で組み込まれ、当該ポリマー性フィラーが炭化条件下で実質的に分解されるように、炭化の間に、炭素系成形体内に孔が形成される。
【0026】
特定の理論に拘泥するものではなく、炭化の条件下で、すなわち高温かつ酸素が排除された下で、特定のポリマー性フィラー、特に飽和脂肪族炭化水素を、揮発性の炭化水素、たとえばメタン、エタンなどを生じさせ、次いで熱分解または炭化の間に、炭化された成形体の多孔質炭素の骨格からそれらを放出させるというクラッキングと類似の方法を手段とすることによって、実質的に完全に分解することができることが示されている。
【0027】
ホモポリマーまたはコポリマーとなり得る、飽和の、分岐のまたは非分岐の脂肪族炭化水素から、適切なポリマー性フィラーを選択することができる。好ましいものはポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテンならびにそれらのコポリマーおよびそれらの混合物である。
【0028】
第一の工程において、ポリマー性フィラーを、炭化することができるポリマー材料と混合する。基本的には、当業者に知られている適切な混合方法、たとえばポリマーペレットまたは顆粒の混合、ポリマー性フィラーの炭化可能な有機ポリマー材料の融解物へのまたはこれらのポリマー材料の懸濁液もしくは溶液への混合、ポリマー性フィラーの炭化可能な有機ポリマー材料との同時押出し成形などを利用して、このことを実施することができる。
【0029】
ポリマー性フィラーの分子量、鎖長および/または分岐の程度を適切に選択することによって、炭化された成形体に形成される孔を、広範囲にわたって適切に大きさを変えたり変化させたりすることができる。炭化の間に、適切な大きさの孔の通路を形成する細い繊維の形態で、ポリマー性フィラーを用いることもできる。繊維の直径および繊維の長さを選択することによって多孔性を調節することができ、繊維の直径が大きくそして長くなるほど、多孔性がさらに増大する。この場合においては、用いる繊維または多孔性の非対称な分布と成形体のテクスチャーとを適切に調和させることによって、所望の中間的な効果を発揮させることもできる。
【0030】
ポリマー性フィラーを、孔を形成する物として用いるという本発明による方法のこの実施形態は、ナノメートル〜マイクロメートルの範囲の小孔径を有する多孔質成形体、とりわけ3オングストローム〜2mm、特に好ましくは1nm〜500μm、さらに好ましくは10nm〜100μmの孔径を有するものに特に適している。
【0031】
この方法の好ましい実施形態においては、炭化後に、炭化された成形体を適切な酸化剤および/または還元剤で処理して孔径をさらに改変する。たとえば、適切な有機前駆体または無機前駆体を分離する間のCVD/CVI法による、その後の圧縮すなわち孔の閉鎖も、本発明に従って利用することができ、所望の特性を有する成形体が「特別に作られる」。
【0032】
本発明による方法の第三の実施形態によれば、多孔質炭素系成形体を製造するための方法であって、次の工程、
−炭化可能な有機ポリマー材料から半完成の成形部を形成する工程、
−半完成の成形部を高温非酸化雰囲気で炭化する工程であって、炭素系成形体を得る工程、
−炭化された成形体を部分的に酸化して孔を形成する工程、
を含む方法を提供する。
【0033】
本発明による方法のこの実施形態に従えば、適切なポリマー材料を炭化することによって成形体を形成し、炭化の後、適切な酸化剤を利用する炭素の部分酸化によって炭素系成形体に孔を「焼き付ける」ことで、炭化された成形体における多孔性を形成するおよび/または増大させる。
【0034】
炭化された成形体の処理は、好ましくは、酸化性ガス雰囲気にて高温で行う。酸化性ガス相における部分酸化に適切な酸化剤は、空気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物および類似の酸化剤である。これらの気体の酸化剤を、不活性ガス、たとえば希ガス特にアルゴンと、または窒素とも混合することができ、そして酸化剤の適切な体積濃度を正確に調整することができる。穴すなわち孔を、部分酸化を手段とするこれらの酸化剤を用いた反応によって多孔質成形体内に焼き付ける。
【0035】
部分酸化を高温で行うことが好ましく、特に50℃〜800℃の範囲が好ましい。
【0036】
この実施形態の特に好ましい方法においては、必要に応じて、室温かそれ以上の空気を流通させることで成形体を処理することによって、部分酸化を実施する。
【0037】
気体の酸化剤を用いる成形体の部分酸化に加えて、液体の酸化剤を用いることもでき、たとえば濃硝酸を適切な方法で成形体に適用する。この場合においては、濃硝酸を炭化された成形体と室温より高温で接触させて、表面だけのまたはより深い孔を確実に形成させることも好ましいものとなり得る。
【0038】
孔を形成させるための上記の方法を、本発明に従って互いに組み合わせてもよい。従って、可溶性フィラーに加えて、本発明に従って、炭化条件下で揮発性であるかまたは分解して揮発性物質を生じさせるポリマー性フィラーを追加的に用いることも可能である。このような方法で、フィラーから形成されるより粗雑な孔をポリマー性フィラーのマイクロサイズのまたはナノサイズの孔と結合させて、孔の不均等な分布を与えることができる。さらに、フィラーおよび/または固体ポリマーを用いて孔を形成させることに加えて、部分酸化によって、既存の孔を拡大したり、連結したりまたは改変することもできる。
【0039】
さらに、たとえば液晶性タールピッチでの処理によって孔を閉鎖することができ、そして必要に応じて、これらを新たな温度処理に付してもよい。従って、炭化によって高次結晶領域に到達することができる。たとえば、本発明による方法を組み合わせることによって、非対称型および対称型傾斜材料を得ることができる。
【0040】
有機ポリマー材料
本発明による方法の当該三実施形態のすべてにおいては、炭化して炭素にすることができる有機ポリマー材料として用いられる材料は、炭化条件、すなわち高温かつ実質的に無酸素雰囲気下で、アモルファス材料、部分的に結晶質の材料および/または結晶質の対称型材料または非対称型材料から、炭素材料が残っているものである。
【0041】
特定の理論に拘泥するものではなく、不飽和の、分岐脂肪族炭化水素、分岐もしくは非分岐で、架橋されたもしくは非架橋の芳香族炭化水素または部分芳香族炭化水素、およびそれらの置換誘導体がこの目的に特に適していることが示されている。不飽和炭化水素、特に芳香族炭化水素は通常、炭化された成形体の基本骨格を形成するという炭化条件下で、黒鉛様の架橋された六員環構造に組み込まれている。
【0042】
ヘテロ原子の一部、たとえば、エーテル、ウレタン、アミドおよびアミンなどを伴う飽和脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素は、本発明による方法において、炭化可能な有機ポリマー材料として、またはその他の脂肪族もしくは芳香族の不飽和炭化水素との混合物の状態で適するものである。
【0043】
本発明による方法においては、炭化可能な有機ポリマー材料は、好ましくは次のものから選択される、ポリブタジエン;ポリビニル、たとえばポリ塩化ビニルまたはポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルシアノアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン;ポリマー、たとえばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、たとえばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノゲン、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエステル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタレート、ポリリンゴ酸、ポリ酒石酸、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)、ポリエーテル、たとえばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニック、ポリテトラメチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアセテートフタレート)、アルキド樹脂、塩化ゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、メラミン樹脂、アルキルフェノール樹脂、エポキシ化された芳香族樹脂、タール、タール状材料、タールピッチ、液晶性タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、セラック、再生可能原料の有機材料、ならびにこれらのコポリマー、これらのホモポリマーまたはコポリマーの混合物および組み合わせ。
【0044】
炭化可能なポリマー材料は、通常の添加物、たとえばフィラー、柔軟剤、潤滑剤、難燃剤、ガラス、グラスファイバー、炭素繊維、綿、繊維、金属粉末、金属化合物、金属酸化物、ケイ素、酸化ケイ素、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、タルク、黒鉛、すす、粘土材料、フィロケイ酸塩などをさらに含むことができる。特に、本発明の好ましい実施形態においては、セルロース、綿の繊維性材料;織布、グラスファイバー、炭素繊維などが、形成される多孔質成形体の機械的特性を改善するために適したポリマー添加物として適している。
【0045】
本発明の方法による半完成の成形部を、当業者に知られているポリマー材料についての通常の成形方法によって形成することができる。適切な成形方法は、注型法、押出し成形法、加圧成形法、射出成形法、同時押出しブロー成形法またはその他の通常の成形方法、たとえば、平坦な出発材料を用いるワインディング法またはストランドワインディング法である。
【0046】
炭化
本発明による方法においては、実質的に無酸素雰囲気または無酸化剤雰囲気で炭化を実施する。適切な炭化雰囲気は、たとえば、保護用ガス、好ましくは窒素および/またはアルゴン、不活性ガス、SiF6ならびにこれらの保護用ガスの混合物である。必要に応じて、これらの保護用ガスの雰囲気を減圧下でまたは加圧下で用いることができる。本発明による方法においては、真空中での炭化を都合よく行うこともできる。
【0047】
さらに、不活性ガス雰囲気に反応性ガスを添加することが好ましい。この目的にとって好ましい反応性ガスは、非酸化性ガス、たとえば水素、アンモニア、C1−C6飽和脂肪族炭化水素、たとえば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、これらの混合物などである。
【0048】
炭化工程に適切な温度は、200℃〜4000℃またはそれ以上の範囲である。炭化工程において選択された温度によって、および用いるポリマー材料のタイプによって、その基本的な材料がアモルファス〜規則正しい結晶の黒鉛様構造の範囲またはその両者の材料の混合体の構造を持つところの炭素含有成形体が形成され得る。
【0049】
当業者なら、用いるポリマー材料または出発材料混合物の特定の温度に依存する特性に応じて、適切な温度条件、適切な雰囲気条件および適切な圧力条件を選択するであろう。
【0050】
本発明による方法における炭化工程での雰囲気は実質的に無酸素であり、好ましくはO2が10ppm未満に維持され、特に好ましくは1ppm未満に維持される。水素雰囲気または不活性ガス雰囲気、たとえば、窒素、不活性ガス、たとえば、アルゴン、ネオンならびに炭素または気体化合物およびそれらの混合物と反応しないその他の任意の不活性ガスを用いることが好ましい。窒素が特に好ましい。
【0051】
適切な加熱炉内での不連続法で炭化工程を行うことが好ましいが、必要に応じて好ましいものとなり得る連続的な加熱プロセスで炭化工程を実施することもできる。
【0052】
この場合においては、半完成の成形部を加熱炉の一端に供給し、そして加熱炉の他端で再度その成形部が現れる。好ましい実施形態においては、熱分解または炭化の間に、ポリマーフィルムを介して減圧できるように、加熱炉内の多孔板、篩などの上にこの半完成の成形部を置くことができる。このことによって、一方では加熱炉内でインプラントを簡単に固定することが可能となり、他方では、炭化の間に、半完成の成形部を介して不活性ガスの抜き出しや流れの最適化が可能となる。
【0053】
必要に応じて異なる炭化条件下、たとえば、異なる温度段階、異なる不活性ガスまたは真空度で、対応する不活性ガスが閉じ込められることによって、加熱炉を、その中で一つまたは複数の炭化工程を連続して実施することができるようなそれぞれのセグメントに分けることができる。さらに、処理後に、加熱炉の対応するセグメント内で、活性化工程または中間処理工程、たとえば部分酸化、還元または金属塩溶液などでの含浸を必要に応じて実施することができる。
【0054】
あるいはこれに関して、密閉された加熱炉内で炭化を実施することができ、炭化を真空中で実施される場合は特に好ましい。用いる炭化可能なすなわち有機ポリマー材料または用いるフィラーに依存して、材料の重量の減少は、本発明による方法における炭化工程の間に約5%〜95%生じ、好ましくは約40%〜90%生じ、特に50%〜70%生じる。
【0055】
後処理
本発明の好ましい実施形態においては、炭素系成形体または形成される孔の物理的特性および化学的特性は、適切な後処理工程により炭化後にさらに改変され、そしてそれぞれの所望の意図した用途に適合化される。
【0056】
適切な後処理は、たとえば、多孔質成形体がそこで適切な還元剤および/または酸化剤、たとえば水素、二酸化炭素、窒素酸化物、たとえばN2O、水蒸気、酸素、空気、硝酸などまたは必要に応じてそれらの混合物で処理されるような、還元的後処理工程または酸化的後処理工程である。
【0057】
さらに、その表面は、片面または両面に適用することができるコーティングがなされていてもよい。適切なコーティング材料は、たとえば、成形体に非対称のテクスチャーを形成させるために、適用後に必要に応じてさらに炭化工程または熱分解工程に付してもよいような上記の有機ポリマー材料であり得る。成形体の表面にそれぞれの所望の特性を与えるために、無機物質、生体適合性のポリマーおよび材料によるコーティングも、本発明に従うことによって可能である。
【0058】
後処理工程を、必要に応じて高温で実施することもできるが、炭化温度未満、たとえば15℃〜1000℃で、好ましくは70℃〜900℃で、特に好ましくは100℃〜850℃で、さらに好ましくは200℃〜800℃で、より好ましくは約700℃で実施することができる。特に好ましい実施形態においては、本発明に従って製造される多孔質成形体は、還元的にまたは酸化的に、すなわち室温でのこれらの後処理工程の組み合わせを利用して改変されている。
【0059】
酸化的処理もしくは還元的処理によって、または添加物、フィラーもしくは機能材料を添加することによって、本発明に従って製造される多孔質成形体におけるその孔の大きさおよびそれらの特性に本質的な影響を与えたり、またはそれらを変化させたりすることができる。たとえば、無機のナノ粒子またはナノ複合体、たとえば、層状ケイ酸塩を添加することによって、炭素含有材料の表面特性を親水性にまたは疎水性にすることができる。
【0060】
さらに、この後のコーティング、たとえばポリマー溶液で、一方または両方の側の多孔質成形体を密閉することができる。必要に応じて、このコーティングを再び炭化して、たとえば安定性を改善することができる。
【0061】
その後に適切な添加物を添加することによって、本発明に従って製造される多孔質成形体の外側の表面および/または内側の表面に生体適合性を付与することもできる。従って、改変された成形体を、たとえば、バイオリアクター、細胞培養担体システムもしくは培養システム、インプラントとして、または医薬用担体もしくは貯蔵物、特に体内に移植することができるシステムとして用いることができる。後者の場合においては、たとえば、薬剤または酵素を材料に添加すればよく、ここで、適用されたコーティングの適切な遅延性および/または選択的な浸透性によって管理される方法で、これらを必要に応じて放出することができる。
【0062】
表面または孔構造およびその特性をさらに改変するために、必要に応じて、多孔質成形体をいわゆるCVDプロセス(Chemical Vapour Deposition、化学気相成長法、化学的な気相の分離)またはCVIプロセス(Chemical Vapour Infiltration、化学気相浸透法)に付すこともでき、必要に応じて、孔を表面的にまたは完全に密閉してもよい。この目的のために、炭化コーティングを適切な炭素分離性前駆体ガスで高温で処理する。その他の元素、たとえばケイ素、アルミニウム、チタンをこの方法で分離することもでき、特に対応するカーバイドが形成される。このタイプの方法は従来技術として知られている。成形体を事前に適切に構築することによって、たとえば異なる長さおよび/または厚さの繊維性材料を用いて、たとえば、成形体の体積の全体に亘って不均一に分散した金属もしくは非金属カーバイド、窒化物またはホウ化物の特定の間質化合物または反応化合物の濃度を有する傾斜材料を、このようにして得ることができる。このようにして、対称または非対称の、等方的なまたは異方的な、孔が密閉された多孔質のまたは繊維様の誘導構造またはそれらの任意の組み合わせが備わった傾斜材料を得ることができる。
【0063】
CVD条件下で十分な揮発性を有する飽和および不飽和炭化水素として知られているもののほとんど全ては、炭素分離性前駆体とみなすことができる。これらのものの例は、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、炭素数がC1−C20の直鎖および分岐鎖のアルカン、アルケンおよびアルキン、芳香族炭化水素、たとえばベンゼン、ナフタレンなど、ならびに単独のおよび複数のアルキル−、アルケニル−およびアルキニル置換された芳香族化合物、たとえばトルオール、キシロール、クレゾール、スチレンなどである。
【0064】
セラミックの前駆体としては、BCl3、NH3、シラン、たとえばSiH4、テトラエトキシシラン(TEOS)、ジクロロジメチルシラン(DDS)、メチルトリクロロシラン(MTS)、トリクロロシリルジクロロボラン(TDADB)、ヘキサジクロロメチルシリルオキシド(HDMSO)、AlCl3、TiCl3またはそれらの混合物を用いることができる。
【0065】
CVD法においては、不活性ガス、たとえば窒素、アルゴンなどと混合して、主に約0.5〜15体積%の低濃度でこれらの前駆体を用いる。水素を対応する分離ガスの混合物に添加することもできる。多孔質成形体の孔のシステム内に実質的に均一に沈着する段階の前に、500〜2000℃の間の温度で、好ましくは500〜1500℃の間の温度で、特に好ましくは700〜1300℃の間の温度で、当該化合物が炭化水素の断片または炭素もしくはセラミックを分離し、そこにある孔構造を改変し、そしてそれによって孔径および孔の分布を実質的に均一にさせる。
【0066】
CVD法を利用して、炭素含有多孔質成形体における孔の大きさを、完全に孔を閉鎖/密閉するまで明確に小さくすることができる。この結果、成型体の吸着特性およびさらには機械的特性を、必要に応じて調整することができる。
【0067】
カーバイドまたはオキシカーバイドの形成によって、たとえば耐酸化性の方法で、炭化水素と混合したシランまたはシロキサンのCVDによって、炭素含有多孔質成形体を改変することができる。
【0068】
好ましい実施形態においては、スパッタリングを利用することによって、本発明に従って製造される多孔質成形体をさらにコーティングまたは改変することができる。この目的のために、それ自体公知の方法を用いて、適切なスパッタターゲットである炭素、ケイ素または金属もしくは金属化合物を添加することができる。この例はTi、Zr、Ta、W、Mo、Cr、Cuであり、通常形成される対応するカーバイドを用いて多孔質成形体に散布することができる。
【0069】
さらに、イオン注入法を利用することによって、多孔質成形体の表面特性を改変することができる。従って、窒素を注入することによって、遷移金属が組み込まれた窒化物相、炭窒化物相またはオキシニトリド相を形成することができ、これによって、炭素含有多孔質成形体の化学的耐性および機械的抵抗性が顕著に高まる。
【0070】
それに続く架橋化、炭化または黒鉛化の間に、たとえば、液晶性タールピッチでコーティングする結果、格子構造の配列に依存する非対称型材料の特性を持つようにすることができる。これらは、例えば熱膨張、機械的特性、伝導率などである。
【0071】
特定の実施形態においては、生分解性または生体吸収性ポリマー、たとえばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、たとえばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート、カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノゲン、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(酒石酸)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)およびそれらのコポリマー、または非生分解性もしくは生体非吸収性ポリマーの被膜で、少なくとも部分的に多孔質成形体をコーティングすることが有利となり得る。特に好ましいものは、アニオン性、カチオン性または両性の被膜、たとえば、アルギン酸塩、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、キトサン、ポリ−L−リジン、および/またはホスホリルコリンである。
【0072】
必要に応じて、特に好ましい実施形態においては、炭化の後および/または必要に応じて後処理工程を行った後、多孔質成形体の表面を、さらに化学的または物理的に改変することができる。ここで、洗浄工程を行って、あらゆる残留物および不純物を除去することもできる。この目的のために、既に記載した酸、とりわけ酸化性酸または溶媒を用いることができ、酸または溶媒中で煮沸することが特に好ましい。
【0073】
本発明による成形体の水性環境におけるpHおよび緩衝能を、出発物質および添加物を適切に選択することによって広範囲に亘って特別に調整することができる。本発明に従って製造される成形体の水中におけるpHは、pH0〜pH14の範囲、好ましくはpH6〜8の範囲、特に好ましくはpH値が6.5〜7.5の状態とすることができる。本発明に従って製造される成形体の緩衝範囲は、好ましくは中性〜酸性の範囲、特に好ましくは弱酸の範囲であり、この緩衝能は、50mol/リットル以下、好ましくは10mol/リットル以下であってもよく、好ましい応用例では、通常0.5〜5mol/リットルである。
【0074】
成形体
本発明による方法によって製造される成形体を、二次元または三次元のあらゆる形状で製造することができる。この目的のためには、適切な成形方法を利用して、必要に応じポリマー性または非ポリマー性フィラーを混合した有機ポリマー材料から半完成の成形部を加工し、対応する素材を形成する。この素材を必要に応じて、炭化の間に生じる小規模の寸法上の収縮を伴う多孔質炭素系成形体の最終的な形状に対応させてもよい。本発明による多孔質成形体を、チューブ、円形の棒、プレート、ブロック、直方体、立方体、中実のもしくは中空の球体、フランジ、シール、筺体などの形状で製造することができ、またはその多孔質成形体をたとえば円柱状、多角形の柱状およびおそらくは三角柱状もしくは棒状に引き伸ばされ、、またはプレート状、さらには多角形状、たとえば、四面体状、ピラミッド状、八面体状、十二面体状、二十面体状、菱形、角柱、または球体およびおそらくはボール状、球体レンズ状もしくは円筒型レンズ状または環状、直線の経路もしくは異なる径の経路で曲げられ折りたたまれた曲線の経路と流れの方向を伴う(経路間の角度が平行、交差もしくは任意の)ハニカム形状とすることができる。
【0075】
本発明の特定の実施形態に従えば、本発明による方法の一つを用いて多孔質炭素系材料のチューブが製造される。この場合においては、炭化により炭素にすることができる炭素含有成形体として、天然ゴムもしくは合成ゴムのホースまたは適切なプラスチックを上記のようにして炭化することが好ましく、これを、必要に応じて繊維または繊維質の挿入物で強化してもよい。半完成の成形部として用いられるホース形状の、合成樹脂を含浸した織布を用いて、本発明のいずれかの方法により多孔質炭素系材料のチューブを製造することが特に好ましい。
【0076】
多孔質チューブを製造するために用いられるホースは、積層構造、たとえば発泡プラスチックの内層および非発泡プラスチックの外層を含む構造、またはその逆の構造を有することができる。本発明によれば、さらなる層を適用することもできる。
【0077】
同時押出しブロー成形によって、積層ホースを半完成の成形部として製造し、次いで炭化してチューブを形成する場合が特に好ましい。
【0078】
本発明のさらなる実施形態においては、ポリマー材料を含浸させるかまたはコーティングした紙材料を曲げることによって、炭素系材料のチューブを製造することができ、その結果たとえば旋盤の上でチューブが形成される。このものは次いで炭化条件下で炭化されて、炭素含有多孔質チューブが形成される。
【0079】
この製造方法に従えば、平坦な繊維構造、経路構造またはフェルト構造ならびにそれらのすべての組み合わせに、有機ポリマー材料を含浸させるおよび/またはコーティングし、そして適切な心棒を用いて曲げることが好ましい。次いで、心棒を伴ったまままたは心棒無しで炭化を行い、次いで、必要に応じて心棒を除去する。このような方法で、単純かつ緻密な多孔質チューブを製造することができ、次いで、これらを後処理、後の圧縮または密閉に付すことができる。
【0080】
このようにして製造される多孔質チューブを、CVDまたはたとえば有機ポリマーを用いるコーティングによる適切な後処理によって完全にまたは部分的に密閉することができる。
【0081】
本発明に従って、半完成の成形部を用いて、チューブ、たとえばポリマーのホース、特に炭素チューブを製造するための連続法によるエンドレスのホースを製造することもできる。ここで繊維強化ホースを用いることは特に好ましく、この場合、その繊維は、織物繊維または編物繊維、グラスファイバー、炭素繊維、ロックウール、ポリマー繊維、たとえばポリアクリロニトリルのポリマー繊維、不織布材料、不織布、フェルト、セルロース、PET繊維およびそれらの材料の任意の混合物から選択することができる。
【0082】
半完成の積層性の成形部を用いることによって、本発明に従って製造される炭素含有成形体の非対称型構造を完成させることができる。たとえば、発泡ポリマー材料、たとえばポリウレタン発泡体、ポリアクリロニトリル発泡体などを、高密度のポリマー材料のさらなる層を用いて成形することができる。次いでこれを炭化して、多孔性の分布が局部的に異なる成形体が形成される。
【0083】
中空の物体の場合においては、半形成の成形部中にフランジを積層すればよく、次いで密閉された孔と共に、貫通した状態で実質的に炭化する。ポリマー繊維および繊維を用いる場合、繊維とマトリクスとの間が例外的に密着した、中実の炭素モジュールユニットがこのようにして製造される。
【0084】
本発明による方法によって製造される炭素系成形体、特に炭素チューブを、チューブ状の膜リアクターにおいて、チューブバンドルリアクターにおいて、およびさらには熱交換器において、ならびにバイオリアクターにおいて、チューブ状の膜として用いることができる。
【0085】
本発明による成形体を、特に自動車分野における多孔質の触媒用担体として、または排ガス精製を技術的に設置する際に用いることもできる。ここで有利なことは、それらの耐熱性、化学的耐性および寸法安定性という点である。さらに、本発明による成形体および材料は応力がほとんどかからず、温度衝撃下でも極めて安定している。すなわち、温度の急上昇に何らの問題を伴うことなく耐えられる。金属特に貴金属、およびその他の触媒活性を有する材料を添加することによって長期に亘って安定し、そして本発明に従うことによって極めて効果的な触媒用担体を製造することができる。
【0086】
平坦な経路構造から作られるプレートならびにそれを曲げて得られるチューブ構造は、断熱材、たとえば高温での適用のためのものまたは電磁波を遮蔽するためのもの(電磁波吸収材)として極めて適している。この場合において、たとえば、複数の高周波ヒーターのエネルギーを、これらの断熱材を通してほとんどロス無く加熱領域内で合わせることができるように、その電気的特性を調整することができる。しかしながら、高周波で直接励起され、その結果直接加熱できるように、指向性が高い材料を調整することもできる。このことは、工業的な製造(炭化)のためのまたは黒鉛化のための単純な方法でもある。
【0087】
本発明による方法によって製造される成形体を、医療用のインプラント、たとえば整形外科用、外科用および/または非整形外科用のインプラントとして、具体的には人工骨または人工関節、整形外科用のプレート、ネジ、爪などとして用いることもできる。
【0088】
これらの生体適合性および柔軟な表面特性、たとえば吸着能力、吸収能力、生体物質との付着、孔が密閉された成形体の範囲までの広範囲に亘って具体的に調整可能な多孔性、孔径および細孔容積などの結果として、本発明に従って製造される成形体を、微生物および細胞培養物によるコロニー形成のための基材または担体として用いることが特に好ましい。
【0089】
初代細胞株、たとえば真核組織、具体的には骨、軟骨、肝臓、腎臓を培養するための担体および/または培養システム(TAS)として、ならびに異種の、異質遺伝子型の、同質遺伝子型のまたは自系の細胞および細胞型、および必要に応じて遺伝子操作された細胞系を培養または固定化するための担体および/または培養システム(TAS)として、本発明に従って製造される炭素系の炭素含有成形体、ならびにセラミック材料および複合体を用いることは、特に好ましい。
【0090】
本発明に従って製造される成形体に加えて、原則的にはすべての多孔質または非多孔質炭素含有材料が、初代細胞の培養物を培養するための担体および培養システム(TAS)としての使用に適している。本発明に従って製造される成形体に加えて、材料、たとえばその開示が完全に本明細書に含まれるWO 02/32558(「Flexible, porous membranes and adsorbents ...」)に記載されたもの、とりわけ24ページの11行〜43ページに記載された炭素材料およびセラミック材料、膜および担体を用いることも好ましい。対称または非対称なテクスチャーが付けられた炭素またはセラミックに基づく材料およびそれらの組み合わせを、担体および培養システムとして用いることも好ましい。
【0091】
当該材料および成形体を、特に神経組織のための担体および培養システムとして用いることができる。ここで、とりわけ成形体の伝導性の簡単な調整とパルス状の電流を適用することによって、炭素含有材料が神経組織の培養に特に適合性を有しかつ適していることは特に有利である。
【0092】
本発明による担体および培養システムとしての用途において、二次元または三次元での組織の成長のためのインビトロまたはインビボの誘導構造、いわゆる足場(scaffolds)として当該材料および成形体をさらに用いる。それらが特定の形に成形された結果として、細胞培養物から臓器の一部または臓器の全体を培養することができる。この場合においては、担体および培養システムは、多孔性の適切な調整による誘導構造として、流路設計および二次元または三次元の成形による誘導構造として、しかし特に栄養溶液または培地の使用部位での供給、分配および補充を調整可能とすることによる誘導構造として、ならびに細胞および組織の増殖および分化を支援するかまたは促進することによる誘導構造として、細胞、組織または臓器の成長を物理的な点で支援するかまたは調節する。
【0093】
担体および培養システムとして用いるために、材料および成形体を二次元または三次元で成形することができる。適切なマクロ構造は、たとえばチューブであり、特に上記の成形体の場合に記載したような天然の管、立方体などの生産または培養のためのチューブである。
【0094】
特に、本発明による成形体およびその他の炭素系材料を、天然の臓器、たとえば膝、臀部、肩、指の関節などの軟骨性表面のための担体および培養システムとして用いられることが理解される。これらは、軟骨、骨膜などの形に適するように培養するために用いられる。次いでこれらは、成長した組織と共に移植してもよいし、、従来の方法、たとえば機械的または化学酵素的方法により培養組織を分離し、適切に成長した形態で移植してもよい。
【0095】
炭素系材料および成形体は、それらをインプラント、たとえば人工関節などとして用いることができる良好な機械的特性を有するので、本発明によれば、これらは基材または担体として組織培養に用いることができる。そして軟骨の十分な層が成長した後、それらは患者の体内での適合性が高い生物模倣性のインプラントとして用いることができる。従って、本発明によれば、インプラント上で直接成長した組織であって、患者自身の細胞試料に由来する体そのものの組織でコーティングされた、個々の患者のインプラントを用いることができる。このことによって、拒絶反応および免疫防御反応を抑制または完全に回避することができる。
【0096】
本発明によれば、成形体および材料を、既存のバイオリアクターシステム、たとえば連続制御技術が伴わない受動的なシステム、たとえば組織培養用プレート、組織培養用ボトル、回転ボトルにおける培養のためだけでなく、気体の供給やパラメータ(酸性度、温度)の自動調整が伴った能動的なシステム、すなわち測定技術および制御技術が伴った最も広い意味におけるリアクターシステムにおける培養のための担体および培養システムとして用いることができる。
【0097】
さらに、適切な装置、たとえば栄養溶液および気体の交換による灌流のための継手を与えることによって、本発明による担体および培養システムを、リアクターシステムとして、特に対応する一連のリアクターシステムおよび組織培養において、モジュラー式のやり方で操作することができる。
【0098】
本発明による担体および培養システムを、エクスビボでのリアクターシステム、たとえば体外の支援システムとして、または臓器リアクター、たとえばいわゆる肝臓支援システムもしくは肝臓置換システムとして用いることもできる。あるいはインビボまたはインビトロでのカプセルに包まれた膵島細胞、たとえば人工膵臓として、カプセルに包まれた尿路上皮細胞、たとえば人工腎臓としてなどとして用いることもでき、これらは移植可能なものが好ましい。
【0099】
さらに、本発明による担体および培養システムを、たとえば、プロテオグリカン、コラーゲン、組織型の塩、具体的にはヒドロキシアパタイトなどで、特に前述の生分解性または生体吸収性ポリマーで適切に改変して器官形成を促進することができる。
【0100】
本発明による担体および培養システムを、成長因子、サイトカイン、インターフェロンおよび/または接着因子を含浸および/または吸着させることによってさらに改変することが好ましい。適切な成長因子の例は、PDGF、EGF、TGF−α、FGF、NGF、エリスロポエチン、TGF−β、IGF−IおよびIGF−IIである。適切なサイトカインには、たとえば、IL−1−αおよび−β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13が含まれる。適切なインターフェロンには、たとえば、INF−αおよび−β、INF−γが含まれる。適切な接着因子の例は、フィブロネクチン、ラミニン、ビブロネクチン、フェチュイン、ポリ−D−リジンなどである。
【0101】
本発明による成型体は、特に、担体および培養システムとして、薬剤発見、組織スクリーニング、組織工学などのためのマイクロアレイシステムに適用することもできる。
【0102】
実施例
次の実施例は本発明の原理を示すものであって、本発明を制限することを意図するものではない。
【実施例1】
【0103】
ワインディング法によって、DN25コア、500mmの長さ、300mmの肉厚を有するチューブを形成するために、30mmの幅を有し、フェノール樹脂系GFK樹脂でコーティング/含浸されたグラスファイバー構造のE−CR−ガラス(化学的耐性を有するように改変されたEガラス)を、適切な鋼鉄の心棒に交差するように置き、そして心棒を除去した。熱分解前の重量は3.6g/cmであった。窒素中、800℃で48時間かけて熱分解を行った。熱分解後の重量は3.0g/cmであった。バブルポイント試験(ASTM E1294)を用いて膜特性を測定した。そこでは500オングストロームの孔径が測定された。
【実施例2】
【0104】
30mm幅の、ビニルエステル樹脂系GFK樹脂のC−ガラス(化学的耐性を有するCガラス、不織布)のグラスファイバー不織布を用い、鋼鉄の心棒に交差する方向に置いて、実施例1に明記されたようなワインディング法によりチューブを形成した。熱分解前の重量は3.5g/cm。窒素中、800℃で48時間かけての熱分解。熱分解後の重量は0.9g/cm。バブルポイント試験(ASTM E1294)を用いて膜特性を測定した。0.8ミクロンの孔径が測定された。
【実施例3】
【0105】
30mm幅の、フェノール樹脂系GFK樹脂のポリアクリロニトリル(PAN)不織布(Freudenberg)を用い、鋼鉄の心棒に交差する方向に置いて、実施例1に明記されたようなワインディング法によりチューブを形成した。熱分解前の重量は3.5g/cm。窒素中、800℃で48時間かけての熱分解。熱分解後の重量は1.94g/cm。バブルポイント試験(ASTM E1294)を用いて膜特性を測定した。孔径(気体の突破)は測定範囲内では測定されなかった。それに続く、空気の流通下、400℃で15分間かけての部分酸化によって、バブルポイント試験による平均1.2μmの孔径が得られた。
【実施例4】
【0106】
30mm幅のE−CRガラス(化学的耐性を有するように改変されたEガラス)のグラスファイバー不織布ならびに30mm幅のフェノール樹脂系GFK樹脂のポリアクリロニトリル(PAN)不織布(Freudenberg) (比率は1:1)を用い、鋼鉄の心棒に交差する方向に置いて、実施例1に明記されたようなワインディング法によりチューブを形成した。熱分解前の重量は3.6g/cm。窒素中、800℃で48時間かけての熱分解。熱分解後の重量は2.0g/cm。
【実施例5】
【0107】
30mm幅のE−CRガラス(化学的耐性を有するように改変されたEガラス)グラスファイバー不織布、30mm幅のポリアクリロニトリル(PAN)不織布(Freudenberg) (比率は1:1)、ならびに20%のAerosil R972を含むフェノール樹脂系GFK樹脂を用い、鋼鉄の心棒に交差する方向に置いて、実施例1に明記されたようなワインディング法によりチューブを形成した。熱分解前の重量は3.6g/cm。窒素中、800℃で48時間かけての熱分解。熱分解後の重量は3.0g/cm。
次いで、このAerosilを30%のNaOHのアルカリ溶液を用いて洗浄した。バブルポイント試験(ASTM E1294)を用いて膜特性を測定し、0.6μmの孔径が測定された。
【実施例6】
【0108】
天然繊維で強化した無機フィラーを含む複合ポリマーの、単位面積あたりの重量が100g/m2で、厚さが110ミクロンの炭素系プレートを形成した。市販のエンボス加工機によって、この平坦な複合材料に経路構造を付与した。二枚のシートの一枚を他方の上に重ねて置いた後の経路の径は3mmであった。これらのシートを接着剤で貼り付けてハニカム形状のブロックを形成し、保護用ガス(窒素)中、800℃で48時間かけて炭化した。経路方向の圧力損失は、わずかに0.1bar/mであり、炭化の間の重量損失は66重量%であった。
【0109】
この材料から曲げられたチューブを、8kHzの高周波加熱装置でのカップリングイン試験で、10cmの長さで40mmの直径であって6mmの肉厚に調整した。
【0110】
この電流は、零入力電流とほとんど違いが無いことが示され、そして5分後には、材料の加熱が明らかに見られなくなった。従って、得られた材料は、何らの問題を生じることなく、正確にのこぎりで切断したり、ドリルで穴を開けたり、圧延したりすることなどができる。
【実施例7】
【0111】
細胞培養システムのための担体材料としての応用例として、単位面積あたりの重量が100g/m2であり、厚さが110μmの天然繊維を含むポリマー複合体を、窒素雰囲気下、800℃で48時間かけて炭化した。ここで、空気を端部に向けて供給して、孔を改変した。生じた重量損失は50重量%であった。得られた材料の水中でのpHは7.4であり、弱酸において緩衝領域を有していた。20×40mmであって、それぞれが60μmの厚さと測定されたこの炭素材料の断片を、通常の6穴の組織プレート上に4mLの栄養溶液および1.5mLの細胞懸濁液のそれぞれと共に供給した。この細胞懸濁液は、シガトキシンに対するMABを産生する、非接着性で非粘着性の懸濁液抵抗性の増殖で知られているハイブリドーマFLT2細胞系を含む。
【0112】
対照として、炭素材料を含まないが、それ以外は同じ条件および添加の下で、6穴の組織プレートを用いた。
【0113】
本発明による担体を用いたサンプルから、細胞が定量的に自発的に固定化することが示され、懸濁液の濁りは検出できなかった。7日間のインキュベート時間の範囲内で、細胞密度は1mLあたり1.8×107細胞に7倍に増加した。MABの産生は、タンパク質分解の兆候を伴うこと無く、初期の50μg/mLから、平均的な培養生存時間の350μg/mLにまで増加した。12サンプル中の12が、インキュベートを中断した後25日後もなお生存していた。このことは、細胞密度がより高いにもかかわらず、本発明による担体が接触阻止(contact inhibition)を妨害する結果となることを示す。クリココンサベーションおよび解凍の後でさえ、新鮮な栄養培地を添加した後に、MABの産生が自発的に回復する。
【0114】
比較例においては、6つの培養物のうちのわずかに1つだけが、11日目まで生存した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質炭素系成形体を製造するための方法であって、
次の工程、
−炭化により炭素にすることができる有機ポリマー材料を、非ポリマー性フィラーと混合する工程、
−この混合物から半完成の成形部を形成する工程、
−半完成の成形部を高温非酸化雰囲気で炭化する工程であって、炭素系成形体を得る工程、
−適切な溶媒を用いて、炭化した成形体からフィラーを溶解させる工程、
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
フィラーが、無機金属塩、特にアルカリおよび/またはアルカリ土類の炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ハロゲン化物、硫化物、酸化物およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
フィラーが、有機金属塩、好ましくはアルカリ、アルカリ土類および/または遷移金属の有機金属塩、特にそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フタル酸塩、ステアリン酸塩、石炭酸塩、スルホン酸塩、アミン塩ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水または希釈されたもしくは濃縮された無機酸もしくは有機酸をフィラーの溶解のために用いることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
フィラーの溶解のために有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
用いるフィラーが、炭化工程の間に可溶性の形態に変換される物質から構成されることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
多孔質炭素系成形体を製造するための方法であって、
次の工程、
−炭化により炭素にすることができる有機ポリマー材料を、非ポリマー性フィラーと混合する工程、
−この混合物から半完成の成形部を形成する工程、
−半完成の成形部を高温非酸化雰囲気で炭化する工程であって、ポリマー性フィラーを実質的に完全に分解する工程、
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
ポリマー性フィラーが、飽和の、分岐のまたは非分岐の脂肪族炭化水素のホモポリマーまたはコポリマーから、好ましくはポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテンおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
炭化後に、成形体を酸化剤または還元剤で処理することを特徴とする、請求項7または8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
多孔質炭素系成形体を製造するための方法であって、
次の工程、
−炭化可能な有機ポリマー材料から半完成の成形部を形成する工程、
−半完成の成形部を高温非酸化雰囲気で炭化する工程であって、炭素系成形体を得る工程、
−炭化された成形体を部分酸化して孔を形成する工程、
を特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
酸化性ガス雰囲気中での加熱処理によって部分酸化を行うことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
50℃〜800℃の範囲の温度の空気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物によって部分酸化を行うことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
酸化性酸を用いて部分酸化を行うことを特徴とする方法。
【請求項14】
炭化可能な有機ポリマー材料が、不飽和の、分岐脂肪族炭化水素、分岐もしくは非分岐で、架橋されたもしくは非架橋の芳香族炭化水素または部分芳香族炭化水素、およびそれらの置換誘導体を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
炭化可能な有機ポリマー材料が、ポリブタジエン;ポリビニル、たとえばポリ塩化ビニルまたはポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルシアノアクリレート;ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン;ポリマー、たとえばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、たとえばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;、カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノゲン、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエステル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタレート、ポリリンゴ酸、ポリ酒石酸、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン;ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)、ポリエーテル、たとえばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニック、ポリテトラメチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアセテートフタレート)、アルキド樹脂、塩化ゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、メラミン樹脂、アルキルフェノール樹脂、エポキシ化された芳香族樹脂、タール、タール状材料、タールピッチ、液晶性タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、セラック;ポリアクリロニトリル、セルロースまたはノボラックの繊維;再生可能原料の有機材料ならびにこれらのコポリマー、これらのホモポリマーまたはコポリマーの混合物および組み合わせから選択されることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマー材料が、通常の添加物、たとえばフィラー、柔軟剤、潤滑剤、難燃剤、ガラス、グラスファイバー、炭素繊維、綿、繊維、金属粉末、金属化合物、金属酸化物、ケイ素、酸化ケイ素、ゼオライト、Ti02、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、酸化ジルコニウム、タルク、黒鉛、すす、粘土材料、フィロケイ酸塩を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
注型、押出し成形、加圧成形、射出成形またはその他の通常の成形方法を利用して、半完成の成形部を形成することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
保護用ガスの下で、好ましくは窒素またはアルゴンの下で、必要に応じて減圧下または真空中で、必要に応じて反応性ガス、たとえば水素を添加して、200℃〜4000℃の温度範囲で炭化を実施することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
成形体の表面上でおよび/またはその孔の中で化学気相成長法または物理気相成長法(CVDまたはPVD)、スパッタリング法、イオン注入法または化学気相浸透法(CVI)を利用することによって、炭素、窒素、ケイ素および/または金属を分離する工程をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
成形体の孔が完全にまたは部分的に密閉されていることを特徴とする方法。
【請求項21】
先行請求項の一つに記載の方法によって製造することができる、多孔質成形体。
【請求項22】
チューブ、円形の棒、プレート、ブロック、直方体、立方体、射出成形体、ハニカム構造、刻み込まれた、折りたたまれた、曲げられた、巻き込まれた、経路構造を伴う二次元または三次元構造、中実のまたは中空の球体、フランジ、シール、筺体などの形状である、請求項21に記載の成形体。
【請求項23】
天然ゴムまたは合成ゴムのホース、セルロース、エポキシ樹脂化合物またはプラスチックを含み、必要に応じて繊維または繊維質の挿入物で強化されてもよい、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法を用いて製造することができるチューブ。
【請求項24】
請求項23に記載のチューブであって、
合成樹脂が含浸した織布をホースとして用いることを特徴とするチューブ。
【請求項25】
請求項23に記載のチューブであって、
積層ホースが炭化されていることを特徴とするチューブ。
【請求項26】
請求項25に記載のチューブであって、
積層ホースが、発泡プラスチックの内層および非発泡プラスチックの外層を含むことを特徴とするチューブ。
【請求項27】
積層ホースが同時押し出しブロー成形によって得られたことを特徴とする、請求項25または26のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項28】
請求項1から22のいずれか一項に従って製造することができる、触媒用担体。
【請求項29】
請求項1から22のいずれか一項に従って製造することができる、断熱材。
【請求項30】
蒸留、浸透気化、反応生成物の回収および/または再利用、および/またはこの目的に適する装置による抽出のためのチューブバンドルリアクター、熱交換器でのチューブ状の膜としての、請求項23から27のいずれか一項に記載のチューブの使用。
【請求項31】
初代細胞の培養物を培養するための担体および/または培養システムとしての、請求項21または22に記載の成形体の使用。
【請求項32】
細胞培養物が、真核組織、たとえば骨、軟骨、肝臓、腎臓、膵臓、神経など、および異種の、異質遺伝子型の、同質遺伝子型のまたは自系の細胞および細胞型、ならびに遺伝子操作された細胞系から選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
成形体を、二次元または三次元での組織の成長のための誘導構造として、特に臓器または臓器の一部を培養するための誘導構造として用いる、請求項31または32に記載の使用。
【請求項34】
担体および/または培養システムを、エクスビボでリアクターシステムとして用いることを特徴とする、請求項31から33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
担体および/または培養システムを、インビボでインプラントとして用いることを特徴とする、請求項31から33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
担体および/または培養システムが、プロテオグリカン、コラーゲン、組織型の塩または生分解性もしくは生体吸収性ポリマーで改変されていることを特徴とする、請求項31から35のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2007−500663(P2007−500663A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521397(P2006−521397)
【出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000077
【国際公開番号】WO2005/021462
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505257349)ブルー メンブレーンス ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】