説明

多官能性(パー)フルオロポリエーテル

本発明は、式:−CF−CF(CFOSOF)−O−を有する少なくとも1つの反復単位(R2)を含む少なくとも1つの(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖(鎖R)を含む新規な(パー)フルオロポリエーテル[ポリ(フルオロスルフェート)PFPE]、その製造方法、ならびに官能性(パー)フルオロポリエーテルを提供するためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの−CFOSOF側鎖官能基を含む鎖反復単位を含む新規な(パー)フルオロポリエーテル、前記(パー)フルオロポリエーテルを製造する方法、および官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体を製造するための前記(パー)フルオロポリエーテルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多官能性(パー)フルオロポリエーテルは、低T多官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体または架橋性マクロマーを製造するための有用な中間体であることは当技術分野でよく知られている。
【0003】
このように、(特許文献1)(E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY)17/02/1998に、開始剤、すなわちヘキサフルオロプロピレンオキシドオリゴマーおよびポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルのセシウムパーフルオロアルコキシドの錯体の存在下での、ヘキサフルオロプロピレンオキシドと、パーフルオロアルキレンオキシド等、特にパーフルオロアリルフルオロスルフェートオキシドとのアニオン共重合であって、以下の一般式:−(CF(R)CFO)(CF(COF)CFO)(式中、Rは、C−Cパーフルオロアルキル基であり、モル比m:nは、2:1〜50:1の範囲である)を有する反復単位を含む多官能性パーフルオロポリエーテルが生成されるアニオン共重合が開示されている。
【0004】
パーフルオロアリルフルオロスルフェートオキシドモノマーから誘導される−CFOSOF側鎖官能基は、S−O結合の切断と共に、前記開始剤の存在下にてその場で求核置換反応を受けて、−COF官能基が形成され、その結果、最終的なポリマーは、かかるフルオロスルフェート基から切り離されるが、フッ化アシル部位を含む。
【0005】
このようにして得られた多官能性パーフルオロポリエーテルは一般に、T約−45〜−70℃を有する。
【0006】
また、(特許文献2)(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)22/06/2005には、−O(CFSOF側鎖官能基を含むパーフルオロポリエーテルが開示されており、前記パーフルオロポリエーテルは、CF=CFO(CFSOFのホモポリマー、または前記モノマーとパーフルオロオレフィン等、特にテトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである。フルオロスルホン−O(CFSOF官能基は、フルオロスルフェート部位を含む基と完全に異なる反応性を有することはよく知られている。これらの基は通常、−O(CFSOH基に変換されるが、他の官能性部位(例えば、アミド、カルボン酸エステル等)において容易に変換されない。
【0007】
過去には、官能性フルオロアルキレンとエチレン性不飽和パーフルオロモノマーの酸化光重合によって、(パー)フルオロポリエーテル誘導体の主鎖にフルオロスルホン基以外の反応性部位を組み込もうとする試みもなされた。
【0008】
(特許文献3)(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)18/06/2008には、パーフルオロエチレンスルホニルフルオライドでTFEを光酸化することによって製造される過酸化パーフルオロポリエーテルが開示されており、前記パーフルオロポリエーテルは、−CFCOF、−COFおよび−SOFの中から独立して選択される2個の官能性末端基を含む。(特許文献4)(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)31/08/2005には、パーフルオロアクリロイルフルオライド、CF=CFCOFでTFEを光酸化することによって製造される過酸化パーフルオロポリエーテルが開示されており、前記パーフルオロポリエーテルは、−CFCOFおよび−COFの中から独立して選択される2個の官能性末端基を含む。
【0009】
しかしながら、CF=CFSOFおよびCF=CFCOF官能性フルオロアルキレンモノマーのパーフルオロポリエーテル主鎖への組込みは、前記モノマーとTFEとのラジカル光酸化重合中に起こらなかった:したがって、これらのモノマーは、官能基の切断によって、単に連鎖移動剤として挙動することが分かった。
【0010】
したがって、フルオロスルフェート基の融通性および反応性のために、広範囲の官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体へと容易に誘導体化される、少なくとも1つの−CFOSOF側鎖官能基を含む鎖反復単位を含む(パー)フルオロポリエーテルを提供することが必要であると思われた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5719259号明細書
【特許文献2】欧州特許第1074584B号明細書
【特許文献3】欧州特許第1568725B号明細書
【特許文献4】欧州特許第1568730A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、式:−CFCF(CFOSOF)−O−を有する少なくとも1つの反復単位(R2)を含む、少なくとも1つの(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖(鎖R)を含む(パー)フルオロポリエーテル[ポリ(フルオロスルフェート)PFPE]を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は驚くべきことに、少なくとも1つの−CFOSOF側鎖官能基を含む反復単位を含む、本発明の(パー)フルオロポリエーテルが、フルオロスルフェートの化学的性質の反応性が高く、融通性があるために、様々な官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体へと効率的に変換することができる、価値のある構成単位であることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
不確かさを回避するために、「(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖(鎖R)」という用語は本明細書において、反復単位(R1)を含む鎖を意味することが意図され、前記反復単位は、一般式:−(CF−CFZ−O−(式中、kは、0〜3の整数であり、Zは、フッ素原子とC−Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基の間で選択される)を有する。
【0015】
ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは一般に、以下の式(I):XO(CFO)(CFCFO)(CFYO)(CFCFYO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(WO)−(O)−X’(I)に従い、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOF、−CF(CF)COFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− Yは、C−Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)−(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、水素、ハロゲン原子、C−C(パー)ハロアルキル基およびC−C(パー)フルオロ(オキシ)アルキルの中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− zは、1または2であり;
− m、n、p、r、s、tおよびxは、≧0の整数であり、qは、≧1の整数である。
【0016】
本発明の第1の実施形態に従って、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、上記の式(I)(式中、tは>0である)を有する過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEである。
【0017】
この第1の実施形態の過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは好ましくは、以下の式(II−A):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(O)−(WO)−X’(II−A)に従い、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)−(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、ハロゲン原子およびC−C(パー)ハロアルキル基の中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− zは、上記で定義されるとおりであり;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、xは、≧0の整数であり、qは、>1の整数であり、tは、≧1の整数である。
【0018】
この第1の実施形態の過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEはさらに好ましくは、以下の式(III−A):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(O)−X’(III−A)に従い、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− zは、上記で定義されるとおりであり;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、qは、>1の整数であり、tは、≧1の整数である。
【0019】
過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは一般に、範囲600〜150000、好ましくは1000〜80000、さらに好ましくは1500〜70000の数平均分子量を有する。
【0020】
過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは一般に、範囲0.05〜3.5、好ましくは0.05〜2.5の過酸化物含有量(P.O.)を有する。
【0021】
過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの過酸化物含有量(P.O.)は、欧州特許第1568725B号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)18/06/2008に記載の方法によって決定することができる。
【0022】
本発明の第2の実施形態に従って、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、上記の式(I)(式中、tは0である)を有する非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEである。
【0023】
この第2の実施形態の非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは好ましくは、以下の式(II−B):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(WO)−X’(II−B)に従い、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)−(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、ハロゲン原子およびC−C(パー)ハロアルキル基の中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− zは、上記で定義されるとおりであり;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、xは、≧0の整数であり、qは、>1の整数である。
【0024】
この第2の実施形態の非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEはさらに好ましくは、上記の式(II−B)(式中、xは0である)に従い、つまり、以下の式(III−B):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−X’(III−B)に従うということであり、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− zは、上記で定義されるとおりであり;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、qは、>1の整数である。
【0025】
非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは通常、500〜150000、好ましくは1000〜80000、さらに好ましくは1500〜70000の範囲の数平均分子量を有する。
【0026】
非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは一般に、少なくとも2、好ましくは少なくとも2.5、さらに好ましくは少なくとも3の官能価(F)の値を有する。
【0027】
非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは一般に、最大で50、好ましくは最大で40、さらに好ましくは最大で30の官能価(F)の値を有する。
【0028】
非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの官能価(F)の値は本明細書において、非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの官能基と非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEのモル比として表される。不確かさを回避するために、「非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの官能基」という用語は本明細書において、両方の官能性末端基、すなわち本明細書に記載のXおよびX’官能基等、特に−COF、−CFCOFおよび−SOF、および−CFOSOF等の側鎖官能基を意味することが意図される。
【0029】
本発明の他の目的は、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを製造する方法である。
【0030】
本発明の第1の実施形態に従って、本発明のポリ(フルオロスルフェート)PFPEを製造する方法は、(パー)フルオロポリエーテルペルオキシド(過酸化PFPE)をパーフルオロアリルフルオロスルフェート、CF=CFCFOSOF(FAFS)と反応させることを含む。
【0031】
不確かさを回避するために、「(パー)フルオロポリエーテルペルオキシド(過酸化PFPE)」という用語は、少なくとも1つの過酸化部位と少なくとも1つの(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖(鎖R)とを含む化合物であって、その鎖Rが上記で定義されるとおりである化合物を意味することが意図される。
【0032】
過酸化PFPEは通常、以下の式(IV):C−O−(CFXO)c1(CFXCFXO)c2(CFCFCFO)c3(CFCFCFCFO)c4(O)p−C’(IV)に従い、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− X、X、Xは、互いに等しいか、または互いに異なり、フッ素原子およびC−Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基の中から独立して選択され;
− CおよびC’は、互いに等しいか、または互いに異なり、COF、−CFCOFおよび−CF(CF)COF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− c1、c2、c3、およびc4は、互いに等しいか、または互いに異なり、(c1+c2+c3+c4)が5〜2000、好ましくは10〜500の範囲にあるように選択される、≧0の整数であり;
− pは、>0の整数である。
【0033】
過酸化PFPEは一般に、400〜150000、好ましくは1000〜80000の範囲の数平均分子量を有する。
【0034】
過酸化PFPEは一般に、0.1〜4、好ましくは0.2〜3の過酸化物含有量(P.O.)を有する。
【0035】
過酸化PFPEの過酸化物含有量(P.O.)は、欧州特許第1568725B号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)18/06/2008に提供される方法に従って決定することができる。
【0036】
例えば、米国特許第3442942号明細書(MONTEDISON S.P.A.)6/05/1969、米国特許第3650928号明細書(MONTEDISON S.P.A.)21/03/1972、米国特許第3665041号明細書(MONTEDISON S.P.A.)23/05/1972の教示に従って、酸素の存在下にて、テトラフルオロエチレン(TFE)および/またはヘキサフルオロプロピレン(HFP)を光オキシ重合することによって、過酸化PFPEを製造することができる。
【0037】
−(CF−CFZ−O−単位を含有する過酸化PFPEは、例えば、米国特許第5144092号明細書(AUSIMONT S.R.L.)1/09/1992に記載の方法に従って、溶媒の存在下で温度50℃以下にて作業することにより、酸素および紫外線の存在下にて、式CF=CFOX(式中、Xは、(R’O)R’’であり、ここでR’は、−CF−、−CFCF−および−CFCF(CF)−の中から選択され、R’’は、C−C10直鎖状パーフルオロアルキル、C−C10分岐状パーフルオロアルキルおよびC−C環状パーフルオロアルキルの中から選択され、mは、0〜6の範囲の整数である)の1種または複数種の(パー)フルオロアルキルビニルエーテルを重合することによって製造することができる。これは、TFEおよび/またはHFPの存在下でも行うことができる。さらに、例えば、欧州特許第1454938B号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)5/10/2005、欧州特許第1524287B号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)2/01/2008を参照のこと。
【0038】
過酸化PFPEは好ましくは、以下の種類:
(A)Xo−O(CFCFO)r1(CFO)s1(O)t1−Xo’(IV−A):
− (式中、XoおよびXo’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−CFCl、−CFCFCl、−CF、−CFCF、−CFCOFおよび−COFからなる群の中から独立して選択され;
− r1、s1およびt1は、数平均分子量が400〜150000、好ましくは500〜80000の範囲であり、r1/s1比が好ましくは、0.1〜10で構成されるように選択される、>0の整数である)
から選択される。
【0039】
上記の式(IV−A)に従う過酸化PFPEは、特に米国特許第3715378号明細書(MONTEDISON S.P.A.)6/02/1973、米国特許第4451646号明細書(MONTEDISON S.P.A.)29/05/1984、米国特許第5258110号明細書(AUSIMONT S.R.L.)2/11/1993、米国特許第5744651号明細書(AUSIMONT S.R.L.)28/04/1998に従って、TFEをオキシ重合することによって製造することができる;
(B)X1−O(CFCFO)r2(CFO)s2(CF(CF)O)u2(CFCF(CF)O)v2(O)t2−X1’(IV−B)
− 式中、X1およびX1は、互いに等しいか、または互いに異なり、−CFCl、−CFCFCl、−CFCF、−CF、−C、−CF(CF)COF、−COF、−CFCOFおよび−CFC(O)CFからなる群の中から独立して選択され;
− r2、s2、u2、v2は、≧0の整数であり、r2、s2、u2、v2は好ましくは>0であり、v2/(r2+s2+u2)比は<1であり、数平均分子量が500〜50000、好ましくは700〜30000の範囲であるように選択され;t2は>0の整数である。
【0040】
上記の式(IV−B)に従う過酸化PFPEは、特に米国特許第5000830号明細書(AUSIMONT S.R.L.)19/03/1991および米国特許第3847978号明細書(MONTEDISON S.P.A.)12/11/1974の教示に従って、TFEとHFPをオキシ重合することによって製造することができる;
(C)X2−O(CFCFO)r3(CFO)s3(CF(CFCFO)k3(O)t3−X2’(IV−C):
− 式中、X2およびX2’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COFおよび−CFCOFの間で独立して選択され;
− wは、1または2であり;
− r3、s3、およびk3は、≧0の整数であり、r3、s3およびk3は好ましくは>0であり、r3/s3比が通常、0.2〜10であり、k3/(r3+s3)比が一般に、0.05未満であり、数平均分子量が700〜100000、好ましくは700〜80000の範囲であるように選択され;t3は>0の整数である。
【0041】
上記の式(IV−C)に従う過酸化PFPEは、米国特許出願公開第2005192413号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)1/09/2005の教示に従って製造することができる。
【0042】
過酸化PFPEはさらに好ましくは、上記の式(IV−C)に従う。
【0043】
パーフルオロアリルフルオロスルフェートモノマー(FAFS)は通常に、米国特許第4235804号明細書(E.I.DUPONT DE NEMOURS AND COMPANY)25/11/1980およびKRESPAN,CARL G.,et al.Perfluoroallyl fluorosulfate,a reactive new perfluoroallylating agent.J.Am.Chem.Soc..1981,vol.103,p.5598−5599の教示に従って、ホウ素ベースの触媒の存在下にて、HFPを三酸化硫黄と反応させることによって得られる。
【0044】
本発明の方法の第1実施形態の第1変形形態に従って、過酸化PFPEとCF=CFCFOSOF(FAFS)との反応は、紫外線の存在下にて行われ;使用される紫外線は一般に、範囲200nm〜350nmの波長を有する。
【0045】
本発明の方法の第1実施形態のこの第1変形形態に従って、反応は、一般に範囲−100〜125℃、好ましくは−50〜125℃の温度で行われる。この反応は、有利には範囲1〜5バールの圧力下にて行われる。
【0046】
本発明の方法の第1実施形態の第2変形形態に従って、過酸化PFPEとCF=CFCFOSOF(FAFS)との反応は、紫外線の非存在下にて行われる。
【0047】
本発明の方法の第1実施形態のこの第2変形形態に従って、反応は、一般に範囲125〜280℃、好ましくは160〜230℃の温度で行われる。この反応は、有利には範囲1〜50バールの圧力下にて行われる。
【0048】
この反応は、過酸化PFPEとFAFSモノマーの両方を溶解することができる、1種または複数種のフッ素化溶媒(S)の存在下にて行われ;前記溶媒(1種または複数種)の使用は、過酸化PFPEの過酸化物含有量(P.O.)が2を超える場合に特に有用である。
【0049】
前記反応において使用されるフッ素化溶媒(S)(1種または複数種)の代表的な例としては、特に(パー)フルオロカーボン、パーフルオロ(ポリ)エーテル、ヒドロフルオロ(ポリ)エーテル、好ましくはパーフルオロポリエーテル等、例えばGALDEN(登録商標)PFPEおよびヒドロフルオロポリエーテル等、例えばH−GALDEN(登録商標)HFPEが挙げられる。
【0050】
過酸化PFPEおよびFAFSモノマーは通常、FAFS/過酸化部位のモル比が、0.1〜50、好ましくは0.5〜20の範囲にあるような量で反応する。
【0051】
上述の過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは通常、過酸化PFPEとCF=CFCFOSOF(FAFS)との反応から得られる。
【0052】
過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの過酸化物含有量(P.O.)は通常、過酸化PFPEの過酸化物含有量(P.O.)より低く、つまり、過酸化部位の一部は通常、過酸化PFPEとCF=CFCFOSOF(FAFS)との反応中に還元される。
【0053】
上述の非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、このようにして得られた過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを熱処理または光化学的処理することによって得ることができる。
【0054】
熱処理は通常、範囲160〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で行われる。この反応は、有利には範囲1〜30バールの圧力下にて行われる。
【0055】
光化学的処理は通常、紫外線の存在下にて行われ;用いられる紫外線は一般に、範囲200〜350nmの波長を有する。処理は、一般に範囲−100〜100℃、好ましくは−50〜50℃の温度で行われる。この処理は、有利には範囲1〜3バールの圧力下にて行われる。上記で定義される1種または複数種のフッ素化溶媒(S)が場合により使用される。
【0056】
過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの熱処理または光化学的処理中に、1種または複数種のラジカル単独重合性(パー)フルオロオレフィンが場合により、反応媒体に添加される。
【0057】
ラジカル単独重合性(パー)フルオロオレフィンは好ましくは、パーフルオロオレフィンである。
【0058】
適切なラジカル単独重合性パーフルオロオレフィンの非制限的な例としては、特にテトラフルオロエチレン(TFE)が挙げられる。
【0059】
ラジカル単独重合性(パー)フルオロオレフィンは場合により、1種または複数種のラジカル非単独重合性(パー)フルオロオレフィンとの混合物の状態で使用される。
【0060】
ラジカル非単独重合性(パー)フルオロオレフィンは好ましくは、パーフルオロオレフィンである。
【0061】
ラジカル非単独重合性パーフルオロオレフィンの非制限的な例としては、特にヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびパーフルオロビニルエーテルが挙げられる。
【0062】
上述の式(II−B)(式中、xは>0である)に従う非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、前記ラジカル単独重合性(パー)フルオロオレフィン(1種または複数種)の存在下にて、場合によりラジカル非単独重合性(パー)フルオロオレフィン(1種または複数種)との混合物の状態で、過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを熱処理または光化学的処理することによって得られる。
【0063】
過酸化PFPEとCF=CFCFOSOF(FAFS)との反応は、中間体過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを経ることなく、上述の非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを直接得るために、過酸化部位を完全に還元するまで行うこともできる。
【0064】
本発明の第2の実施形態に従って、本発明のポリ(フルオロスルフェート)PFPEを製造する方法は、少なくとも1つのエチレン性不飽和パーフルオロモノマーとCF=CFCFOSOF(FAFS)との酸化光重合を含む。
【0065】
適切なエチレン性不飽和パーフルオロモノマーの非制限的な例としては特に、場合により1種または複数種のC−Cα−フルオロオレフィン等、例えばHFPおよび/または一般式CF=CFOR’(式中、R’は、C−Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基等、例えばパーフルオロメチル−、パーフルオロエチル−、パーフルオロプロピルビニルエーテルである)を有するパーフルオロアルキルビニルエーテルの存在下におけるTFEが挙げられる。
【0066】
エチレン性不飽和パーフルオロモノマーは好ましくは、場合によりHFPの存在下におけるTFEである。
【0067】
この第2実施形の酸化光重合は、紫外線下にて酸素を用いて行われ;用いられる紫外線は、一般に範囲200〜350nmの波長を有する。酸化光重合は、一般に範囲−30〜−100℃の温度で行われる。1種または複数種のフッ素化溶媒(S’)が通常使用される。
【0068】
フッ素化溶媒(S’)は一般に、反応条件下にて液体である。
【0069】
適切なフッ素化溶媒(S’)の非制限的な例としては、特に、パーフルオロカーボンおよび式C(2y+2−x)(式中、yは、範囲2〜4の整数であり、xは0または1である)を有するおよびヒドロフルオロカーボン、およびクロロフルオロカーボンが挙げられる。
【0070】
フッ素化溶媒(S’)は好ましくは、以下の:パーフルオロプロパン、ヒドロペンタフルオロエタン、2−ヒドロヘプタフルオロプロパンおよびその混合物の中から選択される。
【0071】
この第2実施形態の酸化光重合は一般に、半連続的または連続的な方法で行われる。
【0072】
酸素は一般に、エチレン性不飽和パーフルオモノマー(1種または複数種)に対してモル過剰量で供給され;酸素/エチレン性不飽和パーフルオロモノマー(1種または複数種)のモル比は一般に、1.1〜3の範囲である。
【0073】
パーフルオロアリルフルオロスルフェート(FAFS)モノマーは通常、その気相または液相の状態で供給される。FAFSは一般に、酸素およびエチレン性不飽和パーフルオロモノマー(1種または複数種)と同時に供給される。FAFS/エチレン性不飽和パーフルオロモノマー(1種または複数種)のモル比は一般に、0.001〜0.5、さらに好ましくは0.005〜0.4の範囲である。
【0074】
上述の過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは通常、この第2実施形態の方法によって得られる。
【0075】
上述の非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、本発明の方法の第1実施形態において上述の過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの熱処理または光化学的処理によって得られる。
【0076】
本発明の他の目的は、官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体を製造するための、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEの使用である。
【0077】
不確かさを回避するために、「官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体」という用語は本明細書において、式−CFCF(T)−O−(式中、Tは、カルボン酸、フッ化アシル、アミドおよびエステル基の中から選択される官能基である)を有する少なくとも1つの反復単位(R3)を含む、上記で定義される少なくとも1つの(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖(鎖R)を含む(パー)フルオロポリエーテルを意味することが意図される。
【0078】
官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体は通常、以下の式(V):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(T)O)−(CF(CFCFO)−(O)t−(WO)−X’(V)に従い、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−Tおよび−CFT、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基の間で選択される官能基の間で独立して選択され;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)−(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、ハロゲン原子およびC−C(パー)ハロアルキル基の中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− Tは、カルボン酸、フッ化アシル、アミドおよびエステル基の中から選択される官能基であり;
− zは、上記で定義され;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、tおよびxは、≧0の整数であり、qは、>1の整数である。
【0079】
官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体はさらに好ましくは、上述の式(V)(式中、xは0である)に従い、つまり、以下の式(VI):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(T)O)−(CF(CFCFO)−(O)−X’(VI)に従うということであり、その反復単位は統計学的に、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−Tおよび−CFT、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基の間で選択される官能基の間で独立して選択され;
− Tは、カルボン酸、フッ化アシル、アミドおよびエステル基の中から選択される官能基であり;
− zは、上記で定義され;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、tは、≧0の整数であり、qは、>1の整数である。
【0080】
官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体は通常、範囲400〜150000、好ましくは1500〜70000の数平均分子量を有する。
【0081】
官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体は一般に、範囲2〜50、好ましくは2.5〜40、さらに好ましくは3〜30の官能価(F)の値を有する。
【0082】
官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体の官能価(F)の値は本明細書において、官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体の官能基と官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体とのモル比として表される。不確かさを回避するために、「官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体の官能基」という用語は本明細書において、官能性末端基、つまり式(V)および(VI)などにおける本明細書で上述のXおよびX’官能基、特に−Tおよび−CFT、および側鎖官能基、つまりT官能基(Tは、上述の意味を有する)を意味することが意図される。
【0083】
官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体は一般に、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを求核剤と反応させることによって得られる。この反応は、一般に範囲0〜200℃、好ましくは40〜150℃の温度で行われる。上記で定義される1種または複数種のフッ素化溶媒が場合により使用される。
【0084】
適切な求核剤の非制限的な例としては、特に、金属ハロゲン化物、アルコラート、アミンが挙げられる。
【0085】
上述の式(V)または(VI)(式中、官能基Tが−COFである)に従うポリ(フッ化アシル)PFPEは、金属ハロゲン化物の中から選択される求核剤とポリ(フルオロスルフェート)PFPEを反応させることによって得られる。
【0086】
金属ハロゲン化物は通常、第I族および第II族金属ハロゲン化物、例えばAgなどの塩基特性を有する遷移金属ハロゲン化物の中から選択される。
【0087】
金属ハロゲン化物は好ましくは、第I族および第II族金属フッ化物、さらに好ましくはアルカリ金属フッ化物等、特にフッ化セシウムおよびフッ化カリウムの中から選択される。
【0088】
金属ハロゲン化物は一般に、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEのフルオロスルフェート基に対する理論量で使用される。金属ハロゲン化物の触媒も使用することができる。
【0089】
カルボン酸部位を有する、相当する化合物を得るために、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEのフルオロスルフェート基を加水分解し、続いて、前記カルボン酸部位を目的のフッ化アシル部位へとフッ素化することによって、ポリ(フッ化アシル)PFPEも得ることができる。
【0090】
加水分解は好ましくは、無機塩基水溶液で、例えばKOH水溶液でアルカリ性加水分解し、続いて、カルボン酸を得るために、酸性水溶液(例えば、HCl水溶液)で処理することによって達成される。カルボン酸部位のフッ素化は:
−SOCl(または他の適切な塩素化剤)で塩素化し、続いて相当する塩化アシルをKF(または適切なフッ化物源)と反応させて、フッ化アシル部位を得ることによって;または
−目的のフッ化アシル部位を直接得るために、適切なフッ素化などで、特にYarovenko’s試薬(EtN.CFCFClH)またはIshikawa’s試薬(EtN.CFCFHCF)などのフルオロアルキルアミン試薬でカルボン酸を処理することによって;行われる。
【0091】
上述の式(V)または(VI)(式中、官能基Tが−エステル基である)に従うポリエステルPFPEは、アルコラートの中から選択される求核剤とポリ(フルオロスルフェート)PFPEを反応させることによって得られる。
【0092】
前記反応で使用されるアルコラートの代表的な例としては、脂肪族および芳香族アルコラートが挙げられる。
【0093】
脂肪族アルコラートは好ましくは、C−C10飽和アルコラートおよびC−C10不飽和アルコラートの中から、さらに好ましくはC−C飽和アルコラートおよびC−C不飽和アルコラートの中から選択される。
【0094】
芳香族アルコラートは好ましくは、1つまたは複数の芳香族環を有し、かつ場合により前記芳香族環(1つまたは複数)に1つまたは複数のヘテロ原子を含有する、芳香族化合物をベースとし、その環(1つまたは複数)は場合により、1つまたは複数のアルキルまたはアリール基によって置換されていてもよい。芳香族アルコラートはさらに好ましくは、1つまたは複数のC−Cアルキル基によって場合により置換されていてもよいフェナートによって表される。
【0095】
アルコラートは通常、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEのフルオロスルフェート基に対してモル過剰量で使用され;アルコラート/フルオロスルフェート基のモル比は通常、≧3である。
【0096】
上述の式(V)または(VI)(式中、官能基Tがアミド基である)に従うポリアミドPFPEは、アンモニアおよびアミンの中から選択される求核剤とポリ(フルオロスルフェート)PFPEを反応させることによって得られる。
【0097】
求核剤は好ましくは、アンモニアおよびC−C18第1級および第2級脂肪族アミンの中から、さらに好ましくはアンモニアおよびC−C第1級および第2級脂肪族アミンの中から選択される。
【0098】
アンモニアおよびアミンは通常、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEのフルオロスルフェート基に対してモル過剰量で使用され;アンモニア/フルオロスルフェート基およびアミン/フルオロスルフェート基のモル比は通常、≧3である。
【0099】
上記で示されるように、ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを求核剤で誘導体化することによって、有利なことに、高収率の1工程反応で広範囲の官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体を得ることが可能となる。
【0100】
本出願人は、いくつかの低温用途で有利に使用することができる、一般に−70℃未満のTを有する低T官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体をうまく得ることができることも発見した。
【0101】
本発明は、以下の実施例を参照して、さらに詳細に説明されるが、その目的は単に説明的なものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0102】
実施例1
工程1a:過酸化PFPEとFAFSとの反応
式:X−O(CFCFO)(CFO)(CF(CFCFO)(O)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COFおよび−CFCOFを表し、zは1または2であり、m/nは1.20であり、r/(m+n)は0.0053であり、h/(n+m+r)は0.069である)を有する過酸化PFPE(20g)、数平均分子量55000およびP.O.1.17を有する過酸化PFPE、FAFS(20g)およびGALDEN(登録商標)HT230PFPE(60g)を250mlステンレス鋼オートクレーブに導入した。
その結果得られた混合物を180℃で30分間加熱し、次いで190℃で1時間加熱し、次いで室温に冷却した。
減圧で分留することによって、未反応FAFS(19g)およびGALDEN(登録商標)HT230PFPEを回収した。
【0103】
工程1b:熱処理
電磁攪拌棒、バブル冷却パイプ、熱電対温度計および窒素(5Nl/時)を供給するための浸漬パイプを備えた三つ口フラスコに、実施例1、工程1aで得られた蒸留残渣を導入し、以下の段階熱処理:210℃(30分)、220℃(1時間)、240℃(2時間)に従って加熱した。
この反応時間の最後に、非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(18g)を回収し、19F−NMR分光法によって特徴付け、以下の式:
XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COFおよび−CFCOFを表し、zは1または2であり、qは9.8であり、m/sは1.0であり、r/(m+s)は0.0048であり、q/(m+r+s)は0.019である)に従うことが判明した。この非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、数平均分子量49500および官能価(F)の値11.8を有する。
【0104】
工程1c:ポリ(フッ化アシル)PFPEへの誘導体化
電磁攪拌棒、バブル冷却パイプ、滴下漏斗および熱電対温度計を備えた50ml三つ口フラスコに、フッ化カリウム(0.12g)を窒素下にて導入し、220℃で2時間加熱した。このようにして、無水フッ化カリウムが得られ、次いでそれを室温に冷却した。
次いで、実施例1、工程1bで得られた非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE10gをそれに一滴ずつ添加した。添加の最後に、得られた混合物を激しく攪拌しながら120℃にて3時間加熱し、次いで室温に冷却した。
官能性パーフルオロポリエーテル誘導体(9.6g、収率:96%)を濾過によって回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付け、以下の式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(COF)O)−(CF(CFCFO)−X’(式中、XおよびX’は−CFCOFを表し、zは1または2であり、m/sは1.0であり、r/(m+s)は0.0048であり、q/(m+r+s)は0.019である)に従うことが判明した。この官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、数平均分子量48400および官能価(F)の値11.8を有する。
このようにして得られた官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、ASTM3418に従って決定されるガラス転移温度(T)−104℃を有することが判明した。
【0105】
実施例2
実施例1、工程1aに詳述される同じ手順に従ったが、その結果得られた混合物を以下の段階熱処理:180℃(30分)、190℃(30分)、200℃(30分)、210℃(30分)、220℃(1時間)、230℃(2時間)に従って加熱した。
減圧で分留することによって、未反応FAFS(18g)およびGALDEN(登録商標)HT230PFPEを回収した。
非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(18.9g)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付けし、以下の式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COFおよび−CFCOFを表し、zは1または2であり、qは19.7であり、m/sは0.97であり、r/(m+s)は0.0049であり、q/(m+r+s)は0.038である)に従うことが判明した。この非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、数平均分子量52000および官能価(F)の値21.7を有する。
【0106】
実施例3
工程3a:TFEとFAFSとの酸化光重合
高圧水銀ランプ型HANAU TQ150が挿入され、ランプによって発せられる紫外線に対して透明である循環流体、例えばGALDEN(登録商標)D100PFPEによって冷却される、内部同軸石英外装を備え、かつガスを導入するための浸漬パイプ、内部温度を測るための熱電対を有する外装、および温度−75℃で維持される還流冷却器も備えた、500ml円筒形光化学反応器が使用された。
反応器を外部GALDEN(登録商標)SV90PFPE/ドライアイス浴によって−55℃に冷却し、モル比1:1でパーフルオロプロパン/ペンタフルオロエタンの溶媒混合物660gを装入した。ランプをオンにし、実施全体の間、窒素(2.56Nl/時)で希釈された、酸素(10Nl/時)、TFE(4.6Nl/時)およびFAFS(0.38Nl/時)の気体混合物を反応器内にバブリングした。
4時間照射した後、ランプをオフにし、脱ガス処理を行い、室温で蒸発させることによって、反応器から未反応溶媒および気体副生成物を回収した。過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(39.5g)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付けし、以下の式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(O)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COF(47.9モル%)および−CFCOF(50.3モル%)を表し、zは1または2であり、qは3.0であり、m/sは0.78であり、r/(m+s)は0.0047であり、t/(m+r+s)は0.091であり、q/(m+r+s)は0.061である)に従うことが判明した。この過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、数平均分子量5300、官能価(F)の値5.0およびP.O.1.3を有する。
【0107】
工程3b:熱処理
実施例1、工程1bに詳述される同じ手順に従ったが、実施例3、工程3aで得られた過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE30gを以下の段階熱処理:160℃(1時間)、180℃(1時間)、200℃(2時間)、230℃(5時間)にかけた。
この反応時間の最後に、非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(24.2g,収率:80%)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付けし、以下の式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COF(49.9モル%)および−CFCOF(8.8モル%)、−SOF(40.3モル%)および−CF(1モル%)を表し、zは1または2であり、qは2.8であり、m/sは0.76であり、r/(m+s)は0.023であり、q/(m+r+s)は0.057である)に従うことが判明した。この非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、数平均分子量4300および官能価(F)の値4.8を有する。
【0108】
工程3.1c:ポリ(フッ化アシル)PFPEへの誘導体化
実施例1、工程1cに詳述される同じ手順に従ったが、フッ化カリウム0.28gをフラスコに導入し、実施例3、工程3bで得られた非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE9.5gと相当する無水フッ化カリウムを反応させた。濾過によって、官能性パーフルオロポリエーテル誘導体(8.6g,収率:91%)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付けし、以下の式XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(COF)O)−(CF(CFCFO)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−CFCOF(99モル%)および−CF(1モル%)を表し、zは1または2であり、qは2.8であり、m/sは0.72であり、r/(m+s)は0.022であり、q/(m+r+s)は0.059である)に従うことが判明した。官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、数平均分子量4000および官能価(F)の値4.8を有する。
このようにして得られた官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、ASTM3418に従って決定されたガラス転移温度(T)−109℃を有することが判明した。
【0109】
工程3.2c:ポリエステルPFPEへの誘導体化
無水メタノール(20ml)に溶解したナトリウムメチレート(1.5g)を含有する50mlフラスコに、GALDEN(登録商標)HT55PFPE(30ml)中の実施例3、工程3bで得られた非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(8g)の溶液を室温で攪拌しながら、一滴ずつ添加した。
その結果得られた混合物を2時間還流し、次いで室温に冷却した。
フッ素化下相を分離し、0.45μmPTFEフィルターで濾過した。
ポリエステルPFPE(7.1g)を分留によって回収し、それを19F−NMR分光法およびFT−IR分析によって特徴付け、−CFOSOFフルオロスルフェート基と−COF末端基の両方が、相当する−COOCHメチルエステル基へと完全に転化したことが示された。
【0110】
工程3.3c:ポリアミドPFPEへの誘導体化
H−GALDEN(登録商標)ZV60HFPE(50ml)中の実施例3、工程3bで得られた非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(8g)の溶液を100mlフラスコに注いだ。温度を50℃に上げ、攪拌しながら、気体アンモニア(2Nl/時)を溶液中で2時間バブリングした。その結果得られた溶液を室温に冷却し、次いで0.45μmPTFEフィルターで濾過した。
ポリアミドPFPE(6.9g)を分留によって回収し、それを19F−NMR分光法およびFT−IR分析によって特徴付け、−CFOSOFフルオロスルフェート基と−COF末端基の両方が、相当する−CONHアミド基と完全に転化したことが示された。
【0111】
実施例4
工程4a:TFEとFAFSとの酸化光重合
実施例3、工程3aに詳述される同じ手順に従ったが、モル比1:1のパーフルオロプロパン/ペンタフルオロエタン溶媒混合物800gを反応器に装入し、酸素(24Nl/時)、TFE(12Nl/時)およびFAFS(0.23Nl/時)の気体混合物を4時間、反応器内にバブリングした。
過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(120.5g)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付け、次式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(O)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COF(41.7モル%)、−CFCOF(9.6モル%)、−SOF(48.7モル%)および−CF(1モル%)を表し、zは1または2であり、qは2.7であり、m/sは1.38であり、r/(m+s)は0.0117であり、t/(m+r+s)は0.191であり、q/(m+r+s)は0.017である)に従うことが判明した。この過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、数平均分子量20900、官能価(F)の値4.7およびP.O.2.5を有する。
【0112】
工程4b:熱処理
実施例3、工程3bで詳述される同じ手順に従った。非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(21.9g,収率:73%)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付け、次式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COF(25.8モル%)、−CFCOF(29.9モル%)、−SOF(43.3モル%)および−CF(1モル%)を表し、zは1または2であり、qは2.3であり、m/sは1.22であり、r/(m+s)は0.037であり、q/(m+r+s)は0.014である)に従うことが判明した。この非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEは、数平均分子量17100および官能価(F)の値4.3を有する。
【0113】
工程4c:ポリ(フッ化アシル)PFPEへの誘導体化
実施例1、工程1cで詳述される同じ手順に従ったが、フッ化カリウム0.16gをフラスコに導入し、相当する無水フッ化カリウムを実施例4、工程4bで得られた非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE7.06gと反応させた。濾過によって、官能性パーフルオロポリエーテル誘導体(6.8g,収率:96%)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付け、次式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(COF)O)−(CF(CFCFO)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−CFCOF(99モル%)および−CF(1モル%)を表し、zは1または2であり、qは2.5であり、m/sは1.21であり、r/(m+s)は0.038であり、q/(m+r+s)は0.018である)に従うことが判明した。
官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、数平均分子量16700および官能価(F)の値4.5を有する。このようにして得られた官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、ASTM3418に従って決定されるガラス転移温度(T)−108℃を有することが判明した。
【0114】
実施例5
電磁攪拌棒、熱電対温度計、および窒素および/またはTFEを導入するための浸漬パイプを備えた1Lフラスコに、実施例2、工程2aで得られた過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE300g、およびGALDEN(登録商標)HT230PFPE600gを導入した。
【0115】
工程5a:熱処理
窒素フロー(1Nl/時)下にて攪拌しながら、得られた混合物を190℃に加熱し、次いで窒素フローを停止し、TFEフロー(7Nl/時)に切り換えた。
以下の段階熱処理:190℃(1.5時間)、200℃(1.5時間)、210℃(1時間)に従って、混合物を加熱した。
この反応時間の後、TFEの供給を停止し、窒素フロー(3Nl/時)に切り換え、3時間維持した。非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを回収した。
【0116】
工程5b:ポリ(フッ化アシル)PFPEへの誘導体化
実施例1、工程1cで詳述される同じ手順に従ったが、実施例5、工程5aで得られた非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを無水フッ化カリウム8gとGALDEN(登録商標)HT230PFPE300gの存在下にて反応させた。
濾過によって、官能性パーフルオロポリエーテル誘導体(270g)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付け、次式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(COF)O)−(CF(CF)zCFO)−(W)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−CFCOF(99.1モル%)および−CF(0.9モル%)を表し、Wは−[(CFCF−O]−(jは6〜8の範囲である)であり、zは1または2であり、qは3.0であり、m/sは0.79であり、r/(m+s)は0.0064であり、q/(m+r+s)は0.060であり、x/(m+r+s)は0.018である)に従うことが判明した。官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、数平均分子量5100および官能価(F)の値5.0を有する。
【0117】
実施例6
工程6a:過酸化PFPEとFAFSとの反応
実施例1、工程1aで詳述される同じ手順に従った。
【0118】
工程6b:熱処理
実施例1、工程1bで詳述される同じ手順に従ったが、実施例6、工程6aで得られた蒸留残渣をGALDEN(登録商標)HT230PFPE40gの存在下にて200℃に加熱した。
次いで、TFEとHFPの気体混合物(0.8Nl/時,モル比1:1)をその中でバブリングすると同時に、温度を以下の段階熱処理:200℃(1.5時間)、210℃(1.5時間)、220℃(1.5時間)に従って上昇させた。
分留によって、非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE(24g)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付け、次式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(W)−X’(式中、XおよびX’は独立して、−COFおよび−CFCOFを表し、Wは−[(CFCF(CFCF(CF))p’O]−(p/p’は5であり、(p+p’)は18である)であり、zは1または2であり、qは9.8であり、xは9.5であり、m/sは1.0であり、r/(m+s)は0.0046であり、q/(m+r+s)は0.019であり、x/(m+r+s)は0.018である)に従うことが判明した。官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、数平均分子量67900および官能価(F)の値11.8を有する。
【0119】
工程6c:ポリ(フッ化アシル)PFPEへの誘導体化
実施例1、工程1cで詳述される同じ手順に従ったが、実施例6、工程6bで得られた非過酸化ポリ(フルオロスルフェート)PFPE10gをGALDEN(登録商標)HT230PFPE40gの存在下にて導入した。濾過によって、官能性パーフルオロポリエーテル誘導体(9.4g)を回収し、それを19F−NMR分光法によって特徴付け、次式:XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(COF)O)−(CF(CFCFO)−W−X’(式中、XおよびXは’−CFCOFを表し、Wは−[(CFCF(CFCF(CF))p’O]−(p/p’は5であり、(p+p’)は18である)であり、zは1または2であり、qは9.8であり、xは9.5であり、m/sは1.0であり、r/(m+s)は0.0046であり、q/(m+r+s)は0.019であり、x/(m+r+s)は0.018である)に従うことが判明した。この官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、数平均分子量66800および官能価(F)の値11.8を有する。
このようにして得られた官能性パーフルオロポリエーテル誘導体は、ASTM3418に従って決定されるガラス転移温度(T)−102℃を有することが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:−CFCF(CFOSOF)−O−を有する少なくとも1つの反復単位(R2)を含む少なくとも1つの(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖(鎖R)を含む、(パー)フルオロポリエーテル[ポリ(フルオロスルフェート)PFPE]。
【請求項2】
前記鎖Rが、反復単位(R1)を含み、前記反復単位が、一般式:−(CF−CFZ−O−(式中、kは、0〜3の整数であり、Zは、フッ素原子およびC−Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基の間で選択される)を有する、請求項1に記載のポリ(フルオロスルフェート)PFPE。
【請求項3】
以下の式(I):X−O(CFO)(CFCFO)(CFYO)(CFCFYO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(WO)−(O)−X’(I)に従うポリ(フルオロスルフェート)PFPEであって、前記反復単位が統計学的に、前記(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、上記式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOF、−CF(CF)COFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− Yは、C−Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基であり;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)−(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、ハロゲン、ハロゲン原子、C−C(パー)ハロアルキル基およびC−C(パー)フルオロ(オキシ)アルキル基の中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− zは、1または2であり;
− m、n、p、r、s、tおよびxは、≧0の整数であり、qは、≧1の整数である、請求項1に記載のポリ(フルオロスルフェート)PFPE。
【請求項4】
以下の式(II−A):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(O)−(WO)−X’(II−A)に従うポリ(フルオロスルフェート)PFPEであって、前記反復単位が統計学的に、前記(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、上記式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)−(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、ハロゲン原子およびC−C(パー)ハロアルキル基の中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− zは、請求項3に規定されるのと同じ意味を有し;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、xは、≧0の整数であり、qは、>1の整数であり、tは、≧1の整数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリ(フルオロスルフェート)PFPE。
【請求項5】
以下の式(II−B):X−O(CFO)(CFCFO)(CFCF(CFOSOF)O)−(CF(CFCFO)−(WO)−X’(II−B)に従うポリ(フルオロスルフェート)PFPEであって、前記反復単位が統計学的に、前記(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、上記式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−COF、−CFCOFおよび−SOF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、ハロゲン原子およびC−C(パー)ハロアルキル基の中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− zは、請求項3に規定されるのと同じ意味を有し;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、xは、≧0の整数であり、qは、>1の整数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリ(フルオロスルフェート)PFPE。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載のポリ(フルオロスルフェート)PFPEを製造する方法。
【請求項7】
(パー)フルオロポリエーテルペルオキシド(過酸化PFPE)をCF=CFCFOSOF(FAFS)と反応させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記過酸化PFPEが、以下の式(IV):C−O−(CFXO)c1(CFXCFXO)c2(CFCFCFO)c3(CFCFCFCFO)c4(O)−C’(IV)に従い、前記反復単位が統計学的に、前記(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、上記式中:
− X、X、Xは、互いに等しいか、または互いに異なり、フッ素原子およびC−Cパーフルオロ(オキシ)アルキル基の中から独立して選択され;
− CおよびC’は、互いに等しいか、または互いに異なり、COF、−CFCOFおよび−CF(CF)COF、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基からなる群の中から選択される官能基の間で独立して選択され;
− c1、c2、c3、およびc4は、互いに等しいか、または互いに異なり、≧0の整数であり、(c1+c2+c3+c4)が5〜2000、好ましくは10〜500の範囲にあるように選択され;
− pは、>0の整数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのエチレン性不飽和パーフルオロモノマーとCF=CFCFOSOF(FAFS)との酸化光重合を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記エチレン性不飽和パーフルオロモノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)および/またはヘキサフルオロプロピレン(HFP)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体を製造するための、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリ(フルオロスルフェート)PFPEの使用。
【請求項12】
前記官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体が、以下の式(V):XO(CFO)(CFCFO)(CFCF(T)O)−(CF(CFCFO)−(O)−(WO)−X’(V)に従い、前記反復単位が統計学的に、前記(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って分布しており、上記式中:
− XおよびX’は、互いに等しいか、または互いに異なり、−Tおよび−CFT、および1つまたは複数の水素または塩素原子を場合により含有するC−C(パー)フルオロアルキル基の間で選択される官能基の間で独立して選択され;
− Wは、互いに等しいか、または互いに異なる、式−(CR−CR)(式中、R、R、RおよびRは、互いに等しいか、または互いに異なり、ハロゲン原子およびC−C(パー)ハロアルキル基の中から独立して選択される)の反復単位を含むC−C50鎖を表し;
− Tは、カルボン酸、フッ化アシル、アミドおよびエステル基の中から選択される官能基であり;
− zは、請求項3に規定されるのと同じ意味を有し;
− m、q、rおよびsは、>0の整数であり、tおよびxは、≧0の整数であり、qは、>1の整数である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記官能性(パー)フルオロポリエーテル誘導体が、前記ポリ(フルオロスルフェート)PFPEを求核剤と反応させることによって得られる、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
前記求核剤が、金属ハロゲン化物、アルコラート、アミンの中から選択される、請求項13に記載の使用。

【公表番号】特表2012−511072(P2012−511072A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539009(P2011−539009)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066204
【国際公開番号】WO2010/063745
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】