説明

多層コーティングの製造方法

1)ベースコート層を、EDCプライマーを備えた基材に10〜35μmの範囲の全体プロセス膜厚で塗布する工程と、2)クリアコート層をベースコート層上へ塗布する工程と、3)ベースコート層およびクリアコート層を一緒に硬化させる工程との連続工程を含む、A’色合いの多層コーティングの製造方法であって、ベースコート層が、未修正水性ベースコートAを、未修正水性ベースコートBとおよび顔料を含まない混合剤成分と混合することによって製造された修正水性ベースコート修正ABの第1層に、ならびに未修正水性ベースコートAの第2層に塗布される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層コーティングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車コーティングは一般に、別々にベークされた電着コーティング(EDC)プライマーと、それに塗布された、別々にベークされたプライマーサーフェーサー層(フィラー層)と、それに塗布されたウェット−オン−ウェット塗布カラーおよび/または特殊効果付与ベースコート層および保護用光沢付与クリアコート層を含むトップコートとを含む。プライマーサーフェーサー層とベースコート層とを合わせた厚さは一般に30〜60μmであり、メタリック色合い(色調)の場合にはさらに30〜45μmのより低い範囲にある。
【0003】
装飾的多層コーティングの製造方法は、国際公開第97/47401号パンフレットおよび米国特許第5,976,343号明細書から公知であり、それらの方法は、勿論、コーティング材料消費および全体層厚さを減らす、プライマーサーフェーサー層の塗布および別々のベーキングの排除を可能にする。これらの方法では、第1修正(modified)水性ベースコートと、第2未修正水性ベースコートとクリアコートとを含む多層コーティング構造は、ベークされたEDCプライマーに塗布されるこれら3つのコーティング層の同時硬化を含むウェット−オン−ウェット法で塗布される。実際には、これらの方法は、通常のプライマーサーフェーサーとベースコートとのそれより、おおよそ15〜25μmだけ著しく低い全体層厚さを可能にする2つのベースコート層を使用する。修正水性ベースコートは、これらの方法では混合剤成分と混合することによって未修正水性ベースコートから製造される。修正水性ベースコートは通常のプライマーサーフェーサーに取って代わる。国際公開第97/47401号パンフレットは混合剤成分として、ポリイソシアネート架橋剤の添加を推奨しているが、米国特許第5,976,343号明細書はポリウレタン樹脂の添加を記載している。
【0004】
国際公開第97/47401号パンフレットおよび米国特許第5,976,343号明細書から公知の方法の弱点は、多層コーティングをある種の色合いで製造することが直接に可能ではないことである(「問題のある色合い」)。この理由は、自然日光の成分としてのUV光(UV放射線)がプライマーサーフェーサー層の不存在下で目立つ程度に、EDCプライマーに塗布されたコーティング層を通ってEDCプライマーの表面まで通り、EDCプライマーの分解をもたらすことである。
【0005】
プライマーサーフェーサーを含まない多層コーティングの製造に関して問題のある色合いは、(問題のない色合いのように)観察者に不透明であるように見えるコーティングを提供しながら、許容できないほど大量のUV光がクリアコート、未修正水性ベースコートおよび修正水性ベースコートの多層構造を通ってEDCプライマーの表面まで透過し、EDC層への長期にわたり損傷をもたらすことを可能にするものである。かかる問題のある色合いはソリッドカラー色合い(無地色合い、シングルトーン色合い;一般に観察角と無関係な;特殊効果顔料なしの顔料コンテント)および特殊効果色合いの両方のうちで見いだされるべきである。例は、特に、フタロシアニン顔料をベースとするダークブルーソリッドカラー色合いの水性ベースコートのうちで、および特有の特殊効果色合い、例えば、ダークブルーメタリック色合いまたは、特に、シルバー色合いなどのライトメタリック色合いの水性ベースコートのうちで、および顔料コンテント中に高い割合の雲母顔料を含有する特有の特殊効果色合いの水性ベースコートのうちで見いだされるかもしれない。問題のある色合いの場合には、UV光は、例えば、明記されるUV透過レベルを超える程度まで、多層コーティング構造を透過するかもしれず、EDC層に達する。自動車製造業者の規格は、例えば、車両車体の完全な外側スキンの区域でのベースコート層を通ってのUV透過が280〜380nmの波長範囲で0.1%未満に、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満に、および400〜450nmの波長範囲で1%未満になるべきであると述べている。EDC層への許容できないレベルのUV光透過のあり得る望ましくない長期結果は、コーティングされた基材の耐用年数にわたるEDC層の白亜化および多層コーティングの層間剥離である。
【0006】
あるいはまた、修正および/または未修正水性ベースコートは、EDCプライマーへのUV光のアクセスを適切な程度に防止するのに十分なより高い全体層厚さに塗布することができよう。しかしながら、これは、高い全体膜厚の方向での逆行の技術的措置であろう。
【0007】
クリアコートまたはベースコートでのUV吸収剤の使用は、例えば、米国特許第5,574,166号明細書および国際公開第94/18278号パンフレットから公知であり、層間剥離の問題への解決策である。しかしながら、UV吸収剤は、コスト理由のためだけでなく、UV吸収剤の移行傾向のために、およびUV吸収剤の漸次分解のためにベースコート層および/またはクリアコート層に非常に多い程度使用することができない、
【0008】
EDC側から層間剥離問題にアプローチする、他の解決策は、欧州特許第0 576 943号明細書、米国特許第6,368,719号明細書、米国特許出願公開第2003/0054193 A1号明細書および米国特許出願公開第2003/0098238 A1号明細書から公知である。これらは、特別に選択されたバインダーによる、または好適な添加剤の添加によるUV光の作用に耐性のあるEDCコーティング組成物の使用を開示している。これは必然的に、例えば、腐食防止などの、他の技術的特性に関して譲歩されなければならないかもしれないように、EDC組成物を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
国際公開第97/47401号パンフレットおよび米国特許第5,976,343号明細書による方法(プライマーサーフェーサーの塗布をなしで済まし、そして低い全体膜厚を提供する)の利点は、未修正水性ベースコートが顔料を含まない混合剤成分および特有の顔料コンテントを有する未修正水性ベースコートで修正された場合に、長期にわたってEDCプライマーに有害である、UV光のアクセスをそれにもかかわらず十分に抑えながら保持されるかもしれない。修正水性ベースコートおよび未修正水性ベースコートから形成されたベースコート層を通ってのUV透過はそのとき280〜380nmの波長範囲で0.1%未満に、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満に、および400〜450nmの波長範囲で1%未満に調整されるかもしれず、それによって、例えば、相当する自動車製造業者の規格は満たされる。
【0010】
本発明は、
1)ベースコート層を、EDCプライマーを備えた基材に10〜35μmの範囲の全体プロセス膜厚で塗布する工程と、
2)クリアコート層をベースコート層上へ塗布する工程と、
3)ベースコート層およびクリアコート層を一緒に硬化させる工程と
の連続工程を含む、A’色合いの多層コーティングの製造方法であって、
ベースコート層が第1層および第2層に塗布され、第1層が、未修正水性ベースコートABを、顔料を含まない混合剤成分と混合することによって製造された修正水性ベースコート修正ABを含み、そして第2層が色合いA’を有する未修正水性ベースコートAを含み、
未修正水性ベースコートABが、100pbv(容量部)の未修正水性ベースコートAと、1〜150pbv、好ましくは1〜50pbvの色合いB’を有する未修正水性ベースコートBとの混合物であり、
顔料を含まない混合剤成分が、顔料を含まない混合剤成分Iおよび顔料を含まない混合剤成分IIからなる群から選択され、ここで混合剤成分Iは1種もしくはそれ以上のバインダーCを含み、そして0.1〜1部のバインダーC:1部の未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で未修正水性ベースコートABへ混ぜ込まれ、かつここで、混合剤成分IIは1種もしくはそれ以上のポリイソシアネートを含み、そして0.2〜1部のポリイソシアネート:1部の未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で未修正水性ベースコートABへ混ぜ込まれ、そして
未修正水性ベースコートBの顔料コンテントがUV透過率を効果的に下げる少なくとも1種の顔料を含み、かつここで、顔料コンテントは、UV光が280〜380nmの波長範囲で0.1%未満の、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率に従ってのみ修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAから形成されたベースコート層を透過することができるようにされる
方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
コーティング層について本説明におよび特許請求の範囲に示される膜厚は、いずれの場合も乾燥膜厚を意味する。本説明および特許請求の範囲では用語「プロセス膜厚」が用いられる。この用語の意味は、本明細書で下に説明される。
【0012】
本説明および特許請求の範囲に用いられる用語「顔料コンテント」は、フィラー(増量剤)なしのコーティング組成物中に含有される顔料全ての合計を意味する。用語「顔料」は本明細書では、特殊効果顔料、無機ホワイト、着色およびブラック顔料ならびに有機着色およびブラック顔料に加えて、DIN 55944およびカバーと同様に用いられる。同時に、それ故、DIN 55944は、顔料とフィラーとを区別している。
【0013】
本説明および特許請求の範囲は、「UV透過率を効果的に下げる顔料」について述べている。明らかに、全ての顔料が究極的にはUV透過率を下げるが、2つの群の顔料、より強いUV吸収またはUV反射を示すものと、より弱いUV吸収またはUV反射を示すものとに区別できるように、顔料に依存して異なる程度に下げる。従って、語句「UV透過率を効果的に下げる顔料」は、本発明による方法の目的のためにUV透過率を下げるのに十分に好適である顔料を意味する。
【0014】
本説明および特許請求の範囲は、「1種もしくはそれ以上のバインダーC」に言及している。これは、未修正水性ベースコートA、BおよびABのバインダーと顔料を含まない混合剤成分IのバインダーCとを区別する働きをする。
【0015】
本発明による方法では、EDCプライマー、好ましくは陰極電着(CED)コーティングを備えた通常の基材がコートされる。特に、基材は自動車車体または自動車車体部品である。EDCプライマーを備えた基材の製造は当業者に公知である。EDCプライマーの選択に関して制限は全くなく、特に、UV光への長期露光によって損傷されるであろうEDCプライマーもまた好適である。
【0016】
本発明による方法の工程1)で、EDCプライマーを有する基材に10〜35μmの範囲の全体プロセス膜厚でベースコート層を提供する。このベースコート層は2つの層で塗布される、すなわち、例えば、未修正水性ベースコートABを、顔料を含まない混合剤成分と混合することによって製造された修正水性ベースコート修正ABの5〜25μmの範囲の個別プロセス膜厚を有する第1層が塗布され、そして個別プロセス膜厚での、例えば、未修正水性ベースコートAの3〜20μmの範囲での、それに続く第2層が塗布される。ベースコート層の全体プロセス膜厚は、とりわけ色合いに依存する。ベースコート膜厚に対する自動車製造業者の要求は、いわゆるプロセス膜厚(自動車の元のコーティングプロセスで全体車体の一面に望まれる平均膜厚)で表現され、それは個々の色合いに、達成されるべき技術的特性(例えば、耐ストーンチップ性)に、および関連水性ベースコートの経済的塗布に、すなわち、できるだけ薄い膜での塗布に依存する。全体ベースコート・プロセス膜厚は10〜35μmの範囲にあり、例えば、修正水性ベースコート修正ABの5〜25μmと、例えば、未修正水性ベースコートAの3〜20μmとの合計である。ベースコートについてのかかる膜厚は、関連基材、例えば、自動車車体のコーティングに対する要件を満たす。特に、これは、10〜35μmのこの範囲内の特有の値が特定のベースコート、例えば、特定の色合いのベースコートについての特有の全体プロセス膜厚を表すことを意味する。前記特有の全体プロセス膜厚は本明細書では、相当する修正水性ベースコート修正ABの、例えば、5〜25μmの範囲内にある、特有の個別プロセス膜厚と、相当する未修正水性ベースコートAの、例えば、3〜20μmの範囲内にある、特有の個別プロセス膜厚との合計からなる。
【0017】
本発明では、(i)未修正水性ベースコートA、BおよびABと(ii)修正水性ベースコート修正ABとは区別される。未修正水性ベースコートAはUV透過率に関して問題のある色合いのものであるが、これは未修正水性ベースコートBには当てはまらない。
【0018】
不透明な膜厚で未修正水性ベースコートAから塗布されたコーティングの色合いと、本発明の方法により製造された相当する多層コーティングの色合いとは互いに非常に近いので、観察者は実質的に色合い間の差に気付くことはできない。それ故、本説明および特許請求の範囲では、未修正水性ベースコートAの色合いおよび不透明な膜厚におけるそれらの塗布されたコーティングの色合いは色合いA’と呼ばれる。本発明の方法により製造された相当する多層コーティングの色合いもまた色合いA’と呼ばれる。従って、未修正水性ベースコートBの色合いおよび不透明な膜厚におけるそれらの塗布されたコーティングの色合いは色合いB’と呼ばれる。
【0019】
未修正水性ベースコートABは、100pbvの未修正水性ベースコートAを1〜150pbv、好ましくは1〜50pbvの未修正水性ベースコートBと混合することによって製造されてもよい。未修正水性ベースコートAと混合されるべき未修正水性ベースコートBは、1種の個別水性ベースコートBかまたは2種以上の異なる未修正水性ベースコートBの混合物であってもよく、好ましくはそれは1種の個別水性ベースコートBである。
【0020】
修正水性ベースコート修正ABは、(i)未修正水性ベースコートABを0.1〜1部のバインダーC:1部の未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分Iと混合することによって、または(ii)未修正水性ベースコートABを0.2〜1部のポリイソシアネート:1部の未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分IIと混合することによって製造されてもよい。
【0021】
原則として、述べられた容量および重量比が満たされているという条件で混合順序に関して制限は全くない。誤解を避けるために、語句「未修正水性ベースコートABを、顔料を含まない混合剤成分と混合することによって製造された修正水性ベースコート修正AB」は、別の混合順序を除外すると理解されないものとする。言い換えれば、未修正水性ベースコートAとBとを先ず混合し、次に得られた未修正水性ベースコートABを、顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIと混合することが可能であり、特に混合剤成分IIの場合には、これが好ましい混合順序である。しかしながら、未修正水性ベースコートAまたはBを、顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIと先ず混合し、次に得られた混合物を未修正水性ベースコートBまたはAと混合することもまた可能であり、この混合順序は、未修正水性ベースコートABのその場製造に相当する。未修正水性ベースコートAおよびBと顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIとを同時に混合することもまた可能である。
【0022】
未修正水性ベースコートAおよびBは、互いに化学的に相溶性でなければならない、すなわち、問題なく、例えば、凝固物または沈澱物の形成なしに、互いに混和性でなければならない。これは、未修正水性ベースコートAおよびBが同じペイント製造業者によって供給される場合には一般に保証されるが、未修正水性ベースコートAおよびBについて2つ以上の供給業者が存在する場合には、かかる相溶性を確実にすることが必要である。混合されるべき未修正水性ベースコートAおよびBは、容易な混合を可能にするために粘度の点で余りにも大きく互いに異なるべきではない。例えば、粘度の差は20℃で1000s-1の剪断速度で50mPa・sを超えるべきではない。
【0023】
未修正水性ベースコートA、BおよびABは、例えば、0.05:1〜1:1の顔料コンテント対樹脂固形分コンテントの重量比を有する水性コーティング組成物である。水、顔料、バインダー、場合により、ペースト樹脂および場合により、架橋剤を含む、樹脂固形分コンテント、場合により、フィラーならびに場合により、有機溶剤に加えて、未修正水性ベースコートA、BおよびABは一般にまた、通常の添加剤を含有する。
【0024】
未修正水性ベースコートA、BおよびABは、イオン的におよび/または非イオン的に安定化されたバインダー系を含有する。イオン的安定化の場合には陰イオン的安定化が好ましい。陰イオン的安定化は、バインダー中の少なくとも部分的に中和されたカルボキシル基によって好ましくは達成されるが、非イオン的安定化は、バインダー中のラテラルまたは末端ポリエチレンオキシド単位によって好ましくは達成される。未修正水性ベースコートA、BおよびABは、物理的に乾燥性であってもよいし、または共有結合の形成によって架橋性であってもよい。共有結合を形成する架橋性の未修正水性ベースコートA、BおよびABは、自己架橋性または外部架橋性の系であってもよい。
【0025】
未修正水性ベースコートA、BおよびABは、1種もしくはそれ以上の通常のフィルム形成バインダーを含有する。それらは場合によりまた、バインダーが自己架橋性ではないかまたは物理的に乾燥性でない場合には架橋剤を含有してもよい。使用されてもよい、フィルム形成バインダーの例は、通常のポリエステル、ポリウレタン、(メタ)アクリル共重合体および/またはこれらのクラスの樹脂から誘導されたハイブリッド樹脂である。場合により含有される架橋剤の選択は、当業者におなじみのように、バインダーの官能性に依存する、すなわち、架橋剤は、それらがバインダーの官能性に相補的な反応官能性を示すようなやり方で選択される。バインダーと架橋剤との間のかかる相補的な官能性の例は、カルボキシル/エポキシ、ヒドロキシル/メチロールエーテルおよび/またはメチロール(アミノプラスト樹脂、特にメラミン樹脂の架橋性基としての、好ましくはメチロールエーテルおよび/またはメチロール)である。
【0026】
用語「ポリウレタン樹脂」は、本発明で用いられるところでは、問題のポリウレタン樹脂がまた、特に、エステル基及び/又はウレア基などの、ウレタン基以外の基をポリマーバックボーン中に含有してもよいことを排除しない。代わりに、用語「ポリウレタン樹脂」は勿論、また特に、ポリエステルポリオール構成要素および/またはウレア基を含有するポリウレタン樹脂であって、後者が、例えば、イソシアネート基と水および/またはポリアミンとの反応によって形成されてもよいポリウレタン樹脂を含む。
【0027】
本発明による方法が、顔料を含まない混合剤成分IIで行われる場合、1種もしくはそれ以上のヒドロキシル官能性バインダーを含む樹脂固形分コンテントを含む未修正水性ベースコートABで作業することが好ましい。本明細書では、未修正水性ベースコートABの樹脂固形分コンテントのヒドロキシル値は、例えば、10〜150mgのKOH/gの範囲にあり、修正水性ベースコート修正ABにおけるNCO/OHモル比は、例えば、0.5:1〜25:1である。しかしながら、低いヒドロキシルのまたはヒドロキシルを含まない樹脂固形分コンテントの未修正水性ベースコートABの場合には、より高いNCO/OHモル比がまた、相当する修正水性ベースコート修正ABで生じるかもしれない。例えば、NCO/OHモル比は無限大に向かって伸びることさえあるかもしれない。かかる場合には、修正水性ベースコート中のポリイソシアネートは、イソシアネート基との関連で反応性である他の成分との、例えば、水、ヒドロキシル官能性溶剤との、および/またはイソシアネートと反応性であり、そしてヒドロキシル基とは異なるバインダーの官能基との反応によって消費される。
【0028】
未修正水性ベースコートA、BおよびABは通常の顔料、例えば、特殊効果顔料および/またはホワイト、着色およびブラック顔料の中から選択された顔料を含有する。
【0029】
特殊効果顔料の例は、例えば、アルミニウム、銅または他の金属の、非リーフィング金属顔料、例えば、金属酸化物コーテッド金属顔料、例えば、酸化鉄コーテッドアルミニウム、例えば、二酸化チタンコーテッド雲母などのコーテッド雲母などの、干渉顔料、グラファイト効果付与顔料、フレーク形態の酸化鉄、液晶顔料、コーテッド酸化アルミニウム顔料、コーテッド二酸化ケイ素顔料などの、観測角に依存してカラーフロップおよび/または明度フロップをコーティングに与える通常の顔料である。
【0030】
ホワイト、着色およびブラック顔料の例は、例えば、二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール顔料、ペリレン顔料などの、当業者に公知の通常の無機または有機顔料である。
【0031】
未修正水性ベースコートA、BおよびABはまた、例えば、樹脂固形分コンテントに対して0〜30重量%の割合でフィラーを含有してもよい。フィラーは、未修正水性ベースコートA、BおよびABの顔料コンテントの部分を構成しない。例は、硫酸バリウム、カオリン、タルカム、二酸化ケイ素、層状ケイ酸塩、およびそれらの任意の混合物である。
【0032】
特殊効果顔料は一般に、通常の市販の水性または非水性ペーストの形態で、場合により、好ましくは水希釈性有機溶剤および添加剤と組み合わせて最初に導入され、そして次に水性バインダーと混合される。粉状の特殊効果顔料は、ペーストをもたらすために好ましくは水希釈性有機溶剤および添加剤と先ず処理されてもよい。
【0033】
ホワイト、着色およびブラック顔料および/またはフィラーは、例えば、ある割合の水性バインダー中で粉砕されてもよい。粉砕は好ましくはまた、特殊な水性ペースト樹脂中で行われてもよい。粉砕は、当業者に公知の通常のアセンブリで行われてもよい。調合物は次に、残りの割合の水性バインダーまたは水性ペースト樹脂で完成される。
【0034】
未修正水性ベースコートA、BおよびABは、それらの固形分コンテントに対して、例えば、0.1〜5重量%の通常の量で通常の添加剤を含有してもよい。例は、消泡剤、湿潤剤、接着促進剤、触媒、平滑化剤、クレーター形成防止剤、増粘剤ならびに光安定剤、例えば、UV吸収剤および/またはHALSベースの化合物(HALS、ヒンダードアミン光安定剤)である。未修正水性ベースコートが光安定剤を含有する場合、これらは、UV光が280〜380nmの波長範囲で0.1%未満の、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率に従ってのみ修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAから形成されたベースコート層を透過することができることに決して専ら関与するわけではない。この効果は代わりに、それの耐久性に関して特に、それぞれ未修正水性ベースコートABまたは修正水性ベースコート修正ABを製造するときに未修正水性ベースコートBを用いることによって達成される。
【0035】
未修正水性ベースコートA、BおよびABの水含有率は、例えば、60〜90重量%である。
【0036】
未修正水性ベースコートA、BおよびABは、通常の溶剤を、例えば、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは、15重量%未満の割合で含有してもよい。かかる溶剤の例は、モノ−または多価アルコール、例えば、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール;グリコールエーテルまたはエステル、例えば、ジエチレングリコールジ−C1〜C6アルキルエーテル、ジプロピレングリコールジ−C1〜C6アルキルエーテル、エトキシプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル;グリコール、例えば、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール、およびそれらの二量体または三量体;例えば、N−メチルピロリドンなどのN−アルキルピロリドン;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン;芳香族または脂肪族炭化水素、例えば、トルエン、キシレンまたは線状もしくは分岐脂肪族C6〜C12炭化水素である。
【0037】
未修正水性ベースコートA、BおよびABは、例えば、10〜40重量%の、好ましくは、15〜30重量%の固形分コンテントを有する。
【0038】
既に述べられたように、未修正水性ベースコートAは、UV透過率に関して問題のある色合いを有する、すなわち、それらは、280〜380nmの波長範囲で0.1%より大きいおよび/または380〜400nmの波長範囲で0.5%より大きいおよび/または400〜450nmの波長範囲で1%より大きいUV透過率に相当するUV光が、プロセス膜厚に塗布された、そして(i)0.1〜1部のバインダーC:1部の未修正水性ベースコートAおよび相当する未修正水性ベースコートAの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分Iと混合された関連未修正水性ベースコートAからなるか、または(ii)0.2〜1部のポリイソシアネート:1部の未修正水性ベースコートAおよび相当する未修正水性ベースコートAの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分IIと混合された関連未修正水性ベースコートAからなるベースコート層を透過するかもしれないという点において区別される水性ベースコートを含む。言い換えれば、問題のある色合いの未修正水性ベースコートAは、成分顔料のタイプおよび割合によって、280〜380nmの波長範囲で0.1%より大きいおよび/または380〜400nmの波長範囲で0.5%より大きいおよび/または400〜450nmの波長範囲で1%より大きいUV透過率に相当するUV光がプロセス膜厚に塗布された、そして(i)0.1〜1部のバインダーC:1部の未修正水性ベースコートAおよび相当する未修正水性ベースコートAの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分Iと混合された関連未修正水性ベースコートAからなるか、または(ii)0.2〜1部のポリイソシアネート:1部の未修正水性ベースコートAおよび相当する未修正水性ベースコートAの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分IIと混合された関連未修正水性ベースコートAからなるベースコート層を透過するかもしれないような低レベルの顔料化(顔料コンテント対樹脂固形分コンテントの重量比)および/またはかかる顔料コンテントを有する。さらに言い換えれば、そしてより一般的に言えば、問題のある色合いの未修正水性ベースコートAは、UV透過率を効果的に下げる顔料を含まずに、または過度に小さい割合で含んで、過度に低いレベルの顔料化および/または顔料コンテントを有する。かかる未修正水性ベースコートAは、ソリッドカラー色合いのおよび特殊効果色合いの両方の未修正水性ベースコートAのうちで見いだされるかもしれない。例は、特に、フタロシアニン顔料をベースとするダークブルーソリッドカラー色合いの水性ベースコートのうちで、および特有の特殊効果色合い、例えば、ダークブルーメタリック色合いまたは、特に、シルバー色合いなどの、ライトメタリック色合いの水性ベースコートのうちで、および顔料コンテント中に高い割合の雲母顔料を含有する特有の特殊効果色合いの水性ベースコートのうちで見いだされるかもしれない。
【0039】
UV透過率は、修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAの相当するコーティング構造を、UV光透過性支持材、例えば、シリカガラスプレートに塗布し、そして相当するコーティングされていないUV光透過性支持材を対照として用いて相当する波長範囲でUV透過率を測定することによって測定されてもよい。本発明に従って製造されたベースコート構造と(i)顔料を含まない混合剤成分Iを用いて、そして未修正水性ベースコートBを用いないで、または(ii)顔料を含まない混合剤成分IIを用いて、そして未修正水性ベースコートBを用いないで製造された相当するベースコート構造との間のUV透過率の差を正確に測定するために、同様な条件下に作業する必要があることは自明である。本発明に関しては、これは、特に、(i)0.1〜1部:1部の述べられた範囲内のバインダーCと未修正水性ベースコートAの樹脂固形分との間でまたは(ii)0.2〜1部:1部の述べられた範囲内のポリイソシアネートと未修正水性ベースコートAの樹脂固形分との間で同じ重量比を両方の場合に選ぶことを意味する。
【0040】
未修正水性ベースコートBは、UV透過率に関して問題のない色合いを有する、すなわち、それらは、280〜380nmの波長範囲で0.1%未満の、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率に相当するUV光が、プロセス膜厚に塗布された、そして(i)0.1〜1部のバインダーC:1部の未修正水性ベースコートBおよび相当する未修正水性ベースコートBの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分Iと混合された関連未修正水性ベースコートBからなるか、または(ii)0.2〜1部のポリイソシアネート:1部の未修正水性ベースコートBおよび相当する未修正水性ベースコートBの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分IIと混合された関連未修正水性ベースコートBからなるベースコート層を透過するかもしれないという点において区別される水性ベースコートを含む。かかる未修正水性ベースコートBは、ソリッドカラー色合いのおよび特殊効果色合いの両方の未修正水性ベースコートBのうちで見いだされるかもしれない。例は特に、ある種の色合い、特に、例えば、ホワイト色合い、ブラック色合い、グリーン色合い、酸化鉄顔料をベースとするレッド色合いおよびバナジン酸ビスマス顔料をベースとするイエロー色合いの未修正水性ベースコートBのうちで見いだされるかもしれない。ソリッドカラー色合いの未修正水性ベースコートBは、それらがソリッドカラー色合いの未修正水性ベースコートAと混合されるべきである場合に特に好ましい。
【0041】
未修正水性ベースコートBの顔料コンテントは、UV透過率を効果的に下げる少なくとも1種の顔料を含む。未修正水性ベースコートBの顔料コンテントは、所与の(特定の)未修正水性ベースコートA、所与の特有の全体プロセス膜厚(およびいずれの場合にもまた修正水性ベースコート修正ABについておよび未修正水性ベースコートAについて特有の個別プロセス膜厚)、相当する前述の範囲での未修正水性ベースコートAとBとの所与の混合比、相当する前述の範囲での顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIと未修正水性ベースコートABとの所与の混合比で、UV光が280〜380nmの波長範囲で0.1%未満の、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率に従ってのみ修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAから形成されたベースコートを透過することができるようにされる。特に、未修正水性ベースコートBの顔料コンテントは、タイプ(顔料コンテントを形成する顔料の定性的および定量的組成)ならびに従って量によって選択される。
【0042】
UV透過率を効果的に下げる少なくとも1種の顔料は別として、未修正水性ベースコートBの顔料コンテントはまた、他の顔料を含んでもよい。
【0043】
UV透過率を効果的に下げる、そして未修正水性ベースコートBの顔料コンテントに単独でまたは組み合わせて使用されてもよい顔料の例は、具体的にはカーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄顔料、バナジン酸ビスマスおよびアルミニウムフレーク顔料、特に、例えば、10nm〜1μmのフレーク厚さで、例えば、1〜20μmの範囲の平均粒度の後者である。
【0044】
UV透過率の所望の低減に関して、および本発明による方法の目的のために好適な組成物の顔料コンテントの例は、重量百分率が合計100重量%になる、0〜100重量%のカーボンブラック、0〜100重量%の二酸化チタン、0〜100重量%の1種以上のアルミニウムフレーク顔料、例えば、先行段落で述べられたアルミニウムフレーク顔料の1種以上、0〜100重量%の1種以上の酸化鉄顔料および0〜90重量%の1種以上の他の顔料からなる未修正水性ベースコートBの顔料コンテントである。
【0045】
本発明による方法の第1実施形態では、修正水性ベースコート修正ABは未修正水性ベースコートABから、0.1〜1部、好ましくは0.1〜0.5部のバインダーC:1部の未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分Iと混合することによって製造される。
【0046】
未修正水性ベースコートABへの顔料を含まない混合剤成分Iの添加は、得られた修正水性ベースコート修正ABに、完成した多層コーティングに重要である、例えば、耐ストーンチップ性などの、技術的特性を与える。
【0047】
1種以上のバインダーCを含有する、顔料を含まない混合剤成分Iは、例えば、20〜95重量%の、一般に、30〜60重量%の固形分コンテントの組成物である。揮発性物質コンテントは、可能な揮発性添加剤に加えて、水および/または有機溶剤によって形成される。固形分コンテントはそれ自体、樹脂固形分コンテント・プラス可能な非揮発性添加剤からなる。
【0048】
顔料を含まない混合剤成分Iの樹脂固形分コンテントは、1種以上のバインダーCおよび、場合により、1種以上の架橋剤、例えば、ブロックトポリイソシアネート、例えば、メラミン樹脂などの、アミノプラスト樹脂を含む。一般に、樹脂固形分コンテントは、重量百分率が合計100重量%になる、例えば、70〜100重量%のコンテントの程度までの少なくとも1種のバインダーCプラス0〜30重量%の少なくとも1種の架橋剤からなる。
【0049】
顔料を含まない混合剤成分IのバインダーCは、未修正水性ベースコートA、BおよびAB中と同じバインダーおよび/またはそれとは異なるバインダーを含んでもよい。
【0050】
バインダーCは、通常の水希釈性の、好ましくは陰イオン的に安定化されたバインダー、例えば、相当するポリエステル、ポリウレタン、(メタ)アクリル共重合体および/またはこれらのクラスの樹脂から誘導されたハイブリッド樹脂である。ポリエステルおよび特にポリウレタン樹脂が好ましい。
【0051】
特にカルボキシル基などの、水希釈性を確実にする基は別として、バインダーCは、修正水性ベースコート修正ABのその後の熱硬化中に場合により進行する架橋反応にかかわるかもしれない官能基を含んでもよく、かかる架橋反応は特に付加および/または縮合反応である。バインダーCはまた、自己架橋性であってもよい。バインダーCの官能基の例は、ヒドロキシル基、ブロックトイソシアネート基およびエポキシ基である。
【0052】
顔料を含まない混合剤成分Iは一般に水性組成物を含み、混合剤成分Iはその上、例えば、20〜70重量%の水を含有する。
【0053】
それが水性または非水性組成物であるかどうかに関係なく、顔料を含まない混合剤成分Iは1種もしくはそれ以上の有機溶剤を、例えば、5〜70重量%の総量で含有してもよい。かかる溶剤の例は、一価または多価アルコール、例えば、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール;グリコールエーテルまたはエステル、例えば、ジエチレングリコールC1〜C6ジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールC1〜C6ジアルキルエーテル、エトキシプロパノール、ブチルグリコール;グリコール、例えば、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール、およびそれらの二量体または三量体;N−アルキルピロリドン、例えばN−メチルピロリドンならびにケトン、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン;芳香族または脂肪族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、または線状もしくは分岐脂肪族C6〜C12炭化水素である。溶剤は好ましくは水希釈性である。
【0054】
少なくとも1種のバインダーCおよびいずれの場合にも任意の成分水および有機溶剤に加えて、顔料を含まない混合剤成分Iは、いずれの場合にも、一般に6重量%以下の総量に相当する、例えば、0.1〜4重量%の割合で添加剤を含有してもよい。添加剤の例は、消泡剤、クレーター形成防止剤、湿潤剤、中和剤、およびレオロジー調整剤である。顔料を含まない混合剤成分Iは、好ましくはではないが、光安定剤、例えば、UV吸収剤および/またはHALSベースの化合物を含有してもよい。顔料を含まない混合剤成分Iが光安定剤を含有する場合、これらは、UV光が280〜380nmの波長範囲で0.1%未満の、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率に従ってのみ修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAから形成されたベースコート層を透過することができることに決して専ら関与するわけではない。この効果は代わりに、それの耐久性に関して特に、それぞれ未修正水性ベースコートABまたは修正水性ベースコート修正ABを製造するときに未修正水性ベースコートBを用いることによって達成される。
【0055】
本発明による方法の第2実施形態では、修正水性ベースコート修正ABは、0.2〜1部、好ましくは0.2〜0.8部のポリイソシアネート:1部の未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で顔料を含まない混合剤成分IIと混合することによって未修正水性ベースコートABから製造される。
【0056】
未修正水性ベースコートABへの顔料を含まない混合剤成分IIの添加は、得られた修正水性ベースコートに、完成した多層コーティングに重要である、例えば、耐ストーンチップ性などの、技術的特性を与える。このように、所望の色合い(コーテッド標準によって特定される色合い)でカラー一貫性のある多層コーティングが得られることがさらに確実にされる。
【0057】
1種以上のポリイソシアネートを含有する、顔料を含まない混合剤成分IIは、例えば、20〜95重量%の、一般に、40〜80重量%の固形分コンテントの組成物である。揮発性物質コンテントは、可能な揮発性添加剤に加えて、水および/または有機溶剤によって形成される。固形分コンテントはそれ自体、樹脂固形分コンテントおよび、場合により、プラス非揮発性添加剤からなる。
【0058】
顔料を含まない混合剤成分IIの樹脂固形分コンテントは、1種以上のポリイソシアネートを含む。一般に、樹脂固形分コンテントは100重量%の程度までのポリイソシアネートからなる。
【0059】
顔料を含まない混合剤成分IIに関連して用いられる用語「ポリイソシアネート」は、遊離のポリイソシアネートを意味することに限定されず、代わりにブロックトポリイソシアネートをまた含む。顔料を含まない混合剤成分IIに含有されるポリイソシアネートは従って、1種もしくはそれ以上の遊離のポリイソシアネート、1種もしくはそれ以上のブロックドポリイソシアネートまたは1種もしくはそれ以上の遊離のポリイソシアネートと1種もしくはそれ以上のブロックトポリイソシアネートとの組み合わせを含む。遊離のポリイソシアネートが好ましい。
【0060】
ポリイソシアネートは、脂肪族に、脂環式に、芳香族脂肪族におよび/またはより少なく好ましくは芳香族に結合したイソシアネート基を持ったジ−および/またはポリ−イソシアネートを含む。
【0061】
ポリイソシアネートは室温で液体であるかまたは有機溶液として存在し、ポリイソシアネートは本明細書では23℃で一般に0.5〜2000mPa・sの粘度を示す。遊離のまたは潜在的な(ブロックト、熱で再解離性の)イソシアネート基の形態で存在するポリイソシアネートのイソシアネート含有率は、一般に2〜25重量%、好ましくは、5〜25重量%(NCOとして計算されて)の範囲にある。
【0062】
ジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびシクロヘキサンジイソシアネートである。
【0063】
ポリイソシアネートの例は、イソシアネート基を連結する残基中にヘテロ原子を含有するものである。これらの例は、カルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレチジオン基、ウレタン基、アシル化ウレア基またはビウレット基を含有するポリイソシアネートである。ポリイソシアネートは好ましくは、例えば、上述のジイソシアネートの二量化または三量化によって製造されるウレチジオンまたはイソシアヌレート・タイプのポリイソシアネートなどの、2より高いイソシアネート官能性を有する。さらなる例は、上述のジイソシアネートの水との反応によって製造され、そしてビウレット基を含有するポリイソシアネート、またはポリオールとの反応によって製造され、そしてウレタン基を含有するポリイソシアネートである。
【0064】
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたはジシクロヘキシルメタンジイソシアネートをベースとする、例えば、「コーティングポリイソシアネート」が特に好適である。これらのジイソシアネートをベースとする「コーティングポリイソシアネート」は、これらのジイソシアネートのそれ自体公知のビウレット、ウレタン、ウレチジオンおよび/またはイソシアヌレート基含有誘導体を意味する。
【0065】
既に上述されたように、ポリイソシアネートは、ブロックト形態で使用されてもよいが、これが好ましいわけではない。それらは、熱の作用下に脱ブロックすることができる通常のブロッキング剤で、例えば、アルコール、オキシム、アミンおよび/またはCH−酸性化合物でブロックされていてもよい。
【0066】
ブロックトまたは好ましくは遊離のポリイソシアネートがそのようなものとして、または水および/または有機溶剤を含有する調製物として顔料を含まない混合剤成分IIに使用されてもよく、ここで、遊離のポリイソシアネートの場合には水も活性水素を持った有機溶剤も全く使用されない。例えば、ポリイソシアネートが水混和性の有機溶剤または溶剤混合物でプレ希釈されることが望ましいかもしれない。この場合には、好ましい遊離のポリイソシアネートが使用される場合に特に、イソシアネート基に対して不活性である、溶剤を使用することが好ましい。例は、いかなる活性な水素も含有しない溶剤、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシプロピルアセテートなどのグリコールエーテルエステル;およびN−メチルピロリドンである。
【0067】
十分な数のイオン性基によっておよび/または末端もしくはラテラル・ポリエーテル鎖によって水相で安定化されるかもしれない、親水性ポリイソシアネートもまた好適である。親水性ポリイソシアネートは、例えば、名称Bayhydur(登録商標)でBayerによって商業製品として販売されている。
【0068】
遊離のポリイソシアネートを含有する好ましい顔料を含まない混合剤成分IIを製造するとき、水の意図的な添加を回避することのみならず、できる限り最も広範に、好ましくは完全に水を排除して、そして一般にはまたできる限り最も広範に、好ましくは完全にイソシアネート基に反応性である他の物質、例えば、アルコールなどを排除して処理を行うこともまた目的にかなっている。適切な原材料を選択することは別として、水と結合する助剤と共に作業することもさらに可能である。例えば、オルトエステルなどの、水捕捉剤が、遊離のポリイソシアネートを含有する顔料を含まない混合剤成分IIの製造および貯蔵中に添加されてもよい。
【0069】
顔料を含まない混合剤成分IIは、それが遊離のポリイソシアネートを全く含有しない場合、例えば、20〜70重量%の水を含有してもよい。
【0070】
顔料を含まない混合剤成分IIは、例えば、5〜70重量%の総量で、1種もしくはそれ以上の有機溶剤を含有してもよい。溶剤は好ましくは水希釈性である。遊離のポリイソシアネートを含有する好ましい混合剤成分IIの場合には、溶剤はイソシアネート基に不活性であるものである。好適な溶剤の例は、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシプロピルアセテートなどのグリコールエーテルエステル;およびN−メチルピロリドンである。
【0071】
少なくとも1種のポリイソシアネートおよびいずれの場合にも任意の成分水および有機溶剤に加えて、顔料を含まない混合剤成分IIは、いずれの場合にも、一般に5重量%以下の総量に相当する、例えば、0.1〜2重量%の割合で添加剤を含有してもよい。添加剤の例は、顔料を含まない混合剤成分Iについて既に述べられたものと同じものである。顔料を含まない混合剤成分IIが光安定剤を含有する場合、これらは、UV光が280〜380nmの波長範囲で0.1%未満の、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率に従ってのみ修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAから形成されたベースコート層を透過することができることに決して専ら関与するわけではない。この効果は代わりに、それの耐久性に関して特に、それぞれ未修正水性ベースコートABまたは修正水性ベースコート修正ABを製造するときに未修正水性ベースコートBを用いることによって達成される。
【0072】
既に述べられたように、本発明による方法では、基材に、A’色合いの多層コーティングを提供する。典型的には、本発明による多層コーティング方法は、工業コーティング施設、すなわち、大量生産コーティングラインで行われる。一般に、A’色合いの多層コーティングを提供される基材のみならず、B’色合いの相当する多層コーティングを提供される基材もまた存在する。後者の基材のコーティングは、未修正水性ベースコートBを用いて行われ、そして、当該場合には未修正水性ベースコートAおよび未修正水性ベースコートBは一緒になって、多層コートされるべき基材のために選択された色合いプログラムを表す。未修正水性ベースコートAと混合されるべき未修正水性ベースコートBはB’色合いプログラムを表す未修正水性ベースコートBの群からそのとき選び得ることが有利である。一般に、B’色合いプログラムは2種以上の異なった色の未修正水性ベースコートBを含む。これは、適切な未修正水性ベースコートB(1種の個別水性ベースコートBかまたは2種以上の異なる未修正水性ベースコートBの混合物)の選択を可能にする。特にかかる選択は、混合されるべき関連未修正水性ベースコートAの色合いに依存することが起こるかもしれない。
【0073】
既に述べられたように、未修正水性ベースコートBは、UV透過に関して問題のない色合いを有する。それ故、基材上へのB’の色合いの多層コーティングの製造方法は、本発明による方法とは異なる。好ましくは、B’色合いの多層コーティングの製造方法は、
1)ベースコート層を、EDCプライマーを備えた基材に10〜35μmの範囲の全体プロセス膜厚で塗布する工程、
2)クリアコート層をベースコート層上へ塗布する工程、
3)ベースコートおよびクリアコート層を一緒に硬化させる工程
の連続工程であって、
ベースコート層が第1層におよび、場合により、第2層に塗布され、第1層が、色合いB’を有する未修正水性ベースコートBを、顔料を含まない混合剤成分と混合することによって製造された修正水性ベースコート修正Bを含み、そして場合により塗布される第2層が未修正水性ベースコートBを含み、
顔料を含まない混合剤成分が顔料を含まない混合剤成分Iおよび顔料を含まない混合剤成分IIからなる群から選択され、ここで混合剤成分Iは1種もしくはそれ以上のバインダーCを含み、そして0.1〜1部のバインダーC:1部の未修正水性ベースコートBの樹脂固形分の重量比で未修正水性ベースコートBへ混ぜ込まれ、かつここで、混合剤成分IIは1種もしくはそれ以上のポリイソシアネートを含み、そして0.2〜1部のポリイソシアネート:1部の未修正水性ベースコートBの樹脂固形分の重量比で未修正水性ベースコートBへ混ぜ込まれる工程を含む。
【0074】
本発明による方法では、未修正水性ベースコートA、Bおよび顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIは好ましくは、ユーザーの敷地で、特に得られた修正水性ベースコート修正ABの塗布の少し前にまたは直前に混合される。既に述べられたように、混合順序については様々な可能性がある。
【0075】
工業コーティング施設の場合には、いずれの場合にも異なる色合いの未修正水性ベースコートAおよびBは、それらの独自の循環ラインでそれぞれ搬送される。加えられるべき顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIは好ましくは、単一の多目的混合剤成分の形態で使用され、1種の顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIは同様にその独自の循環ラインで導かれ、工業コーティング施設で通常の混合技術、例えば、ケニックス(Kenics)ミキサーのような静的ミキサーを用いて、それぞれの未修正水性ベースコートAおよびBと自動的に混合される。nA’およびmB’色合いの色合いプログラムで水性ベースコートを塗布するとき、2n+2m個の循環ライン(いずれの場合にも異なる色の未修正水性ベースコートA用のおよび異なる色の修正水性ベースコート修正AB用のn個の循環ラインならびにいずれの場合にも異なる色の未修正水性ベースコートB用のおよび異なる色の修正水性ベースコート修正B用のm個の循環ライン)を提供することはそれ故必要ではないが、むしろ異なる色の未修正水性ベースコートA用のちょうどn個の循環ライン・プラス異なる色の未修正水性ベースコートB用のm個の循環ライン・プラス顔料を含まない混合剤成分IもしくはII用の1個の循環ラインを提供する必要がある。
【0076】
本発明による方法では、EDC下塗り基材は、好ましくは静電気支援の高速回転霧化によって、修正水性ベースコート修正ABで最初にスプレーコートされる。
【0077】
次に、好ましくは、例えば、20〜25℃の気温で30秒〜5分間の短いフラッシュオフ段階後に、相当する未修正水性ベースコートAが、好ましくは空気圧スプレー塗布によってスプレー塗布される。
【0078】
これに好ましくはまた、例えば、20〜100℃の気温で30秒〜10分の短いフラッシュオフ段階が続き、その後クリアコートが、例えば20〜60μmの乾燥膜厚で塗布される。
【0079】
全ての公知クリアコートが原則としてクリアコートとして好適である。使用できるクリアコートは、溶剤含有1成分(1パック)もしくは2成分(2パック)クリアコートの両方、水希釈性1パックもしくは2パック・クリアコート、粉末クリアコートまたは水性粉末クリアコートスラリーである。
【0080】
任意のフラッシュオフ段階後に、修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAからなる塗布された水性ベースコート層とクリアコート層とは、例えば、80〜160℃の物体温度でベーキングすることによって一緒に硬化させられる。
【0081】
本発明による方法を用いると、EDC下塗り基材は、プライマーサーフェーサーを含まないコーティングを備えてもよい。修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAからEDCプライマーへ塗布されたクリアコートおよびベースコート層を通ってのUV光のいかなる有害なアクセスも、ベースコート層がたったの10〜35μmのプロセス膜厚で塗布されているにもかかわらず、ここでは防止されるかもしれない。未修正水性ベースコートBは、それぞれ未修正水性ベースコートABまたは修正水性ベースコート修正ABの製造中に未修正水性ベースコートAへ混ぜ込まれるが、所望の色合いの多層コーティングを製造することは本発明による方法で可能である。プライマーサーフェーサー層の塗布およびベーキングは必要ではなく、多層コーティングの技術的特性は自動車製造業者の要件を満たす。
【実施例】
【0082】
実施例1(ブラック未修正水性ベースコートの製造)
次の組成のブラック未修正水性ベースコートを製造した:
14.1pbw(重量部)の樹脂固形分(7.7pbwのポリエステルポリウレタン樹脂、3.3pbwのポリエステルアクリレート樹脂、1.2pbwのポリウレタン樹脂、1.9pbwのヘキサメトキシメチルメラミン;樹脂固形分のヒドロキシル価40.8mgのKOH/g)
0.6pbwのカーボンブラック(Columbian Chemicals製のRaven 5000 Ultra II)
0.6pbwのタルカム
0.2pbwのジメチルエタノールアミン
0.5pbwの消泡剤
0.6pbwのポリアクリル酸増粘剤
0.8pbwのポリプロピレングリコール400
13.9pbwの有機溶剤(7.5pbwのエチレングリコールモノブチルエーテル、0.8pbwのエチレングリコールモノヘキシルエーテル、0.8pbwのN−メチルピロリドン、1.5pbwのn−ブタノール、2.5pbwのn−プロパノール、0.8pbwのShellsol T)
68.7pbwの水。
【0083】
実施例2(ポリイソシアネート混合剤成分の製造)
30pbwのN−メチルピロリドン、
47pbwの、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする17.4のNCO値の親水性脂肪族ポリイソシアネートおよび
23pbwの、23のNCO値の三量化ヘキサメチレンジイソシアネート
の混合物を製造した。
【0084】
実施例3(ブルー未修正水性ベースコートの製造)
a)次の組成のブルー未修正雲母顔料含有水性ベースコートを製造した:
11.5pbwの樹脂固形分(5.9pbwのポリエステルポリウレタン樹脂、2.3pbwのポリエステルアクリレート樹脂、1.4pbwのポリウレタン樹脂、1.9pbwのヘキサメトキシメチルメラミン;樹脂固形分のヒドロキシル価40.8mgのKOH/g)
0.21pbwの雲母顔料(0.19pbwのMerck製のIriodin(登録商標)SW9225、0.02pbwのMerck製のIriodin(登録商標)SW219)
0.07pbwのアルミニウム顔料(0.036pbwのToyal製のAlpateWXA7640および0.034pbwのEckart製のHydrolac WHH2153)
0.33pbwのBayer製のPalomarblue B4828
1.08pbwのHeubach製のMonolite Blue 3RX
0.85pbwのBASF製のHeliogen(登録商標)Blue L6989F
0.06pbwのカーボンブラック(Columbian Chemicals製のRaven 5000Ultra II)
0.8pbwのCiba製のTinuvin(登録商標)384−2
0.4pbwのCiba製のTinuvin(登録商標)292
0.2pbwのジメチルエタノールアミン
0.5pbwの消泡剤
0.6pbwのポリアクリル酸増粘剤
0.8pbwのプロピレングリコール400
12.4pbwの有機溶剤(6.5pbwのエチレングリコールモノブチルエーテル、0.8pbwのエチレングリコールモノヘキシルエーテル、0.6pbwのN−メチルピロリドン、1.5pbwのn−ブタノール、2.5pbwのn−プロパノール、0.5pbwのShellsol T)
70.2pbwの水。
b)修正水性ベースコートを、a)からの100pbwの未修正水性ベースコートを実施例1からの100pbwのブラック水性ベースコートとおよび実施例2からの20pbwのポリイソシアネート混合剤成分と混合することによって製造した。
c)水性コーティング組成物を、a)からの100pbwの未修正水性ベースコートを実施例2からの10pbwのポリイソシアネート混合剤成分と混合することによって製造した。
【0085】
実施例4(ベースコート層のUV透過率の測定)
水性コーティング3bおよび3cをそれぞれ、静電気的に支援された高速回転霧化を用いて石英ガラスプレートに塗布した(いずれの場合にも17μmの乾燥膜厚まで)。
【0086】
室温で2分フラッシュオフした後、相当する未修正水性ベースコート3aを、5μm乾燥膜厚に空気圧スプレー塗布し、70℃で5分間フラッシュオフし、140℃で15分間ベーキングした。
【0087】
次に、ベースコート層でこのようにコートしたシリカガラスプレートのUV透過率を測光測定した(対照ビーム経路にコーティングされていないシリカガラスプレート;コーティングされた側からUV照射)。
【0088】
結果を表1に示す。
【0089】
表1

【0090】
実施例1からのブラック水性ベースコートを用いて製造したコーティング構造3b+3aは、280〜380nmの波長範囲で0.1%未満にすぎない、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率を可能にした。実施例1からのブラック水性ベースコートを用いずに製造したコーティング構造3c+3aは、380〜400nmの波長範囲で、および400〜450nmの波長範囲で当該UV透過率制限を超えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ベースコート層を、EDCプライマーを備えた基材に10〜35μmの範囲の全体プロセス膜厚で塗布する工程と、
2)クリアコート層を前記ベースコート層上へ塗布する工程と、
3)前記ベースコート層および前記クリアコート層を一緒に硬化させる工程と
の連続工程を含む、A’色合いの多層コーティングの製造方法であって、
前記ベースコート層が第1層におよび第2層に塗布され、前記第1層が未修正水性ベースコートABを、顔料を含まない混合剤成分と混合することによって製造された修正水性ベースコート修正ABを含み、そして前記第2層が色合いA’を有する未修正水性ベースコートAを含み、
前記未修正水性ベースコートABが、100pbvの前記未修正水性ベースコートAと、色合いB’を有する1〜150pbvの未修正水性ベースコートBとの混合物であり、
前記顔料を含まない混合剤成分が、顔料を含まない混合剤成分Iおよび顔料を含まない混合剤成分IIからなる群から選択され、ここで前記混合剤成分Iは1種もしくはそれ以上のバインダーCを含み、そして0.1〜1部のバインダーC:1部の前記未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で前記未修正水性ベースコートABへ混ぜ込まれ、かつここで、前記混合剤成分IIは1種もしくはそれ以上のポリイソシアネートを含み、そして0.2〜1部のポリイソシアネート:1部の前記未修正水性ベースコートABの樹脂固形分の重量比で前記未修正水性ベースコートABへ混ぜ込まれ、そして
前記未修正水性ベースコートBの顔料コンテントがUV透過率を効果的に下げる少なくとも1種の顔料を含み、かつここで、前記顔料コンテントは、UV光が280〜380nmの波長範囲で0.1%未満の、380〜400nmの波長範囲で0.5%未満の、および400〜450nmの波長範囲で1%未満のUV透過率に従ってのみ修正水性ベースコート修正ABおよび未修正水性ベースコートAから形成された前記ベースコート層を透過することができるようにされる方法。
【請求項2】
前記未修正水性ベースコートABが、100pbvの前記未修正水性ベースコートAと、1〜50pbvの色合いB’を有する未修正水性ベースコートBとの混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修正水性ベースコート修正ABの第1ベースコート層の個別プロセス膜厚が5〜25μmの範囲にあり、そして前記未修正水性ベースコートAの第2ベースコート層の個別プロセス膜厚が3〜20μmの範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記未修正水性ベースコートBがソリッドカラー色合いを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記未修正水性ベースコートAがソリッドカラー色合いを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記未修正水性ベースコートAとBとが先ず混合され、そして得られた未修正水性ベースコートABが次に前記顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIと混合されるか、または(ii)前記未修正水性ベースコートAと前記顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIとが先ず混合され、そして得られた混合物が次に前記未修正水性ベースコートBと混合されるか、または(iii)前記未修正水性ベースコートBと前記顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIとが先ず混合され、そして得られた混合物が次に前記未修正水性ベースコートAと混合されるか、または(iv)前記未修正水性ベースコートAおよびBと前記顔料を含まない混合剤成分IもしくはIIとが同時に混合される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工業コーティング施設で行われる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
さらに、基材BにB’色合いの多層コーティングが提供され、その際、前記未修正水性ベースコートAおよびBが一緒に、多層コートされる前記基材のために選択された色合いプログラムを表す請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記修正水性ベースコート修正ABが静電気支援の高速回転霧化によって塗布され、そして前記未修正ベースコートAが空気圧でスプレー塗布される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材が自動車車体および自動車車体部品からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−507477(P2010−507477A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534576(P2009−534576)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/020701
【国際公開番号】WO2008/051345
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】