多層の布帛を用いたブラジャー構造
体型補整衣類(1)および布帛が提供される。衣類は、内側布帛(4)層と外側布帛層(6)とを含む。内側布帛層は、外側布帛層に対して角度をなした配向で配置されている。さらに、内側布帛層および外側布帛層は、十分に等方性のヒステリシスを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポート、補整および/または快適さを、軟部組織領域等の成形可能な身体領域に与える布帛および衣類に関する。ブラジャー等の体型補整衣類やその他体型補整衣類構造が多層の弾性布で作製される。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に援用される2005年10月11日出願の米国特許出願第11/248,787号明細書の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
衣類業界において、デザイナー達は、快適に着用でき、プロポーションを良くし、軽量かつ美観のよい女性の体型補整衣類(例えば、ブラジャー、ランジェリー、ガードル、ストレッチパンツおよびスイムスーツ)の開発を模索している。特に、ブラジャー構造には、(a)着用者の快適さと(b)乳房のリフトサポートという2つの主たる目標がある。2つの主たる目標は相反するものである。
【0004】
ブラジャーは、サポート、補整および/または快適さを、成形可能な軟部組織領域に与える衣類の一例である。軽量で、快適かつ乳房のサポートを与える様々なタイプのブラジャーがデザインされてきた。多くのブラジャーは、着用者の快適さのために、伸縮性または弾性のある材料を組み込んでいる。しかしながら、これらブラジャーの多くは、締め付ける材料を利用することにより乳房をサポートしている。例えば、締め付ける材料は、乳房を身体に対して圧力により押して、刺激や不快感を生じる。あるいは、締め付ける材料は、着用者の皮膚を押したり、曲げたり、つついたりする場合もある。ブラデザインに用いられる、かかる締め付ける材料としては、これらに限られるものではないが、着用者の皮膚を直接押すアンダーワイヤー、重弾性材料、パッドおよびシームが例示される。
【0005】
さらに、体型補整衣類着用中、着用者は、身体が動くと衣類位置が何度も変わるという経験をすることがある。これらの変化は、着用者の快適さに悪影響を及ぼす。例えば、動作によって、身体および衣類が直接接触しない部分が着用者に生じる。さらに、動作が生じるにつれて、衣類が身体に沿って滑る。動作している間、成形可能な身体領域から衣類を離すと、一般的に体型補整やサポートが失われる結果となり望ましくない。すなわち、衣類が身体の動作の結果として動くと、元の位置に戻ることができない。衣類の快適さも影響を受ける。着用者の動作や、その結果としての衣類の移動によって、着用者が衣類を身体の元の位置に戻せば、元の快適さや補整が得られる。
【0006】
1984年11月13日発行の「2層カップおよびブラジャーを製造する方法(Method of Fabricating Two Layer Cups and Brassiere)」、コール(Cole)らによる米国特許公報(特許文献1)には、2層の伸縮性材料から成形されたブラジャーカップが開示されている。しかしながら、得られるカップは、伸縮性でない頂部分、実質的に伸縮性でない長手方向カップ部分および一体型の多方向伸縮性周囲部がある。成形後のカップに伸縮性がないと、着用者の快適さや衣類の補整能力が制限される。
【0007】
1995年9月5日発行の「布帛ラミネートおよびそれを組み込んだ衣類(Fabric Laminate and Garments Incorporating Same)」、スミス(Smith)らによる米国特許公報(特許文献2)には、ある程度の調節性を与えるのが望ましい、衣類の別々の部分を形成するのに用いられる多層伸縮性布帛が開示されている。伸縮性調節ラミネート布帛を選択的に用いることにより、業界では前進があったが、米国特許公報(特許文献2)の布帛ラミネートは、選択的に用いるだけであり、衣類の全体に用いることは意図されていない。(特許文献2)の材料を、衣類を形成する主たる布帛として用いた場合、衣類は締め付けすぎるか、かつ/または衣類全体(衣類の選択した部分だけでなく)が同じ調節性を有することになる。
【0008】
2001年11月11日公開の「ブラジャー(Brassiere)」という名称の独国特許(特許文献3)には、互いに少なくとも部分的に分離された2つのパッド付きブラカップが開示されている。さらに、各パッド付きブラカップは、2つの伸縮性織布層を有している。しかしながら、2つの伸縮性織布層は、1つの軸に沿ってのみ(すなわち、X軸かY軸のいずれかで、両方に沿ってではない)実質的に可撓性である。すなわち、独国特許(特許文献3)には、内側および外側布帛層が、それぞれ一方向に弾性なだけで、全ての他の方向においては、実際には、弾性がない、または少なくとも非常に僅かな弾性を示す。これらの伸縮性織布を用いることは、さらに他の前進であったが、伸縮の方向が1つの軸のみに制限されていて、かかる布帛で形成されたブラジャーにより与えられる快適さおよび調節の可能なレベルが限られる。さらに、(特許文献3)は、多方向に伸縮の可能性を増大させる弾性ニット布帛でなく、一方向に伸縮性のある織布を示している。さらに、織布カップによるブラジャーはニッチな市場であり、ブラジャーの大半はニット布帛で作製されている。
【0009】
2005年10月6日公開の「ブラジャー(Brassiere)」、ファリャ(Falla)による米国特許出願公開(特許文献4)には、カップに2層の布帛とアンカーサポートパネルとを有するブラジャーが開示されている。3層は、好ましくは、一方向伸縮の布帛で作製されている。アンカーによって、ブラジャーが着用者の身体に対してフラットなままとなる。米国特許出願公開(特許文献4)は、本発明の衣類とは離れる教示をしており、主に伸縮性の布帛で作製されたブラジャーは十分なサポートを与えないと記載している。
【0010】
身体での衣類の滑りを最小にし、動的な体型補整を行う3次元補整能力は、ブラジャーカップデザイン(例えば、2枚重ねの伸縮性布から作製されたカップ)等の体型補整衣類では、一般的に使えないことに留意されたい。実際、典型的なブラジャーでは、着用者の動作によって、補整能力が失われ、衣類が滑る。さらに、体型補整及びブラジャー構造はライクラ(LYCRA)(登録商標)(本願特許出願人の登録商標で市販されている)エラスタン製品で作製されているが、ライクラ(LYCRA)(登録商標)スパンデックス系製品の快適さ、補整能力およびサポートのレベルをさらに改善することが望まれている目標である。
【0011】
従って、着用者に与える快適さ、補整能力およびサポートを改善することのできる、ライクラ(LYCRA)(登録商標)スパンデックス含有布帛等の多層の弾性ニット布帛、または少なくとも二方向以上に伸縮性の布帛を有する体型補整衣類が必要とされている。かかる布帛は着用者が動いても適所に留まらなければならない。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,481,951号明細書
【特許文献2】米国特許第5,447,462号明細書
【特許文献3】独国特許第20114873号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0221718A1号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの実施形態は、動作および/または静止状態で、ブラジャーまたはその他体型補整衣類の着用者の身体の最大の快適さ、補整および調節を与える多層の布帛を含有する工学的ブラジャー構造をはじめとする体型補整衣類における新たな布帛の開発における進歩を利用するものである。快適さ、体型補整およびサポートという望ましい特徴を良好に与えるために、多層の特定の材料を、ブラジャー(例えば、ブラカップやウィング)等の体型補整衣類の選択した位置に含めることが有利であることを見出した。本発明において、これらの布帛の層は、所定の形状を採って、ブラジャー構造のカップのデザインにおいて互いに相対的な所定の配向で構成される。これらの布帛の層は、単独で用いても、布帛に縫製またはその他の方法で適用されたその他材料と組み合わせてもよい。本発明の衣類の布帛の層は成形してもよい。
【0014】
一実施形態は、内側布帛層と外側布帛層とを有する乳房受けカップを含むブラジャー等の体型補整衣類を提供するものである。さらに、本実施形態において、内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されている。本発明の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。さらに、本発明の本実施形態について、内側布帛層および外側布帛層は一緒になって、下式により定義されるS値を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供する。
【0015】
【数1】
【0016】
内側および外側布帛層のヒステリシス値を付与して、布帛の全体のヒステリシス値を決めなければならないことを考慮すると、内側および外側層の合わせたヒステリシス値は、約20%未満であるのが好適である。
【0017】
さらに、上記実施形態において、ブラジャーは、左カップと、左ウィング部と、任意で左ショルダストラップと、ブリッジと、右カップと、右ウィング部と、任意で右ショルダストラップと、留め具と、相手留め具またはフックバンドとを有する。さらに、上記の実施形態において、左カップの一端は左ウィング部に、他端はブリッジの一端に取り付けられており、存在するときは、左ショルダストラップの一端は左ウィング部分の遠心端に、他端は左カップの上部に接続されており、右カップの一端は右ウィング部に、他端はブリッジの一端に取り付けられており、存在するときは、右ショルダストラップの一端は右ウィング部の遠心端に、他端は右カップの上部に接続されている。さらに、留め具は右ウィング部の遠心端に接続されており、相手留め具は左ウィング部の遠心端に接続されている。
【0018】
他の実施形態は、それぞれ内側布帛層と外側布帛層とをさらに含む一対のカップを含むブラジャーを含む。さらに、ブラジャーは、第1の角度θ1の値により決めることのできる内側布帛層の外側布帛層に対する角度をなす配向を含む。さらに、内側布帛層および外側布帛層は、十分な等方性ヒステリシスを有する。これについては明細書でさらに定義してあり、身体からの滑りを最小にして、ブラジャーを乳房の動作に適合させる。
【0019】
ある実施形態のブラジャーは、バンドのないアンダーワイヤー、バンドのあるアンダーワイヤー、隠しアンダーワイヤー、ハーフカップアンダーワイヤー、ソフトカップ不可視サポートおよび三角ソフトカップミニマルブラのうち少なくとも1つであってよい。一対のカップは、フル、ハーフまたは部分被覆タイプのカップのうちの少なくとも1つであってよい。ブラジャーは成形されていてもよい。
【0020】
布帛の内側層は、交差軸X4−X’4とY4−Y’4を画定し、布帛の外側層は、交差軸X6−X’6とY6−Y’6を画定する。第1の角度θ1は、軸X4−X’4とX6−X’6間の角度として定義される。第1の角度θ1は約15度から約165度まで変動する。第2の角度θ2は、外側布帛層の最大弾性方向(すなわち、図1のX6)と、衣類の水平方向(すなわち、図1のXg)との間の角度として定義される。第2の角度θ2は、0度から180度まで変動する。
【0021】
内側布帛層および外側布帛層のそれぞれの第1の角度θ1、第2の角度θ2および等方性ヒステリシスの変動によって、ブラジャーの補整、快適さおよび調節が決まる。第1の角度θ1および第2の角度θ2は、バストの形状、バストの密度およびバストのボリュームのうち少なくとも1つに従って予め決められる。角度θ1およびθ2を変えることによって、カップの構造が変わって、バストの外観、形状およびボリュームを変えることができる。
【0022】
補整は、さらに、最小化効果、リフトアップ効果およびフルバスト効果のうちの少なくとも1つを含む。多方向への動作中、補整が完全に維持され、同時に、衣類は着用者の身体と完全に接触したままとなる。
【0023】
他の実施形態は、内側布帛層と外側布帛層とを有する成形可能な身体領域と接触させるための身体接触部分を含む体型補整衣類であり、内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されていて、内側布帛層および外側布帛層は一緒になって、下式により定義される変動係数(S)値を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供する。
【0024】
【数2】
【0025】
さらなる実施形態は、体型補整部分を含み、体型補整部分が、内側層と外側層とを有する多層布帛を含み、内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、内側布帛層および外側布帛層がそれぞれ弾性布を含み、それぞれ多方向弾性を提供する衣類である。
【0026】
さらなる実施形態は、
内側布帛層と外側布帛層を含む少なくとも2層を有する多層布帛であり、
内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されていて、
内側布帛層および外側布帛層は一緒になって、下式により定義される変動係数(S)値を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供する。
【0027】
【数3】
【0028】
ある実施形態の限定されない実施例において、布帛は弾性特性および等方性のヒステリシス値を有する。これらのタイプの布帛を用いることにより、ある実施形態によれば、公知の方法により製造されるものよりも快適さおよび補整能力の大きな軟性かつ柔軟な体型補整衣類が提供される。
【0029】
本発明を以下の図面を利用して、以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
ある実施形態において、布帛により提供される一体型補整能力を備えた体型補整衣類の構造のためのシステムがある。構造のこのシステムは、アクティブウェア、スポーツウェア、ブラ、パンティおよび補整衣類等の肌にじかに着ける衣類、ストッキング等のレッグウェアおよび靴下といった様々な異なる衣類構造に用いられる。実施例の多くは、ブラジャーの実施形態に係るものであるが、これは、成形可能な身体領域に適用されるものと考えられる。布帛構造の多くの利点が含まれているが、用途は衣類に限定されず、補整可能な領域と接触する布帛の移動や滑りの可能性のある家具用のクッション材をはじめとする任意の補整可能なまたは成形可能な媒体にも用いることができる。
【0031】
いくつかの実施形態のブラジャーにおいて、このシステムが、ブラジャーデザインのカップおよびウィングに利用されている。特に、(a)布帛層の可変の補整能力と(b)本発明のブラジャーカップのデザインの組み合わせによって、ブラジャーのカップとウィング部分について、より快適なフィットが得られる。本発明の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。
【0032】
具体的には、ある実施形態は、乳房組織をより快適に成形し調節するためのブラジャーカップの構造を提供する。弾性または伸縮性のある布帛が、ブラジャーカップを形成する。布帛配向は、次のように定義される軸X−X’およびY−Y’による座標系により定義される。X−X’軸は、布帛の最大伸縮方向である。ワープニット布帛については、これは、通常、縦方向である。Y−Y’軸は、X−X’軸に垂直な方向である。内側布帛層の縦および横方向は、外側布帛層の縦および横方向に対して15度から165度の角度θ1で配向される。内側および外側層の互いのこの配向と、布帛層の材料特性によって、3次元補整能力のあるブラジャーカップが得られる。この補整能力を乳房組織に適用すると、快適で補整能力のあるサポートを着用者に与えることができる。
【0033】
さらに、ある実施形態のブラジャーはまた、多くのブラジャーシルエットに乳房組織を成形する能力も与える。本発明が適用可能な考えられるブラジャーシルエットとしては、これらに限られるものではないが、バンドのないアンダーワイヤー、バンドのあるアンダーワイヤー、隠しアンダーワイヤー、ハーフカップアンダーワイヤー、ソフトカップ不可視サポート(すなわち、アンダーワイヤーなし)および三角ソフトカップミニマルブラが例示される。
【0034】
さらに、本発明のブラジャー構造は、少なくとも44DDを含め44DDまで、例えば、40Dを含め40Dまでのブラジャーサイズで利用される。これより大きなサイズのブラジャーは、一般的には、ラッセルワープニットで作製されるが、本発明のシステムおよびブラジャーカップデザインで用いることのできる布帛構造は、これらに限られるものではないが、少なくともトリコットワープニット、ラッセルワープニット、サーキュラーニット、レース、フラットニット、少なくとも多方向に伸縮可能な織布および不織布を含む。これらの布帛は、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスで作製したような一般的なラッセルワープニット布帛よりは低モジュラスであるが、本発明で用いると、快適性、成形性および調節性が改善される。
【0035】
図1の例示の図面は、本発明の第1のブラジャー構造を示す。特に、図1は、カップ3、5、側部パネルまたはウィング7、13およびショルダストラップ11、15を少なくとも含むブラジャー1の本発明の例示の実施形態の背面図である。図1は、ブラジャーを着用したときに着用者の皮膚と接触することが意図されたブラジャーの内側を示す。
【0036】
左カップ3のデザインは、右カップ5の鏡像である。カップ3、5のデザインを、図2および3に示し、詳細に説明する。カップ3、5は、シース29に含まれたアンダーワイヤー(図示せず)を含んでいてよい。シース29はかかるアンダーワイヤーを囲んでいる。カップ3、5はそれぞれ、内側布帛層4と外側布帛層6とを有する。内側布帛層4および外側布帛層6は、多方向に少なくとも伸縮可能で、略等方性のヒステリシスを示す布帛でできている。あるいは、カップ3、5を、布帛の連続ピースとしてウィングに接合してもよい。
【0037】
図1に示す各ウィング7、13は、ウィング/パネルがカップからその遠心端に向かって離れるにつれて、より狭い部分23、25へとテーパがついている。あるいは、ウィング/パネル7、13は、カップ3、5に近接する隣接部分から遠心端まで、その長さ全体にわたって同じ幅を保持していてもよい。ウィング7、13は、多層の布帛、または縦横方向に沿って異なる機械的特性を備えた布帛をさらに含んでいてもよい。
【0038】
図1に示すショルダストラップ11、15は、弾性および非弾性部分のうち少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。ショルダストラップ11、15は、着用者の皮膚と接触する表面に詰め物(図示せず)をさらに含んでいてもよい。加えて、図1に示すショルダストラップ11、15は、ショルダストラップ11、15の長さを調節する手段(図示せず)をさらに含んでいてもよい。ショルダストラップの長さを調節する手段は、これらに限られるものではないが、マルチセクション留め金、クリップ等を含み、それらを通して、ショルダストラップ11、15は輪留めされて、ショルダストラップの全体の長さを調節する。あるいは、ある実施形態のブラジャーは、図1に示すようなショルダストラップを有していない。ブラジャーは、取外し可能な2つまたは1つのショルダストラップを有していても、1つも有していなくてもよい。
【0039】
図1のブラジャー1は、左カップ3と、左ウィング部7と、ブリッジ部9と、左ショルダストラップ11と、右カップ5と、右ウィング部13と、右ショルダストラップ15と、留め具17と、相手留め具またはフックバンド19とをさらに含む。左カップ3は、左ウィング部7、ブリッジ9および左ショルダストラップ11に取り付けられている。左ショルダストラップ11の一端は左ウィング部7の遠心端に、他端は左カップ3に連結されている。右ショルダストラップ15の一端は右ウィング部13の遠心端に、他端は左カップ5に連結されている。ブラジャーの背面は、他の構成も可能である。ブラジャー1のウィング部分7、13は、テープ19の1つまたは複数の留め具21(フック等)を、バンド17の相手留め具(図示せず)に連結することにより、相互連結されている。留め具17は、少なくとも1つのフックテープとアイテープのうち少なくとも1つ等をさらに含んでいて、フックバンド19との相互接続を可能にしてもよい。
【0040】
図1のブラジャー1は、シース29に導入されるアンダーワイヤー(図示せず)をさらに含んでいてもよい。シース29は布帛からなり、アンダーワイヤーの詰め物となる。シース29は、カップ3、5、ウィング7、13および/またはブリッジ9のうち少なくとも1つに、それぞれの長さの少なくとも一部にわたって縫製または他の方法で取り付けられていて、更なるサポートを与える。アンダーワイヤーは、上下端および側端で、カップ3、5およびウィング7、13を画定している。例えば、アンダーワイヤーは、着用者がブラジャー1を不快に感じさせる鋭い、または乱れた隅部および端部のない平らな断面プロフィールを示す。図1のブラジャーのカップは成形してもよい。
【0041】
図2は、ブラジャー構造のカップの内側布帛層および外側布帛層の交互または多層「プラス(+)」配向についての例示のブラジャーカップデザインを示す。特に、図2に示すとおり、内側布帛層4は、正弦第1端部30、凸部第2端部42、凹部第3端部40および直線第4端部36の所定の四隅の周囲形状を有する。所定の形状は、異なる方向に垂直側方リフトを与えることができる。内側布帛層4は、ブラジャー構造の外側布帛層6の下に位置している。図2に示す内側布帛層4は、水平X4−X4’軸38と垂直軸Y4−Y4’軸39の標準配向を有している。あるいは、X4−X4’軸を垂直とし、Y4−Y4’軸を水平とすることができる。図2のX4−X4’およびY4−Y4’軸38、39は、それぞれ、内側布帛層4を形成する布帛の縦および横方向に対応している。図2および図3のブラジャーカップについての形状は、図1に示すブラジャーについてのみ例示されていることに留意されたい。他のブラデザインおよびサイズだと、異なるカップ形状が保証される。
【0042】
外側布帛層6は、内側布帛層4と同等の所定の周囲形状を有している。外側布帛層6は、内側布帛層4の上部に位置している。外側布帛層6は、垂直X6−X6’軸48および水平Y6−Y6’軸46を有する。水平Y6−Y6’軸46は、内側布帛層4のY4−Y4’軸39に対して±90度回転する。布帛層軸の相対的な配向と、層と衣類軸との間の角度の組み合わせが、衣類の一体型3次元(3D)補整能力に寄与している。
【0043】
ニット布帛の縦方向は、布帛の長さまたは機械方向である。機械方向は、布帛が機械から出てくる方向である。ワープニットにおいて、ヤーンは布帛の長さに沿ったニットである。ウェフトニットにおいて、ヤーンは横方向または交差方向に布帛を交差するニットである。一般的に言って、縦方向とは布帛の長さのことを指す。横方向は布帛の幅のことを指す。X−X’軸は、縦方向を表す。Y−Y’軸は、布帛の横方向(または交差)方向のことを指す。交互に、縦および横方向は、それぞれ、Y−Y’およびX−X’軸のことを指す。ライクラ(LYCRA)(登録商標)スパンデックス繊維は、一般的に、ウェフトニットについては布帛の横方向において、およびワープニット布帛については縦方向において、ベアヤーンとしてのニットである。これらの布帛を作製する方法は、当業者に周知である。
【0044】
衣類縫製プロセスを容易にするために、縫製前に、内側および外側布帛層4、6の端部を合わせて縫う。内側および外側層の形状は、デザインおよび所望のフィットの関数である。層は、任意の好適な方法を用いて接合される。これらに限られるものではないが、シングルニードル、ジグザグ、カバーステッチまたはオーバーロックステッチが例示される。布帛層4、6間の詰め物は用いても用いなくてもよい。図1の例示の衣類において、詰め物は用いなかった。
【0045】
図1の衣類は、ビュレットポストモールディングマシン(独国、ウォルフェクのオプトテクスフォーム(Optotexform,Wolfegg,Germany)より市販)でモールド加工されたライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスおよびナイロン(タイ、サムットプラカーンのペンアジア社(Penn Asia Co. Ltd.,Samutprakarn,Thailand)より市販)を含有するワープニット布帛から構築した。成形されたカップは、カップを加熱し、加熱した丸みのあるシリンダーモールド(ビュレット)を布帛に、所望の時間にわたって、布帛の永久変形が生じる温度で押し付けることによって形成された。ブラジャーカップについて布帛を成形する技術は、当業者に周知である。ビュレットモールド温度は204℃、キャビティ温度は190℃、休止時間は55秒であった。2つのモールドサイズを用い、Dカップについては、直径4.5インチのモールドを用いた。Bカップについては、直径3.5インチのモールドを用いた。34B、34Dおよび40Dの3つのサイズのブラを作製した。記録したデータはサイズ34Bのブラについてである。
【0046】
第1の角度θ1は、X4−X’4軸38とX6−X’6軸48との間の角度として定義される(図2参照)。例えば、図2に示す実施形態において、θ1は約90度である。第2の角度θ2は、外側布帛層のX6軸と衣類の水平方向Xgとの間の角度として定義される(図1参照)。例えば、図1に示す実施形態において、θ2は約90度である。角度θ1およびθ2を変えることによって、カップの構造において、バストの外観、形状およびボリュームを変えることができる。角度θ1は、約15〜165度、例えば、約15〜約90度とすることができる。角度θ2は、約0〜180度、例えば、90度、または、例えば、45度とすることができる。衣類の補整能力は、衣類デザインの角度θ1およびθ2に影響される。所望の補整を行うために、最良の角度θ1およびθ2を慎重に選択すべきである。
【0047】
図3は、ブラジャー構造のカップの内側布帛層4および外側布帛層6の他の交互または多層「クロス(X)」配向についての例示のブラジャーカップデザインを示す。特に、図3に示すとおり、内側布帛層4は、図2に示すのと同じ所定の形状を有しており、外側布帛層6下に位置している。図3に示す内側布帛層4は、水平X4−X4’軸38と垂直軸Y4−Y4’軸39の配向を有しており、それぞれ、図2に関して上述した標準配向に対して45度回転している。あるいは、X4−X4’軸38を水平とし、Y4−Y4’軸39を垂直とすることができる。加えて、外側布帛層6は、図2に示すのと同じ所定の形状を有しており、内側布帛層4の上に、またはこれを覆って位置している。外側布帛層6は、垂直Y6−Y6’軸48を有しており、内側布帛層4のY4−Y4’軸39に対して±90度回転する。図3に示すとおり、Y−Y’軸39、48を回転した、布帛層4を覆う布帛層6のこの配向は、図2に示す配向に比べて、「X」配向を与える。図3に示す実施形態において、θ1は約90度であり、θ2は約45度である。
【0048】
図4は、図2のブラジャーカップデザインの分解部分断面図を示す。内側布帛層4は、外側布帛層6から離れて示されている。ブラジャー構造において、かかる層は互いに近接していてもよいが、図2および図3を参照して説明した伸縮力および回転配向を利用して、自由に伸縮および回復の動きをする。
【0049】
布帛層4、6は、少なくとも1つの弾性布または多方向に伸縮可能な少なくとも1つの布帛を含む。例えば、ブラジャーデザインの層4、6は、伸びのよい、独特の平坦な応力/ひずみ挙動のライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス、コポリエーテル系クリアスパンデックスを含む。層4および6の布帛は、本明細書に記載した等方性ヒステリシス特性を有する。本発明の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。
【0050】
ブラジャー1の層4、6は、これらに限られるものではないが、サーキュラーニット、トリコットワープニット、ラッセルワープニット、レース、フラットニットおよび二方向以上に少なくとも伸縮可能な不織布を含む。これらの布帛は、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスで作製したような実施例の弾性布より保持力および弾性モジュラスが低いが、本発明で用いると、特定の等方性ヒステリシス特性が保持される限りは、快適性、補整およびサポートを改善することができる。追加の変形例として、布帛層4、6が、弾性および/または伸縮性布の組み合わせであると、改善された補整、快適さおよびサポートの所望の結果を衣類の着用者の身体に与えられる。
【0051】
ある実施形態のブラカップの層4、6は、多層のラミネート材料を含んでいてもよい。例えば、カップは、単一布帛の層を含む、または、層は接着剤により接合された1枚または複数枚の布帛を含んでいてもよい。ブラはまた3層以上の布帛を含んでいてもよい。あるデザインにおいては、3層以上、5層までの布帛を提供するのが望ましく、恐らく、必要である。例えば、図9のハーフカップブラジャーでは、追加の層を用いて、乳房補整およびリフトアップを行うことができる。多層のブラデザインおよび使用についての技術は当業者に知られている。
【0052】
図2A〜4Aを参照すると、多層布帛は、任意でラミネートされていてもよい2枚以上の布帛層を含んでいてもよい。内側4および外側層6等層のうち少なくとも2層は、弾性材料でできており、その他の中間層2を任意で含める。中間層2が存在する場合は、エラストマーから選択する。あるいは、中間層は、これらに限られるものではないが、布帛、フィルム、ファイバーフィル、発泡体、不織布およびこれらの組み合わせをはじめとする様々なその他の材料から選択してよい。
【0053】
多方向伸縮を与える内側および外側層2は、様々な異なる布帛および最終用途を与えてよい。本発明の布帛の好適な用途としては、成形可能な身体領域または軟性組織領域の補整が望まれるところが例示される。これには、乳房、太もも、臀部、腹部および鼠径部等の領域が含まれる。好適な用途としては、アクティブウェア、スポーツウェア、靴下、包帯および肌にじかに着ける衣類が挙げられる。
【0054】
ブラカップの層または任意の実施形態は成形される。例えば、カップは、約200℃で約1分間成形される。ビュレットまたはスカルプチュアモールドを用いてよく、例えば、ビュレットモールドを用いて、所望のカップ形状を形成する。適正に行うと、成形は、衣類の補整能力を制限せず、ブラデザインおよび布帛特性を最良の補整のために補う。ブラ成形の技術は、ブラジャー衣類作製業界の当業者には知られている。
【0055】
従来のスパンデックスがブラジャー構造に用いられているが、本発明の布帛層4、6は、従来のスパンデックス布帛とは異なる特徴を有している。これらの違いを、繊維の機械的特性を説明する図5のグラフに示す。特に、図5に、本発明の衣類に用いる布帛を作製するのに用いることのできる従来のスパンデックス繊維とライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス繊維についての応力/ひずみヒステリシス曲線を示す。各曲線の上の線は、繊維を伸張または延ばすのに必要な力(すなわち、負荷力)を表す。各曲線の下の線は、繊維がある伸びで出す回復力(すなわち、無負荷力)を表す。無負荷力は、「応力減衰」として知られている現象のために、負荷力より常に小さい。応力/ひずみ曲線内の領域がヒステリシスである。負荷力と無負荷力との間の差が大きくなればなるほど、ヒステリシスが大きくなる。
【0056】
図5は、本発明の衣類に用いる布帛を作製するのに用いることのできる弾性繊維を伸張するのに必要な力が従来のスパンデックス繊維より少ないことを示している。加えて、図5に示すように、弾性繊維の低ヒステリシスのために、かかる繊維により作製された布帛層の回復力は、着用および装着領域全体にわたって大きくなる。布帛層材料の低力特性の結果、着用者には、伸縮の動きに対する抵抗性がほとんどまたは全く感じられない。布帛層材料の低ヒステリシス特性の結果、布帛はその形状を即時に回復し、着用者の身体にぴったりと適合する。すなわち、本発明の衣類は、着用者の様々な動きを通して、身体に適合し、接触を維持する。さらに、本発明の衣類は、着用者の身体での滑りやスライドを解消する。その結果、衣類は、動きや着用中、所望の補整を維持することができる。
【0057】
本発明に適用可能な弾性布の限定されない一例としては、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスを含有する布帛が挙げられる。ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cは、伸びのよい、比較的平坦な応力/ひずみ挙動のコ−ポリエーテル系クリアスパンデックスである。本発明のライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス含有衣類を用いると、着用者の身体にしっかりと固定し、ぴったりと適合するブラジャーカップを提供する。その結果、ある実施形態は、従来のエラストマーまたはその他材料で作製した公知のブラジャー構造に比べて快適さを改善する。
【0058】
ある実施形態の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。衣類に用いることのできる布帛を後述する。インストロン(Instron)実験を用いて、所望の効果を衣類に与える布帛ヒステリシス特性を求めた。実験は各布帛について次のとおりに実施した。1)長さ−長さ(L&L)、長端の縦方向に切断した2片を、互いに上に直接置いて、インストロン(Instron)で試験し、2)幅−幅(W&W)、布帛の長端の横方向に切断した2片を、互いに上に直接置いて、インストロン(Instron)で試験し、および3)長さ−幅(L&W)、布帛の縦方向に沿って切断した1片と横方向に切断した第2の片を、互いに上に直接置いて、インストロン(Instron)で試験した。この方法により計算したヒステリシスを、表1に、3つの布帛について示す。3つの測定技術の低変動によって、ある実施形態の衣類に好適な布帛を定義する。L&L、W&WおよびL&W結果間の同じ低変動は、様々な異なるひずみ速度により、以下のインストロン(Instron)および異なる初期条件で、布帛Aについて保持される。1)30%の伸び(すなわち、10cmから13cmの距離)、2)900mm/分の代わりに500mm/分のインストロン(Instron)ひずみ速度、および3)20%布帛を伸ばすのを5分間保持し、20%までを数回(すなわち、6回以上)循環する。
【0059】
L−L、W−WおよびL−Wにおける実験について以下のような結果S
【0060】
【数4】
【0061】
を示す布帛を含むある実施形態の衣類が好適である。ほぼ等方性ヒステリシスは、上式に合うS値を有するものと定義される。Sは、3つのヒステリシスデータ点(HL&L、HW&WおよびHL&W)間の標準偏差として定義される。HL&Lは、長さに沿って切断された2層の布帛を試験するときに測定されるヒステリシスと定義される。HW&Wは、幅に沿って切断された2層の布帛を試験するときに測定されるヒステリシスと定義される。HL&Wは、1つは長さに沿って切断され、第2は幅に沿って切断された2枚の層を、実施例に記載した方法で試験するときに測定されるヒステリシスと定義される。
【0062】
下の試験結果に示されるとおり、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスのような繊維で作製した弾性布またはその他伸縮性の布帛は、公知の布帛やブラジャー構造に比べて、着用者に、改善された補整能力、安定性、回復力および/または快適さを与えた。
【0063】
図6〜図14に、ある実施形態による様々なブラジャーを着用しているモデルの概略を示す。特に、図6〜図10は、ある実施形態で実施することのできる様々なブラジャーシルエットの限定されない例を示す。図6は、ワイヤーのないソフトカップブラジャーの一例を示す。図7は、バンドのあるアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。図8は、隠しアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。図9は、ハーフカップアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。図10は、三角ソフトカップミニマルブラジャーの一例を示す。
【0064】
図11〜図14はそれぞれ、サポートおよび「補整能力」を示す様々なブラジャーおよびモデル位置を表す。図11は、「アームス通常(Arms Normal)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。図12は、「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。図13は、「アームスアップ(Arms Up)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。図14は、「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【0065】
図11〜14に示す体位は、身体を異なる解剖学的軸に沿って動かすことにより、バストの位置を変えようとするものである。これらの動きは、感圧装置および身体スキャンと組み合わせて、バストとブラジャーとの間の接触および全体のバスト補整について調べるものである。図11の「アームス通常(Arms Normal)」姿勢では、手をウエストに置き、着用者は自然に呼吸している。これは、バストが動きなしで構成されている自然な姿勢である。図12の「アームスアップ(Arms Up)」姿勢では、上半身を上へ押す結果、皮膚と筋肉が最大に伸びている。この位置だと、バストが上へ移動する傾向が最大であり、皮膚を非常に伸ばした位置でのブラとバストの接触が試験される。図13の「アームス横方向伸張(Arms Extended Laterally)」姿勢では、バストは、横方向に伸ばした腕により作られた面に沿って位置が変わる。この姿勢では、センサは、ブラとバストの接触を測定する。図14の「アームス左から右へ(Arms From Left to Right)」姿勢では、体を「アームス横方向伸張(Arms Extended Laterally)」姿勢から90度まで捻っている。この姿勢では、伸ばした腕により作られた面に沿ってブラ内側のバストの位置が変わるのが、捻りの影響と組み合わされている。このように、ブラとバストの接触および全体のバストの補整は厳しく試験される。
【0066】
衣類により体にかかる圧力を測定し、評価して、試験衣類のフィットおよび快適さの特性を求める。3−Dボディスキャナ(独国、ウィスバーデンのビトロニック(Vitronic,Wiesbaden,Germany)より市販されているヴィタスプロ(VITUS PRO))は16個の3−Dカメラと4つのカラーカメラとを有しており、スキャンワークス(ScanWorX)3Dボディスキャナソフトウェア(ミシガン州、トロイのヒューマンソリューションズ(Human Solutions,Troy,Michigan)より市販)により処理できるボディスキャンファイルを生成する。3D圧力システム(マサチューセッツ州、ボストンのテックスキャン(TekScan Inc.,Boston,Massachusetts)より市販)は、フィルム状圧力センサを利用して、2つの表面間の圧力を評価するものである。このフィルムセンサは、着用者のバストとブラとの間に挿入される。着用者が、動かずに立つ、つま先を触るという動作ルーチンを行う際に、図22の3D時間依存性圧力プロフィールがコンピュータに記録される。
【0067】
3Dボディスキャナは、体の外面または形状をスキャンする。図15〜図19の体積分布は、差分ボリューム(すなわち、断面表面積)対高さのプロットである。3Dスキャンからの高さで、その高さでの体の切片の表面積を計算することができる。同じ切片から、真のテープ外周を計算することができる。真の外周は、切片の真の周辺の長さであり、テープ外周は、図20および図21の可撓性テープを用いて測定した場合の切片のもつ外周である。
【0068】
図15は、図11に示す、着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図15のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときのある実施形態の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図15のグラフには、「+」と「X」構造の両方を用いた衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、乳房をリフトアップする(すなわち、補整能力)ことが示されている。このさらなるリフトアップは、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、乳房の動きに良好に従うことができることを示している。角度θ1およびθ2を変えることによって(例えば、上述したとおりに)、カップの構造が変わって、バストの外観、形状およびボリュームを変えることができる。
【0069】
図16は、図12に示す、着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図16のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」または「X」構造間で直接比較を行った。図16のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、リフトアップに関して、より多くの補整能力を与えたことが示されている。このさらなるリフトアップは、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0070】
図17は、図13に示す、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図17のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときのある実施形態の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図17のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、ある高さで同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、体積が減じたことが示されている。この減少した体積は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるとき、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0071】
図18は、図14に示す、着用者が「アームス左から右へ(Arms Left to Right」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図18のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図18のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、ある高さで「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、体積が減じたことが示されている。本発明の衣類のこの減少した体積は、衣類が、着用者が「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」位置にあるとき、従来のスパンデックスの衣類よりも、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0072】
図19は、図11に示す、着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造の真の外周を比較するグラフを示す。図19のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図19のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、ある高さで、より多くの外周を与える(すなわち、良好なリフトアップおよびフルバスト)ことが示されている。この追加の外周は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、従来のスパンデックスで作製した衣類よりも、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0073】
図20は、図12に示す、着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造の真の外周を比較するグラフを示す。図20のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図20のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、ある高さで、真の外周の点で、より良いリフトアップおよびフルバストを与えることが示されている。この外周は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0074】
図21は、図13に示す、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造の真の外周を比較するグラフを示す。図21のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図21のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、ある高さで同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、外周が減じたことが示されている。この減少した外周は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるとき、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0075】
図22は、着用者が立った姿勢からウエストを曲げてつま先を触るまでの動作をするときのブラジャー構造についてブラジャーカップにあるバストにかかる平均圧力を比較するグラフを示す。この動作を4回繰り返す。曲げている間、圧力変動は、本発明の衣類に比べて、従来のスパンデックスで作製した衣類は4〜5倍大きい。これは、図22に示されており、平均アンダーバスト圧力(10Hzの周波数でサンプリングした40のsenselsの平均)が時間に対してプロットされている。図22において、従来のスパンデックスで作製した衣類についての大きな圧力の揺れは、バストと衣類との間の接触が失われたことを示している。一方、本発明の衣類について測定された小さな圧力変動は、衣類とバストとの間で失われた接触が最小であるということを示している。本発明により作製されたブラジャーがバストに対して定位置のままであるということになる。
【0076】
まとめると、上のグラフ(すなわち、図15〜図22)は、本発明の衣類のブラジャー構造およびカップデザインにおいて、低バスト圧縮およびほぼ等方性ヒステリシス布帛、例えば、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス布帛の改善された性能が確認される実験的証拠を与えるものである。この構造およびデザインは、ブラジャー、補整ウェアおよびスイムスーツ等の体型補整衣類の快適さ、補整およびサポートを改善する。本発明の衣類は、スキャナーと圧力の結果の両方に示されるとおり、上述した動作中、最小の滑りと最大の着用者快適性と共に、バストおよび胴との良好な接触を維持し、所望の補整を行う。
【実施例】
【0077】
(分析方法)
インストロン(Instron)張力計で測定されたヒステリシス。マーリンインストロン(Merlin Instron)(型番5500R、マサチューセッツ州、ノルウッドのインストロン(Instron,Norwood,Massachusetts)より市販)を、幅5cmの布帛を取り付けられるようにしたクランプと共に用いた。クランプは初期の距離10cmで配置した。布帛片(約20cm×5cm)を、まず、長さ(縦)、そして幅(横)方向に沿って切断した。切断した後、布帛試料を約20分間にわたって静置した。各実験において、ひずみ速度を900mm/分にセットし、0〜100%の初期のクランプ距離10cmで伸張を行い、0%に戻した。2層布帛試料を、クランプ間に配置して、10〜20cm伸張してから、10cmに戻した。このプロセス(サイクル)を6回以上繰り返して、1つのサイクルから次まで変化しないという結果を得た。最後のサイクルを用いて、関連の全ての動的および機械的情報を抽出した。標準インストロン(Instron)RAWファイルに結果を記録し、マトラボ(Matlab)(マサチューセッツ州、ナティックのマスワークス(Mathworks,Natick,Massachusetts)より市販)等の標準的な数学ソフトウェアを用いて処理した。インストロン(Instron)負荷および無負荷曲線を、最小二乗3次スプラインを用いて適合させた。負荷および無負荷曲線の適合させたスプライン表示を用いて、曲線のヒステリシスを次のようにして計算することができる。
【0078】
【数5】
【0079】
式中、0および0.1はmであり、実験中の布帛の伸張を表しており、F負荷およびF無負荷は最後のサイクルの負荷および無負荷曲線について適合した3次最小二乗スプラインである。上式において、Lはmで、FはNであり、ヒステリシスはJである。
【0080】
【表1】
【0081】
表の最後の欄、変動係数(S)は、各布帛について3つの結果L&L、W&WおよびL&Wの変動の比較の基礎を与える。変動係数(S)は、平均で除算し、100%を乗算した3回の測定の標準偏差である。
【0082】
布帛1A(タイのペンアジア社(Penn Asia,Thailand)より市販)はライクラ(Lycra)(登録商標)T902Cスパンデックスで作製し、S値は本発明の限定内であった。布帛1C(ペンシルバニア州、ミルトンのH.ワルシャワ・アンド・サンズ社(H.Warshow and Sons,Inc.,Milton,Pennsylvania)より市販)はライクラ(Lycra)(登録商標)T162Bスパンデックスで作製した。S値は本発明にとっては高すぎる。布帛2C(台湾、台北のルーイタイ(Ruey Tay,Taipei,Taiwan)より市販)はライクラ(Lycra)(登録商標)T162Cスパンデックスで作製した。S値は本発明にとっては高すぎる。
【0083】
本発明の好ましい実施形態と現在考えられているものについて記載してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく変形および変更を行ってもよく、かかる変形および変更は全て、本発明の真の範囲内に入るものであることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】バンドのないアンダーワイヤーブラジャーシルエットの本発明の例示のブラジャー構造の背面図である。
【図2】図1のブラジャー構造のカップの内側布帛層および外側布帛層の多層「プラス(+)」配向についての例示のブラジャーカップデザインの背面図を示す。
【図2A】他の布帛構造に適用してよい図2に示すような内側および外側布帛層を示す。
【図3】図1のブラジャー構造のカップの内側布帛層および外側布帛層の多層「クロス(X)」配向についての例示のブラジャーカップデザインの変形背面図を示す。
【図3A】他の衣類または布帛構造に適用してよい図3に示すような内側および外側布帛層を示す。
【図4】図2の線4−4に沿ったブラジャーカップデザインの分解部分断面図を示す。
【図4A】任意の中間層を含む図2Aの布帛の図4と同様の断面を示す。
【図5】本発明の衣類用の布帛を作製するのに用いることのできる従来のスパンデックス繊維とライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス弾性繊維についての応力/歪み曲線を示す。
【図6】ワイヤーのないソフトカップブラジャーの一例を示す。
【図7】バンドのあるアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。
【図8】隠しアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。
【図9】ハーフカップアンダーワイヤーの一例を示す。
【図10】三角ソフトカップミニマルブラの一例を示す。
【図11】「アームス通常(Arms Normal)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図12】「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図13】「アームスアップ(Arms Up)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図14】「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図15】着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図16】着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図17】着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図18】着用者が「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図19】着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の真の外周を比較するグラフを示す。
【図20】着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおいて乳房を含めた身体の真の外周を比較するグラフを示す。
【図21】着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおいて乳房を含めた身体の真の外周を比較するグラフを示す。
【図22】着用者がウエストを曲げたときのブラジャー構造についてブラジャーカップにあるバストにかかる平均圧力を比較するグラフを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポート、補整および/または快適さを、軟部組織領域等の成形可能な身体領域に与える布帛および衣類に関する。ブラジャー等の体型補整衣類やその他体型補整衣類構造が多層の弾性布で作製される。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に援用される2005年10月11日出願の米国特許出願第11/248,787号明細書の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
衣類業界において、デザイナー達は、快適に着用でき、プロポーションを良くし、軽量かつ美観のよい女性の体型補整衣類(例えば、ブラジャー、ランジェリー、ガードル、ストレッチパンツおよびスイムスーツ)の開発を模索している。特に、ブラジャー構造には、(a)着用者の快適さと(b)乳房のリフトサポートという2つの主たる目標がある。2つの主たる目標は相反するものである。
【0004】
ブラジャーは、サポート、補整および/または快適さを、成形可能な軟部組織領域に与える衣類の一例である。軽量で、快適かつ乳房のサポートを与える様々なタイプのブラジャーがデザインされてきた。多くのブラジャーは、着用者の快適さのために、伸縮性または弾性のある材料を組み込んでいる。しかしながら、これらブラジャーの多くは、締め付ける材料を利用することにより乳房をサポートしている。例えば、締め付ける材料は、乳房を身体に対して圧力により押して、刺激や不快感を生じる。あるいは、締め付ける材料は、着用者の皮膚を押したり、曲げたり、つついたりする場合もある。ブラデザインに用いられる、かかる締め付ける材料としては、これらに限られるものではないが、着用者の皮膚を直接押すアンダーワイヤー、重弾性材料、パッドおよびシームが例示される。
【0005】
さらに、体型補整衣類着用中、着用者は、身体が動くと衣類位置が何度も変わるという経験をすることがある。これらの変化は、着用者の快適さに悪影響を及ぼす。例えば、動作によって、身体および衣類が直接接触しない部分が着用者に生じる。さらに、動作が生じるにつれて、衣類が身体に沿って滑る。動作している間、成形可能な身体領域から衣類を離すと、一般的に体型補整やサポートが失われる結果となり望ましくない。すなわち、衣類が身体の動作の結果として動くと、元の位置に戻ることができない。衣類の快適さも影響を受ける。着用者の動作や、その結果としての衣類の移動によって、着用者が衣類を身体の元の位置に戻せば、元の快適さや補整が得られる。
【0006】
1984年11月13日発行の「2層カップおよびブラジャーを製造する方法(Method of Fabricating Two Layer Cups and Brassiere)」、コール(Cole)らによる米国特許公報(特許文献1)には、2層の伸縮性材料から成形されたブラジャーカップが開示されている。しかしながら、得られるカップは、伸縮性でない頂部分、実質的に伸縮性でない長手方向カップ部分および一体型の多方向伸縮性周囲部がある。成形後のカップに伸縮性がないと、着用者の快適さや衣類の補整能力が制限される。
【0007】
1995年9月5日発行の「布帛ラミネートおよびそれを組み込んだ衣類(Fabric Laminate and Garments Incorporating Same)」、スミス(Smith)らによる米国特許公報(特許文献2)には、ある程度の調節性を与えるのが望ましい、衣類の別々の部分を形成するのに用いられる多層伸縮性布帛が開示されている。伸縮性調節ラミネート布帛を選択的に用いることにより、業界では前進があったが、米国特許公報(特許文献2)の布帛ラミネートは、選択的に用いるだけであり、衣類の全体に用いることは意図されていない。(特許文献2)の材料を、衣類を形成する主たる布帛として用いた場合、衣類は締め付けすぎるか、かつ/または衣類全体(衣類の選択した部分だけでなく)が同じ調節性を有することになる。
【0008】
2001年11月11日公開の「ブラジャー(Brassiere)」という名称の独国特許(特許文献3)には、互いに少なくとも部分的に分離された2つのパッド付きブラカップが開示されている。さらに、各パッド付きブラカップは、2つの伸縮性織布層を有している。しかしながら、2つの伸縮性織布層は、1つの軸に沿ってのみ(すなわち、X軸かY軸のいずれかで、両方に沿ってではない)実質的に可撓性である。すなわち、独国特許(特許文献3)には、内側および外側布帛層が、それぞれ一方向に弾性なだけで、全ての他の方向においては、実際には、弾性がない、または少なくとも非常に僅かな弾性を示す。これらの伸縮性織布を用いることは、さらに他の前進であったが、伸縮の方向が1つの軸のみに制限されていて、かかる布帛で形成されたブラジャーにより与えられる快適さおよび調節の可能なレベルが限られる。さらに、(特許文献3)は、多方向に伸縮の可能性を増大させる弾性ニット布帛でなく、一方向に伸縮性のある織布を示している。さらに、織布カップによるブラジャーはニッチな市場であり、ブラジャーの大半はニット布帛で作製されている。
【0009】
2005年10月6日公開の「ブラジャー(Brassiere)」、ファリャ(Falla)による米国特許出願公開(特許文献4)には、カップに2層の布帛とアンカーサポートパネルとを有するブラジャーが開示されている。3層は、好ましくは、一方向伸縮の布帛で作製されている。アンカーによって、ブラジャーが着用者の身体に対してフラットなままとなる。米国特許出願公開(特許文献4)は、本発明の衣類とは離れる教示をしており、主に伸縮性の布帛で作製されたブラジャーは十分なサポートを与えないと記載している。
【0010】
身体での衣類の滑りを最小にし、動的な体型補整を行う3次元補整能力は、ブラジャーカップデザイン(例えば、2枚重ねの伸縮性布から作製されたカップ)等の体型補整衣類では、一般的に使えないことに留意されたい。実際、典型的なブラジャーでは、着用者の動作によって、補整能力が失われ、衣類が滑る。さらに、体型補整及びブラジャー構造はライクラ(LYCRA)(登録商標)(本願特許出願人の登録商標で市販されている)エラスタン製品で作製されているが、ライクラ(LYCRA)(登録商標)スパンデックス系製品の快適さ、補整能力およびサポートのレベルをさらに改善することが望まれている目標である。
【0011】
従って、着用者に与える快適さ、補整能力およびサポートを改善することのできる、ライクラ(LYCRA)(登録商標)スパンデックス含有布帛等の多層の弾性ニット布帛、または少なくとも二方向以上に伸縮性の布帛を有する体型補整衣類が必要とされている。かかる布帛は着用者が動いても適所に留まらなければならない。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,481,951号明細書
【特許文献2】米国特許第5,447,462号明細書
【特許文献3】独国特許第20114873号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0221718A1号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの実施形態は、動作および/または静止状態で、ブラジャーまたはその他体型補整衣類の着用者の身体の最大の快適さ、補整および調節を与える多層の布帛を含有する工学的ブラジャー構造をはじめとする体型補整衣類における新たな布帛の開発における進歩を利用するものである。快適さ、体型補整およびサポートという望ましい特徴を良好に与えるために、多層の特定の材料を、ブラジャー(例えば、ブラカップやウィング)等の体型補整衣類の選択した位置に含めることが有利であることを見出した。本発明において、これらの布帛の層は、所定の形状を採って、ブラジャー構造のカップのデザインにおいて互いに相対的な所定の配向で構成される。これらの布帛の層は、単独で用いても、布帛に縫製またはその他の方法で適用されたその他材料と組み合わせてもよい。本発明の衣類の布帛の層は成形してもよい。
【0014】
一実施形態は、内側布帛層と外側布帛層とを有する乳房受けカップを含むブラジャー等の体型補整衣類を提供するものである。さらに、本実施形態において、内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されている。本発明の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。さらに、本発明の本実施形態について、内側布帛層および外側布帛層は一緒になって、下式により定義されるS値を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供する。
【0015】
【数1】
【0016】
内側および外側布帛層のヒステリシス値を付与して、布帛の全体のヒステリシス値を決めなければならないことを考慮すると、内側および外側層の合わせたヒステリシス値は、約20%未満であるのが好適である。
【0017】
さらに、上記実施形態において、ブラジャーは、左カップと、左ウィング部と、任意で左ショルダストラップと、ブリッジと、右カップと、右ウィング部と、任意で右ショルダストラップと、留め具と、相手留め具またはフックバンドとを有する。さらに、上記の実施形態において、左カップの一端は左ウィング部に、他端はブリッジの一端に取り付けられており、存在するときは、左ショルダストラップの一端は左ウィング部分の遠心端に、他端は左カップの上部に接続されており、右カップの一端は右ウィング部に、他端はブリッジの一端に取り付けられており、存在するときは、右ショルダストラップの一端は右ウィング部の遠心端に、他端は右カップの上部に接続されている。さらに、留め具は右ウィング部の遠心端に接続されており、相手留め具は左ウィング部の遠心端に接続されている。
【0018】
他の実施形態は、それぞれ内側布帛層と外側布帛層とをさらに含む一対のカップを含むブラジャーを含む。さらに、ブラジャーは、第1の角度θ1の値により決めることのできる内側布帛層の外側布帛層に対する角度をなす配向を含む。さらに、内側布帛層および外側布帛層は、十分な等方性ヒステリシスを有する。これについては明細書でさらに定義してあり、身体からの滑りを最小にして、ブラジャーを乳房の動作に適合させる。
【0019】
ある実施形態のブラジャーは、バンドのないアンダーワイヤー、バンドのあるアンダーワイヤー、隠しアンダーワイヤー、ハーフカップアンダーワイヤー、ソフトカップ不可視サポートおよび三角ソフトカップミニマルブラのうち少なくとも1つであってよい。一対のカップは、フル、ハーフまたは部分被覆タイプのカップのうちの少なくとも1つであってよい。ブラジャーは成形されていてもよい。
【0020】
布帛の内側層は、交差軸X4−X’4とY4−Y’4を画定し、布帛の外側層は、交差軸X6−X’6とY6−Y’6を画定する。第1の角度θ1は、軸X4−X’4とX6−X’6間の角度として定義される。第1の角度θ1は約15度から約165度まで変動する。第2の角度θ2は、外側布帛層の最大弾性方向(すなわち、図1のX6)と、衣類の水平方向(すなわち、図1のXg)との間の角度として定義される。第2の角度θ2は、0度から180度まで変動する。
【0021】
内側布帛層および外側布帛層のそれぞれの第1の角度θ1、第2の角度θ2および等方性ヒステリシスの変動によって、ブラジャーの補整、快適さおよび調節が決まる。第1の角度θ1および第2の角度θ2は、バストの形状、バストの密度およびバストのボリュームのうち少なくとも1つに従って予め決められる。角度θ1およびθ2を変えることによって、カップの構造が変わって、バストの外観、形状およびボリュームを変えることができる。
【0022】
補整は、さらに、最小化効果、リフトアップ効果およびフルバスト効果のうちの少なくとも1つを含む。多方向への動作中、補整が完全に維持され、同時に、衣類は着用者の身体と完全に接触したままとなる。
【0023】
他の実施形態は、内側布帛層と外側布帛層とを有する成形可能な身体領域と接触させるための身体接触部分を含む体型補整衣類であり、内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されていて、内側布帛層および外側布帛層は一緒になって、下式により定義される変動係数(S)値を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供する。
【0024】
【数2】
【0025】
さらなる実施形態は、体型補整部分を含み、体型補整部分が、内側層と外側層とを有する多層布帛を含み、内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、内側布帛層および外側布帛層がそれぞれ弾性布を含み、それぞれ多方向弾性を提供する衣類である。
【0026】
さらなる実施形態は、
内側布帛層と外側布帛層を含む少なくとも2層を有する多層布帛であり、
内側布帛層は第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、外側布帛層は第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、内側布帛層および外側布帛層は、内側布帛層の第1のX−X’軸が、外側布帛層の第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されていて、
内側布帛層および外側布帛層は一緒になって、下式により定義される変動係数(S)値を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供する。
【0027】
【数3】
【0028】
ある実施形態の限定されない実施例において、布帛は弾性特性および等方性のヒステリシス値を有する。これらのタイプの布帛を用いることにより、ある実施形態によれば、公知の方法により製造されるものよりも快適さおよび補整能力の大きな軟性かつ柔軟な体型補整衣類が提供される。
【0029】
本発明を以下の図面を利用して、以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
ある実施形態において、布帛により提供される一体型補整能力を備えた体型補整衣類の構造のためのシステムがある。構造のこのシステムは、アクティブウェア、スポーツウェア、ブラ、パンティおよび補整衣類等の肌にじかに着ける衣類、ストッキング等のレッグウェアおよび靴下といった様々な異なる衣類構造に用いられる。実施例の多くは、ブラジャーの実施形態に係るものであるが、これは、成形可能な身体領域に適用されるものと考えられる。布帛構造の多くの利点が含まれているが、用途は衣類に限定されず、補整可能な領域と接触する布帛の移動や滑りの可能性のある家具用のクッション材をはじめとする任意の補整可能なまたは成形可能な媒体にも用いることができる。
【0031】
いくつかの実施形態のブラジャーにおいて、このシステムが、ブラジャーデザインのカップおよびウィングに利用されている。特に、(a)布帛層の可変の補整能力と(b)本発明のブラジャーカップのデザインの組み合わせによって、ブラジャーのカップとウィング部分について、より快適なフィットが得られる。本発明の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。
【0032】
具体的には、ある実施形態は、乳房組織をより快適に成形し調節するためのブラジャーカップの構造を提供する。弾性または伸縮性のある布帛が、ブラジャーカップを形成する。布帛配向は、次のように定義される軸X−X’およびY−Y’による座標系により定義される。X−X’軸は、布帛の最大伸縮方向である。ワープニット布帛については、これは、通常、縦方向である。Y−Y’軸は、X−X’軸に垂直な方向である。内側布帛層の縦および横方向は、外側布帛層の縦および横方向に対して15度から165度の角度θ1で配向される。内側および外側層の互いのこの配向と、布帛層の材料特性によって、3次元補整能力のあるブラジャーカップが得られる。この補整能力を乳房組織に適用すると、快適で補整能力のあるサポートを着用者に与えることができる。
【0033】
さらに、ある実施形態のブラジャーはまた、多くのブラジャーシルエットに乳房組織を成形する能力も与える。本発明が適用可能な考えられるブラジャーシルエットとしては、これらに限られるものではないが、バンドのないアンダーワイヤー、バンドのあるアンダーワイヤー、隠しアンダーワイヤー、ハーフカップアンダーワイヤー、ソフトカップ不可視サポート(すなわち、アンダーワイヤーなし)および三角ソフトカップミニマルブラが例示される。
【0034】
さらに、本発明のブラジャー構造は、少なくとも44DDを含め44DDまで、例えば、40Dを含め40Dまでのブラジャーサイズで利用される。これより大きなサイズのブラジャーは、一般的には、ラッセルワープニットで作製されるが、本発明のシステムおよびブラジャーカップデザインで用いることのできる布帛構造は、これらに限られるものではないが、少なくともトリコットワープニット、ラッセルワープニット、サーキュラーニット、レース、フラットニット、少なくとも多方向に伸縮可能な織布および不織布を含む。これらの布帛は、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスで作製したような一般的なラッセルワープニット布帛よりは低モジュラスであるが、本発明で用いると、快適性、成形性および調節性が改善される。
【0035】
図1の例示の図面は、本発明の第1のブラジャー構造を示す。特に、図1は、カップ3、5、側部パネルまたはウィング7、13およびショルダストラップ11、15を少なくとも含むブラジャー1の本発明の例示の実施形態の背面図である。図1は、ブラジャーを着用したときに着用者の皮膚と接触することが意図されたブラジャーの内側を示す。
【0036】
左カップ3のデザインは、右カップ5の鏡像である。カップ3、5のデザインを、図2および3に示し、詳細に説明する。カップ3、5は、シース29に含まれたアンダーワイヤー(図示せず)を含んでいてよい。シース29はかかるアンダーワイヤーを囲んでいる。カップ3、5はそれぞれ、内側布帛層4と外側布帛層6とを有する。内側布帛層4および外側布帛層6は、多方向に少なくとも伸縮可能で、略等方性のヒステリシスを示す布帛でできている。あるいは、カップ3、5を、布帛の連続ピースとしてウィングに接合してもよい。
【0037】
図1に示す各ウィング7、13は、ウィング/パネルがカップからその遠心端に向かって離れるにつれて、より狭い部分23、25へとテーパがついている。あるいは、ウィング/パネル7、13は、カップ3、5に近接する隣接部分から遠心端まで、その長さ全体にわたって同じ幅を保持していてもよい。ウィング7、13は、多層の布帛、または縦横方向に沿って異なる機械的特性を備えた布帛をさらに含んでいてもよい。
【0038】
図1に示すショルダストラップ11、15は、弾性および非弾性部分のうち少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。ショルダストラップ11、15は、着用者の皮膚と接触する表面に詰め物(図示せず)をさらに含んでいてもよい。加えて、図1に示すショルダストラップ11、15は、ショルダストラップ11、15の長さを調節する手段(図示せず)をさらに含んでいてもよい。ショルダストラップの長さを調節する手段は、これらに限られるものではないが、マルチセクション留め金、クリップ等を含み、それらを通して、ショルダストラップ11、15は輪留めされて、ショルダストラップの全体の長さを調節する。あるいは、ある実施形態のブラジャーは、図1に示すようなショルダストラップを有していない。ブラジャーは、取外し可能な2つまたは1つのショルダストラップを有していても、1つも有していなくてもよい。
【0039】
図1のブラジャー1は、左カップ3と、左ウィング部7と、ブリッジ部9と、左ショルダストラップ11と、右カップ5と、右ウィング部13と、右ショルダストラップ15と、留め具17と、相手留め具またはフックバンド19とをさらに含む。左カップ3は、左ウィング部7、ブリッジ9および左ショルダストラップ11に取り付けられている。左ショルダストラップ11の一端は左ウィング部7の遠心端に、他端は左カップ3に連結されている。右ショルダストラップ15の一端は右ウィング部13の遠心端に、他端は左カップ5に連結されている。ブラジャーの背面は、他の構成も可能である。ブラジャー1のウィング部分7、13は、テープ19の1つまたは複数の留め具21(フック等)を、バンド17の相手留め具(図示せず)に連結することにより、相互連結されている。留め具17は、少なくとも1つのフックテープとアイテープのうち少なくとも1つ等をさらに含んでいて、フックバンド19との相互接続を可能にしてもよい。
【0040】
図1のブラジャー1は、シース29に導入されるアンダーワイヤー(図示せず)をさらに含んでいてもよい。シース29は布帛からなり、アンダーワイヤーの詰め物となる。シース29は、カップ3、5、ウィング7、13および/またはブリッジ9のうち少なくとも1つに、それぞれの長さの少なくとも一部にわたって縫製または他の方法で取り付けられていて、更なるサポートを与える。アンダーワイヤーは、上下端および側端で、カップ3、5およびウィング7、13を画定している。例えば、アンダーワイヤーは、着用者がブラジャー1を不快に感じさせる鋭い、または乱れた隅部および端部のない平らな断面プロフィールを示す。図1のブラジャーのカップは成形してもよい。
【0041】
図2は、ブラジャー構造のカップの内側布帛層および外側布帛層の交互または多層「プラス(+)」配向についての例示のブラジャーカップデザインを示す。特に、図2に示すとおり、内側布帛層4は、正弦第1端部30、凸部第2端部42、凹部第3端部40および直線第4端部36の所定の四隅の周囲形状を有する。所定の形状は、異なる方向に垂直側方リフトを与えることができる。内側布帛層4は、ブラジャー構造の外側布帛層6の下に位置している。図2に示す内側布帛層4は、水平X4−X4’軸38と垂直軸Y4−Y4’軸39の標準配向を有している。あるいは、X4−X4’軸を垂直とし、Y4−Y4’軸を水平とすることができる。図2のX4−X4’およびY4−Y4’軸38、39は、それぞれ、内側布帛層4を形成する布帛の縦および横方向に対応している。図2および図3のブラジャーカップについての形状は、図1に示すブラジャーについてのみ例示されていることに留意されたい。他のブラデザインおよびサイズだと、異なるカップ形状が保証される。
【0042】
外側布帛層6は、内側布帛層4と同等の所定の周囲形状を有している。外側布帛層6は、内側布帛層4の上部に位置している。外側布帛層6は、垂直X6−X6’軸48および水平Y6−Y6’軸46を有する。水平Y6−Y6’軸46は、内側布帛層4のY4−Y4’軸39に対して±90度回転する。布帛層軸の相対的な配向と、層と衣類軸との間の角度の組み合わせが、衣類の一体型3次元(3D)補整能力に寄与している。
【0043】
ニット布帛の縦方向は、布帛の長さまたは機械方向である。機械方向は、布帛が機械から出てくる方向である。ワープニットにおいて、ヤーンは布帛の長さに沿ったニットである。ウェフトニットにおいて、ヤーンは横方向または交差方向に布帛を交差するニットである。一般的に言って、縦方向とは布帛の長さのことを指す。横方向は布帛の幅のことを指す。X−X’軸は、縦方向を表す。Y−Y’軸は、布帛の横方向(または交差)方向のことを指す。交互に、縦および横方向は、それぞれ、Y−Y’およびX−X’軸のことを指す。ライクラ(LYCRA)(登録商標)スパンデックス繊維は、一般的に、ウェフトニットについては布帛の横方向において、およびワープニット布帛については縦方向において、ベアヤーンとしてのニットである。これらの布帛を作製する方法は、当業者に周知である。
【0044】
衣類縫製プロセスを容易にするために、縫製前に、内側および外側布帛層4、6の端部を合わせて縫う。内側および外側層の形状は、デザインおよび所望のフィットの関数である。層は、任意の好適な方法を用いて接合される。これらに限られるものではないが、シングルニードル、ジグザグ、カバーステッチまたはオーバーロックステッチが例示される。布帛層4、6間の詰め物は用いても用いなくてもよい。図1の例示の衣類において、詰め物は用いなかった。
【0045】
図1の衣類は、ビュレットポストモールディングマシン(独国、ウォルフェクのオプトテクスフォーム(Optotexform,Wolfegg,Germany)より市販)でモールド加工されたライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスおよびナイロン(タイ、サムットプラカーンのペンアジア社(Penn Asia Co. Ltd.,Samutprakarn,Thailand)より市販)を含有するワープニット布帛から構築した。成形されたカップは、カップを加熱し、加熱した丸みのあるシリンダーモールド(ビュレット)を布帛に、所望の時間にわたって、布帛の永久変形が生じる温度で押し付けることによって形成された。ブラジャーカップについて布帛を成形する技術は、当業者に周知である。ビュレットモールド温度は204℃、キャビティ温度は190℃、休止時間は55秒であった。2つのモールドサイズを用い、Dカップについては、直径4.5インチのモールドを用いた。Bカップについては、直径3.5インチのモールドを用いた。34B、34Dおよび40Dの3つのサイズのブラを作製した。記録したデータはサイズ34Bのブラについてである。
【0046】
第1の角度θ1は、X4−X’4軸38とX6−X’6軸48との間の角度として定義される(図2参照)。例えば、図2に示す実施形態において、θ1は約90度である。第2の角度θ2は、外側布帛層のX6軸と衣類の水平方向Xgとの間の角度として定義される(図1参照)。例えば、図1に示す実施形態において、θ2は約90度である。角度θ1およびθ2を変えることによって、カップの構造において、バストの外観、形状およびボリュームを変えることができる。角度θ1は、約15〜165度、例えば、約15〜約90度とすることができる。角度θ2は、約0〜180度、例えば、90度、または、例えば、45度とすることができる。衣類の補整能力は、衣類デザインの角度θ1およびθ2に影響される。所望の補整を行うために、最良の角度θ1およびθ2を慎重に選択すべきである。
【0047】
図3は、ブラジャー構造のカップの内側布帛層4および外側布帛層6の他の交互または多層「クロス(X)」配向についての例示のブラジャーカップデザインを示す。特に、図3に示すとおり、内側布帛層4は、図2に示すのと同じ所定の形状を有しており、外側布帛層6下に位置している。図3に示す内側布帛層4は、水平X4−X4’軸38と垂直軸Y4−Y4’軸39の配向を有しており、それぞれ、図2に関して上述した標準配向に対して45度回転している。あるいは、X4−X4’軸38を水平とし、Y4−Y4’軸39を垂直とすることができる。加えて、外側布帛層6は、図2に示すのと同じ所定の形状を有しており、内側布帛層4の上に、またはこれを覆って位置している。外側布帛層6は、垂直Y6−Y6’軸48を有しており、内側布帛層4のY4−Y4’軸39に対して±90度回転する。図3に示すとおり、Y−Y’軸39、48を回転した、布帛層4を覆う布帛層6のこの配向は、図2に示す配向に比べて、「X」配向を与える。図3に示す実施形態において、θ1は約90度であり、θ2は約45度である。
【0048】
図4は、図2のブラジャーカップデザインの分解部分断面図を示す。内側布帛層4は、外側布帛層6から離れて示されている。ブラジャー構造において、かかる層は互いに近接していてもよいが、図2および図3を参照して説明した伸縮力および回転配向を利用して、自由に伸縮および回復の動きをする。
【0049】
布帛層4、6は、少なくとも1つの弾性布または多方向に伸縮可能な少なくとも1つの布帛を含む。例えば、ブラジャーデザインの層4、6は、伸びのよい、独特の平坦な応力/ひずみ挙動のライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス、コポリエーテル系クリアスパンデックスを含む。層4および6の布帛は、本明細書に記載した等方性ヒステリシス特性を有する。本発明の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。
【0050】
ブラジャー1の層4、6は、これらに限られるものではないが、サーキュラーニット、トリコットワープニット、ラッセルワープニット、レース、フラットニットおよび二方向以上に少なくとも伸縮可能な不織布を含む。これらの布帛は、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスで作製したような実施例の弾性布より保持力および弾性モジュラスが低いが、本発明で用いると、特定の等方性ヒステリシス特性が保持される限りは、快適性、補整およびサポートを改善することができる。追加の変形例として、布帛層4、6が、弾性および/または伸縮性布の組み合わせであると、改善された補整、快適さおよびサポートの所望の結果を衣類の着用者の身体に与えられる。
【0051】
ある実施形態のブラカップの層4、6は、多層のラミネート材料を含んでいてもよい。例えば、カップは、単一布帛の層を含む、または、層は接着剤により接合された1枚または複数枚の布帛を含んでいてもよい。ブラはまた3層以上の布帛を含んでいてもよい。あるデザインにおいては、3層以上、5層までの布帛を提供するのが望ましく、恐らく、必要である。例えば、図9のハーフカップブラジャーでは、追加の層を用いて、乳房補整およびリフトアップを行うことができる。多層のブラデザインおよび使用についての技術は当業者に知られている。
【0052】
図2A〜4Aを参照すると、多層布帛は、任意でラミネートされていてもよい2枚以上の布帛層を含んでいてもよい。内側4および外側層6等層のうち少なくとも2層は、弾性材料でできており、その他の中間層2を任意で含める。中間層2が存在する場合は、エラストマーから選択する。あるいは、中間層は、これらに限られるものではないが、布帛、フィルム、ファイバーフィル、発泡体、不織布およびこれらの組み合わせをはじめとする様々なその他の材料から選択してよい。
【0053】
多方向伸縮を与える内側および外側層2は、様々な異なる布帛および最終用途を与えてよい。本発明の布帛の好適な用途としては、成形可能な身体領域または軟性組織領域の補整が望まれるところが例示される。これには、乳房、太もも、臀部、腹部および鼠径部等の領域が含まれる。好適な用途としては、アクティブウェア、スポーツウェア、靴下、包帯および肌にじかに着ける衣類が挙げられる。
【0054】
ブラカップの層または任意の実施形態は成形される。例えば、カップは、約200℃で約1分間成形される。ビュレットまたはスカルプチュアモールドを用いてよく、例えば、ビュレットモールドを用いて、所望のカップ形状を形成する。適正に行うと、成形は、衣類の補整能力を制限せず、ブラデザインおよび布帛特性を最良の補整のために補う。ブラ成形の技術は、ブラジャー衣類作製業界の当業者には知られている。
【0055】
従来のスパンデックスがブラジャー構造に用いられているが、本発明の布帛層4、6は、従来のスパンデックス布帛とは異なる特徴を有している。これらの違いを、繊維の機械的特性を説明する図5のグラフに示す。特に、図5に、本発明の衣類に用いる布帛を作製するのに用いることのできる従来のスパンデックス繊維とライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス繊維についての応力/ひずみヒステリシス曲線を示す。各曲線の上の線は、繊維を伸張または延ばすのに必要な力(すなわち、負荷力)を表す。各曲線の下の線は、繊維がある伸びで出す回復力(すなわち、無負荷力)を表す。無負荷力は、「応力減衰」として知られている現象のために、負荷力より常に小さい。応力/ひずみ曲線内の領域がヒステリシスである。負荷力と無負荷力との間の差が大きくなればなるほど、ヒステリシスが大きくなる。
【0056】
図5は、本発明の衣類に用いる布帛を作製するのに用いることのできる弾性繊維を伸張するのに必要な力が従来のスパンデックス繊維より少ないことを示している。加えて、図5に示すように、弾性繊維の低ヒステリシスのために、かかる繊維により作製された布帛層の回復力は、着用および装着領域全体にわたって大きくなる。布帛層材料の低力特性の結果、着用者には、伸縮の動きに対する抵抗性がほとんどまたは全く感じられない。布帛層材料の低ヒステリシス特性の結果、布帛はその形状を即時に回復し、着用者の身体にぴったりと適合する。すなわち、本発明の衣類は、着用者の様々な動きを通して、身体に適合し、接触を維持する。さらに、本発明の衣類は、着用者の身体での滑りやスライドを解消する。その結果、衣類は、動きや着用中、所望の補整を維持することができる。
【0057】
本発明に適用可能な弾性布の限定されない一例としては、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスを含有する布帛が挙げられる。ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cは、伸びのよい、比較的平坦な応力/ひずみ挙動のコ−ポリエーテル系クリアスパンデックスである。本発明のライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス含有衣類を用いると、着用者の身体にしっかりと固定し、ぴったりと適合するブラジャーカップを提供する。その結果、ある実施形態は、従来のエラストマーまたはその他材料で作製した公知のブラジャー構造に比べて快適さを改善する。
【0058】
ある実施形態の衣類が、確実に3D補整能力を有し、身体での滑りを最小にし、着用者の快適さを最大とするために、かかる衣類を作製するのに用いる布帛は特定の等方性ヒステリシス特性を有している。衣類に用いることのできる布帛を後述する。インストロン(Instron)実験を用いて、所望の効果を衣類に与える布帛ヒステリシス特性を求めた。実験は各布帛について次のとおりに実施した。1)長さ−長さ(L&L)、長端の縦方向に切断した2片を、互いに上に直接置いて、インストロン(Instron)で試験し、2)幅−幅(W&W)、布帛の長端の横方向に切断した2片を、互いに上に直接置いて、インストロン(Instron)で試験し、および3)長さ−幅(L&W)、布帛の縦方向に沿って切断した1片と横方向に切断した第2の片を、互いに上に直接置いて、インストロン(Instron)で試験した。この方法により計算したヒステリシスを、表1に、3つの布帛について示す。3つの測定技術の低変動によって、ある実施形態の衣類に好適な布帛を定義する。L&L、W&WおよびL&W結果間の同じ低変動は、様々な異なるひずみ速度により、以下のインストロン(Instron)および異なる初期条件で、布帛Aについて保持される。1)30%の伸び(すなわち、10cmから13cmの距離)、2)900mm/分の代わりに500mm/分のインストロン(Instron)ひずみ速度、および3)20%布帛を伸ばすのを5分間保持し、20%までを数回(すなわち、6回以上)循環する。
【0059】
L−L、W−WおよびL−Wにおける実験について以下のような結果S
【0060】
【数4】
【0061】
を示す布帛を含むある実施形態の衣類が好適である。ほぼ等方性ヒステリシスは、上式に合うS値を有するものと定義される。Sは、3つのヒステリシスデータ点(HL&L、HW&WおよびHL&W)間の標準偏差として定義される。HL&Lは、長さに沿って切断された2層の布帛を試験するときに測定されるヒステリシスと定義される。HW&Wは、幅に沿って切断された2層の布帛を試験するときに測定されるヒステリシスと定義される。HL&Wは、1つは長さに沿って切断され、第2は幅に沿って切断された2枚の層を、実施例に記載した方法で試験するときに測定されるヒステリシスと定義される。
【0062】
下の試験結果に示されるとおり、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックスのような繊維で作製した弾性布またはその他伸縮性の布帛は、公知の布帛やブラジャー構造に比べて、着用者に、改善された補整能力、安定性、回復力および/または快適さを与えた。
【0063】
図6〜図14に、ある実施形態による様々なブラジャーを着用しているモデルの概略を示す。特に、図6〜図10は、ある実施形態で実施することのできる様々なブラジャーシルエットの限定されない例を示す。図6は、ワイヤーのないソフトカップブラジャーの一例を示す。図7は、バンドのあるアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。図8は、隠しアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。図9は、ハーフカップアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。図10は、三角ソフトカップミニマルブラジャーの一例を示す。
【0064】
図11〜図14はそれぞれ、サポートおよび「補整能力」を示す様々なブラジャーおよびモデル位置を表す。図11は、「アームス通常(Arms Normal)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。図12は、「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。図13は、「アームスアップ(Arms Up)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。図14は、「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【0065】
図11〜14に示す体位は、身体を異なる解剖学的軸に沿って動かすことにより、バストの位置を変えようとするものである。これらの動きは、感圧装置および身体スキャンと組み合わせて、バストとブラジャーとの間の接触および全体のバスト補整について調べるものである。図11の「アームス通常(Arms Normal)」姿勢では、手をウエストに置き、着用者は自然に呼吸している。これは、バストが動きなしで構成されている自然な姿勢である。図12の「アームスアップ(Arms Up)」姿勢では、上半身を上へ押す結果、皮膚と筋肉が最大に伸びている。この位置だと、バストが上へ移動する傾向が最大であり、皮膚を非常に伸ばした位置でのブラとバストの接触が試験される。図13の「アームス横方向伸張(Arms Extended Laterally)」姿勢では、バストは、横方向に伸ばした腕により作られた面に沿って位置が変わる。この姿勢では、センサは、ブラとバストの接触を測定する。図14の「アームス左から右へ(Arms From Left to Right)」姿勢では、体を「アームス横方向伸張(Arms Extended Laterally)」姿勢から90度まで捻っている。この姿勢では、伸ばした腕により作られた面に沿ってブラ内側のバストの位置が変わるのが、捻りの影響と組み合わされている。このように、ブラとバストの接触および全体のバストの補整は厳しく試験される。
【0066】
衣類により体にかかる圧力を測定し、評価して、試験衣類のフィットおよび快適さの特性を求める。3−Dボディスキャナ(独国、ウィスバーデンのビトロニック(Vitronic,Wiesbaden,Germany)より市販されているヴィタスプロ(VITUS PRO))は16個の3−Dカメラと4つのカラーカメラとを有しており、スキャンワークス(ScanWorX)3Dボディスキャナソフトウェア(ミシガン州、トロイのヒューマンソリューションズ(Human Solutions,Troy,Michigan)より市販)により処理できるボディスキャンファイルを生成する。3D圧力システム(マサチューセッツ州、ボストンのテックスキャン(TekScan Inc.,Boston,Massachusetts)より市販)は、フィルム状圧力センサを利用して、2つの表面間の圧力を評価するものである。このフィルムセンサは、着用者のバストとブラとの間に挿入される。着用者が、動かずに立つ、つま先を触るという動作ルーチンを行う際に、図22の3D時間依存性圧力プロフィールがコンピュータに記録される。
【0067】
3Dボディスキャナは、体の外面または形状をスキャンする。図15〜図19の体積分布は、差分ボリューム(すなわち、断面表面積)対高さのプロットである。3Dスキャンからの高さで、その高さでの体の切片の表面積を計算することができる。同じ切片から、真のテープ外周を計算することができる。真の外周は、切片の真の周辺の長さであり、テープ外周は、図20および図21の可撓性テープを用いて測定した場合の切片のもつ外周である。
【0068】
図15は、図11に示す、着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図15のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときのある実施形態の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図15のグラフには、「+」と「X」構造の両方を用いた衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、乳房をリフトアップする(すなわち、補整能力)ことが示されている。このさらなるリフトアップは、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、乳房の動きに良好に従うことができることを示している。角度θ1およびθ2を変えることによって(例えば、上述したとおりに)、カップの構造が変わって、バストの外観、形状およびボリュームを変えることができる。
【0069】
図16は、図12に示す、着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図16のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」または「X」構造間で直接比較を行った。図16のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、リフトアップに関して、より多くの補整能力を与えたことが示されている。このさらなるリフトアップは、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0070】
図17は、図13に示す、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図17のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときのある実施形態の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図17のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、ある高さで同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、体積が減じたことが示されている。この減少した体積は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるとき、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0071】
図18は、図14に示す、着用者が「アームス左から右へ(Arms Left to Right」位置にあるときのブラジャー構造の体積分布を比較するグラフを示す。図18のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図18のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、ある高さで「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、体積が減じたことが示されている。本発明の衣類のこの減少した体積は、衣類が、着用者が「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」位置にあるとき、従来のスパンデックスの衣類よりも、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0072】
図19は、図11に示す、着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造の真の外周を比較するグラフを示す。図19のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図19のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、ある高さで、より多くの外周を与える(すなわち、良好なリフトアップおよびフルバスト)ことが示されている。この追加の外周は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、従来のスパンデックスで作製した衣類よりも、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0073】
図20は、図12に示す、着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造の真の外周を比較するグラフを示す。図20のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図20のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、ある高さで、真の外周の点で、より良いリフトアップおよびフルバストを与えることが示されている。この外周は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0074】
図21は、図13に示す、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造の真の外周を比較するグラフを示す。図21のグラフは、従来のスパンデックスで作製した衣類と、カップの布帛層の「プラス(+)」と「クロス(X)」の両配向によるブラジャー構造を用いるときの本発明の衣類の性能を比較している。これらの比較衣類において、「+」と「X」構造間で直接比較を行った。図21のグラフには、「+」と「X」ブラジャー構造の両方を用いた本発明の衣類が、ある高さで同じブラジャー構造を用いた従来のスパンデックスで作製された衣類よりも、外周が減じたことが示されている。この減少した外周は、本発明の衣類を用いたブラジャー構造が、着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるとき、乳房の動きにより良好に従うことを示している。
【0075】
図22は、着用者が立った姿勢からウエストを曲げてつま先を触るまでの動作をするときのブラジャー構造についてブラジャーカップにあるバストにかかる平均圧力を比較するグラフを示す。この動作を4回繰り返す。曲げている間、圧力変動は、本発明の衣類に比べて、従来のスパンデックスで作製した衣類は4〜5倍大きい。これは、図22に示されており、平均アンダーバスト圧力(10Hzの周波数でサンプリングした40のsenselsの平均)が時間に対してプロットされている。図22において、従来のスパンデックスで作製した衣類についての大きな圧力の揺れは、バストと衣類との間の接触が失われたことを示している。一方、本発明の衣類について測定された小さな圧力変動は、衣類とバストとの間で失われた接触が最小であるということを示している。本発明により作製されたブラジャーがバストに対して定位置のままであるということになる。
【0076】
まとめると、上のグラフ(すなわち、図15〜図22)は、本発明の衣類のブラジャー構造およびカップデザインにおいて、低バスト圧縮およびほぼ等方性ヒステリシス布帛、例えば、ライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス布帛の改善された性能が確認される実験的証拠を与えるものである。この構造およびデザインは、ブラジャー、補整ウェアおよびスイムスーツ等の体型補整衣類の快適さ、補整およびサポートを改善する。本発明の衣類は、スキャナーと圧力の結果の両方に示されるとおり、上述した動作中、最小の滑りと最大の着用者快適性と共に、バストおよび胴との良好な接触を維持し、所望の補整を行う。
【実施例】
【0077】
(分析方法)
インストロン(Instron)張力計で測定されたヒステリシス。マーリンインストロン(Merlin Instron)(型番5500R、マサチューセッツ州、ノルウッドのインストロン(Instron,Norwood,Massachusetts)より市販)を、幅5cmの布帛を取り付けられるようにしたクランプと共に用いた。クランプは初期の距離10cmで配置した。布帛片(約20cm×5cm)を、まず、長さ(縦)、そして幅(横)方向に沿って切断した。切断した後、布帛試料を約20分間にわたって静置した。各実験において、ひずみ速度を900mm/分にセットし、0〜100%の初期のクランプ距離10cmで伸張を行い、0%に戻した。2層布帛試料を、クランプ間に配置して、10〜20cm伸張してから、10cmに戻した。このプロセス(サイクル)を6回以上繰り返して、1つのサイクルから次まで変化しないという結果を得た。最後のサイクルを用いて、関連の全ての動的および機械的情報を抽出した。標準インストロン(Instron)RAWファイルに結果を記録し、マトラボ(Matlab)(マサチューセッツ州、ナティックのマスワークス(Mathworks,Natick,Massachusetts)より市販)等の標準的な数学ソフトウェアを用いて処理した。インストロン(Instron)負荷および無負荷曲線を、最小二乗3次スプラインを用いて適合させた。負荷および無負荷曲線の適合させたスプライン表示を用いて、曲線のヒステリシスを次のようにして計算することができる。
【0078】
【数5】
【0079】
式中、0および0.1はmであり、実験中の布帛の伸張を表しており、F負荷およびF無負荷は最後のサイクルの負荷および無負荷曲線について適合した3次最小二乗スプラインである。上式において、Lはmで、FはNであり、ヒステリシスはJである。
【0080】
【表1】
【0081】
表の最後の欄、変動係数(S)は、各布帛について3つの結果L&L、W&WおよびL&Wの変動の比較の基礎を与える。変動係数(S)は、平均で除算し、100%を乗算した3回の測定の標準偏差である。
【0082】
布帛1A(タイのペンアジア社(Penn Asia,Thailand)より市販)はライクラ(Lycra)(登録商標)T902Cスパンデックスで作製し、S値は本発明の限定内であった。布帛1C(ペンシルバニア州、ミルトンのH.ワルシャワ・アンド・サンズ社(H.Warshow and Sons,Inc.,Milton,Pennsylvania)より市販)はライクラ(Lycra)(登録商標)T162Bスパンデックスで作製した。S値は本発明にとっては高すぎる。布帛2C(台湾、台北のルーイタイ(Ruey Tay,Taipei,Taiwan)より市販)はライクラ(Lycra)(登録商標)T162Cスパンデックスで作製した。S値は本発明にとっては高すぎる。
【0083】
本発明の好ましい実施形態と現在考えられているものについて記載してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく変形および変更を行ってもよく、かかる変形および変更は全て、本発明の真の範囲内に入るものであることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】バンドのないアンダーワイヤーブラジャーシルエットの本発明の例示のブラジャー構造の背面図である。
【図2】図1のブラジャー構造のカップの内側布帛層および外側布帛層の多層「プラス(+)」配向についての例示のブラジャーカップデザインの背面図を示す。
【図2A】他の布帛構造に適用してよい図2に示すような内側および外側布帛層を示す。
【図3】図1のブラジャー構造のカップの内側布帛層および外側布帛層の多層「クロス(X)」配向についての例示のブラジャーカップデザインの変形背面図を示す。
【図3A】他の衣類または布帛構造に適用してよい図3に示すような内側および外側布帛層を示す。
【図4】図2の線4−4に沿ったブラジャーカップデザインの分解部分断面図を示す。
【図4A】任意の中間層を含む図2Aの布帛の図4と同様の断面を示す。
【図5】本発明の衣類用の布帛を作製するのに用いることのできる従来のスパンデックス繊維とライクラ(LYCRA)(登録商標)T902Cスパンデックス弾性繊維についての応力/歪み曲線を示す。
【図6】ワイヤーのないソフトカップブラジャーの一例を示す。
【図7】バンドのあるアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。
【図8】隠しアンダーワイヤーブラジャーの一例を示す。
【図9】ハーフカップアンダーワイヤーの一例を示す。
【図10】三角ソフトカップミニマルブラの一例を示す。
【図11】「アームス通常(Arms Normal)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図12】「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図13】「アームスアップ(Arms Up)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図14】「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」試験についてのブラジャーおよびモデル位置を示す。
【図15】着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図16】着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図17】着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図18】着用者が「アームス左から右へ(Arms Left to Right)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の体積分布を比較するグラフを示す。
【図19】着用者が「アームス通常(Arms Normal)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおける乳房を含めた身体の真の外周を比較するグラフを示す。
【図20】着用者が「アームス横方向伸張(Arms Laterally Extended)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおいて乳房を含めた身体の真の外周を比較するグラフを示す。
【図21】着用者が「アームスアップ(Arms Up)」位置にあるときのブラジャー構造についてブラジャーカップにおいて乳房を含めた身体の真の外周を比較するグラフを示す。
【図22】着用者がウエストを曲げたときのブラジャー構造についてブラジャーカップにあるバストにかかる平均圧力を比較するグラフを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側布帛層と外側布帛層とを有する成形可能な身体領域と接触する身体接触部分を含み、
前記内側布帛層が第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、前記外側布帛層が第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、前記内側布帛層および外側布帛層は、前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記外側布帛層の前記第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、
前記内側布帛層および前記外側布帛層が一緒になって、下式
【数1】
により定義される変動係数(S)を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供することを特徴とする体型補整衣類。
【請求項2】
前記衣類がブラジャーであることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記身体接触部分が乳房受けカップであることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項4】
前記第1の角度θ1が15°から165°まで変動することを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項5】
前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記衣類により画定される水平軸から第2の角度θ2をなすように、前記内側布帛層および前記外側布帛層が配向されており、前記第2の角度θ2が0から180°まで変動することを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項6】
前記内側布帛層および前記外側布帛層が、サーキュラーニット、トリコットワープニット、ラッセルワープニット、レース、フラットニット、織布および不織布を含むことを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項7】
前記内側布帛層および前記外側布帛層がそれぞれコポリエステル系スパンデックスを含むことを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項8】
前記内側布帛層および前記外側布帛層が成形されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項9】
前記ブラジャーが一対のカップを有し、各カップがフル、ハーフまたは一部被覆タイプのうちの1つであることを特徴とする請求項2に記載の衣類。
【請求項10】
前記内側布帛層が前記外側布帛層に接合されていることを特徴とする請求項9に記載の衣類。
【請求項11】
前記衣類が、
左カップと、
左ウィング部と、
左ショルダストラップと、
ブリッジと、
右カップと、
右ウィング部と、
右ショルダストラップと、
留め具と、
相手留め具またはフックバンドとを含み、
前記左カップの一端は前記左ウィング部に、他端は前記ブリッジの一端に取り付けられており、
前記左ショルダストラップの一端は前記左ウィング部分の遠心端に、他端は前記左カップの上部に接続されており、
前記右カップの一端は前記右ウィング部に、他端は前記ブリッジの一端に取り付けられており、
前記右ショルダストラップの一端は前記右ウィング部の遠心端に、他端は前記右カップの上部に接続されており、
前記留め具が前記右ウィング部の前記遠心端に接続されており、
前記相手留め具が前記左ウィング部の前記遠心端に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の衣類。
【請求項12】
前記右カップおよび前記左カップにより画定されている一対のカップと、前記右ウィング部および前記左ウィング部により画定されている一対のウィング部とのうち少なくとも1つに取り付けられたシースと、前記シース内に含まれるアンダーワイヤーとをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の衣類。
【請求項13】
前記ブラジャーが、バンドのないアンダーワイヤー、バンドのあるアンダーワイヤー、隠しアンダーワイヤー、ハーフカップアンダーワイヤー、ソフトカップ不可視サポートおよび三角ソフトカップミニマルブラのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項12に記載の衣類。
【請求項14】
前記カップがそれぞれ2〜5層の布帛を含むことを特徴とする請求項9に記載の衣類。
【請求項15】
前記成形可能な身体領域が、乳房、太もも、臀部、腹部および鼠径部からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項16】
前記身体接触部分は、弾性繊維と1枚または複数枚の中間層とをそれぞれ有する布帛の2枚以上の層を含むことを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項17】
前記1枚または複数枚の中間層が、弾性繊維を有する層間に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の衣類。
【請求項18】
前記1枚または複数枚の中間層が、布帛、フィルム、ファイバーフィル、発泡体、不織布およびこれらの組み合わせからなる群より選択される組成物を含むことを特徴とする請求項16に記載の衣類。
【請求項19】
前記衣類が、アクティブウェア、スポーツウェア、靴下、包帯および肌にじかに着ける衣類からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項20】
内側布帛層と外側布帛層とを含み、
前記内側布帛層が第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、前記外側布帛層が第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、前記内側布帛層および外側布帛層は、前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記外側布帛層の前記第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、
前記内側布帛層および前記外側布帛層が一緒になって、下式
【数2】
により定義される変動係数(S)を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供することを特徴とする少なくとも2層を有する多層布帛。
【請求項21】
体型補整部分を含み、
前記体型補整部分が、内側層と外側層とを有する多層布帛を含み、
前記内側布帛層が第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、前記外側布帛層が第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、前記内側布帛層および外側布帛層は、前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記外側布帛層の前記第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、
前記内側布帛層および前記外側布帛層がそれぞれ弾性布を含み、それぞれ多方向弾性を提供することを特徴とする衣類。
【請求項1】
内側布帛層と外側布帛層とを有する成形可能な身体領域と接触する身体接触部分を含み、
前記内側布帛層が第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、前記外側布帛層が第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、前記内側布帛層および外側布帛層は、前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記外側布帛層の前記第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、
前記内側布帛層および前記外側布帛層が一緒になって、下式
【数1】
により定義される変動係数(S)を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供することを特徴とする体型補整衣類。
【請求項2】
前記衣類がブラジャーであることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記身体接触部分が乳房受けカップであることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項4】
前記第1の角度θ1が15°から165°まで変動することを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項5】
前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記衣類により画定される水平軸から第2の角度θ2をなすように、前記内側布帛層および前記外側布帛層が配向されており、前記第2の角度θ2が0から180°まで変動することを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項6】
前記内側布帛層および前記外側布帛層が、サーキュラーニット、トリコットワープニット、ラッセルワープニット、レース、フラットニット、織布および不織布を含むことを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項7】
前記内側布帛層および前記外側布帛層がそれぞれコポリエステル系スパンデックスを含むことを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項8】
前記内側布帛層および前記外側布帛層が成形されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項9】
前記ブラジャーが一対のカップを有し、各カップがフル、ハーフまたは一部被覆タイプのうちの1つであることを特徴とする請求項2に記載の衣類。
【請求項10】
前記内側布帛層が前記外側布帛層に接合されていることを特徴とする請求項9に記載の衣類。
【請求項11】
前記衣類が、
左カップと、
左ウィング部と、
左ショルダストラップと、
ブリッジと、
右カップと、
右ウィング部と、
右ショルダストラップと、
留め具と、
相手留め具またはフックバンドとを含み、
前記左カップの一端は前記左ウィング部に、他端は前記ブリッジの一端に取り付けられており、
前記左ショルダストラップの一端は前記左ウィング部分の遠心端に、他端は前記左カップの上部に接続されており、
前記右カップの一端は前記右ウィング部に、他端は前記ブリッジの一端に取り付けられており、
前記右ショルダストラップの一端は前記右ウィング部の遠心端に、他端は前記右カップの上部に接続されており、
前記留め具が前記右ウィング部の前記遠心端に接続されており、
前記相手留め具が前記左ウィング部の前記遠心端に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の衣類。
【請求項12】
前記右カップおよび前記左カップにより画定されている一対のカップと、前記右ウィング部および前記左ウィング部により画定されている一対のウィング部とのうち少なくとも1つに取り付けられたシースと、前記シース内に含まれるアンダーワイヤーとをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の衣類。
【請求項13】
前記ブラジャーが、バンドのないアンダーワイヤー、バンドのあるアンダーワイヤー、隠しアンダーワイヤー、ハーフカップアンダーワイヤー、ソフトカップ不可視サポートおよび三角ソフトカップミニマルブラのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項12に記載の衣類。
【請求項14】
前記カップがそれぞれ2〜5層の布帛を含むことを特徴とする請求項9に記載の衣類。
【請求項15】
前記成形可能な身体領域が、乳房、太もも、臀部、腹部および鼠径部からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項16】
前記身体接触部分は、弾性繊維と1枚または複数枚の中間層とをそれぞれ有する布帛の2枚以上の層を含むことを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項17】
前記1枚または複数枚の中間層が、弾性繊維を有する層間に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の衣類。
【請求項18】
前記1枚または複数枚の中間層が、布帛、フィルム、ファイバーフィル、発泡体、不織布およびこれらの組み合わせからなる群より選択される組成物を含むことを特徴とする請求項16に記載の衣類。
【請求項19】
前記衣類が、アクティブウェア、スポーツウェア、靴下、包帯および肌にじかに着ける衣類からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項20】
内側布帛層と外側布帛層とを含み、
前記内側布帛層が第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、前記外側布帛層が第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、前記内側布帛層および外側布帛層は、前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記外側布帛層の前記第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、
前記内側布帛層および前記外側布帛層が一緒になって、下式
【数2】
により定義される変動係数(S)を有する各布帛層に対してヒステリシス値を有する材料を提供することを特徴とする少なくとも2層を有する多層布帛。
【請求項21】
体型補整部分を含み、
前記体型補整部分が、内側層と外側層とを有する多層布帛を含み、
前記内側布帛層が第1のX−X’軸および第1のY−Y’軸を画定し、前記外側布帛層が第2のX−X’軸および第2のY−Y’軸を画定し、前記内側布帛層および外側布帛層は、前記内側布帛層の前記第1のX−X’軸が、前記外側布帛層の前記第2のX−X’軸に対して第1の角度θ1をなすように配向されており、
前記内側布帛層および前記外側布帛層がそれぞれ弾性布を含み、それぞれ多方向弾性を提供することを特徴とする衣類。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2009−511764(P2009−511764A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535612(P2008−535612)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/039467
【国際公開番号】WO2007/044697
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/039467
【国際公開番号】WO2007/044697
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】
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