説明

多孔質粒子およびその製造方法

【課題】微小で均一な粒子径および細孔直径を有し、樹脂に混練する際に破壊することのない安価なアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子を提供すること。
【解決手段】BET法による比表面積が、30m/g〜280m/gの範囲でありかつ、下記一般式(I)で表わされるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
α[Al1−σZ′σβωξ(OH)ν・γHO (I)
(ただし、Zは、Na、K、NHおよびHなる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質粒子およびその製造方法に関する。すなわち、種々の分野、例えば、食品、農業、電子写真、医療、化粧品、化学、樹脂、繊維、ゴムまたはその他工業分野に使用することができる多孔質粒子およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、微小かつ均一な粒子径を持つ球状または碁石状の、見掛比重が小さく、BET比表面積および細孔容積が大きく、耐圧強度が大きく、樹脂、ゴム等への添加性に優れた多孔質粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機多孔質粒子としては、様々な材質のものが提案されており、比表面積が大きく、見掛比重が小さいことから、吸着剤、担体またはカプセル壁材もしくは充填剤(増量剤)として工業的に利用されている。
例えば、非特許文献1には硫酸アルミニウム水溶液に硫酸カリウムおよび水酸化カリウムを加えて、K/Al比を5、pHを3.7とし、3時間沸騰還流させて、200〜240m/gの比表面積を有するアルナイトを生成させる方法が記載されている。この方法で生成したアルナイトは多孔性を持つ薄片状の集合体で、直径14および30Å程度の幅のスリット状細孔があり、水吸着能がシリカゲルに匹敵し、SO、NO吸着能が高く、また酸性染料をもよく吸着することが報告されている。
【0003】
多孔質粒子を吸着剤として工業的に利用するために、安価にしかも収率良く製造する方法としては、特許文献1、特許文献2および特許文献3が知られている。
特許文献1には、塩化カルシウムとケロシンの混合乳濁液と炭酸ナトリウムを反応させて、粒径1〜3μmのシリカの微小球殻状粒子を生成させる方法等が開示されている。
特許文献2には、硫酸アルミニウムと硫酸カリウムの混合溶液に水酸化カリウムを加えて、pHを一定範囲に維持しつつ、反応系の温度を100〜300分間で60〜100℃まで上昇させ、比表面積および細孔容積の大きいアルナイト型多孔質結晶を析出させる方法が開示されている。このような方法で合成されたアルナイト型多孔質粒子は、BET比表面積が295〜327m/g、細孔容積が0.08〜0.17cc/gの範囲の値を示し、メチレンブルー、ナフトールイエローS等の染料をよく吸着することが示されている。
【0004】
特許文献3には、硫酸ニッケル(II)水溶液とポリオキシエチレンソルビタントリオレートの混合乳濁液と炭酸水素カリウム水溶液を反応させて、比表面積335m/g、平均粒子径4μm、平均細孔径210Å、全細孔容量1.21cc/gの多孔性球形炭酸ニッケル、水酸化ニッケルの混合粒子を得る方法が開示されている。ここで得られた多孔性球形粒子は、塗料のアンカー剤、有機合成触媒、吸着剤、各種液体もしくはガスクロマトグラフィー用充填剤、吸湿剤および担体等への利用が期待されている。
【0005】
特許文献4には、疎水化処理されたミクロ多孔質膜を通して、ポリオキシエチレンソルビタントリオレートのヘキサン溶液に水ガラスを圧入して乳濁液を調製し、これを重炭酸アンモニウム溶液に加えて反応させ、平均粒子径3.47μmのほぼ均一な粒子径を示す多孔質球形シリカ粒子を得る方法が開示されている。さらに、フッ素シリコーンコーティング処理した細孔径1.1μのミクロ多孔質膜を通して、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのケロシン溶液と水ガラスからなる乳濁液を、ソルビタンモノラウレートのトルエン溶液に圧入して調製し、これを塩化カルシウム溶液に加えて反応させ、平均粒子径3.5μmのほぼ均一な粒子径を示す中空多孔質球形ケイ酸カルシウム粒子を得る方法が開示されている。
【0006】
特許文献5には、カオリンに強酸(塩酸)を加えて220℃で16時間 水熱処理を行なってできたスラリーを濾過、水洗、乾燥および焼成してシャープな細孔分布を有する多孔質粉体を得る方法が開示されている。
特許文献6には、炭酸カルシウムをテンプレートとしてシリカ中空粒子を調製する方法が開示されている。すなわち、40〜80nmの微小炭酸カルシウム粒子にシリカをコーティングしたのち、水に分散し塩酸を過剰に加えて炭酸カルシウムを溶解させ、粒子径が350nmであるシリカ中空粒子を得ることができる。
【0007】
吸着剤や担体等に利用される多孔質中空粒子に対しては、比表面積または細孔容積が大きく、細孔直径が均一であることが要求されるが、徐放性カプセル壁材、保湿剤として用いたり、また、樹脂、特に繊維等に配合して消臭繊維等として用いる場合には、粒子径が微小で均一であることが要求される。しかし、これまでに多孔質または中空であると同時に均一な細孔直径および平均粒子径をもつ微粒子は提案されていない。また、従来の多孔質中空粒子はその製造工程が複雑であり、安価なものができなかった。さらに、樹脂に混練する際に破損しないことも要求されるが、従来の特にシリカの中空粒子等は割れやすいとされている。
【0008】
非特許文献1および特許文献2および3に提案されている多孔質粒子は、吸着剤としては十分な細孔径または比表面積を持つが、非特許文献1および特許文献2においては平均粒子径(平均二次粒子径)については開示されておらず、特許文献3に開示されている多孔質粒子の平均粒子径は、5または20μmであり、前記した用途に対しては粒子径が大き過ぎる。例えば粒子径が5μmを超える粒子が配合された樹脂はフィルター詰まりや糸切れを起こし紡糸が困難であるし、樹脂に配合すると機械的特性の低下をまねく。また、化粧料のうち保湿性を高める成分として配合した場合には、粗大粒子はざらつき感を与えることになり適当ではない。また、一般にシリカ等の中空粒子は、樹脂に混練すると割れやすい傾向があり、特にシリコーン樹脂等に配合することが困難であった。特許文献1または6で開示された球殻状シリカ粒子の粒径は1〜3μmと微小であるが、粒径均一性については言及されていない。
【0009】
粒径均一性については、特許文献4のみが、「ばらつき度ε」として言及している。特許文献4では、ばらつき度εを、遠心沈降式吸光度法による粒度分布測定を行い累積粒度曲線においてその積算量が10%、50%および90%を占めるときの粒子径D10、D50およびD90を用いて、ε=(D90−D10)/D50で定義しており、従来法で得られるシリカ粒子の粒子径ばらつき度εが1.41以上であったのに対し、特許文献4で提案された方法で得られるシリカ粒子の粒子径ばらつき度εは、0.79(D10=2.25、D50=3.47、D90=4.99)〜1.17(D10=0.64、D50=1.2、D90=2.05)の範囲であることが示されている。
【0010】
しかし、特許文献4に記載された、粒子径が均一とされる多孔質球形シリカ粒子も、平均粒子径3.47μmに対しばらつき度εが上記記載の0.79である場合、D90が4.99μmになり、5μm以上の粗大粒子を10%以上も含むことになり、繊維等に配合することはできない。
また、特許文献4では、均一な粒子粒子を得るために、疎水化処理されたミクロ多孔質膜を用意しなければならない等により、安価な製造は困難である。
製造方法に関しては特許文献5に開示された酸処理による方法が比較的簡便であるが、220℃以上で処理しなければならない上に、水洗、乾燥後さらに350〜1000℃で焼成する必要があったため、安価な製造は困難である。
混練の際の耐破壊性については上記いずれの文献においても言及されていない。
【特許文献1】特公昭57−55454号公報
【特許文献2】特開昭64−11637号公報
【特許文献3】特開平2−59432号公報
【特許文献4】特開平4−154605号公報
【特許文献5】特開平7−10531号公報
【特許文献6】特開2005−263550号公報
【非特許文献1】井上等、日本化学会誌1985(2) p156〜162
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第一の目的は、微小で均一な粒子径および細孔直径を有する多孔質中空粒子を提供することにある。
【0012】
本発明の第二の目的は、樹脂に混練する際に破壊することのない多孔質中空粒子を提供することにある。
【0013】
本発明の第三の目的は、上記のような多孔質中空粒子を安価に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記従来の多孔質中空粒子の欠点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、特願2005−111733号明細書またはWO 2005/085168 A1パンフレットにおいて提案された、微小かつ均一な粒子形状をもつことを共通の特徴とするアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子を、一定条件のもと酸またはアルカリで処理することにより、前記粒子は嵩、比表面積および細孔容積が増大した新規な多孔質中空粒子が得られるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明によればBET法による比表面積が、30m/g〜280m/gの範囲でありかつ、下記一般式(I)で表わされるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子が提供される。
α[Al1−σZ′σβωξ(OH)ν・γHO (I)
(ただし、Zは、Na、K、NHおよびHなる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。)
さらに本発明によれば、下記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と酸性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とするアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法が提供される。
[Al1−xM′(OH)・mHO (II)
(ただし、Mは、Na、K、NHおよびHなる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、M′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Aは少なくとも1種の有機酸アニオン、Bは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中a、b、m、n、x、yおよびzは、0.7≦a≦1.35、2.7≦b≦3.3、0≦m≦5、4≦n≦7、0≦x≦0.6、1.7≦y≦2.4、0≦z≦0.5とする。)
【0016】
本発明の前記式(I)の多孔質粒子の製造原料となる上記(II)式のアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子は、特願2005−111733号明細書またはWO 2005/085168 A1パンフレットにおいて提案された方法に従って合成することができる。すなわち、イオン半径が0.8Å未満で配位数6の陽イオンに基く元素のpH1〜7の範囲で可溶性である化合物と、イオン半径が0.8〜1.5Åの陽イオンの硫酸塩の混合溶液に、後者の陽イオンを含む水酸化アルカリの水溶液を添加し、加熱反応させてアルナイト型化合物粒子を合成する際に、理論的に規定されるアルカリ当量(=[水酸化アルカリ]/[Al(SO](=可溶性化合物)=4)に対して、実際の比の値が3.2〜4.0になるような範囲、すなわちアルカリ理論量を1としたときのアルカリ当量比が、
0.6≦アルカリ当量比≦1.1
となるような範囲に設定することにより、球状の微粒子でありかつ均一な粒子形状を有するアルナイト型化合物粒子を合成できる。より具体的には、例えば、硫酸アルミニウムと硫酸ナトリウムの混合溶液に、アルカリ当量比が1.0になるように水酸化ナトリウムを添加して水熱反応させると、球状の下記(III)式で表されるアルナイト型化合物粒子が得られる。
Na0.96Al(SO1.92 (OH)6.12・0.63HO (III)
また、硫酸ナトリウム、クエン酸(H・HO)、硫酸アルミニウムの混合溶液に、水酸化ナトリウムを添加して、水熱処理を行なうことにより下記(IV)式の球状の有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子を合成することができる。

Na1.11Al(SO1.86(C0.14(OH)5.97・0.8HO (IV)
【0017】
このようにして得られるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子は、通常0.3〜3μmの平均二次粒子径、3〜60m/gのBET比表面積、0.8g/ml以上の嵩比重、0.05ml/g以下の細孔容積を示し、細孔容積およびBET比表面積が共に小さいため、例えば吸着剤としては、従来の吸着剤と比較して大きな差が見られないが、粒子径均一性および耐酸性において非常に優れている。すなわち、全粒子個数に対し、粒子径の小さいものから累積度数が25%になる粒子径をD25、75%になる粒子径をD75とし、これらの比の値D75/D25によって粒度分布の拡がりを表わすと、上記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子においては、D75/D25は粒子形状にかかわらず1≦D7525≦1.2の範囲の値を示し、すぐれた粒子径均一性を示す。
【0018】
また、上記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子は、常温においては1mol/Lの塩酸にもほとんど溶解することがない。
上記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子は、核が成長してできた微細な一次粒子の凝集によっており、それら一次粒子の集合過程の違いにより球状、碁石状、六角板状、米粒状等種々の形状の粒子が生成する。
【0019】
本発明者らは、アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子の粒子径均一性および常温における耐酸性に着目し、合成によって多孔質中空粒子を得るよりも、微小で粒径の均一な粒子に何らかの化学的処理を施すことにより多孔質中空化する方が、微小で粒径の均一な、しかも耐圧強度が高く樹脂に混練する際に破壊することのない多孔質または多孔質中空粒子が得られるという見解をもち、検討を続けた結果、アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子を、一定条件のもと酸またはアルカリで処理することにより多孔質中空化できることを見出した。
【0020】
酸またはアルカリで処理することにより得られる本発明の多孔質粒子はBET比表面積が30〜280m/g、好ましくは20〜200m/gであり、好適には、0.3〜3μmの平均二次粒子径、0.8g/ml未満の嵩比重、0.1ml/g以上の細孔容積を示し、SEM写真、BET比表面積および細孔容積の大幅な増加および嵩比重が減少していることから、中空であることがわかる。また、得られた多孔質中空粒子においては、特許文献4で定義されている粒子径の「ばらつき度ε」が0≦ε≦0.5であり、従来にない粒子径均一性を示す。
【0021】
本発明における上記酸またはアルカリ処理は、アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子の懸濁液に前記酸および/またはアルカリ水溶液を滴下し、加熱反応させたのち、冷却、濾別、水洗および乾燥することによって実施できる。特許文献5では、カオリンに強酸を加えて220℃で16時間の水熱処理が必要であったのに対して、本発明では100℃以下の水熱処理で目的は達成できるので大掛かりな設備を必要とせず、安価に製造することができる。また、特許文献5では、水洗、乾燥後に350〜1000℃で焼成する必要があったが、本発明の多孔質粒子は、焼成することなく十分な細孔容積を示す。
【0022】
かくして本発明によれば、多孔質中空粒子およびその製造方法が提供される。
【0023】
(1)BET法による比表面積が、30m/g〜280m/gの範囲でありかつ、下記一般式(I)で表わされるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
α[Al1−σZ′σβωξ(OH)ν・γHO (I)
(ただし、Zは、Na、K、NHおよびHなる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。)
【0024】
(2)見掛け比重が0.3〜0.8g/cmである上記(1)記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0025】
(3)全細孔容積が0.02〜0.25ml/gの範囲にある上記(1)記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0026】
(4)粒子内部に空洞を有することを特徴とする上記(1)記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0027】
(5)粒子内部に空洞を有しかつ粒子体積に対する、粒子内部の空洞容積の割合が20〜70%であることを特徴とする上記(1)記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0028】
(6)BJH法による細孔分布において、ζ=細孔分布半値幅/平均細孔直径 で表される細孔径ばらつきζが0.1≦ζ≦0.5の範囲にあることを特徴とする上記(1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0029】
(7)レーザー回折法によって測定される、累積粒度分布曲線の10%値、50%値および90%値の粒子径をそれぞれD10、D50およびD90として、0≦(D90−D10)/D50≦0.5を満足することを特徴とする上記(1)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0030】
(8)SEM画像で特定される粒子の形状が球状または碁石状であることを特徴とする上記(1)に記載の多孔アルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0031】
(9)レーザー回折法によって測定される平均粒子径が0.1〜12μmの範囲にある上記(1)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0032】
(10)800℃以下で焼成されていることを特徴とする上記(1)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【0033】
(11)下記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と酸性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とするアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
[Al1−xM′(OH)・mHO (II)
(ただし、Mは、Na、K、NHおよびHなる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、M′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Aは少なくとも1種の有機酸アニオン、Bは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中a、b、m、n、x、yおよびzは、0.7≦a≦1.35、2.7≦b≦3.3、0≦m≦5、4≦n≦7、0≦x≦0.6、1.7≦y≦2.4、0≦z≦0.5とする。)
【0034】
(12)酸性溶液と接触させて加熱反応させたのち、さらにアルカリ性溶液と接触させて加熱反応させることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0035】
(13)前記酸性溶液が、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0036】
(14)前記酸性溶液が、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0037】
(15)前記酸が、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、蓚酸およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0038】
(16)上記(II)式で表されるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子に含まれるアルミニウムモル数に対する前記酸のモル数の比、[酸のmol数]/[Alのmol数]で表される酸添加濃度αが、0.05≦α≦1.1の範囲であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0039】
(17)上記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と、アルカリ性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とする上記(1)記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0040】
(18)前記アルカリが、アルカリ性金属塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0041】
(19)前記アルカリが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0042】
(20)前記アルカリが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【0043】
(21)上記(II)式で表されるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子に含まれるアルミニウムモル数に対する前記アルカリのモル数の比、[アルカリのmol数]/[Alのmol数] で表されるアルカリ添加濃度βが、アルカリ単独処理の場合において、0.1≦β≦0.3の範囲であることを特徴とする上記(11)に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0044】
本発明の第一の効果は、微小で均一な粒子径を有する多孔質または多孔質中空粒子を提供できることである。
【0045】
本発明の第二の効果は、樹脂に混練する際に破壊することのない多孔質または多孔質中空粒子を提供できることである。
【0046】
本発明の第三の効果は、上記のような多孔質または多孔質中空粒子を安価に製造する方法を提供できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子についてさらに詳細に説明する。
【0048】
多孔質粒子としては、従来から特許文献1〜4に記載されているような、平均粒子径が5μmと大きく、粒径が均一でないものしか存在しなかったが、本発明によればそれらの粒子よりも平均粒子径が小さく、しかも(D90−D10)/D50で定義される粒子径のばらつき度εが0≦ε≦0.5であるような粒子径が均一な球状または碁石状の多孔質粒子が提供された。すなわち、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は、微粒子であってしかも形状が均一である点に特徴を有している。
【0049】
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の粒子形状の特徴は、SEM写真から認識することができる。
図1および2は本発明の実施例により得られた粒子のSEM写真である。球形多孔質粒子は図2、碁石状多孔質粒子は図1に示されている。特に図1の碁石状多孔質粒子は中空である。
【0050】
粒子の形状を特定する尺度の一つに、粉体工業分野において従来から用いられてきたWadellの円形度および球形度がある。
Wadellの球形度sは、
s=(粒子と等体積の球の表面積)/(粒子の表面積)
で定義され、sが1に近い程真球に近い。
Wadellの円形度cは、
c=(粒子の投影面積と等面積円の周長)/(粒子の投影面の周長)
で表わされ、cが1に近い程、真円に近い。
【0051】
本発明において粒子の形状が球状多孔質粒子であるとは、図2に示されるようなボール様の形状であればよく、前記Wadellの球形度sが0.95≦s≦1であることが好ましい。
【0052】
本発明において粒子の形状が碁石状多孔質粒子であるとは、図1に示すように短径を回転軸とした回転楕円形状の形状である。具体的には、回転軸の方向から見た粒子の投影像に関して、Wadellの円形度cが、0.95≦c≦1であって、断面である楕円の(短径/長径)の比率aが0.05≦a≦0.5であることが好ましい。
上記のように、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子は、用途や目的に応じて球状または碁石状の形状を提供でき、かつ粒子径をコントロールできる。すなわち、形状に関しては、断熱剤、重量軽減剤、爆薬の鋭感剤としては球状、吸着剤としては碁石状等、最適な形状のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子を提供することが可能である。
また、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子は、粒子体積に対する、粒子内部の空洞容積の割合が20〜70%であり、好適な態様では40〜60%である。
【0053】
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は、粒子径が好適な態様では0.1〜12μm、さらに好適には0.3〜10μm、特に好適には、0.3〜5μmの範囲であるにもかかわらず凝集性が小さく、粒子径が5μm以上である従来公知の多孔質粒子に比べて、樹脂に充填したときの分散性に優れる。したがって、本発明のアルミニウム塩水酸化物を樹脂に配合しても、フィルター詰まりや糸切れを起こし紡糸が困難になることがない。また、樹脂の機械的特性が低下することもない
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は、ζ=(細孔分布半値幅)/(平均細孔直径) で表される細孔径ばらつきζが0.1≦ζ≦0.5の範囲にあり均一な細孔径を持つ。ここで、「細孔分布半値幅」とは、細孔分布のピーク細孔容積に対し1/2の細孔容積をもつ2点間の幅である。従って、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は、特定の物質の選択吸着性があり、悪臭ガスや有害物質の吸着剤として単体で使用もしくは繊維、樹脂等に配合しても有用である。
【0054】
次に、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法について詳しく説明する。
【0055】
本発明の多孔質粒子の原料となる上記(I)式のアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子としては、特願2005−111733号明細書またはWO 2005/085168 A1パンフレットにおいて提案された方法に従って合成されたものを用いることができる。当該方法で合成されたアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子は、核が成長してできた微細な一次粒子の凝集によっており、それら一次粒子の集合過程の違いにより球状、碁石状、六角板状、米粒状等種々の形状を示し、また、常温では優れた耐酸性および耐アルカリ性を示し、酸またはアルカリで処理してもほとんど溶解することがない。このような粒子は、常温を超え100℃以下の温度において一定濃度の酸またはアルカリで処理することにより、上記一次粒子の凝集密度の低い部分のみ溶解させることができるため、多孔質粒子の原料として非常に適している。特に原料の粒子としては、球状もしくは碁石状のものが好ましい。
【0056】
上記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子を処理するための酸としては、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩および前記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と反応する全ての水可溶性の酸性化合物が挙げられる。好ましくは、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸およびクエン酸が選ばれる。さらに好ましいのは、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、蓚酸およびクエン酸である。
特に、酸として硫酸チタンおよびオキシ塩化ジルコニウム等を選択すると、アルミニウム塩水酸化物多孔質粒子表面に二酸化チタン、酸化鉄および酸化ジルコニウム等を析出、担持した多孔質中空粒子を生成させることができ、それら多孔質中空粒子は光触媒、導電性材料、磁性材料等として有用である。
【0057】
上記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子を処理するためのアルカリとしては、種々の金属水酸化物および前記アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と反応する全ての水可溶性アルカリ性化合物が挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アンモニアおよび炭酸ナトリウムが選ばれる。最も好ましいのは、水酸化ナトリウムである。
【0058】
酸またはアルカリ処理は、アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子の懸濁液に前記酸またはアルカリ水溶液を滴下し、攪拌しながら50℃以上170℃以下の温度で0.5時間以上加熱反応させたのち、冷却、濾別、水洗および乾燥することによって実施できる。本発明のアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子は乾燥後の焼成を行なわなくとも十分に多孔質化しているが、350〜800℃の範囲で焼成してもよい。
【0059】
酸処理において、α=[酸のmol数]/[出発物質(アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物)のAlのmol数] で表される酸添加濃度αは、0.05≦α≦1.1の範囲であることが好ましい。図16は、反応における硫酸添加濃度αと多孔質中空粒子の回収率およびBET比表面積の関係を示すグラフである。図16によれば、酸添加濃度αが0.05未満の場合、BET比表面積の増加が不十分な多孔質中空粒子となり、本発明の目的を達成することができない。また、αが1.1を超えると多孔質中空粒子の回収率が30%以下にまで低下し、好ましくない。0.05≦α≦0.8であれば、約50%以上の回収率を達成でき、より好ましい。
【0060】
一方、アルカリ単独の処理において、アルカリの濃度は、アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子のAlmol数と、アルカリのmol数のモル比 β=[アルカリのmol数]/[アルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子のAlのmol数](以下[アルカリ]/[Al]と略記)で表されるアルカリモル比βが0.1≦β≦0.3の範囲になるように設定することが好ましい。図17は、反応におけるアルカリモル比βと多孔質中空粒子のBET比表面積の関係を示すグラフである。図17によれば、アルカリモル比の増大に伴ってBET比表面積も増加するが、βが0.3を超えるとベーマイトが生成しており、0.1未満だと反応が進まないためBET比表面積が25m/g以下になり、本発明の目的を達成することができない。
【0061】
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子は、用途に合わせて樹脂に混練したり、種々の吸着剤例えば、水分吸着剤または調湿剤、揮発性有機物質(VOC)除去剤等、あるいは染料等の担体として用いることができる。
また、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子を減圧下で、染料溶液等で処理したのち洗浄することにより、染料等を内包したカプセルを作製することができる。このようなカプセル壁材は、薬品の徐放性壁材、保湿材等としても利用することができる。
【0062】
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子は、シリコーンゴムに混練しても破壊しない耐圧強度を持っているので、ほぼ全ての樹脂またはゴムに高密度で配合することができる。
本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質または多孔質中空粒子を樹脂、ゴム等へ添加する量は、添加剤としては、樹脂、ゴム等100重量部に対し、0.5〜90重量部であることが好ましい。0.5部より少ないと添加剤としての効果が不十分で90部を越えて配合しても効果は向上しないので、より好ましくは、1〜80重量部である。一方、充填剤としては、0.5〜100重量部であることが好ましい。0.5部より少ないと充填剤としての効果が不十分で95部を越えて配合しても効果は向上しないので、1〜95重量部であることがより好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下用いた全ての薬品は、特に記すもの以外は和光純薬製の一級試薬を使用した。また、原料として、特願2005−111733号明細書またはWO 2005/085168 A1パンフレットにおいて提案された方法に従って合成した、表1に示されるブランクA〜Eのアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子を用いた。
【0064】
実施例1
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクAで示される蓚酸(C)含有アルミニウム塩水酸化物70g(Al 0.472mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、18mol/LのHSO水溶液12mlを滴下する。このときの酸添加濃度αすなわちα=(HSOのmol数)/(蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物のAlのmol数)は0.458であり、懸濁液のpHは0.67(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは1.15(24.6℃)であった。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子49.68gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が142m/g、全細孔容積が0.204ml/gと、硫酸処理前のBET比表面積および全細孔容積がそれぞれ34倍、32倍になっていることから多孔質であることがわかる。また、該多孔質粒子の平均粒子径を含む特性を表2に示す。レーザー回折法による粒度分布を図3に示す。
【0065】
実施例2
室温において、1L容器に脱イオン水500mlを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクBで示されるクエン酸含有アルミニウム塩水酸化物35g(Al 0.2318mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、0.6mol/Lの蓚酸((COOH)・2HO)水溶液150mlを滴下する(酸添加濃度α=0.388)と、このときの懸濁液のpHは1.18(26.5℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは1.74(26.7℃)であった。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子21.84gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が99.3m/g、全細孔容積が0.143ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質粒子の特性を表2に示す。
【0066】
実施例3
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクA 35g(Al 0.236mol)を添加、懸濁させ、該懸濁液に、3.37NのNaOH水溶液21mlを滴下する。このときのアルカリモル比β、すなわち蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物のAl含量とNaOHとのモル比β=[NaOH]/[Al]は0.30であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは7.62(25℃)であった。反応終了後、濾別、水洗し105℃で16時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子28.7gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が64.9m/g、全細孔容積が0.141ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表2に示す。
【0067】
実施例4
室温において、1L容器に脱イオン水650mlを入れ、攪拌しつつブランクB 35g(Al 0.2318mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、30%硫酸チタン(Ti(SO)液59.81gを脱イオン水100mlで希釈した液を3分間で注加する(酸添加濃度α=0.645)。このときの懸濁液のpHは0.56(25.4℃)であった。該懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させ、攪拌しながら、さらに1.68N NaCO水溶液66mlを4分間で注加し(アルカリモル比β=0.957)、90℃で1時間反応させTiOを十分に析出させた。冷却後の反応液pHは2.27(25.3℃)であった。さらに、濾別、水洗し105℃で20時間乾燥させて、TiO17.2%を含むTiO(アナタース)担持碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子23.8gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が88.83m/g、全細孔容積が0.161ml/gの多孔質中空粒子であった。さらに図1Bおよび図1Cに示すSEM写真から、中空であることがわかる。該多孔質中空粒子の特性を表2に示す。
【0068】
実施例5
室温において、1L容器に脱イオン水500mlを入れ、攪拌しつつブランクCで示される酒石酸含有アルミニウム塩水酸化物70g(Al 0.4369mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、18mol/LのHSO水溶液10mlおよび0.21mol/Lのオキシ塩化ジルコニウム(ZrClO・8HO)150mlを滴下する(酸添加濃度α=0.556)。このときの懸濁液のpHは0.93(26.4℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させ、攪拌しながら、さらに3.03N KCO水溶液36mlを3分間で注加し(アルカリモル比β=0.506)、90℃で1時間反応させZrOを十分に析出させた。冷却後の反応液pHは3.98(24℃)であった。さらに、濾別、水洗し105℃で18時間乾燥させて、ZrO 9.5%を含むZrO担持碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子72gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が92m/g、全細孔容積が0.129ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質中空粒子の特性を表2に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
実施例6
室温において、1L容器に脱イオン水 500 mlを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクC 35g(Al 0.2184mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのHSO水溶液10mlおよび0.16mol/Lの硫酸鉄(Fe(SO) 150mlを滴下した(酸添加濃度α=1.15)。このときの懸濁液のpHは0.47(27.4℃)であった。懸濁液を加熱し90℃ で2時間反応させ、攪拌しながら、さらに18.6N KOH水溶液25mlを3分間で注加し(アルカリモル比β=2.13)、90℃で1時間反応させた。冷却後の反応液pHは2.98(24.5℃)であった。その後、濾別、水洗し105℃で18時間乾燥させて、Fe10.1%を含む碁石状アルミニウム鉄塩水酸化物粒子32.68gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が67.7m/g、全細孔容積が0.108ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質中空粒子の特性を表3に示す。レーザー回折法による粒度分布を図4に示す。
【0072】
実施例7
室温において、1L容器に脱イオン水500mlを入れ、攪拌しつつブランクB 35g(Al 0.2318mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、30%硫酸チタン(Ti(SO)溶液38.9gを脱イオン水100mlに希釈した溶液を3分間で注加した(酸添加濃度α=0.42)。このときの懸濁液のpHは0.77(24.6℃)であった。懸濁液を加熱し100℃ で2時間反応させた。冷却後の反応液pHは1.26(23.5℃)であった。その後、濾別、水洗し105℃で18時間乾燥させて、TiO11.24%を含むTiO(アナタース)担持碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子21.07gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が147m/g、全細孔容積が0.21ml/gの多孔質中空粒子であった。該多孔質中空粒子の特性を表3に示す。
【0073】
実施例8
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクC 35g(Al 0.2184mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのHSO水溶液9mlを滴下する(酸添加濃度α=0.74)。このときの懸濁液のpHは0.76(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。その後、濾別、水洗し105℃で20時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子24.54gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が139m/g、全細孔容積が0.188ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表3に示す。
【0074】
実施例9
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつ表1においてブランクDで示されるDL−グリセリン酸含有アルミニウム塩水酸化物35g(Al 0.228mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのHSO水溶液1.6mlを滴下する。(酸添加濃度α=0.126)であり、懸濁液のpHは0.89(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子31.5gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が120m/g、全細孔容積が0.132ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表3に示す。
【0075】
実施例10
室温において、2L容器に脱イオン水1.2Lを入れ、室温下、撹拌しつつ、ブランクE 70g(Al 0.481mol)をを添加、懸濁させる。懸濁液に、濃HSO液(0.216mol)を注加する(酸添加濃度α=0.449)。このときの懸濁液のpHは0.65(29.3℃)であった。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し、105℃で18時間乾燥させて、球状アルミニウム塩水酸化物粒子55gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が43.3m/g、全細孔容積が0.079ml/gの多孔質粒子であった。該多孔質粒子の特性を表3に、SEM写真を図2に示す。レーザー回折法による粒度分布を図5に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
比較例1
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。該懸濁液に、18mol/LのHSO水溶液0.8mlを滴下する(酸添加濃度α=0.03)。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子67gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が23m/g、全細孔容積が0.020ml/gであり、上記実施例と比較してBET比表面積および全細孔容積が小さい。該多孔質粒子の平均粒子径を含む特性を表4に示す。
【0078】
比較例2
室温において、2L容器に脱イオン水1Lを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、18mol/LのHSO水溶液32mlを滴下する(酸添加濃度α=1.2)。懸濁液を加熱し90℃で2時間反応させた。冷却後、濾別、水洗し105℃で15時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子17.6gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が105m/g、全細孔容積が0.15ml/gであるが、上記実施例と比較して収率が低い。該多孔質粒子の平均粒子径を含む特性を表4に示す。
【0079】
比較例3
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、3.37NのNaOH水溶液7.1mlを滴下する。このときのアルカリモル比β、すなわち蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物のAl含量とNaOHとのモル比β=[NaOH]/[Al] は0.05であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは7.00(25℃)であった。反応終了後、濾別、水洗し105℃で16時間乾燥させて、碁石状アルミニウム塩水酸化物粒子65.6gを得た。
得られた粒子は、BET比表面積が18.5m/g、全細孔容積が0.029ml/gの非多孔質の蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物粒子であった。すなわち、本比較例のごとくアルカリの添加量が少ないと、反応が進行せず、多孔質粒子はえられない。該粒子の特性を表4に示す。
【0080】
比較例4
室温において、1L容器に脱イオン水700mlを入れ、攪拌しつつブランクA 70g(Al 0.479mol)を添加、懸濁させる。懸濁液に、3.37NのNaOH水溶液142mlを滴下する。このときのアルカリモル比βは1.0であった。懸濁液を加熱し60℃で2時間反応させた。反応終了時のpHは8.01(25℃)であった。反応終了後、濾別、水洗し105℃で16時間乾燥させて、凝集塊状粒子33.2gを得た。
得られた粒子は、X線回折によって大部分がベーマイトであることが確認された。すなわち、本比較例のごとくアルカリの添加量が多すぎると、好ましくない副生成物が生成する。該粒子の特性を表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
実施例11 X線回折
実施例1、実施例2および実施例3のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子および、表1においてブランクAで示された蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物についてX線回折分析を行った結果、図6、図7、図8および図9のX線回折図を得た。これらの結果から、酸またはアルカリによって適正に処理して生成した多孔質粒子結晶構造において、酸またはアルカリ未処理のアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子の構造を維持していることがわかる。
【0083】
実施例12 細孔分布
実施例2のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子について測定した細孔分布図を図10に示す。本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子は均一なメソ孔をもつことがわかる。
【0084】
実施例13 吸脱着等温線
実施例2のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子について測定した作成した吸脱着等温線を図11に示す。この吸脱着等温線のもつヒステリシスから、実施例2のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子はスリット型メソ孔をもつ可能性があることを示している。
【0085】
実施例14 示差熱分析
ブランクAを酸処理することによって得られた、実施例4のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子および、表1においてブランクAで示された蓚酸含有アルミニウム塩水酸化物について示差熱分析を行なった結果をそれぞれ図12および図13の結果を得た。
【0086】
実施例15 吸収スペクトルの測定
実施例5で作製したZrO担持アルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子についてペレットを作製してUV〜可視〜近赤外光の吸収スペクトル測定した結果を図14に示す。紫外領域にZrOのバンドギャップに相当(約248nm)する光吸収が認められる。
【0087】
実施例16 耐圧強度の評価
実施例4で作製したアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子を、ジメチルビニルシリコーンゴム(TSE201/GE東芝シリコーン)100重量部に対し、100重量部の割合で添加し、40rpmの速度で15分間混練し、SEM写真で観察される断面の状態から破壊の有無を調べた。図15のSEM写真が示すように、混練後の粒子の破壊は認められず、本発明のアルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子は、樹脂に混練するのに十分な耐圧強度をもつことがわかる。
【0088】
分析、テストの方法および装置の説明
分析、テストの方法および装置を以下に説明する。
(1)SEM
方法:加速電圧15kV、作動距離10mm、倍率×2000、×10000、×20000
装置:S−3000N(日立)
(2)示差熱分析
方法:空気雰囲気100mL/min;参照試料α−アルミナ;昇温速度10℃/分
装置:Thermal Analysis Station TAS 100;TG8110(理学)
(4)粒度分布の分析
方法:0.2%のヘキサメタリン酸ナトリウムに試料粉末を添加し(濃度:wt1%)、超音波で3分間分散させ、粒子径を測定した。
装置:LA−910(HORIBA)
(5) BET比表面積、細孔分布、吸脱着等温線の分析
方法:3点法による
装置: NOVA2000高速比表面積/細孔分布測定装置(ユアサ アイオニクス)
(6)X線回折の分析
方法:Cu−Kα、角度(θ):5〜65、ステップ:0.02、スキャンスピード:4、管電圧:40kV、管電流:20mV
装置:RINT2200V X線回折システム(理学電機(株)社製)
(7)樹脂への混練
装置:プラストミル(ブラベンダー社製)
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1A】図1AはブランクAのSEM写真である。
【図1B】図1Bは実施例4においてブランクAを酸処理して得た碁石状アルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子のSEM写真である。
【図1C】図1Cは図1Bの粒子中、SEM像で観察された破砕した粒子のSEM写真である。
【図2】図2は実施例10にかかる球状アルミニウム塩水酸化物多孔質粒子のSEM写真である。
【図3】図3は実施例1にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の粒度分布図である。横軸が粒子径、左側縦軸が度数(%:トータル数に対する比率で、棒で表記)であり、右側縦軸が累積度数(%:トータル数に対する比率で折れ線表記)である。
【図4】図4は実施例7にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の粒度分布図である。
【図5】図5は実施例10にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の粒度分布図である。
【図6】図6は実施例1にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子のX線回折図である。
【図7】図7は実施例2にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子のX線回折図である。
【図8】図8は実施例3にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子のX線回折図である。
【図9】図9は表1にかかるブランクAで示されたアルミニウム塩水酸化物のX線回折図である。
【図10】図10は実施例12にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の細孔分布図である。横軸が細孔径(Å)、縦軸が(cc/g)である。
【図11】図11は実施例13にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の吸脱着等温線である。横軸が相対圧、縦軸が吸脱着量(cc/g)である。
【図12】図12は実施例4にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の示差熱分析図である。横軸が波数(cm−1)、縦軸が重量(%)である。
【図13】図13は表1にかかるブランクAで示されたアルミニウム塩水酸化物粒子の示差熱分折図である。
【図14】図14は実施例15にかかるアルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子のUV〜可視〜近赤外における吸収スペクトルである。横軸が波長(nm)、縦軸が透過率(%)である。
【図15】図15は実施例16にかかる球状アルミニウム塩水酸化物多孔質中空粒子を充填したシリコーン樹脂の断面のSEM写真である。
【図16】図16は、本発明にの酸処理反応における、酸処理濃度αと、多孔質粒子のBET比表面積(m/g)および多孔質粒子回収率(%)の関係を表すグラフである。
【図17】図17は、本発明のアルカリ処理反応における、アルカリモル比βと、多孔質粒子のBET比表面積(m/g)の関係を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BET法による比表面積が、30m/g〜280m/gの範囲でありかつ、下記一般式(I)で表わされるアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
α[Al1−σZ′σβωξ(OH)ν・γHO (I)
(ただし、Zは、Na、K、NHおよびHなる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、Z′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Qは少なくとも1種の有機酸アニオン、Rは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中α、β、γ、ν、σ、ξおよびωは、0.7≦α≦1.35、2.7≦β≦3.3、0≦γ≦5、4≦ν≦7、0≦σ≦0.6、1.7≦ξ≦2.4、0≦ω≦0.5とする。)
【請求項2】
見掛け比重が0.3〜0.8g/cmである請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項3】
全細孔容積が0.02〜0.25ml/gの範囲にある請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項4】
粒子内部に空洞を有することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項5】
粒子内部に空洞を有しかつ粒子体積に対する、粒子内部の空洞容積の割合が20〜70%であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項6】
BJH法による細孔分布において、ζ=細孔分布半値幅/平均細孔直径 で表される細孔径ばらつきζが0.1≦ζ≦0.5の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項7】
レーザー回折法によって測定される、累積粒度分布曲線の10%値、50%値および90%値の粒子径をそれぞれD10、D50およびD90として、0≦(D90−D10)/D50≦0.5を満足することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項8】
SEM画像で特定される粒子の形状が球状または碁石状であることを特徴とする請求項1に記載の多孔アルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項9】
レーザー回折法によって測定される平均粒子径が0.1〜12μmの範囲にある請求項1に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項10】
800℃以下で焼成されていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子。
【請求項11】
下記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と酸性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とするアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
[Al1−xM′(OH)・mHO (II)
(ただし、Mは、Na、K、NHおよびHなる群から選ばれる少なくとも1種の陽イオン、M′は、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Sn4+、Zr4+、Fe2+、Fe3+およびTi4+なる群から選ばれる少なくとも1種の金属の陽イオン、Aは少なくとも1種の有機酸アニオン、Bは少なくとも1種の無機酸アニオンを表わし、式中a、b、m、n、x、yおよびzは、0.7≦a≦1.35、2.7≦b≦3.3、0≦m≦5、4≦n≦7、0≦x≦0.6、1.7≦y≦2.4、0≦z≦0.5とする。)
【請求項12】
酸性溶液と接触させて加熱反応させたのち、さらにアルカリ性溶液と接触させて加熱反応させることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項13】
前記酸性溶液が、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項14】
前記酸性溶液が、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項15】
前記酸性溶液が、硫酸、硫酸チタン、硫酸鉄(III)、オキシ塩化ジルコニウム、蓚酸およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種の酸性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項16】
上記(II)式で表されるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子に含まれるアルミニウムモル数に対する前記酸のモル数の比、[酸のmol数]/[Alのmol数] で表される酸添加濃度αが、0.05≦α≦1.1の範囲であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項17】
上記一般式(II)で表わされるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子と、アルカリ性溶液を接触させて加熱反応させることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項18】
前記アルカリ性溶液が、アルカリ性金属塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項19】
前記アルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項20】
前記アルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物溶液であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。
【請求項21】
上記(II)式で表されるアルナイト型化合物粒子または有機酸アニオン含有アルミニウム塩水酸化物粒子に含まれるアルミニウムモル数に対する前記アルカリのモル数の比、[アルカリのmol数]/[Alのmol数] で表されるアルカリ添加濃度βが、アルカリ単独処理の場合において、0.1≦β≦0.3の範囲であることを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム塩水酸化物多孔質粒子の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−204293(P2007−204293A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22557(P2006−22557)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000162489)協和化学工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】