説明

多孔質膜、多孔質膜の製造方法、固体高分子電解質膜、及び燃料電池

【課題】 薄膜化が可能で、強度が高く、かつ燃料ガスのクロスリーク量が少ない高耐久性多孔質膜を提供し、この多孔質膜を固体高分子電解質膜として用いることによって、出力電圧及び電流密度が向上された燃料電池を提供する。
【解決手段】 パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを焦点部出力が0.001〜10Wで照射されて生じる多数の細孔を有し、該細孔の孔径が0.1〜100μmであることを特徴とする高分子又は無機材料からなるフィルム又はシートからなる多孔質膜、及び該細孔に高分子電解質を充填した高分子電解質膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機能性膜、特に固体高分子型燃料電池、水電解装置などに用いる固体高分子電解質に最適な無機または有機の多孔質膜、及びその製造方法、さらに多孔質膜を用いた燃料電池に関する。特に、100μm以下、好ましくは10μm以下の孔径の貫通孔をもつ高分子又は無機フィルムまたはシートを、容易に物性設計で作製できる多孔質膜及びその製造方法に関する。また、燃料電池に用いた時に、運転状況の繰り返し変化に対する破損のない耐久性に優れた固体高分子電解質膜及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質型燃料電池は、電解質として固体高分子電解質膜を用い、この膜の両面に電極を接合した構造を有する。
【0003】
燃料電池として使用する際に高分子固体電解質膜は、それ自体の膜抵抗が低い必要があり、その為には膜厚はできるだけ薄い方が望ましい。しかしながら、膜厚を余り薄くすると、製膜時にピンホールが生じたり、電極成形時に膜が破れてしまったり、電極間の短絡が発生したりしやすいという問題点があった。また、燃料電池使用される高分子固体電解質膜は、常に湿潤状態で使用されるため、湿潤による高分子膜の膨潤、変形等による差圧運転時の耐圧性やクロスリーク等、信頼性に問題が生じるようになる。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、イオン交換樹脂の含水量の変化が繰り返し生じても破損せず、かつイオン交換樹脂とフッ素樹脂等の多孔膜が互いに密着し、ピンホールができ難いイオン交換膜を目的として、延伸により作製されたフッ素樹脂等の多孔膜の少なくとも孔中に、溶媒に溶解したポリマーを含浸させ、乾燥することにより多孔膜に付着させた後、イオン交換基を導入してイオン交換膜を製造する方法が開示されている。
【0005】
また、高分子材料に微細な孔を開ける方法として、下記特許文献2には、YAGに代表されるレーザーを用いて、特定の光吸収率を持った高分子フィルムの一部を溶融させて貫通孔を形成し多孔フィルムを作製する手法が開示されている。具体的には、高分子電解質膜の多孔基材に高精度で、効率よく貫通孔を穿孔する製造方法を提供すること、また出力の安定した高性能な燃料電池を提供することを目的として、波長330〜500nmにおける光線吸収率が60%以上である基材にレーザー照射して貫通孔を作製し、該貫通孔を複数個有する多孔基材にプロトン伝導体を充填して高分子電解質膜を製造する方法が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献3には、イオンビームをフィルムの特定部分に照射/改質した後、当該特定部分をエッチング液により除去することで、高分子フィルムに貫通孔を形成し多孔フィルムを作製する技術が開示されている。具体的には、広い範囲のイオン交換容量を有するフッ素系高分子イオン交換膜で耐酸化性が高く、特に燃料電池に適したイオン交換膜を提供することを目的として、ポリテトラフルオロエチレン膜を300〜365℃の温度範囲、10−3〜10Torrの減圧下、または、不活性ガス雰囲気下で、電子線やγ線の放射線を5〜500kGy照射して長鎖分岐型ポリテトラフルオロエチレン膜を作製し、当該膜に再び電子線やγ線を室温、不活性ガス中で5〜500kGy照射した後、不活性ガス下、ハイドロフルオロビニルエーテルモノマーを−78℃〜100℃あるいは溶媒の沸点以下の温度範囲でグラフト反応させて長鎖分岐型ポリテトラフルオロエチレン膜に該モノマーによるグラフト鎖を導入し、さらに、このグラフト鎖にスルホン酸基を導入してフッ素系高分子イオン交換膜の製造方法が開示されている。
【0007】
一方、レーザー微細加工に適したレーザービームとして、パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーが注目されている。特にフェムト秒(fs:10−12sec)パルスレーザービームは、金属や透明材料などの各種材料の加工に用いた場合、これまでの炭酸ガスレーザーやYAGレーザーによる加工とは全く異なり、レーザービームの照射部位周辺に熱的、化学的な損傷(変形、変質)をほとんど与えないという特徴がある。
【0008】
これは、従来のレーザー加工では被加工材料に照射された光エネルギーのほとんどが熱エネルギーに変換され、この熱によって融解、分解、飛散による加工が進行するのに対し、超短パルスレーザーを用いた場合には、極めて短時間にエネルギーが被加工材料に集中するため、ナノプラズマ、ナノショック、ブレークダウン、格子歪み、衝撃波が超高速で発生し、熱が発生する前にアブレーション(飛散)による加工が進行するために、照射部位のみの加工が誘起され周囲に損傷が及ばず、きれいな加工がなされると考えられている。
【0009】
また、フェムト秒パルスレーザーなどの超短パルスレーザービームを用いた透明材料に対する加工では、多光子吸収による加工が進むため、材料表面を損傷することなく、内部のみを3次元的にリモート加工することも可能である。さらに、多光子吸収など非線形現象を利用した加工であるため、光を用いているにもかかわらず、照射光の波長の回折限界を超える加工分解能が得られる。
【0010】
このように、フェムト秒パルスレーザーなどの超短パルスレーザービームを用いたレーザー加工においては、従来のレーザー加工とは加工のメカニズムが全く異なり、分解能も遙かに高く、かつ、被加工材料の内部に加工領域を限定することもできるので、従来のレーザー加工の常識を遥かに越えたサブミクロン以下の超微細加工技術を実現することができる。
【0011】
【特許文献1】特開平9−194609号公報
【特許文献2】特開2004−247123号公報
【特許文献3】特開2002−348389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これまで貫通孔を持つ多孔膜の作製技術においては、延伸法、溶液流延法、化学処理によるエッチング法など種々の方法が開発されてきたが、これらの手法では生産技術上の制約から容易に材料が変更できない。そのため、膜の広い設計要求に応じるという意味ではいずれも根本的な解決策とはなり得ていない。そこで、無機又は有機の材料に依らずに貫通孔を形成できる多孔膜を作製する技術が求められていた。
【0013】
上記特許文献1に開示された方法では、ポリマーは親水性であるのに対し延伸多孔膜は疎水性であり、溶媒にて馴染み易くしてはいるが、耐久性の高い複合化は行われていない。したがって、使用中に電解質とPTFEが分離するという懸念がもたれている。
【0014】
又、上記特許文献2に開示された方法では、(1)作製できる多孔膜の孔径が大きいものに留まるという問題点がある。これは、作製できる貫通孔の孔径が10μm〜100μmと大きいため。従来レーザーを用いた微細孔加工では焦点サイズが大きく熱に関連する影響(伝熱等)が出るため、孔径を低くすることが原理的に困難であることに因る。また、(2)膜強度等多孔膜の設計できる幅が狭いという問題点があって。これは、フィルムに使用できる高分子材料が限られるためである。従来、レーザを用いた加工ではフィルムが吸光性を持っていないと孔が空かないという問題がある。また、吸光性を上げるため顔料を添加しても、使用時に溶出する危険性がある。
【0015】
更に、上記特許文献3に開示された方法では、(1)コストがかかると言う問題点があった。これは、穿孔を作製するための重イオンビームを得るには巨大なイオン加速器が必要であるためである。また、(2)工程が多いのも問題点である。これは、イオンビームを透過させたのみでは穿孔が形成できず、変性した(低分子になり溶出しやすくなった)部分を取り除くための化学処理(酸処理/溶剤処理等)が必要になることに因る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、超短パルスレーザーを用いて細孔を穿孔することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
【0017】
即ち、第1に、本発明は、多孔質膜の発明であり、パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを焦点部出力が0.001〜10Wで照射されて生じる多数の細孔を有し、該細孔の孔径が0.1〜100μm、望ましくは0.1〜10μmであることを特徴とする高分子又は無機材料からなるフィルム又はシートからなる多孔質膜である。本発明の多孔質膜は多数の細孔を有することを利用して各種機能性膜として用いることができる。
【0018】
本発明の多孔質膜は高分子材料または無機材料が超短パルスレーザーの照射エネルギーによって、所望の形状で穿孔することができるとともに、高分子材料または無機材料有する初期の強度等の諸物性も維持される。ここで、本発明の多孔質膜の後述する種々の用途を考えると、細孔は貫通していることが好ましい。
【0019】
本発明の多孔質膜は、種々の用途に用いることができるが、電解質膜、特に燃料電池用電解質膜と用いるためには、細孔に高分子電解質が充填されている必要がある。サブミクロンオーダーの細孔に高分子電解質が充填されているために、高分子又は無機材料からなるフィルム又はシート基材と高分子電解質の密着性が高く、種々の用途に用いられて高耐久性を示す。
【0020】
本発明において、フィルム又はシートの基材としては高分子材料又は無機材料が用いられる。高分子材料としては、公知の種々の高分子材料が用いられる。この中で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は共重合成分を10モル%以下含むテトラフルオロエチレン共重合体、メチル基、フェニル基、水素基または水酸基のうちから選択される少なくとも1種以上の基を置換基として有するポリシロキサンが好ましく例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の複合多孔質膜をイオン交換性機能膜として用いるには、細孔に充填される高分子電解質がスルホン酸基を有することが好ましい。
【0022】
本発明で用いられる超短パルスレーザーは、パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーであり、具体的には、ナノ秒パルスレーザー、ピコ秒パルスレーザー又はフェムト秒パルスレーザーが例示される。
【0023】
第2に、本発明は上記の多孔質膜の製造方法の発明であり、(1)高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシートを用意し、(2)該フィルム又はシートにパルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを焦点部出力が0.001〜10Wで照射させ、該フィルム又はシートに孔径が0.1〜100μm、好ましくは0.1〜10μmである多数の細孔を生じさせる。
【0024】
本発明の多孔質膜を電解質膜として用いるために、(3)該細孔に電解質生成モノマーを充填させ、次いで該電解質生成モノマーを重合させることが好ましい。ここで、電解質生成モノマーに架橋剤を充填させることによって、重合時に架橋反応を生じさせ、細孔内の電解質部分の強度、耐溶媒性、耐熱性等を付与することができる。また、電解質生成モノマー及び所望により架橋剤を充填させ際に、超音波処理及び/又は脱法処理を行なって電解質生成モノマー及び所望により架橋剤を細孔内に十分浸透させることが好ましい。
【0025】
細孔内の電解質生成モノマーの重合法は特に制限されず、光重合、熱重合、触媒開始重合から選択される1種以上が好ましく例示され、当該重合法を繰り返し行なうことが好ましい。この中で、光重合が操作性等の点で好ましい。
【0026】
本発明の多孔質膜を電解質膜として用いるために、上記(3)に代えて、(4)該細孔に高分子電解質を充填させることも好ましい。充填される高分子電解質としては公知のものを用いることが。できる、この中で、下記一般式(2)で表される(式中、a:b=0:1〜9:1、n=0,1,2)高分子電解質が好ましい。
【0027】
【化1】

【0028】
前記細孔に高分子電解質を充填させるには、該高分子電解質を無溶媒又は溶媒に溶解させて充填する。例えば、高分子電解質溶液を用い、後に溶媒を蒸発させることができる。前記溶媒の沸点が90℃〜180°と高いことが好ましい。又、細孔に高分子電解質を充填させ際に、加熱及び/又は加圧することも効果的である。
【0029】
本発明において、超短パルスレーザーの具体例としては、ナノ秒パルスレーザー、ピコ秒パルスレーザー又はフェムト秒パルスレーザーが例示されることは上述の通りである。
【0030】
パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを照射させる際に、ホログラフィック露光法を用いると、多数の細孔を規則的に穿孔することが可能であり、本発明の多孔質膜の製造方法として好ましい。
【0031】
第3に、本発明は、上記の多孔質膜からなる機能性膜である。
【0032】
第4に、本発明は、上記の複合多孔質膜からなる高分子電解質膜である。
【0033】
第5に、本発明は、上記の固体高分子電解質膜を有する燃料電池である。
【0034】
本発明によれば、固体高分子電解質膜の厚さを薄くすることが可能であり、また、高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシート基材を電解質膜の支持体として用いるため、電解質膜の強度を補強することができるので、本発明に係る固体高分子電解質膜を備えた燃料電池は、高耐久性であるとともに、燃料ガスのクロスリーク量が少なく、電流−電圧特性を向上することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、以下の作用・効果が奏される。
(1)多孔膜設計範囲が拡大する。全ての高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシートに適用できるため、所望の物性を有する高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシート基材が補強材となり、膜強度等の膜の物性を設計できる範囲が広くなる。従来のレーザー加工では、材料の種類及び吸光度で制限があった。これは、フェムト秒レーザー等による原子間結合を分解する作用で孔を加工するためである。
【0036】
(2)加工可能孔径範囲が拡大する。超短パルスレーザーによると熱伝導の影響を受け難いためである。従来技術では最小孔径10μmが限界だが、本技術では0.1μmまでの加工が可能である。しかも、細孔の孔径を制御でき、ばらつきのない細孔を形成できる。これは、従来技術では熱溶融が加工原理となっているためである。
【0037】
(3)工程の短縮が可能である。前処理、後処理が必要ないためである。電解質材料をフィルム又はシートに固定するために表面処理等の化学的処理を必要としない。超短パルスレーザーによる加工では、高分子材料矢無機材料を原子レベルから分解する原理を用いるため、エッチング等の化学処理を必要としないことによる。
【0038】
これらに加えて、以下の作用・効果も期待できる。
(4)高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシート基材に高分子電解質が良く含浸する。
(5)細孔径が小さくても補強効果が大きいために、複合膜の機械的耐久性が維持できる。
(6)電解質モノマーを含浸させ重合させると、水系または非水系の電解質が無溶媒で直接得られる。
(7)高分子電解質自体がスルホン酸基を有するため、加水分解により側鎖にイオン交換基を導入する操作が省略できる。
(8)穿孔された細孔径が小さいため、高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシート基材への親和性が高く、高分子電解質膜として強度に優れている。
【0039】
又、本発明によれば、高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシート基材を電解質膜の支持体として用いるため、電解質膜の強度を補強することができる。固体高分子電解質膜は、電解質膜の厚さをフィルム又はシート基材の厚さで調節することができるので、従来のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を膜状に成形した電解質膜に比べて、強度を補強することができる。これにより、従来のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を膜状に成形した電解質に比べて厚さを薄くしても使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明で用いられるパルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーの具体例としては、チタン・サファイア結晶を媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得られたパルス幅が10−9秒以下のパルスレーザー、エキシマレーザーやYAGレーザー(Nd−YAGレーザー等)の倍波によるパルス幅が10−9秒以下のパルスレーザーなどを用いることができ、特に、チタン・サファイア結晶を媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得られたパルス幅が10−12秒〜10−15秒のフェムト秒のオーダーのパルスレーザー(フェムト秒パルスレーザー)を好適に用いることができる。もちろん、超短パルスレーザーにおけるパルス幅は、10−9秒以下であれば特に制限されず、例えば、10−9秒から10−12秒のピコ秒オーダーや、10−12秒から10−15秒のフェムト秒のオーダーであり、通常は、100フェムト秒(10−13秒)程度である。このようなチタン・サファイア結晶を媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得られたパルス幅が10−9秒以下のパルスレーザーや、エキシマレーザーやYAGレーザー(Nd−YAGレーザー等)の倍波によるパルス幅が10−9秒以下のパルスレーザーなどの超短パルスレーザーを用いると、パルスエネルギーが高いので、多光子吸収過程を利用したレーザー加工を行うことができ、そのパワーにより波長より狭い幅の微細加工を行うことができるようになる。従って、超短パルスレーザーを用いて多光子吸収過程を利用したレーザー加工により、最小の径又は幅が200μm以下である微小貫通孔を形成することができるようになる。なお、断面形状は、円形、楕円形に限らず、長径が長い場合には直線状、曲線、折れ曲がり線等の任意な形状であっても良い。
【0041】
本発明において、超短パルスレーザーの波長は、特に制限されず、多光子吸収過程を利用しているので、高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシート基材の吸収波長よりも長い波長であってもよく、フィルム又はシート基材の種類又はその吸収波長に応じて適宜選択することができる。具体的には、超短パルスレーザーの波長としては、例えば、紫外線領域〜近赤外線領域の領域内の波長であってもよく、従って、200nmから1000nmの範囲内から適宜選択することができる。なお、超短パルスレーザーの波長としては、フィルム又はシート基材の吸収波長(吸収のピーク波長)の倍波(2倍波、3倍波など)となる波長であることが好ましい。
【0042】
また、超短パルスレーザーの繰り返しとしては、1Hzから100MHzの範囲で、通常は10Hzから500kHz程度である。
【0043】
フィルム又はシート基材に対して、内部における単位体積当たりに照射されるエネルギーは、超短パルスレーザーの照射エネルギー、フィルム又はシート基材に照射する際に用いられる対物レンズの開口数(光源の絞り込み)、被加工プラスチック基材への照射位置又は焦点の深さ、レーザーの焦点の移動速度などに応じて適宜決めることができる。
【0044】
本発明では、超短パルスレーザーの平均出力又は照射エネルギーとしては、0.01W以上であれば特に制限されず、目的とする細孔(特に微小貫通孔)の大きさや形状等に応じて適宜選択することができ、例えば、10000mW以下、好ましくは5〜500mW、さらに好ましくは10〜300mW程度の範囲から選択することができる。
【0045】
また、超短パルスレーザーの照射スポット径としては、特に制限されず、目的の微小孔部の大きさやその形状、レンズの大きさや開口数又は倍率などに応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜10μm程度の範囲から選択することができる。
【0046】
本発明で用いられる、フィルム又はシート基材として用いられる高分子材料としては、共重合体を含めた単一化学構造のポリマー材料からなるものだけでなく、異なる化学構造を有する複数のポリマー材料からなるポリマーアロイやポリマーブレンドも用いることができる。また、高分子フィルム又はシート基材としては、無機化合物や金属などの他の材料を分散状態で含んだ複合体であってもよく、異なるプラスチックや他の材料からなる層を含んだ2以上の層構造からなる積層体であってもよい。例えば、高分子フィルム又はシートに導電性を付与するために、カーボンブラックが分散された高分子フィルム又はシート基材を用いると、レーザー光の吸収効率が上がり、加工しやすくなる効果も発現する。
【0047】
高分子フィルム又はシートとしては、コスト上炭化水素系材料(エンプラ材料を含む)が望ましいが、フッ化物系材料でもよい。また、無機材料でもよい。具体的には、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、PAI、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、PPSU、PAR、PBI、PA、ポリフェニレンエーテル(PPO)、ポリカーボネート(PC)、PP、ポリエーテルスルホン(PES)、PVDC、PSF、PAN、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF、SiO等の材料が使用可能である。
【0048】
更に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタクリレート系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリエステルイミド;ポリアセタール;ポリアリレート;ポリアリール;ポリスルホン;ポリウレタン類;ポリエーテルケトン類;ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル類;ポリブトオキシメチレンなどのポリビニルエステル類;ポリシロキサン類;ポリサルファイド類;ポリフォスファゼン類;ポリトリアジン類;ポリカーボラン類;ポリノルボルネン;エポキシ系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリイソプレンやポリブタジエンなどのポリジエン類;ポリイソブチレンなどのポリアルケン類;フッ化ビニリデン系樹脂、ヘキサフルオロプロピレン系樹脂、ヘキサフルオロアセトン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂などの樹脂(熱可塑性樹脂など)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
これらフィルム又はシート基材は、細孔を有する複合多孔質膜の用途に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルター、セパレータ等の用途では、化学安定性等を考慮して、フッ素系樹脂またはオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
【0050】
高分子フィルム又はシート基材としては、その厚みは特に制限されず、細孔を有する多孔質膜の用途に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上(例えば、0.1μm〜10mm)であってもよい。なお、基材がプラスチックフィルムである場合、多光子吸収過程を利用したレーザー加工により、細孔を有するプラスチックフィルムが得られる。本発明では、被加工基材が高分子フィルムであっても(すなわち、その厚みが薄くても)、優れた精度でレーザー加工を行うことができる。被加工基材が高分子フィルムである場合、その厚みは、例えば、0.1〜500μm(好ましくは1〜300μm、さらに好ましくは10〜150μm)であってもよい。
【0051】
本発明で用いられる電解質生成モノマーとしては公知の種々のものを用いることができる。例えば、化学構造中にスルホン酸等の強酸基を有する化合物である、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、スチレンスルホン酸、スチレンホスホン酸が好ましいが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0052】
又、本発明では、上記のイオン性官能基を有するモノマー自体だけでなく、後工程の反応によりイオン性官能基に変換する基を有するモノマーも含まれる。例えば、本発明では、高分子フィルム又はシート基材中に電解質生成モノマーを含浸させ、重合させ、さらに、分子鎖内のスルホニルハライド基[−SO]、スルホン酸エステル基[−SO]、又はハロゲン基[−X]をスルホン酸基[−SOH]とすることにより製造する。また、高分子フィルム又はシート基材中に存在する電解質生成モノマー単位に存在するフェニル基、ケトン、エーテル基などはクロルスルホン酸でスルホン酸基を導入して製造することができる。
【0053】
本発明において、電解質生成モノマーは、以下の(1)〜(6)に示すモノマーが代表的である。
(1)スルホニルハライド基を有するモノマーである、CF=CF(SO)(式中、Xはハロゲン基で−Fまたは−Clである。以下同じ。)、CH=CF(SO)、及びCF=CF(OCH(CFSO)(式中、mは1〜4である。以下同じ。)からなる群から選択される1種類以上のモノマー。
【0054】
(2)スルホン酸エステル基を有するモノマーである、CF=CF(SO)(式中、Rはアルキル基で−CH、−Cまたは−C(CHである。以下同じ。)、CH2=CF(SO)、及びCF2=CF(OCH(CFSO)からなる群から選択される1種類以上のモノマー。
【0055】
(3)CF=CF(O(CH)(式中、Xはハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ。)、及びCF=CF(OCH(CF)からなる群から選択される1種類以上のモノマー。
【0056】
(4)アクリルモノマーである、CF=CR(COOR)(式中、Rは−CH又は−Fであり、Rは−H、−CH、−C又は−C(CHである。以下同じ。)、及びCH=CR(COOR)からなる群から選択される1種類以上のモノマー。
【0057】
(5)スチレン、スチレン誘導体モノマーである2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、及び4−tertブチルスチレンからなる群から選択される1種類以上のモノマー。
【0058】
(6)アセチルナフチレン、ビニルケトンCH=CH(COR)(式中、Rは−CH、−C又はフェニル基(−C)である。)、及びビニルエーテルCH=CH(OR)(式中、Rは−C2n+1(n=1〜5)、−CH(CH、−C(CH、又はフェニル基である。)からなる群から選択される1種類以上のモノマー。
【0059】
所望により、本発明で用いられる電解質生成モノマーに対し架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,5−ビス(トリフルオロビニル)フェノール、及び3,5−ビス(トリフルオロビニロキシ)フェノール等が挙げられる。これら1種類以上の架橋剤を、全モノマー基準で30モル%以下の量加えて架橋重合させる。
【0060】
本発明では、多孔質膜に薬液、プラズマ、放射線などを用いて表面処理を行ない、該多孔質膜の表面に官能基を導入しても良い。また、前記の通り導入された官能基と電解質生成モノマーとが直接結合または架橋基を介して結合されていても良い。
【0061】
本発明の細孔を有する多孔質膜は、表面や内部に精密に制御された細孔を有しているので、精密に制御して形成された細孔を利用した各種機能を効果的に発揮することができる。特に、細孔を有する多孔質膜は、微小貫通孔を有している場合には、フィルター機能、メンブレン機能、セパレータ機能、霧化機能、ガス拡散化機能、ノズル機能や流路調整機能などを発揮することができる。
【0062】
本発明の細孔を有する多孔質膜の具体的用途としては、精密な空間や流路などを形成するスペーサー機能を利用したマイクロマシーンやセンサー、バイオ機器、マイクロリアクターチップ、埋め込み型人工臓器の他、マイクロフィルター、精密ろ過膜(マイクロメンブレン)、電池用セパレータ(例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の各種電池で利用される電池用セパレータ)、燃料電池の部材(例えば、ガス拡散層、集電層、透湿層、保湿層などの燃料電池で用いられる各種部材)、マイクロノズル(例えば、プリンター用マイクロノズル、噴射用マイクロノズル、噴霧用マイクロノズル、隙間用マイクロノズルなど)、ディストリビュータ、ガス拡散層、マイクロ流路などの各種機能部材に用いることができる。
【0063】
本発明の細孔を有する複合多孔質膜を燃料電池に用いると、固体高分子電解質膜の厚さを薄くすることが可能であり、また、高分子材料又は無機材料からなるフィルム又はシート基材を電解質膜の支持体として用いるため、電解質膜の強度を補強することができるので、本発明に係る固体高分子電解質膜を備えた燃料電池は、高耐久性であるとともに、燃料ガスのクロスリーク量が少なく、電流−電圧特性を向上することができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例を示す。
三協化成製PEEK、PEI、PSF、Solvay製PPSU、及び東レ製PPS各フイルムに、パルλ幅150fs、焦点部出力0.03Wであるレーザーを0.01sec〜1.0sec照射し直径5〜30μmの貫通孔を持つ多孔フィルムを形成した。
【0065】
図1〜図5に、レーザー顕微鏡による多孔質膜の表・裏面の観測結果の一例を示す。図1は、実施例で得られたPEEK(膜厚55μm)のレーザー照射側であり、上段:左より照射時間0.01sec〜0.04sec(0.01sec刻み)/下段:左より焦点距離0mm〜0.15mm(0.05mm刻み)である。図2は、実施例で得られたPEI(膜厚50μm)のレーザー照射側であり、上段:左より照射時間0.01sec〜0.04sec(0.01sec刻み)/下段:左より焦点距離0mm〜0.15mm(0.05mm刻み)である。図3は、実施例で得られたPSF(膜厚60μm)のレーザー照射側であり、左より照射時間0.01sec〜0.04sec(0.01sec刻み)である。図4は、実施例で得られたPPSU(膜厚25μm)のレーザー照射側であり、上段:左より照射時間0.01sec〜0.04sec(0.01sec刻み)/下段:左より焦点距離0mm〜0.15mm(0.05mm刻み)である。図5は、実施例で得られたPPS(膜厚55μm)のレーザー照射側と反対側であり、上段:左より照射時間0.01sec〜0.04sec(0.01sec刻み)/下段:左より焦点距離0mm〜0.15mm(0.05mm刻み)である。
【0066】
また、得られたPEEK多孔フィルムを用いて燃料電池電解質膜を試作した。Aldrich製ATBS(アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸)に同社製N,N−メチレンビスアクリルアミド及び重合開始剤を純水中に50:49.75:0.025:50の重量比率で混合し、当該PEEK多孔フィルムに含浸させ、TGK株式会社製紫外光露光機により紫外線を照射して膜内で重合を行った。表面をSEMにより観察したところ、孔は電解質により充填されていることが分かった。これにより、本発明により形成される多孔フィルムは、燃料電池用電解質膜の基材として使用できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明により、(1)所望の物性を有するフィルム又はシート基材が補強材となる、(2)細孔の孔径を制御でき、ばらつきのない細孔を形成できる、(3)電解質材料をフィルム又はシートに固定するために表面処理等の化学的処理を必要としない、等の効果が得られ、本発明の多孔質膜は機能性膜として種々の用途に適用される。
【0068】
又、本発明によれば、複合多孔質膜、特に固体高分子電解質膜の耐久性を向上させることが可能であり、本発明に係る固体高分子電解質膜を備えた燃料電池は、高耐久性であるとともに、燃料ガスのクロスリーク量が少なく、電流−電圧特性を向上することができる。これにより、燃料電池の耐久性と発電性能を高め、その実用化及び普及に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例で得られたPEEK(膜厚55μm)多孔質膜のレーザー顕微鏡によるのレーザー照射側の観測結果を示す。
【図2】実施例で得られたPEI(膜厚50μm)多孔質膜のレーザー顕微鏡によるレーザー照射側の観測結果を示す。
【図3】実施例で得られたPSF(膜厚60μm)多孔質膜のレーザー顕微鏡によるレーザー照射側の観測結果を示す。
【図4】実施例で得られたPPSU(膜厚25μm)多孔質膜のレーザー顕微鏡によるレーザー照射側の観測結果を示す。
【図5】実施例で得られたPPS(膜厚55μm)多孔質膜のレーザー顕微鏡によるレーザー照射側と反対側の観測結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを焦点部出力が0.001〜10Wで照射されて生じる多数の細孔を有し、該細孔の孔径が0.1〜100μmであることを特徴とする高分子又は無機材料からなるフィルム又はシートからなる多孔質膜。
【請求項2】
前記孔径が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜。
【請求項3】
前記細孔に高分子電解質が充填されている複合多孔質膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質膜。
【請求項4】
前記多孔質膜が高分子又は無機材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔質膜。
【請求項5】
前記高分子材料からなるフィルム又はシートが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリサルホン(PSF)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、架橋ポリエチレン(CLPE)から選択される1種以上からなることを特徴とする請求項4に記載の多孔質膜。
【請求項6】
前記高分子材料からなるフィルム又はシートが、下記一般式(1)で表される(式中、Aは下記[化2]から選択される1種以上であり、c:d=1:0〜9:1である)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は共重合成分を10モル%以下含むテトラフルオロエチレン共重合体からなることを特徴とする請求項4に記載の多孔質膜。
【化1】

【化2】

【請求項7】
前記高分子材料からなるフィルム又はシートが、ポリシロキサンからなり、該ポリシロキサン中の有機基が、メチル基、フェニル基、水素基または水酸基のうちから選択される少なくとも1種以上の基であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質膜。
【請求項8】
前記高分子電解質がスルホン酸基を有することを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の多孔質膜。
【請求項9】
前記超短パルスレーザーが、ナノ秒パルスレーザー、ピコ秒パルスレーザー又はフェムト秒パルスレーザーであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の多孔質膜。
【請求項10】
フィルム又はシートに、パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを焦点部出力が0.001〜10Wで照射させ、該フィルム又はシートに孔径が0.1〜100μmである多数の細孔を生じさせることを特徴とする多孔質膜の製造方法。
【請求項11】
前記孔径が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項10に記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項12】
前記細孔に電解質生成モノマーを充填させ、次いで該電解質生成モノマーを重合させて複合多孔質膜とすることを特徴とする請求項10または11に記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項13】
前記電解質生成モノマーに架橋剤を充填させことを特徴とする請求項12に記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項14】
前記電解質生成モノマー及び所望により架橋剤を充填させる際に、超音波処理及び/又は脱法処理を行なって浸透させることを特徴とする請求項12または13に記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項15】
前記電解質生成モノマーの重合が光重合、熱重合、触媒開始重合から選択される1種以上であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項16】
前記細孔に高分子電解質を充填させて複合多孔質膜とすることを特徴とする請求項10また11に記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項17】
前記高分子電解質が、下記一般式(2)で表される(式中、a:b=0:1〜9:1、n=0,1,2)ことを特徴とする請求項16に記載の多孔質膜の製造方法。
【化3】

【請求項18】
前記細孔に高分子電解質を充填させる際に、高分子電解質溶液を用い、後に溶媒を蒸発させることを特徴とする請求項16または17に記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項19】
前記細孔に高分子電解質を充填させ際に、加熱及び/又は加圧することを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項20】
前記多孔質膜が高分子又は無機材料からなることを特徴とする請求項10乃至19のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項21】
前記超短パルスレーザーが、ナノ秒パルスレーザー、ピコ秒パルスレーザー又はフェムト秒パルスレーザーであることを特徴とする請求項10乃至20のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項22】
前記パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを照射させる際に、ホログラフィック露光法を用い、多数の細孔を規則的に穿孔することを特徴とする請求項10乃至21のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
【請求項23】
請求項1乃至9のいずれかに記載の多孔質膜からなる機能性膜。
【請求項24】
請求項3乃至9のいずれかに記載の複合多孔質膜からなる高分子電解質膜。
【請求項25】
請求項24に記載の固体高分子電解質膜を有する燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−23183(P2007−23183A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208815(P2005−208815)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】