説明

多官能アクリル化合物及びそれを含む感光性組成物

【課題】シロキサン基を有する多官能アクリル化合物及びそれを含む液晶表示素子用カラーフィルターの製造に使用される着色または透明感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明で使用される多官能アクリル化合物は、シロキサン基を含むものであって、それを含む感光性樹脂組成物はパターンの接着力に優れており、現像工程中に小型のパターンの遺失を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多官能アクリル化合物及びそれを含む感光性組成物に係り、さらに詳細には、シロキサン基を含む多官能アクリル化合物と、それを含むことによって接着力に優れたパターンを形成することができる液晶表示素子用カラーフィルターに使用される感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子に使用される液晶セルの構造は、大きく駆動のための薄膜トランジスター基板、色を具現するカラーフィルター、そして二つの基板の間に形成された液晶からなっている。前記カラーフィルターは、顔料が分散された感光性有機物質を用いて光エッチング法によってパターンを形成した後、カラー映像を具現するために、三つ以上の透過−吸収波長を有するカラーインクを用いて画素を形成する基板である。カラーフィルター基板には、画素以外にも、場合によって画素の段差を減らすためにオーバーコートが使用されるか、または液晶セルの内部の間隔を一定に維持させるためにコラムスペーサをパターニングする。
【0003】
カラーフィルターの製作に使用される有機物質は、光エッチング法を利用することができる感光性樹脂組成物のうち、ネガティブ型組成物を一般的に使用し、このような組成物はアルカリ溶解性を与えるために、カルボン酸を含むバインダーを初めとして、多官能アクリル化合物、光を受けてラジカルを生成する光開始剤、界面活性剤、溶媒、そしてパターンとガラス基板との接着力を与えるカップリング剤などの混合物からなる。
【0004】
最近、液晶表示素子は、その解像度が次第に向上しており、それに伴い、カラーフィルターに使用されるパターンのサイズも小さくなっている。その結果、感光性材料を用いて画素をパターニングしたり、それより小さいコラムスペーサなどをパターニングするとき、あまりにも小さくなったサイズのため、現像工程中に水圧によってパターンが遺失されて欠陷が発生する確率が高くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、感光性材料を用いて微細パターンを形成するにあたって、現像工程中に水圧によってパターンが遺失される問題を解決することである。
【0006】
したがって、本発明の目的は、パターンの接着力を向上させることができる多官能アクリル化合物を提供するところにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、前記多官能アクリル化合物を含むことによってパターンの遺失による欠陥の発生を防止することができる感光性組成物を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の一実施例による多官能アクリル化合物は、下記化学式1または化学式2で表されることができる。
【化1】

【化2】

【0009】
前記化学式1及び化学式2で、R1ないしR10は互いに同一でも異なっていてもよく、独立して水素原子(−H)、アクリロイル基(−C(O)−CH=CH)、コハク酸基(−C(O)CC(O)OH)及び下記化学式3の構造の置換基からなる群から選択される何れか一つであり、前記アクリロイル基を二つ以上、下記化学式3の構造の置換基を一つ以上含む。
【化3】

【0010】
前記化学式3で、R11ないしR13は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1ないし2のアルキル基である。
【0011】
また、本発明は、前記多官能アクリル化合物を多官能性モノマーとして含むことを特徴とする感光性組成物を提供する。
【0012】
また、前記感光性組成物は、アルカリ可溶性バインダー樹脂、光開始剤、溶媒及び添加剤をさらに含むことができる。
【0013】
また、前記感光性組成物は、前記多官能アクリル化合物を1ないし35重量%、アルカリ可溶性バインダー樹脂1ないし45重量%、光開始剤0.05ないし10重量%、溶媒10ないし97.95重量%を含むことができる。
【0014】
また、前記多官能性モノマーは、シロキサン基を含んでいないアクリル化合物をさらに含むことができる。
【0015】
前記シロキサン基を含んでいないアクリル化合物は、ジペンタエリスリトールに導入した形態として、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、Aronix M−520、及びテトラヒドロフルフリル(tetrahydrofurfuryl)アクリルレートに導入したKAYARAD TC−110S、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート(neopentyl glycol hydroxypivalate)に導入したKAYARAD HX−220、KAYARAD HK−620、ビスフェノールA誘導体のエポキシアクリルレート、ノボラック−エポキシアクリルレート、ウレタン系の多官能性アクリルレートとしてU−324A、U15HA、U−4HA、Hanse Chemie社製のNanocryl XP series(0596、1045、21/1364)とNanopox XP series(0516、0525)からなる群から選択された1つ以上の化合物であることができる。
【0016】
また、前記シロキサン基を含んでいないアクリル化合物は、前記組成物のうち、1ないし15重量%が含まれることができる。
【0017】
また、前記感光性組成物は、硬化着色剤、促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤及び界面活性剤からなる群から選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0018】
また、本発明の一実施例による感光性組成物は、化学式1または化学式2で表される多官能アクリル化合物を含むことによって、実質的に別途のカップリング剤を含まない。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施例によれば、化学式1または化学式2で表される多官能アクリル化合物の構造的な特徴に基づき、それを含む感光性組成物は別途のカップリング剤を含んでいなくても優れた接着力を有することができる。
【0020】
したがって、本発明によるシロキサン基を有する多官能アクリル化合物を含む感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成すれば、現像工程中に小型のパターンが遺失されて発生する欠陷を防止することができる。このような樹脂組成物は、高解像度のカラーフィルターのカラー画素、コラムスペーサ、オーバーコートなどの製作時に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
前記のような本発明の目的を達成するためのシロキサン基の含まれた多官能アクリル化合物は、下記化学式1または化学式2で表されることをその特徴とする。ここで多官能アクリル化合物とは、アクリル基を二つ以上含む化合物を言う。
【化4】

【化5】

【0022】
R1ないしR10は、独立して水素原子(−H)、アクリロイル基(−C(O)−CH=CH)、コハク酸基(−C(O)CC(O)OH)及び下記化学式3の構造の置換基からなる群から選択される何れか一つであって、前記アクリロイル基を二つ以上、下記化学式3の構造の置換基を一つ以上含む。
【化6】

【0023】
前記化学式3で、R11ないしR13は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1ないし2のアルキル基である。炭素数が3以上を超える場合、本発明が追求する接着力向上効果を期待することができない。
【0024】
前記化学式1または化学式2で表される多官能アクリル化合物は、ジペンタエリスリトールペンタアクリルレート及びペンタエリスリトールトリアクリルレートからなる群から選択されるアクリル系化合物を有機溶媒に希釈させ、前記希釈溶液に無水コハク酸を添加して所定時間反応させる。また、それに3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランまたは3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシランを添加して反応させた後、溶媒を除去して製造することができる。前記無水コハク酸を添加することによって、ジペンタエリスリトールペンタアクリルレートまたはペンタエリスリトールトリアクリルレートと3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランまたは3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシランとを触媒なしに反応させることができる。
【0025】
本発明の目的を達成するための感光性樹脂組成物は、前記化学式1または化学式2で表される多官能アクリル化合物を1ないし35重量%、アルカリ可溶性バインダー樹脂を1ないし45重量%、光開始剤0.05ないし10重量%、溶媒10ないし97.95重量%を含むことをその特徴とし、必要によって着色剤、硬化促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤または界面活性剤などの添加剤をさらに1種以上含むことができる。
【0026】
化学式1または化学式2で表される多官能アクリル化合物は、シロキサン基を含むことによって感光性組成物の接着力を向上させる機能を行う。したがって、本発明は、別途のカップリング剤を含んでいなくても、アクリル化合物のみで接着力面で好ましい感光性組成物を提供することができる。このようなアクリル化合物は、1ないし35重量%、好ましくは1ないし15重量%が含まれることができる。1重量%未満を含めば、接着力面で向上した効果が得られがたく、35重量%を超えれば、接着力が過剰になって、現像工程以後に感光性組成物がきれいに除去されずに基板に残る、残渣現象が発生する。
【0027】
アルカリ可溶性バインダー樹脂は、酸基(acid functional group)を含む高分子樹脂であって、当業界で一般的に使用されるものであれば、特定の構造に限定されず、単独または二つ以上を混合して使用することができる。ただし、酸価は30ないし300mgKOH/gの範囲であり、重量平均分子量は1,000ないし200,000の範囲であることが好ましい。酸価が30mgKOH/g未満である場合、アルカリ現像液に対する溶解性が乏しい恐れがあり、300mgKOH/gを超える場合、パターンにアンダーカット現象が発生し得る。分子量が1,000未満である場合、露光による現像性の差が発生しないため、光エッチング法によるパターンの形成が不可となる恐れがあり、分子量が200,000を超える場合、溶液の粘度が高くなって、コーティングが円滑に行われない可能性がある。
【0028】
また、本発明の組成物は、前記化学式1または化学式2で表される化合物以外にシロキサン基を含んでいない多官能アクリル化合物を1ないし15重量%含むことができる。
【0029】
前記シロキサン基を含んでいないその他の多官能アクリル化合物は、一分子内にアクリル基が2つ以上である化合物であれば、特定の構造に限定されず、当業界で知られているものなどを使用することができ、単独または二つ以上を混合して使用することができる。このような化合物の具体的な例としては、ジペンタエリスリトールに導入した形態としてKAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、Aronix M−520などがあり、テトラヒドロフルフリルアクリルレートに導入したKAYARAD TC−110S、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートに導入したKAYARAD HX−220、KAYARAD HK−620などがある。
【0030】
また、ビスフェノールA誘導体のエポキシアクリルレート、ノボラック−エポキシアクリルレート、ウレタン系の多官能性アクリルレートとしてU−324A、U15HA、U−4HAなどがある。
【0031】
また、場合によっては、多官能アクリル化合物内に非常に小さく粉砕されたシリカ分散体を分散させたコロイド溶液を使用することができるが、それらを使用する場合、基本的な機能は多官能アクリル化合物と同一であるが、分散粒子であるシリカによって薄膜の強度や硬度が高くなる効果を得ることができる。例えば、Hanse Chemie社製のNanocryl XP series(0596、1045、21/1364)とNanopox XP series(0516、0525)などがある。
【0032】
本発明による感光性樹脂組成物において、前記光開始剤は一つまたは二つ以上を混合して使用することができるが、その例としては、2,4−卜リクロロメチル−(4’−メトキシフェニル )−6−トリアジンのようなトリアジン系化合物;2,2’−ビス(2−クロロフェニル )−4,4’−5,5’−テトラフェニルビイミダゾールのようなビイミダゾール化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンのようなアセトフェノン系化合物;4,4’−ビス(ジメチルアミノ−)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物;2,4−ジエチルチオキサントンのようなチオキサントン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドのようなホスフィンオキサイド系化合物;3,3’−カルボニルビス−7−(ジエチルアミノ−)クマリンのようなクマリン系化合物;Ciba Geigy社のIrgacure OXE−01、OXE−02のようなO−アシルオキシム系化合物などが挙げられるが、特別にこれらに限定されるものではなく、当業界で知られているものなどを使用することができる。
【0033】
本発明による感光性樹脂組成物において、前記溶媒は一つまたは二つ以上の混合物を使用することができるが、その例としては、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピルグリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、2−エトキシプロパノール、2−メトキシプロパノール、3−メトキシブタノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチル3−エトキシプロピオン酸、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルアセテート、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択されたものであるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業界で知られているものなどを使用することができる。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要によって着色剤、硬化促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤または界面活性剤などの添加剤をさらに1種以上含むことができる。
【0035】
前記着色剤の例としては、1種以上の顔料、染料またはこれらの混合物を使用することができる。具体的に例示すれば、黒色顔料は、カーボンブラック、黒煙、またはチタンブラックのような金属酸化物などを使用することができる。カーボンブラックの例としては、シスト5HIISAF−HS、シストKH、シスト3HHAF−HS、シストNH、シスト3M、シスト300HAF−LS、シスト116HMMAF−HS、シスト116MAF、シストFMFEF−HS、シストSOFEF、シストVGPF、シストSVHSRF−HS及びシストSSRF(東海カーボン株式会社);ダイアグラムブラックII、ダイアグラムブラックN339、ダイアグラムブラックSH、ダイアグラムブラックH、ダイアグラムLH、ダイアグラムHA、ダイアグラムSF、ダイアグラムN550M、ダイアグラムM、ダイアグラムE、ダイアグラムG、ダイアグラムR、ダイアグラムN760M、ダイアグラムLR、#2700、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#900、MCF88、#52、#50、#47、#45、#45L、#25、#CF9、#95、#3030、#3050、MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA40、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B及びOIL31B(三菱化学株式会社);PRINTEX−U、PRINTEX−V、PRINTEX−140U、PRINTEX−140V、PRINTEX−95、PRINTEX−85、PRINTEX−75、PRINTEX−55、PRINTEX−45、PRINTEX−300、PRINTEX−35、PRINTEX−25、PRINTEX−200、PRINTEX−40、PRINTEX−30、PRINTEX−3、PRINTEX−A、SPECIAL BLACK−550、SPECIAL BLACK−350、SPECIAL BLACK−250、SPECIAL BLACK−100、及びLAMP BLACK−101(デグサ株式会社);RAVEN−1100ULTRA、RAVEN−1080ULTRA、RAVEN−1060ULTRA、RAVEN−1040、RAVEN−1035、RAVEN−1020、RAVEN−1000、RAVEN−890H、RAVEN−890、RAVEN−880ULTRA、RAVEN−860ULTRA、RAVEN−850、RAVEN−820、RAVEN−790ULTRA、RAVEN−780ULTRA、RAVEN−760ULTRA、RAVEN−520、RAVEN−500、RAVEN−460、RAVEN−450、RAVEN−430ULTRA、RAVEN−420、RAVEN−410、RAVEN−2500ULTRA、RAVEN−2000、RAVEN−1500、RAVEN−1255、RAVEN−1250、RAVEN−1200、RAVEN−1190ULTRA、RAVEN−1170(コロンビアカーボン株式会社)またはこれらの混合物などがある。
【0036】
また、色を帯びる着色剤の例としては、カルミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ペリレンブラック(BASF K0084.K0086)、シアニンブラック、リノールイエロ(C.I.21090)、リノールイエロGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロ4T−564D、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、C.I.PIGMENT RED 3、23、97、108、122、139、140、141、142、143、144、149、166、168、175、177、180、185、189、190、192、202、214、215、220、221、224、230、235、242、254、255、260、262、264、272;C.I.PIGMENT GREEN 7、36;C.I.PIGMENT blue 15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、28、36、60、64;C.I.PIGMENT yellow 13、14、35、53、83、93、95、110、120、138、139、150、151、154、175、180、181、185、194、213;C.I.PIGMENT VIOLET 15、19、23、29、32、37などがあり、それ以外に白色顔料、蛍光顔料なども利用することができる。顔料として使用されるフタロシアニン系錯化合物としては、銅以外に亜鉛を中心金属とする物質も使用することが可能である。しかし、必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業界で知られているものなどを使用することができる。
【0037】
前記硬化促進剤の例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及び2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノ−ピリジンからなる群から選択されたものであるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業界で知られているものなどを使用することができる。
【0038】
前記熱重合抑制剤の例としては、p−アニソール、ヒドロキノンなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業界で知られているものなどを使用することができる。
【0039】
前記可塑剤、接着促進剤、充填剤及び界面活性剤なども従来の感光性樹脂組成物に含まれ得るあらゆる化合物が使用されることができる。
【0040】
本発明による感光性樹脂組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、スピンコーター、スロットダイコーター、各種の印刷、沈積などの方法を利用して金属、紙、ガラス、プラスチック基板などの支持体に塗布されることができる。
【0041】
また、前記支持体上に塗布された後、その他の支持体上に転写させたり、第1の支持体に塗布させた後、ブランケットなどに転写させた後、さらに第2の支持体に転写することも可能であり、その適用方法は特別に限定されない。
【0042】
本発明による感光性樹脂組成物を硬化させるための光源の例としては、波長が250ないし450umの光を発散する水銀蒸気アーク、炭素アーク、キセノンアーク、ハロゲンアークなどが使用されることができるが、特別にこれらに限定されるものではなく、当業界で知られているものなどを使用することができる。
【0043】
本発明による感光性樹脂組成物は、光硬化性塗料、光硬化性インク、LCDカラーフィルター製造用の透明感光性組成物、顔料分散型感光性樹脂組成物、LCDまたは有機発光ダイオードの遮光膜形成用の感光性樹脂組成物の製造などに使用することができ、その用途が特別に制限されるものではない。
【0044】
また、本発明は、本発明による感光性樹脂組成物を利用して製造することを特徴とする液晶表示装置用の透明薄膜層を提供する。前記液晶表示装置用の透明薄膜層は、本発明による感光性樹脂組成物を利用する以外は、当業界で知られた一般的な製造方法によって製造することができる。
【0045】
また、本発明は、前記液晶表示装置用の透明薄膜層を含めて製造することを特徴とする液晶表示装置を提供する。前記液晶表示装置は、本発明による感光性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置用の透明薄膜層を含めて製造する以外は、当業界で知られた一般的な製造方法によって製造することができる。
【0046】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に本発明を例示するためのものであり、これらのみで本発明の範囲を限定するものではない。
【0047】
合成例1
ジペンタエリスリトールペンタアクリルレートをプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに50重量%で希釈させる。希釈溶液に無水コハク酸をモル比1:1になるように投入した後、80℃で12時間撹拌させ、前記投入された無水コハク酸と、モル比1:1になるように3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethoxysilane)を投入した後、さらに12時間撹拌させた後に冷却する。その後、真空を利用して溶媒を除去して得られた化合物をd6−DMSOに溶解させて、500MHz H−NMRを利用して分析した結果は次の通りであり、それは化学式4と一致する。
【0048】
5.8〜6.5(9H,d,−CH=CH)、2.5〜2.7(4H,t,−OC(O)−CH−CH−C(O)O−)、4.1〜4.5(5H,m,−O−CH−CH(OH)−CH−O−)。
【化7】

【0049】
合成例2
前記合成例1でジペンタエリスリトールペンタアクリルレートをペンタエリスリトールトリアクリルレートとして使用した以外は合成例と同様にした。合成例2の結果から得られた化合物をd6−DMSOに溶解させて、500MHz H−NMRを利用して分析した結果は次の通りであり、それは化学式5と一致する。
【0050】
5.8〜6.5(15H,d,−CH=CH)、2.5〜2.7(4H,t,−OC(O)−CH−CH−C(O)O−)、4.1〜4.5(5H,m,−O−CH−CH(OH)−CH−O−)。
【化8】

【0051】
合成例3
前記合成例1でグリシドオキシプロピルトリメトキシシランの代わりにグリシドオキシプロピルトリエトキシシランを使用した以外は前記合成例1と同様である。本合成例3の結果から得られた化合物をd6−DMSOに溶解させて、500MHz H−NMRを利用して分析した結果は次の通りであり、それは化学式6と一致する。
【0052】
5.8〜6.5(15H,d,−CH=CH)、2.5〜2.7(4H,t,−OC(O)−CH−CH−C(O)O−)、4.1〜4.5(5H,m,−O−CH−CH(OH)−CH−O−)。
【化9】

【0053】
合成例4
前記合成例2でグリシドオキシプロピルトリメトキシシランの代わりにグリシドオキシプロピルトリエトキシシランを使用した以外は前記合成例2と同様である。本合成例4の結果から得られた化合物をd6−DMSOに溶解させて、500MHz H−NMRを利用して分析した結果は次の通りであり、それは化学式7と一致する。
【0054】
5.8〜6.5(15H,d,−CH=CH)、2.5〜2.7(4H,t,−OC(O)−CH−CH−C(O)O−)、4.1〜4.5(5H,m,−O−CH−CH(OH)−CH−O−)。
【化10】

【0055】
実施例1
バインダー樹脂(ベンジルメタクリルレートとメタクリル酸をモル比70:30で共重合し、分子量は約20,000)8重量部、合成例1によって得られた化学式4の化合物8重量部、光開始剤としてCiba Geigy社のIrgacure 907 1重量部、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート83重量部を3時間撹拌して混合させた。このように得られた溶液を5マイクロンフィルターで濾過して感光性組成物溶液を準備し、ガラスにスピンコーティングして約100℃で2分間予熱処理して、厚さが約2.5umである均一なフィルムを形成した。
【0056】
前記フィルムを直径が5ミクロンないし20ミクロンの1ミクロン間隔で構成された独立パターン型フォトマスクを用いて高圧水銀ランプ下で露光させた後、パターンをpH 11.3ないし11.7のKOHアルカリ水溶液で現像し、脱イオン水で洗浄した。パターンの状態を光学顕微鏡で観察した後、残っている最小パターンのサイズをフォトマスクの直径を基準に判別した。判別の結果、5ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0057】
実施例2
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物を、8重量部ではない4重量部含み、ジペンタエリスリトールヘクサアクリルレート(化学式1でR1ないしR6がすべてアクリロイル基に置換された場合である)4重量部を混合した以外は実施例1と同様である。実験後の判別の結果、5ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0058】
実施例3
前記実施例1で、合成例1によって得られた化学式4の化合物8重量部の代わりに、合成例2によって得られた化学式5の化合物を8重量部を混合した以外は実施例1と同様である。実験後の判別の結果、6ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0059】
実施例4
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物8重量部の代わりに、合成例2によって得られた化学式5の化合物4重量部とペンタエリスリトールトリアクリルレート4重量部を混合した以外は実施例1と同様である。実験後の判別の結果、6ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0060】
実施例5
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物の代わりに、合成例3によって得られた化学式6の化合物を使用した以外は実施例1と同様である。
【0061】
実施例6
前記実施例2で合成例1によって得られた化学式4の化合物の代わりに、合成例3によって得られた化学式6の化合物を使用した以外は実施例2と同様である。
【0062】
実施例7
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物の代わりに、合成例4によって得られた化学式7の化合物を使用した以外は実施例1と同様である。
【0063】
実施例8
前記実施例2で合成例1によって得られた化学式4の化合物の代わりに、合成例4によって得られた化学式7の化合物を使用した以外は実施例2と同様である。
【0064】
比較例1
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物8重量部の代わりに、ジペンタエリスリトールヘクサアクリルレート8重量部を混合した以外は実施例1と同様である。実験後の判別の結果、7ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0065】
比較例2
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物8重量部の代わりに、ジペンタエリスリトールヘクサアクリルレート8重量部とカップリング剤として3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン1重量部を混合したことと、溶媒を83重量部の代わりに82重量部を混合したこと以外は実施例1と同様である。実験後の判別の結果、5ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0066】
比較例3
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物8重量部の代わりに、ペンタエリスリトールトリアクリルレート8重量部を混合した以外は実施例1と同様である。実験後の判別の結果、8ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0067】
比較例4
前記実施例1で合成例1によって得られた化学式4の化合物8重量部の代わりに、ペンタエリスリトールトリアクリルレート8重量部とカップリング剤として3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン1重量部を混合したことと、溶媒を83重量部の代わりに82重量部を混合したこと以外は実施例1と同様である。実験後の判別の結果、6ミクロンのパターンがすべて残っていた。
【0068】
前記実施例及び比較例によって得られた結果を下記表1及び図1にまとめた。
【表1】

【0069】
本実験の結果から、さらに小さいパターンのフォトマスクから製造されたパターンが遺失されずに残っているほど、接着力に優れた感光性樹脂組成物と言え、前記実施例及び比較例によるフィルムに対し、現像工程時に水圧によっても遺失されずに残っているパターンのサイズを観察した結果は前記表1の通りであった。
【0070】
それによる表1の結果から、実施例1及び実施例2の場合、比較例1及び比較例2による結果と比較すれば、実施例1及び実施例2のように、本発明による合成例1によって得られた化学式4の化合物を多官能アクリル化合物で全量(実施例1)または部分的に(実施例2)使用したとき、パターンの最小サイズが5ミクロンと観察され、それは7ミクロン未満のサイズのパターンはいずれも遺失されて観察されない比較例1に比べて、接着力に優れているということを示す結果であると言える。また、このような実施例1及び実施例2は、カップリング剤を使用しなかったにもかかわらず、比較例2のように、カップリング剤を使用したときと同一の程度の接着力を具現するということが分かる。
【0071】
同様に、実施例3及び実施例4の結果を比較例3及び比較例4と比較すれば、合成例2によって得られた化学式5の化合物を多官能アクリル化合物で全量(実施例3)または部分的に(実施例4)使用したとき、残っている最小パターンのサイズが6ミクロンであり、8ミクロン未満のサイズのパターンはいずれも遺失された比較例3に比べて優れた接着力を有し、それは比較例4のカップリング剤を使用したときと同一の程度の接着力を具現するということが分かる。
【0072】
したがって、本発明によるシロキサン基を有する多官能アクリル化合物を含む感光性樹脂組成物は、既存の技術に比べて接着力に優れており、それを使用してパターンを形成すれば、現像工程中に小型のパターンが遺失されて発生する欠陷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例及び比較例で製造されたパターンの形状を撮影した写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される多官能アクリル化合物。
【化1】

〔前記化学式1において、
R1ないしR6は互いに同一でも異なっていてもよく、独立して水素原子(−H)、アクリロイル基(−C(O)−CH=CH)、コハク酸基(−C(O)CC(O)OH)及び下記化学式3の構造の置換基からなる群から選択される何れか一つであり、前記アクリロイル基を二つ以上、下記化学式3の構造の置換基を一つ以上含むものである。〕
【化2】

〔前記化学式3において、
R11ないしR13は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1ないし2のアルキル基である。〕
【請求項2】
下記化学式2で表される多官能アクリル化合物。
【化3】

〔前記化学式2において
R7ないしR10は互いに同一でも異なっていてもよく、独立して水素原子(−H)、アクリロイル基(−C(O)−CH=CH)、コハク酸基(−C(O)CC(O)OH)及び下記化学式3の構造の置換基からなる群から選択される何れか一つであり、前記アクリロイル基を二つ以上、下記化学式3の構造の置換基を一つ以上含むものである。〕
【化4】

〔前記化学式3において、
R11ないしR13は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1ないし2のアルキル基である。〕
【請求項3】
前記多官能アクリル化合物が下記化学式4で表されることを特徴とする、請求項1に記載の多官能アクリル化合物。
【化5】

【請求項4】
前記多官能アクリル化合物が下記化学式6で表されることを特徴とする、請求項1に記載の多官能アクリル化合物。
【化6】

【請求項5】
前記多官能アクリル化合物が下記化学式5で表されることを特徴とする、請求項2に記載の多官能アクリル化合物。
【化7】

【請求項6】
前記多官能アクリル化合物が下記化学式7で表されることを特徴とする、請求項2に記載の多官能アクリル化合物。
【化8】

【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の多官能アクリル化合物を多官能性モノマーとして含むことを特徴とする、感光性組成物。
【請求項8】
前記感光性組成物が、アルカリ可溶性バインダー樹脂、光開始剤、溶媒及び添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の感光性組成物。
【請求項9】
前記感光性組成物が、請求項1〜6の何れか一項に記載の多官能アクリル化合物を1ないし35重量%、アルカリ可溶性バインダー樹脂1ないし45重量%、光開始剤0.05ないし10重量%、溶媒10ないし97.95重量%を含むことを特徴とする、請求項8に記載の感光性組成物。
【請求項10】
前記多官能性モノマーが、シロキサン基を含んでいないアクリル化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の感光性組成物。
【請求項11】
前記シロキサン基を含んでいないアクリル化合物が、ジペンタエリスリトールに導入した形態としてKAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、Aronix M−520、及びテトラヒドロフルフリルアクリルレートに導入したKAYARAD TC−110S、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートに導入したKAYARAD HX−220、KAYARAD HK−620、ビスフェノールA誘導体のエポキシアクリルレート、ノボラック−エポキシアクリルレート、ウレタン系の多官能性アクリルレートとしてU−324A、U15HA、U−4HA、Hanse Chemie社製のNanocryl XP series(0596、1045、21/1364)とNanopox XP series(0516、0525)からなる群から選択された1つ以上の化合物であることを特徴とする、請求項10に記載の感光性組成物。
【請求項12】
前記シロキサン基を含んでいないアクリル化合物が、全体組成物のうち1ないし15重量%が含まれることを特徴とする、請求項10に記載の感光性組成物。
【請求項13】
硬化着色剤、促進剤、熱重合抑制剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤及び界面活性剤からなる群から選択された1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の感光性組成物。
【請求項14】
前記多官能アクリル化合物を含む感光性組成物が、カップリング剤を含んでいないことを特徴とする、請求項7に記載の感光性組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2011−132231(P2011−132231A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284964(P2010−284964)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】