多孔質生体適合性ポリマー材料および方法
記載された実施形態は、多孔質ポリマー材料を形成するためのデバイスおよび方法を含む。開示され、記載された方法を用いて形成されるデバイスは、脊椎固定術用のスペーサ、頭蓋顎顔面(CMF)構造、および組織インプラント用の他の構造を含む。本発明の構造および方法は、多孔質ポリマー材料および多孔質ポリマー材料および構造を作製する方法に関する。構造の例としては、脊髄固定用のスペーサ、頭蓋顎顔面(CMF)構造、骨の置換のための他の材料および構造が含まれるがこれらに限定されない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明の構造および方法は、多孔質ポリマー材料および多孔質ポリマー材料および構造を作製する方法に関する。構造の例としては、脊髄固定用のスペーサ、頭蓋顎顔面(craniomaxillofacial:CMF)構造、骨の置換のための他の材料および構造が含まれるがこれらに限定されない。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2008年2月1日に出願された米国仮特許出願第61/025,426号の利益を主張し、この出願の内容は、本明細書中にその全体を参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
脊椎固定術は、椎間板変性または椎間板(disk)ヘルニアが原因で起こる慢性背部痛を処置するために用いられる一般的な技術である。この技術は2つの椎骨間の椎間板を切除すること、およびそれを椎間スペーサに置換することを含む。椎間スペーサは2つの椎骨間の間隙を保持し、好ましくは結果としてスペーサを通して癒合を生じさせる。椎間スペーサは、患者自身の骨から採取した自家骨組織で構築されることもある。同種異系のスペーサは、ドナーから採取した骨で構築される。人工のスペーサは現在最も一般的なタイプのスペーサであり、チタンもしくはステンレス鋼などの金属材料、またはポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone:PEEK)などのポリマーで構築されることもある。
【0004】
PEEKは生体適合性があり、放射線透過性の特徴を本来備えているのでX線およびCT撮像を妨害することが少ない。このため最近普及してきている。しかしPEEKに生体適合性があるとはいえ、骨は改築プロセス中にPEEKを異物とみなし、線維組織被膜をつけて孤立させる。この線維組織はインプラントへの直接的な骨の付加および接着を阻止する。チタンなどの他の材料では直接的な骨の付加およびオングロース(ongrowth)が可能であるが、これらは一般的に放射線透過性がなく、癒合形成を評価することが困難になる。
【0005】
PEEKが整形外科用生体材料として用いられる他の領域でも類似の線維性被包が発生する。この徴候は、頭蓋骨内および頭蓋内の欠損を埋めるために用いられる特注加工体などにもある。PEEKを用いると、MRIおよびCT撮像はチタンと比較して概して容易であるが、インプラントが骨の中に十分に取り込まれることはなく、軟部組織はインプラントに接着しない。
【0006】
リン酸カルシウム、β−TCP、ヒドロキシアパタイトおよび同類のものなどのセラミック材料は、チタンと同様に直接的な骨の付加を可能にする。しかしこれらは一般的にその強度および靱性において制限がある。したがって、靱性および強度があること、MRI、X線またはCT撮像を妨害する度合いが少ないこと、組織に接着することなど、上記の他の個々の材料の所望される特性をより多く組み合わせた材料を構築することは望ましいことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の要約、および以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な記述は、添付の図面と併せて読むとより深く理解されるであろう。本願のイングロース(ingrowth)/スルーグロース(throughgrowth)を促進するポリマーの多孔質体を説明する目的で、図面中に好ましい実施形態が示されている。しかし当然のことながら、本願は、示された手順および手段そのものに限定されるものではない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態による多孔質生体適合性材料の上面図を示す。
【図1B】図1Bは、従来技術による多孔質生体適合性材料の上面図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態による、表面にβ−TCPを有するPEEK顆粒の頂面図を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態による、貫通穴を有する多孔質スペーサの上面斜視図を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態による固体のコアを有するスペーサの正面図を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態による固体のコアを有するスペーサの正面断面斜視図を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の実施形態による固体のコアを有するスペーサの正面分解図を示す。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態による固体のバンドを有するスペーサの正面図を示す。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態による固体のバンドを有するスペーサの正面斜視断面図を示す。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態による固体のバンドを有するスペーサの正面斜視分解図を示す。
【図6A】図6Aは、本発明の実施形態による固体部分を有する別のスペーサの上面斜視図を示す。
【図6B】図6Bは、本発明の実施形態による固体部分を有する別のスペーサの正面斜視図を示す。
【図6C】図6Cは、本発明の実施形態による固体部分を有する別のスペーサの上面斜視分解図を示す。
【図7A】図7Aは、本発明の実施形態による別のスペーサの正面斜視断面図を示す。
【図7B】図7Bは、本発明の実施形態による別のスペーサの側面斜視分解図を示す。
【図7C】図7Cは、本発明の実施形態による別のスペーサの正面斜視図を示す。
【図8】図8は、本発明の実施形態による椎間板関節形成用の総椎間板置換インプラントの正面斜視図を示す。
【図9A】図9Aは、本発明の実施形態によるスペーサおよび固定板の正面斜視図を示す。
【図9B】図9Bは、本発明の実施形態によるスペーサおよび固定板の頂面図を示す。
【図9C】図9Cは、本発明の実施形態によるスペーサおよび固定板の側面斜視図を示す。
【図10】図10は、本発明の実施形態による器具係合部材(feature)を含むスペーサの側面斜視図および側面斜視断面図を示す。
【図11】図11は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図13】図13は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図14】図14は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図15】図15は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図16】図16は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図17】図17は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図18】図18は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図19】図19は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図20】図20は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図21】図21は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む頸椎スペーサの斜視図を示す。
【図22】図22は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の頸椎スペーサの斜視図を示す。
【図23】図23は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の頸椎スペーサの斜視図を示す。
【図24】図24は、本発明の実施形態による多孔質腰部スペーサの正面斜視図を示す。
【図25A】図25Aは、本発明の実施形態による多孔質スペーサの側面図を示す。
【図25B】図25Bは、本発明の実施形態による多孔質スペーサの頂面図を示す。
【図26】図26は、図24のスペーサの圧縮強度と多孔度との関係を示すグラフを図示する。
【図27】図27は、図25A〜25Bのスペーサの圧縮強度の関係を示すグラフを図示する。
【図28A】図28Aは、本発明の実施形態による固体のコアを備えたサンプル構造の正面斜視図を示す。
【図28B】図28Bは、本発明の実施形態による固体のコアを備えたサンプル構造の正面斜視図を示す。
【図29】図29は、本発明の実施形態による種々の構造の圧縮弾性率(剛性)の差異を示すグラフを図示する。
【図30】図30は、本発明の実施形態による種々の構造の極限圧縮強度を示すグラフを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本特許出願には多数の実施形態が記載され、これらは説明する目的でのみ提示される。記載される実施形態は決して限定するものではなく、限定することを意図するものでもない。ここに開示される発明(類)は、本開示から容易にわかるように、多数の実施形態に広く適用可能である。開示される発明(類)は、構造的な変更形態および化学的な変更形態などの種々の変更形態および変形形態で実施されてもよいことを、当業者は認めるであろう。開示される発明(類)の特定の特色が1つまたは複数の特定の実施形態および/または図面との関連で記載されることがあるが、当然のことながらこのような特色は、特に明確に規定しない限り、その記載に関連している1つまたは複数の特定の実施形態または図面の中での使用に限定されない。
【0010】
本開示は全ての実施形態を逐語的に記載するものではなく、全ての実施形態に存在するに違いない本発明の特色を列挙するものでもない。
【0011】
本発明の名称(本特許出願の第1ページの冒頭に記載)も、要約書(本特許出願の最後に記載)も、開示される発明(類)の範囲を限定するものとは決してみなされるべきではない。
【0012】
図1および図2に関しては、400℃の炉に5分間置いたPEEK/β−TCP、すなわちリン酸三カルシウムの混合物と、PEEKのみの材料との間の最終構造の差異が図示されている。具体的には、図1は以下にさらに詳細に記載される実施形態による多孔質スペーサを構築するために利用することができるPEEK顆粒を示す。第1の好ましい実施形態の顆粒は、サイズが0.5〜1.0mmの範囲内の粒子を有し、TCPを備え、400℃で5分間処置したPEEK/ベータ−TCPの混合物を含む。
【0013】
本明細書に記載される発明の主題は、脊椎固定術用のスペーサおよび整形外科用デバイスにおける組織のイングロース表面などのデバイスを製造するために用いられる多孔質体の複合物、または部分的に多孔質体である複合物、ならびに多孔質体を作製および使用するための方法に関する。
【0014】
1つの実施形態において、脊椎固定術に使用できる多孔質椎間スペーサを作製するための方法が示される。本明細書に記載される多孔質椎間スペーサは部分的にまたは全体的に複合物で作製された本体を含む。選択された実施形態では、本体はポリエーテルエーテルケトン、粒子、およびPEEK粒子の少なくとも一部分を覆うベータリン酸三カルシウム(beta tricalcium phosphate:β−TCP)の表面被覆を含む。PEEKは1つの例の中で用いられるポリマーであるが、本発明はそれに限定されない。他の実施形態では、PEEK以外の、もしくはPEEKに加えて種々の熱可塑性材料、またはポリマーの組み合わせを利用する。
【0015】
多孔質スペーサの実施形態は、初期安定性を提供し、結果として下椎骨および上椎骨からの骨のイングロースを可能にする。良好な血管新生および骨のイングロースを得るために、多孔質スペーサの孔構造は概して相互に繋がっている。1つの例において、水銀ポロシメータを用いて計測した孔の平均サイズ、は好ましくは100〜500μmの範囲内である。100〜500μmの範囲は、限定することを意図するものではなく、少なくとも一部の孔はこの範囲外であってもよい。哺乳類の組織のイングロースを可能にするために、孔は、ほぼ5〜10μmである赤血球の通過を最小限必要とする血管網の形成を可能にするために十分大きくなくてはならないと一般的には理解されているため、このことによって、孔の少なくとも一部について望ましい下限サイズが決定される。したがって孔のより広い範囲としては5〜5000μmであってもよい。
【0016】
1つの実施形態において、本開示に記載される技術を用いて形成された多孔質体は、患者の骨髄および/または血液でさらに灌流される。これらの自家生物活性物質を用いることによって、細胞源と、多孔質構造の中および表面に骨および組織の形成を促進することができる成長因子とを提供することができ、前駆細胞が望ましい道(すなわち幹細胞が骨を形成する骨芽細胞)へと分化するのを助けることもできる。1つの実施形態では、多孔質体には同種異系の生物学的物質が注入され、類似の効果を得る。選択された実施形態では、BMP II、BMP VIIおよびPDGFを含むがこれらに限定されない成長因子などの生物活性物質が注入される。骨または組織の形成を刺激する人工的な小分子がいくつかの実施形態中に含まれる。このような小分子はスタチンを含むがこれに限定されない。個々の添加物質が上述されているが、物質の組み合わせも本発明の範囲内である。
【0017】
いくつかの実施形態では、多孔質構造は、これらの生物活性物質を維持するように、さらに、長期間に亘ってこれらを放出したり、その放出位置および活性を指定したりするように変更が加えられる。いくつかの実施形態では、多孔質構造は、活性物質を保持してその後所望の期間に亘って放出する物質で被覆される。このような被覆に用いられる材料は、PLAおよびPGAなどの脂肪族ポリエステルといった加水分解的に分解する材料と、PEGおよびCMCなどのヒドロゲルとを含むがこれらに限定されない。または、いくつかの実施形態では、多孔質構造の表面または処置が望ましい放出動態を提供する。このような表面構造は微多孔質と表面の湿潤性の変更とを含む。
【0018】
他の実施形態では、本発明の多孔質体の中に加えられたり挿入されたりする別のキャリアに生物活性物質が加えられる。1つの実施形態では、別のキャリアは多孔質体の中に予め挿入される。1つの実施形態では、多孔質体は、少なくとも部分的に多孔度を減らした領域を有するように変更を加えられ、特定の方向に生物活性物質が放出されるのを減らしたり阻止したりする。1つの例では、非多孔質ポリマーまたは他の材料でできた薄い外殻が多孔コア上に取り付けられ、生物活性物質が放射状の方向に放出されるのを阻止する。このような形態の利点は、BMP IIなどの成長因子が放射状の方向に放出されると好ましくない組織成長につながる可能性のある頸椎固定術で実現される。選択された実施形態では、非多孔質材料は、方向性制御放出が時間依存的になるように、吸収性のある材料で作製される。
【0019】
1つの例示的な方法では、特定の粒子サイズの範囲を有するポリマー粒子はベータリン酸三カルシウム(β−TCP)と混合され、ポリマー顆粒と被覆粉末との混合物を形成する。1つの実施形態では、この混合によって、ポリマー粒子の表面上にβ−TCPの少なくとも部分的な被覆を提供する。ポリマーを被覆するために使用可能な別の材料は、カルシウム粉末、骨粉、ヒドロイアパタイト(hydroyapatite)、チタン(チタン合金類および酸化チタン類を含む)、バリウム塩類、および酸化ジルコニウムを含むがこれらに限定されない。混合物はポリマーの融点を超える温度で1つまたは複数の型に入れられ、融解したポリマー粒子の接触点で結合を形成するのに十分な時間保持される。
【0020】
選択された実施形態では、ポリマーの表面の粉末被膜はその後除去され、微多孔質の表面構造が得られる。この微孔は粉末被膜粒子によって予め占められていた体積分から得られたものである。この微多孔質構造の効果的な孔のサイズは0.1および100ミクロンの範囲内である。
【0021】
1つの例では、β−TCP粉末は融解温度を超えたポリマー材料の流動を抑制したり、減速させたりし、いくつかの実施形態では阻止し、ポリマー粒子を数珠繋ぎにする。最終生成物は、型の形状をほぼ再現した特定の形状を有する連続性のある多孔質材料である。ポリマー材料の例としては、PEEK、カーボン強化PEEK、PEKK、PAEKファミリ、PEK PEKK、PEKEKK、PCL、PLA、PGA、ポリフェニレン、
自己強化ポリフェニレン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、PET、ポリエチレン、ポリウレタン、または他の生体適合性ポリマーを含むがこれらに限定されない。
【0022】
いくつかの実施形態では、追加の材料が多孔質体の中に組み込まれる。1つの実施形態では、ポリマー粒子が強化構造の全体に亘って融着される。この強化構造は、チタンおよびステンレス鋼を含む任意の公知の生体適合性材料またはポリマーそれ自体で作製することができ、多孔質体にさらなる機械的強度を与えることができる。別の実施形態では、放射線不透過性材料が組み込まれて選択的な放射線不透過領域を与え、本体の位置をX線またはCTで可視化することができる。これらの放射線不透過性材料は、生体適合性金属(たとえば、窒化チタンアルミニウム(titanium aluminum nitride:TAN)、チタンアルミニウムバナジウム(titanium aluminum vanadium:TAV)、タンタル、金、バリウム、チタン、ステンレス鋼)、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、および放射線不透過性色素を含むがこれらに限定されない。他の実施形態では、放射線不透過性材料は多孔質構造を機械的に強化するために用いられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、多孔質構造は選択的な領域で選択的に圧縮され、機械的強度が増加する。この圧縮は熱およびおよびまたは圧力の組み合わせによって実現される。この熱および圧力を生成する方法は、超音波、高周波加熱、誘導加熱、レーザ、または直接加熱を含むがこれらに限定されない。これらの強化領域は、器具または構造的なリブと係合するための部材を形成することができる。
【0024】
例示的な実施形態
多孔質PEEKの方法
1つのプロセス実施形態は多孔質椎間腔を作り出す。このプロセス実施形態はポリマーを粒子の形態で用いることを含む。粒子サイズは0.25〜1.0mmの範囲内である。この範囲は限定することを意図するものではなく、他の粒子サイズを用いることもできる。粒子は90%のポリマー10%のβ−TCPの割合でβ−TCPと混合される。β−TCPの粒子サイズは0.01〜0.lmmの範囲内である。粒子は容器の中に入れられ、完全に混合される。この混合は標準的な実験室用ボルテックスシェイカを用いて実施することができる。振盪することによって、小さめのβ−TCP粒子が少なくとも部分的にポリマー粒子の表面を覆うことが可能になる。メッシュサイズがβ−TCP粒子サイズよりは大きいがポリマー粒子サイズよりは小さい篩を用いて過剰なβ−TCP粒子を除去する。得られた粉末の混合物は、β−TCPで被覆されたポリマー粒子を含む。β−TCPを用いる目的は、ポリマー粒子が融点超で加熱されたとき、自由に流動するのを阻止することである。β−TCPが存在することによって、ポリマーの融解点で、またはそれを超えると粒子が数珠繋ぎになり、流動が阻止される。このことは、間隙空間を保持しながらポリマー粒子間の強力な結合を可能にする。冷却されると、最終材料はβ−TCP被覆を有する相互に繋がった多孔質ポリマーになる。得られた材料は、骨がイングロースするために相互に繋がった多孔質構造と、より望ましい骨伝導が得られるようにカルシウムが豊富な表面を生成するβ−TCP被覆とを有する。
【0025】
上述したように、選択的な実施形態では、β−TCPまたは他の被覆粉末はその後、酸浸出、選択的な溶媒プロセス、または別の粉末除去プロセスによって孔内の露出面から除去される。この場合において、表面はカルシウムが乏しくなるが、湿潤性および細胞付着の観点からすると有利とすることができる微多孔質の構造を有する。
【0026】
図1Aおよび1Bには、400℃の炉に5分間置いたPEEK/β−TCP混合物とPEEKのみの材料との間の最終構造の差異が図示されている。図1Aは、表面にβ−TCPを備え、上記の方法を用いて形成された、相互に繋がったサンプルを図示している。粒子サイズおよび型の中の混合した粒子の量が多孔度を決定する。型の最終形状が最終的な多孔質構成要素のサイズおよび形状を決定する。
【0027】
図1Bは、同じ温度および時間で、β−TCPなどの被覆粒子を用いなかった場合に崩壊したPEEK粒子の構造を図示する。図面からわかるように、混合物を融解する前にβ−TCPなどの被覆粒子が含まれると、間隙空間がより大幅に保存される。本明細書に記載されたプロセス実施形態を用いると、標準的な焼結方法に比べて、より短いプロセス時間でより強力な結合が可能になる。焼結は材料を融解点未満で加熱することがあるため、粒子間の結合は、融点超に粒子を加熱することによって結合された材料ほど強力ではない。
【0028】
図2は、融解する前に90重量%のPEEKおよび10重量%のβ−TCPを混合することによってβ−TCP粉末で被覆したPEEKポリマー粒子を図示する。混合物を250μmの篩にかけて過剰なβ−TCP粉末を除去した。得られた粉末は、図2に示すように、β−TCP粉末で覆われたPEEK顆粒からなるものであった。
【0029】
上記の例示的な実施形態にβ−TCP粉末で被覆されたPEEKポリマーが記載されているが、本発明はそれに限定されない。他の力粒子で被覆された他のポリマーも本発明の範囲内である。当業者は、本開示の利点をもってすれば、他のポリマーおよび他の被覆粉末を用いて、別の材料を用いた多孔質ポリマー構造を形成するために加熱温度および時間などの他のプロセス条件を調整することができることを理解するであろう。
【0030】
一体式の多孔質構造
多孔質PEEK構造の1つの実施形態は、図3、11、および12A〜12Bに示すように、全面的に多孔質PEEKで作製された椎間体癒合(interverbral body fusion)用のプロテーゼである。プロテーゼは、端板の被覆を最適化するために、外側の形状を多様に形成することを前提とすることができる。上面および下面は、椎間腔内でのデバイスの初期安定性を高めるために、型で成型された錐体状のまたは一方向性の歯または隆起を備えてもよい。いくつかの実施形態では、その1つが図3のスペーサ30のようになっているが、固い骨のスルーグロース(through growth)を可能にする1つまたは複数の軸方向の穴32が画定されている。1つの実施形態では、スペーサ30の側面34内に水平方向の窓がさらに設けられ、放射線写真または他の好適な技術による癒合の評価を向上させる。図3には一体式の多孔質構造の例として、ほぼ円筒形の形状が示されているが、固体円柱、足場の形状、特別に適合する複合的な成型形状など、他の一体式の多孔質の形状も本発明の範囲内である。
【0031】
固体のコア
図4A、4Bおよび4Cは、椎間体癒合(intervertebral body fusion)用のインプラント40を図示する。インプラント40は、多孔質端版44に熱結合した固体のPEEKコア42で構築される。このインプラント実施形態40は、骨のイングロースおよび初期安定性の利点を保持しながら、インプラントの軸方向の極限圧縮強度を高めるのに役立つ。
【0032】
図5A、5Bおよび5Cは、多孔質PEEK本体52、および本体52の周囲に環状に配置された固体のバンド54を含むインプラント実施形態50を図示する。
【0033】
固体のインプラントホルダ
従来の椎間体デバイスの移植の間は、外科医がインプラントを正確に制御し続けることが望ましい。このような制御の1つの重要な部分は、インプラントをしっかりと掴むことによって実現される。掴んで離すステップにとっては、スペーサの導入形状が増大せず、他の点で何ら大幅に変更されないことが望ましい。
【0034】
図6A、6Bおよび6Cでは、多孔質構成要素66に機械的に接続したインプラント実施形態60の固体部分64に、インプラントの保持部材62が組み込まれている。機械的接続の例は、対応するスロット内に嵌合するタブ63を含む。タブ63が示されているが、他の締まりばめ形状、差し込み式締め具(bayonette fasteners)などの他の機械的接続の形態。図6A、6Bおよび6Cの実施形態はインプラントの1つの側面68の下面から上面に及ぶ固体部分64を示す。これを配置すれば軸方向の最大負荷を支えることができ、多孔質構成要素66を強化することによってインプラントの剪断強度を高めることができる。
【0035】
この実施形態の提示において、保持部材62は1対のスロットを含む。1つの実施形態では、スロット62などの1対のスロットは、正確な制御を提供するために外科医の道具に繋がるように構成される。シングルスロット、突起型部材などの他の複数の可能な保持部材の形態は本発明の範囲内であることを当業者は理解するであろう。
【0036】
図7A、7Bおよび7Cは、別の保持部材72の例を図示する。図7A〜Cの例において、保持部材72はインプラント70の固体のコア74内に組み込まれる。上記の実施形態と同様に、インプラント70は、保持部材72を含む固体部分74と、上記の実施形態に記載された方法を用いて形成された多孔質ポリマー部分76とからなる。
【0037】
図10は多孔質体106に結合された固体部分104の外側の形状内に組み込まれたインプラントホルダ部材102を含む別の例示的な実施形態100を図示する。複数の例からわかるように、インプラントおよび保持部材用に可能な形態が数多く考えられる。
【0038】
椎間板関節形成用のデバイス上の多孔質端板部材
図8は、80において椎間板関節形成用の椎間プロテーゼの1つの実施形態を図示し、これは水平方向の挿入スロット86を有し、固体のPEEK84に熱結合した多孔質PEEK端板82を含む。
【0039】
複数の構成要素の構造物
図9A、9Bおよび9Cは、組み込み式の固定を伴う椎間スペーサ90の1つの実施形態を図示し、固体のPEEKコア94に熱結合し、金属板96に機械的に接続した多孔質PEEK端板92を示す。中央のディストラクタースロット(distractor slot)が挿入を助ける。
【0040】
脊椎スペーサの例示的形態
図11〜20は、本開示に記載された方法を用いて形成された多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む腰椎スペーサの複数の例示的形態を図示する。複数の例が示されているが、本発明はそれに限定されない。各例においては、説明したようにスペーサの全体が多孔質ポリマー材料で形成される場合もあり、説明したようにスペーサの一部のみが多孔質ポリマー材料で形成される場合もある。本明細書に記載したように、他の材料形態は、多孔質部分に結合した、機械的に繋いだ、または他の仕方で合わされた固体部分を含む。固体部分の例としては、多孔質ポリマー部分に合わされた固体のコア、固体のバンド、固体の膜などを含む。
【0041】
図21〜23は、本開示に記載した方法を用いて形成した多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む頸椎スペーサの複数の例示的形態を図示する。腰部スペーサの説明と同様に、多孔質ポリマー材料を利用した複数の形態は本発明の範囲内である。上記の固体材料の部分を利用した形態も含まれる。
【0042】
図11は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ110を示す。図12は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ120を示す。図13は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ130を示す。図14は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ140を示す。図15は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ150を示す。図16は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ160を示す。図17は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ170を示す。
【0043】
図18は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む、複数の構成要素のスペーサ180を示す。第1の部分182、第2の部分184および第3の部分186がともに合わさっていることが示されている。提示された実施形態において、各部分は、機械的アタッチメント188を用いて合わされている。1つの例では、機械的アタッチメントは図に示したように蟻継ぎ形態を含む。蟻継ぎは容易で効果的な機械的アタッチメントであるが、本発明はそれに限定されない。機械的アタッチメント188の他の形状も本発明の範囲内である。
【0044】
図19は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ190を示す。図20は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ200を示す。図21は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ210を示す。図22は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ220を示す。
【0045】
図23は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む、複数の構成要素のスペーサ230を示す。第1の部分234、および第2の部分236が機械的アタッチメント236を用いてともに合わされていることが示されている。上記のスペーサ180と同様に、1つの例では、機械的アタッチメント236は蟻継ぎ具または類似の機械的アタッチメントを含む。
【0046】
追加の表面の調製
本開示に記載された実施形態は、所望の最終特性によって、種々の仕上げプロセスを含むことができる。1つの追加の表面処置は、イオン化酸素または他のガスによるプラズマ処理を用いることを含む。選択された実施形態では、このようなプラズマ処理は表面の化学的性質を変化させ、湿潤性を高める。別の表面処置は、インプラントの表面の骨伝導能を高めるためのヒドロキシルアパタイト(Hydroxylapatite:HA)の被覆を含む。別の表面処置は、インプラントの表面の骨伝導能を高めるためのリン酸カルシウム被覆を含む。別の表面処置は、骨のオングロースのために望ましい表面を提供するための窒化チタン被覆を含む。骨のオングロースのために望ましい表面を提供するための他の表面処置は、物理蒸着、化学蒸着などの複数のプロセスのいずれかによって加えられた、チタンもしくは他の生体適合性金属の被覆、または酸化被覆を含む。
【0047】
別の設計の実施形態
さらなる実施形態は、さらに大きくばらばらになったβ−TCP、チタンまたは他の骨伝導性のある粒子を被覆粉末の混合物に組み入れることを含む。これらの大きめの骨伝導性のある粒子は、熱可塑性材料とほぼ同じサイズである。選択された実施形態では、ばらばらになった骨伝導性のある粒子は、β−TCP粉末で既に被覆された多孔質材料の骨伝導特性を高める。骨伝導性のある粒子の供給源は、Synthesが製造するCronOS(商標)を含む。
【0048】
別の用途
上で述べたように、多孔質材料の他の使用は脊椎スペーサ以外に、組織のイングロースのための足場用途を含む。上記の実施形態に記載したように多孔質材料は、生理学的な機械的応力下で解剖学的位置に骨のイングロースが所望される複数の用途において、骨空隙充填剤(bone void filler)としてさらに使用可能である。脊椎スペーサ以外の用途の例は、頭蓋の、または頭蓋顔面の欠損の修復に用いるのに好適なインプラントの少なくとも一部を製造することを含む。
【0049】
上記の脊椎スペーサの各例に記載された用途以外の用途については、多孔質ポリマーの弾性率、剪断強度などの機械的特性に変更を加えることが望ましい場合がある。ポリマーおよび/または被覆粉末に変更を加えると、所望に応じた種々の機械的特性が得られる。選択された実施形態では、多孔質ポリマーの構造特性は軟部組織のイングロースに好適であるように変更が加えられる。
【0050】
別の材料/被覆材
本発明のスペーサのいくつかの実施形態の本体またはその部分は、PEEKポリマーまたは他のポリマーで形成される。種々のポリマーの選択肢に加えて、β−TCP以外の被覆粉末の材料が選択可能である。硫酸バリウム(BaSO4)または炭酸ストロンチウム(SrCO3)などの別の粉末は、融解点超で加熱する間、ポリマー上にβ−TCPと同様の効果を有する。
【0051】
機械的試験
図24および25A〜25Bに関しては、上記のPEEK/β−TCP粉末を型に入れることによって多孔質PEEKスペーサを作り出した。型の中に入れた粉末混合物の量によって最終構造の多孔度が決まった。粒子サイズの範囲によって孔のサイズが決まった。種々の表面積および高さを有する2つのタイプのサンプルを作製して、業界で公知のスペーサと同じ形状のスペーサを形成した。最終サンプルを圧縮強度について試験した。図26は図24のスペーサの圧縮強度と多孔度との関係を示すグラフを図示し、図27は40パーセントの多孔度を有する図25A〜25Bのスペーサの圧縮強度とスペーサの高さとの関係を示すグラフを図示する。
【0052】
図28A〜28Bに関しては、完全的に多孔質であるサンプルとは対照的に、固体のPEEKの円筒を2つの多孔質PEEKのエンドキャップ間に挟んだ複合物のサンプルを作製した。固体のコアは複合物の圧縮強度をより高め、多孔質のエンドキャップは上椎骨および下椎骨からの骨のイングロースを可能にする。図29は、多孔質PEEKで全体的に形成されたスペーサ、固体のPEEKスペーサで形成され、多孔質PEEKの端板を有するスペーサ(たとえば図28A〜28Bに図示されたスペーサ)、固体のPEEKで全体的に形成されたスペーサ、および海綿質骨で全体的に形成されたスペーサの圧縮弾性率(剛性)の差異を示すグラフである。図30は、多孔質PEEKで全体的に形成されたスペーサ、固体のPEEKで形成され、多孔質PEEKの端板を有するスペーサ(たとえば図28A〜28Bに図示されたスペーサ)、および固体のPEEKで全体的に形成されたスペーサの極限圧縮強度を示すグラフを図示する。
【0053】
本発明の複数の実施形態が記載されているが、上記の例は網羅的であることを意図するものではない。上記の本発明の特定の実施形態の記述は、説明の目的で詳細に記載されてきた。この記述および説明を考慮すると、当業者は現在の知識を適用することによって、本発明の基本概念から逸脱することなく種々の用途のために本発明を容易に変更および/または改造することができる。したがって、そのような変更形態および/または改造形態は添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内であると意図するものである。
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明の構造および方法は、多孔質ポリマー材料および多孔質ポリマー材料および構造を作製する方法に関する。構造の例としては、脊髄固定用のスペーサ、頭蓋顎顔面(craniomaxillofacial:CMF)構造、骨の置換のための他の材料および構造が含まれるがこれらに限定されない。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2008年2月1日に出願された米国仮特許出願第61/025,426号の利益を主張し、この出願の内容は、本明細書中にその全体を参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
脊椎固定術は、椎間板変性または椎間板(disk)ヘルニアが原因で起こる慢性背部痛を処置するために用いられる一般的な技術である。この技術は2つの椎骨間の椎間板を切除すること、およびそれを椎間スペーサに置換することを含む。椎間スペーサは2つの椎骨間の間隙を保持し、好ましくは結果としてスペーサを通して癒合を生じさせる。椎間スペーサは、患者自身の骨から採取した自家骨組織で構築されることもある。同種異系のスペーサは、ドナーから採取した骨で構築される。人工のスペーサは現在最も一般的なタイプのスペーサであり、チタンもしくはステンレス鋼などの金属材料、またはポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone:PEEK)などのポリマーで構築されることもある。
【0004】
PEEKは生体適合性があり、放射線透過性の特徴を本来備えているのでX線およびCT撮像を妨害することが少ない。このため最近普及してきている。しかしPEEKに生体適合性があるとはいえ、骨は改築プロセス中にPEEKを異物とみなし、線維組織被膜をつけて孤立させる。この線維組織はインプラントへの直接的な骨の付加および接着を阻止する。チタンなどの他の材料では直接的な骨の付加およびオングロース(ongrowth)が可能であるが、これらは一般的に放射線透過性がなく、癒合形成を評価することが困難になる。
【0005】
PEEKが整形外科用生体材料として用いられる他の領域でも類似の線維性被包が発生する。この徴候は、頭蓋骨内および頭蓋内の欠損を埋めるために用いられる特注加工体などにもある。PEEKを用いると、MRIおよびCT撮像はチタンと比較して概して容易であるが、インプラントが骨の中に十分に取り込まれることはなく、軟部組織はインプラントに接着しない。
【0006】
リン酸カルシウム、β−TCP、ヒドロキシアパタイトおよび同類のものなどのセラミック材料は、チタンと同様に直接的な骨の付加を可能にする。しかしこれらは一般的にその強度および靱性において制限がある。したがって、靱性および強度があること、MRI、X線またはCT撮像を妨害する度合いが少ないこと、組織に接着することなど、上記の他の個々の材料の所望される特性をより多く組み合わせた材料を構築することは望ましいことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の要約、および以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な記述は、添付の図面と併せて読むとより深く理解されるであろう。本願のイングロース(ingrowth)/スルーグロース(throughgrowth)を促進するポリマーの多孔質体を説明する目的で、図面中に好ましい実施形態が示されている。しかし当然のことながら、本願は、示された手順および手段そのものに限定されるものではない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態による多孔質生体適合性材料の上面図を示す。
【図1B】図1Bは、従来技術による多孔質生体適合性材料の上面図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態による、表面にβ−TCPを有するPEEK顆粒の頂面図を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態による、貫通穴を有する多孔質スペーサの上面斜視図を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態による固体のコアを有するスペーサの正面図を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態による固体のコアを有するスペーサの正面断面斜視図を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の実施形態による固体のコアを有するスペーサの正面分解図を示す。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態による固体のバンドを有するスペーサの正面図を示す。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態による固体のバンドを有するスペーサの正面斜視断面図を示す。
【図5C】図5Cは、本発明の実施形態による固体のバンドを有するスペーサの正面斜視分解図を示す。
【図6A】図6Aは、本発明の実施形態による固体部分を有する別のスペーサの上面斜視図を示す。
【図6B】図6Bは、本発明の実施形態による固体部分を有する別のスペーサの正面斜視図を示す。
【図6C】図6Cは、本発明の実施形態による固体部分を有する別のスペーサの上面斜視分解図を示す。
【図7A】図7Aは、本発明の実施形態による別のスペーサの正面斜視断面図を示す。
【図7B】図7Bは、本発明の実施形態による別のスペーサの側面斜視分解図を示す。
【図7C】図7Cは、本発明の実施形態による別のスペーサの正面斜視図を示す。
【図8】図8は、本発明の実施形態による椎間板関節形成用の総椎間板置換インプラントの正面斜視図を示す。
【図9A】図9Aは、本発明の実施形態によるスペーサおよび固定板の正面斜視図を示す。
【図9B】図9Bは、本発明の実施形態によるスペーサおよび固定板の頂面図を示す。
【図9C】図9Cは、本発明の実施形態によるスペーサおよび固定板の側面斜視図を示す。
【図10】図10は、本発明の実施形態による器具係合部材(feature)を含むスペーサの側面斜視図および側面斜視断面図を示す。
【図11】図11は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図13】図13は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図14】図14は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図15】図15は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図16】図16は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図17】図17は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図18】図18は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図19】図19は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図20】図20は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の腰椎スペーサの斜視図および側面図を示す。
【図21】図21は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む頸椎スペーサの斜視図を示す。
【図22】図22は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の頸椎スペーサの斜視図を示す。
【図23】図23は、本発明の実施形態による多孔質材料を含む別の頸椎スペーサの斜視図を示す。
【図24】図24は、本発明の実施形態による多孔質腰部スペーサの正面斜視図を示す。
【図25A】図25Aは、本発明の実施形態による多孔質スペーサの側面図を示す。
【図25B】図25Bは、本発明の実施形態による多孔質スペーサの頂面図を示す。
【図26】図26は、図24のスペーサの圧縮強度と多孔度との関係を示すグラフを図示する。
【図27】図27は、図25A〜25Bのスペーサの圧縮強度の関係を示すグラフを図示する。
【図28A】図28Aは、本発明の実施形態による固体のコアを備えたサンプル構造の正面斜視図を示す。
【図28B】図28Bは、本発明の実施形態による固体のコアを備えたサンプル構造の正面斜視図を示す。
【図29】図29は、本発明の実施形態による種々の構造の圧縮弾性率(剛性)の差異を示すグラフを図示する。
【図30】図30は、本発明の実施形態による種々の構造の極限圧縮強度を示すグラフを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本特許出願には多数の実施形態が記載され、これらは説明する目的でのみ提示される。記載される実施形態は決して限定するものではなく、限定することを意図するものでもない。ここに開示される発明(類)は、本開示から容易にわかるように、多数の実施形態に広く適用可能である。開示される発明(類)は、構造的な変更形態および化学的な変更形態などの種々の変更形態および変形形態で実施されてもよいことを、当業者は認めるであろう。開示される発明(類)の特定の特色が1つまたは複数の特定の実施形態および/または図面との関連で記載されることがあるが、当然のことながらこのような特色は、特に明確に規定しない限り、その記載に関連している1つまたは複数の特定の実施形態または図面の中での使用に限定されない。
【0010】
本開示は全ての実施形態を逐語的に記載するものではなく、全ての実施形態に存在するに違いない本発明の特色を列挙するものでもない。
【0011】
本発明の名称(本特許出願の第1ページの冒頭に記載)も、要約書(本特許出願の最後に記載)も、開示される発明(類)の範囲を限定するものとは決してみなされるべきではない。
【0012】
図1および図2に関しては、400℃の炉に5分間置いたPEEK/β−TCP、すなわちリン酸三カルシウムの混合物と、PEEKのみの材料との間の最終構造の差異が図示されている。具体的には、図1は以下にさらに詳細に記載される実施形態による多孔質スペーサを構築するために利用することができるPEEK顆粒を示す。第1の好ましい実施形態の顆粒は、サイズが0.5〜1.0mmの範囲内の粒子を有し、TCPを備え、400℃で5分間処置したPEEK/ベータ−TCPの混合物を含む。
【0013】
本明細書に記載される発明の主題は、脊椎固定術用のスペーサおよび整形外科用デバイスにおける組織のイングロース表面などのデバイスを製造するために用いられる多孔質体の複合物、または部分的に多孔質体である複合物、ならびに多孔質体を作製および使用するための方法に関する。
【0014】
1つの実施形態において、脊椎固定術に使用できる多孔質椎間スペーサを作製するための方法が示される。本明細書に記載される多孔質椎間スペーサは部分的にまたは全体的に複合物で作製された本体を含む。選択された実施形態では、本体はポリエーテルエーテルケトン、粒子、およびPEEK粒子の少なくとも一部分を覆うベータリン酸三カルシウム(beta tricalcium phosphate:β−TCP)の表面被覆を含む。PEEKは1つの例の中で用いられるポリマーであるが、本発明はそれに限定されない。他の実施形態では、PEEK以外の、もしくはPEEKに加えて種々の熱可塑性材料、またはポリマーの組み合わせを利用する。
【0015】
多孔質スペーサの実施形態は、初期安定性を提供し、結果として下椎骨および上椎骨からの骨のイングロースを可能にする。良好な血管新生および骨のイングロースを得るために、多孔質スペーサの孔構造は概して相互に繋がっている。1つの例において、水銀ポロシメータを用いて計測した孔の平均サイズ、は好ましくは100〜500μmの範囲内である。100〜500μmの範囲は、限定することを意図するものではなく、少なくとも一部の孔はこの範囲外であってもよい。哺乳類の組織のイングロースを可能にするために、孔は、ほぼ5〜10μmである赤血球の通過を最小限必要とする血管網の形成を可能にするために十分大きくなくてはならないと一般的には理解されているため、このことによって、孔の少なくとも一部について望ましい下限サイズが決定される。したがって孔のより広い範囲としては5〜5000μmであってもよい。
【0016】
1つの実施形態において、本開示に記載される技術を用いて形成された多孔質体は、患者の骨髄および/または血液でさらに灌流される。これらの自家生物活性物質を用いることによって、細胞源と、多孔質構造の中および表面に骨および組織の形成を促進することができる成長因子とを提供することができ、前駆細胞が望ましい道(すなわち幹細胞が骨を形成する骨芽細胞)へと分化するのを助けることもできる。1つの実施形態では、多孔質体には同種異系の生物学的物質が注入され、類似の効果を得る。選択された実施形態では、BMP II、BMP VIIおよびPDGFを含むがこれらに限定されない成長因子などの生物活性物質が注入される。骨または組織の形成を刺激する人工的な小分子がいくつかの実施形態中に含まれる。このような小分子はスタチンを含むがこれに限定されない。個々の添加物質が上述されているが、物質の組み合わせも本発明の範囲内である。
【0017】
いくつかの実施形態では、多孔質構造は、これらの生物活性物質を維持するように、さらに、長期間に亘ってこれらを放出したり、その放出位置および活性を指定したりするように変更が加えられる。いくつかの実施形態では、多孔質構造は、活性物質を保持してその後所望の期間に亘って放出する物質で被覆される。このような被覆に用いられる材料は、PLAおよびPGAなどの脂肪族ポリエステルといった加水分解的に分解する材料と、PEGおよびCMCなどのヒドロゲルとを含むがこれらに限定されない。または、いくつかの実施形態では、多孔質構造の表面または処置が望ましい放出動態を提供する。このような表面構造は微多孔質と表面の湿潤性の変更とを含む。
【0018】
他の実施形態では、本発明の多孔質体の中に加えられたり挿入されたりする別のキャリアに生物活性物質が加えられる。1つの実施形態では、別のキャリアは多孔質体の中に予め挿入される。1つの実施形態では、多孔質体は、少なくとも部分的に多孔度を減らした領域を有するように変更を加えられ、特定の方向に生物活性物質が放出されるのを減らしたり阻止したりする。1つの例では、非多孔質ポリマーまたは他の材料でできた薄い外殻が多孔コア上に取り付けられ、生物活性物質が放射状の方向に放出されるのを阻止する。このような形態の利点は、BMP IIなどの成長因子が放射状の方向に放出されると好ましくない組織成長につながる可能性のある頸椎固定術で実現される。選択された実施形態では、非多孔質材料は、方向性制御放出が時間依存的になるように、吸収性のある材料で作製される。
【0019】
1つの例示的な方法では、特定の粒子サイズの範囲を有するポリマー粒子はベータリン酸三カルシウム(β−TCP)と混合され、ポリマー顆粒と被覆粉末との混合物を形成する。1つの実施形態では、この混合によって、ポリマー粒子の表面上にβ−TCPの少なくとも部分的な被覆を提供する。ポリマーを被覆するために使用可能な別の材料は、カルシウム粉末、骨粉、ヒドロイアパタイト(hydroyapatite)、チタン(チタン合金類および酸化チタン類を含む)、バリウム塩類、および酸化ジルコニウムを含むがこれらに限定されない。混合物はポリマーの融点を超える温度で1つまたは複数の型に入れられ、融解したポリマー粒子の接触点で結合を形成するのに十分な時間保持される。
【0020】
選択された実施形態では、ポリマーの表面の粉末被膜はその後除去され、微多孔質の表面構造が得られる。この微孔は粉末被膜粒子によって予め占められていた体積分から得られたものである。この微多孔質構造の効果的な孔のサイズは0.1および100ミクロンの範囲内である。
【0021】
1つの例では、β−TCP粉末は融解温度を超えたポリマー材料の流動を抑制したり、減速させたりし、いくつかの実施形態では阻止し、ポリマー粒子を数珠繋ぎにする。最終生成物は、型の形状をほぼ再現した特定の形状を有する連続性のある多孔質材料である。ポリマー材料の例としては、PEEK、カーボン強化PEEK、PEKK、PAEKファミリ、PEK PEKK、PEKEKK、PCL、PLA、PGA、ポリフェニレン、
自己強化ポリフェニレン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、PET、ポリエチレン、ポリウレタン、または他の生体適合性ポリマーを含むがこれらに限定されない。
【0022】
いくつかの実施形態では、追加の材料が多孔質体の中に組み込まれる。1つの実施形態では、ポリマー粒子が強化構造の全体に亘って融着される。この強化構造は、チタンおよびステンレス鋼を含む任意の公知の生体適合性材料またはポリマーそれ自体で作製することができ、多孔質体にさらなる機械的強度を与えることができる。別の実施形態では、放射線不透過性材料が組み込まれて選択的な放射線不透過領域を与え、本体の位置をX線またはCTで可視化することができる。これらの放射線不透過性材料は、生体適合性金属(たとえば、窒化チタンアルミニウム(titanium aluminum nitride:TAN)、チタンアルミニウムバナジウム(titanium aluminum vanadium:TAV)、タンタル、金、バリウム、チタン、ステンレス鋼)、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、および放射線不透過性色素を含むがこれらに限定されない。他の実施形態では、放射線不透過性材料は多孔質構造を機械的に強化するために用いられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、多孔質構造は選択的な領域で選択的に圧縮され、機械的強度が増加する。この圧縮は熱およびおよびまたは圧力の組み合わせによって実現される。この熱および圧力を生成する方法は、超音波、高周波加熱、誘導加熱、レーザ、または直接加熱を含むがこれらに限定されない。これらの強化領域は、器具または構造的なリブと係合するための部材を形成することができる。
【0024】
例示的な実施形態
多孔質PEEKの方法
1つのプロセス実施形態は多孔質椎間腔を作り出す。このプロセス実施形態はポリマーを粒子の形態で用いることを含む。粒子サイズは0.25〜1.0mmの範囲内である。この範囲は限定することを意図するものではなく、他の粒子サイズを用いることもできる。粒子は90%のポリマー10%のβ−TCPの割合でβ−TCPと混合される。β−TCPの粒子サイズは0.01〜0.lmmの範囲内である。粒子は容器の中に入れられ、完全に混合される。この混合は標準的な実験室用ボルテックスシェイカを用いて実施することができる。振盪することによって、小さめのβ−TCP粒子が少なくとも部分的にポリマー粒子の表面を覆うことが可能になる。メッシュサイズがβ−TCP粒子サイズよりは大きいがポリマー粒子サイズよりは小さい篩を用いて過剰なβ−TCP粒子を除去する。得られた粉末の混合物は、β−TCPで被覆されたポリマー粒子を含む。β−TCPを用いる目的は、ポリマー粒子が融点超で加熱されたとき、自由に流動するのを阻止することである。β−TCPが存在することによって、ポリマーの融解点で、またはそれを超えると粒子が数珠繋ぎになり、流動が阻止される。このことは、間隙空間を保持しながらポリマー粒子間の強力な結合を可能にする。冷却されると、最終材料はβ−TCP被覆を有する相互に繋がった多孔質ポリマーになる。得られた材料は、骨がイングロースするために相互に繋がった多孔質構造と、より望ましい骨伝導が得られるようにカルシウムが豊富な表面を生成するβ−TCP被覆とを有する。
【0025】
上述したように、選択的な実施形態では、β−TCPまたは他の被覆粉末はその後、酸浸出、選択的な溶媒プロセス、または別の粉末除去プロセスによって孔内の露出面から除去される。この場合において、表面はカルシウムが乏しくなるが、湿潤性および細胞付着の観点からすると有利とすることができる微多孔質の構造を有する。
【0026】
図1Aおよび1Bには、400℃の炉に5分間置いたPEEK/β−TCP混合物とPEEKのみの材料との間の最終構造の差異が図示されている。図1Aは、表面にβ−TCPを備え、上記の方法を用いて形成された、相互に繋がったサンプルを図示している。粒子サイズおよび型の中の混合した粒子の量が多孔度を決定する。型の最終形状が最終的な多孔質構成要素のサイズおよび形状を決定する。
【0027】
図1Bは、同じ温度および時間で、β−TCPなどの被覆粒子を用いなかった場合に崩壊したPEEK粒子の構造を図示する。図面からわかるように、混合物を融解する前にβ−TCPなどの被覆粒子が含まれると、間隙空間がより大幅に保存される。本明細書に記載されたプロセス実施形態を用いると、標準的な焼結方法に比べて、より短いプロセス時間でより強力な結合が可能になる。焼結は材料を融解点未満で加熱することがあるため、粒子間の結合は、融点超に粒子を加熱することによって結合された材料ほど強力ではない。
【0028】
図2は、融解する前に90重量%のPEEKおよび10重量%のβ−TCPを混合することによってβ−TCP粉末で被覆したPEEKポリマー粒子を図示する。混合物を250μmの篩にかけて過剰なβ−TCP粉末を除去した。得られた粉末は、図2に示すように、β−TCP粉末で覆われたPEEK顆粒からなるものであった。
【0029】
上記の例示的な実施形態にβ−TCP粉末で被覆されたPEEKポリマーが記載されているが、本発明はそれに限定されない。他の力粒子で被覆された他のポリマーも本発明の範囲内である。当業者は、本開示の利点をもってすれば、他のポリマーおよび他の被覆粉末を用いて、別の材料を用いた多孔質ポリマー構造を形成するために加熱温度および時間などの他のプロセス条件を調整することができることを理解するであろう。
【0030】
一体式の多孔質構造
多孔質PEEK構造の1つの実施形態は、図3、11、および12A〜12Bに示すように、全面的に多孔質PEEKで作製された椎間体癒合(interverbral body fusion)用のプロテーゼである。プロテーゼは、端板の被覆を最適化するために、外側の形状を多様に形成することを前提とすることができる。上面および下面は、椎間腔内でのデバイスの初期安定性を高めるために、型で成型された錐体状のまたは一方向性の歯または隆起を備えてもよい。いくつかの実施形態では、その1つが図3のスペーサ30のようになっているが、固い骨のスルーグロース(through growth)を可能にする1つまたは複数の軸方向の穴32が画定されている。1つの実施形態では、スペーサ30の側面34内に水平方向の窓がさらに設けられ、放射線写真または他の好適な技術による癒合の評価を向上させる。図3には一体式の多孔質構造の例として、ほぼ円筒形の形状が示されているが、固体円柱、足場の形状、特別に適合する複合的な成型形状など、他の一体式の多孔質の形状も本発明の範囲内である。
【0031】
固体のコア
図4A、4Bおよび4Cは、椎間体癒合(intervertebral body fusion)用のインプラント40を図示する。インプラント40は、多孔質端版44に熱結合した固体のPEEKコア42で構築される。このインプラント実施形態40は、骨のイングロースおよび初期安定性の利点を保持しながら、インプラントの軸方向の極限圧縮強度を高めるのに役立つ。
【0032】
図5A、5Bおよび5Cは、多孔質PEEK本体52、および本体52の周囲に環状に配置された固体のバンド54を含むインプラント実施形態50を図示する。
【0033】
固体のインプラントホルダ
従来の椎間体デバイスの移植の間は、外科医がインプラントを正確に制御し続けることが望ましい。このような制御の1つの重要な部分は、インプラントをしっかりと掴むことによって実現される。掴んで離すステップにとっては、スペーサの導入形状が増大せず、他の点で何ら大幅に変更されないことが望ましい。
【0034】
図6A、6Bおよび6Cでは、多孔質構成要素66に機械的に接続したインプラント実施形態60の固体部分64に、インプラントの保持部材62が組み込まれている。機械的接続の例は、対応するスロット内に嵌合するタブ63を含む。タブ63が示されているが、他の締まりばめ形状、差し込み式締め具(bayonette fasteners)などの他の機械的接続の形態。図6A、6Bおよび6Cの実施形態はインプラントの1つの側面68の下面から上面に及ぶ固体部分64を示す。これを配置すれば軸方向の最大負荷を支えることができ、多孔質構成要素66を強化することによってインプラントの剪断強度を高めることができる。
【0035】
この実施形態の提示において、保持部材62は1対のスロットを含む。1つの実施形態では、スロット62などの1対のスロットは、正確な制御を提供するために外科医の道具に繋がるように構成される。シングルスロット、突起型部材などの他の複数の可能な保持部材の形態は本発明の範囲内であることを当業者は理解するであろう。
【0036】
図7A、7Bおよび7Cは、別の保持部材72の例を図示する。図7A〜Cの例において、保持部材72はインプラント70の固体のコア74内に組み込まれる。上記の実施形態と同様に、インプラント70は、保持部材72を含む固体部分74と、上記の実施形態に記載された方法を用いて形成された多孔質ポリマー部分76とからなる。
【0037】
図10は多孔質体106に結合された固体部分104の外側の形状内に組み込まれたインプラントホルダ部材102を含む別の例示的な実施形態100を図示する。複数の例からわかるように、インプラントおよび保持部材用に可能な形態が数多く考えられる。
【0038】
椎間板関節形成用のデバイス上の多孔質端板部材
図8は、80において椎間板関節形成用の椎間プロテーゼの1つの実施形態を図示し、これは水平方向の挿入スロット86を有し、固体のPEEK84に熱結合した多孔質PEEK端板82を含む。
【0039】
複数の構成要素の構造物
図9A、9Bおよび9Cは、組み込み式の固定を伴う椎間スペーサ90の1つの実施形態を図示し、固体のPEEKコア94に熱結合し、金属板96に機械的に接続した多孔質PEEK端板92を示す。中央のディストラクタースロット(distractor slot)が挿入を助ける。
【0040】
脊椎スペーサの例示的形態
図11〜20は、本開示に記載された方法を用いて形成された多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む腰椎スペーサの複数の例示的形態を図示する。複数の例が示されているが、本発明はそれに限定されない。各例においては、説明したようにスペーサの全体が多孔質ポリマー材料で形成される場合もあり、説明したようにスペーサの一部のみが多孔質ポリマー材料で形成される場合もある。本明細書に記載したように、他の材料形態は、多孔質部分に結合した、機械的に繋いだ、または他の仕方で合わされた固体部分を含む。固体部分の例としては、多孔質ポリマー部分に合わされた固体のコア、固体のバンド、固体の膜などを含む。
【0041】
図21〜23は、本開示に記載した方法を用いて形成した多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む頸椎スペーサの複数の例示的形態を図示する。腰部スペーサの説明と同様に、多孔質ポリマー材料を利用した複数の形態は本発明の範囲内である。上記の固体材料の部分を利用した形態も含まれる。
【0042】
図11は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ110を示す。図12は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ120を示す。図13は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ130を示す。図14は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ140を示す。図15は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ150を示す。図16は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ160を示す。図17は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ170を示す。
【0043】
図18は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む、複数の構成要素のスペーサ180を示す。第1の部分182、第2の部分184および第3の部分186がともに合わさっていることが示されている。提示された実施形態において、各部分は、機械的アタッチメント188を用いて合わされている。1つの例では、機械的アタッチメントは図に示したように蟻継ぎ形態を含む。蟻継ぎは容易で効果的な機械的アタッチメントであるが、本発明はそれに限定されない。機械的アタッチメント188の他の形状も本発明の範囲内である。
【0044】
図19は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ190を示す。図20は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ200を示す。図21は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ210を示す。図22は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含むスペーサ220を示す。
【0045】
図23は、多孔質ポリマー材料を少なくとも一部含む、複数の構成要素のスペーサ230を示す。第1の部分234、および第2の部分236が機械的アタッチメント236を用いてともに合わされていることが示されている。上記のスペーサ180と同様に、1つの例では、機械的アタッチメント236は蟻継ぎ具または類似の機械的アタッチメントを含む。
【0046】
追加の表面の調製
本開示に記載された実施形態は、所望の最終特性によって、種々の仕上げプロセスを含むことができる。1つの追加の表面処置は、イオン化酸素または他のガスによるプラズマ処理を用いることを含む。選択された実施形態では、このようなプラズマ処理は表面の化学的性質を変化させ、湿潤性を高める。別の表面処置は、インプラントの表面の骨伝導能を高めるためのヒドロキシルアパタイト(Hydroxylapatite:HA)の被覆を含む。別の表面処置は、インプラントの表面の骨伝導能を高めるためのリン酸カルシウム被覆を含む。別の表面処置は、骨のオングロースのために望ましい表面を提供するための窒化チタン被覆を含む。骨のオングロースのために望ましい表面を提供するための他の表面処置は、物理蒸着、化学蒸着などの複数のプロセスのいずれかによって加えられた、チタンもしくは他の生体適合性金属の被覆、または酸化被覆を含む。
【0047】
別の設計の実施形態
さらなる実施形態は、さらに大きくばらばらになったβ−TCP、チタンまたは他の骨伝導性のある粒子を被覆粉末の混合物に組み入れることを含む。これらの大きめの骨伝導性のある粒子は、熱可塑性材料とほぼ同じサイズである。選択された実施形態では、ばらばらになった骨伝導性のある粒子は、β−TCP粉末で既に被覆された多孔質材料の骨伝導特性を高める。骨伝導性のある粒子の供給源は、Synthesが製造するCronOS(商標)を含む。
【0048】
別の用途
上で述べたように、多孔質材料の他の使用は脊椎スペーサ以外に、組織のイングロースのための足場用途を含む。上記の実施形態に記載したように多孔質材料は、生理学的な機械的応力下で解剖学的位置に骨のイングロースが所望される複数の用途において、骨空隙充填剤(bone void filler)としてさらに使用可能である。脊椎スペーサ以外の用途の例は、頭蓋の、または頭蓋顔面の欠損の修復に用いるのに好適なインプラントの少なくとも一部を製造することを含む。
【0049】
上記の脊椎スペーサの各例に記載された用途以外の用途については、多孔質ポリマーの弾性率、剪断強度などの機械的特性に変更を加えることが望ましい場合がある。ポリマーおよび/または被覆粉末に変更を加えると、所望に応じた種々の機械的特性が得られる。選択された実施形態では、多孔質ポリマーの構造特性は軟部組織のイングロースに好適であるように変更が加えられる。
【0050】
別の材料/被覆材
本発明のスペーサのいくつかの実施形態の本体またはその部分は、PEEKポリマーまたは他のポリマーで形成される。種々のポリマーの選択肢に加えて、β−TCP以外の被覆粉末の材料が選択可能である。硫酸バリウム(BaSO4)または炭酸ストロンチウム(SrCO3)などの別の粉末は、融解点超で加熱する間、ポリマー上にβ−TCPと同様の効果を有する。
【0051】
機械的試験
図24および25A〜25Bに関しては、上記のPEEK/β−TCP粉末を型に入れることによって多孔質PEEKスペーサを作り出した。型の中に入れた粉末混合物の量によって最終構造の多孔度が決まった。粒子サイズの範囲によって孔のサイズが決まった。種々の表面積および高さを有する2つのタイプのサンプルを作製して、業界で公知のスペーサと同じ形状のスペーサを形成した。最終サンプルを圧縮強度について試験した。図26は図24のスペーサの圧縮強度と多孔度との関係を示すグラフを図示し、図27は40パーセントの多孔度を有する図25A〜25Bのスペーサの圧縮強度とスペーサの高さとの関係を示すグラフを図示する。
【0052】
図28A〜28Bに関しては、完全的に多孔質であるサンプルとは対照的に、固体のPEEKの円筒を2つの多孔質PEEKのエンドキャップ間に挟んだ複合物のサンプルを作製した。固体のコアは複合物の圧縮強度をより高め、多孔質のエンドキャップは上椎骨および下椎骨からの骨のイングロースを可能にする。図29は、多孔質PEEKで全体的に形成されたスペーサ、固体のPEEKスペーサで形成され、多孔質PEEKの端板を有するスペーサ(たとえば図28A〜28Bに図示されたスペーサ)、固体のPEEKで全体的に形成されたスペーサ、および海綿質骨で全体的に形成されたスペーサの圧縮弾性率(剛性)の差異を示すグラフである。図30は、多孔質PEEKで全体的に形成されたスペーサ、固体のPEEKで形成され、多孔質PEEKの端板を有するスペーサ(たとえば図28A〜28Bに図示されたスペーサ)、および固体のPEEKで全体的に形成されたスペーサの極限圧縮強度を示すグラフを図示する。
【0053】
本発明の複数の実施形態が記載されているが、上記の例は網羅的であることを意図するものではない。上記の本発明の特定の実施形態の記述は、説明の目的で詳細に記載されてきた。この記述および説明を考慮すると、当業者は現在の知識を適用することによって、本発明の基本概念から逸脱することなく種々の用途のために本発明を容易に変更および/または改造することができる。したがって、そのような変更形態および/または改造形態は添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内であると意図するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ポリマー材料を形成する方法であって、前記方法が、
ポリマー顆粒および被覆粉末の混合物を形成するステップであって、
被覆粉末粒子が前記ポリマー顆粒より小さく、
前記被覆粉末粒子は前記ポリマー顆粒の融解温度で融解しないステップと、
前記ポリマー顆粒の前記融解温度を超える温度まで前記混合物を加熱するステップと、
前記被覆粉末が前記混合物内に間隙空間を実質的に保存する結果となるように、溶融ポリマーの流動を制御するステップと、
前記混合物を冷却し、被覆された前記ポリマー顆粒の接触点で結合を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記混合物が冷却した後に、形成された孔を通して前記被覆粉末を実質的に除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔質ポリマー材料を形成するステップが、前記多孔質複合材料を用いて脊椎固定術用のスペーサを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)顆粒および被覆粉末の混合物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)顆粒およびセラミック被覆粉末の混合物を形成することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)顆粒と、ベータリン酸三カルシウム(β−TCP)を含む被覆粉末との混合物を形成することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、約90重量%のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と、約10重量%のベータ−リン酸三カルシウムとの混合物を形成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリマー顆粒と、硫酸バリウム(BaSO4)および炭酸ストロンチウム(SrCO3)からなる群から選択される被覆粉末との混合物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔質ポリマー材料を形成するステップが、前記多孔質ポリマー材料を用いて頭蓋顎顔面(CMF)構造を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔質ポリマー材料の表面を、イオン化酸素を用いてプラズマ処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記多孔質ポリマー材料の表面をヒドロキシアパタイトで被覆することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記多孔質ポリマー材料の表面をリン酸カルシウムで被覆することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質ポリマー材料の表面を窒化チタンで被覆することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー顆粒および被覆粉末の混合物を形成するステップが、隣接した組織の対応する機械的特性に前記多孔質複合材料の機械的特性が適合するようにポリマー材料を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
機械的特性が弾性率を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
骨のイングロースを促進するための多孔質構造であって、
接触点で一緒に融解するポリマー顆粒の網状組織と、
前記ポリマー顆粒間の複数の間隙空間と、
前記間隙空間内で前記ポリマー顆粒の表面を実質的に覆う粒子の被覆と
を含む多孔質構造。
【請求項17】
前記構造が脊椎固定術用のスペーサである請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項18】
前記構造が頭蓋顎顔面(CMF)構造である請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項19】
前記構造が足場構造である請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項20】
前記多孔質構造が多孔質/固体の接触面で固体部分に連結する多孔質部分を有する複合構造の一部である、請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項21】
前記多孔質部分が前記固体部分に機械的に固定される、請求項20に記載の多孔質構造。
【請求項22】
前記複合構造は、多孔質部分が2つの面で前記固体部分を中間に挟んで該固体部分に結合されるサンドイッチ構造を含む、請求項20に記載の多孔質構造。
【請求項23】
前記複合構造の設置を容易にするために、前記固体部分の一部として形成された保持部材をさらに含む、請求項22に記載の多孔質構造。
【請求項24】
骨のイングロースを促進するための多孔質構造であって、
接触点で一緒に融解するポリマー顆粒の網状組織と、
前記顆粒上の微多孔質の表面構造と、
前記ポリマー顆粒間の複数の間隙空間と
を含む多孔質構造。
【請求項25】
前記微多孔質の表面構造の孔のサイズが実質的に0.1〜100μmの範囲内である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項26】
前記微多孔質の表面構造の孔のサイズが実質的に1および50μmの範囲内である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項27】
前記構造が脊椎固定術用のスペーサである、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項28】
前記構造が頭蓋顎顔面(CMF)構造である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項29】
前記構造が足場構造である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項30】
前記多孔質構造が多孔質/固体の接触面で固体部分に連結する多孔質部分を有する複合構造の一部である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項31】
前記多孔質部分が前記固体部分に機械的に固定される、請求項30に記載の多孔質構造。
【請求項32】
前記複合構造は、多孔質部分が2つの面で前記固体部分を中間に挟んで該固体部分に結合されるサンドイッチ構造を含む、請求項30に記載の多孔質構造。
【請求項33】
前記複合構造の設置を容易にするために、前記固体部分の一部として形成された保持部材をさらに含む、請求項32に記載の多孔質構造。
【請求項1】
多孔質ポリマー材料を形成する方法であって、前記方法が、
ポリマー顆粒および被覆粉末の混合物を形成するステップであって、
被覆粉末粒子が前記ポリマー顆粒より小さく、
前記被覆粉末粒子は前記ポリマー顆粒の融解温度で融解しないステップと、
前記ポリマー顆粒の前記融解温度を超える温度まで前記混合物を加熱するステップと、
前記被覆粉末が前記混合物内に間隙空間を実質的に保存する結果となるように、溶融ポリマーの流動を制御するステップと、
前記混合物を冷却し、被覆された前記ポリマー顆粒の接触点で結合を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記混合物が冷却した後に、形成された孔を通して前記被覆粉末を実質的に除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔質ポリマー材料を形成するステップが、前記多孔質複合材料を用いて脊椎固定術用のスペーサを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)顆粒および被覆粉末の混合物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)顆粒およびセラミック被覆粉末の混合物を形成することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)顆粒と、ベータリン酸三カルシウム(β−TCP)を含む被覆粉末との混合物を形成することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、約90重量%のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と、約10重量%のベータ−リン酸三カルシウムとの混合物を形成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー顆粒および前記被覆粉末の前記混合物を形成するステップが、ポリマー顆粒と、硫酸バリウム(BaSO4)および炭酸ストロンチウム(SrCO3)からなる群から選択される被覆粉末との混合物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔質ポリマー材料を形成するステップが、前記多孔質ポリマー材料を用いて頭蓋顎顔面(CMF)構造を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔質ポリマー材料の表面を、イオン化酸素を用いてプラズマ処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記多孔質ポリマー材料の表面をヒドロキシアパタイトで被覆することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記多孔質ポリマー材料の表面をリン酸カルシウムで被覆することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質ポリマー材料の表面を窒化チタンで被覆することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー顆粒および被覆粉末の混合物を形成するステップが、隣接した組織の対応する機械的特性に前記多孔質複合材料の機械的特性が適合するようにポリマー材料を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
機械的特性が弾性率を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
骨のイングロースを促進するための多孔質構造であって、
接触点で一緒に融解するポリマー顆粒の網状組織と、
前記ポリマー顆粒間の複数の間隙空間と、
前記間隙空間内で前記ポリマー顆粒の表面を実質的に覆う粒子の被覆と
を含む多孔質構造。
【請求項17】
前記構造が脊椎固定術用のスペーサである請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項18】
前記構造が頭蓋顎顔面(CMF)構造である請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項19】
前記構造が足場構造である請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項20】
前記多孔質構造が多孔質/固体の接触面で固体部分に連結する多孔質部分を有する複合構造の一部である、請求項16に記載の多孔質構造。
【請求項21】
前記多孔質部分が前記固体部分に機械的に固定される、請求項20に記載の多孔質構造。
【請求項22】
前記複合構造は、多孔質部分が2つの面で前記固体部分を中間に挟んで該固体部分に結合されるサンドイッチ構造を含む、請求項20に記載の多孔質構造。
【請求項23】
前記複合構造の設置を容易にするために、前記固体部分の一部として形成された保持部材をさらに含む、請求項22に記載の多孔質構造。
【請求項24】
骨のイングロースを促進するための多孔質構造であって、
接触点で一緒に融解するポリマー顆粒の網状組織と、
前記顆粒上の微多孔質の表面構造と、
前記ポリマー顆粒間の複数の間隙空間と
を含む多孔質構造。
【請求項25】
前記微多孔質の表面構造の孔のサイズが実質的に0.1〜100μmの範囲内である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項26】
前記微多孔質の表面構造の孔のサイズが実質的に1および50μmの範囲内である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項27】
前記構造が脊椎固定術用のスペーサである、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項28】
前記構造が頭蓋顎顔面(CMF)構造である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項29】
前記構造が足場構造である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項30】
前記多孔質構造が多孔質/固体の接触面で固体部分に連結する多孔質部分を有する複合構造の一部である、請求項24に記載の多孔質構造。
【請求項31】
前記多孔質部分が前記固体部分に機械的に固定される、請求項30に記載の多孔質構造。
【請求項32】
前記複合構造は、多孔質部分が2つの面で前記固体部分を中間に挟んで該固体部分に結合されるサンドイッチ構造を含む、請求項30に記載の多孔質構造。
【請求項33】
前記複合構造の設置を容易にするために、前記固体部分の一部として形成された保持部材をさらに含む、請求項32に記載の多孔質構造。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30】
【公表番号】特表2011−511128(P2011−511128A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545025(P2010−545025)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/000604
【国際公開番号】WO2009/099559
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(508111279)シンセス ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/000604
【国際公開番号】WO2009/099559
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(508111279)シンセス ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】
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